JP2011057824A - イミドオリゴマーブレンド組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶媒溶解性及び溶液保存性に優れ、比較的低い温度で硬化可能であり、且つ加熱硬化させて得られたポリイミド樹脂が優れた耐熱性を示すイミドオリゴマー組成物を提供する。
【解決手段】フルオレン骨格を含む2価芳香族ジアミン残基と4価芳香族テトラカルボン酸残基からなる2種のイミドオリゴマー(A)及び(B)の組成物であって、(A)は末端基が4−エチニルフェニル基である末端変性イミドオリゴマー、(B)は末端基が4−フェニルエチニルフタロイル基である末端変性イミドオリゴマーであり、(A)末端変性イミドオリゴマーと、(B)末端変性イミドオリゴマーとの混合比が、(A):(B)=80:20〜20:80であることを特徴とするイミドオリゴマーブレンド組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、イミドオリゴマーブレンド組成物及びワニス並びにその硬化物に関し、特に溶媒溶解性及び溶液保存性に優れ、比較的低い温度で硬化可能であり、且つ加熱硬化後のポリイミドが優れた耐熱性を有するイミドオリゴマー組成物に関する。
芳香族ポリイミドは優れた耐熱性を有し、また、機械的特性、電気的特性などにも優れていることから、宇宙、航空分野、電気・電子機器、通信機器、OA機器等、様々な分野で使用されている素材である。しかしながら、芳香族ポリイミドは、耐熱性や機械的特性に優れる反面、一旦成形すると不溶、不融となるため、成形加工の柔軟性に乏しいという問題があった。
そこで、従来、末端を各種の熱架橋化剤により変性させたイミドオリゴマーを使用し、成形後に加熱硬化させることによって、ポリイミドに成形性を付与する試みが広く行われている。このような末端変性イミドオリゴマーの代表的なものとして、例えば、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸で変性したイミドオリゴマーが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、これら従来の末端変性イミドオリゴマーは、例えば、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系有機溶媒に、室温で20重量%以下しか溶解せず、加えて、数日の後にゲル化を生じるなど、有機溶媒中での保存安定性が十分でないという問題があった。このため、有機溶媒中にイミドオリゴマーを比較的高濃度で溶解したワニスとして使用することは困難であった。
これに対し、近年、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸と、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンとを含むオリゴマーを、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸で末端変性したイミドオリゴマーが、有機溶媒に対する溶解性、及び有機溶媒中での保存安定性に優れていることが報告されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この末端変性イミドオリゴマーにおいても、加熱硬化の際には350℃以上の高温処理が必要とされる。このため、例えば、電子部品上にワニス状のイミドオリゴマーを塗布した後、加熱硬化させるような場合、基板の寸法変化等が生じる恐れがある。さらには、生産効率の向上あるいは環境への負荷等の観点から、より低温で硬化可能なイミドオリゴマーの開発が望まれていた。
米国特許5,567,810号公報 米国特許5,681,967号公報 米国特許5,760,168号公報 特開2007−99969号公報
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その解決すべき課題は、溶媒溶解性及び溶液保存性に優れ、比較的低い温度で硬化可能であり、且つ加熱硬化させて得られたポリイミドが優れた耐熱性を示すイミドオリゴマー組成物を提供することにある。
本発明者らが、前記従来技術の課題に鑑み鋭意検討を行った結果、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンをジアミン成分として含み、エチニルアニリンを用いて末端変性したイミドオリゴマーと、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸を用いて末端変性したイミドオリゴマーとを混合することによって、溶媒溶解性及び溶液保存性に優れ、且つ比較的低い温度で一次硬化可能なイミドオリゴマーブレンド組成物が得られ、さらにこれを加熱硬化して得られたポリイミド樹脂が優れた耐熱性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるイミドオリゴマーブレンド組成物は、(A)下記一般式(1)で示される末端変性イミドオリゴマーと、(B)下記一般式(2)で表される末端変性イミドオリゴマーとからなるイミドオリゴマー成分を含み、(A)一般式(1)で示される末端変性イミドオリゴマーと、(B)一般式(2)で表される末端変性イミドオリゴマーとの混合比が、(A):(B)=80:20〜20:80であることを特徴とするものである。
Figure 2011057824
(一般式(1)中、R1,R3,R4は4価の芳香族テトラカルボン酸残基を、R2は2価の芳香族ジアミン残基を表す。m,nは、m>0,n>0,m+n≧1を満たす。)
Figure 2011057824
(一般式(2)中、R6,R7は4価の芳香族テトラカルボン酸残基を、R5,R8は2価の芳香族ジアミン残基を表す。x,yは、x>0,y≧0,x+y≧1を満たす。)
また、前記イミドオリゴマーブレンド組成物において、(A)一般式(1)で示される末端変性イミドオリゴマーのガラス転移温度Tgが120〜165℃であり、(B)一般式(2)で示される末端変性イミドオリゴマーのガラス転移温度Tgが120〜210℃であることが好適である。
また、前記イミドオリゴマーブレンド組成物において、一般式(1)におけるR1,R3,R4、及び一般式(2)におけるR6,R7が、下記の芳香族テトラカルボン酸残基から選択される少なくとも1種であることが好適である。
Figure 2011057824
また、前記イミドオリゴマーブレンド組成物において、一般式(1)におけるR2、及び一般式(2)におけるR5,R8が、下記の芳香族ジアミン残基から選択される少なくとも1種であることが好適である。
Figure 2011057824
また、本発明にかかるワニスは、前記イミドオリゴマーブレンド組成物を有機溶媒に溶解してなることを特徴とするものである。
また、本発明にかかる硬化物は、前記イミドオリゴマーブレンド組成物又は前記ワニスを加熱硬化させて得られることを特徴とするものである。
また、前記硬化物において、前記イミドオリゴマーブレンド組成物又は前記ワニスを180℃以上300℃未満の温度で一定時間加熱して一次硬化し、さらに昇温して300℃以上400℃以下の温度で一定時間加熱して二次硬化させて得られることものであることが好適である。
本発明によれば、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンをジアミン成分として含み、エチニルアニリンを用いて末端変性したイミドオリゴマー(A)と、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸を用いて末端変性したイミドオリゴマー(B)とを混合することによって、溶媒溶解性及び溶液保存性に優れ、且つ比較的低い温度で一次硬化が可能なイミドオリゴマーブレンド組成物が得られ、さらにこれを加熱硬化させて得られたポリイミド樹脂は優れた耐熱性を示す。
本発明にかかるイミドオリゴマーブレンド組成物は、組成物中に含まれるイミドオリゴマー成分が、ともに9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンをジアミン成分として含み、
(A)エチニルアニリンを用いて末端変性することによって得られる下記一般式(1)により示されるイミドオリゴマーと、
(B)4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸を用いて末端変性することによって得られる下記一般式(2)により示されるイミドオリゴマーと
からなり、(A)一般式(1)で示される末端変性イミドオリゴマーと、(B)一般式(2)で表される末端変性イミドオリゴマーとの混合比が、(A):(B)=80:20〜20:80であることを特徴とするものである。
Figure 2011057824
Figure 2011057824
上記一般式(1)におけるR1,R3,R4、及び一般式(2)におけるR6,R7は、4価の芳香族テトラカルボン酸残基を示すものである。本発明に用いる芳香族テトラカルボン酸二無水物は、特に限定されるものではないが、好適な芳香族テトラカルボン酸として、例えば、無水ピロメリット酸、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−ビフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。なお、これらの芳香族テトラカルボン酸は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。また、これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いた場合、上記一般式(1)におけるR1,R3,R4、及び一般式(2)におけるR6,R7で示される残基は以下のようになる。
Figure 2011057824
また、上記一般式(1)におけるR2、及び一般式(2)におけるR5,R8は、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン以外の2価の芳香族ジアミン残基を示すものである。本発明に用いられる芳香族ジアミンは、特に限定されるものではないが、好適な芳香族ジアミンとして、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルが挙げられる。なお、これらの芳香族ジアミンは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもかまわない。また、これらの芳香族ジアミンを用いた場合、一般式(1)におけるR2、及び一般式(2)におけるR5,R8で示される残基は以下のようになる。
Figure 2011057824
また、上記一般式(1)におけるm,n及び上記一般式(2)におけるx,yは、それぞれ、m>0,n>0,m+n≧1,あるいはx>0,y≧0,x+y≧1を満たす。
なお、本発明のイミドオリゴマーにおいてm+nあるいはx+yが10を超えると、溶融粘度が高くなり、熱成形が困難になる場合があるため、1≦m+n及びx+y≦10であることが好ましい。また、1≦m+n及びx+y≦6であることが好ましく、より好ましくは2≦m+n及びx+y≦5である。m+n及びx+yが前記範囲内であると、特に成形性及び耐熱性に優れたイミドオリゴマーブレンド組成物が得られる。
ここで、上記一般式(1),(2)に示される末端変性イミドオリゴマー(A),(B)において、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン残基を含むイミド構造のn,xは、それぞれn>0,x>0である。末端変性イミドオリゴマー(A)において当該イミド構造を含まない場合、溶媒に溶解しにくくなり、成形性に劣る場合がある。一方で、末端変性イミドオリゴマー(B)において当該イミド構造を含まない場合、溶媒に溶解しにくくなるほか、熱成形性あるいは硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性にも劣る場合がある。なお、末端変性イミドオリゴマー(B)においては、その全体が当該イミド構造からなるものであってもよい。
また、上記一般式(1)に示される末端変性イミドオリゴマー(A)において、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン以外の芳香族ジアミン残基を含むイミド構造のmは、m>0である。イミドオリゴマー中に当該イミド構造を含まない場合、溶媒に溶解しにくくなったり、硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性に劣る場合がある。一方で、上記一般式(2)に示される末端変性イミドオリゴマー(B)において9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン以外の芳香族ジアミン残基を含むイミド構造のyは、y≧0であって、イミドオリゴマー全量中に当該イミド構造が含まれていても含まれていなくてもよい。
なお、上記一般式(1)に示されるイミドオリゴマー(A)は、ガラス転移温度Tgが120〜165℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度Tgが120℃よりも低いと、硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性に劣る場合があり、165℃よりも高いと、熱成形時に十分に溶融することができず、熱成形性に劣る場合がある。
また、上記一般式(2)に示される末端変性イミドオリゴマー(B)は、ガラス転移温度Tgが120〜210℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移温度Tgが120℃よりも低くなると、溶媒に溶解しにくくなるほか、熱成形性あるいは硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性にも劣る場合がある。一方で、ガラス転移温度Tgが210℃よりも高いと、熱成形時に十分に溶融することができず、熱成形性に劣る場合がある。
なお、本発明にかかるイミドオリゴマーブレンド組成物において、上記一般式(1)で示される末端変性イミドオリゴマー(A)と、上記一般式(2)で表される末端変性イミドオリゴマー(B)との混合比は、(A):(B)=80:20〜20:80の範囲で用いることができるが、(A):(B)=50:50〜80:20であることが特に好ましい。ブレンド組成物全量中の末端変性イミドオリゴマー(A)の割合が0.2よりも少ないと、低温で硬化することができず、加熱硬化の際に高温処理が必要となり、成形性に劣る場合がある。一方で、末端変性イミドオリゴマー(B)の割合が0.2よりも少ないと、加熱硬化後のポリイミド樹脂が耐熱性に劣る場合がある。
本発明に用いる末端変性イミドオリゴマー(A)及び(B)は、例えば、下記(1),(2)の各工程によって調製することができる。
(1)芳香族ジアミンと、芳香族テトラカルボン酸二無水物とを溶媒中で混合し、重縮合反応を行なうことによってアミック酸オリゴマーあるいはイミドオリゴマーを調製する。
(2)つづいて、(1)で得られたアミック酸オリゴマー又はイミドオリゴマーと、エチニルアニリン又は4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸とを反応させることによって、その末端にエチニル基又はフェニルエチニル基を付加する。
ここで、末端変性イミドオリゴマー(A)の場合、芳香族ジアミン中に9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンを使用する必要があり、芳香族ジアミン全量中15モル%以下であることが好ましい。9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンの配合比が15モル%よりも多くなると、イミドオリゴマーブレンド組成物の溶融粘度が高くなり、成形性に劣る場合がある。
一方で、末端変性イミドオリゴマー(B)においては、上記(1)工程において使用する芳香族ジアミンとしては、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンを使用する必要があり、芳香族ジアミン全量中、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンが50モル%以上であることが好ましい。9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンの配合比が50モル%よりも少なくなると、イミドオリゴマーブレンド組成物を加熱硬化して得られたポリイミド樹脂が、耐熱に劣る場合がある。
また、その他の芳香族ジアミン、芳香族テトラカルボン酸二無水物については、任意の化合物を単独で、あるいは適宜組み合わせて使用することができる。
重縮合反応に用いる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルカプロラクタム、γ−ブチロラクトン(GBL)、シクロヘキサノン等の非プロトン性溶媒が挙げられる。これらの溶媒は単独で、あるいは2種以上を併用してもよい。
なお、以上に例示したような非プロトン性溶媒中で重合反応を行なった場合、アミック酸オリゴマーが得られる。このアミック酸オリゴマーは、例えば、低温(約0〜140℃)でイミド化剤を添加するか、あるいは高温(約140〜275℃)で加熱還流することによって、アミド部位とカルボン酸部位とを脱水・環化(イミド化)させ、イミドオリゴマーとすることができる。
上記(2)工程において、末端変性イミドオリゴマー(A)の場合、(1)で得られたアミック酸オリゴマー又はイミドオリゴマーと、エチニルアニリンとを反応させることによって、エチニルアニリンのアミノ基をイミドオリゴマー鎖末端の任意のジカルボン酸基と縮合してイミド結合を形成し、その末端にエチニル基を付加する。一方で、末端変性イミドオリゴマー(B)の場合、前記アミック酸オリゴマー又はイミドオリゴマーと、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸とを反応させることによって、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸の酸無水物基をイミドオリゴマー鎖末端の任意のアミノ基と縮合してイミド結合を形成し、その末端にフェニルエチニル基を付加する。上記(2)工程によって末端に付加されるエチニル基又はフェニルエチニル基は、加熱によって反応基同士が架橋構造を形成するため、これにより、イミドオリゴマーに熱硬化性を付与することができる。
ここで、上記(2)工程におけるエチニルアニリン又は4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸の添加量は、反応可能なアミノ基又はカルボキシル基の当量に合わせて適宜調整すればよいが、通常の場合、イミドオリゴマーのイミド環に対して1.1〜2.0倍量(モル)程度であればよい。
なお、上記(2)工程の反応は(1)工程と連続して行なうことができ、通常、(1),(2)の両工程をアミック酸オリゴマーの状態で行い、最終的にイミドオリゴマーへと変換させる。すなわち、(1)工程により得られたアミック酸オリゴマーの状態で(2)工程によるエチニルアニリン又は4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸の付加反応を行い、つづいて、例えば、低温(約0〜140℃)でイミド化剤を添加するか、あるいは高温(約140〜275℃)で加熱還流することによって、脱水・環化(イミド化)させ、イミドオリゴマーを得る。ここで、加熱による逆反応やエチニルアニリンの蒸発を防ぐ点から、低温でイミド化を行うことが好ましい。
以上のようにして得られる末端変性イミドオリゴマー(A)及び(B)は、反応後の溶液をそのまま混合してイミドオリゴマーブレンド組成物とすることができる。あるいは、例えば、反応終了後の溶液を多量の水中に攪拌しながら投入し、ろ過により単離した後、100℃程度で乾燥させることでそれぞれを粉末状のイミドオリゴマーとし、これらを粉末の状態で混合してイミドオリゴマーブレンド組成物とすることもできる。
また、本発明のイミドオリゴマーブレンド組成物は、以上で得られた混合粉末を必要に応じて適当な溶媒中に溶解した溶液組成物(ワニス)として使用することができる。特に本発明のイミドオリゴマーは、溶媒に対する溶解性が高く、また、溶液保存性にも優れているため、比較的高濃度のワニスとして長期間安定に保存することができる。ワニスに使用する溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等のアミド系溶媒を好適に使用することができる。なお、ワニス中に配合する末端変性イミドオリゴマーブレンド組成物の配合量は、特に限定されるものではないが、ワニス全量中、30質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましい。
また、以上のようにして得られたイミドオリゴマーブレンド組成物又はワニスは、単独で、あるいは炭素繊維等の繊維状補強材に含浸させた状態で加熱硬化させることで、耐熱性に優れたポリイミド樹脂とすることができる。特にワニスとして使用することで、容易に成形することが可能であり、繊維状補強材等への含浸も比較的容易に行うことができる。
イミドオリゴマーブレンド組成物の加熱硬化に際し、加熱温度及び加熱時間については、所望のポリイミド樹脂の物性に合わせて適宜調整することができる。特に、本発明にかかるイミドオリゴマーブレンド組成物は硬化温度が比較的低く、約180〜300℃で一次硬化を開始する。また、さらに300〜400℃で二次硬化を行うことによって、より耐熱性等に優れたポリイミド樹脂とすることができる。より具体的には、例えば、予備的に120〜160℃程度の温度で一定時間加熱することでイミドオリゴマーを熱溶融し、その後、180以上300℃未満の温度で一定時間加熱して一次硬化を行い、その後、300℃以上400℃以下の温度で一定時間加熱して二次硬化させることによって、耐熱性等に優れたポリイミド樹脂硬化物を得ることができる。なお、それぞれの加熱工程における加熱温度を高くするか、あるいは加熱時間を長くすることによって、通常、ポリイミド樹脂硬化物の耐熱性が向上する。
なお、本発明のイミドオリゴマーブレンド組成物又はワニスを用いたポリイミド樹脂成形体の製造は、公知の方法にしたがって行なえばよい。例えば、本発明のイミドオリゴマーブレンド組成物の粉末を金型内に充填し、180以上300℃未満、0.5〜5MPa程度で、1〜12時間程度加熱圧縮成形して、一次成形品を得ることができる。つづいて、300℃以上400℃以下、0.5〜5MPa程度で、1〜5時間程度加熱圧縮成形することにより、耐熱性及び機械的特性に優れたポリイミド樹脂成形体を得ることができる。また、例えば、本発明のイミドオリゴマーブレンド組成物を含むワニスを炭素繊維等の繊維状補強材に含浸させ、50〜120℃で1〜5時間程度加熱乾燥した後、さらに加圧下、180〜350℃で1〜5時間程度加熱して、ポリイミド樹脂の繊維含有複合体を得ることができる。また、例えば、本発明のイミドオリゴマーブレンド組成物の溶液を、ガラス板等の剥離性の良好な支持体上へと塗布し、180〜350℃で1〜12時間程度加熱して、ポリイミド樹脂フィルムを得ることができる。
以下、実施例の記載に基づいて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例で得られたイミドオリゴマーブレンド組成物の最低溶融粘度、硬化物のガラス転移温度及び5%重量減少温度については、それぞれ、AR2000型レオメーター(TAインスツルメンツ社製)、DSC−6200型示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)、TG/DTA6300型熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて測定を行った。
まず最初に本発明者らは、以下に示す末端変性イミドオリゴマー(A)〜(C)を調製し、これらのイミドオリゴマーを混合したブレンド組成物について評価を行った。
末端変性イミドオリゴマー(A1)
温度計、攪拌子、窒素導入管を備えた3つ口の300mLフラスコに1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン4.911g(16.8mmol)とN,N−ジメチルアセトアミド33.93mLを加え、溶解後、9,9−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン0.639g(1.2mmol)を入れ、溶解させた。その後、オキシジフタル酸7.445g(24mmol)を入れ、溶解させた。窒素気流下、室温で1.5時間攪拌し、アミド酸オリゴマーを生成した。その後エチニルアニリン1.546g(13.2mmol)を加え、窒素気流下、室温で1時間攪拌し、末端を変性させた。その後、無水酢酸7.899gとピリジン6.120gを加え、2時間攪拌し、イミド結合させた。この反応液を200mLのイオン交換水に投入し30分攪拌した後、析出した粉末を減圧濾過した。さらに濾過させた粉末を100mLのメタノールで30分攪拌して洗浄し、濾別して得られた粉末を60℃で1日間減圧乾燥し、末端変性イミドオリゴマー(A1)を得た。なお、以上で得られた末端変性イミドオリゴマー(A1)のガラス転移温度Tgは156℃であった。
末端変性イミドオリゴマー(A2)
上記末端変性イミドオリゴマー(A1)において、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンに代えて4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを使用したほかは同様にして合成を行い、末端変性イミドオリゴマー(A2)を得た。なお、得られた末端変性イミドオリゴマー(A2)のガラス転移温度Tgは160℃であった。
末端変性イミドオリゴマー(B1)
温度計、攪拌子、窒素導入管を備えた3つ口の100mLフラスコに9,9−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン4.261g(8mmol)とN−メチル−2−ピロリドン17.3mLを加え、溶解させた。その後、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1.177g(4mmol)を入れ、溶解させた。窒素気流下、室温で1.5時間、60℃で1.5時間、室温で1時間攪拌し、その反応液に4−フェニルエチニルフタル酸無水物1.986g(8mmol)を加え、窒素気流下、室温で18時間攪拌し、末端を変性させた。その後、175℃で5時間攪拌し、イミド結合させた。この反応液を冷却後、200mLのイオン交換水に投入し30分攪拌した後、析出した粉末を減圧濾過した。さらに濾過させた粉末を100mLのメタノールで30分攪拌して洗浄し、濾別して得られた粉末を60℃で1日間減圧乾燥し、末端変性イミドオリゴマー(B1)を得た。なお、以上で得られた末端変性イミドオリゴマー(B1)のガラス転移温度Tgは205℃であった。
末端変性イミドオリゴマー(B2)
上記末端変性イミドオリゴマー(B1)において、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物に代えてベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物を使用したほかは同様にして合成を行い、末端変性イミドオリゴマー(B2)を得た。なお、得られた末端変性イミドオリゴマー(B2)のガラス転移温度Tgは160℃であった。
末端変性イミドオリゴマー(C1)
温度計、攪拌子、窒素導入管を備えた3つ口の100mLフラスコに1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン1.462g(0.5mmol)とN−メチル−2−ピロリドン13.9mLを加え、溶解させ、さらに1,3−ジアミノベンゼン0.541g(0.5mmol)を加えて溶解させた。その後3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物1.471g(0.5mmol)を入れ、溶解させた。窒素気流下、室温で1.5時間、60℃で1.5時間、室温で1時間攪拌し、その反応液に4−フェニルエチニルフタル酸無水物2.482g(1mmol)を加え、窒素気流下、室温で18時間攪拌し、末端を変性させた。その後、175℃で5時間攪拌し、イミド結合させた。この反応液を冷却後、200mLのイオン交換水に投入し30分攪拌した後、析出した粉末を減圧濾過した。さらに濾過させた粉末を100mLのメタノールで30分攪拌して洗浄し、濾別して得られた粉末を60℃で1日間減圧乾燥し、末端変性イミドオリゴマー(C1)を得た。なお、以上で得られた末端変性イミドオリゴマー(C1)のガラス転移温度Tgは120℃であった。
実施例1
以上で得られた末端変性イミドオリゴマー(A1)1.35gと末端変性イミドオリゴマー(B1)0.45gとをN−メチル−2−ピロリドン4.2mLに加え、溶解させた。溶液を200mLのイオン交換水に投入し30分攪拌した後、析出した粉末を減圧濾過した。さらに濾過させた粉末を100mLのメタノールで30分攪拌して洗浄し、濾別して得られた粉末を60℃で1日間減圧乾燥し、実施例1のイミドオリゴマーブレンド組成物を得た。
実施例1のイミドオリゴマーブレンド組成物は、NMP及びDMAc溶媒に室温で45重量%可溶し、可溶したものは1ヶ月後もゲル化は見られなかった。このイミドオリゴマーブレンド組成物の最低溶融粘度は47,600ポイズ(264℃)であった。また、このイミドオリゴマー組成物は、加圧下250℃程度で加熱することにより一次硬化を開始し、フィルムを形成することが確認された。このイミドオリゴマーブレンド組成物をホットプレスにより260℃1時間加熱し、その後360℃1時間オーブンに投入して得られたフィルム状の硬化物は、ガラス転移温度が312℃、5%重量減少温度が553℃であった。
実施例2
上記実施例1のイミドオリゴマーブレンド組成物と同様にして、末端変性イミドオリゴマー(A2)1.35gと末端変性イミドオリゴマー(B2)0.45gとをブレンドし、実施例2のイミドオリゴマーブレンド組成物を得た。
実施例2のイミドオリゴマーブレンド組成物は、NMP及びDMAc溶媒に室温で45重量%可溶し、可溶したものは1ヶ月後もゲル化は見られなかった。このイミドオリゴマーブレンド組成物の最低溶融粘度は56,200ポイズ(270℃)であった。また、このイミドオリゴマー組成物は、加圧下250℃程度で加熱することにより一次硬化を開始し、フィルムを形成することが確認された。このイミドオリゴマーブレンド組成物をホットプレスにより260℃1時間加熱し、その後360℃1時間オーブンに投入して得られたフィルム状の硬化物は、ガラス転移温度が310℃、5%重量減少温度が545℃であった。
比較例1
以上で得られた末端変性イミドオリゴマー(A1)1.5gと末端変性イミドオリゴマー(C1)0.5gをN−メチル−2−ピロリドン4.7mLに加え、溶解させた。溶液を200mLのイオン交換水に投入し30分攪拌した後、析出した粉末を減圧濾過した。さらに濾過させた粉末を100mLのメタノールで30分攪拌して洗浄し、濾別して得られた粉末を60℃で1日間減圧乾燥し、比較例1のイミドオリゴマーブレンド組成物を得た。
比較例1のイミドオリゴマーブレンド組成物は、NMP及びDMAc溶媒に室温で可溶しなかった。このイミドオリゴマーブレンド組成物の最低溶融粘度は490ポイズ(253℃)であった。また、このイミドオリゴマー組成物は、加圧下250℃程度で加熱しても硬化せず、フィルムは形成されなかった。このイミドオリゴマーブレンド組成物をホットプレスにより260℃1時間加熱し、その後360℃1時間オーブンに投入して得られたフィルム状の硬化物は、ガラス転移温度が288℃、5%重量減少温度が549℃であった。
上記結果より、ともに9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンをジアミン成分として含み、エチニルアニリンを用いて末端変性したイミドオリゴマー(A1)又は(A2)と、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸を用いて末端変性したイミドオリゴマー(B1)又は(B2)とを混合して得られた実施例1,2のイミドオリゴマーブレンド組成物は、NMP及びDMAc溶媒に室温で45重量%可溶し、可溶したものは1ヶ月後もゲル化は見られなかったことから、溶媒溶解性及び溶液保存性に優れていることがわかった。また、得られたイミドオリゴマーブレンド組成物を加圧下250℃で加熱することによりフィルムが形成されることから、比較的低温で一次硬化を生じることが確認された。さらに高温で加熱硬化して得られたポリイミド樹脂フィルムは、ガラス転移温度が300℃以上であり、5%重量減少温度も約550℃と、耐熱性に優れているものであった。
一方で、エチニルアニリン末端変性イミドオリゴマー(A1)と、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンをジアミン成分として含まず、4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸により末端変性したイミドオリゴマー(C1)とを混合して得られて比較例1のイミドオリゴマーブレンド組成物は、NMP、DMAcのいずれにも室温で溶解することが出来なかった。また、加圧下250℃の加熱によっても硬化反応はまったく生じなかった。さらに高温で加熱硬化して得られたポリイミド樹脂フィルムにおいても、ガラス転移温度、5%重量減少温度ともに、実施例1,2のイミドオリゴマーブレンド組成物を用いた場合と比較して若干劣っていた。
末端変性イミドオリゴマー(A),(B)の混合割合
つづいて、本発明者らは末端変性イミドオリゴマー(A),(B)の混合割合について検討するため、上記末端変性イミドオリゴマー(A1)と末端変性イミドオリゴマー(B1)とを、下記表1に示すそれぞれの割合で混合した各種イミドオリゴマーブレンド組成物を調製し、その評価を行った。評価結果を表1に併せて示す。なお、評価基準は以下のとおりである。
(1)溶媒溶解性
各試験例のイミドオリゴマーブレンド組成物について、NMP及びDMAc溶媒への溶解を試みた。
◎:NMP及びDMAc溶媒に室温で40重量%以上可溶した。
×:NMP及びDMAc溶媒に室温で40重量%以上可溶しなかった。
(2)溶液保存性
上記(1)においてNMP及びDMAc溶媒に可溶したイミドオリゴマーブレンド組成物について、室温1ヶ月保存後の状態を確認した。
◎:1ヶ月保存後にゲルは生じなかった。
×:1ヶ月保存後にゲルが生じた。
(3)低温硬化性
各試験例のイミドオリゴマーブレンド組成物について、徐々に加熱していくことによって硬化の開始する温度を測定した。
◎:180〜300℃の温度で硬化を開始した。
×:300℃以上の温度で硬化を開始した。
(4)加熱硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性
各試験例のイミドオリゴマーブレンド組成物をホットプレスにより260℃1時間加熱し、その後360℃1時間オーブンに投入して得られたフィルム状の硬化物について、ガラス転移温度を測定した。
◎:ガラス転移温度が300℃以上であった。
○:ガラス転移温度が250〜300℃であった。
×:ガラス転移温度が250℃未満であった。
Figure 2011057824
上記表1に示されるように、エチニルアニリンにより末端変性したイミドオリゴマー(A1)を単独で用いた比較例2は加熱硬化後の樹脂のガラス転移温度が低く、耐熱性に劣っていた。一方で、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンをジアミン成分として含み、且つ4−(2−フェニルエチニル)無水フタル酸により末端変性したイミドオリゴマー(B1)を単独で用いた比較例4は、低温で硬化しなかった。また、末端変性イミドオリゴマー(A1)と末端変性イミドオリゴマー(B1)とを(A):(B)=10:90の割合で混合した比較例3も、同様に低温で硬化しなかった。
これに対して、末端変性イミドオリゴマー(A1)と末端変性イミドオリゴマー(B1)とを(A):(B)=80:20〜20:80の割合で混合した実施例3〜7のイミドオリゴマーブレンド組成物は、低温硬化性を有し、且つ樹脂の耐熱性にも優れているものであった。特に、(A):(B)=50:50〜20:80の割合で混合した実施例5〜7のイミドオリゴマーブレンド組成物においては、低温硬化性、樹脂の耐熱性ともに非常に優れているものであった。
末端変性イミドオリゴマー(A)及び(B)のガラス転移温度Tg
つづいて本発明者らは、一般式(1)に示される末端変性イミドオリゴマー(A)及び一般式(2)に示される末端変性イミドオリゴマー(B)について、それぞれの好適なガラス転移温度Tgについて検討を行った。
末端変性イミドオリゴマー(A)については、上記末端変性イミドオリゴマー(A1)における各イミド構造のm,nの割合を表2に示す割合に変更し、ガラス転移温度Tgを変化させた各種末端変性イミドオリゴマーと、上記末端変性イミドオリゴマー(B1)とを、(A):(B)=25:75の混合割合でブレンドし、得られたイミドオリゴマーブレンド組成物について各種評価を行った。
また、末端変性イミドオリゴマー(B)については、上記末端変性イミドオリゴマー(B1)における各イミド構造のx、yの割合を表3に示す割合に変更し、ガラス転移温度Tgを変化させた各種末端イミドオリゴマーと、上記末端変性イミドオリゴマー(A1)とを、(A):(B)=25:75の混合割合でブレンドし、得られたイミドオリゴマーブレンド組成物について評価を行った。
以上で得られた各種イミドオリゴマーブレンド組成物の評価結果を、表2及び表3に併せて示す。なお、評価基準は以下のとおりである。
(1)溶媒溶解性
各試験例のイミドオリゴマーブレンド組成物について、NMP及びDMAc溶媒への溶解を試みた。
◎:NMP及びDMAc溶媒に室温で40重量%以上可溶した。
×:NMP及びDMAc溶媒に室温で40重量%以上可溶しなかった。
(2)熱成形性
各試験例のイミドオリゴマーブレンド組成物をホットプレスにより260℃1時間加熱し、取り出した硬化物について評価した。
◎:イミドオリゴマーが十分に溶融しており、色味も均一なフィルム状になっていた。
×:イミドオリゴマーが十分に溶融しておらず、粉末状物質が残存し、フィルム状になっていなかった。
(3)加熱硬化後のポリイミド樹脂の耐熱性
各試験例のイミドオリゴマーブレンド組成物をホットプレスにより260℃1時間加熱し、その後360℃1時間オーブンに投入して得られたフィルム状の硬化物について、ガラス転移温度を測定した。
◎:ガラス転移温度が300℃以上であった。
○:ガラス転移温度が250〜300℃であった。
×:ガラス転移温度が250℃未満であった。
Figure 2011057824
上記表2に示すように、m,n比をそれぞれ変化させて得られたガラス転移温度が156〜162℃の末端変性イミドオリゴマー(A)を用いて得られた実施例6,8,9のイミドオリゴマーブレンド組成物は、溶媒溶解性、熱成形性、樹脂耐熱性のいずれの点においても優れているものであった。
一方、ガラス転移温度が169℃の末端変性イミドオリゴマー(A)を用いた比較例5のイミドオリゴマーブレンド組成物では、熱成形時に十分に溶融せず粉末状で残存してしまい、熱成形性の点で問題があることがわかった。また、nがゼロで9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンを含まない末端変性イミドオリゴマー(A)を使用した比較例6のイミドオリゴマーブレンド組成物は溶媒溶解性の点で劣っていた。これらの結果から、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンを含み、ガラス転移温度Tgが165℃以下の末端変性イミドオリゴマー(A)を使用することが好ましいと言える。また、加熱硬化後の樹脂耐熱性の低下を防ぐ観点から、末端変性イミドオリゴマー(A)のガラス転移温度Tgは120℃〜165℃の範囲がより好ましいと考えられる。
Figure 2011057824
上記表3に示すように、ガラス転移温度は158〜205℃の末端変性イミドオリゴマー(B)を用いた実施例6,10〜12のイミドオリゴマーブレンド組成物においては、溶媒溶解性、成形性、樹脂耐熱性のいずれの点にも優れていた。
これに対して、xがゼロで9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンを含まない末端変性イミドオリゴマー(B)を用いて得られた比較例7のイミドオリゴマーブレンド組成物は、溶媒溶解性、成形性、樹脂耐熱性のいずれの点も劣っているものであった。これらの結果から、末端変性イミドオリゴマー(B)については、9,9’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)フルオレンを含み、ガラス転移温度Tgが210℃以下の末端変性イミドオリゴマー(B)を使用することが好ましいと言える。また、加熱硬化後の樹脂耐熱性の低下を防ぐ観点から、末端変性イミドオリゴマー(B)のガラス転移温度Tgは120℃〜210℃の範囲がより好ましいと考えられる。

Claims (7)

  1. (A)下記一般式(1)で示される末端変性イミドオリゴマーと、
    (B)下記一般式(2)で表される末端変性イミドオリゴマーと
    からなるイミドオリゴマー成分を含み、
    (A)一般式(1)で示される末端変性イミドオリゴマーと、(B)一般式(2)で表される末端変性イミドオリゴマーとの混合比が、(A):(B)=80:20〜20:80であることを特徴とするイミドオリゴマーブレンド組成物。
    Figure 2011057824
    (一般式(1)中、R1,R3,R4は4価の芳香族テトラカルボン酸残基を、R2は2価の芳香族ジアミン残基を表す。m,nは、m>0,n>0,m+n≧1を満たす。)
    Figure 2011057824
    (一般式(2)中、R6,R7は4価の芳香族テトラカルボン酸残基を、R5,R8は2価の芳香族ジアミン残基を表す。x,yは、x>0,y≧0,x+y≧1を満たす。)
  2. (A)一般式(1)で示される末端変性イミドオリゴマーのガラス転移温度Tgが120〜165℃であり、(B)一般式(2)で示される末端変性イミドオリゴマーのガラス転移温度Tgが120〜210℃であることを特徴とする請求項1記載のイミドオリゴマーブレンド組成物。
  3. 一般式(1)におけるR1,R3,R4、及び一般式(2)におけるR6,R7が、下記の芳香族テトラカルボン酸残基から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のイミドオリゴマーブレンド組成物。
    Figure 2011057824
  4. 一般式(1)におけるR2、及び一般式(2)におけるR5,R8が、下記の芳香族ジアミン残基から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のイミドオリゴマーブレンド組成物。
    Figure 2011057824
  5. 請求項1記載のイミドオリゴマーブレンド組成物を有機溶媒に溶解してなることを特徴とするワニス。
  6. 請求項1記載のイミドオリゴマーブレンド組成物又は請求項5記載のワニスを加熱硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
  7. 請求項6記載の硬化物において、請求項1記載のイミドオリゴマーブレンド組成物又は請求項5記載のワニスを180℃以上300℃未満の温度で一定時間加熱して一次硬化し、さらに昇温して300℃以上400℃以下の温度で一定時間加熱して二次硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
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