JP2011054647A - 放熱器およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材を含む放熱器であって、放熱特性の良好な放熱器の製造方法を提供する。
【解決手段】放熱部材の少なくとも一部を遷移金属イオンを含む表面加工溶液に浸漬し、析出した遷移金属被膜を溶解することを備えた、放熱部材の表面の少なくとも一部を粗化する工程201と、粗化された表面を含む、放熱部材の少なくとも一部を水酸化ナトリウム溶液に浸漬109することを備えた、粗化された表面を溶解処理する工程202と、溶解処理された表面を含む、放熱部材の表面の少なくとも一部を陽極酸化することを備えた、被膜を形成する工程203とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光ユニットなどの発熱体から発せられる熱を効率よく放散させることが要求される装置などに好適に用いることができる放熱器に関するものである。
照明装置や電子機器などの分野では、発熱体から発せられる熱を効率良く放散させるために、しばしば放熱器(ヒートシンク)が用いられる。放熱器に含まれる放熱部材としては、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などにより形成されているものが知られている。
特許文献1には、照明装置が開示されている。この照明装置は、発光装置が配置される給電板と、給電板が熱的に接合される放熱部材と、放熱部材を収納する筐体と、筐体に取り付けられ発光装置に電源供給する電源供給部材とを有している。
また、特許文献2には、アルミニウム材又はアルミニウム合金材の粗化面を形成する方法が開示されている。この方法は、遷移金属被膜を形成する工程と、粗化面を形成する工程とを含んでいる。遷移金属被膜を形成する工程では、遷移金属を含む表面加工溶液とアルミニウム材又はアルミニウム合金材を接触させることにより遷移金属成分とアルミニウム材又はアルミニウム合金材の構成成分との置換反応を起こさせて、アルミニウム材又はアルミニウム合金材表面に遷移金属被膜を形成している。粗化面を形成する工程では、析出した遷移金属被膜を溶解すると同時にアルミニウム材又はアルミニウム合金材の表面を浸食処理し、粗化面を形成している。
特開2008−204671号公報(段落番号0007) 特開2007−138224号公報(段落番号0017)
LED(発光ダイオード)などを発光源(発光装置、発光ユニット)とする照明装置の分野において、発光ユニットは発熱体でもあり、高出力の発光ユニットの性能の劣化を抑制するためには放熱を促進することが好ましい。プロセッサなどの電子機器などにおいても、小型化・高集積化が進むにつれてより効率よく放熱できることが好ましい。したがって、放熱器(ヒートシンク)の需要は高まっており、放熱器のさらなる放熱特性の向上が求められている。
本発明の一態様は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材を含む放熱器(ヒートシンク)の製造方法である。この製造方法は、以下の工程(プロセス)を含む。
(a)放熱部材の表面の少なくとも一部を粗化すること(粗化する工程、放熱部材の少なくとも一部に粗化面を形成する工程)。
(b)粗化された表面を溶解処理すること(溶解処理する工程)。
(c)放熱部材の表面の少なくとも一部に被膜を形成すること(被膜を形成する工程)。
上記粗化する工程((a)の工程)は、放熱部材の少なくとも一部を、遷移金属イオンを含む表面加工溶液に浸漬し、析出した遷移金属被膜を溶解すること(表面加工溶液に浸漬し、析出した遷移金属被膜を溶解する工程)を含む。
上記溶解処理する工程((b)の工程)は、粗化された表面を含む、放熱部材の少なくとも一部を水酸化ナトリウム溶液に浸漬すること(水酸化ナトリウム溶液に浸漬する工程)を含む。
上記被膜を形成する工程((c)の工程)は、溶解処理された表面を含む、放熱部材の少なくとも一部を陽極酸化すること(陽極酸化する工程)を含む。
本願発明者の実験により、上記の製造方法により形成した放熱器は、良好な放熱特性を有することがわかった。
上記被膜を形成する工程((c)の工程)は、さらに、陽極酸化により形成された被膜を染色すること(染色する工程)を含むことが好ましい。陽極酸化により形成された被膜を染色することにより、より良好な放熱特性を有する放熱器を得ることができる。好ましくは、染色により、いわゆるブラックアルマイトを形成するとよい。
上記粗化する工程((a)の工程)は、さらに、表面加工溶液に浸漬した部分を含む、放熱部材の少なくとも一部を硝酸溶液に浸漬させながら超音波を加えることを含むことが好ましい。硝酸溶液により析出した遷移金属被膜を溶解でき、硝酸溶液に超音波を加えることにより、放熱部材の少なくとも一部からさらに良好に遷移金属被膜を除去することができる。
粗化する工程((a)の工程)は、さらに、放熱部材の表面のうち、熱源となる部材を取り付ける領域を除いた放熱部材の表面の少なくとも一部を粗化すること(取り付ける領域を除いて粗化する工程)を含むことが望ましい。熱源となる部材を取り付ける領域を除いた放熱部材の表面の少なくとも一部を粗化することにより、より良好な放熱特性を有する放熱器を得ることができる。
本発明の他の態様は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材を含む放熱器(ヒートシンク)である。この放熱器は、放熱部材の表面の少なくとも一部が、遷移金属イオンを含む表面加工溶液に浸漬することを含むプロセスにより粗化され、水酸化ナトリウム溶液に浸漬することを含むプロセスにより溶解処理され、さらに、放熱部材の表面の少なくとも一部に、陽極酸化することを含むプロセスにより被膜が形成されている。本発明の他の態様によれば、放熱効率の高い放熱器を提供できる。
この放熱器において、放熱部材の表面の一部は、被膜を形成するプロセスであって、陽極酸化の後に染色することを含むプロセスにより被膜が形成されていることが好ましい。
また、この放熱器において、放熱部材の表面が、熱源となる部材を取り付ける領域を含む場合、取り付ける領域を除いた放熱部材の表面の少なくとも一部が粗化されていることが好ましい。
本発明のさらに他の態様は、上述した放熱器と、この放熱器の放熱部材に熱が伝達されるように取り付けられた発光ユニットとを有する照明装置である。発光ユニットの熱を効率よく放出できるので、発光特性の劣化を抑制でき、明るさ(照度)の低下を抑制でき、耐久性の高い照明装置を提供できる。この照明装置において、発光ユニットは、例えば発光ダイオード(LED)を含むものであり、高輝度のLEDは発熱量も大きいので、放熱効率の高い放熱器と組み合わせて用いることが有効である。
放熱器の製造方法の一例を説明するためのフローチャート。 実施例および比較例の温度測定方法を説明するための図であって、(a)はサンプルの正面図、(b)はサンプルの側面図。 放熱部材に関する図であって、実施例および比較例の放熱特性測定結果を示す図。 異なる放熱部材に関する図であって、実施例および比較例の放熱特性測定結果を示す図。 さらに異なる放熱部材に関する図であって、実施例および比較例の放熱特性測定結果を示す図。 実施例および比較例の温度測定結果をまとめて示す図。 実施例および比較例の表面積と温度との関係を示す図。 他の実施例および他の比較例の放熱特性測定結果を示す図。 照明装置の一例の概略構成を示す断面図。
図1は、本発明に係る放熱器の製造方法の一例を示している。本例の製造方法は、大きく分けて、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材の表面を粗化(粗面化)する工程(粗化面を形成する工程)201と、粗化された表面を溶解処理する工程202と、溶解処理された表面に被膜を形成する工程203とを有している。溶解処理された表面に被膜を形成する工程203は、溶解処理された表面をアルマイト処理する工程とも言える。
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材の一例は、ALPHA LPD 25−25、ALPHA LPD 35−10、ALPHA LPD 45−10(ともに、(株)アルファ製)である。粗化する工程201は、遷移金属イオンを含む表面加工溶液に放熱部材20を浸漬する工程104と、放熱部材20に析出した遷移金属被膜を溶解する工程106とを含む。粗化する工程201は、例えば、特開2007−138224号公報に開示されている技術を用いて行うことができるが、これに限定されるものではない。
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材を含む表面を、遷移金属イオンを含む表面加工溶液に浸漬することを含むプロセスにより粗化すると、その粗化面には直径0.2μm〜5.0μm、深さが0.2μm〜5.0μmの複数のマイクロポアが形成されやすく、さらに、それらのマイクロポアは、表面から蛇行経路を持って深さ方向に分布し蟻の巣状(蛇行浸食形状)になり易いことが報告されている(特開2007−138224号公報段落番号0059および0060など)。このような粗化面は、同公報に記載されているように、アンカー効果が得られやすく、接着対象とできる樹脂類の範囲を広げるのに適している。
本願の発明者は、このような粗化面は表面積が大きく、放熱効果も優れている可能性があることを見出した。さらに、本願の発明者は、このような粗化面と、多孔質被膜であるアルマイトと組み合わせることにより、さらに表面積を増加でき、放熱効果が非常に優れた放熱器を提供できる可能性があることを見出した。アルマイトの孔径は、10nm〜40nm程度であり、硫酸浴アルマイトでは孔径が10nm〜15nm程度、リン酸浴アルマイトでは孔径が30nm〜40nm程度であると言われている。アルマイトが含む多孔(ハニカム)構造は封孔処理を行うことにより孔が埋まるとしても多孔に対応した凹凸が形成され表面積は大きい。さらに、封孔処理によって孔が完全に埋まるわけではなく、アルマイトの外側の孔径が小さくなり、染色剤が取れにくくなるという報告もある。
したがって、蟻の巣状に加工された表面に沿って多孔質被膜を形成することにより、放熱部材の表面が、孔径が1桁または2桁程度異なる層が組み合わさった状態となり、放熱効率を向上できる可能性がある。そのためには、蟻の巣状に加工された表面に沿ってほぼ均一に多孔質被膜を形成することが望ましい。しかしながら、蟻の巣状に加工された表面にアルマイト加工する技術を開示した文献はない。遷移金属イオンを含む表面加工溶液に浸漬することを含むプロセスにより粗化された表面に、直にアルマイト加工することは可能であるが、多孔質被膜を均一に形成することは難しい。本願の発明者の実験によると、粗化面に直にアルマイト加工した後、アルマイト被覆を染色すると色むらが大きく、多孔の分布にむらがあることが予見された。
そこで、本願の発明者は、粗化面に均一なアルマイト被覆を形成すべく実験を繰り返したところ、粗化された表面を含む部材を水酸化ナトリウム溶液に浸漬し溶解処理することにより、ほぼ均一な孔分布を持ち、ほぼ均一な色に染色できるアルマイト被覆を形成できることを見出した。また、後述するように、その製造方法により製造された放熱器は、面が粗化された(蟻の巣状に加工された)だけのものより放熱効果が高い。したがって、溶解処理を含む製造方法により、粗化された面のメリットをほとんど失うことなく、多孔質被膜であるアルマイトとの相乗効果が得られる放熱器を製造できることが判明した。
1. 製造方法の概要の説明
本発明に係る製造方法200は、粗化する工程201に加え、溶解処理する工程202と、被膜を形成する工程203と有し、溶解処理する工程202は、放熱部材20を水酸化ナトリウム溶液に浸漬する工程109を含み、被膜を形成する工程203は、放熱部材20の表面を陽極酸化する工程113を含む。
この製造方法200においては、粗化する工程((a)の工程)を行うことより、放熱部材の表面積を増大させることができ、その後、溶解処理する工程((b)の工程)を行うことにより、粗面化された表面の一部、特に、アルマイト加工する際に均一な被膜が形成されにくい部分がゆるやかになるように表面が変形すると考えられる。これにより、蟻の巣状の表面形状はさほど変化させず、バリのような急激な形状変化が緩和でき、被膜を形成する工程((c)の工程)において、より良好に多孔質被膜を形成できると考えられる。したがって、この本発明の一態様の製造方法により、放熱特性のより高い放熱器を提供できる。
2. 製造方法の具体例
以下に各工程を詳しく説明する。
<粗化(粗面化)>
ステップ101において、放熱部材の脱脂を行う。後述する実施例の1つのように、粗化しない部分を設けるためには事前に粗化しない部分をマスキングなどにより覆うことができる。ステップ101においては、50℃〜60℃、濃度30g/L〜50g/Lの水酸化ナトリウム溶液に、放熱部材を30秒〜1分浸漬させる。その後、ステップ102において、放熱部材を水洗する。水洗は、放熱部材を、水道水で15秒〜30秒洗った後、純水でさらに15秒〜30秒洗う。以下の水洗の工程においても同様である。
次に、ステップ103において、放熱部材の表面に形成されている酸化被膜を除去する。ステップ103においては、50℃〜60℃、濃リン酸水溶液(濃度75〜85%)を水1リットルに希釈した濃度150ml/L〜200ml/Lのリン酸溶液に、放熱部材を30秒〜1分浸漬させる。
その後、ステップ104において、放熱部材の表面を粗化する。ステップ104においては、塩酸(濃度35〜38%)を水1リットルに希釈した濃度80ml/L〜120ml/Lの塩酸溶液と、濃度3g/L〜5g/Lの硫酸銅溶液との混合液を、55℃〜60℃に維持し、放熱部材をその混合液に2分〜3分浸漬させる。この工程(ステップ104)は、アルミニウムと銅との置換反応であり、このようにすることにより、放熱部材を構成するアルミニウムの一部が溶け出して粗化(粗面化)され、これと置換して、放熱部材の表面に銅(金属)が析出する。その後、ステップ105において、放熱部材を水洗する。
ステップ106において、置換反応(ステップ104)により析出した銅を除去する。20℃〜30℃、濃度50vol%の硝酸溶液に、周波数28kHz〜40kHzの超音波を加えながら放熱部材を1分〜2分浸漬させる。ステップ106においては、超音波を加えることにより、析出した遷移金属(本例では銅)をより良好に除去することができる。超音波の効果は、物理的な振動を加えることにより硝酸溶液との接触効率を高めることと、圧力変化により化学反応を促進することが考えられる(たとえば、特開2008−229427号公報)。
その後、ステップ107において、放熱部材を水洗する。ステップ107においても、超音波を加えた超音波洗浄としてもよい。そして、ステップ108において、放熱部材20を乾燥させる。乾燥は、80℃〜90℃の雰囲気下で行う。なお、粗化する工程201から溶解処理する工程202に進む上で時間があく場合には、ステップ108を設けることが好ましいが、粗化する工程201から溶解処理する工程202に続けて進む場合には、ステップ108は省略することができる。
<溶解処理>
ステップ109において、50℃〜60℃、濃度30g/L〜50g/Lの水酸化ナトリウム溶液に、放熱部材を5秒〜15秒浸漬させる。これにより、放熱部材20の粗化された表面の一部が溶解し、急激な形状変化が緩和されると考えられる。その後、ステップ110において、放熱部材20を水洗する。なお、浸漬時間が長すぎると粗化された表面の特性を有効活用できない可能性がある。したがって、水酸化ナトリウム溶液の濃度にもよるが、浸漬時間は、上記範囲に制御することが好ましい。
<被膜形成(アルマイト処理)>
ステップ111において、放熱部材20を酸洗する。20℃〜25℃、濃度25vol%〜35vol%の硝酸溶液に、放熱部材20を30秒〜1分浸漬させる。その後、ステップ112において、放熱部材を水洗する。ステップ111の酸洗処理は、付着物(スマット)を除去する役目と、アルカリを用いた溶解処理の直後であればアルカリを中和する役目とを含む。
ステップ113において、陽極酸化処理(電解)を行う。19℃〜23℃の酸性硫酸浴(硫酸濃度200g/L〜230g/L中に放熱部材を浸漬し、陽極酸化電流(たとえば、15V、0.9A/dm〜1.5A/dm)を40分〜45分程度の間供給し、放熱部材の表面を陽極酸化する。この際、エアを導入し、エア攪拌(バブリング)を行いながら、陽極酸化することが好ましい。これにより、粗化された放熱部材の表面に、多孔構造(ハニカム構造)を有するアルミニウムの陽極酸化被膜(いわゆるアルマイト)が形成される。
その後、ステップ114において、放熱部材を水洗する。そして、ステップ115において、放熱部材を25vol%程度の硝酸溶液に浸漬して酸洗する。さらに、ステップ116において、放熱部材を水洗する。ステップ115において放熱部材を酸洗することにより、後のステップ117の染色の工程において、陽極酸化被膜に染色剤をより良好に吸着できる。
ステップ117において、染色を行う。染色剤としては、例えば、奥野製薬工業(株)製のTACブラック413を用いることができる。温度50℃〜55℃、染色剤濃度8g/L〜12g/L、pH5〜pH6の染色液に、放熱部材を30秒〜10分浸漬させる。この際、エアを導入し、エア攪拌(バブリング)を行いながら、染色することが好ましい。その後、ステップ118において、放熱部材20を水洗する。なお、染色は省略することもできる。染色を省略する場合、ステップ115〜ステップ118を省略する。
ステップ119において、封孔処理を行い、多孔質構造の陽極酸化被膜の空隙(多孔)を塞ぐ、または多孔の外側の孔径を狭くする。封孔処理剤としては、例えば、奥野製薬工業(株)製のトップシールDX200を用いることができる。温度80℃〜90℃、封孔処理剤濃度5g/L〜10g/L、pH5.3〜pH5.8の封孔溶液に、放熱部材を1分〜10分浸漬させる。その後、ステップ120において、放熱部材を水洗する。続けて、ステップ121において、放熱部材を純水で湯洗する。80℃〜100℃の湯に放熱部材を15秒〜30秒浸漬させる。そして、ステップ122において、放熱部材を乾燥させる。乾燥は、80℃〜90℃の雰囲気下で行う。以上により、表面が粗化され、さらにアルマイト処理が施された放熱部材が製造される。
3. 放熱特性の測定(ケース1)
放熱特性測定用のサンプルについて説明する。図2は、放熱特性を測定するためのサンプルを示している。図2(a)はサンプルの正面図を示しており、図2(b)はサンプルの側面図を示している。
これらの図に示すように、サンプルSmは、エポキシ基板52および発光ダイオード(素子)51を含む発光ユニット50と、放熱器53とを備えている。このサンプルSmでは、発光ユニット50の基板52の底面を、放熱器53の上面に、熱導電性の高い接着剤(たとえばエポキシ樹脂)または熱伝達フィルム(たとえばシリコン系のエラストマー)54を介して固定している。符号Pは、放熱特性の測定(温度測定)の際、熱電対を設置した部分を示している。
このサンプルSmの発光ユニット50は、GREE社製XREWH−L1−WD−Q5を用いた。また、放熱器(放熱部材)53は、全体がアルミニウムまたはアルミニウム合金製の放熱部材であり、以下においては、ALPHA LPD 25−25(表面積84cm、(株)アルファ製、以降においては放熱部材#1)、ALPHA LPD 35−10(表面積67cm、(株)アルファ製、以降においては放熱部材#2)およびALPHA LPD 45−10(表面積105cm、(株)アルファ製、以降においては放熱部材#3)の3種類を基材(ベース)として加工したものを用いた。なお、以降では、粗化およびアルマイトを形成する前および後においても放熱部材と呼ぶことがある。
(実施例1)
実施例1として、放熱部材#1〜#3の表面を粗化し、粗化された表面を溶解処理し、陽極酸化被膜を形成し、さらに、陽極酸化被膜を黒色に染色したものを製造した。すなわち、以下に説明する実施例1のサンプルSmの放熱器(放熱部材)53は、表面が粗化され、粗化された表面が溶解処理され、その後、放熱部材53の表面にいわゆるブラックアルマイトが形成されたものである。なお、実施例1において製造されたいずれの放熱部材53も、表面が艶消しされた黒色となり、粗化による微細な模様が見えることを除けば色むらはほぼなく、ほぼ均質なアルマイトが粗化された面に沿って形成されたと判断できる。
具体的には、ステップ101において、放熱部材#1〜#3(以降においては放熱部材)を、温度55℃、濃度30g/Lの水酸化ナトリウム溶液に1分浸漬させた。ステップ102において、これを水洗し、ステップ103において、温度55℃、濃度200ml/Lのリン酸溶液に放熱部材を1分浸漬させた。ステップ104において、濃度120ml/Lの塩酸溶液と濃度5g/Lの硫酸銅溶液との混合液(55℃)に放熱部材を3分浸漬し、ステップ105において、水洗した。ステップ106において、濃度50vol%の硝酸溶液(常温)に、超音波を加えながら、放熱部材を1.5分浸漬し、さらにステップ107において、水洗した。
続けて、ステップ109において、温度55℃、濃度30g/Lの水酸化ナトリウム溶液に、放熱部材を15秒浸漬させ、ステップ110において水洗した。
ステップ111において、濃度25vol%の硝酸溶液(常温)に、放熱部材を30秒浸漬させ、ステップ112において水洗した。ステップ113において、20℃の酸性硫酸浴(硫酸濃度230g/L)中に放熱部材を45分間浸漬し、電流(15V、1.0A/dm)を流し、陽極酸化した。この際、エアを導入し、エア攪拌しながら陽極酸化した。ステップ114において、放熱部材を水洗した。ステップ115において、濃度25vol%の硝酸溶液(常温)に、放熱部材を1分浸漬させ、酸洗し、さらに、ステップ116において水洗した。
ステップ117において、染色剤(奥野製薬工業(株)製のTACブラック413)を用意した。温度50℃、染色剤濃度10g/L、pH5の染色液に、放熱部材を10分浸漬させた。この際、エアを導入し、エア攪拌しながら染色した。ステップ118において、放熱部材を水洗した。ステップ119において、封孔処理剤(奥野製薬工業(株)製のトップシールDX200)を用意した。温度90℃、封孔処理剤濃度7g/L、pH5.5の封孔溶液に、放熱部材を5分浸漬させ、ステップ120において水洗した。ステップ121において、90℃のお湯に放熱部材を30秒浸漬させ、湯洗し、ステップ122において乾燥させた。以上により、放熱部材53を製造した。
(実施例2)
実施例2においては、放熱部材#1〜#3の表面を粗化し、粗化された表面を溶解処理し、陽極酸化被膜を形成した。したがって、陽極酸化被膜の染色は省略し、無染色のアルマイト(以降、白アルマイトとも言う)が形成された放熱部材53を製造した。具体的には、実施例1におけるステップ115〜ステップ118を省略した以外は、実施例1と同様にして放熱部材53を製造した。
(比較例1)
比較例1においては、放熱部材#1〜#3の表面を加工せず、すなわち、粗化をせず、陽極酸化も行わず(アルマイトも形成せず)に放熱部材53とした。
(比較例2)
比較例2においては、放熱部材#1〜#3の表面を粗化せず、陽極酸化被膜を形成し、さらに、陽極酸化被膜を染色して放熱部材53を製造した。具体的には、実施例1におけるステップ101〜ステップ110を省略した以外は、実施例1と同様にして放熱部材53を製造した。
(比較例3)
比較例3においては、放熱部材#1〜#3の表面を粗化して放熱部材53を製造した。すなわち、溶解処理および陽極酸化を行わずに放熱部材53を製造した。具体的には、実施例1におけるステップ109以降を省略した以外は、実施例1と同様にして放熱部材53を製造した。
(放熱特性測定結果1)
実施例1、2および比較例1〜3において、放熱部材(ヒートシンク)#1〜#3を用いて放熱部材53を製造し、さらにそれらの放熱部材53を用いてサンプルSmを組み立て、発光ユニット50を点灯後の放熱部材53の温度変化を測定した。図3は、放熱部材#1により製造した放熱部材53を用いたサンプルSmの温度変化(室温との温度差)を示し、図4は、放熱部材#2により製造した放熱部材53を用いたサンプルSmの温度変化(室温との温度差)を示し、図5は、放熱部材#3により製造した放熱部材53を用いたサンプルSmの温度変化(室温との温度差)を示す。
図6は、温度変化がほぼ落ち着いた、点灯後15分以降の室温との温度差の平均値を示し、図7に平均値を表にまとめて示している。
これらの図からわかるように、表面加工を何も施さない市販のヒートシンク(放熱部材#1〜#3)を用いたサンプルSm(比較例1)に対して、ブラックアルマイトを表面に形成したものを用いたサンプルSm(比較例2)および表面を粗化したものを用いたサンプルSm(比較例3)の方が温度差Δtは小さくなり、表面加工することによりヒートシンクの放熱効果が向上することが分かる。これらの比較例に対して、さらに、ヒートシンクの表面を粗化し、アルマイトを形成したものを用いたサンプルSm(実施例2)の温度差は小さくなり、さらに、アルマイトを着色したもの(ブラックアルマイトを形成したもの)を用いたサンプルSm(実施例1)の温度差はさらに小さくなることが分かった。
特に、表面加工をなにも施さない市販のヒートシンクを用いたサンプルSm(比較例1)の温度差Δtに対して、ヒートシンクの表面を粗化し、ブラックアルマイトを形成したものを用いたサンプルSm(実施例1)の温度差Δtは、ヒートシンクの種類にかかわらずのほぼ6℃程度(平均6.4℃、15〜20%程度)低下している。いずれの例も、熱源である発光ユニット50は同じなので熱源の熱量は同じであり、上記の結果より、市販のヒートシンクに対して、本発明の製造方法に従って表面加工を行うことによりヒートシンクの熱抵抗を15〜20%程度は改善できることを示している。
また、表面加工をなにも施さない市販のヒートシンクを用いたサンプルSm(比較例1)の温度差Δtに対して、ヒートシンクの表面を粗化し、ホワイトアルマイトを形成したものを用いたサンプルSm(実施例2)の温度差Δtは、ヒートシンクの種類に依存する結果となっているがほぼ5℃程度(平均4.7℃、12〜14%程度)低下している。したがって、粗化とアルマイト(ホワイトアルマイト)とにより表面を加工することによりヒートシンクの熱抵抗を12〜14%程度は改善できることを示している。
ヒートシンクの放熱効果を改善することにより、発光ユニット50の過熱を抑制でき、発光ユニット50の所定の性能を長期間にわたり安定して得ることができる。それとともに、ヒートシンクを小型化できる。たとえば、図6において、最も表面積の小さいヒートシンク(放熱部材#2、表面積67cm)を本発明の製造方法に従って表面加工した実施例1により、最も表面積の大きなヒートシンク(放熱部材#3、表面積105cm)の市販状態と同等の放熱効果を得ることができることが示されている。なお、ここで示している表面積は、ヒートシンクの形状から求められる表面積であり、表面を粗化したり、アルマイトを形成したりすることによる表面積の増加は含まれていない。
数10℃程度の領域での色の差による輻射率の相違はそれほど大きくないとも考えられる。しかしながら、上記の測定結果では、ホワイトアルマイトの実施例2に対してブラックアルマイトの実施例1はほとんどのケースで1.5℃前後の改善がみられており、ホワイトアルマイトに対してブラックアルマイトの方が、放熱効果が高いことを示している。
アルマイト(アルミナ、酸化アルミニウム)の光の吸収率はアルミニウムよりも大きいため放射による放熱効率はアルマイトを形成することにより若干向上すると思われる。しかしながら、この温度領域では放射による放熱量はそれほど大きくないのではないかとも想定される。市販のヒートシンクであっても表面にはアルミナが形成されており、アルマイトと物質的な熱伝達性能に差はそれほどないとも思われる。しかしながら、比較例1と比較例2とを比較すると、アルマイト、特にブラックアルマイトを形成することにより放熱効果が高くなることが示されている。
この温度領域においては対流による放熱が主であるとすると、対流伝熱量は、(熱伝達係数×表面積×温度差)で表現されることが知られている。詳細は解析している途上であるが、比較例1と比較例3とを比較すると、表面を粗化することにより放熱効果が高くなることが示されている。また、比較例1と実施例1とを比較すると、表面を本発明に従って粗化することに加えて、アルマイト(ブラックアルマイト)を形成することにより放熱効果が高くなることが示されている。たとえば、比較例1と実施例1とで表面の熱伝達係数が変わりないとすると、測定された温度差Δtより、同じタイプのヒートシンクでは15〜20%程度の表面積の増加が本発明の製造方法による粗化とアルマイト(ブラックアルマイト)とにより得られたと考えることも可能である。また、本発明の製造方法による粗化とアルマイト(ホワイトアルマイト)とにより、同じタイプのヒートシンクでは12〜14%程度の表面積の増加が得られたと考えることも可能である。
一方、同程度の温度差Δtが得られるヒートシンクのタイプを比較すると50%程度の表面積の増加が本発明の製造方法による粗化とアルマイト(ブラックアルマイト)とにより得られたと考えられる。ただし、今回の温度測定は代表点が限定されており、また、ヒートシンク53の形状、発光ユニット50のヒートシンク53の取り付け位置などの要素により具体的な値は変化すると考えられる。しかしながら、これらの測定結果により、本発明の製造方法によりヒートシンクの表面を粗化し、アルマイトを形成することにより大幅に放熱効果を向上できることは認められる。
4. 放熱特性の測定(ケース2)
上記の放熱特性の測定において、幾つかのサンプルでは、特に、点灯初期において放熱特性にほとんど差が見られないことがあった。このため、さらに実験を行った。
(実施例3)
放熱部材53として一辺が160mmの正方形で厚みが3mmのアルミニウム製の板(放熱部材#4)を用意した。放熱部材#4の発光ユニット50を取り付ける領域(板材のほぼ中央)にマスキングを施した。他の工程は、実施例1と同様にして放熱部材53を製造した。したがって、この実施例3の放熱部材53は、発光ユニット50を取り付ける領域を除いた表面が、粗化され、溶解処理され、さらに、発光ユニット50を取り付ける領域を除いた表面に、ブラックアルマイトが形成されている。なお、実施例3において製造された放熱部材53は、マスキングされた領域を除き表面が艶消しされた黒色となり、粗化による微細な模様が見えることを除けば色むらはほぼなく、ほぼ均質なアルマイトが粗化された面に形成されたと判断できる。
(実施例4)
放熱部材#4を実施例1と同様に加工して放熱部材53を製造した。したがって、この実施例4の放熱部材53は、表面の全域が、粗化され、溶解処理され、さらに、表面の全域に、ブラックアルマイトが形成されている。
(実施例5)
放熱部材#4を実施例2と同様に加工して放熱部材53を形成した。したがって、この実施例5の放熱部材53は、表面の全域が、粗化され、溶解処理され、さらに、表面の全域に、アルマイト(ホワイトアルマイト)が形成されている。
(比較例4)
放熱部材#4に、比較例2と同様に加工して放熱部材53を製造した。すなわち、粗化および溶解処理を省略した以外は、実施例1と同様に放熱部材53を製造した。したがって、この比較例4の放熱部材53は、表面の全域にブラックアルマイトが形成されている。
(放熱特性測定結果2)
図8は、実施例3ないし実施例5、および比較例4により製造された放熱部材(ヒートシンク)53を用いて図2に示すようなサンプルSm(ヒートシンクの形状は異なるが)を形成し、その放熱特性を測定した結果を示している。図8に示すように、実施例3ないし実施例5により製造されたヒートシンク53を用いたサンプルSmにおいて測定された温度差Δtは、いずれも、比較例4により製造されたヒートシンク53を用いたサンプルSmにおいて測定された温度差Δtよりも小さい。したがって、このケースにおいても、本発明の製造方法によりアルミニウム製のヒートシンクの表面を粗化し、アルマイトを形成することにより大幅に放熱効果を向上できることが分かる。
さらに、実施例3により製造されたヒートシンク53を用いたサンプルSmにおいて測定された温度差Δtが、実施例4および5により製造されたヒートシンク53を用いたサンプルSmにおいて測定された温度差Δtよりもさらに小さく、特に、点灯直後の温度差Δtが小さいことがわかる。したがって、ヒートシンク53の表面のうち、発光ユニット50を取り付ける領域は、粗化せず、アルマイトを形成しないことにより、ヒートシンク53の放熱特性をさらに改善できる可能性があることを示している。特に、点灯直後の放熱特性を改善できる可能性が高く、実施例3により製造されたヒートシンク53は、オンオフを比較的頻繁に繰り返す用途のヒートシンクに適していることを示唆している。
この現象は、ヒートシンク53の表面のうち、発光ユニット50を取り付ける領域は、粗化せず、アルマイトを形成しない方が、発光ユニット50とヒートシンク53とを熱的に効率よく接続しやすいことを示していると考えられる。本発明の製造方法により表面を粗化すると、蟻の巣状の凹凸が表面に形成される可能性が高いので、発光ユニット50とヒートシンク53との表面の接触面積が低下する可能性があり、接触面積の低下により発光ユニット50からヒートシンク53への熱伝達率が低下する可能性がある。ただし、熱伝達率が高く、流動性の高い樹脂(たとえば、エポキシ樹脂)などを用いて発光ユニット50とヒートシンク53とを接続することにより、蟻の巣状の凹凸を活かし、アンカー効果と熱伝達効果とが相乗的に得られる可能性があり、その場合は、実施例4または5により製造されたヒートシンク53を用いることが望ましい可能性がある。
なお、ケース2の実施例3においては発光ユニット11を取り付ける領域には処理を施さない。このため、粗化する工程の前に、発光ユニット11を取り付ける領域にマスキングを施す工程をさらに設けることが好ましい。
5. 照明装置
図9に、ヒートシンクを用いた製品の一例として照明装置の概要を示している。この照明装置1は、筐体10と、複数の発光ユニット(発光装置)11と、発光ユニット11と熱的に接続された放熱器(ヒートシンク)12と、発光ユニット11のオンオフを含む制御を行う制御回路13と、発光ユニット11に電源を供給する電源供給部材(口金)14と、発光ユニット11を覆うように筐体10に取り付けられた透光性のカバー15とを有している。放熱器12および制御回路13は、筐体10の内部に収納されている。
筐体10は、例えば、耐熱性に優れた部材、例えば、耐熱性が良好であって熱伝導率の比較的小さい樹脂などにより好適に形成できる。このような樹脂としては、例えは、ポリカーボネートや、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。本例の筐体10は、放熱器収納部A1を形成する略円筒状の第1の部分10aと、回路収納部A2を形成する第2の部分10bとを有し、上面視において、略円形に形成されている。第1の部分10aと第2の部分10bとは、一体成型されていてもよく、ネジなどによって接続されていてもよい。第2の部分10bの端部(図1において下端部)には、電源供給部材である口金14が取り付けられる。口金14として、一般に知られた適当な規格の口金を使用することにより、本例の照明装置1は、現在用いられている蛍光ランプなどの代替品として使用することができる。
発光ユニット11は、半導体発光素子、例えば、発光ダイオード(LED)を含んでいる。本例では、発光ユニット11は、表面実装型のLEDユニット(LEDチップ)であり、放熱器(ヒートシンク)12の表面(本例では図1における上面)にマトリクスをなすように配置され、ヒートシンク12に熱伝導率の高い接着剤などにより固定されている。発光ユニット11は、それぞれ、制御回路13を介して、口金14と電気的に接続され、制御回路13によりオンオフが制御される。発光ユニット11の発光色、大きさ、さらに、ヒートシンク12に取り付けられる発光ユニット11の個数などは適宜選択することができる。
放熱器12は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材20を含み、典型的には、放熱器12の全体がアルミニウムまたはアルミニウム合金製の放熱部材20である。放熱部材20は、発光ユニット11が配置される円板状部分(ベース)20aと、この円板状部分20aから鉛直方向(図1において鉛直下向き)に伸びる複数の柱状部分(ピン)20bとを有する。放熱部材20のサイズ、形状は本例に限定されるものではない。
放熱器12は、上述した実施例1または3と同様の製造方法により製造されており、表面が、遷移金属イオンを含む表面加工溶液に浸漬することを含むプロセスにより粗化され、水酸化ナトリウム溶液に浸漬することを含むプロセスにより溶解処理され、さらに、陽極酸化することを含むプロセスにより被膜(ブラックアルマイト)が形成されている。放熱器12の発光ユニット11(熱源となる部材)を取り付ける領域を除き粗化し、ブラックアルマイトを形成することは上述したとおり有効である。
カバー15は、透光性を有している。本例のカバー15は、乳白色であって、略半球状(ドーム状)に形成されている。カバー15は、他の色の着色されたものであってもよく、また、透明であってもよい。このカバー15は、発光ユニット11を被覆するように筐体10の第1の部材10aに固定されている。本例のカバー15は、乳白色に着色されたカバー15であるため、発光ユニット11を保護するだけでなく、光を拡散させ、指向性を抑制する効果を奏する。耐熱性が要求されるカバー15を形成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ガラスなどを用いることができる。また、カバー15を形成する材料の中には、拡散剤としてチタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素などを混在させたり、顔料や、波長変換部材を混在させてもよい。なお、カバー15は省略してもよい。
この照明装置1には、本例の製造方法で形成した放熱器12が採用されており、放熱器12は良好な放熱特性を有する。特に、被膜(アルマイト)に染色(特にブラック)を施した放熱器は、高い放熱特性を有する。この照明装置1においては、放熱器12の放熱効率が高いので、発光ユニット11の温度上昇を抑制できる。したがって、発光ユニット11を長時間にわたり高輝度で発光させることが可能であり、耐久性が高く、照度の低下の少ない照明装置を提供できる。
なお、本例では、放熱器を照明装置に適用したが、本発明の放熱器は、照明装置への適用に限定されるものではない。本発明の放熱器は、発熱体から発せられる熱を放散させることが要求される装置・機器などに広く用いることができる。
また、本例では、照明装置の発光ユニットとしてLEDを含むユニットを用いたが、本発明の照明装置の発光ユニットは、LEDを含むものに限定されるものではない。
1 照明装置、 11 発光ユニット
12 放熱器、 20 放熱部材

Claims (9)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材を含む放熱器の製造方法であって、
    前記放熱部材の少なくとも一部を、遷移金属イオンを含む表面加工溶液に浸漬し、析出した遷移金属被膜を溶解することを備えた、前記放熱部材の表面の少なくとも一部を粗化する工程と、
    粗化された表面を含む、前記放熱部材の少なくとも一部を水酸化ナトリウム溶液に浸漬することを備えた、前記粗化された表面を溶解処理する工程と、
    溶解処理された表面を含む、前記放熱部材の表面の少なくとも一部を陽極酸化することを備えた、被膜を形成する工程とを有する、製造方法。
  2. 請求項1において、前記被膜を形成する工程は、陽極酸化により形成された被膜を染色することをさらに含む、製造方法。
  3. 請求項1または2において、前記粗化する工程は、表面加工溶液に浸漬した部分を含む、前記放熱部材の少なくとも一部を硝酸溶液に浸漬させながら超音波を加えることを含む、製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記放熱部材の表面は、熱源となる部材を取り付ける領域を含み、
    前記粗化する工程は、前記取り付ける領域を除いた前記放熱部材の表面の少なくとも一部を粗化する、製造方法。
  5. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる放熱部材を含む放熱器であって、前記放熱部材の表面の少なくとも一部が、遷移金属イオンを含む表面加工溶液に浸漬することを含むプロセスにより粗化され、水酸化ナトリウム溶液に浸漬することを含むプロセスにより溶解処理され、さらに、前記放熱部材の表面の少なくとも一部に、陽極酸化することを含むプロセスにより被膜が形成されている、放熱器。
  6. 請求項5において、前記放熱部材の表面の一部は、前記被膜を形成するプロセスであって、陽極酸化の後に染色することを含むプロセスにより被膜が形成されている、放熱器。
  7. 請求項5または6において、前記放熱部材の表面は、熱源となる部材を取り付ける領域を含み、前記取り付ける領域を除いた前記放熱部材の表面の少なくとも一部が粗化されている、放熱器。
  8. 請求項5なし7のいずれかに記載の放熱器と、
    前記放熱器の前記放熱部材に熱が伝達されるように取り付けられた発光ユニットとを有する照明装置。
  9. 請求項8において、前記発光ユニットは発光ダイオードを含む、照明装置。
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