JP3210823U - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収性物品において、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下したときに生じるおそれがある、非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維の漏出を防止する。【解決手段】トップシート(2)と、バックシート(3)と、トップシート(2)及びバックシート(3)の間に設けられた吸収性コア(4)とを備えた生理用ナプキン(1)において、その構成繊維が表面に露出してトップシート(2)と直接接触する非被覆領域を有する吸収性コア(4)に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維を、セルロース系吸水性繊維に対する質量混合比1/9以上で含有させ、吸収性コア(4)の湿潤時繊維脱落率を13.3%以下とする。【選択図】図1

Description

本考案は、吸収性物品に関する。
吸収性物品として、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、液保持性の吸収性コアとを備える吸収性物品であって、トップシートが吸収性コアの肌側面を覆うとともに該肌側面に直接的に接合されている(すなわち、トップシートと吸収性コアとの間に別のシートが設けられていない)吸収性物品が知られている(特許文献1)。
一方、エアレイド不織布用の熱接着性複合繊維として、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物を含むビニルモノマーでグラフト重合された変性ポリオレフィンを鞘成分とし、変性ポリオレフィンよりも融点が高い樹脂を芯成分とする芯鞘型複合繊維が知られている(特許文献2,3)。
特開2012−075637号公報 特許第4221849号公報 特開2004−270041号公報
特許文献1に記載の吸収性コアは、その構成繊維が表面に露出してトップシートと直接接触する非被覆領域を有する。したがって、特許文献1に記載の吸収性物品では、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下したとき、吸収性コアの崩壊、トップシートと吸収性コアとの界面剥離等に起因して、非被覆領域からトップシートを通じて吸収性コアの構成繊維が漏出するおそれがある。
一方、特許文献2,3に記載の芯鞘型複合繊維について、セルロース系繊維との接着性が良好であることは知られているものの、吸収性コアの構成成分としての利用可能性は知られていなかった。
そこで、本考案は、セルロース系吸水性繊維と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維とを含有する吸収性コアを備えた吸収性物品であって、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下したときに生じるおそれがある、非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維の漏出を防止することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本考案は、液透過性層と、液不透過性層と、前記液透過性層及び前記液不透過性層の間に設けられた吸収性コアとを備えた吸収性物品であって、前記吸収性コアは、その構成繊維として、セルロース系吸水性繊維と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維とを含有しており、前記吸収性コアは、その構成繊維が表面に露出して前記液透過性層と直接接触する非被覆領域を有しており、前記吸収性コアに含有される前記吸水性繊維に対する前記熱可塑性樹脂繊維の質量比は1/9以上であり、前記吸収性コアの湿潤時繊維脱落率は13.3%以下である、前記吸収性物品を提供する。
本考案によれば、セルロース系吸水性繊維と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維とを含有する吸収性コアを備えた吸収性物品であって、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下したときに生じるおそれがある、非被覆領域からトップシートを通じた吸収性コアの構成繊維の漏出を防止することができる吸収性物品が提供される。
図1は、本考案の一実施形態に係る生理用ナプキンの部分破断平面図である。 図2は、図1のA−A線断面図である。 図3は、本考案の一実施形態に係る生理用ナプキンの製造工程を示す図である。 図4(a)及び(b)は、実施例で使用されるSJベルトプレス機を示す図である。
以下、本考案の吸収性物品について説明する。
態様1に係る吸収性物品は、液透過性層と、液不透過性層と、前記液透過性層及び前記液不透過性層の間に設けられた吸収性コアとを備えた吸収性物品であって、前記吸収性コアは、その構成繊維として、セルロース系吸水性繊維(以下「吸水性繊維」と略する場合がある)と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維(以下「熱可塑性樹脂繊維」と略する場合がある)とを含有しており、前記吸収性コアは、その構成繊維が表面に露出して前記液透過性層と直接接触する非被覆領域を有しており、前記吸収性コアに含有される前記吸水性繊維に対する前記熱可塑性樹脂繊維の質量比は1/9以上であり、前記吸収性コアの湿潤時繊維脱落率は13.3%以下である、前記吸収性物品である。
態様1に係る吸収性物品は、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下したときに生じるおそれがある、非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維の漏出を防止することができる。このため、態様1に係る吸収性物品は、着用者に繊維漏出による違和感を与えにくい。
液透過性層と吸収性コアとの界面のうち非被覆領域の占める割合が大きいほど、非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維の漏出が生じるおそれが高くなる。したがって、態様1に係る吸収性物品の繊維漏出防止効果は、液透過性層と吸収性コアとの界面のうち非被覆領域の占める割合が大きいほど顕著である。かかる観点から、液透過性層と吸収性コアとの界面のうち非被覆領域の占める割合は、好ましくは10%以上、さらに好ましくは30%以上である。なお、上限は100%である。
態様1に係る吸収性物品において、前記吸収性コアの乾燥時繊維脱落率が2.8%以下であることが好ましい(態様2)。
態様2に係る吸収性物品では、吸収性コアが液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持するため、2.8%以下という吸収性コアの乾燥時繊維脱落率、及び13.3%以下という吸収性コアの湿潤時繊維脱落率が実現されている。したがって、態様2に係る吸収性物品は、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下しても、吸収性コアの崩壊及びこれに起因する非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維の漏出を効果的に防止することができる。このため、態様2に係る吸収性物品は、着用者に繊維漏出による違和感を与えない。なお、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であるという条件は、2.8%以下という吸収性コアの乾燥時繊維脱落率、及び13.3%以下という吸収性コアの湿潤時繊維脱落率を実現するための必要条件である。
態様1又は2に係る吸収性物品は、高吸水性樹脂(SAP)粒子を含有しており、前記吸収性コアの乾燥時SAP粒子脱落率が14.3%以下であることが好ましい(態様3)。
態様3に係る吸収性物品は、液体吸収前に生じやすい、非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアのSAP粒子の漏出を防止することができる。このため、態様3に係る吸収性物品は、着用者にSAP粒子漏出による違和感を与えにくい。吸収性コアの構成繊維と同様、液透過性層と吸収性コアとの界面のうち非被覆領域の占める割合が大きいほど、非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアのSAP粒子の漏出が生じるおそれが高くなる。したがって、態様3に係る吸収性物品のSAP粒子漏出防止効果は、液透過性層と吸収性コアとの界面のうち非被覆領域の占める割合が大きいほど顕著である。かかる観点から、液透過性層と吸収性コアとの界面のうち非被覆領域の占める割合は、好ましくは10%以上、さらに好ましくは30%以上である。なお、上限は100%である。
態様1〜3のいずれかに係る吸収性物品において、前記吸収性コアに含有される前記吸水性繊維に対する前記熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であることが好ましい(態様4)。
態様4に係る吸収性物品おいて、5/5という上限は、吸収性コアの液体吸収性の観点から規定されたものであり、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であると、吸収性コアが、十分な強度(特に液体吸収後の湿潤時強度)と、十分な液体吸収性とを兼ね備える。
態様4に係る吸収性物品おいて、前記吸収性コアの乾燥時繊維脱落率が0.9〜2.8%であり、前記吸収性コアの湿潤時繊維脱落率が1.0〜13.3%であることが好ましい(態様5)。
態様5に係る吸収性物品では、吸収性コアが液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持するため、0.9〜2.8%という吸収性コアの乾燥時繊維脱落率、及び1.0〜13.3%という吸収性コアの湿潤時繊維脱落率が実現されている。したがって、態様5に係る吸収性物品は、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下しても、吸収性コアの崩壊及びこれに起因する非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維の漏出を効果的に防止することができる。なお、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であることは、0.9〜2.8%という吸収性コアの乾燥時繊維脱落率、及び1.0〜13.3%という吸収性コアの湿潤時繊維脱落率を実現するための必要条件である。
態様4又は5に係る吸収性物品において、前記吸収性コアの繊維密度が0.06〜0.14g/cm3であることが好ましい(態様6)。吸収性コアにおける吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であるとき、吸収性コアの繊維密度が0.06〜0.14g/cm3であると、吸収性コアに対して十分な液体吸収性を付与することができる。
態様6に係る吸収性物品において、前記吸水性コアが、前記セルロース系吸水性繊維と、前記熱可塑性樹脂繊維とを含有する混合材料に高圧水蒸気を噴射して高密度化することにより得られたものであることが好ましい(態様7)。態様7に係る吸収性物品では、高圧水蒸気の噴射を利用した高密度化により、吸収性コアの繊維密度が所望の範囲に調節されている。混合材料に高圧水蒸気が噴射されると、混合材料の内部に水蒸気が浸透し、水素結合(例えば、吸水性繊維間、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維−熱可塑性樹脂繊維間等で形成された水素結合)が切断され、混合材料が軟化する。したがって、高密度化に要する圧力が減少し、軟化した混合材料は容易に密度調整が可能である。密度調整された混合材料が乾燥して水素結合が再形成されると、繊維の弾性回復(嵩の増加)が抑制され、吸収性コアの繊維密度が一定範囲に維持される。態様7は、熱可塑性樹脂繊維に不飽和カルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸又はその誘導体)がモノマー成分として含まれる場合に、特に好適である。熱可塑性樹脂繊維に含まれる不飽和カルボン酸無水物基が水蒸気と反応して不飽和カルボン酸基となると、水素結合を形成可能な酸素原子の数が増加するので、高密度化された繊維の弾性回復(嵩の増加)が効果的に抑制される。なお、混合材料は、セルロース系吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維に加えて、所望により(例えば、態様3の場合)、SAP粒子を含有することができる。
態様6又は7に係る吸収性物品おいて、前記吸収性コアの繊維坪量が40〜900g/m2であることが好ましい(態様8)。繊維坪量が40g/m2未満であると、熱可塑性樹脂繊維の繊維量が不十分となり、吸収性コアの強度(特に液体吸収後の湿潤時強度)が低下するおそれがある一方、900g/m2を越えると、熱可塑性樹脂繊維の繊維量が過剰となり、吸収性コアの剛性が高くなりすぎるおそれがある。
態様4〜8のいずれかに係る吸収性物品は、前記液透過性層及び前記吸収性コアを接合する接合部をさらに備えており、前記接合部の乾燥時接合強度が1.53〜7.65N/25mmであり、前記接合部の湿潤時接合強度が0.95〜4.34N/25mmであることが好ましい(態様9)。
態様9に係る吸収性物品では、吸収性コアが液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持するため、1.53〜7.65N/25mmという接合部の乾燥時接合強度、及び0.95〜4.34N/25mmという接合部の湿潤時接合強度が実現されている。したがって、態様9に係る吸収性物品は、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下しても、液透過性層と吸収性コアとの界面剥離及びこれに起因する非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維(吸収性コアがSAP粒子も含有する場合には、吸収性コアの構成繊維及びSAP粒子)の漏出を効果的に防止することができる。なお、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であることは、1.53〜7.65N/25mmという接合部の乾燥時接合強度、及び0.95〜4.34N/25mmという接合部の湿潤時接合強度を実現するための必要条件である。
態様9に係る吸収性物品において、前記接合部が、前記液透過性層及び前記吸収体を厚さ方向に一体化する圧搾部であることが好ましい(態様10)。
態様1〜10に係る吸収性物品において、前記吸収性コアの構成繊維同士が接着していることが好ましい(態様11)。態様11に係る吸収性物品では、吸収性コアの構成繊維同士の接着により、繊維間に高度なネットワークが形成されるので、吸収性コアが液体の吸収前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持する。接着の態様としては、例えば、熱可塑性樹脂繊維の熱融着による熱可塑性樹脂繊維間又は熱可塑性樹脂繊維−吸水性繊維間の接着、水素結合による熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維間又は熱可塑性樹脂繊維−吸水性繊維間の接着等が挙げられる。吸収性コアが、その他の繊維を含む場合、熱可塑性樹脂繊維及び/又は吸水性繊維は、その他の繊維と接着していてもよい。なお、水素結合は、吸収性コアに吸収された液体により切断されるため、吸収性コアに含有されるSAP粒子の膨潤を阻害しない。
態様1〜11に係る吸収性物品において、前記液透過性層を貫通する貫通孔が開孔率5〜70%で形成されていることが好ましい(態様12)。貫通孔の開孔率が5%未満であると、貫通孔の形成によって液透過性層の液透過性の向上を十分に図ることができない一方、貫通孔の開孔率が70%を越えると、吸収性コアから液透過性層への液体の逆戻りが顕著となる。また、液透過性層を貫通する貫通孔が形成されていると、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下したとき、非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維(吸収性コアがSAP粒子も含有する場合には、吸収性コアの構成繊維及びSAP粒子)の漏出が生じやすいので、態様1〜11に係る吸収性物品の繊維漏出防止効果(吸収性コアがSAP粒子も含有する場合には、繊維漏出防止効果及びSAP粒子漏出防止効果)は、態様12において顕著である。
態様1〜12に係る吸収性物品において、前記液透過性層及び前記吸収性コアを貫通する貫通孔が形成されていることが好ましい(態様13)。態様13に係る吸収性物品では、粘度が高い液体の吸収性・収容性が向上している。また、液透過性層及び吸収性コアを貫通する貫通孔が形成されていると、液体を吸収して吸収性コアの強度が低下したとき、非被覆領域から液透過性層を通じた吸収性コアの構成繊維(吸収性コアがSAP粒子も含有する場合には、吸収性コアの構成繊維及びSAP粒子)の漏出が生じやすいので、態様1〜12に係る吸収性物品の繊維漏出防止効果(吸収性コアがSAP粒子も含有する場合には、繊維漏出防止効果及びSAP粒子漏出防止効果)は、態様13において顕著である。
態様1〜13に係る吸収性物品において、前記熱可塑性樹脂繊維が、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物を含むビニルモノマーでグラフト重合された変性ポリオレフィンあるいは該変性ポリオレフィンと他の樹脂との混合ポリマーを鞘成分とし、前記変性ポリオレフィンよりも融点が高い樹脂を芯成分とする芯鞘型複合繊維であることが好ましい(態様14)。
態様1〜14に係る吸収性物品において、前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物が、マレイン酸又はその誘導体、無水マレイン酸又はその誘導体、あるいはそれらの混合物であることが好ましい(態様15)。
態様1〜15に係る吸収性物品において、前記吸収性コアに含有される前記熱可塑性樹脂繊維が着色されていることが好ましい(態様16)。態様16に係る吸収性物品では、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とが均一に分散されているか否かの視認が容易である。また、吸収された液体の色をマスキングすることができる。例えば、吸収される液体が尿である場合には青色系に、経血である場合には緑色系に着色しておくことにより、着用者に清潔感を感じさせることができる。
本考案の吸収性物品の種類及び用途は特に限定されない。吸収性物品としては、例えば、生理用ナプキン、使い捨てオムツ、パンティーライナー、失禁パッド、汗取りシート等の衛生用品・生理用品が挙げられ、これらはヒトを対象としてもよいし、ペット等のヒト以外の動物を対象としてもよい。吸収性物品が吸収対象とする液体は特に限定されず、例えば、着用者から排泄される液状排泄物(例えば、経血、尿、下り物等)等が挙げられる。
以下、生理用ナプキンを例として、図面に基づいて、本考案の吸収性物品の実施形態を説明する。
本考案の一実施形態に係る生理用ナプキン1は、図1及び図2に示すように、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、トップシート2及びバックシート3の間に設けられた吸収性コア4と、トップシート2及び吸収性コア4を厚さ方向に一体化する圧搾部5とを備える。なお、図1において、X軸方向は生理用ナプキン1の幅方向に、Y軸方向は生理用ナプキン1の長手方向に、X軸Y軸方向に広がる平面の方向は生理用ナプキン1の平面方向に相当する。他の図においても同様である。
生理用ナプキン1は、着用者から排泄される液状排泄物(特に経血)を吸収する目的で着用される。この際、トップシート2が着用者の肌側に、バックシート3が着用者の着衣(下着)側に位置するように着用される。着用者から排泄された液状排泄物は、トップシート2を透過して吸収性コア4に至り、吸収性コア4で吸収・保持される。吸収性コア4で吸収・保持された液状排泄物の漏れは、バックシート3によって防止される。
図1に示すように、トップシート2及びバックシート3は、長手方向の端部同士がシール部11a,11bによって接合され、本体部6を形成するとともに、幅方向の端部同士がシール部12a,12bによって接合され、本体部6から幅方向に延出する略矩形状のウイング部7a,7bを形成している。
本体部6の形状は、女性の身体、下着等に適合する範囲で適宜変更可能であり、例えば、略長方形、略楕円形、略瓢箪形等であってもよい。本体部6の長手方向の延べ寸法は、通常100〜500mm、好ましくは150〜350mmであり、本体部6の幅方向の延べ寸法は、通常30〜200mm、好ましくは40〜180mmである。
シール部11a,11b,12a,12bによる接合様式としては、例えば、エンボス加工、超音波、ホットメルト型接着剤等が挙げられる。接合強度を高めるために、2種以上の接合様式を組み合わせてもよい(例えば、ホットメルト型接着剤による接合後に、エンボス加工を施す等)。
エンボス加工としては、例えば、形成すべきエンボスパターンに対応する凸部を有するエンボスロールとフラットロールとの間に、トップシート2及びバックシート3を合わせて通過させてエンボス加工する方法(いわゆるラウンドシールと呼ばれる方法)等が挙げられる。この方法では、エンボスロール及び/又はフラットロールの加熱により、各シートが軟化するため、シール部が明瞭になりやすい。エンボスパターンとしては、例えば、格子状パターン、千鳥状パターン、波状パターン等が挙げられる。シール部の境界で生理用ナプキン1が折り曲がりにくくなるように、エンボスパターンは間欠で細長状であることが好ましい。
ホットメルト接着剤としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。接着剤の塗布方法としては、例えば、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。
図2に示すように、ウイング部7a,7bを形成するバックシート3の着衣側には、粘着部13a,13bが設けられており、本体部6を形成するバックシート3の着衣側には、粘着部13cが設けられている。粘着部13cが下着のクロッチ部に貼付されるとともに、ウイング部7a,7bが下着の外面側に折り曲げられ、粘着部13a,13bが下着のクロッチ部に貼付されることにより、生理用ナプキン1は下着に安定して固定される。
粘着部13a,13b,13cに含有される粘着剤としては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー;C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等の粘着付与剤;リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤;ビニル重合体、ポリエステル等のポリマー可塑剤等が挙げられる。
トップシート2は、着用者から排泄される液状排泄物が透過し得るシートであり、液透過性層の一例である。トップシート2の一方の面は、着用者の肌が当接する面となっている。
トップシート2は、着用者から排泄される液状排泄物が透過し得る限り特に限定されない。トップシート2としては、例えば、不織布、織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等が挙げられるが、これらのうち不織布が好ましい。
不織布を構成する繊維としては、例えば、天然繊維(例えば、羊毛,コットン等)、再生繊維(例えば、レーヨン,アセテート等)、無機繊維(例えば、ガラス繊維,炭素繊維等)、合成樹脂繊維(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタラート、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド等)等が挙げられる。不織布には、芯・鞘型繊維、サイド・バイ・サイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維;中空タイプの繊維;扁平、Y型、C型等の異型繊維;潜在捲縮又は顕在捲縮の立体捲縮繊維;水流、熱、エンボス加工等の物理的負荷により分割する分割繊維等が混合されていてもよい。
不織布の製造方法としては、例えば、ウェブ(フリース)を形成し、繊維同士を物理的・化学的に結合させる方法が挙げられ、ウェブの形成方法としては、例えば、スパンボンド法、乾式法(カード法、スパンボンド法、メルトブローン法、エアレイド法等)、湿式法等が挙げられ、結合方法としては、例えば、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スパンレース法等が挙げられる。このようにして製造された不織布の他、水流交絡法によりシート状に形成したスパンレースをトップシート2として使用してもよい。また、肌側の面に凹凸をつけた不織布(例えば、熱収縮繊維等を含有する下層側を収縮させることで上層側に凹凸を形成した不織布、ウェブ形成時にエアーを当てることで凹凸を形成した不織布等)をトップシート2として使用してもよい。このように肌側の面に凹凸を形成することにより、トップシート2と肌との間の接触面積を低減させることができる。
トップシート2は、トップシート2を貫通する貫通孔を有することが好ましい。トップシート2が貫通孔を有する場合(例えば、開孔フィルム、開孔不織布)、貫通孔の開孔率(トップシート2の面積に対する貫通孔の面積の総和の割合)は、好ましくは5〜70%、さらに好ましくは10〜40%である。貫通孔の開孔率が5%未満であると、トップシート2の液透過性の向上を十分に図ることができない一方、貫通孔の開孔率が70%を越えると、吸収性コア4からトップシート2への液体の逆戻りが顕著となる。貫通孔の径は、好ましくは0.01〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmであり、貫通孔の間隔は、好ましくは0.02〜20mm、さらに好ましくは1〜10mmである。
トップシート2に貫通孔が形成されていると、液状排泄物を吸収して吸収性コア4の強度が低下したとき、非被覆領域からトップシート2を通じた吸収性コア4の構成繊維(吸収性コア4がSAP粒子も含有する場合には、吸収性コア4の構成繊維及びSAP粒子)の漏出が生じやすいので、生理用ナプキン1の繊維漏出防止効果(吸収性コア4がSAP粒子も含有する場合には、繊維漏出防止効果及びSAP粒子漏出防止効果)は、トップシート2に貫通孔が形成されている場合に顕著である。
トップシート2の厚み、坪量、密度等は、着用者から排泄される液状排泄物が透過し得る範囲で適宜調整することができる。トップシート2として不織布を使用する場合、液状排泄物の透過性、肌触り等の観点から、不織布を構成する繊維の繊度、繊維長、密度、不織布の坪量、厚み等を適宜調整することができる。
トップシート2の隠ぺい性を高める観点から、トップシート2として使用する不織布に酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機フィラーを含有させてもよい。不織布の繊維が芯鞘タイプの複合繊維である場合、芯のみに無機フィラーを含有させてもよいし、鞘のみに含有させてもよい。
バックシート3は、着用者から排泄される液状排泄物が透過し得ないシートであり、液不透過性層の一例である。バックシートの一方の面は、着用者の着衣(下着)と接触する面となっている。バックシート3は、着用時のムレを低減させるために、液不透過性に加えて、透湿性を有することが好ましい。
バックシート3は、着用者から排泄される液状排泄物を透過し得ない限り特に限定されない。バックシート3としては、例えば、防水処理を施した不織布、合成樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート(例えば、スパンボンド、スパンレース等の不織布に通気性の合成樹脂フィルムが接合された複合フィルム)、耐水性の高いメルトブローン不織布を強度の強いスパンボンド不織布で挟んだSMS不織布等が挙げられる。
トップシート2と吸収性コア4との界面及びバックシート3と吸収性コア4との界面には、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)が塗工されており、吸収性コア4の一方の面にはトップシート2が、他方の面にはバックシート3が接合されている。トップシート2から吸収性コア4への液透過性の観点から、接着剤は、トップシート2と吸収性コア4との界面全体には塗工されておらず、例えば、ドット、スパイラル、ストライプ等のパターンで塗工されている。接着剤としては、例えば、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤;水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等)又は水膨潤性高分子(例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等)からなる感水性接着剤等が挙げられる。接着剤の塗布方法としては、例えば、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。接着剤の塗工量(坪量)は、通常0.5〜20g/m2、好ましくは2〜10g/m2である。
吸収性コア4は、その構成繊維として、セルロース系吸水性繊維(以下「吸水性繊維」と略する場合がある)と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維(以下「熱可塑性樹脂繊維」と略する場合がある)とを含有する。吸水性繊維は、主として吸収性コア4の液体吸収性・保持性に関与し、熱可塑性樹脂繊維は、主として吸収性コア4の強度(特に液体吸収後の湿潤時強度)に関与する。
好ましい実施形態では、吸収性コア4は、セルロース系吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維に加えて、高吸水性樹脂(Superabsorbent Polymer:SAP)粒子を含有する。SAP粒子は、主として吸収性コア4の液体吸収性・保持性に関与する。吸収性コア4がSAP粒子を含有することにより、吸収性コア4の液体吸収性・保持性が向上する。
吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維(好ましい実施形態では、吸水性繊維、熱可塑性樹脂繊維及びSAP粒子)は混合状態で吸収性コア4に含有されている。繊維同士の交点(例えば、熱可塑性樹脂繊維同士の交点、熱可塑性樹脂繊維と吸水性繊維との交点)は、熱可塑性樹脂繊維の熱融着により接着している。また、繊維同士は機械的に交絡され、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維間又は熱可塑性樹脂繊維−吸水性繊維間に形成された水素結合により接着している。吸収性コア4が、その他の繊維を含む場合、熱可塑性樹脂繊維及び/又は吸水性繊維は、その他の繊維と接着していてもよい。吸収性コア4がSAP粒子を含む場合、SAP粒子は、熱可塑性樹脂繊維の熱融着により繊維と接着していてもよい。
吸収性コア4に含有される繊維同士の接着により、繊維間に高度なネットワークが形成されるので、吸収性コア4は、液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持することができる。したがって、液体を吸収して吸収性コア4の強度が低下しても、吸収性コア4の崩壊及びこれに起因する非被覆領域からトップシート2を通じた吸収性コア4の構成繊維の漏出を効果的に防止することができる。また、吸収性コア4がSAP粒子を含有する場合、SAP粒子は、繊維間に形成された高度なネットワーク中に保持されるので、吸収性コア4からのSAP粒子の漏出を効果的に防止することができる。
熱融着は、例えば、吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維(好ましい実施形態では、吸水性繊維、熱可塑性樹脂繊維及びSAP粒子)を含有する混合材料を熱可塑性樹脂繊維の融点以上の温度で加熱することにより実施される。加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維の種類に応じて適宜調節することができる。熱可塑性樹脂繊維の融点以上の温度は、熱可塑性樹脂繊維の一部が融解する温度以上であればよく、例えば、熱可塑性樹脂繊維が芯鞘型複合繊維である場合、鞘成分が融解する温度以上であればよい。
吸収性コア4は、その構成繊維が表面に露出してトップシート2と直接接触する非被覆領域を有する。本実施形態では、吸収性コア4がコアラップで被覆されていないので、吸収性コア4の構成繊維は、吸収性コア4の全面に露出しており、トップシート2と吸収性コア4との界面のうち非被覆領域の占める割合は100%である。
吸収性コア4が非被覆領域を有する限り、吸収性コア4はコアラップで被覆されていてもよい。コアラップは、液体透過性及び吸収体保持性を有する限り特に限定されない。コアラップとしては、例えば、不織布、織布、液体透過孔が形成された合成樹脂フィルム、網目を有するネット状シート等が挙げられる。
例えば、吸収性コア4の表面のうち、トップシート2と吸収性コア4との界面以外がコアラップで被覆されていてもよい。また、吸収性コア4の表面のうち、トップシート2と吸収性コア4との界面がコアラップで被覆されていてもよい。但し、トップシート2と吸収性コア4との界面のうち非被覆領域の占める割合が大きいほど、非被覆領域からトップシート2を通じた吸収性コア4の構成繊維(吸収性コア4がSAP粒子も含有する場合には、吸収性コア4の構成繊維及びSAP粒子)の漏出が生じるおそれが高くなる。したがって、生理用ナプキン1が発揮する繊維漏出防止効果(吸収性コア4がSAP粒子も含有する場合には、繊維漏出防止効果及びSAP粒子漏出防止効果)は、トップシート2と吸収性コア4との界面のうち非被覆領域の占める割合が大きいほど顕著である。かかる観点から、トップシート2と吸収性コア4との界面のうち非被覆領域の占める割合は、好ましくは10%以上、さらに好ましくは30%以上である。なお、上限は100%である。
トップシート2と吸収性コア4との界面のうち非被覆領域の占める割合は、吸収性コア4をトップシート2に投影したときに、吸収性コア4がトップシート2と重なる領域(吸収性コア配置領域)をトップシート2と吸収性コア4との界面とし、吸収性コア配置領域のうち、コアラップが設けられていない領域を非被覆領域として算出されている。したがって、圧搾部5が形成されている領域、及びトップシート2と吸収性コア4との間に接着剤が塗工されている領域は、トップシート2と吸収性コア4との界面に含まれている。
生理用ナプキン1は、液体透過性層として、トップシート2に加えて、トップシート2及び吸収体4の間に配置されたセカンドシートを備えていてもよい。セカンドシートとしては、トップシート2で例示した不織布等のシートを適宜選択して使用することができる。トップシート2及び吸収体4の間にセカンドシートが配置されている場合、生理用ナプキン1が発揮する繊維漏出防止効果(吸収性コア4がSAP粒子も含有する場合には、繊維漏出防止効果及びSAP粒子漏出防止効果)は、セカンドシートと吸収性コア4との界面のうち非被覆領域の占める割合が大きいほど顕著である。したがって、セカンドシートと吸収性コア4との界面のうち非被覆領域の占める割合は、上記と同様に、好ましくは10%以上、さらに好ましくは30%以上である。なお、上限は100%である。
吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)は1/9以上である。1/9という下限は、吸収性コア4の強度(特に液体吸収後の湿潤時強度)の観点から規定されたものであり、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であると、吸収性コア4は、液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持する。
吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)が大きくなるほど、吸収性コア4の強度は大きくなる。例えば、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が、1/9、1.5/8.5、2/8、2.5/7.5、3/7、3.5/6.5、4/6、4.5/5.5と大きくなるに伴って、吸収性コア4の強度は大きくなる。したがって、1/9、1.5/8.5、2/8、2.5/7.5、3/7、3.5/6.5、4/6、4.5/5.5という質量比は、吸収性コア4の強度を大きくする観点から、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比の下限としての意義を有し得る。
吸収性コア4の湿潤時繊維脱落率は13.3%以下である。したがって、生理用ナプキン1は、液状排泄物を吸収して吸収性コア4の強度が低下しても、吸収性コア4の崩壊及びこれに起因する非被覆領域からトップシート2を通じた吸収性コア4の構成繊維の漏出を効果的に防止することができる。このため、生理用ナプキン1は、着用者に繊維漏出による違和感を与えない。
吸収性コア4の乾燥時繊維脱落率は好ましくは2.8%以下であり、吸収性コア4の乾燥時SAP粒子脱落率は好ましくは14.3%以下、さらに好ましくは10%以下、さらに一層好ましくは5%以下である。これにより、生理用ナプキン1は、液状排泄物の吸収前においても、吸収性コア4からの繊維及びSAP粒子の漏出を効果的に防止することができる。
1/9という、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比は、それ未満とそれ以上とで吸収性コア4の乾燥時及び湿潤時繊維脱落率(特に、湿潤時繊維脱落率)が顕著に変化する臨界的な意義を有する(試験例1参照)。したがって、吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比を1/9以上とすることが、吸収性コア4の乾燥時及び湿潤時繊維脱落率を小さくする観点から有利であり、これにより、2.8%以下という吸収性コア4の乾燥時繊維脱落率、及び13.3%以下という吸収性コア4の湿潤時繊維脱落率を実現することができる。
吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)が大きくなるほど、吸収性コア4の乾燥時及び湿潤時繊維脱落率並びに乾燥時SAP粒子脱落率は小さくなる。例えば、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9、1.5/8.5、2/8、2.5/7.5、3/7、3.5/6.5、4/6、4.5/5.5と大きくなるに伴って、吸収性コア4の乾燥時及び湿潤時繊維脱落率並びにSAP粒子脱落率は小さくなる。したがって、1.5/8.5、2/8、2.5/7.5、3/7、3.5/6.5、4/6、4.5/5.5という質量比は、吸収性コア4の乾燥時及び湿潤時繊維脱落率並びに乾燥時SAP粒子脱落率を小さくする観点から、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比の下限としての意義を有し得る。例えば、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比を2/8以上とすることができ、これにより、1.5%以下という吸収性コア4の乾燥時繊維脱落率、及び12.8%以下という吸収性コア4の湿潤時繊維脱落率を実現することができるとともに、10.3%以下という吸収性コア4の乾燥時SAP粒子脱落率を実現することができる。
吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)の上限は、好ましくは5/5である。5/5という上限は、吸収性コア4の液体吸収性の観点から規定されたものであり、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が5/5以下であると、吸収性コア4は、十分な液体吸収性を兼ね備える。これにより、吸収性コア4の液体浸透性及び拡散性が向上するので、吸収性コア4がSAP粒子を含有する場合、SAP粒子の液体吸収能及び保持能を効果的に発揮させることができる。
吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)が小さくなるほど、熱可塑性樹脂繊維の疎水性の影響が弱まり、吸収性コア4の液体吸収性は大きくなる。例えば、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が、5/5、4.5/5.5、4/6、3.5/6.5、3/7、2.5/7.5、2/8、1.5/8.5と小さくなるに伴って、吸収性コア4の液体吸収性は大きくなる。したがって、5/5、4.5/5.5、4/6、3.5/6.5、3/7、2.5/7.5、2/8、1.5/8.5という質量比は、吸収性コア4の液体吸収性を大きくする観点から、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比の上限としての意義を有し得る。
吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)は、吸収性コア4の強度(特に液体吸収後の湿潤時強度)及び液体吸収性の両観点から、好ましくは1/9〜5/5、さらに好ましくは2/8〜4/6である。これにより、吸収性コア4は、十分な強度(特に液体吸収後の湿潤時強度)と、十分な液体吸収性とを兼ね備える。
吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)が1/9〜5/5である場合、0.9〜2.8%という吸収性コア4の乾燥時繊維脱落率、及び1.0〜13.3%という吸収性コア4の湿潤時繊維脱落率を実現することができるとともに、3.7〜14.3%という吸収性コア4の乾燥時SAP粒子脱落率を実現することができる。
所望の乾燥時及び湿潤時繊維脱落率並びに乾燥時SAP粒子脱落率は、吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比を1/9以上とした上で、吸収性コア4の製造条件(例えば、熱融着の際の加熱条件)等を適宜調整することにより実現することができる。例えば、吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する混合材料に対して、130〜220℃、好ましくは140〜180℃の熱風を、風量2.5〜30m/秒、好ましくは5〜20m/秒で、0.5〜60秒間、好ましくは5〜30秒間、吹き付けることにより、所望の乾燥時及び湿潤時繊維脱落率を実現することができる。熱風の吹き付けは、例えば、エアースルー方式で実施することができる。なお、熱風の吹き付けは、加熱処理の一例である。加熱処理は、熱可塑性樹脂繊維の融点以上の温度に加熱可能である限り特に限定されない。加熱処理は、熱風の他、マイクロウェーブ、蒸気、赤外線等の熱媒体を使用して実施することができる。
吸収性コア4の乾燥時繊維脱落率(%)は、次のようにして測定される。
100mm×100mmの試験前サンプル片を空の容器内に投入し、振盪速度300rpmで1時間、振盪機(例えば、IWAKI社製,SHKV−200)で振盪し、振盪後もシート状態を維持していたサンプル片を取り出し、これを試験後サンプル片とする。そして、脱落した繊維の重量(試験前サンプル片の重量−試験後サンプル片の重量)に基づいて、繊維脱落率(%)(脱落した繊維の重量/試験前サンプル片の重量×100)を算出する。
吸収性コア4の湿潤時繊維脱落率(%)は、次のようにして測定される。
100mm×100mmの試験前サンプル片を蒸留水含有容器内に投入し、振盪速度250rpmで30秒間、振盪機(例えば、IWAKI社製,SHKV−200)で振盪し、振盪後もシート状態を維持していたサンプル片を取り出し、十分に乾燥し、これを試験後サンプル片とする。そして、脱落した繊維の重量(試験前サンプル片の重量−試験後サンプル片の重量)に基づいて、繊維脱落率(%)(脱落した繊維の重量/試験前サンプル片の重量×100)を算出する。容器内の蒸留水量は、サンプル片が十分に浸漬される量(例えば1000mL)に調整される。乾燥には、市販の乾燥機、例えば、送風定温恒温器(ヤマト科学社製,DNE−910)を使用することができ、乾燥温度は、例えば80℃、乾燥時間は、例えば12時間以上に設定することができる。
吸収性コア4の乾燥時SAP粒子脱落率(%)は、次のようにして測定される。
吸収性コア4から切り出した100mm×100mmの試験前サンプル片を空の容器内に投入し、振盪速度300rpmで10分間、振盪機(例えば、IWAKI社製,SHKV−200)で振盪し、振盪後もシート状態を維持していたサンプル片を取り出し、これを試験後サンプル片とする。そして、脱落したSAP粒子の重量(試験前サンプル片の重量−試験後サンプル片の重量)に基づいて、SAP粒子脱落率(%)(脱落したSAP粒子の重量/試験前サンプル片の重量×100)を算出する。
吸収性コア4の繊維密度は、好ましくは0.06〜0.14g/cm3、さらに好ましくは0.07〜0.12g/cm3、さらに一層好ましくは0.08〜0.1g/cm3である。吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5であるとき、吸収性コア4の繊維密度が0.06〜0.14g/cm3であると、吸収性コア4に対して十分な液体吸収性を付与することができる。
吸収性コア4が繊維及びSAP粒子を含有する場合、吸収性コア4の繊維密度は、次式に基づいて算出する。
FD(g/cm3)=FB(g/m2)/T(mm)×10-3
[式中、FD、FB及びTは、それぞれ、吸収性コア4の繊維密度、繊維坪量及び厚みを表す。]
吸収性コア4の繊維坪量(g/m2)は、次式に基づいて算出する。
FB(g/m2)=B(g/m2)×FR
[式中、FBは前記と同義であり、Bは吸収性コア4の坪量を表し、FRは吸収性コア4における繊維質量比率を表す。]
吸収性コア4の坪量(g/m2)の測定は、以下の通り、実施する。
吸収性コア4から100mm×100mmのサンプル片を3枚切り出し、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)における各サンプル片の質量を直示天秤(例えば、研精工業株式会社製 電子天秤HF−300)で測定し、3つの測定値の平均値から算出した吸収性コア4の単位面積当たりの質量(g/m2)を、吸収性コア4の坪量とする。
なお、吸収性コア4の坪量の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−1又はJIS L 1913 6.2に記載の測定条件を採用する。
吸収性コア4における繊維質量比率の測定は、以下の通り、実施する。
吸収性コア4からSAP粒子サンプル及び繊維サンプルを1gずつ収集する。この際、吸収性コア4をほぐして、対象となるSAP粒子及び繊維を、拡大鏡を用いながら収集することが好ましい。次いで、収集したSAP粒子サンプルを250メッシュナイロン袋(乾燥状態)に入れ、保水量を測定する。同様に、収集した繊維サンプルを250メッシュナイロン袋(乾燥状態)に入れ、保水量を測定する。保水量の測定は、次の通り、実施する。
サンプル入りのナイロン袋を0.9%生理食塩水500mL中に30分間完全浸漬させた後、遠心分離機にて150Gで2分間脱水し、脱水後のサンプルの質量を測定する。
一方、サンプルを入れる前の250メッシュナイロン袋単体(乾燥状態)を、0.9%生理食塩水500mL中に30分間完全浸漬させた後、遠心分離機にて150Gで2分間脱水し、脱水後のナイロンメッシュ袋単体サンプルの質量を測定する。
次式を用いて、SAP粒子サンプルの保水量(g/g)及び繊維サンプルの保水量(g/g)を算出する。
サンプルの保水量(g/g)=(脱水後のサンプル質量−浸漬前のサンプル質量−脱水後のナイロンメッシュ袋単体の質量)/浸漬前のサンプル質量
なお、本例において、浸漬前のサンプル質量は、SAP粒子サンプル、繊維サンプルともに、1gである。
吸収性コア4から50mm×50mmのコアサンプルを切り出し、コアサンプルの質量W(g)を測定する。コアサンプルのサイズは、吸収性コアのサイズに応じて変更可能であるが、可能な範囲で大きいことが好ましい。次いで、コアサンプルを250メッシュのナイロンメッシュ袋に入れ、保水量を測定する。保水量の測定は、次の通り、実施される。ナイロン袋を生理食塩水500ml中に30分間浸漬した後、遠心分離機にて150Gで10分間脱水し、脱水後のコアサンプル質量を測定し、上記式に基づいて、コアサンプルの保水量(g/g)を算出する。
コアサンプル中のSAP粒子質量をS(g)、繊維質量をP(g)とすると(W=S+P)、次式が成立する。
コアサンプルの保水量(g/g)×W(g)=SAP粒子サンプルの保水量(g/g)×(W−P)(g)+繊維サンプルの保水量(g/g)×P(g)
この式に基づいて、吸収性コア4における繊維質量比率(P/W)を算出する。
吸収性コア4の厚み(mm)の測定は、以下の通り、実施する。
厚み計(例えば、株式会社大栄科学精器製作所製 FS−60DS,測定面44mm(直径),測定圧3g/cm2)により、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)における吸収性コア4の異なる5つの部位(厚み計FS−60DSを使用する場合、各部位の直径は44mm)を定圧3g/cm2で加圧し、各部位における加圧10秒後の厚みを測定し、5つの測定値の平均値を、吸収性コア4の厚みとする。
吸収性コア4の繊維密度は、吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する混合材料の高密度化により、所望の範囲に調節することができる。吸収性コア4の繊維密度を一定範囲に維持するためには、繊維の弾性回復を抑制し、吸収性コア4の嵩を一定範囲に維持する必要がある。この点、水素結合(例えば、吸水性繊維間、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維−熱可塑性樹脂繊維間等で形成された水素結合)が、吸収性コア4の嵩の維持に寄与する。水素結合は、例えば、熱可塑性樹脂繊維の酸素原子(例えば、カルボキシル基、アシル基、エーテル結合等の酸素原子)と、セルロースの水素原子(例えば、水酸基の水素原子)との間で形成される。なお、水素結合は、吸収性コア4に吸収された液体により切断されるので、吸収性コア4に含有される吸収性材料(必須成分である吸水性繊維、任意成分である高吸水性材料)の膨潤を阻害しない。
吸収性コア4の乾燥時最大引張り強度(繊維坪量200g/m2における最大引張り強度)は、好ましくは3〜36N/25mm、さらに好ましくは8〜20N/25mmであり、吸収性コア4の湿潤時最大引張り強度(繊維坪量200g/m2における最大引張り強度)は、好ましくは2〜32N/25mm、さらに好ましくは5〜15N/25mmである。また、吸収性コア4の乾燥時最大引張り強度(繊維坪量100g/m2及びSAP粒子坪量100g/m2における最大引張り強度)は、好ましくは1〜18N/25mm、さらに好ましくは2〜10N/25mmであり、吸収性コア4の湿潤時最大引張り強度(繊維坪量100g/m2及びSAP粒子坪量100g/m2における最大引張り強度)は、好ましくは0.9〜16N/25mm、さらに好ましくは2〜10N/25mmである。これにより、吸収性コア4は、液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持することができる。吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であることは、このような吸収性コア4の強度が実現されるための必要条件である。なお、「N/25mm」は、吸収性コア4の平面方向における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を意味し、吸収性コア4の平面方向としては、例えば、吸収性コア4の製造時の搬送方向(MD方向)、MD方向と直交する方向(CD方向)等が挙げられるが、好ましくはMD方向である。
吸収性コア4の乾燥時最大引張り強度は、次のようにして測定することができる。
標準時(温度20℃,湿度60%の雰囲気下)のサンプル片(長さ150mm×幅25mm)を、引張試験機(島津製作所製,AG−1kNI)につかみ間隔100mmで取り付け、100mm/分の引張速度でサンプル片が切断されるまで荷重(最大点荷重)を加え、最大引張り強度(N/25mm)を測定する。なお、「N/25mm」は、サンプル片の長さ方向における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を意味する。
吸収性コア4の湿潤時最大引張り強度は、次のようにして測定することができる。
サンプル片(長さ150mm×幅25mm)をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、乾燥時最大引張り強度と同様にして、最大引張り強度(N/25mm)を測定する。なお、「N/25mm」は、サンプル片の長さ方向における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を意味する。
乾燥時及び湿潤時最大引張り強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913 6.3に記載の測定条件を採用する。
吸収性コア4の乾燥時最大引張り強度と湿潤時最大引張り強度との差(乾燥時最大引張り強度−湿潤時最大引張り強度)は、好ましくは1〜5N/25mm、さらに好ましくは2〜4N/25mmである。これにより、吸収性コア4は、液体吸収の前後を通じて(すなわち、乾燥時だけでなく湿潤時も)十分な強度を保持することができる。吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であることは、このような吸収性コア4の強度が実現されるための必要条件である。なお、乾燥時に形成されている水素結合は、湿潤時に切断されるので、乾燥時最大引張り強度と湿潤時最大引張り強度との差は、水素結合量の指標となる。
吸収性コア4に含有されるセルロース系吸水性繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ(例えば、砕木パルプ、リファイナーグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;クラフトパルプ、サルファイドパルプ、アルカリパルプ等の化学パルプ;半化学パルプ等);木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿(例えばコットンリンター)等の非木材パルプ;レーヨン繊維等の再生繊維等が挙げられる。
吸収性コア4に含有される熱可塑性樹脂繊維は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維である限り特に限定されるものではなく、強度、水素結合性、熱融着性等の観点から、適宜選択することができる。
吸収性コア4に含有される熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物を含むビニルモノマーでグラフト重合された変性ポリオレフィンあるいは該変性ポリオレフィンと他の樹脂との混合ポリマーを鞘成分とし、該変性ポリオレフィンよりも融点が高い樹脂を芯成分とする芯鞘型複合繊維等が挙げられる。
不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、マレイン酸又はその誘導体、無水マレイン酸又はその誘導体、フマル酸又はその誘導体、マロン酸の不飽和誘導体、コハク酸の不飽和誘導体等のビニルモノマーが挙げられ、それ以外のビニルモノマーとしては、ラジカル重合性を有する汎用モノマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。マレイン酸の誘導体又は無水マレイン酸の誘導体としては、例えば、シトラコン酸、無水シトラコン酸、無水ピロシンコン酸等が挙げられ、フマル酸の誘導体又はマロン酸の不飽和誘導体としては、例えば、3−ブテン−1、1−ジカルボン酸、ベンジリデンマロン酸、イソプロピリデンマロン酸等が挙げられ、コハク酸の不飽和誘導体としては、例えば、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
変性ポリオレフィンの幹ポリマーとしては、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブチレン、これらを主体とした共重合体(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー樹脂等)が挙げられる。
幹ポリマーに対するビニルモノマーのグラフト重合は、例えば、ラジカル開始剤を用いて、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物とビニルモノマーとを混合し、ランダム共重合体からなる側鎖を導入する方法、異種モノマーを順次重合し、ブロック共重合体からなる側鎖を導入する方法等の常法に従って実施することができる。
鞘成分は、変性ポリオレフィン単独であってもよいし、変性ポリオレフィンと他の樹脂との混合ポリマーであってもよい。他の樹脂としてはポリオレフィンが好ましく、変性ポリオレフィンの幹ポリマーと同種のポリオレフィンがさらに好ましい。例えば、幹ポリマーがポリエチレンである場合、他の樹脂もポリエチレンであることが好ましい。
芯成分として使用される樹脂は、変性ポリオレフィンよりも融点が高い樹脂である限り特に限定されず、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸をはじめとする直鎖状又は分岐鎖状の炭素数20までのポリヒドロキシアルカン酸等のポリエステル及びこれらを主体とした共重合体、あるいはアルキレンテレフタレートを主成分として他の成分を少量共重合してなる共重合ポリエステル等が挙げられる。弾性反発性を有するのでクッション性が高いという観点、工業的に安価に得られるという経済的な観点等から、PETが好ましい。
芯成分に対する鞘成分の複合比は10/90〜90/10の範囲なら紡糸可能であるが、30/70〜70/30が好ましい。鞘成分比が減少し過ぎると熱融着性が低下し、増加し過ぎると紡糸性が低下する。
吸収性コア4に含有される熱可塑性樹脂繊維には、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。熱可塑性樹脂繊維は、界面活性剤、親水剤等により親水化処理されていることが好ましい。
吸収性コア4に含有される熱可塑性樹脂繊維の繊維長は、特に限定されないが、エアレイド方式でパルプと混合する場合、好ましくは3〜70mm、さらに好ましくは5〜20mmである。この範囲を下回ると、吸水性繊維との接合点の数が減少するため、吸収性コア4に対して十分な強度を付与することができない。一方、この範囲を上回ると、解繊性が著しく低下して未解繊状態のものが多数発生するため、地合ムラが発生し、吸収性コア4の均一性が低下する。また、熱可塑性樹脂繊維の繊度は、好ましくは0.5〜10dtex、さらに好ましくは1.5〜5dtexである。繊度が0.5dtex未満であると解繊性が低下し、10dtexを超えると繊維本数が少なくなり強度が低下する。
吸収性コア4に含有される熱可塑性樹脂繊維には、3次元捲縮形状を付与してもよい。これにより、繊維配向が平面方向に向いた場合でも、繊維の挫屈強度が厚み方向に働くので、外圧が加えられても潰れにくくなる。3次元捲縮形状としては、例えば、ジクザク状、Ω状、スパイラル状等が挙げられ、3次元捲縮形状の付与方法としては、例えば、機械捲縮、熱収縮による形状付与等が挙げられる。機械捲縮は、紡糸後の連続で直鎖状の繊維に対し、ライン速度の周速差、熱、加圧等によって制御可能であり、単位長さ辺りの捲縮個数が多いほど外圧下に対する挫屈強度が高められる。捲縮個数は、通常5〜35個/インチ、好ましくは15〜30個/インチである。熱収縮による形状付与では、例えば、融点の異なる2種以上の樹脂からなる繊維に熱を加えることにより、融点差に起因して生じる熱収縮の差を利用して、3次元捲縮が可能である。繊維断面の形状としては、例えば、芯鞘型複合繊維の偏芯タイプ、サイドバイサイドタイプが挙げられる。このような繊維の熱収縮率は、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは10〜80%である。
好ましい実施形態では、吸収性コア4は、セルロース系吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維に加えて、高吸水性樹脂(Superabsorbent Polymer:SAP)粒子を含有する。SAP粒子を構成する高吸水性材料としては、例えば、デンプン系、セルロース系、合成ポリマー系の高吸水性材料が挙げられる。デンプン系又はセルロース系の高吸水性材料としては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物等が挙げられ、合成ポリマー系の高吸水性材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系、ポリアスパラギン酸塩系、ポリグルタミン酸塩系、ポリアルギン酸塩系、デンプン系、セルロース系等の高吸水性樹脂(Superabsorbent Polymer:SAP)等が挙げられるが、これらのうちポリアクリル酸塩系(特に、ポリアクリル酸ナトリウム系)の高吸水性樹脂が好ましい。SAP粒子には、その他の形状(例えば、繊維状、鱗片状等)の高吸水性材料が含有されていてもよい。
吸収性コアに含有されるSAP粒子の坪量は、通常5〜500g/m2、好ましくは100〜400g/m2、さらに好ましくは150〜300g/m2である。吸収性コア4におけるSAP粒子の繊維に対する坪量比(SAP粒子の坪量/繊維の坪量)は、通常5/40〜500/900、好ましくは100/100〜400/500、さらに好ましくは150/150〜300/400である。SAP粒子の粒径は、通常50〜1000μm、好ましくは100〜900μm、さらに好ましくは300〜700μmである。SAP粒子の粒径の測定は、JIS R 6002:1998に記載のふるい分け試験方法に準拠して実施する。
吸収性コア4の厚み、繊維坪量等は、生理用ナプキン1が備えるべき特性(例えば吸収性、強度、軽量性等)に応じて適宜調整することができる。吸収性コア4の厚みは、通常0.1〜15mm、好ましくは1〜10mm、さらに好ましくは2〜5mmであり、繊維坪量は、通常20〜1000g/m2、好ましくは40〜900g/m2、さらに好ましくは100〜400g/m2である。繊維坪量が40g/m2未満であると、熱可塑性樹脂繊維の繊維量が不十分となり、吸収性コア4の強度(特に液体吸収後の湿潤時強度)が保持できないおそれがある一方、900g/m2を越えると、熱可塑性樹脂繊維の繊維量が過剰となり、吸収性コア4の剛性が高くなりすぎるおそれがある。なお、吸収性コア4の厚さ、繊維坪量等は、吸収性コア4全体にわたって一定であってもよいし、部分的に異なっていてもよい。
吸収性コア4は、トップシート2及び吸収性コア4を貫通する貫通孔により、トップシート2と一体化されていてもよい。これにより、粘度が高い液体(例えば、経血)の吸収性・収容性が向上する。また、トップシート2及び吸収性コア4を貫通する貫通孔が形成されていると、液状排泄物を吸収して吸収性コア4の強度が低下したとき、非被覆領域からトップシート2を通じた吸収性コア4の構成繊維(吸収性コア4がSAP粒子も含有する場合には、吸収性コア4の構成繊維及びSAP粒子)の漏出が生じやすいので、生理用ナプキン1の繊維漏出防止効果(吸収性コア4がSAP粒子も含有する場合には、繊維漏出防止効果及びSAP粒子漏出防止効果)が顕著となる。トップシート2及び吸収性コア4を貫通する貫通孔の開孔率(トップシート2の面積に対する貫通孔の総面積の割合)は、好ましくは0.1〜20%、さらに好ましくは1〜10%であり、貫通孔の径は、好ましくは0.1〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmであり、貫通孔の間隔は、好ましくは0.2〜30mm、さらに好ましくは5〜20mmである。
吸収性コア4に含有される熱可塑性樹脂繊維は、色素等により着色されていてもよい。これにより、吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維とが均一に分散されているか否かの視認が容易である。また、吸収された液体の色をマスキングすることができる。例えば、吸収される液体が尿である場合には青色系に、経血である場合には緑色系に着色しておくことにより、着用者に清潔感を感じさせることができる。
吸収性コア4には、所望の機能を付与するために、銀、銅、亜鉛、シリカ、活性炭、アルミノケイ酸塩化合物、ゼオライト等を含有させてもよい。これにより、消臭性、抗菌性、吸熱効果等の機能を付与することができる。
図1に示すように、圧搾部5は、トップシート2の肌当接面のうち、排泄口当接領域20の周縁又は周囲に断続的に形成されている。圧搾部5の形成パターンは適宜変更可能であり、トップシート2を平面視したときの形成パターンとしては、例えば、直線状、曲線状、環状、ドット状等が挙げられる。
排泄口当接領域20は、生理用ナプキン1の着用時に、着用者の排泄口(例えば、小陰唇、大陰唇等)が当接する領域である。排泄口当接領域20は、吸収性コア配置領域の略中央に設定されている。排泄口当接領域20の位置、面積等は、適宜調整することができる。排泄口当接領域20は、実際に排泄口が当接する領域と略同一の領域として設定されてもよいし、それよりも大きい領域として設定されてもよいが、経血等の液状排泄物の外部への漏れ出しを防止する観点から、実際に排泄口が当接する領域よりも大きい領域として設定されることが好ましい。排泄口当接領域20の長さは通常50〜200mm、好ましくは70〜150mmであり、幅は通常10〜80mm、好ましくは20〜50mmである。
圧搾部5は、ヒートエンボス処理により形成された凹部である。本実施形態における圧搾部5は、トップシート2及び吸収性コア4を接合する接合部の一例である。トップシート2及び吸収性コア4を接合する接合部は、ヒートエンボス処理以外の接合方法、例えば、超音波エンボス、接着剤による接着等の接合方法によって形成してもよい。
ヒートエンボス処理では、トップシート2の肌当接面のうち、所定部位が、吸収性コア4の厚さ方向へ圧縮されるとともに加熱される。これにより、トップシート2及び吸収性コア4を厚さ方向に一体化する圧搾部5が、凹部として形成される。
ヒートエンボス処理は、例えば、凸部が外周表面に設けられたエンボスロールと、外周表面が平滑であるフラットロールとの間に、トップシート2及び吸収性コア4を通過させてエンボス加工する方法によって行われる。この方法では、エンボスロール及び/又はフラットロールの加熱により、圧縮時の加熱が可能である。エンボスロールの凸部は、圧搾溝5の形状、配置パターン等に対応するように設けられている。ヒートエンボス処理における加熱温度は通常80〜180℃、好ましくは120〜160℃であり、圧力は10〜3000N/mm、好ましくは50〜500N/mmであり、処理時間は通常0.0001〜5秒、好ましくは0.005〜2秒である。
ヒートエンボス処理により、吸収性コア4に含有される熱可塑性樹脂繊維が、トップシート2を構成する材料と熱融着し、トップシート2及び吸収性コア4が一体化する。これにより、トップシート2と吸収性コア4との界面剥離強度が増加する。
圧搾部5の乾燥時接合強度は、好ましくは1.53N/25mm以上であり、圧搾部5の湿潤時接合強度は、好ましくは0.95N/25mm以上である。これにより、生理用ナプキン1は、液状排泄物を吸収して吸収性コア4の強度が低下しても、トップシート2と吸収性コア4との界面剥離及びこれに起因する非被覆領域からトップシート2を通じた吸収性コア4の構成繊維(吸収性コア4がSAP粒子も含有する場合には、吸収性コア4の構成繊維及びSAP粒子)の漏出を効果的に防止することができる。このため、生理用ナプキン1は、着用者に繊維漏出及びSAP粒子漏出による違和感を与えない。なお、吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9以上であるという条件は、このような圧搾部5の接合強度(特に湿潤時強度)を実現するための必要条件である。
圧搾部5の接合強度に関し、「N/25mm」は、圧搾部5の延在方向における幅25mmあたりの接合強度(N)を意味し、圧搾部5の延在方向としては、例えば、生理用ナプキン1の長手方向(製造時の搬送方向(MD方向))、生理用ナプキン1の短手方向(MD方向と直交する方向(CD方向))等が挙げられるが、好ましくは生理用ナプキン1の長手方向(MD方向)である。したがって、圧搾部5の乾燥時及び湿潤時接合強度は、好ましくは、圧搾部5のうち、生理用ナプキン1の長手方向に延在する部分の乾燥時及び湿潤時接合強度である。
吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比(熱可塑性樹脂繊維/吸水性繊維)が1/9〜5/5である場合、1.53〜7.65N/25mmという圧搾部5の乾燥時接合強度、及び0.95〜4.34N/25mmという圧搾部5の湿潤時接合強度を実現することができる。
所望の乾燥時及び湿潤時接合強度は、吸収性コア4に含有される吸水性繊維に対する熱可塑性樹脂繊維の質量比を1/9以上とした上で、ヒートエンボス処理条件、トップシート2に含有される熱可塑性樹脂繊維の有無、種類等を適宜調整することにより実現することができる。
圧搾部5の乾燥時接合強度は、次のようにして測定することができる。
標準時(温度20℃,湿度60%の雰囲気下)のサンプル片(長さ50mm×幅25mm)を、引張試験機(例えば、島津製作所,AG−1kNI)につかみ間隔20mmで、上側つかみに吸収体を、下側つかみにトップシートを取り付け、100mm/分の引張速度で、トップシート及び吸収体が完全に剥離するまで荷重(最大点荷重)を加え、圧搾部の接合強度(N/25mm)を測定する。なお、「N/25mm」は、サンプル片の長さ方向を引張方向としたときの、サンプル片の幅25mmあたりの接合強度(N)を意味する。
圧搾部5の湿潤時接合強度は、次のようにして測定することができる。
サンプル片(長さ50mm×幅25mm)をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、乾燥時と同様にして測定する。なお、「N/25mm」は、サンプル片の長さ方向を引張方向としたときの、サンプル片の幅25mmあたりの接合強度(N)を意味する。
乾燥時及び湿潤時接合強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913 6.3に記載の測定条件を採用する。
接合強度の測定に使用されるサンプル片は、圧搾部5の一部を含むように、生理用ナプキン1から切り出される。例えば、サンプル片は、圧搾部5のうち、生理用ナプキン1の長手方向に延在する部分を含むように、生理用ナプキン1から切り出される。こうして切り出されたサンプル片では、その長さ方向が圧搾部5の延在方向と一致することが好ましい。例えば、生理用ナプキン1を、長手方向に延在する圧搾部5に対して垂直に切断することにより、長さ方向が圧搾部5の延在方向と一致するサンプル片(例えば、長さ50mm×幅25mm)を作製することができる。
トップシート2及び吸収性コア4の界面剥離強度をさらに増強させる観点から、トップシート2は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂繊維を含有することが好ましい。
トップシート2に含有される熱可塑性樹脂繊維は、繊維同士の交点が熱融着可能である限り特に限定されるものではない。熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブチレン、これらを主体とした共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー樹脂)等が挙げられる。軟化点が100℃前後と比較的低いので熱加工性に優れる点、並びに、剛性が低く、しなやかな触感である観点から、ポリエチレン、特にHDPEが好ましい。
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンタレフタレート(PET)、ポリトリメチレテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸をはじめとする直鎖状又は分岐状の炭素数20までのポリヒドロキシアルカン酸等のポリエステル、これらを主体とした共重合体、アルキレンテレフタレートを主成分として他の成分を少量共重合してなる共重合ポリエステル等が挙げられる。弾性反発性を有するのでクッション性が高い繊維及び不織布を構成することが可能である点、並びに工業的に安価に得られるという経済的な観点から、PETが好ましい。
ポリアミドとしては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等が挙げられる。
トップシート2及び/又は被覆層42は、1種又は2種以上の熱可塑性樹脂繊維で構成されていてもよいし、熱可塑性樹脂繊維と熱融着しないその他の繊維を含有してもよい。熱可塑性樹脂繊維と熱融着しないその他の繊維としては、例えば、レーヨン等の再生繊維;アセテート等の半合成繊維;綿、ウール等の天然繊維;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ビニロン等の合成繊維等が挙げられる。熱可塑性樹脂繊維と熱融着しないその他の繊維の量は、トップシート2又は被覆層42の通常5〜70重量%、好ましくは10〜30重量%である。
トップシート2に含有される熱可塑性樹脂繊維の形態としては、例えば、芯・鞘型、サイド・バイ・サイド型のものや島/海型等が挙げられる。熱接着性の観点から、芯部と鞘部とから構成される複合繊維が好ましい。芯鞘型複合繊維における芯断面の形状としては、例えば、円、三角型、四角型、星型等が挙げられ、芯の部分は中空であってもよいし、多孔であってもよい。芯部/鞘部構造の断面積比は特に限定されるものではないが、好ましくは80/20〜20/80であり、さらに好ましくは60/40〜40/60である。
トップシート2に含有される熱可塑性樹脂繊維には、3次元捲縮形状を付与してもよい。これにより、繊維配向が平面方向に向いた場合でも、繊維の挫屈強度が厚み方向に働くので、外圧が加えられても潰れにくくなる。3次元捲縮形状としては、例えば、ジクザク状、Ω状、スパイラル状等が挙げられ、3次元捲縮形状の付与方法としては、例えば、機械捲縮、熱収縮による形状付与等が挙げられる。機械捲縮は、紡糸後の連続で直鎖状の繊維に対し、ライン速度の周速差、熱、加圧等によって制御可能であり、単位長さ辺りの捲縮個数が多いほど外圧下に対する挫屈強度が高められる。捲縮個数は、通常5〜35個/インチ、好ましくは15〜30個/インチである。熱収縮による形状付与では、例えば、融点の異なる2種以上の樹脂からなる繊維に熱を加えることにより、融点差に起因して生じる熱収縮の差を利用して、3次元捲縮が可能である。繊維断面の形状としては、例えば、芯鞘型複合繊維の偏芯タイプ、サイドバイサイドタイプが挙げられる。このような繊維の熱収縮率は、好ましくは5〜90%、さらに好ましくは10〜80%である。
吸収性コア4は、吸水性繊維及び熱可塑性樹脂繊維(好ましい実施形態では、吸水性繊維、熱可塑性樹脂繊維及びSAP粒子)を含有する混合材料に高圧水蒸気を噴射して高密度化されていてもよい。吸収性コア4の繊維密度は、高圧水蒸気の噴射を利用した高密度化により所望の範囲に調節することができる。混合材料に高圧水蒸気が噴射されると、混合材料の内部に水蒸気が浸透し、水素結合(例えば、吸水性繊維間、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維−熱可塑性樹脂繊維間等で形成された水素結合)が切断され、混合材料が軟化する。したがって、高密度化に要する圧力が減少し、軟化した混合材料は容易に密度調整可能である。密度調整された混合材料が乾燥して水素結合が再形成されると、繊維の弾性回復(嵩の増加)が抑制され、吸収性コア4の繊維密度が一定範囲に維持される。
高圧水蒸気の噴射による高密度化は、熱可塑性樹脂繊維に不飽和カルボン酸無水物(例えば、無水マレイン酸又はその誘導体)がモノマー成分として含まれる場合に、特に好適である。熱可塑性樹脂繊維に含まれる不飽和カルボン酸無水物基が水蒸気と反応して不飽和カルボン酸基となると、水素結合を形成可能な酸素原子の数が増加するので、密度調整された繊維の弾性回復(嵩の増加)が効果的に抑制される。
高圧水蒸気の噴射による高密度化は、例えば、熱可塑性樹脂繊維を吸水性繊維と接着させた後に実施される。高圧水蒸気の温度、蒸気圧等は、求められる密度範囲等に応じて適宜調節される。高圧水蒸気の温度は、熱可塑性樹脂繊維の融点(例えば、熱可塑性樹脂繊維が芯鞘型複合繊維である場合、鞘成分の融点)未満であることが好ましい。高圧水蒸気は、単位表面積あたり0.03kg/m2〜1.23kg/m2で噴射することが好ましい。高圧水蒸気の蒸気圧力は、通常0.1〜2Mpa、好ましくは0.3〜0.8Mpaである。
高圧水蒸気の噴射による高密度化を実施する場合、吸収性コア4の繊維坪量は、好ましくは40〜900g/m2、さらに好ましくは100〜400g/m2である。繊維坪量が40g/m2未満であると、繊維量が少な過ぎるため、高圧水蒸気の噴射による高密度化が困難となる一方、900g/m2を越えると、繊維量が多過ぎるため、水蒸気の内部浸透が困難となる。
高圧水蒸気の噴射により、吸収性コア4の表面に畝部及び溝部を形成することができる。畝部及び溝部の数、間隔等は、高圧水蒸気を噴射するノズルの数、ピッチ等に応じて変化する。なお、高圧水蒸気が噴射される部分が溝部となる。畝部及び溝部は、吸収性コア4のトップシート2側の面に形成されていてもよいし、吸収性コア4のバックシート3側の面に形成されていてもよい。
畝部及び溝部は、生理用ナプキン1の長手方向(Y軸方向)に延び、生理用ナプキン1の幅方向(X軸方向)に交互に配置されるように形成することができる。畝部及び溝部は、生理用ナプキン1の長手方向(Y軸方向)に向けて連続して延びていてもよいし、その一部を欠いた状態で断続的に延びていてもよい。例えば、畝部及び溝部を欠く部分が平面視矩形状、平面視千鳥状等の形状となるように、畝部及び溝部が断続的に延びていてもよい。
また、畝部及び溝部は、生理用ナプキン1の幅方向(X軸方向)に延び、生理用ナプキン1の長手方向(Y軸方向)に交互に配置されるように形成することができる。畝部及び溝部は、生理用ナプキン1の幅方向(X軸方向)に向けて連続して延びていてもよいし、その一部を欠いた状態で断続的に延びていてもよい。例えば、畝部又は溝部を欠く部分が平面視矩形状、平面視千鳥状等の形状となるように、畝部又は溝部が断続的に延びていてもよい。吸収性コア4のトップシート2側の面又はバックシート3側の面に、生理用ナプキン1の幅方向(X軸方向)に延びる複数の畝部及び溝部が形成されている場合、吸収性コア4の幅方向に力が加わっても、吸収性コア4がヨレにくく、着用者の体の形に沿って吸収性コア4が曲面状に変形しやすい。したがって、着用者に違和感を与えにくい。
畝部の形状は特に限定されない。例えば、畝部の頂部及び側面は曲面であり、畝部の断面形状は、トップシート又はバックシートに向かって略逆U字型形状である。畝部の断面形状は適宜変更可能であり、例えば、ドーム状、台形状、三角状、Ω状四角状等であってもよい。吸収性コア4に力が加えられて畝部が潰されても、溝部の空間が維持されるように、畝部の幅は底部から頂部に向けて狭くなっていることが好ましい。
畝部の幅は、トップシート2からの液体移行性の観点から、好ましくは0.5〜10mmであり、さらに好ましくは2〜5mmである。同様の観点から、溝部の幅は、好ましくは0.1〜10mmであり、さらに好ましくは1〜5mmである。
複数の畝部が形成される場合、畝部の幅は略同一であってもよいし、異なっていてもよい。例えば、1つの畝部の幅は別の畝部の幅と異なるが、さらに別の畝部の幅と略同一であるように複数の畝部を形成することができる。複数の溝部が形成される場合も同様である。
高圧水蒸気は、混合材料の全体に噴射してもよいし、一部に噴射してもよい。また、噴射する高圧水蒸気の温度、蒸気圧等を混合材料の部分ごとに変化させてもよい。高圧水蒸気を混合材料に部分的に噴射することにより、又は噴射する高圧水蒸気の温度、蒸気圧等を混合材料の部分ごとに変化させることにより、吸収性コア4の繊維密度分布を変化させることができる。
高圧水蒸気は、混合材料をプレスしながら噴射してもよいし、プレスせずに噴射してもよい。混合材料の一部分はプレスしながら高圧水蒸気を噴射し、他の部分はプレスせずに高圧水蒸気を噴射することにより、吸収性コア4の繊維密度分布を変化させることができる。例えば、一部が開口するメッシュコンベアベルト間を通過させながら混合材料に高圧水蒸気を噴射すると、メッシュコンベアベルトの開口部分ではプレスされることなく高圧水蒸気が直接当てられ、メッシュコンベアベルトの非開口部分ではプレスされながら高圧水蒸気が当てられるので、繊維密度分布を変化させることができる。
なお、高圧水蒸気の噴射により高密度化する場合、他の方法と比較して、次の点で有利である。プレスロール成形によって混合材料を高密度化する場合、繊維の反発力に勝る繊維間結合力を付与するために高圧縮が必要である。また、高圧縮により一旦は圧縮されても、繊維が弾性回復し、嵩が元に戻ってしまう。一方、プレスロールと水スプレーを組み合わせて混合材料を高密度化する場合、坪量が100g/m2以下であれば、混合材料の内部に水分を浸透させることができるが、坪量が100g/m2を超えると、混合材料の内部に水分を浸透させることが困難となり、混合材料の内部に水素結合を形成させることができない。また、過剰な水分を与えれば、混合材料の内部に水分を浸透させることが可能となるが、この場合、水分を蒸発させるために過剰な熱量と時間を要するため、生産性が低下する。これに対して、高圧水蒸気の噴射により高密度化する場合、混合材料の内部に水蒸気が浸透し、水素結合(例えば、吸水性繊維間、熱可塑性樹脂繊維間、吸水性繊維−熱可塑性樹脂繊維間等で形成された水素結合)が切断され、混合材料が軟化する。したがって、高密度化に要する圧力が減少し、軟化した混合材料は容易に密度調整可能となる。また、水蒸気は容易に蒸発し、乾燥に要する時間が短いので、生産性が向上する。
生理用ナプキン1の製造工程の具体例を図3に基づいて説明する。
[第1工程]
搬送方向MDへ回転するサクションドラム151の周面151aには、吸収性材料を詰める型として凹部153が周方向に所要のピッチで形成されている。サクションドラム151が回転して凹部153が材料供給部152へ進入すると、サクション部156が凹部153に作用し、材料供給部152から供給された吸収性材料は凹部153に真空吸引される。
フード付きの材料供給部152は、サクションドラム151を覆うように形成されており、材料供給部152は、セルロース系吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混合材料21を空気搬送により凹部153に対して供給する。また、材料供給部152は、高吸水性ポリマー粒子22を供給する粒子供給部158を備えており、凹部153に対して高吸水性ポリマー粒子22を供給する。セルロース系吸水性繊維と熱可塑性樹脂繊維と高吸水性ポリマー粒子とは、混合状態で凹部153に供給され、凹部153には吸収性材料層224が形成される。凹部153に形成された吸収性材料層224は、搬送方向MDに向かって進むキャリアシート150上に転写される。
[第2工程]
キャリアシート150上に転写された吸収性材料層224は、サクションドラム151の周面151aから離れて搬送方向MDへ走行する。キャリアシート150には、未圧縮の状態にある吸収性材料層224が搬送方向MDにおいて間欠的に並んでいる。加熱部103は、吸収性材料層224の上面に対して、加熱部104は、吸収性材料層224の下面に対して、135℃に加熱された空気を風速5m/秒で吹き付ける。これにより、吸収性材料層224中に含まれる熱可塑性樹脂繊維が溶融し、熱可塑性樹脂繊維同士、熱可塑性樹脂繊維−パルプ、熱可塑性樹脂繊維−高吸水性ポリマー粒子が結合(熱融着)した吸収性材料層225が形成される。吸収性材料層224に対して吹き付けられる加熱空気の条件(温度、風速、加熱時間)は、生産速度等に応じて適宜に制御される。
[第3工程]
一対を成すように上下に配置されている通気性のメッシュコンベアベルト171,172は、キャリアシート150上の吸収性材料層225を圧縮しつつ機械方向MDへ走行させる。平行走行部175における上下方向dの寸法(メッシュコンベアベルト171,172間の距離)は、搬送方向MDへ回転する上流側上ロール176と上流側下ロール177との間隙、及び下流側上ロール178と下流側下ロール179との間隙を調整することによって所要の値に設定されており、吸収性材料層225はメッシュコンベアベアベルト171,172によって所要の厚さにまで圧縮される。図3において水平に延びる平行走行部175には、メッシュコンベアベルト171,172を挟んで対向するように蒸気噴射部173と蒸気サクション部174とが配置されている。蒸気噴射部173には、例えば0.1〜2mmの口径のノズル(図示せず)が0.5〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmのピッチで吸収性材料層225を横断するように、機械方向MDと上下方向TDとに直交する交差方向CD(図示せず)に配置されており、各ノズルには、蒸気ボイラー180で発生した水の沸点以上の温度の水蒸気が、圧力制御弁181で例えば0.1〜2.0MPaの蒸気圧に調整された高圧水蒸気となって配管182を介して供給される。各ノズルからは、メッシュコンベアベルト171,172によって圧縮された状態にある吸収性材料層225に対して、メッシュコンベアベルト171を介して高圧水蒸気が噴射される。吸収性材料層225に対して噴射される高圧水蒸気量は、メッシュコンベアベルト171,172の走行速度に応じて調整され、メッシュコンベアベルト171,172が5〜500m/分で走行しているとき、メッシュコンベアベルト171と向かい合っている吸収性材料層225の表面積に対して1.23kg/m2〜0.03kg/m2の範囲で噴射されることが好ましい。水蒸気は、吸収性材料層225の厚さ方向において、メッシュコンベアベルト171と、吸収性材料層225と、メッシュコンベアベルト172とを順に通過して蒸気サクション部174による真空圧のサクション作用で回収される。高圧水蒸気を噴射された吸収性材料層225は、搬送方向MDへ進んでメッシュコンベアベルト171,172から分離され、第4工程に向かう。高圧水蒸気を噴射された吸収性材料層225の表面には、畝部及び溝部が形成される。蒸気噴射部173のノズルの数、ピッチ等を調節することにより、畝部及び溝部の数、間隔等を調節することができる。なお、高圧水蒸気を噴射された部分は溝部となる。
第3工程では、メッシュコンベアベルト171,172によって吸収性材料層225が局部的に圧縮されないようにするために、メッシュコンベアベルト171,172の少なくとも一方に対しては、上下方向TDへ容易に変形し得る程度の可撓性を有するものが使用される。メッシュコンベアベルト171,172には、ステンレス合金や青銅等で形成された金属製線材のメッシュベルト、ポリエステル繊維、アラミド繊維等で形成されたプラスチック製のメッシュベルトを使用することができ、開孔金属プレートで形成された金属製のベルトをメッシュベルトに代えて使用してもよい。吸収性材料層225が金属粉の混入を極度に嫌う場合には、プラスチック製のメッシュベルトを使用することが好ましい。また、プラスチック製のメッシュベルトであって高い耐熱性が求められる場合には、ポリフェニレンサルファイド樹脂製のメッシュベルトを使用することが好ましい。ポリフェニレンサルファイド樹脂を使用した10〜75メッシュの平織りメッシュベルトは、可撓性を有し、メッシュコンベアベルト171にもメッシュコンベアベルト172にも使用できる特に好ましいメッシュベルトの一例である。蒸気噴射部173や配管182には、適宜の保温対策を施したり、ドレン排出機構を設けたりすることが好ましい。そのようにすることによって、蒸気噴射部173等に生じたドレンがノズルから噴出されて吸収性材料層225に水分を過剰に含ませることを防ぐことができる。吸収性材料層225に向かって噴射される水蒸気には、水分である液分を含まない乾き蒸気である場合と、飽和蒸気である場合と、液分を含む湿り蒸気である場合とがある。水蒸気が湿り蒸気または飽和蒸気である場合には、パルプを容易に湿潤状態にして変形させることができる。乾き蒸気は、パルプに含まれる水分を気化させることができ、気化させた水分でパルプの変形を容易にすることが可能である。また、パルプが熱可塑性合成繊維であれば、乾き蒸気が持つ熱によってその熱可塑性合成繊維の変形を容易にすることができる。蒸気噴射部173は、それに加熱機構を設けておいて水蒸気を過熱水蒸気に変えて噴射することもできる。蒸気サクション部174は、吸引した高圧水蒸気が気水分離装置を通過した後に排気ブロワ(図示せず)へ向かうような配管を有するものであることが好ましい。なお、蒸気噴射部173と蒸気サクション部174との位置を入れ替えて、すなわち、蒸気噴射部173が下側となり、蒸気サクション部174が上側となる態様で実施することもできる。また、高圧水蒸気の回収が必要ではないときには、蒸気サクション174を配置することなく実施することもできる。
なお、高圧水蒸気の噴射による高密度化を実施する必要がない場合には、第3工程を省略してもよい。
[第4工程]
第4工程は、一般的な生理用ナプキンを製造する工程の例である。一対のロール300,301は第3工程で得られた吸収性材料層226(第3工程を省略する場合には、第2工程で得られた吸収性材料層225)を所定の形状に切り抜き、吸収性コアを形成する工程である。ロール302からトップシートが供給され、高圧搾部・低圧搾部を有する加熱エンボス303,304でシールされ、トップシートと吸収性コアが一体化される。その後、ロール305からバックシートが供給され、吸収性コア4がトップシートとバックシートに挟まれた状態で製品周縁部を加熱エンボスによりシールする工程306,307を通過し、最後に工程308,309により製品形状に切り取られる。
以下、製造例及び試験例に基づいて、本考案をさらに詳細に説明するが、本考案の範囲は製造例及び試験例に限定されるものではない。
製造例において使用した熱融着性複合繊維及び高吸水性樹脂粒子は、次の通りである。
[熱融着性複合繊維A]
熱融着性複合繊維A(以下「複合繊維A」という)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分とし、無水マレイン酸を含むビニルポリマーでグラフト重合された高密度ポリエチレン(HDPE)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を使用した。複合繊維Aの芯鞘比は50:50(質量比)、芯成分中の酸化チタン量は0.7重量%、繊度は2.2dtex、繊維長は6mmである。
[熱融着性複合繊維B]
熱融着性複合繊維B(以下「複合繊維B」という)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分とし、一般的な高密度ポリエチレン(HDPE)を鞘成分とする芯鞘型複合繊維を使用した。複合繊維Bの芯鞘比は50:50(質量比)、芯成分中の酸化チタン量は0.7重量%、繊度は2.2dtex、繊維長は6mmである。
[高吸水性樹脂粒子]
高吸水性樹脂粒子(以下「SAP粒子」という)として、ポリアクリル酸塩架橋体の粒子(製造元:住友精化株式会社)を使用した。SAP粒子の粒径分布は、150〜250μmが3.9%、250〜300μmが5.3%、300〜355μmが17.1%、355〜500μmが56.3%、500〜600μmが11.2%、600〜710μmが4.9%、710〜850μmが1.2%、850μm以上が0.1%である。
試験例において実施した吸収性コアの坪量、厚み及び密度の測定方法は、次の通りである。
[坪量]
吸収性コアの坪量(g/m2)の測定は、以下の通り、実施した。
吸収性コアから100mm×100mmのサンプル片を3枚切り出し、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)における各サンプル片の質量を直示天秤(研精工業株式会社製 電子天秤HF−300)で測定し、3つの測定値の平均値から算出した吸収性コアの単位面積当たりの質量(g/m2)を、吸収性コアの坪量とした。
なお、吸収性コアの坪量の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−1又はJIS L 1913 6.2に記載の測定条件を採用した。
[厚み]
吸収性コアの厚み(mm)の測定は、以下の通り、実施した。
厚み計(株式会社大栄科学精器製作所製 FS−60DS,測定面44mm(直径),測定圧3g/cm2)により、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)における吸収性コアの異なる5つの部位(各部位の直径は44mm)を定圧3g/cm2で加圧し、各部位における加圧10秒後の厚みを測定し、5つの測定値の平均値を、吸収性コアの厚みとした。
[密度]
吸収性コアの密度は、次式に基づいて算出した。
D(g/cm3)=B(g/m2)/T(mm)×10-3
[式中、D、B及びTは、それぞれ、吸収性コアの密度、坪量及び厚みを表す。]
なお、以下の製造例I及び試験例Iにおいて、複合繊維Aを使用して製造した繊維材料及び吸収性コアをそれぞれ「繊維材料A」及び「吸収性コアA」といい、複合繊維Bを使用して製造した繊維材料及び吸収性コアをそれぞれ「繊維材料B」及び「吸収性コアB」という。また、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比が異なる繊維材料A1〜A8を使用して製造した吸収性コアをそれぞれ「吸収性コアA1〜A8」といい、パルプに対する複合繊維Bの質量混合比が異なる繊維材料B1〜B8を使用して製造した吸収性コアをそれぞれ「吸収性コアB1〜B8」という。
また、以下の製造例II及び試験例IIにおいて、複合繊維Aを使用して製造したコア材料及び吸収性コアをそれぞれ「コア材料C」及び「吸収性コアC」といい、複合繊維Bを使用して製造したコア材料及び吸収性コアをそれぞれ「コア材料D」及び「吸収性コアD」という。また、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比が異なるコア材料C1〜C5を使用して製造した吸収性コアをそれぞれ「吸収性コアC1〜C5」といい、パルプに対する複合繊維Bの質量混合比が異なるコア材料D1〜D6を使用して製造した吸収性コアをそれぞれ「吸収性コアD1〜D6」という。
[製造例I−1]吸収性コアA(A1〜A8),B(B1〜B8)の製造
(1)繊維材料A(A1〜A8)の製造
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維Aとを、パルプ:複合繊維A=9.5:0.5(A1),9:1(A2),8:2(A3),6.5:3.5(A4),5:5(A5),3.5:6.5(A6),2:8(A7),0:10(A8)の質量比で混綿積層し、繊維材料A1〜A8(坪量200g/m2)を製造した。
(2)繊維材料B(B1〜B8)の製造
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維Bとを、パルプ:複合繊維B=10:0(B1),9:1(B2),8:2(B3),6.5:3.5(B4),5:5(B5),3.5:6.5(B6),2:8(B7),0:10(B8)の質量比で混綿積層し、繊維材料B1〜B8(坪量200g/m2)を製造した。
(3)吸収性コアA(A1〜A8),B(B1〜B8)の製造
繊維材料A1〜A8,B1〜B8を一般的なスルーエアー法によってボンディングし、複合繊維A,Bを加熱融着し、吸収性コアA1〜A8,B1〜B8を製造した。この際、加熱温度は135℃、風量は5m/秒、加熱時間は20秒に設定した。
吸収性コアA1〜A8,B1〜B8の組成及び物性を表1に示す。
Figure 0003210823
[試験例I−1]吸収性コアA(A1〜A5),B(B2〜B5)の繊維脱落率の測定
(1)測定方法
製造例I−1で製造した吸収性コアA1〜A5,B2〜B5を切断してサンプル片(長さ100mm×幅100mm)を作製し、乾燥時及び湿潤時繊維脱落率(%)の測定に使用した。
[乾燥時繊維脱落率(%)]
試験前サンプル片(100mm×100mm)を空の2000mL容器内(NIKKO社製,JP−2000)に投入し、振盪速度300rpmで1時間、振盪機(IWAKI社製,SHKV−200)で振盪し、振盪後もシート状態を維持していたサンプル片を取り出し、これを試験後サンプル片とした。そして、脱落した繊維の重量(試験前サンプル片の重量−試験後サンプル片の重量)に基づいて、繊維脱落率(%)(脱落した繊維の重量/試験前サンプル片の重量×100)を算出した。
[湿潤時繊維脱落率(%)]
試験前サンプル片(100mm×100mm)を、1000mLの蒸留水が入っている2000mL容器内(NIKKO社製,JP−2000)に投入し、振盪速度250rpmで30秒間振盪機(IWAKI社製,SHKV−200)で振盪し、振盪後もシート状態を維持していたサンプル片を取り出した後、送風定温恒温器(ヤマト科学社製,DNE−910)を使用して、80℃で12時間以上乾燥し、これを試験後サンプル片とした。そして、脱落した繊維の重量(試験前サンプル片の重量−試験後サンプル片の重量)に基づいて、繊維脱落率(%)(脱落した繊維の重量/試験前サンプル片の重量×100)を算出した。
(2)結果及び考察
測定結果を表2及び表3に示す。
Figure 0003210823
Figure 0003210823
表2及び表3に基づく考察は次の通りである。
吸収性コアA1〜A5を比較すると、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が大きいほど、乾燥時及び湿潤時繊維脱落率が小さい。特に、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比が0.5/9.5(吸収性コアA1)から1/9(吸収性コアA2)に増加すると、乾燥時繊維脱落率は5.0%(吸収性コアA1)から2.8%(吸収性コアA2)に、湿潤時繊維脱落率は89.3%(吸収性コアA1)から13.3%(吸収性コアA2)に、顕著に低下する。すなわち、1/9という、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比は、それ未満とそれ以上とで乾燥時及び湿潤時繊維脱落率(特に、湿潤時繊維脱落率)が顕著に変化する臨界的な意義を有する。したがって、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比を1/9以上とすることが、乾燥時及び湿潤時繊維脱落率を小さくする観点から有利であり、これにより、2.8%以下という乾燥時繊維脱落率、及び13.3%以下という湿潤時繊維脱落率を達成することができる。なお、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比が0.5/9.5(吸収性コアA1)である場合、複合繊維Aの繊維本数が少なすぎて、複合繊維A同士の繊維ネットワークが十分に形成されないため、乾燥時及び湿潤時繊維脱落率が大きいと考えられる。
また、パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一である吸収性コア同士(すなわち、A2とB2、A3とB3、A4とB4、A5とB5)を比較すると、乾燥時及び湿潤時繊維脱落率は、いずれの質量混合比においても、吸収性コアAの方が吸収性コアBよりも小さい。したがって、パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一であるとき、複合繊維Aを使用する場合の方が複合繊維Bを使用する場合よりも、乾燥時及び湿潤時繊維脱落率を小さくすることができる。また、一定の乾燥時及び湿潤時繊維脱落率を達成したいとき、複合繊維Aを使用する場合の方が複合繊維Bを使用する場合よりも、パルプに対する複合繊維の質量混合比を小さくすることができる(すなわち、その分、パルプの質量混合比が大きくなり、吸収性能を向上させることができる)。
[製造例I−2]吸収性物品A(A1〜A5),B(B2〜B5)の製造
エアースルー不織布(坪量:30g/m2,サイズ:長さ(MD方向)100mm×幅(CD方向)80mm,)のエアー吹付面に、スパイラルスプレーガン(ノードソン(株)製)を使用して、ホットメルト接着剤(HMA)を坪量5g/m2で塗工した後、吸収性コアA1〜A5,B2〜B5(坪量:200g,サイズ:長さ(MD方向)100mm×幅(CD方向)80mm)を張り合わせた。その後、ヒートエンボス処理により、不織布及び吸収性コアを部分的に接合するエンボス部を形成し、吸収性物品A1〜A5,B2〜B5を製造した。
ヒートエンボス処理は、不織布側(上側)のプレートとして、凸部が形成されたエンボスプレート(加熱温度は110℃)を使用し、吸収性コアサンプル側(下側)のプレートとして、平面プレート(加熱温度は110℃)を使用して実施した。エンボス処理時間は3秒間とし、エンボス圧力は、5MPa(5kPa/mm2)とした。ヒートエンボス処理により、吸収性物品を不織布側から平面視したとき、吸収性物品の長手方向に延在するエンボス部が形成された。エンボス部には、低圧搾部及び高圧搾部が含まれており、低圧搾部の面積は803.01mm2、高圧搾部の面積は188.65mm2であった。
[試験例I−2]吸収性物品A(A1〜A5),B(B2〜B5)のエンボス部接合強度の測定
(1)測定方法
製造例I−2で製造した吸収性物品A1〜A5,B2〜B5を、エンボス部に対して垂直に切断して5個のサンプル片(長さ50mm×幅25mm)を作製し、エンボス部接合強度(N/25mm)の測定に使用した。
[乾燥時エンボス部接合強度(N/25mm)]
標準時(温度20℃,湿度60%の雰囲気下)のサンプル片を、引張試験機(島津製作所,AG−1kNI)につかみ間隔20mmで、上側つかみに吸収性コアを、下側つかみに不織布を取り付けた。100mm/分の引張速度で、不織布及び吸収性コアが完全に剥離するまで荷重(最大点荷重)を加え、サンプル片の長さ方向を引張方向としたときの、サンプル片の幅25mmあたりのエンボス部の接合強度(N)を測定した。
[湿潤時エンボス部接合強度(N/25mm)]
サンプル片をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、上記と同様に、サンプル片の長さ方向を引張方向としたときの、サンプル片の幅25mmあたりのエンボス部の接合強度(N)を測定した。
乾燥時及び湿潤時エンボス部接合強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913 6.3に記載の測定条件を採用した。
(2)結果及び考察
測定結果を表4に示す。
Figure 0003210823
表4に基づく考察は次の通りである。
エンボス部接合強度が0.75N/25mm未満であると、吸収性物品の使用中にトップシートと吸収性コアの界面剥離が生じるおそれがある。そこで、乾燥時及び湿潤時エンボス部接合強度がともに0.75N/25mm以上であることを基準とすると、この基準を満たすものは、吸収性物品A2〜A5である。したがって、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比を1/9以上とすることが、乾燥時及び湿潤時エンボス部接合強度を大きくする点で有利であり、これにより、1.53N/25mm以上という乾燥時エンボス部接合強度、及び0.95N/以上という湿潤時エンボス部接合強度を達成することができる。
また、パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一である吸収性物品同士(すなわち、A2とB2、A3とB3、A4とB4、A5とB5)を比較すると、乾燥時及び湿潤時エンボス部接合強度は、いずれの質量混合比においても、吸収性物品Aの方が吸収性物品Bよりも大きい。したがって、パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一であるとき、複合繊維Aを使用する場合の方が複合繊維Bを使用する場合よりも、乾燥時及び湿潤時エンボス部接合強度を大きくすることができる。また、一定の乾燥時及び湿潤時エンボス部接合強度を達成したいとき、複合繊維Aを使用する場合の方が複合繊維Bを使用する場合よりも、パルプに対する複合繊維の質量混合比を小さくすることができる(すなわち、その分、パルプの質量混合比が大きくなり、吸収性能を向上させることができる)。
試験例I−1及びI−2に示されるように、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比を1:9以上とすることにより、2.8%以下という乾燥時繊維脱落率、13.3%以下という湿潤時繊維脱落率、1.53N/25mm以上という乾燥時エンボス部接合強度、0.95N/25mm以上という湿潤時エンボス部接合強度を達成することができるので、乾燥時及び湿潤時における吸収性コアからの繊維の脱落を効果的に防止することができる。
[試験例I−3]吸収性コアA(A2〜A8),B(B1〜B8)の最大引張り強度の測定
(1)測定方法
製造例I−1で製造した吸収性コアA2〜A8,B1〜B8を切断して5個のサンプル片(長さ150mm×幅25mm)を作製し、最大引張り強度の測定に使用した。
[乾燥時最大引張り強度(N/25mm)]
標準時(温度20℃,湿度60%の雰囲気下)のサンプル片を、引張試験機(島津製作所,AG−1kNI)につかみ間隔100mmで取り付け、100mm/分の引張速度でサンプル片が切断されるまで荷重(最大点荷重)を加え、サンプル片の長さ方向(MD方向)における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を測定した。
[湿潤時最大引張り強度(N/25mm)]
サンプル片をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、上記と同様に、サンプル片の長さ方向(MD方向)における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を測定した。
乾燥時及び湿潤時最大引張り強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913 6.3に記載の測定条件を採用した。
(2)結果及び考察
測定結果を表5に示す。
Figure 0003210823
表5に基づく考察は次の通りである。
吸収性コアAにおいて、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が1/9未満であると、湿潤時最大引張り強度が2N/25mm未満となると予想され、湿潤時強度を担保できないと考えられる。したがって、吸収性コアAでは、強度保持の観点から、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比が1/9以上であることが必要であると考えられる。
吸収性コアBにおいて、パルプに対する複合繊維Bの質量混合比(複合繊維B/パルプ)が2/8未満であると、湿潤時最大引張り強度が2N/25mm未満となると予想され、湿潤時強度を担保できないと考えられる。したがって、吸収性コアBでは、強度保持の観点から、パルプに対する複合繊維Bの質量混合比が2/8以上であることが必要であると考えられる。
パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一である吸収性コア同士(例えば、A2とB2)を比較すると、最大引張り強度(乾燥時及び湿潤時)は、いずれの質量混合比においても、吸収性コアAの方が吸収性コアBよりも大きい。また、パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が1/9〜6.5/3.5の範囲にあると(吸収性コアA2〜A6,B2〜B6)、乾燥時最大引張り強度と湿潤時最大引張り強度との差(乾燥時最大引張り強度−湿潤時最大引張り強度)は、吸収性コアAの方が吸収性コアBよりも大きい。
このような強度の差は、吸収性コアAでは、無水マレイン酸が有するアシル基及びエーテル結合の酸素原子と、セルロースのOH基との間に水素結合が生じているが、吸収性コアBでは、このような水素結合は生じていない点に起因すると考えられる。
このことは、ウェブ状態のサンプルの最大引張り強度からも裏付けられる。すなわち、ウェブ状態のサンプルの最大引張り強度を測定したところ、いずれのサンプルでも0.4N/25mm未満であり(表5参照)、強度の差が、絡合の程度の差に起因するものではなく、水素結合の形成の有無に起因することを示唆している。なお、ウェブ状態のサンプルは、繊維材料を基材に積層させた後、何の処理もしていないサンプルであり、ニードルパンチ等の絡合処理、熱風、エンボス、エネルギー波等による加熱処理、接着剤による処理等のいずれの処理も施されていない。
また、表6に示すように、複合繊維Aは複合繊維Bよりも融解熱熱量が大きいことから、複合繊維Aは複合繊維Bよりも結晶化度が高く、強度の差は、複合繊維A,B間の結晶化度(繊維自体の接合強度)の差にも起因すると考えられる。
Figure 0003210823
なお、特開2004−270041号公報には、無水マレイン酸がグラフト重合された変性ポリオレフィンは、無水マレイン酸の無水カルボン酸基が開裂してセルロース繊維表面の水酸基と共有結合するため、セルロース繊維との接着性が良好であることが記載されているが、本結果では、共有結合の形成に起因する強度増加は観察されなかった。
[製造例I−3]高密度化吸収性コアA(A2〜A8),B(B1〜B8)の製造
キャリアシート(UCKN社製,ティッシュ坪量:14g/m2)に繊維材料A2〜A8(製造例I−1参照)を載置し、一般的なスルーエアー法によってボンディングし、複合繊維Aを加熱融着(加熱温度:135℃,風量:5m/秒,加熱時間:20秒)した後、スチームジェット(SJ)ベルトプレス機にて密度を約0.08g/cm3(0.0793〜0.0817g/cm3)に調整し、高密度化吸収性コアA2〜A8(120mm×120mm,各3枚)を製造した。
繊維材料B1〜B8(製造例I−1参照)を使用して同様に高密度化吸収性コアB1〜B8(120mm×120mm,各3枚)を製造した。
使用したSJベルトプレス機の構成を図4に示す。
図4(a)に示すように、SJベルトプレス機9は、メッシュコンベアベルト91a,91bと、蒸気ノズル92と、サクションボックス93とを備えており、互いに対向する蒸気ノズル92及びサクションボックス93の間に、一対のメッシュコンベアベルト91a,91bで挟持された吸収性コアを搬送し、蒸気ノズル92より吸収性コアに向かって高圧水蒸気を噴出し、吸収性コアを圧縮する。吸収性コアを通過した水蒸気はサクションボックス93で吸引されて排気される。吸収性コアの厚みの調整は、一対のメッシュコンベアベルト91a,91bの間隔の調整により可能である。
メッシュコンベアベルト91a,91bは、ポリフェニレンサルファイド製平織りメッシュコンベア(日本フィルコン社製)であり、縦横方向線径は0.37mm、縦線は34本/インチ、横線は32本/インチである。メッシュコンベアベルト91a,91b間の距離は、1mm又は0.2mmに調整されており、ライン速度は200m/秒である。
蒸気ノズル92には、図4(b)に示すように、口径0.5mmの開孔部が開孔ピッチ2mm,5mmで形成されており、そこから噴出する水蒸気の蒸気圧は0.7MPaであり、水蒸気処理量は単位面積あたり1.27kg/m2である。
高密度化吸収性コアA2〜A8,B1〜B8の組成及び物性を表7に示す。
Figure 0003210823
[試験例I−4]高密度化吸収性コアA(A2〜A8),B(B1〜B8)の吸収性及び最大引張り強度の測定
(1)測定方法
[吸収性(浸透時間,液ハケ時間)の測定]
高密度化吸収性コアA2〜A8,B1〜B8に、表面シート(商品名ソフィ はだおもいの表面シートを使用)を載せ、その上に穴あきアクリル板(中央に40mm×10mmの穴、200mm(長さ)×100mm(幅))を重ねた。オートビュレット(柴田化学器械工業(株),マルチドジマットE725−1型)を使用して、アクリル板の穴に向けて、人工経血(イオン交換水1Lに対して、グリセリン80g,カルボキシメチルセルロースナトリウム8g,塩化ナトリウム10g,炭酸水素ナトリウム4g,赤色102号8g、赤色2号2g,黄色5号2gを加えて十分に攪拌したものを使用)を90ml/分で3mlを注入した。注入開始後、アクリル板の穴に滞留する人工経血が無くなるまでの時間を浸透時間(秒)、注入開始後、表面シート内から人工経血が無くなるまでの時間をハケ時間(秒)とした。
[乾燥時及び湿潤時最大引張り強度の測定]
高密度化吸収性コアA2〜A8,B1〜B8の乾燥時及び湿潤時最大引張り強度を試験例I−3と同様に測定した。
(2)結果及び考察
測定結果を表8に示す。
Figure 0003210823
表8に基づく考察は次の通りである。
パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が1/9〜5/5の範囲にあると(高密度化吸収性コアA2〜A5)、吸収性は十分なものであるが、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が6.5/3.5以上であると(高密度化吸収性コアA6〜A8)、吸収性は著しく低下する。
高密度化吸収性コアAにおいて、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が1/9未満であると、湿潤時最大引張り強度が2N/25mm未満となると予想され、湿潤時強度を担保できないと考えられる。したがって、高密度化吸収性コアAでは、強度保持の観点から、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が1/9以上であることが必要であると考えられる。
高密度化吸収性コアBにおいて、パルプに対する複合繊維Bの質量混合比(複合繊維B/パルプ)が2/8未満であると、湿潤時最大引張り強度が2N/25mm未満となると予想され、湿潤時強度を担保できないと考えられる。したがって、高密度化吸収性コアBでは、強度保持の観点から、パルプに対する複合繊維Bの質量混合比(複合繊維B/パルプ)が2/8以上であることが必要であると考えられる。
吸収性コアの密度が約0.08g/cm3(0.0793〜0.0817g/cm3)である場合、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が1/9〜5/5の範囲であれば、吸収性コアが十分な強度及び吸収性を兼ね備えることができる。これは、複合繊維Aが、複合繊維Bよりも少量で(したがって、吸収性を阻害することなく)、吸収性コアの強度を担保できるからである。
[試験例I−5]
試験例I−4において、密度を約0.08g/cm3(0.0793〜0.0817g/cm3)に固定した系において、強度及び吸収性の観点から、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比の最適範囲を検討した。
本試験例では、吸収性の観点から、密度の最適範囲を検討した。
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)及び複合繊維Aを表9に示す質量比で混綿積層したもの(坪量200g/m2)を使用して、製造例I−3と同様にして、様々な密度(0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.1,0.12,0.13,0.14g/cm3)の高密度化吸収性コア1〜9を製造し、吸収性(液ハケ時間)測定した。
測定結果を表9に示す。
Figure 0003210823
表9に基づく考察は次の通りである。
パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が1/9〜5/5の範囲であるとき、十分な液ハケ性能(具体的には、人工経血3cc滴下後の液ハケ時間が90秒以内)が発揮される密度範囲は0.06〜0.14g/cm3である。
密度が0.06g/cm3を下回る場合、いずれの質量混合比においても、液ハケ時間が90秒を超えてしまう。密度が0.06g/cm3を下回ると、繊維間距離が大きく毛管力が作用しないと考えられる。
密度が0.12g/cm3を超える場合、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が1/9〜3.5/6.5の範囲であると、液ハケ時間が60秒以内となるが、それ以外の範囲であると、60秒を超える。密度が0.12g/cm3を超えると、毛管作用は働くものの、液体の移動空隙が小さくなり、液体の移動抵抗が増加するため、液ハケ性能が低下すると考えられる。
以上の試験例から、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)の最適範囲は1/9〜5/5であり、最適密度は0.06〜0.14g/cm3であると考えられる。
[製造例II−1]吸収性コアC(C1〜C5),D(D1〜D6)の製造
(1)コア材料C(C1〜C5)の製造
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維AとSAP粒子とを、パルプ:複合繊維A:SAP粒子=9:1:10(C1),8:2:10(C2),6.5:3.5:10(C3),5:5:10(C4),3.5:6.5:10(C5)の質量比で混合積層し、コア材料C1〜C5(坪量200g/m2)を製造した。
(2)コア材料D(D1〜D6)の製造
パルプ(ウエアーハウザー社製,NB416)と複合繊維BとSAP粒子とを、パルプ:複合繊維B:SAP粒子=9:1:10(D1),8:2:10(D2),6.5:3.5:10(D3),5:5:10(D4),3.5:6.5:10(D5)、10:0:10(D6)の質量比で混合積層し、コア材料D1〜D6(坪量200g/m2)を製造した。
(3)吸収性コアC(C1〜C5),D(D1〜D6)の製造
コア材料C1〜C5,D1〜D6を一般的なスルーエアー法によってボンディングし、複合繊維A,Bを加熱融着し、吸収性コアC1〜C5,D1〜D6を製造した。この際、加熱温度は135℃、風量は5m/秒、加熱時間は20秒に設定した。
吸収性コアC1〜C5,D1〜D6の組成及び物性を表10に示す。
Figure 0003210823
[試験例II−1]吸収性コアC(C1〜C5),D(D1〜D6)の乾燥時SAP粒子脱落率の測定
(1)測定方法
製造例II−1で製造した吸収性コアC1〜C5,D1〜D6を切断してサンプル片(長さ100mm×幅100mm)を作製し、乾燥時SAP粒子脱落率(%)の測定に使用した。
[乾燥時SAP粒子脱落率(%)]
試験前サンプル片(100mm×100mm)を空の2000mL容器内(NIKKO社製,JP−2000)に投入し、振盪速度300rpmで10分間、振盪機(IWAKI社製,SHKV−200)で振盪し、振盪後もシート状態を維持していたサンプル片を取り出し、これを試験後サンプル片とした。そして、脱落したSAP粒子の重量(試験前サンプル片の重量−試験後サンプル片の重量)に基づいて、SAP粒子脱落率(%)(=脱落したSAP粒子の重量/試験前サンプル片の重量×100)を算出した。
(2)結果及び考察
測定結果を表11に示す。
Figure 0003210823
表11に基づく考察は次の通りである。
吸収性コアC1〜C5を比較すると、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比(複合繊維A/パルプ)が大きいほど、乾燥時SAP粒子脱落率が小さい。したがって、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比を1/9以上とすることが、乾燥時SAP粒子脱落率を小さくする観点から有利であり、これにより、14.3%以下という乾燥時SAP粒子脱落率を達成することができる。なお、パルプに対する複合繊維Aの質量混合比が1/9未満である場合、複合繊維Aの繊維本数が少なすぎて、繊維間(複合繊維A間、複合繊維A−パルプ間)のネットワークが十分に形成されないため、乾燥時SAP粒子脱落率が大きくなると考えられる。
また、パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一である吸収性コア同士(すなわち、C1とD1、C2とD2、C3とD3、C4とD4、C5とD5)を比較すると、乾燥時SAP粒子脱落率は、いずれの質量混合比においても、吸収性コアCの方が吸収性コアDよりも小さい。したがって、パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一であるとき、複合繊維Aを使用する場合の方が複合繊維Bを使用する場合よりも、乾燥時SAP粒子脱落率を小さくすることができる。また、一定の乾燥時SAP粒子脱落率を達成したいとき、複合繊維Aを使用する場合の方が複合繊維Bを使用する場合よりも、パルプに対する複合繊維の質量混合比を小さくすることができる。これにより、パルプの質量混合比が大きくなり、吸収性コアの吸収性能を向上させることができる。
[試験例II−2]吸収性コアC(C1〜C5),D(D1〜D6)の最大引張り強度の測定
(1)測定方法
製造例II−1で製造した吸収性コアC1〜C5,D1〜D6を切断して5個のサンプル片(長さ150mm×幅25mm)を作製し、最大引張り強度の測定に使用した。
[乾燥時最大引張り強度(N/25mm)]
標準時(温度20℃,湿度60%の雰囲気下)のサンプル片を、引張試験機(島津製作所,AG−1kNI)につかみ間隔100mmで取り付け、100mm/分の引張速度でサンプル片が切断されるまで荷重(最大点荷重)を加え、サンプル片の長さ方向(MD方向)における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を測定した。
[湿潤時最大引張り強度(N/25mm)]
サンプル片をイオン交換水中にそれが自重で沈下するまで浸漬した後、又はサンプル片を1時間以上水中に沈めた後、上記と同様に、サンプル片の長さ方向(MD方向)における幅25mmあたりの最大引張り強度(N)を測定した。
乾燥時及び湿潤時最大引張り強度の測定に関し、上記で特に規定しない測定条件については、ISO 9073−3又はJIS L 1913 6.3に記載の測定条件を採用した。
(2)結果及び考察
測定結果を表12に示す。
Figure 0003210823
表12に基づく考察は次の通りである。
パルプに対する複合繊維A,Bの質量混合比が同一である吸収性コア同士(すなわち、C1とD1、C2とD2、C3とD3、C4とD4、C5とD5)を比較すると、最大引張り強度(乾燥時及び湿潤時)は、いずれの質量混合比においても、吸収性コアCの方が吸収性コアDよりも大きい。
このような強度の差は、吸収性コアCでは、無水マレイン酸が有するアシル基及びエーテル結合の酸素原子と、セルロースのOH基との間に水素結合が生じているが、吸収性コアDでは、このような水素結合は生じていない点に起因すると考えられる。また、複合繊維Aは複合繊維Bよりも結晶化度が高く、強度の差は、複合繊維A,B間の結晶化度(繊維自体の接合強度)の差にも起因すると考えられる。詳細については、試験例I−3を参照のこと。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 トップシート(液透過性シート)
3 バックシート(液不透過性シート)
4 吸収性コア

Claims (16)

  1. 液透過性層と、液不透過性層と、前記液透過性層及び前記液不透過性層の間に設けられた吸収性コアとを備えた吸収性物品であって、
    前記吸収性コアは、その構成繊維として、セルロース系吸水性繊維と、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物をモノマー成分として含む熱可塑性樹脂繊維とを含有しており、
    前記吸収性コアは、その構成繊維が表面に露出して前記液透過性層と直接接触する非被覆領域を有しており、
    前記吸収性コアに含有される前記吸水性繊維に対する前記熱可塑性樹脂繊維の質量比は1/9以上であり、
    前記吸収性コアの湿潤時繊維脱落率は13.3%以下である、前記吸収性物品。
  2. 前記吸収性コアの乾燥時繊維脱落率が2.8%以下である、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収性コアが、高吸水性樹脂(SAP)粒子を含有しており、前記吸収性コアの乾燥時SAP粒子脱落率が14.3%以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収性コアに含有される前記吸水性繊維に対する前記熱可塑性樹脂繊維の質量比が1/9〜5/5である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収性コアの乾燥時繊維脱落率が0.9〜2.8%であり、前記吸収性コアの湿潤時繊維脱落率が1.0〜13.3%である、請求項4に記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収性コアの繊維密度が0.06〜0.14g/cm3である、請求項4又は5に記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収性コアが、前記セルロース系吸水性繊維と、前記熱可塑性樹脂繊維とを含有する混合材料に高圧水蒸気を噴射して高密度化することにより得られたものである、請求項6に記載の吸収性物品。
  8. 前記吸収性コアの繊維坪量が40〜900g/m2である、請求項6又は7に記載の吸収性物品。
  9. 前記液透過性層及び前記吸収性コアを接合する接合部をさらに備えており、前記接合部の乾燥時接合強度が1.53〜7.65N/25mmであり、前記接合部の湿潤時接合強度が0.95〜4.34N/25mmである、請求項4〜8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  10. 前記接合部が、前記液透過性層及び前記吸収体を厚さ方向に一体化する圧搾部である、請求項9に記載の吸収性物品。
  11. 前記吸収性コアの構成繊維同士が接着している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  12. 前記液透過性層を貫通する貫通孔が開孔率5〜70%で形成されている、請求項1〜11のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  13. 前記液透過性層及び前記吸収性コアを貫通する貫通孔が形成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  14. 前記熱可塑性樹脂繊維が、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物を含むビニルモノマーでグラフト重合された変性ポリオレフィンあるいは該変性ポリオレフィンと他の樹脂との混合ポリマーを鞘成分とし、前記変性ポリオレフィンよりも融点が高い樹脂を芯成分とする芯鞘型複合繊維である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  15. 前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物又はそれらの混合物が、マレイン酸又はその誘導体、無水マレイン酸又はその誘導体、あるいはそれらの混合物である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  16. 前記吸収性コアに含有される前記熱可塑性樹脂繊維が着色されている、請求項1〜15のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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