ところで、従来のロータリ圧縮機では、4つの圧縮機構を有する場合(特許文献1の第9図の場合)に、駆動軸の回転方向におけるブレードの位置を4つ全て同じにすると、両端の2つの圧縮機構においては、駆動軸の偏心部が同じ側に偏心しているので、吸入・圧縮・吐出の一連の流体の処理行程が同期して行われる。また、真ん中の2つの圧縮機構においても、駆動軸の偏心部が同じ側に偏心しているので、上記流体の処理行程が同期して行われる。このため、両端の2つの圧縮機構では圧縮トルクの位相が互いに一致し、真ん中の2つの圧縮機構でも圧縮トルクの位相が互いに一致する。従って、4つの圧縮機構の圧縮トルクを合成した合成トルクの変動が比較的大きくなると共に、合成トルクのピーク値が比較的大きくなる。
ここで、合成トルクの変動が大きいほど、駆動軸の駆動トルクの変動が大きくなるおそれがあり、振動や騒音が大きくなるおそれがある。また、合成トルクのピーク値が大きいほど、駆動軸を支持する支持部材に作用する荷重が大きくなり、焼き付きが起きやすくなる。以上のことから、従来のロータリ圧縮機では、振動や騒音が大きくなりやすく、焼き付きが起きやすいという問題があった。
また、従来のロータリ圧縮機は、軸受けとなる支持部材が、複数の圧縮機構の両側において駆動軸を支持している。4つの圧縮機構を有する場合は、駆動軸において軸受け間の距離が比較的長くなる。他方、駆動軸の偏心部には、圧縮室の流体の圧力が作用する。圧縮室の流体の圧力は、ピストンの移動に伴って変化するので、偏心部に作用する荷重(以下、「ピン荷重」という)は、上記流体の処理行程の進行に伴って変化する。
従来のロータリ圧縮機では、真ん中の2つの圧縮機構において、上記流体の処理行程が同期して行われるので、真ん中の2つの偏心部において、ピン荷重の変化の位相が互いに一致する。このため、軸受け間の中央部に作用する荷重のピーク値が大きくなる。従って、駆動軸では、軸受け間の距離が長いことも相まって、軸受け間のたわみが比較的大きくなる。その結果、局所面圧の増加により、圧縮機構において摩耗や焼き付き等が起きやすいという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、4つの圧縮機構を備えたロータリ圧縮機において、4つの圧縮機構の圧縮トルクを合成した合成トルクの変動の低減と、駆動軸における軸受け間のたわみの低減とを図ることにある。
第1の発明は、シリンダ(41,42,43,44)と、該シリンダ(41,42,43,44)内に圧縮室(61,62,63,64)を形成するためのピストン(51,52,53,54)と、該圧縮室(61,62,63,64)を高圧側と低圧側とに区画するためのブレード(55,56,57,58)とをそれぞれが1つずつ有する4つの圧縮機構(21,22,23,24)と、主軸部(33a)と、それぞれが該主軸部(33a)に対して偏心する4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)とを有し、上記4つの圧縮機構(21,22,23,24)を貫通するように設けられた駆動軸(33)と、上記4つの圧縮機構(21,22,23,24)の両側において上記駆動軸(33)を支持する支持部材(71,81)とを備え、上記駆動軸(33)では、該駆動軸(33)の軸方向に沿って、第1偏心部(33c)と第2偏心部(33d)と第3偏心部(33e)と第4偏心部(33f)とが順に順番に配置され、上記ピストン(51)が上記第1偏心部(33c)に係合する第1圧縮機構(21)と、上記ピストン(52)が上記第2偏心部(33d)に係合する第2圧縮機構(22)と、上記ピストン(53)が上記第3偏心部(33e)に係合する第3圧縮機構(23)と、上記ピストン(54)が上記第4偏心部(33f)に係合する第4圧縮機構(24)とが、上記駆動軸(33)の軸方向に並ぶロータリ圧縮機(10)を対象とする。
そして、このロータリ圧縮機(10)は、上記4つの圧縮機構(21,22,23,24)においては、上記ブレード(55,56,57,58)が上記シリンダ(41,42,43,44)の外周側へ最も退いた退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違し、上記第2圧縮機構(22)と上記第3圧縮機構(23)においては、上記ブレード(56,57)が上記退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに180°相違している。
第1の発明では、ロータリ圧縮機(10)が4つの圧縮機構(21,22,23,24)を備えている。各圧縮機構(21,22,23,24)では、ピストン(51,52,53,54)に駆動軸(33)の偏心部(33c,33d,33e,33f)が係合し、駆動軸(33)の回転に伴ってピストン(51,52,53,54)が偏心回転する。その結果、各圧縮機構(21,22,23,24)では、圧縮室(61,62,63,64)で流体が圧縮される。第1の発明では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)においては、ブレード(55,56,57,58)がシリンダ(41,42,43,44)の外周側へ最も退いた退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違している。言い換えれば、駆動軸(33)が90°回転する毎に、何れかの圧縮機構(21,22,23,24)において、ブレード(55,56,57,58)が退出状態となる。このことは、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、吸入・圧縮・吐出の一連の流体の処理行程のタイミングが、互いに異なり、駆動軸(33)の回転角で見た場合に90°ずつずれていることを意味している。従って、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、圧縮トルクの位相が90°ずつ相違している。また、第1の発明では、駆動軸(33)の軸方向における真ん中の2つの圧縮機構(22,23)において、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに180°相違している。このことは、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、上記流体の処理行程のタイミングが、駆動軸(33)の回転角で見た場合に180°ずれていることを意味している。従って、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、ピン荷重の変化の位相が互いに180°相違している。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記駆動軸(33)における各偏心部(33c,33d,33e,33f)の主軸部(33a)に対する偏心方向は、上記第1偏心部(33c)の偏心方向と上記第2偏心部(33d)の偏心方向とが一致し、上記第3偏心部(33e)の偏心方向と上記第4偏心部(33f)の偏心方向とが一致し、上記第2偏心部(33d)の偏心方向と上記第3偏心部(33e)の偏心方向とが180°相違し、上記駆動軸(33)の回転方向における各圧縮機構(21,22,23,24)のブレード(55,56,57,58)の位置は、上記第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置と上記第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置とが一致し、上記第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置と上記第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置とが一致し、上記第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置と上記第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置とが90°相違している。
第2の発明では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向と、各圧縮機構(21,22,23,24)のブレード(55,56,57,58)の位置とをそれぞれ所定の状態に設定することによって、4つの圧縮機構(21,22,23,24)においては、ブレード(55,56,57,58)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違し、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)においては、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに180°相違するようにしている。第2の発明では、駆動軸(33)において偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向が2方向である。そして、2方向ある偏心方向の一方が他方に対して180°ずれている。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置は、上記第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置に対して上記駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。
第3の発明では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向と、各圧縮機構(21,22,23,24)のブレード(55,56,57,58)の位置とが、図10に示すようになる。第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときには、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は90°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は270°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は180°進行した状態になる。
ここで、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるのは、本願の発明者が行った計算の結果によると、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になった状態から、駆動軸(33)が130°程度回転した状態と、駆動軸(33)が310°程度回転した状態との2回ある。例えば130°程度回転した状態について考察する。なお、以下では、第1偏心部(33c)に作用するピン荷重を「第1ピン荷重」とし、第2偏心部(33d)に作用するピン荷重を「第2ピン荷重」とし、第3偏心部(33e)に作用するピン荷重を「第3ピン荷重」とし、第4偏心部(33f)に作用するピン荷重を「第4ピン荷重」とする。
130°程度回転した状態では、第1−4ピン荷重のうち、第2ピン荷重が最大となる。また、第2圧縮機構(22)に対して流体の処理行程が90°進行している第4圧縮機構(24)では、流体の吐出行程の終盤にさしかかっており、第4ピン荷重が2番目に大きくなる。他方、第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置は、第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置に対して駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。さらに、ピン荷重の向きは、流体の処理行程の進行に伴って駆動軸(33)の回転方向に変化する。
ここで、仮に、が第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置と第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置とが一致している場合は、図13に示すように、第1−4ピン荷重のうち最大の第2ピン荷重の向きと、2番目に大きい第4ピン荷重の向きとのなす角度が鋭角になる。この角度は、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程が第2圧縮機構(22)に対して90°進行している分に相当する。このような場合は、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが比較的大きくなる。
それに対して、第3の発明では、第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置が、第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置に対して駆動軸(33)の回転方向に90°ずれているので、図14(A)に示すように、第2ピン荷重と第4ピン荷重が概ね逆方向に作用する。そして、図12に示すように、第2ピン荷重と第3ピン荷重との合力(以下、「中央合計ピン荷重」という。)の向きが、第2ピン荷重の向きにほぼ一致することから、中央合計ピン荷重と第4ピン荷重が概ね逆方向に作用する。
また、310°程度回転した状態では、図14(B)に示すように、第1−4ピン荷重のうち最も大きい第3ピン荷重と、2番目に大きい第1ピン荷重が概ね逆方向に作用する。従って、中央合計ピン荷重と第1ピン荷重が概ね逆方向に作用する。このように、第3の発明では、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になる状態では、第1−4ピン荷重のうち2番目に大きい第1ピン荷重又は第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。
第4の発明は、上記第1の発明において、上記駆動軸(33)における各偏心部(33c,33d,33e,33f)の主軸部(33a)に対する偏心方向は、上記第1偏心部(33c)の偏心方向と上記第4偏心部(33f)の偏心方向とが一致し、上記第2偏心部(33d)の偏心方向と上記第3偏心部(33e)の偏心方向とが一致し、上記第1偏心部(33c)の偏心方向と上記第2偏心部(33d)の偏心方向とが180°相違し、上記駆動軸(33)の回転方向における各圧縮機構(21,22,23,24)のブレード(55,56,57,58)の位置は、上記第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置と上記第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置とが180°相違し、上記第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置と上記第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置とが180°相違し、上記第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置と上記第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置とが90°相違している。
第4の発明では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向と、各圧縮機構(21,22,23,24)のブレード(55,56,57,58)の位置とをそれぞれ所定の状態に設定することによって、4つの圧縮機構(21,22,23,24)においては、ブレード(55,56,57,58)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違し、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)においては、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに180°相違するようにしている。第4の発明では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向を所定の状態に設定しているので、第1偏心部(33c)と第4偏心部(33f)の慣性力の合力と、第2偏心部(33d)と第3偏心部(33e)の慣性力の合力とが打ち消し合う。また、駆動軸(33)において、第1偏心部(33c)の慣性力のモーメントと第4偏心部(33f)の慣性力のモーメントが打ち消し合い、第2偏心部(33d)の慣性力のモーメントと第3偏心部(33e)の慣性力のモーメントが打ち消し合う。
第5の発明は、上記第1の発明において、上記駆動軸(33)における各偏心部(33c,33d,33e,33f)の主軸部(33a)に対する偏心方向は、上記第1偏心部(33c)の偏心方向と上記第4偏心部(33f)の偏心方向とが180°相違し、上記第2偏心部(33d)の偏心方向と上記第3偏心部(33e)の偏心方向とが180°相違し、上記第1偏心部(33c)の偏心方向と上記第2偏心部(33d)の偏心方向とが90°相違し、上記駆動軸(33)の回転方向における各圧縮機構(21,22,23,24)のブレード(55,56,57,58)の位置は、4つの圧縮機構(21,22,23,24)の全てが一致している。
第5の発明では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)において上記ブレード(55,56,57,58)の位置を全て一致させて、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向を90°ずつ相違させることによって、4つの圧縮機構(21,22,23,24)においては、ブレード(55,56,57,58)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違し、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)においては、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに180°相違するようにしている。
第6の発明は、シリンダ(41,42,43,44)と、該シリンダ(41,42,43,44)内に圧縮室(61,62,63,64)を形成するためのピストン(51,52,53,54)と、該圧縮室(61,62,63,64)を高圧側と低圧側とに区画するためのブレード(55,56,57,58)とをそれぞれが1つずつ有する4つの圧縮機構(21,22,23,24)と、主軸部(33a)と、それぞれが該主軸部(33a)に対して偏心する4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)とを有し、上記4つの圧縮機構(21,22,23,24)を貫通するように設けられた駆動軸(33)と、上記4つの圧縮機構(21,22,23,24)の両側において上記駆動軸(33)を支持する支持部材(71,81)とを備え、上記駆動軸(33)では、該駆動軸(33)の軸方向に沿って、第1偏心部(33c)と第2偏心部(33d)と第3偏心部(33e)と第4偏心部(33f)とが順に順番に配置され、上記ピストン(51)が上記第1偏心部(33c)に係合する第1圧縮機構(21)と、上記ピストン(52)が上記第2偏心部(33d)に係合する第2圧縮機構(22)と、上記ピストン(53)が上記第3偏心部(33e)に係合する第3圧縮機構(23)と、上記ピストン(54)が上記第4偏心部(33f)に係合する第4圧縮機構(24)とが、上記駆動軸(33)の軸方向に並ぶロータリ圧縮機(10)を対象とする。
そして、このロータリ圧縮機(10)は、上記駆動軸(33)における各偏心部(33c,33d,33e,33f)の主軸部(33a)に対する偏心方向は、上記第1偏心部(33c)の偏心方向と上記第2偏心部(33d)の偏心方向とが一致し、上記第3偏心部(33e)の偏心方向と上記第4偏心部(33f)の偏心方向とが一致し、上記第2偏心部(33d)の偏心方向と上記第3偏心部(33e)の偏心方向とが180°相違し、上記4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、上記ブレード(55,56,57,58)が上記シリンダ(41,42,43,44)の外周側へ最も退いた退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違し、上記第2圧縮機構(22)と上記第3圧縮機構(23)では、上記ブレード(56,57)が上記退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに90°相違している。
第6の発明では、ロータリ圧縮機(10)が4つの圧縮機構(21,22,23,24)を備えている。各圧縮機構(21,22,23,24)では、圧縮室(61,62,63,64)で流体が圧縮される。第6の発明では、上記第1の発明と同様に、4つの圧縮機構(21,22,23,24)においては、ブレード(55,56,57,58)がシリンダ(41,42,43,44)の外周側へ最も退いた退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違している。従って、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、圧縮トルクの位相が90°ずつ相違している。また、第6の発明では、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)のうち軸方向における一端側の2つの偏心部(33c,33d)において偏心方向が互いに一致し、他端側の2つの偏心部(33e,33f)において偏心方向が互いに一致し、一端側の2つの偏心部(33c,33d)の偏心方向と他端側の2つの偏心部(33e,33f)の偏心方向とが互いに180°相違している。さらに、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに90°相違している。このように設定すると、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるときに、図25に示すように、第2ピン荷重と第3ピン荷重の向きが概ね逆方向になり、第2ピン荷重と第3ピン荷重とを合わせた中央合計ピン荷重を第2ピン荷重よりも小さくできる。
第7の発明は、上記第6の発明において、上記駆動軸(33)の回転方向における各圧縮機構(21,22,23,24)のブレード(55,56,57,58)の位置は、上記第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置と上記第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置とが180°相違し、上記第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置と上記第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置とが180°相違し、上記第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置と上記第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置とが90°相違している。
第7の発明では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向と、各圧縮機構(21,22,23,24)のブレード(55,56,57,58)の位置とが、図23又は図26に示すようになる。第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、図23に示すように、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は180°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は90°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は270°進行した状態になる。若しくは、図26に示すように、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は180°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は270°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は90°進行した状態になる。
前者の場合は、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるのは、本願の発明者が行った計算の結果によると、第2ピン荷重が最大値近傍の値になるときである。この状態では、第4圧縮機構(24)が吐出行程の終盤にさしかかり、第4ピン荷重が2番目に大きくなる。そして、第4圧縮機構(24)のブレード(58)は、第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。従って、第1−4ピン荷重のうち最大の第2ピン荷重と、2番目に大きい第4ピン荷重が概ね逆方向に作用する。
また、後者の場合は、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるのは、本願の発明者が行った計算の結果によると、第3ピン荷重が最大値近傍の値になるときである。この状態では、第1圧縮機構(21)が吐出行程の終盤にさしかかり、第1ピン荷重が2番目に大きくなる。そして、第1圧縮機構(21)のブレード(55)は、第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。従って、第1−4ピン荷重のうち最大の第3ピン荷重と、2番目に大きい第1ピン荷重が概ね逆方向に作用し、その合力を小さくすることができる。従って、第7の発明では、上記第3の発明と同様に、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になる状態において、第1−4ピン荷重のうち2番目に大きくなる第1ピン荷重又は第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。
上記第1乃至第5の各発明によれば、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、ブレード(55,56,57,58)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違しているので、圧縮トルクの位相が90°ずつ相違している。このため、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では圧縮トルクがピークになるタイミングが互いにずれる。従って、4つの圧縮機構(21,22,23,24)の圧縮トルクを合成した合成トルクの変動の低減を図ることができる。また、上記第1乃至第5の各発明によれば、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに180°相違しているので、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、ピン荷重の変化の位相が互いに180°相違している。このため、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、片方の偏心部(33d,33e)に作用するピン荷重が比較的大きな値になるときに、もう片方の偏心部(33d,33e)に作用するピン荷重が比較的小さな値になる。従って、駆動軸(33)における軸受け間の中央部に作用する荷重のピーク値が比較的小さくなり、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減を図ることができる。以上より、上記第1乃至第5の各発明によれば、合成トルクの変動に起因する、ロータリ圧縮機(10)の振動や騒音と、軸受けにおける焼き付きとを抑制しつつ、駆動軸(33)における軸受け間のたわみに起因する、圧縮機構(21,22,23,24)の摩耗や焼き付きを抑制することができる。
また、上記第2の発明では、駆動軸(33)において偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向が2方向である。このため、駆動軸(33)の加工が比較的容易である。また、上記第2の発明では、駆動軸(33)において2方向ある偏心方向の一方が他方に対して180°ずれている。このため、一方の偏心方向の偏心部(33c,33d)と他方の偏心方向の偏心部(33e,33f)との重量がバランスし合うので、駆動軸(33)に作用する慣性力のバランスが比較的良好である。
また、上記第3の発明によれば、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になる状態において、第1−4ピン荷重のうち2番目に大きい第1ピン荷重又は第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。従って、駆動軸(33)において軸受け間の中央部に作用する荷重が、2番目に大きいピン荷重によりある程度打ち消されるので、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減をさらに図ることができる。
また、上記第4の発明では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向を所定の状態に設定しているので、第1偏心部(33c)と第4偏心部(33f)の慣性力の合力と、第2偏心部(33d)と第3偏心部(33e)の慣性力の合力とが打ち消し合い、さらに、駆動軸(33)において、第1偏心部(33c)の慣性力のモーメントと第4偏心部(33f)の慣性力のモーメントが打ち消し合い、第2偏心部(33d)の慣性力のモーメントと第3偏心部(33e)の慣性力のモーメントが打ち消し合う。ここで、駆動軸(33)に連結する電動機には、偏心部(33c,33d,33e,33f)に作用する慣性力のつり合いをとるためにバランサを設ける場合がある。しかし、電動機にバランサを設けると、駆動軸(33)の回転時にバランサの荷重により駆動軸(33)にたわみが生じるという問題がある。
それに対して、この第4の発明では、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)の慣性力の合力がある程度打ち消し合い、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)の慣性力のモーメントが打ち消し合うので、駆動軸(33)に連結する電動機のバランサを小さくする、又は該電動機からバランサを省略することができる。従って、バランサに起因する駆動軸(33)のたわみを抑制することができる。
また、この第4の発明では、例えば4つの圧縮機構(21,22,23,24)を駆動軸(33)の軸方向に等間隔に配置して、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)に作用する慣性力を等しくすれば、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)の慣性力の合力がゼロになり、駆動軸(33)において4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)の慣性力のモーメントの和がゼロになり、バランサを省略することができる。例えば、4つの圧縮機構(21,22,23,24)の全てのピストン(51,52,53,54)の高さを等しくする場合に、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)に作用する慣性力が等しくなり、バランサを省略することができる。ここで、4つの圧縮機構(21,22,23,24)において圧縮トルクの位相が90°ずつ相違している第4の発明では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)においてピストン(51,52,53,54)の高さを同じにすれば、各圧縮機構(21,22,23,24)における圧縮トルクの変動波形が同じになり、合成トルクの変動が最も低減される。この第4の発明によれば、合成トルクの変動が最も低減される場合に、バランサを省略することができる。従って、合成トルクの低減を図りつつ、駆動軸(33)のたわみを抑制することができる。
また、上記第5の発明では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)において上記ブレード(55,56,57,58)の位置が全て一致している。このため、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では低圧側の圧縮室(61a,62a,63a,64a)に繋がる吸入ポートを同じ方向に設けることができる。
また、上記第6乃至第7の各発明では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、ブレード(55,56,57,58)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違しているので、圧縮トルクの位相が90°ずつ相違している。このため、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では圧縮トルクがピークになるタイミングが互いにずれるので、上記第1乃至第5の各発明と同様に、合成トルクの低減を図ることができる。また、上記第6乃至第7の各発明によれば、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるときに、第2ピン荷重と第3ピン荷重の向きが概ね逆方向になり、第2ピン荷重と第3ピン荷重とを合わせた中央合計ピン荷重を第2ピン荷重よりも小さくできる。このため、駆動軸(33)における軸受け間の中央部に作用する荷重のピーク値が比較的小さくなり、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減を図ることができる。以上より、上記第6乃至第7の各発明によれば、合成トルクの変動に起因する、ロータリ圧縮機(10)の振動や騒音と、軸受けにおける焼き付きとを抑制しつつ、駆動軸(33)における軸受け間のたわみに起因する、圧縮機構(21,22,23,24)の摩耗や焼き付きを抑制することができる。
また、上記第7の発明では、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になる状態において、第1−4ピン荷重のうち2番目に大きい第1ピン荷重又は第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。従って、駆動軸(33)において軸受け間の中央部に作用する荷重が、2番目に大きいピン荷重によりある程度打ち消されるので、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減をさらに図ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
実施形態1として、本発明に係るロータリ圧縮機(10)の一例を説明する。このロータリ圧縮機(10)は、冷媒(例えば、フロン冷媒、二酸化炭素)が充填されて蒸気圧縮冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられる。
図1に示すように、上記ロータリ圧縮機(10)は、縦長で円筒形の密閉容器であるケーシング(11)を備えている。ケーシング(11)は、円筒形状の胴部(11a)と、該胴部(11a)の上端を閉塞する椀状の上部鏡板(11b)と、胴部(11a)の下端を閉塞する椀状の下部鏡板(11c)とを備えている。
ケーシング(11)内には、図1における下寄りの位置に圧縮部(20)が配置され、上寄りの位置に電動機(30)が配置されている。また、ケーシング(11)の内部には、上下方向に延びる駆動軸(33)と、該駆動軸(33)を支持する一対の支持部材(71,81)とが設けられている。駆動軸(33)は圧縮部(20)を貫通している。一対の支持部材(71,81)は、第1支持部材(71)及び第2支持部材(72)より構成されている。第1支持部材(71)及び第2支持部材(72)は、圧縮部(20)を挟むように設けられ、それぞれがケーシング(11)の胴部(11a)に固定されている。
また、ケーシング(11)内には、第1高圧空間(14)と第2高圧空間(15)と低圧空間(16)と油溜め空間(17)とが形成されている。第1高圧空間(14)は、電動機(30)の上側に形成されている。第2高圧空間(15)は、電動機(30)と第1支持部材(71)との間に形成されている。低圧空間(16)は、第1支持部材(71)と第2支持部材(72)との間において圧縮部(20)の外側に形成されている。油溜め空間(17)は、第2支持部材(72)の下側に形成されている。油溜め空間(17)には、圧縮部(20)等の摺動部に供給される潤滑油が貯留される。
ケーシング(11)の胴部(11a)には、吸入管(12)が取り付けられている。吸入管(12)は、低圧空間(16)に開口している。吸入管(12)を通った流体は、低圧空間(16)に流入する。また、ケーシング(11)の上部鏡板(11b)には、吐出管(13)が取り付けられている。吐出管(13)は、第1高圧空間(14)に開口している。第1高圧空間(14)の流体は、吐出管(13)から吐出される。
上記駆動軸(33)は、主軸部(33a)と、副軸部(33b)と、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)と、3つの中間軸部(33g,33h,33i)とを備えている。主軸部(33a)と副軸部(33b)と3つの中間軸部(33g,33h,33i)とは、軸心が互いに一致している。各偏心部(33c,33d,33e,33f)は、その軸心が主軸部(33a)の軸心から所定量だけ偏心している。
駆動軸(33)では、最も電動機(30)寄りの偏心部(33c)よりも上側の部分が主軸部(33a)を構成し、最も電動機(30)から離れた偏心部(33f)よりも下側の部分が副軸部(33b)を構成している。また、駆動軸(33)では、最も電動機(30)寄りの偏心部が第1偏心部(33c)を構成し、該第1偏心部(33c)の次に電動機(30)に近い位置の偏心部が第2偏心部(33d)を構成し、該第2偏心部(33d)の次に電動機(30)に近い位置の偏心部が第3偏心部(33e)を構成し、最も電動機(30)から離れた偏心部が第4偏心部(33f)を構成している。また、駆動軸(33)では、第1偏心部(33c)と第2偏心部(33d)の間の中間軸部が第1中間軸部(33g)を構成し、第2偏心部(33d)と第3偏心部(33e)の間の中間軸部が第2中間軸部(33h)を構成し、第3偏心部(33e)と第4偏心部(33f)の間の中間軸部が第3中間軸部(33i)を構成している。
上記主軸部(33a)は、副軸部(33b)に比べて長く形成されている。主軸部(33a)は、圧縮部(20)の上側で第1支持部材(71)により回転自在に支持されている。主軸部(33a)は電動機(30)に連結されている。一方、副軸部(33b)は、圧縮部(20)の下側で第2支持部材(72)により回転自在に支持されている。駆動軸(33)は、圧縮部(20)の両側において、一対の支持部材(71,81)により回転自在に支持されている。
上記電動機(30)は、ステータ(31)とロータ(32)とを備えている。ステータ(31)は、ケーシング(11)の胴部(11a)に固定されている。ロータ(32)は、ステータ(31)の内側に配置されている。ロータ(32)には、該ロータ(32)と同軸に駆動軸(33)の主軸部(33a)が連結されている。ロータ(32)には、電動機(30)の回転バランスをとるためのバランサ(34)が設けられている。なお、後述する実施形態1の変形例1−4、実施形態2、及び実施形態2の変形例1−3においても、実施形態1の変形例2及び実施形態1の変形例3を除いては、ロータ(32)にバランサ(34)が設けられている。
圧縮部(20)は、同じ構成で同じ大きさの4つの圧縮機構(21,22,23,24)を備えている。4つの圧縮機構(21,22,23,24)は、互いに重なるように設けられている。4つの圧縮機構(21,22,23,24)は、後述する3枚のミドルプレート(60a,60b,60c)と共に、複数のボルトによって締結されている。4つの圧縮機構(21,22,23,24)は、第1支持部材(71)と第2支持部材(72)との間に設けられている。
圧縮部(20)では、最も電動機(30)寄りの圧縮機構が第1圧縮機構(21)、該第1圧縮機構(21)の次に電動機(30)に近い圧縮機構が第2圧縮機構(22)、該第2圧縮機構(22)の次に電動機(30)に近い圧縮機構が第3圧縮機構(23)、電動機(30)から最も離れた圧縮機構が第4圧縮機構(24)を構成している。
各圧縮機構(21,22,23,24)は、揺動ピストン型のロータリ式の流体機械により構成されている。各圧縮機構(21,22,23,24)は、ピストン(51,52,53,54)がシリンダ(41,42,43,44)内で偏心回転運動することによって、圧縮室(61,62,63,64)内の流体を圧縮する。
具体的に、第1圧縮機構(21)は、図2に示すように、第1シリンダ(41)と、該第1シリンダ(41)内に設けられて第1圧縮室(61)を形成する第1ピストン(51)と、第1圧縮室(61)を低圧側の低圧室(61a)と高圧側の高圧室(61b)とに仕切る第1ブレード(55)とを備えている。また、第2圧縮機構(22)は、第2シリンダ(42)と、該第2シリンダ(42)内に設けられて第2圧縮室(62)を形成する第2ピストン(52)と、第2圧縮室(62)を低圧側の低圧室(62a)と高圧側の高圧室(62b)とに仕切る第2ブレード(56)とを備えている。また、第3圧縮機構(23)は、第3シリンダ(43)と、該第3シリンダ(43)内に設けられて第3圧縮室(63)を形成する第3ピストン(53)と、第3圧縮室(63)を低圧側の低圧室(63a)と高圧側の高圧室(63b)とに仕切る第3ブレード(57)とを備えている。また、第4圧縮機構(24)は、第4シリンダ(44)と、該第4シリンダ(44)内に設けられて第4圧縮室(64)を形成する第4ピストン(54)と、第4圧縮室(64)を低圧側の低圧室(64a)と高圧側の高圧室(64b)とに仕切る第4ブレード(58)とを備えている。
第1シリンダ(41)と第2シリンダ(42)との間には、第1ミドルプレート(60a)が設けられている。第1ミドルプレート(60a)は第1圧縮機構(21)及び第2圧縮機構(22)に兼用されている。第2シリンダ(42)と第3シリンダ(43)との間には、第2ミドルプレート(60b)が設けられている。第2ミドルプレート(60b)は第2圧縮機構(22)及び第3圧縮機構(23)に兼用されている。第3シリンダ(43)と第4シリンダ(44)との間には、第3ミドルプレート(60c)が設けられている。第3ミドルプレート(60c)は第3圧縮機構(23)及び第4圧縮機構(24)に兼用されている。
上記シリンダ(41,42,43,44)は、ドーナツ状に形成され、中央の孔にピストン(51,52,53,54)を収容している。シリンダ(41,42,43,44)の内周面とピストン(51,52,53,54)の外周面との間には、流体を圧縮する圧縮室(61,62,63,64)が形成されている。また、シリンダ(41,42,43,44)には、吸入ポート(45)と吐出ポート(47)と吐出室(46)とが形成されている。
各シリンダ(41,42,43,44)の吸入ポート(45)は、低圧室(61a,62a,63a,64a)を低圧空間(16)に連通させている。各吸入ポート(45)の入口は、シリンダ(41,42,43,44)の外周面に開口している。各吸入ポート(45)の出口は、各シリンダ(41,42,43,44)の内周面に開口している。
また、各シリンダ(41,42,43,44)の吐出ポート(47)は、高圧室(61b,62b,63b,64b)に開口している。吐出ポート(47)には、該吐出ポート(47)を開閉する吐出弁(48)が設けられている。吐出弁(48)は、弁体及び弁押さえを有するリード弁により構成されている。各シリンダ(41,42,43,44)の吐出室(46)は、吐出弁(48)により開閉される吐出ポート(47)を通じて高圧室(61b,62b,63b,64b)に連通可能になっている。
圧縮部(20)及び第1支持部材(71)には、各吐出室(46)を第2高圧空間(15)に連通させる吐出通路(図示省略)が形成されている。第1−第4シリンダ(41,42,43,44)の吐出室(48)は、吐出通路の一部となっている。吐出通路は、第4シリンダ(44)の吐出室(48)から上方に延びて第1支持部材(71)の上面に開口している。吐出通路は、3枚のミドルプレート(60a,60b,60c)と第1−第3シリンダ(41,42,43)と第1支持部材(71)を貫通している。なお、第1支持部材(71)には、軸受部通路の出口を覆うようにマフラー(図示省略)が設けられている。
また、シリンダ(41,42,43,44)には、4つの貫通孔(49)が形成されている。各貫通孔(49)は、各圧縮機構(21,22,23,24)から流体と共に吐出された潤滑油を、油溜め空間(17)に戻すために設けられている。
上記ピストン(51,52,53,54)は、円筒状に形成されている。第1圧縮機構(21)のピストン(51)の内側には、第1偏心部(33c)が嵌め込まれている。第2圧縮機構(22)のピストン(52)の内側には、第2偏心部(33d)が嵌め込まれている。第3圧縮機構(23)のピストン(53)の内側には、第3偏心部(33e)が嵌め込まれている。第4圧縮機構(24)のピストン(54)の内側には、第4偏心部(33f)が嵌め込まれている。各偏心部(33c,33d,33e,33f)は、各ピストン(51,52,53,54)の内周面と摺動する。
また、ピストン(51,52,53,54)は、平板状のブレード(55,56,57,58)と一体に形成されている。ブレード(55,56,57,58)は、ピストン(51,52,53,54)の外周面からピストン(51,52,53,54)の径方向に突出している。
上記ブレード(55,56,57,58)は、一対の揺動ブッシュ(67,67)に挟み込まれている。一対の揺動ブッシュ(67,67)は、それぞれ半円形状に形成されている。一対の揺動ブッシュ(67,67)は、シリンダ(41,42,43,44)に形成されたブッシュ溝(66)に揺動可能に設けられている。その結果、ピストン(51,52,53,54)は、ブレード(55,56,57,58)と共に、シリンダ(41,42,43,44)に対して揺動可能となる。
本実施形態1では、図3及び図4に示すように、駆動軸(33)では、偏心部(33c,33d,33e,33f)が主軸部(33a)に対して偏心する偏心方向が全て異なる。具体的に、第1偏心部(33c)の第1偏心方向と第4偏心部(33f)の第4偏心方向とは、互いに180°異なる。第2偏心部(33d)の第2偏心方向と第3偏心部(33e)の第3偏心方向とは、互いに180°異なる。第2偏心方向は、第1偏心方向に対して駆動軸(33)の回転方向に270°ずれている。第3偏心方向は、第1偏心方向に対して駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。第4偏心方向は、第1偏心方向に対して駆動軸(33)の回転方向に180°ずれている。
また、本実施形態1では、図4に示すように、4つの圧縮機構(21,22,23,24)において、駆動軸(33)の回転方向における上記ブレード(55,56,57,58)の位置が全て一致している。言い換えれば、駆動軸(33)の軸心を基準にしたブレード(55,56,57,58)の延伸方向(ブレード(55,56,57,58)がシリンダ(41,42,43,44)の外周側へ最も退いた退出状態の延伸方向)が全て一致している。
本実施形態1では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向と、各圧縮機構(21,22,23,24)における上記ブレード(55,56,57,58)の位置とが上述したように設定されているので、4つの圧縮機構(21,22,23,24)においては、ブレード(55,56,57,58)がシリンダ(41,42,43,44)の外周側へ最も退いた退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°間隔で互いに異なる。言い換えれば、上記駆動軸(33)が90°回転する毎に、何れかの圧縮機構(21,22,23,24)において、ブレード(55,56,57,58)が退出状態となる。このことは、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、吸入・圧縮・吐出の一連の流体の処理行程のタイミングが、互いに異なり、駆動軸(33)の回転角で見た場合に90°間隔でずれていることを意味している。4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、上記圧縮室(61,62,63,64)の容積変化の位相が90°間隔で互いに異なるとも言える。従って、図5に示すように、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、圧縮トルクの位相が90°間隔で互いに異なる。従って、4つの圧縮機構(21,22,23,24)の圧縮トルクを合成した合成トルクの変動は比較的小さくなり、該合成トルクのピーク値は比較的小さくなる。
さらに、本実施形態1では、駆動軸(33)の軸方向における真ん中の2つの圧縮機構(22,23)において、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに180°異なる。言い換えれば、上記駆動軸(33)が180°回転する毎に、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)の何れかにおいて、ブレード(56,57)が退出状態になる。このことは、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、上記流体の処理行程のタイミングが、駆動軸(33)の回転角で見た場合に180°ずれていることを意味している。真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、上記圧縮室(62,63)の容積変化の位相が互いに180°異なるとも言える。このため、軸方向における真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、図6に示すように、ピン荷重の変化の位相が互いに180°異なる。従って、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、片方の偏心部(33d,33e)に作用するピン荷重が比較的大きな値になるときに、もう片方の偏心部(33d,33e)に作用するピン荷重は比較的小さな値になる。その結果、駆動軸(33)における軸受け間の中央部に作用する荷重のピーク値が比較的小さくなる。
なお、実施形態1において駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるのは、本願の発明者が行った計算の結果によると、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になった状態から、駆動軸(33)が125°回転した状態と、駆動軸(33)が305°回転した状態との2回ある。125°回転した状態では、図7に示すように、第1−4ピン荷重のうち、第3ピン荷重が最大となるのに対して、第2ピン荷重が最小になる。一方、305°回転した状態では、第1−4ピン荷重のうち、第2ピン荷重が最大となるのに対して、第3ピン荷重が最小になる。
図6及び図7では、第1ピン荷重は、第1偏心部(33c)に作用するピン荷重を表している。第2ピン荷重は、第2偏心部(33d)に作用するピン荷重を表している。第3ピン荷重は、第3偏心部(33e)に作用するピン荷重を表している。第4ピン荷重は、第4偏心部(33f)に作用するピン荷重を表している。中央合計ピン荷重は、第2ピン荷重と第3ピン荷重を合計した荷重を表している。合計ピン荷重は、第1−4ピン荷重を全て合計した荷重を表している。なお、参考までに、図8に、駆動軸(33)の一回転中における各ピン荷重の大きさと向きの変化を示す。図8は、y方向にブレード(55,56,57,58)が延びている場合の図である。
−ロータリ圧縮機の動作−
上記ロータリ圧縮機(10)では、電動機(30)の運転が開始されると、駆動軸(33)が回転し、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)が偏心回転する。そして、各圧縮機構(21,22,23,24)では、偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心回転に伴って、ピストン(51,52,53,54)がシリンダ(41,42,43,44)内で偏心回転する。各圧縮機構(21,22,23,24)では、ピストン(51,52,53,54)の偏心回転により圧縮室(61,62,63,64)で流体が圧縮される。
まず、各圧縮機構(21,22,23,24)が流体を吸入する吸入行程について説明する。駆動軸(33)が回転角0°の状態から僅かに回転して、ピストン(51,52,53,54)とシリンダ(41,42,43,44)の接触位置が吸入ポート(45)の出口を通過すると、低圧室(61a,62a,63a,64a)における流体の吸入が開始される。低圧室(61a,62a,63a,64a)には、低圧空間(16)の流体が吸入ポート(45)を通じて吸入される。そして、駆動軸(33)の回転角が大きくなるのに従って、低圧室(61a,62a,63a,64a)の容積が増大して、低圧室(61a,62a,63a,64a)の流体が増大する。低圧室(61a,62a,63a,64a)における流体の吸入は、駆動軸(33)の回転角が360°になるまで続く。
続いて、各圧縮機構(21,22,23,24)が流体を圧縮する圧縮行程について説明する。駆動軸(33)が回転角0°の状態から僅かに回転して、ピストン(51,52,53,54)とシリンダ(41,42,43,44)の接触位置が再び吸入ポート(45)の出口を通過すると、低圧室(61a,62a,63a,64a)における流体の閉じ込みが完了し、吸入ポート(45)に繋がっていた低圧室(61a,62a,63a,64a)が、吐出ポート(47)だけに繋がる高圧室(61b,62b,63b,64b)となる。高圧室(61b,62b,63b,64b)における流体の圧縮はこの状態から開始される。この状態から駆動軸(33)の回転角が大きくなると、高圧室(61b,62b,63b,64b)の容積が減少し、それに伴って高圧室(61b,62b,63b,64b)の圧力が増大する。高圧室(61b,62b,63b,64b)の圧力が吐出室(46)の圧力を上回ると、吐出弁(48)が開く。そして、高圧室(61b,62b,63b,64b)の流体が吐出室(46)に吐出される吐出行程が開始される。高圧室(61b,62b,63b,64b)の流体は、駆動軸(33)の回転角が360°になるまで吐出される。
各吐出室(46)に吐出された高圧の流体は、上記吐出通路を通って、第2高圧空間(15)に吐出される。第2高圧空間(15)に吐出された流体は、電動機(30)のエアギャップ又はコアカットを通って第1高圧空間(14)に流入し、吐出管(13)からロータリ圧縮機(10)の外部に吐出される。
−実施形態1の効果−
以上のように、実施形態1によれば、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、ブレード(55,56,57,58)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違しているので、圧縮トルクの位相が90°ずつ相違している。このため、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では圧縮トルクがピークになるタイミングが互いにずれる。従って、4つの圧縮機構(21,22,23,24)の圧縮トルクを合成した合成トルクの変動の低減を図ることができる。また、実施形態1によれば、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに180°相違しているので、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、ピン荷重の変化の位相が互いに180°相違している。このため、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、片方の偏心部(33d,33e)に作用するピン荷重が比較的大きな値になるときに、もう片方の偏心部(33d,33e)に作用するピン荷重が比較的小さな値になる。従って、駆動軸(33)における軸受け間の中央部に作用する荷重のピーク値が比較的小さくなり、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減を図ることができる。以上より、実施形態1によれば、合成トルクの変動に起因する、ロータリ圧縮機(10)の振動や騒音と、軸受けにおける焼き付きとを抑制しつつ、駆動軸(33)における軸受け間のたわみに起因する、圧縮機構(21,22,23,24)の摩耗や焼き付きを抑制することができる。
また、実施形態1では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)において上記ブレード(55,56,57,58)の位置が全て一致している。このため、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では低圧側の圧縮室(61a,62a,63a,64a)に繋がる吸入ポート(45)を同じ方向に設けることができる。
−実施形態1の変形例1−
実施形態1の変形例1について説明する。この変形例1では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向と、各圧縮機構(21,22,23,24)におけるブレード(55,56,57,58)の位置とが、上記実施形態1とは異なる。
具体的に、この変形例1では、図9及び図10に示すように、駆動軸(33)では、第1偏心部(33c)の第1偏心方向と第2偏心部(33d)の第2偏心方向とが一致し、第3偏心部(33e)の第3偏心方向と第4偏心部(33f)の第4偏心方向とが一致している。また、第1偏心方向及び第2偏心方向と、第3偏心方向及び第4偏心方向とが180°異なる。
また、図10に示すように、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(56,57)の位置が互いに一致し、両端の2つの圧縮機構(21,24)では、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(55,58)の位置が互いに一致している。また、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)の上記ブレード(56,57)の位置と両端の2つの圧縮機構(21,24)の上記ブレード(55,58)の位置とが互いに90°異なる。そして、両端の2つの圧縮機構(21,24)の上記ブレード(55,58)の位置は、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)の上記ブレード(56,57)の位置に対して上記駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。
また、圧縮部(20)及び第1支持部材(71)には、第3圧縮機構(23)の吐出室(46)から上側に延びて第1支持部材(71)の上側に開口する第1吐出通路と、第4圧縮機構(24)の吐出室(46)から上側に延びて第1支持部材(71)の上側に開口する第2吐出通路とが形成されている。第2圧縮機構(22)の吐出室(46)は、第1吐出通路の一部となっている。第1圧縮機構(21)の吐出室(46)は、第2吐出通路の一部となっている。この点は、後述する実施形態1の変形例2においても同じである。
図10に示すように、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、駆動軸(33)の回転角で見た場合に、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は90°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は270°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は180°進行した状態になる。真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、上記流体の処理行程のタイミングが、駆動軸(33)の回転角で見た場合に180°ずれている。このため、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、図11に示すように、ピン荷重の変化の位相が互いに180°異なる。
なお、実施形態1の変形例1において駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるのは、本願の発明者が行った計算の結果によると、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になった状態から、駆動軸(33)が130°回転した状態と、駆動軸(33)が310°回転した状態との2回ある。例えば130°回転した状態では、図12に示すように、第1−4ピン荷重のうち、第2ピン荷重が最大となるのに対して、第3ピン荷重が最小となる。
また、130°回転した状態では、第2圧縮機構(22)に対して流体の処理行程が90°進行している第4圧縮機構(24)では、流体の吐出行程の終盤にさしかかっており、第4ピン荷重が2番目に大きくなる。他方、第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置は、第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置に対して駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。さらに、ピン荷重の向きは、流体の処理行程の進行に伴って駆動軸(33)の回転方向に変化する。
ここで、仮に、が第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置と第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置とが一致している場合は、図13に示すように、第1−4ピン荷重のうち最大の第2ピン荷重の向きと、2番目に大きい第4ピン荷重の向きとのなす角度が鋭角になる。この角度は、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程が第2圧縮機構(22)に対して90°進行している分に相当する。このような場合は、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが比較的大きくなる。
それに対して、この変形例1では、第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置が、第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置に対して駆動軸(33)の回転方向に90°ずれているので、図14(A)に示すように、第2ピン荷重きと第4ピン荷重が概ね逆方向に作用する。そして、中央合計ピン荷重の向きが第2ピン荷重の向きがほぼ一致することから、図12に示すように、中央合計ピン荷重と第4ピン荷重が概ね逆方向に作用する。
また、310°程度回転した状態では、図14(B)に示すように、第1−4ピン荷重のうち最も大きい第3ピン荷重と、2番目に大きい第1ピン荷重が概ね逆方向に作用する。従って、中央合計ピン荷重と第1ピン荷重が概ね逆方向に作用する。
このように、この変形例1では、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になる状態では、第1−4ピン荷重のうち2番目に大きい第1ピン荷重又は第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。従って、駆動軸(33)において軸受け間の中央部に作用する荷重が、2番目に大きいピン荷重によりある程度打ち消されるので、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減をさらに図ることができる。
また、この変形例1では、駆動軸(33)において偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向が2方向である。そして、2方向ある偏心方向の一方が他方に対して180°ずれている。このため、駆動軸(33)の加工が比較的容易である。また、この変形例1では、駆動軸(33)において2方向ある偏心方向の一方が他方に対して180°ずれている。このため、一方の偏心方向の偏心部(33c,33d)と他方の偏心方向の偏心部(33e,33f)との重量がバランスし合うので、駆動軸(33)に作用する慣性力のバランスが比較的良好である。
−実施形態1の変形例2−
実施形態1の変形例2について説明する。この変形例2では、各圧縮機構(21,22,23,24)におけるブレード(55,56,57,58)の位置が、上記実施形態1の変形例1とは異なる。
具体的に、図15に示すように、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(56,57)の位置が互いに一致し、両端の2つの圧縮機構(21,24)では、ブレード(55,58)の位置が互いに一致している。また、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)のブレード(56,57)の位置と両端の2つの圧縮機構(21,24)のブレード(55,58)の位置とが互いに90°異なる。そして、両端の2つの圧縮機構(21,24)のブレード(55,58)の位置は、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)のブレード(56,57)の配置位置に対して上記駆動軸(33)の回転方向に270°ずれている。
この変形例2では、図15に示すように、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、駆動軸(33)の回転角で見た場合に、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は270°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は90°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は180°進行した状態になる。真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、上記流体の処理行程のタイミングが、駆動軸(33)の回転角で見た場合に180°ずれている。
−実施形態1の変形例3−
実施形態1の変形例3について説明する。この変形例3では、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向と、各圧縮機構(21,22,23,24)におけるブレード(55,56,57,58)の位置とが、上記実施形態1とは異なる。また、電動機(30)のロータ(32)には、バランサ(34)が設けられていない。
具体的に、図16及び図17に示すように、駆動軸(33)では、第1偏心部(33c)の第1偏心方向と第4偏心部(33f)の第4偏心方向とが互いに一致し、第2偏心部(33d)の第2偏心方向と第3偏心部(33e)の第3偏心方向とが互いに一致している。また、第1偏心方向及び第4偏心方向と、第2偏心方向及び第3偏心方向とが、互いに180°異なる。
また、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、図17に示すように、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(56,57)の位置が全て異なる。具体的に、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(56,57)の位置が互いに180°異なり、両端の2つの圧縮機構(21,24)では、ブレード(55,58)の位置が互いに180°異なる。また、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)のブレード(56,57)の位置と両端の2つの圧縮機構(21,24)のブレード(55,58)の位置とが互いに90°異なる。第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置は、第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向270°ずれている。第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置は、第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。
また、圧縮部(20)及び第1支持部材(71)には、第1圧縮機構(21)の吐出室(46)から上側に延びて第1支持部材(71)の上面に開口する第1吐出通路と、第2圧縮機構(22)の吐出室(46)から上側に延びて第1支持部材(71)の上面に開口する第2吐出通路と、第3圧縮機構(23)の吐出室(46)から上側に延びて第1支持部材(71)の上面に開口する第3吐出通路と、第4圧縮機構(24)の吐出室(46)から上側に延びて第1支持部材(71)の上面に開口する第4吐出通路とが形成されている。この点は、後述する実施形態1の変形例4、実施形態2及び実施形態2の変形例1においても同じである。
図17に示すように、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、駆動軸(33)の回転角で見た場合に、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は90°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は270°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は180°進行した状態になる。真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、上記流体の処理行程のタイミングが、駆動軸(33)の回転角で見た場合に180°ずれている。このため、軸方向の真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、図18に示すように、ピン荷重の変化の位相が互いに180°異なる。
なお、実施形態1の変形例3において駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるのは、本願の発明者が行った計算の結果によると、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になった状態から、駆動軸(33)が130°回転した状態と、駆動軸(33)が310°回転した状態との2回ある。130°回転した状態では、図19に示すように、第1−4ピン荷重のうち、第2ピン荷重が最大となるのに対して、第3ピン荷重が最小となる。一方、310°回転した状態では、第1−4ピン荷重のうち、第3ピン荷重が最大となるのに対して、第2ピン荷重が最小となる。
また、130°回転した状態では、図19に示すように、2番目に大きい第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。一方、310°回転した状態では、2番目に大きい第1ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。従って、駆動軸(33)において軸受け間の中央部に作用する荷重が、2番目に大きいピン荷重によりある程度打ち消されるので、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減をさらに図ることができる。
また、この変形例3では、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)の慣性力の合力と両端の2つの偏心部(33c,33f)の慣性力の合力とが打ち消し合い、さらに、駆動軸(33)において、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)の慣性力のモーメントが打ち消し合い、両端の2つの偏心部(33c,33f)の慣性力のモーメントが打ち消し合う。ここで、この変形例3では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)が駆動軸(33)の軸方向に等間隔に配置されている。また、4つの圧縮機構(21,22,23,24)は同じ構成で同じ大きさであるため、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)に作用する慣性力は等しくなる。従って、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)の慣性力の合力がゼロになり、駆動軸(33)において4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)の慣性力のモーメントの和がゼロになる。従って、電動機(30)からバランサ(34)を省略することができるので、バランサに起因する駆動軸(33)のたわみを抑制することができる。この変形例3では、慣性力の合力と慣性力のモーメントの和をそれぞれゼロにするのに、4つの圧縮機構(21,22,23,24)においてピストン(51,52,53,54)の高さを相違させる必要がない。このため、合成トルクの低減を図りつつ、駆動軸(33)のたわみを抑制することができる。
−実施形態1の変形例4−
実施形態1の変形例4について説明する。この変形例4では、各圧縮機構(21,22,23,24)におけるブレード(55,56,57,58)の位置が、上記実施形態1の変形例3とは異なる。また、上記変形例3と同様に、電動機(30)のロータ(32)には、バランサ(34)が設けられていない。
また、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、図20に示すように、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(56,57)の位置が全て異なる。具体的に、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(56,57)の位置が互いに180°異なり、両端の2つの圧縮機構(21,24)では、ブレード(55,58)の位置が互いに180°異なる。また、第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置は、第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置は、第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に270°ずれている。
図20に示すように、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、駆動軸(33)の回転角で見た場合に、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は270°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は90°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は180°進行した状態になる。真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、上記流体の処理行程のタイミングが、駆動軸(33)の回転角で見た場合に180°ずれている。このため、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、図21に示すように、ピン荷重の変化の位相が互いに180°異なる。
なお、実施形態1の変形例4において駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるのは、本願の発明者が行った計算の結果によると、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になった状態から、駆動軸(33)が130°回転した状態と、駆動軸(33)が310°回転した状態との2回ある。130°回転した状態では、図22に示すように、第1−4ピン荷重のうち、第3ピン荷重が最大となるのに対して、第2ピン荷重が最小となる。一方、310°回転した状態では、第1−4ピン荷重のうち、第2ピン荷重が最大となるのに対して、第3ピン荷重が最小となる。
また、130°回転した状態では、図22に示すように、2番目に大きい第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。一方、310°回転した状態では、2番目に大きい第1ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。従って、駆動軸(33)において軸受け間の中央部に作用する荷重が、2番目に大きいピン荷重によりある程度打ち消されるので、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減をさらに図ることができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2として、本発明に係るロータリ圧縮機(10)の一例を説明する。このロータリ圧縮機(10)は、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向と、各圧縮機構(21,22,23,24)におけるブレード(55,56,57,58)の位置とが、上記実施形態1とは異なる。なお、各偏心部(33c,33d,33e,33f)の偏心方向は、上記実施形態1の変形例1、2と同じであるため説明は省略する。
4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、図23に示すように、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(55,56,57,58)の位置が全て異なる。具体的に、駆動軸(33)の軸方向における一端側の2つの圧縮機構(21,22)では、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(55,56)の位置が互いに180°異なり、駆動軸(33)の軸方向における他端側の2つの圧縮機構(23,24)では、ブレード(57,58)の位置が互いに180°異なる。また、第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置は、第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に270°ずれている。第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置は、第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に270°ずれている。
なお、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、駆動軸(33)の回転角で見た場合に、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は180°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は90°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は270°進行した状態になる。
この実施形態2では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、ブレード(55,56,57,58)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違しているので、圧縮トルクの位相が90°ずつ相違している。このため、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、吸入・圧縮・吐出の一連の流体の処理行程のタイミングが、互いに異なり、駆動軸(33)の回転角で見た場合に90°間隔でずれている。従って、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、圧縮トルクの位相が90°間隔で互いに異なるので、4つの圧縮機構(21,22,23,24)の圧縮トルクを合成した合成トルクの変動は比較的小さくなり、該合成トルクのピーク値は比較的小さくなる。
また、この実施形態2では、4つの偏心部(33c,33d,33e,33f)のうち一端側の2つの偏心部(33c,33d)において偏心方向が互いに一致し、他端側の2つの偏心部(33e,33f)において偏心方向が互いに一致し、一端側の2つの偏心部(33c,33d)の偏心方向と他端側の2つの偏心部(33e,33f)の偏心方向とが互いに180°相違している。さらに、真ん中の2つの圧縮機構(22,23)では、ブレード(56,57)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が互いに90°相違している。このように設定すると、図24に示すように、真ん中の2つの偏心部(33d,33e)では、ピン荷重の変化の位相が互いに90°異なる。また、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるときに、図25に示すように、第2ピン荷重と第3ピン荷重の向きが概ね逆方向になる。また、第1−4ピン荷重のうち2番目に大きい第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。
−実施形態2の効果−
また、上記実施形態2では、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では、ブレード(55,56,57,58)が退出状態になる駆動軸(33)の回転角が90°ずつ相違しているので、圧縮トルクの位相が90°ずつ相違している。このため、4つの圧縮機構(21,22,23,24)では圧縮トルクがピークになるタイミングが互いにずれるので、上記第1乃至第5の各発明と同様に、合成トルクの低減を図ることができる。また、上記実施形態2によれば、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるときに、第2ピン荷重と第3ピン荷重の向きが概ね逆方向になり、第2ピン荷重と第3ピン荷重とを合わせた中央合計ピン荷重を第2ピン荷重よりも小さくできる。このため、駆動軸(33)における軸受け間の中央部に作用する荷重のピーク値が比較的小さくなり、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減を図ることができる。以上より、上記実施形態2によれば、合成トルクの変動に起因する、ロータリ圧縮機(10)の振動や騒音と、軸受けにおける焼き付きとを抑制しつつ、駆動軸(33)における軸受け間のたわみに起因する、圧縮機構(21,22,23,24)の摩耗や焼き付きを抑制することができる。
また、上記実施形態2では、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になる状態において、第1−4ピン荷重のうち2番目に大きい第1ピン荷重又は第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。従って、駆動軸(33)において軸受け間の中央部に作用する荷重が、2番目に大きいピン荷重によりある程度打ち消されるので、駆動軸(33)における軸受け間のたわみの低減をさらに図ることができる。
−実施形態2の変形例1−
実施形態2の変形例1について説明する。この変形例1では、各圧縮機構(21,22,23,24)におけるブレード(55,56,57,58)の位置が、上記実施形態2とは異なる。
この変形例1では、図26に示すように、上記実施形態2と異なり、第1圧縮機構(21)のブレード(55)の位置は、第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。第2圧縮機構(22)のブレード(56)の位置は、第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。
なお、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、駆動軸(33)の回転角で見た場合に、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は180°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は270°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は90°進行した状態になる。
この変形例1では、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるときに、図27に示すように、第2ピン荷重と第3ピン荷重の向きが概ね逆方向になる。中央合計ピン荷重を第2ピン荷重よりも小さくできる。また、第1−4ピン荷重のうち2番目に大きい第4ピン荷重と中央合計ピン荷重が概ね逆方向に作用する。
−実施形態2の変形例2−
実施形態2の変形例2について説明する。この変形例2では、各圧縮機構(21,22,23,24)におけるブレード(55,56,57,58)の位置が、上記実施形態2とは異なる。
図28に示すように、第1圧縮機構(21)と第3圧縮機構(23)とでは、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(56,57)の位置が互いに一致し、第2圧縮機構(22)と第4圧縮機構(24)とでは、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(55,58)の位置が互いに一致している。また、第1圧縮機構(21)及び第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置は、第2圧縮機構(22)及び第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に270°ずれている。
また、圧縮部(20)及び第1支持部材(71)には、第3圧縮機構(23)の吐出室(46)から上側に延びて第1支持部材(71)の上面に開口する第1吐出通路と、第4圧縮機構(24)の吐出室(46)から上側に延びて第1支持部材(71)の上面に開口する第2吐出通路とが形成されている。第1圧縮機構(21)の吐出室(46)は、第1吐出通路の一部となっている。第2圧縮機構(22)の吐出室(46)は、第2吐出通路の一部となっている。
なお、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、駆動軸(33)の回転角で見た場合に、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は270°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は180°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は90°進行した状態になる。
この変形例2では、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるときに、図29に示すように、第2ピン荷重と第3ピン荷重の向きが概ね逆方向になり、中央合計ピン荷重を第2ピン荷重よりも小さくできる。
−実施形態2の変形例3−
実施形態2の変形例3について説明する。この変形例3では、各圧縮機構(21,22,23,24)におけるブレード(55,56,57,58)の位置が、上記実施形態2の変形例2とは異なる。
図30に示すように、第1圧縮機構(21)と第3圧縮機構(23)とでは、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(56,57)の位置が互いに一致し、第2圧縮機構(22)と第4圧縮機構(24)とでは、駆動軸(33)の回転方向におけるブレード(55,58)の位置が互いに一致している。また、第1圧縮機構(21)及び第3圧縮機構(23)のブレード(57)の位置は、第2圧縮機構(22)及び第4圧縮機構(24)のブレード(58)の位置に対して、駆動軸(33)の回転方向に90°ずれている。
なお、第1圧縮機構(21)においてブレード(55)が退出状態になるときは、駆動軸(33)の回転角で見た場合に、第1圧縮機構(21)に対して、第2圧縮機構(22)の流体の処理行程は90°進行し、第3圧縮機構(23)の流体の処理行程は180°進行し、第4圧縮機構(24)の流体の処理行程は270°進行した状態になる。
この変形例2では、駆動軸(33)における軸受け間のたわみが最大になるときに、図31に示すように、第2ピン荷重と第3ピン荷重の向きが概ね逆方向になり、中央合計ピン荷重を第2ピン荷重よりも小さくできる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態において、ブレード(55,56,57,58)がピストン(51,52,53,54)と別体に形成されていてもよい。ブレード(55,56,57,58)は、弾性部材によってピストン(51,52,53,54)の外周面に押し付けられることで、圧縮室(61,62,63,64)を高圧側と低圧側とに区画する。この場合、弾性部材が最も縮んだ状態になるときに、ブレード(55,56,57,58)が退出状態となる。ピストン(51,52,53,54)は、揺動運動することなく偏心回転する。
また、上記実施形態において、ロータリ圧縮機(10)が、圧縮部(20)の周囲だけでなく、電動機(30)の周囲も低圧空間になる低圧ドーム型の圧縮機であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。