JP2011052606A - フューエルデリバリパイプ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、機械的強度が高く、めっきの前処理が不要となるフューエルデリバリパイプとその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のフューエルデリバリパイプ100は、内燃機関が有する気筒の燃料噴射弁に燃料を供給するフューエルデリバリパイプ100であって、機械構造用炭素鋼材から形成されたパイプ本体102を有し、前記パイプ本体102の内面にめっき皮膜127が形成されている、フューエルデリバリパイプ100。
【選択図】図2

Description

本発明は、フューエルデリバリパイプ及びその製造方法に関する。
内燃機関が有する複数の気筒の燃料噴射弁に燃料を分配して供給する車載用のフューエルデリバリパイプとして、例えば、下記特許文献1のものが知られている。このフューエルデリバリパイプは、アルミダイキャストにより製造されたものである。
特開平9−112375号公報
しかし、従来のフューエルデリバリパイプは機械的強度が低いため、機械的強度が高いフューエルデリバリパイプが望まれている。また、高濃度アルコール含有燃料は、アルミニウムと直接反応(ドライコロージョン)を起こして腐食を生じさせるという問題が指摘されていた。さらに、高濃度アルコール燃料に限られず、ガソリンとアルコールとの混合燃料でもドライコロージョンが発生しえることも確認された。そのため、従来のフューエルデリバリパイプの内面には耐アルコール腐食用のめっきを施す必要があり、めっきを施すために亜鉛置換法という前処理が必要となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、機械的強度が高く、めっきの前処理が不要となるフューエルデリバリパイプとその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のフューエルデリバリパイプは、内燃機関が有する気筒の燃料噴射弁に燃料を供給するフューエルデリバリパイプであって、機械構造用炭素鋼材から形成されたパイプ本体を有し、前記パイプ本体の内面にめっき皮膜が形成されている。
この構成によれば、パイプ本体が機械構造用炭素鋼材からなるから、フューエルデリバリパイプの機械的強度を高くすることができる。また、パイプ本体が機械構造用炭素鋼材からなるから、従来のフューエルデリバリパイプようなめっきの前処理が不要となる。そして、パイプ本体の内面にめっき皮膜を形成することで、アルコールによる腐食を防止することができる。
前記パイプ本体の外面にめっき皮膜が形成されているほうが好ましい。
この構成によれば、パイプ本体の外面もめっき皮膜により覆われているので、パイプ本体の腐食を防止できる。
前記パイプ本体には前記パイプ本体に連結される連結部品と連結する連結部が備えられ、前記連結部品と前記連結部との間が前記めっき皮膜によりシールされていることが好ましい。
この構成によれば、連結部に連結部品を組み付けた状態でめっき処理を行うと、連結部と連結部品との接触部分に形成される隙間はめっきにより埋められシールされる。そのため、Oリング等で連結部と連結部品との接触部分に形成される隙間をシールすることなく部品間のシール性能を確保することができる。
前記めっき皮膜の膜厚は、10μm以上の厚さを有することが好ましい。
この構成によれば、めっき皮膜の膜厚が10μm以上の厚さを有するので、フューエルデリバリパイプの外面が塩害により腐食されることを防止できる。
本発明の内燃機関が有する気筒の燃料噴射弁に燃料を供給するフューエルデリバリパイプの製造方法は、機械構造用炭素鋼材を鍛造した後、焼入れ及び焼き戻しをしてパイプ本体を製造する本体製造工程と、前記本体製造工程の後、前記パイプ本体の内外面にめっき処理を行うめっき処理工程と、を含む。
上記構成によれば、機械構造用炭素鋼材を鍛造した後、焼入れ及び焼き戻しをすると、機械構造用炭素鋼材の靭性が高くなり、硬度も高くなる。そのため、機械的強度が高いフューエルデリバリパイプを製造することができる。また、パイプ本体が機械構造用炭素鋼材からできているから、めっき処理を行う際に従来のフューエルデリバリパイプのような前処理が不要となる。
また、前記パイプ本体は、前記パイプ本体に連結される連結部品と連結する連結部を有し、前記めっき処理工程では、前記パイプ本体と、前記連結部品と、を組み付けた状態でめっき処理を行うほうが好ましい。
パイプ本体と連結部品とを個々にめっき処理した後に組み付けを行うと、連結部と連結部品との接触部分のめっきが剥がれ、アルコール含有燃料による腐食が発生する可能性がある。
しかし、上記構成によれば、パイプ本体に連結部品を組み付けた状態でめっき処理を行うと、連結部と連結部品との接触部分に形成される隙間はめっきにより埋められシールされる。そのため、アルコール含有燃料による腐食の発生を防止することができる。また、Oリング等で連結部と連結部品との接触部分に形成される隙間をシールすることなく部品間のシール性能を確保することもできる。
本発明によれば、機械的強度が高く、めっきの前処理が不要となるフューエルデリバリパイプとその製造方法を提供することが可能になる。
本実施形態における燃料供給装置の構成を示す斜視図 フューエルデリバリパイプの構成を示す断面図 パイプ本体と連結部品とを組み付けた状態を示す断面図
(自動車における燃料供給装置の構成)
図1は、本実施形態における燃料供給装置の構成を示す説明図である。燃料供給装置は、自動車10の車体20に装備され、燃料タンク40からエンジン300に燃料を供給する。燃料供給装置は、燃料供給ポンプ230と、フィルタ210と、圧力調整装置220と、燃料移送管P1と、燃料供給管P2と、燃料帰還管P3と、フューエルデリバリパイプ100とを備えている。
燃料供給ポンプ230は、燃料タンク40の内部の燃料を加圧する。加圧された燃料は、燃料移送管P1によって燃料タンク40からエンジン300の近傍に移送される。移送された燃料は、フィルタ210によって濾過され、燃料供給管P2により圧力調整装置220を介してフューエルデリバリパイプ100に供給される。フューエルデリバリパイプ100に供給される際の圧力は、圧力調整装置220によって一定の圧力に調整されている。圧力調整装置220によりフューエルデリバリパイプ100に供給された燃料はエンジン300へ供給され、フューエルデリバリパイプ100に供給されなかった燃料は燃料帰還管P3を通って、燃料タンク40内に戻される。
燃料は、高濃度アルコール含有燃料、又はガソリンとアルコールとの混合燃料である。アルコールは、たとえばメタノール、エタノール、ブタノールおよびプロパノールが利用可能である。
(フューエルデリバリパイプの構成)
図2は、本実施形態のフューエルデリバリパイプ100の構成を示す説明図である。フューエルデリバリパイプ100は、後述するハウジング102(本発明のパイプ本体)と、ハウジング102に連結される第1連結部品103、及び第2連結部品123とを備える。
ハウジング102は、全体として長尺状の形状を有し、ハウジング102の内部には一端が閉じられ、他端が開かれた円筒形の燃料供給路121が形成されている。燃料供給路121の他端には第1連結部品103が嵌入(食い込み)可能となる第1嵌入部125(本発明の連結部)が形成されている。
また、燃料供給路121の他端寄りの位置には、燃料注入路124が形成されている。燃料注入路124は、燃料供給路121と連通して燃料供給管121の他端側の方向に向かって斜めに延びている。燃料注入路124の一端側は燃料供給管121と連通しており、燃料注入路124の他端側には第2連結部品123が嵌入可能となる第2嵌入部126(本発明の連結部)が形成されている。
さらに、ハウジング102の外周部にはエンジン300の図示しない燃料噴射弁が装着可能な複数(例えば4つ)の燃料噴射弁取付部122が形成されている。
第1連結部品103は、図示しない圧力センサを備えて、燃料供給路121の他端を閉塞するように、第1嵌入部125に嵌入して配置される。第2連結部品123は、燃料供給管P2(図1参照)とハウジング102とを繋げる部品であり、第2嵌入部126に嵌入して配置される。この構成により、燃料注入路124から注入された燃料は燃料供給管121に流し込まれ、燃料噴射弁から噴射されるようになっている。
ハウジング102、第1連結部品103、及び第2連結部品123は、たとえば機械構造用炭素鋼材S45Cを鍛造することによって製造されている。
ハウジング102の内外面、第1連結部品103の露出した部分、及び、第2連結部品123の露出した部分には、ニッケル-リン合金のめっき皮膜127が形成されている。
図3は、パイプ本体102に、第1連結部品103、及び第2連結部品123を組み付けた構成を示す断面図である。第1連結部品103及びパイプ本体102との嵌合面、並びに第2連結部品123及びパイプ本体102との嵌合面の両方とも、めっき皮膜127によりシールされているから、Oリングなどのシール部材が備わっていない構成となっている。
次に、本実施形態のフューエルデリバリパイプ100の製造方法の一例を説明する。本実施形態のフューエルデリバリパイプ100の製造方法は、本体製造工程と、めっき処理工程とを含む。
(本体製造工程)
丸棒の形状をした機械構造用炭素鋼材を鍛造した後、焼入れ及び焼き戻してハウジング102を製造する。
この際、機械構造用炭素鋼材を鍛造した後に、焼入れ焼き戻しを行う。すると、ハウジング102の靭性が高くなる。特に、機械構造用炭素鋼材に占める炭素の含有量を0.3wt%以上にすることで、焼入れ焼き戻しの効果を享受できる。なお、焼入れ焼き戻しを行った後のハウジング102のビッカース硬さは、230〜290HVである。
(めっき処理工程)
次に、ハウジング102に第1連結部品103、及び第2連結部品123を組み付けた状態でニッケルリンめっきを行う。
具体的には、第1連結部品103を第1嵌入部125に、及び第2連結部品123を第2嵌入部126に嵌入させて、ハウジング102に第1連結部品103、及び第2連結部品123を組み付ける。そして、第1連結部品103、及び第2連結部品123を組み付けたハウジング102をめっき浴の中に浸して、無電解によりニッケルリンめっき処理を行う。
この際、部品同士の組付部分(ハウジング102と第1連結部品103との組付部分、及びハウジング102と第2連結部品123との組付部分)にもめっきがされるので、組付部分に形成される隙間はめっきにより埋められてシールされる。
以上のように本実施形態によれば、機械構造用炭素鋼材を鍛造した後、焼入れ及び焼き戻しているので、機械構造用炭素鋼材は靭性が高くなり、硬度も高くなる。そのため、機械的強度の高いフューエルデリバリパイプ100を製造することができる。
具体的には、比較例として、肉厚が2mm以上確保されているアルミダイキャスト材(ADC10)で製造されたフューエルデリバリパイプと、本実施形態の方法により機械構造用炭素鋼材(S45C)で製造された同形状のフューエルデリバリパイプとを用意する。
ADC10で製造されたフューエルデリバリパイプでは2MPaの負荷を加えた後に22MPaの負荷を加える動作を1サイクルとする交番試験において880万サイクルでフューエルデリバリパルプに亀裂が入ったが、本実施形態の方法によりS45Cで製造したフューエルデリバリパイプでは、0MPaの負荷を加えた後に50MPaの負荷を加える動作を1サイクルとする交番試験において1000万サイクル繰り返してもフューエルデリバリパルプに亀裂が入らないことが証明された。
また、ハウジング102と第1連結部品103、並びにハウジング102と第2連結部品123を組み付けた状態でめっき処理が行われるので、ハウジング102と第1連結部品103との接触部分に形成される隙間、並びにハウジング102と第2連結部品123との接触部分に形成される隙間はめっきにより埋められてシールされる。そのため、Oリング等で接触部分に形成される隙間をシールすることなく部品間のシール性能を確保することができる。また、ハウジング102をアルミニウムで製造したときのような、めっき処理の前処理がなく、製造することができる。
さらに、ハウジング102の内外面がめっき皮膜127により覆われているから、内面に対してはアルコールによる腐食を防止することができ、外面に対しては塩害による腐食を防止できる。
特に、めっき皮膜127の膜厚が10μm以上の厚さを有していれば、フューエルデリバリパイプの外面は塩害による腐食を確実に防止できることを発明者によって見出された。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、めっき処理として無電解のニッケルリンめっきを用いたが、この方法に限定されるものではない。例えば、電解めっきでも構わないし、めっきの材料も耐アルコール腐食性のものであれば構わない。
(2)本実施形態では、ハウジング102に第1連結部品103及び第2連結部品123を組み付けた後にめっき処理を行っているが、この方法に限定されるものではない。例えば、予め各々の部品について、めっき処理を行った後に、各部品を組み付けてもよい。ただし、本実施形態の場合には、部品同士の組付部分にシール部材を用いる必要がなくなるという効果がある。
100…フューエルデリバリパイプ
102…ハウジング(パイプ本体)
103…第1連結部品(連結部品)
121…燃料供給路
122…燃料噴射弁取付部
123…第2連結部品(連結部品)
124…燃料注入路
125…第1嵌入部(連結部)
126…第2嵌入部(連結部)
127…めっき皮膜

Claims (6)

  1. 内燃機関が有する気筒の燃料噴射弁に燃料を供給するフューエルデリバリパイプであって、
    機械構造用炭素鋼材から形成されたパイプ本体を有し、
    前記パイプ本体の内面にめっき皮膜が形成されている、フューエルデリバリパイプ。
  2. 前記パイプ本体の外面にめっき皮膜が形成されている、請求項1に記載のフューエルデリバリパイプ。
  3. 前記パイプ本体には前記パイプ本体に連結される連結部品と連結する連結部が備えられ、前記連結部品と前記連結部との間が前記めっき皮膜によりシールされている、請求項1又は2に記載のフューエルデリバリパイプ。
  4. 前記めっき皮膜の膜厚は、10μm以上の厚さを有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のフューエルデリバリパイプ。
  5. 内燃機関が有する気筒の燃料噴射弁に燃料を供給するフューエルデリバリパイプの製造方法であって、
    機械構造用炭素鋼材を鍛造した後、焼入れ及び焼き戻しをしてパイプ本体を製造する本体製造工程と、
    前記本体製造工程の後、前記パイプ本体の内外面にめっき処理を行うめっき処理工程を含む、フューエルデリバリパイプの製造方法。
  6. 前記パイプ本体は、前記パイプ本体に連結される連結部品と連結する連結部を有し、
    前記めっき処理工程では、前記パイプ本体と、前記連結部品と、を組み付けた状態でめっき処理を行う、請求項5に記載のフューエルデリバリパイプの製造方法。
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