JP2011074179A - 熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】超臨界状態のCOを熱可塑性樹脂に作用させて高い発泡倍率の発泡体を得ることを可能とする方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを作用させて発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であって、固体の熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを含浸させる工程と、COが含浸された熱可塑性樹脂を加熱して発泡する工程とを備え、熱可塑性樹脂として、280℃及び歪み速度0.1/秒で測定された伸長粘度の最大値が10〜10Pa・sの範囲にある熱可塑性樹脂を用いる、熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡体として二酸化炭素を用いた熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関し、より詳細には、熱可塑性樹脂に超臨界状態の二酸化炭素を含浸させた後に熱可塑性樹脂を発泡する熱可塑性樹脂発泡体の製造方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂発泡体を製造するに際し、発泡剤として化学発泡剤や物理発泡剤を用いた様々な発泡方法が用いられている。物理発泡体を用いた発泡方法としては、溶融状態にある熱可塑性樹脂に、ブタンやジフロロメタンのような低沸点の有機化合物を供給し、発泡する方法が知られている。この種の低沸点有機化合物は、熱可塑性樹脂に対して親和性が優れているため、発生した気泡の保持性に優れている。従って、発泡倍率を高めることができる。
しかしながら、これらの発泡材料は、可燃性や毒性等を有するため、これらの発泡剤に代えて、二酸化炭素を発泡剤として用いた発泡方法が種々提案されている。もっとも、二酸化炭素は熱可塑性樹脂との親和性が低いため、熱可塑性樹脂に充分な量を混合させることが困難であった。そのため、微細な発泡構造を得ることが困難であり、気泡密度を高めることができなかった。
このような問題を解決するために、超臨界状態のCOを溶融状態の熱可塑性樹脂に混合した後に発泡する方法が提案されている。例えば下記の特許文献1には、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.1〜50重量部の超臨界状態の不活性ガス、例えばCOと、0.01〜10重量部の低分子有機物を含む発泡剤を添加して発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法が開示されている。
また、下記の特許文献2には、熱可塑性樹脂の存在下で、超臨界液体状態になる臨界温度及び臨界圧力以下の温度及び圧力で液体を供給した後、第1の温度及び第1の圧力以上に温度及び圧力を高め、超臨界状態の液体を熱可塑性樹脂に導入し、しかる後、第2の温度及び第2の圧力で熱可塑性樹脂を発泡する発泡材料の製造方法が開示されている。
他方、下記の特許文献3には、溶融状態ではなく、固体状態の熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを含浸させた後、発泡する方法が記載されている。
特開2002−309029号公報 特許第2625576号 特開2008−127467号公報
上記のように、特許文献1や特許文献2に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法では、超臨界状態のCOなどの超臨界性液体を熱可塑性樹脂に導入し、発泡させることにより、微細な発泡構造を得ることができ、発泡倍率を高めることができるとされている。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の製造方法を用いたとしても、その発泡倍率は充分に高くはならなかった。
特許文献3には、熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを含浸させた後、発泡する方法が記載されているものの、この場合COの含浸量が比較的少ない。そのため、得られた発泡体における発泡倍率が低く、また機械的物性も十分ではなかった。加えて、特許文献3では、具体的に熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを含浸させる具体的な条件は詳細には記載されていない。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、固体の熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを作用させて熱可塑性樹脂を発泡する熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であって、より一層高い発泡倍率の発泡体を得ることを可能とする、熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
本願発明者らは、上記従来技術の問題点を種々検討した結果、超臨界状態のCOを熱可塑性樹脂に含浸させ、加熱により発泡させたとしても、高い発泡倍率を実現することができないことは、発泡中に生じた気泡の抜けが生じることによる点に着目し、このような気泡の抜けを抑制するには、熱可塑性樹脂の伸長粘度の最大値を特定の範囲とすればよいことを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを作用させて発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であって、固体の熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを含浸させる工程と、COが含浸された熱可塑性樹脂を加熱して発泡する工程とを備え、前記樹脂として、280℃及び歪み速度0.1/秒で測定された伸長粘度の最大値が10〜10Pa・sの範囲にある熱可塑性樹脂を用いる、熱可塑性樹脂発泡体の製造方法である。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法のある特定の局面では、前記含浸工程を、前記熱可塑性樹脂のDSCで測定された融解ピークが現れる温度を溶融温度mpとしたときに、(mp−225)℃〜(mp−115)℃の範囲である。この場合に、発泡時の伸長粘度を確実に上記特定の範囲とし、高倍率の発泡体を得ることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造方法において、好ましくは、上記COを含浸させる時間は、24時間以上、96時間以内である。この含浸時間範囲内で、COを含浸させることにより、熱可塑性樹脂に充分な量のCOを含浸させることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造方法の他の特定の局面では、熱可塑性樹脂が繊維状充填材を含む。繊維状充填材の添加により、上記伸長粘度の最大値をより一層高めることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造方法のさらに他の特定の局面では、上記熱可塑性樹脂が、ポリアミドと、該ポリアミドを改質する他の樹脂成分とを含む。この場合には、上記伸長粘度の最大値を確実に10〜10Pa・sの範囲内とすることができ、それによって高発泡倍率の発泡体を確実に得ることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造方法では、好ましくは、上記熱可塑性樹脂として、架橋熱可塑性樹脂を用いる。この場合には、伸長粘度の最大値をより高め、発泡倍率をより一層高めることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂発泡体の製造方法によれば、伸長粘度の最大値が10〜10Pa・sの範囲内にある熱可塑性樹脂を用いるため、COを超臨界状態で作用させて発泡するに際し、生じた気泡の抜けを抑制することができる。従って、高い発泡倍率の発泡体を得ることができ、熱可塑性樹脂発泡体の特性の改善及び軽量化を図ることが可能となる。
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法において、熱可塑性樹脂にCOを含浸させる温度を100℃または200℃とした場合、及び同じ熱可塑性樹脂をプレス成形した成形品の分子量分布を示す図である。 本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法において、熱可塑性樹脂としてのポリアミド66に超臨界状態のCOを含浸させる工程における含浸時間とCOの含浸量との関係を示す図である。 実施例1〜4及び比較例における熱可塑性樹脂の温度280℃及び歪み速度0.1/秒で測定した伸長粘度と時間との関係とを示す図である。 超臨界状態のCOを熱可塑性樹脂に含浸させて発泡させた場合の時間と粘度との関係を模式的に示す図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
前述したように、本願発明者らは、熱可塑性樹脂にCOを超臨界状態で作用させて発泡する場合、発泡倍率が高くならない原因が、発泡時に精製した気泡が抜けることによると考え、この気泡の抜けを抑制するには、熱可塑性樹脂中において生成した気泡の抜けを発泡工程において抑制することが重要であることを見出した。そして、このような抜けを抑制するには、熱可塑性樹脂の伸長粘度の最大値が特定の範囲にあればよいことを見出した。この特定の範囲とは、280℃及び0.1秒の歪み速度を与えた条件で測定された伸長粘度の最大値が10〜10Pa・sの範囲である。
なお、上記伸長粘度は、メカニカルスペクトロメーター(TA Instruments社製ARES)により測定された値である。
本発明における伸長粘度と発泡性との関係を図4の伸長粘度測定結果の模式図を参照して説明する。図4において、縦軸は粘度であり、横軸は時間である。伸長粘度の測定に際し、実線Lで示すように低温状態では伸長粘度は高いまま時間と共にゆるやかに上昇し、次にゆるやかに時間と共に低下する傾向がある。他方、実線Hで示すように、高温下では、伸長粘度の絶対値は低く、時間の経過と共に若干高くなるものの、やはり時間がさらに経過すると低くなる傾向がある。これに対して、実線Mで示すように伸長粘度が時間と共にゆるやかに上昇し、しかる後時間と共に若干低下したとしても、さらに時間が経過すると急激に上昇し、伸長粘度の最大値が高くなることが望ましい。このように伸長粘度が時間と共に急激に高くなり、その最大値が高くなると、生成した気泡を発泡体中に確実に保持することができる。従って、伸長粘度の最大値が高いことにより、発泡倍率を高め得ることができると考えられる。
(熱可塑性樹脂)
本発明において用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されないが、好ましくは、ポリアミドが用いられる。ポリアミドとしては、ナイロン66(融解温度265℃)、ナイロン68(融解温度225℃)、ナイロン610(融解温度215℃)、ナイロン612(融解温度215℃)、ナイロン6(融解温度260℃)、ナイロン7(融解温度230℃)、ナイロン8(融解温度190℃)、ナイロン9(融解温度205℃)、ナイロン10(融解温度185℃)、ナイロン11(融解温度185℃)及びナイロン12(融解温度180℃)などを挙げることができる。
また、ポリアミドに限らず、他の熱可塑性樹脂を用いてもよい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体のようなエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネード、ポリアセタール、ポリ酢酸ビニルなどを挙げることができる。
好ましくは、熱可塑性樹脂として、架橋構造を有する架橋熱可塑性樹脂が用いられる。その場合には、上記伸長粘度の最大粘度を10Pa・s以上とすることができ、より一層発泡倍率を高めることができる。架橋方法は特に限定されず、熱可塑性樹脂に架橋剤を添加する方法、レーザー照射による架橋方法など適宜の架橋方法を用いることができる。
上記架橋熱可塑性樹脂における架橋度は、特に限定されないが、ゲル分率で測定された強度で、70%〜95%の範囲であることが望ましい。
70%未満では、伸長粘度の最大粘度値を高めることができないことがあり、95%を超えると低歪み域での粘度が高くなりすぎ、発泡できなくなることがある。
また、上記熱可塑性樹脂にガラス繊維などの繊維状充填材を添加することが望ましい。このような繊維状充填材としては、ポリフッ化エチレン樹脂繊維、ガラス繊維、カーボン繊維などを挙げることができる。繊維状充填材を添加することにより、繊維の絡み合いにより、上記伸長粘度の最大粘度を高めることができ、発泡倍率を一層高めることができる。
上記繊維状充填材の配合割合は、上記熱可塑性樹脂と繊維状充填材との合計中、0.5重量%〜10重量%の範囲であることが望ましい。0.5重量%未満では、伸長粘度の最大値を高める効果が充分ではないことがあり、10重量%を超えると、低歪み域での粘度が高くなりすぎ、発泡できなくなるおそれがある。
また、上記熱可塑性樹脂がポリアミドである場合、該ポリアミドを改質する他の樹脂成分を添加してもよい。このような他の樹脂成分としては、例えば、スチレン−マレイン酸変成樹脂、例えばサートマージャパン社製商品名:SMA樹脂などを挙げることができる。このような樹脂成分を添加することにより改質し、伸長粘度の最大値を10Pa・s以上に確実に高めることができる。従って、発泡倍率をより一層高めることができる。
このような他の樹脂成分としては、スチレン−マレイン酸変成樹脂に限らず、エチレン−マレイン酸変成樹脂、プロピレン−マレイン酸変成樹脂、ポリカーボネートなどを挙げることかできる。
なお、上記他の樹脂成分は、使用する熱可塑性樹脂に応じて適宜選択すればよい。
上記熱可塑性樹脂に他の樹脂成分を添加する場合、その添加割合は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0重量部を超え、5重量部以下であることが望ましい。5重量部を超えて添加した場合には、機械的性質が著しく低下するおそれがある。
また、本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲で、熱可塑性樹脂に、様々な他の添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、収縮防止剤、発泡核剤、顔料、染料、滑剤、抗酸化剤、可塑剤、安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。
(含浸工程)
本発明の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法においては、固体状態の上記熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを含浸させる。この場合、含浸に先立ち、上記繊維状充填材や改質用樹脂成分が添加されていることが望ましい。
含浸は固体状態の熱可塑性樹脂中に超臨界状態のCOを供給し、含浸させる。この供給に際しては、COの臨界圧力の範囲内において一定の圧力となるようにCOを吐出した後、臨界温度以上に昇温し、超臨界状態とする。そして、このようにして超臨界状態とされたCOを固体の熱可塑性樹脂に供給する。
上記COを熱可塑性樹脂に供給する割合については特に限定されないが、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が好ましい。0.1重量部未満では、充分な量のCOを熱可塑性樹脂に含浸させることができないおそれがある。COを供給する量の上限については特に限定されないが、多すぎてもCOが熱可塑性樹脂に含浸され難く無駄となる。従って、5重量部以下であることが望ましい。
上記COを熱可塑性樹脂に含浸させる温度は、熱可塑性樹脂の融解温度をmpとしたとき、(mp−225)℃〜(mp−115)℃の温度とすることが望ましい。この温度範囲とすることにより、後述の実施例から明らかなように、熱可塑性樹脂中にCOを充分な量含浸させることができ、また熱可塑性樹脂の劣化も生じ難い。
また、上記超臨界状態のCOを固体の熱可塑性樹脂に含浸させる際の圧力は、好ましくは、5〜20MPaの範囲とすればよい。この特定の範囲内の圧力で含浸させることにより、充分な量のCOを熱可塑性樹脂に含浸させることができる。
さらに、上記固体の熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを供給し含浸させる時間は、好ましくは、24時間以上、96時間以内である。24時間以上であれば、充分な量のCOを固体の熱可塑性樹脂に含浸させることができ、96時間を超えると、それ以上COの含浸量が高まらず、生産性が低下するおそれがある。
(発泡)
本発明においては、熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを供給し、含浸させた後、加熱により発泡する。この加熱により発泡する方法については特に限定されず、発泡時に伸長粘度の最大値を得るように熱可塑性樹脂の種類により加熱温度を調整すればよい。例えばCOが含浸された熱可塑性樹脂シートを任意温度のシリコーンオイルバスに任意の時間浸漬する方法ある。この方法では温度や時間の調整が容易であり発泡に有利な条件を容易に作り出すことができる。
このようにして得られた熱可塑性樹脂発泡体では、熱可塑性樹脂の伸長粘度の最大値が上記特定の範囲内となるため、発泡時に気泡の抜けが生じ難い。従って、高い発泡倍率の発泡体を得ることができる。
次に、具体的な実験例に基づき、本発明をより詳細に説明する。
(実験例1:含浸工程における含浸温度の評価)
熱可塑性樹脂として、ポリアミド66(宇部興産株式会社社製、商品名:UBEナイロン2026B、融解温度265℃、重量平均分子量66,000)からなる20mm×20mm×1mmのプレス成形により得られた熱可塑性樹脂シートを用意した。この熱可塑性樹脂シートを耐圧容器に入れ、100℃の温度で、超臨界状態のCOを含浸させた。また、含浸温度を150℃に変更したことを除いては、上記と同様にして、熱可塑性樹脂シートに超臨界状態のCOを含浸させた。さらに、含浸温度を200℃に変更したことを除いては、上記と同様にして、超臨界状態のCOを上記熱可塑性樹脂シートに含浸させた。このようにして得られた熱可塑性樹脂シートの外観を観察したところ、200℃の温度で超臨界状態を含浸させた、該熱可塑性樹脂シートの色が黒くなっていた。また、150℃の温度で超臨界状態のCOを含浸させた熱可塑性樹脂シートでは、茶色味を帯びていた。これに対して、100℃の温度で超臨界状態のCOを含浸させた熱可塑性樹脂シートでは、わずかな黄変が見られただけであった。
そこで、上記のように色が変化しているのは、熱可塑性樹脂シートが劣化しているためであるため、その分子量分布を測定した。結果を図1に示す。図1は、上記100℃の温度でCOが超臨界状態で含浸された熱可塑性樹脂シート、200℃の温度で超臨界状態のCOが含浸された熱可塑性樹脂シート及び比較のために用意されたCOを含浸させる前の熱可塑性樹脂シートの分子量分布を示す。
図1から明らかなように、100℃の温度で超臨界状態のCOを含浸させた熱可塑性樹脂シートの分子量分布は、含浸前の熱可塑性樹脂シートとほぼ同等であった。これに対して、200℃の温度で含浸させた場合には、分子量分布が低分子量側へシフトしていることが分かる。すなわち、含浸温度が高すぎると、上記のように色が変化したのは、分子量分布の低下からも明らかなように、超臨界状態のCOを含浸させた結果、熱可塑性樹脂シートに劣化が生じているものと考えられる。
従って、好ましくは、100℃の温度でポリアミド66からなる熱可塑性樹脂シートに超臨界状態のCOを含浸させることが望ましいことが分かる。すなわち、熱可塑性樹脂の融解温度mpを基準とすると、(mp−115)℃を超えると、200℃で含浸させた熱可塑性樹脂シートのように熱可塑性樹脂シートに劣化が生じ、好ましくないことが分かる。また、上記150℃の温度でCOを含浸させた熱可塑性樹脂シートでも茶色味を帯びていたものの、充分な発泡倍率の発泡体を得ることはできた。従って、含浸温度は、好ましくは、(mp−225)℃以上(mp−115)℃以下とすればよいことがわかる。
(実験例2:含浸時間の評価)
実験例1と同様の熱可塑性樹脂シートを用い、100℃の温度で含浸圧力20MPaで超臨界状態のCOを含浸させ、含浸時間と含浸量との関係を求めた。結果を図2に示す。含浸時間が、12時間、20時間、24時間、48時間、72時間、96時間、100時間とした。
図2から明らかなように、24時間未満では含浸量が充分でなく、24時間を超えて含浸させた場合、含浸量はほぼ変わらないことが分かる。従って、含浸時間は、24時間以上であることが望ましい。含浸時間の上限は、実験範囲では96時間であるが、96時間を超えても含浸量がさほど高まらないことが予想される。また、含浸時間が長すぎると、工程に要する時間が長時間化する。従って、含浸時間は24時間が好ましく、上記実験で確認された範囲では、24時間以上96時間以内であることが望ましいことが分かる。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明の効果を明らかにする。
(実施例1)
熱可塑性樹脂として、ポリアミド66(宇部興産株式会社社製、重量平均分子量66,000、融解温度=265℃、伸長粘度の最大値=4.0×10)98重量部に対し、繊維状充填材としてポリ4フッ化エチレン樹脂繊維(三菱レイヨン社製、商品名:メタブレン)2重量部と混合してなる混合物を用い、20mm×20mm×厚み1mmのシート状熱可塑性樹脂シートを用意した。このシートの280℃及び歪み速度0.1/秒で測定された伸長粘度の最大値は2.0×10であった。この熱可塑性樹脂シートに、100℃の温度で超臨界状態のCOを24時間20MPaの圧力で含浸させた。上記のようにしてCOが含浸された熱可塑性樹脂シートを300℃のシリコーンオイルバスに30秒浸漬することにより発泡させ、熱可塑性樹脂発泡体を得た。この熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率を比重計により評価したところ、1.5倍であった。
(実施例2)
ポリ4フッ化エチレン樹脂繊維(三菱レイヨン社製、商品名:メタブレン)からなる繊維状充填材の添加割合を2重量部から5重量部に変更したことを除いては、実施例1と同様にして超臨界状態のCOが含浸された熱可塑性樹脂シートを得、実施例1と同様にして上記COが含浸された熱可塑性樹脂シートを発泡し、熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた発泡体の発泡倍率は2.5倍であった。
(実施例3)
ポリアミド66を100重量部に、SMA樹脂(サートマージャパン社製、スチレン−マレイン酸変成樹脂)1重量部を配合した混合物を用いたことを除いては、実施例1と同様にして、COが含浸された熱可塑性樹脂シート及び熱可塑性樹脂発泡体を得た。
なお、上記樹脂混合物からなるCO含浸前の熱可塑性樹脂シートの伸長粘度の最大粘度値は、4.0×10Pa・sであった。また、得られた発泡体の発泡倍率は1.5倍であった。
(実施例4)
SMA樹脂の配合割合を1重量部から2重量部に変更したことを除いては、実施例3と同様にして、COが含浸された熱可塑性樹脂シート及び熱可塑性樹脂発泡体を得た。
なお、樹脂混合物からなるCO含浸前の熱可塑性樹脂シートの伸長粘度の最大粘度値は、4.0×10Pa・sであった。
また、得られた発泡体の発泡倍率は1.7倍であった。
(比較例)
実施例1で用いたポリアミト66のみを熱可塑性樹脂として用いたことを除いては、実施例1と同様にしてCOが含浸された熱可塑性樹脂シートを得た。実施例1と同様にして、COが含浸された熱可塑性樹脂シート及び熱可塑性樹脂発泡体を得た。得られた発泡体の発泡倍率を測定したところ、1.0倍であった。
上記実施例1〜4及び比較例の結果を下記の表1にまとめて示す。
また、上記実施例1〜4の樹脂混合物及び比較例の熱可塑性樹脂からなる各熱可塑性樹脂シートの伸長粘度測定結果を図3に示す。
Figure 2011074179

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを作用させて発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であって、
    固体の熱可塑性樹脂に超臨界状態のCOを含浸させる工程と、
    COが含浸された熱可塑性樹脂を加熱して発泡する工程とを備え、
    前記樹脂として、280℃及び歪み速度0.1/秒で測定された伸長粘度の最大値が10〜10Pa・sの範囲にある熱可塑性樹脂を用いる、熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  2. 前記含浸工程を、前記熱可塑性樹脂のDSCで測定された融解ピークが現れる温度を溶融温度mpとしたときに、(mp−225)℃〜(mp−115)℃の範囲とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  3. 前記含浸工程における含浸時間が24時間以上、96時間以内である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂が繊維状充填材を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドと、ポリアミドを改質する他の樹脂成分とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂が架橋熱可塑性樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
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