JP2009280504A - カルニチンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルニチンから不純物を除去する際に、安価に、高収率かつ高純度のカルニチンを得ることができる、カルニチンの製造方法を目的とする。
【解決手段】塩化カルニチンアミドを含む水溶液を中和した後、電気透析によりイオン交換膜を透過させた精製塩化カルニチンアミド水溶液を得る工程と、得られた精製塩化カルニチンアミド水溶液を加水分解と中和とにより、カルニチン水溶液を得る工程と、得られたカルニチン水溶液を電気透析にて精製する工程と、を有することよりなる。
【選択図】なし

Description

本発明はカルニチンの製造方法に関する。
カルニチンはビタミンBとも言われ、生体内で脂肪酸の代謝に関係している重要な化合物である。従来、カルニチンの合成法は、カルニチンニトリルクロライドに塩基性物質と過酸化水素水を作用させてカルニチンを得る方法(例えば、特許文献1)、シュウ酸を用いてカルニチンアミドクロライドをカルニチンクロライドに変換する方法(例えば、特許文献2)などの合成法が知られている。
また生化学的な合成法として、微生物の酵素活性を利用しカルニチンアミドを加水分解して光学活性なL−カルニチンを得る方法(例えば、特許文献3、4)、γ−ブチロベタイン、クロトノベタインを原料として、L−カルニチンを合成する方法(例えば、特許文献5〜7)などがあるが、原料であるカルニチンニトリルクロライド、カルニチンアミドやクロトノベタイン、γ−ブチロベタインの残留、菌体由来成分の糖、蛋白質等の残留、および副反応による不純物の生成があり、カルニチンと分離する必要があった。
これらの原料および不純物の一般的な分離法としては、カルニチンとカルニチンアミドを含有する水溶液を、pH5〜12に平衡化した陽イオン交換樹脂に通し、カルニチンアミドを特異的に吸着させて、カルニチンを回収する方法(例えば、特許文献8)、カルニチンニトリルを含有するカルニチン水溶液を陽イオン交換樹脂に接触させ、カルニチンとカルニチンニトリルを分離する方法(例えば、特許文献9)、カチオン交換クロマトグラフィーを用いてL−カルニチンと、L−クロトノベタインを分離する方法(例えば、非特許文献1)などのイオン交換樹脂を用いる方法が挙げられるが、いずれの方法も工程が煩雑であり、精製コストが高くなる。
また、無機化合物および副生物を含有するカルニチン、またはカルニチンアミドの水溶液を−20〜+80℃で電気透析することにより、塩、アミン等を除去する方法、(例えば、特許文献10)、カルニチンアミドクロライドを電気透析し、カルニチンアミド4級アンモニウムイオンをカチオン交換膜を透過させて、樟脳酸塩として回収し、濃塩酸で加水分解することによりカルニチンクロライドを合成し、再度電気透析によりカルニチンの分子内塩を回収する方法(例えば、特許文献11)などの、電気透析を用いる方法がある。上述のように、カルニチンの製造過程における、不純物除去には、高収率、高不純物除去率、かつ安価な精製方法が望まれていた。
特開平1−287065号公報 特開昭55−13299号公報 特開昭63−56294号公報 特公平6−30622号公報 特開昭60−224488号公報 特開昭61−199793号公報 特開平3−76591号公報 特開平1−213259号公報 特開平2−67256号公報 特開昭60−258487号公報 特開昭59−107087号公報 J.P.ヴァンデカスティーレ,Aplle.Environ.Microbiol.39.327(1980),p.327−334
しかしながら、上述の方法によっても、回収率および不純物除去率は未だ不充分なものであった。
本発明は、カルニチンから不純物を除去する際に、安価に、高収率かつ高純度のカルニチンを得ることができる、カルニチンの製造方法を目的とする。
本発明のカルニチンの製造方法は、塩化カルニチンアミドを含む水溶液を中和した後、電気透析により、イオン交換膜を透過させて精製塩化カルニチンアミド水溶液を得る工程と、得られた精製塩化カルニチンアミド水溶液を加水分解と中和とにより、カルニチン水溶液を得る工程と、得られたカルニチン水溶液を電気透析にて精製する工程と、を有することを特徴とする。前記塩化カルニチンアミドを含む水溶液は、塩化カルニチンアミド濃度を5〜13質量%とすることが好ましく、前記イオン交換膜には、一価イオン選択透過性の、分画分子量が100以下のイオン交換膜を用いることが好ましい。
本発明のカルニチンの製造方法によれば、安価に、高収率かつ高純度のカルニチンを得ることができる。
(製造方法)
本発明の実施形態の一例について、以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明のカルニチンの製造方法は、塩化カルニチンアミドを含む水溶液(以下、粗塩化カルニチンアミド水溶液という)を中和した後、電気透析により精製し、次いで、加水分解と中和とによりカルニチン水溶液とし、さらにカルニチン水溶液を電気透析にて精製する工程を有する製造方法である。以下、詳細に説明する。
まず、粗塩化カルニチンアミド水溶液にろ過助剤を添加し、遠心分離、加圧ろ過等によって菌体等の固形分を除去したろ液を得る。得られたろ液を中和した後、電気透析装置の脱塩室に入れ、電気透析装置の濃縮室に純水を入れる。次いで、電気透析装置に所定時間、電圧を印加して、精製を行う(電気透析1)。この間、電解質である塩化カルニチンアミドは、水溶液中ではカチオンの形態となっているため、電気透析装置に電圧を印加すると、陰極側に引き寄せられ、カチオン膜を透過して濃縮室に移動する。一方、ろ液中に不純物として含まれている、非電解質の糖類・蛋白質、その他非電解質の物質等はイオン交換膜を透過できず、脱塩室内に残留する。こうして、主に塩化カルニチンアミドが移動してきた濃縮水、すなわち、非電解質の糖、蛋白質、その他非電荷有機物が除去された、精製塩化カルニチンアミド水溶液を得ることができる。
続いて、得られた精製塩化カルニチンアミド水溶液に対し、塩化カルニチンアミドの加水分解と中和を行い、副生物を含むカルニチン水溶液(以下、粗カルニチン水溶液ということもある)を得る。得られた粗カルニチン水溶液を電気透析装置の脱塩室内に入れ、電気透析装置の濃縮室に純水を入れる。次いで、電気透析装置に所定時間、電圧を印加して、精製を行う(電気透析2)。ここで、カルニチンは両性化合物であるため、中性域のpHでは、陰極・陽極のいずれにも引き寄せられない。従って、粗カルニチン水溶液に含まれる無機塩、その他の電解質の不純物は、陰極あるいは陽極側に引き寄せられ、イオン交換膜を透過して濃縮室へ移動する。一方、カルニチンは脱塩室に残存する。こうして、不純物が除去されたカルニチン水溶液(以下、精製カルニチン水溶液ということもある)を得ることができる。
そして、得られた精製カルニチン水溶液を乾固して溶媒を取り除き、カルニチン粉末を製造することができる。
<粗塩化カルニチンアミド水溶液>
本発明において使用する粗塩化カルニチンアミド水溶液は、特に限定されず、公知の方法で得られたものを用いることができる。中でも、4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルから微生物の作用により製造された、4−ハロ−3−ヒドロキシブチルアミドをトリメチルアミン等を用いて4級アミノ化したものが好ましい。
また、粗塩化カルニチンアミド水溶液の濃度は特に限定されないが、3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましく、5〜8質量%がさらに好ましい。濃度差に起因して、不純物がイオン交換膜を透過することを抑制するためである。
<粗カルニチン水溶液>
本発明における粗カルニチン水溶液のpHは特に限定されることはないが、中性域であることが好ましい。具体的にはpH5.5〜8.5であることが好ましく、pH6〜8がより好ましい。上記pHの範囲外であると、回収率が低下するためである。
また、粗カルニチン水溶液におけるカルニチンの濃度は特に限定されることはないが、5〜20質量%であることが好ましい。5質量%未満であると生産性が悪化し、20質量%を超えると拡散による損失が増大するためである。
<ろ過助剤>
使用するろ過助剤としては活性炭、珪藻土等が使用されるが、脱色性の観点から活性炭の使用が好ましい。また、使用量は粗塩化カルニチンアミド水溶液の液質量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましい。
<粗塩化カルニチンアミド水溶液の中和>
粗塩化カルニチンアミド水溶液の中和の方法は特に限定されず、既知の手法を用いることができる。例えば、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性水溶液や、塩酸水溶液等の酸性水溶液を添加して中和する方法を挙げることができる。中和により、蛋白質、着色成分の除去率を向上させることができるためである。
<電気透析装置>
本発明に使用する電気透析装置は特に限定されず、既存の装置を使用することができる。一般的な形態としては、例えば、陰極と陽極との間に、陽極側にアニオン交換膜を配置し、陰極側にカチオン交換膜を配置して、脱塩室と濃縮室を形成させたものが挙げられる。
電気透析装置に使用するイオン交換膜は特に限定はされないが、不純物の拡散による浸透をより抑制するために、一価イオン選択透過処理が施されたイオン交換膜であって、分画分子量が100以下のものを使用することが好ましい。このようなイオン交換膜として、ネオセプタCIMS(カチオン交換膜、分画分子量100、株式会社アストム製や、ネオセプタACS(アニオン交換膜、分画分子量100、株式会社アストム製)を例示することができる。
電気透析における印加電圧は、イオン交換膜1対に対して0.1〜1.0Vの範囲で決定することが好ましく、0.3〜0.7Vの範囲で決定することがさらに好ましい。電流密度は限界電流密度以下であることが好ましい。
<塩化カルニチンアミドの加水分解・中和>
本発明における加水分解の方法は特に限定されず、既知の手法を用いることができる。例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ、または塩酸や硫酸等の酸の存在下で、加熱することにより加水分解を行う方法を挙げることができる。これら、加水分解に使用する物質の添加量は、塩化カルニチンアミドをカルニチンに完全に転化することができる添加量であれば特に限定されることはない。例えば、塩化カルニチンアミドに対して、等モル以上となるように添加すれば良く、1.1〜2.0等量がより好ましい。加水分解を行う際の、反応温度としては特に限定されないが、5〜100℃が好ましく、反応時間と不純物の副生を抑制する観点から、10〜70℃がより好ましい。
また、加水分解を行う時間は、塩化カルニチンアミドを充分に転化できれば特に限定されず、加水分解の温度、および添加物質の量によって適宜決定されることが好ましい。
また、加水分解後の中和の方法については、加水分解に要したアルカリ、酸の中和をすることができれば特に限定されることはないが、中和後の粗カルニチン水溶液がpH6〜8となるように、添加物質の選定と、その添加量を決定することが好ましい。
<乾固>
精製カルニチン水溶液を乾固する方法は特に限定されることはなく、既知の手法を用いることができる。例えば、加熱蒸発乾固、減圧乾固、あるいはこれらを組み合わせた方法等を挙げることができる。また、乾固する条件は特に限定されないが、カルニチンが変性しない温度条件で行うことが好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。なお、特段の断りがない限り、「%」は、「質量%」を表すものとする。
(不純物量の分析方法)
粗塩化カルニチンアミド水溶液、精製塩化カルニチンアミド水溶液、粗カルニチン水溶液、精製カルニチン水溶液中の不純物量は、以下に示す高速液体クロマトグラフィー条件により容易に測定することができる。詳細を以下に示す。
<条件1>
カラム:Nucleosil 100−N(CH、4.6×250mm(GL science社製)
移動相:50mMリン酸カリウム(pH4.7):アセトニトリル(ATN)=35:65
流速:1.0ml/min
検出:UV
リテンションタイム:
塩化カルニチンアミド 7−8 min
クロトノベタイン 12−13 min
4−ヒドロキシクロトン酸 5.0−5.2 min
3−ヒドロキシグルタル酸 14−16 min
カルニチン 10−11min
<条件2>
カラム:ODS−3V、4.6×250mm(GL science社製)
移動相:0.05%CFCOOH
流速:1.0ml/min
検出:UV、RI
リテンションタイム:
4−ヒドロキシクロトンアミド (HCAm)4.7min(UV)
3−ヒドロキシグルタロニトリル(DI−CN) 5.7min(RI)
(塩化ナトリウム濃度の測定)
塩化ナトリウム濃度の測定は、JIS−K0400−35−10に準じ、硝酸銀滴定法(モール法)により行った。
(カルニチンの純度測定)
カルニチンの純度測定は、酸−無水滴定により、L−カルニチンとして測定した。
100mgのカルニチンを250mlのフラスコにとり、3mlの蟻酸及び50mlの氷酢酸で溶解する。Crystal Vioret TS(Crystal Vioret:酢酸=99:1)を2滴加え、0.1N過塩素酸−酢酸溶液を滴下して滴定し、エメラルドグリーンになったところで滴定終了とする。0.1N過塩素酸1mlに対してL−カルニチンは16.12mgとなる。
(蛋白質含有量の測定)
蛋白質含有量の測定は、タンパク質定量用ビシンコニン酸(BCA)キット(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を用い、ビシンコニン酸(BCA)法により行った。
(糖類含有量の測定)
糖類含有量は、Hodge,J.E.and Hofreiter,B.T.,Method in Carbohydrate Chemistry,1,338(1962)に記載のフェノール−硫酸法に準じて測定した。
(電気透析)
本実施例に用いた電気透析装置は、特段の記載がない限り、次の通りの仕様とした。
(1)電気透析装置:マイクロアシライザーS−3(株式会社アストム製)
(2)カチオン交換膜:一価イオン選択透過性;ネオセプタCIMS(分画分子量100、株式会社アストム製)
(3)アニオン交換膜:一価イオン選択透過性;ネオセプタACS(分画分子量100、株式会社アストム製)
(4)有効膜面積:550cm(脱塩室10対)
(実施例1)
使用した電気透析装置には、塩化カルニチンアミド濃度9.6%の粗塩化カルニチンアミド水溶液A300gを電気透析装置の脱塩室に入れた。次いで、濃縮水として純水200gを濃縮室に入れて、電圧10Vで電気透析を130分間行い(電気透析1)、濃縮室の精製塩化カルニチンアミド水溶液A323gを回収した。前述の「(不純物量の測定方法)」の「<条件1>」および「<条件2>」により、粗塩化カルニチンアミド水溶液Aと、精製塩化カルニチンアミド水溶液A中に含まれる成分の分析を行い、その結果を表1に示す。
得られた精製塩化カルニチンアミド水溶液A323gに48%水酸化ナトリウム水溶液36gを添加し、30℃で10時間加水分解反応を行った。そして、前述の「<条件1>」により、塩化カルニチンアミドのピークの消失が確認できた時点を転化率が100%に達したものとした。加水分解終了後、精製塩化カルニチンアミド水溶液Aを減圧下(8kPa)45℃で60%まで濃縮後、35%塩酸30gで中和し、表2に示す組成の粗カルニチン水溶液246gを得た。得られた粗カルニチン水溶液A246gを電気透析装置の脱塩室に入れ、純水221gを濃縮室に入れて、電圧10Vで電気透析を43分間行い(電気透析2)、濃縮室の精製カルニチン水溶液Aを回収した。粗カルニチン水溶液Aと精製カルニチン水溶液Aについて、上述の「<条件1>」によりカルニチン濃度の分析を行った。加えて、粗カルニチン水溶液Aと精製カルニチン水溶液Aについて、塩化ナトリウム濃度の測定を行い、これらの結果を表2に示す。
次いで、得られた精製カルニチン水溶液Aを乾固(1.33kPa、50℃)して、カルニチンA22.7gを得た。得られたカルニチンAの純度、および糖類・蛋白質の含有量の測定を行い、その結果を表3に示す。
(実施例2)
粗塩化カルニチンアミド水溶液Aを、塩化カルニチンアミド濃度7.9%の粗塩化カルニチンアミド水溶液Bとした以外は、実施例1と同様に電気透析1を行い、精製塩化カルニチンアミド水溶液B287.7gを得た。粗塩化カルニチンアミド水溶液Bと、精製塩化カルニチンアミド水溶液Bの成分分析を行い、その結果を表1に示す。
次いで、得られた精製塩化カルニチンアミド水溶液B287.7gに、48%水酸化ナトリウム水溶液30gを添加し、30℃で10時間加水分解反応を行った。そして、塩化カルニチンアミドの転化率が100%に達したことを実施例1と同様にして確認した。加水分解終了後、減圧(8kPa)下、45℃で60%まで濃縮後、35%塩酸25gで中和し、粗カルニチン水溶液B215gを得た。得られた粗カルニチン水溶液B215gを電気透析装置の脱塩室に、純水194gを濃縮室に入れ、電圧10Vで電気透析を35分間行い(電気透析2)、精製カルニチン水溶液Bを得た。粗カルニチン水溶液Bと精製カルニチン水溶液Bについて、上述の「<条件1>」によりカルニチン濃度の分析を行った。加えて、粗カルニチン水溶液Bと精製カルニチン水溶液Bについて、塩化ナトリウム濃度の測定を行い、これらの結果を表2に示す。
得られた精製カルニチン水溶液Bを乾固(1.33kPa、50℃)して、カルニチンB18.6gを得た。得られたカルニチンBの純度、および糖類・蛋白質含有量の測定を行い、その結果を表3に示す。
(実施例3)
粗塩化カルニチンアミド水溶液Aを、塩化カルニチンアミド濃度14.7%の粗塩化カルニチンアミド水溶液Cとした以外は、実施例1と同様に電気透析1を行い、精製塩化カルニチンアミド水溶液C547gを得た。粗塩化カルニチンアミド水溶液Cと、精製塩化カルニチンアミド水溶液Cの成分分析を行い、その結果を表1に示す。
次いで、得られた精製塩化カルニチンアミド水溶液C547gに、48%水酸化ナトリウム水溶液56gを添加し、30℃で10時間加水分解反応を行った。そして、塩化カルニチンアミドの転化率が100%に達したことを実施例1と同様にして確認した。加水分解終了後、減圧(8kPa)下、45℃で60%まで濃縮後、35%塩酸25gで中和し、粗カルニチン水溶液C408gを得た。得られた粗カルニチン水溶液C408gを電気透析装置の脱塩室に、純水367gを濃縮室に入れ、電圧10Vで電気透析を80分間行い(電気透析2)、精製カルニチン水溶液C251gを得た。粗カルニチン水溶液Cと精製カルニチン水溶液Cについて、上述の「<条件1>」によりカルニチン濃度の分析を行った。加えて、粗カルニチン水溶液Cと精製カルニチン水溶液Cについて、塩化ナトリウム濃度の測定を行い、これらの結果を表2に示す。
得られた精製カルニチン水溶液Cを乾固(1.33kPa、50℃)して、カルニチンC34.9gを得た。得られたカルニチンCの純度、および糖類・蛋白質含有量の測定を行い、その結果を表3に示す。
(実施例4)
電気透析装置について、カチオン交換膜をネオセプタCMX(一価イオン選択透過処理がされていない標準膜、分画分子量300、株式会社アストム製)とし、アニオン交換膜をネオセプタAMX(一価イオン選択透過処理がされていない標準膜、分画分子量300、株式会社アストム製)とした以外は、実施例1と同様に電気透析1を行い、精製塩化カルニチンアミド水溶液Dを得た。粗塩化カルニチンアミド水溶液Aと、精製塩化カルニチンアミド水溶液Dの成分分析を行い、その結果を表1に示す。
次いで、得られた精製塩化カルニチンアミド水溶液D323gに、48%水酸化ナトリウム水溶液36gを添加し、30℃で10時間加水分解反応を行った。そして、塩化カルニチンアミドの転化率が100%に達したことを実施例1と同様にして確認した。加水分解終了後、減圧(8kPa)下、45℃で60%まで濃縮後、35%塩酸30gで中和し、粗カルニチン水溶液D256gを得た。得られた粗カルニチン水溶液D255gを電気透析装置の脱塩室に、純水230gを濃縮室に入れ、電圧10Vで電気透析を52分間行い(電気透析2)、精製カルニチン水溶液D251gを得た。粗カルニチン水溶液Dと精製カルニチン水溶液Dについて、上述の「<条件1>」によりカルニチン濃度の分析を行った。加えて、粗カルニチン水溶液Dと精製カルニチン水溶液Dについて、塩化ナトリウム濃度の測定を行い、これらの結果を表2に示す。
得られた精製カルニチン水溶液Dを乾固(1.33kPa、50℃)して、カルニチンD21.2gを得た。得られたカルニチンDの純度、および糖類・蛋白質含有量の測定を行い、その結果を表3に示す。
(比較例1)
電気透析1を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、カルニチンE23.6gを得た。得られたカルニチンEの純度、および糖類・蛋白質含有量の測定を行い、その結果を表3に示す。
Figure 2009280504
Figure 2009280504
Figure 2009280504
表1の通り、電気透析1により、粗塩化カルニチンアミド水溶液中の不純物(糖類、蛋白質、DI−CN、HCAm)を減少できることがわかった。
さらに、表2では、電気透析2により、粗カルニチン水溶液中の塩化ナトリウムを高精度に除去できることがわかった。
そして、表3に示すとおり、電気透析1を行った実施例1〜4では、得られたカルニチンは純度99.7%以上の、極めて精製度の高いものであった。そして、粗塩化カルニチンアミド水溶液の粗塩化カルニチンアミド濃度が13%以下であり、かつ一価イオン選択透過性のイオン交換膜を使用した実施例1、2は、得られたカルニチンは99.9%という極めて高い純度であり、糖類・蛋白質の残存も認められなかった。
一方、電気透析1を行わなかった比較例1では、得られたカルニチンの純度は、97.1%と低いものであり、多量の糖類・蛋白質が残存していた。

Claims (3)

  1. 塩化カルニチンアミドを含む水溶液を中和した後、電気透析によりイオン交換膜を透過させて精製塩化カルニチンアミド水溶液を得る工程と、得られた精製塩化カルニチンアミド水溶液を加水分解と中和とにより、カルニチン水溶液を得る工程と、得られたカルニチン水溶液を電気透析にて精製する工程と、を有するカルニチンの製造方法。
  2. 前記塩化カルニチンアミドを含む水溶液は、塩化カルニチンアミド濃度を5〜13質量%とすることを特徴とする、請求項1に記載のカルニチンの製造方法。
  3. 前記イオン交換膜には、一価イオン選択透過性であって、分画分子量が100以下のイオン交換膜を用いることを特徴とする、請求項1または2に記載のカルニチンの製造方法。
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