JP2011086710A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイオード領域とIGBT領域の間の境界領域における逆電流を抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】ダイオード領域20とIGBT領域40が形成されている半導体基板12を備える半導体装置10であって、アノードコンタクト領域24がアノード電極22にオーミック接続されているコンタクト部のIGBT領域側の端部16と、エミッタ領域44とボディコンタクト領域46からなる半導体領域がエミッタ電極42にオーミック接続されているコンタクト部のダイオード領域側の端部18との間の境界領域70内であり、かつ、アノード領域26の下端及びボディ領域49の下端よりも深い深さ範囲内に、p型であり、ドリフト領域90によってアノード領域26、ボディ領域47、49、及び、コレクタ領域52から分離されているフローティング領域92が形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】ダイオード領域20とIGBT領域40が形成されている半導体基板12を備える半導体装置10であって、アノードコンタクト領域24がアノード電極22にオーミック接続されているコンタクト部のIGBT領域側の端部16と、エミッタ領域44とボディコンタクト領域46からなる半導体領域がエミッタ電極42にオーミック接続されているコンタクト部のダイオード領域側の端部18との間の境界領域70内であり、かつ、アノード領域26の下端及びボディ領域49の下端よりも深い深さ範囲内に、p型であり、ドリフト領域90によってアノード領域26、ボディ領域47、49、及び、コレクタ領域52から分離されているフローティング領域92が形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、ダイオード領域とIGBT領域を有する半導体基板を備える半導体装置に関する。
特許文献1には、1つの半導体基板にダイオード領域とIGBT領域が形成された半導体装置が開示されている。ダイオードとIGBTとを1つの半導体基板に形成することで、半導体装置の小型化が図られている。
上述した半導体装置では、ダイオード領域のドリフト領域とIGBT領域のドリフト領域が、ダイオード領域とIGBT領域との間の境界領域においてつながっている。ダイオード領域に順電圧が印加されると、アノード領域からドリフト領域にホールが流入する。これによって、ドリフト領域が低抵抗化し、ダイオード領域に順電流が流れる。このとき、境界領域内のドリフト領域にもホールが流入し、境界領域内のドリフト領域にも順電流が流れる。その後、ダイオード領域に印加される電圧が逆電圧に切り換えられると、ダイオード領域が逆回復動作する。すなわち、ドリフト領域に存在しているホールがアノード領域を介してアノード電極へ流れ、これによってダイオード領域に逆電流が流れる。このとき、境界領域内のドリフト領域に存在しているホールもアノード領域を介してアノード電極へ流れるため、境界領域にも逆電流が流れる。このように、特許文献1の半導体装置では、境界領域に逆電流が流れるため、ダイオード領域の逆回復動作時における損失が大きいという問題があった。また、ダイオード領域の逆回復動作時には、境界領域近傍のアノード領域に、ダイオード領域内のドリフト領域からホールが流入するとともに、境界領域内のドリフト領域からもホールが流入する。このため、境界領域近傍のアノード領域に逆電流が集中するという問題があった。
本発明は上記の課題に鑑みて創作されたものである。本発明は、ダイオード領域とIGBT領域の間の境界領域における逆電流を抑制することができる半導体装置を提供する。
本発明の半導体装置は、ダイオード領域とIGBT領域が形成されている半導体基板を備えている。ダイオード領域内の半導体基板の上面には、アノード電極が形成されている。IGBT領域内の半導体基板の上面には、エミッタ電極が形成されている。半導体基板の下面には、共通電極が形成されている。半導体基板には、ダイオード領域からIGBT領域に跨って、n型のドリフト領域が形成されている。ダイオード領域には、アノードコンタクト領域と、アノード領域と、カソード領域が形成されている。アノードコンタクト領域は、p型であり、アノード電極にオーミック接続されている。アノード領域は、p型であり、アノードコンタクト領域よりp型不純物濃度が低く、アノードコンタクト領域の下側かつドリフト領域の上側に形成されている。カソード領域は、n型であり、ドリフト領域よりn型不純物濃度が高く、ドリフト領域の下側に形成されており、共通電極にオーミック接続されている。IGBT領域には、エミッタ領域と、ボディコンタクト領域と、ボディ領域と、コレクタ領域と、ゲート電極が形成されている。エミッタ領域は、n型であり、エミッタ電極にオーミック接続されている。ボディコンタクト領域は、p型であり、エミッタ電極にオーミック接続されている。ボディ領域は、p型であり、ボディコンタクト領域よりp型不純物濃度が低く、エミッタ領域及びボディコンタクト領域の下側かつドリフト領域の上側に形成されている。コレクタ領域は、p型であり、ドリフト領域の下側に形成されており、共通電極にオーミック接続されている。ゲート電極は、エミッタ領域とドリフト領域を分離している範囲のボディ領域に絶縁膜を介して対向している。ダイオード領域とIGBT領域の間には、境界領域が存在している。境界領域は、アノードコンタクト領域とアノード電極とのコンタクト部のうちIGBT領域側の端部となるコンタクト部と、エミッタ領域とボディコンタクト領域からなる半導体領域とエミッタ電極とのコンタクト部のうちダイオード領域側の端部となるコンタクト部の間の領域である。境界領域内であり、かつ、アノード領域の下端及びボディ領域の下端よりも深い深さ範囲内には、p型であり、ドリフト領域によってアノード領域、ボディ領域、及び、コレクタ領域から分離されているフローティング領域が形成されている。
この半導体装置では、境界領域内のドリフト領域内に、フローティング領域が形成されている。p型のフローティング領域とn型のドリフト領域との間には、エネルギー障壁が存在する。ダイオードに順電圧が印加されたときには、このエネルギー障壁によって、境界領域に電流が流れることが抑制される。このため、ダイオードの逆回復動作の開始時に、境界領域内のドリフト領域に存在するホールが少ない。したがって、ダイオードの逆回復動作時に境界領域に逆電流が流れ難い。これによって、境界領域に流れる逆電流による損失を低減できる。また、境界領域近傍のアノード領域に逆電流が集中することが抑制される。
境界領域には、半導体基板の上面からアノード領域の下端及びボディ領域の下端より深い深さまでの深さ範囲に亘って、p型であり、アノード領域及びボディ領域に接している分離領域が形成されることがある。
例えば、半導体装置の製造時には、ダイオード領域とIGBT領域に不純物が注入されることがある。このとき、注入された不純物の一部が境界領域内に拡散することがある。このように境界領域内に拡散した不純物の影響を取り除くために、境界領域に分離領域が形成される場合がある。
また、分離領域は、境界領域近傍における電界集中を抑制するために形成される場合もある。例えば、境界領域に分離領域が形成されていない場合には、IGBTのオフ時に境界領域内のドリフト領域に空乏層が広がり難いので、境界領域近傍で電界が集中し易い。境界領域にp型の分離領域を設けると、境界領域内のドリフト領域に空乏層が広がり易くなり、境界領域近傍における電界集中が抑制される。
このような分離領域が形成されている半導体装置では、フローティング領域が、分離領域の下側に形成されていることが好ましい。
例えば、半導体装置の製造時には、ダイオード領域とIGBT領域に不純物が注入されることがある。このとき、注入された不純物の一部が境界領域内に拡散することがある。このように境界領域内に拡散した不純物の影響を取り除くために、境界領域に分離領域が形成される場合がある。
また、分離領域は、境界領域近傍における電界集中を抑制するために形成される場合もある。例えば、境界領域に分離領域が形成されていない場合には、IGBTのオフ時に境界領域内のドリフト領域に空乏層が広がり難いので、境界領域近傍で電界が集中し易い。境界領域にp型の分離領域を設けると、境界領域内のドリフト領域に空乏層が広がり易くなり、境界領域近傍における電界集中が抑制される。
このような分離領域が形成されている半導体装置では、フローティング領域が、分離領域の下側に形成されていることが好ましい。
分離領域はアノード領域及びボディ領域よりもドリフト領域側(下側)に突出しているので、分離領域には逆電流が流れ易い。分離領域の下側にフローティング領域を形成することで、分離領域に逆電流が流れることを抑制することができる。
分離領域が形成されている半導体装置においては、フローティング領域のダイオード領域側の端部からIGBT領域側の端部までの幅が、分離領域のダイオード領域側の端部からIGBT領域側の端部までの幅よりも広いことが好ましい。
このような構成によれば、境界領域に流れる逆電流がフローティング領域を迂回して流れることを防止することができる。したがって、境界領域に流れる逆電流をさらに抑制することができる。
上述した半導体装置は、IGBT領域内の半導体基板の上面にはトレンチが形成されており、ゲート電極はトレンチ内に形成されていてもよい。この場合、フローティング領域が、ゲート電極の下端の深さを含む深さ範囲に形成されていることが好ましい。
IGBTのオフ時には、フローティング領域からドリフト領域内に空乏層が広がる。上述した構成によれば、フローティング領域からゲート電極の下端近傍まで空乏層を伸展させることができる。これにより、IGBTのオフ時に、境界領域近傍のゲート電極の下端に電界が集中することを抑制することができる。
上述した半導体装置においては、カソード領域とコレクタ領域が互いに接した状態で形成される場合がある。この場合、半導体装置の量産時に、製造誤差によってカソード領域とコレクタ領域の境界の位置にばらつきが生じると、ダイオード及びIGBTの特性にばらつきが生じる。このため、カソード領域とコレクタ領域とが互いに接している半導体装置においては、カソード領域とコレクタ領域の境界がフローティング領域の下に位置していることが好ましい。
フローティング領域の下の領域では、上側に分離領域が形成されているため、電流が流れ難い。したがって、カソード領域とコレクタ領域の境界がフローティング領域の下に位置していると、製造誤差によりこの境界の位置がずれたとしても、ダイオード及びIGBTの特性に与える影響が小さい。したがって、この半導体装置は、特性のばらつきが生じ難い。
上述した半導体装置は、以下のように構成されていることが好ましい。ダイオード領域内のドリフト領域内には、ダイオードライフタイム制御領域が形成されている。ダイオードライフタイム制御領域のキャリアライフタイムは、ダイオードライフタイム制御領域外のダイオード領域内のドリフト領域のキャリアライフタイムより短い。ダイオードライフタイム制御領域のIGBT領域側の端部は、フローティング領域の下に位置している、
ダイオードライフタイム制御領域は、キャリアライフタイムが短縮化された領域であり、例えば、荷電粒子の打ち込みによって結晶欠陥が形成された領域等が含まれる。ダイオード領域内のドリフト領域内にダイオードライフタイム制御領域を形成することで、ダイオードの逆回復時にダイオード領域内のドリフト領域内に存在するキャリアが再結合により消滅し易くなる。これにより、ダイオードの逆回復時にダイオード領域に流れる逆電流を抑制することができる。ダイオードライフタイム制御領域の端部がダイオード領域内に存在していると、製造誤差によりダイオードライフタイム制御領域の面積にばらつきが生じたときに、ダイオードの逆回復特性にばらつきが生じる。上述した半導体装置では、ダイオードライフタイム制御領域のIGBT領域側の端部が分離領域の下に位置しているので、端部の位置にばらつきが生じたとしても、ダイオード領域内におけるダイオードライフタイム制御領域の面積は変わらない。したがって、この半導体装置は、ダイオードの逆回復特性にばらつきが生じ難い。
上述した半導体装置は、以下のように構成されていることが好ましい。IGBT領域内のドリフト領域内には、IGBTライフタイム制御領域が形成されている。IGBTライフタイム制御領域のキャリアライフタイムは、IGBTライフタイム制御領域外のIGBT領域内のドリフト領域のキャリアライフタイムより短い。IGBTライフタイム制御領域のダイオード領域側の端部は、フローティング領域の下に位置している、
IGBTライフタイム制御領域は、キャリアライフタイムが短縮化された領域であり、例えば、荷電粒子の打ち込みによって結晶欠陥が形成された領域等が含まれる。IGBT領域内のドリフト領域内にIGBTライフタイム制御領域を形成することで、IGBTのターンオフ時にIGBT領域内のドリフト領域内に存在するキャリアが再結合により消滅し易くなる。これにより、IGBTのターンオフ速度を向上させることができる。IGBTライフタイム制御領域の端部がIGBT領域内に存在していると、製造誤差によりIGBTライフタイム制御領域の面積にばらつきが生じたときに、IGBTのターンオフ速度にばらつきが生じる。上述した半導体装置では、IGBTライフタイム制御領域のダイオード領域側の端部が分離領域の下に位置しているので、端部の位置にばらつきが生じたとしても、IGBT領域内におけるIGBTライフタイム制御領域の面積は変わらない。したがって、この半導体装置は、IGBTのターンオフ速度にばらつきが生じ難い。
実施例1に係る半導体装置について説明する。
(半導体装置の構造)
図1に示すように、半導体装置10は、半導体基板12と、半導体基板12の上面及び下面に形成されている金属層及び絶縁層等を備えている。半導体基板12には、ダイオード領域20とIGBT領域40が形成されている。
図1に示すように、半導体装置10は、半導体基板12と、半導体基板12の上面及び下面に形成されている金属層及び絶縁層等を備えている。半導体基板12には、ダイオード領域20とIGBT領域40が形成されている。
ダイオード領域20内の半導体基板12の上面には、アノード電極22が形成されている。IGBT領域40内の半導体基板12の上面には、エミッタ電極42が形成されている。半導体基板12の下面には、共通電極60が形成されている。
ダイオード領域20には、アノードコンタクト領域24、アノード層26、ダイオードドリフト層28、カソード層30が形成されている。
アノードコンタクト領域24は、p型の領域であり、その不純物濃度は高い。アノードコンタクト領域24は、半導体基板12の上面を含む範囲に島状に形成されている。アノードコンタクト領域24は、アノード電極22に対してオーミック接続されている。
アノード層26は、p型の領域である。アノード層26の不純物濃度は、アノードコンタクト領域24の不純物濃度より低い。アノード層26は、アノードコンタクト領域24の下側及び側方に形成されており、アノードコンタクト領域24を覆っている。
ダイオードドリフト層28は、n型の領域であり、その不純物濃度は低い。ダイオードドリフト層28は、アノード層26の下側に形成されている。
カソード層30は、n型の領域である。カソード層30の不純物濃度は、ダイオードドリフト層28の不純物濃度よりも高い。カソード層30は、ダイオードドリフト層28の下側に形成されている。カソード層30は、半導体基板12の下面を含む範囲に形成されており、共通電極60に対してオーミック接続されている。
ダイオード領域20には、アノードコンタクト領域24、アノード層26、ダイオードドリフト層28、カソード層30によってダイオードが形成されている。以下では、ダイオード領域20に形成されているダイオードを、ダイオード20という。
IGBT領域40には、エミッタ領域44、ボディコンタクト領域46、上部ボディ層47、ホールストッパ層48、下部ボディ層49、IGBTドリフト層50、コレクタ層52、及び、ゲート電極54等が形成されている。
IGBT領域40内の半導体基板12の上面には、複数のトレンチが形成されている。各トレンチの内面には、ゲート絶縁膜56が形成されている。各トレンチの内部に、ゲート電極54が形成されている。ゲート電極54の上面は絶縁膜58により覆われている。絶縁膜58によって、ゲート電極54は、エミッタ電極42から絶縁されている。
エミッタ領域44は、n型の領域であり、その不純物濃度は高い。エミッタ領域44は、半導体基板12の上面を含む範囲に島状に形成されている。エミッタ領域44は、ゲート絶縁膜56に接する範囲に形成されている。エミッタ領域44は、エミッタ電極42に対してオーミック接続されている。
ボディコンタクト領域46は、p型の領域であり、その不純物濃度は高い。ボディコンタクト領域46は、半導体基板12の上面を含む範囲に島状に形成されている。ボディコンタクト領域46は、2つのエミッタ領域44の間に形成されている。ボディコンタクト領域46は、エミッタ電極42に対してオーミック接続されている。
上部ボディ層47は、p型の領域である。上部ボディ層47の不純物濃度は、ボディコンタクト領域46よりも低い。上部ボディ層47は、エミッタ領域44及びボディコンタクト領域46の下側に形成されている。
ホールストッパ層48は、n型の領域である。ホールストッパ層48は、上部ボディ層47の下側に形成されている。ホールストッパ層48は、上部ボディ層47によってエミッタ領域44から分離されている。
下部ボディ層49は、p型の領域である。下部ボディ層49の不純物濃度は、上部ボディ層47の不純物濃度と略等しい。下部ボディ層49は、ホールストッパ層48の下側に形成されている。下部ボディ層49の下端は、ゲート電極54の下端よりも上側に位置している。上部ボディ層47及び下部ボディ層49によって、エミッタ領域44がIGBTドリフト層50から分離されている。ゲート電極54は、エミッタ領域44とIGBTドリフト層50を分離している範囲の上部ボディ層47及び下部ボディ層49にゲート絶縁膜56を介して対向している。
IGBTドリフト層50は、n型の領域である。IGBTドリフト層50は、下部ボディ層49の下側に形成されている。IGBTドリフト層50は、ドリフト層50aとバッファ層50bを備えている。ドリフト層50aは、下部ボディ層49の下側に形成されている。ドリフト層50aの不純物濃度は、ダイオードドリフト層28と略等しい。ドリフト層50aは、ダイオードドリフト層28と連続する層である。バッファ層50bは、ドリフト層50aの下側に形成されている。バッファ層50bは、ドリフト層50aよりも不純物濃度が高い。ダイオードドリフト層28とIGBTドリフト層50は連続するn型の層である。以下では、ダイオードドリフト層28とIGBTドリフト層50をまとめて、ドリフト層90という場合がある。
コレクタ層52は、p型の領域であり、その不純物濃度は高い。コレクタ層52は、IGBTドリフト層50の下側に形成されている。コレクタ層52は、半導体基板12の下面を含む範囲に形成されており、共通電極60に対してオーミック接続されている。
IGBT領域40には、エミッタ領域44、ボディコンタクト領域46、上部ボディ層47、ホールストッパ層48、下部ボディ層49、IGBTドリフト層50、コレクタ層52、及び、ゲート電極54によって、IGBTが形成されている。以下では、IGBT領域40に形成されているIGBTを、IGBT40という。
ダイオード領域20とIGBT領域40の間には、境界領域70が形成されている。なお、境界領域70は、アノードコンタクト領域24とアノード電極22とのコンタクト部のうちIGBT領域40側の端部16と、エミッタ領域44とボディコンタクト領域46からなる半導体領域とエミッタ電極42とのコンタクト部のうちダイオード領域20側の端部18との間の領域である。
境界領域70内の半導体基板12の上面を含む範囲には、分離領域68が形成されている。分離領域68は、p型の領域である。分離領域68の不純物濃度は、上部ボディ層47及び下部ボディ層49の不純物濃度より高い。分離領域68は、ダイオード領域20側でアノード層26に接している。分離領域68は、IGBT領域40側で、上部ボディ層47、ホールストッパ層48、及び、下部ボディ層49に接している。分離領域68の下側では、ダイオードドリフト層28とドリフト層50aが連続している。分離領域68の下端は、アノード層26の下端及び下部ボディ層49の下端より深い位置にあり、ゲート電極54の下端よりも浅い位置にある。分離領域68は、ホールストッパ層48を終端させるために形成されている。すなわち、ホールストッパ層48は、n型不純物を半導体基板12に注入し、注入したn型不純物を熱拡散させることにより形成される。このとき、一部のn型不純物が境界領域70内に拡散する。境界領域70内に拡散したn型不純物によりホールストッパ層48とドリフト層50aが繋がると、IGBT40が正常に動作できなくなる。このため、半導体装置10では、境界領域70内に拡散したn型不純物の影響を打ち消すために、境界領域70内にp型不純物濃度が比較的高い分離領域68が形成されている。分離領域68によって、ホールストッパ層48のダイオード領域20側の端部が終端されている。
分離領域68の下側のドリフト層90内には、フローティング領域92が形成されている。フローティング領域92は、p型の領域である。フローティング領域92は、周囲をドリフト層90に囲まれている。これによって、フローティング領域92は、他のp型の領域から分離されている。フローティング領域92は、ゲート電極54の下端の深さを含む深さ範囲に形成されている。図1に示すように、フローティング領域92のダイオード領域20側の端部からIGBT領域40側の端部までの幅は、分離領域68のダイオード領域20側の端部からIGBT領域40側の端部までの幅よりも広い。
ダイオード領域20のカソード層30は、境界領域70内まで延出されており、IGBT領域40のコレクタ層52は、境界領域70内まで延出されている。カソード層30は、フローティング領域92の下側で、コレクタ層52と接している。すなわち、カソード層30とコレクタ層52の境界72が、フローティング領域92の下側に位置している。図1に示す境界領域70の構造は、ダイオード領域20とIGBT領域40の間に沿って延設されている。すなわち、ダイオード領域20とIGBT領域40の間において、境界72はフローティング領域92に沿って伸びている。
ダイオードドリフト層28内には、ダイオードキャリアライフタイム制御領域39が形成されている。ダイオードキャリアライフタイム制御領域39内には、半導体基板12に荷電粒子を打ち込むことによって形成された結晶欠陥が存在している。ダイオードキャリアライフタイム制御領域39内の結晶欠陥密度は、その周囲のダイオードドリフト層28に比べて極めて高い。ダイオードキャリアライフタイム制御領域39は、アノード層26の近傍の深さであり、フローティング領域92の下端より深い深さに形成されている。参照番号39aは、ダイオードキャリアライフタイム制御領域39のIGBT領域40側の端部を示している。端部39aより外側(IGBT領域40側)においては、結晶欠陥は深さ方向(図1の縦方向)に沿って分布している。これは、荷電粒子を打ち込む際に、マスクの開口部の外周近傍において荷電粒子の打ち込み深さが変化するためである。深さ方向に沿って分布している結晶欠陥は密度が低く、半導体装置10の特性にほとんど影響を与えない。ダイオードキャリアライフタイム制御領域39の端部39aは、フローティング領域92の下側に位置し、フローティング領域92に沿って伸びている。すなわち、ダイオード領域20とIGBT領域40の間において、ダイオードキャリアライフタイム制御領域39の端部39aが、フローティング領域92に沿って伸びている。
ドリフト層50a内には、IGBTキャリアライフタイム制御領域59が形成されている。IGBTキャリアライフタイム制御領域59内には、半導体基板12に荷電粒子を打ち込むことによって形成された結晶欠陥が存在している。IGBTキャリアライフタイム制御領域59内の結晶欠陥密度は、その周囲のドリフト層50aに比べて極めて高い。IGBTキャリアライフタイム制御領域59は、バッファ層50bの近傍の深さに形成されている。参照番号59aは、IGBTキャリアライフタイム制御領域59のダイオード領域20側の端部を示している。端部59aの外側(ダイオード領域20側)においては、結晶欠陥は深さ方向に沿って分布している。これは、荷電粒子を打ち込む際に、マスクの開口部の外周近傍において荷電粒子の打ち込み深さが変化するためである。深さ方向に沿って分布している結晶欠陥は密度が低く、半導体装置10の特性にほとんど影響を与えない。IGBTキャリアライフタイム制御領域59の端部59aは、フローティング領域92の下側に位置し、フローティング領域92に沿って伸びている。すなわち、ダイオード領域20とIGBT領域40の間において、IGBTキャリアライフタイム制御領域59の端部59aが、フローティング領域92に沿って伸びている。
(半導体装置のダイオードの動作)
半導体装置10のダイオード20の動作について説明する。なお、半導体装置10は、エミッタ電極42とアノード電極22が導通した状態で使用される。アノード電極22と共通電極60の間に、アノード電極22がプラスとなる電圧(すなわち、順電圧)が印加されると、ダイオードがオンする。すなわち、ダイオード領域20内では、図1の矢印80に示すように、アノード電極22から、アノードコンタクト領域24、アノード層26、ダイオードドリフト層28、及び、カソード層30を経由して、共通電極60に向かって電流が流れる。
半導体装置10のダイオード20の動作について説明する。なお、半導体装置10は、エミッタ電極42とアノード電極22が導通した状態で使用される。アノード電極22と共通電極60の間に、アノード電極22がプラスとなる電圧(すなわち、順電圧)が印加されると、ダイオードがオンする。すなわち、ダイオード領域20内では、図1の矢印80に示すように、アノード電極22から、アノードコンタクト領域24、アノード層26、ダイオードドリフト層28、及び、カソード層30を経由して、共通電極60に向かって電流が流れる。
また、境界領域70では、図1の矢印81〜84に示す経路で電流が流れる。経路81は、アノード層26から境界領域70内のドリフト層90に電流(ホール)が流れる経路である。経路82は、アノード層26から分離領域68に流れた電流(ホール)が、分離領域68の底部を通ってドリフト層90に流れる経路である。経路83は、上部ボディ層47または下部ボディ層49から分離領域68に流れた電流(ホール)が、分離領域68の底部を通ってドリフト層90に流れる経路である。経路84は、下部ボディ層49から境界領域70内のドリフト層90に電流(ホール)が流れる経路である。経路83及び84に示す電流は、アノード電極22を高電位とすると、アノード電極22と導通しているエミッタ電極42も高電位となることによって流れる電流である。
半導体装置10では、分離領域68の下側にフローティング領域92が形成されているので、経路82、83で流れる電流はフローティング領域92を通過する。フローティング領域92とドリフト層90の間にはエネルギー障壁が存在するため、経路82、83では電流が流れ難い。また、半導体装置10では、フローティング領域92の幅が分離領域68よりも広いので、経路81、84で流れる電流もフローティング領域92を通過する。このため、経路81、84においても電流が流れ難くなっている。したがって、半導体装置10では、経路81〜84で流れる電流は小さい。すなわち、ダイオード20がオンしているときに、境界領域70内に存在しているホールは少ない。
ダイオードに印加される電圧が順電圧から逆電圧に切り換えられると、ダイオードが逆回復動作を行う。すなわち、順電圧印加時にダイオードドリフト層28内に存在していたホールがアノード電極22に排出され、順電圧印加時にダイオードドリフト層28内に存在していた電子が共通電極60に排出される。これによって、ダイオード20に逆電流が流れる。すなわち、図1の矢印80と逆向きに電流(逆電流)が流れる。逆電流は、短時間で減衰し、その後は、ダイオードに流れる電流は略ゼロとなる。また、ダイオードキャリアライフタイム制御領域39内の結晶欠陥は、キャリアの再結合中心として機能する。したがって、逆回復動作時に、ダイオードドリフト層28内のキャリアの多くが、ダイオードキャリアライフタイム制御領域39内で再結合により消滅する。したがって、半導体装置10では、ダイオード領域20内に流れる逆電流が小さい。
ダイオードの逆回復動作時には、境界領域70でも逆電流が流れる。すなわち、境界領域70内のドリフト層90内に存在するホールが矢印81〜84の逆向きに流れることで、逆電流が流れる。しかしながら、上述したように、ダイオード20がオンしているときに経路81〜84で流れる電流は小さい。すなわち、ダイオード20の逆回復動作の開始時において、境界領域70内のドリフト層90内に存在するホールは少ない。このため、境界領域70に流れる逆電流は小さい。また、境界領域70に流れる逆電流は、フローティング領域92を通過するので、フローティング領域92とドリフト層90の間のエネルギー障壁によっても逆電流が流れることが抑制される。
(半導体装置のIGBTの動作)
半導体装置10のIGBT40の動作について説明する。エミッタ電極42と共通電極60の間に共通電極60がプラスとなる電圧が印加された状態において、ゲート電極54にオン電位が印加されると、IGBT40がオンする。すなわち、ゲート電極54へのオン電位の印加によって、上部ボディ層47及び下部ボディ層49のゲート絶縁膜56に接している領域に電子が集まり、チャネルが形成される。すると、エミッタ電極42から、エミッタ領域44、チャネル、IGBTドリフト層50、及び、コレクタ層52を経由して、共通電極60に向かって電子が流れる。同時に、共通電極60から、コレクタ層52、IGBTドリフト層50、下部ボディ層49、ホールストッパ層48、上部ボディ層47、及び、ボディコンタクト領域46を経由して、エミッタ電極42に向かってホールが流れる。すなわち、共通電極60からエミッタ電極42に向かって電流が流れる。IGBTドリフト層50内には電子とホールが存在している状態となるので、IGBTドリフト層50の電気抵抗は伝導度変調現象により低下する。したがって、電流が流れる際にIGBT40で発生する損失は小さい。特に、半導体装置10では上部ボディ層47と下部ボディ層49の間にホールストッパ層48が形成されているので、ホールが下部ボディ層49から上部ボディ層47に向かって流れ難い。このため、IGBTドリフト層50内に多量のホールが蓄積された状態となり、IGBTドリフト層50の電気抵抗は極めて低くなる。これにより、IGBT40で生じる損失がより低減されている。
半導体装置10のIGBT40の動作について説明する。エミッタ電極42と共通電極60の間に共通電極60がプラスとなる電圧が印加された状態において、ゲート電極54にオン電位が印加されると、IGBT40がオンする。すなわち、ゲート電極54へのオン電位の印加によって、上部ボディ層47及び下部ボディ層49のゲート絶縁膜56に接している領域に電子が集まり、チャネルが形成される。すると、エミッタ電極42から、エミッタ領域44、チャネル、IGBTドリフト層50、及び、コレクタ層52を経由して、共通電極60に向かって電子が流れる。同時に、共通電極60から、コレクタ層52、IGBTドリフト層50、下部ボディ層49、ホールストッパ層48、上部ボディ層47、及び、ボディコンタクト領域46を経由して、エミッタ電極42に向かってホールが流れる。すなわち、共通電極60からエミッタ電極42に向かって電流が流れる。IGBTドリフト層50内には電子とホールが存在している状態となるので、IGBTドリフト層50の電気抵抗は伝導度変調現象により低下する。したがって、電流が流れる際にIGBT40で発生する損失は小さい。特に、半導体装置10では上部ボディ層47と下部ボディ層49の間にホールストッパ層48が形成されているので、ホールが下部ボディ層49から上部ボディ層47に向かって流れ難い。このため、IGBTドリフト層50内に多量のホールが蓄積された状態となり、IGBTドリフト層50の電気抵抗は極めて低くなる。これにより、IGBT40で生じる損失がより低減されている。
なお、IGBT40がオンしているときには、境界領域70にも電流が流れる。しかしながら、境界領域70に流れる電流はフローティング領域92を通過するので、境界領域70に流れる電流は小さい。
ゲート電極54の電位が、オン電位からオフ電位に切り換えられると、チャネルが消失し、IGBTがターンオフする。このとき、オン時にIGBTドリフト層50内に存在していたホールが共通電極60に排出され、オン時にIGBTドリフト層50内に存在していた電子がエミッタ電極42に排出される。これによって、IGBTに逆電流が流れる。逆電流は、短時間で減衰し、その後は、IGBTに流れる電流は略ゼロとなる。なお、IGBTキャリアライフタイム制御領域59内の結晶欠陥は、キャリアの再結合中心として機能する。したがって、ターンオフ動作時に、IGBTドリフト層50内のキャリアの多くが、IGBTキャリアライフタイム制御領域59内で再結合により消滅する。したがって、半導体装置10では、ターンオフ動作時に生じる逆電流が抑制される。これにより、IGBTのターンオフ速度が向上されている。
なお、IGBT40がターンオフするときには、境界領域70にも逆電流が流れる。しかしながら、IGBTがオンしているときに境界領域70に流れる電流が小さいため、IGBT40のターンオフの開始時に境界領域70内に存在するホールは少ない。また、境界領域70に流れる逆電流はフローティング領域92を通過する。したがって、境界領域70に流れる逆電流は小さい。
IGBT40がオフすると、IGBT領域40内では、下部ボディ層49からIGBTドリフト層50内に空乏層が広がる。ダイオード領域20内では、アノード層26からダイオードドリフト層28内に空乏層が広がる。境界領域70では、分離領域68及びフローティング領域92からドリフト層90内に空乏層が広がる。フローティング領域92はゲート電極54の下端の深さを含む深さ範囲に形成されているので、フローティング領域92からドリフト層90内に広がる空乏層はゲート電極54の下端近傍の深さ範囲に形成される。フローティング領域92から空乏層が広がることによって、境界領域70で空乏層が薄くなることが防止される。これにより、境界領域70近傍のゲート電極54の下端近傍で空乏層が薄くなることが防止され、境界領域70近傍のゲート電極54の下端近傍に電界が集中することが抑制される。
(ダイオード及びIGBTの特性のばらつき)
半導体装置10では、フローティング領域92の下にカソード層30とコレクタ層52の境界72が位置している。上述したように、フローティング領域92を通って流れる電流は小さい。このため、製造誤差により境界72の位置(図1の左右方向の位置)がフローティング領域92の下側の範囲内でずれたとしても、ダイオード及びIGBTの特性が変動し難い。すなわち、半導体装置10の量産時に、ダイオードのオン電圧及びIGBTのオン電圧がばらつき難い。
半導体装置10では、フローティング領域92の下にカソード層30とコレクタ層52の境界72が位置している。上述したように、フローティング領域92を通って流れる電流は小さい。このため、製造誤差により境界72の位置(図1の左右方向の位置)がフローティング領域92の下側の範囲内でずれたとしても、ダイオード及びIGBTの特性が変動し難い。すなわち、半導体装置10の量産時に、ダイオードのオン電圧及びIGBTのオン電圧がばらつき難い。
また、半導体装置10では、フローティング領域92の下にダイオードキャリアライフタイム制御領域39の端部39aが位置している。製造誤差によりフローティング領域92の幅内で端部39aの位置(図1の左右方向の位置)がずれたとしても、ダイオード領域20内におけるダイオードキャリアライフタイム制御領域39の面積は変わらない。また、上述したように、フローティング領域92を通って流れる電流は小さい。したがって、ダイオードキャリアライフタイム制御領域39の端部39aの位置がずれることによって境界領域70(フローティング領域92の下方)のドリフト層90の特性が変化しても、ダイオード20の逆回復特性に与える影響は小さい。このため、半導体装置10は、ダイオードキャリアライフタイム制御領域39の端部39aの位置がずれても、ダイオードの逆回復特性が変動し難い。すなわち、半導体装置10の量産時に、ダイオードの逆回復特性がばらつき難い。
また、半導体装置10では、フローティング領域92の下にIGBTキャリアライフタイム制御領域59の端部59aが位置している。製造誤差によりフローティング領域92の幅内で端部59aの位置(図1の左右方向の位置)がずれたとしても、IGBT領域40内におけるIGBTキャリアライフタイム制御領域59の面積は変わらない。また、上述したように、フローティング領域92の下のドリフト層90に流れる電流は小さい。したがって、IGBTキャリアライフタイム制御領域59の端部59aの位置がずれることによりフローティング領域92の下方のドリフト層90の特性が変化しても、IGBT40のターンオフ速度に与える影響は小さい。このため、半導体装置10は、IGBTキャリアライフタイム制御領域59の端部59aの位置がずれても、IGBTのターンオフ速度が変動し難い。すなわち、半導体装置10の量産時に、IGBTのターンオフ速度がばらつき難い。
次に、実施例2の半導体装置について説明する。図2は、実施例2の半導体装置100の断面図を示している。なお、実施例2の半導体装置100の各部のうち、実施例1の半導体装置10の各部と同様の機能を有する部分には、実施例1の半導体装置10の各部と同じ参照番号を付している。
実施例2の半導体装置100では、IGBT領域40にホールストッパ層48が形成されておらず、エミッタ領域44及びボディコンタクト領域46の下側に一層のボディ層47が形成されている。また、実施例2の半導体装置100では、分離領域68が、半導体基板12の上面からゲート電極54の下端よりも深い深さまでの深さ範囲に形成されている。フローティング領域92は、分離領域68の下側(ゲート電極54の下端よりも深い位置)に形成されている。実施例2の半導体装置100のフローティング領域92は、実施例1の半導体装置10のフローティング領域92よりもp型不純物濃度が低い。実施例2の半導体装置100のその他の構成は、実施例1の半導体装置10の構成と略等しい。
実施例2の半導体装置100でも、実施例1の半導体装置10と同様に、ダイオード20がオンしているときに境界領域70に流れる電流、ダイオード20の逆回復動作時に境界領域70に流れる逆電流、IGBT40がオンしているときに境界領域70に流れる電流、及び、IGBT40のターンオフ時に境界領域70に流れる逆電流が、フローティング領域92によって抑制される。
IGBT40がオフしているときには、境界領域70では、分離領域68からドリフト層90内に空乏層が広がる。分離領域68はゲート電極54の下端よりも深い深さまで形成されているので、境界領域70でゲート電極54の下端よりも深い深さまで空乏層が形成される。これにより、境界領域70近傍のゲート電極54の下端近傍に電界が集中することが抑制される。なお、フローティング領域92のp型不純物濃度は比較的低いので、フローティング領域92からドリフト層90に空乏層が広がる範囲は狭い。これによって、境界領域70内の空乏層が極端に厚くなることが防止され、空乏層の形状が歪むことが防止されている。
次に、実施例3の半導体装置について説明する。図3は、実施例3の半導体装置200の断面図を示している。なお、実施例3の半導体装置200の各部のうち、実施例1の半導体装置10の各部と同様の機能を有する部分には、実施例1の半導体装置10の各部と同じ参照番号を付している。
実施例3の半導体装置200では、IGBT領域40にホールストッパ層48が形成されておらず、エミッタ領域44及びボディコンタクト領域46の下側に一層のボディ層47が形成されている。また、実施例3の半導体装置200では、分離領域68が形成されておらず、アノード層26とボディ層47の間にはドリフト層90が形成されている。これによって、アノード層26とボディ層47が互いに分離されている。フローティング領域92は、アノード層26とボディ層47を分離しているドリフト層90の下側に形成されている。すなわち、フローティング領域92は、アノード層26の下端及びボディ層47の下端よりも深い位置に形成されている。実施例3の半導体装置200のその他の構成は、実施例1の半導体装置10の構成と略等しい。
実施例3の半導体装置200では、ダイオード20がオンしているときに、図3の矢印181、182に示す経路で境界領域70に電流が流れる。この電流はフローティング領域92を通過するので、境界領域70に流れる電流は小さい。このため、ダイオード20の逆回復動作時に、境界領域70を矢印181、182の逆向きに流れる逆電流は小さい。また、IGBT40がオンしているときに境界領域70に流れる電流、及び、IGBT40のターンオフ時に境界領域70に流れる電流は、実施例1の半導体装置10と同様に、フローティング領域92によって低減される。
また、IGBT40がオフしているときには、フローティング領域92からドリフト層90に空乏層が広がることによって、境界領域70近傍のゲート電極54の下端近傍に電界が集中することが抑制される。
次に、実施例4の半導体装置について説明する。図4は、実施例4の半導体装置300の断面図を示している。なお、実施例4の半導体装置300の各部のうち、実施例3の半導体装置200の各部と同様の機能を有する部分には、実施例3の半導体装置200の各部と同じ参照番号を付している。
実施例4の半導体装置300では、境界領域70において、アノード層26とボディ層47がつながっている。実施例4の半導体装置300のその他の構成は、実施例3の半導体装置200の構成と略等しい。
実施例4の半導体装置300でも、実施例3の半導体装置200と同様に、ダイオード20がオンしているときに境界領域70に流れる電流、ダイオード20の逆回復動作時に境界領域70に流れる逆電流、IGBT40がオンしているときに境界領域70に流れる電流、及び、IGBT40のターンオフ時に境界領域70に流れる逆電流が、フローティング領域92によって抑制される。また、実施例4の半導体装置300でも、実施例3の半導体装置200と同様に、フローティング領域92からドリフト層90に空乏層が広がる。これによって、境界領域70近傍のゲート電極54の下端近傍に電界が集中することが抑制される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:半導体装置
12:半導体基板
20:ダイオード領域
22:アノード電極
24:アノードコンタクト領域
26:アノード層
28:ダイオードドリフト層
30:カソード層
39:ダイオードキャリアライフタイム制御領域
40:IGBT領域
42:エミッタ電極
44:エミッタ領域
46:ボディコンタクト領域
47:上部ボディ層
48:ホールストッパ層
49:下部ボディ層
50:IGBTドリフト層
50a:ドリフト層
50b:バッファ層
52:コレクタ層
54:ゲート電極
59:IGBTキャリアライフタイム制御領域
60:共通電極
68:分離領域
70:境界領域
92:フローティング領域
12:半導体基板
20:ダイオード領域
22:アノード電極
24:アノードコンタクト領域
26:アノード層
28:ダイオードドリフト層
30:カソード層
39:ダイオードキャリアライフタイム制御領域
40:IGBT領域
42:エミッタ電極
44:エミッタ領域
46:ボディコンタクト領域
47:上部ボディ層
48:ホールストッパ層
49:下部ボディ層
50:IGBTドリフト層
50a:ドリフト層
50b:バッファ層
52:コレクタ層
54:ゲート電極
59:IGBTキャリアライフタイム制御領域
60:共通電極
68:分離領域
70:境界領域
92:フローティング領域
Claims (7)
- ダイオード領域とIGBT領域が形成されている半導体基板を備える半導体装置であって、
ダイオード領域内の半導体基板の上面にアノード電極が形成されており、
IGBT領域内の半導体基板の上面にエミッタ電極が形成されており、
半導体基板の下面に共通電極が形成されており、
半導体基板には、ダイオード領域からIGBT領域に跨って、n型のドリフト領域が形成されており、
ダイオード領域には、
p型であり、アノード電極にオーミック接続されているアノードコンタクト領域と、
p型であり、アノードコンタクト領域よりp型不純物濃度が低く、アノードコンタクト領域の下側かつドリフト領域の上側に形成されているアノード領域と、
n型であり、ドリフト領域よりn型不純物濃度が高く、ドリフト領域の下側に形成されており、共通電極にオーミック接続されているカソード領域、
が形成されており、
IGBT領域には、
n型であり、エミッタ電極にオーミック接続されているエミッタ領域と、
p型であり、エミッタ電極にオーミック接続されているボディコンタクト領域と、
p型であり、ボディコンタクト領域よりp型不純物濃度が低く、エミッタ領域及びボディコンタクト領域の下側かつドリフト領域の上側に形成されているボディ領域と、
p型であり、ドリフト領域の下側に形成されており、共通電極にオーミック接続されているコレクタ領域と、
エミッタ領域とドリフト領域を分離している範囲のボディ領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極、
が形成されており、
アノードコンタクト領域とアノード電極とのコンタクト部のうちIGBT領域側の端部となるコンタクト部と、エミッタ領域とボディコンタクト領域からなる半導体領域とエミッタ電極とのコンタクト部のうちダイオード領域側の端部となるコンタクト部の間の境界領域内であって、アノード領域の下端及びボディ領域の下端よりも深い深さ範囲内に、p型であり、ドリフト領域によってアノード領域、ボディ領域、及び、コレクタ領域から分離されているフローティング領域が形成されている、
ことを特徴とする半導体装置。 - 境界領域には、p型であり、半導体基板の上面からアノード領域の下端及びボディ領域の下端より深い深さまでの深さ範囲に亘って形成されており、アノード領域及びボディ領域に接している分離領域が形成されており、
フローティング領域が、分離領域の下側に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。 - フローティング領域のダイオード領域側の端部からIGBT領域側の端部までの幅が、分離領域のダイオード領域側の端部からIGBT領域側の端部までの幅よりも広いことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
- IGBT領域内の半導体基板の上面にはトレンチが形成されており、
ゲート電極はトレンチ内に形成されており、
フローティング領域が、ゲート電極の下端の深さを含む深さ範囲内に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。 - カソード領域とコレクタ領域は互いに接しており、
カソード領域とコレクタ領域の境界が、フローティング領域の下に位置している、
ことを特徴とする半導体装置。 - ダイオード領域内のドリフト領域内に、ダイオードライフタイム制御領域が形成されており、
ダイオードライフタイム制御領域のキャリアライフタイムが、ダイオードライフタイム制御領域外のダイオード領域内のドリフト領域のキャリアライフタイムより短く、
ダイオードライフタイム制御領域のIGBT領域側の端部が、フローティング領域の下に位置している、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。 - IGBT領域内のドリフト領域内に、IGBTライフタイム制御領域が形成されており、
IGBTライフタイム制御領域のキャリアライフタイムが、IGBTライフタイム制御領域外のIGBT領域内のドリフト領域のキャリアライフタイムより短く、
IGBTライフタイム制御領域のダイオード領域側の端部が、フローティング領域の下に位置している、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009237199A JP2011086710A (ja) | 2009-10-14 | 2009-10-14 | 半導体装置 |
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JP (1) | JP2011086710A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104282744A (zh) * | 2014-10-31 | 2015-01-14 | 无锡同方微电子有限公司 | 一种igbt器件结构 |
CN111816697A (zh) * | 2020-07-14 | 2020-10-23 | 重庆大学 | 一种具有集成隧穿二极管的igbt |
-
2009
- 2009-10-14 JP JP2009237199A patent/JP2011086710A/ja active Pending
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CN104282744A (zh) * | 2014-10-31 | 2015-01-14 | 无锡同方微电子有限公司 | 一种igbt器件结构 |
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