JP3930761B2 - チューブ方式連続鋳造用鋳型 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造設備に用いるチューブ方式鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶鋼などの溶湯を鋳型に連続的に供給しつつ、鋳片を鋳型から連続的に引抜くことにより鋳造を行う連続鋳造機において、鋳型は通常、銅または銅合金製の断面が矩形のモールドチューブ(以下、単に「チューブ」ともいう。)と、このチューブの外壁面を取り囲むウォータジャケットとを備え、チューブとウォータジャケットとの間に形成された間隙(冷却水通路)に冷却水を流通させて用いる。鋳型内に注入された溶湯は、チューブ内壁面と接して冷却され、先ず薄い凝固シェルが形成される。この凝固シェルは当初はチューブ内壁面と密着しているが、やがて凝固シェルの温度降下とともに収縮してチューブ内壁面から離れ、チューブ内壁面と鋳片表面との間に隙間ができる。この隙間が生じると、チューブ内壁面側の伝熱抵抗が急激に増大し、冷却不良による凝固組織の粗大化などにより健全な凝固シェルが形成できなくなる。特に、小形断面のビレット連続鋳造機では鋳片のコーナ部に隙間が生じやすく、コーナ部の凝固遅れが顕著に現れる。コーナ部の凝固遅れは、鋳片の菱形変形を引き起こし、この変形がひどくなると内部割れ、表面割れ等の鋳片品質の劣化やブレークアウトを伴うことにもなる。
【0003】
そこで従来の、鋳型と鋳片との間に隙間を生じやすいストレート鋳型や単一テーパ鋳型に代わり、前記隙間が生じにくい多段テーパ鋳型やパラボリックテーパ(曲線テーパ)鋳型が実用化され、近年の連続鋳造の高速化や安定操業に寄与している。すなわち、鋳型内の凝固シェルは温度低下とともに収縮するが、理論的あるいは実験的に求めた凝固シェルの収縮量に合致したチューブ内壁面形状とすることにより前記隙間を小さくできるものである。しかし、多段テーパ鋳型やパラボリックテーパ鋳型を用いても、鋳造中に初期のチューブ内壁面形状を維持することは以下の理由により困難である。
【0004】
鋳造中のチューブは、▲1▼鋳片と接しない領域(溶湯表面であるメニスカスより上方の領域)と、▲2▼鋳片と接する領域(メニスカスより下方の領域)とに分けられる。領域▲1▼のチューブ温度は、鋳片と接触していないため低く冷却水温度に近い。一方、領域▲2▼のチューブ温度は、鋳片と直接接触するため高温になり、メニスカス直下近傍では300℃を超える場合がある。したがって、領域▲1▼のチューブ部分はほぼ常温における寸法そのままであるが、領域▲2▼のチューブ部分は熱膨張により外側に膨らんだ形状となる。領域▲1▼と▲2▼の境目では急激な熱勾配が生じるため、常温における適正な下すぼまりのテーパ形状が維持できず、常温時の適正なテーパ形状とは逆の下広がりのテーパ形状(いわゆる「負のテーパ」)となる。鋳造速度を高めると鋳片からチューブへの入熱が増大するため、領域▲2▼のチューブ温度がさらに上昇し、領域▲1▼と▲2▼の境目の熱勾配はより大きくなり、負のテーパ量はますます増大する。負のテーパ量の増大によるチューブと鋳片との隙間が拡大することと、領域▲2▼のチューブ温度の上昇によりチューブ材質である銅または銅合金が軟化するおそれがあることが、さらなる高速鋳造を実現できない一つの要因となっている。
【0005】
なお、予め常温状態で負のテーパ量に相当する分を上乗せしたチューブ内壁面形状としておき、鋳造時に丁度負のテーパ量がキャンセルされて適正なテーパ形状が得られるようにすることが可能とも考えられるが、鋳造条件(鋼種、鋳造速度、溶湯温度、メニスカスレベル等)が変化するとチューブの温度分布も都度変化するため現実的な方策ではない。また、仮に現実的な方策であるとしてもチューブ内壁面形状が複雑になり、製作が困難である。
【0006】
負のテーパ(すなわち鋳造中のチューブの熱変形)を軽減する現実的な方策としては、
(1)冷却水の流速を高めることや、冷却水と接触するチューブ外壁面側の面積を大きく すること等により冷却水側の熱伝達率を高めチューブ温度の上昇を緩和すること、
(2)チューブ厚みを増大し、チューブの変形量を減少させること、
等が効果的であることが知られている(例えば、J.K.Brimacombe, et al:I&SM, November 1993, p35-47参照)。
【0007】
(従来技術1)
公知の技術として、例えば、大断面のスラブ連続鋳造機やブルーム連続鋳造機では、鋳型として図6に示す構造のものが採用されることが多い。図6(a)に示す銅板11の厚みは45mm程度と厚く(ビレット連続鋳造機のチューブ厚みは6〜10mm程度)、反鋳片側に冷却水通路となるスリット13が設けられている。図示されていないが、銅板11はバックアッププレート12と多数のボルトで締結されている。図6(b)は、スリット13内にスペーサ15を設けてメニスカス近傍の冷却水の流速を上げ、冷却能を向上させた例を示すものである。銅板11に十分な肉厚を持たせて剛性を高くし、かつ強靭なバックアッププレート12と機械的に締結する構造を採用するため、鋳造中における銅板11の変形は小さい。しかし、この構造を小断面であるビレット連続鋳造機に適用すると、鋳型は複雑で大きなものになり、設備コスト、ランニングコスト、保守コストが著しく高くなる。また、もともとストランド間隔が小さい現存のビレット連続鋳造機には、寸法的にこの構造を適用することは困難である。また、ビレット連続鋳造機の鋳型にはバックアッププレート12がなく、図6(b)に示したようなスペーサ15を設置することが構造上困難である。
【0008】
(従来技術2)
また、冷却水の流速を高めるために、高圧水を用いる例が提案されている。すなわち、冷却水の流速を高めると冷却水の圧力損失が増大するため、通常の供給圧力では冷却水の流速を高められないからであり、冷却水を高圧化することにより、沸騰の危険性を低下させる効果もある。しかし、高圧水を用いるためには、既存設備(鋳型、給水設備、配管等)を流用することができないため、改造コストが著しく高くなる。また、矩形チューブのシールの構造上、高耐圧仕様とすることが困難であることから鋳造中における漏水の危険性が高まり、水が溶湯に混入すると爆発事故を誘発することにもなる。さらに、冷却水圧力によりチューブが鋳片側に変形し、チューブ内壁面形状が崩れてしまう可能性も高い。この変形を回避するためチューブ肉厚を厚くすると、本来の目的である冷却能力の向上効果が減少してしまう。
【0009】
(従来技術3)
また、冷却水側の熱伝達率を高めるため冷却水と接触するチューブ外壁面側にチューブ長手方向に直交する溝(横溝)を多数本加工して冷却水との接触面積を増大させる例が提案されている。確かに、冷却水との接触面積は増大するものの、溝の方向が冷却水の流れ方向と直交するため、冷却水との接触面近傍の流速が低下してしまう。特に溝底部では冷却水の澱みを生じ冷却効果が損なわれる。また、冷却水通路の抵抗が大きく圧力損失が大きくなるため、冷却水の供給圧力を高める必要があり、ランニングコスト(ポンプ用電力)が増大する。さらに、鋳型や冷却水の供給配管の耐圧力も高める必要があり、設備コストが上昇する。また、冷却水の圧力を高めると鋳型からの漏水の危険性が高まる。
【0010】
(従来技術4)
また、特開平9―225593号公報および特開平9―239496号公報には、冷却水側の熱伝達率を高めるため冷却水と接触するチューブ外壁面側にチューブ長手方向と平行に溝(縦溝)を多数本加工して冷却水との接触面積を増大させる例が提案されている。すなわち、特開平9―225593号公報では、チューブ外壁面コーナ部を除く四辺部外壁面に、チューブの上端または上端から一定距離下方の位置から下端まで縦溝を設けた連続鋳造用鋳型が開示されている。また、特開平9―239496号公報では、チューブの上端側においては、チューブコーナ部内壁面に縦溝を設けるとともに、チューブの下端側においては、チューブ四辺部外壁面に縦溝を設けた連続鋳造用鋳型が開示されている。これらの提案は、コーナ部と辺部との鋳型温度を均一化して初期凝固シェルの厚み差を小さくし、鋳片コーナ部の表面割れを防止するとともに、チューブ全体としての抜熱量を増加させることによって鋳片冷却を促進し、高速鋳造を可能とするというものである。これらの提案によれば、縦溝を用いることから、上記従来技術3のように冷却水の圧力損失増大による問題は生じないが、溝を形成したことにより冷却水流路の水平断面積が増加し、冷却水流速が低下するため、冷却水との接触面積の増大の効果が減殺されてしまう。さらに、前者の提案では上端部または上端部から一定距離下方の位置からチューブ下端まで縦溝を加工する必要があることから加工コストが高い問題がある。また、後者の提案ではチューブの上端側においてチューブ内壁面に溝を設けていないことから、チューブ上端に近いメニスカス近傍で生じる負のテーパを防止する効果がない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、鋳造時におけるモールドチューブの負のテーパ(熱変形)を簡易な手段で効果的に防止し、高速鋳造を可能とする連続鋳造用鋳型を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできる本発明の要旨は以下の通りである
【0014】
請求項1に記載の発明は、主断面が矩形のモールドチューブと、このモールドチューブの外壁面を取り囲むウォータジャケットとを備えた連続鋳造用鋳型において、前記モールドチューブのコーナ部を除く四辺部の外壁面であって、前記モールドチューブの上端から下方へ向かう10〜400mmの範囲内に、前記モールドチューブの長手方向に複数に分割した縦溝を、前記モールドチューブの周方向に複数本設けたことを特徴とするチューブ方式連続鋳造用鋳型である。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記縦溝が設けられた部位における前記モールドチューブと前記ウォータジャケットとの間に形成された冷却水通路の水平断面積が、前記縦溝が設けられていない部位における前記冷却水通路の水平断面積と比較して同等ないし小さい請求項に記載のチューブ方式連続鋳造用鋳型である。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記縦溝の深さが、長手方向で変化する請求項1または2に記載のチューブ方式連続鋳造用鋳型である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1に、本発明の実施に係る、鋼材を鋳造するのに用いられる、曲げ形ビレット連続鋳造機用のチューブ方式鋳型の全体を示す。鋳型は、主断面(水平断面)が矩形のモールドチューブ1と、このチューブ1の外壁面を取り囲むウォータジャケット2とを備えており、チューブ1の外壁面とウォータジャケット2の内壁面との間に形成された空間部である冷却水通路3内を冷却水が下から上方向に流れている。
【0019】
〔第1実施形態〕
図2は、チューブ1とウォータジャケット2の組み合わせ部分のみ、図3は、モールドチューブ1のみ、図4は、ウォータジャケット2のみをそれぞれ示すものである。
【0020】
図2および図3に示すように、チューブ1の外壁面には、コーナ部(四分円部)1cを除く四辺部1aそれぞれに複数本の縦溝4を設けている。コーナ部1cを除いたのは、コーナ部1cは元々冷却されやすい部位であるため縦溝4を設けると冷却過剰となるからである。縦溝4は、チューブ1上端から下方へ向かう10〜400mm、好ましくは35〜250mmの範囲内(図2および図3の部位U)に設ける。これにより、メニスカスレベルが操業条件により変化・変動しても、メニスカス近傍のチューブ1の外壁面には、常に縦溝4が存在するので、チューブ1外壁面と冷却水との接触面積を常に大きく維持できる。縦溝4を設ける範囲をチューブ1上端から下方へ向かう10〜400mm、好ましくは35〜250mmの範囲に限定したのは、通常の鋳造時においてメニスカスレベルが変化しうる範囲を包含しつつ、不必要な部分にまで溝加工を施すことをできるだけ回避するためである。また、縦溝4が設けられた部位(部位U)におけるチューブ1の外壁面1s(縦溝4の存在しない平坦な部分;図2(c)、図3(b)参照)とウォータジャケット2の内壁面との面間距離GUが、縦溝4が設けられていない部位(図2および図3の部位L)におけるチューブ1の外壁面とウォータジャケット2の内壁面との面間距離GLより短くなるようにすることが好ましい。これにより、縦溝4を設けた部位(部位U)の冷却水の流速が、縦溝4を設けない部位(部位L)の冷却水流速に比べ、従来技術4ほど大きく低下しない。面間距離GUをさらに短くして、縦溝4が設けられた部位(部位U)における冷却水通路3の水平断面積が、縦溝4が設けられていない部位(図2および図3の部位L)における冷却水通路3の水平断面積と比較して同等または小さくなるようにすることが特に好ましい。これにより、縦溝4を設けた部位(部位U)の冷却水の流速を、縦溝4を設けない部位(部位L)の冷却水流速と比較し同等ないし高くできる。このため、例えば図2および図4に示すように、ウォータジャケット2の内壁面のうち部位Uにのみ所定の厚みのライナプレート5を取り付ければよい。さらに、溝4は冷却水の流れ方向に添う縦溝としているので、溝底部での冷却水の澱みが生じることがなく、冷却水の圧力損失も小さい。したがって、メニスカス近傍のチューブ1外壁面での伝熱効率が改善されてチューブ1は十分冷却され、チューブ温度は従来ほど高くならない。したがって、負のテーパが効果的に防止される。また、冷却水の供給圧力をあまり高める必要がないため、ランニングコスト(ポンプ用電力)の上昇は問題とならず、鋳型や冷却水配管の高耐圧化は不要で設備コストの上昇も問題とならない。
【0021】
縦溝4の幅は、狭すぎると接触面積増大の効果がなく、広すぎるとチューブ1の強度が低下するので、チューブ1厚みの0.4〜1.0倍程度の範囲とすることが好ましい。縦溝4の深さは、浅すぎると接触面積増大の効果がなく、深すぎるとチューブ1の強度が低下するので、チューブ1厚みの0.3〜0.6倍程度の範囲とすることが好ましい。縦溝4のピッチは、大きすぎると(すなわち縦溝の本数が少なすぎると)接触面積増大の効果がなく、小さすぎると(すなわち縦溝の本数が多すぎると)チューブ1の強度が低下するので、溝4の幅の1.5〜2.5倍程度の範囲とすることが好ましい。なお、本例では縦溝4の深さは高さ方向(長手方向)で一定としているが、高さ位置に応じて伝熱量と強度とを考慮して連続的または段階的に変化させてもよい。
【0022】
縦溝4は、例えばボールエンドミルでチューブ1外壁面に溝加工して形成することができる。溝底形状(水平断面形状)は応力集中を防止するため、図2および図4に示すように、円弧状にすることが推奨されるが、矩形状、台形状、三角形状などであってもよい。本例は、曲げ形チューブへの適用例であり、図2および図3に示すように、溝加工をチューブ1の曲率に沿って行っているが、直線または折れ線状に近似して行ってもよい。
【0023】
図2および図4に示すように、ウォータジャケット2の四辺部2aの内壁面のうち、チューブ1外壁面に設けた縦溝4を覆う範囲に所定の厚みのライナプレート5をボルト6留めするように構成することが推奨される。これにより、部位Uと部位Lの冷却水通路3の水平断面積の比率を厚みの異なるライナプレート5に取り替えることによって容易に調整することができる。本例ではコーナ部2cにはライナプレート5を取り付けず、この部分での冷却水流速を遅くして鋳片のコーナ部の冷え過ぎを防止しているが、コーナ部2cにも四辺部2aと同様、ライナプレート5を取り付けて鋳片のコーナ部の冷却速度を調整するようにしてもよい。また、図4に示すように、ライナプレート5の下端部5bは面取りして水流を乱さないようにすることが好ましい。なお、ライナプレート5をボルト6で取り付ける代わりに、ウォータジャケット2とライナプレート5とを一体構造としてもよい。
【0024】
以上のように、縦溝4の溝幅、溝深さ、溝ピッチ(溝本数)、およびライナプレート5の厚みを適宜選択して組み合わせることにより、操業条件に対応した最適な鋳型を提供できる。
【0025】
〔第2実施形態〕
図5は、上記第1実施形態と同様、縦溝4をチューブ1上端から下方へ向かう10〜400mm、好ましくは35〜250mmの範囲内(図5の部位U)に設けるものであるが、縦溝4をチューブ1長手方向に複数に分割して設けたものである。チューブ1の主断面(水平断面)の四辺部1a(図3参照)は、チューブ1背面(外壁面側)からの冷却水圧力の作用により鋳片側(内壁面側)に張り出すように変形しやすい。また、チューブ1は、鋳片側の温度が高く、冷却水側の温度が高いため、四辺部1aはバイメタル効果によっても鋳片側に変形しやすい。しかし、縦溝4をチューブ1長手方向に複数に分割して設置したことにより(すなわち、部位U中に溝4を形成しない溝なし部分4aを残すことにより)、四辺部1aの剛性の低下を緩和して鋳片側への変形を防止することができる。一方、部位U中に溝なし部分4aを残すと、この溝なし部分4aの冷却能力の低下が懸念されるが、溝なし部分4aの範囲を極端に大きくしなければ、図5(a)に示すように、却ってフィン効果により冷却能力が上昇する。また、上述したバイメタル効果は、チューブ厚み方向の直線状熱勾配により生じるものである。しかし、溝なし部分4aの厚み方向温度分布は、フィン効果により大部分が温度が低く、鋳片側の一部分のみが温度が高くなり、直線状勾配にならない。したがって、バイメタル効果による鋳片側への熱変形も小さい。以上のように、縦溝4をチューブ長手方向に複数に分割して設けることにより四辺部1aの鋳片側への熱変形を効果的に防止できる。また、上記実施例1と同様の理由により、縦溝4が設けられた部位(部位U)における冷却水通路3の水平断面積が、縦溝4が設けられていない部位(図2および図3の部位L)における冷却水通路3の水平断面積と比較して同等または小さくなるようにすることが好ましい。なお本例において、上記実施例1で説明したように、ウォータジャケット2に平面状のライナプレート5を取り付けると、溝なし部分4aにおける冷却水流路が極端に狭くなり、冷却水の圧力損失が増大する。これを回避するため、例えば図5(a)に示すように、ウォータジャケット2の、溝なし部分4aに対峙する部位に窪み7を設けて冷却水通路3の水平断面積を確保するようにすることが好ましい。また、縦溝4の分割数は、図5では3分割としているが、これに限定されるものではない。ただし、分割数が多すぎると、上記熱変形防止の効果が飽和するとともに、溝加工の手間が増大するので、2〜10分割程度の範囲内で適宜調整するのが好ましい。また、分割した縦溝4のチューブ1外壁面上への配列は、図5に示すように、水平方向に整列させて、全体を正方配列としてもよいが、水平方向で互いに隣り合う縦溝4を高さ方向にずらして、全体を千鳥配列としてもよい。なお、溝深さは、第1実施形態で述べたように、高さ位置によらず一定としてもよいが、高さ位置に応じて伝熱量と強度とを考慮して連続的または段階的に変更してもよい。
【0026】
なお、上記の実施形態1および2では、鋳型の材質として銅または銅合金のみ、鋳造される材料として鋼のみについて説明したが、本発明はこれらに限られるものではなく、目的に応じて各種金属を適宜選択できるものである。
【0027】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、図1の構成を有する鋳型において、モールドチューブ1に形成する縦溝4の幅、深さ、本数と、ウォータジャケット2に取り付けるライナプレート5の厚みを種々変更した場合における冷却水通路3水平断面積および冷却水通路3水平断面平均の冷却水流速(以下、単に「冷却水流速」という。)を計算した。ここに、チューブ1の外壁面にライナプレート5を取り付けない部位の冷却水通路3の幅(チューブ1とウォータジャケット2の隙間;面間距離GL)は3.9mm(一定)とし、冷却水流量を1.7m3/min(一定)とした。また、縦溝4加工範囲Aをチューブ1上端から35〜250mmの範囲(一定)とした(図2、3参照)。計算結果を表1に示す。No.1は溝4を形成せず、ライナプレート5を取り付けない従来例であり、部位UおよびBにおける冷却水流速はともに11.8m/sである。一方、No.9は縦溝4のみを形成し、ライナプレート5を取り付けない比較例であり、縦溝4を形成した部位Uにおける冷却水流速は、縦溝4を形成しない部位Lにおける冷却水流速より大きく低下しており、メニスカスレベル近傍を含む部位Uにおいて十分な冷却能力が得られない。これに対し、No.2〜8は、縦溝4を形成するとともにライナプレート5を取り付けた本発明例である。No.2、3では、ライナプレート5を取り付けることにより、部位Uにおける面間距離GUは部位Lにおける面間距離GLより短くなっている。その結果、部位Uにおける冷却水流速は、部位Lにおける冷却水流速より依然として少し低いものの、No.9(比較例)ほど大きく低下しないため、縦溝4形成による冷却水との接触面積の増大効果によりメニスカスレベル近傍を含む部位Uにおいて十分な冷却効果が得られる。また、No.4〜8の計算結果から明らかなように、溝幅、溝深さ、溝本数の組み合わせを適宜調整することにより、縦溝4を形成しかつライナプレート5を取り付けた部位Uの冷却水通路3の水平断面積を、溝4を形成せずライナプレート5を取り付けない部位Lの冷却水通路3の水平断面積に比較して、容易に同等または小さくできる。その結果、部位Uの冷却水流速を部位Lの冷却水流速と比較して同等または大きくでき、縦溝4形成による冷却水との接触面積の増大とあいまって、メニスカスレベル近傍を含む部位Uにおいてさらに高い冷却能力が得られる。なお、No.5、8において、部位Uの冷却水流速は部位Lの冷却水流速の約1.4倍と高く、冷却水の圧力損失は流速の二乗に比例して増大するため、この部位Uにおける冷却水の圧力損失は従来例(No.1)に対して約1.9倍となるが、部位Uの範囲をチューブ1全長の一部に限定しているため、全体の圧力損失はさほど上昇せず問題とならない。
【0028】
【表1】
Figure 0003930761
【0029】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明により、連続鋳造におけるモールドチューブの負のテーパ(熱変形)を簡易な手段で効果的に防止することができる。これにより、鋳型と鋳片との密着性が向上し、高速鋳造時においても鋳型内で健全な凝固が促進され、菱形変形やブレークアウトを発生させることなく、安定操業が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に係る、曲げ形ビレット連続鋳造機用のチューブ方式鋳型の全体を示す垂直断面図である。
【図2】第1実施形態における、モールドチューブとウォータジャケットの組み合わせ部分のみを示す図であり、(a)は垂直断面図、(b)はB―B線部分断面図、(c)はA−A線断面図である。
【図3】第1実施形態における、モールドチューブのみを示す図であり、(a)は垂直断面図、(b)はA−A線断面図である。
【図4】第1実施形態における、ウォータジャケットのみを示す図であり、(a)は垂直断面図、(b)はA−A線断面図である。
【図5】第2実施形態における、チューブとウォータジャケットの組み合わせ部分の一部を示す図であり、(a)は垂直部分断面図、(b)はA−A線矢視図である。
【図6】従来技術1のスラブ連続鋳造機(ブルーム連続鋳造機)用鋳型の垂直部分断面図であり、(a)はスリット内にスペーサを設けない例、(b)はスリット内にスペーサを設けた例である。
【符号の説明】
1…モールドチューブ
1a…四辺部
1c…コーナ部
1s…外壁面
2…ウォータジャケット
2a…四辺部
2c…コーナ部
3…冷却水通路
4…縦溝
4a…溝なし部分
5…ライナプレート
5b…下端部
6…ボルト
6…窪み
U…縦溝4を設けた部位
L…縦溝4を設けない部位

Claims (3)

  1. 主断面が矩形のモールドチューブと、このモールドチューブの外壁面を取り囲むウォータジャケットとを備えた連続鋳造用鋳型において、
    前記モールドチューブのコーナ部を除く四辺部の外壁面であって、前記モールドチューブの上端から下方へ向かう10〜400mmの範囲内に、前記モールドチューブの長手方向に複数に分割した縦溝を、前記モールドチューブの周方向に複数本設けたことを特徴とするチューブ方式連続鋳造用鋳型。
  2. 前記縦溝が設けられた部位における前記モールドチューブと前記ウォータジャケットとの間に形成された冷却水通路の水平断面積が、前記縦溝が設けられていない部位における前記冷却水通路の水平断面積と比較して同等ないし小さい請求項に記載のチューブ方式連続鋳造用鋳型。
  3. 前記縦溝の深さが、長手方向で変化する請求項1または2に記載のチューブ方式連続鋳造用鋳型。
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