JP2011073735A - 電子レンジのための食品用容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子レンジで加熱しても過熱むらやパサつきの生じない食品用容器を提案する
【解決手段】本発明の食品用容器は、食品収納スペースの下部に蒸気を発生するための液体を配することにより、電子レンジを利用するときに蒸気による加熱を可能とした食品用容器である。本発明の食品用容器は、シューマイや総菜のように小さく分けられた食品に限らずチャーハンのようにひとつにまとまった食品も収納できる広い食品収納スペースを確保しながら、同時に蒸気が食品収納スペースに流入するための十分な空間を確保し、また食品の重量を支えるための十分な強度を簡易な構造にて実現した。また、食品用容器の上部には電子レンジからのマイクロ波の直接の照射を制限するためのシールド材料を配することにより、食品をもっぱら蒸気により過熱することを可能として、過熱むらやパサつきを抑えることを可能とした。
【選択図】図6
【解決手段】本発明の食品用容器は、食品収納スペースの下部に蒸気を発生するための液体を配することにより、電子レンジを利用するときに蒸気による加熱を可能とした食品用容器である。本発明の食品用容器は、シューマイや総菜のように小さく分けられた食品に限らずチャーハンのようにひとつにまとまった食品も収納できる広い食品収納スペースを確保しながら、同時に蒸気が食品収納スペースに流入するための十分な空間を確保し、また食品の重量を支えるための十分な強度を簡易な構造にて実現した。また、食品用容器の上部には電子レンジからのマイクロ波の直接の照射を制限するためのシールド材料を配することにより、食品をもっぱら蒸気により過熱することを可能として、過熱むらやパサつきを抑えることを可能とした。
【選択図】図6
Description
本発明は、冷凍された複数種類の料理を配置可能な容器であり、電子レンジを用いて容器本体に溜められた水を水蒸気化し、料理を解凍、加熱して調理することができる食品用容器に関するものである。
電子レンジは、マイクロ波が食品内部に含有されている水分を加熱することにより、解凍・加熱を行う。食品内部の水分は必ずしも均一に含有されているわけではないので、「加熱むら」が生じ、また、加熱された食品内部の水分は蒸発により消失するため、結果として「パサつき」が生じてしまう。
このような問題を解決するために、特許文献1においては、電子レンジで加熱したとき、水分が優先的に加熱され蒸気になりやすい性質を踏まえて、発生した蒸気が包装袋体を満たして膨らませ、当該袋体内を蒸気が対流して収納された食品を蒸すことができるようにした電子レンジ用蒸し機能付き食品包装袋体と当該蒸し機能付き食品包装袋体入り冷凍食品が提案されている。
また、特許文献2では、電子レンジで弁当等を収納した容器を加熱調理する際に、米飯などの加熱したいもののみを温め、サラダなどの加熱してほしくないものは温めないために、複数の収納部を有するマイクロ波透過性容器本体とこの容器本体の開口部を閉じるマイクロ波透過性蓋とによって形成し、少なくとも一つの収納部に加熱すべき内容物を収納し、他の少なくとも一つの収納部に、非加熱内容物を充填したマイクロ波遮蔽性容器を収納するようにした電子レンジ調理用容器が提案されている。
特許文献1は、加熱調理済みのギョーザやシュウマイや小龍包や中華饅頭を冷凍したものが電子レンジ処理時に表面部分の過度の乾燥による食感の劣化を防止することを解決課題とする。これらの食品は表面が乾燥しやすい薄い膜で覆われていることを特徴とするから、電子レンジ処理時に包装袋体内を蒸気で満たして表面の乾燥を防ぐことが特に有効であると考えられる。しかし、米飯や肉野菜など特に表面が薄皮で覆われているわけではない一般の食材については、表面のみならず食材内部の食感も軽視できない。特許文献1のように蒸気による加熱を用いながらも同時にマイクロ波による加熱も併行して行う場合には、食品内部の水分の偏在により過熱むらが発生することが避けられない。また、食品の表面部において蒸気によりしっとりとした食感を得ることができても、食品内部ではマイクロ波により水分が失われパサつきが避けられない。
また、特許文献1の食品包装袋体は、食品を収納するための中敷体の構造において、中敷体下部の空間において発生させた蒸気を中敷体上部へ逃がすための通路を確保するために中敷体を間仕切りにより細かく区切っている。しかし、このような構造はシューマイなどの食品を収納するには問題ないが、チャーハンやカレーライスを収納する容器としては適切でない。
特許文献2は、サラダなどの食材についてマイクロ波遮蔽性容器を用いて米飯など他の食材の加熱時における非加熱を実現している。当文献においても、マイクロ波での加熱処理をする食材については、過熱むらやパサつきが避けられないのは言うまでもない。
請求項1に記載の第一発明は、底部に氷または水を配することが可能で、容器口周縁につばを備えた容器本体と、容器本体のつばによって支えられるように内壁を外側に折り返してなるスカート状周壁と、スカート状周壁に容器本体底部の氷または水が加熱されて発生する蒸気を通すようにした周壁蒸気口と、を有する盛付皿と、盛付皿に被せられる蓋と、からなる食品用容器、に関する。
請求項2に記載の第二発明は、内壁を外側に折り返す領域に前記蒸気を通すようにした折返蒸気口を設けた請求項1に記載の食品用容器、に関する。
請求項3に記載の第三発明は、周壁蒸気口は、スカート状周壁の部分を上方に押し上げるようにして前記つばとスカート状周壁との間に作られる隙間である請求項1または2に記載の食品用容器、に関する。
請求項4に記載の第四発明は、容器本体と、盛付皿の周壁外形は、平面視で多角形であり、盛付皿の内壁形状は、円形であって、前記折返蒸気口は、盛付皿の角領域に配置され、前記周壁蒸気口は、盛付皿周壁の多角形の各辺に設けられている請求項2に従属する請求項3に記載の食品用容器、に関する。
請求項5に記載の第五発明は、前記蓋は、盛付皿上に充満する蒸気を逃がす蒸気逃口を有する請求項1から4のいずれか一に記載の食品用容器、に関する。
請求項6に記載の第六発明は、前記蓋は、その周壁部に蒸気の流通を促進する突起部を有する請求項1から5のいずれか一に記載の食品用容器、に関する。
請求項7に記載の第七発明は、前記蓋は電磁シールド効果を有するシールド蓋である請求項1から6のいずれか一に記載の食品用容器、に関する。
請求項8に記載の第八発明は、請求項4に記載の盛付皿、に関する。
請求項9に記載の第九発明は、容器本体の底部に氷または水を配し、盛付皿に冷凍状態の料理を盛りつけた請求項1から6のいずれか一に記載の食品用容器の蓋にさらに電磁シールド効果を有する外蓋を被せ、電子レンジにて加熱する料理の準備方法、に関する。
請求項10に記載の第十発明は、平面視で多角形の容器本体と、容器本体に底上げ状態で配される盛付皿と、蓋と、からなる食品用容器の製造方法であって、容器本体を準備する容器本体準備工程と、塑性変形素材からなる円形カップの内周壁の周縁部を外側に折り返してスカート状周壁を形成するスカート状周壁形成サブ工程と、折返蒸気口を折返領域の中の角領域にパンチングにより形成するパンチングサブ工程と、多角形の辺の部分のスカート状周壁の裾の部分を上方に押し上げる押上サブ工程と、によって盛付皿を形成する盛付皿形成工程と、蓋を準備する蓋準備工程と、を含む食品用容器形成方法、に関する。
本発明の食品用容器は、食品収納スペースの下部に蒸気を発生するための液体を配することにより、電子レンジを利用するときに蒸気による加熱を可能とした食品用容器である。本発明の食品用容器は、シューマイや総菜のように小さく分けられた食品に限らずチャーハンのようにひとつにまとまった食品も収納できる広い食品収納スペースを確保しながら、同時に蒸気が食品収納スペースに流入するための十分な空間を確保し、また食品の重量を支えるための十分な強度を簡易な構造にて実現した。また、食品用容器の上部には電子レンジからのマイクロ波の直接の照射を制限するためのシールド材料を配することにより、食品をもっぱら蒸気により過熱することを可能として、過熱むらやパサつきを抑えることを可能とした。
以下本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明はこれら実施の形態になんら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
実施例1は、第一から第八の発明に関する。実施例2は第九発明に関する。実施例3は第十発明に関する。
実施例1は、電子レンジのための食品用容器に関する。図1に実施例1の食品用容器の一例を示す。それは、容器本体(0101)と、盛付皿(0102)と、蓋(0103)とからなる。図2は、実施例1の食品用容器を用いて電子レンジ内で食品を温める場合の概略図である。盛付皿(0201)は、容器本体(0202)周縁のつば(0203)によって支えられるように戴置されて、盛付皿の下部に水(0204)などを配するための空間を構成するとともに、盛付皿の周壁部には、盛付皿下部空間において発生した蒸気が盛付皿上部に移動するための通路を形成するように構成されている。さらに、盛付皿上部には蓋(0205)が被せられる。盛付皿と蓋の間の空間には食品(0206)が収納される。盛付皿の下部の空間には、水、氷など加熱時に蒸気を発するものが配される。これが電子レンジにより過熱されると、それにより発生した蒸気は盛付皿の周壁部と容器本体の間に形成された隙間を通って食品が収容された盛付皿上部の空間に流入する。盛付皿の上に収納された食品はその蒸気により温められる。蓋にはマイクロ波を遮断する電磁シールド材料を使うことも可能で、その場合にはマイクロ波が食品に直接照射されることは大幅に抑えられ、食品はもっぱら蒸気で蒸されることによって温められ、過熱むらやパサつきのない料理をつくることができる。
第一発明は、実施例1の食品用容器の最も基本的な構成要素からなる食品用容器、に関する。その構成要素は、第二から第七の発明の食品用容器にも共通する要素である。
第一発明は、底部に氷または水を配することが可能で、容器口周縁につばを備えた容器本体と、容器本体のつばによって支えられるように内壁を外側に折り返してなるスカート状周壁と、スカート状周壁に容器本体底部の氷または水が加熱されて発生する蒸気を通すようにした周壁蒸気口と、を有する盛付皿と、盛付皿に被せられる蓋と、からなる食品用容器、に関する。
実施例1の「食品用容器」に収納される「食品」は冷凍された食品であることが多いが、冷凍状態のものに限定するものではなく、冷蔵状態や常温状態の食品なども含むものである。また、食品には、加熱調理が完全に行われた後に冷凍されたものだけでなく、完全に加熱される前の段階で冷凍された食品をも含む。前者においては、解凍により喫食に好適な状態となり、後者においては、解凍の後にさらに所定の加熱を行うことにより喫食に好適な状態となる。
「容器本体」は、電子レンジで加熱して水蒸気を発生させるための水を溜めるように形成される。図3に実施例1の食品用容器の容器本体を示す。容器本体(0301)は容器口周縁外側に張り出した「つば」(0302)を有する。また、その「底部」(0303)には「氷または水を配することが可能」に構成される。容器本体の底部に溜められる水は電子レンジが作動するとマイクロ波の照射を受け加熱され水蒸気となる。この水蒸気の一部は、マイクロ波の照射によりさらに加熱されることにより過熱水蒸気となる。底部に溜められる水の量は、盛り付けられた料理の材料や質量、電子レンジの出力等の諸条件に応じて定められ、また、水の温度については、高温である場合が好ましい。高温であるほど速やかに水蒸気となり、短時間での調理が可能となるからである。また、短時間であるほど、マイクロ波の照射による「加熱むら」や「パサつき」の発生が抑制される。なお、氷や水には風味を付けてもよい。風味付けには、出汁や松茸や茶などを用いることができる。容器本体の素材としては例えば発泡スチロールが考えられるが、機能として底部に水を溜めることができ、熱による変形をおこさないように耐熱性を有し、水蒸気を生じさせることが可能な程度のマイクロ波の透過性を有することで足りる。その形状、大きさ等は図3に示したものに限定されるものではなく、例えば、形状については丸、四角、その他の多角形であってもよい。
図4は、実施例1の食品用容器の盛付皿の平面図及び正面図である。盛付皿は、「容器本体のつばによって支えられるように内壁を外側に折り返してなるスカート状周壁」(0401)を有する。また、盛付皿は、「スカート状周壁に容器本体底部の氷または水が加熱されて発生する蒸気を通すようにした周壁蒸気口」(0402)を有する。「スカート状周壁」は、盛付皿周縁部の内壁を外側に折り返してなる点を構造上の特徴とし、容器本体のつばの上に盛付皿を戴置する際に盛付皿を支える役割と、盛付皿下部の蒸気を上部に送り出すための流路のための空間を確保する役割とを有する。図5は、実施例1の食品用容器において「周壁蒸気口」により構成される蒸気の流路を確保する隙間を表す図である。周壁蒸気口(0501)は、盛付皿(0502)が容器本体(0503)のつば(0504)の上に戴置された際に、スカート状周壁(0505)とつばの間に隙間(0506)を構成することにより、蒸気を盛付皿外部に出す。周壁蒸気口の一例を紹介したが、第一の発明における周壁蒸気口は上記のように隙間として構成されるものに限られない。スカート状周壁に開けられた穴であってもよい。
図6は、周壁蒸気口周辺部における蒸気の流れを示す図である。上図は、容器本体に盛付皿及び蓋を設置した状態の食品用容器の平面図である。蓋が透明な素材でできており内部の盛付皿が透視できるものとして描いている。上図の食品用容器中央近辺から多角形の辺の一つの中央部に向かって左側にひかれた一点破線における断面図が下図である。下図内の矢印は水蒸気が流れる方向を表している。容器本体(0601)に溜められた水(0602)は電子レンジからのマイクロ波の照射を受けて水蒸気を発生させ、この高温の水蒸気が、盛付皿(0603)下部の盛付皿下部空間(0604)に充満する。盛付皿下部空間の蒸気は折り返す領域(0605)の下に流れ込み、周壁蒸気口(0606)下の隙間(0607)から盛付皿外部に流れ出す。さらに、蒸気はスカート状周壁と蓋の間を通って食品(0608)が収納された盛付皿上部空間(0609)に滞留する。
盛付皿に収納された食品は、盛付皿下部空間に充満した蒸気と盛付皿上部空間に充満した蒸気の両方の蒸気により上下から加熱される。また、チャーハンのような食品にあっては容器中央ほど食品が厚く盛られることが多いが、水が最も活発に蒸気化する容器本体中央部において最もよく加熱されることから、このような場合であってもむらなく蒸し上げることができる。
盛付皿は以上のような構造と機能を有するものであれば足り、大きさ等は図4に示したものに限定されるものではなく、例えば、形状については丸、四角、その他の多角形であってもよい。ただし、容器本体のつばの上に戴置できるように容器本体と整合性のある形状でなければならないことは言うまでもない。その素材は、耐熱性のあるポリプロピレンなどが考えられる。なお、図4において平面図の正八角形の各頂点近辺に開けられた八つの穴は第一発明に必須のものではない。
「蓋」は盛付皿に被せられるようにして、容器本体に装着される。容器本体と蓋との装着部は蒸気が食品用容器外部に不必要に漏れ出さないように密着している。また、図6で説明したように蒸気が盛付皿上部空間に流れ込めるように蓋と盛付皿のスカート状周壁との間に適切な隙間を構成する。さらに、蓋天井部にできた水滴が食品の上に落下しないよう水滴を蓋周辺部に誘導するための溝を蓋中央部から蓋周辺部に向けて形成してもよい。蓋の素材は耐熱性を有するプラスチック等の塑性変形素材であってもよいし、金属であってもよい。
このように、第一の発明の食品用容器は、蒸気を利用して食品を温めることにより電子レンジで加熱する際の過熱むらやパサつきを抑える効果を有する。
第二発明は、第一の発明の食品用容器であって、内壁を外側に折り返す領域に蒸気を通すための折返蒸気口をさらに設けて蒸気の通気性を高めた食品用容器に関する。
第二の発明は、内壁を外側に折り返す領域に前記蒸気を通すようにした折返蒸気口を設けた請求項1に記載の食品用容器、に関する。
図4の平面図に描かれた盛付皿は正八角形の形状をしているが、正八角形の頂点内側近辺で内壁を外側に折り返す領域に開けられた八つの穴が「折返蒸気口」の一例である。折返蒸気口(0403)は、内壁を外側に折り返す領域(0404)に形成される。「折り返す領域」とは、盛付皿外周の外側下向きに下がったスカート状周壁(0401)と食品収納部内壁(0405)に挟まれた凸状部先端近辺をいう。折り返す領域は図のように平面であってもよいが、曲面であってもよい。この折り返し領域に折返蒸気口を形成するのは、第一発明の盛付皿を形成したのちにさらに蒸気の通気口を確保する工程においてパンチングにより一度に穴を形成できるという利点がある。
図7は、折返蒸気口周辺部における蒸気の流れを示す図である。上図は食品用容器の平面図であり、食品用容器中央近辺から多角形の頂点の一つに向かって左側にひかれた一点破線における断面図が下図である。周壁蒸気口下の隙間からだけでなく、折り返す領域(0701)に設けられた折返蒸気口(0702)からもさらに蒸気が盛付皿上部空間(0703)に流れだしている。
このように、第二発明は、折返蒸気口を設けることにより、電子レンジによる蒸気での加熱方法において、さらに効率よく食品を温めることを可能にした。
第三発明は、第一発明または第二発明の食品用容器であって、前記「周壁蒸気口は、スカート状周壁の部分を上方に押し上げるようにして前記つばとスカート状周壁との間に作られる隙間である」ことを特徴とする食品用容器に関する。
第三の発明は、周壁蒸気口は、スカート状周壁の部分を上方に押し上げるようにして前記つばとスカート状周壁との間に作られる隙間である請求項1または2に記載の食品用容器、に関する。
第三発明の食品用容器における周壁蒸気口の具体的形態についてはすでに図4と図5を用いて説明した。「スカート状周壁の部分を上方に押し上げるように」して周壁蒸気口を形成する理由は、加工の容易さにある。スカート状周壁の端の部分を熱した金属部材等で押し上げることにより容易に加工することができる。
第四発明の食品用容器は、第二の発明に従属する第三の発明の食品用容器であって、盛付皿の周壁外形を多角形とする一方で食品を収納するための内壁は円形とし、また折返蒸気口は盛付皿の角領域に配置し、さらに周壁蒸気口は多角形の各辺に設けることにより、盛付皿に収納された食品を支えるための強度を犠牲にすることなく蒸気の通気口を確保することを可能にしている。
第四の発明は、容器本体と、盛付皿の周壁外形は、平面視で多角形であり、盛付皿の内壁形状は、円形であって、前記折返蒸気口は、盛付皿の角領域に配置され、前記周壁蒸気口は、盛付皿周壁の多角形の各辺に設けられている請求項2に従属する請求項3に記載の食品用容器、に関する。
第四の発明の食品用容器の形態の一例は、図2で説明した通り、容器本体は正八角形であり、また、盛付皿は、外壁外形が正八角形であり、内壁形状が円形の食品用容器である。もちろん、容器本体と盛付皿の周壁外形は正八角形に限らず、その他の多角形でもよい。また、盛付皿の角領域に配置された折返蒸気口の例は、図4にて説明した。また、スカート状周壁の多角形の各辺に設けられた周壁蒸気口の例は図4及び図5にて説明した。
第四の発明の食品用容器は、多角形の周壁と円形の内壁の組み合わせが美的に優れているという長所を有する。また、この多角形と円形の組み合わせにおいては、盛付皿の角領域に折返蒸気口をもうける十分なスペースが確保できる。折返蒸気口を折り返し領域の辺領域に形成すると盛付皿の強度が弱まる。蒸気の加熱により容器素材が柔らかくなる場合には特にこの点が問題となる。第四の発明の食品用容器は折返蒸気口を折り返し領域の角領域に形成することで強度の問題を解決している。さらに、周壁蒸気口は角領域を避けて多角形の各辺に設けることで食品の重量を支えるための十分な強度を確保できるという利点を有する。
第五発明の食品用容器は、第一から第四の食品用容器であって、蓋に蒸気を逃がすための蒸気逃口を設け、加熱中に蒸気により蓋が外れたり容器が破裂したりすることを防止するものである。
第五の発明は、前記蓋は、盛付皿上に充満する蒸気を逃がす蒸気逃口を有する請求項1から4のいずれか一に記載の食品用容器、に関する。
図8は、実施例1の食品用容器の蓋の一例を表す図である。この例では蓋(0801)は耐熱性の樹脂でできており、蓋の天井部の数か所に蒸気逃口(0802)が設けられる。蒸気逃口は、蓋天井部にU字型の切れ目を入れてU字先端部を外側にやや折り曲げることで構成される。このような形状は、蒸気圧が高まった場合にはU字型のつめが大きく上部に折れ曲がることにより蒸気を効率よく外に逃がす一方、蒸気圧が低い時には隙間を狭くして蒸気を必要以上に逃がさないことを可能にするものである。また、U字型の加工は切りくずを生じないため、切りくずが食品に混入する危険を回避するものでもある。周壁蒸気口や折返蒸気口から盛付皿上部空間に流入した蒸気が食品を温める前に外部に流出してしまわないよう、蒸気逃口は蓋の中心に近い部分に複数個形成することが望ましい。
蒸気逃口は上記の例に限られない。例えば、蓋が金属で形成されているような場合には、ばねの力により蒸気圧に合わせて逃げ口の大きさを変えることのできる圧力弁としてもよい。
第六の発明は、蓋の周壁に、周壁蒸気口からの蒸気が上部に効率よく抜け出すための突起部を設けた上記第一ないし第五の食品用容器に関する。
第六の発明は、前記蓋は、その周壁部に蒸気の流通を促進する突起部を有する請求項1から5のいずれか一に記載の食品用容器、に関する。
図8は再び実施例1の食品用容器の蓋の一例を表す図である。蓋の周壁に突起部(0803)が設けられている。突起部は蓋が容器本体に装着された際に、突起部下部が盛付皿の周壁蒸気口近辺となるよう構成される。周壁蒸気口下部の隙間から噴出した蒸気は突起部により広い流路を確保され容易に上部へと抜け出すことが可能となる。また、突起部は蓋自体の強度を高めるという効果も有する。
第七発明の食品用容器は、電磁シールド効果を有するシールド材で蓋を形成することで、食品へのマイクロ波の直接照射を制限し、食品をもっぱら蒸気により過熱することにより、過熱むらやパサつきをさらに抑えることのできる食品用容器である。
第七発明は、前記蓋は電磁シールド効果を有するシールド蓋である請求項1から6のいずれか一に記載の食品用容器、に関する。
「電磁シールド効果」とは、電子レンジから照射されるマイクロ波を反射等し、マイクロ波の内部進入を制限する効果をいう。この蓋で盛付皿の上面を覆うことにより、盛付皿に盛り付けられた食品に対する直接的なマイクロ波の照射を軽減することができ、「加熱むら」や「パサつき」などにより食感や風味が損なわれることが抑制される。
第九発明は、第四発明の盛付皿である。この盛付皿については第四の発明の説明においてすでに述べた。
第四発明の盛付皿は、多角形の周壁と円形の内壁の組み合わせを有し、美的に優れている。また、この組み合わせにおいて盛付皿の角領域に折返蒸気口を設ける十分なスペースが確保できることを利用しており、また、周壁蒸気口は角領域を避けて多角形の各辺に設けることで食品の重量を支えるための十分な強度を確保できている点において機能的にも優れている。
実施例2は第九の発明に関する。第九の発明は、電磁シールド効果をもたない第一から第六の発明に係る食品用容器のうえに、電磁シールド効果を有する外蓋を被せ、電子レンジにて食品用容器内部の食品を加熱する料理の準備方法に関する。
第九発明は、容器本体の底部に氷または水を配し、盛付皿に冷凍状態の料理を盛りつけた請求項1から6のいずれか一に記載の食品用容器の蓋にさらに電磁シールド効果を有する外蓋を被せ、電子レンジにて加熱する料理の準備方法、に関する。
「電磁シールド効果を有する外蓋」は、第七発明の蓋と同様のものである。
図9は、実施例2の料理準備方法の手順を示す流れ図である。まず、容器本体の底部に氷または水を配し、盛付皿に冷凍状態の料理を盛り付けた第一から第六のいずれかの発明の食品用容器を準備する(ステップS0901)。次にステップS0901で用意した食品用容器の上に電磁シールド効果を有する外蓋を被せる(ステップS0902)。さらに、ステップS0902にて外蓋を被せた食品用容器を電子レンジ内に配置し加熱調理する(S0903)。
電磁シールド効果を有する蓋は通常の蓋と比べると製造の費用がかかるものであるため、食品を内部に収納して販売するための食品用容器としては、電磁シールド効果をもたない蓋を用いた食品用容器とし、その調理において電磁シールド効果を有する蓋を繰り返し利用することにより、経済効率においても優れた調理方法を実現するものである。
実施例3は第十の発明に関する。第十発明は、第四発明の食品用容器の形成方法に関する。
第十発明は、平面視で多角形の容器本体と、容器本体に底上げ状態で配される盛付皿と、蓋と、からなる食品用容器の製造方法であって、容器本体を準備する容器本体準備工程と、塑性変形素材からなる円形カップの内周壁の周縁部を外側に折り返してスカート状周壁を形成するスカート状周壁形成サブ工程と、折返蒸気口を折返領域の中の角領域にパンチングにより形成するパンチングサブ工程と、多角形の辺の部分のスカート状周壁の裾の部分を上方に押し上げる押上サブ工程と、によって盛付皿を形成する盛付皿形成工程と、蓋を準備する蓋準備工程と、を含む食品用容器形成方法、に関する。
「平面視で多角形の容器本体と、容器本体に底上げ状態で配される盛付皿と、蓋と、からなる食品用容器」とは、第四発明の食品用容器である。
図10は、実施例3の食品用容器形成方法の手順を示す流れ図である。
「容器本体を準備する容器本体準備工程」では、上記食品用容器の容器本体を準備する(ステップS1001)。
盛付皿形成工程は、スカート状周壁形成サブ工程、パンチングサブ工程及び押上サブ工程からなる。
スカート状周壁形成サブ工程は「塑性変形素材からなる円形カップの内周壁の周縁部を外側に折り返してスカート状周壁を形成する(ステップS1002)。」このような工程は、内部に盛付皿の形状の空間を持った鋳型に樹脂を流し込んだり、表面を盛付皿の形状に加工した凹凸一組の型の間に平らな塑性変形樹脂を常温または高温にてはさんで圧延したりすることで形成することができる。
「折返蒸気口を折返領域の中の角領域にパンチングにより形成するパンチングサブ工程(ステップS1003)」は、先端が折返蒸気口の形をし、かつその先端外周が鋭利な突起部と、周縁部が同じく鋭利で折返蒸気口の形をした穴を有する本体とからなるパンチング工具にて、上記スカート状周壁形成工程により形成された盛付皿の角領域を挟み込むことにより実現される。
「多角形の辺の部分のスカート状周壁の裾の部分を上方に押し上げる押上工程(ステップS1004)」は、盛付皿を固定したうえで熱をもった金属部品により多角形の辺の部分のスカート状周壁の裾を押し上げることにより実現される。
「蓋を準備する蓋準備工程」は蓋を準備する(ステップS1005)。
0601 容器本体
0602 水
0603 盛付皿
0604 盛付皿下部空間
0605 折り返す領域
0606 周壁蒸気口
0607 隙間
0608 食品
0609 盛付皿上部空間
0602 水
0603 盛付皿
0604 盛付皿下部空間
0605 折り返す領域
0606 周壁蒸気口
0607 隙間
0608 食品
0609 盛付皿上部空間
Claims (10)
- 底部に氷または水を配することが可能で、容器口周縁につばを備えた容器本体と、
容器本体のつばによって支えられるように内壁を外側に折り返してなるスカート状周壁と、スカート状周壁に容器本体底部の氷または水が加熱されて発生する蒸気を通すようにした周壁蒸気口と、を有する盛付皿と、
盛付皿に被せられる蓋と、
からなる食品用容器。 - 内壁を外側に折り返す領域に前記蒸気を通すようにした折返蒸気口を設けた請求項1に記載の食品用容器。
- 周壁蒸気口は、スカート状周壁の部分を上方に押し上げるようにして前記つばとスカート状周壁との間に作られる隙間である請求項1または2に記載の食品用容器。
- 容器本体と、盛付皿の周壁外形は、平面視で多角形であり、盛付皿の内壁形状は、円形であって、前記折返蒸気口は、盛付皿の角領域に配置され、前記周壁蒸気口は、盛付皿周壁の多角形の各辺に設けられている請求項2に従属する請求項3に記載の食品用容器。
- 前記蓋は、盛付皿上に充満する蒸気を逃がす蒸気逃口を有する請求項1から4のいずれか一に記載の食品用容器。
- 前記蓋は、その周壁部に蒸気の流通を促進する突起部を有する請求項1から5のいずれか一に記載の食品用容器。
- 前記蓋は電磁シールド効果を有するシールド蓋である請求項1から6のいずれか一に記載の食品用容器。
- 請求項4に記載の盛付皿。
- 容器本体の底部に氷または水を配し、盛付皿に冷凍状態の料理を盛りつけた請求項1から6のいずれか一に記載の食品用容器の蓋にさらに電磁シールド効果を有する外蓋を被せ、
電子レンジにて加熱する料理の準備方法。 - 平面視で多角形の容器本体と、容器本体に底上げ状態で配される盛付皿と、蓋と、からなる食品用容器の製造方法であって、
容器本体を準備する容器本体準備工程と、
塑性変形素材からなる円形カップの内周壁の周縁部を外側に折り返してスカート状周壁を形成するスカート状周壁形成サブ工程と、
折返蒸気口を折返領域の中の角領域にパンチングにより形成するパンチングサブ工程と、
多角形の辺の部分のスカート状周壁の裾の部分を上方に押し上げる押上サブ工程と、
によって盛付皿を形成する盛付皿形成工程と、
蓋を準備する蓋準備工程と、
を含む食品用容器形成方法。
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