JP2011065939A - 超高圧放電ランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ランプの始動時において、グロー放電からアーク放電にスムーズに移行し、いわゆる立ち消えが生じることがなくて確実に定常点灯することができる超高圧放電ランプを提供する。
【解決手段】発光部および当該発光部の両端に連設された封止部を有する発光管内に、それぞれ基端部分が前記封止部に埋設されて保持された棒状の軸部を有する一対の電極が互いに対向するよう配置されてなる超高圧放電ランプにおいて、
少なくとも一方の電極は、前記軸部より大きい径を有する頭部と、この頭部の後端面に一体に突出して伸びるよう形成され、その内周面が前記軸部から離間して当該軸部を包囲するよう設けられた筒部とを有してなり、当該筒部の内表面に溝が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ショートアーク型の超高圧放電ランプに関し、更に詳しくは例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス:登録商標)を使用したDLP(デジタルライトプロセッシング:登録商標)などの投射型プロジェクタ装置のバックライトや、半導体素子製造用または液晶表示素子製造用の露光装置の光源として好適に用いることができる超高圧放電ランプに関する。
例えばDMD(デジタルマイクロミラーデバイス:登録商標)を使用したDLP(デジタルライトプロセッシング:登録商標)などの投射型プロジェクタ装置においては、矩形状のスクリーンに対して、均一でかつ十分な演色性をもった画像を投影させることが要求されており、このため、光源としては、点灯時の水銀蒸気圧が例えば150気圧以上となるショートアーク型の超高圧放電ランプが採用されている。
また、半導体素子製造用または液晶表示素子製造用の露光装置の光源としては、点灯時の水銀蒸気圧が例えば100気圧以上となるショートアーク型の超高圧放電ランプが採用されている。
このような超高圧放電ランプは、例えば石英ガラスからなる発光管内に、一対の電極が例えば2mm以下の間隔で離間して互いに対向するよう配置されると共に、当該発光管内に水銀およびハロゲンが封入されて構成されている。ここで、発光管内にハロゲンが封入される主たる目的は、発光管内においてハロゲンサイクルを形成すると共に、これにより、電極物質であるタングステンが発光管の内壁に付着することを抑制するためである。このような超高圧放電ランプは、例えば、下記特許文献1乃至下記特許文献4等に記載されている。
しかしながら、このような超高圧放電ランプにおいては、電極間距離が極めて短く、ランプの始動時において大電流を投入することが必要であるため、ランプの始動時には、熱による電極の変形や、電極物質の蒸発による発光管の黒化が生じやすい、という問題がある。
このような問題に鑑み、特殊な構造の電極を用いることによって、ランプの始動時における電極の変形や発光管の黒化を改善する試みがなされている。
図6は、従来の超高圧放電ランプの一例における要部の構成を示す説明用断面図である。この超高圧放電ランプ80は、交流電圧を印加することによって点灯駆動される交流点灯方式によるものであって、発光部101の両端にロッド状の封止部102が形成された、石英ガラスよりなる発光管100を有する。
この発光管100における発光部101内には、それぞれタングステンからなる一対の電極90が互いに対向するよう配置されている。この電極90の各々は、基端部分が発光管100の封止部102に埋設されて保持された棒状の軸部91を有し、この軸部91の先端には、略円柱状の胴部93を介して略円錐状の頭部92が一体に形成されており、この頭部92の先端には突起部92Aが形成されている。電極90の軸部91の基端には、発光管100の封止部102に埋設された導電性金属箔(図示省略)が溶接されて接続され、この導電性金属箔には、発光管100の封止部102の外端から突出する外部リード棒(図示省略)が接続されている。
また、図示の例では、胴部93の周囲には、当該胴部93にコイルが巻き付けられた状態で溶融されることによって一体的に形成されたコイル部94が設けられている。
特開2005−063817号公報 特開2006−079986号公報 特開2000−231903号公報 特開2006−278907号公報
上記の超高圧放電ランプにおいて、コイル部94は、主としてランプの始動時におけるグロー放電期間中に電極90を加熱し、当該電極90の温度上昇を促すことにより、グロー放電からアーク放電への移行を容易にするためものである。
しかしながら、このような超高圧放電ランプにおいては、電極90にコイル部94を設けられていても、グロー放電からアーク放電に移行せず、いわゆる立ち消えが生じる結果、確実に定常点灯することが困難である、という問題がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、ランプの始動時において、グロー放電からアーク放電にスムーズに移行し、いわゆる立ち消えが生じることがなくて確実に定常点灯することができる超高圧放電ランプを提供することにある。
本発明の超高圧放電ランプは、発光部および当該発光部の両端に連設された封止部を有する発光管内に、それぞれ基端部分が前記封止部に埋設されて保持された棒状の軸部を有する一対の電極が互いに対向するよう配置されてなる超高圧放電ランプにおいて、
少なくとも一方の電極は、前記軸部より大きい径を有する頭部と、この頭部の後端面に一体に突出して伸びるよう形成され、その内周面が前記軸部から離間して当該軸部を包囲するよう設けられた筒部とを有してなり、当該筒部の内表面に溝が形成されていることを特徴とする。
本発明の超高圧放電ランプにおいては、前記筒部の溝が、当該筒部の軸方向に伸びるよう形成されていることが好ましい。
また、前記筒部の溝の幅が0.1〜400μmであることが好ましい。
また、前記軸部には、前記筒部の内表面に対向する部分の表面に溝が形成されていることが好ましく、この軸部の溝が、当該軸部の軸方向に伸びるよう形成されていることがより好ましい。
本発明の超高圧放電ランプによれば、電極における筒部の内表面に溝が形成されているため、ランプの始動時においては、この溝によって形成される突条部に電流が集中することにより、当該突条部が加熱されると共に、溝の側面間で生じるホロー効果によって、当該溝の側面が加熱される結果、突条部の温度が局所的に上昇して高温状態となるので、当該突条部にアークの起点が形成される。また、溝が軸方向に形成されることにより、筒部には、軸方向に沿って高温部分が形成されるため、筒部の後端側においてもアークの起点が形成される結果、アーク放電が筒部全体で生じやすくなる。従って、ランプの始動時において、グロー放電からアーク放電にスムーズに移行し、いわゆる立ち消えが生じることがなくて確実に定常点灯することができる。
また、軸部における筒部の内表面に対向する部分の表面に溝を形成することにより、筒部と同様に軸部も加熱されるため、筒部と軸部との温度差が小さくなり、これにより、筒部に生じた熱が軸部を介して放熱することが抑制されるので、筒部の高温状態が維持される結果、グロー放電からアーク放電に一層スムーズに移行させることができる。
本発明の超高圧放電ランプの一例における構成を示す説明用断面図である。 図1に示す超高圧放電ランプにおける電極の側面図である。 図2に示す電極の側面断面図である。 図2に示す電極を線分P−Pで切断してその一部を拡大して示す断面図である。 図1に示す超高圧放電ランプにおける始動時の状態を示す説明用断面図である。 従来の超高圧放電ランプの一例における要部の構成を示す説明用断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の超高圧放電ランプの一例における構成を示す説明用断面図であり、図2は、図1に示す超高圧放電ランプにおける電極の側面図、図3は、図2に示す電極の側面断面図、図4は、図2に示す電極を線分P−Pで切断してその一部を拡大して示す断面図である。
この超高圧放電ランプ1の発光管10は、内部に放電空間Sを形成する外形が略球状の発光部11と、この発光部11の両端の各々に一体に連設された、管軸に沿って外方に伸びるロッド状の封止部12とを有する。この発光管10における発光部11内には、それぞれ基端部分が封止部12に埋設されて保持された棒状の軸部23を有する全体がタングステンよりなる一対の電極20が互いに対向するよう配置されている。
発光管10における封止部12の各々の内部には、モリブデンよりなる金属箔13が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設され、金属箔13の各々の一端には、一対の電極20における軸部23の基端が溶接されて電気的に接続されており、一方、金属箔13の各々の他端には、封止部12の外端から外方に突出する外部リード14が溶接されて電気的に接続されている。
この例における超高圧放電ランプ1は、一対の電極20間に交流電圧を印加することによって点灯駆動される交流点灯方式によるものであり、電極20の各々は、定常点灯時における熱的設計を容易にするため、互いに同一の構成のものとされている。
発光管10は石英ガラスより構成され、この発光管10の発光部11内には、例えば、水銀、希ガスおよびハロゲンガスが封入されている。
発光部11内に封入される水銀は、必要な可視光波長、例えば波長360〜780nmの放射光を得るためのものであり、点灯時に例えば100気圧以上の高い水銀蒸気圧を確保するために、その封入量が例えば0.10mg/mm3 以上とされている。この水銀の封入量を増加することにより、点灯時に200気圧以上、または300気圧以上の高い水銀蒸気圧を得ることができ、プロジェクタ装置に適した光源を実現することができる。
発光部11内に封入される希ガスは、点灯始動性を改善するためのものであり、その封入圧は、静圧で例えば10〜26kPaである。また、希ガスとしては、アルゴンガスを好適に用いることができる。
発光部11内に封入されるハロゲンは、発光部11内においてハロゲンサイクルを形成すると共に、これにより、電極物質であるタングステンが発光部11の内壁に付着することを抑制するためのものであり、水銀その他の金属との化合物の形態で封入される。ハロゲンの封入量は、例えば1×10-6〜1×10-2μmol/mm3 である。また、ハロゲンとしては、沃素、臭素、塩素などを用いることができる。
また、発光部11内には、更に他の放電媒体としてハロゲン化金属を封入することもできる。
電極20においては、図2および図3に示すように、軸部23が小径部分23Aの先端に大径部分23Bが一体に形成されてなり、この軸部23の大径部分23Bの先端に頭部21が一体に形成されている。この頭部21は、先端に向かって小径となる略円錐台状の基台部分21Bと、この基台部分21Bの先端に一体に形成された、先端に向かって小径となる略円錐台状の突起部分21Aとにより構成されている。頭部21の基台部分21Bの後端は軸部23の大径部分23Bの先端の径より大きい径を有するものとされ、頭部21の突起部分21Aの後端は基台部分21Bの先端の径より小さい径を有するものとされている。
頭部21の基台部分21Bの後端には、当該基台部分21Bの後端の径と実質的に同一の外径を有する円筒状の筒部22が、軸部23と離間した状態で、基台部分21Bの後端から続いて一体に軸部23の先端側の部分を包囲するよう形成されている。
この筒部22の内表面には、図4に示すように、それぞれ筒部22の軸方向(図4において紙面に垂直な方向)に沿って当該筒部22の先端から後端まで伸びる、互いに対向する側面24A,24Bを有する複数の溝24が、当該筒部22の周方向に等間隔で離間して並んだ状態で形成され、当該筒部22の内表面に溝24が形成されることによって隣接する溝24の間に突条部25が形成されている。
また、軸部23における筒部22に対向する部分の表面には、それぞれ軸部23の軸方向(図4において紙面に垂直な方向)に沿って伸びる、互いに対向する側面26A,26Bを有する複数の溝26が、当該軸部23の周方向に等間隔で離間して並んだ状態で形成されている。
電極20を形成するタングステンとしては、その純度が4N以上のものを用いることが好ましい。電極物質として純度が4N以上のタングステンを用いることにより、電極20における頭部21や軸部23から放電空間S内に放出される不純物の量を低減することができる。
また、電極20は、例えば一本のタングステンよりなる棒材からレーザ加工、放電加工などによって切削する方法、電極の各部を別個に形成した後に、これらを溶接する方法によって形成することができる。
頭部21の体積は、1〜10mm3 であることが好ましい。頭部21の体積が過小である場合には、熱容量が小さいため、アークによる熱的負荷によって電極物質の溶融または蒸発が生じやすくなる。一方、頭部21の体積が過大である場合には、頭部21によって遮られる光の量が大きいため、光を高い効率で外部に放射することか困難となることがある。
また、頭部21の後端の径(図示の例では基台部分21Bの後端の径)は、例えば1.0〜3.0mmである。
筒部22の全長は、0.3〜5mmであることが好ましい。筒部22の全長が過小である場合には、放電が軸部23に達することにより、当該軸部23が高い温度に加熱されることがあり、また、筒部22に生じた熱が頭部21を介して軸部23に伝達されやすくなる。一方、筒部22の全長が過大である場合には、発光管10の内壁との距離が短いため、筒部22の後端部分において放電が生じたときには、発光管10に黒化などが生じることがある。
軸部23の径は、ランプの定格消費電電力や、電極21を形成する電極物質と封止部12を形成する石英ガラスとの熱膨張差などを勘案して設定されるが、軸部23の先端の径(図示の例では大径部分23Bの先端の径)は、頭部21の後端の径の20〜70%であることが好ましい。軸部23の先端の径がこの範囲にあれば、頭部21から軸部23への熱伝達が小さく、軸部23の温度上昇を抑制することができる。
また、図示の例では、軸部23の先端側が大径部分23Bとされているが、このような構成によれば、一本の棒材からレーザ加工、放電加工などによって切削する方法によって電極20を製造する場合において、当該棒材から切り出されて除去される部分が少ないため、電極20の製造が容易となる、という利点がある。
電極20における筒部22と軸部23との離間距離kは、10μm〜1mmであることが好ましい。この離間距離kが10μm以上であれば、超高圧放電ランプ1の始動時に筒部22が加熱されて高温状態となった場合でも、その熱が軸部23に直接伝達されにくいため、軸部23の温度上昇を抑制することができる。
筒部22に形成された溝24の各々は、その幅が0.1〜400μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜100μmである。溝24の幅が過小である場合には、グロー放電を起こすためのイオンが衝突する領域が狭くなるため、イオンが溝24の側面24A,24Bにほとんど衝突せず、ホロー効果が生じにくくなる。また、作製上困難である理由から、0.1μm以上が適当である。一方、溝24の幅が過大である場合には、当該溝24の側面24A,24B間において、グロー放電時に空間中のイオン密度が小さくなるため、単位面積あたりの溝24の側面24A,24Bに衝突するイオン数の割合が減少し、ホロー効果が生じにくく、当該溝24の側面24A,24Bを高い温度に加熱することが困難となる。
また、筒部22に形成された溝24の各々の深さは、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜100μmである。溝24の深さが過小である場合には、溝24の幅が過小である場合と同様の理由でホロー効果が生じにくくなる。一方、溝24の深さが過大である場合では、溝24の幅が過大である場合と同様の理由でホロー効果が生じにくくなる。
また、筒部22に形成された突条部25の各々は、その幅が、0.1〜400μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜100μmである。突条部25の幅が過小である場合には、製作上困難である。一方、突条部25の幅が過大である場合には、突条部25の表面の熱が金属内部へ流出し、突条部25表面の温度が下がるため、グロー放電からアーク放電に移行しにくくなる。
また、筒部22に形成された溝24の数は、筒部22の寸法、溝24の幅、突条部25の幅などに応じて設定される。
軸部23に形成された溝26の各々は、その幅が0.1〜400μmであることが好ましい。溝26の幅が過小である場合には、溝24の幅が過小である場合と同様の理由により、ホロー効果が生じにくくなり、また、作製上困難であるため、0.1μm以上が適当である。一方、溝26の幅が過大である場合には、溝24の幅が過大である場合と同様に、当該溝26の側面26A,26B間においてホロー効果が生じにくく、当該溝26の側面26A,26Bを高い温度に加熱することが困難となる。
また、軸部23に形成された溝26の各々の深さは、例えば0.1〜100μmである。
また、軸部23に形成された溝26の数は、軸部23の寸法、溝26の幅などに応じて設定される。
上記の超高圧放電ランプ1においては、例えば始動時に直流電流を供給し、その後、交流電流を供給する給電装置によって、以下のようにして点灯駆動される。
給電装置から電力が供給されると、電極20間において絶縁破壊が生じ、陰極動作する電極20の表面から水銀が蒸発して放電が開始され、例えば数十Vの水銀アークが形成され、この水銀アーク放電により、電極20に付着した水銀が当該電極20から熱を受けて蒸発が促される。ここで、水銀アーク放電においては、電極20は熱電子が放出されるのに必要な温度に加熱されないため、電極20の表面に付着した水銀の蒸発が完了すると、電極20間に例えば数百Vのグロー放電が開始される。
グロー放電は、放電空間S内の希ガス、水銀および電極物質であるタングステンのイオンが、例えば数百Vの電圧によって加速されて陰極動作する電極に衝突してエネルギーを付与することによって行なわれ、図5(1)に示すように、グロー放電Gは、電極20における頭部21および筒部22の表面全体を覆うよう形成される。グロー放電期間中においては、筒部22の熱容量が小さいため、当該筒部22が高温状態となるが、当該筒部22は、その内周面が軸部23から離間した状態であって頭部21にのみ接続されているため、筒部22に生じた熱は頭部21に伝達され、これにより、頭部21も高温状態となり、更に、その熱は軸部23に伝達される。
電極20の温度が熱電子を放出することが可能な温度に達すると、グロー放電から数十Vのランプ電圧を有するアーク放電に移行する。このアーク放電は、電極20において熱電子の放出が可能な温度に達した箇所から局所的に開始する。而して、上記の超高圧放電ランプ1においては、電極20における筒部22の内表面に、複数の溝24が形成されており、この溝24によって形成された突条部25には電流が集中するため、当該突条部25が加熱されると共に、溝24の側面24A,24B間においてホロー効果が生ずることによって当該溝24の側面24A,24Bが加熱され、これにより、突条部25が局所的に高温状態となる。ここで、ホロー効果とは、互いに対向する面の間において、一方の面から放出された電子が、他方の面に衝突して当該一方の面に向かって反射することにより、電子放出率を向上させる効果をいう。その結果、図5(2)において実線で示すように、アーク放電Aは、初期においては筒部22の突条部25が位置する箇所から形成され、その後、対向する電極側との距離が小さくなるよう移行し、最終的には、図5(2)において破線で示すように、電極20の先端の突起部分21Aから形成される。
このような超高圧放電ランプ1によれば、電極20における筒部22の内表面に溝24が形成されているため、ランプの始動時においては、この溝24によって形成される突条部25に電流が集中することにより、当該突条部25が加熱されると共に、溝24の側面24A,24B間で生じるホロー効果によって、当該溝24の側面24A,24Bが加熱される結果、突条部25の温度が局所的に上昇して高温状態となるので、当該突条部25にアークの起点が形成される。また、溝24が軸方向に形成されることにより、筒部22には、軸方向に沿って高温部分が形成されるため、筒部22の後端側においてもアークの起点が形成される結果、アーク放電が筒部全体で生じやすくなる。従って、ランプの始動時において、グロー放電からアーク放電にスムーズに移行し、いわゆる立ち消えが生じることがなくて確実に定常点灯することができる。
また、軸部23における筒部22の内表面に対向する部分の表面に溝26が形成されているため、筒部22と同様に軸部23も加熱されるため、筒部22と軸部23との温度差が小さくなり、これにより、筒部22に生じた熱が軸部23を介して放熱することが抑制されるので、筒部22の高温状態が維持される結果、グロー放電からアーク放電に一層スムーズに移行させることができる。
また、超高圧放電ランプ1の使用寿命の末期においては、筒部22に形成された溝24の周辺部分が、過熱により溶融して変形した状態となることがあるが、このような状態においては、軸部23における筒部22の内表面に対向する部分の表面に溝26が形成されていることにより、ランプの始動確率を向上させることができる。
上記の超高圧放電ランプ1について具体的な仕様を示すと、発光管10においては、発光部11の最大外径が12mm、発光部11の内容積が120mm3 であり、電極20においては、頭部21の後端(図示の例では基台部分21Bの後端)の径aが2mm、筒部22の肉厚bが0.2mm、筒部22の内径cが1.6mm、軸部23の小径部分23Aの径eが0.5mm、軸部23の大径部分23Bの径dが1.2mm、電極20の全長fが10mmであり、筒部22と軸部23との離間距離kが0.2mmである。また、電極間距離が1.2mm、定格電圧が85V、定格電力が300Wである。
このような超高圧放電ランプ1においては、発光管10における発光部11内に例えば0.15mg/mm3 以上の水銀が封入されることにより、点灯中に発光部11内の水銀蒸気圧が例えば150気圧以上となり、このような超高圧放電ランプ1は、例えばプロジェクタ装置の光源として好適である。また、プロジェクタ装置においては、装置全体の小型化が図られる一方、高い光量が要求されることから、発光管10における発光部11内の熱的条件は極めて厳しいものであり、例えばランプの管壁負荷値は0.8〜3.0W/mm2 、より具体的な一例を挙げると2.1W/mm2 である。
このような高い水銀蒸気圧や管壁負荷値を有することにより、プロジェクタ装置の光源として用いられる場合に演色性の良好な放射光を得ることができる。
また、上記の超高圧放電ランプ1においては、発光管10における発光部11内に例えば0.10mg/mm3 以上の水銀が封入されることにより、点灯中に発光部11内の水銀蒸気圧が例えば100気圧以上となる。このような超高圧放電ランプ1は、半導体素子製造用または液晶表示素子製造用の露光装置における光源として、極めて有用である。
本発明の超高圧放電ランプにおいては、上記の実施の形態に限られず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば筒部の内表面に形成された溝は、筒部の軸方向に対して平行に形成されている必要はなく、筒部の軸方向に対して斜め方向に伸びるよう形成されていてもよく、らせん状に形成されていてもよい。
また、本発明の超高圧放電ランプは、一対の電極間に直流電圧を印加することによって点灯駆動される直流点灯方式によるものであってもよい。
このような直流点灯方式による超高圧放電ランプにおいては、陽極として動作する電極としては、図2〜4に示す電極以外の適宜のものを用いることができる。
〈実験例〉
図1〜図4に示す構成に従い、下記の仕様を有する交流点灯型のランプ(L1)〜ランプ(L15)を作製した。また、以下の仕様において、電極の筒部に形成された溝および突条部の寸法並びに軸部に形成された溝の寸法を除き、全てのランプに共通の仕様である。
・発光管(10)は、石英ガラス製で、発光部の内容積が120mm3 である。
・電極間距離は1.2mmである。
・発光管(10)内には、水銀、希ガスおよびハロゲンとして臭素が封入され、水銀封入量は0.15mg/mm3 、ハロゲン封入量は5×10-4μmol/mm3 である。
・電極(20)は、純度が99.99%のタングステン製で、頭部(21)の後端の径aが2mm、頭部(21)の体積が0.9mm3 、筒部(22)の肉厚bが0.2mm、筒部(22)と軸部(23)との離間距離kが0.2mm、筒部(22)の内径cが1.6mm(内周の長さが5.024mm)、軸部(23)の小径部分(23A)の径eが0.5mm、軸部(23)の大径部分(23B)の径dが1.2mm(外周の長さが3.768mm)、電極(20)の全長fが10mmであり、筒部(22)の内表面には、下記表1に示す寸法および数の溝(24)が筒部(22)の軸方向に沿って伸びるよう形成され、軸部(23)における筒部(22)の内表面に対向する部分の表面には、下記表1に示す寸法および数の溝(26)が軸部(23)の軸方向に沿って伸びるよう形成されている。
・定格電圧が85V、定格電力が300Wである。
各ランプについて、以下のようにして始動性試験を行った。
各ランプを5分間点灯させた後、当該ランプを冷却ファンによって冷却しながら5分間消灯させた。この操作を100回繰り返し、100回の点灯操作中、一度も立ち消えすることなく100回とも定常点灯に至ったものを◎、グロー放電からアーク放電に移行する際に瞬間的な立ち消えが1回以上発生したが、100回とも定常点灯に至ったものを○、1回以上立ち消えが発生して定常点灯に至らなかったものを×として評価した。
結果を下記表1に示す。
Figure 2011065939
表1の結果から、筒部の内表面に形成された溝の幅が400μm以下、好ましくは100μm以下であるランプによれば、グロー放電からアーク放電にスムーズに移行し、確実に定常点灯されることが確認された。
これに対して、筒部の内表面に形成された溝の幅が500μmのランプにおいては、グロー放電からアーク放電に移行せず、立ち消えが生じて定常点灯することができないことがあった。
1 超高圧放電ランプ
10 発光管
11 発光部
12 封止部
13 金属箔
14 外部リード
20 電極
21 頭部
21A 突起部分
21B 基台部分
22 筒部
23 軸部
23A 小径部分
23B 大径部分
24 溝
24A,24B 側面
25 突条部
26 溝
26A,26B 側面
80 超高圧放電ランプ
90 電極
91 軸部
92 頭部
92A 突起部
93 胴部
94 コイル部
100 発光管
101 発光部
102 封止部
S 放電空間

Claims (5)

  1. 発光部および当該発光部の両端に連設された封止部を有する発光管内に、それぞれ基端部分が前記封止部に埋設されて保持された棒状の軸部を有する一対の電極が互いに対向するよう配置されてなる超高圧放電ランプにおいて、
    少なくとも一方の電極は、前記軸部より大きい径を有する頭部と、この頭部の後端面に一体に突出して伸びるよう形成され、その内周面が前記軸部から離間して当該軸部を包囲するよう設けられた筒部とを有してなり、当該筒部の内表面に溝が形成されていることを特徴とする超高圧放電ランプ。
  2. 前記筒部の溝が、当該筒部の軸方向に伸びるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超高圧放電ランプ。
  3. 前記筒部の溝の幅が0.1〜400μmであることを特徴とする請求項2に記載の超高圧放電ランプ。
  4. 前記軸部には、前記筒部の内表面に対向する部分の表面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の超高圧放電ランプ。
  5. 前記軸部の溝が、当該軸部の軸方向に伸びるよう形成されていることを特徴とする請求項4に記載の超高圧放電ランプ。
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