JP2011058594A - ホイール締結部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】車室内の静寂性の向上、ブレーキングやハンドリング性能の向上をもたらすことを目的とする。
【解決手段】車軸6とホイール1を締結するホイール締結部品として、ヤング率100〜130GPa、引張強度700〜1300N/mm2、表面硬度HV230〜450のチタン合金で形成されてなることを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】車軸6とホイール1を締結するホイール締結部品として、ヤング率100〜130GPa、引張強度700〜1300N/mm2、表面硬度HV230〜450のチタン合金で形成されてなることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車軸とホイールを締結するホイール締結部品に関する。
車軸とホイールを締結する締結構造としては、一般的に、図1のような構造が知られている。図1は、自動車用ホイールの縦断面図である。
ホイール1は、ホイール1にタイヤTを装着可能なリム2と、ホイール1を車軸ハブ4に取付け可能なディスク3とで構成されている。リム2とディスク3は鋳造や鍛造によって一体的に成型されたワンピース構造となっている。
車軸ハブ4には、あらかじめ、ホイールボルト5が取り付けられており、そのホイールボルト5が、ディスク3のボルト挿通孔3aに挿入され、車軸6に設けた車軸ハブ4のハブボルト7がハブナット7´に締結されて、ディスク3のハブ孔3bに挿入される。そして、前述のように挿入されたホイールボルト5が、ホイールナット5´で締結されると、車軸6とホイール1が締結される。
このように、ホイール1を締結する際に使用されるホイールボルト5及びホイールナット5´(以下、ホイール締結部品という)としては、0.5%以上の炭素を含む特殊鋼が一般的に使用されている。
また、一方で、近年、ホイール締結部品は、コストダウンの観点から軽量化が求められており、その求めに適したアルミ製のホイール締結部品も使用され始めている。
しかしながら、上記のようなホイール締結部品を用いた自動車には以下のような欠点があった。
すなわち、自動車走行時に、車室内に微振動が生じ、その微振動によって、車室内の静寂性が向上しないという問題があった。さらには、その微振動の影響が、ブレーキングやハンドリング性能の向上に影響するという問題もあった。
また、アルミ製のホイール締結部品は、軽量ではあるが、ヤング率が低く引張強度が落ちるため、耐久性が低く、ホイール締結部品のボルトが折れてタイヤが脱落するなどの事故が発生するという問題があった。
アルミ製のホイール締結部品の問題については、その問題を解決すべく、軽量でかつ高強度のホイールナットの製造方法が提案されている(特許文献1)。このホイールナットの製造方法は、軟化焼鈍およびピーリングを施した米国材料試験協会が制定している規格番号B348−97材料記号G9(ASTM G9)のチタン合金棒から所定長さ寸法のブランク材を切り出し、ブランク材に対して冷間鍛造加工を施して略ホイールナット形状に成形した後、ねじ成形加工および外形成形加工を行うのに続いて仕上げ加工を行って、ビッカース硬さが295〜353HVのホイールナットを製造する構成としたものである。
しかしながら、上記ホイールナットの製造方法は、軽量でかつ高強度のホイールナットを製造することで、ホイール締結部品のボルトが折れてタイヤが脱落するなどの事故が発生するという問題は解決しえるものの、自動車走行時に、車室内に絶えず微振動が生じ、その微振動によって、車室内の静寂性が向上しないという問題、さらには、その微振動の影響が、ブレーキングやハンドリング性能の向上に影響するという問題を解決するものではなかった。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、車室内の静寂性の向上、ブレーキングやハンドリング性能の向上をもたらすホイール締結部品を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための手段を、図1を用いて説明する。まず、本発明者は、車室内に微振動が生じる原因は、タイヤTのヒステリシスロスが影響していることを見出した。すなわち、自動車は走行時、路面からの小さな凹凸の振動及び衝撃をタイヤTで吸収しているが、タイヤTで吸収できない振動及び衝撃はホイール1に伝えられる。そして、そのホイール1でも吸収できない振動及び衝撃が、サスペンション(図示せず)に伝えられ、そのサスペンション(図示せず)で吸収されない振動及び衝撃がハンドル(図示せず)及び車室内に伝えられる。それが、車室内に微振動が生じる原因となっていることを本発明者は見出したのである。
そこで、本発明者は、タイヤTのヒステリシスロスの軽減を図るため鋭意研究した結果、車軸6を抵抗なく回転させることができれば、タイヤTのヒステリシスロスの軽減を図ることができることを見出した。そして、車軸6を抵抗なく回転させるためには、ホイール締結部品(ホイールボルト5及びホイールナット5´)に緩衝性をもたらせばよいことを見出した。
緩衝性をもたらす部品としては、軟性があるアルミ製の部品が考えられるが、上記説明したように、アルミ製の締結部品は、耐久性が低いという問題があった。そこで、本発明者は、軽量で強度が高く、しかも、ある程度の軟性を持つという特性があるチタン合金を採用し、鋭意研究した結果、本発明を完成させるに至ったのである。
すなわち、本発明は、請求項1に記載のように、車軸6とホイール1を締結するホイール締結部品として、ヤング率100〜130GPa、引張強度700〜1300N/mm2、表面硬度HV230〜450のチタン合金で形成されてなることを特徴としている。
さらに、請求項2に記載のように、上述のチタン合金で形成されてなるホイール締結部品を自動車が備えてなることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、車軸とホイールを締結するホイール締結部品が、ヤング率100〜130GPa、引張強度700〜1300N/mm2、表面硬度HV230〜450のチタン合金で形成されているから、車室内の微振動が軽減、すなわち、タイヤのヒステリシスロスが軽減し、車室内の静寂性の向上、ブレーキングやハンドリング性能の向上という優れた効果を発揮させることができる。
また、請求項2の発明によれば、タイヤのヒステリシスロスを軽減することが可能なホイール締結部品を自動車に採用しているから、燃費の向上という優れた効果が期待できる。
以下に本実施形態で使用されるチタン合金のヤング率、引張強度、表面硬度の範囲を決定する理由について説明する。
図1に示すうように、本実施形態で用いられるチタン合金は、車軸6とホイール1を締結するホイールボルト5,ホイールナット5´で使用される。そして、このチタン合金は、ヤング率100〜130GPa、引張強度700〜1300N/mm2、表面硬度HV230〜450となる範囲で形成されるのが好適である。この範囲で形成されたチタン合金をホイールボルト5及びホイールナット5´に用いると、車室内の微振動が軽減、すなわち、タイヤTのヒステリシスロスが軽減し、車室内の静寂性の向上、ブレーキングやハンドリング性能の向上という効果が得られるからである。
ヤング率が100〜130GPaの範囲とされるのは、ヤング率が100GPa未満の場合、弾性力は高まるが、焼付きやかじりが生じ、車室内の微振動を軽減する、すなわち、タイヤのヒステリシスロスを軽減するという効果が得られないためである。また、ヤング率が130GPaを超える場合、弾性力が低下し、車室内の微振動を軽減する、すなわち、タイヤのヒステリシスロスを軽減するという効果が得られないためである。
引張強度が700〜1300N/mm2の範囲とされるのは、引張強度が700N/mm2未満の場合、疲労強度が低くなり、ホイールボルト5又はホイールナット5´が破損しやすくなるという問題が生じ、車室内の微振動を軽減する、すなわち、タイヤのヒステリシスロスを軽減するという効果が得られないためである。また、引張強度が1300N/mm2を超える場合、疲労強度が高くなる一方で、弾性力が低下し、車室内の微振動を軽減する、すなわち、タイヤのヒステリシスロスを軽減するという効果が得られないためである。
表面硬度がHV230〜450の範囲とされるのは、表面硬度がHV230未満の場合及び表面硬度がHV450を超える場合は、車室内の微振動を軽減する、すなわち、タイヤのヒステリシスロスを軽減するという効果が得られないためである。なお、表面硬度の指針としては、一般的に、引張強度の1/3を指針とすることが知られているから、本実施形態においても、前述の方法を採用し、引張強度の1/3を、表面硬度の範囲の指針としている。
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
〔振動試験〕
ホイール締結部品は、スズキ株式会社のSWIFT1200CVT車で使用されている純正のホイール締結部品(0.5%の炭素を含む特殊鋼)と、その純正のホイール締結部品と同サイズの、ヤング率115GPa、引張強度900N/mm2、表面硬度HV300のチタン合金からなるホイール締結部品を、夫々用意した。
ホイール締結部品は、スズキ株式会社のSWIFT1200CVT車で使用されている純正のホイール締結部品(0.5%の炭素を含む特殊鋼)と、その純正のホイール締結部品と同サイズの、ヤング率115GPa、引張強度900N/mm2、表面硬度HV300のチタン合金からなるホイール締結部品を、夫々用意した。
そして、Freescale社製の加速度センサーの評価用ボード(RD3112MMA7260QE)を用意し、その評価用ボードを2kgのケース内に収納し、そのケースをスズキ株式会社のSWIFT1200CVT車の車室内の助手席床に固定配置した。なお、評価用ボードを2kgのケース内に収納したのは、評価用ボードが電気基板だからである。また、評価用ボードは、実験前に、十分なキャリブレーションを行った。
前記評価用ボードをSWIFT1200CVT車の車室内の助手席床に固定配置した後、20km/hの速度で、SWIFT1200CVT車を走行させ、純正のホイール締結部品(0.5%の炭素を含む特殊鋼)を使用した場合の車室内の振動、チタン合金(ヤング率115GPa、引張強度900N/mm2、表面硬度HV300)からなるホイール締結部品を使用した場合の車室内の振動を夫々測定した。その測定結果を図2に示す。なお、速度に関しては、SWIFT1200CVT車のスピードメータの表示ではなく、ガーミン社製のGPS(Global Positioning System)にて確認を行った。
図2に示すグラフにおいて、縦軸は、重力加速度(G)を示しており、横軸は、秒数(S)を示している。この図2の結果から、純正のホイール締結部品(0.5%の炭素を含む特殊鋼)を用いたSWIFT1200CVT車は、時間の経過とともに、重力加速度が大きく変動していることが分かる。それに対し、チタン合金(ヤング率115GPa、引張強度900N/mm2、表面硬度HV300)のホイール締結部品を用いたSWIFT1200CVT車は、時間が経過しても、さほど、重力加速度が変化していないことが分かる。
以上のことから、0.5%の炭素を含む特殊鋼のホイール締結部品より、本発明によるチタン合金のホイール締結部品の方が、重力加速度の変化が少ない、すなわち、車室内の振動が少ないことが分かる。
したがって、本実施例から、本発明によるチタン合金のホイール締結部品は、車室内の振動の軽減に優れた効果を発揮させていることが分かる。
1 ホイール
5 ホイールボルト
5´ ホイールナット
6 車軸
5 ホイールボルト
5´ ホイールナット
6 車軸
Claims (2)
- ヤング率100〜130GPa、引張強度700〜1300N/mm2、表面硬度HV230〜450のチタン合金で形成されてなる車軸とホイールを締結するホイール締結部品。
- 請求項1に記載のホイール締結部品を備えてなる自動車。
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2009
- 2009-09-14 JP JP2009211217A patent/JP2011058594A/ja active Pending
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