JP2011057640A - 貼付剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、ミドドリンの保存安定性及び経皮吸収性に優れ且つ貼付性が良好な貼付剤を提供する。
【解決手段】 本発明の貼付剤は、支持体の一面に膏体層が積層一体化されてなる貼付剤であって、上記膏体層は、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレート60〜98重量%及び1−ビニル−2−ピロリドン2〜40重量%を含有する単量体を共重合させてなる共重合体を含むアクリル系粘着剤60〜97重量%と、ミドドリン3〜40重量%とを含有しており、上記ミドドリンの一部が上記膏体層中に非溶解状態にて存在していることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ミドドリンを経皮投与するための貼付剤に関する。
ミドドリンはその活性代謝物である2−アミノ−1−(2’,5’−ジメトキシフェニル)エタノール(以下、「DMAE」という)が選択的にα1−受容体を刺激して末梢血管を収縮させることにより血圧を上昇させることが知られており、本態性低血圧及び起立性低血圧の治療に用いられている。更に、近年、臨床現場では、DMAEのα1−受容体刺激による平滑筋収縮作用に注目し、ミドドリンやDMAEを腹圧性尿失禁の治療に応用することも期待されている。
上記ミドドリンを成分とする薬品としては、現在、塩酸ミドドリンを主成分とする経口剤が市販されており、その一般的な用法・用量としては、2〜10mgを1日2〜3回服用する。しかしながら、上記経口剤の服用後、塩酸ミドドリン代謝物であるDMAEの血中濃度が急激に上昇し、副作用である仰臥性高血圧症を発現してしまうことがあった。
そこで、上記問題の解決方法として、ミドドリンを含有する貼付剤を皮膚に貼付することによりミドドリンを経皮投与する方法が提案されている(特許文献1)。このように貼付剤によってミドドリンを投与する利点としては、(1)ミドドリンを皮膚より長時間に亘って緩やかな速度で吸収させることができるため、DMAE血中濃度の急激な上昇が発生しにくい、(2)ミドドリンの肝臓内における一次代謝が回避され、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)が向上する、(3)副作用が発生した場合においても、貼付剤を剥離することによりミドドリンの投与を直ちに中止することができる、といった点が挙げられる。
特に、ミドドリンを腹圧性尿失禁の治療に用いようとする場合、患者は本来、血圧管理を必要とせず、貼付剤の場合には、このような患者に対して副作用の高血圧症を引き起こす可能性の少ない程度の量を持続的に投与することが容易となり好ましい。
更に、特許文献1には、ミドドリンを含有する経皮適用剤を貼付剤として用いることが提案され、更に、ミドドリンの経皮吸収性を高めるための添加剤として、極性溶媒、吸収促進剤、塩基性物質を含有する経皮適用剤が提案されている。また、経皮適用剤の剤型としては、貼付剤、軟書剤、クリーム剤又はローション剤が提案されている。
しかしながら、発明者らが検討した結果、上記経皮適用剤で使用される添加剤は、貼付剤の添加剤としては必ずしも好適ではないことが明らかとなった。即ち、貼付剤の基剤となる粘着剤に良好に溶解しなかったり、更に、長期間保存した場合に基剤の変質やミドドリンの分解が発生したりして、ミドドリンの経皮吸収性が良好に発現しないという問題が明らかになった。
更に、ミドドリン貼付剤としては、皮膚から吸収されたミドドリンが体内でDMAEに変換し、その血中濃度を所望の範囲まで上昇させ、更に必要な期間維持させることが必要とされる。
このような効果を得るためには、膏体層中に充分な量のミドドリンが含有され、且つ、ミドドリンが皮膚との貼着面に継続的に供給され、所望の速度でミドドリンが皮膚へ移行していくことが求められる。
このようなミドドリンの持続的な経皮吸収性を実現するために、発明者らは種々の基剤と添加剤の検討を行った。ミドドリンの溶解性及び拡散性の高い基剤を選択すると、膏体層からのミドドリンの放出性や、ミドドリンの皮膚への移行性が持続せず、ミドドリンの所望の経皮吸収速度を所定期間に亘って確保することができない。
逆に、ミドドリンの一部が結晶として存在するような、溶解性の低い基剤を選択すると、膏体層に含有しているミドドリンのうち、非溶解状態で存在しているミドドリンが速やかに溶解、拡散できない場合が多く、皮膚表面にミドドリンが継続的に供給されず、所望のミドドリンの経皮吸収速度を維持することができない。又、貼付剤の保存中にミドドリンの結晶の析出状態が変化し、ミドドリンの経皮吸収性にも影響を与えてしまう場合がある。
特開2001−131062号公報
本発明は、ミドドリンの保存安定性及び経皮吸収性に優れ且つ貼付性が良好な貼付剤を提供する。
本発明の貼付剤は、支持体の一面に膏体層が積層一体化されてなる貼付剤であって、上記膏体層は、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレート60〜98重量%及び1−ビニル−2−ピロリドン2〜40重量%を含有する単量体を共重合させてなる共重合体を含むアクリル系粘着剤60〜97重量%と、ミドドリン3〜40重量%とを含有しており、上記ミドドリンの一部が上記膏体層中に非溶解状態にて存在していることを特徴とする。
本発明の貼付剤を構成している支持体は、特に限定されないが、膏体層中のミドドリンの損失を防ぎ、膏体層を保護すること、貼付剤に自己支持性を付与するための強度を有していること、貼付剤の良好な貼付感を付与するための柔軟性を有していることが好ましい。
このような支持体としては、特に限定されず、例えば、非発泡樹脂シート、発泡樹脂シート、不織布、織布、編布、アルミニウムシートなどが挙げられ、単層からなる支持体であっても、複数層が積層一体化されてなる支持体であってもよい。
そして、上記非発泡樹脂シート又は発泡樹脂シートを構成する樹脂としては、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記支持体としては、その柔軟性やミドドリンの損失防止効果の観点から、ポリエチレンテレフタレートシートと、不織布又は樹脂シートとが積層一体化されてなる支持体が好ましい。上記不織布又は樹脂シートを構成する素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、ナイロン、ポリエステル、ビニロン、SIS共重合体、SEBS共重合体、レーヨン、綿などが挙げられる。なお、これらの素材は単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
又、上記支持体がポリエチレンテレフタレートシートと不織布とを積層一体化させてなる場合における、ポリエチレンテレフタレートシートの厚さは、薄いと、不織布と積層一体化する際に均一に接着させることができなかったり、得られる支持体の強度が不足したり、ピンホールが発生してポリエチレンテレフタレートシートと不織布との界面で剥離が生じやすくなることがある。ポリエチレンテレフタレートシートの厚さは、厚いと、得られる支持体の柔軟性が不足し、貼付剤の貼付時における皮膚への追随性が低下し、貼付剤の貼付感が悪化することがある。従って、ポリエチレンテレフタレートシートの厚みは、2〜50μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。
更に、上記支持体がポリエチレンテレフタレートシートと不織布とを積層一体化させてなる場合における、不織布の厚さは、薄いと、ポリエチレンテレフタレートシートとの接着性が悪化し、或いは、支持体の強度が不足することがある。不織布の厚さが、厚いと、支持体の柔軟性が低下することがある。従って、不織布の厚さは、10〜300g/m2が好ましい。
そして、上記ポリエチレンテレフタレートシートと不織布とを積層一体化させて支持体を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、バインダーによって積層一体化させる方法や熱融着する方法などが挙げられる。なお、支持体の製造時において、バインダーを添加することや、ポリエチレンテレフタレートシートと不織布とを部分的に熱融着させることによって、支持体の強度や風合いを調節することができる。
上記支持体の一面には膏体層が積層一体化されている。この膏体層は、アクリル系粘着剤とミドドリンとを含有している。
アクリル系粘着剤は、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレート60〜98重量%及び1−ビニル−2−ピロリドン2〜40重量%を含有する単量体を共重合させてなる共重合体を含む。
アクリル系粘着剤が上記共重合体を含有していることによって、膏体層中にミドドリンを安定的に適度に溶解させることができると共に、膏体層に溶解しているミドドリンが皮膚に吸収されるのに伴って、膏体層に溶解していないミドドリンを速やかに膏体層に溶解させることができる。
アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレートとしては、特に限定されず、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレートなどを挙げられる。
共重合体中におけるアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレートの含有量は、60〜98重量%に限定され、70〜95重量%が好ましい。
共重合体中におけるアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレートの含有量が少ないと、膏体層に対するミドドリンの溶解性が極めて高くなり、ミドドリンが皮膚に分配されずに膏体中に留まってしまうという問題が発生し、膏体層が固くなって皮膚への膏体層の粘着性が低下し、或いは、アクリル系粘着剤の親水性が高くなり過ぎて発汗時にアクリル系粘着剤が吸水してアクリル系粘着剤の粘着性が低下して貼付剤が剥がれ易くなることがある。
共重合体中におけるアルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレートの含有量が多いと、膏体層に対するミドドリンの溶解性が低下するので、貼付剤を皮膚に貼付したとき、所望のミドドリン吸収速度を発現できなくなる。
共重合体中における1−ビニル−2−ピロリドンの含有量は、2〜40重量%に限定され、5〜30重量%が好ましい。
共重合体中における1−ビニル−2−ピロリドンの含有量が少ないと、膏体層に対するミドドリンの溶解性が低下するので、貼付剤を皮膚に貼付したとき、所望のミドドリン吸収速度を発現できなくなる。
共重合体中における1−ビニル−2−ピロリドンの含有量が多いと、膏体層に対するミドドリンの溶解性が極めて高くなり、ミドドリンが皮膚に分配されずに膏体中に留まってしまうという問題が発生し、膏体層が固くなって皮膚への膏体層の粘着性が低下し、或いは、アクリル系粘着剤の親水性が高くなり過ぎて発汗時にアクリル系粘着剤が吸水してアクリル系粘着剤の粘着性が低下して貼付剤が剥がれ易くなることがある。
又、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレートは、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートと、アルキル基の炭素数が4〜12のアルキルアクリレートとを含有していることが好ましい。
アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレートが挙げられ、アクリル系粘着剤が良好なミドドリン拡散性と粘着性を有しているので、エチルアクリレートが好ましい。
アルキル基の炭素数が4〜12のアルキルアクリレートとしては、例えば、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレートなどが挙げられ、アクリル系粘着剤の粘着性とミドドリンの溶解性のバランスが優れているので、アルキル基の炭素数が4〜8のアルキルアクリレートを含有していることが好ましく、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを含有していることがより好ましく、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを含有していることが特に好ましい。
アクリル系粘着剤が、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレート成分、アルキル基の炭素数が4〜12のアルキルアクリレート成分及び1−ビニル−2−ピロリドン成分を含有する場合、各成分は下記の通りが好ましい。
アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレート成分の含有量は、25〜70重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましい。アルキル基の炭素数が4〜12のアルキルアクリレート成分の含有量は、25〜70重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましく、30〜45重量%が特に好ましい。1−ビニル−2−ピロリドン成分の含有量は、2〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートの含有量は、少ないと、膏体層へのミドドリンの溶解速度と、アクリル系粘着剤中におけるミドドリンの拡散性が低下し、貼付剤からのミドドリンの持続的な放出を維持することが困難となることがあるからである。
アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレートの含有量は、多いと、アクリル系粘着剤の皮膚に対する接着性が低下し、薬物投与の信頼性が低下するからである。
アルキル基の炭素数が4〜12のアルキルアクリレートの含有量は、少ないと、アクリル系粘着剤の柔軟性が不足し、貼付剤の皮膚に対する密着性が低下して、貼付剤が皮膚から剥がれ易くなるからである。
アルキル基の炭素数が4〜12のアルキルアクリレートの含有量は、多いと、アクリル系粘着剤の極性が低くなって、膏体層に対するミドドリンの溶解性が低下すると共に、アクリル系粘着剤の凝集力が増し、ミドドリンのアクリル系粘着剤中での拡散性が低くなり、ミドドリンの高い放出性を維持し、ミドドリンを長時間に亘って一定量投与することが困難になるからである。
アクリル系粘着剤を構成している共重合体は1−ビニル−2−ピロリドン成分を含有している。1−ビニル−2−ピロリドンは、粘着剤に凝集力を付与するために構成単量体として汎用されるメタクリル酸又はアクリル酸と異なり、凝集力は付与するが末端に酸が存在しないので、ミドドリンのような塩基性薬物と反応したり、或いは、皮膚刺激を生じたりすることが少ない。
アクリル系粘着剤を構成している共重合体中における1−ビニル2−ピロリドンの含量は、2〜40重量%に限定され、2〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
共重合体中における1−ビニル−2−ピロリドンの含有量が少ないと、膏体層に対するミドドリンの溶解性が低下するので、貼付剤を皮膚に貼付したとき、所望のミドドリン吸収速度を発現できなくなる。
共重合体中における1−ビニル−2−ピロリドンの含有量が多いと、膏体層に対するミドドリンの溶解性が極めて高くなり、ミドドリンが皮膚に分配されずに膏体中に留まってしまうという問題が発生し、膏体層が固くなって皮膚への膏体層の粘着性が低下し、或いは、アクリル系粘着剤の親水性が高くなり過ぎて発汗時にアクリル系粘着剤が吸水してアクリル系粘着剤の粘着性が低下して貼付剤が剥がれ易くなることがある。
アクリル系粘着剤は、ミドドリンの保存安定性及び経皮吸収性、並びに、皮膚への貼付性を損なわない範囲内において、その他の単量体成分を含有していてもよい。
その他の単量体成分としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜12であるアルキルメタクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアシド、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレートなどの重合性官能基を1分子中に2個以上有する多官能性単量体、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような単量体成分をアクリル系粘着剤中に含有させることにより、膏体層中のミドドリンの溶解性及び拡散性、並びに、貼付剤の膏体層の粘着性を調整することができる。
更に、アクリル系粘着剤には、ミドドリンの保存安定性を損なわない範囲内であれば、上記多官能性単量体以外に、エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド化合物などの架橋剤を添加してもよい。
アクリル系粘着剤の原料となる単量体に架橋剤を添加することにより、アクリル系粘着剤の内部凝集力が高まるので、貼付剤を皮膚から剥離させる際に皮膚に糊残りを生じにくくすることができる。架橋剤の添加量は、アクリル系粘着剤の原料となる単量体100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましい。
膏体層中におけるアクリル系粘着剤の含有量は、60〜97重量%に限定され、65〜90重量%が好ましく、70〜85重量%がより好ましい。
膏体層中におけるアクリル系粘着剤の含有量が少ないと、膏体層中におけるミドドリンの含有量が相対的に多くなってミドドリンの吸収率が低下して膏体中のミドドリンが無駄になってしまうと共に、膏体層にミドドリンの結晶が過剰に析出して、貼付剤の粘着性が低下する。
膏体層中におけるアクリル系粘着剤の含有量が多いと、膏体層中におけるミドドリンの含有量が相対的に少なくなってミドドリンの経皮吸収量が少なくなり、貼付剤の皮膚に対する貼付面積を大きくしないとDMAE血中濃度を所望の範囲まで上昇させられない。
そして、アクリル系粘着剤の重合方法としては、従来公知の方法にて行なえばよく、例えば、重合開始剤の存在下で、上述のような単量体を配合して、溶液重合を行なうことによって重合する。具体的には、所定量の単量体、重合開始剤及び必要に応じて添加する架橋剤を溶媒と共に、撹拌装置及び気化溶媒の冷却還流装置を備えた反応器に供給し、好ましくは窒素ガスの雰囲気のもとで、60〜80℃の温度で4〜48時間に亘って加熱して、上記単量体をラジカル重合反応させる。各単量体及び溶媒は一括して或いは適宜分割して反応器に投入すればよい。
又、重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)などのアゾビス系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド(LPO)、ジターシャルブチルパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられ、上記溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが挙げられる。
アクリル系粘着剤におけるGel Permeation Chromatography (GPC)によるスチレン換算での重量平均分子量は10万〜300万が好ましい。
膏体層を構成しているアクリル系粘着剤にはミドドリンが含有されている。本発明において用いられるミドドリンは、遊離塩基型であり、塩酸ミドドリンのような塩付加型を含まない。
膏体層中におけるミドドリンの含有量は、3〜40重量%に限定され、5〜25重量%が好ましく、10〜20重量%がより好ましい。
膏体層中におけるミドドリンの含有量が少ないと、ミドドリンの経皮吸収量が少なくなり、貼付剤の皮膚に対する貼付面積を大きくしないとDMAE血中濃度を所望の範囲まで上昇させられない。
膏体層中におけるミドドリンの含有量が多いと、ミドドリンの吸収率が低下して膏体中のミドドリンが無駄になってしまうと共に、膏体層にミドドリンの結晶が過剰に析出して、貼付剤の粘着性が低下する。
ミドドリンの一部は膏体層中に溶解している一方、ミドドリンの一部は膏体層中に非溶解状態にて存在している。このように、ミドドリンの一部が膏体層中に溶解せずに存在していることによって、貼付剤は、安定したミドドリンの経皮吸収性を長時間に亘って持続する。
膏体層中にミドドリンが溶解しないで存在しているか否かを確認する方法を説明する。先ず、測定対象となる測定用膏体層の両面のそれぞれに、厚みが25μmで且つヘイズ値が2%のポリエチレンテレフタレートシートを貼着する。この測定用膏体層における任意の三箇所のヘイズ値をヘイズメーターを用いて測定する。三箇所のヘイズ値の相加平均値を測定用膏体層のヘイズ値とする。なお、ヘイズメーターとしては、例えば、日本電色株式会社から商品名「300A」にて市販されている装置を用いることができる。厚みが25μmで且つヘイズ値が2%のポリエチレンテレフタレートシートとしては、例えば、帝人デュポンフィルム社から商品名「テイジンテトロンフィルム」にて市販されているポリエチレンテレフタレートシートが挙げられる。
次に、基準膏体層として、ミドドリンを含有していないこと以外は測定用膏体層と同一の構成を有する膏体層、及び、ミドドリンの含有量(重量%)が異なること以外は測定用膏体層と同一の構成を有する膏体層を用意する。これらの各基準膏体層のヘイズ値を上記と同様の要領で測定する。
得られたヘイズ値を縦軸とし、膏体層中におけるミドドリン含有量(重量%)を横軸としたグラフを描くと、このグラフは図1に示したようになる。図1に示したグラフから分かるように、ミドドリン含有量(重量%)が所定量以上となると、膏体層のヘイズ値が急激に上昇する。このヘイズ値の上昇は、ミドドリンが膏体層中に溶解せずに存在していることに起因している。
従って、図1に示したグラフにおいて、ヘイズ値が急激に上昇する前の測定値に基づいて第一検量線L1を描く。又、図1に示したグラフにおいて、ヘイズ値が急激に上昇した直後の測定値に基づいて第二検量線L2を描く。
第一検量線L1と第二検量線L2との交点におけるミドドリンの含有量(重量%)C1が、膏体層中のアクリル系粘着剤に対するミドドリンの飽和溶解濃度となる。第一検量線L1と第二検量線L2との交点における膏体層のヘイズ値H1が、ミドドリンが膏体層中に飽和溶解濃度含有されている状態の膏体層のヘイズ値となる。
よって、測定用膏体層のヘイズ値がH1以下である場合、測定用膏体層中にはミドドリンは非溶解状態にて存在していないと判断することができる。一方、測定用膏体層のヘイズ値がH1を超える場合、測定用膏体層中にミドドリンが非溶解状態にて存在していると判断することができる。
又、膏体層中におけるミドドリンの全含有量は下記の要領で測定することができる。先ず、貼付剤から面積3cm2の試験片を切り出し、この試験片の重量(g)W1を測定する。
しかる後、酢酸エチル80体積%及びエタノール20体積%からなる第一混合溶媒5ミリリットルに試験片を浸漬して膏体層を溶解した後、第一混合溶媒に、水60体積%及びアセトニトリル40体積%からなる第二混合溶媒を加えて抽出液とし、この抽出液中にアクリル系粘着剤を凝集させる。
次に、抽出液を遠心分離して得られた上清について、オクタデシルシリル化シリカゲル(φ4.6mm×150mm)を用いて波長220nmにてHPLC測定を行い、試験片の膏体層中のミドドリンの含有量(g)W2を測定する。
又、抽出液から支持体を取り出し、この支持体を洗浄、乾燥した後、支持体の重量(g)W3を測定する。
そして、試験片の重量(g)W1から支持体の重量(g)W3を引いて得られる膏体層全体の重量(g)W4と、ミドドリンの含有量(g)W2と、ミドドリンの飽和溶解濃度(重量%)C1とを用いて、下記式に基づいて、膏体層中に溶解せずに存在しているミドドリンの含有量(重量%)C2を算出することができる。
ミドドリンの含有量(重量%)C2
=〔W2/W4−((W4−W2)×C1/(100−C1))/W4〕×100
又、ミドドリンの飽和溶解濃度C1を得るために作製した基準膏体層におけるミドドリンの含有量(重量%)は、上述と同様の操作を行い、下記式で求めることができる。
ミドドリンの含有量(重量%)=W2×100/W4
膏体層中において、膏体層中に溶解していないミドドリン量は、膏体層中に含有されているミドドリンの全量に対して40〜97重量%が好ましく、50〜97重量%がより好ましく、80〜95重量%が特に好ましい。
膏体層中において、膏体層中に溶解していないミドドリン量が少ないと、ミドドリンの持続的な経皮吸収性を得ることができない。膏体層中において、膏体層中に溶解していないミドドリン量が多いと、貼付剤を皮膚に貼付した直後のミドドリンの経皮吸収性が低下する。
本発明の貼付剤は、その膏体層を皮膚に貼付することで、膏体層中に含有させているミドドリンを皮膚から持続的に吸収させるものであって、高い経皮吸収性が実現される。経皮吸収性を更に向上させるために、膏体層中に非溶解状態で存在しているミドドリンの膏体層への溶解速度及び拡散速度を向上させることが好ましい。
更に、膏体層に液状溶解助剤を含有させることによって、膏体層中に非溶解状態に存在しているミドドリンをアクリル系粘着剤中のミドドリンの減少に応じて膏体層に円滑に溶解、拡散させて、膏体層におけるミドドリンの皮膚への供給能力を高め、ミドドリンの持続的な経皮吸収性を更に向上させることができる。
ここで、液状溶解助剤とは、1気圧(1.01×105Pa)、20℃の条件下にて液状であることが必要である。上記液状溶解助剤としては、脂肪酸と脂肪族アルコールとが脱水縮合してなる脂肪酸エステル、1価アルコールが好ましい。脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、セバシン酸、アジピン酸などが挙げられる。脂肪族アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ラウリルアルコールなどが挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシルなどが挙げられる。
1価アルコールとしては、例えば、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノールなどが挙げられる。
膏体層中における液状溶解助剤の含有量は2〜25重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、10〜15重量%が特に好ましい。膏体層中における液状溶解助剤の含有量が少ないと、膏体層におけるミドドリンの溶解性及び拡散性の促進効果が低下し、ミドドリンの経皮吸収性が不十分になる。膏体層中における液状溶解助剤の含有量が多いと、膏体層中のアクリル系粘着剤が過度に可塑化され、貼付剤を皮膚から剥離させる際に皮膚に糊残りが生じてしまう。
25℃におけるミドドリンの液状溶解助剤に対する溶解度は0.01〜1が好ましく、0.01〜0.5がより好ましい。25℃におけるミドドリンの液状溶解助剤に対する溶解度は低いと、ミドドリンの経皮吸収促進効果を得ることができないことがある。25℃におけるミドドリンの液状溶解助剤に対する溶解度は高いと、ミドドリンの膏体層に対する溶解性が高すぎてミドドリンが膏体層中で過飽和状態になり易く、ミドドリンの保存安定性が低下することがある。なお、25℃におけるミドドリンの液状溶解助剤に対する溶解度とは、ミドドリンを液状溶解助剤に溶解させて得られた飽和溶液において、液状溶解助剤100gに対するミドドリンのグラム数をいう。
又、膏体層には、本発明の効果を損なわない範囲内で、可塑化剤、吸収促進剤、安定化剤、充填剤などを添加してもよい。
可塑化剤は、アクリル系粘着剤と相溶して膏体層の貼付性を高めると共に膏体中のミドドリン拡散速度を高める目的で用いられる。このような可塑化剤としては、例えば、流動パラフィン、スクワランなどの飽和炭化水素などが挙げられる。膏体層中における可塑化剤の含有量は、0.05〜15重量%が好ましい。
そして、吸収促進剤は、皮膚に作用してミドドリンの皮膚透過性を高めるために使用され、角質層を柔軟にし、或いは、角質層の水和を高める目的で用いられる。このような吸収促進剤としては、ポリソルベート、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウロイルサルコシン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどの界面活性剤などが挙げられる。膏体層中における吸収促進剤の含有量は、0.05〜10重量%が好ましい。
安定化剤は、ミドドリンの酸化又は分解を抑える目的で用いられる。安定化剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ソルビン酸などの酸化防止剤、シクロデキストリン、エチレンジアミン四酢酸などが挙げられる。膏体層中における安定化剤の含有量は、0.05〜10重量%が好ましい。
充填剤は、貼付剤の粘着力やミドドリンの経皮吸収性を調節するために用いられる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの有機金属塩類、無水ケイ酸、酸化チタンなどの無機充填剤;乳糖、結晶セルロース、エチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体を単量体とする高分子などが挙げられる。膏体層中における充填剤の含有量は、1〜15重量%が好ましい。
貼付剤の膏体層の厚さは、10〜250μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、40〜100μmが特に好ましい。膏体層の厚さが薄いと、所望のDMAE血中濃度を得るのに必要な量のミドドリンを膏体層に含有できなくなったり、或いは、皮膚表面への密着性に乏しく貼付剤を皮膚に貼付中に貼付剤が剥がれたりすることがある。一方、膏体層の厚さが厚いと、貼付剤の保存時や貼付時に、膏体層が貼付剤からはみ出しやすくなり、或いは、貼付剤を皮膚に貼付した際の貼付感が悪化することがある。
本発明の貼付剤の膏体層中のミドドリンの損失防止、膏体層を保護する目的で、貼付剤の膏体層の表面に剥離紙を剥離可能に積層一体化させておくのが好ましい。
上記剥離紙としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどからなる樹脂フィルムや紙などが挙げられ、膏体層と対向させる面に離型処理が施されていることが好ましい。なお、上記剥離紙は単層からなるものであっても、複数層からなるものであってもよい。
又、上記剥離紙のバリア性を向上させる目的で、剥離紙にアルミニウム箔やアルミニウム蒸着層を設けたものであってもよい。更に、上記剥離紙が紙からなる場合、剥離紙のバリア性を向上させる目的で、剥離紙にポリビニルアルコールなどの樹脂を含浸させてもよい。
次に、本発明の貼付剤の製造方法を説明する。上記貼付剤の製造方法は、特に限定されないが、例えば溶剤塗工法であれば、ミドドリン及びアクリル系粘着剤に加えて、必要に応じて添加される添加剤とを酢酸エチルなどの溶剤中に加え、均一になるまで攪拌して膏体層溶液を得る。膏体層溶液をコーターによって支持体の一面に均一に塗工した後に、乾燥させることにより支持体の一面に膏体層を積層一体化し、必要に応じて剥離紙を、剥離紙の離型処理が施された面が膏体層に対向した状態となるように積層一体化させる方法や、上述と同様の塗工法によって剥離紙の離型処理が施された面上に膏体層溶液を塗工し、乾燥させることにより、剥離紙上に膏体層を形成し、この膏体層に支持体を積層一体化させる方法などが挙げられる。
本発明の貼付剤は、所定のアクリル系粘着剤中にミドドリンを含有させており、ミドドリンの膏体層に対する溶解性を適度に抑えて、膏体層からの皮膚へのミドドリンの放出を円滑にしてミドドリンの経皮吸収性を優れたものとしている。
更に、膏体層中において、ミドドリンの一部を膏体層に溶解させることなくアクリル系粘着剤中に安定的に存在させており、アクリル系粘着剤中に含まれるミドドリンの減少に伴って、膏体層中に非溶解状態にて存在しているミドドリンが膏体層中に速やかに溶解、拡散し、その結果、本発明の貼付剤は、ミドドリンの経皮吸収性を長期間に亘って安定的に維持する。
膏体層中におけるミドドリン含有量と、膏体層のヘイズ値との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
先ず、アクリルアクリレート、アクリル酸及び1−ビニル−2−ピロリドンに対するミドドリンの溶解性及びミドドリンの溶解度を下記の要領で評価し、その結果を表1に示した。
(ミドドリンの溶解性)
表1に示す単量体100重量部と、ミドドリン3重量部とを十分に混合させてミドドリン液を調製し、ミドドリン液におけるミドドリンの溶解状況を目視観察した。そして、ミドドリン液を25℃の温度下にて7日間保存した後、再びミドドリンの溶解状況を目視観察し、下記基準によりミドドリンの溶解性を評価した。更に、表2に示す化合物の代わりに表1に示す単量体を用いたこと以外は後述する要領と同様の要領で、25℃におけるミドドリンの表1に示す単量体に対する溶解度を後述する要領で測定した。
高(high):調製直後及び7日間保存後の何れのミドドリン液にもミドドリンの析出は認
められなかった。
中(middle):調製直後の液にはミドドリンの析出が認められたが、7日間保存後のミド
ドリン液にはミドドリンの析出が認められなかった。
低(low):調製直後及び7日間保存後の何れのミドドリン液にもミドドリンの析出が認
められた。
続いて、貼付剤に使用する飽和脂肪族一価アルコール、脂肪酸エステル及び添加剤のミドドリン保存安定性及びミドドリンの溶解度について評価を行ない、その結果を表2に示した。
(ミドドリン保存安定性)
ミドドリン3重量部及び表2に示す化合物100重量部を十分に混合させた後、この混合物を密封容器に入れ、60℃の温度条件下で20日間保存した。そして、この保存後の混合物の色を目視観察し、保存前に対して変色が見られないものを「優」(excellent)、変色が認められたものを「不良」(bad)と評価した。
更に、上記保存後の混合物中に分解されずに残っているミドドリンの重量W5(g)をHPLCにより定量し、下記式(1)に基づいて、ミドドリン添加量W6(g)に対するミドドリン残存率(重量%)を算出した。
ミドドリン残存率(重量%)=100×(W5/W6)・・・式(1)
(ミドドリンの溶解度)
ミドドリン50重量部、及び、溶媒として表2に示す化合物950重量部からなるミドドリン液を調製した。次にこのミドドリン液を50℃で15分保温し、続いて、25℃の水浴中で、10分間超音波で振とうした。そして、このミドドリン液を遠心管に移しかえて25℃にて2時間静置した後、ミドドリン液を遠心分離機により3000rpmの回転速度で遠心分離し、遠心管の底にミドドリンの結晶が析出の有無を観察した。ミドドリンの結晶が析出していなかったものについては、ミドドリン:化合物の重量比率を最大200:800までに更に増やした比率で同様の操作を行い、ミドドリン飽和溶液をそれぞれ調製した。
そして、上記遠心分離後のミドドリン飽和溶液の上清の一定量を採取し、採取した上清についてHPLC測定を行うことにより、上記ミドドリン飽和溶液中に溶解しているミドドリンの重量W7(g)を定量し、下記式(2)に基づいて、溶媒とした化合物に対する25℃におけるミドドリンの溶解度(g)を算出した。
ミドドリンの溶解度(g)=100×(W7/W8)・・・式(2)
(W8:ミドドリン飽和溶液中における溶媒となる化合物の重量(g))
次に、本発明の貼付剤の粘着剤として用いるアクリル系粘着剤A〜J及びゴム系粘着剤Kの調製を下記の要領で行ない、実施例1〜25及び比較例1〜12の貼付剤を製造した。
(アクリル系粘着剤Aの調製)
エチルアクリレート50重量部、オクチルアクリレート40重量部、1−ビニル−2−ピロリドン10重量部、及び、酢酸エチル120重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入し、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にラウロイルパーオキサイド1重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を24時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤A含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Aを得た。
(アクリル系粘着剤Bの調製)
エチルアクリレート50重量部、2−エチルヘキシルアクリレート35重量部、1−ビニル−2−ピロリドン15重量部、及び、酢酸エチル120重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にアゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤B含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Bを得た。
(アクリル系粘着剤Cの調製)
エチルアクリレート70重量部、2−エチルヘキシルアクリレート25重量部、1−ビニル−2−ピロリドン5重量部、及び、酢酸エチル120重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にラウロイルパーオキサイド1重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤C含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Cを得た。
(アクリル系粘着剤Dの調製)
エチルアクリレート30重量部、2−エチルヘキシルアクリレート40重量部、1−ビニル−2−ピロリドン30重量部、及び、酢酸エチル120重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にラウロイルパーオキサイド1重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤D含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Dを得た。
(アクリル系粘着剤Eの調製)
エチルアクリレート58重量部、オクチルアクリレート40重量部、1−ビニル−2−ピロリドン2重量部、及び、酢酸エチル120重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にラウロイルパーオキサイド1重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を24時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤E含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Eを得た。
(アクリル系粘着剤Fの調製)
エチルアクリレート25重量部、2−エチルヘキシルアクリレート70重量部、1−ビニル−2−ピロリドン5重量部、及び、酢酸エチル120重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にラウロイルパーオキサイド1重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤F含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Fを得た。
(アクリル系粘着剤Gの調製)
2−エチルヘキシルアクリレート75重量部、1−ビニル−2−ピロリドン25重量部、及び、酢酸エチル50重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にアゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤G含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Gを得た。
(アクリル系粘着剤Hの調製)
エチルアクリレート50重量部、2−エチルヘキシルアクリレート35重量部、ドデシルメタクリレート15重量部、及び、酢酸エチル50重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にベンゾイルパーオキサイド1重量部を酢酸エチル100重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させて重合後に更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤H含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Hを得た。
(アクリル系粘着剤Iの調製)
2−エチルヘキシルメタクリレート75量部、1−ビニル−2−ピロリドン25重量部、及び、酢酸エチル50重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にアゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤I含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Iを得た。
(アクリル系粘着剤Jの調製)
ドデシルメタクリレート15重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート85重量部、及び、酢酸エチル50重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、上記反応液にアゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させて重合後に、更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤J含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Jを得た。
(アクリル系粘着剤Kの調製)
エチルアクリレート70重量部、2−エチルヘキシルアクリレート25重量部、アクリル酸5重量部、及び、酢酸エチル80重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、この反応液にベンゾイルパーオキサイド1重量部を酢酸エチル100重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させ、重合後更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤K含有量32重量%のアクリル系粘着剤K溶液を得た。
(アクリル系粘着剤Lの調製)
2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、アクリル酸5重量部、及び、酢酸エチル50重量部からなる反応液をセパラブルフラスコに投入した後、セパラブルフラスコ内を80℃の窒素雰囲気とした。そして、この反応液にアゾビスイソブチロニトリル0.5重量部を酢酸エチル50重量部に溶解させてなる重合開始剤溶液を18時間かけて加えながら重合させ、重合後更に酢酸エチルを加えて、アクリル系粘着剤L含有量35重量%のアクリル系粘着剤溶液Lを得た。
(ゴム系粘着剤Mの調製)
ポリイソブチレンA(BASF社製 商品名「Oppanol B80」)40重量部、ポリイソブチレンB(新日本石油化学社製 商品名「Himol 5H」)30重量部、ポリイソブチレンC(新日本石油化学社製 商品名「日石ポリブテン HV−300F」)30重量部、及び、トルエン300重量部をセパラブルフラスコに投入した後、このセパラブルフラスコ内を窒素雰囲気とした上で均一に混合し、ポリイソブチレン粘着剤含有量25重量%のゴム系粘着剤溶液Mを得た。
表3〜5において、オクチルアクリレートを「OA」、2−エチルヘキシルアクリレートを「EHA」、エチルアクリレートを「EA」、ドデシルメタクリレートを「DM」、2−エチルヘキシルメタクリレートを「EHM」、1−ビニル−2−ピロリドンを「VP」、アクリル酸を「AA」と表記した。又、液状溶解助剤の欄において、各液状溶解助剤の後に、25℃におけるミドドリンの液状溶解助剤に対する溶解度を記載した。
(実施例1〜25、比較例1〜12)
膏体層におけるミドドリン、塩酸ミドドリン、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、液状溶解助剤及び添加剤の重量組成が表3〜5に示した割合となるように、ミドドリン、塩酸ミドドリン、アクリル系粘着剤溶液、ゴム系粘着剤溶液、液状溶解助剤及び添加剤を配合し、固形分の濃度が22〜28重量%になるように酢酸エチル又はトルエンを加えた後、均一になるまで混合して、膏体層溶液を調製した。
次に、シリコン離型処理が施された厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートシートを用意し、このポリエチレンテレフタレートシートのシリコン離型処理面に、上記膏体層溶液を塗布し、60℃で30分間乾燥させることにより、ポリエチレンテレフタレートフィルムのシリコン離型処理面に表3〜5に示す厚さの膏体層が形成された積層体を作製した。
そして、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートシートからなる支持体を用意し、この支持体の一面と、上記積層体の膏体層とが対向するように重ね合わせて、膏体層を支持体に積層一体化させることによって貼付剤を製造した。
又、膏体層のヘイズ値を測定するために、実施例及び比較例毎に同一構成を有する膏体層を上述と同様の要領で作製し、膏体層の両面に厚さが25μmで且つヘイズ値が2%のポリエチレンテレフタレートシートを貼着した上で、縦3.5cm×横4.5cmの平面長方形状に切り出してヘイズ値測定用の試験片とした。
製造直後及び40℃にて1カ月保存後の試験片について、膏体層中における非溶解状態のミドドリン量を上述の要領で測定した。表3〜5には、膏体層中に含有されているミドドリンの全重量に対する、膏体層中における非溶解状態のミドドリン重量の百分率を記載した。製造直後及び40℃にて1カ月保存後の貼付剤について、透過性試験を下記の要領で測定した。測定結果を表3〜5に示した。
(透過性試験)
製造直後及び40℃にて1カ月保存後の貼付剤について、皮膚に対する薬物吸収性を評価するために、以下の方法でヘアレスマウス皮膚透過性試験を行った。
貼付剤から一片1.8cmの角丸正方形の試験片(貼付面積:3cm2 )を切り出す一方、37℃に保持されたFranzの拡散セルに、ヘアレスマウス(雄、8週齢)の背部摘出皮膚を固定し、この皮膚の上端部に試験片をその膏体層によって貼付した。なお、pH7.2に調整した生理食塩水をリセプター液とし、このリセプター液中に皮膚の下端部を浸漬した。
試験片を皮膚に貼付してから4,6,22及び24時間後に、皮膚下側のリセプター液を採取し、ミドドリン濃度をHPLCを用いて測定した。そして、経過時間毎に、ミドドリン濃度とリセプター液量から求められるミドドリン透過量を算出し、その値を累積皮膚透過量とした。なお、6,22及び24時間後におけるミドドリン透過量を算出するにあたっては、それ以前にリセプター液を採取しているので、このリセプター液の採取量について補正を加えた。
Figure 2011057640
Figure 2011057640
Figure 2011057640
Figure 2011057640
Figure 2011057640
1 第一検量線
2 第二検量線
1 飽和溶解濃度
1 ヘイズ値

Claims (6)

  1. 支持体の一面に膏体層が積層一体化されてなる貼付剤であって、上記膏体層は、アルキル基の炭素数が1〜12のアルキルアクリレート60〜98重量%及び1−ビニル−2−ピロリドン2〜40重量%を含有する単量体を共重合させてなる共重合体を含むアクリル系粘着剤60〜97重量%と、ミドドリン3〜40重量%とを含有しており、上記ミドドリンの一部が上記膏体層中に非溶解状態にて存在していることを特徴とする貼付剤。
  2. 膏体層に非溶解状態にて存在しているミドドリンの量は、上記膏体層中に含有されているミドドリンの全量に対して40〜97重量%であることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  3. アクリル系粘着剤が、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルアクリレート成分25〜70重量%、アルキル基の炭素数が4〜12のアルキルアクリレート成分25〜70重量%及び1−ビニル2−ピロリドン成分2〜30重量%を含有する共重合体を含むことを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  4. アクリル系粘着剤が、エチルアクリレート成分25〜70重量%、n−オクチルアクリレート成分及び/又は2−エチルヘキシルアクリレート成分25〜70重量%及び1−ビニル2−ピロリドン成分2〜30重量%を含有する共重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  5. 膏体層は、液状溶解助剤を2〜25重量%含有していると共に、25℃におけるミドドリンの液状溶解助剤に対する溶解度が0.01〜1であることを特徴とする請求項1に記載の貼付剤。
  6. 液状溶解助剤が、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びイソステアリルアルコールからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物であることを特徴とする請求項6に記載の貼付剤。
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