JP6015914B2 - ビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法 - Google Patents

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本発明は、H型断面形状をなすビームブランク鋳造鋳片を連続鋳造するのに用いられる連続鋳造用鋳型の設計方法に関する。
鋼の連続鋳造においては、鋳造が進むにつれて鋳造鋳片の温度が低下し、さらには、相変態が起こるため、該鋳造鋳片の収縮は避けられないものとなっている。
このうち、とくに鋳型(以下、モールドという)内では、モールド壁面と鋳造鋳片との接触により、その相互間で熱の受け渡し(伝熱による抜熱)が行われており、通常、該相互間に隙間(エアギャップ)が生じて熱の受け渡しが阻害されないように、モールド壁面には、鋳造鋳片の凝固収縮量に合わせてモールド断面が鋳造鋳片の引き抜き方向に沿って小さくなるようにテーパーが付与されている。
一方、モールド内の鋳造鋳片(凝固シェル)は、薄肉であって静鉄圧により内圧を受けると共に、高温であるが故にクリープ変形(バルジング変形)を起こす。
このため、該鋳造鋳片は、モールドにテーパーが付与されていなくてもモールド壁面に押し付けられる方向へ変形するのが普通である。
しかし、鋳造鋳片のコーナー部近傍等、剛性の高い部位では、上記の変形が起こり難く、テーパーが適切でない場合、局所的にエアギャップが形成され、抜熱が阻害されるために凝固遅れを起こすことがある。
上記のような凝固遅れは、凝固界面に内部割れを誘発する。そして、該内部割れが、さらに、凝固界面から表面にまで伝播すると、鋳造鋳片の内部溶鋼が外部へ流出する、所謂ブリードやブレイクアウト等の操業トラブルに発展する可能性がある。
従って、連続鋳造用鋳型においては、適切なテーパーを設定することが肝要となる。この点に関して、特許文献1には、凝固したシェル厚の均一性を確保するとともに、最小シェル厚を、ブレイクアウト限界のシェル厚み以上となるように鋳型の鋳造方向の傾きまた曲率を設定するようにした方法が開示されている。
ところで、H型鋼の素材として利用されるビームブランクの連続鋳造においては、以下に述べるような問題があった。
すなわち、前記ビームブランクは、フランジ、ウエブ、チップを備えており、もともと剛性が高い形状を有している。このため、バルジング変形により鋳造鋳片の表面がスラブやブルームに比べてモールド壁面に押し付けられ難い。
また、ウエブやフランジ等については、ある程度のバルジング変形が見込めるものの、剛性の高いチップが同一面内に混在しているため、該チップ部における凝固遅れが避けられない。
このため、ビームブランクの連続鋳造に用いるモールドでは、各部位毎に異なるテーパーを付与することによって対処していたが、その改善度合いは十分でなく、未だ改善の余地が残されていた。
なお、特許文献2には、ビームブランク鋳片を連続鋳造する連続鋳造用鋳型に関し、冷却用水路の形状、配置を適切に設定することにより、鋳型の鋳造部内面の均一冷却を行う技術が提案されているものの、かかる技術においては、鋳型の構造が複雑になり、設備コストの上昇が避けられないものとなっていた。
特開2006―346735号公報
特開平11―226701号公報
そこで、本発明の目的は、ビームブランク鋳造鋳片を連続鋳造するのに用いる鋳型について、該鋳型の壁部に適切なテーパーを付与することで、断面の全域においてほぼ均一な厚さになる初期凝固シェルを形成し、ブレイクアウトやブリード等の操業トラブルの防止により縦割れ等の品質欠陥を回避することを可能としたビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法を提案するところにある。
本発明は、H型の断面形状をなす鋳造空間を形成する壁部を備えたビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法において、前記ビームブランク鋳造鋳片鋳造用鋳型に設定されたテーパー、前記壁部乃至ビームブランク鋳造鋳片に至るまでの領域の全熱抵抗を考慮して、該ビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型内の鋳造方向位置毎の該ビームブランク鋳造鋳片の凝固収縮量を求め、この凝固収縮量に従って該ビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型出側での凝固遅れ率を算出し、該凝固遅れ率が予め設定された閾値に達したときのテーパーを最適テーパーとすることを特徴とするビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法である。
上記の構成からなるビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法において、
(1)前記全熱抵抗として、前記壁部内を循環する冷却水による抜熱抵抗と、前記壁部の熱抵抗(鋳型銅板内熱抵抗、めっき熱抵抗)、界面熱抵抗(界面抵抗とは、モールドパウダーとモールドとの境界における熱抵抗をいうものとする)、モールドパウダーによる熱抵抗、エアギャップによる熱抵抗を総和したものを用いること、
(2)前記エアギャップによる熱抵抗として、輻射伝熱による熱抵抗を用いること、
(3)前記熱収縮量を、前記ビームブランク鋳造鋳片をモデル化して、そのチップ、フランジの2点を伝熱・凝固解析して得られたものとすること、
が、本発明の課題を解決するための具体的手段として好ましい。本発明において付与するテーパーは、1段テーパー、2段テーパーあるいはマルチテーパー等何れでも構わないものとする。
上記の構成からなるビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法によれば、該鋳型の鋳造空間を形成する壁部のテーパーを、モールドの壁部乃至ビームブランク鋳造鋳片に至るまでの全熱抵抗を考慮に入れて求めた凝固収縮量に基づいて決定するようにしたため、バルジングが期待できないチップが存在していても、フランジやウエブ等の他の領域とほぼ同等の厚さになる初期凝固シェルを形成することが可能となり、これにより、ブレイクアウトやブリード等の操業トラブルが回避される。
また、本発明のビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法によれば、凝固収縮量を求める際の全熱抵抗として、前記壁部内を循環する冷却水による抜熱抵抗と、前記壁部の熱抵抗、界面熱抵抗、モールドパウダーによる熱抵抗、エアギャップによる熱抵抗、ビームブランク鋳造鋳片の熱抵抗、溶鋼の熱抵抗を総和したものを用い、これにより、凝固収縮量を得るようにしたため、該凝固収縮量に適合するテーパーの付与により、鋳造鋳片(凝固シェル)とモールドの壁部とは完全接触することになる。
また、本発明によれば、前記エアギャップによる熱抵抗として、輻射伝熱による熱抵抗を用いるようにしたため、鋳造鋳片の凝固収縮に見合ったテーパーが付与できる。
さらに、本発明にかかるビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法によれば、前記熱収縮量として、前記ビームブランク鋳造鋳片をモデル化して、そのチップ、フランジの2点を伝熱・凝固解析して得られたものを用いることとしたため、比較的簡易な計算でテーパーを決定することができる。
ビームブランク鋳造鋳片の凝固収縮量を求めるのに使用したモデルを示した図である。 最適テーパー率を決定するための計算フローを示した図である。 連続鋳造用鋳型(モールド)の要部断面を模式的に示した図である。 ビームブランクの断面形状を示した図である。 ビームブランク鋳造鋳片の鋳造に使用する鋳型を示した図である。 チップの凝固遅れ率、テーパー率、チップの最大エアギャップ量の変化状況を示したグラフである。 割れ指数とテーパー率の関係を示したグラフである。 凝固シェル厚さとメニスカスからの距離の関係を示したグラフである。 凝固シェル厚さとメニスカスからの距離の関係を示したグラフである。 凝固シェル厚さとメニスカスからの距離の関係を示したグラフである。
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は、連続鋳造用鋳型のテーパー(テーパー率)を決定するに当たってビームブランク鋳造鋳片の凝固収縮量を求めるのに使用したモデル(複数の要素に分割されたメッシュモデル等が適用される)を示した図である。
図1における符号1は、ウエブ、2は、ウエブ1を左右につなぐフランジ、3はフランジ2の幅端に位置するチップである。
かかるモデルを用いて鋳造すべきビームブランク鋳造鋳片の凝固収縮量を求めるには、モールドの壁部乃至ビームブランク鋳造鋳片(鋳型内の凝固シェル)の相互間における熱抵抗を考慮に入れて伝熱・凝固解析を実施する。
この際、簡易計算を行うため、フランジ2、チップ3の2点についての伝熱・凝固解析を実施するが、全体をモデル化して伝熱・凝固解析を行うようにしてもよい。
伝熱・凝固解析のための計算フローの一例を図2に示す。伝熱・凝固解析を実施するに当たっては、まず、最初にスタートのテーパー(テーパー率(%/m))を設定するとともに、計算に必要な物性値を与える。
ここで、計算に必要な物性値としては、モールドパウダーの熱伝達率、モールドの熱伝導率、めっき層の熱伝導率、水の熱伝達率、鋳造鋳片の界面熱抵抗があり、このうち、モールドパウダーの熱伝達率は、実験で計測したものを用いるか、または、Millsによる計算式λ=1.26−1.243X/Y(Xは、CaO、NaО、MgО、MnO中の酸素モル濃度の総和、Yは、SiO、Al中のSiおよびAlのモル濃度の総和。)で得られた値を用いることができる。
また、モールドおよびめっき層の熱伝導率については、材料の物性値として文献等において提供されている値を用い、水の熱伝達率は、円管内の流速により決定することができる。例えば、下記式で表される。
Figure 0006015914
ここに、上記Nuはヌセルト数
Figure 0006015914
で表され、hは熱伝達率、Lは円管の直径、λは流体の熱伝導率、Prはプラントル数(物性値)、fは管摩擦係数(Re>10であれば、f=0.079/Re0.25を用いることができる。)。
また、鋳造鋳片の界面熱抵抗は、モールドに深さの異なる2点において熱電対を設置し熱流束を測定し、この熱流束から全体の熱抵抗値と鋳造鋳片の界面熱抵抗値を除いた熱抵抗値を比較し、不足分を鋳造鋳片の界面熱抵抗値として用いる。熱流束は、深さの異なる2点の温度差とモールド内の熱伝導率と深さ変化量を乗算して求める。このとき、モールドパウダーの影響を受けてしまうと誤差が大きくなるため、影響を最も受けないメニスカス直下で温度差を測定するのが好ましい。
そして、次に、上記テーパー(テーパー率)、物性値に基づき、抜熱の伝熱計算、凝固シェルのシェル厚の計算、鋳造鋳片の凝固収縮量の計算を順次行う。これらの計算(抜熱伝熱計算〜凝固収縮量の計算)は、メニスカスからモールドの下面(出側)に至るまで繰り返し行われ、これによりモールド内の鋳造方向位置毎の凝固収縮量を求める。そして、この結果に基づいて、鋳造鋳型出側での凝固遅れ率を算出する。
ここに凝固遅れ率(凝固遅れ度)とは、同一断面において発生する局部的な凝固遅れを数値化したものであって、割れの発生が懸念される部分の厚さをZ(図1参照)、割れの発生がない部位の厚さをY(図1参照)として、凝固遅れ率=(Y−Z)/Z×100(%)と定義され、この凝固遅れ率を10%以下に管理することにより割れの発生を回避することができる(割れの懸念がない値)ので、算出された凝固遅れ率が10%であれば、モールドのテーパーをスタート時点で設定した値よりも大きい値にして再度最初から計算しなおす。そして、この計算を繰り返し、凝固遅れ率が10%以下になったときのテーパーを最適テーパー率(必要最小テーパー率)とする。
図2の計算フローにおける抜熱伝熱計算は以下の要領で行う。連続鋳造に使用するモールドは、図3にその要部断面を模式的に示す如く、鋳造空間を形成する壁部の内部に、冷却水が循環している。このため、上記の伝熱・凝固解析においては、冷却水⇒モールドの壁部(銅板内熱抵抗、めっき熱抵抗)⇒モールドパウダー⇒鋳造鋳片(凝固シェル)⇒溶鋼の順に熱抵抗値(界面の熱伝達、物体の熱伝導の逆数)を与える。
また、溶鋼の熱伝導率は、鋳型出側における凝固シェル厚の実績から固体状態の2倍で与え、冷却水温度は、実操業で使用される温度を基にして設定し、冷却水側で温度を固定して非定常伝熱計算を実施する。
なお、伝熱・凝固解析の実施において溶鋼の温度が凝固温度を下回った場合には、凝固したものとして取り扱うものとする。
凝固シェルのシェル厚は、熱伝導計算を実施し、溶鋼温度が凝固温度以下に下回った場合シェル厚として取り扱う。ただし鋳片においては液相線温度(TLL)において凝固をはじめるが,固相線温度(TSL)の温度まで温度が低下しながら凝固が進む形をとる。このうち液相線温度においては液中に僅かな結晶が存在するのみで、強度を持った固体の状態とはなっていない。
また、固相線温度においては完全に固体となっている状態であるため、液相線温度(TLL)と固相線温度(TSL)の間で強度を持つ固体になると考えられる。シェル厚の計算においては80%が固体となった状態、すなわち温度がTLL−(TLL−TSL)×0.8において固体として取り扱い、シェル厚として計算する。
実際の液相線温度(TLL)、固相線温度(TSL)については溶鋼の成分により決定される値であり、状態図を用いて推定するか、特開平7−331385号公報に開示されているような簡便な推定式を用いてもよい。
図2の計算フローにおける凝固収縮量計算は以下のように行う。鋳造鋳片の変形(収縮変形)は、温度毎に与えた密度より線膨張係率αを下記式によって求め、該線膨張率αを要素毎に与えて、その積分を鋳造鋳片全体の凝固収縮量とする。
ここに、要素とは、メッシュによって区分された微細領域であり、そのサイズは、0.1〜11.0mm程度に設定される。
α=1/3・β=1/V・dV/dT=ρ・d(1/ρ)/dT
β:体積膨張率 (―)
V:体積 (m
ρ:密度 (kg/m
d:微分記号 (―)
モールドに予め付与されているテーパーが、上記において求められた凝固収縮量よりも小さい場合には、モールド壁面と鋳造鋳片との間に隙間が生じていることになるので、この隙間には、パウダーが充填されるものとし、これにより、熱抵抗値を変化させて伝熱計算を行う。
モールドパウダーの厚さ当たりの熱抵抗は、実験により求められた値を使用する。そして、該モールドパウダーの熱抵抗値は、上記の収縮量を求める際のモールドパウダーの熱抵抗値として伝熱計算に常時反映させる。
ただし、凝固収縮量よりもモールドにおいて設定されているテーパーが大きい場合には、モールド壁面によって鋳造鋳片が押されていることになるので、この場合、隙間量がマイナスにならないように鋳造鋳片が収縮変形していくものとして計算する。
隙間が一定の値を超え、その隙間をパウダーで充填することができない場合(ここでいう一定の値とは、テーパーを変更して連続鋳造を実施した際の値を基にして決定されるものであり、パウダーの性状や鋳型の形状に依存する)、モールド壁面と鋳造鋳片との間には、鋳造鋳片とモールドの壁部とは完全に非接触の状態になるので、この場合には、輻射による伝熱を考慮する。
具体的には、下記の輻射伝熱式によって得られる値を、熱抵抗の値に置き換えて用いる。
Q=εσ(T −T
ここに、ε:ボルツマン係数 (4.88×10−8kcal/mHrK
σ:輻射率 (―)
:鋳造鋳片の温度 (K)
:モールド表面温度(K)
バルジングの変形が期待できないチップ3とその周辺部分であるフランジ2の2点においてモデル化を図り、簡易計算によりビームブランク鋳造鋳片の凝固収縮量を求める場合に、フランジ、ウエブのテーパーについては、バルジングの発生が期待できることから、厳密にテーパーを設定する必要はなく、0.5〜1.0%程度の任意のテーパーを設定する。
フランジン2の外端面とモールドの壁部との間に形成される隙間tは、チップ3の凝固収縮量から求め、チップ3の外端面からモールドの壁部との間に形成される隙間tは、フランジ2の凝固収縮量から求める(図1参照)。
また、モールドの壁面に局所的に摩耗が認められる場合には、ビームブランク鋳造鋳片がモールド内で拘束されていると推定されるので、この場合には、フィレット(フランジとウエブの接合部)4からフランジの外側端に至るまでの寸法βxを補正値としてビームブランク鋳造鋳片の凝固収縮にかかわる長さを補正する(図1参照)。
凝固収縮にかかわる長さを補正するとは、具体的には、チップ部で計算された凝固収縮率を、両フランジ間の距離全体で収縮が発生しているとして求めるではなく、拘束を受けるフィレットとフランジ間の距離のみで収縮が発生しているとして補正することをいうものとする。
本発明においては、凝固収縮量に基づいて鋳型出側の凝固遅れ率を算出し、得られた凝固遅れ率が10%を超える場合には、鋳型のテーパーを変更して、最初から計算を実行し、凝固遅れ率が10%以下になったときに計算を終了するものであって、このときのテーパー率が最も適切なテーパー率となる。
すなわち、これよりもテーパー率が大きくなると凝固遅れはより抑制される傾向になるが、鋳造鋳片とモールドとの距離が小さくなるために鋳造鋳片に過大な応力を発生させ、ときには鋳造鋳片を破損させる場合がある。閾値とする凝固遅れ率の好適範囲としては凝固遅れ率を10%以下、7%以上とするのが好ましく、より好ましくは10%以下、9%以上とするのがよい。
ウエブ1の厚さが140mm、フランジ2の幅が410mm、チップ3の厚さ78mmになる図4に示した形状を有するビームブランクを、下記の条件で鋳造すべく、図5に示す如き鋳造空間Mを有する連続鋳造用鋳型(モールド)につき、そのチップ3に対応する壁部のテーパーTの適正化を図った。
なお、ウエブ1に対応する部位のテーパーWは、テーパー率にして0.91%/m、フランジ2に対応する部位のテーパーFは、テーパー率にして0.46%/mで固定することとした(従来の鋳型で設定されているテーパー率と同じ値)。ここに、テーパー率とは、鋳型開口部寸法の単位長さ当たりの減少率で表示した値をいうものとする。
ウエブ2に対応する部位のテーパーW、フランジ1に対応する部位のテーパーFを固定した理由は、これらの部位は、テーパー率を上記の値に設定することによって、とくに問題なしに鋳造することができるからである。
テーパーの適正化のための具体的な計算を実施するための条件としては、
鋳込み速度:1m/min、
モールド内溶鋼加熱度:12℃、
冷却水温度:40℃、
鋳型銅板熱伝導率:310kcal/mHr℃、
パウダー熱伝導率:1.46kcal/mHr℃、
要素サイズ:1mm、に設定し、その他の条件として、界面熱抵抗は、4.3×10−4Hr℃/kcalに、また、エアギャップによる熱抵抗(輻射伝熱による熱抵抗)は、鋳造鋳片の表面温度900℃に対して、鋳型表面温度300℃の場合、輻射率0.9として熱抵抗値7.7×10−3Hr℃/kcalに設定した。
上記の条件を基にして、図2に示した如き計算フローに従って抜熱の伝熱計算、シェル厚計算、凝固収縮量の計算を実施し、鋳型内鋳込み方向位置毎のチップ3の凝固収縮量を求めるとともに、この凝固収縮量に基づいて鋳型出側における凝固遅れ率を算出したところ図6に示すような結果を得た。なお、図6におけるエアーギャップ量は、解析で得られた最大のエアギャップ量を示したものであり、また、部分接触を示している箇所は、一度発生したエアギャップが鋳造の進行に伴って再度接触したことを示している。
これにより、チップに対応するモールドの壁部のテーパーTを、テーパー率で0.7%/mよりも大きくすることで、連続鋳造に際して凝固シェルがモールドの壁部に完全に接触し、ほぼ均一な厚さになることが明らかとなった。
図6は、モールドの壁部(チップに対応する部位)のテーパーの変更に伴う凝固遅れ率の変化、およびエアギャップ量の変化状況を示したグラフである。
上記図6に基づき、凝固遅れ率(凝固遅れ度)を10%以下に管理(割れの懸念がない値)すべく、連続鋳造鋳型のチップ部に対応する部位のテーパーTを、テーパー率で0.8%/mに設定して、連続鋳造を行い、得られたビームブランク鋳造鋳片の割れ指数を調査した。
その結果、図7に示すように、チップ3に対応する部位のテーパー率を0.28%/mとした鋳型(従来鋳型)を用いて連続鋳造を行った場合を1とすると、テーパー率を0.56%/mとした連続鋳造用鋳型(比較例)で鋳造した場合では、0.6と改善される傾向にはあるものの、本発明によってテーパーを設定して連続鋳造を行った場合には、0.2以下になることが明らかとなり、ビームブランク鋳造鋳片の品質が著しく改善されることが確認された。
また、テーパー率を0.28%/mとした場合と、0.56%/mとした場合および0.8%/mとした場合につき、凝固シェルの厚さとメニスカスからの距離との関係を調べた結果を、図8〜10に示す。図8〜10の比較から明らかなように、本発明に従ってテーパーを設定することにより、凝固シェルがほぼ均一に形成されることが分かる。
本発明によれば、連続鋳造に際して断面の全域においてほぼ均一な厚さの凝固シェルを形成することが可能となり、ブレイクアウトやブリード等の操業トラブルが回避される。
また、本発明によれば、縦割れ等の品質欠陥の軽減されたビームブランク鋳造鋳片を安定的に連続鋳造することができる。
1 フランジ
2 ウエブ
3 チップ

Claims (4)

  1. H型の断面形状をなす鋳造空間を形成する壁部を備えたビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法において、
    前記ビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型に設定されたテーパー、前記壁部乃至ビームブランク鋳造鋳片に至るまでの領域の全熱抵抗を考慮して、該ビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型内の鋳造方向位置毎の該ビームブランク鋳造鋳片の凝固収縮量を求め、この凝固収縮量に従って該ビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型出側での凝固遅れ率を算出し、該凝固遅れ率が予め設定された閾値に達したときのテーパーを最適テーパーとすることを特徴とするビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法。
  2. 前記全熱抵抗は、前記壁部内を循環する冷却水による抜熱抵抗と、前記壁部の熱抵抗、界面熱抵抗、モールドパウダーによる熱抵抗、エアギャップによる熱抵抗、ビームブランク鋳造鋳片の熱抵抗、溶鋼の熱抵抗を総和したものであることを特徴とする請求項1に記載したビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法。
  3. 前記エアギャップによる熱抵抗が、輻射伝熱による熱抵抗であることを特徴とする請求項2に記載したビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法。
  4. 前記凝固収縮量は、前記ビームブランク鋳造鋳片をモデル化して、そのチップ、フランジの2点につき、伝熱・凝固解析することによって得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載したビームブランク鋳造鋳片連続鋳造用鋳型の設計方法。
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