JP2015091920A - 多孔質シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械強度に優れ、低熱伝導率を有し、かつ高い生産性で製造することが可能な多孔質シートを提供する。
【解決手段】本発明の多孔質シートは、独立気泡率が60%以上であり、厚み方向の平均気泡径が50μm以下であり、多孔質シートの見掛け密度が0.2g/cm3以下であり
、さらにMD方向、TD方向および厚み方向の平均気泡径をそれぞれx、y、z(μm)としたときに以下の式(1)を満たす。
x/z≧2、かつy/z≧2・・・(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば断熱材に好適に使用可能な多孔質シート、多孔質シート積層体、及び多孔質シートの製造方法に関する。
従来、マトリックス樹脂に多数の気泡が形成された多孔質体として、例えば特許文献1に記載されるようにエアロゲルが広く知られている。エアロゲルは、気泡径がナノサイズであるゆえ気泡における気体の対流が少なくなるとともに、密度も通常0.1g/cm3以下と低く熱伝導成分であるマトリックス樹脂量も少ないことから、熱伝導率が低くなっている。そのため、遮熱、断熱効果が高く、各種分野において断熱材として広く使用されている。
しかし、エアロゲルは超臨界乾燥工程が必要なため生産性に問題があり、また、高価な設備を導入する必要があるためコスト高になる。さらに、エアロゲルは、連続気泡の形態を取っているゆえに、非常に脆くて機械強度が低く、さらには耐湿性が低いという課題もある。
上記したエアロゲルの課題を解決するために、特許文献2に開示されるように、超臨界乾燥工程を用いずに、高圧下で二酸化炭素等の気体を高濃度でマトリックス樹脂に含浸させて多孔質体を製造する方法が知られている。この方法によれば、多孔質体を低密度としつつ気泡径も小さくすることができ、さらに、各気泡は概ね独立気泡となるので、機械強度も良好となる。
しかし、特許文献2の方法で実際に製造された多孔質シートは、空隙率がそれほど大きくならず、エアロゲルよりも見掛け密度が高くなるため、断熱性の点においてはエアロゲルよりも劣るものとなる。すなわち、従来、良好な断熱性を有しつつも、機械強度や生産性に優れた多孔質シートは得ることは困難であった。
なお、従来、例えば特許文献3に開示されるように、気泡のアスペクト比を適宜調整し、多孔質シートの機械強度等を向上させることが知られている。しかし、気泡のアスペクト比を調整して、断熱性能を向上させることは知られていない。
特開平10−236817号公報 特表2013−512307号公報 特開2010−185086号公報
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、機械強度に優れ、低熱伝導率を有し、かつ高い生産性で製造することが可能な多孔質シートを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、多孔質シートの発泡方法として、超臨界乾燥の工程を用いずに、メカニカル発泡、超臨界発泡または化学発泡剤による発泡等を採用して、多孔質シートの独立気泡率及び発泡倍率を高め、さらに、厚み方向の平均気泡径を50μm以下にしつつ、MD及びTD方向における気泡径の両方が厚み方向の気泡径の2倍以上とすることで、上記課題を解決できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
(1) 以下の要件(A)〜(D)を満足する多孔質シート。
(A)多孔質シートの独立気泡率が60%以上である
(B)多孔質シートの厚み方向の平均気泡径が50μm以下である
(C)MD方向、TD方向および厚み方向の平均気泡径をそれぞれx、y、z(μm)としたときに以下の式(1)の条件を満たすものである。
x/z≧2、かつ y/z≧2 ・・・(1)
(D)多孔質シートの見掛け密度が0.2g/cm3以下である。
(2)厚みが1mm以下である上記(1)に記載の多孔質シート。
(3)前記厚み方向の平均気泡径が5μm以下である上記(1)または(2)に記載の多孔質シート。
(4)見掛け密度をa(g/cm3)、x/zとy/zの積(xy/z2)をbとしたとき、以下の式(2)を満たす上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多孔質シート。
b/(a×z)≧5 ・・・(2)
(5)超臨界状態で含浸された不活性ガスにより気泡が形成される上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多孔質シート。
(6)マトリックス樹脂としてポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂から選択されるものを含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の多孔質シート。
(7)厚み方向の平均気泡径が0.1〜1μmである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の多孔質シート。
(8)x/z及びy/zのいずれも10以上である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の多孔質シート。
(9)断熱材である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の多孔質シート。
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の多孔質シートの製造方法であって、
気泡が形成された多孔質シートを得る第1工程と、第1工程で得た多孔質シートを、厚み方向の気泡径が小さくなるとともに、MD及びTD方向の気泡径が大きくなるように処理する第2工程を含む多孔質シートの製造方法。
(11)前記第2工程は、多孔質シートをMD及びTD方向に延伸させて行われる上記(10)に記載の多孔質シートの製造方法。
(12)前記第1工程は、10MPa以上の高圧下で、マトリックス樹脂に不活性ガスを含浸させる工程を含む上記(10)又は(11)に記載の多孔質シートの製造方法。
(13)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の多孔質シートと、該多孔質シートに積層される熱伝導率が5W/m・K以上の熱伝導材料層とを備える多孔質シート積層体。
本発明では、機械強度に優れ、低熱伝導率を有し、かつ高い生産性で製造することが可能な多孔質シートを提供することができる。
以下、本発明の多孔質シートについて、実施形態を用いてより詳細に説明する。
多孔質シートは、通常、多数の気泡を有するマトリックス樹脂から形成されるものである。そして、本発明の多孔質シートは、以下の要件(A)〜(D)を満足することを特徴とするものである。
(A)多孔質シートの独立気泡率が60%以上である
(B)多孔質シートの厚み方向の平均気泡径が50μm以下である
(C)MD方向、TD方向および厚み方向の平均気泡径をそれぞれx、y、z(μm)としたときに以下の式(1)の条件を満たすものである
x/z≧2、かつ y/z≧2 ・・・(1)
(D)多孔質シートの見掛け密度が0.2g/cm3以下である。
なお、平均気泡径については、MD、TD、及び厚み方向の断面をデジタルマイクロスコープを用いて拡大写真を撮り、それぞれの方向についての気泡径を測定し、100個の気泡径の平均値を平均気泡径とした。また、MD方向は、押出方向等と一致する方向であるとともに、TD方向は、MD方向に直交しかつシートに平行な方向である。
一般的に、多孔質体において発生する熱伝導には、樹脂を伝熱する成分と、気体を伝熱する成分と、気体の対流によって熱が運ばれる成分と、放射によって伝熱する成分とが存在する。本発明においては、厚み方向の平均気泡径を50μm以下と小さくすることで、上記のうち気体の対流によって熱が運ばれる成分を抑制して、熱伝導性を低くする。理論上気泡径を67nm以下とすることで気体の対流が起きなくなるといわれているが、本発明のように、厚み方向の平均気泡径を50μm以下とすることで、特に、厚み方向に沿う対流が起きにくくなり、厚み方向に沿う熱伝導率が低くなる。一方で、平均気泡径が50μmより大きいと、気体の対流による伝熱が大きくなり、断熱性が著しく損なわれてしまうことがある。
厚み方向における平均気泡径は、好ましくは20μm以下であり、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。このように、厚み方向における平均気泡径をより小さくすることで厚み方向に沿う熱伝導率を十分に低くすることができる。
また、厚み方向における平均気泡径は、特に制限されるわけではないが、後述する方法1〜3で容易に気泡を形成するために、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。
また、本発明では、要件(C)のように、アスペクト比(x/z、y/z)が2以上と大きくなることで、マトリックス樹脂を伝熱する厚み方向への伝熱距離を迂回させて長くすることが可能になる。アスペクト比(x/z、y/z)は、いずれも2以上であることが必須であり、いずれか一方でも2未満となると、伝熱距離を迂回する効果が十分に得られなくなる。
アスペクト比(x/z、y/z)は、いずれかが4以上であることが好ましく、さらに好ましくはいずれもが4以上であり、特に好ましくはいずれもが10以上である。
断熱性の観点からは、アスペクト比は大きければ大きいほど良いが、機械強度、製造容易性の観点から、アスペクト比(x/z、y/z)は、少なくともいずれか一方が30以下であることが好ましい。また、アスペクト比(x/z、y/z)は、いずれもが30以下であることがより好ましく、特に好ましくはいずれもが25以下である。
また、本発明では、要件(A)のように、多孔質シートの独立気泡率が60%以上とされたものである。独立気泡率が60%未満であると、気泡が連通している箇所が多すぎて、見かけ上繋がった大きな気泡のようになってしまい、特に厚み方向に連通していると気体の対流が大きく起こる可能性があり、著しく断熱性が損なわれてしまうことがある。また、機械強度や耐湿性も十分に向上させることができない。
独立気泡率は、断熱性を良好にしつつ機械強度、耐湿性もより向上できる観点から、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。
なお、独立気泡率は、後述する実施例の測定方法により測定されたものである。
また、本発明では、要件(D)のように、多孔質シートの見掛け密度が0.2g/cm3以下とされたものである。樹脂の熱伝導率は、気体と比べると著しく大きい。そのため、見掛け密度が0.2g/cm3より大きくなると、マトリックス樹脂成分の量が多くなり、多孔質シートにおける断熱性が著しく損なわれることがある。
見掛け密度は、熱伝導率を低下させる観点からは小さいほどよいが、さらに好ましくは0.1g/cm3以下である。
また、見掛け密度は、機械強度を良好に保つ観点から、好ましくは0.01g/cm3以上、さらに好ましくは0.02g/cm3以上である。
なお、本発明において、見掛け密度とは、JIS K 7222に準拠して測定した値である。
本発明の多孔質シートは、上記要件(A)〜(D)を満たすことで、良好な断熱性を得ることができるものである。
本発明では、気泡の形成は、後述するように、メカニカル発泡、高圧下で気体を多孔質シートに含浸させる方法(例えば超臨界発泡)又は化学発泡剤の発泡等により行うものである。このような方法により気泡が形成された多孔質シートは、エアロゲルの場合のように、例えば100nm以下のナノスケールの気泡が通常得られるものでもなく、従来、断熱性を著しく良好にすることは難しいと考えられていた。しかし、本発明では、気泡径が比較的大きいものであっても、上記要件(A)〜(D)を満足することで、良好な断熱性能を得ることができる。
また、本発明では、超臨界乾燥工程を用いなくても多孔質シートを製造可能であるため、生産性が高く、工業的に安価な断熱材を提供可能である。
本発明の多孔質シートの厚みは、好ましくは1mm以下である。例えば電子機器などの狭い空間に断熱材を用いる際には、薄くて高性能の断熱材が求められるが、本発明では、厚みを1mm以下と薄厚にしても、高い断熱性能を確保することが可能である。また、見かけ密度が0.2g/cm3以下と高倍率の場合に、1mm以下と薄いものを製造しようとすると、ガスがセル膜を透過して製造しにくいが、本発明では後述する方法により製造可能となる。多孔質シートの厚みは、より好ましくは0.2mm以下である。また、厚みの下限値は、特に限定されないが、通常0.05mm以上である。
また、本発明は、見掛け密度をa(g/cm3)、アスペクト比x/z、y/zの積(xy/z2)をbとした時、以下の式(2)を満たすことが好ましい。
b/(a×z)≧5 ・・・(2)
本発明では、以上の式(2)の要件を満たすことで、良好な断熱性を得ることができる。また、上記b/(a×z)は、断熱性をより良好にする観点から、15以上であることが好ましく、より好ましくは40以上である。
以下、本発明の多孔質シートについてさらに詳細に説明する。
本発明の多孔質シートは、マトリックス樹脂に必要に応じて各種添加剤を含有させた樹脂組成物を発泡させたものであり、多数の気泡を有するものである。
多孔質シートに使用されるマトリックス樹脂としては、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、またはこれらの混合物などが挙げられるが、これらの中ではオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリメチルペンテン又はこれらの混合物が挙げられるが、これらのなかではポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、いわゆる、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、更には、直鎖状低密度ポリエチレン等が含まれる。ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体であってもよいが、エチレン−α−オレフィン共重合体等のエチレンを主成分とする共重合体であってもよい。ここで、エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体であってもよいが、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のプロピレンを主成分とする共重合体であってもよい。上記プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、プロピレン−α−オレフィン共重合体の具体例としては、プロピレン−エチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体等が挙げられる。
ここで、主成分とは、例えば、重合体の構成単位のうち70モル%以上がそのモノマー由来であることを意味し、好ましくは90モル%以上がそのモノマー由来である。
また、本発明の多孔質シートの製造方法は、特に限定されないが、気泡が形成された多孔質シートを得る第1工程と、その第1工程で得た多孔質シートを、厚み方向の気泡径が小さくなるとともに、MD及びTD方向の気泡径が大きくなるように処理する第2工程を含むことが好ましい。
本発明の第1工程は、より具体的には例えば、下記方法1〜3のいずれかに記載された工程を含むものである。これらの中では、気泡径を比較的小さくできる方法1が好ましい。
<方法1>
方法1は、発泡剤である不活性ガスを高圧下で樹脂組成物に含浸させる工程を含むものである。方法1では、不活性ガスを樹脂組成物に含浸させる際、不活性ガスを超臨界状態とすることが好ましい。
具体的には、本方法では、まず、樹脂組成物をシート状に加工する。樹脂組成物には、通常、発泡剤以外の任意の添加剤が必要に応じて含有されている。シート状に加工する方法は、特に限定されず、いわゆるバッチ方式、連続方式等を適用できる。例えば、樹脂組成物を単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して押し出すことにより、樹脂組成物をシート状に加工する方法が挙げられる。また、樹脂組成物をバンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機で混練し、この後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することにより樹脂組成物をシート状に加工してもよい。また、樹脂組成物をシート状に加工する方法は、プレス成形、射出成形により行ってもよい。
次いで、シート状に加工された樹脂組成物を高圧容器中に入れて、不活性ガスを高圧で注入し、樹脂組成物中にガスを含浸させる。十分に高圧ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、樹脂組成物中に、気泡核を発生させ、気泡核を成長させて気泡とする。気泡核は、室温で成長させてもよいが、加熱により成長させてもよい。
また、本方法では、気泡核を成長させる過程で、ガスがシート外に放出されることを防止し、発泡倍率(低見掛け密度化)を確保するために、樹脂組成物のガスバリア性を高めてもよい。高圧ガスを含浸させる前にガスバリア性を高めてもよいが、高圧ガスを十分に含浸させて高い発泡倍率を確保するために、高圧ガスを含浸した後にガスバリア性を高めることが望ましい。ガスバリア性を高める方法としては、例えば架橋剤を予め樹脂組成物に配合し、好ましくは高圧ガスの含浸後に、熱、電子線、紫外線等で架橋反応させる方法;または、ガスバリア性を向上させるCNT(カーボンナノチューブ)や金属フィラー等の各種フィラーを、好ましくは高圧ガスの含浸後に、樹脂組成物に混合させる方法が挙げられる。ガスバリア性を向上させるための工程は、必要に応じて用いればよく省略してもよい。
気泡を成長させた後は、樹脂組成物を冷水などにより冷却し、樹脂組成物中に形成された気泡の形状に固定してもよいし、冷却しなくてもよい。
以上のような方法で、マトリックス樹脂に多数の気泡が形成された多孔質シートを得ることができる。
また本方法は、押出機や射出成形機を高圧容器とし、ガスを含浸した樹脂組成物を押出機や射出成形機からシート状に押し出し或いは射出した際に、圧力開放されて発泡成形される方法であってもよい。
なお、ガスバリア性を高めるために使用される架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物等が挙げられ、なかでも、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物及び硫黄化合物は、後述する方法2で列挙するものの中から適宜選択して使用可能である。
《方法1に用いられる発泡剤》
上述した方法1で使用される不活性ガス(発泡剤)としては、マトリックス樹脂に対して不活性であり、樹脂組成物の内部に注入可能であれば特に制限されない。例えば、二酸化炭素、窒素ガス、空気等が挙げられる。これらの不活性ガスのうち二種以上を混合して用いてもよい。これらの不活性ガスのうち、樹脂組成物への含浸量が多く、含浸速度が速い二酸化炭素が好適である。樹脂組成物に不活性ガスを含浸させる際、不活性ガスは、亜臨界状態、または超臨界状態であることが好ましく、超臨界状態であることがより好ましい。
なお、超臨界状態とは圧力および温度のいずれもが、不活性ガスの臨界圧力、臨界温度以上の状態をいう。また、亜臨界状態とは、圧力および温度のいずれかが、不活性ガスの臨界圧力以上、臨界温度以上となる液体状態、又は圧力および温度のいずれもが臨界圧力および臨界温度未満であるがこれに近い状態をいう。
亜臨界又は超臨界状態では、樹脂組成物への不活性ガスの溶解度が増大するため、樹脂組成物中に混入される不活性ガスの濃度を高濃度にすることができる。樹脂組成物に高濃度の不活性ガスが混入されていると、樹脂組成物に不活性ガスを含浸した後、急激に圧力を降下すると、より多くの気泡核が発生する。このため、気泡核が成長してできる気泡の密度が高くなり、見かけ密度を低くしつつも微細な気泡を有する多孔質シートを得られる。
なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
《方法1における発泡処理》
方法1において、不活性ガスを樹脂組成物に含浸させるときの圧力条件は、不活性ガスの種類や製造上の操作性等を考慮して適宜選択できるが、例えば6MPa以上(例えば、6〜100MPa程度)、好ましくは8MPa以上(例えば8〜100MPa程度)、より好ましくは10MPa以上(例えば、10〜100MPa程度)である。
不活性ガスを樹脂組成物に含浸させるときの圧力が低いほど、ガスの含浸量は相対的に少なくなるため、気泡核が形成される速度が低下し、気泡核数が少なくなる。この場合には、1気泡あたりのガス量が増え、圧力を解放した際に、気泡径が成長しやすくなる。そのため、圧力を6MPa以上とすることで、気泡径が大きく成長するのを抑え、本発明の多孔質シートに好適な気泡径及び気泡密度を得ることができる。
不活性ガスとして、二酸化炭素を用いる場合には、圧力条件は、亜臨界状態を保持するために、5〜100MPa程度が好ましく、超臨界状態を保持するために7.4〜100MPaがより好ましい。
不活性ガスを樹脂組成物に含浸させるときの温度条件は、使用する不活性ガスや樹脂組成物によって適宜選択できるが、製造上の操作性等を考慮すると、例えば、10〜350℃程度とすることが好ましい。不活性ガスが含浸された状態の樹脂組成物を押し出し或いは射出等して成形と同時に発泡を行う連続方式では、60〜350℃とすることが好ましい。なお、不活性ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、上述した亜臨界状態とするために温度が20℃以上であることが好ましく、また、超臨界状態を保持するため、32℃以上がより好ましく、特に40℃以上に設定することが好ましい。不活性ガスの混合量は、特に制限されないが、発泡性や、平均気泡径のサイズの観点から、樹脂組成物全量に対して1〜15質量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜12質量%であり、さらにより好ましくは3〜10質量%である。
<方法2>
方法2では、多孔質シートを、加熱により分解して発泡ガスを発生させる熱分解型発泡剤を用いて製造する。
方法2では、樹脂組成物に、熱分解型発泡剤を添加したものを用いる。この際、樹脂組成物には、必要に応じて、架橋剤、充填剤等の任意の添加剤を配合してもよい。方法2では、バンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機で混練された樹脂組成物を、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することによりシート状に加工する。加工後、樹脂組成物を加熱することによって、熱分解型発泡剤を発泡させることで多孔質シートを得ることができる。
多孔質シートを架橋する必要がある場合には、多孔質シートを架橋した後、熱分解型発泡剤を発泡させる。あるいは、熱分解型発泡剤を発泡させた後、多孔質シートを架橋してもよい。
《方法2に用いられる発泡剤》
方法2に用いられる発泡剤は、加熱により分解して発泡ガスを発生させる熱分解型発泡剤であれば、特に限定されることなく使用できるが、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられる。これらの熱分解型発泡剤は単独で用いられてもよく2種以上が併用されてもよい。
樹脂組成物中における熱分解型発泡剤の配合量は、マトリックス樹脂100質量部に対して3〜35質量部とすることが好ましく、より好ましくは、6〜33質量部であり、さらに好ましくは、12〜32質量部である。配合量が上記範囲であれば、多孔質シートの見かけ密度を容易に0.1g/cm3以下とすることができる。
《方法2における架橋処理》
方法2において、必要に応じて実行する架橋処理は、電離性放射線による物理架橋処理であってもよいし、有機過酸化物若しくは硫黄化合物による化学架橋処理であってもよい。化学架橋処理は、通常加熱により行われる。
(化学架橋処理)
化学架橋処理に使用可能な架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、硫黄、硫黄化合物等が挙げられる。なかでも、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシクメンなどが挙げられる。
硫黄化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、一塩化硫黄、二塩化硫黄などが挙げられる。
化学架橋処理で用いる架橋剤の1分間半減期温度は、熱分解型発泡剤の分解温度よりも高いことが好ましい。このような熱分解型発泡剤及び架橋剤を用いることにより、発泡後に架橋を施すことができる。また、寸法安定性が高く、低見かけ密度・高架橋度の多孔質シートを得ることができる。ここで、熱分解型発泡剤の分解温度とは、熱分解型発泡剤が急激に分解し始める温度をいい、具体的には、熱重量分析(TG)によって昇温速度1℃/分の条件下にて測定したとき、質量が50%減少するときの温度である。
樹脂組成物中における架橋剤の配合量は、適宜、調整することができるが、マトリックス樹脂100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、0.5〜4質量部であることがより好ましい。架橋剤の配合量がこの範囲であれば、発泡剤が良好に発泡し、高い独立気泡率の多孔質シートを得ることができる。
(物理架橋処理)
物理架橋処理に用いられる電離性放射線としては、例えば、紫外線、γ線、電子線などが挙げられるが、電子線を用いることが好ましい。電子線の場合の照射量としては、添加剤の特性や多孔質シートの用途によって適宜調整することができる。例えば、0.5〜10Mradが好ましく、0.7〜5.0Mradがより好ましい。電子線源に制限はないが、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離性放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むことが好ましい。紫外線源に制限はないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
電離性放射線を用いた物理架橋処理を選択する場合には、樹脂組成物には、従来公知の光重合開始剤を適量含有させることが好ましい。
<方法3>
方法3では、多孔質シートは、メカニカルフロス法により気泡混入される。
メカニカルフロス法では、樹脂組成物をバンバリーミキサー、加圧ニーダなどの混練機でガスを注入しながら混練し気泡が形成された樹脂組成物を得る。ガスには窒素、空気、二酸化炭素、アルゴン等を用いることができる。また、樹脂組成物には、任意の添加剤が配合されていてもよい。
樹脂組成物は、その後、カレンダー、押出機、コンベアベルトキャスティングなどを用いて混練しながら連続的に搬送することによりシート状に加工されて多孔質シートとされる。
樹脂組成物は、添加剤として例えば上述する架橋剤を含有し、シート状に加工された多孔質シートは、上記した化学架橋処理がされてもよいし、上記した物理架橋処理がされてもよい。
ただし、発泡処理方法は、上記方法1〜3に記載した方法に限らず、プラスチックフォームハンドブック(牧広、小坂田篤編集 日刊工業新聞社発行 1973年)に記載されている方法を含め、種々の公知の方法を用いることができる。
[第2工程]
第2工程では、第1工程で得た多孔質シートが、厚み方向の気泡径が小さくなるとともに、MD、TD方向の気泡径が大きくなるように処理されてアスペクト比が大きくされる。具体的には、上記第1工程において得られた多孔質シートを、1軸延伸機や2軸延伸機を用いて、MD及びTD方向に延伸する方法が挙げられる。延伸は、多孔質シートに必要に応じて熱をかけることで延伸しやすくしてもよい。
なお、第2工程においては、MD及びTD方向いずれにも、多孔質シートを延伸するが、一方の方向と他方の方向に順次延伸する場合、TD方向に延伸する際は、MD方向が縮まないようにMD方向の両端を固定することが好ましい。また、MD方向に延伸する際には、TD方向が縮まないようにTD方向の両端を固定することが好ましい。順次延伸する場合には、例えば、MD方向のみに延伸した後、TD方向に延伸してもよい。さらに、延伸の際に両端を固定する冶具は、予めオーブン内に入れておくことで、シートの面内方向温度の均一性を損ないにくくなる。
また、多孔質シートが上記のように架橋される場合には、多孔質シートの延伸は、架橋する前に行ってもよいし、架橋した後に行ってもよいし、架橋しながら行ってもよい。
また、第2工程においてアスペクト比を上記範囲とする方法としては、第1工程で得た多孔質シートを厚み方向に圧縮させて気泡をつぶす方法でもよい。
また、第2工程を省略して、第1工程において、MD、TD方向に気泡が成長するように発泡を制御してもよい。
[添加剤]
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、上記した発泡剤や架橋剤以外にも必要に応じて各種の添加剤を含有させることができる。添加剤の種類は特に限定されず、多孔質体の成形に通常使用される各種添加剤を使用できる。このような添加剤としては、例えば、滑剤、収縮防止剤、充填剤、難燃剤などが挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の樹脂の発泡成形に用いられる添加量を採用できる。なお、添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
[滑剤]
滑剤は、マトリックス樹脂と発泡剤などを含む発泡前の樹脂組成物の流動性を向上させるとともに、発泡前の樹脂組成物の熱劣化を抑制する。滑剤としては、樹脂の流動性の向上に効果があるものであれば特に制限されず、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックスなどの炭化水素系滑剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ヒマシ油、ステアリン酸ステアリルなどのエステル系滑剤などが挙げられる。なお、このような滑剤は、単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。滑剤の添加量は、例えば、樹脂100質量部に対して、0.05〜30質量部程度が好ましく、より好ましくは0.8〜18質量部であり、さらに好ましくは1〜6質量部である。添加量が0.5質量部〜30質量部の範囲にあれば、流動性が高くなりすぎず、気泡破れなどによる発泡倍率の低下が防止できる。また、発泡処理時における樹脂組成物の延伸性の低下を防止でき、気泡からのガス抜けや気泡破れを防ぐことができる。
[収縮防止剤]
収縮防止剤は、多孔質シートの気泡膜の表面に分子膜を形成して発泡剤ガスの透過を効果的に抑制する作用を有する。本発明の多孔質シートに使用可能な収縮防止剤としては、発泡剤ガスの透過を抑制する効果を示すものであれば特に限定されず、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド等が挙げられる。
脂肪酸金属塩としては、具体的にはステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸のアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、バリウム、亜鉛、鉛の塩などが挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、脂肪酸の炭素数が12〜38程度、好ましくは12〜22程度の脂肪酸アミドが挙げられる。脂肪酸アミドは、モノアミド、ビスアミドのいずれであってもよいが、微細セル構造を得るためにはビスアミドが好適に用いられる。脂肪酸アミドの具体例としては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ラウリン酸ビスアミドなどが挙げられる。
なお、収縮防止剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。収縮防止剤の添加量は、例えば、マトリックス樹脂100質量部に対して、通常0.5〜10質量部、好ましくは0.7〜8質量部、さらに好ましくは1〜6質量部である。添加量が0.5〜10質量部であれば、気泡の成長過程において気泡からのガス抜けを防止でき、発泡倍率の低下を防止できる。
なお、これらの添加剤は、例えば滑剤と収縮防止剤を組み合わせて用いてもよい。例えば、ステアリン酸モノグリセリドなどの滑剤と、エルカ酸アミド、ラウリン酸ビスアミドなどの収縮防止剤を組み合わせて用いてもよい。
[充填剤]
本発明の多孔質シートを構成する樹脂組成物には、充填剤が配合されていてもよい。充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、カーボンブラック、フュームドシリカ、アルミニウムシリケート、アセチレンブラック、アルミニウム粉等が挙げられる。
[難燃剤]
本発明の多孔質シートを構成する樹脂組成物には、難燃剤が配合されていてもよい。難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物の他に、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤、ポリリン酸アンモニウムなどのリン系難燃剤などが挙げられる。
[その他の添加剤]
本発明の多孔質シートに添加することができるその他の添加剤としては、例えば、核形成剤、結晶核剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)、紫外線吸収剤、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等の酸化防止剤、酸化亜鉛等の発泡助剤、老化防止剤、収縮防止剤、補強剤、帯電防止剤、界面活性剤、加硫剤、表面処理剤などが挙げられる。
これらの添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の樹脂の発泡成形に用いられる添加量を採用できる。なお、添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の多孔質シートは、例えば、断熱材として使用されるものであり、より具体的には、建材用断熱材、食品容器、搬送容器、保冷断熱容器、搬送容器、電子機器などにおいて、例えば区画された所定の空間とその空間外部との間の熱移動を防ぐ断熱材として使用されるものであるが、特に好ましくは、断熱材を設置する空間が制限される(狭い空間に使用される)電子機器用途、特にPC、モバイル、ゲーム機器に使用されるものである。
<多孔質シート積層体>
また、本発明の多孔質シートは、例えば他の材料に積層され、積層体(多孔質シート積層体)として使用されてもよい。この場合、多孔質シート積層体としては、多孔質シートと、多孔質シートに積層され、熱伝導材料から形成された熱伝導材料層とを備えるものが挙げられる。熱伝導材料層は、熱エネルギーを分散させ、多孔質シートによって局所的に断熱することを防止し、多孔質シートの断熱性能を高めることができる。
熱伝導材料層は、断熱性、総厚み、導電性、絶縁性、コストなどの観点から自由に選択できるが、断熱性の効果を発揮するために、その熱伝導率が5W/m・K以上となるものである。熱伝導率は、断熱効果をより発揮させるために、好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは100W/m・K以上である。熱伝導率の上限に限定はないが、通常2000W/m・K以下程度である。
熱伝導材料としては、例えばグラファイトシート、アルミシート、銅シート、カーボンナノチューブ(CNT)やアルミナなどのフィラーを樹脂に混合した樹脂成形物などが挙げられる。
また、熱伝導材料層の厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。多孔質シート積層体は、熱伝導材料層の厚みを以上の範囲とすることで、薄厚でありながらも高い断熱性能を発揮することが可能になる。
多孔質シート積層体は、多孔質シートと同様に、例えば断熱材として使用されるものである。多孔質シート積層体は、例えば熱源を他の部材又は空間から断熱する場合に、熱伝導材料層を熱源側に、上記他の部材又は空間側に多孔質シートを配置することが好ましい。このような配置とすることで、熱源からの放熱は、効果的に熱伝導材料層で分散されて、多孔質シートの広い領域により遮断されることとなり、断熱効果をより高めることが可能になる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
[評価方法]
各物性の評価方法は、以下のとおりである。
[見掛け密度]
JIS K 7222に準拠して測定した。また、見掛け密度の逆数を発泡倍率とした。
[独立気泡率]
ASTM D2856(1998)に準拠して、株式会社島津製作所製:アキュピック1330を用いて測定した。
[平均気泡径]
MD、TD、厚み方向の断面をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製VH5500)を用いて拡大写真を撮り、それぞれの方向についての気泡径を測定した。各方向について測定された100個の平均値を平均気泡径として算出した。
[熱伝導率]
JIS A 1412−2(熱流計法)に準拠して測定した。
実施例1
重合触媒として四価の遷移金属を含むメタロセン化合物を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.900g/cm3:エクソン・ケミカル社製、商品名「EXAC
T3027」)100質量部、アゾジカルボンアミド5.2質量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3質量部及び酸化亜鉛1質量部からなる樹脂組成物を混練機に供給して130℃にて溶融混練して、厚さ0.8mmの樹脂組成物シートを得た。
得られた樹脂組成物シートの両面に加速電圧800kVの電子線を5Mrad照射した後、上記長尺状の樹脂組成物シートを熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持されたオーブン炉内に入れ、樹脂組成物シートを架橋、発泡させ、多孔質体を得た。
得られた多孔質体を130℃に保持されたオーブン炉内に入れて、面内の温度分布が均一になるまで保持した後、TD方向に3倍に延伸し、その後MD方向に2.5倍に延伸した。
なお、TD方向に延伸する際には、MD方向が縮まないようにMD方向の両端を、MD方向を延伸する際には、TD方向が縮まないようにTD方向の両端を固定して延伸を行った。固定冶具は、分割されており、延伸方向に延伸されるのと同時に冶具間の距離が延伸方向に離れるものを使用した。また、延伸に用いた両端を固定する冶具は、予めオーブン内に入れておくことで、シートの面内方向温度の均一性を損ねないようにした。こうして延伸して得られた多孔質シートを本発明の実施例1に係る多孔質シートとした。
比較例1
TD及びMD方向における延伸を行わなかった以外は、実施例1と同様に実施して得られた多孔質シートを比較例1に係る多孔質シートとした。
実施例2
重量平均分子量が120,000g/molのSigma−Aldrich社製PMMA100質量部に、核形成剤として、0.25質量部の多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Sigma−Aldrich社製POSS)を添加した。この混合物を200℃に昇温したプラストミルで均一分散するように5分間攪拌した。その後に厚みが1.0mmとなるようにプレス加工し、シート状成形物を得た。得られたシート状成形物を、高圧容器(オートクレーブ)に入れてCO2を供給し、33MPaで50℃の条件で12時間保管し、CO2を含浸させた。その後、圧力を完全に開放して圧力容器からシート状成形物を取り出し、直ちに95℃のオイルバスに直接投入し、3分間放置した。オイルバスに投入されたシート状成形物は、発泡を開始して3分後には多孔質体を得ることができた。得られた多孔質体は、厚みが2.4mm、見かけ密度が0.091g/cm3であった。
得られた多孔質体を230℃に保持されたオーブン炉内に入れて、面内の温度分布が均一になるまで保持した後、縦方向(MD方向)に3倍に延伸し、その後横方向(TD方向)に2.5倍に延伸した。
なお、縦方向に延伸する際には、横方向が縮まないように横方向の両端を、縦方向を延伸する際には、横方向が縮まないように横方向の両端を固定して延伸を行った。固定冶具は分割されており、延伸方向に延伸されるのと同時に冶具間の距離が延伸方向に離れていくものを使用した。また、延伸に用いた両端を固定する冶具は、予めオーブン内に入れておくことで、シートの面内方向温度の均一性を損ねないようにした。こうして延伸して得られた多孔質シートを本発明の実施例2に係る多孔質シートとした。
比較例2
実施例2における延伸条件を縦方向(MD方向)1.5倍、続いて横方向(TD方向)1.5倍の延伸倍率で行った。縦方向に延伸する際に横方向は縮んでもよい様に特に冶具を取り付けず、同様に横方向を延伸する際には縦方向は縮んでもよい様に特に冶具を取り付けないで、延伸した。延伸条件以外は実施例2と同様にして本発明の比較例2を得た。
上記各実施例、比較例の多孔質シートの評価結果を表1に示す。
Figure 2015091920

Claims (13)

  1. 以下の要件(A)〜(D)を満足する多孔質シート。
    (A)多孔質シートの独立気泡率が60%以上である
    (B)多孔質シートの厚み方向の平均気泡径が50μm以下である
    (C)MD方向、TD方向および厚み方向の平均気泡径をそれぞれx、y、z(μm)としたときに以下の式(1)の条件を満たすものである
    x/z≧2、かつ y/z≧2 ・・・(1)
    (D)多孔質シートの見掛け密度が0.2g/cm3以下である。
  2. 厚みが1mm以下である請求項1に記載の多孔質シート。
  3. 前記厚み方向の平均気泡径が5μm以下である請求項1又は2に記載の多孔質シート。
  4. 見掛け密度をa(g/cm3)、x/zとy/zの積(xy/z2)をbとしたとき、以下の式(2)を満たす請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質シート。
    b/(a×z)≧5 ・・・(2)
  5. 超臨界状態で含浸された不活性ガスにより気泡が形成される請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質シート。
  6. マトリックス樹脂としてポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂から選択されるものを含有する請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質シート。
  7. 厚み方向の平均気泡径が0.1〜1μmである請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質シート。
  8. x/z及びy/zのいずれも10以上である請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質シート。
  9. 断熱材である請求項1〜8のいずれかに記載の多孔質シート。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の多孔質シートの製造方法であって、
    気泡が形成された多孔質シートを得る第1工程と、第1工程で得た多孔質シートを、厚み方向の気泡径が小さくなるとともに、MD及びTD方向の気泡径が大きくなるように処理する第2工程を含む多孔質シートの製造方法。
  11. 前記第2工程は、多孔質シートをMD及びTD方向に延伸させて行われる請求項10に記載の多孔質シートの製造方法。
  12. 前記第1工程は、10MPa以上の高圧下で、マトリックス樹脂に不活性ガスを含浸させる工程を含む請求項10又は11に記載の多孔質シートの製造方法。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載の多孔質シートと、該多孔質シートに積層される熱伝導率が5W/m・K以上の熱伝導材料層とを備える多孔質シート積層体。
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