JP2011070172A - カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ - Google Patents

カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機elディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】 耐光性に優れたカラーフィルタ用画素を提供することができ、且つカラーディスプレイ製造工程で要求される耐熱性をも満たす着色樹脂組成物を提供する。
又、画素の色純度及び透過率に優れたカラーフィルタ、並びに高品質の液晶表示装置及び有機ELディスプレイを提供する。
【解決手段】 (a)色材、(b)溶媒、及び(c)バインダ樹脂を含有し、(a)色材が特定構造を有する化合物を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物、及びその用途。
【選択図】 なし

Description

本発明は、分光特性及び耐熱性に優れたカラーフィルタ用画素を提供し得る着色樹脂組成物、これを用いて形成された画素を有するカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを用いて形成された液晶表示装置及び有機ELディスプレイに関する。
近年、フラットディスプレイとして、カラーの液晶表示装置や有機ELディスプレイが注目されており、これらのディスプレイにはカラーフィルタが用いられている。
例えば、カラー液晶表示装置には、一例として、ブラックマトリックス、複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)からなる着色層、透明電極及び配向層を備えたカラーフィルタ基板と、薄膜トランジスタ(TFT素子)、画素電極及び配向層を備えた対向電極基板と、これら両基板を所定の間隙を持たせて対向させ、シール部材で密封して、上記間隙に液晶材料を注入して形成された液晶層とから概略構成された透過型の液晶表示装置がある。又、上記カラーフィルタの基板と着色層との間に反射層を設けた反射型の液晶表示装置もある。
一方、有機ELディスプレイは、原理的には、陽極と陰極との間に有機EL発光層をはさんだ構造の有機EL素子を有するものであるが、実際に、有機EL素子を用いてカラー表示の可能な有機ELディスプレイとするには、(1)三原色の各色をそれぞれ発光する有機EL素子どうしを配列する方式、(2)白色光に発光する有機EL素子を三原色のカラーフィルタ層と組み合わせる方式、並びに(3)青色発光する有機EL素子と、青→緑、及び青→赤にそれぞれ色変換する色変換層(CCM層)とを組み合わせるCCM方式等がある。
(1)の方式は言うまでもなく、各色の有機EL素子を使用するため、高い色再現性を発現し得るのが特徴である。従って、各色の有機EL素子に対応してカラーフィルタを載置することにより、色再現性の向上や、反射光を吸収することによるコントラスト向上が期待できるため、有望な方式の一つとされている。
又、(2)の白色有機ELとカラーフィルタとの組み合わせ方式及び(3)のCCM方式は、同じ色に発光する有機EL素子を一種類使用すればよいので、上記(1)の方式の有機ELディスプレイにおけるように、各色の有機EL素子の特性を揃える必要が無く、工程数および材料の削減等が可能となり、製造コスト面でも注目を集めているフルカラー化方式である。
カラーフィルタ及び色変換フィルタと有機発光体を構成要素とする色変換方式を用いた有機EL素子において、カラーディスプレイの製造工程で要求される耐熱性や、ディスプレイとして使用される際の耐候性、並びに高精細度の画像が要求されるものについては、顔料分散法で作成されたカラーフィルタを用いるのが主流となっており、感光性樹脂溶液中に赤色、青色又は緑色の顔料を粒径1μm以下に微分散したものをガラス基板上に塗布した後、フォトリソグラフィーにより所望のパターンで画素を形成している。
カラーフィルタに関しては、色純度、彩度、光透過量の向上が求められており、従来は、光透過量の向上を目的として、画像形成用材料中の感光性樹脂に対する着色顔料の含有量を減らすか、若しくは画像形成用材料により形成される画素の形成膜厚を薄くするというような方法が採られてきた。しかしながら、これらの方法ではカラーフィルタ自体の彩度が低下し、ディスプレイ全体が白っぽくなって表示に必要な色の鮮やかさが犠牲となっ
てしまい、逆に彩度を優先して着色顔料含有量を増加させるとディスプレイ全体が暗くなり、この場合には、明るさを確保するためにバックライトの光量を大きくしなければならず、ディスプレイの消費電力増大を招いてしまうという問題がある。
これに対し、光透過量の向上を目的として、顔料粒子の粒径をその呈色波長の1/2以下にまで微分散する方法が知られているが(非特許文献1)、青色顔料は他の赤色、緑色顔料に比較して呈色波長が短いため、この場合にはさらなる微分散を必要とし、コストアップ並びに分散後の安定性が問題となる。
一方で着色剤として染料を使用したカラーフィルタも依然開発が進められている。例えば特許文献1には、シー・アイ・アシッド・ブルー83(トリアリルアミン系色素)と、シー・アイ・ソルベント・ブルー67(銅フタロシアニン系色素)を含む青色フィルタ層を設けたカラーフィルタが記載されている。
しかし、当該文献記載の染料を使用したカラーフィルタは、分光特性、耐熱性、耐光性ともに不十分であるという問題があった。
又、特許文献2には、下記一般式で表される重合性トリフェニルメタン染料を含むポリマーを用いたカラーフィルタが記載されている。
しかし、当該文献記載の染料を使用したカラーフィルタは、分光特性には優れるものの耐熱性が不十分であるという問題があった。
Figure 2011070172
更に、特許文献3にも特定構造で表される化合物(色素)を含有するカラーフィルタ用着色樹脂組成物に関する記載がある。
しかし、これらの化合物(色素)も耐熱性の面では十分でないことが本発明者らの検証によりわかった。
特開2002−14222号公報 特開2000−162429号公報 特開2008−304766号公報
橋爪清「色材協会誌」(1967年12月、608頁)
本発明は、耐光性に優れたカラーフィルタ用画素を提供することができ、且つ前述したカラーディスプレイ製造工程で要求される耐熱性をも満たす着色樹脂組成物を提供するこ
とを目的とする。
又、このような着色樹脂組成物を用いることにより、画素の色純度及び透過率に優れたカラーフィルタ、当該カラーフィルタを用いた色純度のよい液晶表示装置及び有機ELディスプレイを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カラーフィルタ画素形成用色材として、特定構造を有する化合物(色素)を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の要旨は、下記(1)〜(10)に存する。
(1)(a)色材、(b)溶媒、及び(c)バインダ樹脂を含有し、(a)色材が下記一般式(I)で表わされる化合物を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
Figure 2011070172
(上記一般式(I)において、[Z]m−は任意のm価アニオンを表す。
〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。R〜Rが置換基を有していてもよいアルキル基を表す場合、隣接するRとR、又はRとRが結合して環構造を形成していてもよい。
Xは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を示す。
又、上記一般式(I)中のベンゼン環及びインドール環は更に任意の置換基を有していてもよい。
尚、1分子中に複数の
Figure 2011070172
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。
mは任意の自然数を表す。)
(2)前記一般式(I)におけるR〜Rのうち、少なくとも1つが分岐アルキル基であることを特徴とする前記(1)に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
(3)前記一般式(I)における[Z]m−がスルホン酸アニオンであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のカラーフィ
ルタ用着色樹脂組成物。
(4)前記スルホン酸アニオンが、脂肪族スルホン酸アニオン若しくは芳香族スルホン酸アニオンであることを特徴とする前記(3)に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
(5)前記一般式(I)で表される化合物の含有量が、(a)色材全量に対し、5重量%以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
(6)(f)重合性モノマーを含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
(7)(g)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
(9)前記(8)に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
(10)前記(8)に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機ELディスプレイ。
本発明によれば、カラーフィルタの長期信頼性のうち極めて重要な項目である耐光性を満たし、且つカラーディスプレイ製造工程で要求される耐熱性を有し、画素の色純度及び透過率に優れたカラーフィルタを得ることができる。
このようなカラーフィルタを使用することにより、有機ELディスプレイの発光や、カラーフィルタのバックライトの発光を効率よく取り出すことができ、高色再現性及び高輝度を両立した液晶表示装置や有機ELディスプレイを提供することができる。
又、特に液晶表示装置のコントラストを向上させることもできる。
実施例における耐光性試験の際に用いたUVカットフィルターの透過スペクトルを示すチャートである。 実施例における耐光性試験の際に用いた偏光板の透過スペクトルを示すチャートである。 本発明の青色カラーフィルタを備えた有機EL素子の一例を示す断面概略図である。 実施例で作成した有機電界蛍光発光素子の構造を示す模式的断面図である。
以下に、本発明の構成要件及び実施の形態等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」等は「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一つ」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一つ」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一つ」を意味するものとする。
又、「全固形分」とは、顔料分散液または着色樹脂組成物に含まれる、後記する溶媒成分以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、特に断りの無い限り、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
更に、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。尚、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定することで算出する。
<着色樹脂組成物の構成成分>
以下に本発明の着色樹脂組成物の各構成成分を説明する。
本発明の着色樹脂組成物は、特定構造を有する(a)色材、(b)溶媒、及び(c)バインダ樹脂を必須成分とし、更に要すれば、上記成分以外の他の添加物、及び顔料等、他の色材が配合されていてもよい。
以下、各構成成分を説明する。
<(a)色材>
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、(a)色材、(b)溶媒、及び(c)バインダ樹脂を含有し、(a)色材が下記一般式(I)で表わされる化合物を含有することを特徴とする。
本発明の(a)色材に用いる下記一般式(I)で表わされる化合物を用いることで、特に耐熱性に優れるカラーフィルタが得られる理由を下記の通り推測する。
下記構造式で表されるトリアリールメタン構造を有する化合物の色特性を確保するためには、正電荷を有する中心炭素原子に置換しているアリール基が、適度なねじれを生じている必要がある。
Figure 2011070172
また、正電荷を有する中心炭素原子は、反応性が高く、周辺に存在する化合物と反応しやすい。つまり、トリアリールメタン構造を有する化合物の耐熱性を向上させるためには、色特性に影響がない程度にねじれを生じさせて、中心炭素原子周りの立体障害を高めることが必要であると考えられる。
本発明の一般式(I)で表される化合物は、中心炭素原子にベンゼン環2つと、インドール環1つが置換しており,分子内に3つの芳香環が存在している。このため、ベンゼン環が3つである場合の時よりも、ねじれが大きくなることで、式(I)中の中心炭素原子に存在する正電荷に、反応性の高い化合物(例えば、酸素分子や重合性反応開始剤など)がアタックし難くなる。
また、インドール環は、中心炭素原子に存在する正電荷を非局在化できる.加えて、ベンゼン環に換えてインドール還を置換することにより,ベンゼン環やナフタレン環が置換している場合よりもか化合物のHOMO−LUMOのエネルギー差が小さいことが量子力学計算からわかっており、このことも耐熱性を向上させている一因であると推測される。
つまり、インドール環を導入することにより、色特性に大きな変化を生じさせずに、耐熱性が向上しうるものである。
以上より、本発明の色材を含有する着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタは、耐熱性に優れる。
Figure 2011070172
(上記一般式(I)において、[Z]m−は、任意のm価アニオンを表す。
〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。R〜Rが置換基を有していてもよいアルキル基を表す場合、隣接するRとR、又はRとRが結合して環構造を形成していてもよい。
Xは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を示す。
又、上記一般式(I)中のベンゼン環及びインドール環は更に任意の置換基を有していてもよい。
尚、1分子中に複数の
Figure 2011070172
が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。
mは任意の自然数を表す。)
一般式(I)において、R〜Rは同一であっても異なるものであってもよい。
又、−NRR(RRは、R、若しくはRを表わす。)基は左右対称であっても、左右非対称であってもよい。隣接するR(Rは、R〜Rのいずれかを表す。)が結合して環を形成する場合、これらはヘテロ原子で架橋された環であってもよい。この環の具体例として、例えば以下のものが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。
Figure 2011070172
又、化学的安定性の観点から、R〜Rは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。
より具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2‐エチルヘキシル基など無置換のアルキル
基;
2‐メトキシエチル基、2‐エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;
2‐アセチルオキシエチル基等のアシルオキシ基;
2‐シアノエチル基等のシアノアルキル基;
2,2,2‐トリフルオロエチル基、4,4,4‐トリフルオロブチル基等のフルオロアルキル基;
フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基など置換基を有していてもよいアリール基等が挙げられる。
尚、R〜Rのうち少なくとも1つが置換基を有していてもよい炭素数1〜10のア
ルキル基であることが好ましい。
〜Rが置換基を有していてもよいアルキル基を表す場合、隣接するRとR、又はRとRが結合して環構造を形成していてもよい。
又、Rは、置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基であることがより好ましい。
アリール基が有していてもよい置換基の例としては、例えば、下記[置換基群Z]が挙げられる。
[置換基群Z]
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシ
ル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2‐エチルヘキシル基など炭素数1〜8のアルキル基;
トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;
フェニル基、ナフチル基等のアリール基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など炭素数1〜8のアルコキシ基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
シアノ基等が挙げられる。
尚、Rは、ナフチル基;フェニル基、トリル基、トリフルオロメチルフェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基など置換基を有していてもよいフェニル基であることがより好ましい。
又、Rは、任意の置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。任意の置換基としては、本発明の効果を損なわない限り、如何なる基であってもよい。
より具体的には、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;
シアノ基;
フェニル基等のアリール基、などが挙げられる。
上記アルコキシ基、アリール基等の置換基には、更にアルキル基、アルコキシ基、又はアリール基など任意の置換基を有していてもよい。
又、Rの具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、ペン
チル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2‐エチルヘキシル基、デシル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、シアノエチル基、ベンジル基等が挙げられる。
尚、本発明において、耐熱性等の点から、上記R〜Rのうち少なくとも1つがイソブチル基等のような分岐アルキル基であることが好ましい。
Xは、水素原子;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシ
ル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2‐エチルヘキシル基など炭素数1〜8のアルキル基を示す。
Xは、アルキル基である場合、更に任意の置換基を有していてもよい。任意の置換基は、本発明の効果を損なわない限り、如何なる基であってもよい。
より具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、などが挙げられる。
上記のような置換アルキル基は、例えばフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基等のハロアルキル基;
メトキシメチル基等のアルコキシアルキル基、などが挙げられる。
尚、Xとしては、メチル基、塩素原子、トリフルオロメチル基などが好ましい。
これらの基が好ましい理由を以下の通り推測する。
これらの基は、トリアリールメタン構造のねじれに影響しない程度で、かつ水素原子よりも立体障害が適度に大きい基である。Xとして、これらの基を有することで、ねじれに影響せず、式(I)における中心炭素原子の周辺で、立体障害を生じさせることができる。つまりは、色特性に影響せずに、耐熱性を向上させることが可能となる。
又、上記一般式(I)中のベンゼン環及びインドール環は更に任意の置換基を有していてもよい。
任意の置換基としては、本発明の効果を損なわない限り、如何なる基であってもよい。より具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、シク
ロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2‐エチルヘキシル基など炭素数1〜8のアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など炭素数1〜8のアルコキシ基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;
シアノ基、などが挙げられる。
これらの置換基には、更に他の置換基を有していてもよい。他の置換基は、本発明の効果を損わない限り特に制限はないが、例えば、前記アルコキシ基等が挙げられる。
また、前記一般式(I)中のベンゼン環及びインドール環は、−NR、−NR、R、R、及びX以外に更に前記した置換基を有していてもよいが、色純度が高い点で、無置換であることが好ましい。
[Z]m−は、任意のm価アニオンを示す。
[Z]m−としては、例えばF、Cl、Br、I等のハロゲン化物イオン;
(C等のホウ素アニオン;
CHCOO、CCOO、CCOO等のカルボン酸アニオン;
SO 2−、HSO 等の硫酸アニオン;
HPO 2−、PO 3−等のリン酸アニオン;
スルホン酸アニオン等が挙げられる。
又、スルホン酸アニオンとしては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、カンファースルホン酸など置換基を有していてもよい脂肪族スルホン酸アニオン;
ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、1‐ナフタレンスルホン酸、2‐ナフタレンスルホン酸など置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸アニオン;
acid blue 80(C.I.61585)、acid green 25(C.I.61570)、acid blue 45(C.I.63010)、acid bl
ue 43(C.I.63000)、acid blue 25(C.I.62055)、
acid blue 40(C.I.65125)等のスルホナト基を有するアントラキ
ノン系色素のアニオン;
direct blue 86(C.I.74810)、direct blue 199 (C.I.14190)等のスルホナト基を有するフタロシアニン系色素のアニオン

acid blue 74(C.I.73015)等のスルホナト基を有するインジゴ系色素のアニオン等が挙げられる。
又、[Z]m−が色素のアニオンである場合、青色色素であることが好ましい。
尚、一般式(I)において、mは任意の自然数を表す。色調などの点から、mは、好ましくは1〜4、更に好ましくは1又は2である。
又、一般式(I)中に複数の
Figure 2011070172
が含まれる場合、それらは同一構造であっても、異なる構造であってもよいが、製造が容易である点で、同一構造であることが好ましい。
尚、一般式(I)で示される色素は、Xが塩素原子であった場合、対応するベンゾフェノン体と対応するアミノナフタレン体をオキシ塩化リン等の塩素化剤で反応することにより合成できる。この反応の条件としては、例えば、「総説合成染料」(堀口 博、三共出版、1968年)に記載されている内容を参考にすることができる。又、ベンゾフェノン体及びアミノナフタレン体は既知の反応の組み合わせにより合成できる。
一方、Xが塩素原子以外のものであった場合、例えば、Xが塩素原子である対応色素に塩交換反応を施すことにより合成できる。
一方、アニオン構造に着目すると、本発明における一般式(I)で表される化合物として、耐熱性と耐光性を併せて向上することができる点で、下記一般式(ii)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2011070172
(上記一般式(ii)において、
31は水素原子、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、
32〜R34は各々独立に、水素原子、水酸基、−NHR41(R41はR31と同義である。)、−SO 、ハロゲン原子、−CO42(R42は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)のいずれかを表すが、R32〜R34のうち、少なくとも1つは−NHR41基である。
35〜R38は、各々独立に、水素原子、−SO 、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数1〜12のアルコキシル基、−CO43、フェニル基、−SO44、又は−SONHR45(但し、R43〜R45は各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基を表す。)を表す。
又、1つの上記アントラキノン骨格中に、−SO 基はm個結合している。
尚、m、R〜R、Xは前記一般式(I)におけると同義である。
更に、1分子中に前記一般式(ii)中に明記したカチオン骨格が複数含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
また、アニオン構造に着目すると、一般式(I)で表される化合物として、耐熱性と高輝度(高い透過率)が得られる点で、下記一般式(iii’)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011070172
(R201は、置換基を有していてもよい、炭素数6〜20の脂肪族炭化水素環を表す。
尚、R〜R、及びXは、前記式(I)におけると同義である。)
201は、置換基を有していてもよい、炭素数6〜20の脂肪族炭化水素環を表す。
201における脂肪族炭化水素環の炭素数は、通常、6〜20、好ましくは6〜16、更に好ましくは8〜12である。
上記範囲内であると、合成が比較的容易である点で好ましい。
また、R201における脂肪族炭化水素環が有していてもよい置換基としては、前記[置換基群Z]の項で記載したものが挙げられる。
また、一般式(iii’)で表される化合物は、より具体的には、下記一般式(iii)で表される化合物であることが、耐熱性及び高輝度(高い透過率)という点で好ましい。
Figure 2011070172
(上記一般式(iii)において、R〜R、及びXは一般式(I)におけると同義である。)
更に、アニオン構造に着目した場合、一般式(I)で表される化合物として、耐熱性及び高輝度(高い透過率)という点で、下記一般式(iv’)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011070172
(上記一般式(iv’)において、R〜R、及びXは、前記一般式(I)におけると同義である。
また、R401〜R405は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数1〜12のアルコキシル基、フェニル基,炭素数1〜6のアルキル基を表す。
但し、R401〜R405のうち、隣接する少なくとも一組は、互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成する。)
401〜R405は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、炭素数1〜12のアルコキシル基、フェニル基,炭素数1〜6のアルキル基を表す。
但し、R401〜R405のうち、隣接する少なくとも一組は、互いに結合して、置換基を有していてもよい環を形成する。
つまり、R401とR402、R402とR403、R403とR404、R404とR405、の少なくとも一つは、互いに結合して環を形成する。
401〜R405のうち、隣接する少なくとも一組が互いに結合して形成される環の、好ましい具体例としては、例えば以下のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2011070172
上記の中でも特に、R401〜R405のうち、隣接する一組が互いに結合することで、式中のベンゼン環と共に、ナフタレン環を形成することが、スルホン酸上に存在する負電荷を共役系の延長にて分散しアニオンを安定化することができ,これにより耐熱性が向上する点で好ましい。
また、R401〜R405のうち、隣接する一組が互いに結合して形成される環が有していてもよい置換基としては、前記[置換基群Z]の項で挙げたものが挙げられる。
尚、前記一般式(iv’)で表される化合物は、更に耐熱性,高輝度(高い透過率)という点で、下記一般式(iv)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2011070172
(上記一般式(iv)において、R〜R、及びXは一般式(I)におけると同義である。)
また、アニオン構造に着目した場合、一般式(I)で表される化合物として、耐熱性,耐光性が良好であるという点で、下記式(v)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2011070172
(上記一般式(v)において、Mは2個の水素原子、Cu、Mg、Al、Ni、Co、Fe、Zn、Ge、Mn、Si、Ti、V又はSnを表し、好ましくはCuであり、又、各金属原子には、酸素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基が配位していてもよい。
又、式中の−SO 基は、ベンゼン環を構成するいずれかの炭素原子に結合しており、−SO 基が結合していない該ベンゼン環の炭素原子は、任意の基で置換されていてもよい。
尚、m、R〜R、Xは一般式(I)におけると同義である。
更に、1分子中に上記一般式(v)中に明記したカチオン骨格が複数含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。)
前記した通り、アニオンに着目をした場合、一般式(ii)、(iii’)、(iv’)及び(v)が挙げられるが、中でも、耐熱性と耐光性が良好な点で、一般式(ii)で表される化合物が好ましく、また、耐熱性が良好で高輝度である点で、一般式(iii’)、(iv’)で表される化合物が特に好ましい。
尚、前記一般式(I)で表される化合物は、その製造プロセスより、必然的にmの値が異なる複数種の化合物の混合物として得られる。本発明の着色樹脂組成物においては、前記一般式(I)で表される化合物は、混合物のまま使用しても、単離した単一化合物を使用してもよい。混合物の場合、前述した「好ましい」mの値を満たす化合物が、最も大きな割合を占める混合物であることが好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物のカチオン骨格の具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、本発明はその主旨を超えない限り、これらに限定されるものではない。
Figure 2011070172
Figure 2011070172
本発明の着色樹脂組成物において、前記一般式(I)で表される化合物の含有量が、通常、(a)色材全量に対し、5重量%以上である。好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。
上記範囲内であると、色再現性がよく、また膜厚が厚くなりすぎないため好ましい。
尚、前記一般式(I)で表される化合物の、着色樹脂組成物(特に該組成物中に含まれる溶媒)への溶解性が低い場合には、後述する任意成分である顔料と同様に、分散剤等を使用して組成物中へ分散させて使用してもよい。
しかし、液晶表示装置に適用した場合のコントラストの高さ等の点からは、前記一般式(I)で表される化合物は、着色樹脂組成物中に溶解した状態で存在することが好ましい。
又、本発明の着色樹脂組成物中には、(a)色材として、一般式(I)で表される化合物の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよく、更に他の色材の1種又は2種以上が含まれていてもよいが、本発明の着色樹脂組成物中の全(a)色材の含有割合が、全固形分に対し、通常、1〜50重量%であるが、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
全(a)色材の含有量を上記範囲にすることにより、色再現性が悪くなったり、(所望の色濃度を出そうとすると)膜厚が厚くなり過ぎたりするのを防ぐことができる。更に、製版上の諸問題を解決し、より強度の高い膜を得ることもできる。
<(b)溶媒>
(b)溶媒は、本発明の着色樹脂組成物において、(a)色材、及び(c)バインダ樹脂のほか、場合により配合したこれら以外の成分等を溶解又は分散させ、粘度を調節する機能を有する。
(b)溶媒としては、特に制限がなく、各成分を溶解又は分散させることができるものであればよい。
このような(b)溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;
シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;
アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン
、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等が挙げられる。
上記に該当する市販の溶媒としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素を形成する場合>
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては沸点が100〜200℃(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点をもつものである。沸点を上記の範囲に制御することにより、気泡の跡が残り、欠陥となってしまったり、又、所定の時間に乾燥が終了せず、画素中に色ムラ等の問題が発生したりするのを防ぐことができる。
上記溶媒中、塗布性、表面張力などのバランスがよく、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
又、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の溶媒を併用してもよい。併用する溶媒として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる着色樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶媒中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は溶媒全体の中で5重量%〜30重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。
又、150℃以上の沸点をもつ溶媒を併用することも好ましい。このような高沸点の溶媒を併用することにより、着色樹脂組成物は乾きにくくなるが、急激に乾燥することによる顔料分散液の相互関係の破壊を起こし難くする効果がある。高沸点溶媒の含有量は、溶媒全体に対して3重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜40重量%がより好ましく、5重量%〜30重量%が特に好ましい。高沸点溶媒の量が少なすぎると、例えばスリッ
トノズル先端で色材成分などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥速度が遅くなり、後述するカラーフィルタ製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
尚、沸点150℃以上の溶媒が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であっても、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の溶媒を別途含有させなくてもかまわない。
<インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合>
インクジェット法にてカラーフィルタの画素を形成する場合、溶媒としては、沸点が、通常130℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上280℃以下のものが適当である。沸点が低すぎると、得られる塗膜の均一性が不良になる傾向がある。逆に沸点が高すぎると、後述するように、着色樹脂組成物の乾燥抑制の効果は高いが、熱焼成後においても塗膜中に残留溶媒が多く存在し、品質上の不具合を生じたり、真空乾燥などでの乾燥時間が長くなり、タクトタイムを増大させるなどの不具合を生じたりする場合がある。
又、溶媒の蒸気圧は、得られる塗膜の均一性の観点から、通常10mmHg以下、好ましくは5mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下のものが使用できる。
尚、インクジェット法によるカラーフィルタ製造において、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微細であるため、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶媒が蒸発してインクが濃縮・乾固する傾向がある。これを回避するためには溶媒の沸点は高い方が好ましく、具体的には、沸点180℃以上の溶媒を含むことが好ましい。より好ましくは、沸点が200℃以上、特に好ましくは沸点が220℃以上である溶媒を含有する。また、沸点180℃以上である高沸点溶媒は、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる溶媒全体の中で、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が最も好ましい。高沸点溶媒が50重量%未満である場合には、液滴からの溶媒の蒸発防止効果が十分に発揮されない場合もある。
好ましい高沸点溶媒として、例えば前述の各種溶媒の中ではジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
さらに、顔料分散液や着色樹脂組成物の粘度調整や固形分の溶解度調整のためには、沸点が180℃より低い溶媒を一部含有することも効果的である。このような溶媒としては、低粘度で溶解性が高く、低表面張力であるような溶媒が好ましく、エーテル類、エステル類やケトン類などが好ましい。中でも特に、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノールアセテートなどが好ましい。
一方、溶媒がアルコール類を含有すると、インクジェット法における吐出安定性が劣化する場合がある。よって、アルコール類は溶媒全体の中で20重量%以下とすることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下が特に好ましい。
本発明の着色樹脂組成物全体に占める溶媒の含有量は、特に制限はないが、その上限は通常99重量%以下とする。溶媒が99重量%を超える場合は、(a)色材、(c)バインダ樹脂などが少なくなり過ぎて塗布膜を形成するには、不適当である。一方、溶媒含有量の下限は、塗布に適した粘性などを考慮して、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
<(c)バインダ樹脂>
本発明の着色樹脂組成物に使用する(c)バインダ樹脂としては、カラーフィルタに使用可能なものであれば、特に制限無く使用することができる。
例えば、特開昭60−184202号公報などに記載された所謂リフトオフ方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物、特開2004−220036号公報等に記載されたインクジェット方式のカラーフィルタ製造工程に用いる熱硬化性樹脂組成物、後述する光重合性樹脂組成物等が挙げられる。着色樹脂組成物を、どのような手段により硬化させ、カラーフィルタを作製するかにより、適したタイプの樹脂組成物を選択すればよい。着色樹脂組成物が光重合性組成物である場合には、後述する光重合開始剤類を含有することが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、フォトリソグラフィ法、又はインクジェット方式によるカラーフィルタの製造に用いられることが好ましく、光重合性(フォトリソグラフィ法又はインクジェット方式の場合)、又は熱硬化性(インクジェット方式)であることが好ましい。
以下、本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、及び熱硬化性樹脂組成物である場合を例に、詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物の場合、(c)バインダ樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号、特開2007−270147号などの各公報等に記載された公知の高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、
(c−1):特定の構造を有するモノ(メタ)アクリレート、及びエポキシ基含有(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸、を含むエチレン性不飽和基含有単量体を反応させて得られる(メタ)アクリル系アルカリ可溶樹脂、
(c−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂、
(c−3):前記カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂、
(c−4):(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。
中でも、溶解性や光硬化性等の点から、(c−1)樹脂が特に好ましい。
以下、これらの各樹脂について説明する。
<(c−1):特定の構造を有するモノ(メタ)アクリレート、及びエポキシ基含有(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸、を含むエチレン性不飽和基含有単量体を反応させて得られる(メタ)アクリル系アルカリ可溶樹脂>
本発明の着色樹脂組成物に用いる(c)バインダ樹脂の中でも、特に好ましい(c)バインダ樹脂の一つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂(以下、(c−1)樹脂と称することがある。)」が挙げられる。
より具体的には、(c−1)樹脂として、例えば、以下に説明する特定の脂環式炭化水素基を有するモノ(メタ)アクリレートを用いてなる(メタ)アクリル系共重合体(c−1−1)〜(c−1−3)が好ましい。中でも、下記(c−1−2)に記載の(メタ)アクリル系共重合体が、溶解性の点から、より好ましい。
<(c−1−1)(A)下記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート、及び(B)エポキシ基含有(メタ)アクリレートを含むエチレン性不飽和基含有単量体を反応させて得られる(メタ)アクリル系共重合体(以下、(c−1−1)共重合体と称することがある。)>
(c−1−1)共重合体は、(A)下記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート由来の部分構造を必須成分とする。
Figure 2011070172
上記一般式(7)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。但し、R96及びR97は、互いに連結して環を形成していてもよい。
上記一般式(7)において、R96とR97が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、一般式(7)で表される構造としては、下記構造式(7a)、(7b)、又は(7c)で表されるものが好ましい。
Figure 2011070172
尚、前記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
又、前記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り、公知の各種のものが使用できるが、特に下記一般式(8)で表されるものが好ましい。
Figure 2011070172
上記一般式(8)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は前記一般式(7)で表される構造を示す。
又(c−1−1)共重合体は、(B)エポキシ基含有(メタ)アクリレート(以下、(B1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートと称することがある。)由来の部分構造を必須成分とする。
(B1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
尚、(A)前記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートと、(b1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートとの共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。使用する溶媒はラジカル重合に不活性なものであれば、特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶媒を使用することができる。
溶媒の使用量は、得られる(c−1−1)共重合体100重量部に対し、通常30〜1000重量部、好ましくは50〜800重量部である。溶媒の使用量は、この範囲外であると、共重合体の分子量の制御が困難となる。
又、共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれば、特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒を使用することができる。
有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒を使用したラジカル重合開始剤の中から、重合温度に応じて、適当な半減期のラジカル重合開始剤が1種又は2種以上使用される。ラジカル重合開始剤の使用量は、共重合反応に使用される単量体の合計100重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
共重合反応は、共重合反応に使用される単量体及びラジカル重合開始剤を溶媒に溶解し、攪拌しながら昇温して行ってもよいし、ラジカル重合開始剤を添加した単量体を、昇温、攪拌した溶媒中に滴下して行ってもよい。又、溶媒中にラジカル重合開始剤を添加し昇温した中に単量体を滴下してもよい。反応条件は目標とする分子量に応じて自由に変えることができる。
又、上述した必須成分として(A)前記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート、及び(B1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる共重合体は、更に(E)その他の単量体由来の部分構造を含有していてもよい。
(E)その他の単量体としては、特に制限はなく、(A)、(B1)、及び(B2)(メタ)アクリル酸と共重合しうる化合物であればよい。
具体的には、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体等のビニル芳香族類;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−イソプロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
(E)その他の単量体の中で、着色硬化性樹脂組成物に優れた耐熱性、塗膜の強度、及び顔料分散性を付与させるためには、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等の(E1)芳香族炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体が好ましい。
この(E1)芳香族炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する部分構造が(c−1−1)共重合体に含まれる場合、その含有割合は、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものがより好ましい。
<(c−1−2)(A)前記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート、及び(B1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートを含むエチレン性不飽和基含有単量体を重合して幹樹脂を得、該幹樹脂における(B1)由来のエポキシ基の少なくとも一部に(C)不飽和一塩基酸を反応させ、生じた水酸基の少なくとも一部に(D)多塩基酸又はその無水物を反応させて得られる(メタ)アクリル系共重合体。>
本発明において、使用できる(c−1)樹脂は、前述した「(A)前記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート、及び(B1)エポキシ基含有(メタ)アクリレート(並びに、必要に応じて(E)その他の単量体)を反応させて得られる(メタ)アクリル系共重合体」の(B1)由来のエポキシ基の少なくとも一部に、(C)不飽和一塩基酸を付加反応させ、生じた水酸基の少なくとも一部に(D)多塩基酸無水物を反
応させて得られる共重合体(以下、(c−1−2)共重合体と称することがある。)であってもよい。
(C)不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの(C)不飽和一塩基酸を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このような成分を付加させることにより、本発明で用いる(c)バインダ樹脂に重合性を付与することができる。
これらの(C)不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体における(B1)由来のエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。(C)不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、濡れ拡がりが不十分となる可能性がある。尚、共重合体のエポキシ基に(C)不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、(B1)由来のエポキシ基に(C)不飽和一塩基酸を付加させたときに、生じる水酸基に付加させる(D)多塩基酸またはその無水物としては、公知のものが使用できる。例えば、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、クロレンド酸等の二塩基酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸の三塩基以上の酸又はこれらの無水物が挙げられる。
中でも、酸無水物が好ましく、特にテトラヒドロ無水フタル酸、及び/又は無水コハク酸が好ましい。これらの(D)多塩基酸又はその無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。このような成分を付加させることにより、本発明の着色樹脂組成物に用いる(c)バインダ樹脂にアルカリ可溶性を付与することができ、更に(c)バインダ樹脂に濡れ拡がり性と基板への密着性を付与することもできる。又、インクジェット方式のカラーフィルタ製造時に、(画素バンク内ブラックマトリックスで囲まれた画素形成用エリア内での)組成物の濡れ拡がり性(以下、単に「組成物の濡れ拡がり性」と称することがある。)の向上が期待できる。
これらの(D)多塩基酸又はその無水物は、通常、前記共重合体が有する(B1)由来のエポキシ基に、(C)不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この範囲での付加割合の調整は、組成物の濡れ拡がり性の制御に有効であると考えられる。付加割合が少なすぎると、塗れ拡がり性向上効果や密着性向上効果が充分に発揮されない可能性がある。又、逆にこの付加割合が多すぎると、現像時の残膜率が低下する場合がある。尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、本発明の着色樹脂組成物を光重合性の組成物とする場合には、光に対する感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。又、現像性を向上させるために、生成したカルボキシル基の一部に、重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。又、この両方を付加させてもよい。
重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニル基やアルキル基を有するグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。市販品として、例えば、ナガセ化成工業社製の商品名「デナコールEX−111」、「デナコールEX−121」、「デナコールEX−141」、「デナコールEX−145」、「デナコールEX−146」、「デナコールEX−171」、「デナコールEX−192」等がある。
尚、(c−1−2)共重合体における幹樹脂も、前記(c−1−1)共重合体におけるのと同様に、前述した(E)その他の単量体由来の部分構造を有していてもよい。(E)その他の単量体としては、(c−1−1)共重合体におけるのと同様の化合物が挙げられる。又、好ましいものも同様に、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等の(E1)芳香族炭化水素を有するエチレン性不飽和単量体である。
<(c−1−3)(A)前記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート、及び(B2)(メタ)アクリル酸を含むエチレン性不飽和基含有単量体を反応させて得られる(メタ)アクリル系共重合体>
本発明において、(c)バインダ樹脂として使用できる(c−1)樹脂は、(A)前記一般式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート、及び(B2)(メタ)アクリル酸を含むエチレン性不飽和基含有単量体を反応させて得られる(メタ)アクリル系共重合体(以下、(c−1−3)共重合体と称することがある。)であってもよい。
(c−1−3)共重合体においても、(c−1−1)共重合体と同様に、更に前述した(E)その他の単量体由来の部分構造を有していてもよい。(E)その他の単量体としては、(c−1−1)共重合体の項で述べたのと同様の化合物が挙げられ、中でもスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等の(E1)芳香族炭化水素を有するエチレン性不飽和単量体が好ましい。
この(E1)芳香族炭化水素基を有するエチレン性不飽和単量体に由来する部分構造が(c−1−3)共重合体に含まれる場合、その含有割合は、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものがより好ましい。
尚、本発明の着色樹脂組成物に使用される(c−1)樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000であることが好ましく、4000〜50000であることがより好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。又、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
又、本発明の着色樹脂組成物に使用される(c−1)樹脂の酸価は、通常0〜200mgKOH/g、好ましくは0〜150mgKOH/g、更に好ましくは0〜100mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
更に、本発明の着色樹脂組成物に使用される(c−1)樹脂は、エポキシ基を含有する場合、エポキシ当量が150以上400以下であることが好ましく、150以上350以下であることがより好ましい。エポキシ当量が低すぎると、樹脂の酸化による輝度低下の抑制効果が小さくなる可能性がある。又、逆に高すぎると、光重合するための官能基である二重結合の数量が減り、感度が落ちる場合がある。
<(c−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以降、(c−2)樹脂と称することがある。)>
(c−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性モノ
マーを重合して得られる。
カルボキシル基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等のビニル系モノマー;アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものであるモノマー;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させたモノマー等が挙げられる。これらは複数種使用してもよい。
中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは、(メタ)アクリル酸である。
又、(D−2)樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性モノマーに、カルボキシル基を有さない他の重合性モノマーを共重合させてもよい。
他の重合性モノマーとしては、特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン及びその誘導体等のビニル芳香族類;N−ビニルピロリドン等のビニル化合物類;N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマー等のマクロモノマー類等が挙げられる。これらは複数種併用してもよい。
特に好ましいのは、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミドである。
本発明の着色樹脂組成物に用いる(c−2)樹脂は、更に水酸基を有していてもよい。水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等
が挙げられる。これらを上述の各種モノマーと共重合させることにより、カルボキシル基および水酸基を有する樹脂を得ることができる。
本発明の着色樹脂組成物に使用できる(c−2)樹脂として、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルマレイミド等の水酸基を含まない重合性モノマーと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマーとの共重合体;(メタ)アクリル酸と、メチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とスチレンとα−メチルスチレンとの共重合体;(メタ)アクリル酸とシクロヘキシルマレイミドとの共重合体等が挙げられる。顔料分散性に優れる点からは、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
又、本発明の着色樹脂組成物に用いる(c−2)樹脂の酸価は、通常30〜500mgKOH/g、好ましくは40〜350mgKOH/g、更に好ましくは50〜300mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜80000、好ましくは3000〜50000、更に好ましくは4000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、着色組成物の安定性に劣る傾向があり、大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
<(c−3)(c−2)の樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以降、(c−3)樹脂と称することがある。)>
前記(c−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂の、カルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂も特に好ましい。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物も挙げることができるが、耐熱性や、顔料の分散性の観点から、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、その脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。又、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好ましく、好適な脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、下記一般式(3a)〜(3m)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2011070172
上記一般式(3a)〜(3m)中、R11は水素原子又はメチル基を、R12はアルキレン基を、R13は2価の炭化水素基をそれぞれ示し、nは1〜10の整数である。
一般式(3a)〜(3m)における、R12のアルキレン基は、炭素数1〜10であるものが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が例示できるが、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
又、R13の炭化水素基としては、炭素数が1〜10であるものが好ましく、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。これらの脂環式エポキシ基含有不飽和化合物は、1種類を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、一般式(3c)で表される化合物が好ましく、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
前記(c−2)の樹脂のカルボキシル基部分に、前記エポキシ基含有不飽和化合物を付加させるには、公知の手法を用いることができる。例えば、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ基含有不飽和化合物とを、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン;ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;ピリジン、トリフェニルホスフィン等の触媒の存在下、有機溶媒中、反応温度50〜150℃で数時間〜数十時間
反応させることにより、樹脂のカルボキシル基にエポキシ基含有不飽和化合物を導入することができる。
エポキシ基含有不飽和化合物を導入したカルボキシル基含有樹脂の酸価は、通常10〜200mgKOH/g、好ましくは20〜150mgKOH/g、更に好ましくは30〜150mgKOH/gである。酸価をこれらの範囲に制御することにより、現像液に対する溶解性が低下したり、膜荒れが生じたりするのを防ぐことができる。
又、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常2000〜100000、好ましくは4000〜50000、更に好ましくは5000〜30000である。重量平均分子量が小さすぎると、着色組成物の安定性に劣る傾向があり、大きすぎると、現像液に対する溶解性が悪化する傾向がある。
<(c−4)(メタ)アクリル系樹脂(以降、(c−4)樹脂と称することがある。)>
(メタ)アクリル系樹脂としては、下記一般式(9)及びで表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる(c−4)樹脂を挙げることができる。
Figure 2011070172
上記一般式(9)中、R1a及びR2aは、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。
以下、一般式(9)の化合物について詳述する。
一般式(9)で表されるエーテルダイマーにおいて、R1a及びR2aで表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。尚、R1a及びR2aは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2′−[オキシビス(メ
チレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
これらの中でも特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
前記(c−4)樹脂を得る際の、モノマー成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全モノマー成分中、通常2〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、更に好ましくは5〜50重量%である。エーテルダイマーの量が多すぎると、重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりする場合があり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性等の塗膜性能が不充分となる場合がある。
(c−4)樹脂は、酸基を有することが好ましい。酸基を有することにより、得られる着色樹脂組成物が、酸基とエポキシ基が反応してエステル結合を形成する架橋反応(以下、酸−エポキシ硬化と略することがある。)により硬化が可能な着色樹脂組成物、あるいは未硬化部をアルカリ現像液で顕像可能な組成物、とすることができる。前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。樹脂1分子中に含まれるこれらの酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(c−4)樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー、及び/又は「重合後に酸基を付与しうるモノマー」(以下「酸基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として使用すればよい。なお、「重合後に酸基を付与しうるモノマー」をモノマー成分として使用する場合には、重合後に、後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエ
ポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(c−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記酸基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。酸基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な電気特性や現像性を得ることができる。
又、(c−4)樹脂は、ラジカル重合性二重結合を有するものであってもよい。
前記(c−4)樹脂にラジカル重合性二重結合を導入するには、例えば「重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマー」(以下「ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として重合した後に、後述するようなラジカル重合性二重結合を付与するための処理を行えばよい。
重合後にラジカル重合性二重結合を付与しうるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。これらラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(c−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。ラジカル重合性二重結合を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、良好な製版特性が得られ、欠けが少なく、所望のテーパー角を有する画素を得ることができる。
(c−4)樹脂は、またエポキシ基を有することが好ましい。エポキシ基を導入するには、例えば、エポキシ基を有するモノマー(以下「エポキシ基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として重合すればよい。
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらエポキシ基を導入するためのモノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(c−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記エポキシ基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、通常は全モノマー成分中5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%であるのがよい。エポキシ基を導入するためのモノマーの量をこの範囲に調整することにより、露光感度や色特性の低下を招くことなく、耐熱性等を向上させることができる。
(c−4)樹脂を得る際のモノマー成分は、上記必須のモノマー成分のほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘ
キシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。これら共重合可能な他のモノマーは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。 前記(c−4)(メタ)アクリル系樹脂を得る際のモノマー成分が、前記共重合可能な他のモノマーをも含む場合、その含有割合は特に制限されないが、95重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましい。含有割合が多すぎると、現像性が悪化する可能性がある。
(c−4)樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、好ましくはGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2000〜200000、より好ましくは4000〜100000である。重量平均分子量が200000を超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる場合があり、一方2000未満であると、十分な耐熱性を発現しにくくなる傾向がある。
(c−4)樹脂が酸基を有する場合、好ましい酸価は5〜500mgKOH/g、より好ましくは10〜400mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満の場合、アルカリ現像に適用することが難しくなる場合がある。また、500mgKOH/gを超える場合、高粘度となりすぎ塗膜を形成しにくくなる傾向がある。
尚、酸価が比較的高い場合、これを含む着色樹脂組成物の、粘度の経時変化(増粘)が生じにくくなるため好ましく、酸価が比較的低い場合、これを含む着色樹脂組成物の、コントラストの経時変化(低下)が生じにくくなるため、好ましい。
又、(c−4)樹脂、即ち、一般式(9)で示される化合物を必須の単量体成分とする共重合体は、例えば、特開2004−300203号公報及び特開2004−300204号公報に記載の化合物を挙げることができる。
本発明の(c)バインダ樹脂としては、又、例えば特開2005−154708号公報等に記載のアクリル系の樹脂を用いることもできる。
尚、本発明の着色樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、上述の(c−1)〜(c−4)樹脂以外のバインダ樹脂を含有してもよい。
又、本発明の着色樹脂組成物に用いる(c)バインダ樹脂としては、前述の各種樹脂のうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、(c)バインダ樹脂の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、又、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。(c)バインダ樹脂の含有量が少なすぎると、膜が脆くなり、基板への密着性が低下する場合がある。逆に、多すぎた場合、露光部への現像液の浸透性が高くなり、画素の表面平滑性や感度が悪化することがある。
<その他の成分>
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じ上記以外の成分を含有していてもよい。このような成分としては、(d)顔料、(e)分散剤及び分散助剤、(f)重合性モノマー、(g)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類、界面活性剤、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等が挙げられる。
<(d)顔料>
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じ、色材として更に(d)顔料を含有していてもよい。使用できる(d)顔料としては、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種色の顔料がある。
又、その化学構造としては、例えばアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。この他に種々の無機顔料等も利用可能である。以下、使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示すが、使用できる顔料はこれらの例示に限定されるものではない。
まず赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、1 01、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:4、15:6等である。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58等である。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165
、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、215等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、215等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180、215等である。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50、ピグメントブルー80等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23等である。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
又、無機顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
上記各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、(d)顔料として、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用したりすることができる。
本発明の着色樹脂組成物を使用してカラーフィルタの樹脂ブラックマトリックスを形成する場合には、黒色顔料を使用することができる。黒色顔料を単独で使用してもよく、赤色、緑色、青色等の顔料を混合して使用してもよい。又、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。
単独使用可能な黒色顔料としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、チタンブラック等が挙げられる。これらの中では、遮光率、画像特性の観点からカーボンブラック、チタンブラックが好ましい。
又、本発明に使用される無機顔料、有機顔料は、平均一次粒径が、通常100nm以下、好ましくは40nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下である。本発明は、高度に微粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径10nm以上30nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
平均一次粒径は、大きすぎると消偏特性が悪化してコントラストが不十分となり、ひどい場合には透過率が低下するといった、根本的な色特性を劣化させる懸念や、粗粒を形成して、突起異物を発生させ、カラーフィルタの歩留りを低下させたり、プロセスフィルターの閉塞の原因になったりする等、生産上の問題が生じる場合がある。逆に小さすぎると、顔料の比表面積が増大することによる分散安定性の低下や、顔料が分子状態に近づくことによる耐熱性、耐光性の悪化などの問題が生じる場合がある。
顔料の一次粒径は次の方法で求めることができる。まず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。なお、有機顔料及びチタンブラック顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径とし
て、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
Figure 2011070172
尚、後述するカラーフィルタの各色の画素毎に、これを形成する着色樹脂組成物中の顔料含有量を最適な範囲に調整することも好ましい。
<(e)分散剤及び分散助剤>
本発明の着色樹脂組成物は、色材として更に(d)顔料を含有する場合には、(e)分散剤や分散助剤等を含有していてもよい。これら成分としては、例えば特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。
<(f)重合性モノマー>
(f)重合性モノマーは、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と称す)が好ましい。エチレン性化合物とは、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合に、後述の光重合開始系の作用で、或いは加熱により後述する熱重合開始剤の作用で、付加重合して硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、それとモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、例えば、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。代表例として
は、例えば、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他、エチレン性化合物としては、例えば、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
又、エチレン性化合物は酸基を有するモノマーであってもよい。酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールのうち少なくとも一つであるものである。
これらのモノマーは1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣る傾向がある。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
又、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、東亞合成社製TO1382として市販されているジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーの他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
(f)重合性モノマーの配合率は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。また、色材に対する比率は、通常0重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、通常200重量%以下、好ましくは100重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
<(g)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(g)光重合開始剤類、及び/
又は熱重合開始剤類を更に含むことが好ましい。但し、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物が、(c)バインダ樹脂成分としてエチレン性二重結合を有する樹脂を含む場合や、前述する(f)重合性モノマー成分としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応あるいは水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始剤類、及び/又は熱によって重合活性ラジカルを発生する熱重合開始剤類を含有することが好ましい。
尚、本発明において光重合開始剤類としての(g)成分とは、光重合開始剤(以降、(g−1)成分と称することがある。)に重合加速剤(以降、(g−2)成分と称することがある。)、増感色素(以降、(g−3)成分と称することがある。)等の付加剤が併用されている混合物を意味する。
<光重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい(g)光重合開始剤類は、通常、(g−1)光重合開始剤と、必要に応じて添加される(g−3)増感色素、(g−2)重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応または水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
(g)光重合開始剤類を構成する(g−1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類等が挙げられる。
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−
(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6’’‐ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
又、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチ
ルベンゾエート、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノ
ン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
又、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕、2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕、1−(o−アセチルオキシム)等が挙げられる。
その他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;
2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;
チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;
9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;
9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;
ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
これら(g−1)光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系誘導体類、およびチオキサントン誘導体類がより好ましい。
又、本発明の着色樹脂組成物は、特に(g)光重合開始剤類を含む場合、必要に応じて更に(g−2)重合加速剤を配合することができる。(g−2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安
息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これら(g−1)光重合開始剤及び(g−2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、更に(g)光重合開始剤類に、感応感度を高める目的で、(g−3)増感色素が用いられることがある。(g−3)増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これら(g−3)増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基およびフェニル基を同一分子内に有する化合物である。(g−3)増感色素として特に好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔4,5〕ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ〔6,7〕ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいものは、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
(g−3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(g)光重合開始剤類((g−1)光重合開始剤、(g−2)重合加速剤及び(g−3)増感色素)の含有割合は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
<熱重合開始剤類>
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始剤類の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物および過酸化水素等を挙げることができる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。
アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキセン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)、2,2−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−エチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(ジメチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(ジメチル−2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンテン)等を挙げることができ、これらのうちでも、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が好ましい。
有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、クメンハイドロパーオキシド等が挙げられる。具体的には、ジイソブチリルパーオキシド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカルボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカルボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブチルパーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジステアロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカルボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキシド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキシドとジベンゾイルパーオキシドの混合物等を挙げることができる。
尚、上述した(g−1)光重合開始剤の中には、例えばα―アミノアルキルフェノン誘導体のように熱重合開始剤としても働くものがある。そのため、熱重合開始剤として、(g−1)光重合開始剤の例として挙げた中から選択した化合物を使用してもよい。
これら熱重合開始剤類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
着色樹脂組成物中の熱重合開始剤類の割合が少な過ぎると膜の硬化が不十分であり、カラーフィルタとしての耐久性が不足する場合がある。多過ぎると熱収縮の度合が大きくなり、熱硬化後にヒビ割れ、クラックの発生が起こるおそれがある。また、保存安定性が低下する傾向が見られる。従って、熱重合開始剤類の含有割合は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中0〜30重量%、特に0〜20重量%の範囲とすることが好ましい。
<界面活性剤>
本発明の着色樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、電圧保持率や有機溶媒に対する相溶性等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、花王社製の「エマール10」等のアルキル硫酸エステル塩系界面活性剤、花王社製の「ペレックスNB−L」等のアルキルナフタレンスルフォン酸塩系界面活性剤、花王社製の「ホモゲノールL−18」、「ホモゲノールL−100」等の特殊高分子系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、特殊高分子系界面活性剤が好ましく、特殊ポリカルボン酸型高分子系界面活性剤が更に好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、花王社製の「アセタミン24」等のアルキルアミン塩系界面活性剤、花王社製の「コータミン24P」、「コータミン86W」等の第4級アンモニウム塩系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、第4級アンモニウム塩系界面活性剤が好ましく、ステアリルトリメチルアンモニウム塩系界面活性剤が更に好ましい。
非イオン系性面活性剤としては、例えば、トーレシリコーン社製の「SH8400」;シリコーン社製の「KP341」等のシリコーン系界面活性剤;住友3M社製の「FC430」;大日本インキ化学工業社製の「F470」;ネオス社製の「DFX−18」等の弗素系界面活性剤;花王社製の「エマルゲン104P」、「エマルゲンA60」等のポリオキシエチレン系界面活性剤等が挙げられる。これらのうち、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリジメチルシロキサンにポリエーテル基又はアラルキル基の側鎖が付加された構造を有する、いわゆるポリエーテル変性又はアラルキル変性シリコーン系界面活性剤が更に好ましい。
界面活性剤は2種類以上を併用してもよく、例えばシリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤、弗素系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。中でも、シリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤の組み合わせが好ましい。
このシリコーン系界面活性剤/弗素系界面活性剤の組み合わせとしては、例えばポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤/オリゴマー型弗素系界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。具体的には、例えば、ジーイー東芝シリコーン社製「TSF4460」/ネオス社製「DFX−18」、ビックケミー社製「BYK−300」/セイミケミカル社製「S−393」、信越シリコーン社製「KP340」/大日本インキ化学工業社製「F−478」、トーレシリコーン社製「SH7PA」/ダイキン社製「DS−401」、日本ユニカー社製「L−77」/住友3M社製「FC4430」等の組み合わせが挙げられる。
これら界面活性剤の含有割合は、全固形分中、通常0.001重量%以上、好ましくは
0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上である。又、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の範囲で用いられる。界面活性剤の含有量をこの範囲に制御することによって、実際のラインにおいてオーバーコートを塗布した際に、オーバーコートが弾かれてしまう可能性がなくなり、又、キュア後に塗布膜がひび割れたりして、膜しわになることも少なくなる。
<熱重合防止剤>
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、組成物の全固形分に対し0重量%以上、3重量%以下の範囲であることが好ましい。
<可塑剤>
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、組成物の全固形分に対し、通常10重量%以下の範囲であることが好ましい。
<着色樹脂組成物の調製方法>
次に、本発明の着色樹脂組成物を調製する方法を説明する。
先ず前述の本発明に係る(a)色材を、必須成分である(b)溶媒、及び(c)バインダ樹脂、場合によっては、任意成分である(f)重合性モノマーや(g)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類、界面活性剤、並びにそれら以外の成分と混合し、均一な溶液とすることにより、着色樹脂組成物を得る。混合に際しては、(a)色材が十分に溶解するまで撹拌することが好ましい。又、混合等の各工程において、微細なゴミが混入することがあるため、得られたインキ状液体をフィルター等によって濾過処理することが好ましい。
又、色材として(d)顔料を併用する場合には、まず前述の本発明に係る(a)色材、(d)顔料、(b)溶媒、及び任意成分である(え)分散剤、及び分散助剤等を各所定量秤量し、分散処理工程において、(d)顔料を十分に分散させてインキ状液体とする。この分散処理工程では、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を使用することができる。この分散処理を行なうことによって(d)顔料が微粒子化されるため、着色樹脂組成物の塗布特性が向上し、製品のカラーフィルタ基板等の透過率が向上する。
(d)顔料を分散処理する際には、(c)バインダ樹脂の一部を分散剤として使用したり、分散助剤等を適宜併用したりすることが好ましい。又、ペイントシェイカーまたはサンドグラインダーを用いて分散処理を行なう場合は、0.1〜数mm径のガラスビーズ、又はジルコニアビーズを用いることが好ましい。分散処理する際の温度は、通常0℃以上、好ましくは室温以上、また、通常100℃以下、好ましくは80℃以下の範囲に設定する。尚、分散時間は、インキ状液体の組成、及びサンドグラインダーの装置の大きさ等により適正時間が異なるため、適宜調整する必要がある。
上記分散処理によって得られたインキ状液体に、更に必須成分である(c)バインダ樹脂、及び(b)溶媒、場合によっては、任意成分である(f)重合性モノマーや(g)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類、界面活性剤、及びそれら以外の成分を混合し、均一な分散溶液とすることにより、着色樹脂組成物を得る。尚、分散処理工程および混合の各工程において、微細なゴミが混入することがあるため、得られたインキ状液体をフ
ィルター等によって濾過処理することが好ましい。
<着色樹脂組成物の応用>
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶媒中に溶解或いは分散された状態である。このような着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機ELディスプレイ等の構成部材が形成される。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタの画素としての応用、およびそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機ELディスプレイについて、説明する。
<カラーフィルタの画素>
カラーフィルタの画素は、後述するように様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に、詳細に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
カラーフィルタの透明基板としては、透明で適度の強度のものであれば、その材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリスルホン系樹脂等の熱可塑性樹脂製シート;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂シート;または各種ガラス等が挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。これらの透明基板には、接着性等の表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理やオゾン処理等の表面処理、シランカップリング剤やウレタン系樹脂等の各種樹脂等による薄膜形成処理等を行なってもよい。透明基板の厚さは、通常0.05mm以上、好ましくは0.1mm以上、また、通常10mm以下、好ましくは7mm以下の範囲とされる。また、各種樹脂による薄膜形成処理を行なう場合、その膜厚は、通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。
上述の透明基板上にブラックマトリックスを設け、更に通常は赤色、緑色、青色の各画素画像を形成することにより、カラーフィルタを作製することができる。
ブラックマトリックスは、遮光金属薄膜、または本発明の着色樹脂組成物を利用して、透明基板上に形成される。
その遮光金属材料としては、金属クロム、酸化クロム、窒化クロム等のクロム化合物、ニッケルとタングステンの合金等が用いられ、これらを複数層状に積層させたものであってもよい。これらの遮光金属薄膜は、一般にスパッタリング法によって形成され、ポジ型フォトレジストにより、膜状に所望のパターンを形成する。
クロムに対しては硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸及び/又は硝酸とを混合したエッチング液を用い、その他の材料に対しては、材料に応じたエッチング液を用いて蝕刻され、最後にポジ型フォトレジストを専用の剥離剤で剥離することによって、ブラックマトリックスを形成することができる。この場合、先ず、蒸着またはスパッタリング法等により、透明基板上にこれら金属または金属・金属酸化物の薄膜を形成する。次いで、この薄膜上にポジ型フォトレジスト用樹脂組成物の塗布膜を形成する。次いで、ストライプ、モザイク、トライアングル等の繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、塗布膜を露光・現像し、画像を形成する。その後、この塗布膜にエッチング処理を施してブラックマトリックスを形成することができる。
又、黒色の(d)顔料を含有する光重合性着色樹脂組成物を使用して、ブラックマトリックスを形成してもよい。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、チタンブラック等の黒色顔料を単独または複数、もしくは、無機または有機の顔料の中から適宜選択される赤
色、緑色、青色等の顔料を混合して得られる黒色顔料を含有する着色樹脂組成物を使用し、後述する赤色、緑色、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリックスを形成することができる。
黒色の着色樹脂組成物に関しては透明基板上に、赤色、緑色、青色の着色樹脂組成物に関しては、透明基板上に形成された樹脂ブラックマトリックス形成面上、又はクロム化合物その他の遮光金属材料を用いて形成された金属ブラックマトリックス形成面上に、塗布、加熱乾燥、画像露光、現像および熱硬化の各処理を経て、各色の画素画像が形成される。
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、赤色、緑色、青色のうち一色の色材を含有する着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗布膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化または光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の着色樹脂組成物について各々行うことによって、カラーフィルタ画像を形成することができる。
本発明の着色樹脂組成物は、ここで青色画素の形成に特に好適に使用される。
着色樹脂組成物の基板への供給方法としては、従来公知の方法、例えば、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、およびダイコート法が好ましい。本発明の着色樹脂組成物は、ディスペンスノズル先端に凝集異物が発生しにくいため、歩留まりを低下させることなく、平滑で美しい表面を有する塗布膜を提供することができる。また、その塗布の際の塗布ムラや、その後の乾燥工程における乾燥ムラ等も生じず、露光工程、現像工程、熱処理工程等を経て、極めて平滑な表面を有する層を形成することができる。
スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法による塗布条件は、着色樹脂組成物の組成や、作製するカラーフィルタの種類等によって適宜選択すればよい。例えば、両方法のいずれにおいても、ノズル先端のリップ幅は50〜500μmとし、ノズル先端と基板面との間隔は30〜300μmとするのが好ましい。
ダイコート法において、塗布膜の厚さを調節するためには、リップの走行速度、およびリップからの液状の着色樹脂組成物の吐出量を調整すればよく、スリット・アンド・スピン法においては、主にスリット塗布後のスピン回転数および回転時間によって調整すればよい。
塗布膜の厚さは、厚過ぎるとパターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがある一方で、薄過ぎると顔料濃度を高めることが困難となり、所望の色発現が不可能となることがある。塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは0.8μm以上、また、通常20μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下の範囲である。
基板に着色樹脂組成物を塗布した後の塗布膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。通常は、予備乾燥の後、再度加熱させて乾燥させる。
予備乾燥の温度および乾燥時間などの条件は、溶媒成分の種類、使用する乾燥機の性能等に応じて適宜選択されるが、具体的には、乾燥温度は通常40℃以上、好ましくは50℃以上、又、通常80℃以下、好ましくは70℃以下の範囲であり、乾燥時間は通常15秒以上、好ましくは30秒以上、また、通常5分間以下、好ましくは3分間以下の範囲である。
又、再加熱乾燥の温度条件は、予備乾燥温度より高い温度が好ましく、具体的には、通常50℃以上、好ましくは70℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは160℃以下、特に好ましくは130℃以下の範囲である。また、乾燥時間は、加熱温度にもよるが、通常10秒以上、好ましくは15秒以上、また、通常10分以下、好ましくは5分以下の範囲とするのが好ましい。乾燥温度は、高いほど透明基板に対する接着性が向上するが、高過ぎるとバインダー樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。尚、この塗布膜の乾燥工程としては、温度を高めず減圧チャンバー内で乾燥を行なう減圧乾燥法を用いてもよい。
画像露光は、着色樹脂組成物の塗布膜上に、ネガのマトリックスパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線または可視光線の光源を照射して行う。この際、必要に応じ、着色樹脂組成物により形成された光重合性層の酸素による感度の低下を防ぐため、光重合性層上にポリビニルアルコール層等の酸素遮断層を形成した後に露光を行ってもよい。
上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
カラーフィルタは、着色樹脂組成物の塗布膜に対し、上記の光源によって画像露光を行なった後、有機溶媒、または、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いて現像を行うことによって、基板上に画像を形成して作製することができる。この水溶液には、更に有機溶媒、緩衝剤、錯化剤、染料または顔料を含ませることができる。
ここで、アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・またはトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・またはトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・またはトリ−エチルアミン、モノ−・またはジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・またはトリ−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上の混合溶媒として用いてもよく、また、水溶液と併用して使用することもできる。
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
現像の後のカラーフィルタには、熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は通常100℃以上、好ましくは150℃以上、また、通常280℃以下、好ましくは250℃以下の範囲で選ばれ、時間は5分間以上、60分間以下の範囲で選ばれる。
これら一連の工程を経て、一色のパターニング画像形成は終了する。この工程を順次繰り返し、ブラック(着色樹脂組成物を用いてブラックマトリックスを形成する場合)、赤色、緑色、青色をパターニングし、カラーフィルタを形成する。尚、赤色、緑色、青色の3色のパターニングの順番は、上記した順番に限定されるものではない。
尚、本発明におけるカラーフィルタは、上記した作製方法の他に、(1)溶媒、色材、バインダ樹脂としてのポリイミド系樹脂を含む着色樹脂組成物を、基板に塗布し、エッチング法により画素画像を形成する方法によっても作製することができる。又、(2)色材を含む着色樹脂組成物を着色インキとして用い、印刷機によって、透明基板上に直接画素画像を形成する方法、(3)色材を含む着色樹脂組成物を電着液として用い、基板をこの電着液に浸漬させ所定パターンにされたITO電極上に、着色膜を析出させる方法、更に、(4)色材を含む着色樹脂組成物を塗布したフィルムを、透明基板に貼りつけて剥離し、画像露光、現像し画素画像を形成する方法、(5)色材を含む着色樹脂組成物を着色インキとして用い、インクジェットプリンタにより基板上に画素画像を形成する方法、等によっても作製することができる。カラーフィルタの作製方法は、本発明の着色樹脂組成物の組成に応じ、これに適した方法が採用される。
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレイ、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソによる柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
<液晶表示装置(パネル)>
本発明に係る液晶表示装置は、上述したカラーフィルタ(以下、「本発明のカラーフィルタ」と称す場合がある。)を備えてなり、例えば、上述した本発明のカラーフィルタと、薄膜トランジスタ(TFT)等の対向基板とを、液晶層を介して対向した構造とすることにより構成することができる。より具体的には、本発明のカラーフィルタ上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサを散布した後、対向基板と周辺シール材を介して貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して作製される。
配向膜は、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、塗布後、熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。このようにして形成される配向膜の厚さは通常数10nm程度とされる。
スペーサは、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmの大きさのものが好適である。カラーフィルタに、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、これをスペーサの代わりに活用することもできる。
対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。また、対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶パネルの用途によって異なるが、通常2μm以上、8μm以下の範囲で選ばれる。
カラーフィルタを対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、紫外線(UV)照射および/または加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶を液晶セル内に注入する。この場合、液晶セル内の減圧度は、通常1×10−2Pa以上
、好ましくは1×10−3以上、また、通常1×10−7Pa以下、好ましくは1×10−6Pa以下の範囲である。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、その加温温
度は通常30℃以上、好ましくは50℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲である。減圧時の加温保持時間は、通常10分間以上、60分間以下の範囲とされ、その後、液晶中に浸漬される。
液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口を例えばUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置が完成する。
尚、用いる液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等の何れでもよい。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶およびコレステリック液晶等が知られているが、これらの何れであってもよい。
<有機ELディスプレイ>
本発明のカラーフィルタを備えてなる有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図3に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により青色画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30および無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製することができる。有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
以下に、実施例、及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。尚、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<実施例1〜11及び比較例1〜4>
[1]染料の合成
(合成例1)中間体BP2の合成
Figure 2011070172
反応1:化合物1(10g、90mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(100ml)溶液を氷浴で冷却し、水素化ナトリウム(60%、4.3g、90mmol)を加え、しばらく攪拌後、化合物2(6.5g、30mmol)を少しずつ添加した。室温で5時間攪拌後、水を加え、ジクロロメタン抽出を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製してBP2(3.1g、収率24%)を得た。
(合成例2)中間体BP3の合成
Figure 2011070172
反応2:化合物1の代わりに化合物3を用い、反応1と同様にして合成した。
(合成例3)中間体BP4の合成
Figure 2011070172
反応3:化合物5(5.02g、20mmol)、化合物4(14ml、80mmol)、t-ブトキシナトリウム(7.53g、80mmol)、トルエン(100ml)、酢酸パラジウム(II)(0.55g、2.45mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン(1
0%ヘキサン溶液、10g、4.94mmol)の混合物を窒素下で10時間加熱還流した。室温に冷却後、水を加えセライトで濾過し、濾液をトルエンで抽出し、水で洗浄した。トルエン層を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル500g、ヘキサン/酢酸エチル 10/1-8/1-6/1)で精製し、得られた粉末を冷メタノールで洗浄
してBP4(4.59、収率53%)を得た。
(合成例4)中間体BP5の合成
Figure 2011070172
反応4:化合物6(25g、129mmol)とトルエン(100ml)の混合物に塩化チオニル(14ml、200mmol)を加え80℃で1時間攪拌後、減圧濃縮し、酸クロリドを得た。別容器に無水塩化アルミニウム(20.4g、155mmol)と1,2-ジクロロエタン(100ml)の混合物を氷浴で冷却し、酸クロリドの1,2-ジクロロエタン(50ml)溶液を滴下した。15分攪拌後、化合物7(21.1g、129mmol)を滴下し、室温にした後、氷水に注いだ。4N水酸化ナトリウム水溶液でpH10以上として、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を1N水酸化ナトリウム水溶液で洗い、セライト濾過して不溶物を除いた。このものを飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル800g、ヘキサン/酢酸エチル 4/1)で精製し、得られた結晶をヘキサンで洗浄して、BP5を得た(14.6g、収率33%)。
(合成例5)中間体BP6の合成
Figure 2011070172
反応5:化合物8(30.2g、237mmol)、ヨードエタン(92.4g、592mmol)、炭酸カリウム(81.7g、592mmol)、N-メチル-2-ピロリドン
(200ml)の混合物を70℃(バス温)で4時間攪拌し、室温に冷却後に水に注ぎ、トルエンで抽出した。トルエン層を水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、化合物9(35.7g)をオイルとして得た。
反応6:化合物7の代わりに化合物9を用い、反応4と同様にしてBP6を合成した。
(合成例6)中間体ID1の合成
Figure 2011070172
反応7:化合物10(3.87g、20mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(
20ml)溶液を氷浴で冷却し、水素化ナトリウム(60%、0.96g、22mmol)および1−ブロモヘキサン(3ml、22mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。氷浴で冷却し、水を加えジエチルエーテルで抽出した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ID1(3.91g、収率71%)を得た。
(合成例7)中間体ID2の合成
Figure 2011070172
反応8:化合物11(7.5g、50mmol)、化合物12(7.37ml、75mmol)、ポリリン酸(50g)の混合物を80−90度で1.5時間攪拌後、冷却して水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた粉末をメタノールで洗浄して化合物13(3.99g、収率36%)を得た。
反応9:反応7と同様にして行った。
(合成例8)中間体ID4の合成
Figure 2011070172
反応10:化合物14、化合物12(1等量)、トルエンの混合物を3時間加熱還流し、減圧濃縮した。酢酸及び塩化亜鉛(2等量)を加え、12時間加熱還流した。水を加え、抽出操作等を行い、化合物15を得た。
反応11:反応7と同様にして行った。
(合成例9)D1の合成
BP4の代わりにBP1、ID3の代わりにID1、acid blue 88の代わりにdirect blue 86を用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例10)D2の合成
BP4の代わりにBP1、ID3の代わりにID2、acid blue 88の代わりにdirect blue 86を用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例11)D3の合成
BP4の代わりにBP2を用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例12)D4の合成
BP4の代わりにBP1を用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例13)D5の合成
BP4の代わりにBP3を用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例14)D6の合成
BP4の代わりにBP2、ID3の代わりにID4を用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例15)D7の合成
Figure 2011070172
反応12:BP4(5.61g、12.8mmol)、ID1(2.65g、12.8mmol)、トルエン(15ml)の混合物にオキシ塩化リン(1.8ml、19mmol) を加え、115℃で2時間攪拌した。室温に戻した後、飽和食塩水(30ml)を加え、クロロホルムで2回抽出した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル300g、クロロホルム/メタノール1/0−10/1/7/1)で精製し、得られた固体をヘキサンで洗浄してC7(9.23g、収率定量的)を得た。
反応13:C7(5.00g、7.55mmol)、acid blue 80(2.56g、3.77mmol)、メタノール(50ml)の混合物を40℃で1時間攪拌した後、減圧濃縮し、水を加え固体を濾取した。固体をメタノール/水 1/3(200ml)で洗浄し、再度メタノール/水 1/3(200ml)で洗浄して、D7(5.90g、収率83%)を得た。
(合成例16)D8の合成
BP4の代わりにBP5を用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例17)D9の合成
BP4の代わりにBP6を用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例18)D10の合成
acid blue 80の代わりに1−ナフタレンスルホン酸ナトリウムを用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例19)D11の合成
acid blue 80の代わりに(±)カンファースルホン酸ナトリウムを用い、D7の合成と同様にして行った。
(合成例20)D12(以下、「目的物X−B」と称することがある。)の合成
Figure 2011070172
1−アミノナフタレン11.5gをN−メチル−2−ピロリドン120gに溶解し、室温で撹拌しながらナトリウムアミド3.74gを加えた。さらに触媒としてヨウ化ナトリウム1.20g、重合禁止剤として2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン0.89gを加えた後、p−クロロメチルスチレン13.4gを30分かけて添加し、室温で2時間撹拌した。撹拌後、クロロホルム200mlを加えて溶解し、水洗を3回行った。クロロホルム層を分離し溶媒留去して残留物を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、中間物であるp−ビニルベンジルナフチルアミン10.8gを得た。
得られた中間体10.8g、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン17.6g、重合禁止剤として2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン0.46g及びトルエン140gを溶媒として加え、窒素雰囲気下45℃に加熱し、オキシ塩化リン8.31gを10分かけて添加した。滴下終了後1時間かけて100℃まで昇温し、100℃で1時間撹拌した。撹拌終了後、室温まで冷却し、トルエンを減圧留去した。そこにクロロホルム200mlを加えて溶解し、水洗を3回行った。クロロホルム層を分離し、溶媒を留去して残留物を得、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物X−B(5.9g)を得た。
Figure 2011070172
[2]バインダ樹脂の合成
(合成例21)バインダ樹脂aの合成
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し120℃に昇温した。ここにスチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57
部及びトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)82重量部を滴下し、更に120℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸27重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部及びハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃3.5時間反応させた。こうして得られたバインダ樹脂aのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約15000であった。バインダ樹脂aの構造は以下に示す通り(以下の4種の繰り返し単位を含む高分子化合物)であった。
Figure 2011070172
(合成例22)バインダ樹脂bの合成
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート35部、1−メトキシ−2−プロパノール8.8部、V−59(和光純薬(株)製 アゾ系重合開始剤)1.5部を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下に、80℃に昇温し、ベンジルメタクリレート18.0部、メタクリル酸12.0部を2時間かけて滴下、更に4時間撹拌を行い、重合反応液を得た。更にこの重合反応液に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25.5部を加え、p−メトキシフェノール0.05部、トリフェニルホスフィン0.3部を添加、溶解させた後、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート13.5部を滴下し、85℃、24時間反応させ、側鎖にエチレン性不飽和基を有する樹脂溶液を得た。このようにして得られたバインダー樹脂のGPCによる重合平均分子量はポリスチレン換算で18000、またKOHによる中和滴定を行ったところ、酸価は90であった。バインダ樹脂bの構造は以下に示す通り(以下の3種の繰り返し単位を含む高分子化合物)であった。
Figure 2011070172
[3]着色樹脂組成物の調製
[3−1]染料系組成物の調製(実施例1〜11及び比較例1〜4)
表1に、実施例1〜11、及び比較例1〜4に用いた染料(色素)を示す。
Figure 2011070172
上記各染料及びその他の成分を表2に記載の比率で混合して、着色組成物を調製した。
混合に際しては、染料が十分に溶解するまで1時間以上攪拌し、最後に5μmの駒型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
Figure 2011070172
[3−2]顔料系組成物の調製(比較例5)
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6を11.29重量部及びC.I.ピグメントバイオレット23を0.61重量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルを7:3の割合で混合したものを80.16重量部、分散剤としてビックケミー社製高分子分散剤Disperbyk2000(アクリル系ブロック共重合体。4級アンモニウム塩基(ジメチルベンジルアンモニウム塩基)を有するBブロックと、有さないAブロックからなるABブロック共重合体であり、アミン価は10mgKOH/g(固形分換算)、酸価は0mgKOH/g)を固形分換算で3.97重量部、分散樹脂としてバインダ樹脂b(合成例22にて得られたもの)を固形分換算で3.97重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ250.0重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させてブルー顔料分散液を調製した。
こうして得られた顔料分散液及びその他の成分を表3に記載の比率で混合して、着色組成物を調製した。混合に際しては、顔料分散液と他の成分が十分に混合するまで1時間以上攪拌し、最後に5μmの駒型フィルターによって濾過し、異物を取り除いた。
Figure 2011070172
[4]分光特性及び耐熱性・耐光性評価
5cm角に切断したガラス基板上に、上記各着色樹脂組成物をスピンコート法により乾燥膜厚1.8μmとなるように塗布し、減圧乾燥させた後、ホットプレート上にて80℃3分間プリベークした。その後、60mJ/cmの露光量にて全面露光した後、日立製作所製分光光度計U−3310にて、分光透過率を測定し、XYZ表色系における色度(C光源)を算出した。結果をまとめて表4に示す。
次に上記基板を2枚の偏光板の間に、隙間を空けずに密着して挟み、色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)を用いて偏光板が直交の時の光量A(cd/cm)と平行の時の光量B(cd/cm)の比から、以下の式(1)によりコントラストを算出した。これらの結果をまとめて表4に示す。
C=B/A ・・・(1)
続いて、上記基板について、クリーンオーブンにて230℃30分焼成した後、上記同様、分光透過率を測定し、焼成前の色度との色差(ΔE*ab)、即ち耐熱性を測定した結果をまとめて表4に示す。
Figure 2011070172
表4に示すが如く、本発明のカラーフィルター用着色樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタは、コントラスト比が高く、また、特に耐熱性が著しく優れる。
次に、上記塗布基板を、有機電界蛍光発光(EL)素子と組合せて色度測定を行った。
[5]有機電界蛍光発光素子の作成
図2に示す有機電界蛍光発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッター製膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥し、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。続いて、正孔輸送層3として、式IXに示す9,9−ビス[4−(N,N−ビスナフチルアミノ)フェニル]−9H−フルオレン(LT−N121,LuminescentTechnology社製)をるつぼ温度285℃〜310℃として、蒸着速度0.1nm/秒で40nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は1.7×10−4Paであった。
Figure 2011070172
次に、発光層4として、式Xに示す2,2’−ジペリレニル−9,9’−スピロビフルオレン(LT−N428,LuminescentTechnology社製)と式XIに示す2,7−ビス[9,9‘−スピロビフルオレニル]−9,9‘−スピロビフルオレン(LT−N628、LuminescentTechnology社製)とを、以下の条件で共蒸着した。
Figure 2011070172
(発光層の蒸着条件)
LT−N428のるつぼ温度320℃〜330℃
LT−N628のるつぼ温度450℃〜455℃
LT−N428の蒸着速度0.1nm/秒
LT−N628の蒸着速度0.05nm/秒
上記の条件により、30nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は1.7〜1.9×10−4Paであった。続いて、発光層4の上に、電子輸送層5として式XIIに示す1,3−ビス[2−(2,2‘−ビピリジニル)−1,3,4−オキサジアゾイル]−ベンゼン(LT−N820,LuminescentTechnology社製)を同様にして、30nmの膜厚で蒸着した。このときのLT−N820のるつぼ温度は255℃〜260℃、蒸着速度は0.08nm/秒〜0.1nm/秒の範囲で制御し、蒸着時の真空度は1.2×10−4Paであった。
Figure 2011070172
尚、上記の正孔輸送層3、発光層4及び電子輸送層5を真空蒸着する際の基板温度は室温に保持した。ここで、電子輸送層5まで形成した素子を、一旦、真空蒸着装置内より大気中に取り出した。次に、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプと直交するように素子に密着させた。続いて、この素子を別の真空蒸着装置内に設置し、有機層を形成した場合と同様に、真空蒸着装置内の真空度が2.3×10−5Pa以下になるまで排気した。次に、陰極9として、先ず、フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.008nm/秒〜0.01nm/秒、真空度3.7×10−6Paで、0.5nmの膜厚で電子輸送層5の上に製膜した。続いて、同様に、アルミニウムをモリブデンボートにより加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、真空度2.7×10−6Pa〜2.5×10−6Paで膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極6を完成させた。以上の2層型の陰極6を形成する際に、蒸着時の基板温度を室温に保持した。以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界蛍光発光素子を調製しした。
この素子に6Vの電圧を印加した際の発光の有無と発光色を評価した。この時のEL発光スペクトルの極大波長は436nmであり、CIE色度座標(正面輝度10〜1000cd/m時のCIE色度座標)は(0.16、0.15)であった。
[6]分光特性評価
上記有機電界蛍光発光素子と、実施例1〜11、比較例1〜5の塗布基板を組合せて色度を測定した。結果をまとめて表5に示す。
又、耐熱性の評価に関しては、前記C光源とした場合の結果と同じ傾向を示す。
Figure 2011070172
1、10 透明支持基板
2、50 透明陽極
3、52 正孔輸送層
4、53 発光層
5 電子輸送層
6、55 陰極
100 有機EL素子
20 青色カラーフィルタ
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層

Claims (10)

  1. (a)色材、(b)溶媒、及び(c)バインダ樹脂を含有し、(a)色材が下記一般式(I)で表わされる化合物を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
    Figure 2011070172
    (上記一般式(I)において、[Z]m−は任意のm価アニオンを表す。
    〜Rは、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を示す。R〜Rが置換基を有していてもよいアルキル基を表す場合、隣接するRとR、又はRとRが結合して環構造を形成していてもよい。
    Xは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を示す。
    又、上記一般式(I)中のベンゼン環及びインドール環は更に任意の置換基を有していてもよい。
    尚、1分子中に複数の
    Figure 2011070172
    が含まれる場合、それらは同じ構造であっても、異なる構造であってもよい。
    mは任意の自然数を表す。)
  2. 前記一般式(I)におけるR〜Rのうち、少なくとも1つが分岐アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
  3. 前記一般式(I)における[Z]m−がスルホン酸アニオンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
  4. 前記スルホン酸アニオンが、脂肪族スルホン酸アニオン若しくは芳香族スルホン酸アニオンであることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
  5. 前記一般式(I)で表される化合物の含有量が、(a)色材全量に対し、5重量%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
  6. (f)重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
  7. (g)光重合開始剤類、及び/又は熱重合開始剤類を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて作製された画素を有することを特徴とするカラーフィルタ。
  9. 請求項8に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
  10. 請求項8に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機ELディスプレイ。
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