JP2011055803A - 醗酵菓子類、生地およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、油脂を多量に含有する醗酵菓子類の生地及び醗酵菓子類の物性改良を目的として、食物繊維を含有しながらも機械適性が良く、且つ食感が良い醗酵菓子類の生地及び醗酵菓子類を得る方法に関する。
【解決手段】原料の1つとして、トウモロコシ由来の食物繊維を穀粉類100質量部に対し0.5〜1質量部含有することで、機会適性が良く生地の展延性や焼成後の食感が改善される効果を有する醗酵菓子類の生地及び醗酵菓子類並びにそれらの製造方法を得る。
【選択図】図1
【解決手段】原料の1つとして、トウモロコシ由来の食物繊維を穀粉類100質量部に対し0.5〜1質量部含有することで、機会適性が良く生地の展延性や焼成後の食感が改善される効果を有する醗酵菓子類の生地及び醗酵菓子類並びにそれらの製造方法を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、油脂を多量に含有する醗酵菓子類の生地及び醗酵菓子類の物性改良を目的として、食物繊維を含有しながらも機械適性が良く、且つ食感が良い醗酵菓子類の生地及び醗酵菓子類を得る方法に関するものである。
近年、パン市場における動向の一つとして、冬季を中心に欧州醗酵菓子の販売が増加している。欧州醗酵菓子には代表的なものとしてクグロフ、パネトーネ、パンドーロ等が挙げられ、ヨーロッパ各地ではクリスマス時期に食される文化があり、国別や地方別に独自の配合や製法が存在する。日本においては、以前より一部の小規模ベーカリーを中心に販売されていたが、近年は多くのベーカリーで販売されるようになっている。
しかしながら、上記した醗酵菓子類は、配合中に多量の油脂を含む場合が殆どである。このため、生地が非常に柔らかく、さらにベタつきが増加し、大規模の機械化製造ラインに対する適性が不十分であることから、大手ホールセールベーカリーでの製造は限定的であるのが現状である。
一方で、一般的な焼き菓子に関しては、常温で吸水能及び吸油能を有するα化澱粉を利用する方法がある。
しかしながら、α化澱粉を高油脂含有である醗酵菓子類に利用した場合、生地の軟化はある程度抑止できるものの、ベタつきが増加により機械適性が悪くなり、生地の展延性や焼成後の食感が悪化しまう等の問題があった。
本発明は、前記のような従来提案の欠点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、醗酵菓子において、トウモロコシ由来の食物繊維を穀粉類100質量部に対し0.5〜1質量部含有することで、機械適性が良く生地の展延性や焼成後の食感が改善される方法を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明はトウモロコシ由来の食物繊維を穀粉類100質量部に対し0.5〜1質量部含有することで、機械適性が良く生地の展延性や焼成後の食感が改善される効果を有する醗酵菓子類の生地及び醗酵菓子類並びにそれらの製造方法に関する。
本発明で使用されるトウモロコシ由来の食物繊維は、トウモロコシ穀粒を、ウェットミリング(トウモロコシの湿式亜硫酸浸漬処理)により、澱粉区分と、蛋白区分と、外皮区分と、胚芽区分とに分離した際の外皮区分、すなわち繊維区分をさらに湿式粉砕し、粗い繊維を除去して得られるもので、好ましくは24メッシュ篩の通過物である。
トウモロコシ由来の食物繊維が使用されている製品例として、日本食品化工社製「セルファー#200」がある。
本発明において醗酵菓子類の生地は、製造過程又は製造後の流通過程において冷凍後及び又は解凍後に焼成しても良いし、製造過程又は製造後の流通過程において冷凍及び又は解凍せずそのまま焼成しても良い。
本発明において、醗酵菓子類とは、ヨーロッパで製造される伝統的な菓子類であり、一般的なパン類に比較して、油脂、卵、糖類を多く含有し、製造工程中に酵母や乳酸菌等の醗酵を利用するものをいう。本発明における醗酵菓子類には、クグロフ、パネトーネ、パンドーロ等が存在するが、本発明への実施は特にこれに限定するものではない。
本発明の醗酵菓子を製造する方法には様々な方法がある。そこで、本発明のうち、クグロフ製造の実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
原料は、日清製粉社製強力粉、協和醗酵社製イースト、オリエンタル酵母工業社製冷凍生地改良剤、フジ日本精糖社製上白糖、日本塩事業センター社製食塩、全卵、製牛乳、不二製油社製マーガリン、レーズン、キルシュワッサー、α化澱粉として日本食品化工社製「アルスターE」(コーンスターチ)、日本食品化工社製「ネオビスC-60」(加工ワキシーコーンスターチ)、食物繊維として日本食品化工社製「セルファー#200」を使用した。表1に記載の配合にて、捏ね上げ温度を20℃に調整した後、低速で3分間、中速で7分間ミキシングした。その後、マーガリンを添加し、再び中速にて7分間ミキシングした後、レーズンを添加し、更に低速にて2分間ミキシングした。一次醗酵は室温にて30分間行った。その後、1個あたり75gに分割し、急速冷凍をマイナス30℃にて90分間行った。冷凍保管はマイナス20℃にて1週間とした。保管後、解凍を室温にて90分間行った。解凍後、1個あたり150gに成形し、最終醗酵を75%RH環境下、30℃にて80分間行った。最後に焼成を上火190℃、下火190℃にて20分間行った。上記工程条件に従いクグロフの冷凍生地を調整した後、1週間の冷凍期間を経て、解凍、焼成を行った。生地物性改良効果については数値化が困難であった為、ミキシング途中(マーガリン添加前及びレーズン添加前)の生地状態を黙視にて確認し、写真撮影を行った。食感については、焼成1日後に官能による評価を行い、各試作品の特徴を取り纏めた。試験区分1は、油脂量が少なく、比較的機械適性の良い生地として比較対照に使用した。試験区分2は、油脂量が多く、機械適性の悪い生地として比較対照に使用するとともに、本配合をベースに既存製品の生地物性改良効果を検証した。
(表1) クグロフ配合表
生地物性改良効果
生地物性改良効果
各試験区のミキシングにおけるマーガリン添加前及びレーズン添加前の生地状態を図1に示した。向かって左側は、マーガリン添加前、右側はレーズン添加前の写真が記載されている。また、最上段は比較例1、二段目は比較例2、三段目は比較例3、四段目は比較例4、最下段は実施例1の写真がそれぞれ記載されている。比較例1は他の試験区に比べて配合中の油脂量が少ない為、レーズン添加前においてミキサーボールの底面から生地が全て剥れ、ベタつきが少なく、まとまりの良い生地状態であった。比較例2では、比較例1に比べて配合中の油脂量が多い為、レーズン添加前においてもミキサーボールに付着したままであり、ベタつきの非常に強い状態であった。α化澱粉を添加した比較例3及び比較例4では、マーガリン添加前は試験区1に比べやや硬めで伸び難い生地状態であったが、レーズン添加前にはミキサーボールに付着した状態となり、比較例2と同等或いはそれ以上の柔らかさとベタつきのある生地であった。セルファーを添加した実施例1は、マーガリン添加前及びレーズン添加前の両時点で、硬く腰の強い状態となり、比較例1に近い状態となった。
食感評価
焼成1日後における各試験区の食感評価を表2に示した。比較例1は比較例2に比べややしっとり感が弱く、醗酵菓子特有のさっくりとした食感が少なく感じられた。比較例2はしっとり感が強く、さっくりとした歯切れも有していた。比較例3は比較例2に近い食感であったが、ややしっとり感が弱く感じられた。比較例4はしっとり感はあるものの、ややもっちりしており歯切れが悪い食感であった。実施例1は、比較例2と同様にしっとり感やさっくり感が良好であった。
(表2)官能評価結果
焼成1日後における各試験区の食感評価を表2に示した。比較例1は比較例2に比べややしっとり感が弱く、醗酵菓子特有のさっくりとした食感が少なく感じられた。比較例2はしっとり感が強く、さっくりとした歯切れも有していた。比較例3は比較例2に近い食感であったが、ややしっとり感が弱く感じられた。比較例4はしっとり感はあるものの、ややもっちりしており歯切れが悪い食感であった。実施例1は、比較例2と同様にしっとり感やさっくり感が良好であった。
(表2)官能評価結果
Claims (8)
- トウモロコシ由来の食物繊維を穀粉類100質量部に対し0.5〜1質量部含有することを特徴とする醗酵菓子類の生地
- 穀粉類100質量部に対して、油脂を30質量部以上含むことを特徴とする請求項1に記載の醗酵菓子類の生地
- トウモロコシ由来の食物繊維を穀粉類100質量部に対し0.5〜1質量部含有することを特徴とする醗酵菓子類の生地の製造方法
- 穀粉類100質量部に対して、油脂を30質量部以上含むことを特徴とする請求項3に記載の醗酵菓子類の生地の製造方法
- トウモロコシ由来の食物繊維を穀粉類100質量部に対し0.5〜1質量部上含有することを特徴とする醗酵菓子類
- 穀粉類100質量部に対して、油脂を30質量部以上含むことを特徴とする請求項5に記載の醗酵菓子類
- トウモロコシ由来の食物繊維を穀粉類100質量部に対し0.5〜1質量部含有することを特徴とする醗酵菓子類の製造方法
- 穀粉類100質量部に対して、油脂を30質量部以上含むことを特徴とする請求項1に記載の醗酵菓子類の製造方法
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2009
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