JP2011109290A - 無線送受信装置及び移動体管理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】移動体の様々な情報を取得するセンサーと、移動体の位置情報取得部と、時刻取得部と、その時刻情報を記録する時計機能部と、データを蓄精する記憶部と、無線LAN送受信部を備え、それぞれが中央演算装置により制御され、移動体に備わる被計測対象の状態、位置情報、時刻情報を無線送信する。無線送受信機能に無線LANを利用することによって、汎用性が高く、世界で最も普及しているインフラを利用することが可能で、安価で手間の掛からない簡便なシステムを構築できる。
【選択図】図5
Description
これらの無線端末を様々な場所に設置して、センサーが計測する様々な情報を収集することが可能となる。
また、無線端末は、有線ではないため、地震などの災害による断線も回避できるため、利用範囲や適用範囲が広がる。またさらに、被計測対象(センシング対象)のレイアウト変更に影響を受けず、既存の建物への設置も容易に行うことができる。
例えば、1つの建物内のクローズされた範囲でシステムを構築する場合には、センサー情報の収集端末としては、PC( Personal Computer )やワークステーションなどのデータサーバが考えられる。これらのデータサーバは、建物内のLAN( Local Area Network )等の専用線に接続され、専用線は、ハブやLANスイッチ等の無線受信用ゲートウェイに接続される。
このように、建物内の所定の複数の場所にそれぞれ設置された無線センサー端末が、IEEE802.11bのような無線LAN等の無線媒体によって無線受信用ゲートウェイにアクセスすることによって、データ収集端末にセンサー情報を送信する。
この場合、ある建物の中で近距離無線通信や有線通信を用いてセンサー情報を収集し、その後、長距離無線送信端末にセンサー情報を集約し、長距離無線を経由して遠く離れた建物に設置されたデータサーバにセンサー情報を送信する。
上述のような長距離無線送信端末間を無線で送受信するための無線媒体は、個人若しくは、単独の企業団体でインフラを構築することは困難である。このため、携帯電話、PHS(登録商標:Personal Handy-Phone System )、若しくはWiMAX(登録商標:World interoperability for Microwave Access )など、大手通信事業者のインフラを用いることが多い。従って、長距離無線通信を使用する場合には、通信事業者のインフラを使用する対価として、通信費を支払う必要がある。そしてこの通信費は、無線送受信するセンサー情報の容量やセンシングの規模によっては、莫大な金額となる可能性がある。
次に、被計測対象が移動体である場合について以下に述べる。移動体としては、例えば、トラック等の物流用の車両や自動車などの道路上を移動する車両であり、センサーで取得する情報(センサー情報)としては、車両に搭載された各機器の状態、トラック等の車両に積積された貨物の状態などがある。なお、貨物は、本明細書では、魚介類を含む食品等の一般的な運送物から、家畜や動植物、人、等、積戴可能な、全てのものを指す。近年は、特に、食の安全に対する問題が注目されており、輸送中の食材の温湿度管理などの需要が高まっている。
また、さらに、下記のように、人及び動物自体を移動体とみなし、人や動物にセンサーを取り付けて、センサー情報を取得する場合についても、センサーネットワークシステムの利用分野として注目される。即ち、人(若しくは動物)自体も移動体であり、センサーで取得する情報としては、病院や福祉施設(若しくは動物園、動物病院)などでの人(若しくは動物)の体温、脈拍など健康管理への適用が考えられている。さらに、作業者の転倒監視等の作業安全管理、社内での就業監視等の労働監視が注目されている。
例えば、特許文献1若しくは特許文献2では、無線は使用せずにデータロガーを移動体に設置してセンサー情報をロガーに保存し、ある建物に到着した時点で、人手によって、保存されていた移動中のセンサー情報を収集している。また、特許文献3若しくは特許文献4では、携帯電話などの長距離無線通信システムを利用することによって、移動体に設置されたセンサー情報をリアルタイムで送信している。さらに特許文献5では、移動体に近距離無線通信手段とロガー手段を設け、移動中はセンサー情報をロガー機能によって保存し、ある建物に到着した時点で保存した情報を近距離無線通信手段を用いて送信している。
移動体の移動途中に、無線送受信システムのインフラが無い場合は、例えば、特許文献1若しくは特許文献2のように、移動中に取得したセンサー情報をデータロガーに保存する方法がある。
しかし、保存されていたセンサー情報を、移動後に人手によりロガーを取り外すか、若しくは、人手によって、その場で赤外線通信( IrDA :Infrared Data Association )などを備えたハンディ機器により一旦センサー情報を読み出して、さらにPCやワークステーションなどのデータサーバに接続し、センサー情報を書き込む作業が必要となる。さらには、そのセンサー情報をデータサーバに送信したり、SCADA( Supervisory Control And Data Acquisition )ソフトに表示するなどの処理をする必要があり、作業の時間が多くなるため、人件費としてコストもかかる。
また、特許文献3では、位置情報取得手段にGPSを用いているが、屋内では使用できない。このため、屋外を移動中の情報は取得できるが、建物に入った後にどの部屋にいるかなどの細かい情報を収集することができない。
しかし、特許文献5の例では、移動体をトラックに限定している。さらに、被計測対象をトラックに積載されるコンテナに限定しており、トラックの電源を利用してセンサーステーションを駆動している。このため、センサーステーションは外部電源を必要とし、トラックの中に常に設置しておく必要がある。また、被計測対象物(コンテナ)に設置されているセンサーとセンサーステーションとが分離していて、センサーに付随した無線機能でセンサーステーションにセンサー情報を送信している。このため、センサーが設置されている被計測対象物(コンテナ)がトラックから降ろされると、計測データ(センサー情報)をセンサーステーションに送信することができない。
無線LAN送受信部21は、データ送受信用の無線媒体であり、中央演算装置34に接続されている。また、無線LAN送受信部21は、無線LANアンテナ22を介して、電磁波によってセンサー情報等のデータの送信と他局からのデータを受信する。
デジタルセンサーとしては、例えば、UART( Universal Asynchronous Receiver Transmitter )、SPI( Serial Peripheral Interface )、I2C( Inter-Integrated Circuit )などで代表されるような、組み込み系マイコンで主に利用されているシリアル通信インターフェースを有したもので、中央演算装置34からのデータ取得要求にてセンサー情報を返すものや、電源を投入すると周期的にセンサー情報を自動で送出するものなどがある。中央演算装置34は、各センサー情報を入力し、各センサー情報に対して、それぞれ予め定められた処理を実行する。
中央演算装置34は、さらに、時刻取得部23を備え、無線LAN通信が有効であれば、中央演算装置34がNTP( Network Time Protocol )プロトコルにより無線LAN送受信部21を介して、一般的なNTPサーバへ時刻を問い合わせることによって、標準世界時を取得する。また、中央演算装置34は、GPS用衛星と通信可能であれば、前記GPS通信により、GPS衛星から得られるパケットに含まれる標準時刻を取得することもできる。しかし、別途GPSを稼動させる必要があり、無線送受信装置20全体の消費電力が高くなることと、無線LAN送受信部21は、データ送受信で必ず稼動するので、無線LAN通信が動作中は、NTPサーバによる時刻取得を優先するようにしても良い。
ここで、NTPプロトコルとは、ネットワークに接続される機器において、機器が持つ時計を正しい時刻へ同期するためのプロトコルである。またNTPサーバとは標準時刻を記録しているサーバであり、世界中のネットワーク上に点在しており、クライアント側からの時刻取得要求により、正確な時間を返信する。
中央演算装置34は、無線LANアクセスポイント設置エリア内において、無線LAN通信が使用できる場合には、定期的に、NTPサーバより標準世界時を取得する。GPS通信が有効であり、無線LAN通信が不可能である場合には、GPS衛星から得られるデータに含まれる時刻を取得可能であるが、無線LANアクセスポイント設置エリア外で、かつ無線LAN通信が不可能な場合であって、GPS通信も不可能な場所では、リアルタイムクロックに対する時刻取得要求によって時刻を取得する。
この記憶部29に保存されたれデータを参照すれば、移動体が、いつ、どこで、どのような状態であったかを無線LANを用いて無線送信が可能となる。
無線LANのアクセスポントは事務所や工場などはもちろん、家庭でも一家に1台は設置されている状況で、至る所でアクセスすることが可能である。
即ち、IEEE802.11に準拠した無線LANアクセスポイントであれば、標準的なプロトコルを用いて通信することが可能であるため、世界中どこにいても無線送受信装置からインターネットを通じてデータサーバにデータを送信し、一箇所で世界中から送信されるデータを監視することが可能となる。ここで、IP通信とは(インターネットプロトコル:Internet Protocol )の略であり、インターネットにおいて情報の伝達を行うプロトコルであり、インターネットの基礎部分となる重要な機能である。通常の近距離無線を使用して、センサー情報をインターネット上に送信するためには、携帯電話へ直接データを送信したり、IPパケットへの変換をする端末が必要となり、通信費、プログラムを作成する手間や、コストがかかる。無線LANを利用することによって、無線送受信装置が直接IP通信を行い、無線LANアクセスポイントと通信を行い、そのままインターネットにデータを送信することが可能であり、手間やコストが掛からない。
ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、微弱無線、等の近距離無線に関しては、その性質と用途に併せて限定的に使用されているが、無線LANのように汎用的に利用できるほど普及はしていない。このため、センサーネットワークを構築する際には、ユーザーがインフラを新たに敷設しなければならない。
上述の図1の実施例によれば、無線LANを利用することによって、インフラを敷設する手間とコストが削減でき、様々な場所に設置されている無線LANのアクセスポイントを通じて、インターネット上に直接データを送信することができる。
この時、それぞれの無線LANアクセスポイント40は、任意のSSID( Service Set IDentifier )、チャンネル、暗号キーを有しており、無線送受信装置20は、接続したい無線LANクセスポイント40の情報をそれぞれ登録しておく。無線LANアクセスポイント40は、建物90内で有線LANにて接続され、ローカルエリアネットワークを構築し、インターネット200に接続される。
一方、データサーバ61もインターネット200に接続されている。データサーバ61は、インターネット200に接続されていれば、図2のように建物90外であっても、当建物90内に設置してあっても良い。
無線LANアクセスポイント40への認証としては、前記したように無線送受信装置20は、接続したい無線LANアクセスポイント情報を予め登録しておき、定期的に無線LANアクセスポイント40をサーチするためのスキャンを実施し、その結果から無線LANアクセスポイント40のスキャン結果リストを作成し、スキャン結果リストと予め登録しておいた複数の無線LANアクセスポイント情報を比較して、登録してあった無線LANアクセスポイント情報と一致している無線LANアクセスポイント40にのみ認証接続処理を行う。
また、無線送受信装置20には、予めSSID、暗号キーが登録されている。このため、登録されている無線LANアクセスポイント40であれば、暗号化されている無線LANアクセスポイント40に対しても、暗号キーの交換を行い、認証することが可能である。
監視用端末71は、各データを任意に操作することによって、例えば、SCADA( Supervisory Control And Data Acquisition )ソフトにデータを取り込むことによって、データの監視や、機器の制御が可能となる。
これにより、携帯電話81を持っている人は、被計測対象11のセンサー情報を閲覧することや、異常な状態になった時の情報を即座に電子メールで受取ることが可能となる。
即ち、これによれば、無線送受信装置自身が直接SMTPプロトコルによって、PCや携帯電話へ電子メールを送信することができる。ここで、SMTPとは、(簡易メール転送プロトコル:Simple Mail Transfer Protocol )の略で、インターネットで電子メールを転送するプロトコルである。SMTPプロトコルを使用できないセンサーネットワークの場合、無線端末から一度データをメール送信用サーバに送り、メール送信用サーバが電子メールを送るため、手間やコストがかかる。移動体であるので、様々な建物に移動することが考えられ、ある特定のメール送信用サーバにデータを送ることなく、直接電子メールを送信することによって、メール送信用サーバを設置する手間が省け、コストも掛からない。
図3(a)は、建物90内を移動する移動体の軌跡(破線、矢印の向きが移動先を示す)と無線LANアクセスポイント40との関係を示す図である。即ち、図3(a)は、建物90内に、移動体である被計測対象11とそれに取り付けられた無線送受信装置20が存在し、建物90内を移動する場合を示したものである。図3(b)の表は、図3(a)の場所1でスキャンした結果の無線LANアクセスポイントリストであり、図3(c)の表は、図3(a)の場所2でスキャンした結果の無線LANアクセスポイントリストである。
なお、図3の実施例では、場所1には、アクセスポイント AP1 、AP3 、AP5 、及び AP7 が存在し、場所2には、アクセスポイント AP2 、AP4 、AP6 、及び AP8 が存在する。しかし、場所の数やそれぞれの場所内のアクセスポイントの数は、任意である。
この時、電波強度を表すRSSIに注目すると、アクセスポイント AP7 のRSSIが一番大きく、無線送受信装置20は、アクセスポイント AP7 の近くにいることが分かる。場所1の周囲の電波環境、構造、設置環境にも拠ってRSSIが変化する可能性もあるが、おおよそアクセスポイント AP7 の近くであるといった予測が可能である。
次に、場所1から場所2に移動した後にスキャンが実施する。その結果、アクセスポイント AP2 と AP4 が見つかり、それぞれのアクセスポイントについて、SSID、RSSI、MACアドレス、及びチャンネルのリストを作成する(図3(c))。
この時、電波強度を表すRSSIに注目すると、アクセスポイント AP2 のRSSIが一番大きく、無線送受信装置20は、アクセスポイント AP2 の近くにいることが分かる。
図4(a)及び図4(c)において、無線送受信装置20は、スキャンした結果からRSSIが一番大きい無線LANアクセスポイント40に認証及び接続し、その接続している無線LANアクセスポイントの情報(MACアドレス)をデータパケットに含めてデータサーバ61へ送信する。
この時、図4(b)に示すように、データサーバ61内には、無線送受信装置20内に登録されている無線LANアクセスポイント情報(図4(c))と同じ情報を共有しており、データサーバ61内で無線LANアクセスポイント情報と、無線LANアクセスポイントが設置してある場所情報を対応させておくことができる。
これにより、建物90内のどの無線LANアクセスポイントに接続しているかによって、無線送受信装置20が屋内に存在してGPSにより位置情報が取得できない場合でも、無線送受信装置20が建物90内の、どの部屋にいるかが把握できる。また、GPSにより位置情報が取得可能であっても、無線LANアクセスポイント範囲内であれば、GPSによる位置情報取得は行わない。従って、GPSの稼動による消費電力増大を防ぎ、GPSの欠点である建物の階の違いなどの高さ方向位置の取得が可能となる。
即ち、図4の実施例によれば、毎回全ての無線チャンネルをスキャンする必要が無く、無線送受信装置が存在する建物を判断した後であれば、必要なチャンネルだけスキャンすることによって、スキャン時間を短縮して消費電力を抑えることが可能となり、効率良く無線LANアクセスポイントの切り替えが可能となる。
また、実施例1によれば、GPS衛星と通信可能であれば、GPS衛星から位置情報を取得し、センサー情報と同時に取得することによって、どこで、どのような状態だったかを記録することが可能となる。また、無線LANアクセスポイント範囲内であれば、無線LANアクセスポイント範囲内を移動中の位置情報(どの部屋にいるか)を取得することができるため、GPSからの位置情報だけでなく、より詳細な位置情報を取得することができるため、細かなトレーサビリティが可能となる。
無線LAN送受信部21は、無線LANアクセスポイントと無線送受信ができない場合には、記憶部29に、センサー情報、位置情報、及び時刻情報を保存し、無線LANアクセスポイントに接続可能な状態になった時に、保存しておいたセンサー情報、位置情報、及び時刻情報を纏めて送信する。これによって、無線送受信装置20は、無線LANアクセスポイント範囲外に存在していた期間の様々な情報を、送信可能な無線送受信装置である。
図5は、図2の実施例に加えて、建物が、建物90−1と90−2と、各々離れた位置に2つあり、その間をトラック10で移動し、始めに一方の建物90−1内に無線送受信装置20が取り付けられた被計測対象11があり、その後、トラック内に無線送受信装置20が取り付けられた被計測対象11が載せられ、トラックはもう一方の建物90−2まで移動し、無線送受信装置20が取り付けられた被計測対象11を移動後の建物内で荷降ろしする場合の、移動体管理システムである。無線送受信装置20に設置されるセンサーは、例えば、温室度センサーや加速度センサーであり、積載物が、食品であれば、運送中に異常な温度にならなかったか否かを記録し、医薬品や割れ物であれば、運送中に大きな加速度を記録したか否かを記録することができ、インターネットを介して、データサーバに検出された時刻及び場所と共にデータを送信することができる。そして、監視局がデータサーバから、異常なデータを読み出すことによって移動体の監視を行うことが可能となる。
図5で示したように、各建物90−1及び90−2内でそれぞれ、無線LAN通信が可能であり、各無線LANアクセスポイント40は、インターネット200に接続されている。このように、各アクセスポイント40がインターネット200に接続されていれば、2以上の建物であっても良く、また、図示したような建物でなくとも、無線LANアクセスポイント40が設置でき、かつ、インターネットに接続できるような建物であれば、形状は問わない。
図6において、2つの建物90−1及び90−2それぞれに、アクセスポイント40がある場合には、無線送受信装置20は、それらから適切なアクセスポイントをRSSI等によって選択して、選択したアクセスポイントからインターネット200を介してデータサーバ61に、センサー情報、位置情報、及び時刻情報を送信する。それぞれの建物90−1若しくは90−2内の被計測対象11とアクセスポイントとの通信、及び、インターネット200を介したデータサーバ61間の通信については、図2若しくは図3で説明した動作と同様である。
図6(c)は、無線送受信装置20内に登録されている無線LANアクセスポイントリストであり、図6(b)は、データサーバ61内に登録されている無線LANアクセスポイントリストを示している。
図6(b)に表されたように、無線送受信装置20に登録されている無線LANアクセスポイントリストとしては、建物A90−1にはアクセスポイント AP-A1 〜 AP-A4 が設置され、建物B90−2にはアクセスポイント AP-B1 〜 AP-B4 が設置されている。これにより、スキャン結果リストと、予め登録しておいた複数の無線LANアクセスポイント40を比較して、接続したい無線LANアクセスポイント40が見つかれば、その結果を元に、無線送受信装置20がどの建物内に存在するかが分かる。
この時も、データサーバ61は、無線LANアクセスポイント情報と、無線LANアクセスポイントが設置してある場所情報に加えて、建物情報を対応させておく。図6では、場所情報として部屋の名前、建物情報として建物の名前が登録されており、アクセスポイント AP-B3 とは、建物Bの部屋3に設置されていると登録されていることから、無線送受信装置20は建物Bの部屋3に存在しているということが把握できる。
このように、無線送受信装置20から送られてくる無線LANアクセスポイント情報(MACアドレス)を元に、無線送受信装置20が屋内に存在してGPSにより位置情報が取得できない場合でも、無線送受信装置20が、どの建物の、どの部屋にいるかが把握できる。
このような場合は、中央演算装置34(図1参照)は、EEPROMである記憶部29に通信圏外であった時に取得したデータを保存する。例えばこの時、無線送受信装置20が屋外にあり、GPS衛星50と通信が可能であるため、位置取得(GPS)部24からの位置情報を取得可能である。従って、同時にリアルタイムクロック(時計機能部)28から取得した時刻情報をセンサー情報と同時に保存することによって、いつ、どこで、どのような状態であったかという情報を纏めて保存することができる。
上述のように、トラックの運送中の状態を記録することが可能となり、例えば積載物が食品であれば、移送中に異常な温度にならなかったかどうかを記録することによって、近年話題となっている食の安全に対する応用も考えられる。また、例えば積載物が医療品や割れ物など壊れやすいものであれば、加速度センサーにより、いつ、どこで転倒して壊れたかなどを記録することができる。
なお、無線LANアクセスポイント範囲外で、GPS用衛星と通信可能であれば、GPSから位置情報を取得する。
図7は、複数の建物が登録されているときの無線LANアクセスポイントのスキャン効率化を示したものである。通常、無線LANアクセスポイントのスキャンを行う場合は、IEEE802.11で規定されている全てのチャンネルでスキャンを行って、無線LANアクセスポイントのリストを作成するが、全てのチャンネルでスキャンを行うと、スキャン時間を多く費やし、消費電力の極めて大きい無線LANが稼動している時間が多くなるため、無線送受信装置の寿命が短くなる。
そこで、本実施例では、全てのチャンネルのスキャンを始めに実施し、どの建物にいるかを決定することにより、この問題を解決する。
建物Bについてスキャン(S73〜S74)した結果のアクセスポイントリストには、アクセスポイント B-Ap5 、B-Ap7 、B-Ap8 があり、図7(b)によれば、アクセスポイント B-Ap7 のRSSIが一番大きいため、アクセスポイント B-Ap7 という無線LANアクセスポイントに認証及び接続を行おうとする。
ここで、無線送受信装置に登録されているアクセスポイントリスト(図7(a))から、このアクセスポイント B-Ap7 無線送受信装置が建物Bに存在することが分かり、建物Bの全ての無線LANアクセスポイントはチャンネル1、6、11しか使用していないことが分かる。
従って、無線送受信装置が建物Bに存在している間は、チャンネル1、6、11のみスキャンすれば良いことになる。この結果、スキャン時間の短縮が図れ、無線送受信装置の寿命が長くなる。
このように、周期Xで定期的に全チャンネルをスキャンすることによって、被計測対象である移動体が存在する建物が変わった場合でも対応が可能である。例えば、無線送受信装置が他の建物に移動し、全チャンネルのスキャンを実施して、建物が変わったと判断した場合には、その変わった(移動)後の建物内で使用されている全チャンネルを、登録されている無線LANアクセスポイントリストの中から参照して、そのチャンネルのみのスキャンを周期Yで行うこととなる。
無線送受信装置を効率良く動作させるために、複数のタスクを設けているが、例えば、センサー情報、位置情報、時刻情報を取得する計測タスクと、スキャンを実施して認証・接続するスキャンタスクを設け、それぞれをリアルタイムOSが制御することによって、無駄なく無線LANアクセスポイントへの接続と、計測が可能となる。
この時、少なくとも1つ以上のデータが記憶部29に存在する場合には、処理S104にて、処理S101で取得した計測データと保存されていたデータ全てを含めてパケットを作成し、処理S105にて無線送信する。
処理S103にて記憶部29にデータが保存されていなかった場合には、処理S101で計測したデータを即座に処理S105にて無線送信する。この時、処理S106にて無線送信が成功したかどうかをチェックし、無線送信が失敗した場合には、記憶部29に送信するべきデータを全て保存する(処理S108)。また、処理S106にて無線送信が成功であったと判断すれば、そのままスタンバイ状態となる。
即ち、S108では、記憶部29にデータを保存する。
リアルタイムOSのスケジューリングにて、スキャンタスクがレディ状態からランニング状態になると、処理S201にてスキャンを実施する。
処理S202では、スキャンした結果の無線LANアクセスポイントと、無線送受信装置に登録してある無線LANアクセスポイントリストを比較して、一致した無線LANアクセスポイントが存在しなければ、処理S213に移行する。一致した無線LANアクセスポイントが存在した場合には、処理S203に移行する。
処理S203では、登録してある無線LANアクセスポイントリストと比較して、処理S204にてどの建物にいるかを決定する。
処理S206では、変化後の建物で使用している無線LANアクセスポイント情報を使用して、処理S207にて無線LANアクセスポイントリストを作成する。次に、処理S208にて無線LANアクセスポイントリストの中のRSSIを比較する。その後、処理S209にて、無線送受信装置が既に無線LANアクセスポイントに認証済みであるかを判断する。未認証であれば、処理S212に移行し、認証済みである場合には、処理S210に移行する。
次に処理S211にて、処理S208で比較した一番大きなRSSIを持っていた無線LANアクセスポイントが、認証中の無線LANアクセスポイントよりRSSIが小さかった場合は、処理S213にて即座にスタンバイ状態となる。
また、処理S212では、その新たな無線LANアクセスポイントと認証を行い、処理S213にてスタンバイ状態となる。
次に、スキャンタスクが起動する時は、この新たな無線LANアクセスポイントが認証中の無線LANアクセスポイントとなる。
倉庫90−3、製造工場90−4、および店舗90−5は、それぞれ、無線LANアクセスポイントが設置されたエリアである。倉庫90−3には、原材料が置いてあり、製造工場90−4は原材料を加工する工場である。そして、店舗90−5は加工された食品を並べて買い手を待っている状態である。また、フリースポット91は、公衆無線LANアクセスポイントサービスエリアを設けた建物である。
図10は、無線送受信装置20が取り付けられた被計測対象11を積載したトラック等の移動体10が、各建物間を運ぶ様子を表している。
なお、原材料、原材料の加工品、及び商品は、例えば、食品である。
フリースポットとは、公衆無線LANサービスの一例であり、FREESPOT協議会により定義された、無線LANアクセスポイントを設置した公共空間のことであり、至る所に設置されている。例えば、高速道路内のSS( Service Area )、PA( Parking Area )、道の駅、空港、自動販売機、図書館、観光案内所、ホテル、旅館、食堂、等、設置を希望したあらゆる場所に設けられている。
このように、町中に散りばめられたインフラを利用できることも、無線LANを利用することの大きなメリットであり、公衆無線LANサービスは、安価に簡便に本システムを構築するための手段となる。
なお、上記実施例では、公衆無線LANサービスとして、FREESPOT協議会により定義された、FREESPOTを使用し、無線LANアクセスポイントを設置した公共空間(駅や公共機関、宿泊施設、カフェ等の食堂)、及びそれを使った公衆無線LANを接続した。このような公衆無線LANアクセスポイントに認証をする場合、PCからはブラウザを開いて、人の手によりHTTPプロトコルによって認証を行うが、予め無線送受信装置にブラウザ上で入力するIDやパスワードを設定しておけば、自動でHTTPプロトコルにより認証を行うことが可能となり、公衆無線LANサービスの空間に入ると、自動でインターネットに接続することが可能となる。
この時のセンサーとしては、例えば体温を計測する体温センサーや、脈拍を計測する脈拍センサーなどが挙げられる。病人が病院90−6内にいる時は、常に体調を監視可能であり、病院90−6内にいることが分かるが、病人が外出すると無線LANアクセスポイント設置エリアから離れることになり、病院内にいないことが分かる。また、病人が外出から帰ってきて病院90−6内に戻ると無線LANアクセスポイント設置エリア内に入り、外出時の体調データを送信することによって、外出中の体調の様子を監視できる。
上記実施例によれば、養殖場の動物に取り付けておけば、健康状態を把握することができるため、病気の早期発見に繋がり、不要な感染や養殖数の減少等の事故を防ぐことができるため生産効率が向上する。そしてまた、健康管理を徹底することによって、より良質な食材を提供可能となる。
また、移動体は、移動できるものであれば、物ではなく人でも良く、生物であれば人ではなく動物でも良い。例えば、動物であれば、畜産業である牛などに取り付けて牛の体調管理をすることによって、質の良い牛を成育することにも繋がる。
そして、本発明の無線送受信装置の一実施形態は、移動しないで静置した状態でも稼動する。また、移動体に設置した場合において、移動体が移動している期間、静置している期間全てにおいて、移動体の状態、位置情報、及び時刻情報を取得可能である。
また、インターネットを通じて、無線送受信端末から直接データサーバに各情報を送信し、監視用端末で閲覧することによって、移動体に備わる被計測対象が、屋内、屋外問わずに、いつ、どこで、どのような状態であったかを把握することができる。
Claims (14)
- 1つまたは複数の情報を取得するセンサーと、位置情報取得部と、時刻取得部と、その時刻情報を記録する時計機能部と、無線LAN送受信部と、それぞれを制御する中央演算装置とを備えた無線送受信装置であって、前記センサー情報、前記位置情報、及び前記時刻情報を、無線LANアクセスポイントの範囲内において、定期的に無線送信することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項1に記載の無線送受信装置において、さらに書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリからなる記憶部を備え、
前記記憶部は、前記無線LANアクセスポイントの範囲外若しくは無線通信ができない場合には、前記センサー情報、前記位置情報、及び前記時刻情報を前記記憶部に蓄え、
前記中央演算装置は、前記無線LAN送受信部が前記無線LANアクセスポイントに接続可能な状態になった時に、前記無線LAN送受信部を介して前記記憶部に蓄えられた前記センサー情報、前記位置情報、及び前記時刻情報を送信するように制御することを特徴とする無線送受信装置。 - 請求項1若しくは請求項2のいずれかに記載の無線送受信装置において、前記中央演算装置の制御によって、前記位置情報取得部はGPSであり、GPS用衛星と通信可能で前記無線LANアクセスポイントの範囲外であれば前記GPSから位置情報を取得し、前記無線LANアクセスポイントの範囲内であれば前記GPS用衛星と通信可能であっても前記GPSからの位置情報は取得せずに、前記無線LANアクセスポイントから定期的に発せられる信号をスキャンし、その強度が一番大きな無線LANアクセスポイントに認証及び接続し、該接続した無線LANアクセスポイント情報を取得し、前記センサー情報、前記位置情報、及び前記時刻情報をデータパケットに含めてデータサーバへ送信し、該データサーバは、予め無線LANアクセスポント情報とアクセスポイントが設置されている位置情報を対応させておくことによって、前記GPSからの位置情報に加えて、より詳細な位置情報を取得することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の無線送受信装置において、前記中央演算装置は、前記認証のための無線LANアクセスポイントの情報として、SSID、MACアドレス、暗号キー、無線チャンネル、及び設置されている建物情報を予めリストに登録しておき、始めに、前記無線LAN送受信部による全チャンネルのスキャン結果から、無線送受信装置が存在する建物を把握し、次回からは、前記把握した建物に設置してある無線LANアクセスポイントで使用しているチャンネルだけスキャンすることを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項1乃至請求項4のいずれか1つにに記載の無線送受信装置において、前記中央演算装置はリアルタイムOSを備え、無線機能のタスクと無線機能以外のタスクを設け、無線機能を使用しない場合には前記無線機能以外のタスクを定期的に呼び出し、無線機能を使用する時は前記無線機能のタスクが定期的に呼び出すことを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項3乃至請求項5のいずれか1つに記載の無線送受信装置において、前記時刻取得部は、前記中央演算装置の制御により、前記無線送受信装置自体がNTPプロトコルを使用し、前記GPS用衛星と通信可能で無線LANアクセスポイント範囲外であれば前記位置情報取得部は、GPSから時刻情報を取得し、前記無線LANアクセスポイント範囲内であれば前記GPS用衛星と通信可能であってもGPSの時刻情報は取得せずに、NTPプロトコルによりNTPサーバから協定世界時を取得し、それぞれ取得した時刻情報を前記時計機能に記録し、無線送受信装置がGPS用衛星と通信不可能で無線LANアクセスポイント範囲外である場合に、無線送受信装置は前記時計機能から時刻情報を取得することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項1乃至請求項6に記載の無線送受信装置において、前記無線LAN送受信部は、前記中央演算装置の制御により、IP通信を行うことによって、汎用的に使用されている無線LANアクセスポイントと無線通信し、インターネットを介してデータサーバにデータを送信することによって、前記センサー情報、前記位置情報、及び前記時刻情報を監視することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の無線送受信装置において、前記無線LAN送受信部は、前記中央演算装置の制御により、SMTPプロトコルを使用することによって、メール送信用サーバを介さずに、前記センサー情報、前記位置情報、前記時刻情報、及びアラームを、携帯電話やパソコンへ直接電子メールを送信することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の無線送受信装置において、前記中央演算装置は、公衆無線LANアクセスポントに対して、予め公衆無線LANアクセスポイントのSSID、MACアドレス、暗号キー、及び無線チャンネルを登録しておき、それらの情報に加えて、HTTPプロトコルを使用して認証をするために必要なID及びパスワードも登録し、前記無線LAN送受信部を制御して、前記公衆無線LANアクセスポイント範囲内であれば、自動で認証及び接続することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の無線送受信装置において、前記無線送受信装置が移動体に設置され、該移動体は前記センサーの被計測対象であり、前記移動体から取得したセンサー情報、位置情報、及び時刻情報を送信することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項9に記載の無線送受信装置において、前記移動体は物流用の車両であり、前記センサーは、前記車両内の積載物に取り付けられる温湿度センサーや加速度センサーであり、輸送中の積載物の状態を監視することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項10に記載の無線送受信装置において、前記移動体は人であり、前記センサーは人の体温を計測する体温センサー、若しくは、脈拍を計測する脈拍センサーであり、前記人の状態を監視することを特徴とする無線送受信装置。
- 請求項10に記載の無線送受信装置において、前記移動体は動物であり、前記センサーは、前記動物の体温を計測する体温センサー、若しくは、脈拍を計測する脈拍センサーであり、前記動物の状態を監視することを特徴とする無線送受信装置。
- インターネットに接続されたデータサーバと、移動体に設置され前記インターネットに接続された無線送受信装置と、前記インターネットに接続された監視端末とを備えた移動体管理システムであって、
前記データサーバはASP(Application Service Provider)として、前記監視端末から閲覧可能であり、
前記無線送受信装置は、1つまたは複数の情報を取得するセンサーと、位置情報取得部と、時刻取得部と、その時刻情報を記録する時計機能部と、無線LAN送受信部と、それぞれを制御する中央演算装置とを備えた無線送受信装置であって、前記センサー情報、前記位置情報、及び前記時刻情報を、無線LANアクセスポイントの範囲内において、前記データサーバに定期的に無線送信することを特徴とする移動体管理システム。
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