JP2011080157A - 超精細ノズル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ノズル先端内径を30μm以下に細くし、更にノズルの肉厚も薄くすることで液の出をよくし、医療用又は工業用の多様な機器に適用できる超精細ノズル及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 芯線43に特殊な電鋳(1回目の電鋳)を施して、芯線43の一部を露出させ、当該芯線43を取り付けたままのテーパー形状の電鋳管41を形成し、更に、2回目の電鋳を施して第2の電鋳管44を形成し、その後に、芯線43と第1の電鋳管41とを引き抜いて、内・外径の異なる電鋳管を用いた一体型の超精細ノズルを製造するものであり、当該ノズルの先端部をテーパー加工してもよく、内外を金、銀、パラジューム等の金属でメッキしてもよい。
【選択図】 図27
【解決手段】 芯線43に特殊な電鋳(1回目の電鋳)を施して、芯線43の一部を露出させ、当該芯線43を取り付けたままのテーパー形状の電鋳管41を形成し、更に、2回目の電鋳を施して第2の電鋳管44を形成し、その後に、芯線43と第1の電鋳管41とを引き抜いて、内・外径の異なる電鋳管を用いた一体型の超精細ノズルを製造するものであり、当該ノズルの先端部をテーパー加工してもよく、内外を金、銀、パラジューム等の金属でメッキしてもよい。
【選択図】 図27
Description
本発明は、バイオテクノロジー向けの機器、医療機器、ゲノム向けの機器、インクジェットプリンター向けの機器、薬品・接着剤・その他工業用向けの機器に用いられる精細ノズルに係り、特にノズル先端部分を超精細とした超精細ノズル及びその製造方法に関する。
現在、医療用又は工業用の機器において使用されている精細ノズルは、微細なものでも先端内径が50〜60μm程度のものが限界であり、更に外径も肉厚で太いものとなっていた。
また、ノズル内径にメッキすることができないものとなっていた。
また、ノズル内径にメッキすることができないものとなっていた。
[関連技術]
尚、従来の精細ノズルについては、平成16(2004)年5月13日公開の特開2004−136651号公報「液体吐出装置」がある(特許文献1)。
尚、従来の精細ノズルについては、平成16(2004)年5月13日公開の特開2004−136651号公報「液体吐出装置」がある(特許文献1)。
しかしながら、多様な装置、機器に適用し、少量の液量を吐出するには、従来のノズルよりも外径が細く、更に先端内径が20μm以下の細いノズルが要求されている。特に、液の出をよくし、液の一液の吐出量を少なくするために、先端外径が細く、ノズルの肉厚を5μm程度に薄くすることが望まれている。
また、バイオテクノロジー向け又はゲノム向けの機器への適用では、細胞等をホールドして仕分けるために、ノズルの先端まで微弱電流を流せるものが要求されている。
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ノズル先端内径を30μm以下に細くし、更にノズルの肉厚も薄くすることで液の出をよくし、かつ一液の吐出量が少ない医療用又は工業用の多様な機器に適用できる超精細ノズル及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、ノズル先端まで電流を流すことができる超精細ノズル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、超精細ノズルにおいて、第1の電鋳管と、第1の電鋳管より外径・内径の小さい第2の電鋳管とを、各中空部の中心軸が略同一軸上となるよう、第1の電鋳管の中空部に第2の電鋳管が挿入された状態で接合されたノズルであって、第2の電鋳管における先端部分の内径が1μm以上30μm以下、肉厚が5μm以上80μm以下であることを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルにおいて、第2の電鋳管の先端部分がストレート形状を有することを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルにおいて、第1の電鋳管と第2の電鋳管との接合部分は、外径及び内径共に緩やかなテーパー状に形成されることを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルにおいて、形成されたテーパー状の角度が、30度以下であることを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルにおいて、内面又は/及び外面にメッキが施されていることを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルにおいて、施されているメッキが、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属であることを特徴とする。
本発明は、超精細ノズルの製造方法において、電鋳で形成した、一方の先端部がテーパー状の第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成した、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ芯線を取り付けたままの第2の電鋳管の一部を挿入して接合して2次電鋳を施して第3の電鋳管を形成し、2次電鋳後に第3の電鋳管から芯線を引き抜くことを特徴とする。
本発明は、超精細ノズルの製造方法において、電鋳で形成した、一方の先端部がテーパー状の第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成した、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ芯線を取り付けたままで、先端部がテーパー状の第2の電鋳管のストレート部分の一部を挿入して接合して2次電鋳を施して第3の電鋳管を形成し、2次電鋳後に芯線又は芯線及び第2の電鋳管を引き抜くことを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルの製造方法において、芯線を引き抜く前に、第3の電鋳管において第2の電鋳管の接合部とは反対側の端部をテーパー加工することを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルの製造方法において、芯線を引き抜く前に、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属で外面をメッキすることを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルの製造方法において、第1の電鋳管及び第2の電鋳管の内面に、予め耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属でメッキされていることを特徴とする。
本発明は、超精細ノズルの製造方法において、100〜200μmの太さの径の先端部が30度以下のテーパー状で50μmの差の太さのストレート部分を有している形状の芯線に、電鋳を施して当該芯線を引き抜くことを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルの製造方法において、芯線を引き抜く前に、先端部分をテーパー加工することを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルの製造方法において、芯線を引き抜く前に、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属で外面をメッキすることを特徴とする。
本発明は、超精細ノズルの製造方法において、電鋳で形成された第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成された第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ第2の電鋳管を一部挿入して接合し、接合部分を接着剤又はメッキで接着させることを特徴とする。
本発明は、超精細ノズルの製造方法において、電鋳で形成し、ハンダメッキした第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成し、ハンダメッキした、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ第2の電鋳管の一部を挿入して接合し、高温で溶かすことで第1の電鋳管と第2の電鋳管とを接着させることを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルの製造方法において、接着後に、第2の電鋳管における接合部とは反対側の端部をテーパー加工することを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルの製造方法において、接着後に、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属で外面をメッキすることを特徴とする。
本発明は、上記超精細ノズルの製造方法において、第1の電鋳管及び第2の電鋳管の内面に、予め耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属でメッキされていることを特徴とする。
本発明によれば、第1の電鋳管と、第1の電鋳管より外径・内径の小さい第2の電鋳管とを、各中空部の中心軸が略同一軸上となるよう、第1の電鋳管の中空部に第2の電鋳管が挿入された状態で接合されたノズルであって、第2の電鋳管における先端部分の内径が1μm以上30μm以下、肉厚が5μm以上80μm以下である超精細ノズルとしているので、ノズルの先端部分の肉厚を薄くでき、液の一滴量を少量として吐出量の制御を容易にできる効果がある。
本発明によれば、第2の電鋳管の先端部分がストレート形状を有する上記超精細ノズルとしているので、小さい所、溝や深さがある所への滴下を容易にできる効果がある。
本発明によれば、第1の電鋳管と第2の電鋳管との接合部分は、外径及び内径共に緩やかなテーパー状に形成される上記超精細ノズルとしているので、液量が少しずつ制御されて先端部分が細くても液を出やすくできる効果がある。
本発明によれば、施されているメッキが、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属である上記超精細ノズルとしているので、ノズルが耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れたものにできるという効果がある。
本発明によれば、超精細ノズルの製造方法において、電鋳で形成した、一方の先端部がテーパー状の第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成した、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ芯線を取り付けたままの第2の電鋳管の一部を挿入して接合して2次電鋳を施して第3の電鋳管を形成し、2次電鋳後に第3の電鋳管から芯線を引き抜く超精細ノズルの製造方法としているので、先の細いノズルを容易に形成できる効果がある。
本発明によれば、電鋳で形成した、一方の先端部がテーパー状の第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成した、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ芯線を取り付けたままで、先端部がテーパー状の第2の電鋳管のストレート部分の一部を挿入して接合して2次電鋳を施し、2次電鋳後に芯線又は芯線及び第2の電鋳管を引き抜く超精細ノズルの製造方法としているので、内・外径の異なるノズルを容易に形成でき、先端部分のストレート部とテーパー部によって小さな所、溝や深さがある所へ滴下し易くでき、液量が少しずつ制御されて先端部分が細くても液を出やすくできる効果がある。
本発明によれば、芯線を引き抜く前に、第2の電鋳管の接合部とは反対側の端部をテーパー加工する上記超精細ノズルの製造方法としているので、先端部の肉厚を薄くでき、液の一滴量が少量になるため吐出量を制御し易くできる効果がある。
本発明によれば、芯線を引き抜く前に、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属で外面をメッキし、また、第1の電鋳管及び第2の電鋳管の内面に、予め耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属でメッキされている上記超精細ノズルの製造方法としているので、ノズルが耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れたものにできるという効果がある。
本発明によれば、100〜200μmの太さの径の先端部が30度以下のテーパー状で50μmの差の太さのストレート部分を有している形状の芯線に、電鋳を施して当該芯線を引き抜く超精細ノズルの製造方法としているので、内・外径の異なるノズルを一体に容易に形成でき、先端部分のストレート部とテーパー部によって小さな所、溝や深さがある所へ滴下し易くでき、液量が少しずつ制御されて先端部分が細くても液を出やすくできる効果がある。
本発明によれば、芯線を引き抜く前に、先端部分をテーパー加工する上記超精細ノズルの製造方法としているので、ノズルの先端部分の肉厚を薄くでき、液の一滴量を少量として吐出量の制御を容易にできる効果がある。
本発明によれば、電鋳で形成された第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成された第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ第2の電鋳管を一部挿入して接合し、接合部分を接着剤又はメッキで接着させる超精細ノズルの製造方法としているので、内・外径の異なるノズルを容易に形成でき、第2の電鋳管における先端部分のストレート部によって小さな所、溝や深さがある所へ滴下し易くできる効果がある。
本発明によれば、電鋳で形成し、ハンダメッキした第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成し、ハンダメッキした、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ第2の電鋳管の一部を挿入して接合し、高温で溶かすことで第1の電鋳管と第2の電鋳管とを接着させる超精細ノズルの製造方法としているので、内・外径の異なるノズルを容易に形成でき、第2の電鋳管における先端部分のストレート部によって小さな所、溝や深さがある所へ滴下し易くできる効果がある。
本発明によれば、接着後に、第2の電鋳管における接合部とは反対側の端部をテーパー加工する上記超精細ノズルの製造方法としているので、ノズルの先端部分の肉厚を薄くでき、液の一滴量を少量として吐出量の制御を容易にできる効果がある。
本発明によれば、接着後に、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属で外面をメッキし、また、第1の電鋳管及び第2の電鋳管の内面に、予め耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属でメッキされている上記超精細ノズルの製造方法としているので、ノズルが耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れたものにできるという効果がある。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る超精細ノズルは、ノズル先端内径を30μm以下に細くして肉厚も薄くし、当該先端形状を特定の長さ設けるようにしたものであり、産業界では必要としていながらも製造されていない超精細なノズルでありならが、吐出液量を制御し易くしたものであり、溝等にも滴出しやすいものである。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る超精細ノズルは、ノズル先端内径を30μm以下に細くして肉厚も薄くし、当該先端形状を特定の長さ設けるようにしたものであり、産業界では必要としていながらも製造されていない超精細なノズルでありならが、吐出液量を制御し易くしたものであり、溝等にも滴出しやすいものである。
また、ノズルの先端形状の内面及び外面に金属メッキをすることを可能としたことで、ノズル先端まで電流を流すことができ、ノズル先端部での電気的制御ができるという効果がある。
[第1の実施の形態:図1〜8]
本発明における第1の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図1〜図8を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る超精細ノズルの太い電鋳管の断面図であり、図2は、図1の太い電鋳管の外観図であり、図3は、第1の実施の形態に係る超精細ノズルの細い電鋳管の断面図であり、図4は、図3の細い電鋳管の外観図であり、図5は、太い電鋳管に細い電鋳管が挿入され、接合された断面図であり、図6は、図5の接合された2つの電鋳管の外観図であり、図7は、図5における接合部分を接着させた断面図であり、図8は、図7の接着された2つの電鋳管の外観図である。
本発明における第1の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図1〜図8を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る超精細ノズルの太い電鋳管の断面図であり、図2は、図1の太い電鋳管の外観図であり、図3は、第1の実施の形態に係る超精細ノズルの細い電鋳管の断面図であり、図4は、図3の細い電鋳管の外観図であり、図5は、太い電鋳管に細い電鋳管が挿入され、接合された断面図であり、図6は、図5の接合された2つの電鋳管の外観図であり、図7は、図5における接合部分を接着させた断面図であり、図8は、図7の接着された2つの電鋳管の外観図である。
図1,図2に示すように、例えば、外径300μm、内径100μmの太い電鋳管(第1の電鋳管)11を製造する。電鋳管の具体的製造方法については後述する。
また、図3,図4に示すように、例えば、外径100μm、内径20μmの細い電鋳管(第2の電鋳管)12を製造する。
電鋳管11,12について、内面が金、銀、パラジウム(Pd)でメッキされていてもよい。
また、図3,図4に示すように、例えば、外径100μm、内径20μmの細い電鋳管(第2の電鋳管)12を製造する。
電鋳管11,12について、内面が金、銀、パラジウム(Pd)でメッキされていてもよい。
そして、図5,図6に示すように、太い電鋳管11の一方の端面11a側からその中空部に細い電鋳管12の一部を挿入して接合する。
尚、太い電鋳管11の中空部に細い電鋳管12が挿入されるためには、太い電鋳管11の内径より細い電鋳管12の外径が若干小さくなっている。
尚、太い電鋳管11の中空部に細い電鋳管12が挿入されるためには、太い電鋳管11の内径より細い電鋳管12の外径が若干小さくなっている。
更に、図7,図8に示すように、太い電鋳管の端面11aの近辺に接着剤13を塗布するか、無電解メッキ、電解メッキ、ハンダメッキ等で接着させる。
ノズル先端については、更に細い電鋳管12の端面12aをテーパー加工して先端を略円錐形状として尖らせるようにしてもよい。また、外面を金等でメッキしてもよい。
ノズル先端については、更に細い電鋳管12の端面12aをテーパー加工して先端を略円錐形状として尖らせるようにしてもよい。また、外面を金等でメッキしてもよい。
また、電鋳管11,12の外面に予めハンダメッキをしておき、電鋳管11に電鋳管12を挿入して接続した状態で、高温で溶かすことで、両者を接着するようにしてもよい。
第1の実施の形態に係る超精細ノズルは、太い電鋳管11の中空部に細い電鋳管12を挿入して接合し、接合部分を接着剤又はメッキで接着した構成とすることで、先端の細いノズルを容易に作成できるという効果がある。
[第2の実施の形態:図9〜16]
本発明における第2の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図9〜図16を参照しながら説明する。
図9は、第2の実施の形態に係る超精細ノズルの太い電鋳管の断面図であり、図10は、図9の太い電鋳管の外観図であり、図11は、第2の実施の形態に係る超精細ノズルの細い電鋳管の断面図であり、図12は、図11の細い電鋳管の外観図であり、図13は、太い電鋳管に細い電鋳管が挿入され、接合された断面図であり、図14は、図13の接合された2つの電鋳管に更に電鋳を施した断面図であり、図15は、図14から芯線を引き抜いた状態の断面図であり、図16は、図15の外観図である。
本発明における第2の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図9〜図16を参照しながら説明する。
図9は、第2の実施の形態に係る超精細ノズルの太い電鋳管の断面図であり、図10は、図9の太い電鋳管の外観図であり、図11は、第2の実施の形態に係る超精細ノズルの細い電鋳管の断面図であり、図12は、図11の細い電鋳管の外観図であり、図13は、太い電鋳管に細い電鋳管が挿入され、接合された断面図であり、図14は、図13の接合された2つの電鋳管に更に電鋳を施した断面図であり、図15は、図14から芯線を引き抜いた状態の断面図であり、図16は、図15の外観図である。
図9,図10に示すように、例えば、外径300μm、内径100μmの太い電鋳管(第1の電鋳管)21を製造する。そして、太い電鋳管21の端部をテーパー状に加工し、テーパー面21aを形成する。
また、図11,図12に示すように、例えば、外径100μm、内径20μmの細い電鋳管(第2の電鋳管)22を製造する。細い電鋳管22には径が20μmの芯線23を取り付けたままとしておく。
電鋳管21,22について、内面が金、銀、パラジウム(Pd)でメッキされていてもよい。
また、図11,図12に示すように、例えば、外径100μm、内径20μmの細い電鋳管(第2の電鋳管)22を製造する。細い電鋳管22には径が20μmの芯線23を取り付けたままとしておく。
電鋳管21,22について、内面が金、銀、パラジウム(Pd)でメッキされていてもよい。
そして、図13に示すように、太い電鋳管21のテーパー面21a側からその中空部に細い電鋳管22の一部を挿入して接合する。その場合、芯線23は、太い電鋳管21の中空部を突き抜ける形状となる。
尚、太い電鋳管21の中空部に細い電鋳管22が挿入されるためには、太い電鋳管21の内径より細い電鋳管22の外径が若干小さくなっている。
尚、太い電鋳管21の中空部に細い電鋳管22が挿入されるためには、太い電鋳管21の内径より細い電鋳管22の外径が若干小さくなっている。
次に、図13の形状のものに、電鋳を施す。それにより、図14に示すように、全体に20μm程度のニッケルの電着物24が形成される。テーパー面21aの上部にも電着物24が形成され、テーパー部分24aとなる。更に、外面を金等でメッキしてもよい。
その後、図14の状態から、芯線23を引き抜いて、図15、図16に示すように、超精細ノズルを完成させる。
尚、芯線23を引き抜く前に、ノズル先端部分をテーパー加工してそれから芯線23を引き抜いて、ノズル先端部分を略円錐状にするようにしてもよい。
尚、芯線23を引き抜く前に、ノズル先端部分をテーパー加工してそれから芯線23を引き抜いて、ノズル先端部分を略円錐状にするようにしてもよい。
第2の実施の形態に係る超精細ノズルは、太い電鋳管21の端部21aをテーパー加工し、そのテーパー加工部に芯線23を抜いていない細い電鋳管22を挿入し、全体を電鋳して電着物24を形成し、芯線23を抜くようにしているので、先の細いノズルを容易に形成できる効果がある。
[第3の実施の形態:図17〜25]
本発明における第3の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図17〜図25を参照しながら説明する。
図17は、第3の実施の形態に係る超精細ノズルの細い電鋳管の断面図であり、図18は、図17の細い電鋳管をテーパー加工した断面図であり、図19は、図18の外観図であり、図20は、図19の電鋳管から芯線を抜いた状態の断面図であり、図21は、図20の電鋳管に芯線を挿入した状態の断面図であり、図22は、図21の外観図であり、図23は、図22に電鋳を施した状態の断面図であり、図24は、図23から芯線及び細い電鋳管を引き抜いた状態の断面図であり、図25は、図24の外観図である。
本発明における第3の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図17〜図25を参照しながら説明する。
図17は、第3の実施の形態に係る超精細ノズルの細い電鋳管の断面図であり、図18は、図17の細い電鋳管をテーパー加工した断面図であり、図19は、図18の外観図であり、図20は、図19の電鋳管から芯線を抜いた状態の断面図であり、図21は、図20の電鋳管に芯線を挿入した状態の断面図であり、図22は、図21の外観図であり、図23は、図22に電鋳を施した状態の断面図であり、図24は、図23から芯線及び細い電鋳管を引き抜いた状態の断面図であり、図25は、図24の外観図である。
図17に示すように、例えば、径20μmの芯線32に電鋳を施して、全体にニッケルの電着物を形成し、例えば、外径100μmの電鋳管31を形成する。芯線32は残しておく。
そして、図18,図19に示すように、電鋳管31の端部31aをテーパー加工して円錐形状にする。この場合、芯線32もテーパー加工され、芯線32のテーパー部分32aと電鋳管31のテーパー部分31bが形成される。
そして、図18,図19に示すように、電鋳管31の端部31aをテーパー加工して円錐形状にする。この場合、芯線32もテーパー加工され、芯線32のテーパー部分32aと電鋳管31のテーパー部分31bが形成される。
次に、図20に示すように、芯線32をテーパー部分32aとは反対側に引き抜く。
更に、図21,図22に示すように、芯線32が引き抜かれた電鋳管31に対して芯線32より少し細い芯線33を引き抜いた方向から挿入する。芯線33は、電鋳管31の内径20μmより細いものを用い、例えば、外径が18μm程度であってもよい。
この状態で、電鋳管31の外面を金、銀、パラジウム等でメッキする。このメッキは、その後、ノズルの内面の金属メッキとなるものである。
更に、図21,図22に示すように、芯線32が引き抜かれた電鋳管31に対して芯線32より少し細い芯線33を引き抜いた方向から挿入する。芯線33は、電鋳管31の内径20μmより細いものを用い、例えば、外径が18μm程度であってもよい。
この状態で、電鋳管31の外面を金、銀、パラジウム等でメッキする。このメッキは、その後、ノズルの内面の金属メッキとなるものである。
そして、図23に示すように、所望の肉厚(例えば、20μm)となるよう電鋳を施し、芯線33の先端部が、例えば、外径60μm、電鋳管31部分が、例えば、外径140μmとなるようニッケルの電着物34を形成する。
電鋳により形成された電着物34のテーパー角度θは30度以下になるようにすると、ニッケルのつきがよい。ここで、更に外側を金等でメッキしてもよい。
電鋳により形成された電着物34のテーパー角度θは30度以下になるようにすると、ニッケルのつきがよい。ここで、更に外側を金等でメッキしてもよい。
その後、図24,図25に示すように、ノズル先端部34bの方向とは反対方向に芯線33と電鋳管31を引き抜く。例えば、ノズル先端の外径は100μm、内径は20μm、ノズル後方の外径は180μm、内径は100μmとなる。
芯線33の引き抜きの際には、電鋳管31の外面に形成された金等のメッキは、電着物34の内面に残るようにする。これにより、ノズル内面に金等のメッキが施されたことになる。
尚、芯線33を引き抜く前に、ノズル先端部34bをテーパー加工して略円錐形状にするようにしてもよい。
芯線33の引き抜きの際には、電鋳管31の外面に形成された金等のメッキは、電着物34の内面に残るようにする。これにより、ノズル内面に金等のメッキが施されたことになる。
尚、芯線33を引き抜く前に、ノズル先端部34bをテーパー加工して略円錐形状にするようにしてもよい。
また、第3の実施の形態によれば、細い電鋳管31の端部をテーパー加工し、芯線33を再度差し込んで、全体を覆うように電鋳を行って特定肉厚にし、芯線33と細い電鋳管31を引き抜くことで、ノズルの太い部分と先端部分とを一体に形成することができ、更に、超精細ノズル内部において奥から先端に向けてテーパー状に細く構成できるので、液滴を吐出しやすいという効果がある。
[第4の実施の形態:図26〜28]
本発明における第4の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図26〜図28を参照しながら説明する。
図26は、第4の実施の形態に係る芯線に形成した第1の電鋳管の断面図であり、図27は、図26に第2の電鋳を施した状態の断面図であり、図28は、図27から芯線及び第1の電鋳管を引き抜いた状態の断面図である。
本発明における第4の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図26〜図28を参照しながら説明する。
図26は、第4の実施の形態に係る芯線に形成した第1の電鋳管の断面図であり、図27は、図26に第2の電鋳を施した状態の断面図であり、図28は、図27から芯線及び第1の電鋳管を引き抜いた状態の断面図である。
図26に示すように、例えば、径20μmの芯線43に第1の電鋳を施して、全体にニッケルの電着物を形成し、例えば、外径100μmの第1の電鋳管41を形成する。芯線43は残しておく。
尚、第1の電鋳管41は、後述する図38,図39に示す製造方法にて、第1の電鋳管41がテーパー部分41aを有するよう形成されるものである。
尚、第1の電鋳管41は、後述する図38,図39に示す製造方法にて、第1の電鋳管41がテーパー部分41aを有するよう形成されるものである。
そして、図27に示すように、図26の電鋳管に、更に所望の肉厚となるよう第2の電鋳(2回目の電鋳)を施し、第2の電鋳管44を形成する。所望の肉厚が、例えば、10μmとすると、芯線43の先端部が、例えば、外径40μm、電鋳管41部分が、例えば、外径140μmとなるようニッケルの電着物(第2の電着物)を形成する。
従って、図27に示すように、第2の電鋳管44には、テーパー部分44aとノズル先端部分44bが形成される。
第2の電鋳により形成された第2の電着物のテーパー角度は30度以下になるようにすると、ニッケルのつきがよい。ここで、更に外側を金等でメッキしてもよい。
第2の電鋳により形成された第2の電着物のテーパー角度は30度以下になるようにすると、ニッケルのつきがよい。ここで、更に外側を金等でメッキしてもよい。
更に、図28に示すように、ノズル先端部44bの方向とは反対方向に芯線43と第1の電鋳管41を引き抜く。例えば、ノズル先端の外径は40μm、内径は20μm、ノズル後方の外径は120μm、内径は100μmとなる。
芯線43の引き抜きの際には、第1の電鋳管41の外面に形成された金等のメッキは、第2の電着物の内面に残るようにする。これにより、ノズル内面に金等のメッキが施されたことになる。
尚、2回目の電鋳の肉厚を厚くした場合は、芯線43を引き抜く前に、ノズル先端部44bをテーパー加工して略円錐形状にするようにしてもよい。
芯線43の引き抜きの際には、第1の電鋳管41の外面に形成された金等のメッキは、第2の電着物の内面に残るようにする。これにより、ノズル内面に金等のメッキが施されたことになる。
尚、2回目の電鋳の肉厚を厚くした場合は、芯線43を引き抜く前に、ノズル先端部44bをテーパー加工して略円錐形状にするようにしてもよい。
第4の実施の形態によれば、芯線43にテーパー形状の第1の電鋳管41を形成し、その上に第2の電鋳を施して第2の電鋳管44を形成し、それから芯線43と第1の電鋳管41を引き抜くようにしているので、超精細のノズルを容易に一体で製造でき、更に、超精細ノズル内部において奥から先端に向けてテーパー状に細く構成できるので、液滴を吐出しやすいという効果がある。
[第5の実施の形態:図29〜31]
本発明における第5の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図29〜図31を参照しながら説明する。
図29は、第5の実施の形態に係る芯線に形成した第1及び第2の電鋳管の断面図であり、図30は、図29に第3の電鋳を施した状態の断面図であり、図31は、図30から芯線及び第1及び第2の電鋳管を引き抜いた状態の断面図である。
本発明における第5の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図29〜図31を参照しながら説明する。
図29は、第5の実施の形態に係る芯線に形成した第1及び第2の電鋳管の断面図であり、図30は、図29に第3の電鋳を施した状態の断面図であり、図31は、図30から芯線及び第1及び第2の電鋳管を引き抜いた状態の断面図である。
図29に示すように、第5の実施の形態に係る超精細ノズルは、図26の芯線及び第1の電鋳管41に更に第2の電鋳を施し、第2の電鋳管45を形成したものである。尚、電着物は、ニッケル等を用い、肉厚が40μm程度となるよう形成される。
尚、第1の電鋳管41及び第2の電鋳管45は、後述する図38,図39に示す製造方法にて、第1の電鋳管41がテーパー部分41aを有し、第2の電鋳管45がテーパー部分45aを有するよう形成されるものである。
尚、第1の電鋳管41及び第2の電鋳管45は、後述する図38,図39に示す製造方法にて、第1の電鋳管41がテーパー部分41aを有し、第2の電鋳管45がテーパー部分45aを有するよう形成されるものである。
そして、図30に示すように、図29の電鋳管に、更に所望の肉厚となるよう第3の電鋳(3回目の電鋳)を施し、第3の電鋳管46を形成する。所望の肉厚が、例えば、20μmとすると、芯線43の先端部が、例えば、外径60μm、第1の電鋳管41部分が、例えば、外径140μm、第2の電鋳管45部分が、例えば、外径220μmとなるようニッケルの電着物(第3の電着物)を形成する。
また、所望の肉厚を10μmとすると、芯線43の先端部が、例えば、外径40μm、第1の電鋳管41部分が、例えば、外径120μm、第2の電鋳管45部分が、例えば、外径200μmとなる。
また、所望の肉厚を10μmとすると、芯線43の先端部が、例えば、外径40μm、第1の電鋳管41部分が、例えば、外径120μm、第2の電鋳管45部分が、例えば、外径200μmとなる。
従って、第3の電鋳管46には、テーパー部分46aとノズル先端部分46bが形成される。
第2、第3の電鋳により形成された第2、第3の電着物のテーパー角度は30度以下になるようにすると、ニッケルのつきがよい。ここで、更に外側を金等でメッキしてもよい。
第2、第3の電鋳により形成された第2、第3の電着物のテーパー角度は30度以下になるようにすると、ニッケルのつきがよい。ここで、更に外側を金等でメッキしてもよい。
更に、図31に示すように、ノズル先端部46bの方向とは反対方向に芯線43と第1の電鋳管41及び第2の電鋳管45を引き抜く。例えば、ノズル先端の外径は60μm、内径は20μm、ノズル中段の外径は140μm、内径は100μm、ノズル後段の外径は220μm、内径は180μmとなる。
芯線43の引き抜きの際には、第1の電鋳管41及び第2の電鋳管45の外面に形成された金等のメッキは、第3の電着物の内面に残るようにする。これにより、ノズル内面に金等のメッキが施されたことになる。
尚、3回目の電鋳の肉厚を厚くした場合は、芯線43を引き抜く前に、ノズル先端部46bをテーパー加工して略円錐形状にするようにしてもよい。
尚、3回目の電鋳の肉厚を厚くした場合は、芯線43を引き抜く前に、ノズル先端部46bをテーパー加工して略円錐形状にするようにしてもよい。
第5の実施の形態によれば、芯線43に第1段のテーパー形状の第1の電鋳管41を形成し、その上に第2の電鋳を施して第2段のテーパー形状の第2の電鋳管45を形成し、更に全体に対して第3の電鋳を施して第3の電鋳管を形成し、それから芯線43と第1の電鋳管41及び第2の電鋳管45を引き抜くようにしているので、多段の超精細のノズルを容易に一体で製造でき、更に、超精細ノズル内部において奥から先端に向けて多段のテーパー状に細く構成できるので、液滴を吐出しやすいという効果がある。
[第6の実施の形態:図32〜34]
本発明における第6の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図32〜図34を参照しながら説明する。
図32は、第6の実施の形態に係るテーパー形状の芯線の断面図であり、図33は、図31に電鋳を施した状態の断面図であり、図34は、図33から芯線を引き抜いた状態の断面図である。
本発明における第6の実施の形態に係る超精細ノズルの製造方法について図32〜図34を参照しながら説明する。
図32は、第6の実施の形態に係るテーパー形状の芯線の断面図であり、図33は、図31に電鋳を施した状態の断面図であり、図34は、図33から芯線を引き抜いた状態の断面図である。
第6の実施の形態に係る超精細ノズルは、まず、図32に示すように、テーパー形状の芯線51を形成する。芯線51は、図32の形状を左右対称のものが複数個連続して形成され、それを適宜切断して図32の形状のものを形成する。ここで、芯線51の外側を金等でメッキしてもよい。
芯線51は、例えば、先端部分51bが20μm、後方部分が100μm、テーパー部分51aを備えている。
芯線51は、例えば、先端部分51bが20μm、後方部分が100μm、テーパー部分51aを備えている。
そして、図33に示すように、図32の電鋳管に、更に所望の肉厚となるよう電鋳を施し、電鋳管54を形成する。所望の肉厚が、例えば、20μmとすると、芯線51の先端部51bに相当する先端部分54bが、例えば、外径60μm、芯線51の後方部分が、例えば、外径140μmとなるようニッケルの電着物を形成する。
また、所望の肉厚を10μmとすると、芯線51の先端部51aが、例えば、外径40μm、芯線51の後方部分が、例えば、外径120μmとなる。
また、所望の肉厚を10μmとすると、芯線51の先端部51aが、例えば、外径40μm、芯線51の後方部分が、例えば、外径120μmとなる。
従って、図33に示すように、電鋳管54には、テーパー部分54aとノズル先端部分54bが形成される。
電鋳により形成された電着物のテーパー角度は30度以下になるようにすると、ニッケルのつきがよい。ここで、更に外側を金等でメッキしてもよい。
電鋳により形成された電着物のテーパー角度は30度以下になるようにすると、ニッケルのつきがよい。ここで、更に外側を金等でメッキしてもよい。
更に、図34に示すように、ノズル先端部54bの方向とは反対方向に芯線51を引き抜く。例えば、ノズル先端の外径は60μm、内径は20μm、ノズル後方の外径は140μm、内径は100μmとなる。
芯線43の引き抜きの際には、芯線51の外面に形成された金等のメッキは、電着物の内面に残るようにする。これにより、ノズル内面に金等のメッキが施されたことになる。
尚、電鋳の肉厚を厚くした場合は、芯線51を引き抜く前に、ノズル先端部54bをテーパー加工して略円錐形状にするようにしてもよい。
芯線43の引き抜きの際には、芯線51の外面に形成された金等のメッキは、電着物の内面に残るようにする。これにより、ノズル内面に金等のメッキが施されたことになる。
尚、電鋳の肉厚を厚くした場合は、芯線51を引き抜く前に、ノズル先端部54bをテーパー加工して略円錐形状にするようにしてもよい。
第6の実施の形態によれば、テーパー形状の芯線51を形成し、その上に電鋳を施して電鋳管54を形成し、それから芯線51を引き抜くようにしているので、超精細のノズルを容易に一体で製造でき、更に、超精細ノズル内部において奥から先端に向けてテーパー状に細く構成できるので、液滴を吐出しやすいという効果がある。
[電鋳装置:図35〜37]
次に、電鋳を行う電鋳装置について図35、図36、図37を参照しながら説明する。図35は、本発明の実施の形態に係る電鋳装置の断面図であり、図36は、本発明の第1実施形態に係る電鋳装置の構成図であり、図37は、第1実施形態の電鋳の手順を示す概略図である。
電鋳装置は、図35、図36に示すように、電鋳槽1と、この電鋳槽1を内側に収容する外槽2とを備えている。
次に、電鋳を行う電鋳装置について図35、図36、図37を参照しながら説明する。図35は、本発明の実施の形態に係る電鋳装置の断面図であり、図36は、本発明の第1実施形態に係る電鋳装置の構成図であり、図37は、第1実施形態の電鋳の手順を示す概略図である。
電鋳装置は、図35、図36に示すように、電鋳槽1と、この電鋳槽1を内側に収容する外槽2とを備えている。
電鋳槽1は、上部に開口部を有する槽であり、この電鋳槽1内には、電解液(電鋳液)3が充填される。これにより、電鋳槽1からあふれ出した電解液3は、外槽2内に流入するようになっている。電解液としては、例えば、スルファミン酸ニッケル液に光沢剤及びビット防止剤を加えた液が用いられる。
電鋳槽1には、供給配管4が接続される。この供給配管4を通って、管理槽5の供給室5Aからの電解液3が、循環ポンプ6により、電鋳槽1に供給される。
一方、外槽2には、排出配管7が接続され、外槽2内の電解液3は、この排出配管7を通って、管理槽5の回収室5Bに回収される。
一方、外槽2には、排出配管7が接続され、外槽2内の電解液3は、この排出配管7を通って、管理槽5の回収室5Bに回収される。
管理槽5の供給室5Aと回収室5Bは、液隔離板5Cによって隔てられており、回収室5Bに回収された不純物を含む電解液3は、濾過器9で濾過されたうえで、供給室5Aに供給される。
供給室5A内の電解液3は、液温、水素イオン濃度、硬度等が適切に調整される。例えば、液温は50±1℃に、水素イオン濃度は4.2±0.2pHに調整される。また、光沢剤の添加量を調節することにより、電解液3の硬度が適切に調整される。
供給室5A内の電解液3は、液温、水素イオン濃度、硬度等が適切に調整される。例えば、液温は50±1℃に、水素イオン濃度は4.2±0.2pHに調整される。また、光沢剤の添加量を調節することにより、電解液3の硬度が適切に調整される。
供給室5Aからは、適切に調整された濾過済みの電解液3が、電鋳槽1に、継続的に供給され続ける。この結果、電鋳槽1の上部開口部1Aからは、常時、電解液3があふれ出した状態となる。
電鋳槽1の開口部1A上方の電解液3(電鋳槽1からあふれ出していく電解液3)は、オーバーフロー部110を形成する。後述するように、本電鋳装置では、このオーバーフロー部110において電鋳が行われ、これにより電鋳の精度を高めることができる。電鋳に使用された不純物を含む電解液3は、外槽2内に流れ出し、管理槽5の回収室5Bに回収されて濾過される。
電鋳槽1の開口部1A上方の電解液3(電鋳槽1からあふれ出していく電解液3)は、オーバーフロー部110を形成する。後述するように、本電鋳装置では、このオーバーフロー部110において電鋳が行われ、これにより電鋳の精度を高めることができる。電鋳に使用された不純物を含む電解液3は、外槽2内に流れ出し、管理槽5の回収室5Bに回収されて濾過される。
電鋳槽1の下部には、水平アジャスター装置111が備えられる。この水平アジャスター装置111は、電鋳槽1を略水平に維持し、これにより、電鋳槽1の上部全域に略水平なオーバーフロー部110が形成され、オーバーフロー部110内の各所に電解液が均一に分布するようになっている。
電鋳槽1の上方には、図36に示すような、治具搬送装置120が備えられる。この治具搬送装置120は、一対のローラ121、122と、これらのローラ121、122に掛け回されたベルト123を備えている。ベルト123は、電鋳槽1の長手方向(図36の左右方向)に沿って循環する。
ベルト123の外周には、複数の保持治具130が固定されている。各保持治具130には、母線125が取り付けられる。母線125は、電鋳用の型部材となる線材である。尚、図27では、ベルト123は反時計回りに循環しており、保持治具130への母線125の取り付けは、取り付け位置Xにおいてなされる。
図35に示すように、保持治具130は、電鋳槽1の長手方向と垂直な方向(図35の左右方向)に延びる板状の基部131と、この基部131の両端付近に取り付けられた一対の側板132A、132Bとを備えている。側板132A、132Bは、保持治具130が電鋳槽1の上方に配置されたときに、ちょうど電鋳槽1の左右両側に配置されるようになっている。
側板132A、132Bには、それぞれ、母線保持軸134A、134Bが、軸回りで回転可能に支持されている。母線保持軸134A、134Bには、母線125の両端部が保持される。これにより、母線125は、電鋳槽1上方のオーバーフロー部110に配置される。
詳しく説明すると、母線保持軸134Aの電鋳槽1側を向く端部には、電極136が設けられている。この電極136に、母線125の一端が固定される。一方、母線保持軸134Bの電鋳槽1側を向く端部には、テンション装置137が設けられる。このテンション装置137は、母線125の端部が固定される電極138と、バネ139とを備えている。バネ139は、電極138と母線保持軸134Bの先端部との間に介装され、電極136と電極138の間に保持された母線125に所定のテンションを付与するようになっている。
図35に示すように、側板132A、132Bには、回転軸141が軸回りで回転自在に支持されている。回転軸141は、駆動モータ142により回転駆動される。この回転軸141の外周には、歯車143A、143Bが固定されている。歯車143Aは、母線保持軸134Aの外周に固定された歯車135Aに、歯車143Bは、母線保持軸134Bの外周に固定された歯車135Bに、それぞれ噛合する。
これにより、回転軸141の回転は母線保持軸134A、134Bに伝達され、母線保持軸134A、134Bに保持された母線125が、軸回りで回転できるようになっている。母線125の回転は、電鋳の間、例えば15rpm以下の適切な値に制御される。この母線125の回転により、母線125周囲に付着する電着物の均一性を高めることができる。
母線保持軸134A、134Bには、それぞれ導電性の電極ローラ151A、151Bが固定されている。これらの電極ローラ151A、151Bは、保持治具130が電鋳槽1の上方に配置されたときに、内槽1の左右両側に張り渡された導電性の電極ワイヤ152A、152Bと接触する。電極ワイヤ152A、152Bは、いずれもプログラマブル電源153のマイナス極に接続されているもので、これにより、電極ローラ151A、151Bはプログラマブル電源153のマイナス極と電気的に接続される。
また、母線保持軸134A、134Bには、それぞれ、電極ローラ151Aを電極136に電気的に接続する導電性部材(例えば電線)、電極ローラ151Bをバネ139及び電極138に電気的に接続する導電性部材(例えば電線)が備えられている(図示せず)。
更に、母線保持軸134A、134Bの各導電性部材には、それぞれスイッチ手段(図示せず)が備えられ、導電性部材による電極ローラ151Aと電極136の電気的接続、導電性部材による電極ローラ151Bとバネ139及び電極138の電気的接続を、このスイッチ手段によって断続(オン/オフ)できるようになっている。
更に、母線保持軸134A、134Bの各導電性部材には、それぞれスイッチ手段(図示せず)が備えられ、導電性部材による電極ローラ151Aと電極136の電気的接続、導電性部材による電極ローラ151Bとバネ139及び電極138の電気的接続を、このスイッチ手段によって断続(オン/オフ)できるようになっている。
このような構成により、電極136、138は、プログラマブル電源153のマイナス極と電気的に接続され、カソード電極となる。また、この電気的接続は、スイッチ手段によって保持治具130毎にオン/オフされる。つまり、母線125への電圧印加は、オーバーフロー部110内の一つ一つの母線125毎にオン/オフすることができ、この結果、各母線125へ電鋳を個別に制御できるようになっている。
一方、図35に示すように、プログラマブル電源153のプラス極に接続されたアノード電極154は、電鋳槽1の底部に配設される。アノード電極154は、例えばチタン鋼からなるメッシュ状又は穴あきのケース内に、電鋳用の金属ペレット(例えばニッケルペレット)を収納して構成されている。
プログラマブル電源153は、オーバーフロー部110に発生する電流密度が適切な値(例えば、3〜12A/dm2、電鋳体の真円度を重視する場合には3〜4A/dm2)に保持されるように、アノード電極154とカソード電極136、138間に電圧を印加する。これにより、母線125周囲には電着物が付着し、電鋳体が形成される。
尚、図37に示すように、電鋳装置には、クランプ装置、母線125の切断加工機構、及び母線125の抜き取り機構が備えられる。図37は、第1実施形態の電鋳の手順を示す概略図である。
クランプ装置はオーバーフロー部110内で電鋳体をクランプするもので、このクランプ装置により電鋳体をクランプし、切断加工機構により母線125を切断可能に加工し、抜き取り機構により電鋳体から母線125が抜き取られる。
クランプ装置はオーバーフロー部110内で電鋳体をクランプするもので、このクランプ装置により電鋳体をクランプし、切断加工機構により母線125を切断可能に加工し、抜き取り機構により電鋳体から母線125が抜き取られる。
つまり、本電鋳装置では、電鋳液3内で母線125と電鋳体が分離される。これにより、電鋳液3から母線125及び電鋳体を取り出すことによる母線125及び電鋳体の体積変化や、母線125及び電鋳体に付着した薬剤の乾燥凝固等によって、母線125と電鋳体の分離が阻害されることはなく、母線125の抜き取り作業をスムーズに行うことができる。
[電鋳方法]
次に、図37に従って、本電鋳装置による電鋳方法について説明する。尚、図37では、オーバーフロー部110内の異なる位置を、110A〜110Gで表している。
まず、治具搬送装置120の取り付け位置Xにおいて、母線125を保持治具130に装着する。保持治具130に装着された母線125は、ベルト123の循環により、オーバーフロー部110内に搬入される。
次に、図37に従って、本電鋳装置による電鋳方法について説明する。尚、図37では、オーバーフロー部110内の異なる位置を、110A〜110Gで表している。
まず、治具搬送装置120の取り付け位置Xにおいて、母線125を保持治具130に装着する。保持治具130に装着された母線125は、ベルト123の循環により、オーバーフロー部110内に搬入される。
オーバーフロー部110に搬入された母線125は、所定の回転速度で回転しながら、オーバーフロー部110内を、110Aから110Gに向けて順次移動していく。また、カソード電極136、138とアノード電極154の間には、オーバーフロー部110に適切な電流密度が発生するように、適切な電圧が与えられる。これにより、位置110A、110B、110Cにおいて、母線125の周囲には、電鋳により、電着物161が付着していく。
母線125の周囲への電着物161の外径が目標径に到達し、電鋳体162が形成されたならば、その母線125への電圧印加をストップし、その母線125の自転を停止する。そして、位置110Dに示すように、電鋳体162をクランプ装置(図示せず)でクランプし、母線125の端部の切断位置125Bに、切断機構による加工(例えばグラインダー加工又はプレス加工)により両テーパー加工を施す。尚、図37には、黒抜きの三角印でクランプ装置によって電鋳体162が把持されたことを示している。
続いて、位置110Eにおいて、図示されない抜き取り機構により、母線125を切断位置125Bと反対側に引っ張る。これにより、母線125は、切断位置125Bにおいて切断され、電鋳体162から引き抜かれる。位置110F、110Gには、母線125が電鋳体162から引き抜かれていく様子を示している。
このようにして、筒状部材である電鋳体162が形成されたならば、オーバーフロー部110から取りだされ、洗浄及び乾燥が行われる。
以上のように、本電鋳装置及び電鋳方法によれば、オーバーフロー部110において電鋳が行われるので、母線125の周囲での電流密度が安定し、精度の高い電鋳体162を得ることができる。
したがって、電鋳の結果として得られる筒状部材の外形断面及び中空部断面の真円度、筒状部材の外形と中空部の同軸度等を、著しく高めることができる。また、筒状部材の外径及び中空部内径の寸法誤差を極めて小さくできる(例えば、0.1μm以下)。
したがって、電鋳の結果として得られる筒状部材の外形断面及び中空部断面の真円度、筒状部材の外形と中空部の同軸度等を、著しく高めることができる。また、筒状部材の外径及び中空部内径の寸法誤差を極めて小さくできる(例えば、0.1μm以下)。
また、電鋳装置で得られる複数の電鋳体は、オーバーフロー部110に沿って移動していく母線125の周囲に形成されるので、複数の電鋳体を同一の条件で形成することができ、一定の品質の電鋳体を得ることができる。
また、複数の母線125への電圧印加は、母線125毎にオン/オフすることができるので、電鋳の制御を、母線125毎に適切に行うことができ、電鋳の精度が著しく高められる。
また、複数の母線125への電圧印加は、母線125毎にオン/オフすることができるので、電鋳の制御を、母線125毎に適切に行うことができ、電鋳の精度が著しく高められる。
また、母線125の保持部は電鋳液3に浸されないので、電解液3内での不純物の発生を低減でき、また保持部自体の劣化を防止できる。
また、保持部材に付着した電解液3が電解槽1から持ち出されることがないので、電解液3が無駄に失われることはない。
また、カソード電極136、138も電解液3内に浸されないので、電極のメンテナンスも容易となる。また、電解液1からあふれ出した電解液3を外槽2に回収して濾過するので、合理的かつ低コストで電解液3の濾過を行うことができる。
また、電鋳体162と母線125の分離は、電解液3内で行われるので、スムーズに実行できる。
また、保持部材に付着した電解液3が電解槽1から持ち出されることがないので、電解液3が無駄に失われることはない。
また、カソード電極136、138も電解液3内に浸されないので、電極のメンテナンスも容易となる。また、電解液1からあふれ出した電解液3を外槽2に回収して濾過するので、合理的かつ低コストで電解液3の濾過を行うことができる。
また、電鋳体162と母線125の分離は、電解液3内で行われるので、スムーズに実行できる。
以下、本発明の第2実施形態の電鋳装置について図38を参照しながら説明する。図38には、本発明の第2実施形態に係る電鋳の構成図である。
図38に示されるように、電鋳装置は、上部に開口を有する電鋳槽1を備える。この電鋳槽1には、電解液(電鋳液)3が充填される。電解液としては、例えば、スルファミン酸ニッケル液に光沢剤及びビット防止剤を加えた液が用いられる。
図38に示されるように、電鋳装置は、上部に開口を有する電鋳槽1を備える。この電鋳槽1には、電解液(電鋳液)3が充填される。電解液としては、例えば、スルファミン酸ニッケル液に光沢剤及びビット防止剤を加えた液が用いられる。
電鋳槽1は、供給配管4及び排出配管7を介して、管理槽5と接続される。管理槽5は、供給配管4と連通する供給室5Aと、排出配管7と連通する回収室5Bとを備えている。供給室5Aと回収室5Bは、液隔離板5Cによって隔てられている。
このような構成により、電鋳槽1内の電解液3は、排出配管7を通って、管理槽5の回収室5Bに回収される。回収室5Bに回収された不純物を含む電解液3は、濾過器9で濾過されたうえで、供給室5Aに送り込まれる。この供給室5Aにおいて、電解液3は、液温、水素イオン濃度、硬度等が適切に調整される。例えば、液温は45〜55℃に、水素イオン濃度は4.0〜4.5pHに調整される。
また、光沢剤の添加量を調節することにより、電鋳体の硬度が適切に調整される。供給室5A内の適切に調整された濾過済みの電解液3は、循環ポンプ6により、供給配管4を通って、電鋳槽1に供給される。電鋳液2の供給は、電鋳槽1内の電解液3の液面3aが、一定の水位に保たれるように制御される。
電鋳槽1の上方には、治具搬送装置120が備えられる。この治具搬送装置120は、保持治具130を電鋳槽1上方に配設し、搬送する装置であり、小径のローラ121と、大径のローラ122と、これらのローラ121、122に掛け回されたベルト123とを備えている。ローラ121、122は、図示されない駆動手段により回転駆動され、これにより、ベルト123は、図の反時計回りに循環する。
複数の保持治具130は、ベルト123の外周に固定されている。各保持治具130は、電鋳用の型部材である母線170を保持するものである。保持治具130は、ベルト123の循環とともに、ベルト123の外周に沿って搬送される。ベルト123のローラ121、122の下側を循環する部分に固定された保持治具130は、その一部が電鋳液3内に浸された状態で、ローラ121側からローラ122側に向けて移動する。なお、母線170は、ローラ121付近の取り付け位置Xにおいて、保持治具130に装着される。
ベルト123は、ローラ121、122の上側では、略水平に架け渡されている一方で、ローラ121、122の下側では、所定の位置において、案内ローラ126、127に案内され、段差124を形成している。この段差124の高さは、ローラ121と122の径の差に相当する。治具搬送装置120により搬送される保持治具130は、この段差124を過ぎると、段差124の高さ分だけ下降することになる。
電鋳槽1は、段差124の前後で、一次電鋳部1Aと二次電鋳部1Bに分かれている。つまり、電鋳槽1において、段差124よりも手前側(ローラ121側)は一次電鋳部1Aであり、段差124の奥側(ローラ122側)は二次電鋳部1Bである。後述するように、一次電鋳部1Aにおいては、バブルを用いた一次電鋳が行われ、二次電鋳部1Bにおいては、一次電鋳部1Aで形成された一次電鋳体の上に二次電鋳が行われる。
電鋳槽1の一次電鋳部1A下部には、エアー供給装置112が備えられる。このエアー供給装置112は、一次電鋳部1Aの電鋳液3内に、多数のエアーバブルを発生させる。これらのエアーバブルは、電解液3の液面3a上にエアーバブル層113を形成する。なお、エアー供給装置112からのエアー供給量は、図示されない制御手段によって制御可能となっており、これによりエアーバブル層113の厚み(液面3aからの高さ)を調整できるようになっている。
一次電鋳においては、このエアーバブル層113において、一次電鋳体の上端部が、所望の形状(例えばテーパー形状)に整形される。そして、保持治具130が、段差124を超えて二次電鋳部1B内に搬入されると、保持治具130の高さは段差124の高さだけ下降し、一次電鋳体の上端部(一次電鋳においてエアーバブル層113に配置されていた部分)よりも上側まで、母線170が電解液3内に浸される。この結果、二次電鋳は、一次電鋳体の外周及び一次電鋳体の上端部よりも上側の母線170の外周になされる。
電鋳槽1の電鋳液3内には、一対のアノード電極116が備えられる(図1には一つのみを示す)。これらのアノード電極116は、一次電鋳部1Aから二次電鋳部1Bにわたって保持治具130の搬送方向(図の左右方向)に延び、保持治具130を両側から挟み込むように配置されている。各アノード電極116は、例えばチタン鋼からなるメッシュ状又は穴あきのケース内に、電鋳用の金属ペレット(例えばニッケルペレット)を収納して構成されている。アノード電極116のケースは、プログラマブル電源118のプラス極に接続される。
電鋳槽1と治具搬送装置120の間には、導電性の線材からなる電極ワイヤ117が、複数の保持治具130の上端部に沿って架け渡されている。電極ワイヤ117は、プログラマブル電源118のマイナス極に接続されている。
次に、図39にしたがって、本実施形態の電鋳装置による電鋳方法について説明する。なお、図39では、電鋳槽1内の異なる位置を、110A〜110Fで表している。位置110A〜110Cは、一次電鋳部1A内の位置を示し、位置110D〜110Fは、二次電鋳部1B内の位置を示す。
治具搬送装置120の取り付け位置Xにおいて保持治具130が取り付けられた母線170は、ベルト123の循環により、電鋳槽1の一次電鋳部1A内に搬入される。この母線170は、所定の回転速度で自転しながら、一次電鋳部1A内を、位置110Aから位置110Cに向けて順次移動していく。
この間、アノード電極116とカソード電極(上側母線固定部145)の間には、電鋳液3内に適切な電流密度が発生するように、適切な電圧が与えられる。これにより、母線170の周囲には、電鋳による電着物が付着し、一次電鋳体171が形成されていく。また、このとき、母線170は、所定の回転速度(例えば15rpm以下の適切な値)で、軸周りで回転駆動される。これにより、母線170の周囲に形成される一次電鋳体171の周方向の均一性を高めることができる。
図示されるように、位置110A、110Bにおいては、エアー供給装置112から発生するエアーバブルによって、電鋳液2の液面3の上にエアーバブル層113が形成されている。このエアーバブル層113において、一次電鋳体171の上端のテーパー部172が整形される。つまり、エアーバブル層113における電流密度は、下方の電鋳液3内における電流密度よりも希薄であるので、エアーバブル層113においては、電鋳体の付着量が、電鋳液3内におけるよりも相対的に減少する。これを利用して、一次電鋳体171の本体側よりも細径のテーパー部172を形成する。
詳しく説明すると、アクチュエータで母線収容部とともに母線170を上下動させることにより、一次電鋳体171の上端側の各部分が、エアーバブル層113に浸される時間と電鋳液3に浸される時間の割合を調整する。これにより、一次電鋳体171の上端側であるほど、相対的に長い時間にわたってエアーバブル層113に浸されることになり、結果として、一次電鋳体171の上端部には、先細り形状のテーパー部172が形成される。
なお、本実施形態では、母線170を上下動させることによりテーパー部172の整形を行うが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、エアー供給装置112からのエアーバブル供給量を制御して、エアーバブル層113の高さを変更することにより、テーパー部172の整形を行ってもよい。さらに、母線170の上下動とエアーバブル層113の高さの調整を組み合わせて、テーパー部172の整形を行ってもよい。
このようにして、所定 の寸法の一次電鋳体171が形成されたならば、母線170への電圧印加を停止する。その後、母線170は、位置110Cに示すように、一次電鋳部1A内をしばらく搬送され、この間に、一次電鋳体171の周囲に酸化膜が形成されるようにする。この酸化膜の形成により、後に行われる一次電鋳体171と二次電鋳体173の分離作業が容易とされる。なお、一次電鋳体171の周囲に効果的に酸化膜を形成するために、一次電鋳体171をいったん電鋳液3の外に取り出すようにしてもよい。
続いて、母線170は、段差124を超えて下降し、第二電鋳部1Bに搬入される。二次電鋳部1Aにおいては、再び、アノード電極116とカソード電極(上側母線固定部145)の間に適切な電圧を付加する。これにより、母線170が位置110D〜110Fに順次搬送されていく間に、母線170及び一次電鋳体171に周囲に、二次電鋳体173が形成されていく。このようにして形成された二次電鋳体173は、一次電鋳体171及び母線170を象った中空部174を備え、この中空部174内にテーパー形状の先端部175を有するものとなる。
このようにして、筒状部材である二次電鋳体173が形成されたならば、母線170、一次電鋳体171及び二次電鋳体173を、電鋳槽1から取り出し、二次電鋳体173から母線170及び一次電鋳体171を分離する。さらに、この二次電鋳体173を洗浄、乾燥し、必要に応じて、整形加工を施す。
以上のように本実施の形態によれば、エアーバブル層113において一次電鋳体171のテーパー部172を形成し、二次電鋳体173の中空部174に、テーパー部172を象った先端部175を形成するので、二次電鋳体173の中空部174を、所望の形状に、容易に精度よく形成することができる。したがって、面倒な二次加工等が不要となり、製造コストを削減できる。
また、エアーバブル層113におけるテーパー部172の整形は、母線170の上下動を制御するか、エアーバブル層113の厚みを調整することにより行うので、簡単な構成で達成できる。また、二次電鋳体173は、電鋳液3の中で、一次電鋳体171及び母線170から抜き取られるので、抜き取り作業はスムーズに行える。
なお、本実施形態では、電鋳槽1に一次電鋳部1A及び二次電鋳部1Bを備え、二段階の電鋳を行うようにしたが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、三次以上の複数次(N次)の電鋳を行い、N−1段のテーパー形状の先端部を有するN次電鋳体を得るようにしてもよい。つまり、電鋳槽にN次電鋳部を備え、前段の電鋳部(n次電鋳部)で形成された電鋳体(n次電鋳体)の上に高次の電鋳体(n+1次電鋳体)を順次形成していくことにより、N−1段のテーパー部を有するN−1次電鋳体を得て、このN−1次電鋳体の上に、N−1段のテーパー形状の先端部を有するN次電鋳体を形成するようにしてもよい。例えば、電鋳槽に一次〜三次電鋳部を備え、二次電鋳体の上に三次電鋳体を形成することにより、図31に示すように、中空部内に二段のテーパー形状の先端部を有するノズルが得られる。
[実施の形態の効果]
本発明の実施の形態によれば、産業界から強く要望されている、超精細なノズルを提供できる効果がある。
特に、本発明の実施の形態によれば、内・外径が異なる2種類の電鋳管を用いることで、先端部が極細であるにも拘わらず、液量を徐々に調整して、液滴を吐出し易くしたものであり、ノズル先端内径を1μm以上で30μm以下、好ましくは、20μm程度に細くし、更にノズルの肉厚を5μm以上とすることで液の出をよくし、医療用又は工業用の多様な機器に適用できる効果がある。
また、ノズルの内面が0.27μm以下の面粗度と平滑な電鋳管を用いることで、液の吐出が容易となるものである。
また、先端の肉厚を5μm以上と超薄肉厚とするため、液滴をすくなくでき、液切れをよくすることができるものである。
本発明の実施の形態によれば、産業界から強く要望されている、超精細なノズルを提供できる効果がある。
特に、本発明の実施の形態によれば、内・外径が異なる2種類の電鋳管を用いることで、先端部が極細であるにも拘わらず、液量を徐々に調整して、液滴を吐出し易くしたものであり、ノズル先端内径を1μm以上で30μm以下、好ましくは、20μm程度に細くし、更にノズルの肉厚を5μm以上とすることで液の出をよくし、医療用又は工業用の多様な機器に適用できる効果がある。
また、ノズルの内面が0.27μm以下の面粗度と平滑な電鋳管を用いることで、液の吐出が容易となるものである。
また、先端の肉厚を5μm以上と超薄肉厚とするため、液滴をすくなくでき、液切れをよくすることができるものである。
本発明の実施の形態によれば、ノズル先端の外面及び内面に金メッキ等の導電層を形成することで、ノズル先端まで電流を流すことができ、バイオテクノロジー向け又はゲノム向けの機器に適用できる効果がある。
本発明の実施の形態によれば、ノズルの最先端部分に、細径で肉厚が薄いストレート部分を設けたことにより、第1に、少量の液滴を形成しやすくなり、第2に、吐出液滴量を制御しやすくなり、第3に、深さ又は溝を持っている容器に、ピンポイントで摘出しやすくなるという効果がある。
また、本発明の実施の形態によれば、電鋳法で製造するため、安価に量産できる効果がある。
また、本発明の実施の形態によれば、電鋳法で製造するため、安価に量産できる効果がある。
本発明は、ノズル先端内径を30μm以下に細くし、更にノズルの肉厚も薄くすることで液の出をよくし、医療用又は工業用の多様な機器に適用できる超精細ノズル及びその製造方法に好適である。
1...電鋳槽、 2...外槽、 3...電解液、 4...供給配管、 5...管理槽、 6...循環ポンプ、 7...排出配管、 9...濾過器、 11...太い電鋳管、 12...細い電鋳管、 13...接着剤、 21...太い電鋳管、 22...細い電鋳管、 23...芯線、 24...電着物、 31...電鋳管、 32...芯線、 33...芯線、 34...電着物、 41...第1の電鋳管、 43...芯線、 44...第2の電鋳管、 45...第2の電鋳管、 46...第3の電鋳管、 51...芯線、 54...電鋳管
Claims (19)
- 第1の電鋳管と、前記第1の電鋳管より外径・内径の小さい第2の電鋳管とを、各中空部の中心軸が略同一軸上となるよう、前記第1の電鋳管の中空部に前記第2の電鋳管が挿入された状態で接合されたノズルであって、前記第2の電鋳管における先端部分の内径が1μm以上30μm以下、肉厚が5μm以上80μm以下であることを特徴とする超精細ノズル。
- 第2の電鋳管の先端部分がストレート形状を有することを特徴とする請求項1記載の超精細ノズル。
- 第1の電鋳管と第2の電鋳管との接合部分は、外径及び内径共に緩やかなテーパー状に形成されることを特徴とする請求項2記載の超精細ノズル。
- 形成されたテーパー状の角度が、30度以下であることを特徴とする請求項3記載の超精細ノズル。
- 内面又は/及び外面にメッキが施されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記載の超精細ノズル。
- 施されているメッキが、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属であることを特徴とする請求項5記載の超精細ノズル。
- 電鋳で形成した、一方の先端部がテーパー状の第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成した、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ芯線を取り付けたままの第2の電鋳管の一部を挿入して接合して2次電鋳を施して第3の電鋳管を形成し、2次電鋳後に前記第3の電鋳管から芯線を引き抜くことを特徴とする超精細ノズルの製造方法。
- 電鋳で形成した、一方の先端部がテーパー状の第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成した、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ芯線を取り付けたままで、先端部がテーパー状の第2の電鋳管のストレート部分の一部を挿入して接合して2次電鋳を施して第3の電鋳管を形成し、2次電鋳後に芯線又は芯線及び第2の電鋳管を引き抜くことを特徴とする超精細ノズルの製造方法。
- 芯線を引き抜く前に、第3の電鋳管において第2の電鋳管の接合部とは反対側の端部をテーパー加工することを特徴とする請求項7又は8記載の超精細ノズルの製造方法。
- 芯線を引き抜く前に、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属で外面をメッキすることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか記載の超精細ノズルの製造方法。
- 第1の電鋳管及び第2の電鋳管の内面に、予め耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属でメッキされていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか記載の超精細ノズルの製造方法。
- 100〜200μmの太さの径の先端部が30度以下のテーパー状で50μmの差の太さのストレート部分を有している形状の芯線に、電鋳を施して当該芯線を引き抜くことを特徴とする超精細ノズルの製造方法。
- 芯線を引き抜く前に、先端部分をテーパー加工することを特徴とする請求項12記載の超精細ノズルの製造方法。
- 芯線を引き抜く前に、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属で外面をメッキすることを特徴とする請求項12又は13記載の超精細ノズルの製造方法。
- 電鋳で形成された第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成された第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ第2の電鋳管を一部挿入して接合し、接合部分を接着剤又はメッキで接着させることを特徴とする超精細ノズルの製造方法。
- 電鋳で形成し、ハンダメッキした第1の電鋳管の中空部に、電鋳で形成し、ハンダメッキした、第1の電鋳管の中空部と近似値の外径を持つ第2の電鋳管の一部を挿入して接合し、高温で溶かすことで第1の電鋳管と第2の電鋳管とを接着させることを特徴とする超精細ノズルの製造方法。
- 接着後に、第2の電鋳管における接合部とは反対側の端部をテーパー加工することを特徴とする請求項15又は16記載の超精細ノズルの製造方法。
- 接着後に、耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属で外面をメッキすることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか記載の超精細ノズルの製造方法。
- 第1の電鋳管及び第2の電鋳管の内面に、予め耐薬品性・耐腐食性・伝導性に優れた金、銀、パラジューム等の金属でメッキされていることを特徴とする請求項15乃至18のいずれか記載の超精細ノズルの製造方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130627 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20131024 |