JP2011083229A - フライ用油脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】
油ちょうに使用する油脂において、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、硬化油含量を低減させても、食品に好ましい食感を付与することができるフライ用油脂を提供すること、及びこのフライ用油脂を用いた食品を提供すること。
【解決手段】
食用油脂、及び硬化油からなり、硬化油の割合が食用油脂及び硬化油の全量に対して0〜50重量%であり、かつ、
(A):炭素数が16〜22の飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上
(B):炭素数が8〜14の飽和脂肪酸及び炭素数が16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上
であり、(A)及び(B)の総モル量において、(A)のモル比率が0.3〜0.9、(B)のモル比率が0.1〜0.7、エステル化率が40%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを油脂用固化剤として含有するフライ用油脂、及びこのフライ用油脂を利用した食品を用いる。
【選択図】なし
油ちょうに使用する油脂において、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、硬化油含量を低減させても、食品に好ましい食感を付与することができるフライ用油脂を提供すること、及びこのフライ用油脂を用いた食品を提供すること。
【解決手段】
食用油脂、及び硬化油からなり、硬化油の割合が食用油脂及び硬化油の全量に対して0〜50重量%であり、かつ、
(A):炭素数が16〜22の飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上
(B):炭素数が8〜14の飽和脂肪酸及び炭素数が16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上
であり、(A)及び(B)の総モル量において、(A)のモル比率が0.3〜0.9、(B)のモル比率が0.1〜0.7、エステル化率が40%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを油脂用固化剤として含有するフライ用油脂、及びこのフライ用油脂を利用した食品を用いる。
【選択図】なし
Description
本発明は、フライ用油脂に関する。より詳細には、油脂の配合において、硬化油含量を低減しても、油脂に適度な硬さや粘度を付与し、食品に好ましい食感を付与できるフライ用油脂に関する。
油脂は、焼く、炒める、揚げる等のさまざまな加熱調理に利用される。その中で、油ちょうした食品には、素揚げ、天ぷら等、様々な形態のものがあり、他の調理方法による食品と比べて吸油量が多いため、フライ油の品質や物性が食味に大きく影響する。このことから、業務用のフライ油には、食品の特性に応じて、好ましい食感や風味を付与したり、それらを長く維持させたりするために、その食品専用に配合した油脂が使用されている。例えば、ドーナツなどの油ちょうした菓子は、サックリしたものや油っぽくないものが好まれる傾向がある。ドーナツのサクミは、吸収された油が適度に固まることによって発現される。また、ドーナツの油っぽさは、吸収された油が染み出すことに起因しており、これを抑制するためには、サクミと同様に吸収した油が適度に固まることが必要とされる。このため、ドーナツ用のフライ油には、液状油以外に、天然の動植物油脂を水素添加した硬化油を配合する場合が多い。これらのフライ油を利用して油ちょうすることで、食品中に含まれた油脂が適度に固化し、好ましいサクサク感を付与できる。また、手で持って食したり、口に入れたりしたときの油っぽさを抑えることが可能となる。
硬化油は、水素添加の度合いによって、完全水素添加油脂と部分水素添加油脂に分類されるが、後者には、通常、構成脂肪酸中にトランス脂肪酸が10〜50重量%程度含まれている。トランス脂肪酸の摂取は、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪の増加を促し、心臓血管病を引き起こすことが示唆されている。このように、硬化油による油ちょう食品の食感改良効果は優れているが、上記のような健康上の問題から、硬化油の使用を制限する動きが盛んになっている。
硬化油を含まない、あるいは低減したフライ用油脂として、特許文献1には、グリセリンモノベヘン酸エステル及びHLBが3以下のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するフライ用油脂、特許文献2には、ヨウ素価49以上の精製パーム油、液体植物油、極度硬化油及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するフライ用油脂が開示されている。しかしながら、特許文献1では、油脂用固化剤として、2種類のグリセリン脂肪酸エステルを配合することにより、硬化油と同等の機能を有したフライ用油脂が提案されているが、油脂用固化剤の混合比率や油脂の種類によっては、十分な効果を得ることが困難であった。また、特許文献2では、ドーナツフライ用の油脂が提案されているが、油ちょう時の作業性や油脂の染み出しによる外観不良(砂糖泣き)の改良を目的としたものである。
そこで、フライ用油脂中の硬化油含量を低減させても、油ちょう食品に好ましい食感を付与する効果に優れたフライ用油脂を得る方法が望まれている。
本発明の課題は、油ちょうに使用する油脂において、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを油脂用固化剤として配合することにより、硬化油含量を低減させても、油ちょう食品に好ましい食感を付与することができるフライ用油脂を提供することにある。本発明は、さらにこのフライ用油脂を利用した食品を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、フライ用油脂に食用油脂を含有させて、硬化油の使用量を減らし、特定の脂肪酸組成を有したポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させることで、上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、食用油脂、及び硬化油からなり、硬化油の割合が食用油脂及び硬化油の全量に対して0〜50重量%であり、さらに、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸に、(A)炭素数が16〜22の飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上と、(B)炭素数が8〜14の飽和脂肪酸および炭素数が16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上有し、構成脂肪酸(A)および(B)の総モル量において、構成脂肪酸(A)のモル比率が0.3〜0.9、構成脂肪酸(B)のモル比率が0.1〜0.7であり、そのエステル化率が40%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有させることを特徴としたフライ用油脂である。
本発明によれば、硬化油含量を低減できるため、トランス脂肪酸の摂取量が低減でき、さらに、油ちょう食品に好ましい食感を付与することができるフライ用油脂が提供される。また、これを用いてなる食品を提供することができる。
本発明を実施形態に基づき以下に説明する。本実施形態のポリグリセリン脂肪酸エステルは、所定の脂肪酸を構成脂肪酸とし、その構成脂肪酸のモル比率が限定されたものとなっている。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、炭素数が16〜22の飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上と、炭素数が8〜14の飽和脂肪酸および炭素数が16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上とを有している。
炭素数が16〜22の飽和脂肪酸、炭素数が8〜14の飽和脂肪酸、および炭素数が16〜22の不飽和脂肪酸は、この炭素数および飽和または不飽和の条件に当てはまるものであれば、特に限定されるものではないが、主として直鎖脂肪酸が選択される。炭素数が16〜22の飽和脂肪酸には、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が、炭素数が8〜14の飽和脂肪酸には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸には、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸が、例示される。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸中における各脂肪酸のモル比率は、
(A):炭素数が16〜22の飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上、
(B):炭素数が8〜14の飽和脂肪酸および炭素数が16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上、
であり、(A)および(B)の総モル量において、(A)のモル比率が0.3〜0.9、(B)のモル比率が0.1〜0.7、となる必要がある。特に、(A)のモル比率が0.6〜0.9であることがより好適である。
(A):炭素数が16〜22の飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上、
(B):炭素数が8〜14の飽和脂肪酸および炭素数が16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上、
であり、(A)および(B)の総モル量において、(A)のモル比率が0.3〜0.9、(B)のモル比率が0.1〜0.7、となる必要がある。特に、(A)のモル比率が0.6〜0.9であることがより好適である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、その平均重合度が限定されるものではないが、2〜20であると良い。ここで、平均重合度は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、次式(式1)および(式2)から平均重合度が算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
上記(式2)中の水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂「日本油化学会制定、規準油脂分析試験法(I)、2003年度版」に準じて算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)水酸基価=56110(n+2)/分子量
上記(式2)中の水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂「日本油化学会制定、規準油脂分析試験法(I)、2003年度版」に準じて算出される。
本実施形態のポリグリセリン脂肪酸エステルは、エステル化率が高まるほど、油脂組成物の固化効果が高まることになるので、エステル化率が40%以上である必要があり、好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上である。ここで、エステル化率とは、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)、このポリグリセリンが有する水酸基数(n+2)、ポリグリセリンに付加している脂肪酸のモル数(M)としたとき、(M/(n+2))×100=エステル化率(%)で算出される値である。なお、水酸基価とは、上述の水酸基価と同様に算出される値である。
本実施形態のポリグリセリン脂肪酸エステルは、公知のエステル化反応により製造することができる。例えば、脂肪酸とポリグリセリンとを水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒の存在下におけるエステル化反応により製造することができる。エステル化反応は、仕込んだ脂肪酸のほぼ全てがエステル化するまで反応させる。すなわち、遊離の脂肪酸がほとんどなくなるまで十分に反応させる。
本実施形態におけるフライ用油脂に用いられる食用油脂は、植物性油脂、動物性油脂、及びこれらの混合物等、限定されるものではない。植物性油脂としては、例えば大豆油、ナタネ油、コーン油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、綿実油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、オリーブ油、カラシ油、米油、米糠油、小麦麦芽油、サフラワー油、ひまわり油、カカオ油およびこれらの分別油脂が例示される。動物性油脂としては、例えば、EPA油、DHA油、牛脂、鶏脂、豚脂、羊脂、まいわし油、さば油、たら油、鯨油およびこれらの分別油脂が例示される。さらに、ジグリセライドおよび/またはモノグリセライドが含有または調合されているものであっても良い。また、油脂にはステロールやステロールエステル等が任意に含有されていても良い。
本実施形態におけるフライ用油脂に用いられる硬化油は、一般に使用される食用油脂の硬化油であれば、特に限定されるものではない。具体的には、大豆油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油、米ぬか油、綿実油、パーム油、からし油、ラード、牛脂等を原料として、ニッケル触媒の存在下、120〜200℃で水素添加する方法などにより得ることができる。これらの硬化油の割合は、油脂量全体に対して、0〜50重量%含有させる。より好ましくは0〜30重量%含有させると良い。
本実施形態におけるフライ用油脂には必要に応じ、一般的にフライ用油脂に使用されている他の原料、例えば、フライ機能を向上させるためにシリコーンや、トコフェロール、カテキン類等の酸化防止剤等も適宜使用することができる。また、人体に有効な生理活性を及ぼすとされる成分、例えばビタミンA、ビタミンD、ビタミンEやγ−オリザノール等を適宜使用することができる。
本実施形態のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したフライ用油脂は、適度な硬さを保持することが可能であり、硬化油を配合した油脂と同様の物理的性質が好適に付与されてなり、フライ食品の食感改良が可能である。
本実施形態におけるポリグリセリン脂肪酸エステルは、その使用量の増加と共に、フライ油中により多くの液状油脂を配合しても、硬化油を使用する場合と同様の物性および食感を油ちょう食品に付与できる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの使用量は、フライ用油脂中、0.01〜10.0重量%となる量であると良く、より好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明のフライ用油脂を利用してなる食品としては、通常の油ちょう食品であれば、特に限定はないが、具体的には、天ぷら、スナック菓子、ポテトチップ、ドーナツ、トンカツ、コロッケ、調理冷凍食品、即席めん等が挙げられる。
以下に実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、平均重合度が10のポリグリセリンに阪本薬品工業株式会社製「ポリグリセリン#750」を、平均重合度が6のポリグリセリンに阪本薬品工業株式会社製「ポリグリセリン#500」を、平均重合度が4のポリグリセリンに阪本薬品工業株式会社製「ポリグリセリン#310」を使用した。
<実施例1>
平均重合度が10のポリグリセリン100gとカプリン酸82.6g、ベヘン酸326.4gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率90%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が10のポリグリセリン100gとカプリン酸82.6g、ベヘン酸326.4gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率90%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
<実施例2>
平均重合度が4のポリグリセリン100gとミリスチン酸103.0g、ベヘン酸307.3gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率70%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が4のポリグリセリン100gとミリスチン酸103.0g、ベヘン酸307.3gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率70%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
<実施例3>
平均重合度が10のポリグリセリン100gとオレイン酸81.2g、ベヘン酸391.7gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率90%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が10のポリグリセリン100gとオレイン酸81.2g、ベヘン酸391.7gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率90%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
<実施例4>
平均重合度が10のポリグリセリン100gとステアリン酸86.3g、ベヘン酸310.0g、オレイン酸85.7gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が10のポリグリセリン100gとステアリン酸86.3g、ベヘン酸310.0g、オレイン酸85.7gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率95%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
<実施例5>
平均重合度が6のポリグリセリン100gとラウリン酸38.4g、ステアリン酸54.5g、ベヘン酸195.8gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率60%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が6のポリグリセリン100gとラウリン酸38.4g、ステアリン酸54.5g、ベヘン酸195.8gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率60%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
<実施例6>
平均重合度が4のポリグリセリン100gとカプリン酸53.3g、ステアリン酸263.8g、ベヘン酸105.3gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率80%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が4のポリグリセリン100gとカプリン酸53.3g、ステアリン酸263.8g、ベヘン酸105.3gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率80%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
<比較例1>
平均重合度が10のポリグリセリン100gとパルミチン酸81.9gを反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率20%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が10のポリグリセリン100gとパルミチン酸81.9gを反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率20%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
<比較例2>
平均重合度が6のポリグリセリン100gとパルミチン酸102.4g、ステアリン酸を113.6gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率50%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が6のポリグリセリン100gとパルミチン酸102.4g、ステアリン酸を113.6gから成る混合脂肪酸を反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率50%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
<比較例3>
平均重合度が10のポリグリセリン100gとベヘン酸325.6gを反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率60%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
平均重合度が10のポリグリセリン100gとベヘン酸325.6gを反応容器に入れ、水酸化ナトリウムによるアルカリ性および窒素気流下、250℃で反応させ、エステル化率60%のポリグリセリン脂肪酸エステルを得た。
以上の実施例および比較例のポリグリセリン脂肪酸エステルを表1に示した。なお、表1中、モル比率は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の全モル量に対する各構成脂肪酸の比率である。表1に示したポリグリセリン脂肪酸エステルを次の試験例1に基づき、ドーナツの食感に及ぼす効果を確認した。
[試験例1]
表2に示す配合に従い、ドーナツの生地を調製し、成型後、180℃で3分間(片面1分30秒)油ちょうした。フライ用油脂には、大豆油と大豆硬化油との混合比率(重量比)が75/25となる油脂に対して、実施例及び比較例のエステルを0.5重量%含有させたものを用いた。また、大豆油と大豆硬化油との混合比率が75/25、50/50、25/75となる油脂をフライ用油脂として用いた。油ちょう後のドーナツを20℃で1時間放冷した後、官能評価を行った。
表2に示す配合に従い、ドーナツの生地を調製し、成型後、180℃で3分間(片面1分30秒)油ちょうした。フライ用油脂には、大豆油と大豆硬化油との混合比率(重量比)が75/25となる油脂に対して、実施例及び比較例のエステルを0.5重量%含有させたものを用いた。また、大豆油と大豆硬化油との混合比率が75/25、50/50、25/75となる油脂をフライ用油脂として用いた。油ちょう後のドーナツを20℃で1時間放冷した後、官能評価を行った。
試験例1の官能評価を、次の基準により行った。
(1)サクミの付与(最初に噛んだときの食感)
◎:非常にサクサクしている
○:サクサクしている
△:少しサクサクする
×:サクサクしない
(2)油っぽさの低減(手に持ったとき及び口中に入れたときの不快なべたつきの抑制)
◎:全くべたつきはなく、油っぽくない
○:べたつきは少なく、油っぽくない
△:ややべたつき、油っぽさが残る
×:べたつきがあり、油っぽい
試験例1の結果を表3に示す。
(1)サクミの付与(最初に噛んだときの食感)
◎:非常にサクサクしている
○:サクサクしている
△:少しサクサクする
×:サクサクしない
(2)油っぽさの低減(手に持ったとき及び口中に入れたときの不快なべたつきの抑制)
◎:全くべたつきはなく、油っぽくない
○:べたつきは少なく、油っぽくない
△:ややべたつき、油っぽさが残る
×:べたつきがあり、油っぽい
試験例1の結果を表3に示す。
表3に示すとおり、比較例1、2のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加したフライ用油脂を用いて油ちょうしたドーナツは、サクミの付与、油っぽさの低減に関して、効果を発揮しなかった。一方、本願発明のポリグリセリン脂肪酸エステルである、実施例のエステルを添加したフライ用油脂を用いて、ドーナツを油ちょうすると、硬化油を増量したフライ用油脂と同等のサックリとした食感並びに油っぽさのないドーナツを調製することができた。
Claims (2)
- 食用油脂、及び硬化油からなり、硬化油の割合が食用油脂及び硬化油の全量に対して0〜50重量%であり、かつ、下記条件を満たすポリグリセリン脂肪酸エステルを含有するフライ用油脂。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸及び構成脂肪酸中における各脂肪酸のモル比率が、
(A):炭素数が16〜22の飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上
(B):炭素数が8〜14の飽和脂肪酸及び炭素数が16〜22の不飽和脂肪酸から選択される一種または二種以上であり、(A)及び(B)の総モル量において、(A)のモル比率が0.3〜0.9、(B)のモル比率が0.1〜0.7、エステル化率が40%以上 - 請求項1に記載のフライ用油脂を用いてなる食品。
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