JP2011072642A - 積層型吸収性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】液体保持性、液拡散性及び吸収保液量等の吸収特性に優れながらも、特に、捩れ、シワ等の変形に対する耐変形性に優れる積層型吸収性シートを提供すること。
【解決手段】吸収側の第1シートの層と、非吸収側の第2シートの層と、第1シートの層及び第2シートの層の間の高吸水性ポリマーの層とを含む積層型吸収性シートであって、第1シート及び/又は第2シートが嵩高吸収紙であり、上記嵩高吸収紙が、当該嵩高吸収紙中に分散され、そして加熱により膨張された熱膨張性粒子を含むことを特徴とする積層型吸収性シート。
【選択図】図13

Description

本発明は、生理用ナプキンやおむつ等の吸収性物品の吸収体に用いられる積層型吸収性シートに関する。本発明は、特に、使用中の捩れ、変形が少なく、且つ液体保持性、液拡散性及び液体保持性に優れる積層型吸収性シートに関する。
生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の吸収性物品には、厚みが薄いが、吸収力が高い製品が要望されており、エコロジー、エコノミー及び品質向上の観点から今後その傾向がさらに高まると予測される。この様な要望に対して、従来から、吸収体に高吸水性ポリマーを用いて吸収性を高めつつ、他の繊維材料を減量化し、吸収性物品の薄型化を図る検討がなされてきた。
高吸水性ポリマーを用いた吸収体構造の変遷は、第1世代から、現在の第4世代に至っている。第1世代の吸収体は、高吸水性ポリマー粒子を吸水紙でサンドイッチ状に一体化したポリマーシートを作成し、吸水紙、フラッフパルプ等から構成される他の吸収体材料と重ね合わせる構造を有していた。第2世代の吸収体は、フラッフパルプ層中に直接高吸水性ポリマー粒子が散布された構造を有していた。第3世代の吸収体は、第2世代よりも高吸水性ポリマー粒子量を増やし且つフラッフパルプの量を少なくした構造を有していた。
現在進行中の第4世代の吸収体では、さらなる省資源化及び薄型化のため、高吸水性ポリマーシート主体の吸収体構造、さらには高吸水性ポリマーシートのみから構成される吸収体構造が目標とされており、高吸水性ポリマー、その基材シート、高吸水性ポリマーの基材シートへの固着方法等が種々検討されている。
しかし、高吸水性ポリマーの比率を高くして吸収体を薄型化すると、吸収体が捩れやすくなり、さらに液体を吸収して膨潤した高吸水性ポリマーが、ゲルブロッキング現象を生じさせ、吸収阻害が生じ、漏れやすくなる。
特に第4世代で目標としているポリマーシート主体の吸収体構造では、上記欠点が顕著である。
上記欠点を解決するために、種々の検討がなされており、例えば、特許文献1には、繊維粗度0.3以上又は断面真円度0.5〜1のセルロース繊維又は架橋セルロース繊維等の嵩高セルロース繊維を使って抄造した湿潤状態の紙シート上に、高吸水性ポリマーを散布し、次いで別の繊維集合体をその上に重ねて乾燥して一体化する方法により、内部に上記ポリマーが分散配置され、ポリマー脱落がなく、ゲルブロッキング現象を生じない薄い吸収性シートが得られることが開示されている。
特許文献2には、不織布基材上に散布したポリマー粒子を、繊維の太さとメッシュの疎密の異なる2種のホットメルト層の組み合わせで被覆することで、ポリマー脱落がなく吸水膨張性を阻害することがない高吸収性複合体シートを得ることができることが開示されている。
特許文献3には、乾式パルプ不織布などの繊維状基材からなるシート層と、高吸水性ポリマー及び100%歪を与えた時の永久歪が50%以下である合成樹脂からなるポリマー層とが積層され、一体化された吸収体は、湿潤時における保形性及び捩れに対する追従性が高く、厚さが薄い場合であっても吸収性及び漏れ防止性に優れることが開示されている。
しかし、特許文献1の吸収性シートは、基材シートが少なくともセルロース繊維を含む紙で形成され、各繊維により構成される骨格構造により空間が保持された嵩高構造を有する。従って、特許文献1の吸収性シートは、熱溶融性接着繊維又は紙力補強剤を用いることにより湿潤強度は向上するものの、湿潤状態における捩れ、シワ等の変形に対する復元性をほとんど有しないものであった。
また、特許文献2の高吸収性複合体シートでは、基材シートが不織布であり、原料繊維として、セルロース系繊維の天然繊維だけでなく、ポリオレフィン、ポリエステル等の合成繊維が用いられうる。しかし、原料繊維としてセルロース系繊維を用いた場合には、特許文献1の場合と同様に、湿潤状態での捩れ、シワ等の変形に対する復元性をほとんど有しない吸収性シートとなり、そして原料繊維として合成繊維を用いた場合には、捩れ、シワ等の変形が生じにくいものの、液拡散性及び吸収保液量に劣るため、高吸収性ポリマーの利用効率が悪くなったり、高吸収性ポリマーが吸収する前に液が溢れてもれが発生しやすいものであった。
さらに、特許文献3の吸収体は、高吸水性ポリマーと、変形復元性に優れる合成樹脂とを含むポリマー層が、繊維状基材から成る層に積層されている。従って、繊維状基材としてセルロース系繊維を用いた場合及び繊維状基材として合成繊維を用いた場合の両方とも、特許文献2と同様の問題が生じうる。
特開平8−246395号公報 特開2001−171027号公報 特開平10−118115号公報
以上のように、特許文献1〜3に開示される吸収性シートは、液体保持性、液拡散性及び吸収保液量等の吸収特性と、捩れ、シワ等の変形に対する耐変形性とを両立させることができなかった。
従って、本発明は、液体保持性、液拡散性及び吸収保液量等の吸収特性に優れながらも、特に、捩れ、シワ等の変形に対する耐変形性に優れる積層型吸収性シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、吸収側の第1シートの層と、非吸収側の第2シートの層と、第1シートの層及び第2シートの層の間の高吸水性ポリマーの層とを含む積層型吸収性シートであって、第1シート及び/又は第2シートが嵩高吸収紙であり、上記嵩高吸収紙が、当該嵩高吸収紙中に分散され、そして加熱により膨張された熱膨張性粒子を含むことを特徴とする積層型吸収性シートにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下の態様に関する。
[態様1]
吸収側の第1シートの層と、非吸収側の第2シートの層と、第1シートの層及び第2シートの層の間の高吸水性ポリマーの層とを含む積層型吸収性シートであって、
第1シート及び/又は第2シートが嵩高吸収紙であり、
上記嵩高吸収紙が、当該嵩高吸収紙中に分散され、そして加熱により膨張された熱膨張性粒子を含む、
ことを特徴とする積層型吸収性シート。
[態様2]
上記嵩高吸収紙が、
30〜100質量%の天然パルプ及び0〜70質量%の他の繊維から成る繊維原料と、平均粒径5〜30μmの熱膨張性粒子とを、上記繊維原料100質量部当たり上記熱膨張性粒子5〜30質量部の割合で水中に分散させた製紙用原料から、上記熱膨張性粒子が上記繊維原料中に分散された湿潤混抄シートを抄造する工程、次いで
加熱により、上記熱膨張性粒子の少なくとも一部を、20〜125倍の体積に膨張させ、嵩高吸収紙を得る工程、
を含む製法により得られた、密度0.025〜0.1g/cm3の嵩高吸収紙である、態様1に記載の積層型吸収性シート。
[態様3]
上記加熱が湿熱空気又は水蒸気により行われ、そして上記膨張させる工程の後に上記湿潤混抄シートを乾燥させる工程をさらに含む、態様2に記載の積層型吸収性シート。
[態様4]
上記嵩高吸収紙が、高目付領域と低目付領域とから構成される凹凸模様を有する、態様1〜3のいずれか一つに記載の積層型吸収性シート。
[態様5]
上記高目付領域内に上記低目付領域が点在するように配置されている、態様4の積層型吸収性シート。
[態様6]
上記嵩高吸収紙が、上記熱膨張性粒子の膨張の程度が大きい低密度領域と、上記熱膨張性粒子の膨張の程度が小さい高密度領域から成る凹凸模様を有する、態様1〜5のいずれか一つに記載の積層型吸収性シート。
[態様7]
第1シートと、第2シートとの両方が嵩高吸収紙である、態様1〜6のいずれか一つに記載の積層型吸収性シート。
[態様8]
第1シートが嵩高吸収紙であり、そして第2シートが耐水性ティッシュペーパーである、態様1〜7のいずれか一つに記載の積層型吸収性シート。
[態様9]
第2シートの非吸収側に、フラッフパルプ積層マットの層をさらに含む、態様1〜8のいずれか一つに記載の積層型吸収性シート。
本発明の積層型吸収性シートは、嵩高吸収紙内で、膨張された熱膨張性粒子及び繊維の間の空間と、各繊維間の空間とが液体の拡散のために好適な空隙を形成して液拡散性に優れるため、高吸収性ポリマーの利用効率を高めることができる。
また、本発明の積層型吸収シートは、嵩高吸収紙内の上記空隙の容積が従来の吸収紙よりも大きく吸収保液量に優れるため、瞬間的に大量の排泄液を吸収することができる。
さらに、本発明の積層型吸収性シートは、湿潤時であっても嵩高吸収紙内の膨張された熱膨張性粒子の反発弾力性のために捩れ、シワ等の変形に対する耐変形性に優れ、また変形した場合でも早急に元の形状に復元する形状復元特性に優れる。
図1は、本発明に用いられる嵩高吸収紙の一例の表面の電子顕微鏡写真である。 図2は、本発明に用いられる嵩高吸収紙の一例の断面の電子顕微鏡写真である。 図3は、本発明に用いられる嵩高吸収紙を製造することができる抄紙機の簡略図を示す。 図4は、噴射穴を有するノズルプレートの平面図及びそれを組み込んだ噴射用ノズルの斜視図である。 図5は、噴射スリットを有するノズルプレートの平面図及びそれを組み込んだ噴射用ノズルの斜視図である。 図6は、噴射用ノズルをCD方向に往復運動させることによって描かれる波状ラインを示す。 図7は、複数段の噴射用ノズルをCD方向に往復運動させることによって描かれる波状ラインを示す。 図8は、本発明に用いられる嵩高吸収紙を製造することができる抄紙機の簡略図を示す。 図9は、高目付領域内に低目付領域が点在する嵩高吸収紙を得るための抄紙用ワイヤーの平面図である。 図10は、低目付領域内に高目付領域が点在する嵩高吸収紙を得るための抄紙用ワイヤーの平面図である。 図11は、高目付領域と低目付領域とが紙の一方向に線状に交互に配置されている嵩高吸収紙を得るための抄紙用ワイヤーの平面図である。 図12は、図8に示す抄紙機により製造される嵩高吸収紙の一例を示す。 図13は、本発明の積層型吸収性シートのバリエーション例の断面の模式図を示す。 図14は、本発明の積層型吸収性シートの接着例を示す図である。 図15は、本発明の積層型吸収性シートを用いた吸収性物品の一例を示す図である。 図16は、本発明の積層型吸収性シートを用いた吸収性物品のバリエーション例の断面の模式図を示す。 図17は、本発明の積層型吸収性シートを用いた吸収性物品を製造することができる装置の概略図を示す。 図18は、本発明の積層型吸収性シートを製造することができる装置の概略図を示す。 図19は、幅圧縮回復率の測定方法を説明するための図である。
以下、本発明について、詳細に説明するが、本発明は、これらの態様に限定されるものではない。
[第1シート及び第2シート]
[嵩高吸収紙]
第1シート及び/又は第2シートを構成する嵩高吸収紙は、当該嵩高吸収紙中に分散され、そして加熱により膨張された熱膨張性粒子を含む。
本発明に用いられる嵩高吸収紙は、複数の膨張された熱膨張性粒子が吸収紙内に分散されている紙であり、従来の嵩高紙のような繊維そのものの連結構造により空間を保持することによって形成された嵩高構造とは異なる。従って、上記嵩高吸収紙は、湿潤状態において圧縮や折り曲げ等の荷重が加えられても、膨張された熱膨張性粒子がその荷重に対して弾性を示して変形し難くなり、元の形状を維持することができる。従って、一度吸収された液体が、その後の圧縮等の変形によって搾り出されることが少ない。仮に、過度の荷重によって変形が生じたとしても、その弾性のため元の状態に復元しやすくなる。
また、上記膨張された熱膨張性粒子は、膨張前の熱膨張性粒子を吸収紙内に分散させた後、加熱膨張させることにより形成されるため、熱膨張性粒子の膨張によって繊維間に空間が形成される。従って、膨張された熱膨張性粒子及び繊維の間の空間と、各繊維間の空間とが、液体の拡散に好適な空隙を形成して、嵩高性と液拡散性との相反する特性を両立することができる。
上述の液拡散性に優れる嵩高吸収紙を、高吸収性ポリマーの層に隣接させることにより、嵩高吸収紙が吸収した液体は、嵩高吸収紙内で迅速に拡散しながら高吸収性ポリマー層に迅速に吸収させることができる。
図1及び図2に、それぞれ、嵩高吸収紙の一例の表面及び断面の電子顕微鏡写真を示す。図1及び図2では、符号1は膨張された膨張性粒子を示し、符号2は繊維原料を示し、そして符号3は膨張された熱膨張性粒子の断面を示す。
本発明に用いられる熱膨張性粒子は、膜ポリマーから形成されたマイクロカプセル内に低沸点溶剤を封入した熱膨張性マイクロカプセルである。上記熱膨張性粒子の粒径は特に制限されないが、嵩高吸収紙の液体吸収速度、液拡散性、吸収保液量、液体保持性、捩れ防止能等を考慮すると、膨張前の平均粒径が好ましくは5〜30μm、より好ましくは8〜14μmである。上記低沸点溶剤は、上記膜ポリマーの軟化温度、例えば、ガラス転移温度より低い温度でガスを発生すること、例えば、揮発することが好ましい。
本明細書において、「平均粒径」とは、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、日本電子株式会社HEROS & RODOS)で測定した粒度分布のうち、体積基準の累積分布の50%点の粒径を意味する。
また、本明細書において、単に「熱膨張性粒子」と称する場合には、膨張させる前の粒子を意味し、そして「膨張された熱膨張性粒子」と称する場合には、加熱等により膨張させた後の粒子を意味する。
上記熱膨張性粒子は、80〜200℃の比較的低温における短時間の加熱によって、体積が好ましくは20〜125倍、より好ましくは50〜80倍に膨張する。体積膨張が20倍を下回ると、各繊維間に空間が生じにくく、嵩高吸収紙の液体吸収速度、液拡散性及び吸収保液量が不十分となる傾向がある。また、体積膨張が125倍を上回ると、嵩高吸収紙の液拡散性が不十分となり、また膨張された膨張性粒子の弾性が小さくなり、捩れ、ヘタリ等が生じやすい傾向がある。
上記低沸点溶剤としては、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等の揮発性有機溶剤(膨張剤)が挙げられる。
上記膜ポリマーとしては、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体から成る熱可塑性樹脂が挙げられ、上記膜ポリマーの軟化点以上に加熱されると、膜ポリマーが軟化しはじめ、同時に内包されている低沸点溶剤の蒸気圧が上昇し、膜が押し広げられてカプセルが膨張する。上記熱膨張性粒子は、比較的低温且つ短時間で膨張して独立気泡を形成し、弾力性に優れた粒子となり、また比較的扱い易い粒子であるので、本用途には最適である。
上記熱膨張性粒子として、マツモトマイクロスフェアーF−36、同F−30D、F−30GS、F−20D、F−50D及びF−80D(松本油脂製薬(株)製)、エクスパンセルWU、同DU(スウェーデン製、販売元、日本フィライト(株))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に用いられる繊維原料は、製紙分野で通常用いられているものを特に制限されることなく用いることができ、例えば、天然パルプ、合成パルプ、有機繊維、無機繊維が挙げられる。上記繊維原料は、30〜100質量%の天然パルプと、0〜70質量%の他の繊維とから成ることが好ましく、50質量%〜100質量%の天然パルプと、0〜50質量%の他の繊維とから成ることがより好ましい。熱膨張性粒子の定着量、歩留り及び均一分散性に加えて、シートの地合及び強度に優れるからである。
上記他の繊維は、合成パルプ、有機繊維及び無機繊維から成る群から選択されることが好ましい。
上記他の繊維としては、例えば、本発明に用いられる嵩高吸収紙にヒートシール性を付与する場合には、低融点の合成繊維を用いることができ、破れにくさを付与する場合には、繊維長が長い(3〜25mm)化合繊を用いることができる。
上記天然パルプとしては、針葉樹及び/又は広葉樹の化学パルプ、機械パルプ等の木材パルプ、古紙パルプ、麻、綿等の非木材天然パルプが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記合成パルプとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等を原料とした合成パルプが挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記有機繊維としては、アクリル繊維、レーヨン繊維、フェノール繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記熱膨張性粒子の量は、用いられる用途により好ましい量が変化し、特に制限されないが、一般的には、上記繊維原料100質量部あたり、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは8〜25質量部、そしてさらに好ましくは10〜15質量部である。上記熱膨張性粒子の量が、上記繊維原料100質量部あたり、5質量部を下回ると膨張が少なくなり、そして40質量部を上回ると経済的に不利になる傾向がある。
本発明に用いられる嵩高吸収紙の密度は、用いられる用途によって好ましい値が異なり、特に制限されないが、一般的には、0.025〜0.1g/cm3の密度を有することが好ましく、0.03〜0.07g/cm3の密度を有することがより好ましい。密度が0.025g/cm3を下回ると、湿潤時の強度が弱くなり、また熱膨張性粒子の割合が高くなるので経済的に不利になり、そして密度が0.1g/cm3を上回ると、吸収保液量及び捩れ変形に対する復元性が劣る傾向がある。
本発明に用いられる嵩高吸収紙は、上記熱膨張性粒子を繊維に定着させるために、製紙業界で一般的に用いられている定着剤を、その製造時に添加することができる。
また、湿潤時のシート強度を高めるためには、上記低融点の合成繊維の他に、製紙業界で一般的に用いられている内添型の湿潤紙力剤を、その製造時に添加することができる。上記湿潤紙力剤を添加することにより、嵩高吸収紙の耐水性を向上させることができる。
ただし、上記定着剤及び湿潤紙力剤の過剰な添加は、上記嵩高吸収紙に親水性の阻害、柔軟性の喪失等の不具合をもたらす場合があるので、用途に合わせて添加量を調整する必要がある。
本発明に用いられる嵩高吸収紙には、所望により、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性又は両性の歩留まり向上剤、紙力増強剤、サイズ剤等を添加することができる。上記紙力増強剤及び歩留まり向上剤としては、ポリアクリルアミド系のカチオン性、ノニオン性、アニオン性及び両性の樹脂、ポリエチレンイミン及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリアミン、ポリアミド、ポリアミドポリアミン及びその誘導体、カチオン性及び両性澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、植物ガム、ポリビニルアルコール、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、親水性のポリマー粒子等の有機系化合物、及び硫酸バンド、アルミナゾル、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等のアルミ化合物、更に硫酸第一鉄、塩化第一鉄あるいはコロイダルシリカ、ベントナイト等の無機系化合物等が挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる嵩高吸収紙の製造は、特に制限されないが、例えば、以下のように実施することができる。
[抄紙工程]
図3は、本発明に用いられる嵩高吸収紙の製造することができる抄紙機の簡略図である。抄紙機4は、抄紙パート5、湿式混抄シート6、第1搬送ベルト7、第2搬送ベルト8、サクションボックス9、噴射用ノズル10、開口スクリーン11、ドライヤー12及び完成品巻取りロール13から構成されている。繊維原料と熱膨張性粒子とを水中に分散させた製紙用原料から、抄紙パート5により湿式混抄シート6を抄造し、湿式混抄シート6を、第1搬送ベルト7によって搬送し、次いでプレスパートで脱水する。
一般的な抄紙工程では、当該脱水工程により、湿潤混抄シートの含水率は約60質量%となる。
[加熱膨張工程]
脱水された湿潤混抄シートを、第2搬送ベルト8によって搬送し、噴射用ノズル10から熱風等を噴射することにより加熱して熱膨張性粒子を膨張させる。この際、脱水された湿潤混抄シートを支持体上に載せ、その上面側から上記熱風等を吹きつけながら、支持体の下面側のサクションボックス9から吸引すると、シート全体が素早く且つムラなく加熱され、それによって加熱膨張効果が高まるため効率が高い。ここで、支持体としては、ネットなどの搬送ベルトが挙げられるが、これに限定されるものではない。
[乾燥工程]
所望により、ドライヤー12によりシートを乾燥し、嵩高吸収紙を完成品巻取りロール13で巻取る。噴射用ノズル10からの熱風等の噴射を省略し、ドライヤー12により、熱膨張性粒子の膨張と、嵩高吸収紙の乾燥とを同時に行ってもよい。
本発明に用いられる嵩高吸収紙の製造の別の態様としては、噴射用ノズル10から、所定温度の湿熱空気又は水蒸気を噴射することにより、湿潤混抄シートを乾燥させることなく熱膨張性粒子を加熱し、膨張させることができる。湿熱空気又は水蒸気を用いると、例えば、過剰な熱量を与えても、上記脱水された湿潤混抄シートが乾燥することはなく、熱膨張性粒子の膨張を阻害する繊維間結合力は発生しないため、熱膨張性粒子を十分に膨張させることができる。熱膨張性粒子を十分に膨張させた後、ドライヤー12により嵩高吸収紙を乾燥することができる。
なお、上記加熱膨張工程を、所定温度の湿熱空気又は水蒸気で脱水された湿潤混抄シートを加熱することにより行う場合には、上記湿潤混抄シート全体の温度を所定温度まで効率よく上げるために、脱水工程において、湿潤混抄シートを、できるだけ低い含水率、例えば、40〜60質量%に脱水することが好ましい。
上記加熱膨張工程における、温風、湿熱空気又は水蒸気の温度は、熱膨張性粒子のマイクロカプセル殻壁が軟化して膨張を開始する温度以上であり、用いられる熱膨張性粒子によって決まる温度である。
湿熱空気又は水蒸気の湿度は、熱膨張工程において湿式混抄シートを乾燥させない場合には、相対湿度が高い、例えば、100%RHであることが望ましい。湿熱空気又は水蒸気を供給する手段としては、ボイラから高温蒸気を取り出して直接シートに噴射する手段が最も望ましいが、乾燥装置からの加湿された排気を用いることも可能である。
−低密度領域と高密度領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙−
熱膨張性粒子の膨張の程度が大きい低密度領域と熱膨張性粒子の膨張の程度が小さい高密度領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙を、湿式混抄シートの所定部分に熱膨張性粒子の膨張開始温度以上の湿熱空気又は水蒸気を噴射して該部分の熱膨張性粒子を膨張させ、次いで熱膨張性粒子が充分に膨張しない温度で乾燥させることにより製造することができる。
低密度領域と高密度領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙を製造することができる噴射用ノズルの一例として、図4に、噴射穴14を有するノズルプレート15の平面図及びそれを組み込んだ噴射用ノズル10の斜視図を示す。図4のノズルプレート15を用いると、柱状噴流16が得られる。
上記噴射用ノズルの別の例として、図5に、噴射スリット17を有するノズルプレート15の平面図及びそれを組み込んだ噴射用ノズル10の斜視図を示す。図5のノズルプレート15を用いると、カーテン状噴流18が得られる。
図4に示す噴射用ノズル10を用いて柱状噴流16により湿熱空気又は水蒸気を湿式混抄シートに噴射する場合に、噴射用ノズル10を固定することができ、あるいは噴射用ノズル10を湿式混抄シート1のCD方向に往復運動させ、図6に示すようなMD方向に延びる波状ライン20の凹凸模様をつくることもできる。
図7は、複数段の噴射用ノズルをCD方向に往復運動させることによって描かれる波状ラインを示す。図7に示すように、噴射用ノズル10を複数段設けると、波状ライン20が交差して亀甲模様とすることもできる。波のピッチ及び高さは、噴射用ノズルのCD方向の往復運動数(回/分)とシートのMD方向への走行速度(m/分)とによって決まる。複数段の噴射用ノズルを設ける場合は、複数の噴射用ノズルのそれぞれの往復運動距離と周期とを変えることで様々な模様を描くことができる。
なお、本明細書において、「MD方向」は、製造時の機械方向(Machine Direction)を意味し、そして「CD方向」は、機械方向と直角に交差する方向(Cross Machine Direction)を意味する。
本発明に用いられる嵩高吸収紙における低密度領域の密度は、好ましくは0.01g/cm3〜0.1g/cm3、より好ましくは0.01g/cm3〜0.05g/cm3であり、高密度領域の密度は、好ましくは0.1g/cm3〜0.3g/cm3である。
なお、嵩高吸収紙が低密度領域及び高密度領域を有する場合には、単に「密度」と称する場合には、嵩高吸収紙のみかけの密度を意味する。
本発明に用いられる嵩高吸収紙の低密度領域の密度が、0.1g/cm3を超えると保液性、耐変形性及び変形復元性が低下し、0.01g/cm3未満であると、強度が低く、簡単に破れてしまうため、表面摩擦耐久性に問題が生ずる傾向がある。また、上記嵩高吸収紙の高密度領域の密度が0.1g/cm3未満では液拡散性が劣り、0.3g/cm3を超えると熱膨張性粒子が殆んど膨張していない状態となるため、嵩高吸収紙により得られる各特性がまったく得られないことになる。
−低目付領域と高目付領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙−
部分的に製紙用原料が少ない低目付領域と、部分的に製紙用原料が多い高目付領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙を、部分的に目詰めをしたワイヤーを用い、部分的に製紙用原料が少ない低目付領域と、部分的に製紙用原料が多い高目付領域とからなる湿式混抄シートを得ることにより製造することができる。
低目付領域と高目付領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙を製造するために、図8に示すような抄紙機、並びに図9〜11に示すような部分的に目詰めをした抄紙用ワイヤー24を用いることができる。部分的に目詰めをしたワイヤーを用いると、部分的に製紙用原料が少ない低目付領域と、部分的に製紙用原料が多い高目付領域とからなる湿式混抄シートを得ることができる。具体的には、目詰めをした部分では水が透過しにくいため製紙用原料が蓄積しにくく、部分的に製紙用原料の少ない低目付領域となり、目詰めをしていない部分では水が透過しやすいため製紙用原料が蓄積しやすくなり部分的に製紙用原料の多い高目付領域となる。
本明細書において、部分的に製紙用原料が少なく平均目付けよりも小さな目付け領域を「低目付領域」と称し、そして部分的に製紙用原料が多く平均目付けよりも大きな目付け領域を「高目付領域」と称する。本発明のように製紙用原料中に熱膨張性粒子が均一に分散されていれば、低目付領域にも高目付領域にもほぼ同じ割合で熱膨張性粒子が存在することになり、加熱するとそれらは同じ割合で膨張し、それぞれ嵩高となる。ここで、平均目付より大きな目付となった高目付領域における紙の見掛け嵩は、平均嵩より大きくなり、低目付領域はその逆になる。従って大きな凹凸模様の見掛け嵩の高い嵩高吸収紙を得ることができる。
図8の抄紙機4は、製紙用原料溶液21、抄紙用丸網シリンダー22、湿式混抄シート6、第1搬送ベルト7、第2搬送ベルト8、サクションボックス9、噴射用ノズル10、スクリーンドラム23、ドライヤー12及び完成品巻取りロール13から構成されている。また、抄紙用丸網シリンダー22には、抄紙用ワイヤー24が取り付けられている。
繊維原料及び熱膨張性粒子を水中に分散させた製紙用原料溶液21から、抄紙用丸網シリンダー22及び抄紙用ワイヤー24により高目付領域と低目付領域とを有する湿式混抄シート6を抄造し、湿式混抄シート6を、第1搬送ベルト7及び第2搬送ベルト8によって搬送し、次いで噴射用ノズル10からの熱風、湿熱空気又は水蒸気によって湿式混抄シート6を加熱して熱膨張性粒子を膨張させ、次いで所望によりドライヤー12によりシートを乾燥させ、完成した嵩高吸収紙を完成品巻取りロール13で巻取ることにより、凹凸模様を有する嵩高吸収紙を製造する。
抄紙用ワイヤー24の目詰めは、反応硬化型樹脂などを用いて行うことができ、大きさ、数、形状、配置等を自由に設計することができる。例えば、図9に示すように、非目詰め領域26内に目詰め領域25が点在するように配置することができ、図10に示すように目詰め領域25内に非目詰め領域26が点在するように配置することができ、又は図11に示すように線状の目詰め領域25と、線状の非目詰め領域26とを交互に配置することができる。
1つの目詰めサイズが小さくなるに従って低目付領域が形成されにくくなり、反対に、大きくなるに従ってその部分の低目付領域が形成されやすくなる。ここで、1つ当たりの目詰め領域のサイズが小さすぎると、目詰め部分に製紙用原料が覆いかぶさり、目詰め部分が埋められてしまうため、低目付領域が形成されなくなってしまう。一方、1つ当たりの目詰め領域のサイズが大きくなり過ぎると、均一に低目付領域が形成されず、また製紙用原料が存在しない穴開きとなる傾向にあるため、抄紙用ワイヤーから搬送ベルトへの移行の際に穴の部分から破れたりして移行しないというトラブルが生じやすくなる。
1つ当たりの目詰め領域のサイズの最適範囲は、紙の目付けによって変化するので、特定することはできない。ワイヤー全体に対する目詰め部分の面積率は、必要に応じて変化させることができるが、面積率が大きいほど紙の見掛け嵩の向上に効果があり、小さいほど見掛け嵩が小さくなる。また、面積率を大きくし過ぎると、抄紙時に目詰めをしていない部分に原料が集中しすぎて抄紙できなくなる。ワイヤー全体に対する目詰め部分の面積率は、目詰め領域の形状によって変わるが、10%〜60%、好ましくは20%〜50%である。
図9の抄紙用ワイヤー24では、例えば、目詰め領域25を直径6mmの円とし、各目詰め領域25の間の距離を5mmとすることができる。残りの部分が、非目詰め領域26である。図10の抄紙用ワイヤー24では、例えば、非目詰め領域26を直径6mmの円とし、各非目詰め領域26の間の距離を1mmとすることができる。残りの部分が、目詰め領域25である。図11の抄紙用ワイヤー24では、例えば、目詰め領域25を幅2mmの矩形とし、各目詰め領域25の間の距離を6mmとすることができる。残りの部分が、非目詰め領域26である。
図12に、図8に示す抄紙機4により製造される嵩高吸収紙の一例を示す。図8に示す抄紙機4により製造される嵩高吸収紙は、高目付領域27と、低目付領域28とを有する。
低目付領域は、液体の透過が早いため、瞬間的に多量の体液を受けた場合に、吸収性シート表面に液体をあふれさせることなく、下層へ透過させることができる。低目付領域を高目付領域内に分布させることで、全体のシート強度はほとんど低下しない。低目付領域を設けることにより、高目付領域をさらに高目付化することができ、均一な場合に比べて高目付領域がさらに厚くなり、液の逆戻り防止効果、クッション性等に優れる傾向が生じる。低目付領域の1個のサイズは、液透過効果を考慮すると、直径又は1辺が1mm〜5mmであることが好ましい。1mm未満では、液の透過の際の抵抗が大きすぎ、5mm超では、下層からの液体の逆戻りが生じやすくなる。
低密度領域と高密度領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙、及び低目付領域と高目付領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙のように、嵩高吸水紙に凹凸模様を付すと、その凹部に高吸収性ポリマー粒子を集中的に配置でき、高吸収性ポリマー粒子の散布が簡便化する。低密度領域と高密度領域とを含む凹凸模様の場合には、吸引によって凸の低密度領域に集中散布された高吸収性ポリマーが、吸引ゾーンを通過することで凹になった高密度領域へ重力落下する。また、低目付領域と高目付領域とを含む凹凸模様の場合には、吸引によって凹になった低目付領域に集中散布されるからである。
高吸収性ポリマーを凹部に集中散布させると、第1シートと第2シートとの接着を、高吸収性ポリマーの量が少ない凸部を中心に行なうことができるため、接着一体化が容易になる。また、凸部の高吸収性ポリマーが少ないと、高吸収性ポリマーの膨潤によるブロッキング現象が生じにくくなる。
[その他のシート状材料]
第1シート及び第2シートは、少なくともいずれか一方が上述の嵩高吸収紙であり、当該嵩高吸収紙以外は、用途に応じてその他のシート状材料から選択することができる。上記その他のシート状材料としては、例えば、耐水性ティッシュペーパー、フラッフパルプ積層マットを挙げることができる。
本明細書において、「耐水性ティッシュペーパー」とは、MD方向及びCD方向の湿潤引張強度が、共に0.6N/25mm以上であるティッシュペーパーを意味する。上記湿潤引張強度は、JIS P 8135に従って行うことができる。
また、本明細書において、「フラッフパルプ積層マット」は、フラッフパルプを積層したマットを意味する。
[高吸水性ポリマー]
本明細書において、「高吸収性ポリマー」は、合成ポリマー系吸収材、例えば、デンプン系、セルロース系、ポリアクリル酸系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、ポリオキシエチレン系等の吸収材を意味する。上記高吸収性ポリマーとしては、ポリアクリル酸系吸収材が好ましく、中でも、ポリアクリル酸ナトリウム系吸収材が好ましい。
[積層型吸収性シート]
本発明の積層型吸収性シートは、用途に応じて種々の形態が選択されうる。
図13は、本発明の吸収性シートのバリエーション例の断面の模式図を示す。本発明の積層型吸収性シート29は、例えば、図13(a)に示すように、第1シートが耐水性ティッシュペーパー32であり、そして第2シートが嵩高吸収紙30であることができる。また、第1シートが嵩高吸収紙30であり、そして第2シートが耐水性ティッシュペーパー32であってもよい。
なお、本明細書において、「第1シート」は、高吸水性ポリマーの層に隣接する、液体を吸収する側に位置するシートを意味する。また、本明細書において、「第2シート」は、高吸水性ポリマーの層に隣接し、第1シートと反対側に位置するシートを意味する。第2シートは、液体を吸収しない側に位置する。
図13(b)に示すように、本発明の積層型吸収性シート29は、第1シートが耐水性ティッシュペーパー32であり、そして第2シートが凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’であることができる。また、第1シートが凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’であり、そして第2シートが耐水性ティッシュペーパー32であってもよい。
また、図13(c)に示すように、本発明の積層型吸収性シート29は、第1シートが嵩高吸収紙30であり、そして第2シートが凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’であることができる。また、第1シートが凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’であり、そして第2シートが嵩高吸収紙30であってもよい。
さらに、図13中に図示されていないが、第1シート又は第2シートが、フラッフパルプ積層マットであってもよい。
また、第1シート及び第2シートが共に嵩高吸収紙である場合には、2つの嵩高吸収紙は、所望の機能に応じて、密度、目付等が異なっていてもよい。
なお、図13(b)及び(c)の模式図では、高吸収性ポリマー31が、複数部分に分かれているように記載されているが、図13は模式図であり、実際には、凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’の凸部上にも高吸収性ポリマー31が存在するのが一般的である。従って、高吸水性ポリマーの層は、図13(a)に示すようなフラットなシート状であってもよく、又は図13(b)及び(c)に示すような凹凸を有し、一部穴が空いたシート状であってもよく、さらに一部不連続な部分が生じていてもよい。
本発明の積層型吸収性シートにおいて、第1シートは、上述の嵩高吸収紙であることが最も好ましい。嵩高吸収紙の特性、特に、液拡散性を発揮することができるからである。
本発明の積層型吸収性シートの積層手段は、当技術分野で用いられている手段を特に制限なく用いることができ、例えば、ホットメルト接着剤により、高吸収性ポリマーを間に挟んで第1シート及び第2シートを接着することにより積層することができる。図14に、図13(b)の積層型吸収性シートの接着例を示す。図14では、第1シートとしての凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’及び高吸収性ポリマー31の上に、ホットメルト接着剤33がスパイラル塗工され、ホットメルト接着剤33の上に第2シートとしての耐水性ティッシュペーパー32の層が積層されている。
上記ホットメルト接着剤としては、特に制限されず、当技術分野で通常用いられているホットメルト接着剤、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)系ホットメルト接着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体系ホットメルト接着剤、合成ゴム(例えば、スチレン系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、イソプレン系ポリマー)系ホットメルト接着剤等を用いることができる。
本発明の積層型吸収性シートの第1シート又は第2シートとして、低目付領域と高目付領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙を選択した場合には、高吸収性ポリマーを散布する際に、嵩高吸収紙の下面から空気を吸引すると、凹部に通気が集中し、高吸収性ポリマーを凹部に集中的に配置することができる。凹部にポリマー粒子を配置することで、ポリマーシート製造工程中でポリマーが飛散しにくくなる。
また、上記低目付領域と高目付領域とを含む凹凸模様を有する嵩高吸収紙を第1シートとして選択した場合には、低目付である凹部が液透過性に優れる。従って、使用時には、最初に凹部から液体が浸透しやすい。当該凹部には高吸収性ポリマーが集中して配置されているので、浸透してきた液体を、高吸収性ポリマーが効果的に吸収することができる。
吸収された液体は、凹部から浸透する共に、さらに高目付の凸部を通って拡散するので、体液を受けた場所以外にある高吸収性ポリマーも、液体を効率的に吸収できる。
[吸収性物品]
本発明の積層型吸収性シートは、肌当接面側の表面シートと、肌非当接面側の裏面シートと、両シート間に位置する吸収体とを含む吸収性物品において、当該吸収体の少なくとも一部として用いられうる。
[表面シート及び裏面シート]
上記表面シートとしては、例えば、スルーエア不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の公知の不織布や開孔フィルム等の透液性材料を用いることができる。
上記裏面シートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂等から製造された非透水性フィルム材料、それらに無機フィラー材等を混入した透湿性フィルム材料、及び、前記表面シートに用いられる透水性シート材料等が用いられる。
なお、本明細書において、「肌当接面」とは、着用時に肌に接する面を意味し、そして「肌非当接面」とは、着用時に肌に接しない側の面を意味し、例えば、吸収性物品が生理用ナプキンである場合には、下着に接する面である。
図16に、本発明の積層型吸収性シートを用いた吸収性物品のバリエーションの断面の模式図を示す。図16は、図15に示す吸収性物品のA−A方向の断面である。図16に示される吸収性物品34は、肌当接面側の表面シート35と、肌非当接面側の裏面シート36と、両シート間に位置する積層型吸収性シート40とを含む。図16に示される吸収性物品34は、裏面シート36の肌非当接面側に、さらに粘着部37と、剥離部38とを有する。例えば、吸収性物品が生理用ナプキンである場合には、粘着部37により、吸収性物品34を下着に固定することができる。
図16(a)では、積層型吸収性シート40は、第1シートの層としての嵩高吸収紙30の層、高吸収性ポリマー31の層、及び第2シートの層としての耐水性ティッシュペーパー32の層から成る吸収性シートから構成されている。
図16(b)では、積層型吸収性シート40は、第1シートの層としての凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’の層、高吸収性ポリマー31の層、及び第2シートの層としての嵩高吸収紙30の層から成る吸収性シートから構成されている。
図16(c)では、積層型吸収性シート40は、第1シートの層としての凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’の層、高吸収性ポリマー31の層、及び第2シートの層としての耐水性ティッシュペーパー32の層から成る吸収性シートと、フラッフパルプ積層マット39の層とから構成されている。
積層型吸収性シート40の、表面シート35に隣接する層を、嵩高吸収紙30の層又は凹凸模様を有する嵩高吸収紙30’の層とすることにより、液体吸収速度及び液拡散性に優れる嵩高吸収紙が、液体を迅速に吸収し、吸収保液量及び液体保持性により優れるが吸収速度が遅く、そしてゲルブロッキング現象を生じさせやすい高吸収性ポリマー31の層に迅速且つ満遍なく受け渡すことができる。
本発明の積層型吸収性シート及びそれを吸収体として用いた吸収性物品を製造することができる装置の例の概略図を図17に示す。図17に記載される装置は、第1シート41、第2シート42、複数のホットメルト接着剤塗工機43、高吸収性ポリマー散布機44、高吸収性ポリマー散布チャンバー45、吸引回転ドラム46、複数の吸引部47、第1貼り合わせロール48、複数のベルトコンベア49、表面シート35、裏面シート36、積層型吸収性シートカッター50、第2貼り合わせロール51、製品カッター52、並びにロール53A,53B,53C,53Dを備えている。
図17に示される装置では、ロール53Aからの第1シート41に、吸引回転ドラム46上で、高吸収性ポリマー散布機44及び高吸収性ポリマー散布チャンバー45を用いて高吸収性ポリマー31を散布する。吸引回転ドラムは、吸引部47により空気を吸引しているので、散布された高吸収性ポリマー31が、第1シート41上にコーティングされる。次いで、ロール53Bからの第2シート42上に、ホットメルト接着剤塗工機43からホットメルト接着剤を塗工する。次いで、高吸収性ポリマー31がコーティングされた第1シート41を、ホットメルト接着剤が塗工された第2シート42と、高吸収性ポリマー31及びホットメルト接着剤を間に挟んで、第1貼り合わせロール48により貼り合わせる。
次いで、張り合わされた積層型吸収性シートを、吸引部47を備えるベルトコンベア49により搬送し、積層型吸収性シートを積層型吸収性シートカッター50により所望の大きさに切断し、そして吸引部47を備えるベルトコンベア49により搬送する。次いで、ロール53Cからの表面シート35に、ホットメルト接着剤塗工機43によりホットメルト接着剤を塗工し、ロール53Dからの裏面シート36にホットメルト接着剤塗工機43によりホットメルト接着剤を塗工し、そして第2貼り合わせロール51を用いて、積層型吸収性シート40を間に挟んで表面シート35と、裏面シート36とを接着する。次いで、製品カッター52により、つながっている吸収性物品を、個別の吸収性物品34に切断する。
なお、図18に示すように、貼り合わされた積層型吸収性シートをそのままロール状に巻き取れば、積層型吸収性シートの巻取りロール54を得ることができる。
上記吸収性物品は、嵩高吸収紙の繊維がパルプ主体である場合には、着用後の湿気吸収によってパルプが容易に柔軟化した後、膨張された熱膨張性粒子がスポンジ様のクッションの役割を果たすため、着用感が良好となる。
上記吸収性物品としては、パンティライナー、生理用ナプキン、紙おむつ、汗取りシート、ペットシート、肉、魚等の食品ドリップ吸収シート等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
−嵩高吸収紙1の製造−
(i)繊維原料として、未叩解の針葉樹晒クラフトパルプ70質量部と、PP/PE芯鞘型複合繊維2.2dtex × 5mm(ダイワボウポリテック(株)製,NBF)15質量部、(ii)熱膨張性粒子として、低沸点溶剤封入マイクロカプセル(松本油脂製薬(株)製マツモトマイクロスフェアー,FUC−36、粒径5〜15μm、膨張開始温度75〜85℃)15質量部、並びに(iii)助剤として、パルプへの熱膨張性粒子定着剤としてのカチオン変性アクリル系共重合体(明成化学工業(株)製,ファイレックスRC−104)0.5質量部(有効成分として)、アクリル系共重合体(明成化学工業(株)製,ファイレックスM)0.3質量部(有効成分として)、紙力増強剤としてのポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂(星光PMC(株)製湿潤紙力剤,WS4024)0.5質量部(有効成分として)、及び親水柔軟剤としての脂肪酸アミド(ハーキュリーズ社製,プロソフトTQ218)0.4質量部(有効成分として)を水中で混合し、水分散させて、2質量%の製紙用原料1を得た。
製紙用原料1を、常法に従って角型手抄きシートマシーン(80メッシュ)により坪量50g/m2の紙を抄造し、ろ紙で挟んで脱水し、含水率60質量%の湿式混抄シートを得た。手抄きシートマシーンの抄紙用ワイヤーは、図9に示すものを用いた。抄き上げた湿式混抄シートを、搬送ベルトヘ載置し、5m/分の速度で搬送した。この際、湿式混抄シート上面からボイラで得た水蒸気(ノズルマニホールド内温度:172〜174℃、圧力0.82〜0.85MPa)をノズル(穴直径0.3mm、穴ピッチ2mm、1列配置)から90メッシュの金網を介して吹き付け、搬送ベルト下面から吸引することにより、シートを膨張させた。その後、120℃に設定したロータリードライヤーで、シートを強く加圧しないようにして乾燥させ、目付が50g/m2の嵩高吸収紙1を得た。嵩高吸収紙1は、高目付領域内に水玉状に凹んだ低目付領域が点在する凹凸模様を有し、両領域の熱膨張性粒子の膨張度合いはほぼ同一であった。高目付領域は、目付が約59.1g/m2、厚みが約2.3mm、密度が約0.026g/cm3であり、低目付領域は、目付が約20g/m2、厚みが約0.8mm、密度が約0.025g/cm3であった。また、低目付領域の面積は、全体の28%であった。
[製造例2]
−嵩高吸水紙2の製造−
目詰めしていないワイヤーを用いたこと以外は製造例1と同様にして、目付が50g/m2、厚さ1.6mm、密度0.031g/cm3の凹凸模様のない嵩高吸水紙2を得た。
[製造例3]
−耐水性ティッシュペーパー1の製造−
熱膨張性粒子としての低沸点溶剤封入マイクロカプセル(松本油脂製薬(株)製マツモトマイクロスフェアーFUC−36と、パルプへの熱膨張性粒子定着剤としてのカチオン変性アクリル系共重合体(明成化学工業(株)製ファイレックスRC−104)及びアクリル系共重合体(明成化学工業(株)製,ファイレックスM)とを除いた以外は製造例1と同様にして、耐水性ティッシュペーパー1(坪量50g/m2)を製造した。
[製造例4]
−乾式パルプ不織布1の製造−
市販の乾式パルプ不織布(王子キノクロス社製キノクロス、坪量48g/m2、厚さ1.05mm、密度0.046g/cm3)を準備し、乾式パルプ不織布1とした。乾式パルプ不織布1は、乾式により離解させたパルプ繊維を積層させることにより得た繊維マットに、アクリル樹脂エマルジョンバインダーをスプレーし、そして乾燥することにより製造された不織布である。
[製造例5]
−積層型吸収性シート1の製造−
高吸水性ポリマーとして、中心粒径が300〜500μmのポリアクリル酸ナトリウム系吸収材(サンダイヤポリマー社,PA−800)を準備した。
製造例1で得た嵩高吸水紙1を、支持ネット上に、凹凸模様を上面にして置いた。嵩高吸水紙1の下面から空気を吸引しながら、上面から高吸収性ポリマーを50g/m2の割合で散布した。次いで、高吸収性ポリマーを間に挟むように、製造例3で製造した耐水性ティッシュペーパー1を重ねて一体化して積層型吸収性シート1を得た。耐水性ティッシュペーパー1には、一体化前に、ホットメルト粘着剤をスパイラルパターンで塗工した。高吸収性ポリマーは、大部分が嵩高吸収紙1の凹部、すなわち、低目付領域上に存在したが、一部は、嵩高吸収紙1の凸部、すなわち、高目付領域上にも存在した。
[製造例6]
−積層型吸収性シート2の製造−
耐水性ティッシュペーパー1の代わりに製造例2で製造した嵩高吸水紙2を用いた以外は実施例1と同様にして、積層型吸収性シート2を得た。
[比較製造例1及び比較製造例2]
−積層型吸収性シート3及び積層型吸収性シート4の製造−
製造例5で製造した積層型吸収性シート1の嵩高吸収紙1を、耐水性ティッシュペーパー1及び乾式パルプ不織布1に変更した以外は製造例5と同様にして、それぞれ、積層型吸収性シート3及び積層型吸収性シート4を製造した。
製造の際、吸引用の支持ネットを部分的に目詰めすることにより、目詰めされていない部分に高吸収性ポリマー粒子を集中的に吸引し、配置させて、嵩高吸収紙1の場合とほぼ同様のパターンで高吸収性ポリマーを配置させた。
[実施例1及び2、並びに比較例1及び2]
積層型吸収性シート1及び2を、それぞれ、実施例1及び2として、そして積層型吸収性シート3及び4を、それぞれ、比較例1及び2として、下記項目に関して試験した。その結果を表1に示す。
<最大吸収量>
5cm角の積層型吸収性シートを金網に載せた状態で10分間生理食塩水に浸漬する。10分後に取り出して水平に静置して、水滴が落ちなくなった後の質量を測定して、積層型吸収性シート1g当たりの吸収量を最大吸収量とする。
<吸収速度>
水平に置いた15cm角の積層型吸収性シートの中央部分に、ビュレットから生理食塩水20mLを、積層型吸収性シートから外へ流れ出さないように量を調整しながら滴下し、全量をシート内部に吸収するのに要した時間を測定して吸収速度(秒/20mL)を測定し、1回目の吸収速度とする。
3分後に生理食塩水20mLを追加滴下して吸収速度(秒/20mL)を測定し、2回目の吸収速度とする。
<リウェット量>
2回目の吸収速度の測定から10分経過した後、積層型吸収性シートの上に15cm角の濾紙(アドバンテック東洋製,No.2)を10枚重ね、濾紙の上から35g/cm2の荷重を1分間かけて、濾紙が吸収した生理食塩水量をリウェット量とする。
<幅圧縮回復率>
図19に示す幅圧縮回復率測定器55を用いる。リウェット量測定後の積層型吸収性シート29を10メッシュの金網56上に載置し、金網56から2cmの高さのところに同一の10メッシュの金網57で蓋をし、対向する2方向(図19では、左右)から、プッシャー58で積層吸収性シート29が5cmの幅になるまで押し縮め、押し縮められた積層型吸収性シート59を形成させる。次いで、プッシャー58と金網57とを取り除き、回復した積層型吸収性シート60の幅w(cm)を測定し、次式:
幅圧縮回復率(%)={(w−5)÷(15−5)}×100
により幅圧縮回復率(%)を計算する。
表1から明らかなように、本発明の積層型吸収性シート1及び2は、従来の積層型吸収性シート3と比較して、吸収速度に優れるとともに、幅圧縮回復性にも優れることが分かる。また、本発明の積層型吸収性シート1及び2は、比較例2の積層型吸収性シート4と比較しても幅圧縮回復性に優れていることが分かる。特に、積層型吸収性シート2の様に、第1シート及び第2シートを共に嵩高吸水紙とすると、吸収特性だけでなく幅圧縮回復性がさらに優れることが分かる。
1 膨張された熱膨張性粒子
2 繊維原料
3 膨張された熱膨張性粒子の断面
4 抄紙機
5 抄紙パート
6 湿式混抄シート
7 第1搬送ベルト
8 第2搬送ベルト
9 サクションボックス
10 噴射用ノズル
11 開口スクリーン
12 ドライヤー
13 完成品巻取りロール
14 噴射穴
15 ノズルプレート
16 柱状噴流
17 噴射スリット
18 カーテン状噴流
19,19’ 嵩高吸収紙
20 波状ライン
21 製紙用原料溶液
22 抄紙用丸網シリンダー
23 スクリーンドラム
24 抄紙用ワイヤー
25 目詰め領域
26 非目詰め領域
27 高目付領域
28 低目付領域
29 積層型吸収性シート
30 嵩高吸収紙
30’ 凹凸模様を有する嵩高吸収紙
31 高吸収性ポリマー
32 耐水性ティッシュペーパー
33 ホットメルト接着剤
34 吸収性物品
35 表面シート
36 裏面シート
37 粘着部
38 剥離部
39 フラッフパルプ積層マット
40 積層型吸収性シート
41 第1シート
42 第2シート
43 ホットメルト接着剤塗工機
44 高吸収性ポリマー散布機
45 高吸収性ポリマー散布チャンバー
46 吸引回転ドラム
47 吸引部
48 第1貼り合わせロール
49 ベルトコンベア
50 積層型吸収性シートカッター
51 第2貼り合わせロール
52 製品カッター
53A,53B,53C,53D ロール
54 積層型吸収性シートの巻取りロール
55 幅圧縮回復率測定器
56,57 金網
58 プッシャー
59 押し縮められた積層型吸収性シート
60 回復した積層型吸収性シート

Claims (9)

  1. 吸収側の第1シートの層と、非吸収側の第2シートの層と、第1シートの層及び第2シートの層の間の高吸水性ポリマーの層とを含む積層型吸収性シートであって、
    第1シート及び/又は第2シートが嵩高吸収紙であり、
    前記嵩高吸収紙が、当該嵩高吸収紙中に分散され、そして加熱により膨張された熱膨張性粒子を含む、
    ことを特徴とする積層型吸収性シート。
  2. 前記嵩高吸収紙が、
    30〜100質量%の天然パルプ及び0〜70質量%の他の繊維から成る繊維原料と、平均粒径5〜30μmの熱膨張性粒子とを、前記繊維原料100質量部当たり前記熱膨張性粒子5〜30質量部の割合で水中に分散させた製紙用原料から、前記熱膨張性粒子が前記繊維原料中に分散された湿潤混抄シートを抄造する工程、次いで
    加熱により、前記熱膨張性粒子の少なくとも一部を、20〜125倍の体積に膨張させ、嵩高吸収紙を得る工程、
    を含む製法により得られた、密度0.025〜0.1g/cm3の嵩高吸収紙である、請求項1に記載の積層型吸収性シート。
  3. 前記加熱が湿熱空気又は水蒸気により行われ、そして前記膨張させる工程の後に前記湿潤混抄シートを乾燥させる工程をさらに含む、請求項2に記載の積層型吸収性シート。
  4. 前記嵩高吸収紙が、高目付領域と低目付領域とから構成される凹凸模様を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層型吸収性シート。
  5. 前記高目付領域内に前記低目付領域が点在するように配置されている、請求項4の積層型吸収性シート。
  6. 前記嵩高吸収紙が、前記熱膨張性粒子の膨張の程度が大きい低密度領域と、前記熱膨張性粒子の膨張の程度が小さい高密度領域から成る凹凸模様を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層型吸収性シート。
  7. 第1シートと、第2シートとの両方が嵩高吸収紙である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層型吸収性シート。
  8. 第1シートが嵩高吸収紙であり、そして第2シートが耐水性ティッシュペーパーである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の積層型吸収性シート。
  9. 第2シートの非吸収側に、フラッフパルプ積層マットの層をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の積層型吸収性シート。
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