JP2011098934A - L−カルニチンに含まれる不純物の除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
L−カルニチンに含まれる不純物を簡便な操作で除去すること。
【解決手段】
以下の工程を含む、L−カルニチンに含まれる不純物を除去する方法;
(1)不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する工程
(2)工程(1)で得られたL−カルニチンのアルコール溶液からL−カルニチンを晶析してスラリーを得る工程
(3)工程(2)で得られたスラリーから、粒子径が10μm未満の粒子を除去する工程。
【選択図】 なし
L−カルニチンに含まれる不純物を簡便な操作で除去すること。
【解決手段】
以下の工程を含む、L−カルニチンに含まれる不純物を除去する方法;
(1)不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する工程
(2)工程(1)で得られたL−カルニチンのアルコール溶液からL−カルニチンを晶析してスラリーを得る工程
(3)工程(2)で得られたスラリーから、粒子径が10μm未満の粒子を除去する工程。
【選択図】 なし
Description
本発明は、L−カルニチンに含まれる不純物の除去方法に関する。
心臓疾患治療剤、過脂肪質血症治療剤、静脈疾患治療剤等として注目されているL−カルニチンは、ビタミンBTとも言われ、生体内で脂肪酸の代謝に関係している重要な化合物である。
L−カルニチンの製造法としては、D−マンニトールを原料として製造する方法(特許文献1参照)、γ−ハロアセト酢酸エステルを原料として酵素により不斉還元することを特徴とする方法(特許文献2参照)、リパーゼを用いて光学選択的に(R)−4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを合成することを特徴とする方法(特許文献3参照)、γ−ブチロベタイン又はクロトノベタインから微生物によってL−カルニチンを製造する方法(特許文献4参照)、カルニチンアミドハライドをd−樟脳酸により光学分割してL−カルニチンに導く方法(特許文献5参照)などが知られている。
本発明者は、上記従来の方法と比較して副反応を抑制できる製造方法として、1,3−ジクロロ−2−プロパノールを原料として、シアノ化反応、水和反応、4級アミノ化反応を経るカルニチンの製造方法を提供している(特許文献6参照)。この方法では、特に4級アミノ化反応時の副反応を大幅に抑制できる点で、他の製造方法よりも純度の高いカルニチンを得ることができる。
L−カルニチンの製造法としては、D−マンニトールを原料として製造する方法(特許文献1参照)、γ−ハロアセト酢酸エステルを原料として酵素により不斉還元することを特徴とする方法(特許文献2参照)、リパーゼを用いて光学選択的に(R)−4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを合成することを特徴とする方法(特許文献3参照)、γ−ブチロベタイン又はクロトノベタインから微生物によってL−カルニチンを製造する方法(特許文献4参照)、カルニチンアミドハライドをd−樟脳酸により光学分割してL−カルニチンに導く方法(特許文献5参照)などが知られている。
本発明者は、上記従来の方法と比較して副反応を抑制できる製造方法として、1,3−ジクロロ−2−プロパノールを原料として、シアノ化反応、水和反応、4級アミノ化反応を経るカルニチンの製造方法を提供している(特許文献6参照)。この方法では、特に4級アミノ化反応時の副反応を大幅に抑制できる点で、他の製造方法よりも純度の高いカルニチンを得ることができる。
しかしながら、L−カルニチンは医薬品、食品等に利用されるため、さらなる高純度の(不純物が低減された)ものが望まれている。
そこで、本発明の主な目的は、L−カルニチンに含まれる不純物を簡便な操作で除去することである。
そこで、本発明の主な目的は、L−カルニチンに含まれる不純物を簡便な操作で除去することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不純物を含むL−カルニチン混合物を特定のアルコール溶媒で晶析した後、特定の目開きを有する膜で濾過することにより、L−カルニチンから不純物が高度に除去できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の工程を含むL−カルニチンに含まれる不純物を除去する方法に関する。
(1)不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する工程
(2)工程(1)で得られたL−カルニチンのアルコール溶液からL−カルニチンを晶析してスラリーを得る工程。
すなわち、本発明は、以下の工程を含むL−カルニチンに含まれる不純物を除去する方法に関する。
(1)不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する工程
(2)工程(1)で得られたL−カルニチンのアルコール溶液からL−カルニチンを晶析してスラリーを得る工程。
本発明によれば、L−カルニチンに含まれる不純物を簡便な操作で十分に除去することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する工程(工程(1))
本発明の工程(1)では、不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する。
(1−1)L−カルニチン
本発明で使用するL−カルニチンは、市販のものを使用することもできるし、公知又は新規な方法で製造したL−カルニチンを使用することもできる。
L−カルニチンとしては、例えば、以下の製造方法で調製されたものを使用することができる。
(i)ジクロロプロパノールを酵素反応によりシアノ化及びアミド化した後、4級化し、加水分解等を行うことにより得られるL−カルニチン;
(ii)エピクロロヒドリンを順次、4級化、シアノ化、アミド化、光学分割等に供して得られるL−カルニチン;
(iii)ブチロラクトンを開環、4級化、微生物による反応等に供して得られるL−カルニチン;
(iv)クロロアセト酢酸エチルを不斉還元、4級化、加水分解等に供して得られるL−カルニチン。
これらのなかでも、(i)で得られるL−カルニチンを好適に使用することができる(WO2008/056827号パンフレット参照)。当該方法は、効率良くL−カルニチンを製造することができ、また、本発明の不純物の除去方法にも適しているからである。
また、当該L−カルニチンは結晶状のものも使用できるし、溶液に溶解しているものも使用することができる。合成直後のL−カルニチン水溶液だけでなく、当該溶液をイオン交換カラム、電気透析等の精製工程を経たものも使用することができる。
(1−2)不純物
本発明において除去される(L−カルニチンに含まれる)不純物は、D−カルニチン、クロトノベタイン、無機塩等が挙げられる。これらの不純物は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
無機塩とは、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸及びホウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む無機酸の、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩である。より詳細には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等を例示することができる。本発明においては、これらの中でも特に硫酸ナトリウムを好適に除去することができる。
L−カルニチンに含まれる不純物の含有量は、本発明の方法において十分に除去することができる限り限定されない。例えば、効率良く不純物が除去できる範囲としては、D−カルニチン及びクロトノベタインの合計量が、L−カルニチンに対して0.001〜10質量%、より好ましくは0.001〜6質量%である。この範囲内であれば、本発明の方法において十分に除去することができるからである。
また、無機塩の含量は、L−カルニチンに対して0.001〜1質量%程度が良く、より好ましくは0.001〜0.1質量%の範囲である。この範囲内であれば、結晶性の悪化を防ぐことができ、また、本発明の方法において十分に除去することができるからである。
(1−3)溶媒(アルコール)
不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製するためのアルコールの種類は、不純物が十分に除去できれば限定されないが、除去効率の点においてアルキルアルコールがより好ましい。
アルキルアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール及び2−ヘキサノールからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。当該アルコールは、不純物が十分に除去できる範囲内で水を含んでいても良い。
当該アルコールは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。1種単独で使用する場合は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール又はイソブタノールが好ましく用いられる。エタノール、1−ブタノール又はイソブタノールを用いれば、少ない溶媒で効果的に不純物を除去することができるのでより好ましい。さらに好ましくは、1−ブタノール又はイソブタノールである。
使用するアルコールの量は、不純物が十分に除去できれば限定されない。例えば、1種類のアルコールを単独で使用する場合は、L−カルニチンの質量に対して2〜20倍量とすればよく、より好ましくは3〜10倍量である。2倍量以上とするのは、L−カルニチンを十分に溶解することができるからであり、また、20倍量以下とするのは、効率良く晶析することができるからである。
2種以上のアルコールを組み合わせて用いる場合には、不純物を効率良く除去することができれば、混合するアルコールの種類は限定されない。例えば、メタノールと1−ペンタノール、メタノールと1−ヘキサノール、イソプロパノールとメタノール、イソプロパノールとエタノール、1−ブタノールとメタノール、1−ブタノールとエタノール、イソブタノールとメタノール、イソブタノールとエタノール等の混合溶液が好適に用いられる。これらのなかでも、1−ブタノールとメタノール、1−ブタノールとエタノール、イソブタノールとメタノール、イソブタノールとエタノール等の組み合わせがより好ましい。これらの混合溶液を用いることにより、不純物の除去効率が上昇し、最終的に得られるカルニチンの純度が高くなるからである。
2種以上のアルコールを混合して用いる場合、不純物を効率良く除去することができれば、混合するアルコールの量及び混合比は限定されない。例えば、1−ブタノールとメタノール又はエタノールとの混合溶媒を用いる場合、メタノール又はエタノールは、1−ブタノール中0.1〜50質量%程度の範囲とすればよく、15〜40質量%の範囲がより好ましい。このような範囲の混合溶媒を使用することにより、不純物の高い除去効果を得ることができる。当該混合溶媒の使用量も、上述したように、カルニチンの質量に対して1〜20倍量、好ましくは1〜10倍量とすればよい。
また、当該溶媒はアルコール以外の有機溶媒を含んでいてもよい。当該有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。有機溶媒の混合量は、不純物が効率良く除去できれば限定されず、当業者が適宜選択することができる。
(1−4)アルコール溶液の調製
本発明におけるアルコール溶液の調製方法は特に限定されるものではない。例えば、不純物を有するL−カルニチン水溶液にアルコールを添加したもの、不純物を有するL−カルニチン水溶液を溶媒置換によりアルコール溶液にしたもの、不純物を有するL−カルニチン水溶液を乾固してからアルコールを添加したもの、晶析等の操作によって得られた不純物を有するL−カルニチンの結晶にアルコールを添加したもの等を用いることができる。
ここで溶媒置換とは、L−カルニチン水溶液の溶媒(水)を当該溶媒とは異なる溶媒(例えば、アルコール)に置き換える操作を示す。本発明において、溶媒置換の方法は特に限定されないが、例えば、複数の溶媒の混合液から沸点の低い溶媒を濃縮により除去する方法、共沸組成のある溶媒を濃縮操作により除去し、一方の溶媒を残留させる方法、乾固しない範囲で充分濃縮した溶液に、当該溶媒と相互溶解度の有る溶媒を加えることでその加えた溶媒の溶液とする方法等が挙げられる。
本発明においては、例えば、L−カルニチン水溶液に水以外の単一あるいは複数のアルコール溶媒を添加した後、共沸操作により水を除去し、(晶析に用いる)アルコール等の他の溶媒に置き換えることが好ましい。例えば、L−カルニチン水溶液から1−ブタノールやイソブタノール等のアルコールを用いて、溶媒置換により水を除去させる方法が好ましい。
また、メタノール又はエタノール等のL−カルニチンを容易に溶解させる溶媒と1−ブタノールやイソブタノール等の沸点の異なる溶媒との混合溶液にL−カルニチンを含む混合物を溶解させたものから、溶媒置換してメタノール又はエタノールの大部分を留去する方法等もある。
不純物を有するL−カルニチンをアルコールに添加する際、アルコールの温度は、例えば10〜80℃、より好ましくは20〜70℃とすればよい。10℃以上とすることにより、L−カルニチンを十分にアルコールに溶解させることができ、80℃以下とするのは、不純物の生成を抑制することができ、また、少量の溶媒でL−カルニチンを十分に溶解することができるからである。
また、L−カルニチン溶液のpHは特に限定されないが、5〜10、好ましくは6〜9とすればよい。pHを5以上とするのは、カルニチンと無機酸の塩が生成することによる品質の低下を防ぐことができるからである。また、pHを10以下とするのは、L−カルニチンの分解を防ぐことができるからである。pHの調整は、公知の方法でpHを調整することができる。
(2)工程(1)で得られたL−カルニチンのアルコール溶液からL−カルニチンを晶析してスラリーを得る工程(工程(2))
次に、上記工程(1)で調製されたアルコール溶液から、L−カルニチンを晶析する。晶析の方法は限定されず、公知の晶析方法を使用することができる。例えば、アルコール溶液を濃縮する方法、アルコール溶液を冷却する方法、アルコール溶液に有機溶媒を添加する方法等がある。
本発明においては、溶媒を濃縮することによって晶析させることが好ましい。濃縮晶析を行うことは、L−カルニチンのアルコール溶液から効率よく結晶が取得でき、また、効率良くL−カルニチンから不純物を除去することができるので好ましい。
濃縮を行う場合、常圧下で行うこともできるし減圧下に行うこともできる。減圧下に濃縮を行う際の減圧度は特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、0.1〜66.7kPa程度とすればよく、濃縮速度の観点から0.1〜26.7kPa程度の範囲が好ましい。
また、前記溶媒置換と同時に濃縮晶析を行うこともできる。例えば、L−カルニチン水溶液と共沸蒸留で水を除去できる最低限量のブタノールを混合し、溶媒置換しながら結晶を析出させる方法がより好ましい。当該方法により、L-カルニチンを含む混合物の水溶液から効率よく結晶を取得することができる。
(1)不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する工程(工程(1))
本発明の工程(1)では、不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する。
(1−1)L−カルニチン
本発明で使用するL−カルニチンは、市販のものを使用することもできるし、公知又は新規な方法で製造したL−カルニチンを使用することもできる。
L−カルニチンとしては、例えば、以下の製造方法で調製されたものを使用することができる。
(i)ジクロロプロパノールを酵素反応によりシアノ化及びアミド化した後、4級化し、加水分解等を行うことにより得られるL−カルニチン;
(ii)エピクロロヒドリンを順次、4級化、シアノ化、アミド化、光学分割等に供して得られるL−カルニチン;
(iii)ブチロラクトンを開環、4級化、微生物による反応等に供して得られるL−カルニチン;
(iv)クロロアセト酢酸エチルを不斉還元、4級化、加水分解等に供して得られるL−カルニチン。
これらのなかでも、(i)で得られるL−カルニチンを好適に使用することができる(WO2008/056827号パンフレット参照)。当該方法は、効率良くL−カルニチンを製造することができ、また、本発明の不純物の除去方法にも適しているからである。
また、当該L−カルニチンは結晶状のものも使用できるし、溶液に溶解しているものも使用することができる。合成直後のL−カルニチン水溶液だけでなく、当該溶液をイオン交換カラム、電気透析等の精製工程を経たものも使用することができる。
(1−2)不純物
本発明において除去される(L−カルニチンに含まれる)不純物は、D−カルニチン、クロトノベタイン、無機塩等が挙げられる。これらの不純物は1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
無機塩とは、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸及びホウ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む無機酸の、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩である。より詳細には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等を例示することができる。本発明においては、これらの中でも特に硫酸ナトリウムを好適に除去することができる。
L−カルニチンに含まれる不純物の含有量は、本発明の方法において十分に除去することができる限り限定されない。例えば、効率良く不純物が除去できる範囲としては、D−カルニチン及びクロトノベタインの合計量が、L−カルニチンに対して0.001〜10質量%、より好ましくは0.001〜6質量%である。この範囲内であれば、本発明の方法において十分に除去することができるからである。
また、無機塩の含量は、L−カルニチンに対して0.001〜1質量%程度が良く、より好ましくは0.001〜0.1質量%の範囲である。この範囲内であれば、結晶性の悪化を防ぐことができ、また、本発明の方法において十分に除去することができるからである。
(1−3)溶媒(アルコール)
不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製するためのアルコールの種類は、不純物が十分に除去できれば限定されないが、除去効率の点においてアルキルアルコールがより好ましい。
アルキルアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール及び2−ヘキサノールからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。当該アルコールは、不純物が十分に除去できる範囲内で水を含んでいても良い。
当該アルコールは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。1種単独で使用する場合は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール又はイソブタノールが好ましく用いられる。エタノール、1−ブタノール又はイソブタノールを用いれば、少ない溶媒で効果的に不純物を除去することができるのでより好ましい。さらに好ましくは、1−ブタノール又はイソブタノールである。
使用するアルコールの量は、不純物が十分に除去できれば限定されない。例えば、1種類のアルコールを単独で使用する場合は、L−カルニチンの質量に対して2〜20倍量とすればよく、より好ましくは3〜10倍量である。2倍量以上とするのは、L−カルニチンを十分に溶解することができるからであり、また、20倍量以下とするのは、効率良く晶析することができるからである。
2種以上のアルコールを組み合わせて用いる場合には、不純物を効率良く除去することができれば、混合するアルコールの種類は限定されない。例えば、メタノールと1−ペンタノール、メタノールと1−ヘキサノール、イソプロパノールとメタノール、イソプロパノールとエタノール、1−ブタノールとメタノール、1−ブタノールとエタノール、イソブタノールとメタノール、イソブタノールとエタノール等の混合溶液が好適に用いられる。これらのなかでも、1−ブタノールとメタノール、1−ブタノールとエタノール、イソブタノールとメタノール、イソブタノールとエタノール等の組み合わせがより好ましい。これらの混合溶液を用いることにより、不純物の除去効率が上昇し、最終的に得られるカルニチンの純度が高くなるからである。
2種以上のアルコールを混合して用いる場合、不純物を効率良く除去することができれば、混合するアルコールの量及び混合比は限定されない。例えば、1−ブタノールとメタノール又はエタノールとの混合溶媒を用いる場合、メタノール又はエタノールは、1−ブタノール中0.1〜50質量%程度の範囲とすればよく、15〜40質量%の範囲がより好ましい。このような範囲の混合溶媒を使用することにより、不純物の高い除去効果を得ることができる。当該混合溶媒の使用量も、上述したように、カルニチンの質量に対して1〜20倍量、好ましくは1〜10倍量とすればよい。
また、当該溶媒はアルコール以外の有機溶媒を含んでいてもよい。当該有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。有機溶媒の混合量は、不純物が効率良く除去できれば限定されず、当業者が適宜選択することができる。
(1−4)アルコール溶液の調製
本発明におけるアルコール溶液の調製方法は特に限定されるものではない。例えば、不純物を有するL−カルニチン水溶液にアルコールを添加したもの、不純物を有するL−カルニチン水溶液を溶媒置換によりアルコール溶液にしたもの、不純物を有するL−カルニチン水溶液を乾固してからアルコールを添加したもの、晶析等の操作によって得られた不純物を有するL−カルニチンの結晶にアルコールを添加したもの等を用いることができる。
ここで溶媒置換とは、L−カルニチン水溶液の溶媒(水)を当該溶媒とは異なる溶媒(例えば、アルコール)に置き換える操作を示す。本発明において、溶媒置換の方法は特に限定されないが、例えば、複数の溶媒の混合液から沸点の低い溶媒を濃縮により除去する方法、共沸組成のある溶媒を濃縮操作により除去し、一方の溶媒を残留させる方法、乾固しない範囲で充分濃縮した溶液に、当該溶媒と相互溶解度の有る溶媒を加えることでその加えた溶媒の溶液とする方法等が挙げられる。
本発明においては、例えば、L−カルニチン水溶液に水以外の単一あるいは複数のアルコール溶媒を添加した後、共沸操作により水を除去し、(晶析に用いる)アルコール等の他の溶媒に置き換えることが好ましい。例えば、L−カルニチン水溶液から1−ブタノールやイソブタノール等のアルコールを用いて、溶媒置換により水を除去させる方法が好ましい。
また、メタノール又はエタノール等のL−カルニチンを容易に溶解させる溶媒と1−ブタノールやイソブタノール等の沸点の異なる溶媒との混合溶液にL−カルニチンを含む混合物を溶解させたものから、溶媒置換してメタノール又はエタノールの大部分を留去する方法等もある。
不純物を有するL−カルニチンをアルコールに添加する際、アルコールの温度は、例えば10〜80℃、より好ましくは20〜70℃とすればよい。10℃以上とすることにより、L−カルニチンを十分にアルコールに溶解させることができ、80℃以下とするのは、不純物の生成を抑制することができ、また、少量の溶媒でL−カルニチンを十分に溶解することができるからである。
また、L−カルニチン溶液のpHは特に限定されないが、5〜10、好ましくは6〜9とすればよい。pHを5以上とするのは、カルニチンと無機酸の塩が生成することによる品質の低下を防ぐことができるからである。また、pHを10以下とするのは、L−カルニチンの分解を防ぐことができるからである。pHの調整は、公知の方法でpHを調整することができる。
(2)工程(1)で得られたL−カルニチンのアルコール溶液からL−カルニチンを晶析してスラリーを得る工程(工程(2))
次に、上記工程(1)で調製されたアルコール溶液から、L−カルニチンを晶析する。晶析の方法は限定されず、公知の晶析方法を使用することができる。例えば、アルコール溶液を濃縮する方法、アルコール溶液を冷却する方法、アルコール溶液に有機溶媒を添加する方法等がある。
本発明においては、溶媒を濃縮することによって晶析させることが好ましい。濃縮晶析を行うことは、L−カルニチンのアルコール溶液から効率よく結晶が取得でき、また、効率良くL−カルニチンから不純物を除去することができるので好ましい。
濃縮を行う場合、常圧下で行うこともできるし減圧下に行うこともできる。減圧下に濃縮を行う際の減圧度は特に限定されず、適宜選択することができる。例えば、0.1〜66.7kPa程度とすればよく、濃縮速度の観点から0.1〜26.7kPa程度の範囲が好ましい。
また、前記溶媒置換と同時に濃縮晶析を行うこともできる。例えば、L−カルニチン水溶液と共沸蒸留で水を除去できる最低限量のブタノールを混合し、溶媒置換しながら結晶を析出させる方法がより好ましい。当該方法により、L-カルニチンを含む混合物の水溶液から効率よく結晶を取得することができる。
晶析を行う場合の溶媒の温度は、例えば10〜150℃程度である。カルニチンの収率低下又はカルニチン純度の低下を防ぐことができるので、10〜80℃程度が好ましい。また、20〜70℃程度の場合、熱履歴によるカルニチン結晶の品質の微細な変化を防ぐことができ、品質の低下がなく且つ効率的に晶析することができるので、より好ましい。
溶媒置換と同時に晶析させる場合、溶液の最終的な組成は特に制限がないが、例えば、水を含む溶媒を用いた場合は晶析終了時の水の量が1質量%以下となることが好ましい。水が多量に残留した場合に生じる、カルニチンの収率低下及びD−カルニチンの結晶への残留量増加を防ぐことができるからである。より好適には0.5%以下となるまで水を除くことでD−カルニチンを効率的に取り除くことができ好ましい。
なお、本発明において、晶析溶媒への置換操作の途中に一部L−カルニチンの結晶の析出が開始する場合があり、その場合、水の量は好ましい範囲を外れることがあるが、晶析終了時の水の量を好ましい範囲内に収めることで、効率よく精製することが可能である。
晶析後に得られるスラリー中のL−カルニチン含量は、当該スラリーが流動性を有する限り限定されない。例えば1〜70質量%、好ましくは20〜50質量%とすればよい。この範囲内であると、流動性を確保しながら効率的に固液分離を行うことができるからである。
このようにして、L−カルニチンのスラリーを得ることができる。ここで、スラリーとは、晶析したL−カルニチン(及び不純物)の結晶が、晶析溶媒中で懸濁した状態のものを指す。結晶の濃度又は溶媒の濃度は限定されない。
溶媒置換と同時に晶析させる場合、溶液の最終的な組成は特に制限がないが、例えば、水を含む溶媒を用いた場合は晶析終了時の水の量が1質量%以下となることが好ましい。水が多量に残留した場合に生じる、カルニチンの収率低下及びD−カルニチンの結晶への残留量増加を防ぐことができるからである。より好適には0.5%以下となるまで水を除くことでD−カルニチンを効率的に取り除くことができ好ましい。
なお、本発明において、晶析溶媒への置換操作の途中に一部L−カルニチンの結晶の析出が開始する場合があり、その場合、水の量は好ましい範囲を外れることがあるが、晶析終了時の水の量を好ましい範囲内に収めることで、効率よく精製することが可能である。
晶析後に得られるスラリー中のL−カルニチン含量は、当該スラリーが流動性を有する限り限定されない。例えば1〜70質量%、好ましくは20〜50質量%とすればよい。この範囲内であると、流動性を確保しながら効率的に固液分離を行うことができるからである。
このようにして、L−カルニチンのスラリーを得ることができる。ここで、スラリーとは、晶析したL−カルニチン(及び不純物)の結晶が、晶析溶媒中で懸濁した状態のものを指す。結晶の濃度又は溶媒の濃度は限定されない。
更に、L−カルニチンから、不純物を高度に除去するために、得られたスラリーを冷却することが好ましい。冷却する温度は得られるL−カルニチンの品質が低下しなければ限定されず、適宜範囲することができる。例えば、晶析を行う際の温度より1〜70℃低下させることができ、10〜50℃に低下させることが好ましい。この範囲であれば、L−カルニチンの収量が低下せず、十分に不純物が除去できるからである。
当該スラリーを冷却する方法は限定されない。自然冷却も可能であるし、公知の方法を用いて、スラリーの温度変化を見ながら徐々に温度を下げていくことも可能である。冷却する速度は、濾過の効率や得られるL−カルニチンの純度が低下しなければ限定されない。例えば、2.0℃/min以下の速度が好ましく、0.05〜1.0℃/minの速度がより好ましい。この冷却速度の範囲であれば、作業効率が悪化せず、且つ、急激な冷却によりL−カルニチンを多く含んだ結晶が大量に生じ、固液分離の際の濾過性悪化や収量低下を防ぐことができるからである。
(3)工程(2)で得られるスラリーから、粒子径が10μm未満の粒子を除去する工程(工程(3))
次いで、上記工程(2)で得られたL−カルニチンのスラリーを固液分離する(工程(3))。本工程における固液分離は、粒子径が10μm以上の粒子を捕集できる濾材を用いて行うことにより、上記スラリーから粒子径が10μm未満の粒子を除去する。
本発明者らは、D−カルニチン、クロトノベタイン、無機塩等の不純物が、当該スラリー中の粒子径が10μm未満の結晶中に集まる(高度に濃縮される)ことを見出した。従って、当該10μm未満の結晶を除去することにより上記不純物が高度に除去され、高純度のL−カルニチンを得ることができる。
通常、濾材の種類によって保留粒子径(捕集できる粒子の粒子径)、通気量、濾過効率、目開きなど指標とする基準が異なるが、本発明においては、粒子径が10μm未満の結晶が通過すれば(除去できれば)よい。すなわち、濾材の目開きが10μm以上であれば使用する濾材は限定されず、適宜選択することができる。
好ましくは目開きが10〜100μmの濾材である。これは、結晶のロス(L−カルニチンの収率の低下)を抑えながら、高度に不純物を除去することができるからである。より好ましくは目開きが10〜60μmの濾材であり、この範囲とすることにより、結晶(L−カルニチン)をほとんどロスすることなく、高度に不純物を除去することができる。
ここで、濾材により捕集される粒子の粒子径は、JiS P 3801〔ろ紙(化学分析用)〕で規定された、硫酸バリウムなどを自然濾過したときの漏洩粒子径により求めることができる。
また、濾材が濾布である場合は、通気量が0.3(cc/cm2/sec)以上の濾布を用いることにより、粒子径が10μm未満の粒子を除去することができる。ここで、通気量とは、単位時間当たりに濾布を通過する空気の量のことをいい、JiS L1096に規定された方法で測定することができる。
好ましくは、通気量が0.3〜3(cc/cm2/sec)の濾布である。これは、結晶のロス(L−カルニチンの収率の低下)を抑えながら、高度に不純物を除去することができるからである。より好ましくは、通気量が0.3〜1.5(cc/cm2/sec)である。これは、結晶(L−カルニチン)をほとんどロスすることなく、高度に不純物を除去することができるからである。
濾材の種類は限定されず、例えば、濾紙、メッシュクロス、金属メッシュ、ガラス繊維フィルター、メンブレンフィルター、カートリッジフィルター、濾布等を用いることにより、簡便に固液分離を行うことができる。これらの中でも、濾紙、メッシュクロス、カートリッジフィルター、濾布は、不純物を捕集しやすいので好ましい。
当該スラリーを冷却する方法は限定されない。自然冷却も可能であるし、公知の方法を用いて、スラリーの温度変化を見ながら徐々に温度を下げていくことも可能である。冷却する速度は、濾過の効率や得られるL−カルニチンの純度が低下しなければ限定されない。例えば、2.0℃/min以下の速度が好ましく、0.05〜1.0℃/minの速度がより好ましい。この冷却速度の範囲であれば、作業効率が悪化せず、且つ、急激な冷却によりL−カルニチンを多く含んだ結晶が大量に生じ、固液分離の際の濾過性悪化や収量低下を防ぐことができるからである。
(3)工程(2)で得られるスラリーから、粒子径が10μm未満の粒子を除去する工程(工程(3))
次いで、上記工程(2)で得られたL−カルニチンのスラリーを固液分離する(工程(3))。本工程における固液分離は、粒子径が10μm以上の粒子を捕集できる濾材を用いて行うことにより、上記スラリーから粒子径が10μm未満の粒子を除去する。
本発明者らは、D−カルニチン、クロトノベタイン、無機塩等の不純物が、当該スラリー中の粒子径が10μm未満の結晶中に集まる(高度に濃縮される)ことを見出した。従って、当該10μm未満の結晶を除去することにより上記不純物が高度に除去され、高純度のL−カルニチンを得ることができる。
通常、濾材の種類によって保留粒子径(捕集できる粒子の粒子径)、通気量、濾過効率、目開きなど指標とする基準が異なるが、本発明においては、粒子径が10μm未満の結晶が通過すれば(除去できれば)よい。すなわち、濾材の目開きが10μm以上であれば使用する濾材は限定されず、適宜選択することができる。
好ましくは目開きが10〜100μmの濾材である。これは、結晶のロス(L−カルニチンの収率の低下)を抑えながら、高度に不純物を除去することができるからである。より好ましくは目開きが10〜60μmの濾材であり、この範囲とすることにより、結晶(L−カルニチン)をほとんどロスすることなく、高度に不純物を除去することができる。
ここで、濾材により捕集される粒子の粒子径は、JiS P 3801〔ろ紙(化学分析用)〕で規定された、硫酸バリウムなどを自然濾過したときの漏洩粒子径により求めることができる。
また、濾材が濾布である場合は、通気量が0.3(cc/cm2/sec)以上の濾布を用いることにより、粒子径が10μm未満の粒子を除去することができる。ここで、通気量とは、単位時間当たりに濾布を通過する空気の量のことをいい、JiS L1096に規定された方法で測定することができる。
好ましくは、通気量が0.3〜3(cc/cm2/sec)の濾布である。これは、結晶のロス(L−カルニチンの収率の低下)を抑えながら、高度に不純物を除去することができるからである。より好ましくは、通気量が0.3〜1.5(cc/cm2/sec)である。これは、結晶(L−カルニチン)をほとんどロスすることなく、高度に不純物を除去することができるからである。
濾材の種類は限定されず、例えば、濾紙、メッシュクロス、金属メッシュ、ガラス繊維フィルター、メンブレンフィルター、カートリッジフィルター、濾布等を用いることにより、簡便に固液分離を行うことができる。これらの中でも、濾紙、メッシュクロス、カートリッジフィルター、濾布は、不純物を捕集しやすいので好ましい。
また、スラリーの溶媒として使用されているアルコールは、セルロースアセテート、セルロース混合エステル、親水化PTFE等の素材を溶解させることがある。従って、濾材(濾過に使用される濾紙、濾布又はカートリッジフィルター)の素材は、コットン、セルロース繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ステンレス、ポリエステル、硼珪酸塩ガラス繊維等を使用するのが好ましい。
固液分離の方法も限定されず、遠心濾過、加圧濾過、減圧濾過、自然濾過等の公知の方法で行うことができる。これらの中でも、カルニチンの吸湿対策として遠心濾過や加圧濾過が好ましい。また、L−カルニチンの結晶は高い吸湿性を有するため、乾燥空気、乾燥窒素などの雰囲気下で実施することが好ましい。
このようにして得られたL−カルニチンは、高度に不純物が除去されており、非常に純度が高い。分離されたL−カルニチンの結晶は、必要に応じて洗浄(リンス、リパルプ、リスラリー)することができる。好ましくは、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール等のアルコール溶媒などを用いて洗浄することができる。さらに好ましくは、1−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール等、晶析溶媒と同一の溶媒を用いることで効率的に洗浄することができる。
得られた結晶は、必要に応じて乾燥することもできる。例えば、80℃以下で加熱しながら、常圧又はアスピレーターや真空ポンプ等の減圧が可能な装置を用いて減圧して、残留する溶媒を効率良く除去することができる。
固液分離の方法も限定されず、遠心濾過、加圧濾過、減圧濾過、自然濾過等の公知の方法で行うことができる。これらの中でも、カルニチンの吸湿対策として遠心濾過や加圧濾過が好ましい。また、L−カルニチンの結晶は高い吸湿性を有するため、乾燥空気、乾燥窒素などの雰囲気下で実施することが好ましい。
このようにして得られたL−カルニチンは、高度に不純物が除去されており、非常に純度が高い。分離されたL−カルニチンの結晶は、必要に応じて洗浄(リンス、リパルプ、リスラリー)することができる。好ましくは、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール等のアルコール溶媒などを用いて洗浄することができる。さらに好ましくは、1−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール等、晶析溶媒と同一の溶媒を用いることで効率的に洗浄することができる。
得られた結晶は、必要に応じて乾燥することもできる。例えば、80℃以下で加熱しながら、常圧又はアスピレーターや真空ポンプ等の減圧が可能な装置を用いて減圧して、残留する溶媒を効率良く除去することができる。
本発明において使用した各種定量分析方法について、分析方法詳細を以下に示す。
分析方法(i)
・分析対象化合物
1,3−ジクロロ−2−プロパノール(以下「DCP」と略す)
4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリル(以下「CHBN」と略す)
・試料調製方法:反応液を移動相に溶解
・カラム :inertsil ODS-3V, 4.6mm
i.D.×250mm, 粒径5μm(GLサイエンス製)
・カラムオーブン温度:40℃
・移動相 :水/アセトニトリル/リン酸=70/30/0.1(容積比)
1mL/min
・検出器 :示差屈折計(Ri)
・注入量 :20μL
・保持時間 :DCP 15.7min
:CHBN 7.2min。
分析方法(ii)
・分析対象化合物
4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリル(以下「CHBN」と略す)
4−クロロ−3−ヒドロキシブタンアミド(以下「CHBA」と略す)
・試料調製方法 : 反応液を移動相に溶解
・カラム :inertsil ODS-3V,
4.6mm i.D.×250mm、 粒径5μm(GLサイエンス製)
・カラムオーブン温度:40℃
・移動相 :0.05% トリフルオロ酢酸水溶液、1mL/min
・検出器 :示差屈折計(日本分光製Ri-2031)
・注入量 :20μL
・保持時間 :CHBN 11.0min
:CHBA 6.7min。
分析方法(iii)
・分析対象化合物
カルニチンアミドクロライド(以下「Car−アミド」と略す)
カルニチン(以下「Car」と略す)
ナトリウムイオン
・試料調製方法 :反応液を移動相に溶解
・カラム :Shodex iC YK−421,
4.6mm i.D.×125mm(GLサイエンス製)
・カラムオーブン温度:40℃
・移動相 :3mM HNO3aq/ATN=4/6(容積比)、1mL/min
・検出器 :電気伝導度検出器(CD−5) Shodex製
・注入量 :20μL
・保持時間 :Car−アミド 10.2min
:Car 7.9min
:ナトリウムイオン 7.0min。
分析方法(iv)
・分析対象化合物
硫酸イオン
・カラム :i−524 shodex社製 4.6×250mm
・カラムオーブン温度 :40℃
・移動相 :2.5mM フタル酸+2.3mM トリス 1.0mL:min
・検出 :電気伝導度
・注入量 :20μL
・保持時間 :硫酸イオン 8.0 min。
分析方法(v)
・分析対象化合物
カルニチン(以下「Car」と略す)
クロトノベタイン(以下「CB」と略す)
・試料調製方法 :反応液を移動相に溶解
・カラム :Nucleosil 100−5N(CH3)2,
4.6mm i.D.×250mm(GLサイエンス製)
・カラムオーブン温度:40℃
・移動相 :50mM KH2PO4(pH=4.7)aq/ATN=35/65
(容積比)、1mL/min
・検出器 :UV検出器(205nm) 日本分光製UV−930
・注入量 :5μL
・保持時間 :Car 10.8min
:CB 13.0min。
分析方法(vi)
・水分含量
L−カルニチンのアルコール溶液中の水分量は三菱化成(株)製水分計(カールフィッシャー法)を用いて測定を行った
分析機器 :カールフィッシャー水分量計
電極液 :陽極液 アクアミクロンAX
陰極液 アクアミクロンCXU。
分析方法(vii):(R)−CHBN光学純度測定法
(R)−CHBNの光学純度は、以下のようにして測定した。
(R)−CHBN1μLにジクロロメタン20μL、ピリジン20μLを加えた後、(R)−α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニルアセチルクロライド(MTPA)2μLを添加し、そのまま室温で5時間撹拌を行った。反応終了液にジイソプロピルエーテル300μLを添加し、続いて1N HCl水溶液350μLを用いて洗浄、有機層を回収した。さらに有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液350μLで洗浄し、有機層を減圧乾燥、残渣をイソプロパノールに溶解させ、これをHPLCで分析を行った。
本分析に用いたHPLCシステムは以下の通りである。
・分析対象化合物
(R)−CHBN MTPAエステル
(S)−CHBN MTPAエステル
・カラム :Partisil−5(GL Science)
:4.6mm×250mm
・カラムオーブン温度 :40℃
・移動相 :ヘキサン:イソプロパノール=99:1(容積比)、1mL/min
・検出器 :UV 254nm
・保持時間 :(R)−CHBN MTPAエステル:11.9min
:(S)−CHBN MTPAエステル:13.0min。
分析方法(Viii):L−カルニチンのD−カルニチンに対する過剰率(L体光学純度)(%ee)
L−カルニチンのD−カルニチンに対する過剰率(%ee)は、文献(J.Pharm. Bio.Anal.,14(1996)1579−1584)記載の方法を用いることで、高速液体クロマトグラフィ−による分析結果から算出することができる。
詳細には、下記式により求めることができる。
L−体過剰率(%ee)=(L−カルニチン誘導体面積−D−カルニチン誘導体面積)÷(L−カルニチン誘導体面積+D−カルニチン誘導体面積)×100
・分析対象物質
D−カルニチン誘導体
L−カルニチン誘導体
・カラム :Ultron ES−OVM, 信和化工社製、2×150 mm,
・移動相 :アセトニトリル:20mMリン酸カリウム(pH4.5)=17:83(容積比)、 0.2 mL:min
・検出 :UV 254nm
・保持時間 :D−カルニチン誘導体 6−6.5 min
L−カルニチン誘導体 7.5−8.5 min。
ここで、上記分析条件から測定された溶液中又は結晶中の濃度は、いずれも質量%で記載する。
<参考例1:4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリル(R−CHBN)の合成>
i)ハロヒドリンエポキシダーゼ発現形質転換微生物の培養
ハロヒドリンエポキシダーゼ活性を持つ大腸菌(Escherichia coli)JM109/pST111(FERM P-12065、特開平5−317066号参照)を、LB培地(1質量質量%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、0.5質量%NaCl、1mM iPTG、50μg/mLアンピシリン)が 100mLずつ入れた500mL容三角フラスコ、20本それぞれに植菌し、37℃で20時間振盪培養した。20本分の培養菌体を遠心分離により集菌し、集菌した菌体を50mM トリス−硫酸緩衝液(pH 8.0)で洗浄し、50mM トリス−硫酸緩衝液(pH 8.0)を20gになるように加え、懸濁した。
この菌体懸濁液0.25gを50mM トリス−硫酸緩衝液(pH 8.0)100mLに加え、さらに50mMとなるように1,3-ジクロロ-2-プロパノールを加え、20℃で10分間反応した。HPLCにより反応液中のエピクロロヒドリンの量を測定したところ、11mMであった。
なお、pST111は、コリネバクテリウム(Corynebacterium) sp.N-1074のハロヒドリンエポキシダーゼ遺伝子(hheB)を含むBamHi-Psti1.1Kb 断片をpUC118 に結合させたプラスミドである。また、pST111は、特開平5−317066公報に記載されており、JM109/pST111は、FERM P-12065として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に平成3年3月1日付け寄託されている。
ii)1,3−ジクロロ−2−プロパノールからの(R)−CHBNの合成
pH電極、ならびにpHコントローラーにより制御されたアルカリ投入配管を装着した2L容フラスコに水693.0g、HCN21.1g、1,3−ジクロロ−2−プロパノール49.7gを入れ均一に溶解するまで攪拌した。その後48%NaOH水溶液1.9gで、pH8.0に調整した。
次いで、i)で調製したハロヒドリンエポキシダーゼ活性を持つ菌体懸濁液100.0g(40.0kU)を加え、20℃、pH7.8〜7.9で反応を開始した。
20℃で48%NaOH水溶液を逐次滴下し系内のpHを7.9〜8.0に維持しながら、反応開始直後より、1,3−ジクロロ−2−プロパノール50.0gとHCN12.4gを5時間かけて均等に滴下した。その後、20℃で系内のpHを7.9〜8.0に維持しながら、1.5時間(反応開始から6時間)反応させた。反応終了時、反応液の全量は901.0gであった。このとき、反応系内の1,3−ジクロロ−2−プロパノールの濃度は0.7%(6.3g)であり、CHBNの濃度は9.0%(81.2g; 収率88mol%)であった。また、このときのCHBNの光学純度は92%eeの(R)−体過剰であった。
この反応液を塩酸でpH=2.0に調節し、60℃、100torrで減圧して11時間HCNの除去を行い、反応系内のHCNを硝酸銀で滴定、1ppm以下であることを確認した。 反応液を濃縮して得られた溶液は475.3gあり、CHBNを80.8g含んでいた。
分析方法(i)
・分析対象化合物
1,3−ジクロロ−2−プロパノール(以下「DCP」と略す)
4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリル(以下「CHBN」と略す)
・試料調製方法:反応液を移動相に溶解
・カラム :inertsil ODS-3V, 4.6mm
i.D.×250mm, 粒径5μm(GLサイエンス製)
・カラムオーブン温度:40℃
・移動相 :水/アセトニトリル/リン酸=70/30/0.1(容積比)
1mL/min
・検出器 :示差屈折計(Ri)
・注入量 :20μL
・保持時間 :DCP 15.7min
:CHBN 7.2min。
分析方法(ii)
・分析対象化合物
4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリル(以下「CHBN」と略す)
4−クロロ−3−ヒドロキシブタンアミド(以下「CHBA」と略す)
・試料調製方法 : 反応液を移動相に溶解
・カラム :inertsil ODS-3V,
4.6mm i.D.×250mm、 粒径5μm(GLサイエンス製)
・カラムオーブン温度:40℃
・移動相 :0.05% トリフルオロ酢酸水溶液、1mL/min
・検出器 :示差屈折計(日本分光製Ri-2031)
・注入量 :20μL
・保持時間 :CHBN 11.0min
:CHBA 6.7min。
分析方法(iii)
・分析対象化合物
カルニチンアミドクロライド(以下「Car−アミド」と略す)
カルニチン(以下「Car」と略す)
ナトリウムイオン
・試料調製方法 :反応液を移動相に溶解
・カラム :Shodex iC YK−421,
4.6mm i.D.×125mm(GLサイエンス製)
・カラムオーブン温度:40℃
・移動相 :3mM HNO3aq/ATN=4/6(容積比)、1mL/min
・検出器 :電気伝導度検出器(CD−5) Shodex製
・注入量 :20μL
・保持時間 :Car−アミド 10.2min
:Car 7.9min
:ナトリウムイオン 7.0min。
分析方法(iv)
・分析対象化合物
硫酸イオン
・カラム :i−524 shodex社製 4.6×250mm
・カラムオーブン温度 :40℃
・移動相 :2.5mM フタル酸+2.3mM トリス 1.0mL:min
・検出 :電気伝導度
・注入量 :20μL
・保持時間 :硫酸イオン 8.0 min。
分析方法(v)
・分析対象化合物
カルニチン(以下「Car」と略す)
クロトノベタイン(以下「CB」と略す)
・試料調製方法 :反応液を移動相に溶解
・カラム :Nucleosil 100−5N(CH3)2,
4.6mm i.D.×250mm(GLサイエンス製)
・カラムオーブン温度:40℃
・移動相 :50mM KH2PO4(pH=4.7)aq/ATN=35/65
(容積比)、1mL/min
・検出器 :UV検出器(205nm) 日本分光製UV−930
・注入量 :5μL
・保持時間 :Car 10.8min
:CB 13.0min。
分析方法(vi)
・水分含量
L−カルニチンのアルコール溶液中の水分量は三菱化成(株)製水分計(カールフィッシャー法)を用いて測定を行った
分析機器 :カールフィッシャー水分量計
電極液 :陽極液 アクアミクロンAX
陰極液 アクアミクロンCXU。
分析方法(vii):(R)−CHBN光学純度測定法
(R)−CHBNの光学純度は、以下のようにして測定した。
(R)−CHBN1μLにジクロロメタン20μL、ピリジン20μLを加えた後、(R)−α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニルアセチルクロライド(MTPA)2μLを添加し、そのまま室温で5時間撹拌を行った。反応終了液にジイソプロピルエーテル300μLを添加し、続いて1N HCl水溶液350μLを用いて洗浄、有機層を回収した。さらに有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液350μLで洗浄し、有機層を減圧乾燥、残渣をイソプロパノールに溶解させ、これをHPLCで分析を行った。
本分析に用いたHPLCシステムは以下の通りである。
・分析対象化合物
(R)−CHBN MTPAエステル
(S)−CHBN MTPAエステル
・カラム :Partisil−5(GL Science)
:4.6mm×250mm
・カラムオーブン温度 :40℃
・移動相 :ヘキサン:イソプロパノール=99:1(容積比)、1mL/min
・検出器 :UV 254nm
・保持時間 :(R)−CHBN MTPAエステル:11.9min
:(S)−CHBN MTPAエステル:13.0min。
分析方法(Viii):L−カルニチンのD−カルニチンに対する過剰率(L体光学純度)(%ee)
L−カルニチンのD−カルニチンに対する過剰率(%ee)は、文献(J.Pharm. Bio.Anal.,14(1996)1579−1584)記載の方法を用いることで、高速液体クロマトグラフィ−による分析結果から算出することができる。
詳細には、下記式により求めることができる。
L−体過剰率(%ee)=(L−カルニチン誘導体面積−D−カルニチン誘導体面積)÷(L−カルニチン誘導体面積+D−カルニチン誘導体面積)×100
・分析対象物質
D−カルニチン誘導体
L−カルニチン誘導体
・カラム :Ultron ES−OVM, 信和化工社製、2×150 mm,
・移動相 :アセトニトリル:20mMリン酸カリウム(pH4.5)=17:83(容積比)、 0.2 mL:min
・検出 :UV 254nm
・保持時間 :D−カルニチン誘導体 6−6.5 min
L−カルニチン誘導体 7.5−8.5 min。
ここで、上記分析条件から測定された溶液中又は結晶中の濃度は、いずれも質量%で記載する。
<参考例1:4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリル(R−CHBN)の合成>
i)ハロヒドリンエポキシダーゼ発現形質転換微生物の培養
ハロヒドリンエポキシダーゼ活性を持つ大腸菌(Escherichia coli)JM109/pST111(FERM P-12065、特開平5−317066号参照)を、LB培地(1質量質量%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、0.5質量%NaCl、1mM iPTG、50μg/mLアンピシリン)が 100mLずつ入れた500mL容三角フラスコ、20本それぞれに植菌し、37℃で20時間振盪培養した。20本分の培養菌体を遠心分離により集菌し、集菌した菌体を50mM トリス−硫酸緩衝液(pH 8.0)で洗浄し、50mM トリス−硫酸緩衝液(pH 8.0)を20gになるように加え、懸濁した。
この菌体懸濁液0.25gを50mM トリス−硫酸緩衝液(pH 8.0)100mLに加え、さらに50mMとなるように1,3-ジクロロ-2-プロパノールを加え、20℃で10分間反応した。HPLCにより反応液中のエピクロロヒドリンの量を測定したところ、11mMであった。
なお、pST111は、コリネバクテリウム(Corynebacterium) sp.N-1074のハロヒドリンエポキシダーゼ遺伝子(hheB)を含むBamHi-Psti1.1Kb 断片をpUC118 に結合させたプラスミドである。また、pST111は、特開平5−317066公報に記載されており、JM109/pST111は、FERM P-12065として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に平成3年3月1日付け寄託されている。
ii)1,3−ジクロロ−2−プロパノールからの(R)−CHBNの合成
pH電極、ならびにpHコントローラーにより制御されたアルカリ投入配管を装着した2L容フラスコに水693.0g、HCN21.1g、1,3−ジクロロ−2−プロパノール49.7gを入れ均一に溶解するまで攪拌した。その後48%NaOH水溶液1.9gで、pH8.0に調整した。
次いで、i)で調製したハロヒドリンエポキシダーゼ活性を持つ菌体懸濁液100.0g(40.0kU)を加え、20℃、pH7.8〜7.9で反応を開始した。
20℃で48%NaOH水溶液を逐次滴下し系内のpHを7.9〜8.0に維持しながら、反応開始直後より、1,3−ジクロロ−2−プロパノール50.0gとHCN12.4gを5時間かけて均等に滴下した。その後、20℃で系内のpHを7.9〜8.0に維持しながら、1.5時間(反応開始から6時間)反応させた。反応終了時、反応液の全量は901.0gであった。このとき、反応系内の1,3−ジクロロ−2−プロパノールの濃度は0.7%(6.3g)であり、CHBNの濃度は9.0%(81.2g; 収率88mol%)であった。また、このときのCHBNの光学純度は92%eeの(R)−体過剰であった。
この反応液を塩酸でpH=2.0に調節し、60℃、100torrで減圧して11時間HCNの除去を行い、反応系内のHCNを硝酸銀で滴定、1ppm以下であることを確認した。 反応液を濃縮して得られた溶液は475.3gあり、CHBNを80.8g含んでいた。
<参考例2:カルニチンアミドの合成>
得られたCHBN濃縮液475.3gに0.1%塩化コバルト(ii)水溶液21.1gを入れ攪拌したのち、30%NaOHにてpH8.2に調整し、水を80.7g添加して反応液を希釈した後20℃で1時間攪拌した。攪拌中、pHは8.2のままであった。
上記処理液を2℃まで冷却し、ニトリルヒドラターゼ活性を有するロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J−1(FERM BP−1478)の菌体懸濁液(液活性8.6kU/g)を4.0g作用させた。反応中4%NaOH水溶液を随時添加し、pHを7.8〜8.2の間に維持した。反応開始から4時間後、HPLCにてCHBNの消失と、CHBAの生成を確認した。このとき、4-クロロ-3-ヒドロキシブタンアミド(以下CHBAと称す)のCHBNからの収率は99.9%であった。
得られた反応液に、30%トリメチルアミン水溶液159.6gを加え、30℃で攪拌しながら反応を行った。反応開始から5時間後、HPLCにて、CHBAの消失と、カルニチンアミドの生成を確認した。このとき、カルニチンアミドのCHBAからの収率は95%であった。
カルニチンアミド溶液を36%HClで中和しpH7にした後、962.8gの水で希釈した。液中には126.2gのカルニチンアミドクロライドが含まれていた。
得られたCHBN濃縮液475.3gに0.1%塩化コバルト(ii)水溶液21.1gを入れ攪拌したのち、30%NaOHにてpH8.2に調整し、水を80.7g添加して反応液を希釈した後20℃で1時間攪拌した。攪拌中、pHは8.2のままであった。
上記処理液を2℃まで冷却し、ニトリルヒドラターゼ活性を有するロドコッカス ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)J−1(FERM BP−1478)の菌体懸濁液(液活性8.6kU/g)を4.0g作用させた。反応中4%NaOH水溶液を随時添加し、pHを7.8〜8.2の間に維持した。反応開始から4時間後、HPLCにてCHBNの消失と、CHBAの生成を確認した。このとき、4-クロロ-3-ヒドロキシブタンアミド(以下CHBAと称す)のCHBNからの収率は99.9%であった。
得られた反応液に、30%トリメチルアミン水溶液159.6gを加え、30℃で攪拌しながら反応を行った。反応開始から5時間後、HPLCにて、CHBAの消失と、カルニチンアミドの生成を確認した。このとき、カルニチンアミドのCHBAからの収率は95%であった。
カルニチンアミド溶液を36%HClで中和しpH7にした後、962.8gの水で希釈した。液中には126.2gのカルニチンアミドクロライドが含まれていた。
<参考例3:カルニチンの合成>
本実施例に用いた電気透析装置は、次の通りの仕様とした。
(1)電気透析装置:マイクロアシライザーS3型(株式会社アストム製)
(2)イオン交換膜:膜カートリッジ;AC−110(分画分子量100、株式会社アストム製)
脱塩水側にiiiで得られたカルニチンアミド水溶液を500.0g入れ、濃縮液側に純水を335.0g入れて電圧をかけた。
3時間後に濃縮液を取得したところ、501.0gの濃縮液中にカルニチンアミドクロライドが36.7g含まれていた。同様に2回操作を繰り返し、合わせて1501.2gの濃縮液を取得し、カルニチンアミドクロライドは110.0g得られた。
得られたカルニチンアミドクロライド溶液に99.3gの48%NaOH水溶液を添加し、30℃で反応を開始した。8時間後、カルニチンアミドクロライドの転化率が80%に達した後40℃に昇温して、さらに6時間反応をさせたところ、カルニチンアミドクロライドの転化率が100%に達し、反応を終了した。反応後の溶液の重量は1280.4gであった。系内を25%HClで中和後、反応液中のカルニチンを定量すると、カルニチンが89.2g生成していることがわかった。
次に、得られたカルニチン水溶液全量を電気透析に処した。仕様は以下の通りとした。
(1)電気透析装置:マイクロアシライザーS3型(株式会社アストム製)
(2)イオン交換膜:膜カートリッジ;AC−220(分画分子量300、株式会社アストム製)
脱塩水側にカルニチン水溶液を500.0g入れ、濃縮液側に純水を250.0g入れて電圧をかけた。
3時間後に濃縮液を取得したところ、345.1gの脱塩液中にカルニチンが30.3g含まれていた。同様に2回操作を繰り返し、合わせて1003.4gの濃縮液を取得し、カルニチンは88.3g得られた。この水溶液の一部を採取してCarの光学純度を測定したところ、92.2%e.e.であった。
カルニチン水溶液中の不純物をHPLCで分析したところ、L−カルニチンに対してD−カルニチン3.9%、クロトノベタイン0.37%、硫酸ナトリウム0.02%を含んでいた。当該水溶液を以下の実施例及び比較例に使用した。
<実施例1>
カルニチンを88.0g含む水溶液1000.0gを、70℃で加熱し、約3kPaの減圧下でカルニチンが77質量%となるまで濃縮した。
該濃縮液に1−ブタノールを378.4g添加し、ジャケットを60〜70℃として内温が50℃を下回らないように調製しながら7kPaの減圧下で水を留去させて溶媒置換したところ、水分が3%を下回った時点で結晶が発生した。減圧度を徐々に4kPaまで下げながら濃縮を続け、L−カルニチンのスラリー溶液の重量が228.8gとなったところで濃縮を終了した。この時の水分量は0.10%であった。
ジャケットの温度を調製しながら液温が30℃となるまで0.5℃/minの速度で冷却した。冷却後30℃を1時間維持した。
L−カルニチンのスラリー溶液は通気量が0.3cc/cm2のポリプロピレン製の濾布を着けた遠心分離機で固液分離を行った。10minかけて含液を充分振り落とした後、遠心機を回しながら17.5gの1−ブタノールをかけ流して結晶をリンスした。リンス後さらに10minかけて含液を振り落とした。
結晶を遠心分離機から取り出し重量を測定したところ、乾燥重量で77.4gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は88%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.75%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%以下(検出下限)であった。晶析条件と結晶収率は表1に示す。
一方、濾液に抜けた微細結晶は0.5gであり、その組成は、L−カルニチンが78%、D−カルニチンが22%、クロトノベタインが0.36%、硫酸ナトリウムは0.23%であった。この結果から、微細結晶中には不純物が多く含まれていたことが分かった(表2)。
<実施例2及び3>
実施例1と同様の方法でL−カルニチンを含む混合物溶液を調製し、カルニチンを88.0g含む水溶液1000.0gを実施例1と同様の方法で濃縮し結晶を析出させた。
溶液を30℃まで冷却後、L−カルニチンのスラリー溶液を目開きが11μm(メッシュクロス;目開き#11)(実施例2)又は54μm(メッシュクロス;目開き#54)のポリエチレンテレフタレート製のメッシュクロス(実施例3)を着けた加圧濾過機に供し、0.2MPaの圧力をかけて固液分離を行った。10minかけて含液を充分落とした後、17.5gの1−ブタノールをかけ流して結晶をリンスした。リンス後さらに10minかけて含液を落とした。
結晶を加圧濾過機から取り出し重量を測定した。また、L−カルニチン結晶中及び濾液に抜けた微細結晶の重量を測定し、そこに含まれる不純物を分析した。
実施例2の結果、乾燥重量で77.5gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は88%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.77%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%以下(検出下限)であった。晶析条件と結晶収率は表1に示す。一方、濾液に抜けた微細結晶は0.4gであり、その組成は、L−カルニチンが76%、D−カルニチンが23%、クロトノベタインが0.37%、硫酸ナトリウムが0.25%であった。この結果から、微細結晶中には不純物が多く含まれていたことが分かった(表2)。
実施例3の結果、乾燥重量で77.4gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は88%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.72%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%以下(検出下限)であった。晶析条件と結晶収率は表1に示す。一方、濾液に抜けた微細結晶は0.6gで、L−カルニチンが78%、D−カルニチンは22%、クロトノベタインが0.36%、硫酸ナトリウムは0.24%であった。この結果から、微細結晶中には不純物が多く含まれていたことが分かった(表2)。
<実施例4>
実施例1と同様の方法でL−カルニチンを含む混合物溶液を調製し、カルニチンを88.0g含む水溶液1000.0gを80℃で加熱し、約0.1kPaの減圧下で乾固した。
乾固物に、メタノール123.2gと1−ブタノール352.0gを予め混合したものを添加し、60℃で加熱しながら溶解させた。ジャケットの温度を60〜70℃として内温が50℃を下回らないように調製しながら、13kPaの減圧下で溶媒を留去させた。減圧度を徐々に7kPaまで下げながら濃縮を続け、L−カルニチンのスラリー溶液の重量が413.6gとなったところで濃縮を終了した。この時のメタノール濃度は3%、水分量は0.02%であった。
ジャケットの温度を調製しながら液温が30℃となるまで0.5℃/minの速度で冷却した。冷却後30℃を1時間維持した。
L−カルニチンのスラリー溶液を目開きが33μmのポリエチレンテレフタレート製のメッシュクロスを着けた加圧濾過機に供し、0.2Mpaの圧力をかけて固液分離を行った。10minかけて含液を充分落とした後、14.2gの1−ブタノールをかけ流して結晶をリンスした。リンス後さらに10minかけて含液を落とした。
その結果、乾燥重量で71.8gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は88%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.79%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%以下(検出下限)であった。晶析条件と結晶収率は表1に示す。
一方、濾液に抜けた微細結晶は0.3gであり、その組成は、L−カルニチンが76%、D−カルニチンは24%、クロトノベタインが0.36%、硫酸ナトリウムは0.25%であった。この結果から、微細結晶中には不純物が多く含まれていたことが分かった(表2)。
<比較例1>
実施例1と同様の方法でL−カルニチンを含む混合物溶液を調製し、カルニチンを88.0g含む水溶液1000.0gを実施例1と同様の方法で濃縮し結晶を析出させた。
溶液を30℃まで冷却後、L−カルニチンのスラリー溶液を保留粒子径が1μmの濾紙(アドバンテック No.4A)を着けた加圧濾過機に供し、0.2MPaの圧力をかけて固液分離を行った。10minかけて含液を充分落とした後、17.5gの1−ブタノールをかけ流して結晶をリンスした。リンス後さらに10minかけて含液を落とした。
その結果、乾燥重量で78.6gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は89%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.88%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%であった。濾液中に微細結晶は含まれていなかった。
本実施例に用いた電気透析装置は、次の通りの仕様とした。
(1)電気透析装置:マイクロアシライザーS3型(株式会社アストム製)
(2)イオン交換膜:膜カートリッジ;AC−110(分画分子量100、株式会社アストム製)
脱塩水側にiiiで得られたカルニチンアミド水溶液を500.0g入れ、濃縮液側に純水を335.0g入れて電圧をかけた。
3時間後に濃縮液を取得したところ、501.0gの濃縮液中にカルニチンアミドクロライドが36.7g含まれていた。同様に2回操作を繰り返し、合わせて1501.2gの濃縮液を取得し、カルニチンアミドクロライドは110.0g得られた。
得られたカルニチンアミドクロライド溶液に99.3gの48%NaOH水溶液を添加し、30℃で反応を開始した。8時間後、カルニチンアミドクロライドの転化率が80%に達した後40℃に昇温して、さらに6時間反応をさせたところ、カルニチンアミドクロライドの転化率が100%に達し、反応を終了した。反応後の溶液の重量は1280.4gであった。系内を25%HClで中和後、反応液中のカルニチンを定量すると、カルニチンが89.2g生成していることがわかった。
次に、得られたカルニチン水溶液全量を電気透析に処した。仕様は以下の通りとした。
(1)電気透析装置:マイクロアシライザーS3型(株式会社アストム製)
(2)イオン交換膜:膜カートリッジ;AC−220(分画分子量300、株式会社アストム製)
脱塩水側にカルニチン水溶液を500.0g入れ、濃縮液側に純水を250.0g入れて電圧をかけた。
3時間後に濃縮液を取得したところ、345.1gの脱塩液中にカルニチンが30.3g含まれていた。同様に2回操作を繰り返し、合わせて1003.4gの濃縮液を取得し、カルニチンは88.3g得られた。この水溶液の一部を採取してCarの光学純度を測定したところ、92.2%e.e.であった。
カルニチン水溶液中の不純物をHPLCで分析したところ、L−カルニチンに対してD−カルニチン3.9%、クロトノベタイン0.37%、硫酸ナトリウム0.02%を含んでいた。当該水溶液を以下の実施例及び比較例に使用した。
<実施例1>
カルニチンを88.0g含む水溶液1000.0gを、70℃で加熱し、約3kPaの減圧下でカルニチンが77質量%となるまで濃縮した。
該濃縮液に1−ブタノールを378.4g添加し、ジャケットを60〜70℃として内温が50℃を下回らないように調製しながら7kPaの減圧下で水を留去させて溶媒置換したところ、水分が3%を下回った時点で結晶が発生した。減圧度を徐々に4kPaまで下げながら濃縮を続け、L−カルニチンのスラリー溶液の重量が228.8gとなったところで濃縮を終了した。この時の水分量は0.10%であった。
ジャケットの温度を調製しながら液温が30℃となるまで0.5℃/minの速度で冷却した。冷却後30℃を1時間維持した。
L−カルニチンのスラリー溶液は通気量が0.3cc/cm2のポリプロピレン製の濾布を着けた遠心分離機で固液分離を行った。10minかけて含液を充分振り落とした後、遠心機を回しながら17.5gの1−ブタノールをかけ流して結晶をリンスした。リンス後さらに10minかけて含液を振り落とした。
結晶を遠心分離機から取り出し重量を測定したところ、乾燥重量で77.4gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は88%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.75%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%以下(検出下限)であった。晶析条件と結晶収率は表1に示す。
一方、濾液に抜けた微細結晶は0.5gであり、その組成は、L−カルニチンが78%、D−カルニチンが22%、クロトノベタインが0.36%、硫酸ナトリウムは0.23%であった。この結果から、微細結晶中には不純物が多く含まれていたことが分かった(表2)。
<実施例2及び3>
実施例1と同様の方法でL−カルニチンを含む混合物溶液を調製し、カルニチンを88.0g含む水溶液1000.0gを実施例1と同様の方法で濃縮し結晶を析出させた。
溶液を30℃まで冷却後、L−カルニチンのスラリー溶液を目開きが11μm(メッシュクロス;目開き#11)(実施例2)又は54μm(メッシュクロス;目開き#54)のポリエチレンテレフタレート製のメッシュクロス(実施例3)を着けた加圧濾過機に供し、0.2MPaの圧力をかけて固液分離を行った。10minかけて含液を充分落とした後、17.5gの1−ブタノールをかけ流して結晶をリンスした。リンス後さらに10minかけて含液を落とした。
結晶を加圧濾過機から取り出し重量を測定した。また、L−カルニチン結晶中及び濾液に抜けた微細結晶の重量を測定し、そこに含まれる不純物を分析した。
実施例2の結果、乾燥重量で77.5gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は88%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.77%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%以下(検出下限)であった。晶析条件と結晶収率は表1に示す。一方、濾液に抜けた微細結晶は0.4gであり、その組成は、L−カルニチンが76%、D−カルニチンが23%、クロトノベタインが0.37%、硫酸ナトリウムが0.25%であった。この結果から、微細結晶中には不純物が多く含まれていたことが分かった(表2)。
実施例3の結果、乾燥重量で77.4gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は88%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.72%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%以下(検出下限)であった。晶析条件と結晶収率は表1に示す。一方、濾液に抜けた微細結晶は0.6gで、L−カルニチンが78%、D−カルニチンは22%、クロトノベタインが0.36%、硫酸ナトリウムは0.24%であった。この結果から、微細結晶中には不純物が多く含まれていたことが分かった(表2)。
<実施例4>
実施例1と同様の方法でL−カルニチンを含む混合物溶液を調製し、カルニチンを88.0g含む水溶液1000.0gを80℃で加熱し、約0.1kPaの減圧下で乾固した。
乾固物に、メタノール123.2gと1−ブタノール352.0gを予め混合したものを添加し、60℃で加熱しながら溶解させた。ジャケットの温度を60〜70℃として内温が50℃を下回らないように調製しながら、13kPaの減圧下で溶媒を留去させた。減圧度を徐々に7kPaまで下げながら濃縮を続け、L−カルニチンのスラリー溶液の重量が413.6gとなったところで濃縮を終了した。この時のメタノール濃度は3%、水分量は0.02%であった。
ジャケットの温度を調製しながら液温が30℃となるまで0.5℃/minの速度で冷却した。冷却後30℃を1時間維持した。
L−カルニチンのスラリー溶液を目開きが33μmのポリエチレンテレフタレート製のメッシュクロスを着けた加圧濾過機に供し、0.2Mpaの圧力をかけて固液分離を行った。10minかけて含液を充分落とした後、14.2gの1−ブタノールをかけ流して結晶をリンスした。リンス後さらに10minかけて含液を落とした。
その結果、乾燥重量で71.8gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は88%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.79%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%以下(検出下限)であった。晶析条件と結晶収率は表1に示す。
一方、濾液に抜けた微細結晶は0.3gであり、その組成は、L−カルニチンが76%、D−カルニチンは24%、クロトノベタインが0.36%、硫酸ナトリウムは0.25%であった。この結果から、微細結晶中には不純物が多く含まれていたことが分かった(表2)。
<比較例1>
実施例1と同様の方法でL−カルニチンを含む混合物溶液を調製し、カルニチンを88.0g含む水溶液1000.0gを実施例1と同様の方法で濃縮し結晶を析出させた。
溶液を30℃まで冷却後、L−カルニチンのスラリー溶液を保留粒子径が1μmの濾紙(アドバンテック No.4A)を着けた加圧濾過機に供し、0.2MPaの圧力をかけて固液分離を行った。10minかけて含液を充分落とした後、17.5gの1−ブタノールをかけ流して結晶をリンスした。リンス後さらに10minかけて含液を落とした。
その結果、乾燥重量で78.6gのL−カルニチン結晶を取得した。L−カルニチンの収率は89%であった。結晶中に含まれる不純物は、D−カルニチンは0.88%、クロトノベタインが0.03%、硫酸ナトリウムは0.01%であった。濾液中に微細結晶は含まれていなかった。
Claims (4)
- 以下の工程を含む、L−カルニチンに含まれる不純物を除去する方法。
(1)不純物を有するL−カルニチンのアルコール溶液を調製する工程
(2)工程(1)で得られたL−カルニチンのアルコール溶液からL−カルニチンを晶析してスラリーを得る工程
(3)工程(2)で得られたスラリーから、粒子径が10μm未満の粒子を除去する工程 - 工程(2)における晶析が濃縮晶析である、請求項1記載の方法。
- 工程(3)の前に、工程(2)で得られるスラリー溶液を冷却する工程を更に含む、請求項1又は2記載の方法。
- アルコールが、1−ブタノール、イソブタノール、メタノール/1−ブタノール混合物、エタノール/1−ブタノール混合物、又はメタノール/イソブタノール混合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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CN103910645A (zh) * | 2013-01-07 | 2014-07-09 | 长春海悦药业有限公司 | 一种左卡尼汀化合物及其制备方法 |
CN115141112A (zh) * | 2022-06-25 | 2022-10-04 | 东北制药集团股份有限公司 | 一种乙酰左旋肉碱杂质、其制备及检测方法和用途 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103910645A (zh) * | 2013-01-07 | 2014-07-09 | 长春海悦药业有限公司 | 一种左卡尼汀化合物及其制备方法 |
CN103910645B (zh) * | 2013-01-07 | 2015-07-22 | 长春海悦药业有限公司 | 一种左卡尼汀化合物及其制备方法 |
CN115141112A (zh) * | 2022-06-25 | 2022-10-04 | 东北制药集团股份有限公司 | 一种乙酰左旋肉碱杂质、其制备及检测方法和用途 |
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