JP5535008B2 - 直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリ - Google Patents

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本発明は、エンジンの燃焼室内に燃料を直接噴射する直噴エンジンに使用する高圧燃料デリバリパイプアセンブリに関する。
従来のこの種の直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリとしては特許文献1(米国特許出願公開第2009/0145504号明細書)に開示された直接噴射フューエルレールアセンブリがある。この直接噴射フューエルレールアセンブリの燃料分配管は、細長い円筒状の導管の一側にそれぞれ複数の第1及び第2の円弧面状凹部が形成されており、この第1及び第2の各円弧面状凹部にはそれぞれ円筒状の噴射弁ソケット及び取付ボスの外周面が密着されてろう付け固着されている。
米国特許出願公開第2009/0145504号明細書(FIG.1〜FIG.4)
この特許文献1の技術では、円筒状の導管の一側に複数組の第1及び第2の各円弧面状凹部を形成し、これらの各円弧面状凹部に噴射弁ソケットと取付ボスとをろう付け固着しているので、部品点数と加工工数が多くて製造コストが高くなる問題がある。また、円筒状の導管の各円弧面状凹部に噴射弁ソケットと取付ボスとを位置の精度を高く固着しなければならないので、製造管理を厳重に行う必要があり、製造コストが高くなる問題がある。さらに、円筒状の導管の一側に各円弧面状凹部を形成する際および、導管の一側の各円弧面状凹部に噴射弁ソケットと取付ボスとをろう付けする際に導管が曲がって変形するおそれがあるので、噴射弁ソケットと取付ボスの位置の精度が低下するおそれがある。また、導管に形成した第1及び第2の各円弧面状凹部には、導管内に連通する開口が形成されているので、導管と噴射用ソケットまたは取付ボスとの間のろう付け部分に僅かな欠陥でもあると、各円弧面状凹部と噴射弁ソケットまたは取付ボスとの接合面のろう付け部から高圧燃料の漏れを生じるおそれがある。これを防ぐには、ろう付けの品質管理を厳重に行う必要があるので、製造コストがさらに増大するという問題がある。また、デリバリパイプ全体を鋳造または鍛造で行うことも考えられるが、燃料通路の形成は鍛造の場合は成形後にガンドリルにより、鋳造の場合は鋳抜きまたはガンドリルにより、デリバリパイプの全長にわたり同じ太さで形成する必要があり、燃料通路が太いものとなるので、取付ボスのオフセット量を小さくできないという問題がある。本発明はこのような各問題を解決することを目的とする。
このために、本発明による直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリは、高圧燃料ポンプから加圧された燃料が供給される燃料通路を有するデリバリパイプアセンブリと、このデリバリパイプアセンブリに設けられてコントロールユニットにより開閉制御される燃料噴射弁が連結される複数のソケット部と、デリバリパイプアセンブリに設けられてこれをエンジンに取り付けるための取付孔を有する筒状をした複数の取付ボス部とを備えた直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリにおいて、デリバリパイプアセンブリは、細長い柱状の本体部に複数のソケット部のうちの少なくとも1つと複数の取付ボス部のうちの少なくとも1つとが一体的に形成された複数の複合ブロックと、これら複数の複合ブロックを互いに連結する連結パイプとからなり、複合ブロックの本体部に長手方向に貫通するように形成した燃料通路を本体部の中心線に対し一方側にオフセットさせることにより、取付ボス部の取付孔を燃料通路と連通しないようにして中心線に接近させ、複数の複合ブロックは互いに隣り合う取付ボス部が中心線に対して互いに反対側となるように配置したことを特徴とするものである。
前項に記載の直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリにおいて、連結パイプは円筒形状とし、複合ブロックの本体部の軸線方向の端部には連結パイプを嵌合する円形の取付座を同心的に形成し、複数の複合ブロックの本体部と複数の連結パイプとを一直線上に交互に直列配置し、複合ブロックの取付座に連結パイプを嵌合させて一体的に固着してもよい。
直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリの発明によれば、デリバリパイプアセンブリは、細長い柱状の本体部に複数のソケット部のうちの少なくとも1つと複数の取付ボス部のうちの少なくとも1つとが一体的に形成された複数の複合ブロックと、これら複数の複合ブロックを互いに連結する連結パイプとからなり、複合ブロックの本体部に長手方向に貫通するように形成した燃料通路を本体部の中心線に対し一方側にオフセットさせることにより、取付ボス部の取付孔を燃料通路と連通しないようにして中心線に接近させており、各複合ブロックは一体的に形成されたソケット部と取付ボス部との間にろう付けによる接合部分がないので燃料漏れが生じにくくなる。また、取付ボス部をデリバリパイプアセンブリの中心線に接近させたので、デリバリパイプアセンブリの取付剛性が高くなって燃料圧の変動に伴う変形が小さくなり、ソケット部に嵌合される燃料噴射弁の嵌合部から燃料漏れが生じたり、そのような嵌合部に摩耗が生じることが少なくなる。また、複合ブロックにソケット部と取付ボス部とを一体的に形成したことにより、部品点数を少なくすること及びソケットと取付ボスとをろう付けするのに要する加工工数を減らすことができるので、製造コストを低く抑えることができる。また、複合ブロックにソケット部と取付ボス部とを一体的に形成したので、デリバリパイプにソケットと取付ボスとをろう付け固着したものと比べて強度を高くすることができ、また、ソケット部と取付ボス部の間の精度を高くすることができる。さらに、複数の複合ブロックは互いに隣り合う取付ボス部が中心線に対して互いに反対側となるように配置したので、軸線方向の両側に配置された取付ボス部により、エンジンに対するデリバリパイプアセンブリの取付剛性が一層高まり、ソケット部と燃料噴射弁との嵌合部からの燃料漏れおよびこのような嵌合部の摩耗を一層減少させることができる。
連結パイプは円筒形状とし、複合ブロックの本体部の軸線方向の端部には連結パイプを嵌合する円形の取付座を同心的に形成し、複数の複合ブロックの本体部と複数の連結パイプとを一直線上に交互に直列配置し、複合ブロックの取付座に連結パイプを嵌合させて一体的に固着したことにより、複合ブロックと連結パイプとは両部材の中心線に対して対象となる円周上で一体的に固着されることになり、複合ブロックと連結パイプとを容易に液密に連結できて燃料漏れが生じにくくなり、ろう付けに伴う変形も少なくなる。
本発明による直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリの一実施形態の全体構造を示す側面図である。 図1の底面図である。 図1のA−A線に沿った断面図である。 図1のB−B線に沿った断面図である。
本発明による直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリの一実施形態を図1〜図4により説明する。図1に示すように、この実施形態の直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリ10は、直列4気筒の直噴型エンジンに用いられるものであり、4つ(複数)の複合ブロック11(11A〜11D)と、これら4つの複合ブロック11A〜11Dを連結する3つ(複数)の連結パイプ13(13A〜13C)とからなる。この直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリ10は、複合ブロック11A〜11Dと連結パイプ13A〜13Cとに高圧燃料ポンプから加圧された燃料が供給される燃料通路fa、fbを有している。
複合ブロック11(11A〜11D)は、細長い円柱状の本体部12(12A〜12D)と、本体部12の中心の下側に一体的に形成されてコントロールユニットにより開閉制御される燃料噴射弁Iを連結するソケット部20(20A〜20D)と、本体部12の側部に一体的に形成されてデリバリパイプアセンブリ10をエンジンに取り付けるための取付ボス部30(30A〜30D)とを備え、これらをロストワックス法による鋳造品あるいは型鍛造による鍛造品として、鉄またはステンレス材により成形したものである。複合ブロック11の本体部12には軸線方向の両端部(本体部12A〜12Cの場合)または一端部(本体部12Dの場合)に円形の取付座12aが同軸的に形成され、この両側の取付座12aの間(本体部12A〜12Cの場合)または取付座12aと反対側となる端面の間(本体部12Dの場合)には、本体部12を長手方向に貫通する燃料通路faが本体部12の中心線に対し取付ボス部30が形成された側と反対側にオフセットして形成されている。このオフセットにより、取付ボス部30の取付孔31は燃料通路faと連通しないようにして本体部12の中心線に接近されている。
ソケット部20(20A〜20D)は有底略円筒形をしており、その軸線方向を本体部12の軸線方向と直交する方向にして本体部12の中心部の下側に一体的に形成されている。図3及び図4に示すように、ソケット部20の内部は複合ブロック11の燃料通路faに連通している。このソケット部20の中心孔には、燃料噴射弁IがOリングによりシールされて液密に密閉された状態で連結される。
取付ボス部30(30A〜30D)は、デリバリパイプアセンブリ10をエンジンに固定するボルトを挿通するための円形の取付孔31(31A〜31D)を有する略円筒形をしている。取付ボス30は、その軸線方向をソケット部20の軸線方向と平行にして、本体部12の中心線に対し燃料通路faと反対側となる本体部12の側部に一体的に形成されている。また、この実施形態では、各連結パイプ13A〜13Dの互いに隣り合う取付ボス部30A〜30Dは、デリバリパイプアセンブリ10の中心線に対して互いに反対側となるように配置されている。
連結パイプ13(13A〜13C)は、複合ブロック11(11A〜11D)を互いに連結するものであり、円形の鉄またはステンレスのパイプ材を適宜な長さに切断したものである。4つの複合ブロック11(11A〜11D)と3つの連結パイプ13(13A〜13C)は、交互に一直線上に配置し、各連結パイプ13(13A〜13C)の両端を各複合ブロック11の対応する各取付座12aに嵌合してろう付けまたは溶接することにより一体的に固着して連結されている。複合ブロック11及び連結パイプ13の材料を鉄とした場合は、一体的に固着した後に鍍金などの表面処理を行う。
また、図1〜図3に示す右側の複合ブロック11Aには、右端部の取付座12aにジョイント部材14が嵌合されてろう付け固着されており、このジョイント部材14には高圧燃料ポンプから加圧された燃料が供給される図示しない燃料供給管がジョイントナットにより接続される。また、同図の左側の複合ブロック11Dの他端側となる左端部には雌ねじが穿設されており、この雌ねじには図示しない圧力センサがねじ込まれて液密に取り付けられる。
上記のように構成したデリバリパイプアセンブリ10においては、各複合ブロック11A〜11Dの燃料通路faは各連結パイプ13A〜13Cの燃料通路fbにより連続しており、燃料供給管から一端側の複合ブロック11Aの燃料通路faに流入した高圧燃料は、各連結パイプ13A〜13Cの燃料通路fbを通過して残る各複合ブロック11B〜11Dの燃料通路faに送られ、各複合ブロック11A〜11Dの燃料通路fa内の燃料は、これに連通する各ソケット部20A〜20Dの各燃料噴射弁Iに送られる。
上記のように構成した本実施形態の直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリ10は、4つの細長い円柱状の本体部12にそれぞれ1つのソケット部20と1つの取付ボス部30とが一体的に形成された4つの複合ブロック11(11A〜11D)と、これら4つの複合ブロック11を互いに連結する3つの連結パイプ13(13A〜13C)とからなり、各複合ブロック11の燃料通路faを本体部12の中心線に対し一方側にオフセットさせることにより、取付ボス部30の取付孔31を燃料通路faと連通しないようにして中心線に接近させている。これにより、各複合ブロック11は一体的に形成されたソケット部20と取付ボス部30との間にろう付けによる接合部分がないので燃料漏れが生じにくくなる。
また、このデリバリパイプアセンブリ10においては、複合ブロック11にソケット部20と取付ボス部30とを一体的に形成したことで、ソケット部20及び取付ボス部30の位置の精度を高くすることができ、これにより、エンジンにデリバリパイプアセンブリ10を取り付けたときに、ソケット部20と燃料噴射弁Iとの間の位置ずれが生じにくくなり、ソケット部20と燃料噴射弁Iとの連結部からの燃料漏れを一層減少させることができる。また、複合ブロック11にソケット部20と取付ボス部30とを一体的に形成したことで、部品点数を少なくすること及びソケットと取付ボスとをろう付けするのに要する加工工数を減らすことにより製造コストを低く抑えることができるのに加え、デリバリパイプにソケットと取付ボスとをろう付け固着したものと比べて強度を高くすることができる。
また、このようなデリバリパイプアセンブリ10においては、ソケット部20の底面に加わる燃料圧力はデリバリパイプアセンブリ10に対し上向きの力を生じるのでデリバリパイプアセンブリ10は撓み、燃料圧力の変動によりこの撓みは変動する。従って、デリバリパイプアセンブリ10は、燃料圧力の変動に応じて、エンジンに取り付けられた燃料噴射弁Iに対し相対移動し、この相対移動により、ソケット部20と燃料噴射弁Iとの嵌合部から燃料漏れが生じたり、摩耗が生じるおそれがある。しかし、本実施形態のデリバリパイプアセンブリ10は、取付ボス部30をデリバリパイプアセンブリ10の中心線に接近させたので、デリバリパイプアセンブリ10の取付剛性が高くなって燃料圧の変動に伴う変形が小さくなり、ソケット部20に嵌合される燃料噴射弁Iの嵌合部から燃料漏れが生じたり、そのような嵌合部に摩耗が生じることが少なくなる。
また、このデリバリパイプアセンブリ10の4つの複合ブロック11は互いに隣り合う取付ボス部30が本体部12の中心線に対して互いに反対側となるように配置したものであるので、デリバリパイプアセンブリ10は軸線方向の両側に交互に配置された取付ボス部30により、エンジンに対するデリバリパイプアセンブリ10の取付剛性を一層高めて、ソケット部20と燃料噴射弁Iとの嵌合部からの燃料漏れ及びこのような嵌合部の摩耗を一層減少させることができる。
また、このデリバリパイプアセンブリ10においては、複合ブロック11の円柱形をした本体部12の軸線方向の端部には円筒形状の連結パイプ13を嵌合する円形の取付座12aを同心的に形成し、複数の複合ブロック11の本体部12と複数の連結パイプ13とを一直線上に交互に直列配置し、複合ブロック11の取付座12aに連結パイプ13を嵌合させてろう付けまたは溶接することにより一体的に固着してしている。これにより、複合ブロック11と連結パイプ13とは両部材の中心線に対して対象となる円周上でろう付けまたは溶接により一体的に固着されることになり、ろう付けまたは溶接に伴う変形を減少させてデリバリパイプアセンブリ10の精度を向上させることができる。さらに、このデリバリパイプアセンブリ10では、エンジンにより燃料噴射弁の取付ピッチが異なる場合には、連結パイプ13の長さを変更するだけで対応することができる。
本実施形態においては、1つの複合ブロックに1つのソケット部と1つの取付ボス部とを一体的に形成した例について説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、例えば、1つの複合ブロックに2つ以上のソケット部または2つ以上の取付ボス部とを一体的に形成したものでも同様の作用効果を得ることができる。
上述した本実施形態においては、直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリ10は、直列4気筒の直噴型エンジンに用いる例について説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、一つの複合ブロックに設けるソケット部の数及び一組のデリバリパイプアセンブリ使用する複合ブロックの数を変えることで、例えば直列3気筒、直列6気筒、V型6気筒またはV型12気筒エンジン等の他の形式の直噴型エンジンに用いることもできる。このようなV型エンジンに用いる場合には、上述のように複数の複合ブロック11の本体部12と複数の連結パイプ13とを一直線上に直列配置したものを複数組用意し、各組を直列または並列に連結して高圧燃料ポンプからの燃料を供給すればよい。
10…直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプ、11(11A〜11D)…複合ブロック、12(12A〜12D)…本体部、12a…取付座、13(13A〜13C)…連結パイプ、20(20A〜20D)…ソケット部、30(30A〜30D)…取付ボス部、31(31A〜31D)…取付孔、fa…燃料通路。

Claims (2)

  1. 高圧燃料ポンプから加圧された燃料が供給される燃料通路を有するデリバリパイプアセンブリと、このデリバリパイプアセンブリに設けられてコントロールユニットにより開閉制御される燃料噴射弁が連結される複数のソケット部と、同デリバリパイプアセンブリに設けられてこれをエンジンに取り付けるための取付孔を有する筒状をした複数の取付ボス部とを備えた直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリにおいて、
    前記デリバリパイプアセンブリは、細長い柱状の本体部に前記複数のソケット部のうちの少なくとも1つと前記複数の取付ボス部のうちの少なくとも1つとが一体的に形成された複数の複合ブロックと、これら複数の複合ブロックを互いに連結する連結パイプとからなり、
    前記複合ブロックの本体部に長手方向に貫通するように形成した燃料通路を前記本体部の中心線に対し一方側にオフセットさせることにより、前記取付ボス部の取付孔を前記燃料通路と連通しないようにして前記中心線に接近させ、
    前記複数の複合ブロックは互いに隣り合う取付ボス部が前記中心線に対して互いに反対側となるように配置したことを特徴とする直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリ。
  2. 請求項に記載の直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリにおいて、
    前記連結パイプは円筒形状とし、
    前記複合ブロックの本体部の軸線方向の端部には前記連結パイプを嵌合する円形の取付座を同心的に形成し、
    前記複数の複合ブロックの本体部と前記複数の連結パイプとを一直線上に交互に直列配置し、前記複合ブロックの取付座に前記連結パイプを嵌合させて一体的に固着したことを特徴とする直噴エンジン用高圧燃料デリバリパイプアセンブリ。
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