JP2011086482A - 透明電極、透明電極の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

透明電極、透明電極の製造方法および有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、また視認色の変化が少なく、安定性に優れ、また発光均一性に優れ、かつ発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子を与える透明電極およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】透明基材上に、導電性繊維を含有する第一の透明導電層を有する透明電極であって、該透明電極は、該第一の透明導電層が下記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有するか、または該第一の透明導電層上に下記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する第二の透明導電層を有することを特徴とする透明電極。
【化1】
Figure 2011086482

【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、太陽電池、電磁波シールド、電子ペーパー、タッチパネル等の各種分野において好適に用いることができる透明電極、さらに該透明電極を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(以後、有機EL素子ともいう。)に関する。
近年、薄型TV需要の高まりに伴い、液晶・プラズマ・有機エレクトロルミネッセンス・フィールドエミッション等、各種方式のディスプレイ技術が開発されている。これら表示方式が異なるいずれのディスプレイにおいても、透明電極は必須の構成技術となっている。また、テレビ以外でも、タッチパネルや携帯電話、電子ペーパー、各種太陽電池、各種エレクトロルミネッセンス調光素子においても、透明電極は欠くことのできない技術要素となっている。
従来透明電極は、ガラスや透明なプラスチックフィルム等の透明基材上に、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)膜を真空蒸着法やスパッタリング法で製膜したITO透明電極が主に使用されてきた。しかし、ITOに用いられているインジウムはレアメタルであり、比較的高価であることから、脱インジウムが望まれている。また、ディスプレイの大画面化、生産性向上に伴い、フレキシブル基板を用いたロールツーロールの生産技術が所望されている。
近年、導電性繊維を用いる技術が開示されており、導電性繊維の一部を透明樹脂膜でフレキシブル基板に固定し、かつ導電性繊維の一部を透明樹脂膜表面に突起させて電極を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような構成の電極は、表面に導電性繊維が突起した部分にしか導電性がないため、表面の導電性が均一である面電極などの技術用途には適用できないという課題を有していた。
また、透明基板上に塗布された銀ナノワイヤ上にポリウレタンをオーバーコートし、電極表面が平滑な透明面電極が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この透明電極上に塗布型有機EL素子を積層すると、面発光性および発光寿命が悪いという問題を有していた。
有機EL素子に用いられる電極としては、その表面の平均表面粗さ(Ra)が、通常10nm以下の平滑な電極が用いられている。上記特許文献1のように透明電極表面に突起が存在する電極を用いて有機EL素子を作製すると、陽極と陰極の短絡等、突起を起点にショートするという問題があり、高温、高湿度の環境下ではさらにこの現象が顕著化するという課題を有していた。また、突起間は透明樹脂が存在し、面電極としての機能が得られないという問題を有していた。
上記特許文献2のように、単量体、二量体アクリレートを用いたオーバーコートを銀ナノワイヤ上に積層後硬化した透明電極を用いた場合、残留モノマー、オリゴマーや低分子量体が生成し、層間拡散し、寿命が著しく劣化するという課題を有していた。
また、ポリチオフェンとポリアクリル酸やポリビニルスルホン酸などのポリアニオンとからなる導電性高分子、および特定の光硬化性成分を含有する組成物から形成された層を基材フィルム上に有する電極が知られている(特許文献3参照)。
また、導電性繊維として金属ナノワイヤである銀ナノワイヤを用い、その銀ナノワイヤ上に導電性高分子材料を積層させた透明電極が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、これらの電極においては、耐光性環境試験を行うと、透明電極の吸収波形において、可視光部の短波側の吸収が増加し黄色味が増し、光透過性が劣化する場合があるなどの問題があり、高温、高湿度環境下での安定性と導電性を両立させることは困難であった。
特表2006−519712号公報 米国特許出願公開第2007/0074316号明細書 特開2008−62418号公報 米国特許出願公開第2008/0259262号明細書
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、また視認色の変化が少なく、安定性に優れ、また発光均一性に優れ、かつ発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子を与える透明電極およびその製造方法を提供することにある。
さらに、当該電極を用いた発光均一性が高く、発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.透明基材上に、導電性繊維を含有する第一の透明導電層を有する透明電極であって、該透明電極は、該第一の透明導電層が下記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有するか、または該第一の透明導電層上に下記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する第二の透明導電層を有することを特徴とする透明電極。
Figure 2011086482
〔式中、RはCOOM、SOMを表し、Rは水素原子またはCOOMを表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムを表す。〕
2.前記導電性高分子化合物が、下記一般式(II)で表される構造単位を含むことを特徴とする前記1に記載の透明電極。
Figure 2011086482
(式中、Aは置換基を有しても良い炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Qは酸素原子または硫黄原子を表す。)
3.前記一般式(I)におけるRがSOMであり、RおよびRが水素原子であり、Mが水素原子またはナトリウムであることを特徴とする前記1または2に記載の透明電極。
4.前記導電性繊維が銀ナノワイヤであることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の透明電極。
5.前記1から4のいずれか1項に記載の透明電極を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記1から4のいずれか1項に記載の透明電極を製造する製造方法であって、前記透明基材上に導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含む水系分散物を用い、導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する層を形成する工程を有することを特徴とする透明電極の製造方法。
7.前記1から4のいずれか1項に記載の透明電極を製造する製造方法であって、前記透明基材上に、前記導電性繊維を含有する第一の透明導電層を形成する工程、および該第一の透明導電性層上に前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する第二の透明導電層を形成する工程を有することを特徴とする透明電極の製造方法。
本発明の上記手段により、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、また視認色の変化が少なく、安定性に優れ、また発光均一性に優れ、かつ発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子を与える透明電極およびその製造方法が提供できる。
さらに、当該電極を用いた発光均一性が高く、発光均一性の劣化が少なく耐久性に優れる有機EL素子が提供できる。
本発明の透明電極の一例を示す構造模式図である。 本発明の透明電極の他の例を示す構造模式図である。 本発明の透明電極の他の例を示す構造模式図である。
本発明は、透明基材上に、導電性繊維を含有する第一の透明導電層を有する透明電極であって、該透明電極は、該第一の透明導電層が上記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有するか、または該第一の透明導電層上に上記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する第二の透明導電層を有することを特徴とする。
本発明においては特に、電極が導電性繊維と上記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物(以下、単に本発明に係る導電性高分子化合物とも称する。)とを有する透明導電層を有することで、平滑性、光透過性に優れ、かつ高温、高湿度環境下においても平滑性、光透過性の劣化が少なく耐久性に優れ、発光均一性が高く発光寿命が長い有機EL素子を与える透明電極が得られる。
以下、本発明とその構成要素について説明する。
(第一の透明導電層)
本発明の透明電極は、透明基材上に、第一の透明導電層を有し、第一の透明導電層は導電性繊維を含有する。
〔透明基材〕
本発明において、「透明」とは、JIS K 7361−1(ISO 13468−1に対応)の「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法」に準拠した方法で測定した可視光波長領域における全光線透過率が60%以上であることをいう。
本発明の透明電極に用いられる透明基材としては、高い光透過性を有していればそれ以外に特に制限はない。例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への透明導電層の形成のし易さ等の点で、透明ガラス基板、透明樹脂基板、透明樹脂フィルムなどが好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
透明基材として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。
透明基材として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムが好ましく。
中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度およびコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基材には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基材と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。
屈折率を調製する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調製して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。また、透明基材にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層の反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
尚、透明基材には前述のように表面処理を施したり、目的に応じて各種の機能性層を設けることができる。
〔導電性繊維〕
本発明に係る導電性繊維とは、導電性を有し、かつその長さが直径(太さ)に比べて十分に長い形状を持つものである。本発明に係る導電性繊維は、透明導電層内において導電性繊維が互いに接触し合うことにより3次元的な導電ネットワークを形成し補助電極として機能すると考えられる。従って、導電性繊維が長い方が導電ネットワーク形成に有利であるため好ましい。一方で、導電性繊維が長くなると導電性繊維が絡み合って凝集体を生じ、光学特性を劣化させる場合がある。導電ネットワーク形成や凝集体生成には、導電性繊維の剛性や直径等も影響するため、使用する導電性繊維に応じて最適な平均アスペクト比(アスペクト=長さ/直径)のものを使用することが好ましい。大凡の目安として、平均アスペクト比は、10〜10,000であるものが好ましい。
形状としては中空チューブ状、ワイヤ状、ファイバー状のもの等があり、例えば、金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、炭素繊維、カーボンナノチューブ等がある。
本発明においては、透明性の観点から太さが300nm以下の導電性繊維であることが好ましく、併せて導電性も満足するために、導電性繊維は金属ナノワイヤおよびカーボンナノチューブの群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらには、コスト(原材料費、製造費)と性能(導電性、透明性、可撓性)の観点から、銀ナノワイヤを最も好ましく用いることができる。
本発明において上記導電性繊維の長さや直径、アスペクト比の平均値は、十分な数の導電性繊維について電子顕微鏡写真を撮影し、個々の導電性繊維像の計測値の算術平均から求めることができる。導電性繊維の長さは、本来直線状に伸ばした状態で測定すべきであるが、現実には屈曲している場合が多いため、電子顕微鏡写真から画像解析装置を用いてナノワイヤの投影径および投影面積を算出し、円柱体を仮定して算出する(長さ=投影面積/投影径)こともできる。また、長さや直径の相対標準偏差は、測定値の標準偏差を平均値で除した値に100を乗じた値で表す。計測対象の導電性繊維のサンプル数は、少なくとも100個以上が好ましく、300個以上がより好ましい。
相対標準偏差[%]=測定値の標準偏差/平均値×100
〔金属ナノワイヤ〕
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする線状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの直径を有する線状構造体を意味する。
本発明に係る導電性繊維に適用される金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)および鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、およびマグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.およびChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
〔カーボンナノチューブ〕
カーボンナノチューブは、厚さ数原子層のグラファイト状炭素原子面(グラフェンシート)が筒形に巻かれた形状からなる炭素系繊維材料であり、その周壁の構成数から単層ナノチューブ(SWNT)と多層ナノチューブ(MWNT)とに大別され、また、グラフェンシートの構造の違いからカイラル(らせん)型、ジグザグ型、アームチェア型に分けられ、各種のものが知られている。
本発明に係る導電性繊維に適用されるカーボンナノチューブとしては、いずれのタイプのカーボンナノチューブも用いることができ、また、これらの種々のカーボンナノチューブを複数混合して用いてもよいが、導電性に優れた単層カーボンナノチューブであることが好ましく、さらには金属性のアームチェア型単層カーボンナノチューブであることがより好ましい。
カーボンナノチューブの形状としては、1つのカーボンナノチューブで長い導電パスを形成するために、アスペクト比(=長さ/直径)が大きい、すなわち細くて長い単層カーボンナノチューブであることが好ましい。例えば、アスペクト比が102以上、好ましくは103以上のカーボンナノチューブが挙げられる。カーボンナノチューブの平均長さは、3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に、3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は100nmより小さいことが好ましく、1〜50nmが好ましく、1〜30nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
カーボンナノチューブの製造方法は特に限定されるものではなく、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等の公知の手段を用いることができる。また、副生成物や触媒金属等の残留物を除去するために、洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノチューブの方が、各種機能を十分に発現できることから好ましい。
〔透明電極〕
本発明の透明電極の構造模式図を図1に示す。
図1は、本発明の代表的な透明電極の一例を示す構造模式図である。透明電極1は、透明基材51上に第一の透明導電層41を有し、該第一の透明導電層41は導電性繊維11および本発明に係る導電性高分子12を含有する。
図2は、本発明の代表的な透明電極の別の一例を示す構造模式図であって、透明基材51上に導電性繊維11を含む第一の透明導電層41を有し、該第一の透明導電層41の上に、本発明に係る導電性高分子12を含有する第二の透明導電層をする。
図3は、本発明の代表的な透明電極のさらに別の一例を示す構造模式図であって、透明基材51上に導電性繊維11を含む第一の透明導電層41を有し、該第一の透明導電層41の上に、本発明に係る導電性高分子12を含有する第二の透明導電層42をするが、第二の透明導電層42の一部は、導電性繊維11を含む。即ち、導電性繊維11が第一の透明導電層41と第二の透明導電層42の両層に共有されている状態を指す。
〔導電性高分子化合物〕
本発明においては、透明電極は、第一の透明導電層が上記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有するか、または第一の透明導電層上に上記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する第二の透明導電層を有する。
(一般式(1)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物)
本発明において、「導電性」とは、電気が流れる状態を指し、JIS K 7194の「導電電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に準拠した方法で測定したシート抵抗が10×8Ω/□より低いことをいう。
本発明に係る導電性高分子化合物は、上記一般式(1)で表される構造単位を繰り返し有する導電性高分子化合物であって、上記一般式(1)で表される構造単位を繰り返し有する高分子アニオン化合物(以下ポリアニオンとも称する。)を対アニオンとして有する導電性高分子化合物である。
一般式(1)中、RはCOOM、SOMを表し、Rは水素原子またはCOOMを表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。MはH、アルカリ金属、アンモニウムを表す。
本発明においては、導電性、耐久性の面から、一般式(1)におけるRがSOMであることが好ましく、特にRがSOMであり、RおよびRが水素原子であり、かつMが水素原子またはナトリウムであることが好ましい態様である。
一般式(I)で表される構造単位を有するポリアニオンの合成は、塊状、溶液、沈澱、懸濁または(逆)乳化重合法によって実施することができる。適当な分子量を得るには溶液重合法が好ましい。
一般式(I)で表される構造単位を有するポリアニオンの合成に使用する開始剤としては、例えば過酸化物、ヒドロペルオキシド類、過硫酸塩、アゾ化合物またはレドックス触媒等を用いることができる。過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過流酸塩、2,2′−アゾビスブチロニトリル等のアゾ化合物が好ましく使用される。
一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物の合成に使用する重合溶剤は、反応条件化で不活性であり、モノマー、生成するポリマーを溶解できれば特に制限はないが、水が好ましい。溶液重合は1〜80質量%、好ましくは10〜60質量%の総モノマー濃度で実施することができる。
一般式(I)で表される構造単位を有するポリアニオンの合成を実施する重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。出発材料は溶剤中に最初に導入しても、溶剤中に別々に導入してもまたは一緒に導入してもよい。場合によっては適当な溶剤に溶解した遊離基開始剤の添加は、出発材料の添加前、添加と同時にまたは添加後に実施することができる。重合の妨害を回避するために、反応は還流下にまたは保護ガス雰囲気、好ましくは窒素ガスまたはアルゴン中で実施することが好ましい。
ポリアニオンの合成に使用するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩が挙げられる、これらは単独で使用しても、複数使用して共重合体を合成しても良い。
一般式(I)で表される構造単位を有するポリアニオンの分子量は好ましくは1,000〜2,000,000の範囲、より好ましくは2,000〜500,000、さらに好ましくは3000〜100000の範囲内である。
ポリアニオンの分子量はゲルパーミッションクロマトグラフィーまたは浸透圧測定の様な慣用の方法で測定することができる。
本発明に導電性高分子化合物は、主鎖がπ共役系で構成されるカチオン性の有機高分子を有し、上記ポリアニオンを対アニオンとして有する複合体構成を有する。
主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば特に制限されず、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの共重合体等が挙げられる。これらの中でもポリピロール類、ポリチオフェン類およびポリアニリン類が好ましく用いられる。
カチオン性の有機高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダ樹脂への相溶性を得ることができるが、導電性および相溶性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の官能基を有機高分子に導入することが好ましい。
カチオン性の有機高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
これらの中でも特に上記一般式(II)で表される構造単位を繰り返し含む有機高分子が好ましく、本発明に係る導電性化合物が上記一般式(II)で表される構造単位を繰り返し含む態様が好ましい態様である。
(一般式(II)で表される構造単位)
一般式(II)中、Aは置換基を有しても良い炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Qは酸素原子または硫黄原子を表す。
一般式(II)で表される構造単位を含む有機高分子は、同一の構造単位を繰り返し含んでもよいし、異なる2種類以上の構造単位を繰り返し含んでいても良い。
一般式(II)で表される構造単位であるチオフェン化合物の合成は、例えば下記のようにして行うことができる。
一般式(II)においてQが酸素原子である3,4−ジ−置換チオフェンは、3,4−ジヒドロキシチオフェン−2,5−ジカルボン酸エステルのアルカリ金属塩と適当なアルキレン−vic−ジハライドとを反応させ、次いで遊離3,4−(アルキレン−vic−ジオキシ−)チオフェン−2,5−ジカルボン酸を脱カルボン酸にして得ることができる(例えば、Tetrahedron,1967,23,2437−2441およびJ.Am.Chem.Soc.,1945,67,2217−2218参照)。
本発明に係る一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物の合成について、一般式(II)で表される構造単位を有する有機高分子である、3,4−ジアルコキシチオフェン構造を有するカチオン性有機高分子を有する場合を例にして説明する。
上記の一般式(I)で表される構造単位を有するポリアニオンの存在下に、ピロールの酸化重合に代表的に用いる酸化剤を用い、溶媒中で3,4−ジアルコキシチオフェンの酸化重合により得られる。
ポリチオフェンは酸化重合により正に荷電されるが、その数および位置を明確に求めることは困難である。
本発明に係る一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物の合成は、一般式(I)で表されるポリアニオンと、カチオン性有機高分子を形成する構造単位である化合物を含有する溶媒中で、重合反応が完了するまで所定の重合温度で撹拌することで行われる。
カチオン性有機高分子と一般式(I)で表されるポリアニオンの質量比は、ポリアニオンがリッチな環境ならば特に限定はないが、カチオン性有機高分子が1に対し50以下が好ましく、より好ましくは25以下、更に好ましくは10以下である。
重合時間はバッチの大きさ、重合温度および酸化剤に依存して数分乃至30時間の間であり得る。重合時間は一般に30分乃至24時間の間である。
適切な酸化剤は例えばJ.Am.Soc.85、454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適するいずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価で且つ取扱い易い酸化剤例えば鉄(III)塩例えばFeCl、Fe(ClO、有機酸および有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩(例えば、Fe(SO)、またはH、KCr、過硫酸アルカリ(例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)またはアンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウムおよび銅塩例えば四フッ化ホウ酸銅を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として随時触媒量の金属イオン例えば鉄、コバルト、ニッケル、モリブデンおよびバナジウムイオンの存在下における空気および酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸および有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が腐食性でないために大きな応用上の利点を有する。有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例にはC1〜20アルカノールの硫酸半エテルの鉄(III)塩の例えばラウリル硫酸のFe(III)塩がある。有機酸の鉄(III)塩の例として次のものが挙げられる:C1〜20アルキルスルホン酸例えばメタンまたはドデカンスルホン酸;脂肪族C1〜20カルボン酸例えば2−エチルヘキシルカルボン酸;脂肪族パーフルオロカルボン酸例えばトリフルオロ酢酸およびパーフルオロオクタノン酸;脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸並びに殊に芳香族の、随時C1〜20−アルキル置換されたスルホン酸例えばベンゼセンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩、また上記の有機酸のFe(III)塩の混合物も使用することができる。
酸化重合反応において、一般式(I)で表される構造単位は、対応するチオフェン各1モルに対して0.25〜10個、好ましくは0.8〜8個のアニオン基が存在する量で加えることが好ましい。
理論的にはチオフェン1モル当り2.25当量の酸化剤が対応するチオフェンの酸化重合に必要である[例えばJ.Polym.Sci.PartA、Polymer Chemistry,第26巻、1287頁(1988)参照]。しかしながら実際には、酸化剤はある過剰量で、例えばチオフェン1モル当り0.1〜2当量の過剰で用いる。
重合に用いる有機溶剤としては、反応条件化で不活性であり、例えば脂肪族アルコール、例えばメタノール、エタノールおよびプロパノール;脂肪族ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン;脂肪族カルボン酸エステル、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル;芳香族炭化水素、例えばトルエンおよびキシレン;脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサン;塩素化炭化水素、例えばジクロロメタンおよびジクロロエタン;脂肪族ニトリル、例えばアセトニトリル;脂肪族スルホキシドおよびスルホン、例えばジメチルスルホキシドおよびスルホラン;脂肪族カルボキシアミド、例えばメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミド;脂肪族および芳香族エーテル、例えばジエチルエーテルおよびアニソール等が挙げられる。さらに水又は水と上記有機溶剤との混合物も溶媒として使用することができる。好ましくは水である。
酸化重合に用いられる溶媒の量としては、合成された導電性高分子化合物の分散性の面から、本発明に係る導電性高分子化合物が、0.1〜80質量%、好ましくは0.5〜50質量%の固体含有量を有するような溶媒の量が好ましい。
酸化重合においては、使用する酸化剤および必要とする反応時間によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
出発材料は溶剤中に最初に導入しても、溶剤中に別々に導入してもまたは一緒に導入してもよい。場合によっては適当な溶剤に溶解した酸化剤の添加は、出発材料の添加前、添加と同時にまたは添加後に実施することができる。重合の妨害を回避するために、反応は還流下にまたは保護ガス雰囲気、好ましくは窒素ガスまたはアルゴン中で実施することが好ましい。
本発明に係る導電性高分子化合物は、一般式(1)で表される構造単位以外にアニオン基を有する構造単位を有してもよいが、全体のアニオン基のうち50%(モル)以上は一般式(1)で表される構造単位であることが好ましく、特に90%以上が一般式(1)で表される構造単位であることが好ましい。
本発明に係る第一の透明導電層または第二の透明導電性層は、透明なバインダー材料や添加剤を含んでいてもよい。透明なバインダー材料としては、塗布液を形成できる透明な樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等を単独または複数併用して用いることができる。セルロース系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。
透明なバインダー材料としては、天然ポリマー、合成樹脂やポリマーおよびコポリマー、その他フィルムを形成する媒体であれば、特に限定はない。これらのパインダー材料のうち、水溶性バインダーが好ましく用いることができる。水溶性バインダーとしては、例えば:ゼラチン、カゼイン、デンプン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルエーテルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルエーテルセルロース等のセルロース類、キトサン、デキストラン、グアーガム、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド−アクリル酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ブタジエン−無水マレイン酸)、ポリ(n−ブチルアクリレート−2−メタクリロイルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−2−メタクリロキシトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)−ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル付加体、ポリ(エチレングリコール)ビス2−アミノエチル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノカルボキシメチルエーテルモノメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド−b−プロピレンオキシド)、ポリエチレンイミン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(1−グリセロールメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(2−エチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート−メタクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(2−メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)、ポリ(N−イソ−プロピルアクリルアミド)、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−メチル−N−ビニルアセトアミド)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(2−ビニル−1−メチルピリジニウムブロミド)、ポリ(リン酸)、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルスルホン酸)等が挙げられる。
上記バインダー材料において、カルボン酸、スルホン酸、リン酸等を有するポリマーは、リチウム、ナトリウム、カリウム等の塩を有していてもよく、窒素原子を有するポリマーは塩酸塩等の構造を有していても良い。上記バインダー材料は1種でも複数種でも使用することができる。
また、本発明に係る第一の透明導電層または第二の透明導電層は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明に係る導電性高分子化合物の他に、他の導電性高分子化合物を含有してもよい。
本発明に係る第一の透明導電層の厚さは、使用する導電性繊維の形状や含有量によって異なるが、大凡の目安として、導電性繊維の平均直径以上500nm以下が好ましい。後述の加圧方法などにより、本発明に係る第一の透明導電層の厚さを薄くすると、厚さ方向の導電性繊維のネットワーク形成を密にすることができるため好ましい。
また、第二の透明導電層を設ける場合、第二の透明導電層の厚さは、1nm〜1μmが好ましく、特に3nm〜500nmの範囲が好ましい。
本発明において、透明電極は、全光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。また、本発明の透明電極における透明導電層の電気抵抗値としては、表面抵抗率として1000Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましい。さらには、電流駆動型オプトエレクトロニクスデバイスに適用するためには、50Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることが特に好ましい。10Ω/□以下であると各種オプトエレクトロニクスデバイスにおいて、透明電極として機能することができて好ましい。
前記表面抵抗率は、例えば、JIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
本発明の透明電極の厚みには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的に10μm以下であることが好ましく、厚みが薄くなるほど透明性や柔軟性が向上するためより好ましい。
本発明の透明電極が、平滑性、光透過性に優れ、かつ高温、高湿度環境下においても平滑性、光透過性の劣化が少ない、という本願の効果を奏する理由は、明確ではないが以下のように推測される。
本願で用いられる導電性高分子化合物は、アニオン部分が主鎖に直接結合した構造を含み、この部分がフェニル基を有するポリアニオンの場合などでみられるような、光・熱等の吸収による着色を防止しているためと推測され、またアニオン部分が主鎖に直接結合した繰り返し構造を有するので、フェニル基などのような嵩高い基の場合にみられる塗布、乾燥の不均一さを防止しているためと推測される。
〔透明電極の製造方法〕
本発明の透明電極は、下記(1)または(2)の方法で作製することができる。
(1)透明基材上に導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含む混合物を用い、導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する層を形成する工程を有する製造方法。
この場合、上記混合物が下述するように水系分散物であることが好ましい態様である。
(2)透明基材上に、導電性繊維を含有する第一の透明導電層を形成する工程、および第一の透明導電性層上に一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する第二の透明導電層を形成する工程を有する製造方法。
上記第一または第二の透明導電層を形成する工程に用いられる方法としては特に制限はないが、生産性の改善、平滑性や均一性などの電極品質の向上、環境負荷軽減の観点から、塗布法や印刷法などの液相成膜法を用いることが好ましい。
塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。
上記(1)の工程に用いられる方法としては、透明基材上に導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含む混合物を塗布して形成する方法、または離型性基材の離型面状に導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含む混合物を塗布し塗布により形成された導電性層を透明基材上転写して形成する方法がある。
上記(2)の第二の透明導電層を形成する工程に用いられる方法としては、第一の透明導電層の上に、一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する塗布液を塗布し形成する方法がある。
本発明においては、上記の導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含む混合物または第二の透明導電性層を形成するための塗布液として、水溶性バインダー樹脂を含有する水系分散物を用いることが好ましい態様である。
本発明の透明電極を製造する製造方法としては、特に下記の手段が好ましく用いられる。
イ)透明基材上に導電性繊維、一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物および水溶性バインダー樹脂を含有する水系分散物を塗布することにより第一の透明導電層を形成する製造方法。水系分散物は、水溶性バインダー樹脂を含有し、導電性繊維を分散含有する。水溶性バインダー樹脂としては、上述の水溶性バインダーを用いることができる。
ロ)透明基材上に導電性繊維を含有する塗布液を塗布して第一の透明導電層を形成する工程と、この第一の透明導電層上に一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子および水溶性バインダー樹脂を含む塗布液を塗布することにより第二の透明導電層を形成する工程とを有する方法により透明導電層を形成する製造方法。
ハ)離型性基材の離型面上に、導電性繊維を含む第一の透明導電層を形成した後、第一の透明導電層を透明基材上に転写することにより第一の透明導電層を形成する工程およびこの第一の透明導電層上に、一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子および水溶性バインダー樹脂を含む塗布液を塗布することにより第二の透明導電層を形成する工程とを有する方法により透明導電層を形成する製造方法。
前述イ)において、導電性繊維、導電性高分子、および水溶性バインダー樹脂の添加量に特に制限はないが、導電性繊維は導電性と透過率の関係から0.50g/mが好ましく、より好ましくは0.10g/m以下である。また導電性高分子は固形分として、導電性繊維質量の50倍以下が好ましく、より好ましくは10倍以下であり、さらに好ましくは5倍以下である。水溶性バインダー樹脂は、導電性バインダー固形分の5倍以下が好ましく、より好ましくは3倍以下である。
前述の透明電極の製造方法ロ)において、導電性繊維、導電性高分子、および水溶性バインダー樹脂の添加量は、各々前述の透明電極の製造方法イ)と同様の添加量が好ましい。
前述の透明電極の製造方法ハ)において、用いられる離型性基板としては、樹脂基板や樹脂フィルムなどが好適に挙げられる。該樹脂には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの合成樹脂の単層あるいは複数層からなる基板やフィルムが好適に用いられる。さらにガラス基板や金属基板を用いることもできる。また、離型性基板の表面(離型面)には、必要に応じてシリコーン樹脂やフッ素樹脂、ワックスなどの離型剤を塗布して表面処理を施してもよい。
離型性基板表面は、透明導電層を転写した後の表面の平滑性に影響を与えるため、高平滑であることが望ましく、具体的にはRy≦50nmであることが好ましく、Ry≦40nmであることがより好ましく、Ry≦30nmであることがさらに好ましい。また、Ra≦10nmであることが好ましく、Ra≦5nmであることがより好ましく、Ra≦1nmであることがさらに好ましい。
上記の工程において、導電性繊維を塗布した後、カレンダー処理や熱処理を施し導電性繊維間の密着性を高めることや、プラズマ処理を施し導電性繊維間の接触抵抗を低減することは、導電性繊維のネットワーク構造の導電性を向上させる方法として有効である。また、上記工程において、離型性基板の離型面は、予めコロナ放電(プラズマ)などにより親水化処理していてもよい。
上記転写する工程を有する方法において、転写は接着層を介して行ってもよい。転写層は離型性基板側に設けても良いし、透明基材側に設けても良い。接着層に用いられる接着剤としては、可視領域で透明で転写能を有する材料であれば特に限定されない。透明であれば、硬化型樹脂でも良いし、熱可塑性樹脂でも良い。
硬化型樹脂として、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などが挙げられるが、これらの硬化型樹脂のうちでは、樹脂硬化のための設備が簡易で作業性に優れることから、紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化型樹脂とは紫外線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂で、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。例えば、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等が挙げられる。本発明では、バインダーとしてアクリル系、アクリルウレタン系の紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、またはプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を重合させたもの挙げることができる。
モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
これらの中で、バインダーの主成分として、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレートから選択されるアクリル系の活性線硬化樹脂が好ましい。
これら紫外線硬化型樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾインおよびその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等およびこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化型樹脂組成物に用いられる光反応開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
透明導電層を形成した離型性基板と透明基材とを接着(貼合)し、紫外線等を照射して接着剤を硬化した後に離型性基板を剥離することにより、透明導電層を透明基材側に転写することができる。ここで、接着方法は特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に接着すべきフィルムを挟んで圧着し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に圧力がかけられ、シートプレスよりも生産性が良く好適に用いることができる。
〔パターニング方法〕
本発明に係る第一の透明導電層または第一の透明導電層と第二の透明導電層とからなる透明導電層は、パターニングすることができる。パターニングの方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。例えば、離型面上にパターニングされた透明導電層を形成した後、透明基材上に転写することによってパターニングされた透明電極を形成する方法を用いることができ、具体的には、以下のような方法を好ましく用いることができる。
i)離型性基板上に印刷法を用いて透明導電層をパターン様に直接形成する方法
ii)離型性基板上に透明導電層を一様に形成した後、一般的なフォトリソプロセスを用いてパターニングする方法
iii)例えば紫外線硬化型樹脂を含む導電性材料を使用して透明導電層を一様に形成した後、フォトリソプロセス様にパターニングする方法
iv)離型性基板上に予めフォトレジストで形成したネガパターン上に透明導電層を一様に形成し、リフトオフ法を用いてパターニングする方法
〔表面の平滑性〕
本発明の透明電極は、透明導電層の表面の平滑性(第一の透明導電層または第二の透明導電層の表面の平滑性)がRy≦50nm、また、併せてこの表面の平滑性はRa≦10nmであることが好ましい。透明導電層の表面の平滑性を表すRyとRaは、Ry=最大高さ(表面の山頂部と谷底部との高低差)とRa=算術平均粗さを意味し、JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる値である。RyやRaの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、例えば、以下の方法で測定できる。
AFMとして、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数1Hzで測定する。
本発明において、Ryの値は50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましい。同様に、Raの値は10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子〕
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の透明電極を有することを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、有機発光層を含む有機層および本発明の透明電極を有する。
本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子は、本発明の透明電極を陽極として用いることが好ましく、有機発光層、陰極については有機エレクトロルミネッセンス素子に一般的に使われている材料、構成等の任意のものを用いることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の素子構成としては、陽極/有機発光層/陰極、陽極/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/ホール輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、陽極/ホール注入層/有機発光層/電子注入層/陰極、等の各種の構成のものを挙げることができる。
また、本発明において有機発光層に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、および各種蛍光色素および希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。
有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写などの方法が挙げられる。この有機発光層の厚みは0.5〜500nmが好ましく、特に、0.5〜200nmが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、自発光型ディスプレイ、液晶用バックライト、照明等に用いることができる。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、均一にムラなく発光させることができるため、照明用途で用いることが好ましい。
本発明の透明電極は高い導電性と透明性を併せ持ち、液晶表示素子、有機発光素子、無機電界発光素子、電子ペーパー、有機太陽電池、無機太陽電池等の各種オプトエレクトロニクスデバイスや、電磁波シールド、タッチパネル等の分野において好適に用いることができる。その中でも、透明電極表面の平滑性が厳しく求められる有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子の透明電極として特に好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[本発明導電性高分子の合成]
以下に、本発明に係る導電性高分子および比較の導電性高分子の合成の例を示す。
ポリビニルスルホン酸(PVS)の調製
ポリビニルスルホン酸ナトリウム(100g、25%水溶液、アルドリッチ社製)を限外ろ過膜(ミリポア社製Biomax−100)を用い限外ろ過後、陽イオン交換体(Bayer AG Lewatit S100)を用い陽イオン交換し、純水で希釈することでポリビニルスルホン酸(PVS)の15%水溶液を得た。
合成例1
導電性ポリマーCP−1(PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)/PVS)の合成(本発明)
上記で調製したポリビニルスルホン酸(PVS)(0.84g、0.97mmol、15%水溶液、分子量130.10)、過硫酸カリウム(0.11g、0.4mmol、分子量270.32、関東化学社製)および硫酸鉄(III)・n水和物(0.5mg、8.8×10−4mmol[純度70%換算]、分子量399.88、関東化学社製)、を純水20mlに溶解した。攪拌された前記溶液中へ3,4−エチレンジオキシチオフェン(56mg、0.4mmol、分子量142.18、アルドリッチ社製)を添加し、室温で24時間重合させた。続いて、陰イオン交換体(BayreAG;Lewatit MP62)5.0g、陽イオン交換体(Bayer AG Lewatit S100)5.0gを溶液へ添加し、8時間攪拌した。イオン交換体をろ過によって取除き、本発明に係る導電性高分子化合物である導電性ポリマーCP−1を得た(固形分濃度:0.9%)。溶液中に存在する硫酸イオンは、イオンクロマトグラフィーより30ppmであった。
合成例2
導電性ポリマーCP−2(PEDOT/PVS)の合成(本発明)
合成例1の導電性ポリマーCP−1の合成において、ポリアニオンであるポリビニルスルホン酸(PVS)の添加量を2.52g(2.91mmol、15%水溶液、分子量130.10)に変更した以外は合成例1と同様な方法により導電性ポリマーCP−2を得た(固形分濃度:2.2%)。
合成例3
導電性ポリマーCP−3(PEDOT/PVS/PSS)の合成(本発明)
合成例1の導電性ポリマーCP−1の合成において、ポリアニオンであるポリビニルスルホン酸(PVS)(0.84g、0.97mmol、15%水溶液、分子量130.10)の代わりにポリビニルスルホン酸(PVS)(0.61g、0.70mmol、15%水溶液、分子量130.10)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)(0.31g、0.27mmol、18%水溶液、分子量206.19)を用いた以外は合成例1と同様な方法により導電性ポリマーCP−3を得た(固形分濃度:1.6%)。
合成例4
導電性ポリマーCP−4(PEDOT/PVS/PAA)の合成(本発明)
合成例1の導電性ポリマーCP−1の合成において、ポリアニオンであるポリビニルスルホン酸(PVS)(0.84g、0.97mmol、15%水溶液、分子量130.10)の代わりにポリビニルスルホン酸(PVS)(0.61g、0.70mmol、18%水溶液、分子量130.10)、ポリアクリル酸(PAA)(38.9mg、0.27mmol、50%水溶液、分子量72.06、ポリマーサイエンス社製)を用いた以外は合成例1と同様な方法により導電性ポリマーCP−4を得た(固形分濃度:0.9%)。
合成例5
導電性ポリマーCP−5(PEDOT/PVS/PMA)の合成(本発明)
合成例1の導電性ポリマーCP−1の合成において、ポリアニオンであるポリビニルスルホン酸(PVS)(0.84g、0.97mmol、15%水溶液、分子量130.10)の代わりにポリビニルスルホン酸(PVS)(0.61g、0.70mmol、18%水溶液、分子量130.10)、ポリマレイン酸(PMA)(62.7mg、0.27mmol、50%水溶液、分子量116.07、ポリマーサイエンス社製)を用いた以外は合成例1と同様な方法により導電性ポリマーCP−5を得た(固形分濃度:1.0%)。
合成例6
導電性ポリマーCP−A(PEDOT/PSS)の合成(比較例)
合成例1の導電性ポリマーCP−1の合成において、ポリアニオンであるポリビニルスルホン酸(PVS−1)(0.84g、0.97mmol、15%水溶液、分子量130.10)の代わりにポリスチレンスルホン酸(1.11g、0.97mmol、18%水溶液、分子量206.19、アルドリッチ社製)を用いた以外は合成例1と同様な方法により導電性ポリマーCP−A(比較例)を得た(固形分濃度:1.2%)。
[銀ナノワイヤの作製]
金属微粒子として、ポリビニルピロリドンK30(分子量5万;ISP社製)を用い、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法に基づき、平均短径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤを濾別、水洗処理した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース60SH−50(信越化学工業社製)を銀に対し25質量%加えた水溶液に再分散し、銀ナノワイヤ分散液を調製した。
実施例1
〔透明電極TC−101の作製;本発明〕
調製した銀ナノワイヤ分散液を、易接着加工済みポリエチレンテレフタレートフィルム支持体コスモシャイン(登録商標)A4100(東洋紡社製)に、銀ナノワイヤの目付け量が0.05g/mとなるように、銀ナノワイヤ分散液をスピンコーターを用いて塗布し、乾燥させた。続いて、銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施した後、公知のフォトリソグラフィー法により導電部パターン幅10mm・パターン間隔10mmのストライプ状パターン電極TCF−1を作製した。
次いで、導電性高分子CP−1(固形分濃度:0.9%)にメラミン樹脂ベッカミンM−3(DIC社製)と架橋促進剤であるキャタリストACX(DIC社製)をそれぞれ導電性高分子CP−1の固形分に対して10質量%、1質量%となるように添加後、乾燥膜厚が300nmとなるようにスピンコーターにて塗布し、120℃で30分乾燥することで透明電極TC−101を作製した。
〔透明電極TC−102〜TC−105の作製;本発明〕
透明電極TC−101の作製において、本発明の導電性高分子CP−1を、導電性高分子CP−2〜CP−5に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−102〜TC−105を作製した。
〔透明電極TC−106の作製;比較例〕
透明電極TC−101の作製において、本発明の導電性高分子CP−1を、比較導電性ポリマーCP−Aに置き換えた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−106を作製した。
〔透明電極TC−107の作製;比較例〕
透明電極TC−101の作製において、導電性高分子CP−1、メラミン樹脂ベッカミンM−3(DIC社製)および架橋促進剤であるキャタリストACX(DIC社製)の代わりに、30%ポリウレタン樹脂のMEK溶液であるバイロンUR−3220(東洋紡社製)を導電性高分子の固形分に対して30質量%用いた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−107を作製した。
(評価)
以上のように作製した透明電極TC−101〜TC−107に対して、以下の方法にて全光線透過率、表面抵抗率、表面平滑性(Ra、Ry)を求め、光透過性、導電性、平滑性の指標とした。
また、透明電極の安定性を評価するため、80℃90%RHの環境下で7日間置く強制劣化試験後の透明電極試料の全光線透過率、表面抵抗率、表面粗さ(Ra、Ry)の評価を行い安定性の指標とした。さらに、耐光性劣化試験(7日間、アトラス社製ウエザオメータ Ci 3000使用)の前および耐光性劣化試験の後における、420nmでの吸光度を測定し、前と後との吸光度の変化率を求め、視認色の変化を評価し安定性の指標の一つとした。変化率が1に近いほど安定である。結果を表1に示す。
[全光線透過率]
JIS K 7361−1:1997に準拠して、スガ試験機(株)製のヘイズメーターHGM−2Bを用いて測定した。
[表面抵抗率]
JIS K 7194:1994に準拠して、三菱化学社製ロレスターGP(MCP−T610型)を用いて、測定した。
[表面粗さ(Ra、Ry)]
AFM(セイコーインスツルメンツ社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニット)を使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を用いて、前記の方法(JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる。)で測定した。
[吸光度変化]
UV/VIS/NIR Spectrophotometer(JASCO製V−570)を使用し、透明電極の耐光性試験前後の420nmにおける吸光度の変化率を下記の式により算出した。
吸光度の変化率=(耐光性試験後の透明電極の420nmにおける吸光度)/(耐光性試験前の透明電極の420nmにおける吸光度)
Figure 2011086482
表1に示した結果から、透明電極TC−106(比較)、TC−107(比較)に対して、透明電極TC−101〜105は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、また視認色の変化が少なく、安定性に優れることが分かる。
実施例2
〔透明電極TC−201の作製;本発明〕
導電性高分子CP−1(固形分濃度:0.9%)を固形分濃度が13%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮し、前記で作製した銀ナノワイヤ質量に対し固形分換算で3倍加え、さらにメラミン樹脂であるベッカミンM−3(DIC社製)と架橋促進剤であるキャタリストACX(DIC社製)をそれぞれ導電性高分子CP−1の固形分に対して10質量%、1質量%となるように添加した。この分散液を易接着加工を施した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、乾燥膜厚が300nmとなるようにスピンコーターにて塗布し、120℃で30分乾燥した。
〈金属ナノワイヤ除去剤BF−1の作製〉
エチレンジアミン4酢酸第2鉄アンモニウム 60g
エチレンジアミン4酢酸 2g
メタ重亜硫酸ナトリウム 15g
チオ硫酸アンモニウム 70g
マレイン酸 5g
を純水で1Lに仕上げ、硫酸またはアンモニア水でpHを5.5に調製し金属ナノワイヤ除去剤BF−1を作製した。
続いて、上記銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施した後、グラビア塗布機Kプリンティングプルーファー(松尾産業株式会社製)に、10mmのストライプ状パターンと逆の印刷パターンを形成した版を取り付け、上記にて作製した金属ナノワイヤ除去剤BF−1の粘度をCMCで適宜調製し、銀ナノワイヤ塗布層の上に塗布膜厚30μmとなるよう印刷回数を調製してグラビア印刷を行った。印刷後1分間放置し、次いで流水による水洗処理を行い、透明電極TC−201を作製した。
〔透明電極TC−202〜TC−205の作製;本発明〕
透明電極TC−201の作製において、本発明の導電性高分子CP−1を、導電性高分子CP−2〜CP−5に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−202〜TC−205を作製した。
〔透明電極TC−206の作製;比較例〕
透明電極TC−201の作製において、本発明の導電性高分子CP−1を、比較導電性ポリマーCP−Aに置き換えた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−206を作製した。
〔透明電極TC−207の作製;比較例〕
透明電極TC−201の作製において、導電性高分子CP−1、メラミン樹脂ベッカミンM−3(DIC社製)および架橋促進剤であるキャタリストACX(DIC社製)の代わりに、30%ポリウレタン樹脂MEK溶液であるバイロンUR−3220(東洋紡社製)[ポリウレタン樹脂]を導電性高分子の固形分に対して30質量%用いた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−207を作製した。
(評価)
以上のように作製した透明電極TC−201〜TC−207に対して、実施例1記載の方法にて全光線透過率、表面抵抗率、表面平滑性(Ra、Ry)を求めた。また、透明電極の安定性を評価するため、80℃90%RHの環境下で7日間置く強制劣化試験後の透明電極試料の全光線透過率、表面抵抗率、表面粗さ(Ra、Ry)評価を行なった。さらに、耐光性劣化試験後(7日間、アトラス社製ウエザオメータ Ci 3000使用)の420nmでの吸光度変化を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2011086482
表2に示した結果から、透明電極TC−206(比較)、TC−207(比較)に対して、透明電極TC−201〜205は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、また視認色の変化が少なく、安定性に優れることが分かる。
実施例3[透明電極の作製]
透明電極TC−301の作製(本発明)
本発明の透明電極の好ましい製造プロセスに従い透明電極を作製した。離型性基板として、表面の平滑性がRy=35nm、Ra=2nmである離型性PETフィルムを用いた。該離型性PETフィルム表面にコロナ放電処理を施した後、上記銀ナノワイヤ分散液を銀ナノワイヤの目付け量が80mg/mとなるように塗布し乾燥して、導電性繊維である銀ナノワイヤを含有する第一の導電性層を設けた。
次いで、バリア層と易接着層を有する透明基材(PETフィルム(全光透過率90%))上に接着層として紫外線硬化型樹脂(JSR社製、NN803)を塗布し溶媒成分を気化させた後、銀ナノワイヤを含有する第一の導電性層と、接着層とを貼合した。続いて、紫外線を照射して接着層を十分に硬化させた後、離型性基板である離型性PETフィルムを剥離した。
さらに、導電性ポリマーCP−1を5質量%含有するDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液を用い、乾燥膜厚が100nmとなるよう、上記離型性PETフィルムを剥離した第一の導電性層の面へ、オーバーコートし乾燥した後、80℃で3時間熱処理することで本発明の透明電極TC−301を作製した。
〔透明電極TC−302〜TC−305の作製;本発明〕
透明電極TC−301の作製において、本発明の導電性高分子CP−1を、導電性高分子CP−2〜CP−5に置き換えた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−302〜TC−305を作製した。
〔透明電極TC−306の作製;比較例〕
透明電極TC−301の作製において、本発明の導電性高分子CP−1を、比較導電性ポリマーCP−Aに置き換えた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−306を作製した。
〔透明電極TC−307の作製;比較例〕
透明電極TC−301の作製において、紫外線硬化型樹脂(JSR社製、NN803)の代わりに、30%ポリウレタン樹脂MEK溶液であるバイロンUR−3220(東洋紡社製)[ポリウレタン樹脂]を用いた以外は同様の操作を行い、透明電極TC−307を作製した。
(評価)
以上のように作製した透明電極TC−301〜TC−307に対して、実施例1記載の方法にて全光線透過率、表面抵抗率、表面平滑性(Ra、Ry)を求めた。また、透明電極の安定性を評価するため、80℃90%RHの環境下で7日間置く強制劣化試験後の透明電極試料の全光線透過率、表面抵抗率、表面粗さ(Ra、Ry)評価を行なった。さらに、耐光性劣化試験後(7日間、アトラス社製ウエザオメータ Ci 3000使用)の420nmでの吸光度変化を測定した。
結果を表3に示す。
Figure 2011086482
表3に示した結果から、透明電極TC−206(比較)、TC−207(比較)に対して、透明電極TC−201〜205は、平滑性、導電性、光透過性に優れると共に、高温、高湿度環境下においても平滑性、導電性、光透過性の劣化が少なく、また視認色の変化が少なく、安定性に優れることが分かる。
実施例4
[有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製]
作製した透明電極TC−101〜107を第一電極に用いて、以下の手順でそれぞれ有機EL素子OEL−401〜407を作製した。
〈正孔輸送層の形成〉
第1電極上に、1,2−ジクロロエタン中に1質量%となるように正孔輸送材料の4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)を溶解させた正孔輸送層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、80℃、60分間乾燥して、厚さ40nmの正孔輸送層を形成した。
〈発光層の形成〉
正孔輸送層が形成された各フィルム上に、ホスト材のポリビニルカルバゾール(PVK)に対して、赤ドーパント材BtpIr(acac)が1質量%、緑ドーパント材Ir(ppy)が2質量%、青ドーパント材FIr(pic)が3質量%にそれぞれなるように混合し、PVKと3種ドーパントの全固形分濃度が1質量%となるように1,2−ジクロロエタン中に溶解させた発光層形成用塗布液をスピンコート装置で塗布した後、100℃、10分間乾燥して、厚さ60nmの発光層を形成した。
〈電子輸送層の形成〉
形成した発光層上に、電子輸送層形成用材料としてLiFを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ0.5nmの電子輸送層を形成した。
〈第2電極の形成〉
形成した電子輸送層の上に、第2電極形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にて蒸着し、厚さ100nmの第2電極を形成した。
〈封止膜の形成〉
形成した電子輸送層の上に、ポリエチレンテレフタレートを基材とし、Alを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を使用した。第1電極および第2電極の外部取り出し端子が形成できる様に端部を除き第2電極の周囲に接着剤を塗り、可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させた。
(評価)
[発光輝度ムラ]
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を有機EL素子に印加し発光させた。200cd/mで発光させた有機EL素子OEL−301〜OEL−307について、50倍の顕微鏡で各々の発光均一性を観察した。また、有機EL素子OEL−301〜OEL−307をオーブンにて60%RH、80℃30分加熱したのち、再び前記23±3℃、55±3%RHの環境下で1時間以上調湿した後、同様に発光均一性を観察した。
発光均一性の評価基準
◎:EL素子全体が均一に発光している
○:EL素子全体がほぼ均一に発光している
△:EL素子の発光にややムラが認められる
×:EL素子の発光に明らかなムラが認められる
上記評価結果を表4に示す。
Figure 2011086482
表4から、比較の有機EL素子OEL−406、OEL−407は80℃30分の加熱後、発光均一性が著しく劣化するのに対し、本発明の有機EL素子OEL−401〜OEL−405の発光均一性は加熱後でも安定しており耐久性に優れることが分かる。
実施例5
[有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製]
実施例2の手順と同様にして作製した透明電極TC−201〜207を第一電極に用いて、実施例4の手順と同様な方法で有機EL素子OEL−501〜507を作製した。
(評価)
実施例4と同様にして評価を行った。
結果を表5に示す。
Figure 2011086482
表5から、比較の有機EL素子OEL−506、OEL−507は60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後、発光均一性が著しく劣化するのに対し、本発明の有機EL素子OEL−501〜OEL−505の発光均一性は加熱(強制劣化)後でも安定しており耐久性に優れることが分かる。
実施例6
[有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製]
実施例3の手順と同様にして作製した透明電極TC−301〜307を第一電極に用いて、実施例4の手順と同様な方法で有機EL素子OEL−601〜607を作製した。
(評価)
実施例4と同様にして評価を行った。
結果を表6に示す。
Figure 2011086482
表6から、比較の有機EL素子OEL−606、OEL−607は60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後、発光均一性が著しく劣化するのに対し、本発明の有機EL素子OEL−601〜OEL−605の発光均一性は加熱(強制劣化)後でも安定しており耐久性に優れることが分かる。
実施例7
〔透明電極TC−701の作製(発明例)〕
銀ナノワイヤーをSWCNT(Unidym社製、HiPcoR単層カーボンナノチューブ)に変更し、SWCNTの目付け量が50mg/mとなるよう調製した以外は、実施例1で示したTC−101の製造方法と同様にしてTC−701を作製した。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製〕
得られた透明電極を第一電極(アノード電極)として、実施例4と同様に有機EL素子OLE−701を作製し評価を行ったところ、OLE−101と同様にEL素子全体が均一に発光することが確認できた。また、有機EL素子を60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後も素子全体に均一発光が認められた。
実施例8
〔透明電極TC−801の作製(発明例)〕
銀ナノワイヤーをSWCNT(Unidym社製、HiPcoR 単層カーボンナノチューブ)に変更し、銀ナノワイヤー除去剤を用いず、分散液を支持体上に10mmのストライプ状パターンの印刷パターンを形成した版の上から塗布した以外は、実施例2で示したTC−201の製造方法と同様にしてTC−801を作製した。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の作製〕
得られた透明電極を第一電極(アノード電極)として、実施例4と同様に有機EL素子OLE−801を作製し評価を行ったところ、OLE−201と同様にEL素子全体が均一に発光することが確認できた。また、有機EL素子を60%RH、80℃30分の加熱(強制劣化)後も素子全体に均一発光が認められた。
1 透明電極
11 導電性繊維
21 導電性高分子化合物
41 第一の透明導電層
42 第二の透明導電層
51 透明基材

Claims (7)

  1. 透明基材上に、導電性繊維を含有する第一の透明導電層を有する透明電極であって、該透明電極は、該第一の透明導電層が下記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有するか、または該第一の透明導電層上に下記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する第二の透明導電層を有することを特徴とする透明電極。
    Figure 2011086482
    〔式中、RはCOOM、SOMを表し、Rは水素原子またはCOOMを表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムを表す。〕
  2. 前記導電性高分子化合物が、下記一般式(II)で表される構造単位を含むことを特徴とする請求項1に記載の透明電極。
    Figure 2011086482
    (式中、Aは置換基を有しても良い炭素数1〜4のアルキレン基を示し、Qは酸素原子または硫黄原子を表す。)
  3. 前記一般式(I)におけるRがSOMであり、RおよびRが水素原子であり、Mが水素原子またはナトリウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の透明電極。
  4. 前記導電性繊維が銀ナノワイヤであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の透明電極。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の透明電極を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載の透明電極を製造する製造方法であって、前記透明基材上に導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含む水系分散物を用い、導電性繊維および前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する層を形成する工程を有することを特徴とする透明電極の製造方法。
  7. 請求項1から4のいずれか1項に記載の透明電極を製造する製造方法であって、前記透明基材上に、前記導電性繊維を含有する第一の透明導電層を形成する工程、および該第一の透明導電性層上に前記一般式(I)で表される構造単位を有する導電性高分子化合物を含有する第二の透明導電層を形成する工程を有することを特徴とする透明電極の製造方法。
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