JP2011106344A - エンジンの潤滑構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンオイルに与えられた運動エネルギーを有効に利用することができる排出効率の良いエンジンの潤滑構造を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、クランク室40の底部から開口部61を介して連通しクランク室40の下方に配設されたオイル貯留室60と、オイル貯留室60からクランク室40と異なる室に連通されるオイル通路62との間にリードバルブ80を配設し、前記リードバルブ80の開口平面が、クランクシャフト12の回転によって生じるクランク室40からオイル貯留室60に向かうエンジンオイルの流れ方向に対して交差することを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、エンジンの潤滑構造に関するものである。特に、クランク室内の圧力変動によりエンジンオイルがクランク室の底部に配設されたオイル貯留室からオイル通路にリードバルブを介して流入するエンジンの潤滑構造に関するものである。
例えば、特許文献1に開示されたエンジンでは、エンジン各部の潤滑に使用されたエンジンオイルがクランクケースの底部に形成されるオイル溜から、このオイル溜の下方に設けられた入口側弁室へ流入する。ピストンの往復運動によって生じるクランク室の圧力変動によりリード弁が開閉し、エンジンオイルが出口側弁室へ押し出され、さらにミッション室へ排出される。
特開2000−282826号公報
上述したエンジンの潤滑構造では、クランクウェブの回転運動により運動エネルギーを与えられたエンジンオイルが、クランクウェブから離間してオイル溜へ流入する。このとき、エンジンオイルがリード弁に到達する間にエンジンオイルの流れの方向が幾度か変更されてしまうためエンジンオイルの運動エネルギーが失われてしまい、エンジンオイルがリード弁を開放する動作に寄与しない。すなわち、リード弁の開放動作の全てをピストンの下降運動が負担する必要があるため、ポンピングロスが大きくなり、出力が低下する問題があった。
さらに、上述したエンジンの潤滑構造では、ミッション室の底部よりも下方に出口側弁室が配設されているため、排出後のエンジンオイルがミッション室へ流入し難く、出口側弁室にエンジンオイルが滞留し易かった。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであって、エンジンオイルに与えられた運動エネルギーを有効に利用することができる排出効率の良いエンジンの潤滑構造を提供することを目的とする。
本発明に係るエンジンの潤滑構造は、クランク室内のエンジンオイルをリードバルブを介して前記クランク室内の外部へ移送し、そのエンジンオイルをエンジンの各部に供給するようにしたエンジンの潤滑構造であって、前記クランク室の底部から開口部を介して連通し前記クランク室の下方に配設されたオイル貯留室と、前記オイル貯留室から前記クランク室と異なる室に連通されるオイル通路との間に前記リードバルブを配設し、前記リードバルブの開口平面が、前記クランクシャフトの回転によって生じる前記クランク室から前記オイル貯留室に向かうエンジンオイルの流れ方向に対して交差することを特徴とする。
また、側面視で、前記開口部の前端部を第1の点、前記開口部の後端部を第2の点、前記第2の点よりも後方に位置する前記オイル貯留室の後端を第3の点としたときに、前記オイル貯留室は、第1の点、第2の点および第3の点を結ぶ三角形状であって、前記リードバルブの開口平面が、前記第2の点と前記第3の点とを結ぶ直線上に配設されていることを特徴とする。
また、前記オイル通路は、前記オイル貯留室の上方に配設されていることを特徴とする。
また、前記オイル通路は、前記オイル貯留室から、前記オイル貯留室に隣接するマグネト室に連通され、前記マグネト室に向かうにしたがって下降するように傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、クランクウェブによって運動エネルギーを与えられたエンジンオイルが、運動エネルギーを失うことなくリードバルブの弁体を押し開くように作用することから、ピストンの下降運動が行うリードバルブの開弁動作の負担を軽減することが可能となり、エンジン出力の向上と効率の良いエンジンオイルの潤滑を実現することができる。
本実施形態に係る自動二輪車の全体構成を示す左側面図である。 本実施形態に係るエンジンの左側面図である。 本実施形態に係るクランクケースの分解斜視図である。 本実施形態に係るクランクケースを前方から見た図である。 本実施形態に係る左側クランクケースの一部の左側面図である。 本実施形態に係る左側クランクケースの一部の右側面図である。 本実施形態に係る左側クランクケースを右側から見た斜視図である。 本実施形態に係るエンジンオイルの潤滑構造を示す断面図である。 本実施形態に係るオイルドレン構造を示す断面図である。
以下、図面に基づき、本発明に係るエンジンの潤滑構造の好適な実施形態について説明する。なお、ここでは、自動二輪車のエンジンの潤滑構造を例にして説明する。
図1は、本実施形態に係るエンジンの潤滑構造を有する自動二輪車の左側面図である。先ず、図1を用いて自動二輪車100の全体構成について説明する。なお、以下の説明において図1を含めた各図で、必要に応じて車両の前方を矢印Frにより、車両の後方を矢印Rrによりそれぞれ示し、また、車両の右側を矢印Rにより、車両の左側を矢印Lによりそれぞれ示す。
図1の自動二輪車100は、典型的には所謂オフロード用であってよく、その車体前方上部にはステアリングヘッドパイプ101が配置されており、該ステアリングヘッドパイプ101内には不図示のステアリング軸が回動可能に挿通している。そして、このステアリング軸の上端にはハンドル102が結着されており、同ステアリング軸の下端にはフロントフォーク103が取り付けられ、該フロントフォーク103の下端には操向輪である前輪104が回転可能に軸支されている。
また、ステアリングヘッドパイプ101からは左右一対のメインフレーム105が、車体後方に向かって斜め下方に傾斜して延出すると共に、ダウンチューブ106が略垂直下方に延びている。そして、ダウンチューブ106は下部付近でロアフレーム106Aとして左右に分岐し、これら一対のロアフレーム106Aは下方に延びた後に、車体後方に向かって略直角に曲げられ、その後端部は左右一対のボディフレーム107を介してメインフレーム105の各後端部に連結されている。
左右一対のメインフレーム105とダウンチューブ106及びロアフレーム106Aとボディフレーム107とによって囲まれる空間には、駆動源である水冷式のエンジン10が搭載されている。エンジン10の上方には燃料タンク108が配され、その燃料供給口はキャップ109によって栓止されている。燃料タンク108の後方にはシート110が配されている。また、エンジン10の前方にはラジエータ111が配置されている。
車体の前後方向略中央の下部に設けられた左右一対のボディフレーム107には、リヤスイングアーム112の前端部がピボット軸113によって上下に揺動可能に支持されている。リヤスイングアーム112の後端部には駆動輪である後輪114が回転可能に軸支されている。リヤスイングアーム112は、リンク機構115とこれに連結されたショックアブソーバ116(後輪懸架装置)を介して車体に懸架されている。
なお、燃料タンク108内には燃料ポンプユニットが配置され、この燃料ポンプユニットによってエンジン10に燃料を供給する。一方、ショックアブソーバ116の後側にはエアクリーナボックス117が配置され、エアクリーナボックス117とエンジン10の間が吸気通路を介して連結される。なお、図1においては図示を省略するが、吸気通路はエンジン10のシリンダヘッドに設けられたインテークポートに接続され、その途中で吸気通路の一部としてスロットルボディが配置される。このスロットルボディには燃料インジェクタが配設されており、この燃料インジェクタに対して燃料ポンプユニットから所定圧力の燃料が供給されるようになっている。
次に、エンジン10の構成について説明する。この例ではエンジン10は4サイクル単気筒エンジンとする。図2は、本実施形態におけるエンジン10の全体構成を示している。エンジン10において、クランクシャフト12を回転可能に軸支して収容するクランクケース11と、ピストンを上下動可能に収容するシリンダ13と、動弁装置を収容するシリンダヘッド14と、シリンダヘッド14に蓋着するシリンダヘッドカバー15とが略上下方向に連接され、すなわちシリンダブロックのシリンダ軸線がクランクシャフト12の軸線Oに対して実質的に鉛直方向に設定される。
更に、図2〜図4を参照して説明する。図3は、クランクケースの分解斜視図である。図4は、クランクケースを前方から見た図である。図3および図4に示すように、クランクケース11は、割り面Pに沿って右側クランクケース11aと左側クランクケース11bとの2つ割りで構成されている。クランクケース11内のクランク室40には、図3に示すクランクシャフト12およびクランクシャフト12と同期して回転する左右一対のクランクウェブ44(44a、44b)が回転自在に軸支されている。クランクウェブ44a、44bの間には、隙間D2が形成され、クランクピンを介してコネクティングロッド71が接続されている(後述する図7も参照)。コネクティングロッド71の先端(小端部)には図示しないピストンピンを介して、ピストン70が揺動自在に取り付けられ、シリンダ室72内を上下に往復運動する。
また、図2および図3に示すように、クランクケース11内のクランク室40のケース隔壁を隔てた後側には、ミッション室16が隣接して配置される。ミッション室16にはクランクシャフト12の回転出力を減速して後輪114へと伝達するための図示しない複数のミッションギヤが列設されている。
また、右側クランクケース11aの右側には、クラッチカバー41を覆うことでクラッチ室17が隣接して配置される。クラッチ室17には図示しないクラッチ装置が配置され、ハンドル102のクラッチレバー操作によりクランクシャフト12及びミッションギヤ間の動力伝達を接続/遮断制御するようになっている。
また、左側クランクケース11bの左側には、マグネトカバー42を覆うことでマグネト室18が隣接して配置される。マグネト室18には図示しないジェネレータが配置される。
次に、エンジン10の吸排気系について説明する。まず、吸気側において、上述のようにエアクリーナボックス117とエンジン10のシリンダヘッド14の間に吸気通路が配置構成される。この吸気通路はエンジン10のシリンダヘッド14に設けられたインテークポート21(図2を参照)に接続され、その途中に吸気通路の一部としてスロットルボディが配置される。このスロットルボディには燃料インジェクタが配設されており、この燃料インジェクタに対して燃料タンク108から所定圧力の燃料が供給されるようになっている。
また、吸排気系の排気側において、シリンダヘッド14に配設されたエキゾーストポート22(図2を参照)にはエキゾーストパイプが接続され、エンジン10で生成された燃焼後の排気ガスがエキゾーストパイプを通って排気される。エキゾーストパイプは更に排気管としてエンジン10の後方へ延出してマフラ118に結合される。排気は最終的にマフラ118から排出される。
次に、エンジン10の冷却系について説明する。エンジン10の前方には、ラジエータ111が搭載されている。ラジエータ111によって冷却された冷却水は、図示を省略するが、ホースを通ってウォータポンプへと導かれる。ウォータポンプは、その冷却水をホースを介して、エンジン10のシリンダブロック等に形成されたウォータジャケットへと給送する。これによりエンジン10の冷却が行われる。
次に、エンジン10の動弁系について説明する。本実施形態のエンジン10はいわゆるDOHC型である。シリンダヘッド14には、吸気側及び排気側それぞれにカムシャフト27,28を有する(図2に示す破線を参照)。エンジン10の左側部位にてカムチェーン29が実質的に鉛直方向に装架され(図2に示す破線を参照)、このカムチェーン29を介してクランクシャフト12とカムシャフト27,28が連結される。
次に、エンジン10の潤滑系について説明する。図5は、マグネトカバーを取り外した状態の左側クランクケースの左側面図である。図3および図5に示されるようにマグネト室18の下部付近にスカベンジポンプ23(オイルポンプ)が配置され、該マグネト室18内に溜まったエンジンオイルを吸引口24から吸引する。スカベンジポンプ23は、マグネト室18から吸い上げたエンジンオイルを図示しない連通路を経由してミッション室16に供給する。ミッション室16にはスカベンジポンプ23と同心で、且つ同期回転する回転軸を有する図示しないフィードポンプ(オイルポンプ)が配置されている。フィードポンプは、その一部(右側部位)がクラッチ室17の下部付近に露呈するように配置され、図示しないオイル通路を介して動弁室、シリンダ室72、クランク室40等、エンジン10の各部にエンジンオイルを供給するようになっている。
動弁室に供給されたエンジンオイルは、カムシャフト27、28を潤滑した後、主にマグネト室18の底部に落下して回収される。また、シリンダ室72およびクランク室40に供給されたエンジンオイルは、ピストン70やクランクシャフト12等を潤滑した後、主にクランク室40の底部に流れ込む。クランク室40の底部に流れ込んだエンジンオイルは、後述するオイル貯留室、リードバルブおよびオイル通路を経由して、オイル貯留室に隣接するマグネト室18に移送される。マグネト室18に移送されたエンジンオイルは、再び上述したようにスカベンジポンプ23にて吸い上げられ、ミッション室16に供給される循環を繰り返す。
さて、本実施形態では、クランク室の底部に流れ込んだエンジンオイルが、オイル貯留室、リードバルブおよびオイル通路を経由して、隣接するマグネト室18に移送されるまでのエンジンの潤滑構造に特徴を有している。以下では、この潤滑構造について詳細に説明する。
まず、クランク室40およびオイル貯留室の構造について説明する。以下では、左側クランクケース11bを取り上げて説明する。
図6は、図4に示すI−I線を矢印方向から見た左側クランクケースの右側面図である。図7は、左側クランクケースを後方から見た斜視図である。
図6および図7に示すように、クランク室40の底部には、矩形状の開口部61を介してクランク室40と連通するオイル貯留室60が形成されている。オイル貯留室60および開口部61は、右側クランクケース11aと左側クランクケース11bとが結合されることで形成される。すなわち、右側クランクケース11aにも、オイル貯留室60および開口部61の一部が形成されている。なお、オイル貯留室60および開口部61の構造の詳細は後述する。
クランク室40にはクランクウェブ44(44b)の外周面45(45b)と対向する内周面50(50b)が、クランクウェブ44bの外周面45bの形状に沿うように円弧状に形成されている。ピストン70の往復運動に伴いクランクウェブ44が図6に示す矢印E方向に回転したとき、内周面50bとクランクウェブ44bの外周面45bとの間には、両者が接触しないように適度な隙間g(図6を参照)が、後述する一部の範囲を除いて形成されている。
一方、オイル貯留室60の開口部61に近接し、軸線Oを通る重力方向線L1(図6を参照)よりも前方の内周面50bには、クランク室40の前方から底部に亘って、上述した隙間gを狭くするように、クランクシャフト12の軸線Oに向かって僅かに突出する突起部51bが形成されている。すなわち、図6および図7に示すように、開口部61を挟んだ、クランクシャフト12の回転方向に対する下流側よりも上流側の所定の範囲(クランクシャフト12の回転方向に対してオイル貯留室60に至る直前の所定の範囲)において、突起部51bが内周面50bに形成されている。突起部51bが形成されている範囲では、突起部51bとクランクウェブ44bの外周面45bとの間の隙間g´(<g)は一定である(図6を参照)。
図7に示すように、突起部51bは、オイル貯留室60に向かうにしたがって、クランク室40の側壁48(48b)から割り面Pに向かう方向に徐々に幅W1が広くなるように形成されている。この突起部51bと、突起部51bに隣接する内周面50bとの間の段差によって形成される面は、ガイド面52(52b)を構成する。ガイド面52bは、クランクシャフト12の回転方向で見て、側壁48bから斜めに真っ直ぐ割り面Pに向かうように形成される。ガイド面52bの下流端の位置は、クランクシャフト12の回転方向に長辺を有する矩形状に形成された開口部61の左側前端の角部と一致する。
また、突起部51bの終端(下流端)には突起部51bと、開口部61の左側に隣接する内周面50bとの間の段差によって段差部53(53b)が形成される。この段差部53bは、側面視で、オイル貯留室60の開口部61の前端と略一致する。
さらに、図7に示すように、開口部61に隣接した内周面50bは、開口部61に向かうにしたがって、下降して傾斜する傾斜部54(54b)である。傾斜部54bの幅W2は、突起部51bの終端における幅W1と略一致し、一対のクランクウェブ44のうち内周面50bに沿って回転する一方側のクランクウェブ44bの厚み(図3に示す厚みD1)と略一致する。また、開口部61に隣接した内周面50bと、クランクウェブ44bの外周面45bとの間の隙間は、突起部51bが形成されていない分、上述した隙間g´よりも広く形成されている。
なお、上述した説明では、左側クランクケース11bの形状についてのみ説明したが、右側クランクケース11aにも割り面Pを基準にして、左側クランクケース11bと対称に、側壁48a、内周面50a、突起部51a、ガイド面52a、段差部53a、傾斜部54aが略同一形状で形成されている。また、傾斜部54aの幅は、一対のクランクウェブ44のうち内周面50aに沿って回転する他方側のクランクウェブ44aの厚み(図3に示す厚みD1)と略一致する。
次に、上述したように構成されるクランク室40の作用について説明する。
クランク室40に供給されたエンジンオイルおよびシリンダ室72からクランク室40に落下したエンジンオイルの一部は、回転している各クランクウェブ44に付着し、遠心力によって各外周面45に移動する。外周面45に移動したエンジンオイルは、隙間gに介在した状態でクランク室40の内周面50に沿って、クランクウェブ44と共に回転する。クランクウェブ44の回転に伴い、エンジンオイルが突起部51まで到達すると隙間g´となり、隙間が狭くなるために、突起部51のガイド面52によって掻き落とされると共に、ガイド面52によって案内され割り面P側に集められる。上述したように、ガイド面52は、左側クランクケース11bのみならず、右側クランクケース11aにも形成されている。したがって、エンジンオイルは、左右のガイド面52によって両方のクランクウェブ44から掻き落され、クランク室40の軸線O方向における中央(両クランクウェブ44の中央)に集められる。そして、エンジンオイルは回転している遠心力によって、そのままオイル貯留室60の開口部61に導かれる。なお、開口部61の前端の幅(軸線O方向)は、左右のガイド面52の終端部を結ぶ幅と一致させているので、エンジンオイルがガイド面52によって開口部61に容易に導入される。
このように、クランクウェブ44に付着されたエンジンオイルが掻き落されることにより、クランクシャフト12の回転抵抗が低減されると共に、掻き落されたエンジンオイルがスムーズにオイル貯留室60に案内される。
なお、内燃機関に使用されるエンジンオイルは、ピストン70の摺動等により磨耗粉が含有する場合がある。この磨耗粉が隙間gに介在することで、クランクウェブ44の動作を阻害する恐れがある。磨耗粉によるクランクウェブ44の動作の阻害は重力方向線L1より後方で発生し易い。これは、クランクウェブ44の回転方向と、重力によってエンジンオイルが内周面50に沿って流れる方向とが交差するためであり、エンジンオイルが隙間に滞留し易い状態となるからである。
本実施形態では、重力方向線L1より前方の内周面50に突起部51を設けることで、隙間gに介在するエンジンオイルを事前に掻き落すことができるために、クランクウェブ44の動作を良好な状態に保つことができる。
一方、ガイド面52によって掻き落されずクランクウェブ44の外周面45に付着したままのエンジンオイルは、段差部53を通過した直後に隙間が大きくなり、突起部51による支持がなくなるため、傾斜部54に滴下させることができる。滴下したエンジンオイルは、傾斜部54に沿って、そのままオイル貯留室60の開口部61に導かれる。
このように、上述したように構成されたクランク室40によれば、クランク室40で潤滑された後のエンジンオイルをクランク室40内で滞留させずに、早期にオイル貯留室60に回収することができる。
次に、オイル貯留室およびオイル通路の構造について説明する。
図6および図7に示すように、オイル貯留室60は、上述したようにクランクケース11の下方であって、クランク室40の底部から開口部61を介して形成されている。またオイル貯留室60は、側面視で後斜め下方に向かって先細り状に形成されている。ここで、開口部61の幅(軸線O方向)は、一対のクランクウェブ44の内幅(図3に示すD2参照)と略同一に形成されている。一方、オイル貯留室60の幅(軸線O方向)は、開口部61の幅よりも広く形成されている。また、オイル貯留室60の開口部61に近接した左右側は、上述した傾斜部54により、上方から覆われている。
ここで、オイル貯留室60の配置関係等につき、より具体的に説明する。
図6に示すように、側面視で、開口部61の前端を第1の点A、開口部61の後端を第2の点B、先細り状の先端を第3の点Cとしたとき、オイル貯留室60は、点A、点Bおよび点Cを結ぶ略逆三角形形状を成している。この逆三角形形状のうち、角ACBは側面視で、鋭角に形成されている。したがって、オイル貯留室60の断面積(点Aと点Cとを結ぶ直線L2に直交する断面)は、点Cに向かうほど小さくなる。
また、点Cを点Bよりも十分に後方に位置させることで、点Aと点Cとを結ぶ直線L2は、軸線Oを中心として半径OAからなる仮想円において、点Aを通る接線に略一致している。さらに、オイル貯留室60の底部は、下方に緩やかに湾曲して形成されている。
次に、オイル貯留室60と後述するオイル通路62との間には、リードバルブ80が配設されている。リードバルブ80は、中央に矩形状の開口83が形成され、平板状の弁体82が開弁方向を略鉛直上方(オイル通路62側)になるように開閉可能に設けられている。図6に示すように、この弁体82は、支軸Xが第2の点Bに近接し軸線O方向と平行であり、自由端が点Cに近接している。
ピストン70の下降によってクランク室40内の圧力が上昇することで、リードバルブ80は弁体82を開放し(図6に示す二点鎖線および図7を参照)、オイル貯留室60内のエンジンオイルをオイル通路62に移送する。一方、ピストン70の上昇によってクランク室40内の圧力が低下することで、リードバルブ80は弁体82を閉塞させオイル通路62からオイル貯留室60への逆流を阻止する。
ここで、リードバルブ80は、開口83の開口平面が点Bと点Cとを結ぶ直線上に略一致させるように傾斜させて配設されている。したがって、リードバルブ80を立設させて配設する場合にくらべ、エンジン10下方への膨出が抑制され、エンジン10の全高を抑えることができる。
リードバルブ80を介したオイル貯留室60の反対側(上側)には上述したオイル通路62が形成されている。図8は、図6のII−II線を矢印方向から見た断面図である。図8に示すように、オイル通路62はエンジン10の左右方向に沿って形成されていて、マグネト室18に連通している。オイル通路62の底部は、マグネト室18に向かうほど低く傾斜した傾斜面63が形成されている。なお、傾斜面63の傾斜角度が大きいとマグネト室18に移送されたエンジンオイルがオイル通路62に逆流してしまう。したがって、オイル通路62の開口の下端は、マグネト室18に配設されたスカベンジポンプ23の吸引口24の下端よりも高く、さらにはマグネト室18に貯留された油面90よりも高くなっている。
次に、上述したように構成されるオイル貯留室、リードバルブおよびオイル通路の作用について説明する。
まず、クランクウェブ44の外周面45から掻き落されたエンジンオイルは、開口部61を通過してオイル貯留室60に流入する。このとき、図6に示すように、エンジンオイル流れの仮想線J(図6に示す一点鎖線を参照)は、後斜め下方に向かい、直線L2すなわちクランクウェブ44の外周の接線方向に略沿う方向である。したがって、エンジンオイルの遠心力をそのまま利用することで、運動エネルギーが損失されることなく円滑にオイル貯留室60の後方に移送される。また、エンジンオイル流れの仮想線Jは、オイル貯留室60の底部に沿った湾曲した流線であり、リードバルブ80の開口83に向かっている。すなわち、エンジンオイルはリードバルブ80の開口83の開口平面と少なくとも交差する方向に流動する。したがって、エンジンオイルの流動がリードバルブ80の開口83に配設された弁体82を押し開くように作用する。
図6に示すピストン70が下降するにしたがいクランク室40内の圧力が上昇することで、リードバルブ80の弁体82が開放される。このとき、エンジンオイルの流動がリードバルブ80の開口83に配設された弁体82を押し開くように作用して弁体82の開弁動作を補助するので、ピストン70によるリードバルブ80の開弁動作の負担を低減させることができる。なお、リードバルブ80の弁体82は、断面積が小さくなるオイル貯留室60の後方に配置されている。したがって、小さな圧力変動でもリードバルブ80の弁体82を開放させることができる。特に、オイル貯留室60の後方(第3の点Cの近傍)に弁体82の自由端があるので、より小さな圧力変動でも弁体82が開放され、エンジンオイルの移送効率を向上させることができる。
次に、エンジンオイルは開放されたリードバルブ80の開口83を経由してオイル貯留室60の上方に配設されたオイル通路62に移送される。ここで、エンジンオイルを上方に配設されたオイル通路62に移送させることで、エンジンオイルに含まれる金属磨耗粉は自重によってオイル通路60に移送されず、オイル貯留室60に沈積する。すなわち、金属磨耗粉がオイル通路62に侵入することがなく、清浄なエンジンオイルのみをエンジンの各部に供給することができるので、エンジンの耐久性を向上させることができる。
オイル通路62に移送されたエンジンオイルは、傾斜面63によって案内されてマグネト室18に貯留する。このとき、オイル通路62はオイル貯留室60の上方に配設したので、オイル通路62をマグネト室18の底部よりも高い位置に配設し易くなる。したがって、マグネト室18に貯留されたエンジンオイルがオイル通路62側へ逆流するのを容易に防止することができる。
上述したように、本実施形態によれば、クランクウェブ44により運動エネルギーを与えられたエンジンオイルは、運動エネルギーを失うことなくリードバルブ80の弁体82を押し開くように作用し、ピストン70の下降運動で行っていた開弁動作の負担を軽減することが可能となり、エンジン出力の向上と効率の良いエンジンオイルの排出を行うことができる。
なお、本実施形態では、エンジン10の停止状態において、オイル貯留室60およびマグネト室18に貯留したエンジンオイルを外部に排出することができるオイルドレン構造を有している。
図6に示すように、オイル貯留室60の底部であって、マグネト室18との隔壁64には、ドレン通路65が穿孔されている。図9は、図6のIII−III線を矢印方向から見た断面図である。図9に示すように、ドレン通路65はクランクシャフト12の軸線O方向と平行にマグネト室18の下方を通り、マグネトカバー42に設けられた排出口46に連通する。
一方、マグネトカバー42には切欠き溝47が設けられている。この切欠き溝47は、マグネト室18の底部とオイル通路62とを連通するように設けられている。マグネトカバー42の排出口46にはドレンボルト85が装着され、左側クランクケース11bに螺刻された雌ネジ部66と螺着される。すなわち、ドレンボルト85は、マグネトカバー42を左側クランクケース11bに締結するための締結ボルトを兼ねている。ドレンボルト85を螺着した場合、ドレンボルト85はドレン通路65とマグネト室18と連通する切欠き溝47を閉塞し、ドレン通路65とマグネト室18とを分断する。
従来、クランク室とマグネト室との間をリードバルブによって仕切るエンジンにおいては、エンジンオイルを外部に排出する場合、マグネト室とクランク室との底部にそれぞれドレンボルトが設けられていた。したがって、作業者はエンジンの下方に手を差し入れ少なくとも2本のドレンボルトを取り外す必要があった。しかしながら、上述したオイルドレン構造によれば、車両の側方から螺着されたドレンボルト85を1本のみ取り外せばエンジンオイルを排出することができるため、作業者の負担を軽減させることができる。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、上述した実施形態では、リードバルブ80の弁体82の支軸Xが第2の点Bに近接し軸線Oと平行する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、弁体82の支軸Xを上述した点Bと点Cとを結ぶ直線に沿うように配設してもよく、第3の点Cに近接し軸線Oと平行にして配設してもよい。
また、上述した実施形態では、オイル貯留室60からオイル通路62を介してオイル貯留室60に隣接するマグネト室18にエンジンオイルを移送する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、エンジンオイルをオイル貯留室60からオイル通路62を介してマグネト室18とは異なる室に移送してもよい。
また、上述した実施形態では、クランクウェブ44とクランク室40との間の隙間を狭くするためにオイル貯留室60に向かうにしたがって幅W1が広くなる突起部51について説明したが、この場合に限られない。例えば、突起部として図7の二点鎖線で示すようにガイド面52を有する突条部51´であってもよい。
また、上述した実施形態では、ガイド面52はクランクシャフト12の回転方向で見て、側壁48bから斜めに真っ直ぐ割り面Pに向かうように形成される場合について説明したが、この場合に限られず、曲線状であってもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、自動二輪車100を用いたエンジン10を取り上げて説明したが、この場合に限られず、他のエンジンに適用してもよい。
10 エンジン、11 クランクケース、12 クランクシャフト、13 シリンダ、14 シリンダヘッド、15 シリンダヘッドカバー、16 ミッション室、17 クラッチ室、18 マグネト室、23 スカベンジポンプ、40 クランク室、44 クランクウェブ、45 外周面、46 排出口、47 切欠き溝、50 内周面、51 突起部、52 ガイド面、53 段差部、54 傾斜部、60 オイル貯留室、61 開口部、62 オイル通路、63 傾斜面、64 開口部、65 ドレン通路、80 リードバルブ、82 弁体、83 開口、85 ドレンボルト、100 自動二輪車

Claims (4)

  1. クランク室内のエンジンオイルをリードバルブを介して前記クランク室内の外部へ移送し、そのエンジンオイルをエンジンの各部に供給するようにしたエンジンの潤滑構造であって、
    前記クランク室の底部から開口部を介して連通し前記クランク室の下方に配設されたオイル貯留室と、前記オイル貯留室から前記クランク室と異なる室に連通されるオイル通路との間に前記リードバルブを配設し、
    前記リードバルブの開口平面が、前記クランクシャフトの回転によって生じる前記クランク室から前記オイル貯留室に向かうエンジンオイルの流れ方向に対して交差することを特徴とするエンジンの潤滑構造。
  2. 側面視で、前記開口部の前端部を第1の点、前記開口部の後端部を第2の点、前記第2の点よりも後方に位置する前記オイル貯留室の後端を第3の点としたときに、
    前記オイル貯留室は、第1の点、第2の点および第3の点を結ぶ三角形状であって、
    前記リードバルブの開口平面が、前記第2の点と前記第3の点とを結ぶ直線上に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの潤滑構造。
  3. 前記オイル通路は、前記オイル貯留室の上方に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンの潤滑構造。
  4. 前記オイル通路は、前記オイル貯留室から、前記オイル貯留室に隣接するマグネト室に連通され、前記マグネト室に向かうにしたがって下降するように傾斜する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエンジンの潤滑構造。
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