JP2011105822A - 耐加水分解性に優れる熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジアミン構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の70モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂(a−1)と、ポリアミド11及び/又はポリアミド12(a−2)からなり、(a−1)成分と(a−2)成分の合計量(100質量%)に対し(a−1)成分が50〜95質量%、(a−2)成分が50〜5質量%であるポリアミド樹脂組成物(A)100質量部に対して、エラストマー又はポリオレフィン系樹脂(B)10〜70質量部、分子中に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(C)0.1〜3質量部を配合した熱可塑性樹脂組成物による。
【選択図】なし
Description
しかし、ポリアミド樹脂は、水分の存在下で、特に加熱状態に置かれると、加水分解を生じやすいため、耐加水分解性が強く要求される成形部品用途等においては、これが厳しい制約となる。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、ポリアミド樹脂(a−1)が、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、エラストマー又はポリオレフィン系樹脂(B)が、マレイン酸又は無水マレイン酸で変性されていることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、カルボジイミド化合物(C)が、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
特に、優れた耐加水分解性に関しては、メタキシリレン骨格を有するポリアミド樹脂とカルボジイミド化合物に、ポリアミド11及び/又はポリアミド12と特定のエラストマー又はポリオレフィン系樹脂を組み合わせて特定量配合することにより実現可能となったものであり、従来の技術では達成不可能な顕著な効果を奏するものである。
ここでメタキシリレンジアミンが70モル%未満では、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物のバリア性が十分でなく、炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸が70モル%に満たないと、熱可塑性樹脂組成物が硬くなり加工性が悪くなる。
ジアミン成分として、メタキシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン酸構成単位の30モル%未満であり、好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
さらに、本発明においては、(a−1)成分を構成するジアミン成分の70モル%以上がメタキシリレンジアミン由来であるため、驚くべきことに、(a−1)成分として他の芳香族系ポリアミド樹脂(例えば、テレフタル酸とジカルボン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂、イソフタル酸とジカルボン酸を重縮合して得られるポリアミド樹脂、テレフタル酸、イソフタル酸及びジカルボン酸等を重縮合して得られるポリアミド樹脂等)を使用した場合に比べ、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐加水分解性、バリア性、柔軟性のバランスに優れることが明らかになった。
例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸、あるいは、メタキシリレンジアミン、アジピン酸及びイソフタル酸からなるポリアミド塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水よび縮合水を取り除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、メタキシリレンジアミンを溶融状態のアジピン酸、又はアジピン酸とイソフタル酸混合物に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を固化させることの無いように、メタキシリレンジアミンを連続的に加えて、その間の反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点以上となるように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
加熱処理する方法として、例えば、回転ドラム等の回分式加熱装置を用いて、不活性ガス雰囲気中もしくは減圧下において、水の存在下で緩やかに加熱し、融着を回避しつつ結晶化させた後、更に加熱処理を行う方法、溝型攪拌加熱装置を用いて、不活性ガス雰囲気中で加熱し、結晶化させた後、ホッパー形状の加熱装置を用いて、不活性ガス雰囲気中で加熱処理する方法、溝型攪拌加熱装置を用いて結晶化させた後、回転ドラム等の回分式加熱装置を用いて加熱処理を行う方法等が挙げられる。
なかでも、回分式加熱装置を用いて、結晶化ならびに加熱処理を行う方法が好ましい。結晶化処理の条件としては、溶融重合で得られたポリアミド樹脂に対して1〜30質量%の水の存在下、かつ、0.5〜4時間かけて70〜120℃まで昇温することにより結晶化し、次いで、不活性ガス雰囲気中又は減圧下で、〔溶融重合で得られたポリアミド樹脂の融点−50℃〕〜〔溶融重合で得られたポリアミド樹脂の融点−10℃〕の温度で1〜12時間加熱処理する条件が好ましい。
また、ポリアミド樹脂(a−1)のガラス転移点は50〜130℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移点を上記範囲とすることによりバリア性が良好となる傾向にあり好ましい。
なお、本発明において、ポリアミド樹脂(a−1)及び後述のポリアミド樹脂(a−2)の融点及びガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)法によって測定することができ、試料を一度加熱溶融させ熱履歴による結晶性への影響をなくした後、再度昇温して測定される融点、ガラス転移点をいう。具体的には、例えば、30℃から予想される融点以上の温度まで10℃/minの速度で昇温し、2分間保持した後、50℃まで20℃/minの速度で降温する。次いで、10℃/minの速度で融点以上の温度まで昇温し、融点、ガラス転移点を求めることができる。
ポリアミド樹脂(a−1)は、96%硫酸中、樹脂濃度1g/100cc、温度25℃で測定した相対粘度が1.7〜4であるものが好ましく、1.9〜3.8であるものがより好ましい。相対粘度が2未満であると、機械的強度が低下する傾向にあり、4を超えると成形性が低下する場合がある。
なお、本発明において、ポリアミド(a−1)及び後述のポリアミド樹脂(a−2)の数平均分子量は、カラムとして、昭和電工社製「Shodex HFIP−806M」3本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム2mM含有ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.05質量%、カラム温度40℃、流速1ml/min、屈折率検出器の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めることができる。
なお、ポリアミド樹脂(a−1)には、上記のリン化合物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤等を加えることもできるが、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を混合して加えても良い。
ポリアミド11及び/又はポリアミド12(a−2)は、末端アミノ基濃度が好ましくは1〜100μ当量/g、より好ましくは2〜50μ当量/g、末端カルボキシル基濃度が好ましくは1〜100μ当量/g、より好ましくは2〜50μ当量/gのものが好適に用いられる。末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を上記範囲とすることにより、カルボジイミド化合物との反応が容易になり、耐加水分解性が良好となる傾向にある。
ポリアミド11及び/又はポリアミド12(a−2)の数平均分子量は、15,000〜35,000であることが好ましい。数平均分子量を上記範囲とすることにより、ポリアミド(a−1)中での分散性が良好となり、耐加水分解性及び柔軟性が向上する傾向にある。
本発明において、エラストマーとは、常温でゴム弾性を示すエラストマー性材料をいい、化学構造的にはゴム相(ソフトセグメント)と、加硫ゴムの架橋点の役割をする拘束相(ハードセグメント)からなるものである。
エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコン系エラストマー等公知のエラストマーが使用でき、好ましくはポリオレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーであり、特に好ましくはポリオレフィン系エラストマーである。エラストマーは、ガラス転移点が0℃以下のものが好ましく、−5℃以下がより好ましい。ガラス転移点を0℃以下とすることにより、柔軟性、特に低温における柔軟性、耐衝撃性が良好となる傾向にある。ガラス転移点は、例えば、DSC測定により求めることができる。エラストマーは、2種以上併用してもよい。
ポリオレフィン系エラストマーとしては、ポリエチレン系エラストマー、エチレン−α−オレフィン系エラストマー、オレフィン−ビニル系エラストマーが挙げられ、中でも、エチレン−α−オレフィン系エラストマー、オレフィン−ビニル系エラストマーが好ましい。
共重合に用いられるα−オレフィンは、炭素原子数3〜20の不飽和炭化水素化合物であり、具体的には、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜10の直鎖状のα−オレフィンであり、特に好ましいのはプロピレン、1−ブテン、1−オクテンである。
共重合に用いられるオレフィンとしては、炭素原子数2〜20のものが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらの中でもより好ましくは、炭素原子数2〜10の直鎖状のオレフィンであり、さらに好ましいくはエチレン、プロピレン、1−ブテンであり、特に好ましくはエチレンである。
ポリブタジエン系エラストマーとは、シンジオタクチック構造に富んだ結晶性1,2−ポリブタジエンをハードセグメント、非晶性ポリブタジエンをソフトセグメントとする結晶化度15〜35%に制御されたエラストマーである。
ポリイソプレン系エラストマーとは、トランス1,4−ポリイソプレンをハードセグメント、非晶性ポリイソプレンをソフトセグメントとするエラストマーである。
また、これらのジエン系エラストマーは、エラストマーを水素添加し、二重結合の割合を減少させた水素添加物であってもよい。
また、水添ブロック共重合体における脂肪族鎖部分のうち、共役ジエン化合物に由来し、水素添加されずに残存している不飽和結合の割合は、分子中の全結合中の20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。ビニル芳香族化合物に由来する芳香族性不飽和結合は、水素添加されていてもよいが、水素添加された芳香族性不飽和結合の割合は、分子中の全結合中の25%以下であることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンの単独重合体又は共重合体であって、上記のエラストマーに該当しないものである。
オレフィンとしては、炭素原子数2〜20のものが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらの中でもより好ましくは2〜10の直鎖状のオレフィンであり、さらに好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテンであり、特に好ましくはプロピレンである。
オレフィンの共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、どの様な方法で製造したものでも使用できる。従来のチーグラーナッタ触媒を使用して製造した樹脂でも、メタロセン触媒を使用して製造した樹脂でもよい。
これらの中でも特に好ましいのは、寸法安定性や耐衝撃性の点で、10時間での半減期温度が好ましくは190℃以下、より好ましくは120℃以上のラジカル開始剤である。上に例示した中では、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシド)ヘキサン−3が特に好ましい。
ポリアミド樹脂(a−1)とポリアミド11及び/又はポリアミド12(a−2)、ならびにカルボジイミド化合物(C)を溶融混練することで、(I)カルボジイミド化合物(C)を介してポリアミド樹脂(a−1)とポリアミド11及び/又はポリアミド12(a−2)とが結合されることにより、もしくは、(II)ポリアミド樹脂(a−1)とポリアミド11及び/又はポリアミド12(a−2)のそれぞれがカルボジイミド化合物(C)と反応することで、カルボジイミド化合物(C)を介してポリアミド樹脂(a−1)とポリアミド11及び/又はポリアミド12(a−2)の親和性が向上し、さらに、エラストマー又はポリオレフィン系樹脂(B)を特定量配合することによって、耐加水分解性が格段に向上し、従来困難であった、メタキシリレン骨格を有するポリアミド樹脂(a−1)とポリアミド11又はポリアミド12(a−2)及びエラストマー又はポリオレフィン系樹脂の溶融混合が可能となり、耐加水分解性、バリア性、柔軟性のバランスに優れた熱可塑性樹脂組成物が得られる。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネートが好ましい。
補強層に使用するポリオレフィン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはエチレン、プロピレン、ブテン等から選ばれる2種類以上のオレフィンの共重合体、及びそれらの混合物が例示できる。また、上記補強層において例示したポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂及びフッ素系樹脂は、互いに混合して用いてもよいし、エラストマー等の他の樹脂や、例えばカーボンブラックや難燃剤等の添加剤と混合して使用することも可能である。
[評価方法]
以下の実施例及び比較例において、原材料ポリアミド樹脂の相対粘度、数平均分子量及び水分、ならびに、熱可塑性樹脂組成物の破断伸び率及び燃料バリア性の評価方法は、下記の方法にて行った。
試料1gを精秤し、96%硫酸100ccに20〜30℃で撹拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5ccを取り、25℃±0.03℃の恒温槽中で10分間放置後、落下時間(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下時間(t0)も同様に測定した。t及びt0から次式により相対粘度を算出した。
相対粘度=(t)/(t0)
(2)数平均分子量
カラムとして、昭和電工社製「Shodex HFIP−806M」3本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム2mM含有ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.05質量%、カラム温度40℃、流速1ml/min、屈折率検出器の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めた。
(3)水分
水分測定装置〔平沼産業(株)製、AQUACOUNTER AQ−2000〕を用いて、窒素雰囲気下、測定温度は融点−5℃とし、30分の条件で測定を行った。
実施例及び比較例に記載の方法で得られたフィルムから幅10mm、長さ120mm、厚さ150μmの短冊状の試験片を作製し、ストログラフV1−C(東洋精機製作所社製)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minの条件にて、ASTM−D882規格に準拠して、23℃、50%RHの環境下において、破壊伸び率(%)の測定を行った。また、同様の方法で作製した試験片を、蒸留水とともにオートクレーブに仕込み、加圧下、120℃の条件で1週間及び2週間浸漬させた試験片を作成した。
得られた1週間浸漬後及び2週間浸漬後の試験片についても、処理前の試験片と同様の方法で破断伸び率を測定した。破断伸び率の低下の少ないものが、耐加水分解性に優れているといえる。
(5)燃料バリア性(燃料透過量)
実施例及び比較例に記載の方法で得られたフィルムを12×15cm角に2枚切り出し、それぞれを合わせて、3片がシール幅10mmになるようヒートシールし、袋を作製した。得られた袋に、燃料(イソオクタン/トルエン/エタノール=45/45/10容量%)を60g充填し、口部をシール幅10mmになるようヒートシールした。この燃料充填袋を、28℃/60%RHに調整した防爆型恒温恒湿槽に10日間放置し、放置後、初期値と10日間放置後の袋の質量を測定し、その質量減少量から燃料透過量(単位g/day)を求めた。燃料透過量の少ないものが、燃料バリア性に優れているといえる。
ポリアミド樹脂(a−1)成分:
(製造例1:ポリアミド(a−1−1)の合成)
反応缶内でセバシン酸(伊藤製油社製TAグレード)を170℃にて加熱し溶融した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学社製)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温した。反応終了後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。
得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド(a−1−1)を得た。
ポリアミド(a−1−1)の融点は191℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は30,000、相対粘度2.8、水分率0.03%、末端アミノ基濃度33μ当量/g、末端カルボキシル基濃度33μ当量/gであった。
以下、このポリアミド樹脂を、「a−1−1」と略記する。
ポリメタキシリレンジアジパミド、三菱ガス化学社製、商品名「MXナイロン#6000」、融点240℃、ガラス転移点85℃、数平均分子量15,000、相対粘度2.17、水分率0.15%、末端アミノ基濃度39μ当量/g、末端カルボキシル基濃度84μ当量/g
以下、このポリアミド樹脂を、「a−1−2」と略記する。
ポリアミド9T(テレフタル酸と1,9−ノナンジアミンとを重縮合して得られたポリアミド樹脂)、融点303℃、ガラス転移点121℃、相対粘度2.43、末端アミノ基濃度17μ当量/g。
以下、このポリアミド樹脂を、「a−1’」と略記する。
ポリアミド11、ARKEMA社製、商品名「Rilsan BESN OTL」、融点188℃、数平均分子量27,000
以下、このポリアミド樹脂を、「a−2」と略記する。
マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、三井化学社製、商品名「タフマーMP0610」
カルボジイミド化合物(C)成分:
脂環式ポリカルボジイミド化合物、日清紡績社製、商品名「カルボジライトLA−1」
以下、このカルボジイミド化合物を、「カルボジイミド」と略記する。
上記の成分(a−1)、(a−2)、その他のポリアミド樹脂(a−1’)、(B)及び(C)成分を後記表1に記した割合でドライブレンドした後、得られたドライブレンド物を秤量フィーダーにて6kg/hrの速度で、シリンダー径37mm、逆目エレメントによる滞留部を有する強練りタイプのスクリューをセットした二軸押出機に供給した。シリンダー温度270℃、スクリュー回転数100rpmの条件で溶融混練を行い、溶融ストランドを冷却エアーにて冷却、固化した後、ペレタイズ化して熱可塑性樹脂組成物のペレットを製造した。
上記で得られたペレットを秤量フィーダーにて1.2kg/hrの速度でシリンダー径20mmのTダイ付き二軸押出機に供給した。シリンダー温度260℃、スクリュー回転数80rpmの条件で溶融混練を行った後、Tダイを通じてフィルム状物を押出し、2.7m/minの速度で引き取りながら70℃の冷却ロール上で固化し、厚さ150μmのフィルムを得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物及びフィルムの評価結果を表1に示す。
Claims (7)
- ジアミン構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の70モル%以上が炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来するポリアミド樹脂(a−1)と、ポリアミド11及び/又はポリアミド12(a−2)からなり、(a−1)成分と(a−2)成分の合計量(100質量%)に対し(a−1)成分が50〜95質量%、(a−2)成分が50〜5質量%であるポリアミド樹脂組成物(A)100質量部に対して、エラストマー又はポリオレフィン系樹脂(B)10〜70質量部、分子中に2個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物(C)0.1〜3質量部を配合してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(a−1)が、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(a−1)が、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(a−2)が、ポリアミド11であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- エラストマー又はポリオレフィン系樹脂(B)が、マレイン酸又は無水マレイン酸で変性されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- エラストマー又はポリオレフィン系樹脂(B)が、オレフィン系エラストマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- カルボジイミド化合物(C)が、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
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