JP2011066150A - Memsデバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを実現する。
【解決手段】本発明の例に関わるMEMSデバイスは、基板9上に設けられる電極11,12と、基板9上に設けられた第1及び第2のアンカー部によって、電極11,12上方に中空に支持され、電極11,12に向かって動く可動構造2と、アンカー部と可動構造2とを接続し、延性材料が用いられるばね構造と、アンカー部52と上部電極2とを接続し、脆性材料が用いられるばね構造45とを、具備する。
【選択図】図2B

Description

本発明は、MEMSデバイスに関する。
MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)を可変容量素子に適用したデバイス(以下、MEMS可変容量デバイスとよぶ)は、低い損失、高いアイソレーション、高い線形性を実現できることから、次世代携帯端末のマルチバンド・マルチモード化を実現するキーデバイスとして期待されている。
MEMS可変容量デバイスが低い損失を実現できるのは、可動部である可変容量素子の容量電極に、抵抗率の低いメタル材料を使用しているためである。具体的には、アルミニウム(Al)、金(Au)などが、容量電極に用いられている。このようなメタル材料は、一般的に、延性の特性を示す。
そのため、可動な容量電極が繰り返して駆動されると、可動部を構成する部材のクリープ現象(応力による形状の変化)によって、可動部の形状が歪むという問題がある。
MEMS可変容量デバイスの場合、可動部としての電極がクリープ現象によって変化すると、容量電極を構成する2つの電極の間隔が、所定の間隔から変化する。そのため、MEMS可変容量デバイスが長い期間にわたって使用されると、可変容量素子の容量値が、設計値から変化してしまう。
また、MEMSを適用したスイッチでは、スイッチの接点部のアイソレーション特性が悪くなる。
クリープ現象を回避するための手段の1つとして、塑性変化の小さい材料であって、例えば、アルミニウム−チタン(AlTi)合金やタングステン(W)などのように、脆性の特性を示す硬いメタル材料が、可動部に用いられる。しかし、このようなメタル材料は、AlやAuに比較して、抵抗率が高く、損失が増えてしまう。
また、他の手段としては、延性材料のメタル材料と脆性材料の絶縁膜とを積層した構造が、可動部に採用される(例えば、特許文献1参照)。しかし、その積層構造では、延性材料と脆性材料との内部応力の差により、可動部に反りが生じやすく、結果として、可動部の形状が変形してしまう。
米国特許第7,299,538号
本発明は、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを提案する。
本発明の一態様に関わるMEMSデバイスは、基板上に設けられる電極と、前記基板上に設けられた第1及び第2のアンカー部によって、前記電極上方に中空に支持され、前記電極に向かって動く可動構造と、前記第1のアンカー部と前記可動構造とを接続し、延性材料が用いられる第1のばね構造と、前記第2のアンカー部と前記可動構造とを接続し、脆性材料が用いられる第2のばね構造とを、を備える。
本発明によれば、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを実現できる。
第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す平面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの動作を説明するための図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの製造方法を説明するための図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す平面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す平面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの動作を説明するための図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す平面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第1の実施形態のMEMSデバイスの応用例を示す図。 第2の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す平面図。 第2の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第2の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す断面図。 第2の実施形態のMEMSデバイスの動作を説明するための図。 第2の実施形態のMEMSデバイスの一構成例を示す平面図。 第2の実施形態のMEMSデバイスの動作を説明するための図。
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、重複する説明は必要に応じて行う。
[実施形態]
(A) 第1の実施形態
以下、図1乃至図11を参照して、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスについて、MEMS可変容量素子を例に挙げて、説明する。
(A−1) 構成例1
図1乃至図8を参照して、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイス(MEMS可変容量デバイス)の一構成例について、説明する。
(a) 構造
図1、図2A及び図2Bを用いて、第1の実施形態の構成例1に係るMEMS可変容量デバイスの構造について、説明する。図1は、本構成例に係るMEMS可変容量デバイスの平面構造を示している。また、図2A及び図2Bは、本構成例に係るMEMS可変容量デバイスの断面構造を示している。図2Aは、図1のA−A’線に沿う断面構造を示し、図2Bは、図1のB−B’線に沿う断面構造を示している。
図1、図2A及び図2Bに示すように、構成例1に係るMEMS可変容量デバイス100Aは、基板1上に設けられる。基板1は、例えば、ガラスなどの絶縁性基板や、シリコン基板上に設けられた層間絶縁膜である。
シリコン基板上の層間絶縁膜が基板1に用いられた場合、シリコン基板の表面領域(半導体領域)には、電界効果トランジスタなどの素子が設けられてもよい。それらの素子は、ロジック回路や記憶回路を構成している。層間絶縁膜は、それらの回路を覆うように、シリコン基板上に設けられている。それゆえ、MEMS可変容量デバイスは、シリコン基板上の回路の上方に設けられる。尚、例えば、オシレータのようなノイズの発生源になる回路は、MEMS可変容量デバイス100Aの下方に、配置しないことが好ましい。尚、層間絶縁膜内にシールドメタルを設けて、下層の回路からのノイズが、MEMS可変容量デバイス100Aに伝播するのを抑制してもよい。
また、シリコン基板上の層間絶縁膜は、その寄生容量を小さくするため、誘電率の低い材料が用いられることが望ましい。例えば、層間絶縁膜には、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)が、用いられる。また、寄生容量を小さくするためには、層間絶縁膜の膜厚は厚いほうが望ましく、基板1としての層間絶縁膜の膜厚は、例えば、10μm以上であることが好ましい。
MEMS可変容量デバイス100Aは、例えば、下部容量電極(下部電極)1と上部容量電極(上部電極)2とを含んでいる。下部容量電極1と上部容量電極2とは、1つの可変容量素子を形成している。
本構成例において、下部容量電極1は、シグナル電極(第1の下部電極)11とグランド電極(第2の下部電極)12とから構成されている。シグナル電極11及びグランド電極12は1つの対をなし、2つの電極11,12間の電位差が、MEMS可変容量デバイス100Aの出力(RFパワー/RF電圧)として扱われる。シグナル電極11の電位は、可変であり、グランド電極12の電位は、一定の電位(例えばグランド電位)に設定される。
シグナル電極11及びグランド電極12は、例えば、基板9内の溝Z内に埋め込まれ、基板9内に固定されている。シグナル電極11及びグランド電極12は、例えば、y方向に延在している。
シグナル電極11及びグランド電極12は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)や金(Au)などの金属、又は、これらの金属のうち、少なくともいずれか1つを含む合金が用いられる。
シグナル電極11及びグランド電極12の上面上には、絶縁膜15が設けられている。
上部容量電極2は、シグナル電極11及びグランド電極12上方に設けられている。上部容量電極2は、例えば、複数のばね構造41,45を介して、アンカー部51,52によって、中空に支持されている。上部容量電極2は可動であり、基板1表面に対して上下方向(垂直方向)に動く。上部容量電極2は、例えば、四角形状の平面形状を有し、x方向に延在している。尚、上部容量電極2は、その上面からその底面に向かって貫通する開口部(貫通孔)を有してもよい。
上部容量電極2は、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウムを主成分とする合金、銅(Cu)、金(Au)又は白金(Pt)などの金属が用いられる。
下部容量電極11,12と上部容量電極2との間に、第1及び第2の下部駆動電極(駆動電極)31,32が設けられている。上部容量電極2と下部駆動電極31,32との間には、空隙(キャビティ)が設けられている。
下部駆動電極31,32は、絶縁膜15を介して、下部容量電極11,12上に積層されている。より具体的には、第1の下部駆動電極31は、絶縁膜15を介して、シグナル電極11上に積層されている。第2の下部駆動電極32は、絶縁膜15を介して、グランド電極12上に積層されている。尚、下部駆動電極31,32は、絶縁膜を介して、基板9上面に設けられたシグナル電極11及びグランド電極12上に、積層されてもよい。
下部駆動電極31,32は四角形状の平面形状を有し、例えば、y方向に延在する。下部駆動電極31,32の表面は、例えば、絶縁膜35,36によって覆われている。下部駆動電極31,32は、絶縁膜15上に固定されている。
尚、本構成例において、下部駆動電極31,32のx方向及びy方向の寸法は、下部信号電極11,12と同じ寸法を有して図示されているが、これに限定されない。例えば、下部駆動電極31,32のx方向の寸法は、下部信号電極11,12のx方向の寸法より大きくてもよいし、下部駆動電極31,32のy方向の寸法は、下部信号電極11,12のy方向の寸法より小さくてもよい。
下部駆動電極31,32には、例えば、Al、Alを主成分とする合金、Cuなどの、金属が用いられる。また、絶縁膜35,36には、例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、高誘電体(High-k)膜などの絶縁体が用いられる。
上述のように、上部電極2は、下部容量電極11,12と可変容量素子を形成する。さらに、本構成例においては、上部電極2は、2つの下部駆動電極31,32と対を成す駆動電極としても機能する。つまり、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aにおいて、上部電極2と2つの下部駆動電極31,32によって、アクチュエータが構成されている。以下では、MEMS可変容量デバイス100Aに含まれている可動な上部電極2のことを、上部容量/駆動電極2とよぶ。また、本構成例のように、下部駆動電極31,32が、絶縁膜15を介して、下部容量電極11,12上に積層された構造のことを、積層電極構造とよぶ。
本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aにおいて、積層された下部容量電極11,12と下部駆動電極31,32とは、MIM(Metal-insulator-Metal)構造の固定容量素子(以下、MIM容量素子とよぶ)をそれぞれ形成している。MIM容量素子は、積層された電極間の対向面積、積層された電極の間隔(絶縁膜15の膜厚)、絶縁膜の誘電率に応じて、所定の静電容量C,Cを有する。また、下部駆動電極31,32と上部容量/駆動電極2との間には、可変な静電容量C,Cを有する容量結合が存在している。尚、静電容量Cの大きさと静電容量Cの大きさは、同じ場合もあるし、異なる場合もある。これと同様に、静電容量Cの上限値/下限値と静電容量Cの上限値/下限値は、同じ場合もあるし、異なる場合もある。
シグナル電極11とグランド電極12との間の静電容量は、シグナル電極11とグランド電極12との間に直列接続された静電容量C,C,C,Cによって決定される。
シグナル電極11とグランド電極12との間に直列接続された静電容量C,C,C,Cが、MEMSデバイスの可変容量、つまり、出力を生成するための可変容量として用いられる。尚、直列接続された静電容量C,C,C,Cに加えて、シグナル電極11とグランド電極12との間に生じる寄生容量が、シグナル電極11とグランド電極12との間の静電容量にさらに含まれる場合があるのはもちろんである。
本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aは、上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31,32との間に電位差を与えることによって、静電引力が生じる。上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31,32との間に生じた静電引力によって、上部容量/駆動電極2が基板表面(下部駆動電極)に対して垂直方向(上下方向)に動き、上部容量/駆動電極2と下部容量電極11,12との間隔が変動する。電極間距離の変動によって、MEMS可変容量デバイス100Aの容量値(静電容量)が変化する。これにともなって、容量電極(ここでは、シグナル電極11)の電位が変位し、高周波(RF:Radio frequency)の信号が、容量電極(シグナル/グランド電極)から出力される。
本構成例のように、可動な上部電極が容量電極及び駆動電極として機能する構造のMEMS可変容量デバイス100Aは、上部容量電極と上部駆動電極とが互いに独立した構造のMEMS可変容量デバイスと比較して、製造方法がシンプルであり、且つ、構造的に頑強である。
上述のように、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aにおいて、中空に支持された可動な上部電極2には、複数のばね構造41,45が接続されている。複数のばね構造41,45は、異なる材料が用いられる。本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aは、第1及び第2のばね構造41,45を含み、それらは異なる材料が用いられている。
上部容量/駆動電極2のx方向の一端には、第1のばね構造41の一端が接続されている。第1のばね構造41は、例えば、上部容量/駆動電極2と一体に形成され、上部容量/駆動電極2と第1のばね構造41とは、1つに繋がった単層構造になっている。第1のばね構造41は、例えば、メアンダ状の平面形状を有している。
第1のばね構造41の他端には、アンカー部51が接続される。アンカー部51は、例えば、配線91上に設けられている。配線91は、基板9表面を覆う絶縁膜15上に設けられている。配線91表面は、絶縁膜92によって、覆われている。絶縁膜92には、開口部が設けられている。この開口部を経由して、アンカー部51は、配線91に直接接触する。
第1のばね構造41は、例えば、導電性を有する延性材料から構成され、上部容量/駆動電極2と同じ材料が用いられる。延性材料とは、その材料からなる部材に応力を与えて破壊する場合に、その部材が大きな塑性変化(延び)を生じてから破壊される材料のことである。
第1のばね構造41には、例えば、Al、Alを主成分とする合金、Cu、Au又はPtなどの金属が用いられる。アンカー部51は、例えば、導電体から構成され、ばね構造41と同じ材料から構成される。ただし、アンカー部51は、上部容量/駆動電極2及びばね構造41と異なる材料が用いられてもよい。
上部容量/駆動電極2は、第1のばね構造41、アンカー部52及び配線91を介して、電位(電圧)が供給される。
また、四角形状の上部容量/駆動電極2の四隅に、第2のばね構造45が1つずつ接続されている。尚、本構成例では、第2のばね構造45が4個設けられているが、この個数に限定されない。第2のばね構造45の一端は、上部容量/駆動電極2上に設けられている。このため、第2のばね構造45と上部容量/駆動電極2との接合部は、積層構造になっている。第2のばね構造41の他端は、アンカー部52に接続される。アンカー部52は、ダミー層93,94上に設けられている。ダミー層93,94は、基板9表面を覆う絶縁膜15上に設けられている。
第2のばね構造45は、第1のばね構造41とは異なる材料から構成される。第2のばね構造45に用いられる材料は、例えば、脆性材料が用いられる。脆性材料とは、その材料からなる部材に応力を与えて破壊する場合に、その部材が塑性変化(形状の変化)をほとんど生じないで破壊される材料のことである。一般に、脆性材料を用いた部材を破壊するのに要するエネルギー(応力)は、延性材料を用いた部材を破壊するのに要するエネルギーより小さい。つまり、脆性材料を用いた部材は、延性材料を用いた部材より、破壊されやすい。
第2のばね構造45に用いられる脆性材料は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンのような絶縁性を有する材料を使用してもよいし、ポリシリコン(poly−Si)、シリコン(Si)及びシリコンゲルマニウム(SiGe)のような半導体材料、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム−チタニウム(AlTi)合金のような導電性を有する材料を使用してもよい。尚、AlTi合金は、AlとTiとに加えて他の元素を含んでいてもよい。また、本構成例において、第2のばね構造45は、上記以外の脆性材料が用いられてもよい。
尚、アンカー部52に用いられる材料は、例えば、第2のばね構造45と同じ材料(例えば、脆性材料)が用いられもよいし、アンカー部51と同じ材料(例えば、延性材料)でもよい。配線91及びダミー層93は、例えば、下部駆動電極31,32と同じ材料が用いられ、配線91及びダミー層93の膜厚は、下部駆動電極31,32の膜厚と同じになっている。また、配線91及びダミー層93をそれぞれ覆う絶縁膜92,94は、下部駆動電極31,32を覆う絶縁膜35,36と同じ材料が用いられ、絶縁膜92,94の膜厚は、絶縁膜35,36の膜厚と同じになっている。
脆性材料を用いたばね構造45のばね定数k2は、例えば、ばね構造45の線幅、ばね構造45の膜厚、及びばね構造45の湾曲部(フレクチャー(Flexure))のうち、少なくともいずれか1つを適宜設定することによって、延性材料を用いたばね構造41のばね定数k1よりも大きくされる。
本実施形態の構成例1のように、延性及び脆性材料のばね構造41,45が可動な上部電極2に接続されている場合、上部容量電極2が上方に引き上げられた状態(以下、up-stateとよぶ)における容量電極間の間隔は、脆性材料を用いたばね構造45のばね定数k2によって、実質的に決定される。
脆性材料を用いたばね構造45は、クリープ現象が起こりにくい。そのため、MEMS可変容量デバイス100Aの駆動を複数回繰り返しても、up-state時における容量電極間の間隔の変動は、少ない。尚、材料のクリープ現象とは、経年変化、または、ある部材に応力が与えられたときに、部材の歪み(形状の変化)が増大する現象のことである。
延性材料を用いたばね構造41は、複数回の駆動によって、クリープ現象が生じる。しかし、ばね構造41のばね定数k1は、脆性材料を用いたばね構造45のばね係数k2に比較して小さく設定されている。よって、up-state時における容量電極間の間隔に、延性材料を用いたばね構造41の形状の変化(たわみ)が、大きな影響を与えることはない。
このため、本実施形態の構成例1では、可動な上部電極(可動構造)2に、導電性を有する延性材料を用いることできる。つまり、クリープ現象を考慮せずに、抵抗率の低い材料を可動な上部電極2に用いることができるため、MEMSデバイス(ここでは、MEMS可変容量デバイス)の損失を、低減できる。
さらに、本実施形態の構成例1では、可動な上部電極2に、延性材料を用いたばね構造41と脆性材料を用いたばね構造45とを接続することで、延性材料からなる上部電極2上に異なる材料(例えば、脆性材料)からなる部材を積層しなくとも、可動な上部電極2に対するクリープ現象の影響を抑制できる。それゆえ、上部電極2上に脆性材料からなる部材を積層せずともよく、上部電極2と上部電極2上に積層された材料との内部応力の差によって、上部電極2の形状が歪むこともない。
以上のように、本実施形態の構成例のMEMS可変容量デバイスは、可動な上部電極2を、延性材料を用いたばね構造41と脆性材料を用いたばね構造45とによって、中空に支持することで、損失が低いという利点を保持しつつ、上部電極のクリープ現象を抑制できる。
したがって、本発明の第1の実施形態によれば、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを実現できる。
(b) 動作
図2A及び図2Cを用いて、本実施形態の構成例1に係るMEMSデバイス(MEMS可変容量デバイス)100Aの動作について、説明する。
本構成例1のMEMS可変容量デバイス100Aは、例えば、静電駆動型のMEMSデバイスである。図2Cは、本構成例1のMEMS可変容量デバイス100Aにおける、各電極2,31,32、ローパスフィルタ7a,7b,7c、及び電位供給回路8a,8b,8cとの接続関係を示している。また、図2A及び図2Cは、MEMS可変容量デバイス100Aの駆動時のそれぞれ異なる状態を示している。
図2Cに示されるように、上部容量/駆動電極2には、電位供給回路8aが、ローパスフィルタ7aを経由して、接続される。第1の下部駆動電極31には、電位供給回路8bが、ローパスフィルタ7bを経由して、接続される。第2の下部駆動電極32には、電位供給回路8cが、ローパスフィルタ7cを経由して、接続される。図2Cに示される例では、2つの下部駆動電極31,32は、それぞれ異なる電位供給回路8b,8cに接続されている。但し、本構成例において、2つの下部駆動電極31,32は、それぞれ異なるローパスフィルタ7b,7cに接続されていれば、1つの電位供給回路を共有してもよい。
電位供給回路8a,8b,8cは、例えば、昇圧回路を含んでいる。電位供給回路8a,8b,8cは、外部から入力された電圧を、昇圧回路によって昇圧し、供給電位を出力する。供給電位は、ローパスフィルタ7に入力される。供給電位は、バイアス電位Vb又はグランド電位Vgndである。
ローパスフィルタ7は、そのカットオフ周波数に基づいて、入力信号(供給電位)が含むカットオフ周波数より大きい周波数成分を遮断し、入力信号が含むカットオフ周波数以下の周波数成分を通過させる。ローパスフィルタ7を通過したバイアス電位Vb又はグランド電位Vgndが、上部容量/駆動電極2及び下部駆動電極31,32にそれぞれ供給される。
ローパスフィルタ7のカットオフ周波数は、ローパスフィルタ7を構成する抵抗素子の抵抗値及び固定容量素子の容量値とから求められる時定数の逆数によって、得られる。例えば、抵抗素子と固定容量素子とから構成されるローパスフィルタにおいて、ローパスフィルタのカットオフ周波数を0.7MHzにする場合、抵抗素子の抵抗値と容量素子の容量値とから求められる時定数が、0.7MHzの逆数になるように、抵抗値及び容量値が設定される。
ローパスフィルタ7a,7b,7cによって、供給電位の周波数成分(周波数帯域)に比較して、ローパスフィルタ7a,7b,7cの出力電位は、低い周波数成分の電位、換言すると、供給電位に対して相対的に直流成分の電位にされる。このように、ローパスフィルタ7a,7b,7cが電位供給回路8a,8b,8cと電位が供給される各電極2,31,32との間に挿入されることによって、電位供給回路8a,8b,8cから発生するノイズ(高い周波数成分)が、MEMS可変容量デバイス100A、特に、RF出力部(容量電極1,2)に伝播するのを、防止する。
例えば、ローパスフィルタ7a,7b,7cのカットオフ周波数が0.7MHzに設定された場合、ノイズは、ローパスフィルタ7a,7b,7cによって、−20dB/decadeの割合で減少する。よって、例えば、700MHz以上の周波数帯域で使用されるMEMS可変容量デバイス100Aにおいて、MEMS可変容量デバイス100Aに対するノイズの伝播は、−60dBに抑制できる。
また、電極を保持している状態(ホールド状態(up-state))におけるMEMS可変容量デバイスの発振周波数(オシレータ周波数)が0.7MHzに設定された場合、ノイズは、−20dB/decadeの割合で減少する。このため、例えば、700MHz以上の周波数帯域で使用されるMEMS可変容量デバイス100Aにおいて、MEMS可変容量デバイス100Aに対するノイズの伝播は、−60dBに抑制できる。
このように、ローパスフィルタのカットオフ周波数が0.7MHzに設定され、ホールド状態時におけるMEMS可変容量デバイスの発振周波数が0.7MHzに設定された場合、電位供給回路8a,8b,8cからのMEMS可変容量デバイスに対するノイズの伝播は、ローパスフィルタ7a,7b,7cの挿入によって、−120dBに抑制できる。この値(−120dB)は、多くの無線システムにおいて、ノイズの伝播を抑制するのに、十分な値である。
以上のように、RF出力部に対する電位供給回路8のノイズは、ローパスフィルタ7によって低減される。ノイズが低減された電位が、MEMS可変容量デバイス100Aに供給され、供給されたバイアス電位Vb(又は、グランド電位)によって、MEMS可変容量デバイス100Aは駆動する。
本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aが駆動される場合、上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31,32との間に、電位差が与えられる。
例えば、上部容量/駆動電極2にグランド電位Vgnd(例えば、0V)が供給され、下部駆動電極31,32にバイアス電位Vbが供給されることによって、MEMS可変容量デバイス100Aは駆動する。上部容量/駆動電極2を下側へ下げる場合において、バイアス電位Vbは、例えば、30V(絶対値)程度である。
これとは反対に、上部容量/駆動電極2にバイアス電位Vbが供給され、下部駆動電極31,32にグランド電位Vgndが供給されることによって、MEMS可変容量デバイス1を駆動してもよい。また、上部容量/駆動電極2及び下部駆動電極31,32にそれぞれ供給する電位を、バイアス電位Vbとグランド電位Vgndとで交互に入れ替えて駆動させてもよい。尚、2つの下部駆動電極31,32の両方に、同じ大きさ・極性の電位が供給されることに限定されない。
与えられた電位差に起因して、電極2,31,32間に静電引力が発生する。
上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31,32との間の電位差が無い、又は、電位差が小さい場合、図2Aに示すように、MEMS可変容量デバイス100Aは、上部容量/駆動電極2は、上へ上がった状態になっている。
上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31,32との間の電位差がある値以上になると、上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31,32との間に生じる静電引力によって、可動な上部容量/駆動電極2は動き始め、下部駆動電極31,32側へ引き寄せられる。
その結果として、図2Cに示されるように、上部容量/駆動電極2は、下部駆動電極31,32側へ下がった状態になる。可動な上部容量/駆動電極2が動き始める電位差は、プルイン電圧とよばれる。
本構成例において、上部駆動電極2と下部駆動電極31,32との間の電位差がある値(プルイン電圧)以上になって、例えば、図2Cに示されるように、上部容量/駆動電極2が下部駆動電極31,32側へ下がった状態のことを、down-stateとよぶ。これに対して、上部駆動電極2と下部駆動電極31,32との間の電位差がプルイン電圧より小さくて、例えば、図2Aに示されるように、上部容量/駆動電極2が上へ上がった状態のことをup-stateとよぶ。
本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aは、下部容量電極(シグナル/グランド電極)11,12上に、下部駆動電極31,32が積層された構造を有している。それゆえ、上部容量/駆動電極2が下部駆動電極31,32側へ下がる動作は、上部容量/駆動電極2が下部容量電極11,12側へ下がる動作と、同じである。
よって、MEMS可変容量デバイス100Aのup-state時とMEMS可変容量デバイス100Bのdown-state時とで、可変容量素子を形成する上部容量/駆動電極2と下部容量電極1との間の電極間距離が、変化する。
本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aにおいて、下部容量電極1を構成する2つの電極11,12のうち、一方の電極(シグナル電極)11の電位は可変にされ、他方の電極(グランド電極)12の電位は固定されている。
上部容量電極2と下部容量電極11,12との間の電極間距離が変動することによって、対を成す2つの下部容量電極のうち、シグナル電極11の電位は、down-stateとup-stateとで、変化する。一方、MEMS可変容量デバイス100Aの動作時、2つの下部容量電極1のうちグランド電極12は、一定の電位(例えば、グランド電位)に固定されているので、グランド電極12の電位は、変位しない。
このシグナル電極11とグランド電極12との電位差が、出力信号(RFパワー又はRF電圧)VRFとして、MEMS可変容量デバイス100Aの動作サイクル(up/down-state)に応じた周波数で、外部へ出力される。
図2Cに示すように、上部容量/駆動電極2と電位供給回路8aとの間に、ローパスフィルタ7aが挿入されている。これによって、上部信号/容量電極2は、高周波(RF)的には、フロート(浮遊状態)になる。このため、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aにおいて、上部電極2は、下部容量電極1と対を成す上部容量電極として機能すると共に、下部駆動電極31,32と対を成す上部駆動電極としても機能する。
本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aは、図2Aに示されるように、各電極2,11,12,31,32間に、静電容量C,C,C,Cを有する。そのため、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Aにおいて、シグナル線(シグナル電極)sigとグランド線(グランド電極)gndとの間に、それらの静電容量C,C,C,Cが、直列に接続された回路構成と等価になっている。この構成によって、MEMS可変容量デバイス100Aのdown-state時に、可動な上部電極2に印加される電位差及びその電位差に起因する静電引力は小さくなり、RF電圧の出力時に、down-stateからup-stateに戻すことが容易になる。
上述のように、本構成例におけるMEMS可変容量デバイス100Aは、可動な上部電極2に、延性材料を用いたばね構造41と脆性材料を用いたばね構造45とが接続されている。
up-state時における容量電極間の間隔は、脆性材料を用いたばね構造45のばね定数k2によって、実質的に決定される。そのため、延性材料を用いたばね構造41の形状の変化(たわみ)が、MEMS可変容量デバイス100Aのup-stateにおける容量電極間の間隔に大きな影響を与えることはない。
それゆえ、高周波を出力するために、図2Aの状態(up-state)と図2Cの状態(down-state)とが複数回繰り返されても、上部電極2に対するクリープ現象の影響は小さくなる。
また、脆性材料を用いたばね構造45のばね定数k2が延性材料を用いたばね構造41のばね定数k1より大きくされることによって、down-stateからup-stateに戻す動作が、比較的容易になる。
したがって、本発明の実施形態の構成例1によれば、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを実現できる。
(d) 製造方法
以下、図3を用いて、構成例1に係るMEMSデバイス(MEMS可変容量デバイス)の製造方法について、説明する。図3は、構成例1に係るMEMS可変容量デバイスの製造工程の各工程において、図1のA−A’線に沿う断面構造をそれぞれ示している。尚、図3において、図中の手前又は奥行き方向に示される部材は、破線で示されている。
まず、図3の(a)に示すように、基板(例えば、絶縁層)1内に、例えば、フォトリソグラフィー技術及びRIE(Reactive Ion Etching)法を用いて、溝Zが形成される。 この後、基板1上及び溝Z内に、導電体が、例えば、CVD(Chemical Vapor deposition)法又はスパッタ法を用いて、堆積される。導電体には、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)及び金(Au)等の金属やこれらのいずれかを含む合金が用いられる。
そして、基板1の上面をストッパとして、導電体に対して、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法による平坦化処理が実行される。
これによって、基板1の溝Z内に、MEMS可変容量デバイスの下部容量電極11,12が、自己整合的に埋め込まれる。本構成例のMEMS可変容量デバイスにおいて、下部容量電極11,12は、2つの電極(配線)が対をなして形成されている。具体的には、シグナル電極11とグランド電極12とから下部容量電極が構成され、シグナル電極の電位11が可変にされ、グランド電極12の電位が固定にされる。シグナル線11とグランド線12との電位差が、MEMS可変容量素子の出力(RF電圧)となる。
このように、下部容量電極11,12は、ダマシーンプロセスによって、形成される。尚、溝Zの平面形状は、下部容量電極11,12のレイアウトに応じて、所定の形状になるように、形成される。
次に、図3の(b)に示されるように、絶縁膜15が、例えば、CVD法や熱酸化法などを用いて、基板1表面上及び下部容量電極11,12上に、堆積される。絶縁膜15は、例えば、酸化シリコンが用いられる。但し、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどのように、酸化シリコンより比誘電率の高い材料を用いてもよい。
続いて、導電体が、例えば、CVD法又はスパッタ法を用いて、絶縁膜15上に堆積される。この後、堆積された導電体は、フォトリソグラフィー技術及びRIE法を用いて、加工される。これによって、シグナル電極11及びグランド電極12と上下に重なる位置に、MEMS可変容量素子の下部駆動電極31,32がそれぞれ形成される。
尚、下部駆動電極31,32が形成されるのと同時に、絶縁膜15(基板1)上に、MEMSデバイスの信号配線又は電源配線が、下部駆動電極31,32と同じ材料を用いて、形成されてもよい。
下部駆動電極31,32上に、絶縁膜35,36が、例えば、CVD法や熱酸化法など用いて、形成される。絶縁膜35,36には、例えば、酸化シリコンが用いられる。但し、絶縁膜35,36には、酸化シリコンより比誘電率の高い絶縁体が用いられてもよい。尚、絶縁膜35,36がCVD法を用いて堆積された場合、下部駆動電極31,32表面だけでなく、絶縁膜15上にも堆積されるが、ここでの図示は省略する。
続いて、図3の(c)に示されるように、犠牲層98が、例えば、CVD法や塗布法などを用いて、絶縁膜15,35上に堆積される。犠牲層98は、犠牲層98より下層に形成された材料及び犠牲層98より上層に形成される後述の材料に対して大きなエッチング選択比を確保できれば、絶縁体、導電体(金属)、半導体、或いは、有機物(例えば、レジスト)など、いずれを用いてもよい。
そして、例えば、アンカー部を形成する領域(以下、アンカー形成領域とよぶ)において、犠牲層98内に、アンカー部を埋め込む開口部が、フォトリソグラフィー技術及びRIE法を用いて、形成される。
それから、導電体2が、例えば、CVD法やスパッタ法を用いて、犠牲層98上に堆積される。尚、アンカー形成領域に、開口部が形成されている場合には、その導電体2が開口部内に埋め込まれる。
犠牲層98上の導電体2は、例えば、フォトリソグラフィー技術及びRIE法を用いて、所定の形状に加工される。これによって、MEMS可変容量デバイスの上部容量電極2が形成される。尚、本構成例におけるMEMS可変容量デバイスでは、上部容量電極2は、アクチュエータの駆動電極としても機能する。
上部容量/駆動電極2が形成されるのと同時に、第1のばね構造41が形成される。このばね構造は、上部容量/駆動電極2と一体に繋がっている。上部容量/駆動電極2及び第1のばね構造41は、例えば、Al、Alを主成分とする合金、Au、Ptなどのような、延性材料が用いられている。
上部容量/駆動電極2及び第1のばね構造41が形成された後、図3の(d)に示されるように、第2のばね構造45が、可動な上部容量/駆動電極2上の所定の位置に接続されるように、犠牲層98上及び上部容量/駆動電極2上に形成される。このばね構造45には、脆性材料が用いられる。例えば、以下の工程で、第2のばね構造45が形成される。
上部容量/駆動電極2及び第1のばね構造41が形成された後、第2のばね構造のアンカー形成領域において、犠牲層98内に開口部が形成される。そして、第2のばね構造を構成する脆性材料が、例えば、CVD法又はスパッタ法を用いて、上部容量/駆動電極2上、犠牲層98上、第2のばね構造のアンカー形成領域の開口部内に、堆積される。ここで、ばね構造42に用いられる脆性材料は、ポリシリコン(poly−Si)、シリコン(Si)及びシリコンゲルマニウム(SiGe)のような半導体材料、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム−チタニウム(AlTi)合金のような導電性を有する材料のいずれかである。
その堆積された材料(膜)が、例えば、フォトリソグラフィー技術及びRIE法によって、所定の形状に加工され、脆性材料が用いられた第2のばね構造45が形成される。第2のばね構造45のばね定数が、第1のばね構造のばね定数よりも大きくなるように、第2のばね構造45は、所定の膜厚又は所定の形状になるように、形成される。
また、アンカー形成領域の開口部内に堆積された材料は、アンカー部となる。尚、第2のばね構造45に接続されるアンカー部は、第1のばね構造41に接続されるアンカー部と同じ工程及び同じ材料(例えば、延性材料)で、形成されてもよい。
この後、犠牲層98が、例えば、ウェットエッチングを用いて、選択的に除去される。これによって、図2Aに示されるように、上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31,32との間に、キャビティ(空隙)が形成される。
以上の工程によって、可動な上部電極(上部容量/駆動電極)2に、延性材料が用いられたばね構造41と脆性材料が用いられたばね構造45とが接続された構造のMEMSデバイス(MEMS可変容量デバイス)が完成する。
形成されたMEMS可変容量デバイスにおいて、up-state時において、可動な上部電極と下部電極間の距離は、主に、脆性材料を用いたばね構造のばね定数によって、決定される。
したがって、図2A及び図3に示すMEMSデバイスの製造工程によれば、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを提供できる。
(A−2) 構成例2
図4及び図5を用いて、本実施形態の構成例2に係るMEMS可変容量デバイス100Bの構造について、説明する。図4は、本構成例におけるMEMS可変容量デバイス100Bの平面構造を示している。図5は、図4のA−A’線に沿う断面構造を示している。
ここでは、構成例1のMEMSデバイスとの相違点について、主に説明する。
本構成例のMEMS可変容量デバイス100Bにおいて、上部容量/駆動電極2に、延性材料を用いたばね構造41は接続されない。
図4及び図5に示されるように、延性材料が用いられた上部容量/駆動電極2は、脆性材料を用いたばね構造45及びアンカー部52によって、中空に支持されている。
ばね構造45は、導電性を有する脆性材料が用いられている。本構成例で用いられる脆性材料は、例えば、W、Mo、AlTi、Si、poly−Siなどである。また、アンカー部52も、導電性を有する材料が用いられている。尚、アンカー部52に用いられ材料は、ばね構造45と同様に、導電性を有する脆性材料でもよいし、上部容量/駆動電極2と同様に、導電性を有する延性材料でもよい。
アンカー部52は、絶縁膜94内に形成された開口部を経由して、配線93,95に直接接触する。
脆性材料を用いたばね構造45及びアンカー部52は導電性を有するので、延性材料を用いたばね構造がなくても、バイアス電位/グランド電位が、ばね構造45及びアンカー部52を経由して、配線(電源線)93,95から上部容量/駆動電極2に供給される。
本構成例においても、図2Cに示される構成と同様に、上部容量/駆動電極2及び下部駆動電極31,32には、ローパスフィルタ7aを経由して、電位(バイアス電位/グランド電位)が供給される。
このように、ローパスフィルタ7aを経由して、上部容量/駆動電極2に電位が供給される。そのため、ローパスフィルタ7aによって供給電位の減衰を小さくできる。それゆえ、導電性の脆性材料の抵抗率が、延性材料の抵抗率に比較して高くても、導電性の脆性材料を用いたばね構造45の電位の供給が、MEMS可変容量デバイス100Bの動作に、大きな悪影響を与えることは無い。
したがって、第1の実施形態の構成例2においても、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを実現できる。
(A−3) 構成例3
図6、図7A、図7Bを用いて、本実施形態の構成例3に係るMEMS可変容量デバイス100Cの構造について、説明する。図6は、本構成例におけるMEMS可変容量デバイスの平面構造を示している。図7Aは、図6のA−A’線に沿う断面構造を示している。図7Bは、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Cの駆動時の状態を示している。尚、図7A及び図7Bにおいて、図中の手前方向又は奥行き方向の部材については、破線で示している。
図6及び図7Aに示されるように、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Cにおいて、下部駆動電極31,32は、下部容量電極11A,12A上に積層されていない。
図6及び図7Aに示されるように、下部容量電極11A,12Aは、基板9上に設けられている。本構成例においても、下部容量電極11A,12Aは、対をなすシグナル電極11Aとグランド電極12Aとから構成されている。シグナル電極11A及びグランド電極12Aは、y方向に延在している。シグナル電極11Aは、シグナル線sigとして機能し、グランド電極12Aは、グランド線gndとして機能する。シグナル電極11Aの電位は、可変であり、上部容量/駆動電極2の動作に伴って、変動する。グランド電極12Aには、例えば、グランド電位が供給される。シグナル電極11Aとグランド電極12Aとの電位差(RF電圧)が、MEMS可変容量デバイス100Cの出力(RFパワー)となる。
2つの下部駆動電極31,32は、x方向に互いに隣接している。2つの下部駆動電極31,32は、シグナル電極11Aとグランド電極12Aとの間の基板9上に設けられている。第1の下部駆動電極31は、シグナル電極11Aのx方向に隣接している。第2の下部駆動電極32は、グランド電極12Aのx方向に隣接している。
下部駆動電極31,32は、基板9表面に対して垂直方向において、上部容量/駆動電極2の下方に設けられ、2つの下部駆動電極31,32の一部分が、上部容量/駆動電極2と上下に重なる位置に配置されている。
また、シグナル電極11A及びグランド電極12Aは、例えば、基板9表面に対して垂直方向において、上部容量/駆動電極2と上下に重ならない位置に配置されている。
尚、シグナル/グランド電極11A,12Aは、例えば、下部駆動電極31,32と同じ材料を用いて、同時に形成される。この場合、シグナル/グランド電極11A,12Aの膜厚は、下部駆動電極31,32の膜厚と同じになっている。
下部駆動電極31,32の表面は、絶縁膜35,36によって、それぞれ覆われている。この絶縁膜35,36には、開口部Q1,Q2がそれぞれ設けられている。開口部Q1,Q2は、例えば、基板9表面に対して垂直方向において、上部容量/駆動電極2と上下に重ならない位置に設けられている。シグナル電極11A及びグランド電極12Aの表面は、絶縁膜37,38によって、それぞれ覆われている。絶縁膜37,38は、例えば、絶縁膜35,36と同じ材料を用いて、同時に形成される。この場合、絶縁膜37,38の膜厚は、絶縁膜35,36の膜厚と同じである。
このように、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Cにおいて、シグナル電極11A及びグランド電極12Aは、下部駆動電極31,32と同じ配線レベルに設けられている。尚、配線レベルとは、基板9表面又は基板9下層のシリコン基板表面を基準とした高さ(位置)である。
第1及び第2の導電層33,34は、絶縁膜35,36,37,38上に設けられる。
第1の導電層33は、絶縁膜37を介して、シグナル電極11A上に積層されている。第1の導電層33は、開口部Q1を経由して、下部駆動電極31に直接接触する。
第2の導電層34は、絶縁膜38を介して、グランド電極12A上に積層されている。第2の導電層34は、開口部Q2を経由して、下部駆動電極32に直接接触する。尚、導電層33,34は、例えば、基板表面に対して垂直方向において、上部容量/駆動電極2と上下に重ならない位置に配置される。
構成例3のMEMS可変容量デバイス100Cにおいて、MIM容量素子は、シグナル電極11A、第1の導電層33、及び、シグナル電極11Aと導電層33との間に挟まれた絶縁膜37を用いて、構成されている。そのMIM容量素子は、電極11Aと導電層33との対向面積、絶縁膜37の膜厚及び絶縁膜37の誘電率に応じて、一定の静電容量Cを有している。これと同様に、グランド電極12A、第1の導電層34及び絶縁膜38は、MIM容量素子を構成し、その素子は一定の静電容量Cを有している。このように、導電層33,34は、MIM容量素子の電極として機能する。
MEMS可変容量デバイス100Cは、上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31との間に、容量結合を有している。また、MEMS可変容量デバイス100Cは、上部容量/駆動電極2と下部駆動電極32との間に、容量結合を有している。それらの容量結合の大きさは、静電容量C,Cである。静電容量C,Cの大きさは、上部容量/駆動電極2が上下に動くのに伴って、変化する。
上記のように、下部駆動電極31,32は、開口部Q1,Q2を経由して、導電層33,34にそれぞれ電気的に接続されている。よって、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Cは、静電容量(容量結合)C,Cが、開口部Q1,Q2及び導電層33,34によって、静電容量C,Cに直列に接続された構成を有する。
上部容量/駆動電極2は、ばね構造41,45を経由して、アンカー部51,52に接続されている。上部容量/駆動電極2は、アンカー部51,52によって、下部駆動電極31,32上方に、中空に支えられている。
上部容量/駆動電極2は、延性材料が用いられたばね構造41及びアンカー部51を経由して、電位が供給される。本構成例においては、上部容量/駆動電極2のy方向の端部に、延性材料を用いたばね構造41及び脆性材料を用いたばね構造45がそれぞれ設けられている。尚、構成例2と同様に、導電性の脆性材料によって、ばね構造45が形成された場合、延性材料を用いたばね構造41を設けずともよい。
図7Bに示されるように、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Cは、上部容量/駆動電極2と下部駆動電極31,32との間に、プルイン電圧以上の電位差が与えられると、上部容量/駆動電極2は下部駆動電極31,32に向かって下がる。つまり、MEMS可変容量デバイス100Cは、up-stateからdown-stateになる。
本構成例のMEMS可変容量デバイス100Cでは、単に、可動な上部容量電極2と下部容量電極11Aとの電極間距離を変えて、下部容量電極(シグナル電極)11Aの電位を変動させるだけではなく、上部容量電極2と下部容量電極11Aとの間に、1つのMIM容量素子(静電容量C,C)と1つの容量結合(静電容量C,C)とが直列接続されているのを利用している。
可動な上部電極2が、up-stateからdown-stateになったときに、容量結合の静電容量C,Cの大きさが変化する。その静電容量C,Cの変化に伴って、一定の静電容量C,Cを有するMIM容量素子の電位は変動する。その結果として、MIM容量素子の一方の電極であるシグナル電極11Aの電位が変動する。尚、グランド電極11Bの電位は、グランド電位に固定されているので、上部容量/駆動電極2が上下に動いても、変位しない。
これによって、シグナル電極11Aとグランド電極12Aとの電位差が、RF電圧VRFとして出力される。
このように、下部容量電極11Aが、上部容量電極2と上下に重ならない位置に配置されていても、下部容量電極11Aの電位が変動する。
本構成例に係るMEMS可変容量デバイスの製造方法において、シグナル電極11A及びグランド電極12Aは、下部駆動電極31,32と同じ工程で同時に形成される。すなわち、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Cは、ダマシーンプロセスを用いずに、簡便な工程によって、形成できる。
また、本構成例において、シグナル/グランド電極11A,12Aが、下部駆動電極31,32と同じ配線レベル(配線層)に形成されるため、導電層37,38が新たに設けられたとしても、MEMS可変容量デバイス100Cを形成するための実質的な配線レベルの数は、2層になる。
よって、本実施形態の構成例3にMEMS可変容量デバイス100Cは、積層電極構造のMEMS可変容量デバイスに比較して、配線レベルの数を削減できる。そのため、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Cによれば、製造コストを低減できる。
本構成例においても、上述の構成例1と同様に、MEMS可変容量デバイス100Cは、可動な上部電極(上部容量/駆動電極)2に、延性材料を用いたばね構造41と脆性材料を用いたばね構造45とが接続されている。よって、MEMS可変容量デバイス100Cのup-stateにおける、可動な上部電極2と下部電極(ここでは、下部駆動電極)31,32との距離は、脆性材料を用いたばね構造45のばね定数に依存する。
それゆえ、MEMS可変容量デバイスの動作が、複数回繰り返されても、上部電極2に対するクリープ現象の影響は小さくなる。
したがって、第1の実施形態の構成例3によれば、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを実現できる。
(A−4) 構成例4
図8乃至図10を用いて、本実施形態の構成例4に係るMEMS可変容量デバイスについて、説明する。図8は、本構成例に係るMEMS可変容量素子100Dの平面構造を示している。図9Aは、図8のA−A’線に沿う断面構造を示している。図9Bは、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Dの駆動時の状態を示している。
ここでは、本構成例に係るMEMS可変容量デバイス100Dと、構成例1〜3に係るMEMS可変容量デバイスとの相違点について、主に説明する。
本実施形態のMEMS可変容量デバイス100Dは、下部容量電極と下部駆動電極とが電気的に分離されている点が、他の構成例と相違する。
図8及び図9Aに示すように、2つの下部駆動電極31,32は、基板9上に設けられる。2つの下部駆動電極31,32は、y方向に延在している。2つの下部駆動電極31,32の上面には、絶縁膜35A、36Aが、それぞれ設けられている。絶縁膜35A,36Aは、スリットUを有している。この絶縁膜35A,36Aは、例えば、下部駆動電極31,32の側面上には、設けられない。
シグナル電極11B及びグランド電極12Bは、2つの下部駆動電極31,32間の基板9上に設けられている。シグナル電極11B及びグランド電極12Bは、y方向に延在している。シグナル/グランド電極11B,12Bの表面は、絶縁膜37,38によって、それぞれ覆われている。シグナル/グランド電極11B,12Bは、例えば、下部駆動電極31,32と同じ材料が用いられ、シグナル/グランド電極11B,12Bの膜厚は、下部駆動電極31,32の膜厚と同じ膜厚である。
シグナル電極11B及びグランド電極12Bは、MEMS可変容量デバイス100Dの下部容量電極として機能する。シグナル電極11Bの電位は、可変にされ、グランド電極12Bの電位は、一定の電位(例えば、グランド電位)に設定される。
上部容量/駆動電極2は、1つの導電層であり、例えば、x方向に延在している。そして、他の構成例と同様に、上部容量/駆動電極2は、容量電極として機能すると共に、駆動電極としても機能する。
本構成例においては、互いに隣接した2つの下部容量電極11A,12のx方向の一端及び他端に、下部駆動電極31,32が、隣接している。そのため、本構成例のMEMS可変容量素子100Dにおいて、上部電極2は、容量電極と駆動電極とに電気的に分離されていないが、可変容量素子の可動な上部容量電極の一端及び他端に、アクチュエータの可動な上部駆動電極がそれぞれ接続された構造と実質的に同じになっている。
つまり、シグナル/グランド電極11A,12Aの上方に位置する上部電極2の部分20が、実質的な上部容量電極として、機能する。以下では、この部分20のことを、上部容量電極部20とよぶ。上部容量電極部20と下部容量電極11A,12とが、可変容量素子70を構成している。上部容量電極部20と下部容量電極11A,12との間には、キャビティが設けられている。
また、下部駆動電極31,32の上方に位置する上部電極2の部分21,22が、実質的な駆動電極として、機能する。以下では、この部分21,22のことを、上部駆動電極部21,22とよぶ。上部駆動電極部21と下部駆動電極31とが、1つの静電駆動型アクチュエータ71を構成している。上部駆動電極22と下部駆動電極32とが、1つの静電駆動型アクチュエータ72を構成している。上部駆動電極21,22と下部駆動電極31,32との間には、キャビティが設けられている。
上部容量/駆動電極2には、延性材料が用いられたばね構造41が接続されている。本構造例においては、上部容量/駆動電極2のうち、上部駆動電極部21のx方向の一端に、ばね構造41が接続されている。また、上部容量/駆動電極2のうち、上部駆動電極部21,22のy方向の両端に、脆性材料が用いられたばね構造45がそれぞれ接続されている。尚、上部容量電極部20に、延性材料を用いたばね構造や脆性材料を用いたばね構造が接続されてもよい。
このように、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Dは、上部容量電極部20の一端及び他端にアクチュエータの上部駆動電極が接続された両持ち構造(ブリッジ構造)と、等価な構造を有している。そして、本構成例のMEMS可変容量デバイス100Dは、1つの導電層からなる上部容量/駆動電極2が、下部容量電極11B,12B上方及び下部駆動電極31,32上方に跨って、中空に支持されている。
図9Bは、本構造例のMEMS可変容量デバイス100Dのdown-stateを示している。また、図9Bは、MEMS可変容量デバイス100Dと、電位供給回路8a,8bとの接続関係を示している。
本構成例において、2つの下部駆動電極31,32は、例えば、1つのローパスフィルタ7bを介して、1つの電位供給回路8bに共通に接続されている。但し、2つの下部駆動電極31,32は、それぞれ異なるローパスフィルタに接続されてもよいし、それぞれ異なる電位供給回路に接続されてもよい。上部容量/駆動電極2及びばね構造41には、ローパスフィルタ7aを介して、電位供給回路8aに接続されている。よって、上部容量電極部20と上部駆動電極部21,22とは、同じ電位に設定される。尚、構成例2と同様に、導電性の脆性材料(例えば、W)を用いて、脆性材料を用いたばね構造45を経由して、上部容量/駆動電極2に、電位が供給されてもよい。
上部駆動電極部21,22と下部駆動電極31,32との間に電位差(プルイン電圧)が与えられることで、上部駆動電極部21,22は、下部駆動電極31,32側に下がる。上部容量電極部20は上部駆動電極部21,22と一体になった導電層であるので、上部駆動電極21,22の動作に伴って、上部駆動電極部20は、シグナル/グランド電極11A,12Aに向かって、下がる。これによって、上部容量電極部20とシグナル電極11Bとの電極間距離が変化し、シグナル電極11Bの電位が変動する。シグナル電極11Bとグランド電極11Bとの電位差が、RF電圧として、出力される。
上部駆動電極部21,22と下部駆動電極31,32との間に、プルアウト電圧が印加されると、図9Aに示すように、上部容量/駆動電極2は、down-stateからup-stateに戻る。
本構成例のMEMS可変容量素子100Dでは、下部駆動電極31,32を覆う絶縁膜35A,36Aが、スリットUを有する。これによって、MEMS可変容量素子100Dのdown-stateにおいて、上部駆動電極部21,22と下部駆動電極31,32との間に発生する負荷容量が、低減される。また、本構成例4のMEMS可変容量素子100Dは、シグナル/グランド電極11A,12と下部駆動電極31,32とが、電気的に分離されているため、シグナル/グランド電極11A,12と下部駆動電極31,32との間の静電容量(容量結合)が小さい。その結果として、下部駆動電極31,32に加わる負荷容量は、さらに小さくなる。
それゆえ、本構成例4のMEMS可変容量素子100Dは、高速に駆動できる。
尚、図10に示されるMEMS可変容量デバイス100D’のように、2つの下部容量電極のうちグランド電極11Bに、DCカット容量素子(ブロッキングキャパシタ)75が接続されてもよい。DCカット容量素子75は、一定の静電容量を有し、例えば、基板9上に形成されたMIM容量素子である。DCカット容量素子75は、グランド線(グランド電極12B)の電位が含む直流成分が、外部に出力されるのを遮断する。
図10に示されるように、電位供給回路8dが、ローパスフィルタ7dを介して、DCカット容量素子75とグランド電極11Bとの間に接続されている。電位供給回路8dは、グランド電極11Bに、一定の電位Vmを供給する。電位Vmは、例えば、5V程度である。図10に示されるMEMS可変容量デバイスでは、グランド電極12Bは、電位Vm(>0)が供給された擬似グランド線(Pseudo-gnd)となる。
図10に示される構成のように、グランド電極12Bに電位Vmを印加して、グランド電極12Bを擬似グランド線とすることで、その電位Vmによって生じる静電引力によって、上部容量電極部20と下部容量電極1(シグナル/グランド電極11B)との密着性が増加する。そのため、図10に示されるMEMS可変容量素子100D’は、より大きな容量値及び出力が得られる。
本実施形態の構成例4に係るMEMS可変容量デバイス100D、100D’においても、延性材料が用いられたばね構造41と脆性材料が用いられたばね構造45とが、可動な上部電極(上部容量/駆動電極)2に、接続されている。よって、MEMS可変容量デバイス100D,100D’のup-stateにおける、可動な上部電極2と下部電極11B,12Bとの距離は、脆性材料を用いたばね構造45のばね定数に依存して、決まる。それゆえ、MEMS可変容量デバイスの動作が、複数回繰り返されても、上部電極2に対するクリープ現象の影響は小さくなる。
したがって、第1の実施形態の構成例4によれば、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを実現できる。
(A−5) 応用例
図11を用いて、本発明の第1の実施形態に係るMEMSデバイスの応用例について、説明する。図11は、本応用例におけるMEMSデバイス(容量バンク)の平面構造を示している。図11に示されるように、複数のMEMS可変容量デバイス100,100を用いて、容量バンクを構成してもよい。
図11に示されるように、容量バンク500は、複数のMEMS可変容量デバイス100,100によって、構成されている。図11に示される容量バンク500は、構成例1(図1参照)で述べたMEMS可変容量デバイスが複数個用いられている。但し、容量バンク500は、構成例2〜4で述べたMEMS可変容量デバイスによって、構成されてもよい。ここでは、図示の簡略化のため、2個のMEMS可変容量デバイス100,100が図示されているが、3個以上のMEMS可変容量デバイスを用いて、容量バンク500を構成してもよいのは、もちろんである。
複数のMEMS可変容量デバイス100,100は、1つの基板9上に設けられている。複数のMEMS可変容量デバイス100,100は、y方向に沿って配列されている。
シグナル/グランド電極11,12及び下部駆動電極31,32は、y方向に延在し、それらの電極11,12,31,32は、y方向に配列された複数のMEMS可変容量デバイス100,100によって、共通に用いられる。第1の実施形態の構成例1において、図2Aを用いて説明したように、下部駆動電極31,32は、絶縁膜を介して、シグナル/グランド電極11,12上に積層されている。
上部容量/駆動電極2,2は、MEMS可変容量デバイス100,100毎に、それぞれ設けられる。そして、各上部容量/駆動電極2,2は、延性材料を用いたばね構造41,41と脆性材料を用いたばね構造45,45が接続されている。上部容量/駆動電極2,2は、ばね構造41,41,45,45を介して、アンカー部51,52に接続されている。これによって、各上部容量/駆動電極2,2は、駆動電極31,32上方において、中空に支持されている。
図11において、図示は省略されているが、図2Cに示されるのと同様に、2つの下部駆動電極31,32のそれぞれに、ローパスフィルタが接続される。そして、ローパスフィルタを経由して、下部駆動電極31,32のそれぞれに、電位供給回路から電位が供給される。
また、上部容量/駆動電極2,2のそれぞれに、ローパスフィルタが接続される。これと同様に、電位供給回路も、上部容量/駆動電極2,2のそれぞれに、ローパスフィルタを経由して、1つずつ接続されている。このように、MEMS可変容量デバイス100,100の上部容量/駆動電極2,2のそれぞれに、電位が個別に供給される。
これによって、各MEMS可変容量デバイス100,100は、それぞれ独立してup-state及びdown-stateの2つの状態になるように、制御される。
上述したように、1つのMEMS可変容量デバイス100はup-stateとdown-stateとの2つの状態の範囲内で、RF電圧(RFパワー)を出力する。それゆえ、1つのMEMS可変容量デバイス100が出力するRF電圧の周波数及び大きさは、up-state/down-stateの可動範囲及び動作サイクルから得られる値に限られてしまう。
本応用例のように、複数のMEMS可変容量デバイス100,100を用いて容量バンク500が構成された場合、各MEMS可変容量デバイス100,100のup-state/down-stateをそれぞれ制御することによって、1つのMEMS可変容量デバイスが出力するRF電圧よりも高い周波数のRF電圧を、容量バンク500は出力できる。つまり、各MEMS可変容量デバイス100,100がup-stateまたはdown-stateとなるタイミングを調整することで、より高い周波数のRF電圧が、容量バンク500によって、得られる。また、容量バンク500によって、複数のMEMS可変容量デバイス100,100を同時に駆動させることによって、より大きな値のRF電圧を得ることもできる。
したがって、複数のMEMS可変容量デバイス100,100を用いて容量バンク500を構成することによって、より広い周波数帯域の出力(RF電圧/RFパワー)を、得ることができる。
容量バンク500においても、各MEMS可変容量デバイス100,100の可動な上部電極2は、延性材料が用いられたばね構造41と脆性材料が用いられたばね構造45とが、接続されている。よって、MEMS可変容量デバイス100,100のup-stateにおける、可動な上部電極2と下部電極との距離は、脆性材料を用いたばね構造45のばね定数に依存する。それゆえ、MEMS可変容量デバイスの動作が、複数回繰り返されても、上部電極2に対するクリープ現象の影響は小さくなる。
したがって、複数のMEMS可変容量デバイス100,100を用いた容量バンク500においても、クリープ現象による特性劣化を抑制するMEMSデバイスを実現できる。
(B) スイッチ
本発明の例のMEMSデバイスは、MEM可変容量素子に限定されず、MEMSを適用した他のデバイスでもよい。
以下、図12乃至図16を参照して、MEMSを適用したスイッチ(以下、MEMSスイッチとよぶ)を例に挙げて、本発明の第2の実施形態に係るMEMSデバイスについて説明する。
(B−1) 構成例1
図12乃至図14を用いて、本実施形態の構成例1に係るMEMSスイッチ200Aの構造について説明する。図12は、本構成例におけるMEMSスイッチ200Aの平面構造を示す平面図である。図13Aは、図12のA−A’線に沿う断面構造を示す断面図である。図13Bは、図12のB−B’線に沿う断面構造を示す断面図である。図14は、図12のC−C’線に沿う断面構造を示している。また、図14は、MEMSスイッチ200Aの駆動時の状態を示している。
図12乃至図14に示すように、基板10上には、2つの下部駆動電極31,32が設けられる。下部駆動電極31,32は、x方向に並んで配置されている。下部駆動電極31,32の表面は、絶縁膜35,36によって、覆われている。下部駆動電極31には、配線(図示せず)を経由して、電位が供給される。
2つの信号電極(ポート)17A,17Bは、2つの下部駆動電極31,32間の基板9上に設けられている。2つの信号電極17A,17Bは、y方向に並んで配置されている。
可動構造24は、ばね構造41,42を経由して、アンカー部51,52に接続されている。これによって、可動構造24は、信号電極17A,17B上方及び下部駆動電極31,32上方に、中空に支持される。可動構造24と電極17A,17B,31,32との間に、空隙が設けられている。
可動構造24の底面には、基板9側に突出した突起部(以下、ディンプルとよぶ)25が、設けられている。ディンプル25は、信号電極17A,17B上方に位置している。MEMSスイッチ200Aがオン状態である場合、ディンプル25が信号電極17A,17Bに接触する。ディンプル25は、スイッチ200Aの接点部として機能する。可動構造24は、例えば、延性材料から構成され、例えば、Al、Al合金、Au、Ptなどが用いられる。
第1のばね構造41は、第1のアンカー部51と可動構造24とを接続している。
第1のばね構造41は、延性材料が用いられている。第1のばね構造41は、例えば、可動構造24と同じ材料が用いられ、可動構造24と一体になっている。例えば、アンカー部51は導電体から構成され、第1のばね構造41と同じ材料(延性材料)が用いられている。
第1のばね構造41に用いられる延性材料は、上述のMEMS可変容量素子の延性材料のばね構造と同様に、Al、Alを主成分とする合金、Au、Ptのうち、いずれか1つが用いられる。尚、これら以外の延性材料を、延性材料を用いたばね構造41に用いてもよい。
第2のばね構造45は、第2のアンカー部52と可動構造24とを接続している。
第2のばね構造45は、例えば、脆性材料が用いられている。このように、MEMSスイッチ200Aにおいても、上述のMEMS可変容量素子と同様に、第2のばね構造45は、可動構造24と異なる材料が用いられている。第2のばね構造45に用いられる脆性材料は、上述のMEMS可変容量素子の脆性材料のばね構造と同様に、Si、poly−Si、AlTi合金、SiGe、W、Moのうち、いずれか1つが用いられる。尚、AlTi合金には、AlとTi以外の元素を含んでもよい。また、尚、これら以外の脆性材料を、脆性材料のばね構造45に用いてもよい。
脆性材料のばね構造45と可動構造24との接合部において、ばね構造45は、可動構造24上に積層されている。
脆性材料を用いたばね構造45のばね定数k2は、延性材料を用いたばね構造41のばね定数k1よりも大きいことが好ましい。より具体的には、ばね定数k2が、ばね定数k1の3倍以上であることが好ましい。脆性材料を用いたばね構造45のばね定数を大きくするために、脆性材料を用いたばね構造45の膜厚、線幅、湾曲部の形状が、適宜設定される。
アンカー部52は、例えば、第2のばね構造45と同じ材料が用いられてもよいし、第1のばね構造41と同じ材料が用いられてもよい。
可動構造24は、延性材料が用いられたばね構造41、アンカー部51及び配線91を介して、例えば、電位が供給される。尚、導電性を有する脆性材料をばね構造45に用いた場合、その脆性材料を用いたばね構造45から、可動構造24に電位を供給してもよい。
本構成例におけるMEMSスイッチ200Aは、静電駆動型である。可動構造24と駆動電極31,32とに与えられた電位差によって、可動構造24と駆動電極31,32との間に、静電引力が発生する。この静電引力によって、可動構造24が、駆動電極31,32側に引き寄せられ、可動構造24は、基板側に向かって下がる。
図14を用いて、MEMSスイッチ200Aの動作について、説明する。
図14の(a)に示すように、可動構造24が中空に支えられている状態(up-state)において、可動構造24が有する接点部(ディンプル25)は、信号電極17A,17Bに接触しない。この場合、MEMSスイッチ200Aはオフ状態である。
一方、図14の(b)に示すように、可動構造24と下部駆動電極31,32との間に設定される電位差が、可動構造24が動き始める電位差(プルイン電圧)以上になると、その電位差によって生じる静電引力によって、可動構造24が駆動電極31,32に向かって動く。つまり、可動構造24が下方(基板側)に下がる。
これによって、可動構造24のディンプル25が、信号電極17A,17Bに接触し、可動構造24(配線91)と信号電極17A,17Bは導通する。この場合、MEMSスイッチ200Aは、オン状態である。
図14の(b)に示すように、MEMSスイッチがオン状態のときに、ディンプル25が、信号電極17A,17Bに接触する。ディンプル(接点部)25が可動構造24の底面に設けられることによって、可動構造24が下方向に動く際の単位面積当たりの力、すなわちディンプル25と信号電極17A、17Bとの接触時の力(コンタクト力)が強くなる。このため、駆動電圧を高くしなくても、ディンプル25と信号電極17A,17Bとの接触抵抗を、低減できる。
尚、ディンプル25が信号電極17A,17Bと十分に接触するために、ディンプル25の膜厚tdは、絶縁膜35,36の膜厚tiより厚くされることが好ましい。
以上のように、MEMSスイッチにおいて、中空に支えられ、上下方向に動く可動構造24に、延性材料が用いられたばね構造41と脆性材料が用いられたばね構造45とが、接続されている。MEMSスイッチのup-state(オフ状態)時における接点部25と信号電極17A,17Bの間隔は、主に、脆性材料を用いたばね構造45のばね定数の大きさに依存して、決まる。そのため、クリープ現象が生じにくい脆性材料を用いたばね構造45によって、up-state時の接点部と信号電極との間隔が、保持される。
これによって、MEMSスイッチが、延性材料を用いた単層構造の可動構造及び延性材料を用いたばね構造を含んでいても、可動構造24に対するクリープ現象の影響を抑制でき、低い損失及び高いアイソレーションを実現できる。
したがって、第1の実施形態で述べたMEMS可変容量素子と同様に、第2の実施形態に係るMEMSスイッチにおいても、クリープ現象による素子の特性劣化を抑制できる。
尚、本実施形態のMEMSスイッチの製造方法は、第1の実施形態で述べたMEMS可変容量デバイスの製造方法と実質的に同じであるので、MEMSスイッチ素子の製造方法の説明は省略する。
(B−2) 構成例2
図15及び図16を用いて、本実施形態の構成例2に係るMEMSスイッチ200Bの構造について説明する。図15は、本構成例におけるMEMSスイッチ200Bの平面構造を示している。図16は、図15のC−C’線に沿う断面構造を示している。また、図16は、MEMSスイッチ200Bの駆動時の状態を示している。尚、図15のA−A’線及びB−B’線に沿う断面構造は、図13A及び図13Bに示される構造と同じである。
ここでは、構成例1のMEMSスイッチとの相違点について、主に説明する。
本構成例のMEMSスイッチ200Bは、可動構造24の底面にディンプルが設けられる代わりに、可動構造24の端部に接点部27が設けられている。
図15及び図16に示すように、接点部27は、可動構造24の外周部からy方向かつ水平方向に延在しつつ、下側に、すなわち信号電極17A,17Bに向かって反っている。
また、接点部27は、先端が尖った平面形状を有しており、例えば、かぎ爪形状を有している。接点部27上には、調整膜29が設けられている。調整膜29は、接点部27の上面を覆うように設けられる。調整膜29は、接点部27よりも大きな圧縮性の内部応力を有する。この内部応力によって、接点部27が、下側に反る。調整膜29の材料は、前述した内部応力の条件を満たす限り、絶縁体であってもよいし、導電体であってもよい。尚、接点部27を下側に反らすことができれば、調整膜29は、接点部27の底面に設けられてもよい。
接点部27の先端と信号電極17A,17Bとの距離は、可動構造24と信号電極17A,17Bとの距離よりも、接点部27の反りの分だけ短くなっている。
このように、本構成例において、可動構造24はディンプルを有さず、接点部27の先端が、信号電極17A,17Bに接触する。
図16の(a)に示すように、かぎ爪形状の接点部27が、信号電極17A,17Bに接触しない場合、MEMSスイッチ200Bはオフ状態である。
図16の(b)に示すように、可動構造24と駆動電極31,32との間に生じる静電引力によって、可動構造24が下側に下がる。そして、可動構造24と信号電極17A,17Bとが電気的に導通することによって、MEMSスイッチ200Bはオン状態になる。MEMSスイッチ200Bがオン状態になった場合、かぎ爪形状の接点部27の先端のみが信号電極17A,17Bに接触する。
接点部27と電極17A,17Bとが接触する時には、接点部27の先端が電極14の表面をスクラッチする。このため、接点部27と電極17A,17Bとの接触部分の付着物を除去することが可能である。また、接点部27の先端が尖っているため、接点部27と電極17A,17Bとのコンタクト力が強くなる。このため、駆動電圧を高くしなくても接触抵抗を低減することができる。
図15及び図16に示されるように、本構成例2に示されるMEMSスイッチ200Bにおいても、可動構造24に、延性材料が用いられたばね構造41と脆性材料が用いられたばね構造45とが、接続されている。これによって、構造例2で述べたのと同様に、本構成例2におけるMEMSスイッチ200Bは、可動構造24に対するクリープ現象の影響を抑制でき、低い損失及び高いアイソレーションを実現できる。
したがって、本構成例2におけるMEMSスイッチにおいても、クリープ現象による素子の特性劣化を抑制できる。
[その他]
本発明の第1及び第2の実施形態において、クリープ現象による特性劣化を抑制できるMEMSデバイスについて、説明した。ただし、本発明の実施形態は、図1乃至図16に示されるMEMSデバイスの構造に限定されない。すなわち、あるMEMSデバイスにおいて、延性材料が用いられ、且つ、中空に支持される可動な構造(例えば、電極)が、延性材料が用いられたばね構造と脆性材料が用いられたばね構造とに接続されていれば、本発明の第1及び第2の実施形態で述べたMEMSデバイスと同様の効果が得られるのは、もちろんである。尚、第1の実施形態の構成例2で示したように、可動な構造は、少なくとも脆性材料が用いられたばね構造によって、中空に支持された構成であってもよい。
例えば、静電駆動型アクチュエータにおいて、その上部駆動電極に、延性材料が用いられたばね構造と脆性材料を用いたばね構造とが接続されてもよい。
本発明の例は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1:下部容量電極(下部電極)、11:シグナル電極、12:グランド電極、2:上部容量/駆動電極、31,32:下部駆動電極、15,35,36:絶縁膜、9:基板、41:第1のばね構造、45:第2のばね構造、51,52:アンカー部。

Claims (5)

  1. 基板上に設けられる電極と、
    前記基板上に設けられた第1及び第2のアンカー部によって、前記電極上方に中空に支持され、前記電極に向かって動く可動構造と、
    前記第1のアンカー部と前記可動構造とを接続し、延性材料が用いられる第1のばね構造と、
    前記第2のアンカー部と前記可動構造とを接続し、脆性材料が用いられる第2のばね構造とを、具備することを特徴とするMEMSデバイス。
  2. 前記第2のばね構造のばね定数が、前記第1のばね構造のばね定数よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のMEMSデバイス。
  3. 前記可動構造は、前記電極と対をなす電極であって、前記可動構造と前記電極とは、可変容量素子の容量電極を構成する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のMEMSデバイス。
  4. 前記可動構造は、前記電極上方に接点部を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のMEMSデバイス。
  5. 前記延性材料は、導電体であり、前記脆性材料は、絶縁体である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
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