JP2011105772A - B細胞に関連する癌に対する治療方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新生B細胞の増殖により特徴付けられる癌について、ヒト被験体を処置する方法を提供すること。
【解決手段】この方法は、併用抗体治療を、この被験体に対して行う工程を包含し、ここで、有効量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して、この被験体に投与される。本発明はさらに、薬学的に受容可能なキャリア中にこれらの抗体の組み合わせを含む薬学的組成物を含む。
【選択図】なし
【解決手段】この方法は、併用抗体治療を、この被験体に対して行う工程を包含し、ここで、有効量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントが、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して、この被験体に投与される。本発明はさらに、薬学的に受容可能なキャリア中にこれらの抗体の組み合わせを含む薬学的組成物を含む。
【選択図】なし
Description
(発明の分野)
本発明は、B細胞に関連する癌(特に、CD40細胞表面抗原およびCD20細胞表面抗原を発現する、新生細胞を含む癌)のための併用抗体治療の方法に関する。
本発明は、B細胞に関連する癌(特に、CD40細胞表面抗原およびCD20細胞表面抗原を発現する、新生細胞を含む癌)のための併用抗体治療の方法に関する。
(発明の背景)
白血病、リンパ腫、および骨髄腫は、米国のみで毎年100,000人より多い個人を襲っている。これらの病例の高い割合は、CD40抗原およびCD20抗原を発現する新生B細胞の増殖により特徴付けられる。CD40は、正常ヒトB細胞および新生ヒトB細胞の両方、樹状細胞、他の抗原提示細胞(APC)、内皮細胞、単球性の細胞ならびに上皮細胞の表面に存在する、55kDaの細胞表面抗原である。B細胞膜上のCD40へのCD40リガンドの結合は、B細胞の活性化およびB細胞の増殖を刺激する、陽性の同時刺激シグナルを提供し、高レベルの可溶性免疫グロブリンを分泌するプラスマ細胞へのB細胞の成熟を生じる。軽度のB細胞リンパ腫および重度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、ならびにホジキン病に罹った患者由来の形質転換細胞はCD40を発現する。CD40の発現はまた、急性骨髄芽球性白血病の病例の3分の2、およびAIDSに関連するリンパ腫の50%において検出されている。B細胞系統のいくつかの腫瘍由来の悪性B細胞は、高レベルのCD40を発現し、生存および増殖のためにCD40シグナル伝達に依存するようである。このことは、CD40抗原を抗癌治療のための潜在的な標的にする。
白血病、リンパ腫、および骨髄腫は、米国のみで毎年100,000人より多い個人を襲っている。これらの病例の高い割合は、CD40抗原およびCD20抗原を発現する新生B細胞の増殖により特徴付けられる。CD40は、正常ヒトB細胞および新生ヒトB細胞の両方、樹状細胞、他の抗原提示細胞(APC)、内皮細胞、単球性の細胞ならびに上皮細胞の表面に存在する、55kDaの細胞表面抗原である。B細胞膜上のCD40へのCD40リガンドの結合は、B細胞の活性化およびB細胞の増殖を刺激する、陽性の同時刺激シグナルを提供し、高レベルの可溶性免疫グロブリンを分泌するプラスマ細胞へのB細胞の成熟を生じる。軽度のB細胞リンパ腫および重度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、ならびにホジキン病に罹った患者由来の形質転換細胞はCD40を発現する。CD40の発現はまた、急性骨髄芽球性白血病の病例の3分の2、およびAIDSに関連するリンパ腫の50%において検出されている。B細胞系統のいくつかの腫瘍由来の悪性B細胞は、高レベルのCD40を発現し、生存および増殖のためにCD40シグナル伝達に依存するようである。このことは、CD40抗原を抗癌治療のための潜在的な標的にする。
CD20は、B細胞分化の初期に発現され、B細胞の発達の間、その細胞表面に留まる。CD20は、B細胞活性化に関連し、新生B細胞において、非常に高レベルで発現される。それゆえCD20は、臨床的に認められた治療上の標的である(例えば、非特許文献1を参照のこと)。CD20を標的とする抗体(例えば、Rituxan(登録商標))が、非ホジキンリンパ腫の処置に関して、米国食品薬品局により承認された(例えば、非特許文献2を参照のこと)。Rituxan(登録商標)は、軽度、中程度、および重度の非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する効果的な処置であることが示された(例えば、非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11を参照のこと)。
この作用の正確な機構は公知ではないが、証拠は、Rituxan(登録商標)の抗リンパ腫効果が、ある程度、補体介在性細胞障害(CMC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、細胞増殖の阻害に起因し、そして最終的にはアポトーシスの誘導を導くことを示唆する。しかしながら、何例かの患者は、Rituxan(登録商標)による処置に耐性となる(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。例えば、何例かの患者は、抗CD20抗体治療後に、悪性B細胞におけるCD20の発現を失う(非特許文献15)。その上、軽度のNHLを有する患者の30%〜50%は、このモノクローナル抗体に対し臨床的な応答を示さない(非特許文献6;非特許文献7)。このモノクローナル抗体に対し耐性を発達させている患者のために、または、この抗体による初期治療に耐性であるB細胞リンパ腫を有する患者のために、治療的介入の代替形態が必要とされる。
Hooijbergら、Cancer Research、1995、55:p.2627
Boyeら、Ann.Oncol.、2003、14:p.520
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Colombatら、Blood、2001、97:p.101−106
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Davisら、Clin.Cancer Res.、1999、5:p.611
したがって、抗体耐性を引き起こさず、そして抗体耐性が生じた場合に効果的な治療を提供し得る、B細胞に関連する癌に対する処置レジメンの必要性がある。したがって、単剤のRituxan(登録商標)と比較して、より優れた抗腫瘍活性を有する併用抗体治療の発見は、骨髄腫、白血病、およびリンパ腫(特に、B細胞リンパ腫)を有する個体に対する癌治療の方法を大幅に改良し得る。
(発明の要旨)
新生B細胞の増殖により特徴付けられる癌について、被験体を処置する方法が提供される。この方法は、CD40細胞表面抗原およびCD20細胞表面抗原を発現する新生B細胞に対する治療効果を有する、抗体の組み合わせを投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、相乗治療効果が生じ、これは、本発明を、単一のB細胞表面抗原を標的とする抗体治療に無反応性である癌を処置するのに、特に有用にする。
新生B細胞の増殖により特徴付けられる癌について、被験体を処置する方法が提供される。この方法は、CD40細胞表面抗原およびCD20細胞表面抗原を発現する新生B細胞に対する治療効果を有する、抗体の組み合わせを投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、相乗治療効果が生じ、これは、本発明を、単一のB細胞表面抗原を標的とする抗体治療に無反応性である癌を処置するのに、特に有用にする。
本発明の方法に従って、この方法を必要とする個体は、アンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)および抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)の組み合わせを投与される。本発明の方法における使用に適切なアンタゴニスト抗CD40抗体としては、ヒト細胞の表面に発現されたヒトCD40抗原に特異的に結合し得るモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが挙げられる。これらは、有意なアゴニスト活性を持たないが、ヒト細胞上のCD40抗原に結合されたとき(特に、新生ヒトB細胞上のCD40抗原に結合されたとき)、アンタゴニスト活性を示す。適切なモノクローナル抗CD40抗体は、ヒト定常領域を有する;好ましくは、これらはまた、完全にヒト化されたフレームワーク領域または部分的にヒト化されたフレームワーク領域も有する;そして最も好ましくは、これらは完全なヒト抗体またはその抗原結合フラグメントである。このようなモノクローナル抗CD40抗体の例は、組換え産生され得る、本明細書中でCHIR−5.9およびCHIR−12.12と称される抗体;131.2F8.5.9(本明細書中で細胞株5.9と呼ばれる)および153.8E2.D10.D6.12.12(本明細書中で細胞株12.12と呼ばれる)と称されるハイブリドーマ細胞株により産生されたモノクローナル抗体;配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される両方の配列、および配列番号6と配列番号8とに示される両方の配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;ならびに、ヒトCD40に特異的に結合する能力を保持するこれらのモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであり、これらは、有意なアゴニスト活性を持たないが、ヒト細胞上のCD40抗原に結合されたとき、アンタゴニスト活性を示す。このようなモノクローナル抗CD40抗体の例としてはまた、エピトープに結合するモノクローナル抗体であり、このエピトープは、ハイブリドーマ細胞株12.12により産生されるモノクローナル抗体またはハイブリドーマ細胞株5.9により産生されるモノクローナル抗体に結合し得る、モノクローナル抗体;配列番号10または配列番号12に示されるアミノ酸配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;競合結合アッセイにおいて、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9と競合するモノクローナル抗体;ならびに、モノクローナル抗体CHIR−12.12もしくはCHIR−5.9の抗原結合フラグメントまたは前述のモノクローナル抗体のいずれかの抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であり、ここで、このフラグメントはヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体が挙げられる。
本発明を実施するために適切な抗CD20抗体としては、キメラモノクローナル抗体IDEC−C2B8(Rituxan(登録商標)またはリツキシマブ);およびIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体(この抗CD20抗体は、競合結合アッセイにおいてIDEC−C2B8抗体と競合するか、またはIDEC−C2B8抗体に結合し得るエピトープに結合する)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法は、ハイブリドーマ(例えば、5.9または12.12)により産生されたアンタゴニスト抗CD40抗体が、抗CD20抗体(例えば、IDEC−C2B8)と併用して投与されたとき、特に効果的である。本発明はさらに、薬学的に受容可能なキャリア中のこのような抗体の組み合わせを含む薬学的組成物を含む。
本発明の方法は、B細胞リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫(重度のリンパ腫、中程度のリンパ腫、および軽度のリンパ腫)、ホジキン病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄腫、慢性リンパ性白血病、および骨髄芽球性白血病)を有する個体を処置するのに有用であり、そして、CD20細胞表面抗原を標的とする単一の抗体治療による処置に無反応性である、B細胞に関連する癌の処置のために、特に有用である。例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
新生B細胞増殖によって特徴付けられる癌についてヒト被験体を処置する方法であって、該方法は、該被験体に併用抗体治療を行う工程を包含し、該治療は、有効量の抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して投与する工程を包含し、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD40抗原に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さず、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下:
a)モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12;
b)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体;
c)配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される両方の配列、および配列番号6と配列番号8とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
d)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
e)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
f)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
g)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
h)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜89を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
i)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
j)前述の項目a)のモノクローナル抗体または前述の項目c)〜i)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体は組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
k)前述の項目a)〜j)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、方法。
(項目2)
前記併用抗体治療が、相乗的な治療効果を提供する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、連続投与される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、同時投与される、項目1に記載の方法。
(項目10)
新生B細胞増殖によって特徴付けられ、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置に対して無反応性である癌についてヒト被験体を処置する方法であって、該方法は、該被験体に併用抗体治療を行う工程を包含し、ここで、該治療は、有効量の抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを該抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して投与する工程を包含し、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD40抗原に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さず、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下:
a)モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12;
b)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体;
c)配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される両方の配列、および配列番号6と配列番号8とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
d)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
e)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
f)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
g)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
h)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜89を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
i)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
j)前述の項目a)のモノクローナル抗体または前述の項目c)〜i)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体は組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
k)前述の項目a)〜j)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、方法。
(項目11)
前記併用抗体治療が、相乗的な治療効果を提供する、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、連続投与される、項目10に記載の方法。
(項目18)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、同時投与される、項目10に記載の方法。
(項目19)
新生B細胞を含む腫瘍の増殖を阻害するための方法であって、該方法は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して有効量の抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントと該細胞とを接触させる工程を包含し、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD40抗原に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さず、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下:
a)モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12;
b)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体;
c)配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される両方の配列、および配列番号6と配列番号8とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
d)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
e)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
f)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
g)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
h)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜89を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
i)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
j)前述の項目a)のモノクローナル抗体または前述の項目c)〜i)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体は組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
k)前述の項目a)〜j)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、方法。
(項目20)
前記腫瘍の増殖が、相乗的に阻害される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記腫瘍が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される癌に関連する、項目19に記載の方法。
(項目26)
前記癌が、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置に対して無反応性である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目27に記載の方法。
(項目29)
新生B細胞増殖によって特徴付けられる癌についてヒト被験体を処置する方法であって、該方法は、該被験体に併用抗体治療を行う工程を包含し、該治療は、有効量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して投与する工程を包含し、該アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCD40抗原のドメイン2に特異的に結合し、ヒトCD40抗原のドメイン2に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さない、方法。
(項目30)
前記併用抗体治療が、相乗的な治療効果を提供する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体がヒト抗体である、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が組換え産生される、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、ハイブリドーマ細胞株5.9によって産生される抗体、およびハイブリドーマ細胞株12.12によって産生される抗体からなる群より選択される抗体の結合特異性を有する、項目29に記載の方法。
(項目34)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、特許受託番号PTA−5542としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体、および特許受託番号PTA−5543としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目35)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9の結合特異性を有する、項目29に記載の方法。
(項目36)
前記アンタゴニスト抗CD40が、配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合する、項目29に記載の方法。
(項目37)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントが、以下:
a)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
b)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
c)ハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
d)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
e)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
f)前述の項目a)〜e)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体が組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
g)CHIR−12.12モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントまたは前述の項目a)〜f)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目38)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目39)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目40)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目43)
前記癌が、前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置に対して無反応性である、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはモノクローナル抗体CHIR−12.12である、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、連続投与される、項目29に記載の方法。
(項目47)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、同時投与される、項目29に記載の方法。
(項目48)
新生B細胞を含む腫瘍の増殖を阻害するための方法であって、該方法は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して有効量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントと該細胞とを接触させる工程を包含し、該アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCD40抗原のドメイン2に特異的に結合し、ヒトCD40抗原のドメイン2に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さない、方法。
(項目49)
前記腫瘍の増殖が相乗的に阻害される、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体がヒト抗体である、項目48に記載の方法。
(項目51)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が組換え産生される、項目48に記載の方法。
(項目52)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、ハイブリドーマ細胞株5.9によって産生される抗体、およびハイブリドーマ細胞株12.12によって産生される抗体からなる群より選択される抗体の結合特異性を有する、項目48に記載の方法。
(項目53)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、特許受託番号PTA−5542としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体、および特許受託番号PTA−5543としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体からなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目54)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9の結合特異性を有する、項目48に記載の方法。
(項目55)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合する、項目48に記載の方法。
(項目56)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントが、以下:
a)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
b)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
c)ハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
d)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
e)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
f)前述の項目a)〜e)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体が組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
g)CHIR−12.12モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントまたは前述の項目a)〜f)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目57)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目58)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目59)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目62)
前記癌が、前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置に対して無反応性である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはモノクローナル抗体CHIR−12.12である、項目63に記載の方法。
(項目1)
新生B細胞増殖によって特徴付けられる癌についてヒト被験体を処置する方法であって、該方法は、該被験体に併用抗体治療を行う工程を包含し、該治療は、有効量の抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して投与する工程を包含し、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD40抗原に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さず、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下:
a)モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12;
b)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体;
c)配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される両方の配列、および配列番号6と配列番号8とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
d)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
e)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
f)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
g)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
h)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜89を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
i)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
j)前述の項目a)のモノクローナル抗体または前述の項目c)〜i)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体は組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
k)前述の項目a)〜j)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、方法。
(項目2)
前記併用抗体治療が、相乗的な治療効果を提供する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、連続投与される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、同時投与される、項目1に記載の方法。
(項目10)
新生B細胞増殖によって特徴付けられ、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置に対して無反応性である癌についてヒト被験体を処置する方法であって、該方法は、該被験体に併用抗体治療を行う工程を包含し、ここで、該治療は、有効量の抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを該抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して投与する工程を包含し、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD40抗原に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さず、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下:
a)モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12;
b)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体;
c)配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される両方の配列、および配列番号6と配列番号8とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
d)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
e)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
f)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
g)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
h)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜89を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
i)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
j)前述の項目a)のモノクローナル抗体または前述の項目c)〜i)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体は組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
k)前述の項目a)〜j)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、方法。
(項目11)
前記併用抗体治療が、相乗的な治療効果を提供する、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目17)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、連続投与される、項目10に記載の方法。
(項目18)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、同時投与される、項目10に記載の方法。
(項目19)
新生B細胞を含む腫瘍の増殖を阻害するための方法であって、該方法は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して有効量の抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントと該細胞とを接触させる工程を包含し、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD40抗原に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さず、該抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下:
a)モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12;
b)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体;
c)配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される両方の配列、および配列番号6と配列番号8とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
d)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
e)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
f)ハイブリドーマ細胞株5.9または12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
g)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
h)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜89を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
i)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
j)前述の項目a)のモノクローナル抗体または前述の項目c)〜i)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体は組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
k)前述の項目a)〜j)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、方法。
(項目20)
前記腫瘍の増殖が、相乗的に阻害される、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目22)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目23)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記腫瘍が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される癌に関連する、項目19に記載の方法。
(項目26)
前記癌が、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置に対して無反応性である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目27に記載の方法。
(項目29)
新生B細胞増殖によって特徴付けられる癌についてヒト被験体を処置する方法であって、該方法は、該被験体に併用抗体治療を行う工程を包含し、該治療は、有効量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して投与する工程を包含し、該アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCD40抗原のドメイン2に特異的に結合し、ヒトCD40抗原のドメイン2に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さない、方法。
(項目30)
前記併用抗体治療が、相乗的な治療効果を提供する、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体がヒト抗体である、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が組換え産生される、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、ハイブリドーマ細胞株5.9によって産生される抗体、およびハイブリドーマ細胞株12.12によって産生される抗体からなる群より選択される抗体の結合特異性を有する、項目29に記載の方法。
(項目34)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、特許受託番号PTA−5542としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体、および特許受託番号PTA−5543としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目35)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9の結合特異性を有する、項目29に記載の方法。
(項目36)
前記アンタゴニスト抗CD40が、配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合する、項目29に記載の方法。
(項目37)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントが、以下:
a)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
b)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
c)ハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
d)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
e)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
f)前述の項目a)〜e)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体が組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
g)CHIR−12.12モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントまたは前述の項目a)〜f)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目38)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目39)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目40)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目29に記載の方法。
(項目43)
前記癌が、前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置に対して無反応性である、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはモノクローナル抗体CHIR−12.12である、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、連続投与される、項目29に記載の方法。
(項目47)
前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと、前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントとが、同時投与される、項目29に記載の方法。
(項目48)
新生B細胞を含む腫瘍の増殖を阻害するための方法であって、該方法は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントと併用して有効量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントと該細胞とを接触させる工程を包含し、該アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCD40抗原のドメイン2に特異的に結合し、ヒトCD40抗原のドメイン2に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さない、方法。
(項目49)
前記腫瘍の増殖が相乗的に阻害される、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体がヒト抗体である、項目48に記載の方法。
(項目51)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が組換え産生される、項目48に記載の方法。
(項目52)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、ハイブリドーマ細胞株5.9によって産生される抗体、およびハイブリドーマ細胞株12.12によって産生される抗体からなる群より選択される抗体の結合特異性を有する、項目48に記載の方法。
(項目53)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、特許受託番号PTA−5542としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体、および特許受託番号PTA−5543としてATCCに寄託されたハイブリドーマ細胞株によって産生される抗体からなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目54)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9の結合特異性を有する、項目48に記載の方法。
(項目55)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体が、配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合する、項目48に記載の方法。
(項目56)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントが、以下:
a)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;
b)配列番号1に示される配列、配列番号3に示される配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;
c)ハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;
d)配列番号10または配列番号12に示されるヒトCD40配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;
e)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;
f)前述の項目a)〜e)のいずれか1項のモノクローナル抗体であって、該抗体が組換え産生される、モノクローナル抗体;ならびに
g)CHIR−12.12モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントまたは前述の項目a)〜f)のいずれか1項のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であって、該フラグメントは該ヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体
からなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目57)
前記アンタゴニスト抗CD40抗体の前記抗原結合フラグメントまたは前記抗CD20抗体の前記抗原結合フラグメントが、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメントおよび単鎖Fvフラグメントからなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目58)
前記抗CD20抗体が、ヒト抗CD20抗体、マウス抗CD20抗体、キメラ抗CD20抗体およびヒト化抗CD20抗体からなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目59)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはCHIR−12.12である、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫からなる群より選択される、項目48に記載の方法。
(項目62)
前記癌が、前記抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置に対して無反応性である、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記抗CD20抗体が、IDEC−C2B8であるか、またはIDEC−C2B8の結合特性を有する抗CD20抗体である、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記抗CD40抗体が、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはモノクローナル抗体CHIR−12.12である、項目63に記載の方法。
(発明の詳細な説明)
「腫瘍」とは、本明細書中で使用される場合、悪性であろうと良性であろうと、すべての新生物性の細胞成長および細胞増殖、ならびに前癌性および癌性の細胞および組織をいう。「新生物(性)の」とは、本明細書中で使用される場合、悪性であろうと良性であろうと、異常な組織成長を生じる無調節もしくは無秩序な細胞成長の任意の形態をいう。
「腫瘍」とは、本明細書中で使用される場合、悪性であろうと良性であろうと、すべての新生物性の細胞成長および細胞増殖、ならびに前癌性および癌性の細胞および組織をいう。「新生物(性)の」とは、本明細書中で使用される場合、悪性であろうと良性であろうと、異常な組織成長を生じる無調節もしくは無秩序な細胞成長の任意の形態をいう。
用語「癌」および「癌性の」は、代表的に、制御されていない細胞の増殖により特徴付けられる、哺乳動物における生理状態を指すか、または記載する。癌の例としては、リンパ腫および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。「B細胞に関連する癌」により、異常に制御された細胞増殖、または制御されていない細胞増殖がB細胞に関連する任意の型の癌が意図される。
癌の文脈において、「無反応性」によって、特定の癌が特定の治療因子を用いる治療に対して耐性であるかまたは非反応性であることが意図される。癌は、特定の治療因子を用いる処置の開始から(すなわち、その治療因子への最初の曝露に対して非反応性である)か、その治療剤への耐性を発達させる結果としてのいずれかで、その治療因子を用いる第1の処置期間にわたってかまたはその治療因子を用いるその後の処置期間の間、その特定の治療因子を用いる治療に対して無反応性であり得る。
「抗体」および「免疫グロブリン」(Ig)は、同一の構造的特徴を有する糖タンパク質である。この用語は、同意語として用いられる。いくつかの事例において、免疫グロブリンの抗原特異性が公知であり得る。
用語「抗体」は、最も広範な意味で使用され、完全に組み立てられた抗体、抗原に結合し得る抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、単鎖抗体、ダイアボディ(diabody)、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体、ヒト化抗体など)および上記のものを含む組換えペプチドを包含する。
用語「モノクローナル抗体」および「mAb」は、本明細書中で使用される場合、抗体の実質的に均質な集団(すなわち、その集団を構成する個々の抗体が、微量に存在し得る可能性のある天然に存在する変異を除いて同一である)から得られる抗体をいう。本明細書中で使用される場合、「抗CD40抗体」は、 CD40細胞表面抗原を特異的に認識する任意の抗体(ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、およびそれらのフラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、Fvおよび元の抗CD40抗体の抗原結合機能を保持する他のフラグメント)が挙げられる)を包含する。本発明の方法を行うために特に目的となるのは、本明細書中で以下に記載されるCHIR−5.9ヒト抗CD40モノクローナル抗体およびCHIR−12.12ヒト抗CD40モノクローナル抗体によって示される結合特性を有する抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントである。
本明細書において使用される場合、「抗CD20抗体」は、CD20細胞表面抗原を特異的に認識する、いかなる抗体(例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、および、もとの抗CD20抗体の抗原結合機能を保持する、これらの抗体のフラグメント(例えば、Fab、F(ab’)2、Fvおよび他のフラグメント))も包含する。本明細書の下記のIDEC−C2B8モノクローナル抗体により示される結合特性を有する、抗CD20抗体またはこの抗体の抗原結合フラグメントは、本発明の方法に対して特定の目的のものである。
「天然の抗体」および「天然の免疫グロブリン」は、通常は、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖とからなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質である。各々の軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合によって重鎖に連結されるが、ジスルフィド連結の数は様々な免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で変わる。各々の重鎖および軽鎖はまた、規則的に間隔の空いた鎖内ジスルフィド架橋を有する。各々の重鎖は、一端に可変ドメイン(VH)を有し、次にいくつかの定常ドメインが続く。各々の軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメインを有する;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一の定常ドメインと並置され、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並置される。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可ドメインと重鎖可変ドメインとの間で界面を形成すると考えられる。
用語「可変」とは、可変ドメインの特定の部分が抗体間で広範囲にわたって配列が異なる事実をいう。可変領域は、抗原結合特異性を与える。しかし、その可変性は、抗体の可変ドメインの全体にわたって均一に分布しない。可変性は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインの両方で相補性決定領域(CDR)または超可変領域と呼ばれる3つのセグメントに集中する。可変ドメインのうちより高度に保存される部分は、フレームワーク(FR)領域と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、各々、4つのFR領域を含み、これらの領域は、大部分はβプリーツシート配置をとり、βプリーツシート構造に結合する(場合によってはβシート構造の一部分を形成する)ループを形成する3つのCDRによって結合される。各々の鎖におけるCDRは、他の鎖由来のCDRと共にFR領域によって近接して一緒に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら(1991)NIH Publ.No.91−3242,Vol.I,647−669頁を参照のこと)。
定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接的に関連しないが、種々のエフェクター機能(例えば、Fcレセプター結合、抗体依存性の細胞の毒性における抗体の関与、補体依存性細胞毒性の惹起、および肥満細胞脱顆粒)を示す。
用語「超可変領域」とは、本明細書中で使用される場合、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基をいう。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」に由来するアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおける残基24〜34(L1)、残基50〜56(L2)および残基89〜97(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける残基31〜35(H1)、残基50〜65(H2)および残基95〜102(H3);Kabatら(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest(第5版、Public Health Service,National Institute of Health,Bethesda,MD))ならびに/あるいは「超可変ループ」に由来するアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおける残基26〜32(L1)、残基50〜52(L2)および残基91〜96(L3)、ならびに重鎖可変ドメインにおける残基26〜32(H1)、残基53〜55(H2)および残基96〜101(H3);ClothiaおよびLesk(1987)J.Mol.Biol.196:901−917)を含む。「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書中で判断されるように、超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab、F(ab’)2およびFvフラグメント;ダイアボディ;直鎖状抗体(Zapataら(1995)Protein Eng.8(10):1057−1062);単鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、各々単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合フラグメント(「Fab」フラグメントと呼ばれる)、および残りの「Fc」フラグメント(この名称は、容易に結晶化する能力を反映する)が生成される。ペプシン処理により、F(ab’)2フラグメントが得られ、これは、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原と架橋結合し得る。
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。この領域は、固く非共有結合した1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとのダイマーからなる。この構成において、各々の可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH−VLダイマーの表面における抗原結合部位を規定する。合わせて、6つのCDRが抗体に対する抗原結合特異性を与える。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に対して特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でも、抗原を認識し結合する能力を有するが、完全な結合部位よりは親和性は低い。
Fabフラグメントはまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第一の定常ドメイン(CH1)を含む。Fabフラグメントは、抗体のヒンジ領域由来の1以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端において、いくつかの残基が付加されている点でFab’フラグメントと異なる。Fab’−SHは、本明細書中で、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab’についての呼称である。Fab’フラグメントは、F(ab’)2フラグメントの重鎖ジスルフィド結合を還元することによって生成される。抗体フラグメントの他の化学結合もまた公知である。
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明らかに異なる型(カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる)の一方に割り当てられ得る。
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンが異なるクラスに割り当てられ得る。ヒト免疫グロブリンの5つの主要なクラスが存在する:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM、そしてこれらの中にはさらにサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAおよびIgA2)に分けられるものがある。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元配置は周知である。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有する。例えば、ヒトIgG1アイソタイプおよびIgG3アイソタイプは、ADCC(抗体依存性の細胞媒介性細胞毒性)活性を有する。
語句「標識」とは、本明細書中で使用される場合、「標識された」抗体を生成するように抗体に直接的または間接的に結合される検出可能な化合物または組成物をいう。標識は、それ自体で検出可能である(例えば、放射性同位体標識もしくは蛍光標識)か、または酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物もしくは組成物の化学的変化を触媒し得る。検出可能な標識として役立つ放射性核種としては、例えば、I−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212およびPd−109が挙げられる。標識はまた、毒素のように検出不可能な実体であり得る。
用語「アンタゴニスト」は、最も広い意味で使用され、本明細書中に開示される天然の標的の生物学的活性またはその転写もしくは翻訳を、部分的もしくは完全にブロック、阻害、または中和する任意の分子を包含する。
「キャリア」は、本明細書中で使用される場合、使用される投薬量および濃度でそのキャリアに曝露される細胞または哺乳動物に対して非毒性である、薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または安定剤を包含する。多くの場合、生理学的に受容可能なキャリアは、pH緩衝化水溶液である。生理学的に受容可能なキャリアの例としては、緩衝液(例えば、リン酸、クエン酸、コハク酸および他の有機酸);抗酸化物質(アルコルビン酸が挙げられる);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン);単糖類、二糖類および他の炭水化物(グルコース、マンノースまたはデキストリンが挙げられる);キレート剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);塩を形成する対イオン(例えば、ナトリウム);ならびに/あるいは非イオン性界面活性剤(例えば、TWEEN、ポリエチレングリコール(PEG)およびPluronics)が挙げられる。1以上のさらなる治療剤と「併用して」投与することは、同時(simultaneous(concurrent))投与および任意の順序での連続投与を包含する。
「宿主細胞」とは、本明細書中で使用される場合、組換えベクターまたは他の転移ポリヌクレオチドのためのレシピエントとして使用され得るかもしくは使用される単細胞性実体として培養された微生物または真核細胞もしくは細胞株をいい、トランスフェクトされた元の細胞の子孫を包含する。単一の細胞の子孫は、天然の変異、偶発的な変異または意図的な変異に起因して、形態またはゲノムもしくは全DNA補体において元の親と必ずしも完全に同一でなくてもよいことが理解される。
「ヒト効果細胞」は、1以上のFcRを発現し、かつエフェクター機能を果たす白血球である。好ましくは、その細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、抗原依存性の細胞媒介性細胞毒性(ADCC)のエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、マクロファージ、好酸球および好中球が挙げられ、PBMCおよびNK細胞が好ましい。ADCC活性を有する抗体は、代表的には、抗体のIgG1アイソタイプまたはIgG3アイソタイプである。IgG1抗体およびIgG3抗体を単離することに加えて、このようなADCCを媒介する抗体は、非ADCC抗体由来の可変領域またはIgG1アイソタイプもしくはIgG3アイソタイプ定常領域に対する可変領域フラグメントを操作することによって作製され得ることに注意すること。
用語「Fcレセプター」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合するレセプターを表すために使用される。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するもの(γレセプター)であり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスのレセプター(これらのレセプターの対立遺伝子改変体および代替的スプライス形態を含む)が挙げられる。FcγRIIレセプターとしてはFcγRIIA(「活性化レセプター」)およびFcγRIIB(「阻害レセプター」)が挙げられ、これらは、類似のアミノ酸配列を有し、その細胞質ドメインが主に異なる。活性化レセプターFcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫レセプターチロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含む。Daeron(1997)Annu.Rev.Immunol.15:203−234を参照のこと。FcRは、RavetchおよびKinet(1991)Annu.Rev.Immunol.9:457−492(1991);Capelら(1994)Immunomethods 4:25−34;およびde Haasら(1995)J.Lab.Clin.Med.126:330−341で概説される。他のFcR(将来同定されるものを含む)が、本明細書中の用語「FcR」に包含される。この用語はまた、新生児レセプターであるFcRnを包含し、これは、母性IgGの胎児への転移を担う(Guyerら(1976)J.Immunol.117:587およびKimら(1994)J.Immunol.24:249)。
用語「相乗効果」は、各それぞれの活性因子の個々の効果の合計を上回る、2以上の活性因子の組み合わされた効果を記載するために用いられる。従って、その2以上の活性因子の組み合わされた効果が活性またはプロセス(例えば、腫瘍増殖)に関して「相乗的阻害」を生じる場合、その活性またはプロセスの阻害が、各それぞれの活性因子の阻害効果の合計を上回ることが意図される。用語「相乗的治療効果」とは、2以上の治療の組み合わせを用いて観察される治療効果をいい、(多数のパラメータのうちのいずれかによって測定されるように)その治療効果は、それぞれの個々の治療を用いて観察される個々の治療効果の合計を上回る。
用語「治療上有効な用量」、「治療上有効な量」または「有効量」は、一定量の抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)と併用されて投与される場合、新生B細胞を含む癌についての被験体の処置に関して、おおよそ陽性の治療応答をもたらす、一定量のアンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)を意味することが意図される。
(抗CD40抗体および抗CD20抗体による併用治療)
本発明は、新生B細胞の増殖により特徴付けられる癌を有する被験体を処置するための方法に関する。そのような新生B細胞としては、リンパ腫(軽度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、エプスタイン−バーウイルス(EBV)誘発リンパ腫、およびAIDS関連リンパ腫、ならびにB細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄腫、慢性リンパ性白血病、および急性骨髄芽球性白血病など)由来の新生B細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、新生B細胞の増殖により特徴付けられる癌を有する被験体を処置するための方法に関する。そのような新生B細胞としては、リンパ腫(軽度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、エプスタイン−バーウイルス(EBV)誘発リンパ腫、およびAIDS関連リンパ腫、ならびにB細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄腫、慢性リンパ性白血病、および急性骨髄芽球性白血病など)由来の新生B細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法は、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントと抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントとによる併用抗体治療を包含する。本発明の方法は、CD40細胞表面抗原およびCD20細胞表面抗原の両方を発現する新生B細胞を含む癌(例えば、B細胞リンパ腫)の処置に、特に有用である。CD40抗原およびCD20抗原を発現し得るリンパ腫の例としては、B細胞急性リンパ芽球性白血病、ホジキン病、びまん性小リンパ球性リンパ腫(diffuse small lymphocytic lymphoma)、前リンパ球性白血病(prolymphocytic leukemia)、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫症、免疫芽球性リンパ腫、およびAIDS関連リンパ腫などが挙げられるが、これらに限定されない。
したがって、本発明の方法は、異常な、制御不可能なB細胞の増殖または蓄積に関する非ホジキンリンパ腫の処置における使用を見出す。本発明の目的に関して、このようなリンパ腫は、Working Formulation分類スキームにしたがって呼ばれ、低悪性度、中悪性度、および高悪性度として分類されるB細胞リンパ腫である(「The Non−Hodgkin’s Lymphoma Pathologic Classification Project」Cancer 49(1982):2112−2135を参照のこと)。したがって、低悪性度B細胞リンパ腫としては、小リンパ球性の、濾胞性小型切れ込みリンパ腫(follicular small cleaved lymphoma)、および濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫(follicular mixed small cleaved lymphoma)と濾胞性大細胞リンパ腫との混合型リンパ腫が挙げられ;中悪性度リンパ腫としては、濾胞性大細胞リンパ腫、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫(diffuse small cleaved cell lymphoma)、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫とびまん性大細胞リンパ腫との混合型リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫が挙げられ;そして高悪性度リンパ腫としては、バーキット型および非バーキット型の、大細胞免疫芽球性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫および小型非切れ込み細胞性リンパ腫が挙げられる。
本発明の方法が、Revised European and American Lymphom Classification(REAL)システムにしたがって分類されるB細胞リンパ腫の治療的処置に有用であることが、認識される。このようなB細胞リンパ腫としては、前駆B細胞新生物として分類されるリンパ腫(例えば、Bリンパ芽球性白血病/リンパ腫;末梢B細胞新生物(慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞様リンパ腫/免疫細胞腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、小胞中心リンパ腫(濾胞性)(びまん性小細胞リンパ腫、びまん性の小細胞型と大細胞型との混合型、およびびまん性大細胞型リンパ腫が挙げられる)、辺縁層B細胞リンパ腫(結節外性、結節性、および脾臓型が挙げられる)、ヘアリーセル白血病、プラスマ細胞腫/骨髄腫、原発性縦隔リンパ腫の(胸腺の)サブタイプのびまん性大細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、およびバーキット様の高悪性度B細胞リンパ腫が挙げられる);急性白血病;急性リンパ性白血病;骨髄芽球性白血病;急性骨髄性白血病;前骨髄球性白血病;骨髄単球性白血病;単球性白血病;赤白血病;顆粒球性白血病(慢性骨髄性白血病);慢性リンパ性白血病;真性赤血球増加症;多発性骨髄腫;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;H鎖病;および分類できない低悪性度B細胞リンパ腫または高悪性度B細胞リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
特に、本発明の方法は、第一線の腫瘍治療上の処置に無反応性である(すなわち、耐性であるか、または耐性となった)B細胞リンパ腫(例えば、上に列挙されたもの)を処置するのに有用である。用語「腫瘍治療の」は、癌に対する治療(例えば、化学療法、手術、放射線治療、単剤の抗癌抗体治療、およびこれらの併用)を意味することを意図される。
「処置」は、本明細書中で、被験体に対するアンタゴニスト抗CD40抗体もしくはその抗原結合フラグメントの適用または投与、あるいは被験体由来の単離された組織または細胞株に対するアンタゴニスト抗CD40抗体もしくはその抗原結合フラグメントの適用または投与(この被験体またはこの被験体由来の単離した組織もしくは細胞株に対する抗CD20抗体もしくはその抗原結合フラグメントの適用あるいは投与と組み合わせた)として定義され、この被験体は、疾患、疾患の症状、または疾患についての素因を有し、ここでこの目的は、その疾患、その疾患の症状、もしくはその疾患についての素因を、治癒する(cure)か、治癒する(heal)か、緩和するか、軽減するか、変化させるか、治療するか、寛解させるか、改善するか、またはそれらに影響をおよぼすことである。「処置」によって、アンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)とIL−2(またはその生物学的に活性な改変体)との組み合わせが、単一の薬学的組成物の一部としてか、あるいは代替的にこのアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)または抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)のいずれかを含有する個々の薬学的組成物の一部として、上記被験体またはこの被験体から単離した組織もしくは細胞株に対して適用されても投与されて得ることが意図され、この被験体は、疾患、疾患の症状、または疾患についての素因を有し、この目的は、その疾患、その疾患の症状、もしくはその疾患についての素因を、治癒する(cure)か、治癒する(heal)か、緩和するか、軽減するか、変化させるか、治療するか、寛解させるか、改善するか、またはそれらに影響をおよぼすことである。
本発明の方法に使用するのに適切なアンタゴニスト抗CD40抗体は、ヒト細胞の表面上に発現されるヒトCD40抗原に、特異的に結合し、そしてヒトCD40発現細胞上のCD40抗原に結合される場合に有意なアゴニスト活性を有さないがアンタゴニスト活性を示し、これらの細胞としては、正常なヒト細胞および新生物(悪性であるか良性であるかにかかわらず)のヒト細胞が挙げられる。いくつかの実施形態において、ヒト細胞の表面上に提示されるCD40に対するそれらの結合は、これらのヒト細胞の増殖および分化の阻害を生じる。したがって、本発明の方法に使用するのに適切なアンタゴニスト抗CD40抗体としては、細胞表面CD40抗原を発現する、正常なヒト細胞および新生物のヒト細胞に対してアンタゴニスト活性を示し得る、これらのモノクローナル抗体が挙げられる。これらの抗CD40抗体およびその抗原結合フラグメントは、本明細書中で、「アンタゴニスト抗CD40抗体」と称される。このような抗体としては、以下に記載される完全ヒトモノクローナル抗体CHIR−5.9および完全ヒトモノクローナル抗体CHIR−12.12、ならびにモノクローナル抗体CHIR−5.9およびモノクローナル抗体CHIR−12.12の結合特性を有するモノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。組換え産生され得るこれらのモノクローナル抗体は、以下に記載され、そして発明の名称「Antagonist Anti−CD40 Monoclonal Antibodies and Methods for Their Use」である、2003年11月4日、2003年11月26日および2004年4月27日に出願され、それぞれ、米国特許出願第60/517,337号(代理人事件番号PP20107.001(035784/258442))、同第60/525,579号(代理人事件番号PP20107.002(035784/271525))、および同第60/565,710号(代理人事件番号PP20107.003(035784/277214))と割り当てられた同時係属中の仮特許出願(その各々の内容はその全体が参考として本明細書中に援用される)で開示されている。
モノクローナル抗体CHIR−5.9およびモノクローナル抗体CHIR−12.12に加えて、本明細書中に記載される本発明の方法の実施において有用であり得る他のCD40抗体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)131.2F8.5.9(本明細書中で細胞株5.9と称される)および153.8E2.D10.D6.12.12(本明細書中で細胞株12.12と称される)(それぞれ、特許受託番号PTA−5542および特許受託番号PTA−5543としてATCCに寄託された)で表されるハイブリドーマ細胞株によって産生されるモノクローナル抗体;(2)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される配列の両方、および配列番号2と配列番号5とに示される配列の両方からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;(3)配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される配列の両方、および配列番号6と配列番号8とに示される配列の両方からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;(4)配列番号1に示されるヌクレオチド配列、配列番号3に示されるヌクレオチド配列、および配列番号1と配列番号3とに示される配列の両方からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によってコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;(5)ハイブリドーマ細胞株5.9またはハイブリドーマ細胞株12.12によって産生されるモノクローナル抗体に結合し得るエピトープに結合するモノクローナル抗体;(6)配列番号10または配列番号12に示されるアミノ配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;(7)競合結合アッセイにおいてモノクローナル抗体CHIR−5.9またはモノクローナル抗体CHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;ならびに(8)CHIR−12.12モノクローナル抗体またはCHIR−5.9モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントまたは上述の項目(1)〜(7)のモノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体(ここで、このフラグメントはヒトCD40抗原に対して特異的に結合する能力を保持する)。本明細書中に開示される方法において使用するのに適切なこれらの抗体の抗体および抗原結合フラグメントとしては、当該分野において周知でありかつ本明細書中の以下に記載される方法を使用して、組換え的に産生される抗体およびその抗原結合フラグメントが挙げられ、これらとしては、例えば、組換え産生されたモノクローナル抗体CHIR−5.9およびモノクローナル抗体CHIR−12.12が挙げられる。
本発明の方法における使用に適する抗CD20抗体は、ヒト細胞の表面に発現されるヒトCD20抗原に、特異的に結合する。本発明の実施において有用な、この抗CD20抗体は、1つまたは多数の作用機構を有し得る。本発明の方法は、いかなる特定の作用機構によっても拘束されないが、抗CD20抗体は、少なくとも、標的細胞における、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞障害(CDC)、増殖のダウンレギュレーション、およびアポトーシスを誘導することが示された。このような抗体としては、抗体IDEC−C2B8(Biogen Idec Pharmaceuticals Corp.,Cambridge,Massachusetts;商標名Rituxan(登録商標)のもとに市販され、リツキシマブとも呼ばれる)(マウス抗CD20モノクローナル抗体(IDEC−2B8(Reffら(1994)Blood 83:435−445;米国特許第5,736,137号もまた参照のこと))から単離されたマウス可変領域を伴うヒトIgG1定常領域およびヒトκ定常領域を含むキメラ抗CD20モノクローナル抗体);Biogen IDEC Pharmaceuticals Corp.(Cambridge、Massachusetts)により製造される、放射性標識抗CD20抗体Zevalin(登録商標)(イブリツモマブ チウキセタン(Ibritumomab tiuxetan));Corixa Corp.(Seattle Washington)により製造される、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ(Tositumomab)、リツキシマブのマウス版であり、ヨウ素(I−131)標識されたトシツモマブと組み合わされる);完全なヒト抗体HuMax−CD20;R−1594;IMMU−106;TRU−015;AME−133;および、IDEC−C2B8の結合特性を有するモノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、このIDEC−C2B8の結合特性は、IDEC−C2B8の結合特異性であり、CD20を発現するB細胞上のCD20抗原に結合されるとき、以下の1つ以上の活性を誘導する能力である:(1)抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);(2)補体依存性細胞障害(CDC)、(3)B細胞の増殖のダウンレギュレーション;および(4)標的細胞におけるアポトーシス。これらの活性を誘導する抗CD20抗体の能力を測定するためのインビトロアッセイおよびインビボアッセイは、当該分野において周知である。例えば、米国特許第5,736,137号(この全体について、本明細書において参考として援用される)において開示されたアッセイを参照のこと。本発明の方法を実施することにおいて有用な他の抗体は、放射性標識(例えば、In−111およびY−90)および他の治療剤(例えば、毒素)に結合されたマウス抗CD20抗体およびヒト抗CD20抗体である。
上で言及され、そして、本明細書の以下で十分に記載されるアンタゴニスト抗CD40抗体および抗CD20抗体を使用することに加えて、本発明の方法は、モノクローナル抗体CHIR−5.9、CHIR−12.12、またはIDEC−C2B8の結合特性を有し、かつ、それら各々の抗原へのそれらの抗体の結合を競合的に妨害するか、または同一のエピトープに結合する抗体を使用して実施され得る。当業者は、標準的な方法を使用して、抗体が、CHIR−5.9、CHIR−12.12、またはIDEC−C2B8の結合を競合的に妨害するかどうかを決定し得る。
抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)およびアンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)による併用治療は、これらの抗癌剤のいずれか単独の使用により提供される治療上の利益より大きな治療上の利益を提供する。加えて、これら2つの型の抗体は、単一の抗体治療に対する初期耐性の結果としてか、または単一の抗体による治療に関して1以上の時間経過の間に発達する耐性の結果として、この単一の抗体治療(特に、抗CD20抗体治療)による処置に無反応性である腫瘍を処置するため、組み合わせて使用され得る。さらに他の実施形態において、これら2つの抗体による併用治療は、単一の抗体治療に対して無反応性である腫瘍、または反応性(すなわち、感受性)である腫瘍に対する相乗的な治療効果を有する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、抗CD20モノクローナル抗体IDEC−C2B8および抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12による併用治療を包含する。他の実施形態において、本発明の方法は、抗CD20モノクローナル抗体IDEC−C2B8および抗CD40モノクローナル抗体CHIR−5.9による併用治療を包含する。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、抗CD20モノクローナル抗体IDEC−C2B8の抗原結合フラグメントおよび抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12またはCHIR−5.9の抗原結合フラグメントによる併用治療を包含する。代替の実施形態において、本発明の方法は、抗CD20モノクローナル抗体IDEC−C2B8および抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12またはCHIR−5.9の抗原結合フラグメントによる併用治療を包含する。他の実施形態において、本発明の方法は、抗CD20モノクローナル抗体IDEC−C2B8の抗原結合フラグメントおよび抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12またはCHIR−5.9による併用治療を包含する。本明細書に記載される併用治療は、処置プロセスにおいて、CD20抗原およびCD40抗原の両方が標的とされる限り、他のバリエーションを包含し得る。
複数のパラメータは、処置効能を示し得る。パラメータとしては、この腫瘍質量の大きさにおける低減;この癌の転移侵襲性における低減;癌の増殖速度における低減;腫瘍関連性の後遺症(例えば、悪液質の産生および腹水の産生)の重症度または頻度における減少;腫瘍関連性の合併症(例えば、病的な骨の破損、自己免疫性溶血性貧血、前リンパ球性変換(prolymphocytic transformation)、およびリクター症候群など)の減少および/または予防;化学療法および他の処置へのこの癌の感作;増進した患者の生存の割合;改善された予後(例えば、増加した腫瘍浸潤性のリンパ球および減少した腫瘍血管新生)の観察された臨床上の相関関係のある事物における増進などが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、いくつかの実施形態において、これら2つの型の抗体の組み合わせの投与は、処置を受ける患者(すなわち、被験体)における1つ以上のこれらのパラメータの改善をもたらす。他の実施形態において、この患者における改善は、数個のパラメータについて相乗的であるが、他のものについては付加的である。
癌処置に関する「陽性の治療上の応答」により、これらの抗体もしくはそのフラグメントの抗腫瘍活性に関連する、この疾患における改善、および/または、この疾患に関連する症状における改善が意図される。すなわち、抗増殖効果、さらなる腫瘍の増殖の予防、腫瘍の大きさにおける低減、癌細胞の数における低減、および/または新生B細胞により介在される1つ以上の症状における減少が観察され得る。それゆえ、例えば、この疾患における改善は、完全な応答として特徴付けられ得る。「完全な応答」により、いかなる以前の異常な放射線写真調査(骨髄および脳脊髄液(CSF))の正規化によっても臨床的に検出可能な疾患が存在しないことが意図される。このような応答は、本発明の方法に従った処置後、少なくとも1ヶ月持続すべきである。あるいは、この疾患における改善は、部分的な応答であるとして分類され得る。「部分的な応答」により、新たな病変が無く、かつ少なくとも1ヶ月持続する、全ての測定可能な腫瘍負荷(すなわち、この被験体において存在する腫瘍細胞の個数)における少なくとも約50%の減少が意図される。このような応答は、測定可能な腫瘍に限り、適用可能である。
腫瘍応答は、スクリーニング技術(例えば、磁気共鳴画像(MRI)スキャン、X線写真による画像化、コンピュータ断層映像(CT)スキャン、フローサイトメトリーまたは蛍光活性細胞分析分離(FACS)分析、生物発光の画像化(例えば、ルシフェラーゼによる画像化、骨のスキャンの画像化、および骨髄穿刺(BMA)を含む腫瘍生検の標本化)を使用して、腫瘍の形態学(すなわち、全体の腫瘍負荷、腫瘍の大きさなど)における変化について評価され得る。これらの正の治療的応答に加えて、処置を受ける被験体は、その疾患に関連した症状の改善に関する有益な効果を経験し得る。したがって、B細胞の腫瘍に関して、この被験体は、いわゆるB症状(すなわち、寝汗、発熱、体重減少、および/または蕁麻疹)の低下を経験し得る。
「治療上有効な用量」、「治療上の有効量」または「有効量」により、抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)の量と組み合わせて投与されるとき、新生B細胞を含む癌に対する被験体の処置に関して、陽性の治療上の応答を引き起こすアンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)の量が意図される。本発明のいくつかの実施形態において、抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)またはアンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)の治療上有効な用量は、約0.01mg/kgから約40mg/kgまで、約0.01mg/kgから約30mg/kgまで、約0.1mg/kgから約30mg/kgまで、約1mg/kgから約30mg/kgまで、約3mg/kgから約30mg/kgまで、約3mg/kgから約25mg/kgまで、約3mg/kgから約20mg/kgまで、約5mg/kgから約15mg/kgまで、または約7mg/kgから約12mg/kgまでの範囲内である。この処置法は、本発明の実施において有用な抗体の組み合わせの治療上有効な用量についての単一の投与、または、抗体の組み合わせの治療上有効な用量についての複数の投与を含み得ることが認識される。
臨床上の効能を予測する1つの方法は、適切なモデルにおける、これらの抗体による併用治療の効果を測定することである:例えば、マウス癌モデルにおける抗CD20抗体およびアンタゴニスト抗CD40抗体の組み合わせの使用。これらのモデルとして、ヌードマウス異種移植腫瘍モデル(例えば、NamalwaおよびDaudiとして公知であるヒトバーキットリンパ腫細胞株を使用するもの)が挙げられる。いくつかの実施形態において、抗腫瘍活性は、米国特許出願シリアル番号60/525,579(代理人整理番号PP20107.002(035784/271525))に記載される、Daudiヒトリンパ腫細胞株を使用する、段階づけられたヌードマウス異種移植腫瘍モデルにおいてアッセイされる。一般的に、段階づけられたヌードマウス異種移植腫瘍モデルは、段階づけられていないモデルに比べ、特定の抗体の治療上の効能を見分けることにおいて、より効果的である。というのは、段階づけられたモデルにおいて、抗体の投与は、この腫瘍が測定可能な大きさに達した後、初めて開始されるからである。段階づけられていないモデルにおいて、抗体の投与は、一般的に、腫瘍の接種の約1日以内に、かつ触知可能な腫瘍が存在する前に、開始される。段階づけられたモデルにおける増進した抗腫瘍活性を示す抗体の能力は、この抗体が治療上効果的であることの強力な指示である。
本発明の方法は、併用治療を使用する工程を包含する。用語「併用」は、その最も広い意味において使用され、被験体が少なくとも2つの治療レジメンにより処置されることを意味する。したがって「併用抗体治療」は、被験体が少なくとも2つの抗体レジメン(より特に、少なくとも1つの抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)と組み合わせた、少なくとも1つの抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)、しかしこの異なる抗体レジメンの適用のタイミングは、これらの抗体の併用の有益な効果が達成される限り、変動され得る)により処置されることを意味することを意図される。アンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)と組み合わせた抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)による処置は、同時的(同時発生的)、連続的(連続発生的)、またはその併用であり得る。したがって、併用抗体治療を受ける被験体は、両方の物質の併用の治療効果が治療を受けるこの被験体中でもたらされる限り、同一の時間に(すなわち、同時に)か、または異なる時間に(すなわち、連続的に、同日または異なる日にいずれかの順序で)両方の抗体を受容し得る。いくつかの実施形態において、抗体の併用は、1回の投薬のために同時に与えられる。しかし他の投薬として、同日または異なる日におけるいずれかの順序での連続的投与が挙げられる。連続的投与は、この被験体が、最初のモノクローナル抗体の投与に応答するかどうかに関わりなく、実行され得る。この2つの抗体が同時に投与される場合、これらは、それぞれ抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)か、もしくはアンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)のいずれかを含む、別個の薬学的組成物として投与され得るか、または、これら両方の抗癌剤を含む単一の薬学的組成物として投与され得る。
その上、この処置は、変動する投薬レジメンと同様に変動する用量により完遂され得る。いくつかの実施形態において、1つのモノクローナル抗体の用量は、これらの用量の併用が、多数の治療上のパラメータのうちの任意の1つ以上を処置することにおいて効果的である限り、その他のモノクローナル抗体の投与される用量と異なる。これらの処置レジメンは、治療効果(例えば、上記のもの)を最大にする用量および投薬計画に基づく。当業者は、いかなる1つのモノクローナル抗体の用量も、個々に投与される場合、治療上効果的ではないが、その他の抗体と併用して投与される場合、治療上効果的であることを認識する。例えば、単独で投与された抗CD20抗体は治療上効果的でなかった一方、単独で投与されたアンタゴニスト抗CD40抗体は、リツキシマブ耐性ヒトリンパ腫異種移植の増殖を有意に阻害した、図1を参照のこと。これら2つの抗体が併用して投与された場合、相乗的な抗腫瘍活性が観察された。したがって、いくつかの実施形態において、抗CD20抗体およびアンタゴニスト抗CD40抗体の併用の治療上効果的な用量は、単独で投与される場合、治療上効果的でないか、または、互いに併用して投与される場合よりも治療上効果的でない、個々の活性薬剤の用量を含み得る。
いくつかの実施形態において、この抗体は、等量で投与され得る。したがって、等量の投薬レジメンが意図される場合、このアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12またはCHIR−5.9)は、約0.003mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kg、約7mg/kg、または約10mg/kgで投薬され、この抗CD20抗体(例えば、IDEC−C2B8(Rituxan(登録商標)))もまた、それぞれ約0.003mg/kg、約0.01mg/kg、約0.03mg/kg、約0.1mg/kg、約0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約1.5mg/kg、約2mg/kg、約2.5mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kg、約7mg/kg、または約10mg/kgの等量の用量で投薬される。他の実施形態において、これらの抗体は、不等な量で投与され得る。
当業者は、本明細書中で開示される併用抗体治療法が、他の形態の腫瘍治療前に、他の形態の腫瘍治療後に、または、他の形態の腫瘍治療と同時に使用され得ることを認識する。このような腫瘍治療としては、化学療法レジメン(例えば、CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、ICE(イホスファミド、カルボプラチン、およびエトポシド)、ミトザントロン(Mitozantrone)、シタラビン、DVP(ダウノルビシン、プレドニゾン、およびビンクリスチン)、ATRA(全トランス型レチノイン酸)、イダルビシン、ヘルツァー(hoelzer)化学療法レジメン、LaLa化学療法レジメン、ABVD(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン)、CEOP(シクロホスファミド、エピルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン)、CEOP−BE(シクロホスファミド、エピルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシン、およびエトポシド)、2−CdA(2−クロロデオキシアデノシン(2−CDA)、FLAG&IDA(フルダラビン、シタラビン、およびイダルビシン;続くG−CSF処置を伴ってか、または伴わないで))、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン、およびデキサメタゾン)、M&P(メルファランおよびプレドニゾン)、CーWeekly(シクロホスファミドおよびプレドニゾン)、ABCM(アドリアマイシン(ドキソルビシン)、BCNU、シクロホスファミド、およびメルファラン)、MOPP(ナイトロジェンマスタード、オンコビン、プロカルバジン、およびプレドニゾン)、およびDHAP(デキサメタゾン、高用量のara−C、およびプラチノール(platinol))による処置)が挙げられ得る。代替的に、このような腫瘍治療としては、放射線治療(例えば、骨髄機能を廃絶する(myleoablative)治療)が挙げられ得る。それゆえ、本発明の方法は、このような腫瘍治療後、インビボか、またはエクスビボのいずれかで、残余の腫瘍細胞を殺す同時処置としての使用を見出す。
(アンタゴニスト抗CD40抗体)
モノクローナル抗体CHIR−5.9およびモノクローナル抗体CHIR−12.12は、本発明の方法において使用するのに適切なアンタゴニスト抗CD40抗体を示す。CHIR−5.9抗体およびCHIR−12.12抗体は、ハイブリドーマ細胞株131.2F8.5.9(本明細書中で細胞株5.9と称される)および153.8E2.D10.D6.12.12(本明細書中で細胞株12.12と称される)から産生されるIgG1アイソタイプの完全ヒト抗CD40モノクローナル抗体である。これらの細胞株は、ヒトIgG1重鎖遺伝子座およびヒトκ鎖遺伝子座を含む免疫異種マウス(Abgenix)由来の脾細胞を用いて作製された。その脾臓細胞は、マウス骨髄腫SP2/0細胞と融合された(Sierra BioSource)。得られたハイブリドーマは数回サブクローニングされて、安定なモノクローナル細胞株5.9およびモノクローナル細胞株12.12が作製された。本発明の他の抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座についてトランスジェニックであるマウスを用いてか、または当該分野で公知および/もしくは本明細書中に記載される他の方法によって同様に調製され得る。
モノクローナル抗体CHIR−5.9およびモノクローナル抗体CHIR−12.12は、本発明の方法において使用するのに適切なアンタゴニスト抗CD40抗体を示す。CHIR−5.9抗体およびCHIR−12.12抗体は、ハイブリドーマ細胞株131.2F8.5.9(本明細書中で細胞株5.9と称される)および153.8E2.D10.D6.12.12(本明細書中で細胞株12.12と称される)から産生されるIgG1アイソタイプの完全ヒト抗CD40モノクローナル抗体である。これらの細胞株は、ヒトIgG1重鎖遺伝子座およびヒトκ鎖遺伝子座を含む免疫異種マウス(Abgenix)由来の脾細胞を用いて作製された。その脾臓細胞は、マウス骨髄腫SP2/0細胞と融合された(Sierra BioSource)。得られたハイブリドーマは数回サブクローニングされて、安定なモノクローナル細胞株5.9およびモノクローナル細胞株12.12が作製された。本発明の他の抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座についてトランスジェニックであるマウスを用いてか、または当該分野で公知および/もしくは本明細書中に記載される他の方法によって同様に調製され得る。
CHIR−12.12抗体の可変領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列、ならびにCHIR−5.9の可変領域のアミノ酸配列は、発明の名称「Antagonist Anti−CD40 Monoclonal Antibodies and Methods for Their Use」である、2003年11月4日、2003年11月26日および2004年4月27日に出願され、それぞれ、米国特許出願番号第60/517,337号(代理人事件番号PP20107.001(035784/258442))、同第60/565,710号(代理人事件番号PP20107.002(035784/271525))、および同第60/525,579号(代理人事件番号PP20107.003(035784/277214))と指定された同時係属中の仮特許出願に開示され、その各々の内容はその全体が参考として本明細書中に援用される。mAb CHIR−12.12の軽鎖ならびに重鎖についてのリーダー領域、可変領域および定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ、本明細書中で図2Aおよび図2Bに示される。また、配列番号2(mAb CHIR−12.12の軽鎖についての完全配列)、配列番号4(mAb CHIR−12.12の重鎖についての完全配列)、および配列番号5(配列番号4に示されるmAb CHIR−12.12の重鎖の改変体についての完全配列、ここで、この改変体は配列番号4の位置153においてアラニン残基に対するセリン置換を含む)を参照のこと。mAb CHIR−12.12についての軽鎖および重鎖をコードするヌクレオチド配列は、それぞれ、本明細書中で図3Aおよび図3Bに示される。また、配列番号1(mAb CHIR−12.12の軽鎖についてのコード配列)、および配列番号3(mAb CHIR−12.12の重鎖についてのコード配列)を参照のこと。CHIR−5.9 mAbの軽鎖ならびに重鎖についてのリーダー領域、可変領域および定常領域のアミノ酸配列は、それぞれ、本明細書中で図4Aおよび図4Bに示される。また、配列番号6(mAb CHIR−5.9の軽鎖についての完全配列)、配列番号7(mAb CHIR−5.9の重鎖についての完全配列)、および配列番号8(配列番号7に示されるmAb CHIR−5.9の重鎖の改変体についての完全配列、ここで、配列番号7の位置158においてアラニン残基に対するセリン置換を含む)を参照のこと。さらに、CHIR−5.9抗体およびCHIR−12.12抗体を発現するハイブリドーマは、それぞれ、PTA−5542およびPTA−5543の特許寄託表示でATCCに寄託されている。
アンタゴニスト活性に加えて、抗CD40抗体は、腫瘍細胞に対する作用に関して別の機構を有し得る。例えば、天然のCHIR−5.9抗体およびCHIR−12.12抗体は、ADCC活性を有する。あるいは、CHIR−5.9抗体およびCHIR−12.12抗体の可変領域は、ADCC活性を有する別の抗体のアイソタイプで発現され得る。また、CHIR−5.9またはCHIR−12.12の天然の形態、組換え形態または抗原結合フラグメントを、細胞毒、治療因子または放射性同位体に結合させることが可能である。
CHIR−5.9モノクローナル抗体およびCHIR−12.12モノクローナル抗体は、ELISA型アッセイにおいて可溶性CD40に結合し、フローサイトメトリーアッセイによって決定されるように細胞表面CD40に対するCD40リガンドの結合を妨げ、予め結合したCD40リガンドを置き換える。抗体CHIR−5.9および抗体CHIR−12.12は、互いにCD40に対する結合のために競合するが15B8とは競合せず、この15B8は、発明の名称「Human Anti−CD40 Antibodies」である、2000年10月2日に出願された米国仮特許出願番号第60/237,556号および発明の名称「Human Anti−CD40 Antibodies」である、2001年10月2日に出願されたPCT国際出願番号第PCT/US01/30857(代理人事件番号PP16092.003)に記載される抗CD40モノクローナル抗体であり、これらの両方が参考としてその全体が本明細書中で援用される。健常なヒト被験体由来のB細胞の増殖における効果についてインビトロで試験される場合、CHIR−5.9およびCHIR−12.12は、アンタゴニスト抗CD40抗体として作用する。さらに、CHIR−5.9およびCHIR−12.12は、健常な被験体由来のヒトリンパ球の強力な増殖を誘導しない。これらの抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)によってCD40発現標的細胞を殺傷し得る。BiacoreTMアッセイによって決定されるように、ヒトCD40に対するCHIR−5.9の結合親和性は1.2×10−8Mであり、CHIR−12.12の結合親和性は5×10−10Mである。
本発明の方法において使用するのに適切なアンタゴニスト抗CD40抗体は、CD40細胞表面抗原に対して強力な単一部位結合親和性を示す。本発明のモノクローナル抗体は、少なくとも10−5M、少なくとも3×10−5M、好ましくは少なくとも10−6M〜10−7M、より好ましくは10−8M〜約10−12MのCD40に対する解離平衡定数(KD)を示し、これはBiacoreTMのような標準的なアッセイを用いて測定される。Biacore分析は当該分野で公知であり、詳細は「BIAapplications handbook」に提供されている。WO 01/27160に記載される方法が結合親和性を調節するために使用され得る。
「CD40抗原」、「CD40細胞表面抗原」、「CD40レセプター」または「CD40」によって、腫瘍壊死因子(TNF)レセプターファミリーに属する膜貫通糖タンパク質が意図される(例えば、米国特許第5,674,492号および同第4,708,871号;Stamenkovicら(1989)EMBO 8:1403;Clark(1990)Tissue Antigens 36:33;Barclayら(1997)The Leucocyte Antigen Facts Book(第2版;Academic Press,San Diego)を参照のこと)。ヒトCD40の2つのアイソフォーム(この遺伝子の代替スプライス転写産物改変体によってコードされる)が同定されている。第1のアイソフォーム(「長いアイソフォーム」または「アイソフォーム1」としてもまた公知である)は、277個のアミノ酸の前駆ポリペプチド(配列番号12(GenBankアクセッション番号CAA43045として最初に報告され、GneBankアクセッション番号NP_001241においてアイソフォーム1として同定された)、配列番号11(GenBankアクセッション番号X60592およびNM_001250を参照のこと)によってコードされる)として発現され、これは最初の19残基によって表されるシグナル配列を有する。第2のアイソフォーム(「短いアイソフォーム」または「アイソフォーム2」としてもまた公知である)は、203個のアミノ酸の前駆ポリペプチド(配列番号10(GenBankアクセッション番号NP_690593)、配列番号9(GenBankアクセッション番号NM_152854)によってコードされる)として発現され、これも最初の19残基によって表されるシグナル配列を有する。ヒトCD40のこれら2つのアイソフォームの前駆ポリペプチドは、共通してその最初の165残基(すなわち、配列番号10および配列番号12の残基1〜165)を共有する。短いアイソフォームの前駆ポリペプチド(配列番号10に示される)は、コードセグメントを欠失する転写産物改変体(配列番号9)(これは、翻訳のフレームシフトをもたらす)によってコードされ、得られるCD40アイソフォームは、CD40の長いアイソフォームに含まれるもの(配列番号12の残基166〜277に示されるC末端)とは異なる、より短いC末端(配列番号10の残基166〜203)を含む。本発明の目的のために、用語「CD40抗原」、「CD40細胞表面抗原」、「CD40レセプター」または「CD40」は、CD40の短いアイソフォームおよび長いアイソフォームの両方を包含する。本発明の抗CD40抗体は、本明細書中で以下に示されるようにヒトCD40のエピトープに結合し、このヒトCD40は、この細胞表面抗原の短いアイソフォームまたは長いアイソフォームのいずれかのうちの同じ位置に存在する。
CD40抗原は、本明細書中で他の部分に記載されるように、種々の細胞型の表面に提示される。「表面に提示される」および「表面に発現される」により、CD40抗原のうちのすべてまたは一部が、細胞の外側に曝露されることが意図される。提示または発現されたCD40抗原は、完全にまたは部分的にグリコシル化され得る。
「アゴニスト活性」により、その物質がアゴニストとして機能することが意図される。アゴニストは細胞上のレセプターと結合し、レセプターの天然のリガンドにより惹起されるものと類似または同じ反応もしくは活性を惹起する;例えば、細胞にシグナルを伝達する。CD40のアゴニストは、以下の応答のうちのいずれかまたはすべてを誘導するが、これらに限定されない:B細胞増殖および分化、抗体産生、細胞内接着、B細胞記憶生成、アイソタイプ転換、MHCクラスIIおよびCD80/86の細胞表面発現のアップレギュレーション、ならびにIL−8、IL−12およびTNFのような前炎症性サイトカインの分泌。「アンタゴニスト活性」により、その物質がアンタゴニストとして機能することが意図される。CD40のアンタゴニストは、CD40レセプターのアゴニストリガンド(特に、CD40L)に対する結合により誘導される応答のうちのいずれかの誘導を妨げるかまたは減少させる。アンタゴニストは、アゴニスト結合に対する応答のうちのいずれか1以上の誘導を、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、好ましくは40%、45%、50%、55%、60%、より好ましくは70%、80%、85%、そして最も好ましくは90%、95%、99%、または100%減少させ得る。抗CD40抗体およびCD40−リガンドの結合特異性およびアンタゴニスト活性を測定するための方法は、当業者に公知であり、標準的な競合結合アッセイ、B細胞による免疫グロブリン分泌をモニタリングするためのアッセイ、B細胞増殖アッセイ、Banchereau様B細胞増殖アッセイ、抗体産生についてのT細胞ヘルパーアッセイ、B細胞増殖の同時刺激アッセイ、およびB細胞活性化マーカーのアップレギュレーションについてのアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、WO 00/75348、米国特許第6,087,329(参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。
「有意な」アゴニスト活性により、B細胞応答のアッセイで測定されるように、中性物質またはネガティブコントロールによって誘導されるアゴニスト活性を少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%上回るアゴニスト活性が意図される。好ましくは、「有意な」アゴニスト活性は、B細胞応答のアッセイで測定されるように、中性物質またはネガティブコントロールにより誘導されるアゴニスト活性より少なくとも2倍もしくは少なくとも3倍上回るアゴニスト活性である。従って、例えば、目的のB細胞応答がB細胞増殖である場合、「有意な」アゴニスト活性は中性物質またはネガティブコントロールにより誘導されるB細胞増殖レベルよりも少なくとも2倍上回るかまたは少なくとも3倍上回るB細胞増殖レベルの誘導である。1つの実施形態において、CD40に結合しない非特異的免疫グロブリン(例えば、IgG1)は、ネガティブコントロールとしての役割を果たす。「有意なアゴニスト活性を有さない」物質は、B細胞応答のアッセイで測定されるように、中性物質またはネガティブコントロールにより誘導されるアゴニスト活性よりも高くて約25%上回るアゴニスト活性、好ましくは、中性物質またはネガティブコントロールにより誘導されるアゴニスト活性よりも高くて約20%上回る、約15%上回る、約10%上回る、約5%上回る、約1%上回る、約0.5%上回る、または高くて約0.1%上回るアゴニスト活性を示す。本発明の方法において有用なアンタゴニスト抗CD40抗体は、ヒト細胞上のCD40抗原に結合される場合に、上記のように有意なアゴニスト活性を有さない。本発明の1つの実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体は、1つのB細胞応答において有意なアゴニスト活性を有さない。本発明の別の実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体は、1より多いB細胞応答(例えば、増殖および分化、または増殖、分化、ならびに抗体産生)のアッセイにおいて有意なアゴニスト活性を有さない。
CD40に対するモノクローナル抗体は、当該分野において公知である。例えば、McMichael,編(1987;1989)Leukocyte Typing III and IV(Oxford University Press,New York)におけるB細胞抗原に充てられた節;米国特許第5,674,492号;同第5,874,082号;同第5,677,165号;同第6,056,959号;国際公開第00/63395号;同第02/28905号;および同第02/28904号;Gordonら(1988)J.Immunol.140:1425;Valleら(1989)Eur.J.Immunol.19:1463;Clarkら(1986)PNAS 83:4494;Paulieら(1989)J.Immunol.142:590;Gordonら(1987)Eur.J.Immunol.17:1535;Jabaraら(1990)J.Exp.Med.172:1861;Zhangら(1991)J.Immunol.146:1836;Gascanら(1991)J.Immunol.147:8;Banchereauら(1991)Clin.Immunol.Spectrum 3:8;およびBanchereauら(1991)Science 251:70;これら全ては、本明細書において参考として援用される;を参照のこと。上記モノクローナル抗体CHIR−5.9およびCHIR−12.12の結合特性を共有する、本明細書で開示されるアンタゴニスト抗CD40抗体は、本発明にとって特に目的のものである。このような抗体としては、以下のもの、(1)131.2F8.5.9(本明細書中で細胞株5.9と呼ばれる)および153.8E2.D10.D6.12.12(本明細書中で細胞株12.12と呼ばれる)と称されるハイブリドーマ細胞株により産生されたモノクローナル抗体(それぞれ、特許受託番号PTA−5542および特許受託番号PTA−5543として、ATCCに寄託された);(2)配列番号2に示される配列、配列番号4に示される配列、配列番号5に示される配列、配列番号2と配列番号4とに示される両方の配列、および配列番号2と配列番号5とに示される両方の配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;(3)配列番号6に示される配列、配列番号7に示される配列、配列番号8に示される配列、配列番号6と配列番号7とに示される両方の配列、および配列番号6と配列番号8とに示される両方の配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むモノクローナル抗体;(4)配列番号1に示されるヌクレオチド配列、配列番号3に示されるヌクレオチド配列、および配列番号1と配列番号3とに示される両方の配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸分子によりコードされるアミノ酸配列を有するモノクローナル抗体;(5)エピトープに結合するモノクローナル抗体であり、このエピトープは、ハイブリドーマ細胞株12.12により産生されるモノクローナル抗体またはハイブリドーマ細胞株5.9により産生されるモノクローナル抗体に結合し得る、モノクローナル抗体;(6)配列番号10または配列番号12に示されるアミノ酸配列の残基82〜87を含むエピトープに結合するモノクローナル抗体;(7)競合結合アッセイにおいて、モノクローナル抗体CHIR−5.9またはモノクローナル抗体CHIR−12.12と競合するモノクローナル抗体;ならびに(8)モノクローナル抗体CHIR−12.12もしくはCHIR−5.9の抗原結合フラグメントまたは先の(1)〜(7)における前記モノクローナル抗体の抗原結合フラグメントであるモノクローナル抗体であり、ここで、このフラグメントはヒトCD40抗原に特異的に結合する能力を保持する、モノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
(抗CD20抗体)
「CD20抗原」により、前B細胞段階からB細胞リンパ芽球段階へ系統委嘱された(lineage−committed)B細胞に発現される、33〜37kDaの糖付加されていない膜貫通タンパク質(GenBank登録番号X12530;Barclayら(1997)The Leucocyte Antigen Facts Book(第2版;Academic Press,San Diego))が意図される。このCD20受容体は、本明細書のどこか他のところで記載されるように、B細胞型の表面に提示される。「この表面に提示される」および「この表面に発現される」により、このCD20抗原の全て、または、このCD20抗原の一部が、細胞外部に露出されることが意図される。
「CD20抗原」により、前B細胞段階からB細胞リンパ芽球段階へ系統委嘱された(lineage−committed)B細胞に発現される、33〜37kDaの糖付加されていない膜貫通タンパク質(GenBank登録番号X12530;Barclayら(1997)The Leucocyte Antigen Facts Book(第2版;Academic Press,San Diego))が意図される。このCD20受容体は、本明細書のどこか他のところで記載されるように、B細胞型の表面に提示される。「この表面に提示される」および「この表面に発現される」により、このCD20抗原の全て、または、このCD20抗原の一部が、細胞外部に露出されることが意図される。
抗CD20抗体は、当該分野において公知である。例えば、米国特許第5,595,721号、同第6,399,061号、および同第6,455,043号を参照のこと。ヒト抗CD20抗体およびキメラ抗CD20抗体は、本発明の方法の実施において、特に有用である。キメラ抗CD20抗体の例としては、IDEC−C2B8(Rituxan(登録商標)(IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,Calif.)のもとに市販され、かつ米国特許第5,736,137号、同第5,776,456号、および同第5,843,439号に記載される);米国特許第5,750,105号に記載されるキメラ抗体;米国特許第5,500,362号、同第5,677,180号、同第5,721,108号、および同第5,843,685号に記載される抗体(これら各々の内容は、その全体について、本明細書中で参考として援用される)が挙げられるが、これらに限定されない。マウス起源の抗CD20抗体もまた、本発明の方法における使用に適切である。このようなマウス抗CD20抗体の例としては、B1抗体(米国特許第6,015,542号に記載される);IF5抗体(Pressら(1989)J.Clin.Oncol.7:1027を参照のこと);NKI−B20抗CD20抗体およびBCA−B20抗CD20抗体(Hooijbergら(1995)Cancer Research 55:840−846に記載される);およびIDEC−2B8(IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,Calif.から市販される);2H7抗体(Clarkら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1766−1770に記載される);ならびに上記Clarkら(1985)およびStashenkoら(1980)J.Immunol.125:1678−1685に記載される他のものが挙げられるが、これらに限定されない。
(抗CD20抗体および抗CD40抗体の作製)
本発明の方法において使用するための抗CD40抗体および抗CD20抗体は、当業者に周知の任意の方法を使用して作製され得る。ポリクローナル血清は、従来の方法によって調製され得る。一般的に、CD40抗原またはCD20抗原を含む溶液が最初に使用されて、適切な動物(好ましくは、マウス、ラット、ウサギ、またはヤギ)を免疫化する。入手可能な血清の量、および標識された抗ウサギ抗体および抗ヤギ抗体が利用できることに起因して、ウサギまたはヤギが、ポリクローナル血清の調製に好ましい。
本発明の方法において使用するための抗CD40抗体および抗CD20抗体は、当業者に周知の任意の方法を使用して作製され得る。ポリクローナル血清は、従来の方法によって調製され得る。一般的に、CD40抗原またはCD20抗原を含む溶液が最初に使用されて、適切な動物(好ましくは、マウス、ラット、ウサギ、またはヤギ)を免疫化する。入手可能な血清の量、および標識された抗ウサギ抗体および抗ヤギ抗体が利用できることに起因して、ウサギまたはヤギが、ポリクローナル血清の調製に好ましい。
ポリクローナル血清は、トランスジェニック動物(好ましくは、ヒト免疫グロブリン座を有するマウス)において調製され得る。好ましい実施形態において、CD40またはCD20を発現するSf9細胞が、免疫原として使用される。免疫化はまた、生理的食塩水(好ましくは、フロイント完全アジュバントのようなアジュバント)中の抗原を含む溶液を混合または乳化し、そしてその混合物またはエマルジョンを非経口的(一般的には、皮下または筋肉内)に注射することによって、実施され得る。1回の注射あたり50〜200μgの用量は、代表的に十分である。免疫化は、一般的に、生理的食塩水中のタンパク質の1回以上の注射によって、好ましくはフロイント不完全アジュバントを使用して、2〜6週間後にブーストされる。あるいは、本発明の目的がインビトロの免役化と等しいと考えられる場合、当該分野で公知の方法を使用したインビトロの免疫化によって、抗体が作製され得る。ポリクローナル抗血清は、免役化された動物の血液をガラスまたはプラスチックの容器に採取し、その血液を25℃で1時間インキュベートし、次いで4℃で2〜18時間インキュベートすることによって得られる。この血清は、遠心分離(例えば、1,000×gで10分間)によって回収される。1回の採血あたり約20〜50mlが、ウサギから得られ得る。
Sf9(Spodoptera frugiperda)細胞の作製は、米国特許第6,004,552号によって開示され、本明細書中に参考として援用される。手短に言えば、ヒトCD40をコードする配列を、輸送ベクターを使用してバキュロウイルスに再結合(recombine)させた。上記プラスミドを、野生型バキュロウイルスDNAを用いてSf9細胞に同時トランスフェクトした。バキュロウイルスに感染した組換えSf9細胞を同定して、クローン的に精製した。
好ましくは、上記抗体は、本質的にモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は特異性が高く、単一の抗原部位(すなわち、本発明におけるCD40細胞表面抗原またはCD20細胞表面抗原)に対して指向する。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向する異なる抗体を代表的に包含する従来の(ポリクローナル)抗体の調製とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向する。修飾語句「モノクローナル」は、実質的に同質である抗体の集団(例えば、B細胞のクローン集団によって生成される集団)から得られる場合の抗体の性質を示し、いずれかの特定の方法による抗体の作製を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作製されても、または組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)によって作製されてもよい。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら(1991)Nature 352:624−628;Marksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597;および米国特許第5,514,548号において記載される技術を使用したファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
「エピトープ」によって、抗体が作製され、そしてその抗体が結合する抗原分子の部分が意図される。エピトープは、直鎖状のアミノ酸残基(すなわち、エピトープ内の残基が、直鎖状様式で互いに連続して配置される)、非直鎖状のアミノ酸残基(本明細書において「非直鎖状エピトープ」といわれ;これらのエピトープは、連続的には配置されない)、または直鎖状アミノ酸残基と非直鎖状アミノ酸残基との両方を含み得る。
モノクローナル抗体は、Kohlerら(1975)Nature 256:495−496の方法、またはその改変を使用して調製され得る。代表的には、マウスが、抗原を含む溶液を使用して免疫化される。免疫化は、生理的食塩水(好ましくは、フロイント完全アジュバントのようなアジュバント)中の抗原を含む溶液を混合または乳化し、そしてその混合物またはエマルジョンを非経口的に注射することによって実施され得る。当該分野で公知の任意の免疫化方法は、本発明のモノクローナル抗体を得るために使用され得る。動物を免疫化した後、脾臓(そして必要に応じて、1または数個の大きなリンパ節)が除かれ、そして単一の細胞に解離される。上記脾臓細胞は、目的の抗原でコーティングされたプレートまたはウェルに細胞懸濁液を適用することによって、スクリーニングされ得る。膜に結合された上記抗原に特異的な免疫グロブリンを発現するB細胞は、プレートに結合し、リンスで除かれない。得られたB細胞、または全ての解離された脾臓細胞は、次いでミエローマ細胞との融合が誘導されてハイブリドーマを形成し、そして選択培地中で培養される。得られた細胞は、連続希釈によってプレートされ、そして目的の抗原に特異的に結合する(かつ、無関係の抗原に結合しない)抗体の産生についてアッセイされる。選択されたモノクローナル抗体(mAb)を分泌(secret)するハイブリドーマは、次いでインビトロ(例えば、組織培養ボトルまたは中空繊維反応器において)、またはインビボ(例えば、マウスの腹水)のいずれかで培養される。
本発明のアンタゴニスト抗CD40抗体が、組換えDNA方法を使用して調製される場合、モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)を使用して容易に単離され、かつ配列決定される。本明細書におい記載されるハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として機能する。一旦単離されると、上記DNAは、発現ベクター中に配置され得、次いでこの発現ベクターは、別に免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞(例えば、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞)にトランスフェクトされ、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得る。抗体をコードする細菌のDNAにおける組換え発現に関する概説の論文としては、Skerraら(1993)Curr.Opinion in Immunol.5:256およびPhickthun(1992)Immunol.Revs.130:151が挙げられる。ハイブリドーマの使用に代わるものとして、抗体は、米国特許第5,545,403号;同第5,545,405号;および同第5,998,144号(これらは、本明細書において参考として援用される)に開示されるように、CHO細胞株のような細胞株において産生され得る。手短に言えば、上記細胞株は、それぞれ軽鎖および重鎖を発現し得るベクターを用いてトランスフェクトされる。別個のベクター上の2つのタンパク質をトランスフェクトすることによって、キメラ抗体が産生され得る。別の利点は、上記抗体の正しいグリコシル化である。
いくつかの実施形態において、上記アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12抗体またはCHIR−5.9抗体)またはその抗原結合フラグメントは、グルタミン合成をマーカーとして使用するGS遺伝子発現系(Lonza Biologics,Portsmouth,New Hampshire)を使用してCHO細胞中で産生され得る。米国特許第5,122,464号;同第5,591,639号;同第5,658,759号;同第5,770,359号;同第5,827,739号;同第5,879,936号;同第5,891,693号;および同第5,981,216号もまた参照のこと;これらの内容は、その全体が参考として援用される。
本明細書で使用される用語「抗原エピトープ」は、抗CD40モノクローナル抗体または抗CD20モノクローナル抗体との免疫反応性の能力を有する三次元分子構造(直線的か立体配座的かのいずれか)をいう。抗原エピトープは、タンパク質、タンパク質フラグメント、ペプチド、炭水化物、脂質、および他の分子を含み得るが、本発明の目的のために、抗原エピトープは、最も一般的なタンパク質、短いオリゴペプチド、オリゴペプチドの擬態(すなわち、CD40抗原またはCD20抗原の抗体結合特性を擬態する有機化合物)、またはそれらの併用である。適切なオリゴペプチドの擬態が、特に、PCT出願US91/04282に記載される。
加えて、本明細書で使用される用語「抗体」は、キメラ抗CD40抗体またはキメラ抗CD20抗体を包含する。本発明の方法における使用のためのキメラ抗CD40抗体は、抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12またはCHIR−5.9の結合特性を有する一方で、本発明の方法における使用のためのキメラ抗CD20抗体は、抗CD20モノクローナル抗体IDEC−C2B8の結合特性を有する。「キメラ」抗体により、最も好ましくは、組換えデオキシリボ核酸技術を使用して得られ、かつヒト(免疫学的に「同類の」種を含む、例えば、チンパンジー)と非ヒトの両方の構成要素を含む抗体が意図される。したがって、このキメラ抗体の定常領域は、最も好ましくは、天然のヒト抗体の定常領域と実質的に一致する;このキメラ抗体の可変領域は、最も好ましくは、非ヒトの供給源(source)に由来し、かつCD40細胞表面抗原またはCD20細胞表面抗原への目的の抗原特異性を有する。非ヒト供給源は、ヒトCD40細胞表面抗原もしくはヒトCD20細胞表面抗原に対する抗体を生成するために使用され得る、任意の脊椎動物の供給源か、またはヒトCD40細胞表面抗原もしくはヒトCD20細胞表面抗原を含む物質であり得る。このような非ヒト供給源としては、げっ歯類(例えば、ウサギ、ラット、マウスなど;例えば、米国特許第4,816,567号(本明細書において参考として援用される)を参照のこと)および非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など;例えば、米国特許第5,750,105号および同第5,756,096号(本明細書において参考として援用される)を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、句「免疫学的に活性のある」は、キメラ抗CD40抗体への言及において使用される場合、ヒトCD40に結合するキメラ抗体を意味するか、またはキメラ抗CD20抗体への言及において使用される場合、ヒトCD20に結合するキメラ抗体を意味する。
ヒト化抗CD40抗体およびヒト化抗CD20抗体は、本発明の方法における使用に適する、追加の抗CD40抗体および追加の抗CD20抗体を表す。「ヒト化された」により、非ヒト免疫グロブリン配列由来の最小限の配列を含む、抗CD40抗体または抗CD20抗体の形態が意図される。大部分は、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(受け入れ側の抗体)であり、ここで、この受け入れ側の超可変領域(相補性決定領域またはCDRとしても公知である)由来の残基は、目的の特異性、親和性、および能力を有する非ヒト種(提供側の抗体)(例えば、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類)の超可変領域(相補性決定領域またはCDRとしても公知である)由来の残基により取り替えられる。句「相補性決定領域」は、天然免疫グロブリンの結合部位の天然Fv領域の結合親和性および結合特異性を同時に定めるアミノ酸配列をいう。例えば、Chothiaら(1987)J.Mol.Biol.196:901−917;Kabatら(1991)U.S.Dept.of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242を参照のこと。句「定常領域」は、エフェクター機能を与える抗体分子の一部をいう。ヒト疾患の治療における使用のための非免疫抗原性抗体を産生することに向けられた、以前の研究において、マウス定常領域が、ヒト定常領域により置換された。この対象のヒト化抗体の定常領域は、ヒト免疫グロブリン由来であった。しかしながら、これらのヒト化抗体は、ヒトにおいて、好ましくなく、かつ潜在的に危険な免疫応答を、依然として誘導し、親和性の喪失があった。本発明の方法における使用のためのヒト化抗CD40抗体は、本明細書で記載されるCHIR−5.9モノクローナル抗体およびCHIR−12.12モノクローナル抗体により示される結合特性に、類似する結合特性を有する。本発明の方法における使用のためのヒト化抗CD20抗体は、本明細書で記載されるIDEC−C2B8モノクローナル抗体により示される結合特性に、類似する結合特性を有する。
ヒト化は、本質的に、Winterおよび共同研究者の方法(Jonesら(1986)Nature 321:522−525;Riechmannら(1988)Nature 332:323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534−1536)に従って、げっ歯類もしくは変異体げっ歯類のCDRまたはげっ歯類もしくは変異体げっ歯類のCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列と置換することによって実施され得る。米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;および同第5,859,205号もまた参照のこと;これらは、本明細書において参考として援用される。いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンの1以上の可変領域のフレームワーク領域内の残基は、対応する非ヒト残基によって置換される(例えば、米国特許第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;および同第6,180,370号を参照のこと)。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体においては見出されない残基を含み得る。これらの改変は、抗体性能をさらに洗練させるため(例えば、所望の親和性を得るため)になされる。一般的に、上記ヒト化抗体は、少なくとも1つの、そして代表的には2つの可変領域の全てを実質的に含み、この抗体において、非ヒト免疫グロブリンに対応する超可変領域の全てまたは実質的に全て、ならびに上記フレームワーク領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。上記ヒト化抗体はまた、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)(代表的には、ヒト免疫グロブリンの定常領域)の少なくとも一部分を含む。さらなる詳細については、Jonesら(1986)Nature 331:522−525;Riechmannら(1988)Nature 332:323−329;およびPresta(1992)Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596を参照のこと;これらは、本明細書において参考として援用される。従って、このような「ヒト化」抗体は、実質的に決してインタクトでないヒト可変領域が、非ヒト種からの対応する配列によって置換されている抗体を包含し得る。実際には、ヒト化抗体は、代表的に、いくつかのCDR残基およびおそらくいくつかのフレームワーク残基が、げっ歯類抗体におけるアナログ部位からの残基によって置換されるヒト抗体である。例えば、米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,859,205号を参照のこと。米国特許番号6,180,370および国際公開第01/27160号もまた参照のこと。ここで、ヒト化抗体および所定の抗原に対して改善された親和性を有するヒト化抗体を作製するための技術が、開示される。
用語抗CD40抗体または抗CD20抗体によって、不活化された内因性免疫グロブリン(Ig)座によって特徴付けられる非ヒト哺乳動物宿主(より具体的には、トランスジェニックマウス)において産生される異種抗CD40抗体もしくは抗CD20抗体、または改変抗CD40抗体もしくは抗CD20抗体もまた包含される。このようなトランスジェニック動物において、宿主免疫グロブリンの軽鎖サブユニットおよび重鎖サブユニットの発現に対して免疫応答を起こし得る内因性遺伝子は、非機能的になり、アナログのヒト免疫グロブリン座で置換される。これらのトランスジェニック動物は、軽鎖または重鎖の宿主の免疫グロブリンサブユニットが実質的にない場合に、ヒト抗体を産生する。例えば、米国特許第5,877,397号および同第5,939,598号(本明細書において参考として援用される)を参照のこと。
好ましくは、トランスジェニックマウスを免疫化することによって、CD40またはCD20に対する完全ヒト抗体が得られる。このようなマウスの1つは、XenoMouse(登録商標)技術(Abgenix;Fremont,California)を使用して得られ、米国特許第6,075,181号、同第6,091,001号および同第6,114,598号(これらの全ては、本明細書において参考として援用される)に開示される。本明細書において開示される抗体を作製するために、ヒトIg G1重鎖遺伝子座およびヒトκ軽鎖遺伝子座についてのトランスジェニックマウスを、ヒトCD40またはヒトCD20を発現するSf9細胞で免疫化した。マウスはまた、他のアイソタイプについてのトランスジェニックであってもよい。本発明の方法において有用な完全ヒト抗体は、本明細書において開示されるCHIR−5.9モノクローナル抗体、CHIR−12.12モノクローナル抗体、およびIDEC−C2B8モノクローナル抗体によって示される結合特性と類似の結合特性によって特徴付けられる。
上記抗CD40抗体または抗CD20抗体のフラグメントは、それらが全長抗体の所望される親和性を保持する限り、本発明の方法においての使用に適切である。従って、それぞれ、抗CD40抗体のフラグメントは、CD40 B細胞表面抗原に結合する能力を保持し、抗CD20抗体のフラグメントは、CD20 B細胞表面抗原に結合する能力を保持する。このようなフラグメントは、対応する全長抗体に類似の特性によって特徴付けられる。例えば、アンタゴニスト抗CD40抗体フラグメントは、ヒト細胞の表面上に発現されたヒトCD40抗原に特異的に結合し、そして有意なアゴニスト活性を有さないが、ヒトCD40発現細胞上のCD40抗原に結合された場合、アンタゴニスト活性を示す;一方で、抗CD20抗体フラグメントは、Cd20に特異的に結合する。このようなフラグメントは、本明細書において「抗原結合」フラグメントといわれる。
抗体の適切な抗原結合フラグメントは、全長抗体の一部分(一般的には、抗原結合領域またはその可変領域)を含む。抗体フラグメントの例としては、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、およびFvフラグメント、ならびに単鎖抗体分子が挙げられるが、これらに限定されない。「Fab」によって、軽鎖と重鎖の一部とからなる免疫グロブリンの一価の抗原結合フラグメントが意図される。F(ab’)2によって、両方の軽鎖と両方の重鎖の一部を含む免疫グロブリンの二価の抗原結合フラグメントが意図される。「単鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントによって、抗体のVHドメインおよびVLドメインを含み、これらのドメインが一本のポリペプチド鎖中に提示されるフラグメントが意図される。例えば、米国特許第4,946,778号、同第5,260,203号、同第5,455,030号および同第5,856,456号(これらは、本明細書において参考として援用される)を参照のこと。一般的に、上記Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするためのポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概要については、Pluckthun(1994)、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg and Moore(編)(Springer−Verlag,New York)、pp.269−315を参照のこと。
抗体または抗体フラグメントは、例えば、McCaffertyら(1990)Nature 348:552−554(1990)および米国特許第5,514,548号において記載される技術を使用して作製された抗体ファージライブラリーから単離され得る。Clacksonら(1991)Nature 352:624−628およびMarksら(1991)J.Mol.Biol.222:581−597は、それぞれ、ファージライブラリーを使用したマウス抗体およびヒト抗体の単離を記載する。以下の刊行物は、鎖の混合(shuffling)による高親和性(nM範囲)のヒト抗体の作製(Marksら(1992)Bio/Technology 10:779−783)、および非常に広範なファージライブラリーを構築するためのストラテジーとしての、組み合わせ感染およびインビボの再組換え(Waterhouseら(1993)Nucleic.Acids Res.21:2265−2266)を記載する。従って、これらの技術は、モノクローナル抗体を単離するための伝統的なモノクローナル抗体のハイブリドーマ技術に対する実行可能な代替案である。
種々の技術が、抗体フラグメントの作製のために開発されている。伝統的には、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解性消化を介して得られた(例えば、Morimotoら(1992)Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107−117(1992)およびBrennanら(1985)Science 229:81を参照のこと)。しかし、これらのフラグメントは、現在は、組換え宿主細胞によって直接的に産生され得る。例えば、この抗体フラグメントは、上記に記載の抗体ファージライブラリーから単離され得る。あるいは、Fab’−SHフラグメントは、E.coliから直接回収され得、化学的に結合されてF(ab’)2フラグメントを形成する(Carterら(1992)Bio/Technology 10:163−167)。別のアプローチに従って、F(ab’)2フラグメントは、組換え宿主細胞の培養物から直接単離され得る。抗体フラグメントを作製するための他の技術は、当業者には明らかである。
本発明の方法において有用な抗体の組み合わせとしては、抗CD20抗体(例えば、非CDR領域において異なるIDEC−C2B8)と同様に、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、本明細書で開示されるCHIR−5.9モノクローナル抗体およびCHIR−12.12モノクローナル抗体);および1つ以上のアミノ酸付加、アミノ酸欠失、またはアミノ酸置換を有する抗体が挙げられる。本発明はまた、脱免疫された(de−immunized)(ヒト化)抗CD20抗体および脱免疫された(ヒト化)アンタゴニスト抗CD40抗体も包含し、これらは、例えば、国際公開第WO98/52976号および同第WO0034317号(本明細書中で参考として援用される)に記載されるように産生され得る。このように、本発明の方法の実施に有用な、この抗体中の残基は、その結合特異性およびその生物学的な活性(このような活性は、本明細書中のどこかで言及されるアッセイにより測定される)を保持する一方で、この抗体をヒトに対し非免疫抗原性にさせるか、または、より少ない免疫抗原性にさせるように、変更される。抗CD20抗体もしくはアンタゴニスト抗CD40抗体、またはそのフラグメントを含む融合タンパク質(当該分野において公知であるように、融合タンパク質は、対応するポリヌクレオチドベクターから合成または発現され得る)もまた、特許請求の範囲内に含まれる。このような融合タンパク質は、下に言及されるような抗体の連結を参照して記載される。
本発明の方法を実施するのに有用な抗体は、例えば欧州特許出願公開第0 983 303 A1号、国際公開第00/34317号および同第98/52976号(本明細書において参考として援用される)において記載される方法を使用して作製される配列のバリエーションを有し得る。例えば、CDR内の配列は、抗体をMHCクラスIIに結合させ、好ましくないヘルパーT細胞応答を誘発し得ることが示されている。保存的置換は、上記抗体の結合活性は保持させるが、好ましくないT細胞応答を誘発するその能力を失わせ得る。任意のこのような保存的置換または非保存的置換は、当該分野で認められた方法(例えば、本明細書中で他の部分に記載される方法)を使用して作製され得、そして生じた抗体は、本発明の範囲内である。この改変抗体は、本明細書において記載された方法を使用して、通常、アンタゴニスト活性、親和性、および特異性について試験され得る。
上で記載された任意の方法、または本明細書において開示されていない任意の他の方法によって産生されたアンタゴニスト抗CD40抗体は、以下の生物学的活性のうちの少なくとも1つを有する場合、本発明の範囲内である:T細胞によって刺激された正常ヒト末梢B細胞による免疫グロブリン分泌の阻害;ジャーカットT細胞によって刺激された正常ヒト末梢B細胞の増殖の阻害;CD40L発現細胞もしくは可溶性CD40によって刺激された正常ヒト末梢B細胞の増殖の阻害;および以下に示されるようなヒト悪性B細胞の増殖の阻害。これらのアッセイは同時継続中の仮出願、発明の名称「Angtagonist Anti−CD40 Monoclonal Antibodies and Methods for Their Use」であり、それぞれ、2003年11月4日、2003年11月26日、および2004年4月27日出願、割り当てられた米国特許出願番号第60/517,337号(代理人事件整理番号:PP20107.001(035784/258442))、同第60/525,579号(代理人事件整理番号:PP20107.002(035784/271525))、および同第60/565,710号(代理人事件整理番号:PP20107.003(035784/277214))において記載されるように実施され得る。これらの特許文献の各々の内容は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。Schultzeら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:8200−8204;Dentonら(1998)Pediatr.Transplant.2:6−15;Evansら(2000)J.Immunol.164:688−697;Noelle(1998)Agents Actions Suppl.49:17−22;Ledermanら(1996)Curr.Opin.Hematol.3:77−86;Coliganら(1991)Current Protocols in Immunology 13:12;Kwekkeboomら(1993)Immunology 79:439−444;ならびに米国特許第5,674,492号および同第5,847,082号(本明細書において参考として援用される)において記載されるアッセイもまた参照のこと。
本明細書において同定されるCD40抗原エピトープに特異的なアンタゴニスト抗CD40抗体を検出するための代表的なアッセイは、「競合的結合アッセイ」である。競合的結合アッセイは、そのアッセイにおいて、未知のものが検出されて、特異的な抗体に対する標識された既知のリガンドの結合を阻害するその能力によって定量される血清学的アッセイである。これはまた、競合的阻害アッセイともいわれる。代表的な競合的結合アッセイにおいて、標識されたCD40ポリペプチドは、例えば、本発明のモノクローナル抗体の1つ以上のエピトープに対して惹起されたモノクローナル抗体と組み合わせて、サンプル中の候補抗体によって沈殿される。目的のエピトープと特異的に反応する抗CD40抗体は、CD40タンパク質または目的のCD40タンパク質の特定のエピトープを含むタンパク質のフラグメントに対して調製された一連の抗体をスクリーニングすることによって同定され得る。例えば、ヒトCD40について、目的のエピトープとしては、図5B(配列番号10)に記載されたヒトCD40の短いアイソフォーム(GenBank登録番号NP_690593を参照のこと)(図5Aに記載される配列(配列番号9;GenBank登録番号NM_152854もまた参照のこと)によってコードされる)、もしくは図5D(配列番号12)に記載されたヒトCD40の長いアイソフォーム(GenBank登録番号CAA43045およびNP_001241を参照のこと)(図5Cに記載される配列(配列番号11;GenBank登録番号X60592およびNM_001250もまた参照のこと)によってコードされる)の直鎖状アミノ酸残基および/または非直鎖状アミノ酸残基を含むエピトープが挙げられる。あるいは、以前に同定された適切なアンタゴニスト抗CD40抗体を用いた競合的結合アッセイは、以前に同定された抗体に匹敵するモノクローナル抗体を選択するために使用される。
上記の方法のいずれか、または本明細書で開示されていない、任意の他の方法により産生される抗CD20抗体は、それが以下の生物学的活性を有する場合、本発明の範囲内である:CD20を発現する細胞に対する抗体依存性細胞媒介性細胞傷害の開始;CD20を発現する細胞に対する補体介在性細胞障害の開始;CD20を発現する細胞への細胞毒または放射性核種の送達;T細胞に刺激された正常ヒト末梢性B細胞による免疫グロブリン分泌の阻害;ジャーカットT細胞に刺激された正常ヒト末梢性B細胞の増殖の阻害;CD40Lを発現する細胞または可溶性CD40に刺激された正常ヒト末梢性B細胞の増殖の阻害;下に言及されるヒト悪性B細胞の増殖の阻害。これらの活性を検出するためのアッセイは、当該分野において周知であり、米国特許第5,736,137号(この全体について、本明細書において参考として援用される)に開示されるものを含む。
任意の以前に記載されたアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)または抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)は、本発明の方法において使用される前に結合体化され得る。結合体化された抗体を作製するための方法は、当該分野で公知である。従って、上記抗CD40抗体または抗CD20抗体は、間接的標識または間接的標識アプローチを使用して標識され得る。「間接的標識」または「間接的標識アプローチ」によって、キレート剤が抗体に共有結合され、少なくとも1つの放射性核種がそのキレート剤に挿入されることが意図される。例えば、SrivastavaおよびMease(1991)Nucl.Med.Bio.18:589−603(参考として本明細書に援用される)におけるキレート剤および放射性核種を参照のこと。適切な標識としては、発蛍光団、発色団、放射活性原子(特に、32Pおよび125I)、高電子密度試薬、酵素、および特異的結合パートナーを有するリガンドが挙げられる。酵素は、代表的に、それらの活性によって検出される。例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼは、通常、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を青色色素に変換する能力によって検出され、分光光度計で定量可能である。「特異的結合パートナー」とは、例えば、抗原およびその特異的なモノクローナル抗体の場合のように、高い特異性でリガンド分子に結合し得るタンパク質をいう。他の特異的な結合パートナーとしては、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジン、IgGとタンパク質A、および当該分野で公知の多くのレセプター−リガンド対が挙げられる。同じ標識は1または数種の異なる様式において機能し得るので、上記の説明は、種々の標識を別個のクラスに分類することを意味しないことが理解されるべきである。例えば、125Iは、放射活性標識としてかまたは電子密度の高い試薬として機能する。HRPは、酵素としてか、またはmAbに対する抗原として機能し得る。さらに、所望の効果のために種々の標識を組み合わせることもできる。例えば、mAbおよびアビジンもまた、本発明の実施において標識を必要とする:従って、ビオチンでmAbを標識し、125Iで標識したアビジンまたはHPRで標識した抗ビオチンmAbを用いて、その存在を検出し得る。他の交換および可能性は、当業者には容易に明らかであり、本発明の範囲内の等価物として考えられる。
あるいは、抗CD40抗体または抗CD20抗体は、「直接的標識」または「直接的標識アプローチ」を使用して標識され得、放射性核種は、抗体に対して(代表的には、アミノ酸残基を介して)直接的に共有結合される。好ましい放射性核種は、SrivastavaおよびMease(1991)上述に提供される。間接的標識アプローチは、特に好まれる。例えば、リンカーが抗体に対して放射活性標識を結合するために使用される、国際公開番号WO 00/52031および同WO 00/52473、;および米国特許第6,015,542号に記載される抗体の標識された形態(本明細書中に参考として援用される)も参照のこと。
さらに、抗体(またはそのフラグメント)は、治療的部分(例えば、細胞毒、治療因子、または放射活性金属イオンもしくは放射性同位体)に対して結合体化され得る。細胞毒または細胞毒性因子としては、細胞に有害な任意の因子が挙げられる。例としては、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトザントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらのアナログまたはホモログが挙げられる。治療因子としては、代謝拮抗物質(例えば、フルダラビン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン)、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、および有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。放射性同位体としては、I−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、Bi−213、Pd−109、Tc−99、In−111などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の結合体は、所与の生物学的反応を修飾するために使用され得;その薬物部分は、伝統的な化学的治療因子に限定されるものとして解釈されるべきではない。例えば、薬物部分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。例えば、このようなタンパク質としては、毒素(例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素またはジフテリア毒素);タンパク質(例えば、腫瘍壊死因子、インターフェロン−α、インターフェロン−β、神経発育因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノゲン賦活剤);または例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、もしくは他の成長因子のような生物学的反応修飾物質が挙げられる。
抗体に対するこのような治療部分を結合体化するための技術は、周知である。例えば、Arnonら(1985)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Reisfeldら(編)(Alan R.Liss,Inc.),pp.243−256;Hellstromら(編)(1987),Controlled Drug Delivery,Robinsonら(編)(第2版;Marcel Dekker,Inc.),pp.623−653;Thorpe(1985)Monoclonal Antibodies’84:Biological and Clinical Applications,Pincheraら(編)pp.475−506(Editrice Kurtis,Milano,Italy,1985);Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy,Baldwinら(編)(Academic Press,New York,1985),pp.303−316;およびThorpeら(1982)Immunol.Rev.62:119−158を参照のこと。
あるいは、抗体は、第2の抗体に結合体化されて、米国特許第4,676,980号に記載されるような抗体ヘテロ結合体(heteroconjugate)を形成し得る。さらに、リンカーが、上記標識と本発明の抗体との間に使用され得る(例えば、米国特許第4,831,175号を参照のこと)。抗体またはその抗原結合フラグメントは、直接的に標識されてもよいし、間接的に標識されてもよい(米国特許第5,595,721号)。処置は、同時または引き続いて投与される結合体化抗体および非結合体化抗体を用いた、処置の組み合わせからなり得る(WO 00/52031およびWO 00/52473)。いくつかの実施形態において、抗CD20抗体は、抗CD40抗体に結合される。さらに他の実施形態において、単一の抗体はCD20およびCD40の両方に対する二重特異性を含む。そのような二重特異性抗体は当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,959,084号を参照のこと。
(アンタゴニスト抗CD40抗体および抗CD20抗体の改変体)
上記アンタゴニスト抗CD40抗体または抗CD20抗体の生物学的に活性な適切な改変体が、本発明の方法において使用され得る。このような改変体は、親の抗体(すなわち、親のアンタゴニスト抗CD40抗体または親の抗CD20抗体)の所望の結合特性を保持する。抗体改変体を作製するための方法は、当該分野で一般的に利用可能である。
上記アンタゴニスト抗CD40抗体または抗CD20抗体の生物学的に活性な適切な改変体が、本発明の方法において使用され得る。このような改変体は、親の抗体(すなわち、親のアンタゴニスト抗CD40抗体または親の抗CD20抗体)の所望の結合特性を保持する。抗体改変体を作製するための方法は、当該分野で一般的に利用可能である。
例えば、アンタゴニスト抗CD20抗体(例えば、本明細書において記載されるIDEC−C2B8)、またはアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、本明細書において記載されるCHIR−5.9モノクローナル抗体もしくはCHIR−12.12モノクローナル抗体)のアミノ酸配列の改変体は、目的の抗体をコードするクローン化されたDNA配列中の変異によって調製され得る。変異誘発およびヌクレオチド配列変更についての方法は、当該分野で周知である。例えば、以下を参照のこと:WalkerおよびGaastra(編)(1983)Techniques in Molecular Biology(MacMillan Publishing Company,New York);Kunkel(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:488−492;Kunkelら(1987)Methods Enzymol.154:367−382;Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor,New York);米国特許第4,873,192号;およびこれらにおいて引用される参考文献(これらは、本明細書において参考として援用される)。目的のポリペプチドの生物学的活性に影響しない適切なアミノ酸置換基に関してのガイダンスは、Dayhoffら(1978)、Atlas of Protein Sequence and Structure(Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,D.C.)(本明細書において参考として援用される)のモデルにおいて見出され得る。1つのアミノ酸を類似の特性を有する別のアミノ酸で交換するような、保存的置換が好まれ得る。保存的置換の例としては、Gly⇔Ala、Val⇔Ile⇔Leu、Asp⇔Glu、Lys⇔Arg、Asn⇔Gln、およびPhe⇔Trp⇔Tyrが挙げられるが、これらに限定されない。
目的の抗CD20抗体またはアンタゴニスト抗CD40抗体ポリペプチドの改変体の構築において、改変は、改変体が所望の活性(すなわち、類似の結合親和性)を保有し続け、そしてそれぞれ、ヒト細胞の表面上に発現されたヒトCD20抗原またはCD40抗原に特異的に結合することができ、そして抗CD40の場合、有意なアゴニスト活性を有さないが、ヒトCD40発現細胞上のCD40抗原に結合された場合に、アンタゴニスト活性を示すようになされる。明らかに、上記改変ポリペプチドをコードするDNA中に作製された任意の変異は、リーディングフレームの外の配列に位置してはならず、そして好ましくは、2次mRNA構造を生じ得る相補的領域を作製しない。欧州特許出願公開第75,444号を参照のこと。
さらに、アンタゴニスト抗CD40抗体の定常領域が変異されて、多くの方法でエフェクター機能を変更し得る。例えば、米国特許第6,737,056B1号および米国特許出願公開第2004/0132101A1号を参照のこと。これらは、Fcレセプターへの抗体結合を最適化するFc変異体を開示する。
好ましくは、参照抗CD20抗体またはアンタゴニスト抗CD40抗体の改変体は、参照抗CD20抗体(例えば、本明細書において記載されるIDEC−C2B8)についてのアミノ酸配列に対してか、参照アンタゴニスト抗CD40抗体分子(例えば、本明細書において記載されるCHIR−5.9モノクローナル抗体またはCHIR−12.12モノクローナル抗体)についてのアミノ酸配列に対してか、あるいは参照抗体のより短い部分に対して、少なくとも70%もしくは75%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%もしくは85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%または95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。より好ましくは、上記分子は、少なくとも96%、97%、98%または99%の配列同一性を共有する。本発明の目的のために、アフィンギャップサーチを使用したSmith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズム(12のギャップオープンペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリックスを使用)を使用して、配列同一性%が決定される。このSmith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムは、SmithおよびWaterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482−489において教示される。改変体は、例えば、わずか1〜15アミノ酸残基、わずか1〜10アミノ酸残基(例えば、6〜10)、わずか5、わずか4、3、2、またはさらに1アミノ酸残基だけ上記参照アンタゴニスト抗CD40抗体または参照抗CD20抗体と異なる。
2つのアミノ酸配列の最適アラインメントに関して、上記改変アミノ酸配列の隣接するセグメントは、上記参照アミノ酸配列について、アミノ酸残基の付加またはアミノ酸残基の欠失を有し得る。上記参照アミノ酸配列を比較するために使用される隣接するセグメントは、少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含み、そして30個、40個、50個またはそれ以上のアミノ酸残基であり得る。保存的な残基置換またはギャップに関連する配列同一性に対する補正が、なされ得る(Smith−Watermanホモロジーサーチアルゴリズムを参照のこと)。
特に、悪性B細胞上の抗原に結合された場合、CD40を特異的に結合し、かつアンタゴニスト活性を保持し得るか、またはCD20に特異的に結合するポリペプチドの正確な化学的構造は、多くの因子に依存する。イオン化可能なアミノ基およびカルボニル基が分子中に存在する場合、特定のポリペプチドは、酸性塩もしくは塩基性塩として、または中性形態で得られ得る。適切な環境状態に配置された場合に、その生物学的活性を保持するこのような調製物の全ては、本明細書において使用されるアンタゴニスト抗CD40抗体または抗CD20抗体の定義の中に含まれる。さらに、上記ポリペプチドの一次アミノ酸配列は、糖部分を使用した誘導体化(グリコシル化)または他の補助的な分子(例えば、脂質、リン酸、アセチル基など)によって増加され得る。上記ポリペプチドの一次アミノ酸配列は、糖類との結合体化によってもまた増加され得る。このような増加の特定の局面は、産生する宿主の翻訳後の処理システムを通じて達成され;他のこのような改変も、インビトロで導入され得る。とにかく、このような改変は、上記抗CD40抗体または抗CD20抗体の結合特性(アンタゴニスト特性が挙げられる)が破壊されない限り、本明細書において使用される抗CD40抗体または抗CD20抗体の定義の中に含まれる。このような改変体は、種々のアッセイにおいて、上記ポリペプチドの活性を増強させるか、または弱めるかのいずれかによって、その活性に量的または質的に影響し得ることが予想される。さらに、上記鎖中の個々のアミノ酸残基は、酸化、還元、または他の誘導体化によって改変され得、そして上記ポリペプチドは、活性を保持するフラグメントを得るために切断され得る。アンタゴニスト活性を破壊しないこのような変更は、本明細書において使用される目的の抗CD40抗体および抗CD20抗体の定義から上記ポリペプチド配列を除かない。
当該分野は、ポリペプチド改変体の調製および使用に関する実質的なガイダンスを提供する。抗CD40抗体改変体の調製において、当業者は、天然のタンパク質ヌクレオチドまたはアミノ酸配列に対するどの修飾が、本発明の方法において使用される薬学的組成物の治療上活性な成分として使用するために適切である改変体を生じるかを容易に決定し得る。
(薬学的処方物および投与の様式)
抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)とアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)との組み合わせは、新生B細胞増殖によって特徴付けられる癌(特に、CD40抗原およびCD20抗原の両方を発現する新生B細胞を含む癌)を予防または処置するために治療的に有効である濃度で投与される。この目的を達成するために、抗体は、当該分野で公知の種々の利用可能な賦形剤を用いて処方され得る。代表的には、抗体は、静脈内、腹腔内または皮下のいずれかで注射によって投与される。この投与を達成するための方法は、当業者に公知である。また、局所投与もしくは経口投与される組成物、または粘膜を介して伝達され得る組成物を得ることも可能であり得る。
抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)とアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)との組み合わせは、新生B細胞増殖によって特徴付けられる癌(特に、CD40抗原およびCD20抗原の両方を発現する新生B細胞を含む癌)を予防または処置するために治療的に有効である濃度で投与される。この目的を達成するために、抗体は、当該分野で公知の種々の利用可能な賦形剤を用いて処方され得る。代表的には、抗体は、静脈内、腹腔内または皮下のいずれかで注射によって投与される。この投与を達成するための方法は、当業者に公知である。また、局所投与もしくは経口投与される組成物、または粘膜を介して伝達され得る組成物を得ることも可能であり得る。
静脈内投与は、投与される抗体に依存して、好ましくは約1〜約10時間にわたる期間、より好ましくは約1時間〜約8時間にわたる期間、さらにより好ましくは約2時間〜7時間にわたる期間、なおより好ましくは約4時間〜6時間にわたる期間の注入によって起こる。薬学的組成物による最初の注入は、約4時間〜約6時間の期間にわたって行われ、続く注入はより迅速に送達される。続く注入は、約1時間〜約6時間(例えば、約1時間〜約4時間、約1時間〜約3時間、または約1時間〜約2時間を含む)の期間にわたって投与され得る。
本発明の薬学的組成物は、意図される投与の経路と適合するように処方される。可能な投与の経路の例としては、非経口投与(例えば、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮内、皮下(SC)、または注入)、経口投与および肺投与(例えば、吸入)、鼻投与、経皮(局所)投与、経粘膜投与ならびに直腸投与が挙げられる。非経口適用、皮内適用、もしくは皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:滅菌希釈液(例えば、注射用水)、生理的食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリピレングリコールまたは他の合成溶媒;抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩、および張度調節のための薬剤(塩化ナトリウムまたはブドウ糖)。pHは、酸または塩基(例えば、塩酸または水酸化ナトリウム)で調節され得る。この非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、またはガラス製もしくはプラスチック製の複数用量バイアルの中に封じ込められ得る。
上記抗体は、代表的には、標準的技術によって、薬学的に受容可能な緩衝剤(例えば、滅菌生理的食塩水、滅菌緩衝水、ポリピレングリコール、前述のものの組み合わせなど)内に提供される。アンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)および抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)は、別個の薬学的組成物に処方されても、同時投与のための単一の薬学的組成物内に処方されてもよい。非経口的に投与可能な薬剤を調製するための方法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版;Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania,1990)(本明細書において参考として援用される)において記載される。例えば、本発明の方法において使用するために適切な安定化抗体の薬学的処方物を記載するWO98/56418もまた参照のこと。
投与される少なくとも1種のアンタゴニスト抗CD40抗体もしくはその抗原結合フラグメントと少なくとも1種の抗CD20抗体もしくはその抗原結合フラグメントとの組み合わせの量は、当業者によって過度の実験なしに容易に決定される。投与の様式および本明細書中に開示される抗体の組み合わせのそれぞれの量に影響する因子としては、治療を受ける特定の疾患、上記疾患の重症度、上記疾患の病歴、ならびに治療を受ける個体の年齢、身長、体重、健康状態、および生理学的状態が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、投与される本明細書中に開示される抗体の組み合わせの量は、投与の様式およびその被験体がこれらの抗腫瘍剤の一回用量または複数用量のどちらを受けるかに依存する。一般的に、本明細書中に開示される抗体の組み合わせの投薬量をより高くすることが、治療を受ける患者の体重の増加に関して好ましい。投与される抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)またはアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)の用量は、約0.003mg/kg〜約50mg/kgの範囲であり、好ましくは、0.01mg/kg〜約40mg/kgの範囲である。従って、例えば、組み合わせのうちの任意の1種の抗体は、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、または50mg/kgであり得る。
本発明の別の実施形態において、上記方法は、複数用量のアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)と組み合わせた抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)の複数用量の投与を包含する。上記方法は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、15回、20回、25回、30回、35回、40回、もしくはそれ以上の治療有効用量の抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)またはアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)のいずれか、あるいはそれら両方を含有する薬学的組成物の投与を包含する。薬学的組成物の複数用量の投与の頻度および期間は、当業者によって過度に実験なしに容易に決定され得る。さらに、治療上有効な量の抗体の組み合わせを用いた被験体の処置は、一回の処置を包含し得るか、または好ましくは一連の処置を包含し得る。好ましい例において、被験体は、抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)と抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)の組み合わせ(いずれも約0.1〜20mg/kg体重の間の範囲の用量で投与される)を用いて、約1〜10週間の間、好ましくは約2〜8週間の間、よりこのましくは約3〜7週間の間、そしてさらにより好ましくは約4週間、5週間、または6週間の間に週に1回処置される。処置は、再発を防止するためか、または再発の徴候に対して、毎年行われ得る。
特定の処置にわたって、処置のために使用される抗体またはその抗原結合フラグメントの有効な投与量は、増加または減少し得ることもまた、理解される。投与量における変更は、本明細書で記載される診断上のアッセイの結果に起因し得、かつ、その結果から明白になり得る。したがって、1つの実施形態において、この投薬レジメンとしては、治療上有効な用量のアンタゴニスト抗CD40抗体(または、その抗原結合フラグメント)と併用しての、治療上有効な用量の抗CD20抗体(または、その抗原結合フラグメント)の投与が挙げられ、この組み合わせは、処置期間の1日目、8日目、15日目、および22日目に投与される。他の実施形態において、この投薬レジメンとしては、治療上有効な用量のアンタゴニスト抗CD40抗体(または、その抗原結合フラグメント)と併用しての、治療上有効な用量の抗CD20抗体(または、その抗原結合フラグメント)の投与が挙げられ、この組み合わせは、処置期間における1週間の1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、および7日目に投与される。さらなる実施形態としては、治療上有効な用量の抗CD20抗体(または、その抗原結合フラグメント)が、治療上有効な用量のアンタゴニスト抗CD40抗体(または、その抗原結合フラグメント)と併用して投与され、この組み合わせが、処置期間における1週間の1日目、3日目、5日目、および7日目に投与される、投薬レジメン;治療上有効な用量のアンタゴニスト抗CD40抗体(または、その抗原結合フラグメント)と併用しての、治療上有効な用量の抗CD20抗体(または、その抗原結合フラグメント)の投与を含み、ここで、この抗体の組み合わせが、処置期間における1週間の1日目および3日目に投与される、投薬レジメン;ならびに、処置期間における任意の所定の週の1日目での、治療上有効な用量のアンタゴニスト抗CD40抗体(または、その抗原結合フラグメント)と併用しての、治療上有効な用量の抗CD20抗体(または、その抗原結合フラグメント)の投与を含む、好ましい投薬レジメン、が挙げられる。この処置期間は、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年間を含み得る。処置期間は、引き続いていても、互いに1日、1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年間間隔が開いてもよい。アンタゴニスト抗CD40抗体(または、その抗原結合フラグメント)と抗CD20抗体(または、その抗原結合フラグメント)との組み合わせを使用する処置が、処置の間のいくつかの時点での、アンタゴニスト抗CD40抗体(または、その抗原結合フラグメント)と抗CD20抗体(または、その抗原結合フラグメント)とのこの組み合わせを含みさえすれば、この処置は一方または両方の抗体の同時投与もしくは併用投与を含み得る。この併用治療の効果はまた、この抗CD20抗体処置および/またはこのアンタゴニスト抗CD40抗体処置のいずれかの実施のタイミングを変更することによっても最適化され得る。アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントと併用しての抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置は、同時的(同時発生的)、継続的(連続的)、またはその併用であり得る。したがって、併用抗体治療を受ける被験体は、同一の時間に(すなわち、同時に)か、または異なる時間に(すなわち、連続的に、同日または異なる日にいずれかの順序で)、抗CD20抗体(または、その抗原結合フラグメント)およびアンタゴニスト抗CD40抗体(または、その抗原結合フラグメント)の両方を受容し得る。それゆえ、いくつかの実施形態において、この抗CD20抗体(例えば、Rituxan(登録商標))(または、その抗原結合フラグメント)は、このアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)(または、その抗原結合フラグメント)と同時に投与される。他の実施形態において、この抗CD20抗体(例えば、Rituxan(登録商標))(または、その抗原結合フラグメント)がまず最初に投与され、それから次にこのアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)(または、その抗原結合フラグメント)が投与される。さらに他の実施形態において、このアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)(または、その抗原結合フラグメント)がまず最初に投与され、それから次にこの抗CD20抗体(例えば、Rituxan(登録商標))(または、その抗原結合フラグメント)が投与される。いくつかの実施形態において、抗CD20抗体およびアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、Rituxan(登録商標)およびモノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)の組み合わせが、1回の投薬について併用的に与えられるが、他の投薬としては、同日または異なる日にいずれかの順序での連続投与が挙げられる。この抗CD20抗体(例えば、Rituxan(登録商標))および、このアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)が同時に投与される場合、これらは、それぞれこの抗CD20抗体(またはその抗原結合フラグメント)か、もしくはこのアンタゴニスト抗CD40抗体(またはその抗原結合フラグメント)のいずれかを含む、別個の薬学的組成物として投与され得るか、または、これら両方の抗癌剤を含む単一の薬学的組成物として投与され得る。
いくつかの実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの治療上有効な量の範囲は、約0.003mg/kg〜約50mg/kg、約0.01mg/kg〜約40mg/kg、約0.01mg/kg〜約30mg/kg、約0.1mg/kg〜約30mg/kg、約0.5mg/kg〜約30mg/kg、約1mg/kg〜約30mg/kg、約3mg/kg〜約30mg/kg、約3mg/kg〜約25mg/kg、約3mg/kg〜約20mg/kg、約5mg/kg〜約15mg/kg、または約7mg/kg〜約12mg/kgであり得る。従って、例えば、任意の1種のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12もしくはモノクローナル抗体CHIR−5.9またはその抗原結合フラグメント)の用量は、0.003mg/kg、0.01mg/kg、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.3mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、5mg/kg、7mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg、50mg/kg、または約0.003mg/kg〜約50mg/kgの範囲にある他のそのような用量である得る。同じ治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体投薬の各週を通じて、投与され得る。あるいは、異なる治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、処置期間のクールにわたって使用され得る。
他の実施形態において、本明細書の他の部分で定義されるように、最初の治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、より低い用量範囲(すなわち、約0.003mg/kg〜約20mg/kg)であり得、引き続く用量は、より高い用量範囲(すなわち、約20mg/kg〜約50mg/kg)になり得る。
代替的な実施形態において、本明細書の他の部分で定義されるように、最初の治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、より高い用量範囲(すなわち、約20mg/kg〜約50mg/kg)であり得、引き続く用量は、より低い用量範囲(すなわち、0.003mg/kg〜約20mg/kg)になり得る。従って、1つの実施形態において、上記最初の治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、約20mg/kg〜約35mg/kg(約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、および35mg/kgを含む)であり、そして引き続く治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、約5mg/kg〜約15mg/kg(約5mg/kg、約8mg/kg、約10mg/kg、約12mg/kg、および約15mg/kgを含む)である。
本発明のいくつかの実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体療法は、「負荷投与量(loading dose)」の抗体またはその抗原結合フラグメントを、アンタゴニスト抗CD40抗体療法を必要としている被験体に投与することによって開始される。「負荷投与量」によって、投与される抗体または抗原結合フラグメントの用量がより高い用量範囲(すなわち、約20mg/kg〜約50mg/kg)にある、上記被験体に投与されるアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの最初の用量が意図される。上記「負荷投与量」は、完全な「負荷投与量」が約24時間の期間内に投与される限り、一回投与(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントがIV投与される一回注入)としてか、または複数投与(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメントがIV投与される複数注入)として投与され得る。「負荷投与量」の投与に続いて、次いで上記被験体は、1以上のさらなる治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを投与される。引き続く治療有効用量は、例えば、毎週の投薬スケジュールに従ってか、または2週間に一度、3週間に一度、もしくは4週間に一度、投与され得る。このような実施形態において、上記引き続く治療有効用量は、一般的により低い用量範囲(すなわち、0.003mg/kg〜約20mg/kg)内にある。
あるいは、いくつかの実施形態において、「負荷投与量」に続いて、上記引き続く治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、「維持スケジュール」に従って投与される。このスケジュールにおいて、上記治療有効用量の抗体またはその抗原結合フラグメントは、1ヶ月に1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、10週間に1回、3ヶ月に1回、14週間に1回、4ヶ月に1回、18週間に1回、5ヶ月に1回、22週間に1回、6ヶ月に1回、7ヶ月に1回、8ヶ月に1回、9ヶ月に1回、10ヶ月に1回、11ヶ月に1回、または12ヶ月に1回、投与される。このような実施形態において、上記治療有効用量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、特に引き続く用量がより頻繁な間隔(例えば、2週間に1回〜1ヶ月に1回)で投与される場合、より低い用量範囲(すなわち、0.003mg/kg〜約20mg/kg)であるか、または特に引き続く用量がより頻繁でない間隔(例えば、引き続く用量が約1ヶ月〜約12ヶ月離れて投与される)で投与される場合、より高い投薬範囲(すなわち、約20mg/kg〜約50mg/kg)である。
本発明の方法において有用な薬学的組成物は、抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)またはアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)のいずれか、あるいはそれら両方の生物学的に活性な改変体を包含し得る。このような改変体は、被験体に投与されたときに、改変体ポリペプチドを含有する薬学的組成物が、天然のポリペプチドを含有する薬学的組成物と同じ治療的効果を有するように、上記天然ポリペプチドの所望の生物学的活性を保持するべきである。すなわち、上記改変体の抗体は、天然のアンタゴニスト抗体(例えば、それぞれハイブリドーマ細胞株5.9またはハイブリドーマ細胞株12.12によって発現されるモノクローナル抗体CHIR−5.9またはモノクローナル抗体CHIR−12.12、およびIDEC−C2B8)について観察されるものと類似した様式において、薬学的組成物中の治療上活性な成分として機能する。改変体抗体が、所望の生物学的活性を保持し、それ故、薬学的組成物中の治療的活性成分として機能するか否かを決定するための方法は、当該分野で利用可能である。抗体改変体の生物学的活性は、天然のアンタゴニスト抗体の活性を測定するために特異的に設計されたアッセイ(本発明において記載されるアッセイを含む)を使用して測定され得る。
治療的に活性な成分として、本明細書中に記載される結合特性を有する抗CD20抗体、または本明細書中に記載される結合特性を有するアンタゴニスト抗CD40抗体を含有する、あらゆる薬学的組成物が、本発明の方法において使用され得る。従って、1種以上の本発明の実施において有用な抗体を含有する液体、凍結乾燥または噴霧乾燥した組成物は、本発明の方法に従う、その後の被験体への投与のために、水系もしくは非水系の溶液または懸濁液として調製され得る。これらの組成物の各々は、治療的または予防的に活性な成分として、少なくとも1種の抗CD20抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)またはアンタゴニスト抗CD40抗体(もしくはその抗原結合フラグメント)を含有する。「治療的または予防的に活性な成分」により、抗体またはその抗原結合フラグメントが、組成物中に特異的に組み込まれて、薬学的組成物が被験体に投与されるときに、この被験体内の疾患もしくは状態の、処置、予防または診断に関して、所望の治療的または予防的な応答をもたらすことが意図される。好ましくは、薬学的組成物は、適切な安定化剤、充填剤、またはこれらの両方を含有し、調製および保存の間の、タンパク質の安定性および生物学的活性の喪失に伴う問題を最小限にする。
処方用物質(formulant)が、本発明の実施において有用な抗体を含有する薬学的組成物に添加され得る。これらの処方用物質としては、油、ポリマー、ビタミン、炭水化物、アミン酸(amine acid)、塩、緩衝液、アルブミン、界面活性剤、または充填剤が挙げられ得るがこれらに限定されない。好ましくは、炭水化物としては、糖または糖アルコール(例えば、単糖類、二糖類、もしくは多糖類、または水溶性グリカン)が挙げられる。糖類またはグリカンとしては、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、αおよびβシクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ならびにカルボキシメチルセルロース、またはこれらの混合物が挙げられ得る。「糖アルコール」は、ヒドロキシル基を有するC4〜C8炭化水素として定義され、そして、糖アルコールとしては、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロールおよびアラビトールが挙げられる。これらの糖または糖アルコールは、個別または組み合わせで使用され得る。糖または糖アルコールの濃度は、1.0%w/vと7%w/vとの間であり、より好ましくは、2.0%w/vと6.0%w/vとの間である。好ましくは、アミノ酸としては、左旋(L)形態のカルニチン、アルギニンおよびベタインが挙げられる;しかし、他のアミノ酸も添加され得る。好ましいポリマーとしては、2,000と3,000との間の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)、または、3,000と5,000との間の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。処方物中に添加され得る界面活性剤としては、欧州特許第270,799号および同第268,110号に示される。
さらに、抗体は、例えば、その循環半減期を増加させるために、ポリマーへの共有結合によって化学修飾され得る。好ましいポリマー、およびこのポリマーをペプチドに結合させる方法は、米国特許第4,766,106号;同第4,179,337号;同第4,495,285号;および同第4,609,546号(これらは、全て、その全体が本明細書中に参考として援用される)に示される。好ましいポリマーは、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは、室温で水溶性であり、一般式:R(O−−CH2−−CH2)nO−−Rを有する。この式において、Rは、水素、またはアルキル基もしくはアルカノール基のような保護基であり得る。好ましくは、この保護基は、1個と8個の間の炭素を有し、より好ましくは、この保護基はメチルである。記号nは、正の整数であり、好ましくは、1と1,000との間、より好ましくは、2と500との間である。PEGは、1,000と40,000との間、より好ましくは、2,000と20,000との間、最も好ましくは、3,000と12,000との間の好ましい平均分子量を有する。好ましくは、PEGは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有し、より好ましくは、それは、末端のヒドロキシ基である。好ましくはインヒビター上の遊離アミノ基と反応するように活性化されるのは、このヒドロキシ基である。しかし、反応基の型および量は、本発明の共有結合化PEG/抗体を達成するために変動し得ることが理解される。
水溶性のポリオキシエチル化ポリオールもまた、本発明において有用である。これらとしては、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)などが挙げられる。POGが好ましい。1つの理由は、ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール骨格が、例えば、動物およびヒトのモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドにおいて天然に存在するものと同じ骨格であるからである。従って、この分枝形成は、必ずしも身体において外来因子として認識されない。POGは、PEGと同じ範囲の好ましい分子量を有する。POGの構造は、Knaufら(1988)J.Bio.Chem.263:15064−15070に示され、POG/IL−2結合体の考察については、米国特許第4,766,106号に見られ、これらは、いずれも、その全体が本明細書により参考として援用される。
循環半減期を増加するための別の薬物送達系は、リポソームである。リポソーム送達系を調製する方法は、Gabizonら(1982)Cancer Research 42:4734;Cafiso(1981)Biochem Biophys Acta 649:129;およびSzoka(1980)Ann.Rev.Biophys.Eng.9:467において議論されている。他の薬物送達系が当該分野で公知であり、例えば、Poznanskyら(1980)Drug Delivery Systems(R.L.Juliano編,Oxford,N.Y.)pp.253−315;Poznansky(1984)Pharm Revs 36:277に記載される。
薬学的組成物に組み込まれる処方用物質は、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの安定性のために提供されるべきである。すなわち、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、その物理的および/または化学的安定性を保持し、そして、所望の生物学的活性(すなわち、本明細書において上で定義される1種以上のアンタゴニスト活性(T細胞により刺激された正常なヒト末梢B細胞による免疫グロブリン分泌の阻害;Jurkat T細胞により刺激された正常なヒト末梢B細胞の生存および/または増殖の阻害;CD40L発現細胞もしくは可溶性CD40リガンド(sCD40L)により刺激された正常ヒト末梢B細胞の生存および/または増殖の阻害;sCD40Lもしくは固相CD40Lにより刺激された、あらゆる細胞における「生き残った」抗アポトーシス細胞内シグナルの阻害;sCD40Lまたは固相CD40Lとのライゲーションに対する任意の細胞におけるCD40シグナル伝達の阻害;ならびに、本明細書中の他の部分で言及した、ヒト悪性B細胞の増殖の阻害が挙げられるがこれらに限定されない))を有するべきである。
タンパク質の安定性をモニターするための方法は、当該分野で周知である。例えば、Jones(1993)Adv.Drug Delivery Rev.10:29−90;Lee編(1991)Peptide and Protein Drug Delivery(Marcel Dekker,Inc.,New York,New York);および本明細書中、以下に開示される安定性アッセイを参照のこと。一般に、タンパク質の安定性は、特定の時間にわたって、選択された温度において測定される。好ましい実施形態において、安定な抗体の薬学的処方物は、室温(約25℃)において、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、もしくは少なくとも6ヶ月保存した場合に、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの安定性を提供し、そして/あるいは、2〜8℃において、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、安定である。
薬学的組成物中に処方される場合、抗体のようなタンパク質は、その薬学的組成物中で、沈殿、凝集および/または変性の、目に見える徴候(すなわち、変色または透明度の喪失)または(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)またはUV光散乱を使用して)測定可能な徴候を示さない場合に、所定の時点において、その物理的安定性を保持すると考えられる。化学的安定性に関して、薬学的組成物中に処方される場合、抗体のようなタンパク質は、その薬学的組成物中で、化学的安定性の測定が、そのタンパク質(すなわち、抗体)が、目的の生物学的活性を保持することを暗示する場合に、所定の時点において、その化学的安定性を保持すると考えられる。化学的安定性の変化をモニターするための方法は、当該分野で周知であり、この方法としては、例えば、SDS−PAGE、SECおよび/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間質量分析を使用する、タンパク質の化学的に変更された形態(例えば、クリッピングからの結果)を検出するための方法;および、例えば、イオン交換クロマトグラフィーを使用する、分子の電荷の変化に伴う分解(例えば、脱アミドに伴う分解)を検出する方法が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本明細書中で、以下に開示される方法を参照のこと。
薬学的組成物中に処方される場合、アンタゴニスト抗CD40抗体、またはその抗原結合フラグメントは、所望の生物学的活性に適切なアッセイにおいて測定されるとき、その時点での所望の生物学的活性が、その薬学的組成物が調製された時点で示される所望の生物学的活性の約30%以内、好ましくは、約20%以内である場合に、所定の時点において所望の生物学的活性を保持すると考えられる。本明細書中に開示されるアンタゴニスト抗CD40抗体およびその抗原結合フラグメントの所望の生物学的活性を測定するためのアッセイは、本明細書中の実施例に記載されるようにして実施され得る。また、Schultzeら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:8200−8204;Dentonら(1998)Pediatr.Transplant.2:6−15;Evansら(2000)J.Immunol 164:688−697;Noelle(1998)Agents Actions Suppl.49:17−22;Ledermanら(1996)Curr.Opin,Hematol.3:77−86;Coliganら(1991)Current Protocols in Immunology 13:12;Kwekkeboomら(1993)Immunology 79:439−444;ならびに米国特許第5,674,492号および同第5,847,082号に記載されるアッセイもまた参照のこと(これらは、本明細書中に参考として援用される)。
本発明のいくつかの実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメントは、液体薬学的処方物中に処方される。アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、当該分野で公知の任意の方法を使用して調製され得、これらの方法としては、本明細書において上で開示された方法が挙げられる。1つの実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメントは、CHO細胞株において組換え的に産生される。
その調製および精製の後、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントは、本明細書中に示される様式で液体薬学的処方物として処方され得る。アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントが、その処方前に保存される場合、これらは、例えば、≦−20℃において凍結され、次いで、さらなる処方のために、室温にて融解され得る。この液体薬学的処方物は、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。この処方物中に存在する抗体またはその抗原結合フラグメントの量は、投与経路および所望の投薬用量を考慮に入れる。
この様式において、液体薬学的組成物は、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12抗体もしくはCHIR−5.9抗体)またはその抗原結合フラグメントを、約0.1mg/ml〜約50mg/ml、約0.5mg/ml〜約40.0mg/ml、約1.0mg/ml〜約30.0mg/ml、約5.0mg/ml〜約25.0mg/ml、約5.0mg/ml〜約20.0mg/ml、または約15.0mg/ml〜約25.0mg/mlの濃度で含む。いくつかの実施形態において、この液体薬学的組成物は、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを、約0.1mg/ml〜約5.0mg/ml、約5.0mg/ml〜約10.0mg/ml、約10.0mg/ml〜約15.0mg/ml、約15.0〜約20.0mg/ml、約20.0mg/ml〜約25.0mg/ml、約25.0mg/ml〜約30.0mg/ml、約30.0mg/ml〜約35.0mg/ml、約35.0〜約40.0mg/ml、約40.0〜約45.0mg/ml、または約45.0mg/ml〜約50.0mg/mlの濃度で含む。他の実施形態において、この液体薬学的組成物は、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを、約15.0mg/ml、約16.0mg/ml、約17.0mg/ml、約18.0mg/ml、約19.0mg/ml、約20.0mg/ml、約21.0mg/ml、約22.0mg/ml、約23.0mg/ml、約24.0mg/ml、または約25.0mg/mlの濃度で含む。この液体薬学的組成物は、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12抗体もしくはCHIR−5.9抗体)またはその抗原結合フラグメント、およびこの処方物のpHをpH約5.0〜pH約7.0の範囲(pH約5.0、pH約5.1、pH約5.2、pH約5.3、pH約5.4、pH約5.5、pH約5.6、pH約5.7、pH約5.8、pH約5.9、pH約6.0、pH約6.1、pH約6.2、pH約6.3、pH約6.4、pH約6.5、pH約6.6、pH約6.7、pH約6.8、pH約6.9、pH約7.0、およびpH約5.0〜pH約7.0の範囲内の他のこのような値が含まれる)に維持する緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、緩衝液は、処方物のpHを、pH約5.0〜pH約6.5、pH約5.0〜pH約6.0、pH約5.0〜pH約5.5、pH約5.5〜pH約7.0、pH約5.5〜pH約6.5、またはpH約5.5〜pH約6.0の範囲に維持する。
液体抗CD40抗体処方物のpHをpH約5.0〜pH約7.0の範囲に維持する任意の適切な緩衝液は、その抗体の物理化学的安定性および所望の生物学的活性が本明細書において上に言及されたように維持される限り、処方物において使用され得る。適切な緩衝液としては、従来の酸およびその塩が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、対イオンは、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、またはマグネシウムであり得る。薬学的な液体処方物を緩衝するために使用され得る従来の酸およびその塩の例としては、コハク酸またはコハク酸塩、クエン酸またはクエン酸塩、酢酸または酢酸塩、酒石酸または酒石酸塩、リン酸またはリン酸塩、グルコン酸またはグルコン酸塩、グルタミン酸またはグルタミン酸塩、アスパラギン酸またはアスパラギン酸塩、マレイン酸またはマレイン酸塩、およびリンゴ酸またはリンゴ酸塩の緩衝液が挙げられるがこれらに限定されない。処方物内の緩衝液の濃度は、約1mM〜約50mM(約1mM、約2mM、約5mM、約8mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、または約1mM〜約50mMの範囲内の他のこのような値を含む)であり得る。いくつかの実施形態において、処方物内の緩衝液の濃度は、約5mM〜約15mM(約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、または約5mM〜約15mMの範囲内の他のこのような値を含む)であり得る。
本発明のいくつかの実施形態において、液体薬学的処方物は、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体(たとえば、CHIR−12.12モノクローナル抗体もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)またはその抗原結合フラグメント、およびこの処方物のpHをpH約5.0〜pH約7.0、好ましくは、pH約5.0〜pH約6.5の範囲に維持する濃度のコハク酸緩衝液またはクエン酸緩衝液を含む。「コハク酸緩衝液」または「クエン酸緩衝液」によって、それぞれ、コハク酸の塩またはクエン酸の塩を含む緩衝液が意図される。好ましい実施形態において、コハク酸またはクエン酸の対イオンは、ナトリウムカチオンであり、従って、緩衝液は、それぞれ、コハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムである。しかし、任意のカチオンが、有効であると予想される。他の可能なコハク酸カチオンまたはクエン酸カチオンとしては、カリウム、アンモニウム、カルシウム、およびマグネシウムが挙げられるがこれらに限定されない。上記のように、処方物内のコハク酸緩衝液またはクエン酸緩衝液の濃度は、約1mM〜約50mM(約1mM、約2mM、約5mM、約8mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、または約1mM〜約50mMの範囲内の他のこのような値を含む)であり得る。いくつかの実施形態において、処方物内の緩衝液の濃度は、約5mM〜約15mM(約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、または約15mMを含む)であり得る。他の実施形態において、液体薬学的処方物は、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメントを、0.1mg/ml〜約50.0mg/ml、または約5.0mg/ml〜約25.0mg/mlの濃度で、そして、コハク酸緩衝液またはクエン酸緩衝液(例えば、コハク酸ナトリウム緩衝液またはクエン酸ナトリウム緩衝液)を、約1mM〜約20mM、約5mM〜約15mM、好ましくは、約10mMの濃度で含む。
液体薬学的処方物が等張付近であることが望ましい場合、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメント、およびこの処方物のpHをpH約5.0〜pH約7.0の範囲内に維持するための緩衝液を含む液体薬学的処方物は、さらに、この処方物を等張付近にするために十分な量の等張化剤を含み得る。「等張付近(near isotonic)」により、水溶性処方物が、約240mmol/kg〜約360mmol/kg、好ましくは約240mmol/kg〜約340mmol/kg、より好ましくは約250mmol/kg〜約330mmol/kg、なおより好ましくは約260mmol/kg〜約320mmol/kg、なおより好ましくは約270mmol/kg〜約310mmol/kgの浸透圧を有することが意図される。溶液の等張度を測定する方法は、当業者に公知である。例えば、Setnikarら(1959)J.Am.Pharm.Assoc.48:628を参照のこと。
当業者は、薬学的組成物に等張性を提供するのに有用な、種々の薬学的に受容可能な溶質に精通している。等張化剤は、本発明の液体薬学的処方物の浸透圧を、体液の浸透圧にほぼ等しい値に調節し得る任意の試薬であり得る。生理学的に受容可能な等張化剤の使用が望ましい。従って、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメント、およびこの処方物のpHをpH約5.0〜pH約7.0の範囲内に維持するための緩衝液を含む液体薬学的処方物は、さらに、等張性を提供するために使用され得る成分(例えば、塩化ナトリウム;アミノ酸(例えば、アラニン、バリンおよびグリシン);糖類および糖アルコール(ポリオール)(グルコース、デキストロース、フルクトース、スクロース、マルトース、マンニトール、トレハロース、グリセロール、ソルビトールおよびキシリトールが挙げられるがこれらに限定されない);酢酸、他の有機酸またはその塩、および比較的少量のクエン酸またはリン酸)を含み得る。当業者は、液体処方物の最適な張度を提供するために適切なさらなる薬剤を知っている。
いくつかの好ましい実施形態において、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメント、およびこの処方物のpHを、pH約5.0〜pH約7.0の範囲内に維持するための緩衝液を含む液体薬学的処方物は、さらに、等張化剤として塩化ナトリウムを含む。処方物中の塩化ナトリウムの濃度は、張度に対する他の成分の寄与に依存する。いくつかの実施形態において、塩化ナトリウムの濃度は、約50mM〜約300mM、約50mM〜約250mM、約50mM〜約200mM、約50mM〜約175mM、約50mM〜約150mM、約75mM〜約175mM、約75mM〜約150mM、約100mM〜約175mM、約100mM〜約200mM、約100mM〜約150mM、約125mM〜約175mM、約125mM〜約150mM、約130mM〜約170mM、約130mM〜約160mM、約135mM〜約155mM、約140mM〜約155mM、または約145mM〜約155mMである。1つのこのような実施形態において、塩化ナトリウムの濃度は、約150mMである。他のこのような実施形態において、塩化ナトリウムの濃度は、約150mMであり、緩衝液は、約5mM〜約15mMの濃度のコハク酸ナトリウム緩衝液またはクエン酸ナトリウム緩衝液であり、この液体薬学的処方物は、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメントを含み、そして、この処方物は、pH約5.0〜pH約7.0、pH約5.0〜pH約6.0、またはpH約5.5〜pH約6.5のpHを有する。他の実施形態において、液体薬学的処方物は、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメント、pH約5.5のpHにおいて、約0.1mg/ml〜約50.0mg/ml、または約5.0mg/ml〜約25.0mg/mlの濃度のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメント、約150mMの濃度の塩化ナトリウム、および約10mMのコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムを含む。
本発明の液体薬学的処方物の処理の間の凍結融解または機械的なせん断に起因するタンパク質の分解は、溶液−空気界面における表面張力を低下させるために、処方物内に界面活性剤を組み込むことによって阻害され得る。こうして、いくつかの実施形態において、液体薬学的処方物は、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)またはその抗原結合フラグメント、処方物のpHをpH約5.0〜pH約7.0の範囲内に維持するための緩衝液を含み、そしてさらに、界面活性剤を含む。他の実施形態において、液体薬学的処方物は、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメント、処方物のpHをpH約5.0〜pH約7.0の範囲内に維持するための緩衝液、約50mM〜約300mMの濃度の等張化剤(例えば、塩化ナトリウム)を含み、そしてさらに、界面活性剤を含む。
使用される代表的な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であり、これらとしては、以下が挙げられる:ポリオキシエチレンソルビトールエステル(例えば、ポリソルベート80(Tween 80)およびポリソルベート20(Tween 20));ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンエステル(例えば、Pluronic F68);ポリオキシエチレンアルコール(例えば、Brij 35);シメチコン;ポリエチレングリコール(例えば、PEG400);リゾホスファチジルコリン;およびポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェノール(例えば、Triton X−100)。界面活性剤または乳化剤による伝統的な安定化については、例えば、Levineら(1991)J.Parenteral Sci.Technol.45(3):160−165(本明細書中に参考として援用される)に記載される。本発明を実施する際に使用される好ましい界面活性剤は、ポリソルベートである。界面活性剤が含まれる場合、界面活性剤は、代表的に、約0.001%(w/v)〜約1.0%(w/v)、約0.001%(w/v)〜約0.5%(w/v)、約0.001%(w/v)〜約0.4%(w/v)、約0.001%(w/v)〜約0.3%(w/v)、約0.001%(w/v)〜約0.2%(w/v)、約0.005%(w/v)〜約0.5%(w/v)、約0.005%(w/v)〜約0.2%(w/v)、約0.01%(w/v)〜約0.5%(w/v)、約0.01%(w/v)〜約0.2%(w/v)、約0.03%(w/v)〜約0.5%(w/v)、約0.03%(w/v)〜約0.3%(w/v)、約0.05%(w/v)〜約0.5%(w/v)、または約0.05%(w/v)〜約0.2%(w/v)の量で添加される。
こうして、いくつかの実施形態では、液体薬学的処方物は、治療上有効な量のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメントを含み、緩衝液は、約1mM〜約50mM、約5mM〜約25mM、または約5mM〜約15mMの濃度のコハク酸ナトリウム緩衝液またはクエン酸ナトリウム緩衝液であり;この処方物は、pH約5.0〜pH約7.0、pH約5.0〜pH約6.0、またはpH約5.5〜pH約6.5のpHを有し;そして、この処方物は、さらに、約0.001〜約1.0%、または約0.001%〜約0.5%の量の界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)を含む。このような処方物は、必要に応じて、約50mM〜約300mM、約50mM〜約200mMまたは約50mM〜約150mMの濃度の等張化剤(例えば、塩化ナトリウム)を含み得る。他の実施形態において、液体薬学的処方物は、約0.1mg/ml〜約50.0mg/ml、または約5.0mg/ml〜約25.0mg/ml(約20.0mg/mlを含む)の濃度のアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、CHIR−12.12モノクローナル抗体、もしくはCHIR−5.9モノクローナル抗体)、またはその抗原結合フラグメント;約50mM〜約200mMの塩化ナトリウム(約150mMの塩化ナトリウムを含む);約5mM〜約20mMのコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム(約10mMのコハク酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムを含む);約50mM〜約200mM(約150mMを含む)の濃度の塩化ナトリウム;および必要に応じて、約0.001%〜約1.0%(約0.001%〜約0.5%を含む)の量の界面活性剤(例えば、ポリソルベート80);を含み、ここで、この液体薬学的処方物は、pH約5.0〜pH約7.0、pH約5.0〜pH約6.0、約pH5.0〜pH約5.5,pH約5.5〜pH約6.5、または約pH5.5〜pH約6.0のpHを有する。
液体薬学的処方物は、本質的に、保存料、および本明細書において上記された他のキャリア、賦形剤または安定化剤を含まなくてもよい。あるいは、この処方物は、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの物理化学的安定性に悪影響を及ぼさないという条件で、1種以上の保存剤(例えば、抗細菌剤)、本明細書において上記薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または安定化剤を含み得る。受容可能なキャリア、賦形剤および安定化剤の例としては、さらなる緩衝化剤、共溶媒、界面活性剤、抗酸化剤(アスコルビン酸およびメチオニンを含む)、キレート化剤(例えば、EDTA)、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体)、および生分解性ポリマー(例えば、ポリエステル)が挙げられるがこれらに限定されない。薬学的に受容可能なキャリア、安定化剤、および等モル化剤(isomolyte)の処方および選択の詳細な議論は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版;Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania,1990)(本明細書中に参考として援用される)に見出され得る。
本明細書中に記載される液体薬学的処方物または他の薬学的組成物が調製された後、これらは、分解を防ぐために凍結乾燥され得る。液体組成物を凍結乾燥するための方法は、当業者に公知である。使用の直前に、組成物は、さらなる成分を含み得る滅菌希釈剤(例えば、Ringer溶液、蒸留水または滅菌生理食塩水)で再構成され得る。再構成の際に、組成物は、好ましくは、当業者に公知の方法を使用して、被験体に投与される。
(医薬の製造におけるアンタゴニスト抗CD40抗体の使用)
本発明はまた、被験体における自己免疫疾患および/または炎症性疾患を処置するための医薬の製造における、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの使用を提供し、ここで、この医薬は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントを用いる処置と共働する。そのような癌としては、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫(follicular small cleaved lymphoma)、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫(follicular mixed small cleaved lymphoma)、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫(diffuse small cleaved cell lymphoma)、びまん性小リンパ球性リンパ腫(diffuse small lymphocytic lymphoma)、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、被験体における自己免疫疾患および/または炎症性疾患を処置するための医薬の製造における、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの使用を提供し、ここで、この医薬は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントを用いる処置と共働する。そのような癌としては、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、重度のB細胞リンパ腫、中程度のB細胞リンパ腫、軽度のB細胞リンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、骨髄芽球性白血病、ホジキン病、プラスマ細胞腫、濾胞性リンパ腫、濾胞性小型切れ込みリンパ腫(follicular small cleaved lymphoma)、濾胞性大細胞リンパ腫、濾胞性混合小型切れ込みリンパ腫(follicular mixed small cleaved lymphoma)、びまん性小型切れ込み細胞性リンパ腫(diffuse small cleaved cell lymphoma)、びまん性小リンパ球性リンパ腫(diffuse small lymphocytic lymphoma)、前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁層リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫、単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、ヘアリーセル白血病、びまん性大細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、リンパ腫様肉芽腫症、血管内リンパ腫、びまん性混合細胞リンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫、AIDS関連リンパ腫およびマントル細胞リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。
「共働する(coordinated)」により、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬が、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントを用いる被験体の処置の、前、間または後のいずれかに使用されることが意図される。1つのそのような実施形態において、本発明は被験体におけるB細胞に関連する癌を処置するための医薬の製造における、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはCHIR−5.9の使用を提供し、ここで、その医薬は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))、またはその抗原結合フラグメントを用いる処置と共働し、その医薬は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))、またはその抗原結合フラグメントを用いる被験体の処置前、処置中または処置後のいずれかで使用されるべきである。
いくつかの実施形態において、このアンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、本明細書で開示されるモノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)またはその抗原結合フラグメントを含む薬剤は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメント、および癌治療の少なくとも1つの他の型を使用する処置と調和される。他の癌治療の例としては、必要に応じて自己骨髄移植を併用しての、本明細書の上記のもの、すなわち、手術;放射線治療;化学療法(ここでの適切な化学療法の薬剤として、フルダラビンもしくはリン酸フルダラビン、クロラムブシル、ビンクリスチン、ペントスタチン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン)、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン、および、これらの組み合わせ(例えば、CAP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、さらにプレドニゾン)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、さらにプレドニゾン)、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン、さらにデキサメタゾン)、MP(メルファラン、さらにプレドニゾン)のようなアントラサイクリンを含むレジメン)、ならびに化学療法において使用される他の細胞毒性剤および/または他の治療剤(例えば、ミトザントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、アスパラギナーゼ、および代謝拮抗物質(シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシルダカルバジン(decarbazine)、6−チオグアニン、6−メルカプトプリンおよびネルアラビン(nelarabine)が挙げられるが、これらに限定されない));他の抗癌モノクローナル抗体治療(例えば、アレムツズマブ(alemtuzumab、Campath(登録商標))または悪性B細胞上のCD52細胞表面糖タンパク質を標的とする、他の抗CD52抗体;抗CD19抗体(例えば、MT103、二重特異性抗体);抗CD22抗体(例えば、ヒト化モノクローナル抗体エプラツズマブ(epratuzumab);ヒト血管内皮増殖因子を標的とするベバシズマブ(bevacizumab、Avastin(登録商標))または他の抗癌抗体;悪性B細胞上のCD22抗原を標的とする抗CD22抗体(例えば、モノクローナル抗体BL−22、αCD22毒素);マクロファージコロニー刺激因子を標的とするα−M−CSF抗体;多発性骨髄腫において過剰発現される、核性因子κB受容体活性化因子(RANK)およびそのリガンド(RANKL)を標的とする抗体;悪性B細胞上のCD23抗原を標的とする抗CD23抗体(例えば、IDEC−152);CD80抗原を標的とする抗CD80抗体(例えば、IDEC−114);悪性B細胞上のCD38抗原を標的とする抗CD38抗体;悪性B細胞上に発現される主要組織適合遺伝子複合体クラスII受容体を標的とする抗体(抗MHC抗体);悪性B細胞上のCD40抗原を標的とする、他の抗CD40抗体(例えば、SGN−40);ならびに多数の固形腫瘍および多数の造血系起源の腫瘍に発現される、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発性リガンド受容体1(TRAIL−R1)およびTRAIL−R2を標的とする抗体(例えば、アゴニストヒトモノクローナル抗体HGS−ETR1));低分子に基づく癌治療(微小管インヒビターおよび/またはトポイソメラーゼインヒビター(例えば、有糸分裂インヒビター ドラスタチン(dolastatin)およびドラスタチン類似体;チューブリン結合剤T900607;XL119;およびトポイソメラーゼインヒビター アミノカンプトテシン(aminocamptothecin)、SDX−105(塩酸ベンダムスチン(bendamustine))、イザベピロン(ixabepilone、エポチロン(epothilone)類似体、BMS−247550とも呼ばれる))が挙げられるが、これらに限定されない)、プロテインキナーゼCインヒビター(例えば、ミドスタウリン(midostaurin)(PKC−412、CGP 41251、N−ベンゾイルスタウロスポリン)、ピザントロン(pixantrone)、エロザチン(eloxatin、抗腫瘍性剤)、ガニート(ganite、硝酸ガリウム)、Thalomid(登録商標)(サリドマイド)、サリドマイド免疫調節誘導体(例えば、レブリミド(revlimid、以前はレビミド(revimid)))、AffinitakTM(プロテインキナーゼCαのアンチセンスインヒビター))、SDX−101(R−エトドラック(etodolac)悪性リンパ腫のアポトーシスを誘導する)、クロファラビン(clofarabine)のような第二世代プリンヌクレオシド類似体、癌細胞によるBcl−2タンパク質産生のインヒビター(例えば、アンチセンス剤オブリメルセン(oblimersen)およびGenasense(登録商標))、プロテアソームインヒビター(例えば、VelcadeTM(ボルテゾミブ(bortezomib)))、低分子キナーゼインヒビター(例えば、CHIR−258)、低分子VEGFインヒビター(例えば、ZD−6474)、17−AAGのような熱ショックタンパク質(HSP)90の低分子インヒビター、サブエラニロヒドロキサム(suberanilohydroxamic)酸(SAHA)およびFR−901228のような、ヒストン脱アセチル化酵素の低分子インヒビター(ハイブリッド/極性細胞分化HPC)剤、およびアポトーシス性の薬剤(例えば、Trisenox(登録商標)(三酸化ヒ素)およびXcytrin(登録商標)(ガドリニウム モテキサフィン(motexafin)を含むが、これらに限定されない);ワクチン/免疫療法に基づく癌治療(ワクチン方法(例えば、Id−KLH、オンコファージ(oncophage)、ビタレチン(vitalethine))、個人向け免疫療法または活性イディオタイプ免疫療法(例えば、MyVax(登録商標)個人向け免疫療法、正式にはGTOP−99と称される)、Promune(登録商標)(CpG7909、toll様受容体9(TLK9)に対する合成アゴニスト))、インターフェロン−α治療、インターロイキン−2(IL−2)治療、IL−12治療、IL−15治療、ならびにIL−21治療を含むが、これらに限定されない);ステロイド治療;あるいは他の癌治療が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、この抗CD20抗体もしくはその抗原結合フラグメントおよびこの追加の癌治療による処置、または追加の癌治療は、本明細書で上述されたように、このアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを含む薬剤による、この被験体の処置の前にか、その間にか、またはその後に行われる。このアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを含む薬剤が、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントおよび他の癌治療の少なくとも1つを使用する処置と調和される場合、この薬剤の使用は、この他の癌治療のいずれかか、または両方による、この被験体の処置の前か、その間か、またはその後であり得る。
本発明はまた、新生B細胞の増殖に特徴付けられる癌(本明細書で上述されたB細胞に関連する癌を含む)に対し被験体を処置するための薬剤の製造における、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの相乗的な組み合わせも提供し、ここで、この薬剤は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントを使用する処置と調和される。「相乗的な組み合わせ」により、本明細書の上記に発表された方法で、この薬剤が抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントを使用する処置と調和される場合、相乗的な治療効果を提供するアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの量を含む薬剤が意図される。「相乗的な治療効果」は、2つ以上の治療(この場合、このアンタゴニスト抗CD40抗体治療および抗CD20抗体治療)の併用により観察される治療効果を言及し、ここで、この治療効果(多くのパラメータ(本明細書で上述された効能の測定を含む)のいずれかにより評価される)は、それぞれ個々の治療により観察されるそれぞれ個々の治療効果の合計よりも高い。
1つのそのような実施形態において、本発明は、被験体におけるB細胞に関連する癌を処置するための医薬の製造における、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはCHIR−5.9の相乗的な組み合わせの使用を提供し、ここで、この医薬は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))またはその抗原結合フラグメントを使用する処置と共働され、ここで、この医薬は、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントを使用する被験体の処置の前、処置中、または処置後のいずれかに使用され得る。いくつかの実施形態において、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、本明細書中に開示されるモノクローナル抗体CHIR−12.12もしくはCHIR−5.9)またはその抗原結合フラグメントの相乗的な組み合わせは、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))またはその抗原結合フラグメントを使用する処置、および本明細書中で上に記載されるような他の型の癌治療のうちの少なくとも1種と共働される。
本発明はまた、新生B細胞増殖によって特徴付けられる癌(本明細書中で上に記載されたB細胞に関連する癌が挙げられる)について被験体を処置するための医薬の製造における、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、本明細書中に開示されるモノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)またはその抗原結合フラグメントの使用を提供し、ここで、この医薬は、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))またはその抗原結合フラグメントで事前に処置された被験体において使用される。「事前に処置された(pretreated)」または「事前の処置(pretreatment)」により、被験体が、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬を受容する前に、抗CD20抗体治療を受けている(すなわち、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントを用いて処置されている)ことが意図される。「事前に処置された」または「事前の処置」は、アンタゴニスト抗CD40抗体(例えば、本明細書中で開示されるモノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)またはその抗原結合フラグメントを含む医薬での処置の開始前、2年以内、18ヶ月以内、1年以内、6ヶ月以内、2ヶ月以内、6週間以内、1ヶ月以内、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、2日以内、または、さらに1日以内に、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントあるいはその改変体を用いて処置された被験体を含む。被験体は、前の抗CD20抗体治療、または前の抗CD20抗体治療および他の癌治療での事前処置に対する応答者であった必要はない。従って、アンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬を受容する被験体は、前の抗CD20抗体治療での事前処置に、または、事前処置が、複数の癌治療から構成され、そのうちの1つが抗CD20抗体治療である癌治療(例えば、抗CD20抗体治療および手術;抗CD20抗体治療および化学療法;抗CD20抗体治療およびIL−2治療;または抗CD20抗体治療、化学療法およびIL−2治療)の前の1以上に対して、応答していても、応答し損なって(すなわち、その癌が無反応性である)いてもよい。
それゆえ、いくつかの実施形態において、本発明は、新生B細胞の増殖に特徴付けられる癌(例えば、本明細書で上述されたようなB細胞に関連する癌)に対する処置を必要とする被験体において使用される薬剤の製造における、アンタゴニスト抗CD40(例えば、本明細書中で開示されるモノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)またはその抗原結合フラグメントの使用を提供し、ここで、この被験体は抗CD20抗体治療により前処置されたか、または抗CD20抗体治療および1つ以上の以下の他の癌治療により前処置された。必要に応じて自己骨髄移植を併用しての、手術;放射線治療;化学療法(ここでの適切な化学療法の薬剤として、フルダラビンもしくはリン酸フルダラビン、クロラムブシル、ビンクリスチン、ペントスタチン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン)、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン、および、これらの組み合わせ(例えば、CAP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、さらにプレドニゾン)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、さらにプレドニゾン)、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン、さらにデキサメタゾン)、MP(メルファラン、さらにプレドニゾン)のようなアントラサイクリンを含むレジメン)、ならびに化学療法において使用される他の細胞毒性剤および/または他の治療剤(例えば、ミトザントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、アスパラギナーゼ、および代謝拮抗物質(シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシルダカルバジン(decarbazine)、6−チオグアニン、6−メルカプトプリンおよびネルアラビン(nelarabine)が挙げられるが、これらに限定されない));他の抗癌モノクローナル抗体治療(例えば、アレムツズマブ(alemtuzumab、Campath(登録商標))または悪性B細胞上のCD52細胞表面糖タンパク質を標的とする、他の抗CD52抗体;抗CD19抗体(例えば、MT103、二重特異性抗体);抗CD22抗体(例えば、ヒト化モノクローナル抗体エプラツズマブ(epratuzumab);ヒト血管内皮増殖因子を標的とするベバシズマブ(bevacizumab、Avastin(登録商標))または他の抗癌抗体;悪性B細胞上のCD22抗原を標的とする抗CD22抗体(例えば、モノクローナル抗体BL−22、αCD22毒素);マクロファージコロニー刺激因子を標的とするα−M−CSF抗体;多発性骨髄腫において過剰発現される、核性因子κB受容体活性化因子(RANK)およびそのリガンド(RANKL)を標的とする抗体;悪性B細胞上のCD23抗原を標的とする抗CD23抗体(例えば、IDEC−152);CD80抗原を標的とする抗CD80抗体(例えば、IDEC−114);悪性B細胞上のCD38抗原を標的とする抗CD38抗体;悪性B細胞上に発現される主要組織適合遺伝子複合体クラスII受容体を標的とする抗体(抗MHC抗体);悪性B細胞上のCD40抗原を標的とする、他の抗CD40抗体(例えば、SGN−40);ならびに多数の固形腫瘍および多数の造血系起源の腫瘍に発現される、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発性リガンド受容体1(TRAIL−R1)およびTRAIL−R2を標的とする抗体(例えば、アゴニストヒトモノクローナル抗体HGS−ETR1));低分子に基づく癌治療(微小管インヒビターおよび/またはトポイソメラーゼインヒビター(例えば、有糸分裂インヒビター ドラスタチン(dolastatin)およびドラスタチン類似体;チューブリン結合剤T900607;XL119;およびトポイソメラーゼインヒビター アミノカンプトテシン(aminocamptothecin)、SDX−105(塩酸ベンダムスチン(bendamustine))、イザベピロン(ixabepilone、エポチロン(epothilone)類似体、BMS−247550とも呼ばれる))が挙げられるが、これらに限定されない)、プロテインキナーゼCインヒビター(例えば、ミドスタウリン(midostaurin)(PKC−412、CGP 41251、N−ベンゾイルスタウロスポリン)、ピザントロン(pixantrone)、エロザチン(eloxatin、抗腫瘍性剤)、ガニート(ganite、硝酸ガリウム)、Thalomid(登録商標)(サリドマイド)、サリドマイド免疫調節誘導体(例えば、レブリミド(revlimid、以前はレビミド(revimid)))、AffinitakTM(プロテインキナーゼCαのアンチセンスインヒビター))、SDX−101(R−エトドラック(etodolac)悪性リンパ腫のアポトーシスを誘導する)、クロファラビン(clofarabine)のような第二世代プリンヌクレオシド類似体、癌細胞によるBcl−2タンパク質産生のインヒビター(例えば、アンチセンス剤オブリメルセン(oblimersen)およびGenasense(登録商標))、プロテアソームインヒビター(例えば、VelcadeTM(ボルテゾミブ(bortezomib)))、低分子キナーゼインヒビター(例えば、CHIR−258)、低分子VEGFインヒビター(例えば、ZD−6474)、17−AAGのような熱ショックタンパク質(HSP)90の低分子インヒビター、サブエラニロヒドロキサム(suberanilohydroxamic)酸(SAHA)およびFR−901228のような、ヒストン脱アセチル化酵素の低分子インヒビター(ハイブリッド/極性細胞分化HPC)剤、およびアポトーシス性の薬剤(例えば、Trisenox(登録商標)(三酸化ヒ素)およびXcytrin(登録商標)(ガドリニウム モテキサフィン(motexafin)を含むが、これらに限定されない);ワクチン/免疫療法に基づく癌治療(ワクチン方法(例えば、Id−KLH、オンコファージ(oncophage)、ビタレチン(vitalethine))、個人向け免疫療法または活性イディオタイプ免疫療法(例えば、MyVax(登録商標)個人向け免疫療法、正式にはGTOP−99と称される)、Promune(登録商標)(CpG7909、toll様受容体9(TLK9)に対する合成アゴニスト))、インターフェロン−α治療、インターロイキン−2(IL−2)治療、IL−12治療、IL−15治療、ならびにIL−21治療を含むが、これらに限定されない);ステロイド治療;あるいは他の癌治療が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明はまた、新生B細胞の増殖に特徴付けられる癌(B細胞に関連する癌を含む)に対して被験体を処置するための薬剤の製造における、抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントの使用も提供し、ここで、この薬剤は、アンタゴニスト抗CD40またはその抗原結合フラグメントを使用する処置と調和される。これらの実施形態において、「調和される」は、この薬剤が、このアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントを使用しての、この被験体の処置の前にか、その間にか、またはその後のいずれかに使用されることを意味することを意図される。このような1つの実施形態として、本発明は、新生B細胞の増殖に特徴付けられる癌(例えば、B細胞に関連する癌)に対して被験体を処置するための薬剤の製造における、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))またはその抗原結合フラグメントの使用を提供し、ここで、この薬剤は、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9を使用する処置と調和され、この薬剤は、モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9による、この被験体の処置の前にか、その間にか、またはその後のいずれかに使用される。
いくつかの実施形態において、この抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)))またはその抗原結合フラグメントを含む薬剤は、アンタゴニスト抗CD40抗体(モノクローナル抗体CHIR−12.12またはモノクローナル抗体CHIR−5.9)またはその抗原結合フラグメント、および癌治療の少なくとも1つの他の型を使用する処置と調和される。他の癌治療の例としては、本明細書の上記のもの、すなわち、必要に応じて自己骨髄移植を併用しての、手術;放射線治療;化学療法(ここでの適切な化学療法の薬剤として、フルダラビンもしくはリン酸フルダラビン、クロラムブシル、ビンクリスチン、ペントスタチン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン)、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾン、および、これらの組み合わせ(例えば、CAP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、さらにプレドニゾン)、CHOP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、さらにドキソルビシン)、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン、さらにデキサメタゾン)、MP(メルファラン、さらにプレドニゾン)のようなアントラサイクリンを含むレジメン)、ならびに化学療法において使用される他の細胞毒性剤および/または他の治療剤(例えば、ミトザントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、アスパラギナーゼ、および代謝拮抗物質(シタラビン、メトトレキサート、5−フルオロウラシルダカルバジン、6−チオグアニン、6−メルカプトプリンおよびネルアラビンが挙げられるが、これらに限定されない));他の抗癌モノクローナル抗体治療(例えば、アレムツズマブ(Campath(登録商標))または悪性B細胞上のCD52細胞表面糖タンパク質を標的とする、他の抗CD52抗体;抗CD19抗体(例えば、MT103、二重特異性抗体);抗CD22抗体(例えば、ヒト化モノクローナル抗体エプラツズマブ;ヒト血管内皮増殖因子を標的とするベバシズマブ(Avastin(登録商標))または他の抗癌抗体;悪性B細胞上のCD22抗原を標的とする抗CD22抗体(例えば、モノクローナル抗体BL−22、αCD22毒素);マクロファージコロニー刺激因子を標的とするα−M−CSF抗体;多発性骨髄腫において過剰発現される、核性因子κB受容体活性化因子(RANK)およびそのリガンド(RANKL)を標的とする抗体;悪性B細胞上のCD23抗原を標的とする抗CD23抗体(例えば、IDEC−152);CD80抗原を標的とする抗CD80抗体(例えば、IDEC−114);悪性B細胞上のCD38抗原を標的とする抗CD38抗体;悪性B細胞上に発現される主要組織適合遺伝子複合体クラスII受容体を標的とする抗体(抗MHC抗体);悪性B細胞上のCD40抗原を標的とする、他の抗CD40抗体(例えば、SGN−40);ならびに多数の固形腫瘍および多数の造血系起源の腫瘍に発現される、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発性リガンド受容体1(TRAIL−R1)およびTRAIL−R2を標的とする抗体(例えば、アゴニストヒトモノクローナル抗体HGS−ETR1));低分子に基づく癌治療(微小管インヒビターおよび/またはトポイソメラーゼインヒビター(例えば、有糸分裂インヒビター ドラスタチンおよびドラスタチン類似体;チューブリン結合剤T900607;XL119;およびトポイソメラーゼインヒビター アミノカンプトテシン、SDX−105(塩酸ベンダムスチン)、イザベピロン(エポチロン類似体、BMS−247550とも呼ばれる))が挙げられるが、これらに限定されない)、プロテインキナーゼCインヒビター(例えば、ミドスタウリン(PKC−412、CGP 41251、N−ベンゾイルスタウロスポリン)、ピザントロン、エロザチン(抗腫瘍性剤)、ガニート(硝酸ガリウム)、Thalomid(登録商標)(サリドマイド)、サリドマイド免疫調節誘導体(例えば、レブリミド(以前はレビミド))、AffinitakTM(プロテインキナーゼCαのアンチセンスインヒビター))、SDX−101(R−エトドラック、悪性リンパ腫のアポトーシスを誘導する)、クロファラビンのような第二世代プリンヌクレオシド類似体、癌細胞によるBcl−2タンパク質産生のインヒビター(例えば、アンチセンス剤オブリメルセンおよびGenasense(登録商標))、プロテアソームインヒビター(例えば、VelcadeTM(ボルテゾミブ))、低分子キナーゼインヒビター(例えば、CHIR−258)、低分子VEGFインヒビター(例えば、ZD−6474)、17−AAG熱ショックタンパク質(HSP)90の低分子インヒビター(例えば、17−AAG)、サブエラニロヒドロキサム酸(SAHA)およびFR−901228のような、ヒストン脱アセチル化酵素の低分子インヒビター(ハイブリッド/極性細胞分化HPC)剤、およびアポトーシス性の薬剤(例えば、Trisenox(登録商標)(三酸化ヒ素)およびXcytrin(登録商標)(ガドリニウム モテキサフィン)を含むが、これらに限定されない);ワクチン/免疫療法に基づく癌治療(ワクチン方法(例えば、Id−KLH、オンコファージ、ビタレチン)、個人向け免疫療法または活性イディオタイプ免疫療法(例えば、MyVax(登録商標)個人向け免疫療法、正式にはGTOP−99と称される)、Promune(登録商標)(CpG7909、toll様受容体9(TLK9)に対する合成アゴニスト))、インターフェロン−α治療、インターロイキン−2(IL−2)治療、IL−12治療、IL−15治療、ならびにIL−21治療を含むが、これらに限定されない);ステロイド治療;あるいは他の癌治療が挙げられるが、これらに限定されない。ここで、このアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントおよびこの追加の癌治療による処置、または追加の癌治療は、この抗CD20抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む薬剤による、この被験体の処置の前にか、その間にか、またはその後に行われる。この抗CD20抗体またはその抗原結合フラグメントを含む薬剤が、このアンタゴニスト抗CD40抗体またはその抗原結合フラグメントおよび他の癌治療の少なくとも1つを使用する処置と調和される場合、この薬剤の使用は、この他の癌治療のいずれかか、または両方による、この被験体の処置の前か、その間か、またはその後であり得る。
本明細書に記載される医薬の、1以上の他の癌治療との共働使用の文脈において「処置」は、本明細書中で、被験体に対する医薬の適用もしくは投与または他の癌治療の適用もしくは実施、あるいは被験体由来の単離された組織もしくは細胞株に対する医薬または他の癌治療の適用または実施と定義され、ここで、この被験体は、新生B細胞増殖、そのような癌に関連する症状、またはそのような癌の発症に対する素因によって特徴付けられる癌を有し、ここで、その目的は、その癌、その癌の任意の関連する症状、またはその癌の発症に対する素因を、治癒する(cure)か、治癒する(heal)か、緩和するか、軽減するか、変化させるか、治療するか、寛解させるか、改善するか、またはそれらに影響をおよぼすことである。
以下の実施例は、限定する目的ではなく、例示の目的で提供される。
(導入部)
以下の実施例で使用されるアンタゴニスト抗CD40抗体は、CHIR−5.9およびCHIR−12.12である。CHIR−5.9抗CD40抗体およびCHIR−12.12抗CD40抗体は、ヒトIgG1重鎖座およびヒトK軽鎖座を有するトランスジェニックマウス(XenomMouse(登録商標)技術(Abgenix;Fremont,California))の免疫により作製されるヒトIgG1サブタイプ抗ヒトCD40モノクローナル抗体(mAb)である。CD40細胞外ドメインを発現するSF9昆虫細胞を、免疫原として使用した。
以下の実施例で使用されるアンタゴニスト抗CD40抗体は、CHIR−5.9およびCHIR−12.12である。CHIR−5.9抗CD40抗体およびCHIR−12.12抗CD40抗体は、ヒトIgG1重鎖座およびヒトK軽鎖座を有するトランスジェニックマウス(XenomMouse(登録商標)技術(Abgenix;Fremont,California))の免疫により作製されるヒトIgG1サブタイプ抗ヒトCD40モノクローナル抗体(mAb)である。CD40細胞外ドメインを発現するSF9昆虫細胞を、免疫原として使用した。
簡単に述べると、免疫したマウスに由来する脾臓細胞を、de Boerら(1988)J.Immunol.Meth.113:143により以前に記載されたとおりに、50%ポリエチレングリコールを使用して、10:1の比で、SP 2/0マウス骨髄腫細胞またはP3 x 63Ag8.653マウス骨髄腫細胞と融合させた。融合した細胞を、ヒポキサンチン(0.1mM)、アミノプテリン(0.01mM)、チミジン(0.016mM)および0.5ng/mlのhIL−6(Genzyme,Cambridge,Massachusetts)を補充した完全IMDM培地中に再懸濁した。この融合した細胞を、次いで、各ウェルが、平均して1つの増殖するハイブリドーマを含むように、96ウェル組織培養プレートのウェル間に分配した。
10〜14日後、ハイブリドーマ集団の上清を、特異的抗体の産生についてスクリーニングした。ハイブリドーマクローンによる特異的抗体の産生をスクリーニングするために、各ウェルからの上清を、プールし、まず、ELISAによって、抗CD40活性の特異性について試験した。次いで、陽性のものを、標準的なFACSアッセイを用いる、EBV−形質転換B細胞の蛍光細胞染色のために使用した。陽性のハイブリドーマ細胞を、0.5ng/mlのhIL−6を含有するIMDM/FBS中で限界希釈することによって、2回クローン化した。
合計31匹のマウスの脾臓を、マウス骨髄腫SP2/0細胞と融合させて、ELISAにおいて組換えCD40を認識する895の抗体を作製した。平均して、Abgenix
XenoMouse(登録商標)技術(Abgenix;Fremont,California)を使用して産生されたハイブリドーマの約10%が、ヒトκ鎖の代わりにマウスλ軽鎖を含み得る。これらのマウスλ軽鎖を含有する抗体を選択した。細胞表面CD40への結合もまた示す260の抗体のサブセットを、さらなる分析のために選択した。一連のサブクローニング手順の間に選択された安定なハイブリドーマを、結合アッセイおよび機能アッセイにおけるさらなる特徴付けに使用した。選択プロセスのさらなる詳細については、同時継続中の仮出願(両方ともに、発明の名称「Angtagonist Anti−CD40 Monoclonal Antibodies and Methods for Their Use」であり、それぞれ、2003年11月4日および2003年11月26日出願、割り当てられた米国特許出願番号第60/517,337号(代理人事件整理番号:PP20107.001(035784/258442))および同第60/525,579号(代理人事件整理番号:PP20107.002(035784/271525)))を参照のこと。これらの特許文献の両方の内容は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
XenoMouse(登録商標)技術(Abgenix;Fremont,California)を使用して産生されたハイブリドーマの約10%が、ヒトκ鎖の代わりにマウスλ軽鎖を含み得る。これらのマウスλ軽鎖を含有する抗体を選択した。細胞表面CD40への結合もまた示す260の抗体のサブセットを、さらなる分析のために選択した。一連のサブクローニング手順の間に選択された安定なハイブリドーマを、結合アッセイおよび機能アッセイにおけるさらなる特徴付けに使用した。選択プロセスのさらなる詳細については、同時継続中の仮出願(両方ともに、発明の名称「Angtagonist Anti−CD40 Monoclonal Antibodies and Methods for Their Use」であり、それぞれ、2003年11月4日および2003年11月26日出願、割り当てられた米国特許出願番号第60/517,337号(代理人事件整理番号:PP20107.001(035784/258442))および同第60/525,579号(代理人事件整理番号:PP20107.002(035784/271525)))を参照のこと。これらの特許文献の両方の内容は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
7つの他のハイブリドーマからのクローンを、アンタゴニスト活性を有するものとして同定した。その相対アンタゴニスト能およびADCC活性に基づいて、2つのハイブリドーマクローンを、さらなる評価のために選択した(表1、以下)。これらを、131.2F8.5.9(5.9)および153.8E2.D10.D6.12.12(12.12)と名付けた。
候補抗体の可変領域をコードするcDNAを、PCRにより増幅し、クローン化し、そして、配列決定した。CHIR−12.12抗体の軽鎖および重鎖についてのアミノ酸配列を、それぞれ、図1Aおよび1Bに示す。配列番号2(mAb CHIR−12.12の軽鎖)および配列番号4(mAb CHIR−12.12の重鎖)もまた参照のこと。mAb CHIR−12.12の重鎖の改変体を、図1Bに示す(配列番号5もまた参照のこと)。この改変体は、配列番号4の第153位のアラニン残基の代わりにセリン残基を有するという点で配列番号4と異なる。CHIR−12.12抗体の軽鎖および重鎖をコードするヌクレオチド配列を、それぞれ、図2Aおよび2Bに示す。配列番号1(mAb CHIR−12.12の軽鎖のコード配列)および配列番号3(mAb CHIR−12.12の重鎖のコード配列)もまた参照のこと。CHIR−5.9抗体の軽鎖および重鎖についてのアミノ酸配列を、それぞれ、図3Aおよび3Bに示す。配列番号6(mAb CHIR−5.9の軽鎖)および配列番号7(mAb CHIR−5.9の重鎖)もまた参照のこと。mAb CHIR−5.9の重鎖の改変体を、図3Bに示す(配列番号8もまた参照のこと)。この改変体は、配列番号7の第158位のアラニン残基の代わりにセリン残基を有するという点で配列番号7と異なる。
個々のハイブリドーマに由来する抗体について予測されるとおり、相補性決定領域(CDR)内のヌクレオチド配列に実質的なバリエーションが存在する。VHのCDR3領域内の多様性は、抗体特異性を最も有意に決定するものと考えられる。
FACS分析により示されるように、CHIR−5.9およびCHIR−12.12は、ヒトCD40に特異的に結合し、そして、CD40−リガンド結合を妨げ得る。両方のmAbが、細胞表面のCD40に予め結合したCD40リガンドと競合し得る。CHIR−5.9のヒトCD40への結合親和性は、1.2×10−8Mであり、CHIR−12.12のヒトCD40への結合親和性は、5×10−10Mである。
CHIR−12.12モノクローナル抗体およびCHIR−5.9モノクローナル抗体は、強力なアンタゴニストであり、NHL患者およびCLL患者由来の癌細胞のインビトロでのCD40リガンド媒介性の増殖を阻害しするのと同様に、正常なB細胞のインビトロでのCD40リガンド媒介性の増殖を阻害する。インビトロでは、両方の抗体が、ADCCによってNHL患者由来の初期癌細胞を殺傷する。これらの結果、およびこれらの結果を得るために使用したアッセイのより詳細な説明については、同時継続中の仮出願(両方ともに、発明の名称「Angtagonist Anti−CD40 Monoclonal Antibodies and Methods for Their Use」であり、それぞれ、2003年11月4日および2003年11月26日出願、割り当てられた米国特許出願番号第60/517,337号(代理人事件整理番号:PP20107.001(035784/258442))および同第60/525,579号(代理人事件整理番号:PP20107.002(035784/271525)))を参照のこと。これらの特許文献の両方の内容は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
(実施例1:mAb CHIR−12.12およびRituxan(登録商標)の併用が、異種移植モデルにおける浸潤性のRituxan(登録商標)耐性バーキットリンパ腫に対する抗腫瘍活性を示す。)
キメラ抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ(Rituxan(登録商標);IDEC−C2B8;IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,California)およびアンタゴニスト性抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12の併用を、マウスモデルにおいて試験した。詳しくは、120nu/nu、5週齢の雌マウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)に少なくとも7日間の順化期間を受けさせた。腫瘍細胞の接種の1日前に、マウスに、Atomic Energy of Canadaにより製造されたGammacell 40 Cesium 137 irradiation unitを使用して、3Gy照射を受けさせた。Namalwa細胞(ATCC,Manassas,VA)(ヒトRituxan(登録商標)耐性の浸潤性バーキットリンパ腫細胞株)を、15%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地中で培養した。接種の日に、この細胞を回収し、数えた。そして5×107細胞/mLの濃度になるよう、50%HBSS+50%マトリゲル(matrigel)中に再懸濁した。腫瘍細胞を、マウスあたり5×106細胞/100μlで、右側腹に皮下接種した。
キメラ抗CD20モノクローナル抗体リツキシマブ(Rituxan(登録商標);IDEC−C2B8;IDEC Pharmaceuticals Corp.,San Diego,California)およびアンタゴニスト性抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12の併用を、マウスモデルにおいて試験した。詳しくは、120nu/nu、5週齢の雌マウス(Charles River Laboratories,Wilmington,MA)に少なくとも7日間の順化期間を受けさせた。腫瘍細胞の接種の1日前に、マウスに、Atomic Energy of Canadaにより製造されたGammacell 40 Cesium 137 irradiation unitを使用して、3Gy照射を受けさせた。Namalwa細胞(ATCC,Manassas,VA)(ヒトRituxan(登録商標)耐性の浸潤性バーキットリンパ腫細胞株)を、15%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培地中で培養した。接種の日に、この細胞を回収し、数えた。そして5×107細胞/mLの濃度になるよう、50%HBSS+50%マトリゲル(matrigel)中に再懸濁した。腫瘍細胞を、マウスあたり5×106細胞/100μlで、右側腹に皮下接種した。
腫瘍接種の1日後に、マウスを無作為化し、そして、下に示すように、7日間に1度(q7d)、抗CD40mAb CHIR−12.12およびRituxan(登録商標)で腹腔内注射(i.p.)した。
a. IgG1,10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
b. Rituxan(登録商標),10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
c. Rituxan(登録商標),20mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
d. CHIR−12.12,5mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
e. CHIR−12.12,10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
f. Rituxan(登録商標),10mg/kg+IgG1,5mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
g. Rituxan(登録商標),10mg/kg+CHIR−12.12,5mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
h. Rituxan(登録商標),10mg/kg+IgG1,10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
i. Rituxan(登録商標),10mg/kg+CHIR−12.12,10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
腫瘍容積を、週に2回、電動ノギスを使用して測定した。1つの群における腫瘍容積の平均値が2,000mm3に達したとき、その群に所属するマウスを屠殺した。処置群における腫瘍が好反応を示した場合、腫瘍容積の平均値が2,000mm3に達するまで、マウスを飼育した。
b. Rituxan(登録商標),10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
c. Rituxan(登録商標),20mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
d. CHIR−12.12,5mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
e. CHIR−12.12,10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
f. Rituxan(登録商標),10mg/kg+IgG1,5mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
g. Rituxan(登録商標),10mg/kg+CHIR−12.12,5mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
h. Rituxan(登録商標),10mg/kg+IgG1,10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
i. Rituxan(登録商標),10mg/kg+CHIR−12.12,10mg/kg,i.p.,q7d,×5用量まで
腫瘍容積を、週に2回、電動ノギスを使用して測定した。1つの群における腫瘍容積の平均値が2,000mm3に達したとき、その群に所属するマウスを屠殺した。処置群における腫瘍が好反応を示した場合、腫瘍容積の平均値が2,000mm3に達するまで、マウスを飼育した。
全ての群の間で腫瘍容積の平均値の差を分析するために、ANOVAを使用した。2つの特定の群間の腫瘍容積の平均値の差を比較するために、最小2乗平均値のTuckey多重比較を使用した。
図1に示すように、初期の腫瘍増殖は、5週間までの、週に1回の5mg/kgのCHIR−12.12単独のi.p.投与により有意に阻害された(60%,P=0.02)。10mg/kgで単独投与されたCHIR−12.12は、有意な腫瘍容積の阻害の傾向を示した(39%,P=0.22)。10mg/kgおよび20mg/kgの単独のRituxan(登録商標)は、この腫瘍の増殖を全く阻害しなかった。CHIR−12.12およびRituxan(登録商標)の併用は、5mg/kgのCHIR−12.12、さらに10mg/kgのRituxan(登録商標)ならびに10mg/kgのCHIR−12.12および10mg/kgのRituxan(登録商標)に対して、それぞれ77%(P=0.001)および83%(P=0.003)の腫瘍容積の阻害による相乗的かつCHIR−12.12の用量依存的な腫瘍増殖の阻害をもたらした。毒性の臨床的兆候は、現行の用量およびレジメンのもとでの全ての処置した動物の間で観察されなかった。これらのデータは、単独のmAb CHIR−12.12が、浸潤性かつRituxan(登録商標)耐性リンパ腫に対する治療剤であることを示唆する。しかしながら、Rituxan(登録商標)と併用して使用した場合、mAb CHIR−12.12は、mAb CHIR−12.12単独か、Rituxan(登録商標)単独か、または、単独で使用した、これら2つのmAbの効果の合計よりも有効であった。
(実施例2:CHIR−5.9およびCHIR−12.12は、15B8よりもCD40上の様々なエピトープに結合する)
モノクローナル抗体候補CHIR−5.9およびモノクローナル抗体候補CHIR−12.12は、CD40に結合することについて、互いに競合するが、15B8(IgG2抗CD40 mAb、国際公開第WO02/28904号を参照のこと)とは競合しない。Biacoreを使用する抗体競合結合研究を、アミン結合により非動化されたプロテインA(抗CD40か、CHIR−12.12か、または15B8のいずれかを捕捉するために使用した)付きのCM5バイオセンサーチップを使用するよう計画した。CD40−hisの濃度を変動させることにより、標準的な会合/解離の結合曲線を観察する(データは示していない)。競合研究のために、CHIR−12.12か、または15B8のいずれかを、このプロテインAの表面に捕捉した。続いて、CD40−his/CHIR−5.9 Fab複合体(100nM CD40:1μM CHIR−5.9 Fab)を、様々な濃度で、この修飾された表面を横切って流した。CHIR−12.12の場合、この複合体の会合は観察されず、CHIR−5.9がCD40−hisへのCHIR−12.12の結合を妨害することを示唆した。15B8については、このFab CHIR−5.9複合体の会合が観察され、CHIR−5.9がCD40結合部位への15B8の結合を妨害しないことを示唆した。しかしながら、複合体の解離速度(off rate)は、劇的に増進した(データは示していない)。
モノクローナル抗体候補CHIR−5.9およびモノクローナル抗体候補CHIR−12.12は、CD40に結合することについて、互いに競合するが、15B8(IgG2抗CD40 mAb、国際公開第WO02/28904号を参照のこと)とは競合しない。Biacoreを使用する抗体競合結合研究を、アミン結合により非動化されたプロテインA(抗CD40か、CHIR−12.12か、または15B8のいずれかを捕捉するために使用した)付きのCM5バイオセンサーチップを使用するよう計画した。CD40−hisの濃度を変動させることにより、標準的な会合/解離の結合曲線を観察する(データは示していない)。競合研究のために、CHIR−12.12か、または15B8のいずれかを、このプロテインAの表面に捕捉した。続いて、CD40−his/CHIR−5.9 Fab複合体(100nM CD40:1μM CHIR−5.9 Fab)を、様々な濃度で、この修飾された表面を横切って流した。CHIR−12.12の場合、この複合体の会合は観察されず、CHIR−5.9がCD40−hisへのCHIR−12.12の結合を妨害することを示唆した。15B8については、このFab CHIR−5.9複合体の会合が観察され、CHIR−5.9がCD40結合部位への15B8の結合を妨害しないことを示唆した。しかしながら、複合体の解離速度(off rate)は、劇的に増進した(データは示していない)。
CD40−hisの結合について、15B8およびCHIR−12.12が競合しないこともまた決定した。この実験は、プロテインAバイオセンサーチップ上にCHIR−12.12を捕捉すること、残余のプロテインA部位をコントロールのhIgG1でブロックすること、CD40−hisを結合すること、そして次にこの修飾された表面一面に15B8を流すことにより設定した。これらの条件下で、15B8は結合せず、CHIR−12.12が15B8のCD40へ結合することを妨害しないことを示唆した。
(実施例3:CHIR−12.12 mAbおよびCHIR−5.9 mAbの結合特性)
プロテインAを、アミンカップリングにより、CM5バイオセンサーチップ上に固定化した。ヒト抗CD40モノクローナル抗体(1.5μg/ml)を、この固定化したバイオセンサの表面に10μl/mlで、1.5分間捕捉した。組換え可溶性CD40−hisを、種々の濃度で、バイオセンサの表面上に流した。抗体および抗原を、0.01M HEPES(pH7.4)、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005% Surfactant P20(HBS−EP)中に希釈した。動力学定数および親和性定数を、1:1の相互作用モデル/全体的なフィットを用いて、Biaevaluationソフトウェアを使用して決定した。
プロテインAを、アミンカップリングにより、CM5バイオセンサーチップ上に固定化した。ヒト抗CD40モノクローナル抗体(1.5μg/ml)を、この固定化したバイオセンサの表面に10μl/mlで、1.5分間捕捉した。組換え可溶性CD40−hisを、種々の濃度で、バイオセンサの表面上に流した。抗体および抗原を、0.01M HEPES(pH7.4)、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005% Surfactant P20(HBS−EP)中に希釈した。動力学定数および親和性定数を、1:1の相互作用モデル/全体的なフィットを用いて、Biaevaluationソフトウェアを使用して決定した。
以下の表2に示すように、CHIR−5.9とCHIR−12.12の解離する速度には121倍の差があり、結果として、CHIR−12.12について親和性が24倍高かった。
モノクローナル抗体CHIR−12.12およびモノクローナル抗体CHIR−5.9により認識されるCD40上のエピトープの位置を決定するために、SDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析を実施した。精製したCD40(0.5μg)を、還元条件および非還元条件下で、4〜12%のNUPAGEゲル上で分離し、PVDFメンブレンに移し、そして、10μg/ml濃度のモノクローナル抗体でプローブした。ブロットを、アルカリホスファターゼ結合体化抗ヒトIgGでプローブし、そして、アルカリホスファターゼについてのWestern BlueR安定化基質(Promega)を用いて発色させた。
結果は、抗CD40モノクローナル抗体CHIR−12.12が、CD40の非還元型形態および還元型形態の両方の上にあるエピトープを認識し、CD40の非還元型形態が、CD40の還元型形態よりも高い強度を示すことを示す(表3;ブロットは示さず)。認識が、CD40の両方の形態について陽性であるという事実は、この抗体が、線形配列であるエピトープのコンホメーションの一部と相互作用することを示す。モノクローナル抗体CHIR−5.9は、主に、CD40の非還元型形態を認識し、この抗体が、一次コンホメーションのエピトープと相互作用することを示唆する(表3;ブロットは示さず)。
モノクローナル抗体CHIR−12.12は、還元条件および非還元条件の両方の下で、ドメイン2上のエピトープを認識する(表4;ブロットは示さず)。対照的に、モノクローナル抗体CHIR−5.9は、ドメイン2に対して、非常に弱い認識を示す(表4;ブロットは示さず)。これらの抗体のいずれもが、この分析において、ドメイン1、3または4は認識しない。
10μg/mlの抗CD40モノクローナル抗体CHIR12.12でプローブするSPOT分析では、スポット18〜22の反応が陽性であった。これらのペプチドによりカバーされる配列領域を、表5に示す。
mAb CHIR−5.9を用いるSPOT分析は、表6に示されるスポット20〜22により表されるペプチドの弱い認識を示し、これは、そのCD40への結合において、領域YCDPNLGL(配列番号10または配列番号12に示す配列の残基82〜89)が関与することを示唆した。CHIR−12.12およびCHIR−5.9は、BIACORE分析においてCD40への結合に関して、互いに競合することに注意すべきである。
線形エピトープ内でCHIR−12.12について同定されたのはC83である。このシステイン残基がC103とジスルフィド結合を形成することは公知である。CHIR−12.12 mAbのエピトープは、このジスルフィド結合(C82−C103)および/またはC103にコンホメーション的に近い周囲のアミノ酸を含むようである。
(実施例5:CHIR−12.12は、正常ヒトB細胞におけるCD40Lが媒介するCD40の生き残りおよび細胞のシグナル伝達経路を遮断する)
可溶性CD40リガンド(CD40L)は、B細胞を活性化し、機能的な応答の種々の局面(生き残りおよび増殖の増強、ならびにNFκB、ERK/MAPK、PI3K/Akt、およびp38シグナル伝達経路の活性化を含む)を誘導する。さらに、CD40L媒介性のCD40刺激は、正常なB細胞における切断型PARPの減少および抗アポトーシスタンパク質XIAPおよびMcl−1の誘導により、生き残りシグナルを与える。CD40L媒介性のCD40刺激はまた、TRAF2およびTRAF3を補充して、CD40の細胞質ドメインに結合する。
可溶性CD40リガンド(CD40L)は、B細胞を活性化し、機能的な応答の種々の局面(生き残りおよび増殖の増強、ならびにNFκB、ERK/MAPK、PI3K/Akt、およびp38シグナル伝達経路の活性化を含む)を誘導する。さらに、CD40L媒介性のCD40刺激は、正常なB細胞における切断型PARPの減少および抗アポトーシスタンパク質XIAPおよびMcl−1の誘導により、生き残りシグナルを与える。CD40L媒介性のCD40刺激はまた、TRAF2およびTRAF3を補充して、CD40の細胞質ドメインに結合する。
以下の研究は、CHIR−12.12が、正常なヒトB細胞へのこれらの刺激効果の全てを直接阻害したことを実証する。例えば、CHIR−12.12処理により、時間依存的かつ用量依存的な様式でのカスパーゼ−9、カスパーゼ−3、およびPARPの切断の増加、ならびに、XIAPおよびMcl−1の減少を生じ、B細胞のアポトーシスを修復した。CHIR−12.12での処理はまた、CD40L媒介性のCD40刺激に応答して、IκBキナーゼ(IKK)αおよびβのリン酸化(NFκB経路)、ERK、Aktおよびp38も阻害した。さらに、CHIR−12.12が、最初のCD40L媒介性のCD40刺激なしではこれらのアポトーシス効果を誘発しなかったことが見出された。
(CHIR−12.12は、PARPの切断を誘導することにより、CD40リガンドにより媒介される生き残りを阻害した)
これらの実験において、健康なドナーからの0.6×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。次いで、CHIR−12.12(10μg/ml)およびコントロールのIgGを添加した。細胞を、0分、20分、2時間、6時間、18時間および26時間で回収した。切断型カスパーゼ−9、切断型カスパーゼ−3、切断型PARPおよびβ−アクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
これらの実験において、健康なドナーからの0.6×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。次いで、CHIR−12.12(10μg/ml)およびコントロールのIgGを添加した。細胞を、0分、20分、2時間、6時間、18時間および26時間で回収した。切断型カスパーゼ−9、切断型カスパーゼ−3、切断型PARPおよびβ−アクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
簡単に述べると、CD40L媒介性のCD40刺激は、切断型カスパーゼ−9、切断型カスパーゼ−3、または切断型PARPの経時的な増加を生じなかったので、生き残りシグナルを提供したことが観察され、これらの細胞は、アポトーシスを受けなかったことを示した。しかし、CHIR−12.12での処理は、これらの切断生成物の増加をもたらし、CHIR−12.12処理が、sCD40Lで刺激した正常なB細胞における生き残りシグナル伝達に対するCD40L結合の効果を抑止し、B細胞アポトーシスを修復したことを示した(データ示さず)。
(CHIR−12.12は、「生き残った」抗アポトーシスタンパク質の発現を阻害した)
これらの実験において、健康なドナーからの0.6×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。次いで、CHIR−12.12(10μg/ml)およびコントロールのIgGを添加した。細胞を、0分、20分、2時間、6時間、18時間および26時間において回収した。Mcl−1、XIAP、CD40およびβ−アクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
これらの実験において、健康なドナーからの0.6×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。次いで、CHIR−12.12(10μg/ml)およびコントロールのIgGを添加した。細胞を、0分、20分、2時間、6時間、18時間および26時間において回収した。Mcl−1、XIAP、CD40およびβ−アクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
簡単に述べると、sCD40L刺激は、Mcl−1およびXIAPの経時的な持続性の発現を生じた。しかし、sCD40Lで刺激した細胞のCHIR12.12での処理は、これらのタンパク質の発現の経時的な減少を生じた(データ示さず)。Mcl−1およびXIAPは、アポトーシス経路を遮断し得る「生き残り」シグナルであるので、これらの結果は、CHIR−12.12処理が、sCD40Lで刺激した正常なB細胞におけるアポトーシスに対する障壁を取り除くことを示す。
(CHIR−12.12での処理は、正常なB細胞において、IKKα(Ser180)およびIKKβ(Ser181)のリン酸化を阻害した)
これらの実験において、健康なドナーからの1.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。次いで、CHIR−12.12(10μg/ml)およびコントロールのIgGを添加した。細胞を、0分および20分で回収した。リン酸化IKKα(Ser180)およびIKKβ(Ser181)および総IKKβコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
これらの実験において、健康なドナーからの1.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。次いで、CHIR−12.12(10μg/ml)およびコントロールのIgGを添加した。細胞を、0分および20分で回収した。リン酸化IKKα(Ser180)およびIKKβ(Ser181)および総IKKβコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
簡単に述べると、sCD40Lによる刺激は、IKKα(Ser180)およびIKKβ(Ser181)の経時的なリン酸化を生じた;しかし、CHIR−12.12での処理は、正常なB細胞におけるsCD40L刺激に対するこの応答を抑止した(データ示さず)。
(CHIR−12.12での処理は、CD40リガンドにより媒介される生き残りを、用量依存性の様式で阻害した)
これらの実験において、健康なドナーからの0.6×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。CHIR−12.12(0.01μg/ml、0.1μg/ml、0.2μg/ml、0.5μg/ml、1.0μg/ml)およびコントロールのIgGを次いで添加した。細胞を、24時間で回収した。切断型PARPおよびβアクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
これらの実験において、健康なドナーからの0.6×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。CHIR−12.12(0.01μg/ml、0.1μg/ml、0.2μg/ml、0.5μg/ml、1.0μg/ml)およびコントロールのIgGを次いで添加した。細胞を、24時間で回収した。切断型PARPおよびβアクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
簡単に述べると、CHIR−12.12処理は、sCD40L刺激した細胞において、用量依存性の様式で、PARPの切断の増加を生じ、それゆえ、sCD40Lで刺激した正常なB細胞において、生き残りシグナル伝達経路を抑止した(データ示さず)。
(CHIR−12.12は、「生き残った」抗アポトーシスタンパク質の発現を、用量依存性の様式で阻害した)
これらの実験において、健康なドナーからの0.6×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。CHIR−12.12(0.5μg/ml、2μg/ml、および10μg/ml)およびコントロールのIgGを添加した。細胞を、22時間で回収した。Mcl−1、XIAP、切断型PARPおよびβアクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
これらの実験において、健康なドナーからの0.6×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。CHIR−12.12(0.5μg/ml、2μg/ml、および10μg/ml)およびコントロールのIgGを添加した。細胞を、22時間で回収した。Mcl−1、XIAP、切断型PARPおよびβアクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
簡単に述べると、CHIR−12.12処理は、sCD40Lで刺激した細胞において、用量依存性の様式で、Mcl−1およびXIAPの発現を減少し、そして、切断型PARPの発現を増加し、従って、sCD40Lで刺激した正常なB細胞におけるアポトーシス経路に対するこれらの障壁を抑止した(データ示さず)。
(CHIR−12.12は、可溶性CD40Lシグナル伝達の非存在下では、抗アポトーシスタンパク質、切断型PARPおよびXIAPの発現に影響を及ぼさなかった)
これらの実験において、健康なドナーからの1.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、CHIR−12.12(10μg/ml)およびコントロールのIgGのみで処理した(すなわち、細胞は、抗体を添加する前に、sCD40Lで事前に刺激されなかった)。細胞を、0時間、4時間、14時間および16時間にて回収した。XIAP、切断型PARPおよびβアクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
これらの実験において、健康なドナーからの1.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、CHIR−12.12(10μg/ml)およびコントロールのIgGのみで処理した(すなわち、細胞は、抗体を添加する前に、sCD40Lで事前に刺激されなかった)。細胞を、0時間、4時間、14時間および16時間にて回収した。XIAP、切断型PARPおよびβアクチンコントロールを、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
簡単に述べると、これらの結果は、sCD40L刺激なしでは、細胞は、IgG処理コントロール細胞およびCHIR−12.12細胞の両方において、増加する濃度の切断型PARPを発現したが、XIAPの発現は一定のままであったことを示す(データ示さず)。これらのデータは、CHIR−12.12が、CD40L刺激なしで、正常なヒトB細胞においてアポトーシスを誘導しないことを示す。
(CHIR−12.12は、正常なB細胞において、IKKα(Ser180)およびIKKβ(Ser181)、Akt、ERKならびにp38のリン酸化を阻害する)
これらの実験において、健康なドナーからの1.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1% FBS含有培地中で血清飢餓状態にし、そして、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。この培養物を、CHIR−12.12(1μg/mlおよび10μg/ml)およびコントロールのIgGで処理した。細胞を、0分および20分にて回収した。ホスホ−IKKα、ホスホ−IKKβ、総IKKβ、ホスホ−ERK、総ERK、ホスホ−Akt、総Akt、ホスホ−p38、および総p38を、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
これらの実験において、健康なドナーからの1.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1% FBS含有培地中で血清飢餓状態にし、そして、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。この培養物を、CHIR−12.12(1μg/mlおよび10μg/ml)およびコントロールのIgGで処理した。細胞を、0分および20分にて回収した。ホスホ−IKKα、ホスホ−IKKβ、総IKKβ、ホスホ−ERK、総ERK、ホスホ−Akt、総Akt、ホスホ−p38、および総p38を、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
簡単に述べると、sCD40L刺激は、IKKα/βのリン酸化、ERKのリン酸化、Aktのリン酸化、およびp38のリン酸化の増加を生じ、従って、細胞の生き残りおよびまたは増殖をもたらした。CHIR−12.12での細胞の処理は、sCD40L刺激の、正常なB細胞におけるこれらのシグナル伝達経路に対する効果を抑止した(データ示さず)。
(CHIR−12.12は、CD40シグナル伝達カスケードにおけるPI3KおよびMEK/ERKのような複数のシグナル伝達経路を阻害する)
これらの実験において、健康なドナーからの1.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1% FBS含有培地中で血清飢餓状態にし、そして、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。この培養物をまた、CHIR−12.12(1μg/mlおよび10μg/ml)、Wortmanin(一種のPI3K/Aktインヒビター;1μMおよび10μM)、LY294002(一種のPI3K/Aktインヒビター;10μMおよび30μM)およびPD98095(一種のMEKインヒビター;10μg/mlおよび30μg/ml)で処理した。細胞を、0分および20分にて回収した。ホスホ−ERK、ホスホ−Akt、総Akt、ホスホ−IKKα/β、および全体を、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
これらの実験において、健康なドナーからの1.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1% FBS含有培地中で血清飢餓状態にし、そして、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で刺激した。この培養物をまた、CHIR−12.12(1μg/mlおよび10μg/ml)、Wortmanin(一種のPI3K/Aktインヒビター;1μMおよび10μM)、LY294002(一種のPI3K/Aktインヒビター;10μMおよび30μM)およびPD98095(一種のMEKインヒビター;10μg/mlおよび30μg/ml)で処理した。細胞を、0分および20分にて回収した。ホスホ−ERK、ホスホ−Akt、総Akt、ホスホ−IKKα/β、および全体を、細胞溶解物において、ウェスタンブロットにより検出した。
簡単に述べると、これらの結果は、CHIR−12.12が、これらのシグナル伝達分子の全てのリン酸化を抑止したことを示す一方で、シグナル伝達インヒビターは、特定のシグナル伝達の抑止のみを示し、CHIR−12.12が、CD40L刺激により媒介されるこれらのシグナル伝達分子の上流を阻害するようであることを示した(データ示さず)。
(CHIR−12.12は、正常なB細胞において、シグナル伝達分子であるTRAF2およびTRAF3の、CD40の細胞質ドメインへの結合を阻害する)
これらの実験において、健康なドナーからの4.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1% FBS含有培地中で4時間、血清飢餓状態にし、そして、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で20分間刺激した。細胞を、0分および20分にて回収した。CD40を、ポリクローナル抗CD40(Santa Cruz Biotechnology,CA)を用いて免疫沈降させ、そして、ウェスタンブロットにおいて、抗TRAF2 mAb(Santa Cruz Biotechnology,CA)、抗TRAF3 mAb(Santa Cruz Biotechnology,CA)および抗CD40 mAb(Santa Cruz Biotechnology,CA)を用いて、プローブした。
これらの実験において、健康なドナーからの4.0×106個の正常なヒトB細胞(85%〜95%の間の純度(%))を、1% FBS含有培地中で4時間、血清飢餓状態にし、そして、1μg/mlのsCD40L(Alexis Corp.,Bingham,Nottinghamshire,UK)で20分間刺激した。細胞を、0分および20分にて回収した。CD40を、ポリクローナル抗CD40(Santa Cruz Biotechnology,CA)を用いて免疫沈降させ、そして、ウェスタンブロットにおいて、抗TRAF2 mAb(Santa Cruz Biotechnology,CA)、抗TRAF3 mAb(Santa Cruz Biotechnology,CA)および抗CD40 mAb(Santa Cruz Biotechnology,CA)を用いて、プローブした。
簡単に述べると、この結果は、TRAF2およびTRAF3が、sCD40L刺激の後に、CD40と共沈殿したことを示す。対照的に、CHIR−12.12での処理は、sCD40Lで刺激した正常なB細胞において、CD40−TRAF2/3シグナル伝達複合体の形成を抑止した。CD40の発現には変化はなかった(データ示さず)。
理論に束縛されないが、これらの実験の結果、および上に概説した実施例の結果は、CHIR−12.12抗体が、固有の特性の組み合わせを有する二重作用(dual action)アンタゴニスト抗CD40モノクローナル抗体であることを示している。この完全ヒトモノクローナル抗体は、B細胞の生き残りおよび増殖のためのCD40L媒介性のCD40シグナル伝達経路を遮断する;このアンタゴニスト性は、最終的に細胞死をもたらす。CHIR−12.12はまた、エフェクター細胞による認識および結合を媒介し、抗体依存性の細胞傷害性(ADCC)を開始する。CHIR−12.12がいったんエフェクター細胞に結合すると、細胞溶解酵素が放出され、B細胞のアポトーシスおよび溶解をもたらす。CHIR−12.12は、前臨床の腫瘍モデルで比較した場合、リツキシマブよりも強力な抗腫瘍抗体である。
(実施例6:アンタゴニスト抗CD40抗体のための液体薬学的処方物)
タンパク質の安定性は、安定化または不安定化を生じる溶液のpHに伴って変化するタンパク質の表面電荷として、溶液のpHに対して敏感であることが公知である。したがって、処方物の最適でないpHは、静電的相互作用を変化させ、凝集、沈殿などのようなアンタゴニスト抗CD40抗体の物理学的分解をもたらす。pH条件における変化はまた、共有結合の切断を生じ、断片化、脱アミノ化などのような化学的分解をもたらす。したがって、この研究を、凝集、断片化および脱アミノ化に起因するアンタゴニスト抗CD40抗体の分解を最小化する、溶液の最適なpHを同定するために設計した。
タンパク質の安定性は、安定化または不安定化を生じる溶液のpHに伴って変化するタンパク質の表面電荷として、溶液のpHに対して敏感であることが公知である。したがって、処方物の最適でないpHは、静電的相互作用を変化させ、凝集、沈殿などのようなアンタゴニスト抗CD40抗体の物理学的分解をもたらす。pH条件における変化はまた、共有結合の切断を生じ、断片化、脱アミノ化などのような化学的分解をもたらす。したがって、この研究を、凝集、断片化および脱アミノ化に起因するアンタゴニスト抗CD40抗体の分解を最小化する、溶液の最適なpHを同定するために設計した。
本研究の目的は、この抗体についての最適な溶液環境を選択するために、生物物理学的方法および生化学的方法の両方により、アンタゴニスト抗CD40抗体CHIR−12.12の安定性に対する溶液のpHの効果を調べることであった。示差走査熱量測定法(DSC)の結果は、CHIR−12.12のコンホメーションの安定性が、pH5.5〜6.5を有する処方物において最適であることを示した。SDS−PAGE分析、サイズ排除HPLC(SEC−HPLC)分析、およびカチオン交換HPLC(CEX−HPLC)分析の組み合わせに基づくと、CHIR−12.12の物理化学的な安定性は、pH約5.0〜5.5において最適である。これらの結果を鑑みて、この抗体を含有する1つの推奨される液体薬学的処方物は、約10mMのコハク酸ナトリウム、約150mMの塩化ナトリウム中に処方された約20mg/mlのCHIR−12.12を含有し、pH約5.5のpHを有する処方物である。
(材料および方法)
処方物の研究において使用されるCHIR−12.12抗体は、CHO細胞培養手順により作製されたヒトモノクローナル抗体である。このMAbは、150kDaの分子量を有し、ジスルフィド結合により互いに連結された2つの軽鎖および2つの重鎖から構成される。この抗体は、種々の癌および自己免疫性/炎症性疾患の処置のために、CD40を発現する細胞(正常および悪性のB細胞を含む)上のCD40細胞表面レセプターに対して標的される。
処方物の研究において使用されるCHIR−12.12抗体は、CHO細胞培養手順により作製されたヒトモノクローナル抗体である。このMAbは、150kDaの分子量を有し、ジスルフィド結合により互いに連結された2つの軽鎖および2つの重鎖から構成される。この抗体は、種々の癌および自己免疫性/炎症性疾患の処置のために、CD40を発現する細胞(正常および悪性のB細胞を含む)上のCD40細胞表面レセプターに対して標的される。
この研究のために使用される抗CD40薬物原料(drug substance)は、CHOに由来する精製抗CD40(CHIR−12.12)のバルクロットであった。この薬物原料の組成は、10mMのクエン酸ナトリウム、150mMの塩化ナトリウム(pH6.5)中9.7mg/mlのCHIR−12.12抗体であった。この研究におけるコントロールサンプルは、一般に認められた薬物原料であり、その後、≦−60℃にて凍結し、室温で融解し、そして、所定の時点において、安定性サンプルとともに試験した。この安定性サンプルは、異なるpH溶液に対する薬物原料の透析により調製したものであり、そして、各サンプルにおけるCHIR−12.12の濃度を、表7に示すように、UV280により測定した。
(示差走査熱量測定法(DSC))
異なる処方のサンプルのコンホメーションの安定性を、1℃/分で、15℃から90℃まで加熱しながら、MicroCal VP−DSCを用いてモニターした。
異なる処方のサンプルのコンホメーションの安定性を、1℃/分で、15℃から90℃まで加熱しながら、MicroCal VP−DSCを用いてモニターした。
(SDS−PAGE)
断片化および凝集を、非還元条件および還元条件下で、4〜20%のTris−グリシンゲルを用いて評価した。タンパク質を、クマシーブルー染色により検出した。
断片化および凝集を、非還元条件および還元条件下で、4〜20%のTris−グリシンゲルを用いて評価した。タンパク質を、クマシーブルー染色により検出した。
(サイズ排除クロマトグラフィー(SEC−HPLC))
タンパク質の断片化および凝集をまた、0.7ml/分の流速で、100mMリン酸ナトリウム(pH7.0)を移動相として用いて、Tosohaas TSK−GEL 3000SWXLカラムを備えるWater Alliance HPLCにより測定した。
タンパク質の断片化および凝集をまた、0.7ml/分の流速で、100mMリン酸ナトリウム(pH7.0)を移動相として用いて、Tosohaas TSK−GEL 3000SWXLカラムを備えるWater Alliance HPLCにより測定した。
(カチオン交換クロマトグラフィー(CEX−HPLC))
分解に関連する電荷の交換を、0.5ml/分の流速で、50mMのHEPES(pH7.3)を移動相Aとして、そして、500mMのNaClを含有する50mM HEPES(pH7.3)を移動相Bとして用いて、Dionex Propac WCX−10カラムを備える、Waters 600s HPLCシステムを使用して測定した。
分解に関連する電荷の交換を、0.5ml/分の流速で、50mMのHEPES(pH7.3)を移動相Aとして、そして、500mMのNaClを含有する50mM HEPES(pH7.3)を移動相Bとして用いて、Dionex Propac WCX−10カラムを備える、Waters 600s HPLCシステムを使用して測定した。
(結果および考察)
(コンホメーション安定性研究)
CHIR−12.12の熱によるアンフォールディングは、少なくとも2つの熱遷移(thermal transition)を明らかにし、おそらく、それぞれ、FabドメインおよびFcドメインのアンフォールディング融解を表す。高温では、タンパク質は、おそらく凝集して、DSCシグナルの喪失をもたらした。処方物のスクリーニングの目的で、最も低い熱遷移温度を、この研究において、融点Tmとして規定した。図6は、処方物のpHの関数としての熱融点を示す。pH5.5〜6.5の処方物は、より高い熱融点により実証されるように、より高いコンホメーション安定性を有する抗CD40を提供した。
(コンホメーション安定性研究)
CHIR−12.12の熱によるアンフォールディングは、少なくとも2つの熱遷移(thermal transition)を明らかにし、おそらく、それぞれ、FabドメインおよびFcドメインのアンフォールディング融解を表す。高温では、タンパク質は、おそらく凝集して、DSCシグナルの喪失をもたらした。処方物のスクリーニングの目的で、最も低い熱遷移温度を、この研究において、融点Tmとして規定した。図6は、処方物のpHの関数としての熱融点を示す。pH5.5〜6.5の処方物は、より高い熱融点により実証されるように、より高いコンホメーション安定性を有する抗CD40を提供した。
(SDS−PAGE分析)
pH4.5〜9.0のCHIR−12.12処方物サンプルを、40℃にて2ヶ月間インキュベートし、SDS−PAGE分析に供した(データ示さず)。非還元条件下では、pH5.5を上回る処方物において、23kDaおよび27kDaの分子量(MW)を有する種が観察され、そして、全ての処方物において、51kDaのMWを有する種が観察されたが、pH5.0〜5.5においては少ないようであった。100kDaのMWを有する種が、pH7.5およびpH9.0において見られ得た。
pH4.5〜9.0のCHIR−12.12処方物サンプルを、40℃にて2ヶ月間インキュベートし、SDS−PAGE分析に供した(データ示さず)。非還元条件下では、pH5.5を上回る処方物において、23kDaおよび27kDaの分子量(MW)を有する種が観察され、そして、全ての処方物において、51kDaのMWを有する種が観察されたが、pH5.0〜5.5においては少ないようであった。100kDaのMWを有する種が、pH7.5およびpH9.0において見られ得た。
還元条件下では、CHIR−12.12は、それぞれ、50kDaのMWおよび24kDaのMWを有する、遊離重鎖および遊離軽鎖に還元された。100kDaの種は、完全には還元性ではなく、そして、溶液のpHの増加に伴って増加するようであり、非ジスルフィド共有結合が、この分子において生じている可能性を示唆する。SDS−PAGEにおいて未知の正体を有する他の種が存在しなかったので、各処方物の安定性の比較は、残存するCHIR−12.12の純度に基づく。pH5.0〜6.0の処方物は、CHIR−12.12に対して、より安定な環境を提供した。SDS−PAGEによって、わずかな凝集が検出された(データ示さず)。
(SEC−HPLC分析)
SEC−HPLC分析は、主ピーク種としてインタクトなCHIR−12.12を、主ピーク種とは別個の前ピーク種として凝集種を、主ピーク種の後にあるショルダーピークとして大きなフラグメントの種を検出し、そして、小さなフラグメントの種を、主ピーク後の種として検出した。5℃および25℃で3ヶ月間インキュベートした後、無視できる量(<1.0%)のタンパク質のフラグメントおよび凝集を、上記処方物中で検出し、そして、CHIR−12.12主ピーク種は、99%以上純粋なままであった(データ示さず)。しかし、タンパク質のフラグメントは、40℃で保存すると、次第に進展し、表8に示すように、pH4.5およびpH6.5〜9.0においては、より多くのフラグメントが形成された。CHIR−12.12処方物を40℃にて3ヶ月間インキュベートした後、約2〜3%の凝集を、pH7.5およびpH9.0において検出したが、他のpHの処方物においては、1%未満の凝集を検出した(データ示さず)。SEC−HPLCの結果は、CHIR−12.12が、pH約5.0〜6.0において、より安定であることを示す。
SEC−HPLC分析は、主ピーク種としてインタクトなCHIR−12.12を、主ピーク種とは別個の前ピーク種として凝集種を、主ピーク種の後にあるショルダーピークとして大きなフラグメントの種を検出し、そして、小さなフラグメントの種を、主ピーク後の種として検出した。5℃および25℃で3ヶ月間インキュベートした後、無視できる量(<1.0%)のタンパク質のフラグメントおよび凝集を、上記処方物中で検出し、そして、CHIR−12.12主ピーク種は、99%以上純粋なままであった(データ示さず)。しかし、タンパク質のフラグメントは、40℃で保存すると、次第に進展し、表8に示すように、pH4.5およびpH6.5〜9.0においては、より多くのフラグメントが形成された。CHIR−12.12処方物を40℃にて3ヶ月間インキュベートした後、約2〜3%の凝集を、pH7.5およびpH9.0において検出したが、他のpHの処方物においては、1%未満の凝集を検出した(データ示さず)。SEC−HPLCの結果は、CHIR−12.12が、pH約5.0〜6.0において、より安定であることを示す。
CEX−HPLC分析は、インタクトなCHIR−12.12を主ピーク種として検出し、酸性改変体は、主ピーク種よりも速く溶出し、そして、C末端リジン付加改変体は、主ピーク後の種として溶出した。表9は、残存する主ピークCHIR−12.12種および酸性改変体の百分率の、溶液のpHに対する依存性を示す。コントロールサンプルは、すでに、高い度合の酸性種(約33%)を含んでおり、おそらくこれは、初期段階での発酵および精製のプロセスに起因するものである。より高いpH溶液に対するCHIR−12.12の感受性は、2つの事実により証明される。第一に、pH9.0(t=0)の最初の処方物サンプルは、すでに、コントロールよりも12%多い酸性種を生じていた。第2に、酸性種の百分率は、pHの増加に伴って急激に増加した。電荷の変化に関連する分解は、脱アミノ化に起因するようである。上記のデータは、CHIR−12.12のこの型の分解が、pH約5.0〜5.5において最小であったことを示す。
pHは、CHIR−12.12のコンホメーションの安定性および物理化学的な安定性に有意な効果を有する。電荷の変化に関連する分解は、CHIR−12.12についての主な分解経路であると決定され、これは、pH5.0〜5.5において最小であった。全体的な安定性のデータに基づいて、この抗体を含有する1つの推奨される液体薬学的処方物は、約10mMのコハク酸ナトリウム、約150mMの塩化ナトリウム中に処方された約20mg/mlのCHIR−12.12を含有し、pH約5.5のpHを有する処方物である。
(実施例7:CHIR−5.9およびCHIR−12.12による臨床研究)
(臨床上の目的)
全体の目的は、アンタゴニスト抗CD40抗体および抗CD20抗体の組み合わせで、B細胞腫瘍を標的にすることにより、B細胞腫瘍に対する効果的な治療を提供することである。これらの腫瘍としては、B細胞リンパ腫、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、多発性骨髄腫(MM)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、および全身性キャッスルマン病が挙げられる。これらの疾患についてのシグナルは、ある程度の活性が第I相において取得され得るが、第II相において決定される。最初のアンタゴニスト抗CD40抗体はmAb CHIR−12.12であり、最初の抗CD20抗体はリツキシマブ(Rituxan(登録商標))である。後の調査は、リツキシマブの結合特性を有する他の抗CD20抗体とmAb CHIR−12.12またはmAb CHIR−5.9との併用効果を研究する。
(臨床上の目的)
全体の目的は、アンタゴニスト抗CD40抗体および抗CD20抗体の組み合わせで、B細胞腫瘍を標的にすることにより、B細胞腫瘍に対する効果的な治療を提供することである。これらの腫瘍としては、B細胞リンパ腫、慢性リンパ性リンパ腫(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、多発性骨髄腫(MM)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、および全身性キャッスルマン病が挙げられる。これらの疾患についてのシグナルは、ある程度の活性が第I相において取得され得るが、第II相において決定される。最初のアンタゴニスト抗CD40抗体はmAb CHIR−12.12であり、最初の抗CD20抗体はリツキシマブ(Rituxan(登録商標))である。後の調査は、リツキシマブの結合特性を有する他の抗CD20抗体とmAb CHIR−12.12またはmAb CHIR−5.9との併用効果を研究する。
(第I相)
・安全性および薬物動態を評価する−B細胞悪性疾患を有する被験体における、これら2つの抗体の用量の増大。
・安全性、忍容性、および、それぞれの標的(すなわち、CD40またはCD20)の血清マーカーにおける変動に基づいて、各々の抗体の用量を選択する。一般的に、併用して使用される場合、これらの抗体それぞれについてのMTDが要求されるが、効能の他の兆候(CD40+B細胞および/またはCD20+B細胞の減少、など)が、用量を見出すことに適し得る。
・特に異なる症状に対しての、1つより多い組み合わせの用量の考慮、例えば、CLLの併用用量は、NHLに対するものと異なり得る。したがって、いくつかの用量の見極めは、第II相において必要であり得る。
・患者は、リアルタイム薬物動態(Pk)サンプリングを伴って週ごとに投与される。最初、4週間の周期は最大限の投薬をさせる。このPkは、研究される疾患(CD40および/またはCD20の密度、など)に依存して非常に変化し易くあり得る。
・この試行は、B細胞リンパ腫、CLL、および他の潜在的なB細胞悪性疾患を有する被験体に公開される。
・研究を中断すること、または研究を継続することの決断は、安全性、用量、および抗腫瘍活性(特に、実在する相乗的な)の予備的な証拠に基づく。
・応答率により決定される、併用抗体治療の活性は、第II相において決定される。
・第II相についての併用の用量を同定する。
・安全性および薬物動態を評価する−B細胞悪性疾患を有する被験体における、これら2つの抗体の用量の増大。
・安全性、忍容性、および、それぞれの標的(すなわち、CD40またはCD20)の血清マーカーにおける変動に基づいて、各々の抗体の用量を選択する。一般的に、併用して使用される場合、これらの抗体それぞれについてのMTDが要求されるが、効能の他の兆候(CD40+B細胞および/またはCD20+B細胞の減少、など)が、用量を見出すことに適し得る。
・特に異なる症状に対しての、1つより多い組み合わせの用量の考慮、例えば、CLLの併用用量は、NHLに対するものと異なり得る。したがって、いくつかの用量の見極めは、第II相において必要であり得る。
・患者は、リアルタイム薬物動態(Pk)サンプリングを伴って週ごとに投与される。最初、4週間の周期は最大限の投薬をさせる。このPkは、研究される疾患(CD40および/またはCD20の密度、など)に依存して非常に変化し易くあり得る。
・この試行は、B細胞リンパ腫、CLL、および他の潜在的なB細胞悪性疾患を有する被験体に公開される。
・研究を中断すること、または研究を継続することの決断は、安全性、用量、および抗腫瘍活性(特に、実在する相乗的な)の予備的な証拠に基づく。
・応答率により決定される、併用抗体治療の活性は、第II相において決定される。
・第II相についての併用の用量を同定する。
(第II相)
数回の試行が、B細胞リンパ腫、CLL、および多発性骨髄腫(MM)に集中する、前述の腫瘍型において開始される。数回の試行が、軽度のNHLおよび中程度/重度のNHLにおいて必要とされ得るが、それは、CD40および/またはCD20が、リンパ腫の程度により異なる機能を有し得るからである。1つよりも多い抗体用量の組み合わせ、および1つよりも多い計画が、無作為化第II相設定において試験され得る。
数回の試行が、B細胞リンパ腫、CLL、および多発性骨髄腫(MM)に集中する、前述の腫瘍型において開始される。数回の試行が、軽度のNHLおよび中程度/重度のNHLにおいて必要とされ得るが、それは、CD40および/またはCD20が、リンパ腫の程度により異なる機能を有し得るからである。1つよりも多い抗体用量の組み合わせ、および1つよりも多い計画が、無作為化第II相設定において試験され得る。
それぞれの疾患において、現行の治療基準に失敗した集団を標的とする:
・CLL:Campath(登録商標)および化学療法に耐性であった患者
・軽度のNHL:Rituxan(登録商標)の失敗またはCHOP−Rの失敗
・中程度のNHL:CHOP−Rの失敗
・多発性骨髄腫:化学療法の失敗
*研究を中断すること、または研究を継続することの決断は、第II相での治療概念の証拠に基づく
*代理マーカーを、臨床的な効能の初期兆候として使用され得るかどうかを決定する
*第III相のための用量を同定する
(第III相)
第III相は、第II相においてこのシグナルが検出される場所、およびどんな競合する治療が基準であるとみなされているかに依存する。このシグナルが、治療基準の無い、疾患の病期中であるとき、その場合、単一の武器となる、良く制御された研究が、中心的な試行として役立ち得る。基準であるとみなされる競合する薬剤があるとき、その場合、正面からの研究が行われる。
・CLL:Campath(登録商標)および化学療法に耐性であった患者
・軽度のNHL:Rituxan(登録商標)の失敗またはCHOP−Rの失敗
・中程度のNHL:CHOP−Rの失敗
・多発性骨髄腫:化学療法の失敗
*研究を中断すること、または研究を継続することの決断は、第II相での治療概念の証拠に基づく
*代理マーカーを、臨床的な効能の初期兆候として使用され得るかどうかを決定する
*第III相のための用量を同定する
(第III相)
第III相は、第II相においてこのシグナルが検出される場所、およびどんな競合する治療が基準であるとみなされているかに依存する。このシグナルが、治療基準の無い、疾患の病期中であるとき、その場合、単一の武器となる、良く制御された研究が、中心的な試行として役立ち得る。基準であるとみなされる競合する薬剤があるとき、その場合、正面からの研究が行われる。
本明細書中に示される本発明の多くの改変および他の実施形態は、上述の明細書および添付の図面に提示される教示を利用して、本発明が属する分野の当業者に想到される。従って、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されないこと、そして、改変および他の実施形態が、添付の特許請求の範囲および本明細書中に開示される実施形態一覧の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。特定の用語が本明細書において使用されるが、これらは、一般的かつ説明的な意味のみで使用されているのであり、制限する目的で使用されているわけではない。
明細書中で言及された全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野の当業者の技術水準を示している。全ての刊行物および特許出願は、あたかも各個々の刊行物または特許出願が、具体的かつ個別に参考として援用されることが示されるのと同じ程度まで、本明細書中に参考として援用される。
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