JP2011079062A - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】間隔調整が可能な一対の短辺21及び短辺21を幅方向の両側から挟む一対の長辺22とによって囲繞される鋳型空間部23に注入される溶鋼を冷却し鋳片として引き抜く連続鋳造用鋳型20において、鋳型空間部23を形成する鋳型壁24の対向する長辺22及び鋳型壁24の四隅の領域を除いた対向する短辺21には、それぞれ鋳片が引き抜かれる方向に鋳片シェルの平坦部の凝固収縮量に追従して間隔が徐々に狭まる長辺側傾斜部26及び短辺側傾斜部25が形成され、鋳型壁24の四隅の領域の短辺21には、外側に向かって拡大すると共に鋳片が引き抜かれる方向では鋳片シェルの短辺側角部の凝固収縮量に追従して徐々に縮小する短辺側拡大部27が形成されている。
【選択図】図4
Description
また、鋳片角部の冷却が不十分なために鋳片角部の厚みが薄く、鋳片シェル106が連続鋳造用鋳型103内を移動する際に、鋳片角部に応力集中が生じて鋳片角部の品質が劣化したり、最悪の場合には鋳片角部でブレークアウトが発生するという問題が生じる。
前記鋳型空間部を形成する鋳型壁の対向する前記長辺及び該鋳型壁の四隅の領域を除いた対向する前記短辺には、それぞれ前記鋳片が引き抜かれる方向に鋳片シェルの平坦部の凝固収縮量に追従して間隔が徐々に狭まる長辺側傾斜部及び短辺側傾斜部が形成され、
前記鋳型壁の四隅の領域の前記短辺には、外側に向かって拡大すると共に前記鋳片が引き抜かれる方向では前記鋳片シェルの短辺側角部の凝固収縮量に追従して徐々に縮小する短辺側拡大部が形成されている。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型10は、間隔を設けて配置される一対の短辺11及び短辺11を幅方向の両側から挟む一対の長辺12とによって囲繞される鋳型空間部13に上方から溶鋼を注入し、鋳型空間部13を形成する鋳型壁14の内面に接触させて冷却し鋳片として鋳型空間部13の下側から引き抜いている。ここで、鋳片とは、例えば、鋳造断面積が固定されるブルームを指す。以下、詳細に説明する。
また、図2に示すように、鋳型壁14の四隅の領域を除いた対向する短辺11及び長辺12には、それぞれ鋳片の引き抜き方向に、鋳片シェルの平坦部の凝固収縮量に追従して間隔が徐々に狭まる短辺側傾斜部15及び長辺側傾斜部16が形成されている。ここで、鋳片シェルの平坦部とは、鋳型空間部13内で形成される鋳片シェルにおいて、鋳型空間部13を形成する鋳型壁14の短辺11又は長辺12に接触した溶鋼が主に短辺11又は長辺12からの冷却作用のみで凝固すると近似できる領域を指す。
ここで、鋳片シェルの角部とは、鋳型空間部13内で形成される鋳片において、鋳型空間部13を形成する鋳型壁14の短辺11又は長辺12に接触した溶鋼が短辺11及び長辺12からの冷却作用を同時に受けて凝固すると近似できる領域を指す。そして、鋳型壁14の鋳片引抜き側端部(下端部)における対向する短辺11間距離は鋳造しようとする鋳片の広幅サイズWに実質的に一致し、対向する長辺12の間距離は鋳造しようとする鋳片の狭幅サイズVに実質的に一致している。
先ず、溶鋼の温度、鋳片の外形サイズ、鋳片の熱膨張係数及び剛性(弾塑性データ)、鋳型空間部13からの鋳片の引く抜き速度、及び鋳型壁14の冷却能力を含む鋳造条件に基づいて、鋳型空間部13内に形成される鋳片シェル19の鋳造方向の温度分布を、例えば、有限要素法により算出する。
鋳片シェル19の鋳造方向の温度分布では、鋳片シェル19の鋳造方向に対して同一位置(例えば、鋳型壁14の下端から同一高さ位置Z)においては、鋳型壁14の短辺11の中央部に接触する鋳片シェル19の表面のP点は短辺11のみから、長辺12の中央部に接触する鋳片シェル19の表面のP点は長辺12のみから冷却されるのに対して、鋳型壁14の四隅の領域に接触して形成される鋳片シェル19の角部の突出点Qは短辺11及び長辺12から同時に冷却されるので、鋳片シェル19の表面のP点の温度が最も高く、鋳片シェル19の角部の突出点Qの温度が最も低くなっている。このため、鋳片シェル19の表面温度で、P点との温度差が、例えば、50℃以内となる鋳片シェル19の表面の領域を鋳片シェル19の平坦部Rとし、その領域における平均温度TR(Z)を鋳片シェル19の平坦部Rの温度とする。
実際には、三次元の有限要素解析モデルを用いて凝固収縮解析結果を求めるため、三次元の温度分布(鋳造方向、周方向、及び鋳片シェル19の厚み方向)と鋳片シェル19内の温度分布に依存した線膨張係数及び剛性(弾塑性データ)が考慮された凝固収縮変形量が求まるが、ここでの要点は、鋳片シェル19の平坦部Rの外形サイズと角部Sの外形サイズが鋳片の引き抜き方向に変化し、また、その量は鋳片シェル19の平坦部Rと角部Sでそれぞれ異なっているということの説明であるので、ここでは、計算ファクターを少し省略して説明する。
従って、鋳型壁14の高さ位置Zでの鋳片シェル19の平坦部Rの外形サイズを基準にすると、鋳型壁14の下端での鋳片シェル19の平坦部Rの外形サイズは、平均熱膨張量B(Z)に相当する量の凝固収縮の分だけ収縮している。
なお、鋳型壁14のメニスカス部から上端までの範囲の短辺11及び長辺12には、メニスカス部近傍における短辺側傾斜部15及び長辺側傾斜部16をそれぞれ延長した傾斜部15a(16a)を設ける。
鋳型壁14の同一高さ位置Zにおける鋳片シェル19の角部Sの表面温度TS(Z)は、鋳片シェル19の角部Sの表面に沿って変化し、鋳片シェル19の角部Sの表面と短辺11側及び長辺12側の各平坦部Rの表面との連結点G、Hにおける温度は、平坦部Rの表面温度TR(Z)に略等しい。また、鋳片シェル19の鋳造方向では、凝固が開始するメニスカス近傍の溶鋼温度TMから鋳型壁14の下端Eでの表面温度TS(E)(TS(E)<TS(Z)<TM)まで連続的に変化し、鋳片シェル19の角部Sの厚み方向では、表面温度TS(Z)から背面温度(溶鋼温度)TMまで連続的に変化している。
このため、鋳型壁14の下端Eから引き抜かれる鋳片シェル19の角部Sの外形が所定形状(狭幅がVで広幅がW)である場合、鋳型壁14の下端から高さ位置Zでの鋳片シェル19の角部Sの外形サイズは、表面温度の上昇分(TS(Z)−TS(E))及び鋳片シェル19の角部Sの厚み方向の温度低下分(TM−TS(Z))が組み合わされた平均熱膨張量C(Z)だけ鋳片シェル19の角部Sの表面に沿って大きくなっている。
従って、鋳型壁14の下端から高さ位置Zの鋳片シェル19の角部Sの外形サイズを基準にすると、鋳型壁14の下端での鋳片シェル19の角部Sの外形サイズでは、角部Sの表面に沿って平均熱膨張量C(Z)に相当する量の凝固収縮の分だけ収縮している。
なお、鋳型壁14のメニスカス部から上端までの範囲の四隅の領域の短辺11及び長辺12には、メニスカス部近傍における短辺側拡大部17及び長辺側拡大部18をそれぞれ延長した拡大部(図示せず)を設ける。
連続鋳造鋳型10の鋳型壁14の内側に形成される鋳型空間部13に上側から溶鋼を注入すると、溶鋼は鋳型壁14の内面に接触して冷却され表側に凝固層内側に溶鋼が存在する鋳片シェル19が形成される。
また、鋳片シェル19の角部Sの外形サイズは、鋳型壁14の同一高さ位置ではそれぞれ外側に向かって拡大すると共に鋳片シェル19が引き抜かれる方向では鋳片シェル19の角部Sの凝固収縮量に追従して徐々に縮小する。そして、鋳片シェル19の角部Sの表面に沿って対向する短辺11(長辺12)間の間隔は、短辺側拡大部17(長辺側拡大部18)により、鋳片シェル19の角部Sの平均熱膨張量Cに相当する凝固収縮量に追従して徐々に狭まるように変化するので、鋳片シェル19の角部Sは鋳型壁14の四隅の領域の対向する短辺11及び長辺12にそれぞれ角部Sの表面を常に接触させながら、下端側に向けて移動することができる。
また、第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型10の短辺11及び長辺12と同様に、鋳型壁24の四隅の領域を除いた対向する短辺21及び長辺22には、それぞれ鋳片の引き抜き方向に、鋳片シェルの平坦部の凝固収縮量に追従して間隔が徐々に狭まる短辺側傾斜部25及び長辺側傾斜部26が形成されている。ここで、鋳片シェルの平坦部とは、鋳型空間部23内で形成される鋳片シェルにおいて、鋳型壁24の短辺21又は長辺22からの冷却のみの作用で溶鋼が凝固すると近似できる領域を指す。
ここで、鋳片シェルの短辺側角部とは、鋳型空間部23内で形成される鋳片シェルにおいて、鋳型壁24の短辺21に接触し短辺21及び長辺22からの冷却の作用を同時に受けて溶鋼が凝固すると近似できる領域を指す。そして、鋳型壁24を形成している対向する短辺21の下端における内幅は、連続鋳造鋳型10の下端から鋳片を排出させる際の設定幅サイズに実質的に一致し、対向する長辺22の下端における内幅は連続鋳造鋳型10の下端から鋳片を排出させる際の設定厚みサイズに実質的に一致している。
なお、鋳型壁24のメニスカス部から上端までの範囲の短辺21及び長辺22には、メニスカス部近傍における短辺側傾斜部25及び長辺側傾斜部26をそれぞれ延長した傾斜部(図示せず)を設けている。更に、鋳型壁24のメニスカス部から上端までの範囲の四隅の領域の短辺21には、メニスカス部近傍における短辺側拡大部27を延長した拡大部(図示せず)を設ける。
連続鋳造用鋳型20の鋳型壁24内に注入した溶鋼が冷却されて形成される鋳片シェルの平坦部の外形サイズは、引き抜かれる方向に平坦部の凝固収縮量に追従して間隔が徐々に狭まるように変化しているので、鋳型壁24の四隅の領域を除いた対向する短辺21及び長辺22に対して鋳片シェルの平坦部の表面を常に接触させながら下端側に向けて移動することができる。
また、鋳片シェルの角部の外形サイズは、鋳型壁24の下端から同一高さ位置では短辺21の外側に向かって拡大すると共に鋳片が引き抜かれる方向では鋳片シェルの短辺側角部の凝固収縮量に追従して徐々に縮小するように変化しているので、鋳型壁24の四隅の領域の対向する短辺21に鋳片シェルの短辺側角部の表面を常に接触させながら、下端側に向けて移動することができる。
また、鋳型壁24の四隅の領域の短辺21にのみ短辺側拡大部27を設けたので、鋳片の短辺21の間隔を変化させることにより広幅サイズが異なる鋳片を容易に鋳造することができる。
例えば、第1の実施の形態では、鋳型壁の四隅を除く領域の短辺及び長辺にはメニスカス部から上端までの範囲にも傾斜部を、鋳型壁の四隅の領域の短辺及び長辺にはメニスカス部から上端までの範囲にも拡大部をそれぞれ設けたが、メニスカス部から下端までの範囲のみに短辺側傾斜部、長辺側傾斜部、短辺側拡大部、及び長辺側拡大部を設けるようにしてもよい。
また、第2の実施の形態でも、短辺及び長辺でメニスカス部から上端までの範囲に傾斜部を、短辺のメニスカス部から上端までの範囲に拡大部をそれぞれ設けたが、メニスカス部から下端までの範囲のみに短辺側傾斜部、長辺側傾斜部、及び短辺側拡大部を設けるようにしてもよい。
更に、鋳片シェルの平坦部の表面温度を平坦部の平均温度で代表させ、鋳片シェルの平坦部の表面温度及び鋳片シェルの厚み方向の温度分布に基づいて平均熱膨張量を求めたが、算出された平坦部の表面温度及び鋳片シェルの厚み方向の温度分布に基づいて平均熱膨張量を求めてもよい。
Claims (2)
- 間隔調整が可能な一対の短辺及び該短辺を幅方向の両側から挟む一対の長辺とによって囲繞される鋳型空間部に注入される溶鋼を冷却し鋳片として引き抜く連続鋳造用鋳型において、
前記鋳型空間部を形成する鋳型壁の対向する前記長辺及び該鋳型壁の四隅の領域を除いた対向する前記短辺には、それぞれ前記鋳片が引き抜かれる方向に鋳片シェルの平坦部の凝固収縮量に追従して間隔が徐々に狭まる長辺側傾斜部及び短辺側傾斜部が形成され、
前記鋳型壁の四隅の領域の前記短辺には、外側に向かって拡大すると共に前記鋳片が引き抜かれる方向では前記鋳片シェルの短辺側角部の凝固収縮量に追従して徐々に縮小する短辺側拡大部が形成されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。 - 請求項1記載の連続鋳造用鋳型において、前記鋳片シェルの平坦部の凝固収縮量及び前記鋳片シェルの短辺側角部の凝固収縮量は、鋳造条件を基に演算した前記鋳型空間部内での前記鋳片シェルの凝固収縮解析結果に基づいて算出することを特徴とする連続鋳造用鋳型。
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