JP2011076991A - レーザー照射による加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー照射による加工方法において、加工効率及び安定性が高く、しかも安全性に優れた新規な方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基材層2と加工材層1とを有する多層構造体(ベースフィルムと金属層とからなるプリント配線基板、基材層と触媒インク層とからなる導電性部材形成用積層材など)において、該加工材層1にレーザー光5を、集光レンズ6等を通して照射するなどの方法により加工して所望のパターンを形成する際に、ステージ4上に水(イオン交換水3)などの冷媒を置き、前記基材層側に接触させて冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材層と加工材層とを有する多層構造体において、該加工材層にレーザーを照射して加工する方法に関する。詳しくは、本発明は、プリント配線基板、電磁波遮蔽材、透明電極などの種々の導電性部材をレーザー照射により加工して製造するにあたり、新規な冷却方法を含む加工方法に関する。
プリント配線基板は、ベースフィルムに配線パターン層が形成された構造を有する。その製造方法としては、まずベースフィルム上にラミネーティング又は無電解・電解めっきなどにより金属層(銅箔)を形成し、次いで該金属層上にフォトレジストを塗布し、その上から露光してパターニングしたのち、これをエッチングマスクとして使用して金属層をエッチングする。その後、残ったフォトレジストを除去することにより、配線パターンが形成される。
従来の方法は、フォトレジストの塗布工程、露光工程、現像工程、エッチング工程など多段階を要し、コストが増加する問題点がある。また、従来の写真/エッチング工程では、数百μmの波長を有する光源を使用するため、微細ピッチを有する微細配線パターンを形成しにくい問題点がある。
この問題を解決し、生産工程を簡略化してコストを節減すると共に、微細ピッチを有する微細パターンを形成することができる方法として、金属層にレーザーを照射して配線パターンに加工する工程を含む方法が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、レーザーを金属層へ照射すると、その熱エネルギーが照射位置の周囲に伝達され、周辺の金属層がエッチングされたり、ベースフィルムが変形したりする場合がある。そこで、レーザー照射の間、金属層とレーザーとが触れる部分の周囲に冷媒を供給してこうした熱エネルギーが周辺に伝達されることを防止することも提案されている(特許文献1)。ここで使用される冷媒としては、メチルエーテル、塩化エチル、ギ酸メチル、イソブタン、ジクロロエチレン、塩化メチレン、エチルエーテル、アンモニア、二酸化炭素、亜硫酸ガス、塩化メチル、及びCFC系冷媒(フレオン)が挙げられている。
しかしながら、冷媒がレーザー照射側にあると、冷媒がレーザー加工による熱を奪うため、加工に必要なエネルギーが多くなりコストが増加する傾向にある。また、冷媒が透明媒質である場合、その物質の屈折率と厚みでレーザーの集光位置が変化するため安定的な継続加工ができなくなる恐れがある。また、冷媒として有機溶剤を用いると、直接レーザーが当たった場合に発火したり、あるいは蒸発によって人体へ影響を与えたりする恐れがある。さらに、冷媒が金属層に触れるため、冷媒中に金属が溶け出したり反応したりする可能性もある。
したがって、レーザー照射による加工において、より経済的で安全性が高く且つ安定的な実施を可能にする有効な冷却方法が求められている。
レーザー照射により微細なパターンを形成する方法は、プリント配線基板の配線パターン形成に限らず、例えば、触媒インクを用いて基材上に導電性細線を形成して電磁遮蔽機能を有する導電性部材等を製造する方法など、できるだけ微細なパターンを高い精度で正確且つ高密度に形成することが求められる方法などに用いることができる。
このように、レーザー照射による加工方法は今後、プリント配線基板の製造だけでなく種々の分野における広範囲な利用が期待されている。そして、レーザー照射に伴う冷却の必要性、及び従来の冷却方法の課題もまた、プリント配線基板の製造におけると同様に、解決が大いに望まれている。
特開2005−268797号公報
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、レーザー照射による加工方法において、加工効率及び安定性が高く、しかも安全性に優れた新規な方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、以下に示すレーザー照射による加工方法を提供する。
1)基材層と加工材層とを有する多層構造体における該加工材層をレーザー照射により加工する工程を含む加工方法において、前記基材層側に冷媒を接触させて冷却する冷却工程を含むことを特徴とする、レーザー照射による加工方法。
2)前記基材がプリント配線基板のベースフィルムであり、前記加工材層が金属層であり、前記レーザー照射による加工が配線パターンの形成であることを特徴とする、請求項1記載の加工方法。
3)前記金属層が銅である、請求項2記載の加工方法。
4)前記ベースフィルムがポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリイミドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2記載の加工方法。
5)前記加工材層が、触媒インクからなる層である、請求項1記載の加工方法。
6)前記触媒インクが触媒成分(フィラー);20〜50重量%、樹脂;5〜15重量%、溶剤;40〜60重量%を含むことを特徴とする、請求項5記載の加工方法。
7)前記冷媒が水であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の加工方法。
8)前記レーザーが、Nd:YAG、Nd:YVO4、ArF、XeF、XeCl、KrF及びCO2を光源とするものである、請求項1〜7のいずれかに記載の加工方法。
本発明の加工方法は、基材層上に形成された加工材層から不要な部分をレーザー照射によって剥離・除去し、所望のパターンに加工材層を残す方法であり、加工材層がレーザー照射により高温になったり、加工材層の剥離・除去後にレーザーが直接基材層に照射されたりして基材層が損傷を受けるのを防ぐ方法として有効な冷却工程を含んでいる。
本発明の方法によれば、表面(加工材層側)のレーザー照射周辺部に冷媒を接触させる従来方法と異なり、裏面(基材層側)に冷媒を接触させて冷却するため、冷媒がレーザーの熱エネルギーを奪うことがなく加工効率が高い。また、レーザーの集光位置が冷媒により変化することが無く、安定的な加工ができる。また、直接レーザーが冷媒に当たらないため発火したり、蒸発によって人体へ影響を与えたりする恐れがない。さらに、冷媒が加工材層(金属層)に触れないため、冷媒中に金属が溶け出したり反応したりする可能性もない。
したがって、レーザー照射による加工において、より経済的で安全性が高く且つ安定的な実施が可能となる。
本発明によるレーザー照射による加工方法の概念断面図である。
1 加工材層
2 基材層
3 イオン交換水
4 ステージ
5 レーザー光
6 集光レンズ
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のレーザー照射による加工方法は、基材層と加工材層とを有する多層構造体において、該加工材層をレーザー照射により加工する工程を含む方法である。
1.多層構造体
本発明の加工方法の対象となる多層構造体は、基材層と加工材層とを有するものであれば特に限定されない。ここで、加工材層とは、レーザー照射によりパターン形成等の加工を施す対象となる材料からなる層をいう。基材層とは、前記加工材層を支持する層をいう。
このような多層構造体としては、プリント配線基板の製造に用いられるベースフィルム(基材層)と金属層(加工材層)とからなる積層体や、種々の導電性部材の製造に用いられる基材層と触媒インク層(加工材層)とからなる積層体が挙げられる。
(1)基材層
プリント配線基板の製造に用いられるベースフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリイミド(PI)フィルム等が用いられる。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等が挙げられる。
触媒インクを用いた導電性部材の製造に用いられる基材層としては、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂(具体的にはポリエチレンテレフタレート)、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、フッ素樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、液晶ポリマー(具体的には芳香族ポリエステル系樹脂)等から選択される1種又は2種以上の絶縁性樹脂を用いることができる。かかる絶縁性樹脂は熱硬化性樹脂や感光性樹脂であってもよい。これらのうちで特に好ましいものは、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート)である。
基材層の厚みは特に限定されず用途に応じて適宜設定することができるが、好ましくは5〜150μm、より好ましくは25〜125μm、特に好ましくは25〜100μmである。
(2)加工材層
本発明の加工材層としては、レーザー照射で加工可能な材質からなる層であれば特に制限されないが、好ましくはプリント配線基板等における銅などの金属層や、触媒インク層が挙げられる。
プリント配線基板の製造に用いられる加工材層は金属からなる層(金属層)であり、好ましくは銅、銀、金、白金、ニッケル、錫、インジウム、コバルト、パラジウム及びそれらを含む合金からなり、より好ましくは銅(銅箔)である。前記金属層は、ベースフィルム上に1〜500μm程度、より好ましくは3〜50μm程度の厚みで形成される。金属層の形成方法としては、キャスティング、ラミネーティング、電気めっき、無電解めっき、スパッタリング等の方法が挙げられる。
触媒インクを用いた導電性部材の製造方法としては、触媒インク層を形成し、次いで該触媒インク層にレーザー照射を行ってパターン形成した後、電気めっき、無電解めっき等により同パターンを有する金属層を形成する方法、及び触媒インク層を形成し、次いでその表面に電気めっき、無電解めっき等により金属層を形成した後、該金属層にレーザー照射を行ってパターン形成する方法が挙げられる。したがって、触媒インク層にレーザー照射を行ってパターン形成をする場合は触媒インク層が加工材層となり、触媒インク層上に金属層を形成したのち該金属層にレーザー照射を行ってパターン形成をする場合は該金属層が加工材層となる。
触媒インクは通常、触媒成分(フィラー)、バインダー樹脂及び溶剤からなる。触媒成分としては、Pd、Au、Ag、Pt等の貴金属コロイド粒子、Cu、Ni、Fe、Co等の各種金属微粒子、及びこれらの塩化物、硫酸塩、硝酸塩、アンモニア塩などを用いることができる。特に触媒能と経済性のバランスの点でPd(パラジウム)が好ましい。
バインダー樹脂は、触媒インクに適当な粘性を与え、触媒−基材層間の結合力を向上させる目的で配合される。例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂物、酢酸ビニル、塩化ビニル、PVA、PVB等のビニル系樹脂、エチルセルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは、PVB等のビニル系樹脂、エチルセルロース系樹脂である。
溶剤は、バインダー樹脂を溶解し、インクに流動性を与える目的で配合される。塗装方法に適した乾燥性を有する溶剤を一種あるいは二種以上適宜組み合わせて使用する。
例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコール、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコール類とその誘導体、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、イソホロン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ターピネオール、ソルベントナフサ等が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンである。
触媒インク全量に対する触媒成分の好ましい割合は20〜50重量%程度であり、バインダー樹脂の割合は5〜15重量%であり、溶剤は40〜60重量%である。前記触媒インク層は、基材層上に1〜500μm程度、より好ましくは1〜50μm程度の厚みで形成される。触媒インク層の形成方法としては、ロールコーター、バーコーター、フローティングナイフコーター、ダイコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ブレードコーター、スピンコーター等を用いたコーティング法、スプレー法、浸漬法、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等の公知の方法を用いることができる。
2.レーザー照射
本発明の対象となるレーザー照射による加工としては特に制限はないが、例えば加工材層を所望のパターンに加工するため、レーザーで所望のパターン以外の加工材層部分をエッチングして剥離・除去するパターン形成が挙げられる。
かかるレーザー照射による加工方法の一例としては、光源と、フライアイレンズと、所定形状を有する絞りと、コンデンサーレンズ及びプロジェクションレンズとを備えたレーザー発生露光装置を用いる方法が挙げられる。
光源(ソース)は、微細パターンを形成するため、波長が300〜550μm程度のものが好ましい。具体的には、Nd:YAG、Nd:YVO4等の固体レーザー、CO2、ArF、XeF、XeCl、KrF等の気体レーザー、EDFレーザー(ファイバーレーザー)等が挙げられる。これらのうちでより好ましいものは、Nd:YAG、Nd:YVO4、ArF、XeF、XeCl、KrF、及びCO2レーザーである。
多くの形態の小さいレンズからなるフライアイレンズは、レーザー光線の強度と分布を均一化するために、光源からレーザーが通過する位置に配置される。絞りは、レーザーの解像度を高めるため光線が通過する部分に配置される。こうした絞りは、二極型、四極型、環状型などがある。
光源から照射されるレーザーは、フライアイレンズにより平行光線に転換され、絞りにより部分的に制限される。
絞りを通過したレーザーは、次いでコンデンサーレンズを通過する。コンデンサーレンズは、光源から照射されるレーザーを所望の方向に集中させ、均一度を高めるために配置される。
ここでレーザー照射にマスクを使用する場合、コンデンサーレンズを通過したレーザーはマスクに照射される。マスクに到達したレーザーは回折され、プロジェクションレンズを通過して基材層上に形成された加工材層を露光する。一般に、プロジェクションレンズはマスクを透過してマスクパターンの形状を有するレーザーを加工材層上に縮小投影させる。
このような光源から発生したレーザーを、マスクを使用して加工材層へ照射しパターン形成する方法としては、前記多層構造体を支持する台座(ステージ)とマスクが停止した時間中レーザーを照射するステッパーを用いたステップアンドリピート、マスクとステージが互いに一定した速度差をもって反対方向へ移動しつつ露光するスキャナーを用いたステップアンドスキャンなどを使用することができる。
さらに、使用するマスクやレーザー装置をX−Yテーブルのようなものに載せて走査することもできる。この場合、走査はプログラムにより制御することができる。
また、レーザー照射に際してマスクを使用せずにパターン形成する方法としては、例えば、ガルバノミラーによりレーザー光を走査してパターン形成する方法、レーザー装置をX−Yテーブルのようなものに載せて走査する方法、加工物(前記多層構造体)を載せた台をX−Yテーブルのようなもので走査する方法などが挙げられる。これらの場合、走査はプログラムにより制御することができる。
また、マスクを使用せずにレーザー光を加工材層へ照射する場合、集光方法としては、集光レンズ(アクロマティックレンズ等)を使用して、一点に集光して照射する方法がある。この方法の利点としては、マスクを使用する場合と比較して、単位面積当たりのエネルギー密度を大きくすることができるため、小さなパワーのレーザー発振器であっても加工が可能になる点が挙げられる。この場合、レーザー発振器と集光レンズあるいは多層構造体を支持する台座をXYステージで走査しパターニングを行うか、あるいはガルバノミラーでレーザー光を走査してパターニングを行うことができる。
このような集光方法を用いる場合、加工材層の上側(レーザー照射側)に冷媒があると、集光時の焦点距離が変化し最適な加工が困難となることがあるが、本発明によれば裏面(基材層側)に冷媒を接触させて冷却するため、上記集光方法を用いて最適な加工が可能となる。
また、本発明では、レーザーから発生する熱エネルギーにより加工材層の下部に位置する基材層が損傷されることを最小限に止めるため、パルスタイプのレーザーを使用することもできるが、後述する本発明特有の冷却方法によれば、その高い冷却効果により基材層の損傷が格段に抑制されるため、パルスレーザーのパルス幅は100〜1ns程度で十分である。
パルスレーザーを用いる場合、そのパルスエネルギーは、レーザーの周波数(通常100Hz〜50kHz)及び出力エネルギー(1W〜100W)を調節して変更することができる。
3.冷却工程
本発明は、上記レーザー照射による加工方法において、多層構造体の基材層側に冷媒を接触させて冷却する冷却工程を含むことを特徴とする。
加工材層にレーザーを照射する場合、加工材層上のレーザー照射部分だけでなく、その周辺あるいは隣接部及び基材層にも熱エネルギーが伝達され、それにより周辺の加工材層が余分にエッチングされたり、基材層が損傷を受けたりする場合があった。これを防止するため、従来、加工材層上のレーザー照射部分周囲に冷媒を供給して冷却を行っていた(特許文献1参照)が、本発明ではかかる従来の冷却方法とは異なり、基材層側(基材層の裏面、すなわち基材層において加工材層が形成されていない面)に冷媒を接触させることにより、従来の冷却方法の課題(冷媒がレーザーの熱エネルギーを奪い加工に余計なエネルギーがかかる、レーザーの集光位置が冷媒により変化するため加工安定性が劣る、冷媒がレーザーで発火したり蒸発によって人体へ影響を及ぼしたりする、冷媒が加工材を溶かしたり加工材と反応したりする、など)が解決されることを見いだしたものである。
冷媒としては、水、液体窒素等が挙げられるが、好ましくは水であり、特に好ましくはイオン交換水である。冷却方法としては特に制限はなく、基材層側に冷媒を接触させる手段であればよい。例えば、ステージ(多層構造体の支持台)の表面に水を撒き、その上に多層構造体を、基材層側がステージ側に向くように設置する。水分量が十分であれば、水は毛細管現象により基材層のステージ側表面全体に広がる。ステージとしては、通常、ガラスのような平らな板などが使用されるが、水の供給方法、ステージの構成等によってはこれに限られない。
本発明の加工方法の一態様を、図を用いて説明する。図1中、1は加工材層、2は基材層、3はイオン交換水、4はステージ、5はレーザー光、6は集光レンズを表す。
本発明の加工方法によれば、まずステージ4上に適量のイオン交換水3を撒き、その上に多層構造体を、基材層2がステージ側に向くように設置する。一方、レーザー光5は集光レンズ6を通して集光され、加工材層1の上に照射される。これにより、加工材層のレーザー加工を効率よく適切に行うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3]
基材として、120mm×150mm×厚さ125μmのPENフィルム(帝人デュポン社製、商品名「テオネックスQ2270」)(実施例1)、厚さ125μmのPETフィルム(三菱ポリエステルフィルム社製、商品名「W36」)(実施例2)、および厚さ50μmのPIフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン100H」)(実施例3)を使用した。
前記基材上に、厚さ4μmとなるように触媒インク(セーレン株式会社製、組成;触媒成分(フィラー);20〜50重量%、樹脂;5〜15重量%、溶剤;40〜60重量%)を印刷し、アクセラレート処理を施した後、無電解めっき、電気めっきを行った。ここでアクセラレート処理とは、パラジウムの活性化を行うための処理であり、めっき析出がしやすいようにするために行った。アクセラレート液(商品名「IK570X」、製造元;マクダーミッド(MacDermid)社)を純水で10ml/Lに希釈し、50℃に昇温後、触媒インクを印刷した上記フィルムを2分間浸漬した。
アクセラレート処理を行ったサンプルを、次いで無電解めっき液(セーレン株式会社製、成分;塩化銅、苛性ソーダ、キレート剤、安定剤)に12分間浸漬させた。
次に、電気めっき液(セーレン株式会社製、成分;硫酸銅、硫酸、安定剤)に浸漬させ、電流密度2A/dm2で60分間通電させた。こうして無電解めっきと電気めっき合わせて18μmの銅を析出させ、基材上に厚さ18μmの銅層(加工材層)を有する多層構造体(サンプル)を得た。
次いで、得られた多層構造体の銅層表面にレーザー照射を行い、銅層の一部を剥離してパターンを形成した。
レーザー発振器は高繰返パルスグリーンレーザー(メガオプト社製、商品名「#301−01」)を使用した。レーザー光は、Nd:YVO4のSHG光(波長;532nm)を用いた。パルス幅は9.5ns、周波数は20kHz、レーザー出力は1.6Wとした(1パルス当たりのエネルギー量は80μJとなる)。CCDカメラを用いてビーム径が最小となる地点を焦点位置とし、レンズの焦点距離を40mmとした。レンズはアクロマティックレンズ(THOLABS社製LMX−5X−532)を使用した。
描画するパターンとしては、直線パターンをピッチ5.5μmで14本走査した。描画方法としては、XYステージ(ファインデバイス製)に多層構造体を設置し、描画速度=28mm/分で加工を行った。ステージへの設置方法としては、ステージ上に冷媒としてイオン交換水(15ml)を洗ビンで撒き、次いでその上に多層構造体を基材がステージ側になるように置き、上からレーザー照射部ではない部分にガラスを置いて多層構造体を固定した。その後、銅層(加工材層)側に上記条件でレーザー照射を行った(照射時間;2分30秒)。このとき、イオン交換水の層は基材フィルムの裏面(ステージとの接触面)全体に広がっていた。
レーザー照射後、多層構造体を走査型共焦点レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製、商品名「LEXT OLS3000」)で観察して銅加工深さ(銅層の剥離深さ、単位;μm)、及び線幅(単位;μm)を測定した。また、基材へのダメージの有無を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
<評価方法>
基材フィルムの融解による溝や穴が生じない場合;「ダメージなし」
基材フィルムに貫通穴が開いた場合;「フィルムが融解」
[実施例4〜5]
実施例1(基材;PENフィルム)及び実施例3(基材;PIフィルム)において、触媒インクを印刷したのち該触媒インク層(厚さ4μm)にレーザー照射してパターン形成し、その後アクセラレート処理、さらに無電解めっき、電気めっきを行って銅層を形成した以外は、実施例1及び3と同様に行った。アクセラレート処理、無電解めっき、電解めっきについては実施例1〜3と同条件で行った。
銅加工深さ及び線幅の測定、及び基材へのダメージの評価を実施例1〜3と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例1〜2]
ステージ上にはイオン交換水を撒かず、多層構造体を基材層がステージ側にくるようにステージ上に直接設置し、次いで銅(加工材)層上にイオン交換水を洗ビンで撒いたのちレーザー加工部以外にガラスを置いて多層構造体を固定した以外は、実施例1〜3と同様にして銅層上にレーザー照射し、銅加工深さ及び線幅の測定、及び基材へのダメージの評価を行った。基材はPEN(比較例1)およびPI(比較例2)を使用した。結果を表1に示す。なお、イオン交換水はレーザー加工後も銅層上に残っていた。
[比較例3]
多層構造体を、基材層がステージ側にくるようにステージ上に直接設置し、次いでレーザー加工部以外にガラスを置いて多層構造体を固定した(ステージ上にも銅層上にもイオン交換水を撒かなかった)以外は、実施例1と同様にして銅層上にレーザー照射し、銅加工深さ及び線幅の測定、及び基材へのダメージの評価を行った。基材はPENを使用した。結果を表1に示す。
Figure 2011076991
実施例1〜3で示されたように、本発明の方法を用いた場合、厚み18μmの銅層のみを基材へのダメージ無しで剥離することができた。実施例4〜5では、金属層だけでなく触媒インクにも同方法が有効であることが示された。一方、比較例1〜2では基材へのダメージは無かったが、銅層は一部しか剥離できなかった。比較例3では厚み18μmの銅層は剥離することができたが、基材が融解してしまった。
実施例1〜3で得られた基材を何度も曲げたり、横に引いたりしても基材が破れたり脆くなったりすることはなく、実施例で得られた基材すべてにおいて強度信頼性があることが確かめられた。一方、比較例1〜2では銅層が剥離されておらず、製品不良となった。比較例3では、基材は融解して穴が開き、基材が熱の影響を強く受け変形しているため、強度信頼性がなく製品として不良であった。
実施例1〜5については、レーザー加工後、基材裏側についたイオン交換水を乾かし、表面を確認したが、傷や基材の変形は無かった。
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、基材へ損傷を与えることなく金属層を剥離することができる。このため、薄型化が望まれる配線基板などの製造方法に適用することができる。また、汎用のレーザーを使用でき、加えて冷媒に水を使用しているため、有害な物質を使用する場合のような特殊な設備を必要としない。さらに、基材下部から冷却することにより、加工に無駄になるエネルギーを減らすことができ、大幅なコスト削減が可能となる。
本発明のレーザー照射による加工方法は、加工効率及び安定性が高く、且つ安全性に優れた方法であり、プリント配線基板や、電磁波遮蔽材、透明電極などの種々の導電性部材の製造に適している。

Claims (8)

  1. 基材層と加工材層とを有する多層構造体における該加工材層をレーザー照射により加工する工程を含む加工方法において、前記基材層側に冷媒を接触させて冷却する冷却工程を含むことを特徴とする、レーザー照射による加工方法。
  2. 前記基材がプリント配線基板のベースフィルムであり、前記加工材層が金属層であり、前記レーザー照射による加工が配線パターンの形成であることを特徴とする、請求項1記載の加工方法。
  3. 前記金属層が銅である、請求項2記載の加工方法。
  4. 前記ベースフィルムがポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリイミドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項2記載の加工方法。
  5. 前記加工材層が、触媒インクからなる層である、請求項1記載の加工方法。
  6. 前記触媒インクが触媒成分(フィラー);20〜50重量%、樹脂;5〜15重量%、溶剤;40〜60重量%を含むことを特徴とする、請求項5記載の加工方法。
  7. 前記冷媒が水であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の加工方法。
  8. 前記レーザーが、Nd:YAG、Nd:YVO4、及びCO2を光源とするものである、請求項1〜7のいずれかに記載の加工方法。
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