JP2011088871A - カルニチンの精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】心臓疾患治療剤、過脂肪質血症治療剤、静脈疾患治療剤等として注目されているL−カルニチンは、ビタミンBTとも言われ、生体内で脂肪酸の代謝に関係している重要な化合物であり、不純物が低減された純度の高いカルニチンを得る方法を提供する。
【解決手段】アルコール溶媒中に存在する、(i)一般式R−CH−CH(OH)−CH−R(式中、R及びRは、同一又は異なって、1〜4級のアミノ基又はカルボキシル基を示す。)で示される化合物と、(ii)一般式(2)
Figure 2011088871

(式中、Rはアミド基又はカルボキシル基を示す。)で示される化合物及び/又はクロトノベタインとを、濾過により除去する工程を含むカルニチンの精製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、カルニチンの精製方法及び当該方法により得られたカルニチンに関する。
心臓疾患治療剤、過脂肪質血症治療剤、静脈疾患治療剤等として注目されているL−カルニチンは、ビタミンBTとも言われ、生体内で脂肪酸の代謝に関係している重要な化合物である。
従来のL−カルニチン製造法としては、D−マンニトールを原料として製造する方法(特許文献1)、γ−ハロアセト酢酸エステルを原料として酵素により不斉還元することを特徴とする方法(特許文献2)、リパーゼを用いて光学選択的に(R)−4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを合成することを特徴とする方法(特許文献3)、γ−ブチロベタイン又はクロトノベタインから微生物によってL−カルニチンを製造する方法(特許文献4)、カルニチンアミドハライドをd−樟脳酸により光学分割してL−カルニチンに導く方法(特許文献5)等が知られている。
本発明者は、従来の方法よりも副反応を抑制できる製造方法として、1,3−ジクロロ−2−プロパノールを原料として、シアノ化反応、水和反応、4級アミノ化反応を経るカルニチンの製造方法を提供している(特許文献6)。この方法では、特に4級アミノ化反応時の副反応を大幅に抑制できる点で、他の製造方法よりも純度の高いカルニチンを得ることができる。
しかしながら、カルニチンは医薬品、食品等に利用されるため、副反応により生成した不純物の製品中への残留は極力抑えなければならない。すなわち、さらなる不純物の抑制が望まれる。
特開昭57−165352号公報 特開昭59−118093号公報 特開平02−27995号公報 特開昭61−199793号公報 特公昭45−9172号公報 国際公開2008/056827号パンフレット
そこで、本発明の主な目的は、不純物が低減された純度の高いカルニチンを得る方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、アルコール溶媒中に存在する特定の化合物(不純物)を濾過して除去することにより、カルニチンを簡便に精製することが出来ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、アルコール溶媒中に存在する、
(i)一般式(1)
Figure 2011088871
(式中、R及びRは、同一又は異なって、1〜4級のアミノ基又はカルボキシル基を示す。)
で示される化合物と、
(ii)一般式(2)
Figure 2011088871
(式中、Rはアミド基又はカルボキシル基を示す。)
で示される化合物及び/又はクロトノベタイン
とを、濾過により除去する工程を含むカルニチンの精製方法に関する。
本発明によれば、不純物が低減されたカルニチンを簡便に得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)カルニチン
本発明において、精製の対象となるカルニチンとしては、その光学活性の種類は限定されない。例えば、光学的に純粋なカルニチン、ラセミ体のカルニチン、光学活性に偏りがあるカルニチンを使用することができる。好ましくは、L−カルニチンである。
上記カルニチンとしては、市販のものを使用することもできるし、公知又は新規な方法で製造したカルニチンを使用することもできる。例えば、以下の製造方法で調製されたカルニチンを使用することができる。
(イ)ジクロロプロパノールを酵素反応によりシアノ化及びアミド化した後、4級化し、加水分解等を行うことにより得られるL−カルニチン(WO2008/056827号パンフレット);
(ロ)エピクロロヒドリンを順次、4級化、シアノ化、アミド化、光学分割等に供して得られるL−カルニチン;
(ハ)ブチロラクトンを開環、4級化、微生物による反応等に供して得られるL−カルニチン;
(ニ)クロロアセト酢酸エチルを不斉還元、4級化、加水分解等に供して得られるL−カルニチン。
これらのなかでも、(イ)で得られるカルニチンを好適に使用することができる。不純物が低減されたカルニチンを効率よく得ることができるからである。
使用するカルニチンの状態も限定されるものではなく、結晶状のものも使用できるし、溶液に溶解しているカルニチンも使用することができる。カルニチン溶液としては、合成直後のカルニチン水溶液だけでなく、当該溶液をイオン交換カラム、電気透析等の精製工程を経たものも使用することができる。また、カルニチン水溶液から溶媒置換を行って得られたカルニチン溶液も使用可能である。
当該溶液中には、カルニチンの他に以下に記載する不純物が含まれており、本発明ではこれらの不純物を効率良く除去することができる。
(2)不純物
(I)不純物1:一般式(1)で示される化合物
Figure 2011088871
式中、R及びRは、同一又は異なって、1〜4級のアミノ基又はカルボキシル基を示す。
一般式(1)で示される具体的な化合物としては、2−ヒドロキシ−N,N,N,N,N,N−ヘキサメチル−1,3−プロパンジアミニウム、3−ヒドロキシグルタル酸、3−ヒドロキシペンタジアミン、3−ヒドロキシ−4−アミノブタン酸等が挙げられる。これらの化合物は、1種が含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
これらの化合物は、例えば、上記(イ)の方法(WO2008/056827号公報記載の方法)によりカルニチンを製造した場合、不純物として混入する可能性のある化合物である。特に、2−ヒドロキシ−N,N,N,N,N,N−ヘキサメチル−1,3−プロパンジアミニウム及び/又は3−ヒドロキシグルタル酸は、不純物として混入する可能性が高く、除去の対象として好ましい。
また、上記の化合物は、塩を形成していてもよい。塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩素、硫酸、硝酸又は燐酸等の無機イオンとの塩が挙げられる。
(II)不純物2:一般式(2)で示される化合物及びクロトノベタイン
Figure 2011088871

式中、Rはアミド基又はカルボキシル基を示す。
一般式(2)で示される具体的な化合物としては、4−ヒドロキシ−2−ブテン酸、4−ヒドロキシ−2−ブテンアミドが挙げられる。
不純物2としては、これらの一般式(2)で示される化合物及びクロトノベタインからなる群から選ばれる少なくとも一種である。すなわち、一般式(2)で示される化合物又はクロトノベタインが一種のみ溶媒中に含まれていてもよいし、二種以上が含まれていてもよい。
これらの化合物も、例えば、上記(イ)の方法(WO2008/056827号公報記載の方法)によりカルニチンを製造した場合、不純物として混入する可能性のある化合物である。特に、4−ヒドロキシ−2−ブテン酸及び/又は4−ヒドロキシ−2−ブテンアミドは、不純物として混入する可能性が高く、除去の対象として好ましい。
また、上記の化合物は、塩を形成していてもよい。塩として、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム及、マグネシウム等の無機イオンとの塩が挙げられる。
不純物の含有量(不純物1及び2の合計)は特に限定されないが、例えば、カルニチンに対して0.001〜5質量%程度である。0.001〜1質量質量%程度であれば、効果的にカルニチン混合物から取り除くことができるので好ましい。
(3)カルニチンの精製
(3−1)溶媒
本発明では、上記不純物を含むカルニチン溶液から当該不純物を除去するために、溶媒としてアルコール溶媒を使用する。
ここで、アルコール溶媒とは、(i)少なくとも一種のアルコール、又は(ii)少なくとも一種のアルコールとアルコール以外の有機溶媒とを含む混合溶媒をいう。
アルコールの種類としては限定されないが、カルニチンが経口摂取される場合もあることから、無毒または低毒性であることが好ましい。しかし、多少毒性を有する溶媒を用いても、溶媒置換等の操作で最終的に除去されれば特に問題はない。
このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール及び2−ヘキサノールからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
当該アルコールは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合には、不純物を効率良く除去することができれば、混合するアルコールの種類及び混合比は限定されない。
例えば、1−ブタノールとメタノール、1−ブタノールとエタノール、イソブタノールとメタノール、イソブタノールとエタノール等の組み合わせが好ましい。このような溶媒を用いることにより、不純物の除去効率が上昇し、後でカルニチンの晶析を行った場合にカルニチンの純度が高くなるからである。
混合溶媒の比率は、例えば、1−ブタノールとメタノール又はエタノールとの混合溶媒を用いる場合、メタノール又はエタノールは、1−ブタノール中0.1〜50質量%程度の範囲で含むことが好ましい。より好ましくは15〜40質量%程度である。この範囲で使用すれば、ろ過によってより効果的に不純物を取り除くことができる。
イソブタノールとメタノール又はエタノールとの混合溶媒を用いる場合、メタノール又はエタノールは、イソブタノール中0.1〜50質量%程度の範囲で含むことが好ましい。より好ましくは15〜40質量%程度である。この範囲で使用すれば、ろ過によってより効果的に不純物を取り除くことができる。
また、本発明では、当該アルコールとアルコール以外の有機溶媒とを組み合わせて用いることも可能である(以下、「混合溶媒」と称す。)。このような有機溶媒としては、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
アルコールと有機溶媒との組み合わせは、不純物が効率良く除去できれば限定されない。例えば、アルコールとして、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール等を使用する場合、有機溶媒はアセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、ペンタン、ヘキサン等を使用するのが好ましい。この組み合わせは、カルニチンが効率よく精製できるので好ましい。
アルコールと有機溶媒とを混合する割合については、不純物が効率良く除去できれば限定されず、当業者が適宜選択することができる。また、アルコール溶媒は、効率良くカルニチンを精製することができれば、水を含んでいても良い。
カルニチン混合物の量に対するアルコール溶媒の量は特に限定されない。カルニチン(質量)に対する溶液の量(質量)が約2〜20倍量であることが好ましく、約4〜10倍量がより好ましい。前記の溶液の使用量であれば、効率的に不純物を除去することができるからである。
(3−2)カルニチンの精製
本発明において、上記アルコール溶媒を使用することにより、カルニチンは溶解するが、上記特定の不純物は溶解しない。従って、溶解しなかった不純物を除去することにより、純度の高いカルニチンを得ることができる。
アルコール溶媒を使用する方法は限定されず、公知の方法を使用することができる。例えば、カルニチン及び不純物を含む水溶液を溶媒置換によりアルコール溶媒にしたもの、カルニチン及び不純物を含む水溶液を乾固してからアルコール溶媒を添加したもの、晶析等の操作によって得られた不純物を含んだカルニチンの結晶にアルコール溶媒を添加したもの等を用いることができる。
カルニチン混合物をアルコール溶媒に添加する時の溶媒の温度は、カルニチンが安定に存在する範囲であれば特に限定されない。例えば、10〜80℃程度で行えば、不純物の生成を防ぐことができるので好ましい。また、20〜60℃程度であれば、不純物の生成を抑えながら少量の溶媒でカルニチンを十分に溶解させることができるので、より好ましい。その後、当該温度を維持したまま濾過に供すればよい。
また、カルニチン混合物又はカルニチン混合物を含むアルコール溶媒のpHは、5〜9程度に調整すればよい。好ましくは5.5〜8.5である。この範囲内であると不純物の生成を防ぐことができ、効率良くカルニチンを精製することができるからである。
本発明では、上記のように調製した不純物含有カルニチンを含むアルコール溶液を、濾過に供する。濾過は、公知方法が使用でき、例えば、普通濾過、減圧濾過(吸引濾過)、加圧濾過、遠心濾過等が挙げられる。本発明においては、作業効率の面から加圧濾過又は遠心濾過が好ましい。当該操作により、アルコール溶液に溶解しなかった不純物(上記不純物1及び2等の不純物)を除去することができる。
特に、2−ヒドロキシ−N,N,N,N,N,N−ヘキサメチル−1,3−プロパンジアミニウム、3−ヒドロキシグルタル酸、4−ヒドロキシ−2−ブテン酸、4−ヒドロキシ−2−ブテンアミド、クロトノベタイン等は、濾残中に過剰に含まれることにより濾過等の方法で容易にカルニチンから取り除くことができる。よって、不純物の高度に低減されたカルニチン溶液を取得することができる。
濾過を行う場合、分離に用いる濾紙、濾布又はカートリッジフィルターの種類は特に限定されない。アルコール溶液は、セルロースアセテート、セルロース混合エステル、親水化PTFE等の素材を溶解させることがある。従って、濾過に使用される濾紙、濾布又はカートリッジフィルターの素材は、コットン、セルロース繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン、ステンレス、硼珪酸塩ガラス繊維等を使用するのが好ましい。
また、捕集される粒子の最小径が約0.1μm〜100μmとなるものが好ましく用いられる。捕集される粒子の最小径が約0.2μm〜50μmとなるものを用いれば、目抜けを抑えながら効率的に濾過を行うことができるので、より好ましい。
本発明では、必要に応じて、濾過によって得られたカルニチンを含むアルコール溶媒から、カルニチンを採取してもよい。カルニチンを分離する方法は特に限定されないが、結晶を液体から分離するために用いる通常の方法、例えば、乾固や晶析などの方法を用いることができる。
このようにして得られたカルニチンは、一般式(1)で示される化合物(不純物1)と、一般式2で示される化合物及びクロトノベタインからなる群から選ばれる少なくとも一種(不純物2)とを含む不純物の含量が高度に低減されたものを得ることができる。カルニチンの確認方法(分析方法)についても特に限定されるものではなく、公知の方法により行うことができる。
以下の実施例において、表1の条件に従い各化合物の分析・定量を行った。
Figure 2011088871
<実施例1>
WO2008/056827号公報記載の方法及び特願2007−275256記載の方法で粗カルニチンを製造した。当該カルニチン混合物20gには、下記表の不純物が含まれていた。
Figure 2011088871
当該不純物を含むカルニチン混合物20.0gに、メタノールと1−ブタノールを1:3で混合したアルコール溶液を113.3g添加し、30℃に加熱しながらカルニチンを完全に溶解させた。
次に、前記カルニチン溶液を温度(30℃)を維持したまま、ろ紙(advantec 4A)を設置した加圧濾過器に供し、0.2MPaの乾燥窒素で加圧濾過を行い濾液を回収した。
濾過後、4.0gのメタノール、1−ブタノールの混合溶液(混合比率1:3)で濾残をリンスし、濾液とリンス液を回収した。得られた濾残は0.014g(乾燥重量)、濾液は134.2gであった。
濾残中に含まれる不純物は表3に示した(ppmは、残渣中の割合を示す。以下同じ。)。表3に示すように、濾残には不純物が高濃度に含有するカルニチンが含まれ、濾過により不純物が効率的に除去されていることを確認した。また、濾過によるカルニチンの回収率は99%であった。
Figure 2011088871
<実施例2>
実施例1と同様のカルニチン混合物20.0gに、1−ブタノールを480.0g添加し、40℃で加熱しながらカルニチンを完全に溶解させた。次に、実施例1と同様に濾過を行い、濾残を4.0gの1−ブタノールでリンスし、濾液を回収した。
得られた濾残は0.003g(乾燥重量)、濾液は480.8gであった。濾残中に含まれる不純物は表4に示した。表4に示すように、濾残には不純物が高濃度に含有するカルニチンが含まれ、濾過により不純物が効率的に除去されていることを確認した。また、濾過によるカルニチンの回収率は99%であった。
Figure 2011088871
<実施例3>
実施例1と同様のカルニチン混合物20.0gに、メタノールを20.0g添加し、30℃で加熱しながらカルニチンを完全に溶解させた。次に、実施例1と同様に濾過を行い、濾残を4.0gのメタノールでリンスし、濾液を回収した。得られた濾残は0.001g(乾燥重量)、濾液は36.4gであった。
濾残中に含まれる不純物は表5に示した。表5に示すように、濾残には不純物が高濃度に含有するカルニチンが含まれ、濾過により不純物が効率的に除去されていることを確認した。また、濾過によるカルニチンの回収率は99%であった。
Figure 2011088871
<実施例4>
実施例1と同様のカルニチン混合物20.0gに、無水エタノールを180.0g添加し、30℃で加熱しながらカルニチンを完全に溶解させた。次に、実施例1と同様に濾過を行い、濾残を4.0gのメタノールでリンスし、濾液を回収した。得られた濾残は0.018g(乾燥重量)、濾液は200.7gであった。
濾残中に含まれる不純物は表6に示した。表6に示すように、濾残には不純物が高濃度に含有するカルニチンが含まれ、濾過により不純物が効率的に除去されていることを確認した。また、濾過によるカルニチンの回収率は99%であった。
Figure 2011088871
<実施例5>
実施例1と同様のカルニチン混合物20.0gに、メタノールと1−ブタノールを1:2で混合したアルコール溶液を53.4g添加し、40℃で加熱しながらカルニチンを完全に溶解させた。次に、実施例1と同様に濾過を行い、濾残を4.0gのメタノールと1−ブタノール混合溶液(混合比率1:2)でリンスし、濾液を回収した。得られた濾残は0.010g(乾燥重量)、濾液は72.2gであった。
濾残中に含まれる不純物は表7に示した。表7に示すように、濾残には不純物が高濃度に含有するカルニチンが含まれ、濾過により不純物が効率的に除去されていることを確認した。また、濾過によるカルニチンの回収率は99%であった。
Figure 2011088871
<実施例6>
実施例1と同様のカルニチン混合物20.0gに、メタノールと1−ブタノールを1:4で混合したアルコール溶液を170.0g添加し、40℃で加熱しながらカルニチンを完全に溶解させた。次に、実施例1と同様に濾過を行い、濾残を4.0gのメタノールと1−ブタノール混合溶液(混合比率1:4)でリンスし、濾液を回収した。得られた濾残は0.019g(乾燥重量)、濾液は171.1gであった。
濾残中に含まれる不純物は表8に示した。表8に示すように、濾残には不純物が高濃度に含有するカルニチンが含まれ、濾過により不純物が効率的に除去されていることを確認した。また、濾過によるカルニチンの回収率は99%であった。
Figure 2011088871
<比較例1>
実施例1と同様のカルニチン混合物20.0gに、メタノールと1−ブタノールを1:3で混合したアルコール溶液を113.3g添加し、100℃で加熱しながらカルニチンを完全に溶解させた。次に、実施例1と同様に濾過を行い、濾残を4.0gのメタノール、1−ブタノールの混合溶液(混合比率1:3)でリンスし、濾液を回収した。
得られた濾残は0.0005g(乾燥重量)、濾液は36.4gであった。
濾残中に含まれる不純物は表9に示した。また、濾過によるカルニチンの回収率は90%であった。
Figure 2011088871

Claims (9)

  1. アルコール溶媒中に存在する、
    (i)一般式(1)
    Figure 2011088871
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、1〜4級のアミノ基又はカルボキシル基を示す。)
    で示される化合物と、
    (ii)一般式(2)
    Figure 2011088871
    (式中、Rはアミド基又はカルボキシル基を示す。)
    で示される化合物及び/又はクロトノベタイン
    とを、濾過により除去する工程を含むカルニチンの精製方法。
  2. 前記一般式(1)で示される化合物が、2−ヒドロキシ−N,N,N,N,N,N−ヘキサメチル−1,3−プロパンジアミニウム及び/又は3−ヒドロキシグルタル酸である、請求項1記載の方法。
  3. 前記一般式(2)で示される化合物が、4−ヒドロキシ−2−ブテン酸及び/又は4−ヒドロキシ−2−ブテンアミドである、請求項1又は2記載の方法。
  4. アルコール溶媒が(i)少なくとも一種のアルコール、又は(ii)少なくとも一種のアルコールと有機溶媒とを含む溶液である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. アルコールが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール及び2−ヘキサノールからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項4記載の方法。
  6. 有機溶媒が、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシドからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項4記載の方法。
  7. アルコール溶媒が、メタノール又はエタノールと、1−ブタノール又はイソブタノールとの混合溶媒である請求項4記載の方法。
  8. アルコール溶媒の温度を10〜80℃に調整して濾過を行う、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法で得られたカルニチン。
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