JP2011089221A

JP2011089221A - ワイヤロープ

Info

Publication number: JP2011089221A
Application number: JP2009242464A
Authority: JP
Inventors: Toru Morino; 徹森野; Takashi Maekawa; 貴志前川; Yasuhiro Ogawa; 泰寛小川
Original assignee: Tesac Wirerope Co Ltd
Current assignee: Tesac Wirerope Co Ltd
Priority date: 2009-10-21
Filing date: 2009-10-21
Publication date: 2011-05-06
Anticipated expiration: 2029-10-21
Also published as: JP4989703B2

Abstract

【課題】紡績糸と合成繊維糸との混合芯綱とすることにより、潤滑油の含浸性、保油性、可撓性、耐疲労性に優れると共に、ワイヤロープの変形などがなく、長期間にわたって使用することが可能なワイヤロープを提供する。
【解決手段】内部に潤滑油が含浸された芯綱２と、その芯綱２の外周に撚り合わせてなる複数本のストランド３………３からなるワイヤロープ１である。芯綱２は紡績糸を撚り合わせた内部芯２ａと、該内部芯２ａの外周に合成繊維糸を撚り合わせた外部芯２bとで構成する。
【選択図】図１

Description

本発明は、紡績糸と合成繊維糸との混合芯綱からなるワイヤロープに関し、さらに詳しくは、エレベーター、リフト、クレーンなどに使用するのに好適なワイヤロープに関するものである。

エレベーターやリフトなどのワイヤロープには、通常、中心部に潤滑油を含浸させた芯綱が配されており、ロープに大きな張力がかかったり、屈曲したりすると、芯綱から潤滑油が滲出し、滲出した潤滑油は素線である鋼線に付着して発錆や腐蝕、摩耗の増大を防ぐと共に、シーブに巻付けられる柔軟性や耐疲労性の向上を図っている。

その芯綱は、芯綱が金属芯の場合と繊維芯の場合があり、金属芯を用いたワイヤロープは、強度性が高く破断荷重に優れているが可撓性に乏しいため、繰り返し曲げが加わるエレベーター用のロープには適さなかった。

一方、繊維芯を用いたワイヤロープは、破断荷重では金属芯のワイヤロープに劣るが、可撓性の点で格段優れていることから、繰り返して曲げが加わるエレベーター用のロープに適している。

芯綱が繊維芯のものとしては、サイザル麻、マニラ麻ジュート麻などの天然繊維を撚り合わして構成したもの、あるいはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、アラミド繊維などの合成繊維を撚り合わして構成したものが用いられている。

天然繊維の芯綱は、潤滑油の含浸性に優れていることから、充分な油量を吸収するので長い期間にわたって潤滑油を滲出できる利点があり、また、芯綱の外周面に撚り合わせてなるストランドによって受ける大きな圧力に対して、保形性を持つなど長所を有している反面、天然繊維は元来太くて粗剛な短繊維であるため、これを集束撚成して芯綱を作る時に径の寸法にバラツキが生じることがある。芯綱の径の寸法にバラツキが生じると、芯綱の外周面に撚り合わせてあるストランドとの面圧が一定にならず、高い面圧の受ける所が発生して摩滅することになり、その結果、芯綱の径が細くなりやがて断線に至る欠点があった。

一方、合成繊維の芯綱は天然繊維と比べると、軽くて強度があると共に、芯綱の径の寸法にバラツキがなくなり、ロープ全体の撚り形状が正常なワイヤロープになるが、潤滑油の含浸性が悪く吸収量が少ないことから、比較的短期間のうちに消失することになり、長期間にわたって使用するワイヤロープの使用には適していなかった。

これらを解消するものとして、例えば、第４図に示すように、ワイヤロープ１１の中心部に硬質の繊維芯１２を配し、その硬質の繊維芯１２の外周面に鋼撚り線１３を撚り合わして芯綱としたワイヤロープが提案されている（例えば、特許文献１参照）。

特開平８−７４１９０号公報

しかしながら、上記の特許文献１は、硬質の繊維芯１２の外周面に撚り合わせてなる鋼撚り線１３を配してあるから、曲げに対する柔軟性に欠けるといった問題点があった。

本発明は、上記のような問題点を解決することを課題として研究開発されたもので、天然繊維または合成繊維による単独の芯綱でなく、紡績糸と合成繊維糸との混合芯綱とすることにより、潤滑油の含浸性、保油性、可撓性、耐疲労性に優れると共に、ワイヤロープの変形などが小さく、長期間にわたって使用することが可能なワイヤロープを提供することを目的とするものである。

上記の課題を解決しその目的を達成する手段として、本発明は、内部に潤滑油が含浸された芯綱と、その芯綱の外周に撚り合わせてなる複数本のストランドからなるワイヤロープであって、前記芯綱は紡績糸を撚り合わせた内部芯と、該内部芯の外周に合成繊維糸を撚り合わせた外部芯とで構成したことを特徴とするワイヤロープを開発し、採用した。

本発明によれば、芯綱を内部芯と外部芯の複合層に形成し、含浸性の良好な紡績糸を内部芯としてあるから、潤滑油を充分に吸収することができ、長期間にわたって潤滑油を滲出することができる。また、内部芯が合成繊維糸の外部芯で覆われているから、潤滑油が多量に滲出するのを制御し保油性にも優れている。さらに、芯綱は外部芯の内部に内部芯が配されているから、型崩れを起こすことなく形態保形性がよい。また、芯綱の径が均一な径になり、ワイヤロープの径のバラツキがなくなることから、使用中における摩擦抵抗の増大による局部摩耗などの原因をつくることがない。

本発明の実施形態を示すワイヤロープの断面図である。芯綱の簡略斜視図である。芯綱の拡大断面図である。従来のワイヤロープの断面図

以下に、本発明の実施の形態を添付の図１〜図３に基づいて説明する。図１は本発明の実施例を示すワイヤロープの断面図、図２はワイヤロープの中心部に組み込まれる前の芯綱の簡略斜視図、図３は芯綱の拡大断面図である。ワイヤロープ１は、例えば８×Ｓ（１９）の構造のものが使用され、中心部に配される芯綱２と、その芯綱２の外周面に撚り合わせる複数本のストランド３………３とで構成されている。

前記芯綱２は繊維芯であり、吸水性がないか非常に少ないもの、例えば、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアラミド系などから選ばれた合成繊維の多数本を３つ打ちして作られている。

この芯綱２は、合成繊維紡績糸または天然繊維紡績糸からなる内部芯２ａの外周に合成繊維糸を撚り合わせてなる外部芯２ｂとの混合芯綱で構成されている。内部芯２ａは７本のポリプロピレン紡績糸を撚り合わせて形成してあり、その外周面に７本のポリプロピレン糸を撚り合わせて外部芯２ｂが形成されている。そして、芯綱２の外周面に１９本の鋼線を撚り合わせたストランド３を配し、芯綱２の外周面に８本配置されて撚り合わされてワイヤロープ１を形成してある。

このように構成された本発明の実施形態におけるワイヤロープ１の使用態様を作用、効果と共に説明すると、エレベーターのロープとして使用すると、芯綱２を構成する７本のポリプロピレン紡績糸を撚り合わせて形成した内部芯２ａが、紡績糸であり毛羽を有しているから、潤滑油の吸収がよくなり吸収量が増す。その内部芯２ａはポリプロピレン糸の外部芯２ｂで外周部を撚り合わされているから、大きな張力がかかったとしても、潤滑油は多量に滲出することがなく、制御されて適量滲出することになり、長きにわたってストランドに油を付着でき、発錆、腐食、磨耗を防ぐことができると共に、潤滑性、柔軟性も保持できる。

また、外部芯２ｂは７本のポリプロピレン糸を撚り合わせて形成したものであるから、天然繊維などに比べて丈夫で耐久性があり、かつその内部に内部芯２ａが存在することにより、潤滑油が滲出して長い期間にわたって芯綱の形態保形性を保つことができる。

さらに、芯綱２は７本のポリプロピレン紡績糸の内部芯２ａと、７本のポリプロピレン糸の外部芯２ｂとの混合芯綱であり、潤滑油の含浸量及び保有量が増大する。

以上、本発明の実施の形態については、ワイヤロープを８×Ｓ（１９）の構造のもので説明したが、これに限定されるものではなく、各種の構造のものでもよく、本発明の目的を達成でき、かつ本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の設計変更が可能であるのは言うまでもない。

本発明は、エレベーター、リフト、クレーンなどのワイヤロープとして好適に利用できるものである。

１ワイヤロープ
２芯綱
２ａ内部芯
２ｂ外部芯
３ストランド

Claims

内部に潤滑油が含浸された芯綱と、その芯綱の外周に撚り合わせてなる複数本のストランドからなるワイヤロープであって、前記芯綱は紡績糸を撚り合わせた内部芯と、該内部芯の外周に合成繊維糸を撚り合わせた外部芯とで構成したことを特徴とするワイヤロープ。