JP2011084543A - 生活習慣病予防及び改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】日常生活で食事や通常の飲料として経口摂取することで、内蔵脂肪沈着を防ぐ効果、体重増加を防ぐ効果、血糖値を下げる効果、動脈硬化を防ぐ効果、便秘を防ぐ効果が期待される生活習慣予防または改善に有効な飲食品、医薬品または飼料を提供する。
【解決手段】没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等の茶葉成分を含有し、これらの成分の組み合わせが、相乗効果を有した結果、内蔵脂肪沈着、体重増加、血糖値上昇、動脈硬化等を生活習慣病予防あるいは改善させる飲食品、医薬品または飼料。
【選択図】なし

Description

本発明は、内蔵脂肪沈着、体重増加、血糖値上昇、動脈硬化等、生活習慣病を予防あるいは改善する飲食品、医薬品または飼料に関する。さらに詳しく言えば複数の機能性を与える没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等茶葉に含まれる成分を含有し、互いに共同してその混合物の全ての成分を含有しない他の組み合わせと比較して優れた効果、または予測し得ない相乗効果を与えた結果、特に内蔵脂肪沈着、体重増加、血糖値上昇、動脈硬化等を予防あるいは改善する飲食品、医薬品または飼料に関する。
脂肪及び糖類の過多摂取により肥満や糖尿病等生活習慣病のリスクが増大している。肥満は皮下脂肪型肥満と内蔵脂肪型肥満に分かれる。内蔵脂肪型肥満は、腹腔内の腸間膜や腎臓周囲などに脂肪が過剰に蓄積しているタイプの肥満である。またBMIが25未満で、肥満ではないものの内蔵脂肪が蓄積している場合もありいわゆる隠れ肥満症も大きな問題である。
この内蔵脂肪型肥満は高血圧、高脂血症、高血糖などを併発するメタボリックシンドロームの原因の一つである。このためメタボリックシンドロームの診断では内蔵脂肪の蓄積を診断基準とする。
肥満は食べ過ぎ、食欲制御の欠如等が大きな原因である。食物摂取により得られたエネルギーが過剰になれば体重の増加及び肥満をもたらす。肥満を防ぐ為にエネルギー摂取を抑える方法とエネルギー消費を促進する方法がある。エネルギー摂取を抑える方法として食物繊維等の吸収阻害物質があげられる。また肥満を治療するための薬剤または化学物質の投与は副作用があり慎重な投与が必要である。
以上の観点から脂肪及び糖質の過多摂取により肥満や血糖値上昇等の生活習慣病のリスクの増大に対し澱粉やショ糖、麦芽糖等の消化吸収を抑える事により血糖値の過度の上昇を抑制し肥満や要尿病のリスクを下げる機能性食品のうち、植物に存在するポリフェノールに関心が持たれている。ポリフェノール類は一般に茶、野菜、果実、ハーブ等に含まれ、日常の食として長期間の食経験のある安全な生理活性物質として期待されている。
茶はツバキ科ツバキ属の木本性常緑樹である。茶に含まれる成分はカテキン類を代表とする茶ポリフェノール類、カフェイン、タンパク質、アミノ酸類、糖、デキストリン、澱粉、セルロース、ペクチン、葉緑素、カロチノイド、フラボノール誘導体、アントシアニン、脂質、樹脂類、有機酸、精油、ビタミン及び無機成分等である。
本発明の生活習慣病予防または改善剤は没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等、茶葉成分を含むがこれらの成分の増大及び新たな組み合わせにより生活習慣病予防または改善効果を相乗的に与える。これらの茶葉成分はそれぞれ単独または組み合わせた成分の生理活性が報告されている。
茶ポリフェノールでも緑茶に特に多い茶カテキン類には、抗菌、抗ウィルス、抗酸化、抗ガン、コレステロール吸収阻害作用、α−アミラーゼ活性阻害作用、抗老化、血圧上昇抑制、抗アレルギー、等各種生理活性が報告されている(特開昭60−156614号公報、特開平3−133928号公報)。緑茶中の主なフラバノールであるエピガロカテキンガレート、エピカテキンガレートは食物の脂質吸収抑制作用が知られている(特開平3−228664号公報)。
特定の成分、例えばカテキン及びカフェインは、エネルギーを増加させエネルギー利用を増大する目的の為に用いられることが報告されている(PCT出願公開WO 02/078469)。しかし、それらの成分を含有する製品は砂糖で高度に甘くされている傾向を有し砂糖は過剰の血中グルコース含量、その迅速な枯渇、インスリン応答の開始及び最終的に脂肪酸化を控える/低減することに関連する問題の一因となり得る。
茶ポリフェノールには多数のフェノール性水酸基をもつ成分タンニンであり、茶には約70種類が単離され、各種の生理機能が報告されている。ポリフェノールは生の茶葉中に含まれている一次ポリフェノールとフラバンー3ーオール類から変換した二次ポリフェノールに大別される。一次ポリフェノールはフラバンー3ーオール類、アントシアニジン類、ウーロンホモビスフラバン類、アッサミカイン類および加水分解型タンニンに分類される。二次ポリフェノールには紅茶、烏龍茶の色素であるテアフラビン類、テアフラガリン類のほかにテアシネンシン類がある。
緑茶のポリフェノール含有量は11〜16%であり、その80〜95%がフラバンー3ーオールで、主なフラバンー3ーオールはエピガロカテキンガレート(5〜7%)、エピガロカテキン(2〜5%)、エピカテキンガレート(1〜1.6%)、エピカテキン(0.4〜1.1%)である。プロアントシアニジンは多種であるが含有量は微量である。加水分解型ではテオガリン(0.1〜2%)、ストリクチニン(0.2〜0.6%)が主で高分子ポリフェノールはほとんど含まれていない。
烏龍茶ではその発酵過程でフラバンー3ーオール類はプロアントシアニジンポリマーとなる。紅茶では原料植物のポリフェノール含有量は多いが、発酵過程でフラバンー3ーオール類の多くはプロアントシアニジンポリマーに、少量がテアフラビン類、テアフラガリン類、テアシネンシン類になる。黒茶ではフラバンー3ーオール類の多くはプロアントシアニジンポリマーに変換している。また黒茶製法で使用する微生物がエステラーゼ活性が強いためガレート基が加水分解して生成した没食子酸が多いのも特徴である。烏龍茶にはカテキン類の二量体が含まれており、この化合物が膵リパーゼ阻害活性を持ち肥満予防に有効である事が報告されている(特開2005−336117)。
茶カテキン類の酸化誘導体であるテアフラビン類についても茶カテキン類の生理活性と同等かまたはそれ以上の機能性が報告されている。テアフラビン類は、没食子酸エステル構造をもつテアフラビン−3−ガレート(TF3G)、テアフラビン−3’−ガレート(TF3‘G)、テアフラビン−3、3”−ジガレート(TFDG)及び没食子酸エステル構造を持たない遊離テアフラビン(TF)の4種類がある。なかでも遊離テアフラビンは細胞レベルの実験で、血小板凝集阻害効果がエピガロカテキンガレートよりはるかに活性が高く、また他のTF3G, TF3’G, TFDGに比べても高い事が報告されている。澱粉を分解するα−アミラーゼ活性を阻害し小腸での糖類の吸収を抑制する事が知られている。(非特許文献1)一方、抗酸化活性、抗菌性、血糖降下作用が高い事も報告されている。テアフラビン類が細胞内への糖輸送を抑制することにより肥満や糖尿病の改善に有用である事も知られている(特開2006−1929号公報)。
没食子酸は抗酸化活性が高いことが報告されている。
カフェインは中枢神経興奮、睡眠防止、強心、利尿、脂肪代謝促進が報告されている。なかでもカフェインの熱産生作用を肥満防止に利用する試みも報告されているがカフェイン自身による熱産生作用はそれほど高くなく作用時間も短い事が報告されている。カフェインはカテキン類との組み合わせで体重増加抑制があることが報告されている。
茶葉サポニンは数種のサポニンが報告されている。生理作用については抗喘息、抗菌、抗ウイルス、抗アレルギー、血圧降下作用が報告されている。
茶にはアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸など15種類あまりの遊離アミノ酸が含まれている。なかでもテアニンは精神リラックス、抗がん剤の作用増強、アルツハイマー病を予防する効果が報告されている。γ−アミノ酪酸は血圧上昇抑制やリラックス効果が報告されている。
水溶性繊維は体重制御に有用であることが知られており、ある程度の満腹感を与え胃排出及び腸排出を改善し、脂肪の吸収を妨げる働きがある。便秘防止、糖尿病予防、ダイオキシン吸収抑制、代謝促進が報告されている。
以上、本発明の習慣予防または改善剤に含まれている没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維などのそれぞれの機能性を表記した。しかしながらこれらの成分を全て含有する茶葉及び飲食品の報告例は存在しない。たとえば紅茶葉にはテアフラビン類として遊離テアフラビンだけを含有する茶葉は存在しない。またテアフラビン類を含む紅茶葉は存在するが、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートがかなり残存しておりテアフラビン類の含有量が非常に僅かである。この場合、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートを除く茶ポリフェノールの含有量は本発明の茶ポリフェノール65mg/100mL以上を含む事はない。一般的な市販紅茶飲料の総ポリフェノール量は30〜50mg/100mLである。またエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートが残存している場合には没食子酸含有量が非常に低い。またエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートがほとんど含有されていない紅茶葉には遊離テアフラビンまたはテアフラビン類はほとんど含まれていない。この場合没食子酸含有量は約3.6mg/100mLである。以上のように、本発明の習慣予防または改善剤に含まれている没食子酸、茶ポリフェノール、遊離テアフラビン、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維をすべて含む茶葉及び飲食品は存在しない。
一方、紅茶エキスにテアフラビン、カフェインを加えた中性脂肪吸収阻害剤がある(特開2009−173652)。この場合テアフラビンは遊離テアフラビン、テアフラビン−3−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、テアフラビン−3、3”−ジガレートであり、添加の目的はポリフェノールを高含有する場合に生じる苦味の増大を抑制する為である。本発明の没食子酸、茶ポリフェノール、遊離テアフラビン、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等の茶葉成分を含有し、これらの成分の組み合わせが、相乗効果を有した結果、内蔵脂肪沈着、体重増加、血糖値上昇、動脈硬化、便秘等を生活習慣病予防あるいは改善させる目的とは全く異なる。
特開昭60−156614号公報 特開平3−133928号公報 特開平3−228664号公報 PCT出願公開WO 02/078469 特開2005−336117号公報 特開2006−1929号公報 特開2009−173652号公報
Hara Y, Honda M., Agric. Biol. Chem., 54 (8), 1939-1945, 1990
本発明者は、発酵茶飲料の製法および成分について鋭意研究した結果、発酵茶飲料または濃縮物の成分が互いに共同して、内蔵脂肪沈着、体重増加、血糖値上昇、動脈硬化等を予防あるいは改善する効果が従来の緑茶飲料または紅茶飲料等に比べ格段に優れた効果、予測し得ない相乗効果を発揮し生活習慣病を予防または改善され得ることを見いだした。そこで新しい生活習慣病予防または改善のために有効な新規な茶成分の組み合わせを提示しそれらを含む飲食品、医薬品または飼料を提供する。
本発明は、上記の課題を解決する手段として、第一に没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等茶葉に含まれる成分を含有することを特徴としており、第二にその混合物の全ての成分を含有しない他の組み合わせと比較して優れた効果、または予測し得ない相乗効果を与えることを特徴とし、第三にその結果、内蔵脂肪沈着、体重増加、血糖値上昇、動脈硬化、便秘等、生活習慣病を予防あるいは改善する効果が従来の飲食品より優れている事を特徴とする。
本発明は、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレートを含まない茶ポリフェノール、没食子酸、テアフラビン類、カフェインおよびサポニンの茶葉成分を含有する、生活習慣病の予防または改善剤を提供する。ここで、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレートを含まないとは、全く含まないか、または通常のHPLCによる分析において検出限界以下の量で含まれることを意味する。本発明の生活習慣病の予防または改善剤は、生活習慣病の原因となる体重増加抑制、血糖値上昇抑制、内蔵脂肪沈着抑制、動脈硬化指数の低下、肝臓脂質量の増加抑制、便秘改善、利尿作用を有することを特徴とする。
好ましくは、本発明の生活習慣病の予防または改善剤は、テアフラビン類2mg/100mL以上と、没食子酸4mg/100mL以上と、茶ポリフェノール65mg/100mL以上とを少なくとも含有する。好ましくは、テアフラビン類は9mg/100ml以下であり、没食子酸は10mg/100mL以下であり、茶ポリフェノールは130mg/100mL以下である。また好ましくは、本発明の生活習慣病の予防または改善剤は、テアフラビン類2mg/100mL以上と没食子酸4mg/100mL以上とを少なくとも含有する。好ましくは、テアフラビン類は9mg/100ml以下であり、没食子酸は10mg/100mL以下である。
本発明によれば、没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等茶葉に含まれる全成分を含有し、それらの全成分が互いに共同してその混合物の全ての成分を含有しない他の組み合わせと比較して優れた効果、または予測し得ない相乗効果を与える。特に本組成物を含む食品は内蔵脂肪沈着、体重増加、血糖値上昇、動脈硬化、便秘等を予防あるいは改善し生活習慣病を予防または改善するのに有効である。
本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について詳しく説明する。
没食子酸、茶ポリフェノール(エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のポリフェノールは含まない茶ポリフェノール)、遊離テアフラビン、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等茶葉に含まれる成分を含有した生成物の製法は茶葉を発酵させればどのような発酵法でも良い。一般に発酵茶を得る方法としては、茶葉をスラリー状で発酵させる方法、および茶葉を粉砕し少量の水を加えて振とう撹拌する方法が用いられている。得られた発酵エキスを適宜に希釈して使用すれば良い。または生茶葉を萎凋、揉捻、篩分、発酵、乾燥の工程からなる紅茶の製茶工程でもよい。得られた発酵した茶葉を水あるいは湯にて抽出すれば良い。
本発明の方法において使用する原料の生茶葉とは、収穫後、萎凋処理をする前の茶葉、または収穫後、萎凋処理をする前の冷凍茶葉をいう。生茶葉には生の茶葉及び茎が含まれ、これらは別々に使っても良いし合わせて使用しても良い。原料となる生茶葉としては、一般に栽培されている緑茶品種および紅茶品種のいずれの茶葉も用いることができる。日本で栽培されている代表的な茶葉としては、あさつゆ、やぶきた、やまとみどり、まきのはらわせ、かなやみどり、おくみどり、おおいわせ、おくひかり、めいりょく、さみどり、こまかげ、やまなみ、みねかおり、はつもみじ、紅富貴、紅ほまれ、べにひかり等があるが、本発明においては、これらの品種に限らず、世界中で栽培されているいずれの品種の茶葉も用いることができる。生茶葉は、採取直後に使用しても、採取直後に冷凍して保存した後に使用してもよい。茶葉の採取時期は、1番茶、2番茶、3番茶、4番茶のいずれでも良い。ただし、それぞれの葉ごとにカテキン量、ポリフェノールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、タンナーゼ、加水分解酵素の活性が異なるため、用いる材料の茶葉により反応条件を適宜調節することが好ましい。
本発明の生活習慣病予防または改善剤に用いられる成分は茶葉を発酵することにより得ることができる。すなわち茶葉に含まれる(1)全てのカテキン類を遊離テアフラビンと没食子酸に変換し、茶ポリフェノール、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維を持つ発酵茶の製法であれば、何を使っても良い。(1)の製法としては例えば特開平11-225672と特願2008-087491がある。
好ましくは、特願2008-087491に記載の方法を用いる。この方法は、生茶葉に水を加えてミキサーで破砕し、15分間以上静置または準嫌気的撹拌して培養した後に、固形分を除去して加熱処理を行なう。具体的には、まず、萎凋処理前の生茶葉に水を加え、ミキサー等を用いて生茶葉を破砕する。破砕は0℃から30℃の温度で行うことができる。破砕時間は、好ましくは1秒〜3分間、より好ましくは1分である。破砕処理した後、茶葉と水とを分離せずに混合物を静置するか、または準嫌気的撹拌する。準嫌気的撹拌とは、空気を巻き込まないようにしながら茶葉と水とを混ぜることをいい、例えば、ミキサー、スターラー、回転板、ボトルローラーなどを用いて空気が液体中に巻き込まれないような速度で運転することにより行うことができる。脱気や空気の遮断は特に必要ない。特にスターラーを用いて静かに撹拌することが好ましい。生茶葉に水を加えて破砕すると、茶葉の細胞中に存在するポリフェノールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、タンナーゼ、加水分解酵素、さらに各種茶の成分カテキン類、カフェイン等の成分が水中へ侵出される。これらの酵素および成分が侵出された液を静置または準嫌気的に撹拌すると、これらの酵素の作用により、カテキン類がテアフラビン類に変換される。静置時間は、使用する茶葉の種類、含有水分、保存状態等によって異なるが、好ましくは15分間以上、より好ましくは24時間以上、さらに好ましくは48時間以上、さらにより好ましくは120時間以上である。静置温度は、酵素が作用しうる温度範囲内であれば特に制限はなく、例えば10℃から40℃、好ましくは20℃から30℃である。生茶葉に加える水の量は、使用する茶葉の種類、含有水分、保存状態等によって適宜選択することができるが、好ましくは生茶葉1gに対して5mlから500ml、より好ましくは7mlから200ml、さらに好ましくは10mlから100mlである。所望の時間静置培養した後、反応液を濾過して、固形分を除く。この液を95℃から100℃にて約5分から10分間湯煎するか、オートクレーブ処理する。この製法では茶葉に含まれる全てのカテキンを遊離テアフラビンと没食子酸に変換し、茶ポリフェノール、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維を豊富に持つ。
もしくは、通常の紅茶の製茶工程で製造された紅茶葉を水あるいは湯により抽出した液に遊離テアフラビンおよび没食子酸を添加しても同等の効果が期待できる(実施例2)。またはテアフラビン類と没食子酸を添加しても同等の効果が期待できる(実施例3)。好ましくは通常の紅茶製法の茶葉でもとくにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートが全て酸化され消失した紅茶葉が望ましい。その際、遊離テアフラビン及びテアフラビン−3−ガレート(TF3G)、テアフラビン−3’−ガレート(TF3‘G)、テアフラビン−3、3”−ジガレート(TFDG)の全てが含まれても良いし、一部が含まれても良いし、全く含まれていなくても良い。
添加する遊離テアフラビンは市販品を用いても良いし、例えば特開2007-143461、特願2007-182217、特願2008-087500の酵素法により製造し、これを用いても良い。添加する没食子酸は市販品を用いても良い。添加するテアフラビン類と没食子酸の混合物は特願2007-182217、特願2008-087500、特願2008-087491の酵素法により製造し得られた液を濃縮または粉末を添加しても良い。特願2008-087500に記載の方法は、水および/または緑茶葉抽出液を加えて破砕した生茶葉を24時間から120時間静置するか、水および/または緑茶葉抽出液を加えて破砕した生茶葉を10分間から1時間振とうするか、または水および/または緑茶葉抽出液を加えて破砕した生茶葉を10分間から8時間スターラーにて撹拌する。このことにより、茶生葉中の4種類のカテキン類を効率よくテアフラビン類に変換することができ、さらに、撹拌のスピードをコントロールする事によりテアフラビンを選択的に得るか、または4種類のテアフラビンの混合物を得るか選択する事が可能である。
本発明の生活習慣病予防または改善剤に用いられる成分は茶葉を発酵することにより得ることができる。すなわち茶葉に含まれる(2)全てのカテキンをテアフラビン類に変換し、茶ポリフェノール、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維を持つ発酵茶の製法であれば、何を使っても良い。(2)の製法で現在までに報告されている製法(特開2009-82079)では原料となるカテキン類が多く残存しているため本発明の食品としては向かない。現在までに報告されている中では全てのカテキンを完全にテアフラビン類に変換できることから特願2008-087504の製法が推奨される。この方法は、生茶葉に水を加えて破砕した後、固形分を除去して加熱処理を行うか、または生茶葉に水を加えて破砕し、1分間〜40分間振とうした後、固形分を除去して加熱処理を行い、発酵茶飲料を得る。この製法では茶葉に含まれる全てのカテキンをテアフラビン類に変換し、茶ポリフェノール、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維を豊富に持つ。(2)の製法の場合、没食子酸の含有量が(1)の製法に比べ少ないため没食子酸の添加が必要となる(実施例4)。添加する没食子酸は市販品を用いても良い。
通常の紅茶製法により得られる、エピガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレートが残存している茶葉を用いる場合は、遊離テアフラビンと没食子酸を添加すれば良い(実施例5)。もしくはテアフラビン類と没食子酸を添加すれば良い(実施例6)。添加する遊離テアフラビンまたはテアフラビン類が入手できない時は、テアフラビン類混合物(カテキン類、カフェイン、テアフラビン類混合物)(実施例7)またはテアフラビン類混合物(カテキン類、カフェイン、テアフラビン類混合物、没食子酸)(実施例8)を添加すればよい。この場合混合物の含有量により添加量を決めればよい。
本発明の生活習慣病予防あるいは改善効果として、遊離テアフラビン、没食子酸、茶ポリフェノールまたはテアフラビン類、没食子酸、茶ポリフェノールの成分でも効果が認められる。(実施例9)この場合の効果は内蔵脂肪沈着を防ぐ効果、体重増加を防ぐ効果、血糖値を下げる効果、便秘を防ぐ効果が期待できる。
本発明の生活習慣病予防あるいは改善効果として、遊離テアフラビン、没食子酸またはテアフラビン類、没食子酸の成分でも効果が認められる。(実施例10)この場合の効果は内蔵脂肪沈着を防ぐ効果、体重増加を防ぐ効果、血糖値を下げる効果が期待できる。
本発明のカフェイン量は100mLの飲料水の場合、5mg 以上あればよい。ただし低カフェイン、カフェインレスでもよい。
本発明の没食子酸量は100mlの飲料水の場合、4mg以上、好ましくは5mg以上、より好ましくは6mg以上あればよい。
本発明のポリフェノールはエピガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレートを含まない茶ポリフェノールである。日本食品分析センター編、「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」、中央法規、2001年7月、p. 252に記載の公定法(酒石酸鉄試薬法)によってポリフェノール量を算出した。本発明に含まれるポリフェノールはプロアントシアニジンポリマー、テオガリン、ストリクチニン、テアフラビン類、テアシネンシン、高分子ポリフェノール等である。本発明のポリフェノール量は100mlの飲料水の場合、65mg以上、好ましくは75mg以上、より好ましくは85mg以上である。
本発明の遊離テアフラビン量は100mlの飲料水の場合、2mg以上、好ましくは2.5mg以上、より好ましくは3mg以上である。上限は9mgであるが9mg以上でも良い。遊離テアフラビンのかわりにテアフラビン類にする場合、テアフラビン類の合計が100mlの飲料水の場合、2mg以上、好ましくは2.5mg以上、より好ましくは3mg以上である。上限は9mgであるが9mg以上でも良い。
本発明のサポニン量は100mlの飲料水の場合、20mg以上、好ましくは22mg以上、より好ましくは25mg以上である。
本発明のアミノ酸量、アミノ酸の種類は限定しない。ただしGABA量は100mlの飲料水の場合、0.12mg以上、好ましくは0.13mg以上、より好ましくは0.14mg以上である。
本発明の生活習慣病予防または改善剤は、たとえば飲料水を濃縮したエキス、または粉末にすることにより、各種形態の食品及びヘルスケア製品などサプリメント、製菓、医薬品、食品工業などあらゆる分野で原料として提供できる。この場合、遊離テアフラビン、没食子酸、茶ポリフェノール、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維の含有量は飲料水の含有量を基準とする。本発明の品は食品原料として一般的食品製造方法を用いる事により加工製造する事ができる。
食品の種類としては、清涼飲料水、乳酸菌飲料、菓子類、パン類、粉末茶、麺類、調味料などどのような食品でも対応できる。没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等茶葉に含まれる成分を含有した茶葉発酵生成物は飲料として缶ドリンク、ペットボトルなど形態はいずれでもよい。例えばパンの製法を示す(実施例11)。例えば粉末茶の製法を示す(実施例12〜15)。用いる遊離テアフラビン等は実施例2〜10に準ずる。粉末茶の製法は特願2008-087491に記載の方法を用いる。この方法は、生茶葉に水を加えてミキサーで破砕し、15分間以上静置または準嫌気的撹拌して培養した後に、固形分を除去して加熱処理を行なう。具体的には、まず、萎凋処理前の生茶葉に水を加え、ミキサー等を用いて生茶葉を破砕する。破砕は0℃から30℃の温度で行うことができる。破砕時間は、好ましくは1秒〜3分間、より好ましくは1分である。破砕処理した後、茶葉と水とを分離せずに混合物を静置するか、または準嫌気的撹拌する。準嫌気的撹拌とは、空気を巻き込まないようにしながら茶葉と水とを混ぜることをいい、例えば、ミキサー、スターラー、回転板、ボトルローラーなどを用いて空気が液体中に巻き込まれないような速度で運転することにより行うことができる。脱気や空気の遮断は特に必要ない。特にスターラーを用いて静かに撹拌することが好ましい。生茶葉に水を加えて破砕すると、茶葉の細胞中に存在するポリフェノールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、タンナーゼ、加水分解酵素、さらに各種茶の成分カテキン類、カフェイン等の成分が水中へ侵出される。これらの酵素および成分が侵出された液を静置または準嫌気的に撹拌すると、これらの酵素の作用により、全てのカテキン類がテアフラビン類に変換される。静置時間は、使用する茶葉の種類、含有水分、保存状態等によって異なるが、好ましくは15分間以上、より好ましくは24時間以上、さらに好ましくは48時間以上、さらにより好ましくは120時間以上である。静置温度は、酵素が作用しうる温度範囲内であれば特に制限はなく、例えば10℃から40℃、好ましくは20℃から30℃である。生茶葉に加える水の量は、使用する茶葉の種類、含有水分、保存状態等によって適宜選択することができるが、好ましくは生茶葉1gに対して5mlから500ml、より好ましくは7mlから200ml、さらに好ましくは10mlから100mlである。所望の時間静置培養した後、反応液を濾過して、固形分を除く。反応液の濾液を濃縮した後、スプレードライまたはフリーズドライを行い粉末化する。もしくは準嫌気的撹拌を数時間行なった後、固液分を全て濃縮乾燥後、遊離テアフラビン含有緑色の粉末茶が得られる(実施例12)。もしくは準嫌気的撹拌を数時間行なった後冷蔵庫で1晩放置するか、所望の時間静置培養を行なった後、固液分を全て濃縮乾燥すれば遊離テアフラビン含有紅茶色の粉末茶が得られる。(実施例13)。もしくは準嫌気的撹拌あるいは静置培養を行なった後、濾過する。得られた固形分を乾燥し遊離テアフラビン含有緑色の粉末茶が得られる(実施例14)。もしくは準嫌気的撹拌あるいは静置培養を行なった後、冷蔵庫で1晩放置するか、所望の時間静置培養を行なった後、濾過する。得られた固形分を乾燥し遊離テアフラビン含有紅茶色の粉末茶が得られる。(実施例15)。
本発明の食品の形態としては、没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等の茶葉成分のうち少なくとも遊離テアフラビンと没食子酸、またはテアフラビン類と没食子酸、または遊離テアフラビンと没食子酸と茶ポリフェノール、またはテアフラビン類と没食子酸と茶ポリフェノールを含有していればどのような食品形態でもよい。好ましくは没食子酸、茶ポリフェノール、テアフラビン類、カフェイン、サポニン、アミノ酸、水溶性繊維等の茶葉成分を含有している事がのぞましい。たとえば、飲料水ペットボトル、缶ドリンク剤、冷凍食品、粉末食品、シート状食品、ビン詰め食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル状食品、タブレット状食品など食品形態はこだわらない。
本発明の食品は健康食品、機能性食品として、体重が気になる、内蔵脂肪が気になる、血糖値が気になる、動脈硬化症が気になる、便秘が気になる、いつまでも若さを保ちたい等の目的で用いても良い。摂取量は年齢、性別などで異なるが、飲料水の場合、健康成人の場合1日500ml以上1500ml以下摂取すれば良い。他の食品形態では飲料水を基準にし摂取量を決定する。
本発明の飼料としては哺乳類、鳥類、魚類等の動物に対して、肥満、内蔵脂肪沈着、血糖値上昇抑制、動脈硬化症、便秘症、ストレス性脱毛症を予防または改善する飼料としてイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ等のペット用飼料、ウシ、ブタ、ニワトリ等の飼料、タイ、ウナギ等の養殖用飼料に用いられる。一般的飼料製造法により本発明飼料を製造できる。
以下に、本発明の生活習慣病予防及び改善剤の実施例を示して、さらに詳細、かつ、具体的に説明する。もちろん、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
表1に示した普通食飼料(CE2、日本クレア(株)製)および高脂肪食飼料(High Fat Diet 32、以下HFD32、日本クレア(株)製)を与えたマウスに対し、水、表2に示した市販緑茶飲料、市販紅茶飲料及び発明成分を含む飲料を与えて、体重、尾静脈随時血糖値及び尾静脈空腹時血糖値の推移、糞量、尿量、臓器内脂肪、血液成分、肝臓脂質成分、脱毛度、にどのような効果があるかどうかを9ヶ月間、調べた。なお、飲料は給水瓶にいれ、餌と水及び各種飲料は自由摂取させた。測定結果は平均±標準偏差で表し、3群以上の検定にはBonferroni検定による多重比較検定を行ない、危険率5%未満をもって有意(*)、危険率1%未満をもって有意(**)とした。統計解析には、統計処理ソフト“ystat2000”(山崎2000)を使用した。
普通食餌料(CE2)、高脂肪食餌量(HFD32)の100g中の成分量を表1に表した。
市販飲料、市販紅茶飲料、及び発明成分を含む生活習慣病予防飲料の100ml中の成分表を表2に示した。なお、発明成分を含む生活習慣病予防飲料の製法を記す。冷凍保存した茶葉120gに水4リットル加え工業用ミキサー(High スピード)にて1分間破砕し30リットル用ステンレス槽に移す。この操作を4回繰り返し全ての茶葉(480g)を破砕し最後に水9リットルを添加し水の全量を25リットルとする。その後工業用スターラーで40分間静かに撹拌する。粗濾過を行った後、アスコルビン酸Naを添加して濾過を行い、濾過後レトルト殺菌を行い製造した。
飼育実験
高脂肪食誘発肥満モデルマウスC57BL6の4週齢の雄性マウスを購入し、実験環境に慣らす為に7日間予備飼育してから健全な動物を実験に使用した。飼育室の環境は温度を23±1℃、湿度を55±5%の一定とし明暗は12時間周期(明8:00−20:00)とした。実験動物はプラスチック製のケージを用いて1つのケージあたり5匹のマウスを入れ動物飼育室内で飼育した。
[実験群及び実験条件]
実験群は8群とし各群の数はn=10匹とした。各群に与える試料と飲料は表3に示した。
給餌及び給水は自由摂取とした。
[体重増加率の変化]
実験開始後、9ヶ月間の体重増加率の変化について表4に表した。体重はマウスが2月齢、3月齢、4月齢、6月齢、9月齢に達したとき測定した。体重増加率は実験開始時の体重に比べてどれだけ体重が増加したか、以下の計算式により算出した。
体重増加(%)=(測定月齢の体重-実験開始時の体重)÷実験開始時の体重×100
普通食群では本発明の実施例であるIV群はコントロール(I群)と比較して体重の増加が抑制されていた。特に9月齢ではコントロール(I群)、比較例群(II及びIII群)の4群で検定を行なったが有意に低下した。
高脂肪食群の体重増加率は全ての月齢において、本発明の実施例であるVIII群は低下した。特に4月齢、6月齢、9月齢の場合、V、VI、VII、VIII群において、本発明の実施例であるVIII群は有意に体重増加率を低下させた。
体重増加率の変化を表4に示した。
[体重変化]
高脂肪食群において実験開始時の体重19g台のマウスの体重変化を表5に示した。本発明の実施例であるVIII群はコントロール(I群)、比較例群(VI及びVII群)と比べて一番低い体重を示した。
体重変化を表5に示した。
[飼料及び飲料の摂取量]
試験期間中の餌及び飲料水の摂取量は2日おきに測定し、1日あたりの平均飼料摂取量及び平均飲料水摂取量を表6に示す。
平均飼料摂取量と平均飲料水摂取量を表6に示した。
[糞量の測定]
普通食群、高脂肪食群の24時間の糞量を測定した。それぞれの群のマウスを個別の代謝ゲージにて24時間飼育し24時間後の糞量を測定した。結果を表7に示す。普通食群では本発明の実施例であるIV群はコントロール(I群)、比較例群(II及びIII群)の中で糞量が一番多い結果を示した。高脂肪食群では本発明の実施例であるVIII群はコントロール(V群)、比較例群(VI及びVII群)の中で糞量が一番多い結果を示し、コントロール、比較群に比べて50%も多い糞量を示したのは特筆すべきである。
糞量を表7に示した。
[尿量の測定]
普通食群、高脂肪食群の尿量を測定した。それぞれの群のマウスを個別の代謝ゲージにて24時間飼育し24時間後の尿量を測定した。
表8に示すように普通食群では本発明の実施例であるIV群はコントロール(I群)、比較例群(II及びIII群)の中で比較III群とともに尿量が多い結果を示した。高脂肪食群では本発明の実施例であるVIII群はコントロール(V群)、比較例群(VI及びVII群)の中で尿量が一番多い結果を示した。
尿量を表8に示した。
[随時血糖値の測定]
随時血糖値は午後1時に測定した。血糖値はマウスが3月齢、4月齢、6月齢、9月齢、10月齢に達したとき測定した。採血は尾静脈から行い、簡易血糖測定システム(テルモ社製)にて血糖値を測定した。
表9に示すように普通食群では本発明の実施例であるIV群はコントロール(I群)、比較例群(II及びIII群)の中で随時血糖値は一番低い値を示し、特に4月齢、6月齢、9月齢とも血糖値が150台で推移しているのは特筆すべきである。高脂肪食群では本発明の実施例であるVIII群は3月齢、4月齢、6月齢の中でコントロール(V群)、比較例群(VI及びVII群)の中で随時血糖値は一番低い値を示した。さらにVIII群は
4月齢から10月齢まで高脂肪食を食べているにもかかわらず随時血糖値が180台でほぼ一定であるのは特筆すべきである。
随時血糖値(mg/dl)を表9に示した。
[空腹時血糖値]
プラスチックゲージに床敷も無い状態で14時間絶食後、普通食、及び高脂肪食の空腹時血糖値を測定した。血糖値はマウスが9月齢、10月齢に達したとき測定した。表10に示すように普通食の場合、本発明の実施例であるIV群はコントロール(I群)、比較例群(II及びIII群)と比べ同程度の血糖値を示し正常値の場合血糖値を下げる等の逆の効果はなかった。高脂肪食群では本発明の実施例であるVIII群は9月齢、10月齢ともコントロール(V群)、比較例群(VI及びVII群)の中で空腹時血糖値は一番低い値を示した。
空腹時血糖値を表10に示した。
[臓器脂肪組織量]
臓器脂肪組織量は10月齢のマウスを14時間絶食後、麻酔下(ジエチルエーテル)で開腹し、速やかに腎臓周囲脂肪、睾丸周囲脂肪、腸管周囲脂肪、総脂肪量を摘出しその重量を測定した。コントロールの脂肪量を100として相対値を表した。
表11に示すように普通食群の臓器脂肪組織量は本発明の実施例であるIV群は腎臓、睾丸周囲、腸管周囲、総脂肪量ともにコントロール(I群)、比較例群(II及びIII群)と比べ有意に一番少ない値を示し、優れた脂肪沈着抑制効果を示した。例えばIV群は腎臓の場合コントロール群の1/13以下、II群の約1/3以下、III群の約1/8以下ときわめて高い脂肪沈着抑制効果を示した。表12に示すように高脂肪食の臓器脂肪組織量は本発明の実施例であるVIII群はコントロール(V群)、比較例群(VI及びVII群)の中で腸管周囲、総脂肪量は有意に一番低い値を示した。
普通食臓器脂肪量を表11に示した。
高脂肪食臓器脂肪量を表12に示した。
[血液生化学検査]
血液生化学検査では10月齢のマウスを14時間絶食後、麻酔下(ジエチルエーテル)で頸動脈からシリンジを用いて採血し、それから得られた血漿を血液自動分析装置(オリエンタル酵母工業株式会社 長浜ライフサイエンスラボラトリー委託)で測定を行なった。
表13に示すように普通食の場合、本発明の実施例であるIV群はコントロール(I群)と比べグルコース値は減少した。比較飲料であるII群はHDLコレステロールの有意な減少、及びLDLコレステロールの有意な増加により動脈硬化指数値を有意に増加させたがIV群は認められなかった。表14に示すように高脂肪食の場合、本発明の実施例であるVIII群はHDLコレステロールを上昇させ、LDLコレステロールを減少させた結果、コントロール(V群)、比較例群(VI及びVII群)の中で動脈硬化指数を有意に下げたことは特筆すべきである。
普通食血液生化学検査結果を表13に示した。
高脂肪食血液生化学検査結果を表14に示した。
[肝臓内脂肪組織量]
肝臓内の脂肪組織量は10月齢のマウスを14時間絶食後、麻酔下(ジエチルエーテル)で開腹し、肝臓を採取し−80℃下で冷凍保存した。肝臓はホルチ法により脂質を抽出した。トリグリセリド、コレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸は和光純薬工業製のラボアッセイトリグリセライドキット、ラボアッセイコレステロールキット、ラボアッセイリン脂質キット、ラボアッセイNEFAキットにより測定した。
表15に示すように普通食肝臓脂質の総脂質量は本発明の実施例であるIV群はコントロール(I群)と比べ減少したが、比較飲料であるII群はさらに低下した。トリグリセリド値はIV群、II群とも対照群に比べて低下した。表16に示すように高脂肪食肝臓脂質の分析では本発明の実施飲料であるVIII群はコントロール(V群)と比べ総脂質量、及びトリグリセリドは低下させた。
普通食肝臓脂肪量を表15に示した。
高脂肪食肝臓脂肪量を表16に示した。
[マウスの脱毛度]
実験に使用した高脂肪食誘発肥満モデルマウスC57BL6は脱毛遺伝子をもっているため、飼育期間中に脱毛することは報告されている。
実験開始後9ヶ月間のマウスの脱毛度を大きさの順に脱毛度を小10点、中20点、大30点とし点数化し平均値を出した。表17に示すようにいずれも高脂肪食、普通食群とも市販紅茶飲料(II群、VI群)は対照群に比べ有意に脱毛させた。実験に使用したマウスは脱毛遺伝子を持つ事は報告されているが普通食、高脂肪食ともにコントロールの水投与群は脱毛がほとんど認められなかった。本発明の実施例であるIV群、VIII群は水に次いで脱毛度は非常に少なかった。毛の量、つやは水と同等であった。紅茶飲料、緑茶飲料は脱毛部分以外も毛の量は少なく地肌が見えたが水と発明飲料は地肌は見えずふさふさで、色、つやともに優れていた。
マウスの脱毛度を表17に示した。
[総合評価]
以上、高脂肪食、普通食に対し市販緑茶飲料、市販紅茶飲料及び発明成分を含む飲料を与えることにより、体重、随時血糖値、空腹時血糖値、糞量、尿量、臓器内脂肪、血液成分、肝臓脂質成分、及び脱毛度にどのような効果があるかどうかを9ヶ月間、調べた。
上記項目につき有意差検定を行ないそれぞれの項目につき有意差が認められた項目につき有意差の点数化(10点または20点)を行い表18に示した。良い効果は加点し、悪い効果は減点した。
10点:有意水準5%で有意差が認められたもの
20点:有意水準1%で有意差が認められたもの
発明成分を含む飲料の期待される効果
発明成分含有飲料は普通食、高脂肪食ともに体重増加度抑制、血糖値の上昇抑制、快便、利尿作用、内蔵脂肪の沈着を防ぐ効果、肝臓の中性脂肪を下げる事が有意差検定で有意差が認められ、表に示すように水、市販紅茶飲料、市販緑茶飲料に比べ非常に高い効果(普通食−発明成分飲料190点、高脂肪食−発明成分飲料150点)が認められた。
一方、市販紅茶飲料は発明成分飲料に比べれば効果は劣るが普通食において体重増加抑制、及び脂肪沈着を防ぐ効果が認められたが、動脈硬化指数値の上昇効果やマウスの脱毛が激しい事などマイナス効果も多かった。発明成分飲料はマイナス効果はほとんど認められず生活習慣病を予防する効果が水、市販紅茶飲料、市販緑茶飲料に比べ高い効果をもつことが実証された。
現在、機能性を有する飲料のほとんどがカテキンの添加等、有用成分の添加である。本発明成分飲料は通常の機能性表示の無い市販飲料に含まれる成分と比べ極端に多くなくわずかではあるが増加している食品(ポリフェノール含有量の増加、テアフラビン類の含有、没食子酸の増加)である。本発明飲料は茶葉に含まれるそれぞれの成分の新しい組み合わせにより機能性が複合的に作用し相乗効果を生み出した結果、生活習慣病を予防する効果が得られたこれまでにない発明である。
有意差検定の比較表を表18に示した。
有意差検定の比較表を表19に示した。
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
紅茶葉(エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、遊離テアフラビン、テアフラビン類をほとんど含有しない紅茶葉) 6g 熱水抽出物
遊離テアフラビン 20mg 〜 90mg
没食子酸 40mg 〜 100mg
アスコルビン酸ナトリウム 適量
水にて1000mlとする。
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
紅茶葉 (エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、遊離テアフラビン、テアフラビン類をほとんど含有しない紅茶葉) 6g 熱水抽出物
テアフラビン類 20mg 〜 90mg
没食子酸 40mg 〜 100mg
アスコルビン酸ナトリウム 適量
水にて1000mlとする。
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
特願2008-087504製法による飲料 1000ml
(飲料の製法:冷凍保存した茶葉76.5gに水4リットル加え、工業用ミキサー(High スピード)にて3分間破砕し、30リットル用ステンレス槽に移した。この操作を4回繰り返し、茶葉 (306g) を破砕し、最後に水9リットルを添加し水の全量を25リットルとした。その後40分間振とうした。粗濾過を行った後、アスコルビン酸Naを添加して濾過を行った。濾過後レトルト殺菌を行った。)
没食子酸 40mg 〜 100mg
アスコルビン酸ナトリウム 適量
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
紅茶葉 (エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートが残存している紅茶葉) 6g 熱水抽出物
遊離テアフラビン 20mg 〜 90mg
没食子酸 40mg 〜 100mg
アスコルビン酸ナトリウム 適量
水にて1000mlとする。
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
紅茶葉 (エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートが残存している紅茶葉) 6g 熱水抽出物
テアフラビン類 20mg 〜 90mg
没食子酸 40mg 〜 100mg
アスコルビン酸ナトリウム 適量
水にて1000mlとする。
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
紅茶葉 (エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、遊離テアフラビン、テアフラビン類がほとんど存在しない紅茶葉 またはエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートが残存している紅茶葉) 6g 熱水抽出物
テアフラビン類混合物(カテキン類、カフェイン、テアフラビン類の混合物) 適量
没食子酸 40mg 〜 100mg
アスコルビン酸ナトリウム 適量
水にて1000mlとする。
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
紅茶葉 (エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、遊離テアフラビン、テアフラビン類がほとんど存在しない紅茶葉 またはエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートが残存している紅茶葉) 6g 熱水抽出物
テアフラビン類混合物(カテキン類、カフェイン、テアフラビン類、没食子酸の混合物)
適量
アスコルビン酸ナトリウム 適量
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
遊離テアフラビンまたはテアフラビン類 20mg 〜 90mg
没食子酸 40mg 〜 100mg
茶ポリフェノール 65mg 〜 130mg
アスコルビン酸ナトリウム 適量
水にて1000mlとする。
次の配合により清涼飲料水1000mlを製造する。
遊離テアフラビンまたはテアフラビン類 20mg 〜 90mg
没食子酸 40mg 〜 100mg
アスコルビン酸ナトリウム 適量
水にて1000mlとする。
次の配合により4斤の食パンを製造する。
紅茶葉 (エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートが全て酸化され消失した紅茶葉)
4〜6gを湯にて抽出し茶葉を除去した紅茶水溶液 720ml
遊離テアフラビン またはテアフラビン類 55mg
没食子酸 72mg
強力粉1000g
バター40g
砂糖68g
スキムミルク24〜48g
塩20g
ドライイースト 11.2g
もしくは、下記実施例12で得られる粉末茶を適量用いてパン生地に練り込んでもよい。
次の方法により緑色の粉末茶を製造する。
冷凍保存した生茶葉120gに水600ミリリットルを加え工業用ミキサー(High スピード)にて1分間破砕し、空気を巻き込まないように工業用スターラーで4時間撹拌し、
エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートを遊離テアフラビンに変換した後、アスコルビン酸Naを添加する。その後、水分を留去した後、乾燥して緑茶色の粉末茶30g(遊離テアフラビン10%以上含有、カフェイン2.3%、没食子酸1.6%、ポリフェノール6.7%)とする。
次の方法により紅茶色の粉末茶を製造する。
冷凍保存した生茶葉120gに水600ミリリットルを加え工業用ミキサー(High スピード)にて1分間破砕し、空気を巻き込まないように工業用スターラーで4時間静かに撹拌しエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートを遊離テアフラビンに変換した後、冷蔵庫で24時間以上放置した後アスコルビン酸Naを添加する。その後水分を留去した後、乾燥して紅茶色の粉末茶30g(遊離テアフラビン10%以上含有、カフェイン2.3%、没食子酸1.6%、ポリフェノール6.7%)とする。
次の方法により粉末茶を製造する。
冷凍保存した生茶葉120gに水600ミリリットルを加え工業用ミキサー(High スピード)にて1分間破砕し、空気を巻き込まないように工業用スターラーで4時間静かに撹拌しエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートを遊離テアフラビンに変換した後、濾過を行なう。得られた固形分を乾燥し28gの緑色の粉末茶(遊離テアフラビン10%以上含有)とする。
次の方法により粉末茶を製造する。
冷凍保存した生茶葉120gに水600ミリリットルを加え工業用ミキサー(High スピード)にて1分間破砕し、空気を巻き込まないように工業用スターラーで4時間静かに撹拌しエピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートを遊離テアフラビンに変換した後、冷蔵庫で24時間以上放置する。濾過を行ない得られた固形分を乾燥し28gの紅茶色の粉末茶(遊離テアフラビン10%以上含有)とする。

Claims (6)

  1. エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートを含まない茶ポリフェノール、没食子酸、テアフラビン類、カフェインおよびサポニンの茶葉成分を含有する、生活習慣病の予防または改善剤。
  2. 生活習慣病の原因となる体重増加抑制、血糖値上昇抑制、内蔵脂肪沈着抑制、動脈硬化指数の低下、肝臓脂質量の増加抑制、便秘改善、利尿作用を特徴とする請求項1記載の生活習慣病の予防または改善剤。
  3. テアフラビン類2mg/100mL以上と、没食子酸4mg/100mL以上と、茶ポリフェノール65mg/100mL以上とを少なくとも含有する請求項1記載の生活習慣病の予防または改善剤。
  4. テアフラビン類2mg/100mL以上と、没食子酸4mg/100mL以上とを少なくとも含有する請求項1記載の生活習慣病の予防または改善剤。
  5. 生茶葉に水を加えてミキサーで破砕し15分間以上静置または準嫌気的撹拌して培養した後に固液分を全て濃縮乾燥することにより得られる粉末茶を含有する、請求項1記載の生活習慣病の予防または改善剤。
  6. 生茶葉に水を加えてミキサーで破砕し15分間以上静置または準嫌気的撹拌して培養した後に分離した固形分を乾燥することにより得られる粉末茶を含有する、請求項1記載の生活習慣病の予防または改善剤。
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