JP2011094701A - 直動案内装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スライダ内部で発生する塵埃をより確実に吸引することができる直動案内装置を提供する。
【解決手段】この直動案内装置10は、スライダ2の内部からスライダ2の外面に連通形成された塵埃吸引用の吸引穴20を有している。そして、この吸引穴20は、横穴20aと縦穴20bとから構成されており、横穴20aは、スライダ2の外面に形成されてポンプ等の気体吸引手段を接続可能な開口部21に連通するとともに、スライダ本体5の中央の位置まで水平方向に穿孔されており、縦穴20bは、スライダ本体5の中央の位置において案内レール1の側に開口するとともに横穴20aに連通する深さまで垂直方向に穿孔されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば製造装置や加工機械等の各種機械に用いられ、スライダが複数の転動体を介して案内レールに沿って相対移動可能な直動案内装置に係り、特に、液晶や半導体の製造工場のようなクリーン環境での使用に好適な、塵埃の処理機構を備える直動案内装置に関する。
液晶や半導体の製造工場のようなクリーン環境にて直動案内装置を使用する場合、直動案内装置の潤滑グリースが蒸発したり、転動体の転動によって発生した摩耗粉が飛散したりすることによって雰囲気を汚染するという問題がある。
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、塵埃の処理機構として、スライダ端部に側板を取り付け、この側板にレール外周部の空気を吸引する気体吸込口としてスリットを設けている。そして、スライダ側には側板のスリットに連通するように連通孔を設け、この連通孔側にポンプ等の気体吸引手段を接続可能に構成している。
特許文献1に記載の技術によれば、側板のスリットを介してレール外周部の空気をスライダ内に吸引し、スライダ内部に発生した粉塵(グリースの蒸発したもの、摩耗粉等)を、その吸引した空気とともにスライダに設けた連通孔を介してスライダ外部(半導体製造装置の外部)へ排出することができる。これにより、スライダ内部で発生する塵埃を除去することで、雰囲気の汚染を抑制することができる。
実公平03−020575号公報
しかしながら、同文献記載の技術では、塵埃を吸引する位置が、スライダ端部に設けた側板による気体吸込口のみなので、スライダの袖部側面や反対側の側板からは塵埃を十分に吸引することができない。
つまり、スライダ側面や反対側の側板から塵埃を吸引する場合、気体吸込口に近い側の側板とこれと反対側の側板とでは相互の距離が離れており非対称となる。そのため、スライダ内部の連通孔の管路内面の摩擦抵抗の分、スライダ側面や反対側の側板からの吸引量(吸引能力)がスリットの形成された側に比べて少なくなり、塵埃の処理機構全体の吸引量が小さい場合には、反対側の側板からは十分に塵埃が吸引されない可能性がある。したがって、スライダ内部で発生する塵埃を確実に吸引する上で検討の余地が残されている。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、スライダ内部で発生する塵埃をより確実に吸引することができる直動案内装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、案内レールと、該案内レール上に跨設されるスライダとを備え、前記スライダが、スライダ本体と、その両端面部に装着される一対のエンドキャップとを有し、自身左右の袖部に転動体を介して前記案内レール上をスライド移動する直動案内装置であって、前記スライダ外面に気体吸引手段を接続可能な開口部と、該開口部に連通して前記スライダ本体に形成された吸引穴とを備え、当該吸引穴は、前記スライダ本体にその中央の位置まで穿孔され、その中央の位置において前記案内レールの側に開口されていることを特徴としている。
なお、前記開口部を形成する位置は、スライダ外面に形成されていれば特に限定されず、例えばスライダの端面、側面または上面等に形成することができる。また、前記気体吸引手段についても、気体を吸引可能に開口部に接続されれば、種々の態様とすることができ、例えば前記開口部に連結継手を付設するとともにこの連結継手にチューブを介してポンプを接続することで気体吸引手段を構成することができる。
本発明に係る直動案内装置によれば、スライダの内部中央に吸引穴を穿孔して、この吸引穴によって塵埃を吸引するので、スライダ内部の空間から塵埃を吸引することができる。特に、この直動案内装置の塵埃の処理機構は、吸引穴が、スライダ本体にその中央の位置まで穿孔され、その中央の位置において案内レールの側に開口されているので、スライダのスライド移動方向の端面および袖部下部のスライダと案内レールとの間の隙間等に対する縦穴の開口(つまり吸引口)の位置が対称となり、これにより、吸引口に近い側とそうでない側との吸引能力の差異を小さくすることができる。したがって、スライダ内部で発生する塵埃をより確実に吸引することができる。
ここで、上述した特許文献1記載の技術では、スライダ両端部に側板をそれぞれ設ける場合には、この両側の側板から両方同時に吸引しなければ、スライダ内部で発生した塵埃を確実に吸引することが難しい。そのため、スライダ外部に塵埃を放出することになるし、構造も複雑になり部品点数も増加する。また、一箇所の吸引口から、スライダ両端部の側板の塵埃を吸引する場合には、スライダ端部から反対側の端部まで貫通穴を設け、両側板のスリットを相互に繋ぐ必要がある。しかし、上述した側板はスライダの最端部に取り付けられるため、両側の側板間を繋いだ貫通穴は、エンドキャップの給脂路に干渉してしまい、塵埃を吸引する際に、干渉した給脂路から潤滑剤を一緒に吸引してしまう可能性もある。
これに対し、本発明に係る直動案内装置によれば、上述のような単純な機構なので、部品点数を増加させることなく従来の構成に盛り込むことが可能である。そして、吸引穴を片側のエンドキャップの端面とのみ繋げる場合においては、吸引側とは反対側のエンドキャップの端面から給脂することによって、塵埃を吸引する際に潤滑剤を吸引することなく、スライダ内部の塵埃のみを吸引することができる。
なお、本発明に係る直動案内装置において、前記スライダのスライド移動方向の端面および袖部下部のスライダと案内レールとの間の隙間ができる部分に、その隙間を小さくするように取り付けられたシール部材を有することは好ましい。
このような構成であれば、スライダ内部で発生した塵埃をスライダの外部に漏れだし難くするとともに、シールの隙間部分によって吸引される気体の流速を上げることができる。そのため、より効率的にスライダ外部近傍の塵埃を吸引することができる。したがって、このようなシール部材を有しない場合に比べて、同じ吸引能力であっても発塵量をより低く抑えることができる。
上述のように、本発明に係る直動案内装置によれば、スライダ内部で発生する塵埃をより確実に吸引することができる。
本発明に係る直動案内装置の第一実施形態の説明図であり、同図(a)はその平面図、(b)は正面図、(c)は(b)での左側面図である。 本発明に係る直動案内装置における吸引量(吸引能力)と隙間、および発塵量との関係を説明するためのグラフである。 本発明に係る直動案内装置の第二実施形態の説明図であり、同図(a)はその平面図、(b)は正面図である。 本発明に係る直動案内装置の第三実施形態の説明図であり、同図(a)はその平面図、(b)は正面図である。 本発明に係る直動案内装置の第四実施形態の説明図であり、同図(a)はその平面図、(b)は正面図である。 本発明に係る直動案内装置の第五実施形態の説明図であり、同図(a)はその平面図、(b)は正面図である。
以下、本発明の第一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、この直動案内装置10は、案内レール1と、この案内レール1上をスライド移動するスライダ2とを有する。案内レール1には、自身外面の左右側面部に複数の転動体転動溝4が形成されている。スライダ2は、左右に袖部2a,2bを有するコ字状をなしている。そして、そのコ字状の凹部側を案内レール1側に対向させた姿勢で案内レール1に跨設されており、袖部2a,2bには、案内レール1の転動体転動溝4に対向する転動体転動溝6を内面に有している。
また、スライダ2は、スライダ本体5と、その両端面部に装着された一対のエンドキャップ7とを有している。各エンドキャップ7の内部には、略U字状の方向転換路8がそれぞれに形成されている。また、スライダ本体5には、転動体戻し通路11がスライド移動方向に沿って形成されている。そして、各方向転換路8は、転動体戻し通路11、および転動体転動路12(案内レール1とスライダ本体5との両転動体転動溝4,6からなる)の端部同士を繋いで円環状の無限循環路を複数構成している。そして、複数の無限循環路内には、エンドキャップ7の方向転換路8およびスライダ本体5の転動体戻し通路11に遊嵌するとともに転動体転動路12に介装された状態に複数の転動体3がそれぞれ充填されている。
これにより、この直動案内装置10は、充填された複数の転動体3が、案内レール1に対するスライダ2の相対移動に伴って各無限循環路内を転動し、一方のエンドキャップ7内の方向転換路8で方向転換した後、転動体戻し通路11に導入されて反対側の方向転換路8から再び転動体転動路12に戻るという循環をしつつ、これら複数の転動体3を介してスライダ2が案内レール1の長手方向に沿って円滑に相対移動するようになっている。
なお、この直動案内装置10には、図1に示すように、各エンドキャップ7の外側面に、ラビリンスシール14がそれぞれシール部材として取り付けられている。このラビリンスシール14は、不図示のリップ部以外はエンドキャップ7の外形形状と略相似形状且つ同一の寸法にすることで対向方向の隙間を可及的に小さくして、そのリップ部によって塵埃などの異物が案内レール1とエンドキャップ7との間からスライダ2の内部に侵入するのを防止している。これと同様にして、スライダ2の左右の袖部2a,2bの内側には、案内レール1の長手方向に沿ってアンダーシール16がシール部材として、スライダ2と案内レール1との間の隙間ができる部分に、その隙間を可及的に小さくするように取り付けられている。
ここで、この直動案内装置10は、スライダ2の内部で発生する塵埃を吸引するための塵埃の処理機構を備えている。
詳しくは、図1に示すように、スライダ2の一方(同図での左側)のエンドキャップ7には、案内レール1の長手方向に沿って貫通する開口部21が側面の中央部に形成されている。なお、この開口部21が形成された側とは反対の側のエンドキャップ7には、給脂口25が設けられている。
そして、スライダ本体5には、塵埃を吸引するための吸引穴20形成されている。この吸引穴20は、横穴20aと縦穴20bとから構成されており、横穴20aは、開口部21に連通する位置に開口するとともに、スライダ本体5の長手方向に沿ってスライダ本体5の中央の位置まで水平方向に穿孔されている。また、縦穴20bは、スライダ本体5の中央の位置において、案内レール1の側から横穴20aに連通する深さまで垂直方向に穿孔されている。
そして、上記開口部21には、外側面側に雌ねじが加工されており、この雌ねじに配管用の連結継手30が固定されている。さらに、この連結継手30にはチューブ40が連結されており、このチューブ40の他端側が不図示のポンプに繋がっており、これら連結継手30、チューブ40およびポンプによって気体吸引手段が構成されている。
次に、この直動案内装置10の作用・効果について説明する。
この直動案内装置10は、上述の塵埃の処理機構を備えており、この塵埃処理機構は、スライダ本体5に形成された吸引穴20を有し、この吸引穴20から塵埃を吸引するので、スライダ2の内部の空間から塵埃を吸引することができる。
特に、この吸引穴20は、横穴20aと縦穴20bとから構成され、横穴20aは、スライダ2の外面に形成されてポンプ等の気体吸引手段を接続可能な開口部21に連通するとともに、スライダ本体5の中央の位置まで水平方向に穿孔されており、縦穴20bは、スライダ本体5の中央の位置において案内レール1の側に開口するとともに横穴20aに連通する深さまで垂直方向に穿孔されているため、例えば上述した特許文献1に記載の技術に比べて、吸引口に近い側とそうでない側との吸引能力の差異を小さくすることができる。したがって、塵埃をより確実に吸引することができる。
さらに、この直動案内装置10によれば、吸引穴20が片側のエンドキャップ7端面に形成された開口部21のみに繋がっており、反対の側のエンドキャップ7に給脂口25が設けられているので、吸引側のエンドキャップ7とは反対側のエンドキャップ7の給脂口25から給脂することによって、吸引の際に潤滑剤を吸引することなく、スライダ2内部の塵埃のみを吸引することができる。
また、この直動案内装置10によれば、スライダ2の端面にラビリンスシール14を、隙間を可及的に小さくするように取り付けるとともに、左右袖部2a,2bの下部にも、スライダ2と案内レール1との間に隙間ができる部分に、その隙間を可及的に小さくするようにアンダーシール16を取り付けているので、スライダ2内部で発生した塵埃をスライダ2の外部に漏れだし難くするとともに、シール部材9,10の隙間部分によって吸引される気体の流速を上げることで、より効率的にスライダ2外部近傍の塵埃を吸引することができる。
図2に、吸引量と隙間、発塵量との関係を示す。同図に示す例は、シール部材9,10による隙間量を、0.1mm、0.2mm、0.5mmに管理した例であるが、同図に示すように、吸引量が20[Nl/min]以下において、隙間を小さく管理した場合の方が発塵量を少なくすることができることがわかる。これにより、この直動案内装置10によれば、シール部材9,10がない場合に比べて、同じ吸引能力であっても発塵量をより低く抑えることができる。
以上説明したように、この直動案内装置10によれば、スライダ2の内部で発生する塵埃をより確実に吸引することができる。なお、本発明に係る直動案内装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記第一実施形態では、一方のエンドキャップ7側面に開口部21を形成し、吸引穴20の横穴20aをスライド方向に沿って形成して開口部21に連通させ、連結継手30、チューブ40等の気体吸引手段に接続した例で説明したが、これに限定されず、例えば図3に示す第二実施形態のように、吸引穴20の横穴20aを幅方向に沿って形成し、スライダ本体5の側面となる袖部(2aまたは2b)に開口部21を形成してこれに気体吸引手段を接続してもよい。
また、例えば図4に示す第三実施形態のように、吸引穴20の横穴20aを設けることなく、スライダ本体5上面に貫通する縦穴20bのみによって吸引穴20を構成し、このスライダ本体5を装着するテーブル部材50に開口部21を形成してこれに連結継手30、チューブ40等の気体吸引手段を接続してもよい。なお、この場合には、テーブル部材50が塵埃の処理機構の気体吸引手段の一部を兼ねた構成となる。
また、例えば図5に示す第四実施形態のように、複数のスライダ2を用いる場合であっても適用可能であり、同図の例では、同図右側のスライダ2については、上記第一実施形態同様の塵埃処理機構を設けている。そして、同図左側のスライダ2については、吸引穴20の横穴20aを長手方向に沿って貫通形成し、両側のエンドキャップ7側面に開口部21を形成して連結継手30をそれぞれに連結している。そして、隣接するスライダ2同士の連結継手30をチューブ42で相互に繋ぐとともに、同図左側の連結継手30にチューブ40を連結してポンプ等の気体吸引手段に接続するように構成している。このような構成であっても、各スライダ2の吸引穴20から塵埃をそれぞれ吸引可能なので、各スライダ2の内部の空間から塵埃を吸引することができる。
さらには、例えば図6に示す第五実施形態のように、上記の吸引穴20に加えて、更にスライダ2の左右の袖部2a,2bに対して、袖部用吸引穴22を設けるようにしてもよい。
この袖部用吸引穴22は、転動体3の転動する転動体転動路12(両転動体転動溝4,6)の近傍に開口させた袖部用横穴(溝)22aと、この袖部用横穴22aに連通するとともに、上記の横穴20aにも連通するように形成された袖部用縦穴22bとからなる。このような構成であれば、構成は複雑にはなるものの、塵埃の発生部となる転動体転動路12の近傍からの吸引が可能となるので、塵埃をより確実に吸引する上で好適である。
1 案内レール
2 スライダ
3 転動体
4 転動体転動溝
5 スライダ本体
6 転動体転動溝
7 エンドキャップ
8 方向転換路
10 直動案内装置
11 転動体戻し通路
12 転動体転動路
14 ラビリンスシール(シール部材)
16 アンダーシール(シール部材)
20a 横穴
20b 縦穴
20 吸引穴
21 開口部
25 給脂口
22a 袖部用横穴
22b 袖部用縦穴
22 袖部用吸引穴
30 連結継手(気体吸引手段)
40、42 チューブ(気体吸引手段)
50 テーブル部材

Claims (2)

  1. 案内レールと、該案内レール上に跨設されるスライダとを備え、前記スライダが、スライダ本体と、その両端面部に装着される一対のエンドキャップとを有し、自身左右の袖部に転動体を介して前記案内レール上をスライド移動する直動案内装置であって、
    前記スライダ外面に気体吸引手段を接続可能な開口部と、該開口部に連通して前記スライダ本体に形成された吸引穴とを備え、当該吸引穴は、前記スライダ本体にその中央の位置まで穿孔され、その中央の位置において前記案内レールの側に開口されていることを特徴とする直動案内装置。
  2. 前記スライダのスライド移動方向の端面および袖部下部のスライダと案内レールとの間の隙間ができる部分に、その隙間を小さくするように取り付けられたシール部材を有することを特徴とする請求項1に記載の直動案内装置。
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