JPH09562A

JPH09562A - 吸収性物品

Info

Publication number: JPH09562A
Application number: JP7150512A
Authority: JP
Inventors: Shigemi Iijima; 茂美飯島; Koji Ogiso; 宏治小木曽; Yoshio Hirai; 好夫平井
Original assignee: New Oji Paper Co Ltd
Current assignee: New Oji Paper Co Ltd
Priority date: 1995-06-16
Filing date: 1995-06-16
Publication date: 1997-01-07

Abstract

(57)【要約】【目的】すばやく尿や体液を吸収し、表面での液戻り
及び液残りを低減させ、ベタツキや漏れがなく、使用者
が快適に使用できる吸収性物品の提供。【構成】液不透過性のバックシ−ト上に、吸収体、セ
カンドシート、液透過性のトップシ−トを順次に積層し
た吸収性物品において、セカンドシートは、多数の長繊
維が集積されてなる長繊維不織布の表面に、紙シートを
積層した後、紙シート側から長繊維不織布側に向けて高
圧水柱流を施すことにより、紙シートを構成するパルプ
繊維と長繊維とを絡合させて形成していることを特徴と
する吸収性物品。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吸収性物品に関するも
ので、おむつ、失禁者用パッド、生理用ナプキン、ベッ
トシート、ペットシートなどの吸収性物品に関するもの
であり、更に詳しくは、液透過性のトップシ−ト、液体
保持性の吸収体及び液不透過性のバックシ−トを有する
吸収性物品に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の吸収性物品の１つである使いすて
おむつは、液透過性のトップシ−トと液不透過性のバッ
クシ−トの間に、綿状パルプ、高吸収性ポリマー、親水
性シ−ト等からなる吸収体を配置した構成になってお
り、尿は表面シートを通って吸収体に吸収される。この
時、吸収体は、尿や体液を受け取り、皮膚を逆に再び濡
らすことなく保持する必要がある。吸収体として綿状パ
ルプに高吸収性ポリマーを混合したものを単独で、ある
いは、その上に綿状パルプを乗せたものがあるが液が完
全に吸収されるまでの速度（以下、吸収速度という）が
遅く、吸収体から表面への尿や体液の戻り（以下、ウエ
ットバックという）も悪い。これは、使用者に不快感を
与え、乳児の場合には、皮膚かぶれの一因ともなってい
る。

【０００３】これらの問題点を解決するためにさまざま
なものが提案されてきた。吸収速度については、上面液
透過性トップシートをできるだけ親水化する、薄くす
る、あるいは細孔を施すなどにより、また上部綿状パル
プの密度をできるだけ下げ０．０８〜０．１ｇ／ｃｍ³
に調整するか、綿状パルプの表面の性質をできるだけ親
水性とするか、あるいは、トップシートと吸収体の間に
液拡散層となるセカンドシートを設定することが知られ
ている。具体的には、疎水弾性発泡体からなるネット状
構造部材（特開昭５９−２２８００１号公報）、親水性
合成繊維と熱融着繊維からなるシート（特開昭６０−１
９８１５２号公報）、各繊維が交差点で融着してウエブ
形態を維持する繊維集合層（特開昭６２−２７６００３
号公報）、アンロフテッド（ｕｎｌｏｆｔｅｄ）状態に
ある第１の相とロフテッド（ｌｏｆｔｅｄ）状態にある
第２の相とを有する粒子接着不織布材料からなるシート
（特開昭６３−２２０８６７号公報）などが挙げられ
る。しかし、これらからなるシートは吸収速度は速い
が、トップシートの水分を吸収する能力がないためトッ
プシートに尿や体液が残り、トップシートのドライタッ
チが良くないという現象がある。

【０００４】また、ウエットバックを少なくするために
は、多孔性液透過性シートをできるだけ疎水化したり、
ある程度の厚みをもたせるなどし、さらに綿状パルプの
層中での液の拡散を速める工夫により実施されており、
具体的にはフラッフパルプ間に有孔仕切層を配置する
（特開昭６１ー１８６５０５号公報）ことなどが提案さ
れている。上記の性質に関する提案についてはそのほか
に有孔構造体を上面シートと裏面シートの間に配置する
（特開昭６０ー２５３４４７号公報）、上部綿状パルプ
の密度を０．０３〜０．０７ｇ／ｃｍ³ にまで下げる
（特開昭５６ー８５４０１号公報）などが挙げられる
が、これらの最大の欠点は、特に吸収速度が遅く、実用
上、吸収せず、漏れるという現象が観察される。さら
に、トップシートに微量に残留する尿あるいは体液によ
り表面のドライタッチ性が劣る。

【０００５】一方、トップシートの水分を吸収し、ドラ
イタッチ性を向上させる方法として、パルプ繊維がある
が、パルプ繊維は、水分保持力が高く吸収液体の放出性
能が低いため、繰り返し吸収を行うと吸収速度が遅くな
るという問題がある。また、セルロース繊維が剛直でな
いため圧縮回復性が低く、加圧状態から解放されてもシ
ートの厚さが戻らず、緊度が高いままになってしまうた
め吸収速度が低下するという問題もある。これら液体放
出性能と圧縮回復性の問題を解決するためにセルロース
繊維内部を架橋させる（特開平５−７１７０２号公報、
特開平３−２０６１７４号公報、特開平３−２０６１７
５号公報、特開平３−２０５１７６号公報）方法がある
が、これらのセルロース繊維内架橋繊維は、圧縮回復性
は改善されるが、吸収速度、ウエットバックが満足でき
る性能に至っていない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前記に示した従来の使
いすておむつにおいては、トップシートの尿や体液を吸
収体へ吸収させるためのスポット吸収および吸収速度が
小さく、トップシートのドライタッチ性が、あまりよく
ないという問題点があった。

【０００７】本発明の目的は、上記のような問題点を解
決しようとするものである。すなわち、トップシートの
尿や体液を吸収体へ吸収させるためのスポット吸収性や
吸収速度が速く、トップシートのドライタッチ性が著し
く向上する吸収性物品を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、液透過性のト
ップシ−トと液不透過性のバックシ−トの間に吸収体を
有し、前記トップシ−トと前記吸収体の間にセカンドシ
ートが配置された吸収性物品において、前記セカンドシ
ートは、多数の長繊維が集積されてなる長繊維不織布の
表面に、紙シートを積層した後、紙シート側から長繊維
不織布側に向けて高圧水柱流を施すことにより、紙シー
トを構成するパルプ繊維と長繊維とを絡合させて形成さ
れていることを特徴とする吸収性物品に存する。

【０００９】本発明は、液透過性のトップシ−トと液不
透過性のバックシ−トの間に吸収体を有する吸収性物品
において、トップシ−トと吸収体の間にセカンドシート
を有するものである。つまり、トップシートの裏面と、
吸収体の表面には、セカンドシートが接しているため、
着用者の皮膚に触れるトップシートにおける尿や体液な
どが、トップシートに、いち早くスポット吸収されて早
い速度で通り、続いて、セカンドシートで、それが直ち
に拡散されて吸収体に至る。したがって、トップシート
に尿や体液などが停滞することがなく、該トップシート
のドライタッチ性が著しく向上する効果を有する。さら
に、高圧水柱流をすることにより、長繊維不織布に適度
なゆるみが生じ、肌触りの良好な柔軟なシートが得られ
る。

【００１０】以下、図面により、使いすておむつを例に
して、本発明の吸収性物品を詳細に説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。本発明の使いすて
おむつは、図１及び図２に示すように、後述するトップ
シ−ト１とセカンドシート２及びバックシ−ト３とその
間に吸収体４を有する。バックシ−ト３は、ポリエチレ
ン等の液不透過性フィルム、液不透過性のフィルムに不
織布、織布等を張り合わせている素材等からなる。吸収
体４は、トップシ−ト１とバックシ−ト３の間に挟ま
れ、綿状パルプ５、高吸収性ポリマー６、親水性シ−ト
７、熱融着性物質８、等からなり、特に制限をうける
ものではない。

【００１１】トップシートトップシートは、構成繊維の繊維径が１〜６デニール
で、親水性処理された坪量１０〜６０ｇ／ｍ² の液透過
性の乾式不織布が用いられるのが好ましい。使用される
繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエ
ステル、または、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ
エチレン等の２成分以上からなる複合繊維等でも良く、
特には、ポリエステル／ポリエステル、ポリエステル／
ポリエチレン、ポリプロピレン／ポリエチレンの複合繊
維が強度の面から好ましいが、特に制限をうけるもので
はない。これを熱溶解して繊維化した後に適度な密度で
積層させた乾式不織布により構成されており、親水性を
有する。これらの繊維および複合繊維の親水性処理方法
としては、繊維および複合繊維に親水化剤をスプレーで
塗布したり、製造した乾式不織布にスプレー塗布、泡塗
工、含浸などによって処理する方法がある。トップシー
トの坪量が６０ｇ／ｍ² を越えると、尿や体液がトップ
シートに保持されてしまい、トップシートの表面が湿っ
た状態になり、使用者に不快感を与え、好ましくない。
また、繊維の繊度が６デニールを越えると、使用者の触
れる表面が硬く、肌触りが悪くなる。逆に、坪量が１０
ｇ／ｍ² 未満になると、あるいは、繊維の繊度が１デニ
ール未満になると、製造条件等が厳密になって、製造し
にくく、均一なトップシートが得られないので適当では
ない。

【００１２】セカンドシートセカンドシートは、多数の長繊維が集積されてなる長繊
維不織の表面に、紙シートを積層した後、紙シート側か
ら長繊維不織布側に向けて高圧水柱流を施すことによ
り、紙シートを構成するパルプ繊維と長繊維とを交絡さ
せて形成したものを使用する。ここで、長繊維として
は、従来公知の長繊維を使用することができ、例えば、
レーヨン長繊維、ポリオレフィン系長繊維、ポリエステ
ル系長繊維、ポリアミド系長繊維、ポリアクリル酸エス
テル系長繊維等を使用することができる。本発明におい
て、長繊維を使用する理由は、長繊維よりなる長繊維不
織布は、短繊維よりなる短繊維不織布よりも、繊維間が
絡合している場合、引張強度や形態安定性に優れている
からである。また、長繊維の繊度は、１〜６デニールで
あるのが好ましい。長繊維の繊度が６デニールを超える
と、長繊維不織布の柔軟性が低下し、使用した場合の使
用感が悪く、好ましくない。逆に、長繊維の繊度が１デ
ニール未満になると、長繊維の製造条件等が厳密になっ
て、長繊維、ひいては長繊維不織布を高速度で製造しに
くくなる。また、長繊維不織布の坪量は、５〜４０ｇ／
ｍ²であるのが好ましい。長繊維不織布の坪量が４０ｇ
／ｍ²を超えると、紙シートと長繊維シートとの積層物
に、紙シートから長繊維不織布側に向けて高圧水柱流を
施しても、紙シートを構成するパルプ繊維が、長繊維不
織布の裏面（紙シートと当接していない面）に移動しに
くくなり、片面にのみパルプ繊維が遍在した状態となっ
て、パルプ繊維の少ない面における吸収性が低下し、好
ましくない。逆に、長繊維シートの坪量が５ｇ／ｍ² 未
満になると、長繊維不織布の形態安定性が低下する。さ
らに、長繊維相互間の間隔が大きくなって、高圧水柱流
を施したときに、その間隔からパルプ繊維が流出してし
まい、使用後の高圧水柱流を回収した場合、その中にパ
ルプ繊維が大量に混入するので、適当ではない。

【００１３】なお、本発明に使用する長繊維不織布は、
長繊維相互間が自己融着した、いわゆる長繊維不織布で
あってもよいし、また長繊維相互間が結合していないフ
リース状の長繊維フリースであってもよい。特に、前者
の長繊維不織布のうちでも、長繊維相互間が自己融着し
た点融着区域が、散点状に多数配置されたものを使用す
るものが好ましい。この理由は、長繊維相互間が自己融
着している点融着区域を持つため、形状安定性に優れる
と共に、点融着区域以外の区域においては長繊維相互間
が自己融着せれておらず、自由な状態で集積されている
ため、柔軟性に優れ、かつパルプ繊維と良好に絡合しや
すい。

【００１４】以上のようにして得られた長繊維不織布の
表面に、紙シートを積層する。本発明に使用する紙シー
トとしては、ＪＩＳＰ８１３５に示された方法で２５
ｍｍ幅の試験片について測定した湿潤引張強さが、０．
０４〜１．５ｋｇｆ、さらに好ましくは、０．０６〜
１．２ｋｇｆの範囲である紙シートを使用するのが適当
である。紙シートの湿潤引張強さが、０．０４ｋｇｆ未
満であると、高圧水柱流によって積層された紙シートが
長繊維不織布に密着する前に、著しく破壊され、あるい
は、紙シートを構成するパルプ繊維が飛散してしまい、
パルプ繊維と長繊維とが均一に絡合しにくくなるため、
好ましくない。また、紙シートが破壊されることによっ
て、紙シートが切断してしまい、連続して長繊維不織布
表面に紙シートを供給することが不可能になる恐れがあ
るため、好ましくない。逆に、紙シートの湿潤引張強さ
が、１．５ｋｇｆを超えると、高圧水柱流を施しても、
それによって紙シートを構成するパルプ繊維が運動しに
くく、パルプ繊維と長繊維とが絡合しにくくなるため、
好ましくない。すなわち、パルプ繊維が長繊維と十分に
絡合していないと、形成されたセカンドシートは、長繊
維不織布の片面にパルプ繊維が遍在した状態となり、パ
ルプ繊維の量が少ない面における吸水性が低下するた
め、好ましくない。

【００１５】使用する紙シートの坪量は、任意に決定し
うる事項であるが、特にＪＩＳＰ８１２４に示された
方法で測定した坪量が１０〜１００ｇ／ｍ² である紙シ
ートを使用するのが好ましい。紙シートの坪量が１０ｇ
／ｍ² 未満であると、パルプ繊維の絶対量が少なく、得
られたセカンドシートに十分な吸水性を与えにくくな
る。逆に、紙シートの坪量が１００ｇ／ｍ² を超える
と、パルプ繊維の絶対量が多すぎて、紙シートに高圧水
柱流を施しても、一本一本のパルプ繊維に長繊維と絡合
しうる程度の運動量を与えにくくなる。さらに、パルプ
繊維の絶対量が多すぎて、得られたセカンドシートの柔
軟性が低下する。

【００１６】紙シートを構成するパルプ繊維としては、
針葉樹および広葉樹木材をクラフト法、サルファイト
法、ソーダ法、ポリサルファイド法等で蒸解した化学パ
ルプ繊維、またはグランドパルプ繊維、サーモメカニカ
ルパルプ繊維等の機械パルプ繊維を、晒もしくは未晒の
状態で、単独でまたは混合して使用することができる。
針葉樹パルプ繊維と広葉樹パルプ繊維の重量配合比は、
好ましくは、針葉樹パルプ繊維／広葉樹パルプ繊維＝１
００〜２０／０〜８０、最も好ましくは１００〜４０／
０〜６０の範囲である。広葉樹パルプ繊維が８０重量％
を超えて多くなると、高圧水柱流によるパルプの消失量
が増加するばかりでなく、絡合後のシートの柔軟性が低
下する。また、本発明に使用される紙シートの密度（Ｊ
ＩＳＰ８１１８に示された方法で測定）は、０．６ｇ
／ｃｍ³ 以下であるのが好ましい。紙シートの密度が
０．６ｇ／ｃｍ³ を超えると、紙シートの上から高圧水
柱流を施した場合に、パルプ繊維の運動が抑制され、長
繊維とパルプ繊維との絡合が十分でなくなるばかりでな
く、得られるセカンドシートの柔軟性が低下する。

【００１７】かくして得られた紙シートは、前述の長繊
維不織布表面に積層される。この場合、長繊維不織布の
坪量と紙シートの坪量の比は、以下のようにするのが好
ましい。すなわち、長繊維不織布の坪量と、ＪＩＳＰ
８１２４に示された方法で測定した紙シートの坪量の比
が、長繊維不織布１に対して紙シート１〜１９となるよ
うにするのが好ましい。紙シートの比率が１未満となる
と、長繊維の量に対して、相対的にパルプ繊維の量が少
なくなり、吸水性が低下する。逆に、紙シートの比率が
１９を超えて多くなると、紙シートを構成するパルプ繊
維の全てが強固に長繊維と絡合しにくくなり、得られる
セカンドシートを使用した場合に、パルプ繊維が脱落し
やすくなる。

【００１８】長繊維不織布の表面に紙シートを積層した
後、紙シート側から長繊維不織布側へ高圧水柱流が貫通
するようにして、高圧水柱流を施す。この高圧水柱流
は、微細な直径のノズル孔を通して、高圧で水を噴出さ
せて得られるものである。噴出条件としては、孔径０．
０１〜３ｍｍ程度のノズル孔を通して、２０〜１５０ｋ
ｇ／ｃｍ² 程度の圧力で水を噴出させて得られるもので
ある。この水柱流を積層物に施すと、高圧水柱流は紙シ
ートに衝突する。そして、紙シートはまず長繊維不織布
上に密着し、次いでこの密着した状態で、紙シートの破
壊が生じ、紙シートを構成するパルプ繊維を単離させ、
パルプ繊維に変形を起こさせると共に、パルプ繊維に運
動エネルギーを十分に与え、このパルプ繊維にランダム
な運動を生じさせる。その結果、これらの複合作用によ
って、パルプ繊維と長繊維不織布中の長繊維とが絡み合
い、さらに、このパルプ繊維によって長繊維同士も絡合
することになる。

【００１９】以上のようにして得られたセカンドシート
は、パルプ繊維と長繊維が絡合されて形成したものであ
る。図１に示すように、セカンドシートは、吸収体の上
の領域に位置し、その大きさは、吸収体と同等もしく
は、それよりも小さくてもよい。また、使用者が排泄す
る場所がわかっている場合、その部分のみに設置しても
よい。

【００２０】吸収体使用される吸収体は、綿状パルプと高吸収性ポリマーが
均一に混合されており、さらに親水性シ−トによりくる
まれている。または、綿状パルプに対して３〜６０重量
％の熱融着性物質を混合して熱圧着してもよい。綿状パ
ルプとしては、化学パルプシートもしくは、機械パルプ
シートを粉砕機で解繊することにより得られる繊維長５
ｍｍ以下のものである。パルプ原料としては、針葉樹に
限らず、広葉樹、わら、竹およびケフナも適用される。
このパルプの使用量は、目的とする吸収体により、例え
ば、単独で用いるか、複数積層して用いるか、他の吸収
材を併用するかなどにより異なるが、一般的には、５０
〜４００ｇ／ｍ² にされる。

【００２１】高吸収性ポリマーとしては、デンプン系、
セルロース系、合成ポリマー系が挙げられる。すなわ
ち、デンプンーアクリル酸（塩）グラフト共重合体、デ
ンプンーアクリル酸エチルグラフト共重合体のケン化
物、デンプンーメタクル酸メチルグラフト共重合体のケ
ン化物、デンプンーアクリロニトリルグラフト共重合体
のケン化物、デンプンーアクリルアミドグラフト共重合
体のケン化物、デンプンーアクリロニトリルー２ーアク
リルアミドー２ーメチルプロパンスルホン酸グラフト共
重合体のケン化物、アクリル酸（塩）重合体、アクリル
酸で架橋されたポリエチレンオキシド、ナトリウムカル
ボキシメチルセルローズの架橋物、ポリビニールアルコ
ールー無水マレイン酸反応物の架橋物などである。自重
の２０倍以上の尿、体液及び水を吸収するもので、ポリ
アクリル酸ナトリウム系のものが吸収性能の点から最も
適当である。高吸収性ポリマーの分布量は、綿状パルプ
の乾燥状態で全重量の１０〜５００％、好ましくは１５
〜３００％であり、かかる量の高吸収性ポリマーが綿状
パルプに実質的に均一に分布している。高吸収性ポリマ
ーが吸収し膨潤したとき、その粒子は相互の干渉が最小
にとどめられ、連続的に接触して透過障壁を形成するこ
とが少なく、尿や体液を３次元方向に透過、吸収する。

【００２２】また、熱融着性物質としては、綿状パルプ
と混合することを考えると繊維状のものが好ましい。熱
融着性物質は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエ
ステル、ポリビニリデン、アクリル樹脂、ナイロン樹脂
等があげられる。または、ポリエステル、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン等の２成分以上からなる複合繊維等で
も良く、特には、ポリエステル／ポリエステル、ポリエ
ステル／ポリエチレン、ポリプロピレン／ポリエチレン
の複合繊維が強度の面から好ましい。繊維径は１〜５デ
ニール程度が好ましく、繊維長は３〜３０ｍｍのもの
が、綿状パルプと混合するのに好適であるが、特に制限
をうけるものではない。これらマット層を一定以上の圧
力以上で熱圧着することによって、熱融着性物質による
骨格構造を形成し、湿潤時においてもマット層自体の強
度を持つことが可能となる。熱圧着の方法は、熱プレス
ロール、熱風乾燥機、マイクロ波加熱機、赤外線ヒータ
ー等、特に限られていないが、マット層に均一に熱が伝
わり、熱融着性物質が融けて骨格構造を形成することが
出来れば良い。

【００２３】親水性シートは、例えば、ティシュ、吸収
紙、親水性不織布等、親水性のシートであれば良い。吸
収体の圧縮方法として、周面が平滑なロールなどによ
り、吸収体の密度がその全体にわたり実質的に均等にな
るように連続する面状であってもよいし、周面が凹凸状
であるロールなどにより、吸収体の密度が部分的に異な
り、尿や体液を縦方向及び斜め方向に導く模様配列のエ
ンボスであってもよい。エンボスの場合、圧縮部、非圧
縮部は、連続、非連続のいずれであってもよい。

【００２４】トップシートとセカンドシート及び、セカ
ンドシートと吸収体は、ホットメルト接着などによる接
着が全面もしくは部分的になされており、接着剤として
は、澱粉系またはＣＭＣ（カルボキシメチルセルロー
ス）などの水溶性の糊、または、流動性の高い接着剤で
もよい。本発明の使いすておむつ（吸収性物品）は、上
記記載のトップシ−ト、セカンドシート、及び吸収体が
組み合わせることによりはじめて本発明の効果が達成可
能となる。

【００２５】図２に示すように、液透過性のトップシ−
ト１と液不透過性のバックシ−ト３の間に吸収体４を有
する吸収性物品において、トップシ−ト１と吸収体４の
間にセカンドシート２を有する。つまり、トップシート
１の裏面には、セカンドシート２が接し、吸収体４の表
面には、セカンドシート２が接しているため、着用者の
皮膚に触れるトップシート１における尿や体液などが、
トップシート１に、いち早くスポット吸収されて早い速
度で通り、続いて、セカンドシート２で、それが直ちに
拡散されて吸収体に至る。したがって、トップシート１
に尿や体液などが停滞することがなく、トップシート１
のドライタッチ性が著しく向上する。

【００２６】実施例以下、実施例により本発明の効果を詳細に説明する。な
お、評価は、吸収量、吸収速度、ウエットバック及び、
サラット感について評価を行った。なお、使いすておむ
つの大きさは、外側が３０×４０ｃｍ（長さ）、挟み込
まれている吸収体が１５×３５ｃｍ（長さ）である。こ
こにおける吸収量とは、使いすておむつを長手方向の一
方の吸収体との境界部で切断し、傾斜角が４５゜の傾斜
板上に、切断部が下方になるようにセットし、使いすて
おむつの中央部に１０ｍｌ／ｍｉｎ．の速度で人工尿を
滴下し、下面の切断部から人工尿が漏れ出すまでに使い
すておむつが吸収した液量で測定した。吸収速度とは、
使いすておむつの中央部の穴あきステンレス板（６６５
ｇ、１０×１０ｃｍ、厚さ９ｍｍ、穴の直径２５ｍｍ）
を置き、人工尿５０ｃｃが使いすておむつに吸収される
までの時間を３０分ごとに３回繰り返し測定したもので
ある。ウエットバックとは、吸収速度を測定した（５０
ｃｃを３回吸収させた）使いすておむつを３０分間放置
後、使いすておむつ中央部に１０×１０ｃｍ角の濾紙を
１０枚重ね、更に０．０５ｋｇ／ｃｍ² の圧力をかけて
５分間放置後、濾紙に移行した液量を測定したものであ
る。サラット感とは、吸収速度を測定した（５０ｃｃを
３回吸収させた）後、トップシート表面に手で軽く触れ
て、その乾き具合（サラット感）を官能評価で判定し
た。判定基準は、下記３段階（○、△、×）に分けた。サラット感判断基準 ○：乾いている △：湿っている ×：かなり湿っているここで使用した人工尿は次の通りである。人工尿組成（重量％）尿素１．９％ＮａＣｌ０．８％ＣａＣｌ₂ ０．１％ＭｇＳＯ₄ ０．１％残部は水

【００２７】実施例１トップシートポリエステル／ポリエチレンからなる繊維径２デニー
ル、繊維長５１ｍｍの複合繊維を用い、親水性処理され
た坪量２０ｇ／ｍ² のトップシートを得た。

【００２８】セカンドシートセカンドシートとして、ポリプロピレン長繊維が集積さ
せてなり、且つこのポリプロピレン長繊維相互間が自己
融着された点融着区域を多数持つ長繊維不織布を準備し
た。この長繊維不織布を構成する長繊維の繊度は、２．
５デニールであり、長繊維不織布の坪量は、２０ｇ／ｍ
² であった。この長繊維不織布の表面に、針葉樹晒クラ
フトパルプ繊維を用い湿式抄紙して得られた紙シートを
積層した。この紙シートは、ＪＩＳＰ８１３５に示さ
れた方法で２５ｍｍ幅の試験片について測定した湿潤引
張強さが０．１ｋｇｆであり、その坪量は３０ｇ／ｍ²
で、また、ＪＩＳＰ８１１８に示された方法で測定し
た密度は０．３５ｇ／ｃｍ ³ であった。次いで、紙シー
トが上に位置し、長繊維不織布が下に位置するようにし
て、金網で形成された移送コンベア上に載置し、この積
層物を２０ｍ／分の速度で移送させながら、孔径０．１
２ｍｍのノズル孔が０．６４ｍｍの間隔で千鳥状に並ん
でいる高圧水柱流噴出装置を用いて、７０ｋｇ／ｃｍ²
の水圧で高圧水柱流を噴出させ、紙シートの表面に高圧
水柱流を施し、紙シートを構成しているパルプ繊維と、
長繊維不織布を構成している長繊維とが絡合したセカン
ドシートを形成した。

【００２９】吸収体綿状パルプ２００ｇ／ｍ² 、ポリアクリル酸ナトリウム
からなる高吸収性ポリマー２００ｇ／ｍ² 、およびポリ
エステル／ポリエステルからなる熱融着性物質２０ｇ／
ｍ² を均一に分布させたものを、ティシュで包み、表面
温度１５０℃の熱プレスロールにて吸収体全体の緊度が
０．１０ｇ／ｍ³ となるように調整し、吸収体を得た。
次いで、トップシ−トとポリエステルからなるバックシ
−トの間に上記吸収体を有し、トップシ−トと吸収体の
間にセカンドシートを有する図１及び図２に示す構成の
使いすておむつを作製した。

【００３０】実施例２セカンドシートとして、長繊維不織布を構成する長繊維
の繊度を４デニール、長繊維不織布の坪量を３０ｇ／ｍ
² に置き換えた以外は、実施例１と同様にして、使いす
ておむつを作製した。

【００３１】実施例３セカンドシートとして、ＪＩＳＰ８１３５に示された
方法で２５ｍｍ幅の試験片について測定した湿潤引張強
さが１．２ｋｇｆ、坪量７０ｇ／ｍ² 、ＪＩＳＰ８１１
８に示された方法で測定した密度が０．４０ｇ／ｃｍ³
の紙シートに置き換えた以外は、実施例１と同様にし
て、使いすておむつを作製した。

【００３２】実施例４セカンドシートとして、高圧水柱流噴出装置の水圧を１
２０ｋｇ／ｃｍ² で噴出させ、紙シートの表面に高圧水
柱流を施し、紙シートを構成しているパルプ繊維と長繊
維不織布を構成している長繊維とが絡合して、形成させ
たセカンドシートに置き換えた以外は、実施例１と同様
にして、使いすておむつを作製した。

【００３３】実施例５セカンドシートとして、長繊維不織布を構成する長繊維
の繊度２．５デニール、坪量を８ｇ／ｍ² に置き換え、
紙シートをＪＩＳＰ８１３５に示された方法で２５ｍ
ｍ幅の試験片について測定した湿潤引張強さが１．４ｋ
ｇｆ、坪量９０ｇ／ｍ² 、ＪＩＳＰ８１１８に示され
た方法で測定した密度を０．５０ｇ／ｃｍ³ に置き換え
た以外は、実施例１と同様にして、使いすておむつを作
製した。

【００３４】比較例１セカンドシートとして、紙シートを使用しない以外は、
実施例１と同様にして、使いすておむつを作製した。

【００３５】比較例２セカンドシートとして、長繊維不織布を使用しない以外
は、実施例１と同様にして、使いすておむつを作製し
た。

【００３６】比較例３セカンドシートとして、高圧水柱流を施さないで、長繊
維不織布に紙シートを積層したものに置き換えた以外
は、実施例１と同様にして、使いすておむつを作製し
た。

【００３７】比較例４比較例１において、セカンドシートを使用しない以外
は、実施例１と同様にして、使いすておむつを作製し
た。上記実施例１〜５、及び比較例１〜４で作製した使
いすておむつを用いて、前述の特性について評価を行っ
た。テスト結果を表１に示す。

【００３８】

【表１】

【００３９】表１に示したように、実施例１〜５と比べ
て、比較例１〜４の性能は、かなり悪いものであった。

【００４０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の吸収性物
品を使用することにより、使用者の皮膚に触れるトップ
シートの裏面には、セカンドシートが接し、吸収体の表
面には、セカンドシートが接しているため、着用者の皮
膚に触れるトップシートにおける尿や体液などが、トッ
プシートに、いち早くスポット吸収されて早い速度で通
り、続いて、セカンドシートでそれが直ちに拡散されて
吸収体に至る。したがって、トップシートに尿や体液な
どが停滞することがなく、トップシートのドライタッチ
性が著しく向上する効果を有する。

【図面の簡単な説明】

図は本発明にかかる吸収性物品の実施例を示すものであ
る。

【図１】本発明の使いすておむつの一部切り抜き平面図
を示す。

【図２】本発明の使いすておむつの図１のｘ−ｘ’線断
面図を示す。

【符号の説明】

１．液透過性のトップシ−ト２．セカンドシート３．液不透過性のバックシ−ト４．吸収体５．綿状パルプ６．高吸収性ポリマー７．親水性シ−ト８．熱融着性物質９．伸縮性弾性体１０．テープファスナー

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】液透過性のトップシ−トと液不透過性の
バックシ−トの間に吸収体を有し、前記トップシ−トと
前記吸収体の間にセカンドシートが配置された吸収性物
品において、前記セカンドシートは、多数の長繊維が集
積されてなる長繊維不織布の表面に、紙シートを積層し
た後、紙シート側から長繊維不織布側に向けて高圧水柱
流を施すことにより、紙シートを構成するパルプ繊維と
長繊維とを絡合させて形成されていることを特徴とする
吸収性物品。