JP2011089047A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】疎水性球状シリカ微粒子が凝集体を生じることなく均一に分散した機械的強度、難燃性、撥水性、線膨張係数に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と、ゾル−ゲル法によって得られた粒径100nm未満の粒子を含まない表面処理された疎水性球状シリカ微粒子とを含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】熱可塑性樹脂と、ゾル−ゲル法によって得られた粒径100nm未満の粒子を含まない表面処理された疎水性球状シリカ微粒子とを含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱可塑性樹脂と疎水性球状シリカ微粒子とを含有してなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
PET、ポリカーボネート、PMMA、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂は、優れた透明性、力学特性、成形性などを利用して幅広い範囲で工業的に利用されている。
一方、有機高分子の諸物性を向上させる手法として、有機高分子の特徴である柔軟性、低密度や成形性などを保持しつつ、無機化合物の特徴である高強度、高弾性率、耐熱性、透明性などを併せ持つ有機−無機ハイブリッドポリマー材料の研究が知られている。
一般に、有機−無機ハイブリッド高分子材料の調製方法には、有機重合体に側鎖としてアルコキシシランのような無機官能基を結合させ、その後、これを架橋させる方法などが知られている。
疎水性有機重合体を用いた有機−無機ハイブリッド高分子材料の報告の中でも、ポリカーボネートやポリアリレートを用いた有機−無機ハイブリッド高分子材料が報告されており、主骨格にポリカーボネートやポリアリレート部分を有し、末端に金属アルコキシド基を有する重合体を、金属アルコキシドの存在下もしくは非存在下にゾル−ゲル法によって架橋することにより、優れた表面硬度や耐熱性及び機械的強度を有する有機−無機ハイブリッド高分子材料が得られると記載されている(例えば、特許文献1:特開平11−209596号公報及び特許文献2:特開平11−255883号公報参照)。
しかし、上記の方法では、末端に金属アルコキシドを有するプリカーサーを調製する必要があり、既存のポリカーボネートに適用できず、コスト的に高いものとなってしまう。
しかし、上記の方法では、末端に金属アルコキシドを有するプリカーサーを調製する必要があり、既存のポリカーボネートに適用できず、コスト的に高いものとなってしまう。
また、有機−無機ハイブリッド高分子材料の別の調製方法として、直接、無機フィラーをポリマーに添加する方法が知られているが、そのフィラーの分散不良のため、外観を損ね、機械的物性が低下するという問題があった。これを解決する手段として、無機フィラーを微粒子化することで、外観及び機械的物性を向上させることが検討されているが、微粒子が凝集してしまうため、ポリマー中に均一に分散させることが困難であることが知られている。
一方で、近年、様々な形態を有するシリカの報告がなされている。シリカ多孔体の製造方法としては、シリカ原料及び界面活性剤から細孔径の均一なシリカ多孔体の製造方法が記載されている(例えば、非特許文献1:[C.T.Kresge,et al.,J.Am.Chem.Soc.,114,10834(1992)]頁10834、特許文献3:米国特許第5256277号明細書及び特許文献4:米国特許第5334368号明細書参照)。
また、層状ケイ酸塩及び界面活性剤からのシリカ多孔体の製造方法が開示されている(例えば、非特許文献2:[S.Inagaki,et al.,Bull.Chem.Soc.Japan,69,1449(1996)]頁1449、非特許文献3:[H.Hata,et al.,Chem.Mater.,11,1110(1999)]頁1112及び特許文献5:特開平8−992号公報参照)。更に、界面活性剤からシリカナノチューブが得られるとの報告がある(例えば、非特許文献4:[M.Adachi,et al.,Langmuir,16,2376(2000)]頁2377参照)。このように、界面活性剤を用いることにより、さまざまなシリカのデザインがなされている。
しかし、これらの材料は主に物質の吸着或いは貯蔵のために用いられており、無機フィラーとして用いることはなされていない。
そこで、界面活性剤存在下にゾル−ゲルシリカ微粒子を製造し、これを有機溶剤分散液でポリカーボネート樹脂に添加、成型する方法も検討されている(例えば、特許文献6:特開2004−107470号公報参照)。
しかし、シリカ分散後の樹脂の透明性を高める上で、より細粒径化が求められているが、粒子径が100nm以下になると凝集力が強くなるため樹脂内で凝集体を生じてしまい、逆に透明性、機械的強度を悪化させてしまう。
しかし、シリカ分散後の樹脂の透明性を高める上で、より細粒径化が求められているが、粒子径が100nm以下になると凝集力が強くなるため樹脂内で凝集体を生じてしまい、逆に透明性、機械的強度を悪化させてしまう。
更に、ドライブレンドする際には、近年100nm未満のナノマテリアルによる安全性が懸念されていて、(財)産業総合研究所からも、注意喚起の意見が出されている。平均粒径の小さいカーボンナノチューブやシリカナノチューブの取り扱いに関して、最近は非常に神経質になりつつある。
[C.T.Kresge,et al.,J.Am.Chem.Soc.,114,10834(1992)]頁10834
[S.Inagaki,et al.,Bull.Chem.Soc.Japan,69,1449(1996)]頁1449
[H.Hata,et al.,Chem.Mater.,11,1110(1999)]頁1112
[M.Adachi,et al.,Langmuir,16,2376(2000)]頁2377
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、疎水性球状シリカ微粒子が凝集体を生じることなく均一に分散した機械的強度、難燃性、撥水性、線膨張係数に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂に100nm未満の粒子を含まない疎水性球状シリカ微粒子を配合することにより、凝集体が生じることなく均一に分散することによって、機械的強度、難燃性、撥水性、線膨張係数に優れる熱可塑性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示す熱可塑性樹脂組成物を提供する。
〔請求項1〕
熱可塑性樹脂と、ゾル−ゲル法によって得られた粒径100nm未満の粒子を含まない表面処理された疎水性球状シリカ微粒子とを含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項2〕
疎水性球状シリカ微粒子の平均粒径が150〜1,000nmであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項3〕
熱可塑性樹脂が99.5〜70質量部、疎水性球状シリカ微粒子が0.5〜30質量部(但し、熱可塑性樹脂と疎水性球状シリカ微粒子の合計は100質量部である。)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項4〕
疎水性球状シリカ微粒子が、親水性球状シリカ微粒子の表面を異なる2種以上の疎水化処理剤で表面処理することにより得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項5〕
疎水性球状シリカ微粒子が、親水性球状シリカ微粒子の表面にR3SiO3/2単位[式中、R3は非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。]を導入した後、トリオルガノシリル基[R5 3SiO1/2単位(式中、R5は同一又は異なり、非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)]を導入するものである請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項6〕
熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂又はスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項1〕
熱可塑性樹脂と、ゾル−ゲル法によって得られた粒径100nm未満の粒子を含まない表面処理された疎水性球状シリカ微粒子とを含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項2〕
疎水性球状シリカ微粒子の平均粒径が150〜1,000nmであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項3〕
熱可塑性樹脂が99.5〜70質量部、疎水性球状シリカ微粒子が0.5〜30質量部(但し、熱可塑性樹脂と疎水性球状シリカ微粒子の合計は100質量部である。)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項4〕
疎水性球状シリカ微粒子が、親水性球状シリカ微粒子の表面を異なる2種以上の疎水化処理剤で表面処理することにより得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項5〕
疎水性球状シリカ微粒子が、親水性球状シリカ微粒子の表面にR3SiO3/2単位[式中、R3は非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。]を導入した後、トリオルガノシリル基[R5 3SiO1/2単位(式中、R5は同一又は異なり、非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)]を導入するものである請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
〔請求項6〕
熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂又はスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂中において疎水性球状シリカ微粒子が凝集体を生じることなく均一に分散しており、機械的強度、難燃性、撥水性、低線膨張係数等の向上が達成されている。また、本発明では100nm未満の粒径の粒子を含まない疎水性球状シリカ微粒子を用いるため、ナノマテリアルに懸念される安全上の諸問題もない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、ゾル−ゲル法によって得られた、粒径100nm未満の粒子を含まない、好ましくは平均粒径が150〜1,000nmの、表面処理された疎水性球状シリカ微粒子とを含有してなるものである。
本発明で使用される疎水性球状シリカ微粒子は、0.1μm(100nm)未満の粒子を含まないものであり、また平均粒径が0.15〜1.0μm(150〜1,000nm)であることが好ましい。疎水性球状シリカ微粒子が、0.1μm未満の粒子を含まないものであると、凝集体が生じることなく均一に分散し、透明性、機械的強度、難燃性、撥水性、低線膨張係数等が良好となる。また、疎水性球状シリカ微粒子の平均粒径が0.15μm未満では100nm未満の粒子が微量含まれることになり、安全性の懸念及び凝集体生成により樹脂組成物の透明性、機械的強度が損なわれる場合があり、平均粒径が1.0μmを超えると、均一分散性が悪くなり、樹脂組成物の透明性も著しく損なうおそれがある。更に、本発明の熱可塑性樹脂の特性を向上させる上で、疎水性球状シリカ微粒子の平均粒径は0.17〜0.5μm(170〜500nm)であることが特に好ましい。
ここで、平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される平均粒子径である。また、本発明においては、これらの測定装置での粒度分布で0.1μm未満の分布が無いこと、及び電子顕微鏡観察においても0.1μm未満の粒子が観察されないことにより、0.1μm未満の粒子を含まないものであるとした。
疎水性球状シリカ微粒子の配合量は、熱可塑性樹脂99.5〜70質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、特に好ましくは熱可塑性樹脂99.0〜80質量部に対し1.0〜20質量部である。配合量が少なすぎると樹脂の特性改善効果が十分でないことがあり、多すぎると経済的に不利となることがある。なお、本発明において、熱可塑性樹脂と疎水性球状シリカ微粒子の合計配合量は100質量部である。
本発明で使用される疎水性球状シリカ微粒子は、ゾル−ゲル法により得られるものであり、ゾル−ゲル法により得られた親水性球状シリカ微粒子表面をシラン化合物やシラザン化合物等の有機ケイ素化合物で表面を疎水化処理したものである。疎水化処理は、異なる2種以上の処理剤で処理することが好ましい。特に、親水性球状シリカ微粒子の表面にR3SiO3/2(モノオルガノシロキシ)単位[式中、R3は非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。]を導入した後、トリオルガノシリル基[R5 3SiO1/2単位(式中、R5は同一又は異なり、非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)]を導入したものが好ましい。
これは、例えば、以下に示す方法で製造される。即ち、親水性球状シリカ微粒子を下記に示す方法で得た後、該親水性球状シリカ微粒子の表面を第1段階の疎水化処理をする工程と、得られる疎水性球状シリカ微粒子の表面をトリオルガノシリル化、即ち、第2段階の疎水化処理をする工程とを有する方法により得られる。
これは、例えば、以下に示す方法で製造される。即ち、親水性球状シリカ微粒子を下記に示す方法で得た後、該親水性球状シリカ微粒子の表面を第1段階の疎水化処理をする工程と、得られる疎水性球状シリカ微粒子の表面をトリオルガノシリル化、即ち、第2段階の疎水化処理をする工程とを有する方法により得られる。
−親水性球状シリカ微粒子の合成−
本発明の疎水性球状シリカ微粒子の製造方法において、親水性球状シリカ微粒子は、4官能性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合生成物から得られるものであり、前記4官能性シラン化合物の加水分解性基としては、例えば、ヒドロカルビルオキシ基、アミノ基、アシルオキシ基、好ましくは、ヒドロカルビルオキシ基、アミノ基、特に好ましくは、ヒドロカルビルオキシ基が挙げられる。前記ヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
本発明の疎水性球状シリカ微粒子の製造方法において、親水性球状シリカ微粒子は、4官能性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合生成物から得られるものであり、前記4官能性シラン化合物の加水分解性基としては、例えば、ヒドロカルビルオキシ基、アミノ基、アシルオキシ基、好ましくは、ヒドロカルビルオキシ基、アミノ基、特に好ましくは、ヒドロカルビルオキシ基が挙げられる。前記ヒドロカルビルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
上記親水性球状シリカ微粒子としては、例えば、下記一般式(1):
Si(OR1)4 (1)
[式中、R1は同一又は異なり、炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。]
で示される4官能性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合生成物を、塩基性物質を含む親水性有機溶媒と水との混合液中で加水分解、縮合することにより得られる。上記の方法の場合には、親水性球状シリカ微粒子は水−親水性有機溶媒の混合溶媒分散液として得られる。
Si(OR1)4 (1)
[式中、R1は同一又は異なり、炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。]
で示される4官能性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合生成物を、塩基性物質を含む親水性有機溶媒と水との混合液中で加水分解、縮合することにより得られる。上記の方法の場合には、親水性球状シリカ微粒子は水−親水性有機溶媒の混合溶媒分散液として得られる。
上記一般式(1)中、R1は、好ましくは炭素原子数1〜4、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R1で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基等、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。
上記一般式(1)で示される4官能性シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、テトラフェノキシシラン等、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられる。また、一般式(1)で示される4官能性シラン化合物の部分加水分解縮合生成物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート等が挙げられる。
前記親水性有機溶媒としては、一般式(1)で示される4官能性シラン化合物と、それらの部分加水分解縮合生成物と、水とを溶解するものであれば特に制限されず、例えば、アルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等、好ましくは、アルコール類、セロソルブ類、特に好ましくは、アルコール類が挙げられる。アルコール類としては、下記一般式(2):
R2OH (2)
[式中、R2は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。]
で示されるアルコールが挙げられる。
R2OH (2)
[式中、R2は炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。]
で示されるアルコールが挙げられる。
上記一般式(2)中、R2は、好ましくは炭素原子数1〜4、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R2で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキル基等、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、より好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。一般式(2)で示されるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等、好ましくは、メタノール、エタノールが挙げられる。アルコールの炭素原子数が増えると、生成する球状シリカ微粒子の粒子径が大きくなる。従って、目的とする球状シリカ微粒子の粒子径によりアルコールの種類を選択することが望ましい。
また、上記塩基性物質としては、アンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン等、好ましくは、アンモニア、ジエチルアミン、特に好ましくは、アンモニアが挙げられる。これらの塩基性物質は、所要量を水に溶解した後、得られた水溶液(塩基性)を前記親水性有機溶媒と混合すればよい。
このとき使用される水の量は、一般式(1)で示される4官能性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合生成物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.5〜5モルであることが好ましく、0.6〜2モルであることがより好ましく、0.7〜1モルであることが特に好ましい。
水に対する親水性有機溶媒の比率は、質量比で0.5〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1.5〜2であることが特に好ましい。
塩基性物質の量は、一般式(1)で示される4官能性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合生成物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.01〜2モルであることが好ましく、0.5〜1.5モルであることがより好ましく、1.0〜1.2モルであることが特に好ましい。
水に対する親水性有機溶媒の比率は、質量比で0.5〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1.5〜2であることが特に好ましい。
塩基性物質の量は、一般式(1)で示される4官能性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合生成物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.01〜2モルであることが好ましく、0.5〜1.5モルであることがより好ましく、1.0〜1.2モルであることが特に好ましい。
一般式(1)で示される4官能性シラン化合物等の加水分解及び縮合は、周知の方法、即ち、塩基性物質を含む親水性有機溶媒と水との混合物中に、一般式(1)で示される4官能性シラン化合物等を添加することにより行われる。この場合、加水分解、縮合の温度は通常室温、好ましくは10〜33℃、特に好ましくは20〜32℃であり、時間は特に制限されないが、通常1〜8時間程度である。
このようにして得られる親水性球状シリカ微粒子は、疎水化処理前の出発原料として使用される。
このようにして得られる親水性球状シリカ微粒子は、疎水化処理前の出発原料として使用される。
−親水性球状シリカ微粒子の表面疎水化処理(第1段階疎水化工程)−
第1段階疎水化工程は、上記親水性球状シリカ微粒子の表面にR3SiO3/2単位[式中、R3は非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。]を導入して疎水性球状シリカ微粒子を得る、第1段階の疎水化処理を行う工程である。例えば、上記親水性球状シリカ微粒子を含む混合溶媒分散液に、下記一般式(3):
R3Si(OR4)3 (3)
[式中、R3は前記と同じであり、R4は同一又は異なり、炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。]
で示される3官能性シラン化合物もしくはその部分加水分解縮合生成物又はこれらの混合物を添加し、親水性球状シリカ微粒子表面を処理して疎水性球状シリカ微粒子混合溶媒分散液を得る。
第1段階疎水化工程は、上記親水性球状シリカ微粒子の表面にR3SiO3/2単位[式中、R3は非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。]を導入して疎水性球状シリカ微粒子を得る、第1段階の疎水化処理を行う工程である。例えば、上記親水性球状シリカ微粒子を含む混合溶媒分散液に、下記一般式(3):
R3Si(OR4)3 (3)
[式中、R3は前記と同じであり、R4は同一又は異なり、炭素原子数1〜6の1価炭化水素基である。]
で示される3官能性シラン化合物もしくはその部分加水分解縮合生成物又はこれらの混合物を添加し、親水性球状シリカ微粒子表面を処理して疎水性球状シリカ微粒子混合溶媒分散液を得る。
上記一般式(3)中、R3は、好ましくは炭素原子数1〜6、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R3で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基等、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換されていてもよい。
上記一般式(3)中、R4は、好ましくは炭素原子数1〜3、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R4で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基等、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。
一般式(3)で示される3官能性シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン等、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、より好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、及びこれらの部分加水分解縮合生成物が挙げられる。
一般式(3)で示される3官能性シラン化合物の添加量は、使用された親水性球状シリカ微粒子のSiO2単位1モル当り0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.1モル、特に好ましくは0.01〜0.05モルである。また、この工程において、処理温度は好ましくは10〜70℃、特に20〜60℃とすることができ、処理時間は特に制限されないが、通常0.5〜6時間程度である。
−疎水性球状シリカ微粒子の表面トリオルガノシリル化処理(第2段階疎水化工程)−
第2段階疎水化工程は、上記第1段階疎水化工程で得られた疎水性球状シリカ微粒子の表面にトリオルガノシリル基[R5 3SiO1/2単位(式中、R5は同一又は異なり、非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)]を導入する、第2段階の疎水化処理を行う工程である。例えば、前記疎水性球状シリカ微粒子混合溶媒分散液の分散媒をアルコール混合物等の水と親水性有機溶媒との混合物からケトン系溶媒に変換し、疎水性球状シリカ微粒子ケトン系溶媒分散液を得ることと、該疎水性球状シリカ微粒子ケトン系溶媒分散液に下記一般式(4):
R5 3SiNHSiR5 3 (4)
[式中、R5は同一又は異なり、上記と同じである。]
で示されるシラザン化合物、もしくは、下記一般式(5):
R5 3SiX (5)
[式中、R5は同一又は異なり、上記と同じであり、XはOH基又は加水分解性基である。]
で示される1官能性シラン化合物、又はこれらの混合物を添加し、前記疎水性球状シリカ微粒子表面に残存する反応性基をトリオルガノシリル化する。
第2段階疎水化工程は、上記第1段階疎水化工程で得られた疎水性球状シリカ微粒子の表面にトリオルガノシリル基[R5 3SiO1/2単位(式中、R5は同一又は異なり、非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)]を導入する、第2段階の疎水化処理を行う工程である。例えば、前記疎水性球状シリカ微粒子混合溶媒分散液の分散媒をアルコール混合物等の水と親水性有機溶媒との混合物からケトン系溶媒に変換し、疎水性球状シリカ微粒子ケトン系溶媒分散液を得ることと、該疎水性球状シリカ微粒子ケトン系溶媒分散液に下記一般式(4):
R5 3SiNHSiR5 3 (4)
[式中、R5は同一又は異なり、上記と同じである。]
で示されるシラザン化合物、もしくは、下記一般式(5):
R5 3SiX (5)
[式中、R5は同一又は異なり、上記と同じであり、XはOH基又は加水分解性基である。]
で示される1官能性シラン化合物、又はこれらの混合物を添加し、前記疎水性球状シリカ微粒子表面に残存する反応性基をトリオルガノシリル化する。
上記一般式(4)及び(5)中、R5は、好ましくは炭素原子数1〜6、より好ましくは炭素原子数1〜4、特に好ましくは1〜2の1価炭化水素基である。R5で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等のアルキル基等、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、特に好ましくは、メチル基、エチル基が挙げられる。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、好ましくは、フッ素原子で置換されていてもよい。Xで表される加水分解性基としては、例えば、塩素原子、アルコキシ基、アミノ基、アシルオキシ基等、好ましくは、アルコキシ基、アミノ基、特に好ましくは、アルコキシ基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
球状シリカ微粒子混合溶媒分散液の分散媒を、アルコール混合物等の水及び親水性有機溶媒の混合物からケトン系溶媒に変換するには、該分散液にケトン系溶媒を添加し、前記混合物を留去する操作(必要に応じてこの操作を繰り返す)により行うことができる。このとき添加されるケトン系溶媒の量は、使用した親水性球状シリカ微粒子に対して質量比で0.5〜5倍量、好ましくは2〜5倍量、特に好ましくは3〜4倍量である。このケトン系溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン等、好ましくはメチルイソブチルケトンが挙げられる。
一般式(4)で示されるシラザン化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン等、好ましくはヘキサメチルジシラザンが挙げられる。一般式(5)で示される1官能性シラン化合物としては、例えば、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール等のモノシラノール化合物、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン等のモノクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のモノアルコキシシラン、トリメチルシリルジメチルアミン、トリメチルシリルジエチルアミン等のモノアミノシラン、トリメチルアセトキシシラン等のモノアシルオキシシラン、好ましくは、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシラン、トリメチルシリルジエチルアミン、特に好ましくは、トリメチルシラノール、トリメチルメトキシシランが挙げられる。
これらシラザン化合物あるいは1官能性シラン化合物の使用量は、使用した親水性球状シリカ微粒子のSiO2単位1モルに対して0.05〜0.5モル、好ましくは0.1〜0.3モル、特に好ましくは0.15〜0.25モルである。この工程において、処理温度は通常30〜140℃、特に60〜120℃とすることができる。また処理時間は特に制限されないが、通常0.5〜6時間程度である。
なお、上記疎水性球状シリカ微粒子の製造において、粒径100nm未満の粒子を含まない疎水性球状シリカ微粒子を得るためには、平均粒径を150nm以上として粒径100nm未満の粒子が含まれにくくしたり、粒径100nm未満の粒子を除去する工程を導入する等すればよい。
また、平均粒径を上記範囲とするための条件としては、特に制限されないが、親水性球状シリカ微粒子を得る場合の4官能性シラン化合物等の加水分解・縮合反応における反応条件管理をすればよく、特に反応温度を33℃以下とすることが好ましい。
また、平均粒径を上記範囲とするための条件としては、特に制限されないが、親水性球状シリカ微粒子を得る場合の4官能性シラン化合物等の加水分解・縮合反応における反応条件管理をすればよく、特に反応温度を33℃以下とすることが好ましい。
本発明で適用される熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂或いはポリカーボネート樹脂が好適である。
熱可塑性樹脂と疎水性球状シリカ微粒子を混合して樹脂組成物を調製する方法について特に制限はなく、両成分をタンブラー、混練ロール、押出し機等で溶融混練する等、公知の方法を用いることができる。また、両成分と相溶性を有する相溶化剤を用いることも可能である。
溶融成形により樹脂を調製する場合、成形時の熱安定性を向上させるため、イルガノックス1010、1076(チバガイギー社製)等のヒンダートフェノール系、スミライザーGS、GM(住友化学社製)に代表される部分アクリル化多価フェノール系、イルガフォス168(チバガイギー社製)等のホスファイト系に代表される燐化合物などの安定剤を加えてもよい。
また、必要に応じて長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族エステル等の離型剤、その他滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤を添加することができる。
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明を更に詳しく具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例及び比較例における測定の方法は、下記の通りである。
[透明性]
日本電色工業(株)製、Haze Meter NDH 2000を用いて1.6mm厚の試験片で全光線透過率(%)を測定した。
[引っ張り強度、伸び]
(株)島津製作所製オートグラフUTM−5Tを用い、引っ張り速度は50mm/minでASTM D638に従った試験片(厚さ3.2mm、217mm×12.7mm)で測定した。
[線膨張係数]
JIS K7197に準拠して、長さ10mm×1辺の長さが5mmの角柱状試験片で測定した。
[難燃性]
UL−94に準拠したVB(Vertical Burnig)法により、自己消化性の評価を行った。
[透明性]
日本電色工業(株)製、Haze Meter NDH 2000を用いて1.6mm厚の試験片で全光線透過率(%)を測定した。
[引っ張り強度、伸び]
(株)島津製作所製オートグラフUTM−5Tを用い、引っ張り速度は50mm/minでASTM D638に従った試験片(厚さ3.2mm、217mm×12.7mm)で測定した。
[線膨張係数]
JIS K7197に準拠して、長さ10mm×1辺の長さが5mmの角柱状試験片で測定した。
[難燃性]
UL−94に準拠したVB(Vertical Burnig)法により、自己消化性の評価を行った。
[製造例1]
[疎水性球状シリカ微粒子の製造]
−親水性球状シリカ微粒子の合成−
撹拌機と、滴下ロートと、温度計とを備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール690gと、水26gと、25質量%アンモニア水58gとを入れて混合した。この溶液を30℃となるように調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1,200g(7.88モル)及び5.4質量%アンモニア水432gを同時に添加し始め、それぞれを5時間かけて滴下した。それらの滴下が終了した後も、更に0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状シリカ微粒子の懸濁液を得た。
[疎水性球状シリカ微粒子の製造]
−親水性球状シリカ微粒子の合成−
撹拌機と、滴下ロートと、温度計とを備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール690gと、水26gと、25質量%アンモニア水58gとを入れて混合した。この溶液を30℃となるように調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1,200g(7.88モル)及び5.4質量%アンモニア水432gを同時に添加し始め、それぞれを5時間かけて滴下した。それらの滴下が終了した後も、更に0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状シリカ微粒子の懸濁液を得た。
−親水性球状シリカ微粒子の表面疎水化処理(第1段階疎水化工程)−
この懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン12g(0.088モル)を0.5時間かけて滴下した後、50℃に加熱して1時間反応させ、シリカ微粒子表面を疎水化処理することにより、疎水性球状シリカ微粒子分散液を得た。
この懸濁液に室温でメチルトリメトキシシラン12g(0.088モル)を0.5時間かけて滴下した後、50℃に加熱して1時間反応させ、シリカ微粒子表面を疎水化処理することにより、疎水性球状シリカ微粒子分散液を得た。
−疎水性球状シリカ微粒子の表面トリオルガノシリル化処理(第2段階疎水化工程)−
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前記懸濁液を60〜70℃に加熱してメタノールと水との混合物345gを留去し、その後、メチルイソブチルケトンを添加しながら、メタノールと水とメチルイソブチルケトンとの混合物を同時に、この分散液が115℃になるまで留去した。このときメチルイソブチルケトンの添加量は1,954g、留去物量は1,954gであった。得られた分散液に、室温において、ヘキサメチルジシラザン150g(0.93モル)を添加した後、この分散液を110℃に加熱し、3時間反応させることにより、分散液中のシリカ微粒子をトリメチルシリル化した。次いで、この分散液中の溶媒を80℃、減圧下(6,650Pa)で留去することにより、疎水性球状シリカ微粒子466gを得た。
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前記懸濁液を60〜70℃に加熱してメタノールと水との混合物345gを留去し、その後、メチルイソブチルケトンを添加しながら、メタノールと水とメチルイソブチルケトンとの混合物を同時に、この分散液が115℃になるまで留去した。このときメチルイソブチルケトンの添加量は1,954g、留去物量は1,954gであった。得られた分散液に、室温において、ヘキサメチルジシラザン150g(0.93モル)を添加した後、この分散液を110℃に加熱し、3時間反応させることにより、分散液中のシリカ微粒子をトリメチルシリル化した。次いで、この分散液中の溶媒を80℃、減圧下(6,650Pa)で留去することにより、疎水性球状シリカ微粒子466gを得た。
得られた疎水性球状シリカ微粒子の平均粒径を測定(測定器:レーザー回折散乱式粒度分布測定装置LA910、(株)堀場製作所製)したところ171nmであり、この粒度分布において0.1μm未満の分布はなかった。このときの粒度分布を図1に示した。また、電子顕微鏡観察((株)日立製作所製、S−4700型、倍率:10万倍)を行ったところ0.1μm未満の粒子は観察されなかった。この電子顕微鏡写真を図2に示した。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート樹脂(三井ペット樹脂(株)製、三井ペット J005)47.5質量部、製造例1の疎水性球状シリカ微粒子2.5質量部の混合物を、ラボプラストミルR60H(東洋精機(株)製)を用いて280℃で3分混練後、プレス機((株)ショージ製、50トン複動式手動プレス機;280℃)を用いて1mm厚にプレス加工した薄板を粉砕機((株)フジテックス製、小型二軸粉砕機TIGER MINI)で5mm以下サイズにした粉砕物を得た。この粉砕物を射出成形機(SAV−60−52−P;山城精機(株)製、加工温度280℃)にて、試験片を作製し、透明性、引っ張り強度、伸び、線膨張係数を測定し、表1に記載した。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(三井ペット樹脂(株)製、三井ペット J005)47.5質量部、製造例1の疎水性球状シリカ微粒子2.5質量部の混合物を、ラボプラストミルR60H(東洋精機(株)製)を用いて280℃で3分混練後、プレス機((株)ショージ製、50トン複動式手動プレス機;280℃)を用いて1mm厚にプレス加工した薄板を粉砕機((株)フジテックス製、小型二軸粉砕機TIGER MINI)で5mm以下サイズにした粉砕物を得た。この粉砕物を射出成形機(SAV−60−52−P;山城精機(株)製、加工温度280℃)にて、試験片を作製し、透明性、引っ張り強度、伸び、線膨張係数を測定し、表1に記載した。
[実施例2]
実施例1のポリエチレンテレフタレート樹脂を49質量部、製造例1の疎水性球状シリカ微粒子を1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、試験片作製、物性を測定し、表1に記載した。
実施例1のポリエチレンテレフタレート樹脂を49質量部、製造例1の疎水性球状シリカ微粒子を1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして、試験片作製、物性を測定し、表1に記載した。
[比較例1]
比較例1として、疎水性球状シリカ微粒子を全く添加していないものでのポリエチレンテレフタレート樹脂の特性を表1に示す。
比較例1として、疎水性球状シリカ微粒子を全く添加していないものでのポリエチレンテレフタレート樹脂の特性を表1に示す。
[製造例2]
製造例1の疎水性球状シリカ微粒子の合成のうち、始めの親水性球状シリカ微粒子の合成において、テトラメトキシシランの加水分解温度を30℃から35℃に変更した以外は、製造例1と同様にして、親水性球状シリカ微粒子の懸濁液を得た。
この後、製造例1と同様にして、第1段階疎水化工程、第2段階疎水化工程を行い、疎水性球状シリカ微粒子469gを得た。
製造例1と同様にして得られた疎水性球状シリカ微粒子の平均粒径を測定したところ114nmであり、この粒度分布において0.1μm未満の分布が見られた。このときの粒度分布を図3に示した。また、製造例1と同様にして電子顕微鏡観察を行ったところ0.1μm未満の粒子が観察された。この電子顕微鏡写真を図4に示した。
製造例1の疎水性球状シリカ微粒子の合成のうち、始めの親水性球状シリカ微粒子の合成において、テトラメトキシシランの加水分解温度を30℃から35℃に変更した以外は、製造例1と同様にして、親水性球状シリカ微粒子の懸濁液を得た。
この後、製造例1と同様にして、第1段階疎水化工程、第2段階疎水化工程を行い、疎水性球状シリカ微粒子469gを得た。
製造例1と同様にして得られた疎水性球状シリカ微粒子の平均粒径を測定したところ114nmであり、この粒度分布において0.1μm未満の分布が見られた。このときの粒度分布を図3に示した。また、製造例1と同様にして電子顕微鏡観察を行ったところ0.1μm未満の粒子が観察された。この電子顕微鏡写真を図4に示した。
[比較例2]
製造例1の疎水性球状シリカ微粒子を製造例2の疎水性球状シリカ微粒子に変更した以外は実施例1と同様にして、試験片を作製し、透明性、引っ張り強度、伸び、線膨張係数を測定し、表1に記載した。
製造例1の疎水性球状シリカ微粒子を製造例2の疎水性球状シリカ微粒子に変更した以外は実施例1と同様にして、試験片を作製し、透明性、引っ張り強度、伸び、線膨張係数を測定し、表1に記載した。
[実施例3]
ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製、タフロンA−2500)47.5質量部、製造例1の疎水性球状シリカ微粒子2.5質量部の混合物を、ラボプラストミルR60H(東洋精機(株)製)を用いて270℃で混練後、実施例1と同様にして、試験片を作製し、透明性、引っ張り強度、伸び、線膨張係数、難燃性を測定し、表1に記載した。
ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製、タフロンA−2500)47.5質量部、製造例1の疎水性球状シリカ微粒子2.5質量部の混合物を、ラボプラストミルR60H(東洋精機(株)製)を用いて270℃で混練後、実施例1と同様にして、試験片を作製し、透明性、引っ張り強度、伸び、線膨張係数、難燃性を測定し、表1に記載した。
[実施例4]
実施例3のポリカーボネート樹脂を49質量部、製造例1の疎水性球状シリカ微粒子を1質量部に変更した以外は、実施例3と同様にして、試験片作製、物性を測定し、表1に記載した。
実施例3のポリカーボネート樹脂を49質量部、製造例1の疎水性球状シリカ微粒子を1質量部に変更した以外は、実施例3と同様にして、試験片作製、物性を測定し、表1に記載した。
[比較例3]
比較例3として、疎水性球状シリカ微粒子を全く添加していないものでのポリカーボネート樹脂の特性を表1に示す。
比較例3として、疎水性球状シリカ微粒子を全く添加していないものでのポリカーボネート樹脂の特性を表1に示す。
[比較例4]
製造例1の疎水性球状シリカ微粒子を製造例2の疎水性球状シリカ微粒子に変更した以外は実施例3と同様にして、試験片を作製し、透明性、引っ張り強度、伸び、線膨張係数、難燃性を測定し、表1に記載した。
製造例1の疎水性球状シリカ微粒子を製造例2の疎水性球状シリカ微粒子に変更した以外は実施例3と同様にして、試験片を作製し、透明性、引っ張り強度、伸び、線膨張係数、難燃性を測定し、表1に記載した。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂と、ゾル−ゲル法によって得られた粒径100nm未満の粒子を含まない表面処理された疎水性球状シリカ微粒子とを含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 疎水性球状シリカ微粒子の平均粒径が150〜1,000nmであることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が99.5〜70質量部、疎水性球状シリカ微粒子が0.5〜30質量部(但し、熱可塑性樹脂と疎水性球状シリカ微粒子の合計は100質量部である。)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 疎水性球状シリカ微粒子が、親水性球状シリカ微粒子の表面を異なる2種以上の疎水化処理剤で表面処理することにより得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 疎水性球状シリカ微粒子が、親水性球状シリカ微粒子の表面にR3SiO3/2単位[式中、R3は非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。]を導入した後、トリオルガノシリル基[R5 3SiO1/2単位(式中、R5は同一又は異なり、非置換又は置換の、炭素原子数1〜20の1価炭化水素基である。)]を導入するものである請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂又はスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009244181A JP2011089047A (ja) | 2009-10-23 | 2009-10-23 | 熱可塑性樹脂組成物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018230195A1 (ja) * | 2017-06-14 | 2018-12-20 | 東レ株式会社 | 液晶性ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品 |
CN112608692A (zh) * | 2019-10-04 | 2021-04-06 | 朴喜大 | 配合有疏水性纳米二氧化硅的粘结力优秀的热塑性热熔膜 |
-
2009
- 2009-10-23 JP JP2009244181A patent/JP2011089047A/ja active Pending
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