以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(実施形態1)
本発明の実施形態における紙幣などの紙葉類を収納する紙葉類収納装置(以下、収納装置と記す)1の構造について図面を参照して説明する。図1は収納装置1を模式的に示す平面図、図2は収納装置1を模式的に示す側面図、図3は収納装置1を模式的に示す正面図であり、図4は収納装置1において紙幣2が収納されている状態を模式的に示す側面図である。また、図5および図6は収納装置1のプレス板6と駆動部8との連結を説明するための図である。なお、図1〜図4では、説明を容易にするために、互いに交差するx方向、y方向、z方向も示している。
収納装置1は、受け入れた紙幣を内部で一時的に保持する保持体である枠体3と、枠体3を挟むように形成され、紙幣が収納される収納室4、5と、を有している。図1〜図3では、紙幣が収納されていないので、収納室4、5は形成されていないように図示されているが、図4では、紙幣2が収容されて収納室4、5が形成されている。
また、収納装置1は、枠体3の内部を通過して収納室4、5内をx方向に往復直線運動が可能であり、紙幣を押圧する押圧体であるプレス板6と、プレス板6の運動を監視する監視部7と、プレス板6を往復直線運動させるためにプレス板6を駆動する駆動部8と、を有している。また、収納装置1は、プレス板6と駆動部8とを連結するスライダ16を有している。このスライダ16はフレームに固定されたガイドレール17上で直線運動する。すなわち、プレス板6はスライダ16と固定して接続されて一体となり、ガイドレール17上で直線運動する機構を有している。
さらに、収納装置1は、枠体3に紙幣を送り込むローラ部11を有している。また、収納装置1は、バネなどの付勢部材12、13により枠体3側に向かって押圧力が作用する可動押圧部である受板14、15を有している。なお、受板14、15はスライダと一体となり、ガイドレール上で直線運動する機構を有している。
収納装置1を構成する部材について、まず枠体3を詳細に説明する。枠体3は、紙幣を受け入れる受入口3aを有している。この受入口3aを通過して、ローラ部11によって紙幣の長さ方向(y方向)で送り込まれてきた紙幣が枠体3の内部で保持される。また、枠体3は、受け入れた紙幣を紙幣の幅方向(z方向)の対辺で係止する係止部3b、3cを有している。この係止部3b、3cには、枠体3に送り込まれてきた紙幣の対辺を係止するために凹部が形成されている。これにより、枠体3に送り込まれてきた紙幣を、係止部3b、3cのそれぞれの凹部間で受け入れ、枠体3の内部で保持することができる。
次に収納室4、5を詳細に説明する。収納室4は、枠体3の外枠と受板14との間に形成されている。この収納室4では、収納された紙幣2が受板14の押圧力によって枠体3側に詰めて収納される。また、収納室5は、枠体3の外枠と受板15との間に形成されている。この収納室5では、収納された紙幣2が受板15の押圧力によって枠体3側に詰めて収納される。
付勢部材12、13による押圧力が作用する受板14、15と枠体3の外枠とによって、紙幣2が押圧されるようにして収納室4、5に収納される。受板14、15によって収納室4、5の1壁面を構成しているので紙幣2をスムーズにガイドして収納することができる。
次にプレス板6を図1、図6を参照して詳細に説明する。プレス板6は、紙幣を押圧する押圧面(yz面)を有する板であり、枠体3の受入口3a側の一端部が図1に示すように平面視で約紡錘形に形成されており、中央部、他端部側が平行平板となっている。すなわち、プレス板6は、板厚方向(x方向)の厚さが受入口3aに向かって徐々に薄くなっている。
プレス板6の一端部が紡錘形でない(例えば、板厚が同じ)場合、ローラ部11によって送り込まれてきた紙幣は、その一端部で遮られるように衝突してしまうため、充分な受入空間を確保するには、プレス板6全体を受入空間の外側に退避する必要がある。すると収納室や収納室の構成部もその退避量に準じて後退させる必要があり装置全体が大きくなる。プレス板6の板厚を薄く構成する考え方もあるが、強度を十分えるには肉厚の材料を使うか、硬化処理等が必要になる。そこで、本実施形態では、図1および図6に示すように、プレス板6の一端部を薄板の組み合わせによる紡錘形とすることで、プレス板6の信頼性強度を持ちながら、受入空間を広く一定かつ正確にガイドすることができる最適な構成となったので、スムーズに紙幣を枠体3に受け入れることができる。
また、収納室4、5間の距離が一定の場合、プレス板6の中央部、他端部を一端部より厚くすると、主に押圧面を構成する面として、プレス板6の中央部、他端部が収納室4、5側に接近するので、収納工程におけるプレス板6の移動距離を短縮することができる。すなわち、プレス板6の動作時間を短縮することができる。
次に駆動部8を詳細に説明する。駆動部8は、駆動モータ21により回転され、xz面内の回転方向と交差する方向(y方向)に突起するカムピン22が形成されている円形状のカム23と、プレス板6の運動方向(x方向)と交差する方向(z方向)に延びる長穴24aを有するカム受動体24と、を有している。これにより、駆動部8は、長穴24aにカムピン22が係合してカム23の回転運動を、カム受動体24を介して押圧体6の往復直線運動に変換するものである。また、この駆動部8により、プレス板6の往復直線運動は、カム23の一回転でプレス板6が一往復し、収納室4または5への紙葉類の収納動作は、カム23の1/2回転で完了することとなる。
前述した従来技術における第1収納室のみの構成では、完全にホームポジションで停止するまで後続する紙幣の受入を許可できないので、高速搬送においては受入の制限により停滞が頻繁に発生する。第1、第2収納室を持つ従来技術における押圧体の往復動作は第1収納室と第2収納室との間を往復運動して1サイクルとしており、収納装置1におけるプレス板6(押圧体)の動作は前記のとおりその1/2の距離を移動した時を1サイクルとしているので、もし両者の運動量と速度が同じと仮定すれば、収納装置1では、プレス板6の動作時間が1/2に短縮されたことととなり、動作時間の短縮による効果は高くなる。
このような構成によって、収納装置1の稼働率を向上することができる。また、この収納装置1は、動作時間が短縮されるので、例えばベルトコンベア方式のような紙葉類搬送装置より高速搬送が可能な空気流による紙葉類搬送装置に対応することができる。
次に監視部7を詳細に説明する。監視部7は、カム23に形成された検知箇所部(検知箇所26a、26b)と、この検知箇所部を検知する検知センサ部(検知センサS1、S2)とを有して、プレス板6の運動を駆動部8で監視するものである。駆動部8がプレス板6から受ける慣性モーメントの影響は少なく、駆動モータ21の停止と同時に駆動部8も停止するような、均衡が取れているものである。この場合、監視部7は、駆動源である駆動モータ21に、より近いところで制御することで組立(構成)をコンパクトとすることができる。
検知センサ部を構成する検知センサS1、S2は、対向する2つの壁面の一方に発光部と他方に受光部が設けられ、その壁面をコの字状に一体化された透過型光センサである。また、検知箇所部を構成する検知箇所26a、26bは、1つの透過型光センサの光が透過する透過部としてカム23の回転上に、カム23を切り欠いたように形成されている。このカム23の検知箇所26a、26b(切り欠き部)を、コの字状部で跨ぐように透過型光センサが設けられている。なお、本実施形態では、検知箇所26a、26bを切り欠き部に形成しているが、光センサの透過光が透過できれば、例えば丸孔等どのような形状でもよい。
本実施形態における透過型光センサを用いた検知センサS1、S2では、カム23の検知箇所26a、26bで光が透過した状態をON(明)状態とし、検知箇所26a、26b以外のカム23で光が遮られた状態をOFF(暗)状態としている。
なお、プレス板6の運動を監視(検知)する監視部7は、例えば、プレス板6のスライド部分や、プレス板6そのものの位置検知でも良く、プレス板6の停止位置の精度をさらに高める必要があるときは、その停止位置を直接監視することもできる。
ここで、監視部7、駆動部8を中心に収納装置1の動作について図面を参照して説明する。図7(a)〜(d)、図8(a)〜(b)はカム23の回転に伴う検知センサS1、S2と検知箇所26a、26bとの位置関係を示す説明図である。また、図9〜図18は収納装置1の動作時の状態を示す説明図であり、それぞれの(a)は収納装置1の平面、(b)は収納装置1の側面を示している。
監視部7の検知箇所部は、カム23の回転上に設けられた一組の検知箇所26a、26bを有している。また、監視部7の検知センサ部は、カム23の回転上の検知箇所26a、26bを検知すべく設けられた、一組の検知センサS1、S2を有している。一組の検知箇所26a、26bの配置、一組の検知センサS1、S2の配置、および検知箇所26a、26bに対応する検知センサS1、S2が検知する相対位置は、以下により決定される。
一組の検知箇所26a、26bまたは一組の検知センサS1、S2のいずれか一方の一組をカム23の回転中心に対して対称に配置するとき、他方の一組をカム23の回転中心に対して対称の位置からずらして配置している。本実施形態では、一組の検知箇所26a、26bをカム23の回転中心に対して対称に配置し、他方の一組の検知センサS1、S2をカム23の回転中心に対して対称の位置からずらしている。また、検知センサS1、S2の内のいずれか一方が、検知箇所26a、26bの内のいずれか一方を先に検知し、検知センサS1、S2の内の他方が遅れて検知箇所26a、26bの内の他方を検知しつつ、検知センサS1、S2が同時に検知箇所26a、26bのいずれかを相互に検知可能な範囲内にあるようにしている。これから、一組の検知箇所26a、26bの配置、一組の検知センサS1、S2の配置、およびそれらの相対位置が決定される。
ここで、検知センサS1、S2は、互いの位置関係においてカム23の円周上に配置されるが、回転中心に対して互いの離間角が180°の対称の位置になく(同一の直径方向上にはなく)、例えば対称の位置から4〜5°程度ずれて設けられている。この数値は一例を示すもので、収納装置1の各駆動部分の大きさと重量による慣性や駆動部含む回転部分の慣性モーメント等によって異なり、また、取付け方法や取付け位置によっては全く設定値が異なるので、それらに応じて適宜設定されるものである。
このように、検知センサS1、S2を、互いとの関係でカム23の回転中心に対して対称の位置(同一の直径方向上)からずらして設けることによって、検知センサ部として、検知箇所部(検知箇所26a、26b)を検知する時間に差をつけることができる。なお、本実施形態ではセンサを対称位置からずらしているが、検知箇所を対称位置からずらしてもよく、相対的位置をずらすことをいうものであり、必要に応じて適宜設定すればよい。
このような構造のため、監視部7、駆動部8は、以下に示すような動作をすることができる。まず、図7(a)では、ポジションP1として、カム23の正回転駆動により検知センサS1が検知箇所26aを検知する瞬間のOFF(暗)からON(明)となった状態を示している。ここでは、検知センサS2が検知箇所26bを未だ検知していない。
続いて、図7(b)では、ポジションP2として、ポジションP1から更にカム23の正回転駆動により検知センサS2が検知箇所26bを検知する瞬間のOFFからONとなった状態を示している。ここでは、検知センサS1が検知箇所26aを検知し続けている状態で、検知センサS2が検知箇所26bを検知している。
検知センサS1、S2は、互いの位置関係においてカム23の回転中心に対して対称の位置(同一の直径方向上)にはなく、例えば対称の位置から4〜5°程度ずれて設けられている。このため、検知センサS1がON状態となった後、検知センサS2がON状態となるまでのカム23の回転角度が4〜5°程度に設定されていることとなる。
本実施形態では、駆動モータ21の駆動を停止する信号(駆動停止信号)が出されて、カム23の停止動作が開始することとなる。駆動モータ21においては、回転速度と負荷荷重のバランスを取っているので、駆動停止信号により、駆動モータ21は瞬時に停止することができる。なお、駆動モータ21の高速回転停止後の各回転部分の惰性によるオーバー回転防止のため、検知センサS1の検知によって、駆動モータ21の回転速度を落とし、検知センサS2の検知によって、確実にその位置に駆動モータ21を停止することもできる。また、回転速度と負荷荷重のバランスについては、駆動モータ21として歯車等による減速機構つきギャードモータ等を使用すれば負荷荷重が大きなものにも対応が可能となる。
このように監視部7は、2つの検知センサS1、S2の一方の検知センサS1が2つの検知箇所26a、26bの一方の検知箇所26aを検知した瞬間には、図7(a)に示したように、2つの検知センサS1、S2の他方の検知センサS2が2つの検知箇所26a、26bの他方の検知箇所26bを検知しない。その一方で監視部7は、2つの検知センサS1、S2の他方の検知センサS2が2つの検知箇所26a、26bの他方の検知箇所26bを検知した瞬間には、図7(b)に示したように、2つの検知センサS1、S2の一方の検知センサS1が2つの検知箇所26a、26bの一方の検知箇所26aも検知するものである。なお、カム23の回転により、検知センサS1が検知箇所26bを検知した後、検知センサS2が検知箇所26aを検知する場合も同様である。
続いて、図7(c)、図9(a)、図9(b)では、ポジションP0として、駆動停止信号が出された後、ポジションP2からカム23がわずかに進んで停止した状態を示している。ここでは、検知センサS1が検知箇所26aを検知すると共に、検知センサS2が検知箇所26bを検知している状態である。このポジションP0は、収納室4に紙幣2を収納するためのプレス板6の定位置(ホームポジションPh1)となる。
このホームポジションPh1は、プレス板6の収納室5側の押圧面が収納室5に近接するように、プレス板6が枠体3の内部で停止可能な位置となっている。このようにプレス板6がホームポジションPh1の状態においては、プレス板6の収納室4側の押圧面と、収納室4とで囲まれた領域に、収納室4で収納される紙幣を保持する第1の保持部31が形成されている。
さらに、図7(d)、図10(a)、図10(b)では、カム23がポジションP0から180°回転した状態を示しており、収納室5に紙幣2を収納するためのプレス板6の定位置(ホームポジションPh2)となる。ここでは、検知センサS1が検知箇所26bを検知すると共に、検知センサS2が検知箇所26aを検知している状態である。
このホームポジションPh2は、プレス板6の収納室4側の押圧面が収納室4に近接するように、プレス板6が枠体3の内部で停止可能な位置となっている。このようにプレス板6がホームポジションPh2の状態においては、プレス板6の収納室5側の押圧面と、収納室5とで囲まれた領域に、収納室5で収納される紙幣を保持する第2の保持部32が形成されている。
このように、本実施形態における収納装置1では、プレス板6の往復直線運動の中心位置を対称に第1および第2のホームポジションPh1、Ph2を有することとなる。言い換えると、検知センサS1が検知箇所26aの検知と同時に、検知センサS2が検知箇所26bを検知した位置を、第1または第2のホームポジションPh1、Ph2としている。
また、収納装置1は、枠体3の保持部31で保持されている紙幣を収納室4へ収納するに際して、プレス板6がホームポジションPh1(図9参照)からホームポジションPh2の位置を越えて収納室4にプレス板6を移動させた後(図11参照)、ホームポジションPh2(図10参照)にプレス板6を配置する第1収納機能を有している。なお、図11では、プレス板6は収納室4側でプレスエンドの状態である。
また、収納装置1は、枠体3の保持部32で保持されている紙幣を収納室5へ収納するに際して、プレス板6がホームポジションPh2(図10参照)からホームポジションPh1の位置を越えて収納室5にプレス板6を移動させた後(図12参照)、ホームポジションPh1(図9参照)にプレス板6を配置する第2収納機能を有している。なお、図12では、プレス板6は収納室5側でプレスエンドの状態である。
このため、収納室4、5への紙幣の収納動作は、第1のホームポジションPh1から、第2のホームポジションPh2まで、またその逆の間において、カム23の1/2回転で完了することができる。収納装置1の運転開始時においては、初期化動作により、常に同じ回転を与えてホームポジショニング動作を行っているので、運転中に異常動作がなければ、収納動作はカム23の1/2回転で完了することとなる。
また、第1収納機能と第2収納機能とを連続して交互に行わせることができる。すなわち、第1収納機能が行われることによって収納室4への紙幣の収納が終了する前に、終端センサ147(図24、図25参照)の検知により、受入口3aより紙幣を受入れ枠体3の保持部32に紙幣が保持されているときには、プレス板6はホームポジションPh2で停止することなく、第2収納機能が行われる。また、第2収納機能が行われることによって収納室5への紙幣の収納が終了する前に、終端センサ147(図24、図25参照)の検知により、受入口3aより紙幣を受入れ枠体3の保持部31に紙幣が保持されているときには、プレス板6はホームポジションPh1で停止することなく、第1収納機能が行われる。これら第1および第2収納機能は、監視部7および終端センサ147の検知情報によって制御することができる。
なお、紙幣2の収納動作において、カム23を180°正転、逆転とすることで、収納室4、5の一方のみに選択的に収納することもできる。逆転の替わりに正転を続けても、カム23が回転する時間は同じである。
前述した従来技術における第1収納室のみの構成では、完全にホームポジションで停止するまで後続する紙幣の受入を許可できないので、高速搬送においては受入の制限により停滞が頻繁に発生する。第1、第2収納室を持つ従来技術の収納装置における収納動作の1サイクルは、押圧体が第1収納室と第2収納室との間を往復する動作となるが、本実施形態の収納装置1における収納動作の1サイクルは従来技術の1/2の動作距離を1サイクルとしており、第1収納室に収納完了または第2収納室に収納完了してそれぞれのホームポジションに戻るプレス板6(押圧体)の動作となる。もし両者の第1収納室と第2収納室との間の往復に要する運動距離と速度が同じと仮定すれば、本実施形態の収納装置1では、プレス板6の動作時間が1/2に短縮されたことととなり、動作時間の短縮による効果は高くなる。したがって、収納装置1の稼働率を向上することができる。従来技術による紙幣1枚当たりの平均回収時間を100とした場合、収納装置1における収納動作ではほぼ50に短縮できる。
続いて、収納室4、5に紙幣2が収納された状態で、さらに紙幣2を収納する収納装置1の動作について説明する。収納室4に紙幣2が収納される場合、まず、図13では、プレス板6が第1のホームポジションの位置において、枠体3(保持部31)の内部に紙幣2が保持されている状態を示している。次いで、図14では、収納室4側へ紙幣2がプレス板6によって押圧されて移動される状態を示している。次いで、図15では、プレス板6の収納室4側への移動が最大(プレスエンドの状態)となって、収納室4に紙幣2が収納される状態を示している。次いで、保持部32に紙幣2が存在しない場合には、第2のホームポジションの位置でプレス板6が停止する(図16参照)。このとき、紙幣2は受板14の押圧力により受板14と枠体3に挟まれる状態で枠体3側に詰めて収納されている。同じように収納室5側にも紙幣2が収納されている。
図14、図15に示す状態では、紙幣2が保持される保持部32が形成されており、後続紙幣が受入可能な状態となっている。これにより、紙幣2の連続収納が可能となり、収納室4側へプレス開始後、枠体3の受入口3aから枠体3へ導入可能な保持部32が形成された瞬間以降、随時受入可能となっている。保持部32に紙幣2が存在するときは、第2のホームポジションでプレス板6の停止動作をスキップしてプレス板6を往復動作させて、紙幣2を収納室5に収納し、更に後続紙幣2が保持部31に存在するときは、紙幣2を収納室4に収納というように交互に収納することとなる。
収納室5に紙幣2が収納される場合、まず、図16では、プレス板6が第2のホームポジションに位置において、枠体3(保持部32)の内部に紙幣2が保持されている状態を示している。図17では、収納室5側へ紙幣2がプレス板6によって押圧されて移動される状態を示している。次いで、図18では、プレス板6の収納室5側への移動が最大(プレスエンドの状態)となって、収納室5に紙幣2が収納される状態を示している。なお、図17、図18に示す状態では、後続紙幣が枠体3(保持部31)に受入可能な状態となっている。
ところで、通常、カム23は駆動モータ21によって回転するものであるが、収納装置1の稼働中(運転中)の異常動作または異常操作によってカム23が回転してしまう場合がある。ここで、異常動作または異常操作とは、その原因の多くは、エラー処理または紙幣2の回収処理等で、人の手によりプレス板6の位置を移動させることにより、カム23が回転させられることや、ホームポジションに停止後、何らかの原因で、枠体3の保持部31、32の入口付近で紙幣2の詰まり等の発生により、紙幣2の待機中(受入待ち状態中)にホームポジションがずれてしまうこと等で、その他にも、何らかの収納異常動作や予期しない抗力が発生しホームポジションがずれることである。
ホームポジションがずれた状態で次の動作に移ると紙幣2が正常に収納できなくなってしまう。例えば、収納の前にプレス板6によって保持部31、32が形成されず枠体3の受入口3aが閉められた状態となり、ローラ部11側から搬送されてきた紙幣2は行き場を失い、その場で詰まってしまう。そこで、本実施形態における収納装置1の監視部7では、この異常動作に対する処理を施すために、検知センサS1、S2を互いの位置関係においてカム23の回転中心に対して対称の位置(同一の直径方向上)ではなく、ずらして設けている。
まず、収納装置1の正常動作では、カム23(駆動モータ21)は、正回転するよう設定されている。例えば、図7(c)に示したように、検知センサS1がON状態のまま、検知センサS2がON状態となると駆動モータ21は停止され、カム23と連結されているプレス板6はホームポジションPh1で紙幣2の受入を待機する状態となる。この状態では、検知センサS1、S2共にON状態を保つように設定されている。
次に、監視部7が、異常動作を監視する場合について説明する。例えば、監視部7は、駆動部8が動作していないにも関わらず、図7(c)に示すホームポジションPh1から、図8(a)に示すポジションP3となることにより、カム23が正回転側に動いたことを検知することができる。このポジションP3は、検知センサS2が検知箇所26bを検知したまま、検知センサS1が検知箇所26aを検知しなくなった状態である。
次いで、監視部7は、駆動部8が動作していないにも関わらず、図8(b)に示すようにポジションP4となることにより、ポジションP3の位置から更に正回転側に動いたことを検知することができる。このポジションP4は、検知センサS1が検知箇所26aを検知しないまま、検知センサS2が検知箇所26bを検知しなくなった瞬間の状態である。
すなわち、カム23が図7(c)で示した位置から180°回転しておらず、異常動作によってカム23が正回転した状態であると判断することができる。このような状態では、収納装置1は、駆動部8の駆動モータ21に逆転信号を出力して制御することによって、検知センサS2をON状態とし、その状態のまま検知センサS1をON状態となったときに、駆動モータ21を停止させる。これにより、元のホームポジションPh1に戻すことができる。
なお、図7(c)のポジションP0の状態から、駆動部8が動作していないにも関わらず、カム23が逆回転側に動いた状態のときは、ポジションP2からポジションP1の方向、すなわち検知センサS2に続いて検知センサS1の順で検知されなくなる。このような状態では前述した逆の制御によって、駆動モータ21を正回転させることで、元のホームポジションPh1に戻すことができる。
このように本実施形態では、異常動作によって生じる第1または第2のホームポジションPh1、Ph2からのずれを監視部7で監視し、そのずれに対して、第1または第2のホームポジションPh1、Ph2となるような補正処理(初期化)を行った状態で紙幣の収納動作を開始している。したがって、紙幣2はスムーズに、かつ損傷無く収納することができ、収納室4、5への連続収納が可能となる。
更に、本実施形態では、異常動作があった場合でも、収納動作が確実にホームポジションPh1、Ph2から開始されるので、紙幣の正確かつ確実な収納と、従来技術と異なり、ホームポジションPh1、Ph2に停止することなく連続動作を繰り返し、収納室4、5への高速連続収納が可能となり、従来技術による紙幣1枚当たりの平均回収時間を100に対して、40程度とすることができる(逆算すると処理量が2.5倍に増加している)。このように、本実施形態における収納装置1では、稼働率を向上するができる。
また、収納室4、5を例えば第1収納室、第2収納室と呼んだとしても、カム23の位置をホームポジション(初期化)にした状態でスタートするので、どちらかを選択して初期化する必要はない。プレス板6が収納室4、5のどちら側にあるかによらず、初期化されて交互に収納を開始することになる。なお、例えば、紙幣2を回収した終業時に停止した位置から初期化において最低半回転以上動作させる場合もあるが、収納装置1では、プレス板6の初期位置(就業時の位置)は変化することもある。
また、後述の実施形態において説明するが、空気流によって紙葉類が搬送される紙葉類搬送装置に収納装置1を適用することができる。この場合、紙葉類搬送装置の管路内数量は例えば一般的管路全長(総延長25m程度まで)に適用して一定時間内(2〜3秒以内)に停滞無く連続搬送に最適な5枚で制御されているので、紙葉類に間隔がない状態の連続到達が2枚まではあっても3枚以上連続することは少ないため、見かけ上、収納装置1以外の例えば分離装置、矯正装置の駆動モータを一時的に停止させる制限はほぼ解消され、かつ連続収納動作をスムーズに行うことができる。
また、本実施形態における収納装置1では、紙幣(紙葉類)の種類別に関係なく、種別混在したまま交互に収納することができる。このため、空気流によって紙幣などの紙葉類が搬送される紙葉類搬送装置のような、混在が許容される装置に収納装置1は適用することができる。
また、収納装置1に少なくとも検知箇所を1箇所と検知センサを1個増設することによって、収納装置1の状態が第1のホームポジションPh1か、第2のホームポジションPh2か判断することができる。この場合における収納装置1のカム23の回転に伴う検知センサS3と検知箇所27との位置関係を図27に示す。図27では、監視部7の検知箇所部が、検知箇所26a、26bとは異なるカム23の回転上に設けられた検知箇所27を有し、監視部7の検知センサ部が、検知センサS1、S2とは異なるカム23の回転上に設けられた検知センサS3を有している。
具体的には、カム23の検知箇所26aから反時計方向に約45°回転した位置に長孔の検知箇所27(切り欠きであっても良い)を1箇所設け、その対応する位置に検知センサS3を1個設置する。検知センサS1、S2が検知すると共に増設した検知センサS3が検知しているときは、第1のホームポジションPh1にあることが判断できる。また、検知センサS1、S2が検知すると共に増設した検知センサS3が検知していないときは、第2のホームポジションPh2に有ると判断できる。このため、検知箇所27は、検知センサS3とS1または検知センサS3とS2が同時に検知される長さを超えない範囲で長孔としてよく、検知箇所26a、26bよりも検知領域が広いものとしている。
ここでは、増設する検知箇所27をカム23上に設置する例を示したが、実際に設置する位置は、検知できる位置であれば、カム23上の設置位置角度や設置場所を問わない。例えば、プレス板6の運動範囲内の適切な位置に適宜設置してもよい。つまり、第1、第2のホームポジションPh1またはPh2のいずれかに対応する位置を検知できるように、検知箇所と検知センサが少なくとも1対有ればよい。
このように検知箇所27と検知センサS3を対で増設した収納装置1と、紙幣識別装置を組み合わせることによって、紙幣2を金種の種類別に収納することもできる。例えば、千円札とそれ以外の札に分類する場合、収納室4に千円札を収納し、収納室5に千円札以外の札を収納することができる。また、2セットの収納装置1を用いた場合、4金種を分類することができ、例えば千円札、二千円札、五千円札、一万円札に分類することができる。さらに、2セットの収納装置1を用いた場合、多数収納される可能性のある紙幣、例えば千円札のように1セットの両側を使用し、残りの1セットの片側を一万円札、反対側を二千円札と五千円札の混在とするなど種々の組み合わせとすることもできる。
(実施形態2)
前記実施形態1の収納装置では、検知箇所部として2つの検知箇所を設け、その検知箇所部を検知する検知センサ部として2つの検知センサを用いた場合について説明した。本実施形態の収納装置では、検知箇所部として2つの検知箇所を設け、その検知箇所部を検知する検知センサ部として1つの検知センサを用いた場合について説明する。なお、その他の収納装置の構成は、前記実施形態1の収納装置と同様であり、その重複する説明は省略する場合がある。
図19(a)〜(c)は本実施形態における駆動部8を構成するカム23の回転に伴う、1つの検知センサS1と、2つの検知箇所26a、26bとの位置関係を示す説明図である。図19に示すように、監視部7の検知センサ部が、カム23の回転上の位置に設けられた検知センサS1(透過型光センサ)を有している。
また、監視部7では、検知箇所部を構成する検知箇所26a、26bは、それぞれがカム23の中心に対して対称となるようにその回転上に設けられている。言い換えると、監視部7の検知箇所部が、カム23の回転上に設けられた検知箇所26aと、検知箇所26aに対して180°回転したカム23の回転上に設けられた検知箇所26bと、を有している。検知箇所26a、26bは、互いとの関係ではカム23の同一の直径方向上に設けられている。
本実施形態における監視部7、駆動部8は、以下のような動作をすることができる。まず、図19(a)では、カム23の正回転駆動により検知センサS1が検知箇所26aを検知する瞬間のOFF(暗)からON(明)となった状態を示している。本実施形態では、検知センサS1が検知箇所26aを検知した状態を、第1のホームポジションとしている。例えば、プレス板6が第1のホームポジションの状態において枠体3に紙幣2が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣2はプレス板6の運動により収納室4に収納されることとなる(図13〜図15参照)。
次いで、図19(b)では、更なるカム23の正回転駆動により、検知センサS1がOFFとなった状態を示している。次いで、図19(c)では、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS1が検知箇所26bを検知する瞬間のOFF(暗)からON(明)となった状態を示している。本実施形態では、検知センサS1が検知箇所26bを検知した状態を、第2のホームポジションとしている。例えば、プレス板6が第2のホームポジションの状態において枠体3に紙幣2が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣2はプレス板6の運動により収納室5に収納されることとなる(図16〜図18参照)。
このようにして第1、第2のホームポジションを設定することによって、監視部7でプレス板6が第1、第2のいずれかのホームポジションにいることを判断することができる。
また、前記実施形態1(図27参照)と同様に、本実施形態における収納装置1にプレス板6を検知する箇所として、少なくとも1箇所の検知箇所と検知センサを適切な位置に増設すれば、第1、第2のホームポジションを把握することができる。すなわち、検知箇所26a、26bとは異なるカム23の回転上に検知箇所を増設し、また、検知センサS1とは異なるカム23の回転上に検知センサを増設する。このとき、検知箇所26aを検知センサS1が検知すると共に、増設した検知箇所を検知センサが検知するときは、第1のホームポジションであると判断する。また、検知箇所26bを検知センサS1が検知すると共に、増設した検知箇所を検知センサが検知しないときは、第2のホームポジションであると判断する。これから、収納室4または収納室5を選択して紙幣2を収納することができる。
また、収納動作を第1または第2のホームポジションから開始することで、プレス板6の往復直線運動は、カム23の一回転でプレス板6が一往復し、収納室4、5への紙葉類の収納動作は、カム23の1/2回転で完了することができる。このため、前記実施形態1でも説明したように、本実施形態における収納装置1では従来技術の1/2の動作距離で1サイクルの収納動作としている。したがって、収納装置1の稼働率を向上することができる。
(実施形態3)
前記実施形態1では、検知箇所部として2つの検知箇所を設け、その検知箇所部を検知する検知センサ部として2つの検知センサを用いた場合について説明した。本実施形態の収納装置では、検知箇所部として1つの検知箇所を設け、その検知箇所部を検知する検知センサ部として2つの検知センサを用いた場合について説明する。なお、その他の収納装置の構成は、前記実施形態1の収納装置と同様であり、その重複する説明は省略する場合がある。
図20(a)〜(c)は本実施形態における駆動部8を構成するカム23の回転に伴う、2つの検知センサS1、S2と、1つの検知箇所26aとの位置関係を示す説明図である。図20に示すように、監視部7の検知センサ部は、カム23の回転上に設けられた検知センサS1と、検知センサS1に対して180°回転したカム23の回転上に設けられた検知センサS2と、を有している。また、監視部7の検知箇所部は、カム23の回転上に設けられた検知箇所26aを有している。
本実施形態における監視部7、駆動部8は、以下のような動作をすることができる。まず、図20(a)では、カム23の正回転駆動により、検知センサS2がOFF(暗)のまま、検知センサS1が検知箇所26aを検知する瞬間のOFF(暗)からON(明)となった状態を示している。本実施形態では、検知センサS1が検知箇所26aを検知した状態を、第1のホームポジションとしている。例えば、プレス板6が第1のホームポジションの状態で枠体3に紙幣2が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣2はプレス板6により収納室4に収納される(図13〜図15参照)。
次いで、図20(b)では、更なるカム23の正回転駆動により、検知センサS2がOFFのまま、検知センサS1がOFFとなった状態を示している。次いで、図20(c)では、更なるカム23の正回転駆動により、検知センサS1がOFFのまま、検知センサS2が検知箇所26aを検知する瞬間のOFF(暗)からON(明)となった状態を示している。本実施形態では、検知センサS2が検知箇所26bを検知した状態を、第2のホームポジションとしている。例えば、プレス板6が第2のホームポジションの状態で枠体3に紙幣2が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣2はプレス板6により収納室5に収納されることとなる(図16〜図18参照)。
このようにして第1、第2のホームポジションを設定することによって、監視部7でプレス板6がどちらのホームポジションにいるか判断することができる。また、収納装置1の動作中の第1、第2のホームポジションを把握することができるので、収納室4または収納室5を選択して紙幣2を収納することができる。
また、収納動作を第1または第2のホームポジションから開始することで、プレス板6の往復直線運動は、カム23の一回転でプレス板6が一往復し、収納室4、5への紙葉類の収納動作は、カム23の1/2回転で完了することができる。このため、前記実施形態1でも説明したように、本実施形態における収納装置1では従来技術の1/2の動作距離で1サイクルの収納動作としている。したがって、収納装置1の稼働率を向上することができる。
(実施形態4)
前記実施形態1の収納装置では、検知箇所部として離間する2つの検知箇所を設け、その検知箇所部を検知する検知センサ部として離間する2つの検知センサを用いた場合について説明した。本実施形態の収納装置では、検知箇所部として離間する2つの検知箇所を設け、その検知箇所部を検知する検知センサ部として隣接する2つの検知センサを用いた場合について説明する。なお、その他の収納装置の構成は、前記実施形態1の収納装置と同様であり、その重複する説明は省略する場合がある。
図21(a)〜(d)は本実施形態における駆動部8を構成するカム23の回転に伴う、2つの検知センサS1、S2と、2つの検知箇所26c、26dとの位置関係を示す説明図である。図21に示すように、監視部7の検知センサ部が、カム23の回転上に隣接して設けられた2つの検知センサS1、S2を有している。
また、監視部7では、検知箇所部を構成する検知箇所26c、26dは、それぞれがカム23の中心に対して対称となるようにその回転上に設けられている。言い換えると、監視部7の検知箇所部は、カム23の回転上に設けられた検知箇所26cと、検知箇所26cに対して180°回転したカム23の回転上に設けられた検知箇所26dと、を有している。検知箇所26c、26dは、互いとの関係ではカム23の同一の直径方向上に設けられている。この検知箇所26c、26dは、2つの透過型光センサ(検知センサS1、S2)の光が透過する透過部としてカム23の回転上に、カム23を切り欠いたように形成されている。
本実施形態における監視部7、駆動部8は、以下のような動作をすることができる。まず、図21(a)では、カム23の正回転駆動により、検知センサS2がOFF(暗)のまま、検知センサS1が検知箇所26cを検知する瞬間のOFF(暗)からON(明)となった状態を示している。
次いで、図21(b)では、更にカム23の正回転駆動により、検知センサS1がONのまま、検知センサS2が検知箇所26cを検知する瞬間のOFF(暗)からON(明)となった状態を示している。すなわち、検知センサS1が検知箇所26cを検知した後、時間差をもって検知センサS2が検知箇所26cを検知することとなる。本実施形態では、検知センサS1および検知センサS2が共に検知箇所26cを検知した状態を、第1のホームポジションとしている。例えば、プレス板6が第1のホームポジションの状態で枠体3に紙幣2が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣2はプレス板6により収納室4に収納される(図13〜図15参照)。
次いで、図21(c)では、更にカム23の正回転駆動により、検知センサS2がONのまま、検知センサS1が検知箇所26cを検知しなくなる瞬間のONからOFFとなった状態を示している。次いで、図21(d)では、更にカム23の正回転駆動により、検知センサS1および検知センサS2が共に検知箇所26dを検知した状態を、第2のホームポジションとしている。例えば、プレス板6が第2のホームポジションの状態で枠体3に紙幣2が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣2はプレス板6により収納室5に収納されることとなる(図16〜図18参照)。
このようにして第1、第2のホームポジションを設定することによって、監視部7でプレス板6が第1、第2のいずれかのホームポジションにいることを判断することができる。また、前記実施形態1と同様に、本実施形態における収納装置1にプレス板6を検知する箇所を、少なくとも1箇所の検知箇所と検知センサを適切な位置に増設すれば、第1、第2のホームポジションを把握することができるので、収納室4または収納室5を選択して紙幣2を収納することができる。
また、収納動作を第1または第2のホームポジションから開始することで、プレス板6の往復直線運動は、カム23の一回転でプレス板6が一往復し、収納室4、5への紙葉類の収納動作は、カム23の1/2回転で完了することができる。このため、前記実施形態1でも説明したように、本実施形態における収納装置1では従来技術の1/2の動作距離で1サイクルの収納動作としている。したがって、収納装置1の稼働率を向上することができる。
次に、監視部7が、異常動作を監視する場合について説明する。例えば、監視部7は、駆動部8が動作していないにも関わらず、図21(b)に示す第1のホームポジションから、図21(c)に示すように、カム23が正回転側に動いたことを検知することができる。すなわち、異常動作によってカム23が正回転した状態であると判断することができる。このような状態では、収納装置1は、駆動部8の駆動モータ21に逆転信号を出力して制御することによって、検知センサS2がONのまま、検知センサS1もONとなったときに、駆動モータ21を停止させる。これにより、元の第1のホームポジションに戻すことができる。
また、例えば、監視部7は、駆動部8が動作していないにも関わらず、図21(b)に示す第1のホームポジションから、図21(a)に示すように、カム23が逆回転側に動いたことを検知することができる。すなわち、異常動作によってカム23が逆回転した状態であると判断することができる。このような状態では、収納装置1は、駆動部8の駆動モータ21に正回転信号を出力して制御することによって、検知センサS1がONのまま、検知センサS2もONとなったときに、駆動モータ21を停止させる。これにより、元の第1のホームポジションに戻すことができる。
このように、本実施形態では、異常動作によって生じるホームポジションからのずれを監視部7で監視し、そのずれに対してホームポジションとなるような補正制御(初期化)を行った状態で紙幣の収納動作を開始している。したがって、紙幣は損傷無く収納することができるとともに、収納装置1の稼働率をより向上することができる。
また、前記実施形態1(図27参照)と同様に、本実施形態における収納装置1にプレス板6を検知する箇所として、少なくとも1箇所の検知箇所と検知センサを適切な位置に増設すれば、第1、第2のホームポジションを把握することができる。すなわち、検知箇所26c、26dとは異なるカム23の回転上に検知箇所を増設し、また、検知センサS1、S2とは異なるカム23の回転上に検知センサを増設する。このとき、検知箇所26cを検知センサS1および検知センサS2が検知すると共に、増設した検知箇所を検知センサが検知するときは、第1のホームポジションであると判断する。また、検知箇所26dを検知センサS1および検知センサS2が検知すると共に、増設した検知箇所を検知センサが検知しないときは、第2のホームポジションであると判断する。これから、収納室4または収納室5を選択して紙幣2を収納することができる。
(実施形態5)
押圧体(プレス板)の運動を監視する監視部が有する検知センサ部と検知箇所部を、前記実施形態1では駆動部のカムの回転上に設けた場合について説明したが、本実施形態では押圧体が往復直線運動を行うに際し該押圧体と同期して往復直線運動を行う部材の運動経路上に設けた場合について説明する。なお、その他の収納装置の構成は、前記実施形態1の収納装置と同様であり、その重複する説明は省略する場合がある。
図30〜図33は、収納装置1における検知センサS1、S2と検知箇所26a、26bとの位置関係を示す説明図である。これら図30〜図33に示すように、監視部7は、プレス板6(押圧体)が往復直線運動を行うに際しプレス板6と同期して往復直線運動を行うスライダ16(部材)の運動経路上に設けられた検知箇所26a、26bと、この検知箇所26a、26bを検知する検知センサS1、S2とを有している。
監視部7の検知箇所部は、スライダ16の往復直線運動の方向とは交差する方向の同一直線上で設けられた2個の検知箇所26a、26bを有している。本実施形態では、検知箇所26a、26bは例えばスライダ16と固定接続された板であってスライダ16から上下に突出して設けられている。このため、検知箇所26a、26bは、それぞれがスライダ16を挟んで対称となるように設けられていることとなる。
また、監視部7の検知センサ部は、スライダ16の往復直線運動の方向とは交差する方向の同一直線上から互いにずれた位置に設けられた2個の検知センサS1、S2を有している。本実施形態では、検知センサS1、S2は例えば収納装置1の筐体で固定接続された透過型光センサである。また、検知センサS1が検知箇所26aを、検知センサS2が検知箇所26bを検知するものである。このため、検知センサS1、S2は、それぞれがスライダ16を挟んで対称となるように設けられていることとなる。
本実施形態における監視部7、駆動部8は、以下のような動作をすることができる。まず、図30では、カム23の正回転駆動により検知センサS1が先に検知箇所26aを検知してOFF(暗)となり、検知センサS2が遅れて検知箇所26bを検知してOFF(暗)となりつつ、検知センサS1、S2が同時にOFF状態となる(検知している)。
本実施形態では、このように構成された検知センサS1、S2が同時に検知する状態を第1のホームポジションPh1としている。その後、例えば、プレス板6が第1のホームポジションPh1の状態において枠体3に紙幣が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣はプレス板6の運動により収納室4に収納されることとなる。
続いて、図31では、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS1が先に検知箇所26aを検知しなくなってON(明)となり、検知センサS2が遅れて検知箇所26bを検知しなくなってON(明)となり、プレス板6は収納室4側でプレスエンドの状態となる。
続いて、図32では、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS2が先に検知箇所26bを検知してOFF(暗)となり、検知センサS1が遅れて検知箇所26aを検知してOFF(暗)となりつつ、検知センサS1、S2が同時にOFF状態となる(検知している)。
本実施形態では、このように構成された検知センサS1、S2が同時に検知する状態を第2のホームポジションPh2としている。その後、例えば、プレス板6が第2のホームポジションの状態において枠体3に紙幣が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣はプレス板6の運動により収納室5に収納されることとなる。
続いて、図33では、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS2が先に検知箇所26bを検知しなくなってON(明)となり、検知センサS1が遅れて検知箇所26aを検知しなくなってON(明)となり、プレス板6は収納室5側でプレスエンドの状態となる。
このようにして第1、第2のホームポジションPh1、Ph2を設定することによって、監視部7でプレス板6が第1、第2のいずれかのホームポジションにいることを判断することができる。また、収納装置1の動作中の第1、第2のホームポジションを把握することができるので、収納室4または収納室5を選択して紙幣を収納することができる。
また、収納動作を第1または第2のホームポジションから開始することで、プレス板6の往復直線運動は、カム23の一回転でプレス板6が一往復し、収納室4、5への紙葉類の収納動作は、カム23の1/2回転で完了することができる。このため、前記実施形態1でも説明したように、本実施形態における収納装置1では従来技術の1/2の動作距離で1サイクルの収納動作としている。すなわち、収納装置1の稼働率を向上することができる。
なお、本実施形態では、スライダ16の運動経路上に、監視部7が有する検知センサS1、S2および検知箇所26a、26bを設けた場合について説明したが、プレス板6の運動経路上に、検知センサS1、S2および検知箇所26a、26bを設けても、同様に収納装置1の稼働率を向上することができる。スライダ16にプレス板6が固定接続され一体となっているからである。
(実施形態6)
前記実施形態5では、検知箇所部として2つの検知箇所を設け、その検知箇所部を検知する検知センサ部として2つの検知センサを用いた場合について説明した。本実施形態の収納装置では、検知箇所部として1つの検知箇所を設け、その検知箇所部を検知する検知センサ部として2つの検知センサを用いた場合について説明する。なお、その他の収納装置の構成は、前記実施形態5の収納装置と同様であり、その重複する説明は省略する場合がある。
図34〜図35は、収納装置1における検知センサS1、S2と検知箇所26aとの位置関係を示す説明図である。これら図34〜図35に示すように、監視部7は、プレス板6(押圧体)が往復直線運動を行うに際しプレス板6と同期して往復直線運動を行うスライダ16(部材)の運動経路上に設けられた検知箇所26aと、この検知箇所26aを検知する検知センサS1、S2とを有している。
監視部7の検知箇所部は、スライダ16の往復直線運動の方向とは交差する方向で設けられた1個の検知箇所26aを有している。本実施形態では、検知箇所26aは例えばスライダ16と固定接続された板であってスライダ16から下方へ突出して設けられている。
また、監視部7の検知センサ部は、スライダ16の往復直線運動の方向とは交差する方向の同一直線上から互いにずれた位置に隣接して設けられた2個の検知センサS1、S2を有している。本実施形態では、検知センサS1、S2は例えば収納装置1の筐体で固定接続された透過型光センサである。また、検知センサS1、S2が検知箇所26aを検知するものである。
本実施形態における監視部7、駆動部8は、以下のような動作をすることができる。なお、図34、図35では図30〜図33で示したような駆動部8を省略して示している。
まず、図34では、カム23の正回転駆動により検知センサS1が先に検知箇所26aを検知してOFF(暗)となる。このとき検知センサS2は、検知センサS1と隣接しているため、検知箇所26aを検知せずON(明)のままである。本実施形態では、このように構成された検知センサS1、S2が共にONの状態から、検知センサS1がOFFの状態となったときを第1のホームポジションPh1としている。その後、例えば、プレス板6が第1のホームポジションPh1の状態において枠体3に紙幣が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣はプレス板6の運動により収納室4に収納されることとなる。
次いで、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS1が検知箇所26aを検知しなくなってONになると同時に検知センサS2がOFFとなり、図35に示すように、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS1、S2共に検知箇所26aを検知しなくなってOFFとなりプレス板6は収納室4側でプレスエンドの状態となる。
続いて、図示しないが、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS2が先に検知箇所26aを検知してOFF(暗)となる。このとき検知センサS1は、検知センサS2と隣接しているため、検知箇所26aを検知せずON(明)のままである。本実施形態では、このように構成された検知センサS1、S2が共にONの状態から、検知センサS2がOFFの状態となったときを第2のホームポジションPh2としている。その後、例えば、プレス板6が第2のホームポジションPh2の状態において枠体3に紙幣が保持されている場合に、カム23が正回転することによって、その紙幣はプレス板6の運動により収納室5に収納されることとなる。
次いで、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS2が検知箇所26aを検知しなくなってOFFになると同時に検知センサS1がONとなり、更なるカム23の正回転駆動により検知センサS1、S2共に検知箇所26aを検知しなくなってOFFとなりプレス板6は収納室5側でプレスエンドの状態となる。
このようにして第1、第2のホームポジションPh1、Ph2を設定することによって、監視部7でプレス板6が第1、第2のいずれかのホームポジションにいることを判断することができる。また、収納装置1の動作中の第1、第2のホームポジションを把握することができるので、収納室4または収納室5を選択して紙幣を収納することができる。
また、収納動作を第1または第2のホームポジションから開始することで、プレス板6の往復直線運動は、カム23の一回転でプレス板6が一往復し、収納室4、5への紙葉類の収納動作は、カム23の1/2回転で完了することができる。このため、前記実施形態1でも説明したように、本実施形態における収納装置1では従来技術の1/2の動作距離で1サイクルの収納動作としている。すなわち、収納装置1の稼働率を向上することができる。
(実施形態7)
これまでの前記実施形態で説明したように、監視部は、押圧体、または押圧体が往復直線運動を行うに際し押圧体と同期して往復直線運動を行う部材、の運動経路上に、あるいはカムの回転上に、設けられた検知箇所部と検知箇所部を検知する検知センサ部を有している。本実施形態では、検知箇所部と検知センサ部の配置について説明する。なお、前記実施形態と重複する説明は省略する場合がある。
図36〜図39は、押圧体の運動を監視するにあたり、検知箇所部と検知センサ部から得られた情報をパターン化して示す表である。図36の表は、図7、図8に示した監視部によるものであり、検知箇所部が2個の検知箇所26a、26bを有し、検知センサ部が2個の検知センサS1、S2を有している。また、図37の表は、図20に示した監視部によるものであり、検知箇所部が1個の検知箇所26aを有し、検知センサ部が2個の検知センサS1、S2を有している。また、図38の表は、図30〜図33に示した監視部によるものであり、検知箇所部が2個の検知箇所26a、26bを有し、検知センサ部が2個の検知センサS1、S2を有している。また、図39の表は、図34、図35に示した監視部によるものであり、検知箇所部が1個の検知箇所26aを有し、検知センサ部が2個の検知センサS1、S2を有している。このように、本実施形態では、監視部は検知箇所部が1個以上の検知箇所を有し、検知センサ部が2個以上の検知センサを有する場合について説明する。
ここで、図36〜図39に示す表中の記号について説明する。表中のS1、S2は第1、第2の検知センサを示している。このS1、S2が示す「1」は検知センサがON(明)状態を示し、「0」は検知センサがOFF(暗)状態を示すように符号化している。また、表中のポイントにおいて、Ph1、Ph2は第1、第2のホームポジションを示し、U1、U2は第1、第2収納室のプレス完了方向変換ポイント(プレスエンド)を示す。また、表中のプレス移動方向において、紙面左方向に向かう矢印は第1収納室方向に動作(通過を含む)を示し、紙面右方向に向かう矢印は第2収納室方向に動作(通過を含む)を示している。さらに、ポイントがPh1、Ph2のときにはプレス移動方向とともに動作起点または終了点を示し、U1、U2のときにはプレス移動方向とともに第1収納室または第2収納室方向に方向転換点を示している。
図36の表では、図7、図8に示した監視部において、押圧体が往復直線運動を行うときの、検知箇所26a、26bを検知可能な各検知センサS1、S2の検知、非検知を符号化している。図36の表では、検知センサは、ON状態のときに検知箇所を検知、一方OFF状態のときに検知箇所を非検知としている。
図36の表に示すように、パターン変換点の1〜13において、各検知センサS1、S2を、任意に並べた順列を規定順とし、この規定順に並べた符号列を各動作位置におけるパターン単位としている。なお、以下では、パターン単位は、検知センサS1、S2の符合列を(*、*)として示し、*は「1」か「0」となる。例えば、パターン変換点1では符合列(1、1)、パターン変換点2では符合列(0、1)を示している。
図36の表において、第1のホームポジションPh1を検知する際には、検知前では符合列(1、0)、検知段階では符合列(1、1)、検知後では符合列(0、1)の各パターン単位で形成する連続パターンとなる。また、第2のホームポジションPh2を検知する際には、検知前では符合列(1、0)、検知段階では符合列(1、1)、検知後では符合列(0、1)の各パターン単位で形成する連続パターンとなる。
図36の表に示すように、ホームポジションPh1、Ph2を検知する際の、検知前、検知段階、検知後から構成される連続パターンは同じある。したがって、この連続パターンから、押圧体(プレス板6)がホームポジションであることを判定することができる。但し、ホームポジションPh1またはPh2のどちらかに位置するかを判定することはできない。なお、図36の表は、図7、図8に示した検知箇所部と検知センサ部から得られた情報をパターン化したものであるが、このような表を得ることができる検知箇所と検知センサが配置されれば、図7、図8に示したような監視部でなくても良い。
図37の表では、図20に示した監視部において、押圧体が往復直線運動を行うときの、検知箇所26aを検知可能な各検知センサS1、S2の検知、非検知を符号化している。図37の表では、検知センサは、ON(明)状態のときに検知箇所を検知、一方OFF(暗)状態のときに検知箇所を非検知としている。
図37の表において、第1のホームポジションPh1を検知する際には、検知前では符合列(0、0)、検知段階では符合列(1、0)、検知後では符合列(0、0)の各パターン単位で形成する連続パターンとなる。また、第2のホームポジションPh2を検知する際には、検知前では符合列(0、0)、検知段階では符合列(0、1)、検知後では符合列(0、0)の各パターン単位で形成する連続パターンとなる。
図37の表に示すように、ホームポジションPh1、Ph2を検知する際の、検知前、検知段階、検知後から構成される連続パターンは異なる。したがって、この連続パターンから、押圧体(プレス板6)がホームポジションであることを判定することができる。さらに、ホームポジションPh1またはPh2のどちらかに位置するかを判定することもできる。なお、図37の表は、図20に示した検知箇所部と検知センサ部から得られた情報をパターン化したものであるが、このような表を得ることができる検知箇所と検知センサが配置されれば、図20に示したような監視部でなくても良い。
図38の表では、図30〜図33に示した監視部において、押圧体(プレス板6)が往復直線運動を行うときの、検知箇所26a、26bを検知可能な各検知センサS1、S2の検知、非検知を符号化している。図38の表では、検知センサは、OFF(暗)状態のときに検知箇所を検知、一方ON(明)状態のときに検知箇所を非検知としている。
図38の表において、第1のホームポジションPh1を検知する際には、検知前では符合列(0、1)、検知段階では符合列(0、0)、検知後では符合列(1、0)の各パターン単位で形成する連続パターンとなる。また、第2のホームポジションPh2を検知する際には、検知前では符合列(1、0)、検知段階では符合列(0、0)、検知後では符合列(0、1)の各パターン単位で形成する連続パターンとなる。
図38の表に示すように、ホームポジションPh1、Ph2を検知する際の、検知前、検知段階、検知後から構成される連続パターンは異なる。したがって、この連続パターンから、押圧体(プレス板6)がホームポジションであることを判定することができる。さらに、ホームポジションPh1またはPh2のどちらかに位置するかを判定することもできる。なお、図38の表は、図30〜図33に示した検知箇所部と検知センサ部から得られた情報をパターン化したものであるが、このような表を得ることができる検知箇所と検知センサが配置されれば、図30〜図33に示したような監視部でなくても良い。
図39の表では、図34、図35に示した監視部において、押圧体(プレス板6)が往復直線運動を行うときの、検知箇所26aを検知可能な各検知センサS1、S2の検知、非検知を符号化している。図39の表では、検知センサは、OFF(暗)状態のときに検知箇所を検知、一方ON(明)状態のときに検知箇所を非検知としている。
図39の表において、第1のホームポジションPh1を検知する際には、検知前では符合列(1、1)、検知段階では符合列(0、1)、検知後では符合列(1、1)の各パターン単位で形成する連続パターンとなる。また、第2のホームポジションPh2を検知する際には、検知前では符合列(1、1)、検知段階では符合列(1、0)、検知後では符合列(1、1)の各パターン単位で形成する連続パターンとなる。
図39の表に示すように、ホームポジションPh1、Ph2を検知する際の、検知前、検知段階、検知後から構成される連続パターンは異なる。したがって、この連続パターンから、押圧体(プレス板6)がホームポジションであることを判定することができる。さらに、ホームポジションPh1またはPh2のどちらかに位置するかを判定することもできる。なお、図39の表は、図34、図35に示した検知箇所部と検知センサ部から得られた情報をパターン化したものであるが、このような表を得ることができる検知箇所と検知センサが配置されれば、図34、図35に示したような監視部でなくても良い。
なお、本実施形態では、ホームポジションPh1、Ph2を検知する際の、検知前、検知段階、検知後の各センサの検知、非検知を各段階毎(各ポイント毎)の符号列とし、各段階の符号列を並べて構成される連続パターンとしている。そして、ホームポジションPh1とホームポジションPh2における、連続パターンの変化により押圧体(プレス板6)がホームポジションであることを判定している。さらに、ホームポジションPh1とホームポジションPh2における、連続パターンの変化が異なることで、ホームポジションPh1またはPh2のどちらかに位置するかを判定している、ところに、特徴があり、前記連続パターンの変化や連続パターンの変化が異なることを利用した構成を用いるなら、検知箇所の数や設置位置さらに検知センサの数や設置位置については、本実施形態で示した形態に限らず、適宜行うことができる。
(実施形態8)
本発明の実施形態では、前記実施形態で説明した収納装置1を、空気流によって紙葉類を搬送する紙葉類搬送装置101に適用した場合について説明する。図22は紙葉類搬送装置101の構成を示す模式図であり、図23は紙葉類搬送装置1の配線系統を示す説明図である。なお、本願における紙葉類搬送方法および紙葉類搬送装置については、特許第4130697号(特許文献1)に詳細に説明がされている。
まず、本実施形態における紙葉類搬送装置101の全体構成について説明する。図22に示すように、紙葉類搬送装置101では、例えばブロワー等の空気流発生装置130で発生した空気流が、送出管131、連結管132、搬送管110、回収装置140、戻り管133を介して循環するように構成されている。この循環路を構成するために搬送管110にはU字状に曲げられた曲折部110aが形成されている。また、搬送管110の適所では、搬送管110内へ紙幣2を送り込む投入装置120が複数設置されている。空気流発生装置130、送出管131、連結管132、戻り管133および回収装置140は、例えば筐体149内に設置され、搬送管110および投入装置120は、筐体149外に設置されている。
投入装置120は、送り込み手前側に設置される紙幣識別装置121と、奥側に設置され、搬送管110と連結された曲げ装置122とを有している。投入装置120を構成する曲げ装置122は、紙幣2の搬送方向先端部の平面部2aに対して、搬送方向後端部にジグザグ状の変形部2b(屈曲部となっている)を形成するものである。この変形部2bに、搬送管110内を流れる空気流(図22中、矢印で示す)からの風圧が作用し、紙幣2は搬送管110内で搬送される。
また、回収装置140は、搬送管110の終端部側から搬送順に設置された分離装置150、矯正装置170、および収納装置1を含んで構成される。このうち、分離装置150は、搬送管110内を搬送されてきた紙幣2と、紙幣2に推進力を与えてきた空気流とを分離し、矯正装置170へ紙幣2を送り出すものである。また、矯正装置170は、分離装置150から送り出されてきた紙幣2の変形部2bを矯正するものである。また、収納装置1は、分離装置150によって空気流と分離された紙幣2を、矯正装置170を介して変形部2bの変形を矯正して伸びた状態(平坦となった状態)で収納するものである。
このように、紙葉類搬送装置101は、空気流によって紙葉類が搬送される搬送管110と、紙幣2の後端部に変形部2bを形成して搬送管110内へ紙幣2を送り込む投入装置120と、紙幣2の変形部2bに風圧を作用させて紙幣2を搬送管110内に空気流を生じさせる空気流発生装置30と、搬送管110の終端部に設置され、搬送管110内を搬送されてくる紙幣2を回収する回収装置140とを備えている。さらに、紙葉類搬送装置101は、投入装置120および回収装置140など装置全体を制御する制御装置180を筐体149内に備えている(図23参照)。このような紙葉類搬送装置101では、紙幣2が投入される投入装置120から搬送管110、分離装置150、矯正装置170、収納装置1の順で搬送路が形成されており、紙幣2がこの搬送路で搬送される。
制御装置180は、図23に示すように、ループ通信線125を介して投入装置120と、通信線181を介して紙葉類搬送装置101の各種状態を表示する表示装置183と、通信線182を介して回収装置140と電気的に接続されている。このように、紙葉類搬送装置101では制御装置180を中心に投入装置120などの装置、紙葉類検知センサなどを含む配線系統内に構築されている。制御装置180は、配線系統を介して投入装置120などの装置を制御する制御機能を有している。なお、本願では紙葉類検知センサがON状態とは、紙幣2が検知されている状態をいい、OFF状態とはその逆の状態をいう。
投入装置120の制御部123には、投入装置120に紙幣2が投入されたことを検知する入口センサ126と、投入装置120が接続された搬送管110の部位で、搬送管110内に送り込まれた紙幣2を検知し、また紙幣2の滞留状態を検知する出口センサ127と、曲げ装置122の送り込みモータ128と、紙幣識別装置121の制御部129とが電気的に接続されている。また、表示装置183は、正常稼働状態や紙幣2の詰まりが検出されたときなどのエラー状態のときに点灯する表示灯(例えばLED)や警告する警報器、表示装置用リセットボタン、表示装置用電源スイッチなどを有している。
次に、前記実施形態1〜4のいずれかの収納装置1を備えた回収装置140について図24〜図26を参照して説明する。なお、図24では回収装置140において搬送される紙幣2を上方から示し、図25では回収装置140において搬送される紙幣2を側方から示し、図26では分離装置150において搬送される紙幣2を上方から示している。
図24に示すように、回収装置140は、搬送管110内を搬送されてきた紙幣2と空気流とを分離する分離装置150と、分離装置150によって空気流と分離された紙幣2の変形部2bを矯正する矯正装置170と、分離装置150によって空気流と分離され、矯正装置170によって矯正された紙幣2を収納する収納装置1とを有している。
また、回収装置140の部位には、回収装置140内に搬送されてきた紙幣2を検知する紙葉類検知センサを設置されている。例えば、回収装置140は、分離装置150で空気流と分離される前の、紙幣2を検知する入口センサ143(紙葉類検知センサ)と、矯正装置170と収納装置1との間に設けられ、紙幣2を検知する終端センサ147(紙葉類検知センサ)とを有している。
図25に示すように、回収装置140の分離装置150は無端ベルトである搬送ベルト151と、搬送ベルト151が掛かる駆動プーリ152および受動プーリ153との組を例えば4組有しており、それぞれは搬送方向に延在するように設置されている。また、分離装置150は、4つの駆動プーリ152とそれぞれ対向する位置に4つのローラ154(図26参照)を有している。これら駆動プーリ152およびローラ154はそれぞれ同心のギヤと接続されており、これらギヤを介して駆動プーリ152およびローラを同期して回転する分離部モータ145を分離装置150は有している。
図26に示すように、分離装置150内での紙幣2の搬送路は、搬送ベルト151と、搬送ベルト151に対向して設置され、突起部155aを有するスキージ155とによって形成されている。このスキージ155は、搬送管110側からローラ154側へ向かって設置されているガイド板156に取り付けられている。また、分離装置150において、搬送されてくる紙幣2を搬送ベルト151に当接するように、搬送ベルト151の裏面側から空気流(ハッチングを付した矢印で示す)を排出する開口141を設置している。
搬送ベルト151に当接された紙幣2は、搬送ベルト151の摩擦力を受け、搬送ベルト151によって搬送されて矯正装置170の手前に配置されているローラ154と駆動プーリ152(搬送ベルト151)に引き継がれる。ローラ154と駆動プーリ152は、回転しながら紙幣2を挟圧し、矯正装置170へ送り込む。
矯正装置170は、図25に示すように、例えば4本の矯正ローラ171からなる矯正機構およびそれらを回転させるための矯正部モータ146を有している。矯正部モータ146の回転軸および4本の矯正ローラ171の各回転軸に固定されたギヤが順次噛合することによって、各隣接する矯正ローラ171が互いに逆方向に回転される。これにより、矯正ローラ171間に進入した紙幣2は、ジグザグ状に搬送されて順次逆方向に屈曲され、曲げ(変形)が矯正されて収納装置1の受入口に送り込まれる。
収納装置1は、例えば、前記実施形態1で説明したように、受板14、15との間で紙幣2を挟むようにプレスするために移動可能なプレス板6、プレス板6を移動させるための駆動モータ21、およびプレスが完了した際の位置を検出する監視部7を有している。駆動モータ21の駆動によりプレス板6が受板14、15に向かって移動し、収納装置1に送り込まれてきた紙幣2はプレス板6と受板14、15との間でプレスされて収容される。
この制御装置180は、搬送路内に存する紙幣2を管理する機能を有している。この管理機能の一例として、投入装置120から投入された紙幣2が収納装置1に収納されるまでの流れを説明する。なお、本実施形態における紙葉類搬送装置101では、投入装置120、分離装置150、矯正装置170、収納装置1、出口センサ127および終端センサ147などを制御する制御装置180を有している。
まず、投入装置120によって搬送管110へ投入された紙幣2を出口センサ127で検知することで、制御装置180は搬送路内の存する紙幣2の枚数をカウントする搬送路カウンタに加算処理する。一方、搬送路カウンタの減算処理が収納装置1の手前に配置された終端センサ147で紙幣2の終端が検知されたときに行われる。このため、終端センサ147では紙幣2の検知待ちが行われる。
搬送管110、分離装置150、矯正装置170を通過して搬送されてきた紙幣2は、収納装置1の手前の終端センサ147によってその終端が検知される。この終端検出によって制御装置180は、矯正部モータ146をあるステップだけ進めて停止する。具体的には、枠体3の保持部31、32に完全に紙幣2が収まる長さ分のステップ数で送り込まれる。前記実施形態1〜4で示したようにプレス板6は第1または第2のホームポジションのいずれかの状態にあるので、枠体3では紙幣2がスムーズに受け入れられる。
また、制御装置180は、矯正部モータ146の停止信号と同時に、駆動モータ21を回転(ON)させる。例えば、図13〜図15に示したように、プレス板6が第1のホームポジションの状態から、カム23が正回転することによって、枠体3に保持されている紙幣2はプレス板6の運動により収納室4に収納される。また、収納室4に紙幣2が収納されることによって、駆動モータ21は停止される。
その後、終端センサ147によって後続の紙幣2の終端が検知されることを待機する。紙幣2の終端が検知された場合は、例えば、図16〜図18に示したように、プレス板6が第2のホームポジションの状態から、カム23が正回転することによって、枠体3に保持されている紙幣2はプレス板6の運動により収納室5に収納される。また、収納室5に紙幣2が収納されることによって、駆動モータ21は停止される。
なお、紙幣2が連続して搬送され、終端センサ147で紙幣2が検知されている場合には、駆動モータ21を停止せずに、連続して動作させてプレス板6を往復直線運動させることになる。
前記実施形態1〜4の収納装置1では、収納動作を第1または第2のホームポジションから開始することで、プレス板6の往復直線運動は、カム23の一回転でプレス板6が一往復し、収納室4、5への紙葉類の収納動作は、カム23の1/2回転で完了することができる。このため、収納装置1の稼働率を向上することができるので、紙葉類搬送装置1のシステム全体としての稼働率も向上することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、回転部、スライド部のいずれでも、駆動部のどこかにホームポジションに対応する位置を探して、凸部または凹部を設けて、リミットスイッチで検知するようなものであっても良い。また、検知箇所部を検知する検知センサ部の検知センサとして、透過型光センサを用いた場合について説明したが、公知の反射型光センサ、磁力で動作するリードセンサや接触型センサ等であっても良い。
また、例えば、前記実施形態では、駆動部8は、駆動モータ21により回転され、回転軸と並行する方向に突起するカムピン22が形成されている円形状のカム23と、プレス板6の運動方向と交差する方向に延びる長穴24aを有するカム受動体24と、を有して、長穴24aにカムピン22が係合してカム23の回転運動を、カム受動体24を介してプレス板2の往復直線運動に変換するものとして説明した。これに限らず、図28に示すように、駆動部8は、楕円形状のカム23を用いて、その外周でカム受動体24を押すことによって、スライダ16を介してプレス板6を往復直線運動させても良い。あるいは、図29に示すように、駆動部8は、リンク機構を構成するカム23、カム受動体24を用いて、スライダ16を介してプレス板6を往復直線運動させる等、その他種々の機構を用いても良い。