JP2012227310A - セラミックス多層基板とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より反りが発生しやすいが小型化に有利な薄層のセラミックス多層基板において、焼成時の反りを極力抑制し、さらにめっき液に対する耐腐食性を有するという二つの課題を解決したセラミックス多層基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】上記課題を解決するために本発明は、無機フィラーと結晶化ガラスを含む第一の絶縁体層と第二の絶縁体層とを積層してなり、内部に配線を有するセラミックス多層基板であって、前記第一の絶縁体層を最外層に、前記第二の絶縁体層を内層に配置した構成とし、前記第一の絶縁体層の結晶化ガラスの結晶化度が90%以上、前記第二の絶縁体層の結晶化ガラスの結晶化度が75%以下であることを特徴としたセラミックス多層基板とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体実装型の電子部品の大判化、低背化等の要求に対応する寸法精度に優れ、かつ耐薬品性に優れたセラミックス多層基板に関するものであり、セラミックス多層基板と電極を低温同時焼成が可能で、かつ焼成する際に焼結収縮挙動の違いによる基板厚み方向の物性値不一致による基板反り等の変形を抑制できるセラミックス多層基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
近年、チップ部品等の小型化および軽量化が進んでおり、これを実装する回路基板についても小型化および薄層化が望まれている。このような要望に応えるため、例えば低温焼結セラミックスを用いた多層基板が多く実用されている。このセラミックス多層基板によれば、銀や銅など低抵抗導体の高密度配線が可能となり、小型化および薄層化を図ることができる。
このようなセラミックス多層基板は、焼成工程を経て製造されるものであり、焼結時の基板の反りが問題となる。このような反りの問題は、比較的厚い基板に対しては大きな問題にはならず、基板が薄いほど顕著に反りの問題が発生する。
特許文献1ではセラミックグリーンシートの両主面に、このセラミックグリーンシートの焼結温度では焼結しない異なるグリーンシートを拘束層として積層して一体焼成することで回路基板の反りを抑制する技術が開示されている。しかしながらより薄層のセラミックス多層基板を実現するには、拘束層を用いて反りを改善するだけでは未だ十分とは言えず、基板そのものにも工夫を施す必要がある。
さらに、このようなセラミックス多層基板上に機能性部品を実装する端子電極を形成する際、はんだとの濡れ性を良好にするために基板最表面の導体部分に金属めっきが施される。また、前記機能性部品の保護膜として基板最表面のセラミックス部分に金属めっきが施される場合もある。
このようにして得られる基板は上記のように配線をめっき法で形成するのが一般的であり、基板自体をめっき液に漬け込む必要がある。一般にめっき液は酸性またはアルカリ性であるため、基板の材料としてはめっき液に対して腐食しにくいものを選択しなければならない。
特開平6−329476
上記先行文献を省みて本発明は、より反りが発生しやすいが小型化に有利な薄層のセラミックス多層基板において、焼成時の反りを極力抑制し、さらにめっき液に対する耐腐食性を有するという二つの課題を解決したセラミックス多層基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、無機フィラーと結晶化ガラスを含む第一の絶縁体層と第二の絶縁体層とを積層してなり、内部に配線を有するセラミックス多層基板であって、前記第一の絶縁体層を最外層に、前記第二の絶縁体層を内層に配置した構成とし、前記第一の絶縁体層の結晶化ガラスの結晶化度が90%以上、前記第二の絶縁体層の結晶化ガラスの結晶化度が75%以下であることを特徴としたセラミックス多層基板とする。
本発明によれば、焼成時に反りが発生しにくい結晶化度の低い層を内層とし、耐腐食性に強い結晶化度の高い層を外層とすることにより、焼成時の反りを抑制し、めっきで配線を形成する際のめっき液による基板の腐食を防止することができるため、0.5mm以下の極めて薄いセラミックス多層基板を実現できるものである。
本発明の一実施の形態におけるセラミックス多層基板の断面図 本発明の一実施の形態におけるセラミックス多層基板にSAWフィルタを実装する製造工程を示した断面図
以下、本発明のセラミックス多層基板6について説明する。
図1は本発明の一実施の形態におけるセラミックス多層基板6の断面図であり、第一および第二の絶縁体層1、2を有し、前記第一の絶縁体層1と前記第二の絶縁体層2とを積層してなり、内部に内部電極3およびビア電極4等の配線電極を有する薄層のセラミックス多層基板である。
図1においてセラミックス多層基板6の最外層に位置する第一の絶縁体層1の結晶化度が高いほど、めっき形成時の耐薬品性が優れ、第一の絶縁体層1の劣化を防ぐことができ、めっき膜と第一の絶縁体層1との密着性を良好にすることができる。特に結晶化度が90%以上であれば銅めっき液に代表されるpHが1よりも小さい強酸性の場合でも効果を発揮する。
一般的にガラスは化学的に準安定な構造を持つ。すなわちSiO2やB23を主とする3次元網目構造の骨格を有している。しかしながらセラミックスを低温焼成化し、Ag電極やCu電極と同時焼成するためには上記ガラスにアルカリ金属成分やアルカリ土類金属成分、遷移金属成分などの他の成分を加えて上記ガラスの軟化点を低温化する必要がある。この場合、上記3次元網目構造が部分的に切断されているため、耐薬品性は良好でない。一方、組成によっては上記ガラスを熱処理などで結晶化させることができる。結晶化させると化学的に安定な構造とすることができるため、耐薬品性が良好となる。
セラミックス多層基板6の反り量は基板厚み5が薄くなる程顕著に現れ、特に基板厚み5が0.5mm以下のとき深刻な問題となる。反りの問題では第二の絶縁体層2の結晶化度が小さい方が好ましく、結晶化度が75%以下であれば、基板厚み5が薄い場合でも焼成時の反りを抑制することができ、後の工程において実装信頼性や寸法精度を高めることができる。また、第一の絶縁体層1と第二の絶縁体層2の基板厚み5については、第一の絶縁体層1の厚みに対する第二の絶縁体層2の厚みの比がより大きいほうが反り抑制に効果が発揮される。
また、第一および第二の絶縁体層1、2の結晶化成分としてはディオプサイド、エンスタタイト、フォルステライト、アノーサイト、スピネル、ムライト、セルシアン、コージェライト等が挙げられるが、特に材料が限定されるものではない。具体例として、第一の絶縁体層の結晶化ガラスに含まれる結晶化成分をディオプサイド、第二の絶縁体層の結晶化ガラスに含まれる結晶化成分をセルシアンとすることにより同時焼成時の密着性に優れたセラミック多層基板とすることができる。
また、第二の絶縁体層2の結晶化度を60%〜75%以下とすることでセラミックス多層基板6の抗折強度を高く保つことができる。なお、後述で具体的に説明する。
また、セラミックス多層基板6の内層部に所定の面積を有する内部電極3を第一または第二の絶縁体層1、2を介して対向するように配置することによりコンデンサを内蔵することができる。コンデンサ等の温度変化によって特性が変化する電子部品をセラミックス多層基板6内部に搭載する場合、第二の絶縁体層2の無機フィラーにマグネトプランバイト相を含むことで第二の絶縁体層2内に形成されるコンデンサ容量の温度変化率を極力ゼロに近づけることができる。なお、後述で実験データをふまえ説明する。
次に、本発明のセラミックス多層基板6の製造方法について、SAW(表面弾性波素子)フィルタ18を実装したセラミックス多層基板6を例にとって説明する。
図2(a)〜(c)では本発明の一実施の形態におけるセラミックス多層基板6を用いてSAWフィルタ18を実装するまでの製造工程を説明する断面図である。
まず、図2(a)において、第一の絶縁シート11を作製するため、主成分として0.01〜100μmの平均粒子径を有する無機フィラー粉体と、結晶化ガラス粉体を所定量配合しガラスセラミックス粉体とする。さらに、このガラスセラミックス粉体に、水を所定量配合し、ジルコニアビーズを分散メディアとして使用してボールミル混合を所定の時間行い、その後乾燥を行う。次に、乾燥後のガラスセラミックス粉体に、PVBなどの樹脂バインダー、エステル系またはアルコール系などの分散媒と、DBP(フタル酸ジブチル)やBBP(フタル酸ベンジルブチル)などの可塑剤と、必要に応じて分散剤、消泡剤を配合し、ジルコニアビーズを使用したボールミル分散を所定の時間行ってスラリーを作製する。
得られたスラリーをダイコーティング装置などのシート成型機によって離型処理されたPETフィルムなどのキャリアフィルム上に所定の厚みに塗布し、その後乾燥して第一の絶縁シート11を作製する。
次に、第二の絶縁シート12は第一の絶縁シート11とは異なる結晶化ガラス粉体を用いる以外は上記と同様の方法で作製する。
次に、第一および第二の絶縁シート11、12の焼成温度では焼結しない第三の絶縁シート13を作製する。第三の絶縁シート13に含まれる無機フィラーはアルミナやジルコニア、マグネシアが好適に用いられ、第一および第二の絶縁シート11、12との違いは結晶化ガラス粉体を含まない。それ以外は上記第一の絶縁シート11と同様に作製する。
この第三の絶縁シート13は最外層に配置され、第一および第二の絶縁シート11、12が焼成する際の反りを抑制するための拘束層として配置される。
次に、第一および第二の絶縁シート11、12に必要に応じてパンチング加工あるいはレーザ加工により所定の位置に孔開け加工を行った後、スクリーン印刷などによってAgを主成分とするビア電極ペースト15を用いて孔開け加工されたビアホール内に充填塗布する。その後、第一、第二の絶縁シート11、12に必要に応じてAgを主成分とする内部電極ペースト14を所定の回路パターンで形成する。内部電極ペースト14の形成にはスクリーン印刷法などが好適に用いられる。
次に、ビア電極ペースト15または内部電極ペースト14を有する第一および第二の絶縁シート11、12を図2(a)に示すように所定の設計になるように位置合わせを行いながら積層、加圧する。積層の順番については、図2(a)の表層の絶縁シートから順に行った。つまり、第三の絶縁シート13、第一の絶縁シート11、第二の絶縁シート12複数層、第一の絶縁シート11、第三の絶縁シート13の順に積層した。
以上のように積層し、図2(b)に示すような各絶縁層と各電極層が交互に積層された積層体16を形成する。この積層体16の大きさは通常50mm□〜200mm□である。その後積層体16を垂直方向に所定の圧力で加圧を行う。なお、積層および加圧時の温度は常温〜100℃であり、加圧時の圧力は20〜1000kgf/cm2で行うことが好ましい。
その後、積層圧着された積層体16を400℃〜600℃の温度で脱バインダー処理を行った後、800℃〜960℃で、0.1〜30時間保持し、大気雰囲気もしくは還元雰囲気で焼成を行う。前記焼成温度では前記第一および第二の絶縁シート11、12は十分な焼結性を有するが、第三の絶縁シート13は焼結しない温度とする。
次に、焼成後の積層体16の最表層に位置する第三の絶縁シート13からなる層をサンドブラスト処理により除去し、セラミックス多層基板6を得る。
次に、図2(c)に示すようにセラミックス多層基板6にバンプ17を形成し、この上にSAWフィルタ18を実装して、SAWフィルタ18を覆うように樹脂フィルム19を形成し、さらにその上面に、金属膜20を蒸着およびめっきにより形成することで完成する。
以下、実施例に基づいて本発明のセラミックス多層基板6を、(表1)を用いて詳細に説明する。(表1)に示す試料番号1〜9のサンプルを作製した。
Figure 2012227310
まず、第一の絶縁体層1、第二の絶縁体層2を(表1)のように作製し、セラミックス多層基板6を作製した。(表1)の結晶化ガラス量(wt%)は配合時のものであり、それ以外の成分は無機フィラーである。
無機フィラー成分については試料番号1〜4、6〜9の第一の絶縁体層1および試料番号4、6〜9の第二の絶縁体層2においてはアルミナとした。
試料番号5の第一の絶縁体層1および試料番号1〜3、5の第二の絶縁体層2においてはアルミナを主成分とするマグネトプランバイト相とした。
結晶化ガラス成分については試料番号1〜4、7〜9の第一の絶縁体層1および試料番号7、8の第二の絶縁体層2においてはSiO2−CaO−MgO系ガラスとした。試料番号5の第一の絶縁体層1および試料番号1〜3、5の第二の絶縁体層2においてはSiO2−BaO−Al23系ガラスとした。試料番号6の第一の絶縁体層1および試料番号6、9の第二の絶縁体層2においてはSiO2−MgO−Al23系ガラスとした。試料番号4の第二の絶縁体層2においてはSiO2−Al23−CaO系ガラスとした。全ての結晶化ガラスにおいてアルカリ金属成分は含まれていない。
まず、第一および第二の絶縁シート11、12の厚みをそれぞれ30μm、第三の絶縁シート13の厚みは90μmとして作製した。次に、前記第一および第二の絶縁シート11、12をパンチング加工により所定の位置に孔開け加工を行った後、スクリーン印刷によってAgを主成分とするビア電極ペーストを用いて孔開け加工されたビアホール内に充填塗布し、ビア電極を形成した。その後、前記第一および第二の絶縁シート11、12に必要に応じてAgを主成分とする内部電極ペースト14を用いて設計された回路パターンの配線電極を形成した。
次に、ビア電極ペースト15または内部電極ペースト14を有する第一および第二の絶縁シート11、12を所定の設計になるように位置合わせを行いながら積層、加圧した。
積層の順番については、下側から第三の絶縁シート13は1枚、第一の絶縁シート11は1枚、第二の絶縁シート12は複数枚、第一の絶縁シート11は1枚、第三の絶縁シート13は1枚の順であった。第二の絶縁シート12の枚数を調整して、焼成後の基板厚み5を調整した。具体的には第二の絶縁シート12の枚数を7枚、16枚、28枚、40枚とすることにより、焼成後の基板厚み5を各0.15mm、0.3mm、0.5mm、0.7mmと変化させ、絶縁シートと配線電極層が交互に積層された積層体16を形成した。
なお本発明において、前記第二の絶縁シート12のみを積層してなる積層体を積層品として取り扱うこととする。
この積層体16の大きさは140mm□であった。その後積層体16を垂直方向に500kgf/cm2で加圧し、積層体を積層圧着した。なお、加圧の際の温度は40℃であった。
その後、積層圧着された積層体16の端を切断して約100mm□とし、電気炉を用いて400℃で脱バインダー処理を行い、焼成工程として(表1)に示すように焼成温度860℃〜920℃で0.5時間保持して大気中雰囲気で焼成を行った。前記焼成温度は前記第一および第二の絶縁シート11、12が十分な焼結性を有し、第三の絶縁シート13は焼結しない温度である。焼成後の焼結体の最外層に位置する前記第三の絶縁シート13をアルミナ粒子と水を混合したスラリーを用いたサンドブラスト処理により除去し、セラミックス多層基板6が得られた。上記試料番号1〜9のサンプルで第一の絶縁体層1と第二の絶縁体層2の界面での剥離は認められず、良好な密着性を有していた。
なお、第三の絶縁シート13を積層体16の最外層に配置して焼成をすることでセラミックス多層基板6のXY方向への収縮は抑制し、厚み方向の収縮のみを生じさせることができるため、焼成前の100mm□とほぼ同等の寸法のセラミックス多層基板6が得られた。そして以下の方法により評価を行った。
まず、各絶縁体層のガラスの結晶化度については、各絶縁体層単体を同時焼成した場合と同じ条件で焼成した試料のXRD回折パターンから決定した。析出結晶相のメインピークおよび非晶質ピークの面積比から以下の式を用いて簡便に算出した。
Figure 2012227310
Ic:析出結晶メインピーク面積、Ia:非晶質ピーク面積
また、上記XRD回折パターンからリートベルト解析法により算出する方法とほぼ同等の値が得られたことを確認した。
セラミックス多層基板6の耐薬品性については、Cuめっき液とほぼ同じpH0.5の硫酸/硫酸銅混合溶液にセラミックス多層基板6を浸漬して行った。60℃で3時間浸漬し、浸漬前後のセラミックス多層基板6の重量変化率で評価した。重量の減少が1%以下のときを○、1%より大きいときを×とした。
なお、重量減少が1%より大きい場合、表面粒子の脱落により表面がもろくなり、まためっきがつかなくなるなどの不良が発生する。
セラミックス多層基板6の反りについては、約100mm□のセラミックス多層基板6を用意し、3次元高さ測定機により評価した。所定のピッチで高さ測定を行い、その最大値と最小値との差をもって反り量とした。反り量が100μm以下のときを○、100μmより大きいときを×とした。
なお、反り量が300μmより大きい場合、平坦性がないために機能性部品の実装不良の可能性が極めて高く、吸着時に割れることも懸念される。
セラミックス多層基板6の耐薬品性および反りの観点から総合判定を行った結果を(表2)に示す。両項目で○の場合のみ、総合判定を○とした。
Figure 2012227310
また、(表2)は(表1)と対応しており各試料の絶縁体層の析出結晶相および結晶化度は(表1)に示す。比較例である試料番号5、6については第一の絶縁体層1の結晶化度が70,80%と低く、めっき液の浸漬試験にて重量の減少が6%および2%と高かった。また顕微鏡観察の結果、表面粒子の脱落が認められた。
比較例である試料番号7〜9については第一の絶縁体層1の結晶化度が90、95、97%と高く、めっき液の浸漬試験にて重量の減少が0.5%、0.2%、0.1%と低かった。顕微鏡観察の結果、表面粒子の脱落も認められなかった。しかしながら、反り量については、0.7mm厚の場合、300μm以上の反りは認められなかったものの、0.5mm厚以下の場合に反りが顕著に現れた。厚みが0.15mmの場合は反り量が1mmを超えており目視でも明確に反りが観察された。
実施例である試料番号1〜4については第一の絶縁体層1の結晶化度が98、98、90、98%と高く、めっき液の浸漬実験にて重量減が0.1、0.1、0.5、0.1%と低く、表面粒子の脱落も認められなかった。反り量については厚みが0.15mmと薄くなった場合でも300μm以上の反りが認められなかった。これは第二の絶縁体層2の結晶化度がそれぞれ75、70、60、5%と低いために焼成収縮の際の体積変動が小さく、反りに影響を及ぼさなかったためである。
これは第二の絶縁体層2の結晶化度が80%以上と高いと焼成収縮の際の絶縁体層の体積変動が大きく、反りを抑制することが困難であったからである。ここで焼成収縮は第二の絶縁体層2に含まれるガラス成分が結晶化する際に収縮するためである。
また、第二の絶縁体層2の結晶化度が60〜75%である試料番号1〜3についてはセラミックス多層基板6の抗折強度が約250MPaであり、第二の絶縁体層2の結晶化度が5%である試料番号4の約150MPaと比較して約1.5倍の抗折強度を有していた。結晶化度が低いとセラミックス多層基板6中の結晶化成分が少ないために強度が低いが、結晶化度が高いとセラミックス多層基板6中の結晶化成分が多いために強度を高めることができ、より好ましくは第二の絶縁体層2の結晶化度を60〜75%とすることが好ましい。
さらに試料番号1〜3については第二の絶縁体層2の無機フィラーにアルミナを主とするマグネトプランバイト相を含んでいる。セラミックス多層基板6として用いられる低誘電率の絶縁体層の無機フィラーとしては、通常アルミナが用いられる。しかしながら、アルミナを主成分とする低誘電率の無機フィラーや結晶化ガラスの誘電率には正の温度依存性があるため、絶縁体層にコンデンサを搭載した場合を考慮すると、コンデンサ容量の温度依存性を無視することができない。一方でアルミナを主成分とするマグネトプランバイト相は低誘電率でありながらも誘電率には負の温度依存性があり、正の温度依存性のある結晶化ガラスと混合することで絶縁体層にコンデンサを形成した場合のコンデンサ容量の温度依存性を前記正と負で相殺して調整することができる。試料番号1〜3の第二の絶縁体層2中に形成したコンデンサ容量の温度依存性は約10ppm/℃以下であり、良好な温度特性を示した。
本発明は、焼成時の反りを抑制し、めっきによる配線を形成する際の腐食を防止することを課題とし、0.5mm以下の薄いセラミックス多層基板を実現できる、という特徴を有し、特に半導体実装型の電子部品の大判化、低背化等の要求に対応する寸法精度に優れ、かつ耐薬品性に優れたセラミックス多層基板等に有用である。
1 第一の絶縁体層
2 第二の絶縁体層
3 内部電極
4 ビア電極
5 基板厚み
6 セラミックス多層基板
11 第一の絶縁シート
12 第二の絶縁シート
13 第三の絶縁シート
14 内部電極ペースト
15 ビア電極ペースト
16 積層体
17 バンプ
18 SAWフィルタ
19 樹脂フィルム
20 金属膜

Claims (6)

  1. 無機フィラーと結晶化ガラスを含む第一の絶縁体層と第二の絶縁体層とを積層してなり、内部に配線を有するセラミックス多層基板であって、
    前記第一の絶縁体層を最外層に、前記第二の絶縁体層を内層に配置した構成とし、
    前記第一の絶縁体層の結晶化ガラスの結晶化度が90%以上、前記第二の絶縁体層の結晶化ガラスの結晶化度が75%以下であることを特徴としたセラミックス多層基板。
  2. 前記第二の絶縁体層の結晶化ガラスの結晶化度が60%以上、75%以下である事を特徴とした請求項1に記載のセラミックス多層基板。
  3. 前記第二の絶縁体層の無機フィラーはマグネトプランバイト相を含むことを特徴とした請求項1に記載のセラミックス多層基板。
  4. 前記第一の絶縁体層の結晶化ガラスに含まれる結晶化成分はディオプサイドであり、前記第二の絶縁体層の結晶化ガラスに含まれる結晶化成分はセルシアンであることを特徴とした請求項1に記載のセラミックス多層基板。
  5. 前記セラミックス多層基板の積層方向の厚みが0.5mm以下である請求項1に記載のセラミックス多層基板。
  6. 無機フィラーと結晶化ガラスを含み結晶化ガラスの結晶化度が90%以上である第一の絶縁シートを成形する第一の成形工程と、
    無機フィラーと結晶化ガラスを含み結晶化ガラスの結晶化度が75%以下である第二の絶縁シートを成形する第二の成形工程と、
    前記第一および前記第二の絶縁シートの焼成温度では焼結しない第三の絶縁シートを成形する第三の成形工程と、
    前記第一および第二の絶縁シートに所定パターンで内部配線用の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
    前記第一および第二の絶縁シートに形成された貫通孔に導電ペーストを充填する導電ペースト充填工程と、
    前記第一および第二の絶縁シートの上面に所定パターンで導電ペーストを印刷する導電ペースト印刷工程と、
    前記第二の絶縁シートを複数枚積層すると共に、この積層品の上部と下部に前記第一の絶縁シートが配置され、さらにこの積層品の上部と下部に前記第三の絶縁シートが配置されるように積層体を作製する積層工程と、
    前記積層体を前記第一および第二の絶縁シートのみが焼結する所定の温度で焼成し焼結体を得る焼成工程と、
    前記焼結体の表面の前記第三の絶縁シートを構成する材料からなる未焼結部分を除去する除去工程とを有するセラミックス多層基板の製造方法。
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