JP2011089170A - モータコア - Google Patents

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Abstract

【課題】圧縮応力の存在下においても高周波鉄損特性の劣化が小さいモータコアを提供する。
【解決手段】ステータ周方向に相当する方向(例えば圧延方向に直角な方向)の磁歪定数が−0.1×10−7以下であり、mass%で、Si:6.6%超10%以下、Al:1%以下、Mn:0.05〜2%、S:0.005%以下、N:0.005%以下を含有し、または、Ni:30〜45%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼板を、コア周方向の圧縮応力が10MPa以上となるように用いてなるモータコア。
【選択図】図1

Description

本発明は、家庭用エアコンのコンプレッサーモータやハイブリッド電気自動車(EV;Electric Vehicle)の駆動モータや発電機(以降、単に「モータ」という。)などに用いられるモータコアに関し、具体的には、圧縮応力の存在下においても鉄損の増加が小さいモータコアに関するものである。
家庭用エアコンのコンプレッサーモータは、基本波周波数が50〜300Hz程度で可変速運転が行われており、さらに、最近では、PWM(Pulse Width Modulation)方式のインバータ制御等のため、数kHzのキャリア周波数を重畳した状態で使用されている。また、最近、急速に普及しているハイブリッド電気自動車の駆動モータも、高出力化や小型化を図る観点から、数kHzの周波数で駆動されている。
上記モータのステータ(固定子)やロータ(回転子)等に用いられるコア材(電磁鋼板)には、エネルギー効率を向上する観点から、鉄損が低いことが求められている。そこで、上記モータのコア材には、使用される高周波域における鉄損を低減するために、SiとAlを合計で3〜4mass%程度添加した高グレードの無方向性電磁鋼板が使用されている。
ところで、エアコンのコンプレッサーモータやハイブリッド電気自動車のモータでは、モータコアのステータをハウジングに固定する方法として、焼き嵌め法や圧入法が採用されており、これに起因して、ステータの円周方向には30〜150MPa程度の圧縮応力が発生する。また、ハイブリッド電気自動車の駆動モータには、一般に樹脂モールドが施されるため、やはりモータコアには圧縮応力が加わることとなる。このような圧縮応力の存在下では、コアを構成する電磁鋼板の磁気特性が大きく劣化する(鉄損が増加する)ことが知られており、圧縮応力による鉄損劣化が小さい電磁鋼板の開発が望まれている。
圧縮応力下での鉄損特性を改善した材料としては、例えば、特許文献1には、Si:2.6〜4mass%を含有し、比抵抗が50〜75×10−8Ωm、平均結晶粒径が60μm超165μm以下で、平均鉄損値W15/200が16W/kgである無方向性電磁鋼板が開示されている。
特許第4023183号公報
しかしながら、特許文献1の無方向性電磁鋼板は、現在市販されている高グレード電磁鋼板と同様の固有抵抗、結晶粒径であるため、この材料を用いてモータコアを製造したとしても、圧縮応力による鉄損劣化の程度は従来材と大きく異なるものではなく、より応力依存性を小さくする技術の開発が求められている。
そこで、本発明の目的は、圧縮応力の存在下においても高周波鉄損特性の劣化が小さいモータコアを提供することにある。
上述したように、家電用エアコンのコンプレッサーモータやハイブリッド電気自動車のモータ等では、ステータコアを焼き嵌め法や圧入法でハウジングに固定しているため、コアの周方向には30〜150MPa程度の圧縮応力が発生し、鉄損が増加し、モータ効率を低下させる原因となっている。
そこで、発明者らは、電磁鋼板の鉄損の応力依存性について検討したところ、圧縮応力下では、鋼板のヒステリシス損が増加するだけでなく、渦電流損も増加することが明らかとなった。前述したように、コンプレッサーモータやハイブリッド電気自動車のモータ等は、単に高周波域で駆動されるだけでなく、インバータ制御等のために数kHzの高調波も重畳した状態で使用されている。したがって、斯かるモータの高周波域での渦電流損の増加を抑制することは極めて重要となる。
さらに、発明者らは、圧縮応力下で渦電流損が増加する原因について検討したところ、材料に圧縮応力が付与されると、この圧縮応力を緩和するために磁化ベクトルが鋼板板面方向に向くが、モータ稼動時には、それを矯正するために渦電流が板面内を流れるためであることを突き止めた。そして、圧縮応力による磁化ベクトルの鋼板板面方向への配向を抑制し、渦電流損の増加を低減するには、圧縮応力を受ける方向のコア材の磁歪定数を負とし、−0.1×10−7以下の負の値としてやることが有効であること、そして、上記磁歪特性を有するコア材を適正に用いることにより、焼き嵌め等による圧縮応力下でも鉄損劣化が小さいモータを実現できることを見出し、本発明を開発した。
すなわち、本発明は、ステータ周方向の圧縮応力が10MPa以上であるモータコアにおいて、上記ステータに用いる鋼板は、ステータ周方向に相当する方向の磁歪定数が−0.1×10−7以下であり、Si:6.6mass%超10mass%以下、Al:1mass%以下、Mn:0.05〜2mass%、S:0.005mass%以下、N:0.005mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものであることを特徴とするモータコアである。
また、本発明は、ステータ周方向の圧縮応力が10MPa以上であるモータコアにおいて、上記ステータに用いる鋼板は、ステータ周方向に相当する方向の磁歪定数が−0.1×10−7以下であり、かつ、Ni:30〜45mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものであることを特徴とするモータコアである。
本発明のモータコアは、上記鋼板における圧延方向に直角な方向をコア周方向とすることを特徴とする。
本発明によれば、圧縮応力下においても高周波鉄損の小さいモータコアを提供することができる。したがって、本発明のモータコアは、焼き嵌めや圧入あるいは樹脂モールド等によって圧縮力が付与された状態で使用されるエアコンのコンプレッサーモータやハイブリッド電気自動車の駆動モータ、燃料電池自動車(FCEV)の駆動モータ、高速発電機の高周波回転機等の素材として好適に用いることができる。
磁歪が、鋼板の鉄損特性およびモータ効率に及ぼす影響を示すグラフである。
まず、本発明のモータコアが有すべき磁歪特性について説明する。
磁歪定数λ10/400:−0.1×10−7以下
本発明のモータコアに用いる鋼板は、ステータ周方向に相当する方向の磁歪定数λ10/400が−0.1×10−7以下の負の値であることが必要である。ここで、上記磁歪定数λ10/400は、コア材料(電磁鋼板)から、ステータ周方向に相当する方向、例えば鋼板の圧延方向に直角な方向が長さ方向になるようにして幅30mm×長さ280mm×板厚の試験片を切り出し、400Hz、1.0Tで励磁した時の圧延方向に直角な方向の歪をレーザー変位計で測定してバタフライカーブを描かせたときの1.0Tの歪から0Tの歪を差し引いた値である。
ここで、上記磁歪の測定方向を、圧延方向と直角の方向とした理由は、通常、コア材(電磁鋼板)からの分割コア(ステータ)の切り出しは、鋼板の圧延方向に直角な方向がバックヨークの方向(ステータ周方向)となるように行われるため、焼き嵌め等により発生する圧縮応力の方向は、鋼板の圧延方向に直角な方向となるからである。
図1は、種々のSi含有量の電磁鋼板(板厚0.10mm)における圧延方向に直角な方向の磁歪定数と、その鋼板の圧延方向に直角な方向に50MPaの圧縮応力を付与したときの鉄損値W4/4k、およびその鋼板を用いて実機モータを作製し、トルク1Nmで、6000rpmで回転させたときのモータ効率との関係を示したものである。
ここで、上記モータは、ステータ外形:100mmφ、ロータ外形:70mmφ、積み厚:60mmの大きさの8極、12スロットのIPMモータ(内部磁石埋込型モータ)であり、上記モータのステータは、12分割の分割コアとし、上記鋼板の圧延方向に直角な方向がステータの周方向(ティースの長さ方向が圧延方向)となるように用いたものである。また、コア(ステータ)のハウジングへの固定は、焼き嵌め代を50μmとし、コアバック中央部の周方向に約50MPaの圧縮応力を発生させるようにした。
図1から、圧延方向に直角な方向(ステータの周方向)の磁歪定数λ10/400が−0.1×10−7以下の負の値であれば、圧縮応力下での高周波鉄損が低くなり、モータ効率も向上していることがわかる。なお、上記測定で鉄損をW4/4kで評価した理由は、高周波モータの使用周波数が4kHz程度であるからである。また、磁歪定数λとして400Hzでの値を用いた理由は、本来なら4kHzで測定すべきであるが、4kHzでの磁歪の測定は極めて難しく、正確に測定可能な最も高い周波数が400Hz程度であるためである。
図1のように、磁歪定数が鉄損特性およびモータ効率に影響を及ぼす原因について、発明者らは以下のように考えている。
通常の電磁鋼板のように、磁歪定数が大きな正の値である鋼板の場合には、圧延方向に直角な方向に圧縮応力が付与されると、磁化ベクトルは鋼板板面方向を向くように変化する。そして、これを磁化したときには、上記磁化ベクトルを磁化方向に向かせるための渦電流が鋼板板面内に流れて、無応力の状態に比べて渦電流損が増加する。一方、磁歪定数が負の値である鋼板の場合には、圧延方向に直角な方向への圧縮応力の付与により、磁化ベクトルは圧縮応力方向を向くため、渦電流は板厚断面内で流れて、圧縮応力による渦電流損の増大が抑制される。
次に、モータコア材(電磁鋼板)の圧延方向に直角な方向の磁歪定数を、上記のように−0.1×10−7以下の負の値とする方法について説明する。
鋼板の圧延方向に直角な方向の磁歪序数を負の値とする方法は、どのような方法でもよく、例えば、Siを6.6mass%超え添加した鋼を素材として電磁鋼板を製造する方法がある。ただし、後述するように、Siの10mass%を超える添加は、磁束密度の低下を真招くので、上限は10mass%とする必要がある。
また、Si以外に、磁歪定数を負とする効果のある元素としては、Niがあり、Niを30mass%以上添加することにより、負磁歪を達成することができる。
ところで、電磁鋼板の製造において、連続焼鈍ライン等で仕上焼鈍する場合には、一般に、鋼板の蛇行を防止する観点から、鋼板の長手方向(圧延方向)に張力を付与しつつ通板しているが、このときの張力は、鋼板の板幅方向(圧延方向に直角方向)に圧縮応力を発生させる。
発明者らは、上記鋼板に付与する引張張力が、鋼板の磁歪特性に及ぼす影響について詳細に調査した。その結果、鋼板の板幅方向に圧縮応力を付与した状態で仕上焼鈍を行うと、焼鈍後の鋼板の磁区形態が張力のない場合と比べて異なるものとなり、圧延方向に直角な方向の磁歪定数が大きな正の値となること、したがって、張力付与による弊害を防止し、圧延方向に直角な方向の磁歪定数を−0.1×10−7以下の負の値にするには、仕上焼鈍時の鋼板張力を1.96MPa以下に低減してやる必要があることを見出した。
なお、上記SiやNiが磁歪特性に及ぼす影響と、仕上焼鈍時の張力が磁歪特性に及ぼす影響は独立別個であり、たとえSiやNiの含有量を適正範囲に制御したとしても、仕上焼鈍時の張力が不適切であれば、鋼板の圧延方向に直角な方向の磁歪定数を上記範囲とすることはできない。したがって、素材の成分組成を適正範囲に制御した上で、なおかつ、仕上焼鈍時の鋼板張力を適正範囲に制御してやることが必要である。
次に、本発明のモータコアに用いる電磁鋼板(モータコア材)が有すべき成分組成について説明する。
本発明のモータコアに用いるコア材は、圧延方向に直角方向の磁歪定数λ10/400が−0.1×10−7以下の負の値を示すものであれば、成分系はどのようなものでも構わないが、例えば、鋼素材がSi添加鋼である場合には、以下の成分組成を有するものであることが好ましい。
Si:6.6mass%超10mass%以下
Siは、鋼の固有抵抗を高めるのに有効な元素であるが、10mass%を超えて添加すると、飽和磁束密度の低下に伴い、磁束密度も低下する。一方、Si含有量が6.6mass%以下では、磁歪定数が上昇して正の値を示すようになる。よって、Siは6.6mass%超10mass%以下の範囲とする。好ましくは、6.6mass%超7.5mass%以下の範囲である。
Al:1mass%以下
Alは、Siと同様、固有抵抗を高めるのに有効な元素であるが、1mass%を超えて添加すると、磁歪定数を負とするためのSi添加量が増加し、コア材の脆化を招く。よって、上限は1mass%とするのが好ましい。より好ましくは、0.8mass%以下である。
Mn:0.05〜2mass%
Mnは、S等による赤熱脆性を防止するために必要な元素であり、0.05mass%以上添加するのが好ましい。一方、2mass%を超えて添加すると、磁歪定数を負とするためSi添加量が増加し、コア材の脆化を招く。よって、上限は2mass%とするのが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.5mass%の範囲である。
S:0.005mass%以下
Sは、不可避的に混入してくる不純物であり、含有量が多くなると、硫化物が多量に形成されて、鉄損が増加する原因となる。よって、本発明では、上限を0.005mass%とするのが好ましい。
N:0.005mass%以下
Nは、Sと同様、不可避的に混入してくる不純物であり、含有量が多いと窒化物が多量に形成されて、鉄損が増加する原因となるため、上限は0.005mass%とするのが好ましい。
鋼素材としてSi添加鋼を用いる場合、上記成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記以外の成分の添加を拒むものではない。
また、本発明のモータコアに用いるコア材は、上述したSi添加鋼以外に、下記のNi添加鋼を鋼素材として用いてもよい。
Ni:30〜45mass%
Niは、Siと同様、鋼の磁歪定数を負とする元素であり、斯かる効果を得るためには、30mass%以上の添加が必要である。しかし、45mass%を超えて添加すると、負の磁歪定数とすることが難しくなり、また、Niは高価な元素であるため、製造コストが極めて高いものとなってしまう。よって、Ni添加鋼を用いる場合は、30〜45mass%の範囲とする。好ましくは、Niは35〜45mass%の範囲である。
なお、鋼素材としてNi添加鋼を用いる場合のNi以外の残部は、Si添加鋼と同様、Al:1mass%以下、Mn:0.05〜2mass%、S:0.005mass%以下、N:0.005mass%以下を含有し、その他はFeおよび不可避的不純物であることが好ましい。ただし、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記以外の成分の添加を拒むものではないことは勿論である。
次に、本発明のモータコアに用いるコア材の製造方法について説明する。
本発明のモータコアに用いるコア材(電磁鋼板)の製造方法は、鋼板の圧延方向に直角な方向の磁歪λ10/400が−0.1×10−7以下の負の値が得られればいずれの方法でもよく、例えば、転炉や電気炉等で鋼を溶製し、あるいはさらに脱ガス処理等の二次精錬を施して上述した所定の成分組成に調整し、鋳造して鋼スラブとし、次いで、その鋼スラブを熱間圧延し、一回の冷間または温間圧延、もしくは、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間および/または温間圧延により所定の板厚とし、その後、仕上焼鈍を行うことにより製造することができる。なお、上記熱間圧延における圧延温度や巻取温度は、通常公知の条件であればよく、特に制限はない。また、熱間圧延後の熱延板焼鈍は、必要に応じて行うことができる。
ただし、Siを多量に添加した鋼は、硬くて脆いため、圧延して所定の板厚の鋼板とすることが難しくなる。そこで、Si添加鋼を鋼素材として用いる場合には、製造性を改善するため、最終板厚に冷間圧延するまでの上流工程を、例えばSi≦4mass%の低Si材として製造し、その後、1000〜1250℃に加熱し、四塩化珪素(SiCl)を含む雰囲気ガスと接触させて浸珪処理し、さらに必要に応じて1000〜1400℃でSiの拡散処理を施して、所定量のSiを含有させる方法を採用してもよい。
また、連続焼鈍ライン等の連続ラインで仕上焼鈍を行う場合は、鋼板の圧延方向に直角な方向の磁歪定数を−0.1×10−7以下の負の値とするため、800℃以上の温度域における鋼板張力を1.96MPa以下として焼鈍することが好ましい。ここで、上記仕上焼鈍とは、最終板厚に冷間または温間圧延した後の600℃以上に加熱する最終の焼鈍を意味し、浸珪処理を施す場合には浸珪処理を、さらに拡散処理を施す場合には拡散処理を意味する。
なお、本発明に用いるモータコア材は、板厚については特に制限はないが、高周波鉄損を低減するという本発明の目的からは0.35mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましい。一方、板厚の下限は、生産性を確保する観点から、0.05mm以上であるのが好ましい。
次に、本発明のモータコアについて説明する。
本発明のモータコアに用いるコア材は、圧縮応力の存在下において、1kHz以上の高周波域でも低い鉄損を示すので、高周波用モータのコアに好適に用いることができる。ここで、上記1kHz以上の高周波とは、基本波周波数が1kHz以上である場合のほか、キャリア周波数が1kHz以上である場合をも含むものである。
ただし、本発明のモータコアに上記モータコア材を用いる場合には、鋼板の低磁歪定数の方向と使用時に受ける圧縮応力の方向とを揃えることが必要であり、例えば、低磁歪定数となる方向(例えば、鋼板の圧延方向に直角な方向)を、ステータの周方向とを揃えることが必要である。したがって、本発明では分割コアとし、ステータの周方向が全周にわたって圧延と直角な方向(ティースの長さ方向が圧延方向と平行)となるようにして用いるのが好ましい。ただし、圧延直角方向以外の磁歪定数も−0.1×10−7以下の負の値であれば、分割コア以外の一体型のモータコアとして、焼きばめ等の圧縮応力が付与されるモータに用いてもよいことは勿論である。
また、モータコアをハウジングに固定する際には、焼き嵌め法または圧入法によって、ステータの円周方向に10MPa以上の圧縮応力を発生させることが必要である。10MPa未満では、十分な固定力が得られないからである。例えば、焼き嵌め法で固定する場合には、焼き嵌め代を50μm程度とすれば、ステータのコアバック中央部の円周方向には約50MPaの圧縮応力を発生させることができる。ただし、圧縮応力が大きくなると、焼き嵌めや圧入が難しくなるだけでなく、鉄損が増大し、モータ効率も大きく低下するようになるので、上限は200MPa程度とするのが好ましい。
通常公知の転炉−脱ガス処理プロセスで、表1に示した成分組成からなる鋼を溶製し、鋳造して鋼スラブとした。なお、No.1〜14は溶製時のSi含有量を3mass%とした。次いで、上記鋼スラブを1140℃×1hr加熱後、仕上圧延終了温度を800℃とする熱間圧延で板厚2.0mmの熱延板とし、610℃で巻取り、1000℃×30secの熱延板焼鈍を施した。その後、上記熱延板を酸洗し、表1に示した板厚まで冷間圧延した。次いで、No.1〜14の鋼板については、1150〜1200℃に加熱し、四塩化珪素(SiCl)含有雰囲気ガス中で浸珪処理し、1200℃で拡散処理(仕上焼鈍)して、表1に示したSi含有量の電磁鋼板とした。また、No.15〜17については、冷間圧延後に1000℃で仕上焼鈍を施した。
なお、上記浸珪処理、拡散処理および仕上焼鈍における800℃以上での鋼板張力は、表1に示したように0.98〜4.90MPaの間で変えて、鋼板の圧延方向に直角な方向の磁歪特性を変化させた。
上記表1に示した各種電磁鋼板について、以下の試験に供した。
<磁歪測定>
上記電磁鋼板から、圧延方向に直角な方向が長さ方向になるようにして幅30mm×長さ280mm×板厚の試験片を切り出し、無応力の状態において、周波数400Hz、最大磁束密度1.0Tで励磁した時の圧延方向に直角な方向の歪をレーザー変位計で測定してバタフライカーブを描かせ、1.0Tの歪量から0Tの歪量を差し引いて、磁歪λ10/400を求めた。
<モータ効率>
上記電磁鋼板をステータの材料として用いて、ステータ外形:100mm、ロータ外形:70mm、積み厚:60mmで、8極、12スロットの内部磁石埋込型モータ(IPMモータ)を作製し、トルク1Nmにて6000rpmで回転させたときのモータ効率を測定した。なお、上記ステータは、鋼板の圧延方向に直角な方向がステータ周方向(圧延方向がティースの長さ方向)となるように用いた12分割の分割コアであり、このステータコアをハウジングに固定する際の焼き嵌め代は、ステータ周方向の圧縮応力が50MPaとなるように調整した。なお、圧縮応力は、歪みゲージを用いて測定した。
<磁気特性>
上記電磁鋼板から、圧延方向に直角な方向が長さ方向になるようにして幅30mm×長さ280mm×板厚の試験片を切り出し、上記モータのステータ周方向の圧縮応力と同じ大きさ(50MPa)の圧縮応力を付与しつつ、圧縮応力付与方向の鉄損W4/4k(周波数4000Hz、最大磁束密度0.4Tのときの鉄損)およびB50(磁界の強さ5000A/mにおける磁束密度)を測定した。
上記測定の結果を、表1に併記して示した。この結果から、本発明に適合する磁歪特性を有する電磁鋼板(コア材料)を、本発明に適合する条件下で用いてモータコアを作製することにより、低鉄損かつ高効率の高周波用モータを実現できることがわかる。
Figure 2011089170
上記表1に示したNo.1,3および6の電磁鋼板を用いて、実施例1と同じIPMモータを作製し、実施例1と同様にして、モータ効率を測定した。なお、上記モータの作製に当たっては、ステータコアをハウジングに固定する際の焼き嵌め代を種々変えることによりステータ周方向の圧縮応力を表2に示したように0〜70MPaの範囲で変化させた。また、鋼板の磁気特性は、上記モータのステータ周方向に発生させた圧縮応力と同じ大きさの圧縮応力を付与しつつ、実施例1と同様にして圧縮応力付与方向の鉄損W4/4k(周波数4000Hz、最大磁束密度0.4Tのときの鉄損)およびB50(磁界の強さ5000A/mにおける磁束密度)を測定した。
上記測定の結果を表2に併記した。この結果から、本発明に適合するコア材をステータに用いると共に、その周方向の圧縮応力を10MPa以上200MPa以下としてハウジングに強固に固定することにより、高効率の高周波モータを実現できることがわかる。
Figure 2011089170
本発明の技術は、ハイブリッド電気自動車の駆動モータ、発電機やエアコンのコンプレッサーモータ、工作機械の主軸モータ等の焼き嵌め固定される高速モータに適用することができる。

Claims (3)

  1. ステータ周方向の圧縮応力が10MPa以上であるモータコアにおいて、上記ステータに用いる鋼板は、ステータ周方向に相当する方向の磁歪定数が−0.1×10−7以下であり、Si:6.6mass%超10mass%以下、Al:1mass%以下、Mn:0.05〜2mass%、S:0.005mass%以下、N:0.005mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものであることを特徴とするモータコア。
  2. ステータ周方向の圧縮応力が10MPa以上であるモータコアにおいて、上記ステータに用いる鋼板は、ステータ周方向に相当する方向の磁歪定数が−0.1×10−7以下であり、かつ、Ni:30〜45mass%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するものであることを特徴とするモータコア。
  3. 上記鋼板における圧延方向に直角な方向をコア周方向とすることを特徴とする請求項1または2に記載のモータコア。
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