JP2011059535A - ベルト駆動装置、及び、画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルト部材の一部に弱テンション部を形成している場合であっても、ベルト部材の幅方向の寄りが生じにくい、ベルト駆動装置、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】張架部100に対してベルト部材27の走行方向上流側であってニップ部に対してベルト部材27の走行方向下流側と、駆動ローラ28Aに対してベルト部材27の走行方向下流側であってニップ部に対してベルト部材27の走行方向上流側と、にベルト部材27の弛みが生じるように構成している。そして、ベルト部材27の幅方向両端部の弛み量の偏差を検知する検知手段110A〜110Dの検知結果に基いて、ベルト部材27の幅方向両端部のそれぞれの線速度が異なる大きさになるように可変する可変手段28Bを制御して、ベルト部材27の幅方向の寄りを補正する。
【選択図】図4

Description

この発明は、一部に弱テンション部が形成されたベルト部材を駆動するベルト駆動装置と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置では、転写工程と定着工程とを同時におこなう転写定着装置を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1〜3等参照。)。
このような転写定着装置を備えた画像形成装置は、転写工程と定着工程とを別々におこなう画像形成装置に比べて、表面性の粗い記録媒体を使用しても画像品質の低下が起こり難いという利点がある。
詳しくは、転写工程と定着工程とを別々におこなう画像形成装置では、表面性の粗い記録媒体を使用すると、中間転写ベルト等の中間転写体が記録媒体の表面性に追従できずに中間転写体と記録媒体との間に微小ギャップが形成されてしまう。そのため、その微小ギャップが形成された部分で異常放電が発生して、中間転写体上に担持された画像が記録媒体上に正常に転写されずに、画像が全体としてボソボソになってしまう。
これに対して、転写定着装置を備えた画像形成装置では、トナー像に対して転写と同時に熱を加えるため、トナーが軟化・溶融して粘弾性を帯びたブロック状の塊になる。そのため、表面性の粗い記録媒体を使用して定着部材と記録媒体との間に微小ギャップが形成されても、その部分に画像が塊として転写されてしまう。したがって、画像は、ボソボソにならずに、良好で高画質なものになる。
さらに、転写定着装置を備えた画像形成装置は、転写・定着工程がおこなわれるニップ部(ベルト部材と加圧部材との当接位置である。)に搬送される記録媒体上に未定着のトナー像が担持されないために、転写工程と定着工程とを別々におこなう画像形成装置に比べて、記録媒体の搬送経路に対する制約が少なくなる。すなわち、転写工程と定着工程とを別々におこなう画像形成装置は、定着工程がおこなわれるニップ部(定着部材と加圧部材との当接位置である。)に搬送される記録媒体上に未定着のトナー像が担持されるために、転写部から定着部に至る搬送経路には未定着トナー像に接触しないための制約が課せられる。したがって、転写定着装置を備えた画像形成装置は、記録媒体の搬送経路に対する設計上の自由度が高く、記録媒体の搬送性を高めることができる。
一方、特許文献2、3には、転写定着ベルトの速度変動が1次転写部に影響して出力画像上にショックジターが生じないように、転写定着ベルトにおけるニップ部(転写定着部)の上流や下流に弱テンション部(転写定着ベルトに弛みが生じる部分である。)を設けて、その弱テンション部で転写定着ベルトの速度変動を吸収する技術が開示されている。
上述した従来の転写定着装置(特許文献2、3に開示された転写定着装置)は、出力画像上にショックジターが生じないように、ニップ部の上流や下流において転写定着ベルトの弱テンション部を形成しているために、転写定着ベルトに幅方向の寄り(ベルト寄り)が生じやすかった。
詳しくは、ニップ部の上流側や下流側にて転写定着ベルトの緩みを形成しているために、転写定着ベルトの幅方向の弛み量に偏差が生じてしまったときに、弛み量が小さい側のベルト張力が弛み量が大きい側のベルト張力よりも大きくなってしまい、転写定着ベルトが幅方向の一端側(ベルト張力が大きくなる側である。)に移動してしまっていた。このような弱テンション部を設けた場合の転写定着ベルトのベルト寄りは、弱テンション部を設けない場合(ベルト全体に張力を与えている場合である。)の転写定着ベルトのベルト寄りに比べて、大きくなる。そのため、ベルト駆動装置の筐体等に、転写定着ベルトの幅方向両端部に当接する寄り止め用のストッパ部を設けても、転写定着ベルトがそのストッパ部を乗り越えてしまうことがあった。
なお、このような問題は、転写定着ベルトが搭載されたベルト駆動装置に限定されることなく、中間転写ベルトや感光体ベルト等のベルト部材が搭載されたベルト駆動装置であって、ベルト部材に弱テンション部を形成しているものであれば、共通して生じ得るものである。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ベルト部材の一部に弱テンション部を形成している場合であっても、ベルト部材の幅方向の寄りが生じにくい、ベルト駆動装置、及び、画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかるベルト駆動装置は、複数のローラ部材が内接されるとともに、前記複数のローラ部材のうち少なくとも2つのローラ部材によって張架された張架部を具備するベルト部材と、前記ベルト部材に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、前記複数のローラ部材のうちの1つであって前記ベルト部材を駆動するとともに、前記張架部に対して前記ベルト部材の走行方向下流側であって前記ニップ部に対して前記ベルト部材の走行方向上流側に配設された駆動ローラと、を備え、前記張架部に対して前記ベルト部材の走行方向上流側であって前記ニップ部に対して前記ベルト部材の走行方向下流側と、前記駆動ローラに対して前記ベルト部材の走行方向下流側であって前記ニップ部に対して前記ベルト部材の走行方向上流側と、の少なくとも一方に前記ベルト部材の弛みが生じるように構成され、前記ベルト部材の幅方向両端部の弛み量の偏差を検知する検知手段と、前記ベルト部材の幅方向両端部のそれぞれの線速度が異なる大きさになるように可変する可変手段と、をさらに備え、
前記検知手段の検知結果に基づいて前記可変手段を制御して、前記ベルト部材の幅方向の寄りを補正するものである。
また、請求項2記載の発明にかかるベルト駆動装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記ベルト部材の幅方向の寄りを検知する第2検知手段をさらに備え、前記第2検知手段の検知結果にも基づいて前記可変手段を制御して、前記ベルト部材の幅方向の寄りを補正するものである。
また、請求項3記載の発明にかかるベルト駆動装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記複数のローラ部材のうちの1つであって弾性層を具備して前記ニップ部の位置で前記ベルト部材を介して前記加圧部材に圧接するとともに、前記加圧部材に対する幅方向の圧接力のバランスが可変制御される対向ローラを備え、前記可変手段は、前記対向ローラであって、前記検知手段の検知結果に基づいて前記幅方向の圧接力のバランスが可変制御されるものである。
また、請求項4記載の発明にかかるベルト駆動装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記複数のローラ部材のうちの1つであって前記ニップ部の位置で前記ベルト部材を介して前記加圧部材に圧接するとともに、その回転速度が可変制御される対向ローラを備え、前記検知手段は、前記ニップ部に対する前記ベルト部材の走行方向下流側の弛み量と走行方向上流側の弛み量との偏差をも検知するように構成され、前記検知手段の検知結果に基づいて前記対向ローラの回転速度を可変制御することで、前記ニップ部に対する前記ベルト部材の走行方向下流側の弛み量と、前記ニップ部に対する前記ベルト部材の走行方向上流側の弛み量と、を調整するものである。
また、請求項5記載の発明にかかるベルト駆動装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記複数のローラ部材のうちの1つであって前記ベルト部材の走行によって従動するとともに、その回転軸に対して平行に移動可能に構成された従動ローラを備えたものである。
また、請求項6記載の発明にかかるベルト駆動装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記ベルト部材の弛みが生じている部分に対して接離可能に構成され、記録媒体の先端部と後端部とが前記ニップ部を通過するときに前記ベルト部材から離間するように制御されるテンショナを備えたものである。
また、請求項7記載の発明にかかるベルト駆動装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記複数のローラ部材のうち少なくとも1つのローラ部材は、前記ベルト部材の走行方向に対する回転軸の角度を可変できるように構成されたものである。
また、請求項8記載の発明にかかるベルト駆動装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記張架部は、像担持体に対向するとともに、前記像担持体に形成されたトナー像が転写される1次転写部であって、前記ベルト部材を、前記1次転写部の位置で転写されたトナー像を前記ニップ部の位置で記録媒体上に転写するとともに定着する転写定着ベルトとしたものである。
また、請求項9記載の発明にかかるベルト駆動装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記張架部は、像担持体に対向するとともに、前記像担持体に形成されたトナー像が転写される1次転写部であって、前記ベルト部材を、前記1次転写部の位置で転写されたトナー像を前記ニップ部の位置で記録媒体上に転写する中間転写ベルトとしたものである。
また、この発明の請求項10記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項9のいずれかに記載のベルト駆動装置を備えたものである。
本発明は、ベルト部材の一部に弱テンション部を形成している場合であっても、ベルト部材の幅方向の寄りが生じにくい、ベルト駆動装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
この発明の実施の形態1における画像形成装置を示す全体構成図である。 転写定着装置の一部を示す拡大図である。 転写定着装置に設置される加熱装置を幅方向にみた図である。 転写定着ベルトに弛みが生じている状態を示す図である。 ニップ部の近傍を幅方向にみた下面図である。 ニップ部の近傍を幅方向にみた正面図である。 ベルト寄り補正時の対向ローラの動作を示す正面図である。 この発明の実施の形態2における転写定着装置の一部を示す図である。 この発明の実施の形態3における中間転写装置の一部を示す図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1〜図7にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、21は各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにそれぞれ収容された像担持体としての感光体ドラム、22は感光体ドラム21上を帯電する帯電部、23Y、23M、23C、23BKは感光体ドラム21上に形成される静電潜像を現像する現像装置、24は感光体ドラム21上に形成されたトナー像を転写定着ベルト27に転写する転写バイアスローラ、25は感光体ドラム21上の未転写トナーを回収するクリーニング装置、を示す。
また、27は複数色のトナー像が重ねて転写されるベルト部材としての転写定着ベルト、29は転写・定着工程後の転写定着ベルト27を清掃するベルトクリーニング装置、32Y、32M、32C、32BKは各現像装置23Y、23M、23C、23BKに各色のトナーを補給するトナー補給部、51は原稿Dを原稿読込部55に搬送する原稿搬送部、55は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、61は転写紙等の記録媒体Pが収納される給紙部、66は記録媒体P上にトナー像を転写・定着する転写定着装置(ベルト駆動装置)、67は転写・定着工程直前の記録媒体Pを加熱する加熱装置、68は転写定着ベルト27に圧接してニップ部(転写定着部)を形成する加圧部材としての加圧ローラ、85は転写定着ベルト27の幅方向の温度分布を均一化する均しローラ、88は転写定着ベルト27を加熱するヒータ、91は記録媒体をPを加熱装置67に向けて付勢する付勢部材としてのブラシ状部材、を示す。
ここで、ベルト駆動装置としての転写定着装置66(転写定着ベルト駆動装置)は、ベルト部材としての転写定着ベルト27、加圧部材としての加圧ローラ68、ベルトクリーニング装置29、均しローラ85、加熱装置67、付勢部材としてのブラシ状ローラ91、ヒータ88、等で構成される。
また、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、感光体ドラム21、帯電部22、クリーニング装置25が、一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成がおこなわれる。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部51の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部55のコンタクトガラス53上に載置される。そして、原稿読込部55で、コンタクトガラス53上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部55は、コンタクトガラス53上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部(不図示である。)で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKの感光体ドラム21上に向けて発せられる。
一方、4つの感光体ドラム21(像担持体)は、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム21の表面は、帯電部22との対向位置で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム21上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム21表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応して射出される。レーザ光は、ポリゴンミラー3に入射して反射した後に、レンズ4、5を透過する。レンズ4、5を透過した後のレーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、ミラー6〜8で反射された後に、紙面左側から1番目のプロセスカートリッジ20Yの感光体ドラム21表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラー3により、感光体ドラム21の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部22にて帯電された後の感光体ドラム21上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、ミラー9〜11で反射された後に、紙面左から2番目のプロセスカートリッジ20Mの感光体ドラム21表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、ミラー12〜14で反射された後に、紙面左から3番目のプロセスカートリッジ20Cの感光体ドラム21表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、ミラー15で反射された後に、紙面左から4番目のプロセスカートリッジ20BKの感光体ドラム21表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム21表面は、それぞれ、現像装置23Y、23M、23C、23BKとの対向位置に達する。そして、各現像装置23Y、23M、23C、23BKから感光体ドラム21上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム21上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21表面は、それぞれ、複数のローラ部材28A〜28Cが内接する転写定着ベルト27との対向位置(張架部としての1次転写部である。)に達する。ここで、それぞれの対向位置には、転写定着ベルト27の内周面に当接するように転写バイアスローラ24が設置されている。そして、転写バイアスローラ24の位置で、転写定着ベルト27上に、感光体ドラム21上に形成された各色の画像(トナー像)が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
そして、1次転写工程後の感光体ドラム21表面は、それぞれ、クリーニング装置25との対向位置に達する。そして、クリーニング装置25で、感光体ドラム21上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム21表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
他方、感光体ドラム21上の各色のトナー像が重ねて転写・担持された転写定着ベルト27の表面は、図中の矢印方向に走行して、加圧ローラ68(加圧部材)との当接位置(ニップ部である。)に達する。すなわち、張架部としての1次転写部の位置で転写定着ベルト27に1次転写されたトナー像は、ヒータ88の位置を通過して、転写定着ベルト27と加圧ローラ68とのニップ部(転写定着部)に達する。ここで、本実施の形態1における転写定着装置66は、従来のものとは異なり、転写定着ベルト27自体を直接的に加熱するヒータ88の加熱量が小さく設定されている。
そして、転写定着ベルト27上のトナー像Tは、ニップ部(転写定着部)にて、記録媒体Pの転写定着面(おもて面)に転写されるとともに定着される(転写・定着工程である。)。詳しくは、記録媒体Pの転写定着面がニップ部の直前で加熱装置67によって加熱されて、ニップ部にて転写定着面の熱によって、ヒータ88によって予め加熱されたトナー像がさらに加熱され溶融されるとともに、ニップ部の圧力によってトナー像が転写定着面に定着される。なお、転写定着装置66の構成・動作については、後で図2〜図7を用いてさらに詳しく説明する。
その後、転写定着ベルト27表面は、ベルトクリーニング部29の位置に達する。そして、転写定着ベルト27上の残トナー等の付着物がベルトクリーニング装置29に回収されて、転写定着ベルト27上の一連の転写定着プロセスが完了する。
ここで、転写定着装置66のニップ部に搬送される記録媒体Pは、給紙部61から搬送ガイド63、レジストローラ64、加熱装置67等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部61から、給紙ローラ62により給送された転写紙Pが、搬送ガイド63を通過した後に、レジストローラ64に導かれる。レジストローラ64に達した記録媒体Pは、転写定着ベルト27上のトナー像とタイミングを合わせて、転写定着ベルト27と加圧ローラ68とのニップ部(転写定着部)に向けて搬送される。このとき、ニップ部に向けて搬送される記録媒体Pは加熱装置67の伝熱板67b(図2を参照できる。)に案内されるとともに、ブラシ状ローラ91によって伝熱板67bに向けて付勢されながら、記録媒体Pの転写定着面のみが加熱装置67(伝熱板67b)によって加熱される。
その後、フルカラー画像が転写・定着された記録媒体Pは、排紙搬送経路を通過して、排紙ローラ80によって装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。なお、本実施の形態1における画像形成装置は、記録媒体Pの搬送速度(又は、プロセス線速)が、300mm/秒程度に設定されている。
なお、本実施の形態1において用いられるトナーは、低温定着に適したものであることが好ましい。具体的に、トナーの軟化点(1/2流出温度)は100℃程度であることが好ましい。
トナー結着樹脂としては、以下の組成のものを使用することができる。
例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、 スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体が挙げられる。
また、以下の樹脂を混合して使用することもできる。ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。この中で特に、ポリエステル樹脂を含有しているものは充分な定着性を得るために、好ましい。特に結晶性ポリエステル樹脂は、紙接触時に充分に軟化溶融し、定着強度とともに色再現性の高い画像形成が可能となる。ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られるが、用いられるアルコールとはポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリエキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノル類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単体、その他の2価のアルコール単体を挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸の2量体、その他の2価の有機酸単量体を挙げることができる。
バインダー樹脂として用いるポリエステル樹脂を得るためには、以上の2官能性単量体のみによる重合体のみでなく、3官能以上の多官能性単量体による成分を含有する重合体を用いることも好適である。かかる多官能性単量体である3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−サルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1.3.5−トリヒドロキシメチルベンゼン、その他を挙げることができる。
また3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ペンゼントリカルボン酸、1,2,5−ペンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンボール3量体酸、これらの酸無水物、その他を挙げることができる。
また、本実施の形態1に用いるトナーには、転写定着工程時の転写定着ベルト27表面でのトナーの離型性を向上する目的で、離型剤を含有させることができる。離型剤として、公知のものをすべて使用できるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックス、エステルワックスを単独又は組み合わせて使用することができる。カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナーバインダー中に分散したときの粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であることが好ましい。酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価は10〜30が好ましい。各ワックスの酸価が各々の範囲未満であった場合、低温定着温度が上昇し低温定着化が不充分となる。逆に酸価が各々の範囲を超えた場合、コールドオフセット温度が上昇し低温定着化が不充分となる。ワックスの添加量としてはバインダー樹脂100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは3〜10重量部の範囲で用いられる。1重量部未満では、その離型効果が薄く所望の効果が得られにくい。また、15重量部を超えた場合はキャリアへのスペントが顕著になる等の問題が生じる。
また、外添加剤として、トナーの流動性を向上させる目的で、シリカ、酸化チタン、アルミナ等、さらに必要に応じて脂肪酸金属塩類やポリフッ化ビニリデン等を添加しても良い。
特に、転写定着装置66は、トナーを充分に加熱することが可能であるため、サブミクロンの大粒径シリカ等の添加剤を比較的多量に用いても定着性や定着温度に影響を与えないため、流動性・転写性を考慮した外添処方が可能である。
次に、図2〜図7にて、本実施の形態1において特徴的な転写定着装置66(ベルト駆動装置)について詳述する。
図2は、転写定着装置66の一部を示す拡大図である。図3は、加熱装置67を図2のX方向から幅方向にみた図である。図4は、転写定着ベルト27に弛みが生じている状態を示す図である。図5は、ニップ部の近傍を幅方向にみた下面図である。図6は、ニップ部の近傍を幅方向にみた正面図であって、図5のZ方向からみた図である。また、図7は、ベルト寄り補正時の対向ローラ28Bの動作を示す正面図であって、図5のZ方向からみた図である。
図2に示すように、ベルト駆動装置としての転写定着装置66(転写定着ベルト装置)は、転写定着ベルト27(ベルト部材)、加圧ローラ68(加圧部材)、ベルトクリーニング装置29、均しローラ85、加熱装置67、ブラシ状ローラ91(付勢部材)、ヒータ88、等で構成される。また、図4及び図5を参照して、転写定着装置66には、転写定着ベルト27の外周面に対向する位置に検知手段としての4つのベルト弛み検知センサ110A〜110Dが設置され、転写定着ベルト27の幅方向端部(片側端面)に対向する位置に第2検知手段としてのベルト寄り検知センサ120A、120Bが設置されている。
ここで、ベルト部材としての転写定着ベルト27は、基材(ベース層)上に、弾性層、離型層が順次形成された多層構造のエンドレスベルトである。基材(ベース層)は、層厚が80μmのポリイミド樹脂で形成されている。弾性層は、記録媒体P表面の凹凸に追従するためのものであって、層厚が200μmのシリコーンゴムで形成されている。離型層は、ベルト表面のトナーや紙粉に対する離型性を確保するためのものであって、層厚が7μmのフッ素樹脂で形成されている。
図1及び図2を参照して、ベルト部材としての転写定着ベルト27には、複数のローラ部材28A〜28Cが内接されている。なお、転写定着ベルト27は、1次転写部100が張架部(高テンション部)となって、それ以外の領域が弱テンション部となるように、ローラ部材28A〜28Cによって支持されているが、これについては後で詳しく説明する。
複数のローラ部材のうちの1つは、駆動ローラ28Aであって、転写定着ベルト27を駆動するためのものである。詳しくは、駆動ローラ28Aは、1次転写部100(張架部)に対して転写定着ベルト27の走行方向下流側であってニップ部(転写定着部)に対して転写定着ベルト27の走行方向上流側に配設されている。駆動ローラ28Aは、その一端側の軸部が駆動モータ(不図示である。)に接続されていて、図2の反時計方向に回転することで、その外周面に巻装された転写定着ベルト27との摩擦抵抗によって転写定着ベルト27を図2の反時計方向に走行させる。
図1を参照して、転写定着ベルト27の内周面に当接する複数のローラ部材のうちの1つは、従動ローラ28Cであって、転写定着ベルト27との摩擦抵抗によって転写定着ベルト27の走行にならって図1の反時計方向に従動する。
ここで、従動ローラ28Cの位置には、転写定着ベルト27の外周面に対向するようにベルトクリーニング装置29が設置されている。ベルトクリーニング装置29には、クリーニングブレード29aが設置されている。そして、クリーニングブレード29aによって、転写・定着工程後の転写定着ベルト27がクリーニングされる。すなわち、転写定着ベルト27上に形成されたトナー像Tがニップ部で記録媒体P上に転写定着された後に、転写定着ベルト27上に残留するトナーがクリーニングブレード29aによって機械的に掻き取られる。クリーニングブレード29aによって掻き取られたトナーは、自重落下してベルトクリーニング装置29内に回収される。
図2を参照して、転写定着ベルト27の内周面に当接する複数のローラ部材のうちの1つは、芯金上に弾性層が形成された対向ローラ28Bであって、図2の反時計方向に回転する。対向ローラ28Bの位置には、転写定着ベルト27の外周面に対向するように加圧ローラ68(加圧部材)が設置されている。また、対向ローラ28Bは、速度可変型の駆動モータ(不図示である。)に接続されていて、その回転速度が可変制御される。そして、対向ローラ28Bの回転速度(回転数)を可変制御しながら、転写定着ベルト27のニップ部上流側・下流側の弛みを調整する。これについては、後で詳しく説明する。
さらに、対向ローラ28Bは、その幅方向両端部にそれぞれ設置された不図示のカム機構(加圧力可変機構)によって、加圧ローラ68に対する幅方向の圧接力のバランスが可変制御される。そして、転写定着ベルト27の幅方向両端部の弛み量の偏差がベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)によって検知されて、その検知結果に基いて対向ローラ28Bの圧接力バランスが可変制御されて、転写定着ベルト27の幅方向の寄りが補正される。これについても、後で詳しく説明する。
ここで、加圧ローラ68は、アルミニウム等からなる円筒状の芯金上に表面層(離型層)が形成されたものであって、図2の時計方向に回転する。加圧ローラ68は、不図示の加圧機構によって、転写定着ベルト27を介して対向ローラ28Bに圧接する。こうして、加圧ローラ68と転写定着ベルト27との間に、所望のニップ部(転写定着部)が形成される。なお、本実施の形態1では、ニップ部(転写定着部)における圧接力(面圧)が、5kgf/cm2程度に設定されている。
加圧ローラ68の表面層としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、等を用いることができる。
加熱装置67は、転写定着装置66におけるニップ部の入口側の近傍に配設されている。加熱装置67は、加熱体67a、伝熱部材としての伝熱板67b、電極67c、等で構成される。
加熱体67aは、伝熱板67bと電極67cとに挟持されている。本実施の形態1では、加熱体67aとして、所定のキューリー点に達すると抵抗が急激に上昇する抵抗発熱体を用いている。具体的に、加熱体67aとして、チタン酸バリウム系半導体磁器素体からなる正特性サーミスタを用いている。また、本実施の形態1では、図3に示すように、加熱体67a(正特性サーミスタ)を幅方向に10個並設している。
伝熱部材としての伝熱板67bは、板厚が0.2mmのステンレス鋼板である。伝熱板67bは、レジストローラ64の近傍からニップ部の近傍にかけて延設されていて、ニップ部に向けて搬送される記録媒体Pを案内する案内板(ガイド板)として機能する。また、伝熱板67bは、ニップ部に向けて搬送される記録媒体Pの転写定着面(おもて面)に接触して、加熱体67aで発生した熱を記録媒体P(転写定着面)に伝熱する機能を有する。さらに、伝熱板67bには交流電源71が接続されていて、一方の電極としても機能することになる。
加熱体67aを挟持する電極67c及び伝熱板67bには、交流電源71が接続されていて、スイッチ72が接続されることにより加熱体67aの両端にAC100ボルトの電圧が印加される。これにより、加熱体67a内に電流が流れて加熱体67aが発熱することになる。さらには、加熱体67aの熱が伝熱板67bから記録媒体Pの転写定着面に伝えられる。
なお、本実施の形態1では、伝熱板67bの材料として、熱伝導率が高く、同体積における熱容量が低く、比較的安価な銅を用いているために、加熱効率が高く比較的安価な加熱装置67を提供することができる。
ここで、加熱体67aは、記録媒体Pの発火点よりも低いキューリー点を有するものを用いることが好ましい。これにより、加熱体67aは、その自己温度制御機能によって、記録媒体Pの発火点以上に昇温する不具合が抑止される。
具体的に、本実施の形態1では、加熱体67aのキューリー点を200℃に設定している。これにより、加熱体67aの温度が200℃を超えたときに、電極67cと伝熱板67bとの間の抵抗が急激に上昇して、加熱体67a内に流れる電流が低下する。詳しくは、加熱体67aの温度が210℃のとき加熱体67a内に流れる電流は1/2に低下して、加熱体67aの温度が220℃のとき加熱体67a内に流れる電流は1/4に低下する。
このように構成された加熱体67aは、1200ワットの電力で6秒後に190〜200℃にまで昇温して、その後は自己温度制御機能により210℃以上に昇温することはない。加熱体67aを210℃以下で制御する場合には、図示しない温度センサを用いてPID制御等によって所望の温度に制御する。制御回路が故障しても、上述のように210℃以上にはなり得ないので安全性が確保される。また、本実施の形態1では、幅方向に複数の加熱体67aを並設しているために、複数の加熱体67aによってそれぞれの自己温度制御がおこなわれて、幅方向の温度ムラを10℃以下にすることができる。
このように構成された加熱装置67は、上述したように、転写・定着工程直前の記録媒体Pの転写定着面(おもて面)のみを加熱するものである。換言すると、加熱装置67は、記録媒体Pの裏面(転写定着面に対する裏面である。)が昇温する前に(おもて面から裏面に熱が伝達される前に)記録媒体Pがニップ部に搬送されるように転写定着面を加熱する。
本願発明者は、160℃に加熱された銅板(厚さ1mm)に記録媒体P(厚紙300g紙)を60msec接触させてその後に雰囲気温度40℃の空中に搬送(空走)したときの、記録媒体Pの転写定着面の温度変動をシミレーションした。その結果、銅板によって約140℃まで加熱された記録媒体Pが、雰囲気温度40℃の空中に10msec(搬送速度300mm/秒の場合、3mmの搬送距離に相当する。)搬送されるだけで110℃まで温度が低下するのがわかった。したがって、転写定着工程前の記録媒体Pの加熱効率を上げるためには、記録媒体を加熱する伝熱部材(伝熱板)をできる限りニップ部に近接させることが必要になる。
本実施の形態1では、伝熱板67bを板状に形成して、その先端をできる限りニップ部に近づけるとともに、その搬送方向の長さをできる限り長く設定しているために、転写定着工程前の記録媒体Pの加熱効率を向上させることができる。
本願発明者は、ブラシ状部材91を設置せずに、伝熱板67bの加熱温度を140〜200℃に設定して、伝熱板67bから送出された後の記録媒体P(リコー社製「コピー用紙6200」)の転写定着面の温度変動を確認した。その結果、伝熱板67bから送出されてから0〜60msecでは記録媒体Pの転写定着面の温度低下が15℃以下であることがわかった。
ここで、本実施の形態1における伝熱板67bは、記録媒体Pを案内する案内面(記録媒体Pに接触する面である。)に、フッ素樹脂粒子を含有するニッケルメッキが覆設されている。具体的には、ニッケルメッキの皮膜中に30vol%のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を分散させている。このようなコーティングは、析出状態の硬度がHv300程度であって通常の樹脂コーティングに比べて硬く、すべり性、耐摩耗性、離型性にも優れている。したがって、伝熱板67bにトナーや紙粉が付着する不具合を軽減できるとともに、伝熱板67bの耐久性を向上させることができる。
なお、伝熱板67bの案内面(記録媒体Pに接触する面である。)を、耐摩耗性が高いダイヤモンドライクカーボン(DLC)やグラファイトライクカーボン(GLC)で覆設することもできる。
本実施の形態1における加熱装置67は、記録媒体Pの転写定着面の温度が、ヒータ88によって補助的に加熱される転写定着ベルト27の表面温度よりも高くなるように、転写定着面を加熱している。すなわち、転写定着ベルト27に担持されたトナー像Tは、主として、ニップ部にて記録媒体Pから受ける熱により加熱・溶融されることになる。
本実施の形態1では、記録媒体Pの転写定着面を加熱していて、出力画像上にて充分な光沢を得るための温度を独立して設定できるので、転写定着ベルト27の温度(定着設定温度)を低くできる。また、記録媒体Pは転写・定着工程の直前に加熱されるので、過剰に加熱されずに、トナーTと記録媒体Pとの密着性も必要以上に高められることはない。
すなわち、本実施の形態1の構成によれば、低温定着が可能であって、装置のウォームアップ時間を短縮できて、省エネルギ化を向上させることができる。また、転写定着ベルト27への熱移動を抑制できるので、転写定着ベルト27の耐久性を向上させることができる。さらに、転写定着ベルト27の加熱温度が低減されるために、転写定着ベルト27の熱劣化を抑制できる。
このように、本実施の形態1における転写定着装置66では、記録媒体Pの転写定着面の温度が転写定着ベルト27(又は、転写定着ベルト27に担持されたトナー像T)の表面温度よりも高くなるように、記録媒体P及び転写定着ベルト27を加熱している。このような場合、転写定着ベルト27に担持されたトナー像Tは、ニップ部にて、主として記録媒体Pから受ける熱により加熱・溶融されることになる。
このように、記録媒体P(転写定着面)の温度が転写定着ベルト27の表面温度よりも高くなるように加熱することで、それぞれのトナーとの界面の粘弾性の違いでホットオフセットを防止することができる。すなわち、トナー層において、記録媒体P側の温度を高く、転写定着ベルト27側の温度を低くすることで、転写定着ベルト27とトナーとの付着力よりも、記録媒体Pとトナーとの付着力を高くして、転写定着ベルト27に対するトナーの離型性を上げることで、転写定着ベルト27へのオフセットが生じない良好な画像が得られる。さらに、耐ホットオフセット性が向上することによって、離型性をあげるためにトナー中に添加するワックスの量を減量することができる(又は、なくすことができる)ため、色再現性、現像性、帯電性の向上が見込まれる。また、転写定着ベルト27の温度を低く設定することで、転写定着ベルト27の冷却が容易になるとともに、転写定着ベルト27に接触している感光体ドラム21等の熱的劣化等の不具合を低減することができる。
具体的に、オフセットを生じさせないためには、ヒータ88によって加熱されるニップ部直前のトナー像(転写定着ベルト27に担持されたトナー像である。)の表面温度をTtとして、加熱装置67によって加熱されるニップ部直前の記録媒体P(転写定着面)の表面温度をTpとして、加圧ベルト68の温度をTbとして、トナーの流出開始温度をTfbとして、トナーの軟化点温度をTsとしたときに、
(Tt+Tp)/2>Tfb …(1)
Tt<Tfb …(2)
Tb<Ts …(3)
なる3つの条件式を成立させることが好ましい。
ここで、トナーの軟化温度、流出開始温度は、「高化式フローテスターCFT500D型」(島津製作所社製)を用いて測定することができる。フローテスターとは溶融物(トナー)が細管を通過するときの粘性抵抗を測定する細管式レオメーターである。測定方法は、まず、シリンダーに充填された試料(トナー)を、周囲から熱して溶融させ、上部からピストンによって一定の圧力を加える。その後、溶融したトナーは細い穴を持ったダイを通して押し出され、フローレートから試料の流動性(溶融粘度)が求められる。なお、測定条件は、荷重:5kgf/cm2、昇温速度:3.0℃/min、ダイ口径:1.00mm、ダイ長さ:10.0mmである。
また、本実施の形態1における転写定着装置66は、伝熱板67bによってニップ部に案内される記録媒体Pを、ブラシ状ローラ91(付勢部材)によって伝熱板67bに押し付ける(付勢する)ように構成されている。このように構成することにより、伝熱板67bに対する記録媒体Pの密着力と密着時間が向上するために、伝熱板67bによって記録媒体Pの表面を確実に目標温度まで温度上昇させて、定着不良を抑制することが可能となる。
ここで、ブラシ状ローラ91は、芯金上に、ポリイミド繊維やアラミド繊維等が植毛されたブラシ布が螺旋状に巻回された耐熱性を有するローラ状部材であって、図2の時計方向に回転する。そして、レジストローラ64の位置を通過した記録媒体Pは、伝熱板67bに案内されて、ニップ部の直前で、ブラシ状ローラ91に付勢されて伝熱板67bに押し当てられながら、伝熱板67bによって加熱された後に、ニップ部に送入されることになる。
なお、本実施の形態1におけるブラシ状ローラ91は、その外径が30mm、ブラシ毛の毛足長さが10mm、ブラシ毛の原糸太さが1330T/120F、ブラシ毛の密度が10万〜15万本/inch2に設定されている。また、ブラシ状ローラ91のブラシ毛は、上述のものに限定されることなく、フッ素樹脂や、耐熱性の樹脂や金属、又は、それらの表面に低摩耗材料をコーティングしたもの、等を用いることもできる。ブラシ状ローラ91に耐熱性をもたせることで、伝熱板67bの熱によってブラシ状ローラ91のブラシ毛が熱劣化する不具合を軽減することができる。
ブラシ状ローラ91は、記録媒体Pとの接触位置における線速度が記録媒体Pの搬送速度に対して同等以上になるように回転駆動されることが好ましい。すなわち、ブラシ状ローラ91は、記録媒体Pの搬送速度と等速又はそれ以上の速度で、図2の時計方向に回転することが好ましい。
このような構成により、記録媒体Pがブラシ状ローラ91と伝熱板67bとの接触位置に進入するときに、ブラシ状ローラ91に引っ掛かって搬送性が低下する不具合を防止することができる。なお、本実施の形態1では、ブラシ状ローラ91の記録媒体Pとの接触位置における線速度が、記録媒体Pの搬送速度に対して1〜3%速くなるように設定されている。
また、付勢部材としてブラシ状ローラ91は、伝熱板67bに案内される記録媒体Pに複数個所で点接触又は線接触することになる。記録媒体Pとの接触面積を極力小さくして記録媒体Pを伝熱板67bに押圧することで、ブラシ状ローラ91の側に熱が移動して記録媒体Pの加熱効率が低下する不具合を抑止することができるとともに、記録媒体Pの搬送性が低下する不具合を抑止することができる。
なお、本実施の形態1では、伝熱板67bに圧接するブラシ状ローラ91の加圧幅(ニップ幅)が3〜12mmになるように設定されている(3〜5kgf程度の加圧圧に相当する。)。
このように、本実施の形態における転写定着装置66は、ヒータ88による転写定着ベルト27の加熱を最小限に抑えて、トナーの加熱・溶融に必要な熱量を、ニップ部に搬送される直前に記録媒体Pを効率的に加熱することで補足するものである。しかし、その場合に、加熱された記録媒体Pから転写定着ベルト27が多量かつ不均一な分布の熱を受けて、転写定着ベルト27の幅方向(記録媒体の搬送方向に直交する方向である。)に温度ムラが生じて、定着ムラやオフセット等の定着不良画像が発生しやすくなってしまう。
これに対して、本実施の形態では、図1や図2に示すように、ニップ部を通過した後の転写定着ベルト27の表面の幅方向の温度分布を均一化する均しローラ85を設置している。
均しローラ85は、ニップ部に対して転写定着ベルト27の走行方向下流側に配設されたローラ部材であって、転写定着ベルト27の外周面に当接する。均しローラ85は、ヒートパイプであって、その内部で熱を効率的に対流させることで、転写定着ベルト27表面の幅方向の温度分布を均一化する。特に、小サイズ紙(幅方向のサイズが小さな記録媒体Pである。)が連続的に通紙される場合には、転写定着ベルト27の通紙領域と非通紙領域とに大きな温度差が生じやすいために、上述した均しローラ85を設置することによる効果が大きくなる。これにより、転写定着ベルト27の加熱を最小限に抑えてニップ部に搬送される直前の記録媒体Pを加熱装置67によって加熱する場合であっても、定着ムラやオフセット等の定着不良が発生するのを抑止することができる。
さらに、この均しローラ85は、小サイズ紙(幅方向のサイズが小さな記録媒体Pである。)が連続的に通紙される場合に、転写定着ベルト27の弱テンション部でシワが生じるのを防止する効果をも有する。
詳しくは、本実施の形態1における転写定着ベルト27には弱テンション部が形成されているために、小サイズ紙が連続的に通紙されて転写定着ベルト27の通紙領域と非通紙領域とに大きな温度差が生じると、弱テンション部において熱膨張差によるシワが発生しやすくなる。特に、このような現象は、ニップ部の下流側で生じやすい。これに対して、本実施の形態1では、転写定着ベルト27の弱テンション部(ニップ部下流側の弱テンション部である。)に当接するように均しローラ85を設置しているため、その位置における転写定着ベルト27の幅方向の温度分布が均一化されて、上述した不具合の発生を抑止することができる。
なお、本実施の形態1では、転写定着ベルト27に対して均しローラ85を接離自在に構成して、装置の立ち上がり時や待機時に転写定着ベルト27に対して均しローラ85を離間するように制御している。これにより、上述したような不具合が生じない装置の立ち上がり時や待機時等の非通紙時において、転写定着ベルト27の加熱効率の低下を軽減することができる。
なお、本実施の形態1では、加熱装置67の加熱体67aとして抵抗発熱体(正特性サーミスタ)を用いて伝熱板67bを加熱体67aによって加熱されるように構成した。これに対して、伝熱板67bを所定のキューリー点に達すると透磁率が低下する金属材料で形成して、伝熱板67bを電磁誘導により加熱することもできる。そして、このような場合にも、上述したものと同様の効果を得ることができる。
具体的に、加熱装置は、ニッケル、鉄等の整磁合金からなる板厚0.3mm程度の伝熱板と、伝熱板に対向する誘導コイル(加熱体)と、等で構成される。このような構成により、誘導コイルに20kHzの高周波電圧が印加されると、伝熱板が電磁誘導加熱されて、記録媒体Pの転写定着面に熱を伝えることになる。なお、伝熱板は、整磁合金中のニッケル成分の比率が40%程度に設定されていて、その温度が200℃(キューリー点)に達すると透磁率が急激に低下して電磁誘導加熱されなくなる。具体的に、このように構成された伝熱板は、1200ワットの電力で3秒後に190〜200℃にまで昇温して、その後は自己温度制御機能により210℃以上に昇温することはない。
また、本実施の形態1では、伝熱部材として板状の伝熱板67bを用いた。これに対して、伝熱部材としてローラ状の伝熱ローラを用いることもできる。具体的に、伝熱ローラは、その内部に加熱体としてのヒータが固設されていて、ブラシ状ローラ91に圧接してニップを形成している。そして、伝熱ローラは、図2の反時計方向に回転することで、記録媒体を加熱しながらニップ部に向けて搬送する。
以下、図4〜図7等を用いて、本実施の形態1における転写定着装置66において特徴的な構成・動作について詳述する。
図4を参照して、本実施の形態1における転写定着装置66は、1次転写部100に対して転写定着ベルト27の走行方向上流側であってニップ部に対して転写定着ベルト27の走行方向下流側に、転写定着ベルト27の弛みが生じるように構成されている。さらに、駆動ローラ28Aに対して転写定着ベルト27の走行方向下流側であってニップ部に対して転写定着ベルト27の走行方向上流側にも、転写定着ベルト27の弛みが生じるように構成されている。すなわち、転写定着ベルト27は、ニップ部の前後の範囲で、図4の一点鎖線で示すベルトの仮想軌跡(ベルト弛みがない場合のベルトの軌跡である。)に対して緩やかな曲率をもって張架されている。
具体的に、図4を参照して、転写定着ベルト27の周長は、3つのローラ部材28A〜28Cによって弛みなく張架される周長よりも長くなるように設定されている。そして、1次転写部100の上流側において、従動ローラ28Cとクリーニングブレード29a(ベルトクリーニング装置29)とで転写定着ベルト27を挟み込むようにして転写定着ベルト27の搬送方向に対して負荷を与えている。さらに、1次転写部100の下流側において、駆動ローラ28Aによって充分な駆動力にて転写定着ベルト27を駆動している。したがって、駆動ローラ28Aと従動ローラ28Cとによって張架された範囲(1次転写部100)は転写定着ベルト27の張力が常に大きくなる張架部(高テンション部)となり、それ以外の範囲が弛み部(弱テンション部)となる。これにより、出力画像上にショックジターが生じる不具合を未然に防止することができる。詳しくは、記録媒体Pの先端がニップ部(転写定着ベルト27と加圧ローラ68との当接位置である。)に突入する瞬間と、記録媒体Pの後端がニップ部から送出される瞬間と、には、転写定着ベルト27の速度変動が生じたり、1次転写部100に振動が伝達されたりしやすい。そして、この速度変動や振動によって、1次転写部100でおこなわれる1次転写工程においてショックジター(出力画像に転写定着ベルト27の走行方向に対応した方向の伸縮が生じる現象である。)が生じてしまう。このように転写定着ベルト27の速度変動や振動が1次転写部100に影響しないようにするためには、駆動ローラ28Aからニップ部を通り従動ローラ28Cに至る範囲における転写定着ベルト27の張力が、1次転写部100における転写定着ベルト27の張力よりも小さくなるように、設定する必要がある。本実施の形態1では、1次転写部100における転写定着ベルト27の張力が常に大きくなって、それ以外の範囲が弱テンション部となるように設定しているため、転写定着部で生じた転写定着ベルト27の速度変動や振動が弱テンション部で吸収されて、出力画像上にショックジターが生じる不具合が防止される。
なお、図1や図2では、転写定着装置66の全体構成についての理解のために、転写定着ベルト27の弛みを省略して図示している。
さらに、本実施の形態1では、転写定着ベルト27を一定速度で駆動する駆動ローラ28Aに対して、対向ローラ28Bは、その回転速度を可変できるように構成されている。そして、対向ローラ28Bの回転速度を可変制御することで、1次転写部100に対して転写定着ベルト27の走行方向上流側であってニップ部(転写定着部)に対して転写定着ベルト27の走行方向下流側に生じさせる転写定着ベルト27の弛み(ニップ部下流側の弛み量である。)と、駆動ローラ28Aに対して転写定着ベルト27の走行方向下流側であってニップ部に対して転写定着ベルト27の走行方向上流側に生じさせる転写定着ベルト27の弛み(ニップ部上流側の弛み量である。)と、を調整している。これにより、駆動ローラ28Aと転写定着ベルト27との間に滑りが生じた場合であっても、対向ローラ28Bの回転速度を調整することによって、ニップ部の上流側又は下流側に偏った弛みを生じさせることなく、ニップ部の上流側と下流側とにそれぞれバランスよく弛みを生じさせることができる。したがって、弱テンション部を設けることにより出力画像上のショックジターを抑止する効果が、安定的に発揮されることになる。
詳しくは、図4、図5を参照して、本実施の形態1では、ニップ部上流側における転写定着ベルト27の幅方向両端部の弛み量を検知するベルト弛み検知センサ110A、110Bと、ニップ部下流側における転写定着ベルト27の幅方向両端部の弛み量を検知するベルト弛み検知センサ110C、110Dと、を設置している。そして、これらの検知手段としてのベルト弛み検知センサ110A〜110Dの検知結果に基いて、対向ローラ28Bの回転速度を可変している。
具体的に、ニップ部上流側のベルト弛み検知センサ110A、110Bによる検知結果と、ニップ部下流側のベルト弛み検知センサ110C、110Dによる検知結果と、を比較して、ニップ部上流側のベルト弛みが大きくてニップ部下流側のベルト弛みが小さいと判断された場合には対向ローラ28Bの回転速度を加速して、ニップ部上流側のベルト弛みが小さくてニップ部下流側のベルト弛みが大きいと判断された場合には対向ローラ28Bの回転速度を減速して、ニップ部の上流側と下流側のベルト弛みのバランスをとる。このように、このときの検知手段としてのベルト弛み検知センサ110A〜110Dは、ニップ部に対する転写定着ベルト27の走行方向下流側の弛み量と走行方向上流側の弛み量との偏差を検知していることになる。
なお、検知手段としてのベルト弛み検知センサ110A〜110Dとしては、測距センサやレーザ変位計を用いることができる。
ここで、本実施の形態1において、検知手段としてのベルト弛み検知センサ110A〜110Dは、転写定着ベルト27の幅方向両端部の弛み量の偏差(差異)をも検知する。具体的に、ニップ部上流側の一端側のベルト弛み検知センサ110Aによって検知された弛み量が、ニップ部上流側の他端側のベルト弛み検知センサ110Bによって検知された弛み量よりも大きい場合には、ニップ部上流側において一端側が他端側に比べて弛んでいることになる。同様に、ニップ部下流側の一端側のベルト弛み検知センサ110Cによって検知された弛み量が、ニップ部下流側の他端側のベルト弛み検知センサ110Dによって検知された弛み量よりも大きい場合には、ニップ部下流側において一端側が他端側に比べて弛んでいることになる。
また、本実施の形態1では、転写定着ベルト27の幅方向両端部のそれぞれの線速度が異なる大きさになるように可変する可変手段が設けられている。詳しくは、図6及び図7を参照して、対向ローラ28Bは、その幅方向両端部にそれぞれ設置された不図示のカム機構(加圧力可変機構)によって、加圧ローラ68に対する幅方向の圧接力のバランスが可変制御される(図6の両矢印方向の移動制御である。)。対向ローラ28Bは、芯金上に弾性層が形成されたものであるため、加圧ローラ68に対する幅方向の圧接力のバランスが可変されることで、対向ローラ28Bの外径(弾性層のつぶれ量)が変化する。すなわち、対向ローラ28Bの一端側の外径と他端側の外径とを異ならせることができる。これにより、外径が小さくなった側の対向ローラ28Bの外周面上の線速度に比べて、外径が大きくなった側の対向ローラ28Bの外周面上の線速度が、大きくなって、ニップ部(対向ローラ28B)の近傍における転写定着ベルト27の線速度(見かけの送り速度)が幅方向両端部でそれぞれ違う大きさに可変される。すなわち、対向ローラ28Bは、転写定着ベルト27の幅方向両端部のそれぞれの線速度が異なる大きさになるように可変する可変手段として機能することになる。
具体的に、図7(A)に示すように、対向ローラ28Bの右側端部の圧接力が左側端部の圧接力よりも大きくなるように制御した場合には、ニップ部の近傍における転写定着ベルト27の線速度は、左側端部が右側端部に比べて大きくなる。これに対して、図7(B)に示すように、対向ローラ28Bの右側端部の圧接力が左側端部の圧接力よりも小さくなるように制御した場合には、ニップ部の近傍における転写定着ベルト27の線速度は、右側端部が左側端部に比べて大きくなる。なお、このようにして制御される転写定着ベルト27の幅方向両端部の線速度差は、幅方向の圧接力バランスの程度を加減することで、任意の大きさに設定することができる。
そして、本実施の形態1では、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果に基づいて対向ローラ28B(可変手段)を制御して、転写定着ベルト27の幅方向の寄り(ベルト寄り)を補正している。詳しくは、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果に基づいて、対向ローラ28B(可変手段)における幅方向の圧接力のバランスを可変制御して、転写定着ベルト27のベルト寄りを補正している。
具体的に、図5を参照して、ニップ部上流側の一端側のベルト弛み検知センサ110Aによって検知された弛み量が、ニップ部上流側の他端側のベルト弛み検知センサ110Bによって検知された弛み量よりも大きい場合には、図7(B)に示すように対向ローラ28Bの圧接力バランスを制御して、転写定着ベルト27の一端側の線速度が他端側の線速度に比べて大きくなるようにすることで、ニップ部上流側で生じた転写定着ベルト27の弛み量の偏差を小さくする。同様に、ニップ部上流側の一端側のベルト弛み検知センサ110Aによって検知された弛み量が、ニップ部上流側の他端側のベルト弛み検知センサ110Bによって検知された弛み量よりも小さい場合には、図7(A)に示すように対向ローラ28Bの圧接力バランスを制御することになる。
また、ニップ部下流側の一端側のベルト弛み検知センサ110Cによって検知された弛み量が、ニップ部下流側の他端側のベルト弛み検知センサ110Dによって検知された弛み量よりも大きい場合には、図7(A)に示すように対向ローラ28Bの圧接力バランスを制御して、転写定着ベルト27の一端側の線速度が他端側の線速度に比べて小さくなるようにすることで、ニップ部下流側で生じた転写定着ベルト27の弛み量の偏差を小さくする。同様に、ニップ部下流側の一端側のベルト弛み検知センサ110Cによって検知された弛み量が、ニップ部下流側の他端側のベルト弛み検知センサ110Dによって検知された弛み量よりも小さい場合には、図7(B)に示すように対向ローラ28Bの圧接力バランスを制御することになる。
なお、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果によって転写定着ベルト27の幅方向両端部の弛み量の差異(偏差)が生じていないものと判断された場合には、上述した対向ローラ28B(可変手段)の制御はおこなわない。
このように、幅方向一端側のベルト弛み検知センサ110A、110Cの検知結果と、幅方向他端側のベルト弛み検知センサ110B、110Dの検知結果と、を比較して、幅方向両端のベルト弛みのバランスが悪いと判断された場合に、加圧ローラ68に対する対向ローラ28Bの圧接バランスを可変して、幅方向両端のベルト弛みのバランスを補正することで、転写定着ベルト27のベルト寄りが補正されるのは、次のような理由によるものである。
転写定着ベルト27の幅方向の弛み量に偏差が生じてしまったときに、弛み量が小さい側のベルト張力は、弛み量が大きい側のベルト張力よりも大きくなる。このようなとき、転写定着ベルト27は、ベルト張力が小さい側がベルト張力の大きい側に引っ張られて、幅方向の一端側(ベルト張力が大きくなる側である。)に移動してしまうことになる(ベルト寄りが生じてしまうことになる)。したがって、幅方向両端のベルト弛みのバランスを補正することで、転写定着ベルト27のベルト寄りが補正されることになる。
また、本実施の形態1にように、転写定着ベルト27に弱テンション部(弛み部)が形成されている場合には、ベルト寄りを直接的に検知することが難しくなる。詳しくは、ベルト寄りを直接的に検知するセンサ(例えば、後述するベルト寄り検知センサ120A、120Bのようなものである。)をベルトの端面から離間して設置しても、転写定着ベルト27の弛み状態は一定ではなく変動するために、センサ位置を固定してベルト寄りを正確に検知するのが難しくなる。したがって、正確なベルト寄り補正をおこなうことが難しくなる。
これに対して、本実施の形態1では、ベルト寄りを直接的に検知するのではなく、ベルト弛み検知センサ110A〜110Dによってベルトの弛み量偏差を検知することで、ベルト寄りの状態を判断して、それに基きベルト寄りを補正しているので、正確なベルト寄り補正をおこなうことができる。
ただし、本実施の形態1では、上述したベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)を用いたベルト寄り補正制御のバックアップとして、転写定着ベルト27の幅方向の寄りを直接的に検知する第2検知手段としてのベルト寄り検知センサ120A、120Bをも用いてベルト寄り補正制御をおこなっている。ベルト寄り検知センサ120A、120Bは、転写定着ベルト27のニップ部上流側及び下流側における幅方向端部(片側端面)に対向する位置に設置されていて、測距センサやレーザ変位計を用いることができる。
2つのベルト寄り検知センサ120A、120B(第2検知手段)は、それぞれの位置において、最適な弛み状態にあるベルトの端面に対向するように配設されている。そして、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果によってベルトの弛み量が最適と判断された場合であって、ベルト寄り検知センサ120A、120B(第2検知手段)の検知結果によってベルト寄りが生じているものと判断されたときに、対向ローラ28B(可変手段)における幅方向の圧接力のバランスを可変制御して、転写定着ベルト27のベルト寄りを補正している。
具体的に、図5を参照して、ニップ部上流側のベルト寄り検知センサ120Aによって図5の下方に向けてのベルト寄りが生じているものと検知された場合には、図7(B)に示すように対向ローラ28Bの圧接力バランスを制御して、転写定着ベルト27の一端側(図5の上方)の線速度が他端側(図5の下方)の線速度に比べて大きくなるようにすることで、ベルト寄りを補正する。同様に、ニップ部上流側のベルト寄り検知センサ120Aによって図5の上方に向けてのベルト寄りが生じているものと検知された場合には、図7(A)に示すように対向ローラ28Bの圧接力バランスを制御して、転写定着ベルト27の一端側(図5の上方)の線速度が他端側(図5の下方)の線速度に比べて小さくなるようにすることで、ベルト寄りを補正する。
また、ニップ部下流側のベルト寄り検知センサ120Bによって図5の下方に向けてのベルト寄りが生じているものと検知された場合には、図7(B)に示すように対向ローラ28Bの圧接力バランスを制御して、転写定着ベルト27の一端側(図5の上方)の線速度が他端側(図5の下方)の線速度に比べて大きくなるようにすることで、ベルト寄りを補正する。同様に、ニップ部下流側のベルト寄り検知センサ120Aによって図5の上方に向けてのベルト寄りが生じているものと検知された場合には、図7(A)に示すように対向ローラ28Bの圧接力バランスを制御して、転写定着ベルト27の一端側(図5の上方)の線速度が他端側(図5の下方)の線速度に比べて小さくなるようにすることで、ベルト寄りを補正する。
このように、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)を用いたベルト寄り補正制御に加えて、ベルト寄り検知センサ120A、120B(第2検知手段)を用いたベルト寄り補正制御をおこなうことで、より確実にベルト寄りを抑止することができる。
なお、本実施の形態1において、不図示のリンク機構によって、従動ローラ28Cは、その回転軸に対して平行に移動可能に構成されている。すなわち、従動ローラ28Cは、図4の両矢印方向に変位できるように構成されている。
このような構成により、ニップ部の上流側と下流側とに形成する弱テンション部全体の弛み量を増減することができる。具体的に、転写定着ベルト27の全体の弛み量を増加させたいときには従動ローラ28Cを図4の左側にシフト移動して、転写定着ベルト27の全体の弛み量を減少させたいときには従動ローラ28Cを図4の右側にシフト移動する。これにより、弱テンション部を形成することによって出力画像上のショックジターを抑止する余裕度を加減したり、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)を用いたベルト寄り補正制御をおこなう際の補正幅を調整したりすることができる。
なお、従動ローラ28Cをシフト移動する場合には、それにともないクリーニングブレード29aが転写定着ベルト29から離間したり強く食い込んだりしないように、クリーニングブレード29a(ベルトクリーニング装置29)も追従してシフト移動することが好ましい。
また、本実施の形態1において、転写定着ベルト27に内接する複数のローラ部材28A〜28Cのうち、少なくとも1つのローラ部材(例えば、従動ローラ28Cである。)を、転写定着ベルト27の走行方向に対する回転軸の角度を可変できるように構成することが好ましい。
これにより、このローラ部材がステアリングローラとして機能して、転写定着ベルト27の微小なベルト寄りを補正することが可能になる。具体的に、転写定着ベルト27に幅方向一端側へのベルト寄りが生じたときに、それを相殺する方向にステアリングローラを傾斜させることで、そのベルト寄りを補正することができる。このステアリングローラによるベルト寄りに対する補正力は、上述した対向ローラ28Bの圧接力バランスの制御による補正力より小さなものであるため、転写定着ベルト27のベルト寄りを微調整する場合に好適である。
また、本実施の形態1において、駆動ローラ28Aの幅方向両端部(転写定着ベルト27の両端よりも外側の位置である。)に、転写定着ベルト27のベルト寄りを制限するための、フランジ(ガイド)を設けることが好ましい。
これにより、万が一に転写定着ベルト27にベルト寄りが生じてしまったときでも、転写定着ベルト27がフランジ(ガイド)に当接することで、それ以上の大きなベルト寄りが生じる不具合を抑止することができる。
また、本実施の形態1において、不図示の接離機構によって転写定着ベルト27に対して加圧ローラ68を接離自在に構成して、ニップ部に記録媒体Pが通紙されないとき(非通紙時)に転写定着ベルト27から加圧ローラ68を離間させるように制御することが好ましい。
これにより、転写定着ベルト27や対向ローラ28Bに圧接力がかかる時間を軽減することができて、これらの部材27、28Bの耐久性を向上させることができる。
以上説明したように、本実施の形態1によれば、転写定着ベルト27(ベルト部材)の一部に弱テンション部を形成している場合であっても、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果に基づいて転写定着ベルト27の幅方向両端部の線速度差を調整しているため、転写定着ベルト27の幅方向の寄り(ベルト寄り)を高精度に補正することができる。
なお、本実施の形態1では、加熱装置67とヒータ88とが設置された転写定着装置66に対して本発明を適用したが、加熱装置67とヒータ88とのうちいずれか一方のみが設置された転写定着装置66(紙加熱のみをおこなう装置、又は、紙加熱をおこなわない装置、である。)に対しても、当然に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態1では、転写定着ベルト27の外周面に対向する位置にヒータ88(加熱手段)を設置したが、転写定着ベルト27の内周面に対向する位置にヒータ88(加熱手段)を設置することもできる。
そして、これらの場合であっても、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態1では、検知手段としてニップ部の上流側両端部と下流側両端部とに4つのベルト弛み検知センサ110A〜110Dを配置したが、ベルト弛み検知センサの数や位置はこれに限定されるものではない。特に、ベルト弛み検知センサの数を減らす場合であっても、ベルト弛み検知センサが設置されていない位置のベルト弛み量を、ベルト弛み検知センサの検知結果に基いてベルト幅やベルト周長から算出することもできる。
そして、このような場合であっても、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態2.
図8にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図8は、実施の形態2における転写定着装置の一部を示す拡大図であって、前記実施の形態1における図4に相当する図である。本実施の形態2における転写定着装置66(ベルト駆動装置)は、転写定着ベルト27の内周面に当接するテンショナ116が設置されている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
図8を参照して、本実施の形態2における転写定着装置66も、前記実施の形態1のものと同様に、転写定着ベルト27(ベルト部材)、加圧ローラ68(加圧部材)、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)、加熱装置67、ヒータ88、等で構成される。そして、本実施の形態2においても、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果に基づいて対向ローラ28B(可変手段)を制御して、転写定着ベルト27の幅方向の寄り(ベルト寄り)を補正している。
ここで、本実施の形態2では、転写定着ベルト27の弱テンション部(弛み部)でシワや波打ちが生じないように、転写定着ベルト27を支持する3つのローラ部材28A〜28Cに加えて、300gf程度の弱い当接力で転写定着ベルト27の内周面(弛みが生じている部分である。)に当接するように2つのテンショナ116が設けられている。また、これらのテンショナ116は、転写定着ベルト27を介してベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)に対向するように設置されているため、ベルト弛み検知センサ110A〜110Dによって検知させるベルトの姿勢を安定させることができる。そのため、ベルト弛み検知センサ110A〜110Dによるベルト撓み量の検知精度が向上する。
また、本実施の形態2では、不図示の接離機構によって、転写定着ベルト27に対してテンショナ116を接離自在に構成している。そして、記録媒体Pの先端部と後端部とがニップ部を通過するときに、テンショナ116が転写定着ベルト27から離間するように制御している。
このような制御をおこなうことにより、記録媒体Pの先端がニップ部に突入する瞬間と、記録媒体Pの後端がニップ部から送出される瞬間と、に生じる転写定着ベルト27の速度変動や振動が、テンショナ116が離間して弛み状態が最良化された転写定着ベルト27によって吸収されるので、出力画像上にショックジターが生じる不具合が確実に防止される。
以上説明したように、本実施の形態2によれば、前記実施の形態1と同様に、転写定着ベルト27(ベルト部材)の一部に弱テンション部を形成している場合であっても、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果に基づいて転写定着ベルト27の幅方向両端部の線速度差を調整しているため、転写定着ベルト27の幅方向の寄り(ベルト寄り)を高精度に補正することができる。
実施の形態3.
図9にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図9は、実施の形態3における中間転写装置の一部を示す拡大図である。本実施の形態3における画像形成装置は、ベルト駆動装置として中間転写装置166が用いられている点が、ベルト駆動装置として転写定着装置66が用いられている前記各実施の形態のものとは相違する。
本実施の形態3における画像形成装置は、前記各実施の形態における画像形成装置のように転写工程と定着工程とを同時におこなう転写定着装置66は設置されておらず、転写工程をおこなう中間転写装置166と、定着工程のみをおこなう定着装置250と、が別々に設置されている。
ここで、ベルト駆動装置としての中間転写装置166(中間転写ベルト駆動装置)は、ベルト部材としての中間転写ベルト227、加圧部材としての加圧ローラ68、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)、等で構成される。中間転写ベルト227(ベルト部材)は、内接する3つのローラ部材(駆動ローラ228A、対向ローラ228B、従動ローラ228C)によって支持されている。これらの3つのローラ部材228A〜228Cは、前記各実施の形態における3つのローラ部材28A〜28Cと同様に構成され動作する。
そして、張架部としての1次転写部の位置で中間転写ベルト227上に転写されたトナー像は、ニップ部の位置で記録媒体P上に転写(2次転写)される。その後、ニップ部の位置で記録媒体P上に転写された未定着状態のトナー像は、定着装置250の位置(定着ローラ251と定着加圧ローラ252との定着ニップ部である。)で、内設されたヒータによって加熱された定着ローラ251による熱と、定着ローラ251と定着加圧ローラ252との圧接力と、によって記録媒体P上に定着されることになる。
ここで、本実施の形態3においても、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果に基づいて対向ローラ28B(可変手段)を制御して、中間転写ベルト227の幅方向の寄り(ベルト寄り)が補正される。
以上説明したように、本実施の形態3によれば、中間転写ベルト227(ベルト部材)の一部に弱テンション部を形成している場合であっても、ベルト弛み検知センサ110A〜110D(検知手段)の検知結果に基づいて中間転写ベルト227の幅方向両端部の線速度差を調整しているため、中間転写ベルト227の幅方向の寄り(ベルト寄り)を高精度に補正することができる。
なお、前記各実施の形態では、転写定着ベルト27や中間転写ベルト227が搭載されたベルト駆動装置に対して本発明を適用したが、それ以外のベルト部材(例えば、感光体ベルト等である。)が搭載されたベルト駆動装置であっても、ベルト部材に弱テンション部を形成しているベルト駆動装置であれば、本発明を適用することができる。
また、前記各実施の形態では、電子写真方式の画像形成装置に設置されたベルト駆動装置に対して本発明を適用したが、それ以外の画像形成装置(例えば、インクジェット方式の画像形成装置である。)に設置されたベルト駆動装置であっても、ベルト部材に弱テンション部を形成しているベルト駆動装置であれば、本発明を適用することができる。
それらの場合にも、ベルト弛み検知センサ(検知手段)の検知結果に基づいてベルト部材の幅方向両端部の線速度差を調整することで、ベルト部材の幅方向の寄り(ベルト寄り)を高精度に補正することができる。
なお、本発明が前記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、前記各実施の形態の中で示唆した以外にも、前記各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は前記各実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
1 画像形成装置本体(装置本体)、
27 転写定着ベルト(ベルト部材)、
28A 駆動ローラ(ローラ部材)、
28B 対向ローラ(ローラ部材)、
28C 従動ローラ(ローラ部材)、
66 転写定着装置(ベルト駆動装置)、
67 加熱装置、 67a 加熱体、 67b 伝熱板(伝熱部材)、
68 加圧ローラ(加圧部材)、
88 ヒータ、
91 ブラシ状ローラ(付勢部材)、
100 1次転写部(張架部)、
110A〜110D ベルト弛み検知センサ(検知手段)、
116 テンショナ、
120A、120B ベルト寄り検知センサ(第2検知手段)、
166 中間転写装置(ベルト駆動装置)、
227 中間転写ベルト(ベルト部材)、 P 記録媒体。
特開2006−91101号公報 特開2008−170908号公報 特開2008−145680号公報

Claims (10)

  1. 複数のローラ部材が内接されるとともに、前記複数のローラ部材のうち少なくとも2つのローラ部材によって張架された張架部を具備するベルト部材と、
    前記ベルト部材に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、
    前記複数のローラ部材のうちの1つであって前記ベルト部材を駆動するとともに、前記張架部に対して前記ベルト部材の走行方向下流側であって前記ニップ部に対して前記ベルト部材の走行方向上流側に配設された駆動ローラと、
    を備え、
    前記張架部に対して前記ベルト部材の走行方向上流側であって前記ニップ部に対して前記ベルト部材の走行方向下流側と、前記駆動ローラに対して前記ベルト部材の走行方向下流側であって前記ニップ部に対して前記ベルト部材の走行方向上流側と、の少なくとも一方に前記ベルト部材の弛みが生じるように構成され、
    前記ベルト部材の幅方向両端部の弛み量の偏差を検知する検知手段と、
    前記ベルト部材の幅方向両端部のそれぞれの線速度が異なる大きさになるように可変する可変手段と、
    をさらに備え、
    前記検知手段の検知結果に基づいて前記可変手段を制御して、前記ベルト部材の幅方向の寄りを補正することを特徴とするベルト駆動装置。
  2. 前記ベルト部材の幅方向の寄りを検知する第2検知手段をさらに備え、
    前記第2検知手段の検知結果にも基づいて前記可変手段を制御して、前記ベルト部材の幅方向の寄りを補正することを特徴とする請求項1に記載のベルト駆動装置。
  3. 前記複数のローラ部材のうちの1つであって弾性層を具備して前記ニップ部の位置で前記ベルト部材を介して前記加圧部材に圧接するとともに、前記加圧部材に対する幅方向の圧接力のバランスが可変制御される対向ローラを備え、
    前記可変手段は、前記対向ローラであって、前記検知手段の検知結果に基づいて前記幅方向の圧接力のバランスが可変制御されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト駆動装置。
  4. 前記複数のローラ部材のうちの1つであって前記ニップ部の位置で前記ベルト部材を介して前記加圧部材に圧接するとともに、その回転速度が可変制御される対向ローラを備え、
    前記検知手段は、前記ニップ部に対する前記ベルト部材の走行方向下流側の弛み量と走行方向上流側の弛み量との偏差をも検知するように構成され、
    前記検知手段の検知結果に基づいて前記対向ローラの回転速度を可変制御することで、前記ニップ部に対する前記ベルト部材の走行方向下流側の弛み量と、前記ニップ部に対する前記ベルト部材の走行方向上流側の弛み量と、を調整することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のベルト駆動装置。
  5. 前記複数のローラ部材のうちの1つであって前記ベルト部材の走行によって従動するとともに、その回転軸に対して平行に移動可能に構成された従動ローラを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4に記載のベルト駆動装置。
  6. 前記ベルト部材の弛みが生じている部分に対して接離可能に構成され、記録媒体の先端部と後端部とが前記ニップ部を通過するときに前記ベルト部材から離間するように制御されるテンショナを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のベルト駆動装置。
  7. 前記複数のローラ部材のうち少なくとも1つのローラ部材は、前記ベルト部材の走行方向に対する回転軸の角度を可変できるように構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のベルト駆動装置。
  8. 前記張架部は、像担持体に対向するとともに、前記像担持体に形成されたトナー像が転写される1次転写部であって、
    前記ベルト部材は、前記1次転写部の位置で転写されたトナー像を前記ニップ部の位置で記録媒体上に転写するとともに定着する転写定着ベルトであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のベルト駆動装置。
  9. 前記張架部は、像担持体に対向するとともに、前記像担持体に形成されたトナー像が転写される1次転写部であって、
    前記ベルト部材は、前記1次転写部の位置で転写されたトナー像を前記ニップ部の位置で記録媒体上に転写する中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のベルト駆動装置。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれかに記載のベルト駆動装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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