JP2011105811A - 絶縁性ポリイミドフィルム、カバーレイフィルム及びフレキシブルプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】黒色顔料と、無機フィラーとを含有する絶縁性ポリイミドフィルムであって、黒色顔料のpHが6.0以下であり該フィルムの12.5μm厚みでの全光線透過率が5%以下、且つ光沢度が5%以下、且つ体積抵抗率が2×1016Ω・cm以上であることを特徴とする絶縁性ポリイミドフィルムにより、上記課題を解決し得る。
【選択図】 なし
Description
1)黒色顔料と、無機フィラーとを含有する絶縁性ポリイミドフィルムであって、黒色顔料のpHが6.0以下であり該フィルムの12.5μm厚みでの全光線透過率が5%以下、且つ光沢度が5%以下、且つ体積抵抗率が2×1016Ω・cm以上であることを特徴とする絶縁性ポリイミドフィルム、
2)また、上記黒色顔料が、カーボンブラックであることを特徴とする絶縁性ポリイミドフィルム、
3)また、上記フィラーが、酸化チタン、雲母、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、リン酸カルシウム及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種のフィラーであることを特徴とする絶縁性ポリイミドフィルム、
4)ポリイミド樹脂100重量部に対して1〜15重量部の黒色顔料を含有することを特徴とする絶縁性ポリイミドフィルム、
5)ポリイミド樹脂100重量部に対して1〜15重量部のフィラーを含有することを特徴とする絶縁性ポリイミドフィルム、
6)1)〜5)のいずれか1つに記載の絶縁性ポリイミドフィルムを用いてなるカバーレイフィルム、
7)1)〜5)のいずれか1つに記載の絶縁性ポリイミドフィルムを用いてなるフレキシブルプリント配線板、
に関する。
本発明に係る黒色顔料は、pHが6.0以下であることを特徴とする。
本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムは、フィラーを含むことを特徴とする。本発明に係るフィラーは、絶縁性ポリイミドフィルムに添加することにより、マットな質感を得ることを主目的に使用される。また、黒色顔料の添加量によっては十分な遮光性が得られない場合は、遮光性を付与する目的も有する。前記の目的を満たしさえすればフィラーとしては特に制限はないが、マットな質感を得やすく、さらには遮光性も高く、黒色顔料と併せて添加しても凝集しにくいという観点から、酸化チタン、雲母、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、リン酸カルシウム、シリカ、から選ばれる少なくとも1種のフィラーであることが好ましく、酸化チタン、雲母、酸化アルミニウム、から選ばれる少なくとも1種のフィラーであることがさらに好ましい。尚、フィラーを添加することによりマットな質感が得られるのは、フィルム内部で入射光が拡散するためであると推定している。
本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムについて説明する。
上記ポリアミド酸重合体またはその溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを加えた溶液をドラム或はエンドレスベルト上に流延または塗布して膜状とし、その膜を200℃以下の温度で約10〜10000秒乾燥し、自己支持性のポリアミド酸重合体の膜を得る。ついで、これを支持体より引き剥し端部を固定する。その後所定の温度で加熱することによりイミド化し、冷却後端部の固定を解放し絶縁性ポリイミドフィルムを得る。
本発明においては、全光線透過率、光沢度、体積抵抗率を測定する際に12.5μm厚みの絶縁性ポリイミドフィルムを用いる。ここで本発明でいう12.5μm厚みとは、100mm角サイズの絶縁性ポリイミドフィルムの任意の5点を厚み計(株式会社ミツトヨ製、レーザホロゲージ LGE−1010)にて測定し、その5点の平均値が12.5μmであることをいう。
本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムは、該フィルムの12.5μm厚みでの全光線透過率が5%以下であることを特徴とする。本発明の全光線透過率は以下のようにして求めることができる。
本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムは、該フィルムの12.5μm厚みでの光沢度が5%以下であることを特徴とする。本発明の光沢度は以下のようにして求めることができる。
本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムは、体積抵抗率が2×1016Ω・cm以上であることを特徴とする。
本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムの製造方法について説明する。本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムは、ポリアミド酸を重合する際にあらかじめ黒色顔料、フィラーを添加しておく方法、ポリアミド酸重合体と、黒色顔料分散液、フィラー分散液とを混合する方法、等の方法によりポリアミド酸重合体に黒色顔料、フィラーを分散させたポリアミド酸重合体溶液を得た後に、前記溶液を用いて熱的、あるいは化学的方法によりイミド化せしめることで得ることができる。一例として、ポリアミド酸重合体と、黒色顔料分散液、フィラー分散液とを混合する方法にてポリアミド酸重合体溶液を得た後に、化学的方法によりイミド化せしめて絶縁性ポリイミドフィルムを得る方法を説明する。
また、絶縁信頼性を評価するため、表面抵抗率を測定してもよく、評価用のサンプルとして、100mm角、12.5μm厚みの絶縁性ポリイミドフィルムを用い、株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微小電流計 R8340と、レジスティビティチェンバ R12702Aとを組み合わせた装置を用い、100V印加し1分経過後の抵抗値を測定することにより求めることができる。
本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムは、プリント板の外側表面の導体パターンを全面的又は部分的にカバーするために使用される絶縁フィルムであるカバーレイフィルムに好適に用いることができる。 カバーレイフィルムは、該絶縁性ポリイミドフィルムの片面に接着剤を塗布・乾燥して形成するか、若しくは接着フィルムを貼り合せる事で形成し、必要に応じて接着剤面保護のためにセパレーターを貼り合わせることで得ることができる。
上述のように、本発明に係る絶縁性ポリイミドフィルムからカバーレイフィルムを得、そのカバーレイフィルムを用いて得られるフレキシブルプリント配線板は、遮光性及び絶縁信頼性に優れるため、カメラ、ビデオカメラ、CD−ROMドライブの光ピックアップ部等の電子・光学機器に好適に用いられる。また、マットな質感を有するため、デザイン性、意匠性が要求される用途にも好適に用いられる。
50mm角、12.5μm厚みの絶縁性ポリイミドフィルムを用い、日本電色工業株式会社製のヘーズメーター、NDH 5000を用いて、ASTM D 1003に従って全光線透過率(%)を測定することにより求めた。
100mm角、12.5μm厚みの絶縁性ポリイミドフィルムを用い、ビック ガードナー社製の光沢度計、マイクロートリーグロスを用いて、入射角60°での光沢度(%)測定することにより求めた。
100mm角、12.5μm厚みの絶縁性ポリイミドフィルムを用い、株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微小電流計 R8340と、レジスティビティチェンバ R12702Aとを組み合わせた装置を用い、100V印加し1分経過後の抵抗値を測定することにより求めた。
フィルム化の際に、問題なくフィルム化できたものを○、フィルムが破断したものを×と判定した。
12.5μm厚みの絶縁性ポリイミドフィルムを目視し、透けないもを○、透けるものを×と判定した。
12.5μm厚みの絶縁性ポリイミドフィルムを目視し、マットな質感が得られているものを○、表面が光沢しており、マットな質感が得られていないものを×と判定した。
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)620.4gにp−フェニレンジアミン(p−PDA)を 10.1g、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−ODA)を56.2g添加して溶解させた後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を79.2g添加して60分攪拌し溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったPMDAのDMF溶液(PMDA2.45g/DMF31.6g)を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約18.5重量%、23℃での回転粘度が3200ポイズのポリアミド酸重合体溶液(a)を得た。
10℃に冷却したDMF620.5gに4,4’−ODAを59.9g添加して溶解させた後、PMDAを79.1g添加して60分攪拌し溶解させた。さらにこの溶液に別途調製してあったPMDAのDMF溶液(PMDA2.45g/DMF31.5g)を注意深く添加し、粘度が3000ポイズ程度に達したところで添加を止めた。1時間撹拌を行って固形分濃度約18.5重量%、23℃での回転粘度が3300ポイズのポリアミド酸重合体溶液(b)を得た。
DMF50gにカーボンブラック(エボニック インダストリーズ社製FW200、 pH2.5)を5g添加し、ホモジナイザーにて30分間撹拌した。さらにポリアミド酸重合体溶液(a)を100g添加し、ホモジナイザーにて10分間撹拌し、黒色顔料分散液(A)を得た。
カーボンブラック(三菱化学株式会社製MA8、pH3.0)を用いた以外は調整例1と同様にして黒色顔料分散液(B)を得た。
カーボンブラック(エボニック インダストリーズ社製Special Black4、pH3.0)を用いた以外は調整例1と同様にして黒色顔料分散液(C)を得た。
カーボンブラック(三菱化学株式会社製MA100R、pH3.5)を用いた以外は調整例1と同様にして黒色顔料分散液(D)を得た。
カーボンブラック(三菱化学株式会社製#2350、pH2.5)を用いた以外は調整例1と同様にして黒色顔料分散液(E)を得た。
カーボンブラック(エボニック インダストリーズ社製XPB235、pH8.0)を用いた以外は調整例1と同様にして黒色顔料分散液(F)を得た。
カーボンブラック(三菱化学株式会社製#2600、pH6.5)を用いた以外は調整例1と同様にして黒色顔料分散液(G)を得た。
カーボンブラック(三菱化学株式会社製#900、pH7.5)を用いた以外は調整例1と同様にして黒色顔料分散液(H)を得た。
DMF50gに酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製AL−43−L、α結晶粒径0.8μm)を5g添加し、ホモジナイザーにて30分間撹拌した。さらにポリアミド酸重合体溶液(a)を100g添加し、ホモジナイザーにて10分間撹拌し、フィラー分散液(I)を得た。
ポリアミド酸重合体溶液(a)40gに黒色顔料分散液(A)15.5g、フィラー分散液(I)15.5g、及び無水酢酸/3,5―ジエチルピリジン/DMF(重量比12.90/2.96/13.14)からなる硬化剤を29g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を138℃×60秒で加熱した後アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属枠に固定し、255℃×7秒、330℃×7秒、380℃×6秒、540℃×10秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmの絶縁性ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
表1に示すポリアミド酸重合体溶液、黒色顔料分散液、フィラー分散液を用いた以外は実施例1と同様にして厚み12.5μmの絶縁性ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1の絶縁性ポリイミドフィルムにエポキシ樹脂系熱硬化性接着フィルム(味の素ファインテクノ株式会社製、ABF−SH−9K)を重ねて、真空ラミネーターにて100℃、60秒の条件にて仮圧着し、絶縁性ポリイミドフィルム/接着層からなるカバーレイフィルムを得た。このカバーレイフィルムは遮光性が高く、マットな質感を有していた。また、株式会社カネカ製ピクシオに18μmの電解銅箔を張り合わせたフレキスブル銅張積層板にパターニングを施し、配線幅/配線間隔=25μm/25μmの配線パターンを有する配線基板を得、該配線基板上に該カバーレイフィルムを真空プレス機にて150℃/2MPa/60分の条件で積層し、フレキシブルプリント配線板を得た。得られたフレキシブルプリント配線板は遮光性が高く、マットな質感を有していた。また、85℃、85%RH、印加電圧100V、測定電圧100V、1000時間の条件にてマイグレーション試験を行ったところ、絶縁抵抗値は低下することなく、高い絶縁性を有していた。
ポリアミド酸重合体溶液(a)40gに黒色顔料分散液(F)15.5g、(I)15.5g及び無水酢酸/3,5―ジエチルピリジン/DMF(重量比12.90/2.96/23.14)からなる硬化剤を39g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を138℃×60秒で加熱した後アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属枠に固定し、255℃×7秒、330℃×7秒、380℃×7秒、540℃×10秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmの絶縁性ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
表1に示すポリアミド酸重合体溶液、黒色顔料分散液、フィラー分散液を用いた以外は比較例1と同様にして厚み12.5μmの絶縁性ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
ポリアミド酸重合体溶液(a)50gに黒色顔料分散液(H)15.5g、及び無水酢酸/3,5―ジエチルピリジン/DMF(重量比12.90/2.96/23.14)からなる硬化剤を39g添加して0℃以下の温度で攪拌・脱泡し、コンマコーターを用いてアルミ箔上に流延塗布した。この樹脂膜を138℃×60秒で加熱した後アルミ箔から自己支持性のゲル膜を引き剥がして金属枠に固定し、255℃×7秒、330℃×7秒、380℃×7秒、540℃×10秒で乾燥・イミド化させて厚み12.5μmの絶縁性ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
Claims (7)
- 黒色顔料と、無機フィラーとを含有する絶縁性ポリイミドフィルムであって、黒色顔料のpHが6.0以下であり該フィルムの12.5μm厚みでの全光線透過率が5%以下、且つ光沢度が5%以下、且つ体積抵抗率が2×1016Ω・cm以上であることを特徴とする絶縁性ポリイミドフィルム。
- 上記黒色顔料が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1に記載の絶縁性ポリイミドフィルム。
- 上記無機フィラーが、酸化チタン、雲母、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、リン酸カルシウム及びシリカからなる群から選ばれる少なくとも1種のフィラーであることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁性ポリイミドフィルム。
- ポリイミド樹脂100重量部に対して1〜15重量部の黒色顔料を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁性ポリイミドフィルム。
- ポリイミド樹脂100重量部に対して1〜15重量部のフィラーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁性ポリイミドフィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁性ポリイミドフィルムを用いてなるカバーレイフィルム。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁性ポリイミドフィルムを用いてなるフレキシブルプリント配線板。
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