JP2011095570A - 液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶配向膜の均一な表面修飾を実現し、安定した液晶分子の配向状態を得ることができ、信頼性を向上することができる液晶表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】液晶表示装置1において、第1の基板11と、第1の基板11上に配設され、第1の膜内部層211の結晶欠陥密度に比べて第1の膜表面層212の結晶欠陥密度が高い第1の液晶配向膜21と、第1の液晶配向膜21の第1の膜表面層212上に配設された液晶4と、液晶4上に配設され、第2の膜内部層331の結晶欠陥密度に比べて液晶4側の第2の膜表面層332の結晶欠陥密度が高い第2の液晶配向膜33と、第2の液晶配向膜33の第2の膜内部層332上に配設され、第1の基板11に対向して配置された第2の基板31とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関し、特に対向して配置された一対の基板間に液晶配向膜を介在して液晶が封入された液晶表示装置及びその製造方法に関する。
近年、液晶表示装置(液晶表示ディスプレイ(LCD:liquid crystal display))の高画質が進み、更に高いレベルのコントラスト化が求められている。垂直配向液晶は、無電界時に黒表示となるノーマリーブラックと呼ばれるモードにおいて、高コントラスト化を特徴としており、直視型パネルや液晶プロジェクタに用いられている。
垂直配向液晶を採用する液晶表示装置においては、電極上に液晶分子を垂直配向させるための配向膜が必要となる。配向膜としては、一般にポリミド配向膜やシリコン酸化膜(例えばSiO2膜)等の無機配向膜が知られている。無機配向膜は、短波長の高エネルギ光による劣化がなく、耐光性に優れているので、小面積の液晶表示装置に強い光を照射する液晶プロジェクタに主に用いられている。
ところが、ポリミド配向膜等の有機配向膜に比べて、無機配向膜の配向規制力は弱く、配向安定性が乏しい。これは、液晶分子が持つアルキル鎖とポリミド配向膜のアルキル鎖との間に強い親和性が働くのに対して、無機配向膜においては、斜方蒸着法を用いて形成された結晶のカラム(柱状)構造の形状効果が主な配向規制力となっているので、化学的な強い結合因子を持たず、垂直アンカリング力が有機−有機間よりも弱くなる。
また、斜方蒸着法を用いて形成された無機配向膜は非常にポーラスであり、蒸着源から法線方向に対して垂直に成膜する通常の成膜法に比べ欠陥(未結合手)が多く存在する。これらの未結合手が存在すると液晶中の不純物イオンを吸着し易く、無機配向膜への不純物イオンの吸着は配向不良、焼き付き、駆動電圧の変動、電圧保持率(VHR:voltage holding ratio)の低下等の信頼性に問題を引き起こすことが知られている。
ここで、電圧保持率とは、スイッチングトランジスタに液晶容量及び保持容量が並列に接続された画素を行列状に配列したアクティブマトリクス回路において、保持容量に充電された電荷の1フレームにおける保持率である。電圧保持率が低下すると液晶層に所定の電圧がかからなくなり、駆動電圧の上昇、消費電力の増加、コントラストの低下、信頼性の低下、表示ムラの発生或いは変色の発生の原因になる。例えば、下記特許文献1及び2にはこのような電圧保持率の低下を防止する技術が提案されている。
また、上記信頼性に問題を引き起こすメカニズムの詳細は未だ明らかでなく、下記特許文献3に開示された高級アルコール処理技術、下記特許文献4及び5に開示されたシランカップリング処理技術、下記特許文献6に開示された金属アルコラート処理技術等が提案されているものの、根本的な解決に至っていないのが現状である。
特開2005−062721号公報 特開2004−018662号公報 特開平11−160711号公報 特開平05−203958号公報 特開2007−140326号公報 特開2006−047613号公報
しかしながら、上記特許文献3乃至6に開示された処理技術を実際に用いて、液晶表示装置を試作したところ、液晶分子の配向状態を全く制御することができず、配向不良(ドメイン)が発生し、液晶表示装置の動作自体に問題が生じた。
そこで、液晶表示装置の基板に無機配向膜を形成し、長鎖アルキルを含まないシランカップリング剤であるヘキサメチルジシラザン(HMDS:hexamethyldisilazane)にこの基板を浸漬した後、イソプロピルアルコール(IPA:isopropyl alcohol)により十分な残渣除去を行う手法を用い、無機配向膜の表面修飾を行った。この結果、未修飾の配向膜に近いプレチルトが得られ、蒸着角度によるプレチルト制御が可能になった。
ところが、同条件下において、HMDSを用いた表面修飾であるにも関わらず、無機配向膜である斜方蒸着膜の成膜条件によって、安定した液晶分子の配向を得ることができない場合があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものである。従って、本発明は、液晶配向膜の均一な表面修飾を実現し、安定した液晶分子の配向状態を得ることができ、信頼性を向上することができる液晶表示装置を提供することにある。
更に、本発明は、液晶配向膜の均一な表面修飾を実現し、安定した液晶分子の配向状態を得ることができる液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の実施例に係る第1の特徴は、液晶表示装置において、第1の基板と、第1の基板上に配設され、第1の膜内部層の結晶欠陥密度に比べて第1の膜表面層の結晶欠陥密度が高い第1の液晶配向膜と、第1の液晶配向膜の第1の膜表面層上に配設された液晶と、液晶上に配設され、第2の膜内部層の結晶欠陥密度に比べて液晶側の第2の膜表面層の結晶欠陥密度が高い第2の液晶配向膜と、第2の液晶配向膜の第2の膜内部層上に配設され、第1の基板に対向して配置された第2の基板とを備える。
第1の特徴に係る液晶表示装置において、第1の液晶配向膜の第1の膜表面層の厚さは第1の膜内部層の厚さに比べて薄く設定され、第2の液晶配向膜の第2の膜表面層の厚さは第2の膜内部層の厚さに比べて薄く設定されていることが好ましい。
第1の特徴に係る液晶表示装置において、第1の液晶配向膜の第1の膜表面層、第2の液晶配向膜の第2の膜表面層のそれぞれの厚さは20nm以上に設定されていることが好ましい。
第1の特徴に係る液晶表示装置において、第1の液晶配向膜の第1の膜表面層、第2の液晶配向膜の第2の膜表面層のそれぞれの厚さは40nm以下に設定されていることが好ましい。
第1の特徴に係る液晶表示装置において、第1の液晶配向膜、第2の液晶配向膜はいずれもシリコン系絶縁膜の斜方蒸着配向膜であり、第1の膜表面層、第2の膜表面層はいずれも長鎖アルキル基を持たない界面活性剤によって表面修飾された前記斜方蒸着配向膜であることが好ましい。
本発明の実施例に係る第2の特徴は、液晶表示装置の製造方法において、基板上に膜内部層の結晶欠陥密度に比べて膜表面層の結晶欠陥密度が高いシリコン系絶縁膜の斜方蒸着配向膜からなる液晶配向膜を形成する工程と、液晶配向膜の膜表面層の結晶カラム構造の形状を保持し疎水処理を行う工程とを備える。
第2の特徴に係る液晶表示装置の製造方法において、液晶配向膜を形成する工程は、基板を加熱し真空蒸着法を用いて膜内部層の斜方蒸着配向膜を形成する工程と、膜内部層上にイオンアシスト蒸着法を用いて膜表面層の斜方蒸着配向膜を形成する工程とを備える。
本発明によれば、液晶配向膜の均一な表面修飾を実現し、安定した液晶分子の配向状態を得ることができ、信頼性を向上することができる液晶表示装置を提供することができる。
更に、本発明によれば、液晶配向膜の均一な表面修飾を実現し、安定した液晶分子の配向状態を得ることができる液晶表示装置の製造方法を提供することができる。
本発明の実施例に係る液晶表示装置の要部断面図である。 実施例に係る液晶表示装置の画素の回路図である。 (A)は実施例に係る液晶配向膜のイオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜と接触角との関係図である。 実施例に係るイオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜を原子間力顕微鏡により測定した断面図である。 実施例に係るイオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜の膜厚と素子IV抵抗との関係図である。 実施例に係る液晶画像の解像度を評価するための観察図である。 実施例に係る液晶画像の解像度を評価するための観察図である。 実施例に係るイオンアシスト蒸着法に使用される加速電圧と成膜された無機配向膜の表面の接触角との関係図である。 実施例に係る液晶表示装置の製造方法を説明するプロセスフローである。
次に、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
また、以下に示す実施例はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(実施例)
本発明の実施例は、液晶プロジェクタに使用される反射型液晶表示装置に本発明を適用した例について説明する。
[液晶表示装置の画素の回路構成]
図2に示すように、実施例に係る液晶表示装置1においては、ゲート走査線Lgとそれに交差するソース走査線(又はドレイン走査線)Lsとの交差部に画素Pが配設されている。ゲート走査線Lgは、図2中、横方向に延在し、図示しないが縦方向に一定間隔において複数本配列されている。ソース走査線Lsは、ここではゲート走査線Lgに対して直交し、図2中、縦方向に延在し、図示しないが横方向に一定間隔において複数本配列されている。画素Pは、ゲート走査線Lgとソース走査線Lsとの各交差部に各々配設され、横方向並びに縦方向に行列状に配列されている。つまり、画素Pはアクティブマトリックスを構築する。
画素Pは、スイッチング素子として使用されるトランジスタTと、液晶容量CLCと、保持容量Cstとを備えている。トランジスタTの一方の主電極例えばソース電極はソース走査線Lsに電気的に接続され、ゲート電極はゲート走査線Lgに電気的に接続されている。トランジスタTの他方の主電極例えばドレイン電極は液晶容量CLCの一方の電極、保持容量Cstの一方の電極のそれぞれに電気的に並列に接続されている。液晶容量CLCの他方の電極は電圧V1に接続され、保持容量Cstの他方の電極は電圧V2に接続されている。
[液晶表示装置のデバイス構造]
図1に示すように、実施例に係る液晶表示装置(反射型液晶表示装置)1は、第1の基板11と、第1の基板11上に配設され、第1の膜内部層211の結晶欠陥密度に比べて第1の膜表面層212の結晶欠陥密度が高い第1の液晶配向膜21と、第1の液晶配向膜21の第1の膜表面層212上に配設された液晶4と、液晶4上に配設され、第2の膜内部層331の結晶欠陥密度に比べて液晶4側の第2の膜表面層332の結晶欠陥密度が高い第2の液晶配向膜33と、第2の液晶配向膜33の第2の膜内部層331上に配設され、第1の基板11に対向して配置された第2の基板31とを備えている。
第1の基板11は、図示しない駆動回路が組み込まれ、図2に示すゲート走査線Lg、ソース走査線Ls、画素Pを配設したアクティブマトリックス基板(又はIC基板)である。実施例に係る液晶表示装置1において、第1の基板11には例えばシリコン単結晶基板が使用される。第2の基板31は光透過性を有し、この第2の基板31の液晶4側の表面上にはアクティブマトリックス状に配列された画素Pに共通の電極32Eが配設されている。第2の基板31には例えば透明ガラス基板が使用される。
画素PのトランジスタT及び保持容量Cstは第1の基板11の液晶4側の主面(表面)に配設されている。同様に、液晶容量CLCの一部は第1の基板11の液晶4側の主面に配設されている。液晶容量CLCの他の一部は第2の基板31の液晶4側の主面上に配設されている。
トランジスタTは、第1の基板11の主面部に互いに離間して配設された一方の主電極12S及び他方の主電極12Dと、一方の主電極12Sと他方の主電極12Dとの間において第1の基板11の主面上に配設されたゲート絶縁膜13Gと、ゲート絶縁膜13G上のゲート電極14Gとを備えている。一方の主電極12S及び他方の主電極12Dは、第1の基板11の導電型又はこの第1の基板11の主面部に配設されたウエル領域の導電型とは反対の導電型、例えばn型を有する半導体領域(拡散領域)により構成されている。ゲート絶縁膜13Gは、例えば珪素を含むシリコン酸化(例えばSiO2)膜若しくはシリコン窒化(例えばSi3N4)膜の単層、又はそれらを組み合わせた複合膜により構成されている。ゲート電極14Gは、例えばシリコン多結晶膜、高融点金属膜、シリコンと高融点金属との化合物であるシリサイド膜の単層、又はそれらを組み合わせた複合膜により構成されている。すなわち、実施例に係るトランジスタは、MOSFET(metal oxide field effect transistor)、 MISFET(metal insulator field effect transistor)のいずれも含む絶縁ゲート型電解効果トランジスタにより構成されている。
トランジスタTの一方の主電極12Sには、層間絶縁膜15上に配設された配線16Sがその層間絶縁膜15に形成された符号を付していない接続孔を通して電気的に接続されている。配線16Sはソース走査線Lsとして使用されている。配線16Sは液晶表示装置1における第1層目金属パターンであり、この第1層目金属パターンには例えばアルミニウム合金膜が使用されている。トランジスタTのゲート電極14Gはそのゲート長方向に隣り合う他の画素PのトランジスタTのゲート電極14Gと一体に構成され、これらはゲート走査線Lgを構成している。
保持容量Cstは、トランジスタTに隣り合う領域において、第1の基板11の主面部に配設された他方の電極12Eと、この他方の電極12E上の誘電体膜13Dと、この誘電体膜13D上の一方の電極14Eとを備えている。他方の電極12Eは、ここではトランジスタTの一方の主電極12S及び他方の主電極12Dと同一層により形成され、かつ同一導電型を有する半導体領域により構成されている。誘電体膜13Dは、ゲート電極13Gと同一層により形成され、かつ同一導電性材料により形成されている。一方の電極14Eは、ゲート電極14Gと同一層により形成され、かつ同一導電性材料により構成されている。保持容量Cstの一方の電極14Eは配線16Lを通してトランジスタTの他方の主電極12Dに電気的に接続されている。配線16Lは配線16Sと同一層により形成され、かつ同一導電性材料により形成されている。
液晶容量CLCは、画素Pの領域において、第1の基板11の主面上に配設された一方の電極20Eと、この一方の電極20E上の液晶4を含む誘電体膜と、この誘電体膜上において第2の基板31の液晶4側に配設された電極(他方の電極)32Eとを備えている。
一方の電極20Eは、層間絶縁膜17及び19上に配設され、それらに形成された符号を付していない接続孔を通して配線16Lに電気的に接続されている。一方の電極20Eは液晶表示装置1における第3層目金属パターンであり、この第3層目金属パターンには例えばアルミニウム合金膜が使用されている。ここで、層間絶縁膜17と19との間には遮光層18が配設されている。遮光層18は液晶表示装置1における第2層目金属パターンであり、この第2層目金属パターンには例えばアルミニウム合金膜が使用されている。他方の電極32Eは第2の基板31の表面上に形成され、この他方の電極32Eには例えば透明電極具体的には酸化錫インジウム合金(ITO:indium tin oxide)膜が使用される。
液晶容量CLCの誘電体膜は、第1の基板11の主面上であって一方の電極20E上に配設された第1の液晶配向膜21と、第2の基板31の液晶4側の表面上であって他方の電極32E上に配設された第2の液晶配向膜33と、第1の液晶配向膜21と第2の液晶配向膜33との間に封入された液晶4とを備えている。液晶4には例えば垂直配向液晶が使用されている。なお、第1の液晶配向膜21及び第2の液晶配向膜33の構成は後述する。
第1の基板11及び第2の基板31の周縁部において、第1の基板11と第2の基板31との間にはスペーサ5及びシール剤6が配設されている。スペーサ5は、第1の基板11と第2の基板31との離間間隔を一定に保持し、第1の液晶配向膜21と第2の液晶配向膜33との間に液晶4を封入する空間を生成する。シール剤6は、第1の基板11と第2の基板31とを接着し、液晶4を封入する空間を気密封止するとともに、スペーサ5を保持する機能を有する。
[液晶配向膜の構造]
実施例に係る液晶表示装置1において、第1の液晶配向膜21は第1の基板11側の第1の膜内部層(バルク)211と、この第1の膜内部層211上であって液晶4側に配設され結晶欠陥密度が高い第1の膜表面層212との2層構造を備えている。第1の膜表面層212の厚さは第1の膜内部層211の厚さよりも薄く設定されている。同様に、第2の液晶配向膜33は第2の基板31側の第2の膜内部層(バルク)331と、この第2の膜内部層331上であって液晶4側に配設され結晶欠陥密度が高い第2の膜表面層332との2層構造を備えている。第2の膜表面層332の厚さは第2の膜内部層331の厚さよりも薄く設定されている。第1の液晶配向膜21、第2の液晶配向膜33はいずれも無機配向膜であるシリコン系絶縁膜により形成されている。実施例において、シリコン系絶縁膜にはシリコン酸化(SiO2)膜の斜方蒸着配向膜が使用される。そして、第1の膜表面層212、第2の膜表面層332にはいずれも長鎖アルキル基を持たない界面活性剤によって表面修飾された(疎水処理された)斜方蒸着配向膜が使用される。
無機配向膜の表面には多くのシリコン(Si)原子の未結合手(ダングリングボンド)やSi原子同士が結合したダイマー構造(Si−Si結合)が形成されている。Si原子の未結合手は、液晶4中や雰囲気中の水分等との反応によってOH基や水素により終端され易い。シランカップリング剤は無機配向膜の表面のOH基と置換されるので、安定した液晶配向を得るには、シランカップリング剤による無機配向膜の表面修飾を行う際、表面全体が均一にOH基により覆われている必要がある。しかし、通常、無機配向膜の成膜後の表面の未結合手密度は非常に不均一であるために、無機配向膜の表面には部分的に表面修飾が行われ、修飾部分と未修飾部分との液晶分子の配向規制力が異なるために、液晶分子に配向不良が生じる。
この対策としては、疎水処理の前処理として親水処理を施す手法(特開2006−255811号公報参照。)が知られている。親水処理には、UVオゾン照射やO2プラズマ照射等が一般的に使用される。ところが、実際に、基板加熱温度を200℃に設定して成膜された無機配向膜に対し、親水処理を行い、更にHMDSによる疎水処理を行ったところ、液晶分子の配向不良が増大し、更に多くの配向不良が発生した。
本願発明者は、このような現象に鑑み、以下の基礎実験を試みた。まず、加速電圧800V、加速電流100mAの条件下においてイオンアシスト蒸着(IAD:ion assist deposition)法を用いて無機配向膜を成膜し、この無機配向膜に同様のHMDSを用いた表面修飾を行った。この無機配向膜において、液晶分子の配向不良が生じなかった。
そこで、基板加熱蒸着法を用いて成膜した無機配向膜、イオンアシスト蒸着法を用いて成膜した無機配向膜のそれぞれの接触角の測定を表面修飾後に行い、双方の比較を行った。基板加熱蒸着法を用いた場合の接触角は55度程度であるのに対し、イオンアシスト蒸着法を用いた場合の接触角は78度程度であった。接触角は表面形状によっても大きく変化するが、走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)や原子間力顕微鏡(AFM:atomic force microscope)を使用し観察を行うと双方の表面形状はほぼ同様であり、この表面エネルギの違いはHMDSの付着量を意味する。
基板加熱蒸着法の場合に比べイオンアシスト蒸着法の場合の方が疎水性が強いことから、HMDSの付着量が多いことが判明した。イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜は基板加熱蒸着法を用いて成膜された無機配向膜に比べて欠陥密度が高いため、成膜後取り出し時にOH基が膜表面全体に付加する。界面活性剤例えばシランカップリング剤は無機配向膜の表面のOH基と置換されることから、イオンアシスト蒸着法の方がHMDS付着量が多くなったと考えられる。
基板加熱温度を200℃に設定し成膜された無機配向膜、すなわち結晶欠陥密度の低い膜表面においてはHMDSの付着が少なく、従って膜表面の全体が均一に表面修飾されることなく、配向不良が生じると推察される。このような基礎実験並びにその考察の結果から、イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜においては、液晶分子の配向を安定化させることができるが、基板加熱蒸着法を用いて成膜された無機配向膜に比べて素子IV抵抗が低くなり、保持容量Cstの電圧保持率(VHR)が低下する。
実施例に係る試料として、50mm2の電極面積を有するアルミニウム電極がパターンニングされた一対の基板を準備し、双方の基板のアルミニウム電極上に100nmの膜厚を有する無機配向膜を成膜し、一対の基板間に液晶を封入し、液晶表示装置を製作した。基板加熱蒸着法を用いて成膜した無機配向膜を有する液晶表示装置(試料)においては、素子IV抵抗が約800GΩと高く、電圧保持率は99.7%程度と高い結果が得られた。これに対して、加速電圧800V、加速電流100mAの条件に設定したイオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜を有する液晶表示装置(試料)においては、素子IV抵抗が約200GΩと低く、電圧保持率が96.6%程度と低い結果が得られた。
以上の基礎実験並びにその考察結果に基づき、実施例に係る液晶表示装置1は、第1の基板11上に基板加熱蒸着法を用いた無機配向膜である第1の膜内部層211を成膜し、この第1の膜内部層211上にイオンアシスト蒸着法を用いて無機配向膜である第1の膜表面層212を成膜した第1の液晶配向膜21を備えるとともに、同様に第2の基板31上に基板加熱蒸着法を用いた無機配向膜である第2の膜内部層331を成膜し、この第2の膜内部層331上にイオンアシスト蒸着法を用いて無機配向膜である第2の膜表面層332を成膜した第2の液晶配向膜33を備える。第1の液晶配向膜21の第1の膜表面層212並びに第2の液晶配向膜33の第2の膜表面層332には、いずれも成膜後に疎水処理(表面修飾)具体的にはHMDSへの浸漬によるシランカップリング処理が施される。第1の膜表面層212、第2の膜表面層332のそれぞれの膜厚を例えば30nm程度に成膜した場合、液晶分子の配向状態は均一化されかつ良好であり、素子IV抵抗は高いままで電圧保持率の低下は確認できなかった。第1の液晶配向膜21及び第2の液晶配向膜33において、基板加熱蒸着法を用いて成膜された第1の膜内部層211及び第2の膜内部層331を備えたことによって電圧保持率の低下を防ぐことができ、イオンアシスト蒸着法を用いて結晶欠陥密度の高い第1の膜表面層212及び第2の膜表面層332を備えたことによって表面修飾を均一化し液晶分子の配向状態を安定化させ、ドメインの生成を防止することができる。
図3(A)は基板加熱蒸着法を用いて成膜された無機配向膜上にイオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜の膜厚とその表面にHMDS表面修飾を行った後の接触角との関係を示す。横軸はイオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜の膜厚(nm)であり、縦軸は接触角(deg.)である。図3(B)に示すように、基板加熱蒸着法を用いて成膜された無機配向膜は、第1の液晶配向膜21の第1の膜内部層211、第2の液晶配向膜33の第2の膜内部層331に相当し、100nmの一定の膜厚に設定されている。イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜は、第1の液晶配向膜21の第1の膜表面層212、第2の液晶配向膜33の第2の膜表面層332に相当する。なお、基板加熱蒸着法、イオンアシスト蒸着法のそれぞれを用いた無機配向膜の成膜は同一チャンバ内において連続で大気開放がなく成膜される。
図3(A)に示すように、イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜は、20nmに満たない膜厚の場合には接触角が小さくなり、比較的弱い撥水性を示す。シリコン系無機配向膜、具体的にはSiO2膜自体は超親水性であり、表面修飾が行われない場合の接触角はほぼ180度である。また、HMDSは撥水処理にも使用される材料であり、表面修飾後の接触角を測定することでHMDSの被服率を評価することができる。従って、イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜の膜厚が20nmに満たない場合にはHMDSの付着が不十分であり、この無機配向膜の最表面のエネルギは下地である結晶欠陥密度が低い基板加熱蒸着法を用いて成膜された無機配向膜の影響を受ける。
図4はイオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜を原子間力顕微鏡により測定した断面を示す。横軸は無機配向膜の表面上における基準点からの距離(nm)であり、縦軸は無機配向膜の膜厚方向の変位量(nm)である。無機配向膜の膜厚は100nmである。図4に示すように、イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜においては約23nm程度の凹凸が存在する。この測定結果から明らかなように、イオンアシスト蒸着法により成膜された無機配向膜、すなわち第1の液晶配向膜21の第1の膜表面層212及び第2の液晶配向膜33の第2の膜表面層332は、20nm以上の膜厚に設定すれば、最表面エネルギの、基板加熱蒸着法を用いて成膜された無機配向膜からの影響を受けない。更に、第1の膜表面層212及び第2の膜表面層332においては、膜厚が30nm以上になると下地の影響はほとんどなくなり、最表面エネルギが安定するので接触角が共に安定し、画像ムラを視認することができない良好な程度になる。膜厚が約30nm〜40nm以上において接触角は約78度で一定になり、イオンアシスト蒸着膜により成膜された無機配向膜のバルク特性になる。一方、イオンアシスト蒸着法により成膜された無機配向膜の膜厚が例えば10nm程度の薄い膜厚の場合には表面修飾が行われていない部分が存在するので、均一な液晶分子の配向を得ることができず、画像ムラが生じる。従って、第1の膜表面層212及び第2の膜表面層332の下限の膜厚は20nm以上であることが最適である。
図5はイオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜の膜厚と素子IV抵抗との関係を示す。横軸は無機配向膜の膜厚(nm)であり、縦軸は素子IV抵抗(GΩ)である。図5に示すように、無機配向膜の膜厚が増加すると、この増加に伴い素子IV抵抗は減少する。これは、イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜がポーラスであり、かつ表面の凹凸が大きいので、電極の表面積が増大するものであると推察される。また、この無機配向膜の膜厚が30nm以下であれば、素子IV抵抗の減少は殆ど生じることがなく、電圧保持率の影響が少ない。従って、第1の膜表面層212及び第2の膜表面層332の下限の膜厚は30nm以下であることが最適である。
また、液晶表示装置においては画素間リークと呼ばれる現象がある。これは画素の表面抵抗が低い場合、隣り合う画素に電流が漏れ出し、液晶分子の配向状態に影響を与える現象であり、画素間リークは解像度劣化を生じる。先に述べたように、イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜の素子IV抵抗は低いので、基板加熱蒸着法を用いて成膜された無機配向膜に比べて解像度劣化が生じ易い。
そこで、イオンアシスト蒸着法を用いて成膜された無機配向膜の膜厚を変え、そのときの画像の解像度の評価を行った。この評価は、無機配向膜の膜厚を20nm、30nm、40nm、50nmと変化させた試料を製作し、1画素毎の縦ストライプ表示を行った際の解像度を観察するものである。図6は画像の解像度に変化が発生する前の液晶表示面の写真であり、無機配向膜の膜厚は40nmである。図6に示すように、無機配向膜の膜厚が40nmの場合には、ストライプ形状の画像を明確に観察することができた。図7は画像の解像度に変化が発生した後の液晶表示面の写真であり、無機配向膜の膜厚は50nmである。図7に示すように、無機配向膜の膜厚が50nmの場合には、ストライプ形状の画像の境界に歪みが生じ、全体的に斑があるように見え、画素間リークが発生している。従って、第1の膜表面層212及び第2の膜表面層332の上限の膜厚は40nm以下であることが最適である。
更に、図8はイオンアシスト蒸着法を用いた無機配向膜の成膜条件とHMDS表面修飾を行った後の接触角との関係を示す。横軸はイオンアシスト蒸着におけるイオンガンの加速電圧(V)であり、縦軸は接触角(deg.)である。加速電流は一定の100mAに固定した。図8に示すように、イオンアシスト蒸着時の加速電圧が増加するに従い無機配向膜の表面の接触角が大きくなり、無機配向膜の結晶欠陥密度は増大する。イオンアシスト蒸着装置、液晶材料、無機配向膜を成膜する下地基板等により、液晶分子の配向規制力は異なるので、それに合わせて無機配向膜の結晶欠陥密度を最適化する必要があり、この最適化には加速電圧の調節が有効である。実施例に係る第1の膜表面層212及び第2の膜表面層332の成膜は、保持率、I-V抵抗、画像特性の結果からイオンガンの加速電圧を約500V〜800Vに設定した。その結果、HMDS表面修飾を行った後の接触角は、約70度〜80度となった。
実施例に係る液晶表示装置1においては、以上の説明のように、第1の液晶配向膜21の第1の膜内部層211の結晶欠陥密度に比べて第1の膜表面層212の結晶欠陥密度を高め、同様に第2の液晶配向膜33の第2の膜内部層331の結晶欠陥密度に比べて第2の膜表面層332の結晶欠陥密度を高めているので、第1の膜表面層212、第2の膜表面層332はシランカップリング剤での表面修飾を均一に行うことができ、液晶表示装置1においては、電圧保持率等の電気的特性を向上することができる。さらに、シランカップリング剤として長鎖アルキル基を含まない材料を使用することで、液晶分子の配向状態の制御を実現することができる。
[液晶表示装置の製造方法]
前述の実施例に係る液晶表示装置1の製造方法は、図9に示すように、以下の工程を備えている。
まず、第1の基板11に図1及び図2に示す画素PのトランジスタT、保持容量Cst、液晶容量CLCの一方の電極20E、ソース走査線(Ls)12S、ゲート走査線(Lg)14G等が形成される。この第1の基板11に第1の液晶配向膜21が成膜される前に、第1の基板11が洗浄される(S1)。洗浄には例えば超音波洗浄が使用される。
第1の基板11の最上層つまり電極20E上を含む層間絶縁膜19上に第1の液晶配向膜21の第1の膜内部層211が形成される(S2)。第1の膜内部層211は、基板加熱蒸着法を用い、液晶分子にプレチルトを与えるためのSiO2無機斜方蒸着膜により形成される。基板加熱蒸着法において、蒸発粒子が第1の基板11に対して垂直に入射する角度を0度とした場合、そこから60度傾けて第1の基板11が固定され、基板加熱温度を200℃、真空度を5.0×10-5Pa程度に調節した条件下にて100nmの膜厚を有する第1の膜内部層211が成膜される。成膜後、基板加熱は停止される。
第1の膜内部層211上に引き続き第1の膜表面層212が形成される(S3)。基板加熱蒸着法における基板加熱が停止され、基板温度が約60℃程度になるまで待機した後、イオンアシスト蒸着法を用い、第1の膜内部層211の結晶欠陥密度に比べて結晶欠陥密度が高いSiO2無機斜方蒸着膜により第1の膜表面層212が形成される。イオンアシスト蒸着法において、酸素ガスを7sccm、加速電圧を800V、加速電流を100mAに調節した条件が使用され、30nmの膜厚を有する第1の膜表面層212が成膜される。
ここで、実施例に係る液晶表示装置1の製造方法において、第1の膜内部層211、第1の膜表面層212のそれぞれの成膜は同一チャンバ内における大気開放を行わない連続成膜である。なお、本発明においては、第1の膜内部層211、第1の膜表面層212は非連続成膜により形成してもよい。この場合、基板加熱蒸着法を用いて第1の膜内部層211を成膜後、一旦大気中に第1の基板11がチャンバから取り出され、別の装置のチャンバ内に搬送された後、イオンアシスト蒸着法を用いて第1の膜表面層212が成膜される。このように非連続成膜を行う場合、第1の膜内部層211の表面状態は大気中へ放置された影響を受けるために、放置時間に配慮し、加えて第1の膜表面層212の成膜を行う際に、第1の膜内部層211の表面を清浄化することが望ましい。清浄化には例えばイオンビーム照射による清浄手法を使用することができる。
次に、第1の膜表面層212の表面に長鎖アルキルを含まないシランカップリング剤を用いて表面修飾が行われる(S5)。長鎖アルキルを含まないシランカップリング剤には例えばHMDSを使用することができる。HMDS処理は、半導体製造プロセスにおいてレジストの付着を高めるためにシリコン熱酸化膜の表面を疎水化する方法のひとつとして一般的に使用されている。この表面修飾は、HMDS溶液中若しくはHMDS蒸気中にシリコン熱酸化膜の表面を浸漬させ、この表面のシラノール基(-SiOH)をトリメチルシロキシ基で置換する操作である。
ここで、表面修飾の効果確認を実施した。まず、HMDS溶液に第1の基板11を一定時間浸漬して単分子膜を形成し、その後、イソプロピルアルコール(IPA)を用いた超音波洗浄(IPAリンス)を10分間行い、IPAベーパー乾燥を行い、HMDSの残渣を除去した。シランカップリング剤のベーパー乾燥を行う無機配向膜の表面修飾には充分なHMDSの残渣の除去が必要であり、この残渣は不純物イオンとして働き液晶表示装置1の信頼性に悪影響を及ぼす。基礎研究の結果においては、HMDS蒸気中で行う表面修飾に比べHMDS溶液中に浸漬して行う表面修飾の方がIPAリンスによる残渣除去が容易であった。なお、HMDSの浸漬時間や、IPAリンスや超音波洗浄の条件は、第1の膜表面層212の蒸着角度や膜厚等によって、その都度最適化が必要である。第1の膜表面層212の表面修飾が完了すると、第1の液晶配向膜21が完成する。
なお、必ずしも要件ではないが、表面修飾に先立ち、第1の膜表面層212に下地処理を実施してもよい(S4)。この下地処理は、紫外線処理、オゾン処理である。
一方、第2の基板31には、図1及び図2に示す画素Pの液晶容量CLCの他方の電極32E等が形成される。この第2の基板31に第2の液晶配向膜33が成膜される前に、第1の基板11と同様に、第2の基板31が洗浄される(S11)。
第2の基板31の最上層つまり電極32E上に第2の液晶配向膜33の第2の膜内部層331が形成される(S12)。第2の膜内部層331は第1の膜内部層211と同様の条件において成膜される。
第2の膜内部層331上に引き続き第2の膜表面層332が形成される(S13)。この第2の膜表面層332は第1の膜表面層212と同様の条件おいて成膜される。
第2の膜表面層332の表面に長鎖アルキルを含まないシランカップリング剤を用いて表面修飾が行われる(S15)。この表面修飾は第1の膜表面層212の表面修飾と同様の条件において行われる。また、表面修飾に先立ち、第2の膜表面層332に下地処理を実施してもよい(S14)。第2の膜表面層332の表面修飾が完了すると、第2の液晶配向膜33が完成する。
次に、第1の液晶配向膜21と第2の液晶配向膜33との間に一定のギャップ長を確保して向かい合わせ、第1の基板11と第2の基板31とが貼り合わせられる(S21)。ギャップの生成には球径のスペーサ5(図1参照。)が使用され、ここでは2.5μmの球径を有するスペーサ5が使用される。スペーサ5は、第1の基板11及び第2の基板31の周辺部分に塗布された紫外線硬化型のシール剤6に分散される。また、シール剤6は液晶4の注入を行う注入孔の一部を除いて第1の基板11及び第2の基板31の周辺部分に塗布される。
減圧下において注入孔部分を液晶4に漬けた状態で液晶表示装置1の外部を大気圧にすると、液晶表示装置1の内外の気圧差と毛細管現象とにより第1の基板11と第2の基板31との間のキャビティ内に液晶4が注入される(S22)。液晶4の注入後は、注入孔を例えばエポキシ系紫外線硬化樹脂により封止し、液晶4の封入が完了する(S23)。これの液晶4の封入が完了すると、実施例に係る液晶表示装置1が完成する。
このように構成された液晶表示装置1に関して、東陽テクニカ社製6254型液晶物性評価システムを用いて評価を行った結果、イオン密度測定においてイオンピークは認められず、電圧保持率の低下も全く見られなかった。また、これまで報告されている表面修飾方法においては、過剰なHMDS処理により無機配向膜の配向性が失われ、信頼性と配向性との両立が難しかったが、前述のように第1の液晶配向膜21の第1の膜表面層212並びに第2の液晶配向膜33の第2の膜表面層332をイオンアシスト蒸着法を用いて成膜し、適度な結晶欠陥密度を与えるとともに、IPA処理により余分なHMDSの残差を除去することによって、液晶表示装置1の信頼性を向上することができる。更に、これに加えて、第1の膜表面層212及び第2の膜表面層332の無機配向膜の蒸着角度を調節することによって、液晶分子の配向の制御を実現することができる。
更に、液晶表示装置1において、焼き付きに関する画像評価を行った。評価方法は、素子温度を50℃一定で15時間白黒のチェックパターンを表示し続け、その後表示を全白表示に切り替えたときの残像を観察するものである。無機配向膜の表面修飾を施していない液晶表示装置においてはチェックパターンの残像が確認された。これに対して、実施例に係る液晶表示装置1においては、チェックパターンの残像は全く確認することができず、焼き付きは無かった。このことからも、HMDSを用いた表面修飾は焼き付きに対して有効である。なお、実施例に係る液晶表示装置1のコントラスト並びに駆動電圧は、表面修飾を実施していない液晶表示装置のコントラスト並びに駆動電圧と同等のレベルであった。
以上説明したように、実施例に係る液晶表示装置1においては、第1の液晶配向膜21及び第2の液晶配向膜33の均一な表面修飾を実現し、安定した液晶分子の配向状態を得ることができ、信頼性を向上することができる。
更に、実施例に係る液晶表示装置1の製造方法においては、第1の液晶配向膜21及び第2の液晶配向膜33の均一な表面修飾を実現し、安定した液晶分子の配向状態を得ることができる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明を実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものでない。本発明は様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術に適用することができる。例えば、前述の実施例においては、反射型液晶表示装置について述べたが、本発明は、透過型液晶表示装置やその他無機配向膜を用いた液晶表示装置に適用可能である。
また、前述の実施例に係る液晶表示装置1の製造方法においては、第1の基板11に第1の液晶配向膜21を形成した後に、第2の基板31に第2の液晶配向膜33を形成したが、本発明はこの製作順に限定されるものではなく、その逆でも並列に製作してもよい。
本発明は、液晶配向膜の均一な表面修飾を実現し、安定した液晶分子の配向状態を得ることができ、信頼性を向上することができる液晶表示装置並びにその製造方法に広く適用可能である。
1…液晶表示装置、11…第1の基板、12S、12D…主電極、12E、14E、20E、32E…電極、13G…ゲート絶縁膜、13D…誘電体膜、14G、Lg…ゲート走査線又はゲート電極、16S、Ls…ソース走査線、16L…配線、21…第1の液晶配向膜、211…第1の膜内部層、212…第1の膜表面層、33…第2の液晶配向膜、331…第2の膜内部層、332…第2の膜表面層、4…液晶、5…スペーサ、6…シール剤。

Claims (7)

  1. 第1の基板と、
    前記第1の基板上に配設され、第1の結晶欠陥密度を有する第1の膜内部層、及び前記第1の膜内部層上に形成され前記第1の結晶欠陥密度より高い第2の結晶欠陥密度を有する第1の膜表面層を備える第1の液晶配向膜と、
    前記第1の液晶配向膜の前記第1の膜表面層上に配設された液晶と、
    前記液晶上に配設され、第3の結晶欠陥密度を有する第2の膜表面層、及び前記第2の膜表面層上に形成され前記第3の結晶欠陥密度より低い第4の欠陥密度を有する第2の膜内部層を備える第2の液晶配向膜と、
    前記第2の膜内部層上に配設され、前記第1の基板に対向して配置された第2の基板と、
    を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記第1の液晶配向膜の前記第1の膜表面層の厚さは、前記第1の膜内部層の厚さに比べて薄く設定され、
    前記第2の液晶配向膜の前記第2の膜表面層の厚さは、前記第2の膜内部層の厚さに比べて薄く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記第1の液晶配向膜の前記第1の膜表面層、前記第2の液晶配向膜の前記第2の膜表面層のそれぞれの厚さは、20nm以上に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第1の液晶配向膜の前記第1の膜表面層、前記第2の液晶配向膜の前記第2の膜表面層のそれぞれの厚さは、40nm以下に設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液晶表示装置。
  5. 前記第1の液晶配向膜、前記第2の液晶配向膜は、いずれも珪素を含む絶縁体の斜方蒸着配向膜であり、前記第1の膜表面層、前記第2の膜表面層はいずれも長鎖アルキル基を持たない界面活性剤によって表面修飾された前記斜方蒸着配向膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液晶表示装置。
  6. 基板上に、珪素を含む絶縁体から構成され、第1の結晶欠陥密度を有する膜内部層を形成する膜内部層形成工程と、
    前記膜内部層上に、珪素を含む絶縁体から構成され、前記第1の結晶欠陥密度より高い第2の結晶欠陥密度を有する膜表面層を形成する膜表面層形成工程と、を有する液晶配向膜を形成する液晶配向膜形成工程と、
    前記液晶配向膜の前記膜表面層の疎水処理を行う工程と、
    を備えたことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  7. 前記膜内部層形成工程は、前記基板を加熱し真空蒸着法を用いて斜方蒸着配向膜である前記膜内部層を形成し、前記膜表面層形成工程は、前記膜内部層上にイオンアシスト蒸着法を用いて斜方蒸着配向膜である前記膜表面層を形成することを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置の製造方法。
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