JP3778385B2 - コモンレール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般にディーゼル内燃機関における高圧燃料多岐管或いはブロック・レール等のようなコモンレールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のコモンレールとしては、図10、図11に示すように、軸芯内部に流通路11′を有する一体型の本管レール11の周壁部に、前記流通路11′に連通する貫孔12′を有するボス12を所定の間隔に突設して該ボスにナットにより分岐枝管や分岐金具のような分岐接続体(図示せず)を接続する構造となしたものが一般的である。このような一体構造のコモンレールの場合、本管レール11は、熱間鍛造により製造し、該本管レールの流通路11′およびボス12の貫孔12′は専用の穴明け機にて加工している。13はブラケット部である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の鍛造によるコモンレールは、金型代が高くつくという欠点がある。すなわち、コモンレールはエンジンの型式により分岐接続体の取付位置が変わるため、これに対応してボスの位置も変わりエンジン型式毎に鍛造金型を必要とし、この金型費用が高価につくためである。また、鍛造による製造では生産量が少ないとき生産効率が悪くなるためコストが高くつく。さらに、専用機による穴明け加工費が高くつくという欠点がある。
【0004】
また、従来のコモンレールは、図10に示すごとく、本管レール11の流通路11′の中心とボス12の貫孔12′の中心が一致した構造となっているため、本管レール11に、絶えず繰返される供給圧力が急激に変動する1000kgf/cm2以上にもおよぶ高圧流体の内圧が作用したとき、この内圧と、ボス12の貫孔12′に作用する内圧により合成された力によって本管レール流通路11′の開口端部P′に最も大きな応力が発生し、内圧疲労強度が低いという欠点がある。
【0005】
本発明は従来技術の有する前記欠点を解消するためになされたものであり、従来の鍛造タイプの一体型コモンレールに替えて、複数のブロックをろう付けして構成する分割構造のコモンレールとするとともに、ボスを偏心させることによって該ボスの貫孔の本管レール流通路開口端部に発生する最大応力値を下げて内圧疲労強度を向上させることが可能なコモンレールを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、軸芯内部に流通路を有し、該流通路に連通する貫孔を有するボスを外周面に突設した短尺のレールブロック単体間に、軸芯内部に流通路を有する短尺の筒体を少なくとも1つ介在させて、該筒体と前記レールブロック単体とを凹凸嵌合方式にて接合し、該接合部をろう付けして構成し、且つ、該レールブロック単体の流通路の径が該筒体の流通路の径より細径であることを特徴とするコモンレールを要旨とするものであり、また、前記ボスを流通路の径方向に偏心させて外周面に突設したり、前記ボスを流通路の径方向に偏心させるとともに、前記レールブロックの軸芯に対して傾斜して外周面に突設したりするものである。
【0007】
以上のように構成されているため、本発明ではレールブロック単体(つなぎ管)が短尺でかつボスも一つで済むので鍛造用金型費用が大幅に安くつき、また少量生産においても生産効率がよいのでコストが高くつくこともなく、さらに専用機による穴明け加工費も安くつく。また、レールブロック単体間に、軸芯内部に流通路を有する短尺の筒体を介在させることにより、ボスの位置を分岐接続体の取付位置に応じて任意に変更できるので、エンジン型式の変更にも容易に対応できるのみならず、ブロック単体の流通路の径を短尺の筒体の流通路の径より細径として構成したために、貫孔の周縁からブロック単体の外面までの肉厚が厚くなりブロック単体の内圧疲労強度が一層向上する。さらに、ボスの中心を流通路の径方向に偏心させることにより、ボスの貫孔の本管レール流通路開口端部に発生する最大応力値が下がり内圧疲労強度が向上する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るコモンレールのブロック単体の一例を示す正面図、図2は図1のAーA線上の縦断側面図、図3は同じく本発明に係るコモンレールのブラケット付きブロック単体の一例を示す正面図、図4は図3のAーA線上の縦断側面図、図5は同じく本発明に係るコモンレールの他のブロック単体の一例を示す正面図、図6は同じく本発明に係るコモンレールのブロック単体間に介在させるボス間隔調整用の短尺の筒体(スペーサ)の一例を示す正面図、図7は同じく本発明に係るコモンレールの別のブロック単体の一例を示す正面図、図8は図7のAーA線上の縦断側面図、図9は同じく本発明に係るコモンレールの一例を示す部分拡大断面図であり、1はコモンレールとしての本管レール、1−1、1−2、1−3、1−4はブロック単体、1−1a、1−2a、1−3a、1−4aはボス、2は短尺の筒体、3はろう熔着、4は本管レールの端部に固着された盲栓である。
【0009】
コモンレールとしての本管レール1はブロック単体の複数を凹凸嵌合方式にて接合済めるとともに、その接合部をろう付けして一体化するもので、基本的には凹部を有するブロック単体1−1、1−2、1−4と、凸部を有するブロック単体1−3とから構成され、必要に応じて少なくとも1つの短尺の筒体2をブロック単体間に介在するよう使用して構成するものである。
【0010】
図1、図2に示すブロック単体1−1は、例えば管径26m/m、肉厚8m/m程度の比較的厚肉で細径の金属管であって、その軸芯内部を流通路1−1′となして軸方向の周壁部に、該流通路に軸芯と偏心して連通する貫孔1−1a′を有するボス1−1aを軸芯と直角に突設し、流通路1−1′の両端部に内径22m/m程度の大径部(凹部)1−1″を設けてなるものである。ここで、ボス1−1aの貫孔1−1a′の偏心量△lとしては、特に限定するものではないが、貫孔1−1a′の流通路開口端部に発生する応力を軽減させるためには、図2に示すごとく流通路1−1′の内壁面の接線と貫孔1−1a′の内壁面の接線がほぼ一致する程度とするのが好ましい。1−1bは螺子部である。
【0011】
図3、図4に示すブロック単体1−2は、外周に設けた該コモンレール取付用のブラケット1−2c以外は、前記図1、図2に示すブロック単体と同様、軸芯内部を流通路1−2′となして軸方向の周壁部に、該流通路に軸芯と偏心して連通する貫孔1−2a′を有するボス1−2aを軸芯と直角に突設し、流通路1−2′の両端部に内径22m/m程度の大径部(凹部)1−2″を設けてなるもので、前記ブラケット1−2cは該ブロック単体1−2の外周壁に一体に突設し、端部に取付孔1−2c′を穿設している。1−2bは螺子部である。
【0012】
図5に示すブロック単体1−3は、前記ブロック単体1−1または1−2の大径部(凹部)1−1″、1−2″に凹凸嵌合方式にて接合するためのブロック単体であり、軸芯内部を流通路1−3′となして軸方向の周壁部に、該流通路に軸芯と偏心して連通する貫孔1−3a′を有するボス1−3aを軸芯とほぼ直角に突設し、流通路1−3′の一端に前記のブロック単体と同じ内径22m/m程度の大径部1−3″を設け、他端に前記大径部1−1″、1−2″、1−3″に凹凸嵌合する凸部1−3dを設けた構造となしたものである。1−3bは螺子部である。
【0013】
図6に示す短尺の筒体2はボス間隔調整用のスペーサであって、各ブロック単体の流通路1−1′、1−2′、1−3′の径より大径の流通路2−1を軸芯内部に有し、両端部に前記の各ブロック単体1−1、1−2、1−3の大径部1−1″、1−2″、1−3″に凹凸嵌合する凸部2−1′を有する。
【0014】
図7、図8に示すブロック単体1−4は、ボス1−4を軸芯に対し軸芯方向に適当な角度に傾斜させたもので、全体的には前記ブロック単体1−1、1−2と同じ構造である。すなわち、軸芯内部を流通路1−4′となして軸方向の周壁部に、該流通路に軸芯と偏心して連通する貫孔1−4a′を有するボス1−4aを軸芯に対し軸芯方向に角度θ傾斜させて突設し、流通路1−4′の両端部に前記と同様の大径部1−4″を設けた構造となしたものである。1−4bは螺子部である。なお、上記のごとくボスを傾斜させて設けるのは、コモンレールをエンジンに取付けた場合の各シリンダに対する噴射ノズルへのインジェクションパイプや高圧ポンプからのフィードパイプなどの配管や取付の容易性を考慮したためである。
【0015】
図9に示すコモンレール1は、一例として端部に凸部を有するブロック単体1−1と端部に凹部を有する短尺の筒体2とで構成したもので、ブロック単体1−1と短尺の筒体2はそれぞれ凹凸嵌合させて接合し、その接合部をろう熔着3して一体化したものである。かかる構造のコモンレールの場合、ブロック単体1−1に内圧がかかった時高い応力が発生する場所は、貫孔1−1a′の流通路開口端部の、流通路の内壁面と貫孔の内壁面がほぼ一致する側と反対側の端部Pの部分のみとなり、最大発生応力が必然的に小さくなることにより、ブロック単体1−1の内圧疲労強度が向上するのみならず、ブロック単体1−1の流通路1−1′の径を短尺の筒体2の流通路2−1の径より細径として構成したために、貫孔1−1a′の周縁からブロック単体の外面までの肉厚が厚くなりブロック単体の内圧疲労強度が一層向上し、コモンレール1自体の耐久性が向上する。なおこの例では本管レール1の端部に盲栓4がろう熔着などにより固着されている。
また、各ボスには必要に応じてフローリミッター等を設けることができる。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るコモンレールは、レールブロック単体(つなぎ管)が短尺でかつボスも一つで済むので鍛造用金型費用が大幅に安くつき、また少量生産においても生産効率がよいのでコストが高くつくこともなく、さらに専用機による穴明け加工費も安くつく。また、レールブロック単体間に、軸芯内部に流通路を有する短尺の筒体を介在させることにより、分岐枝管や分岐金具のような分岐接続体の取付位置に応じてボスの位置を任意に変更できるので、エンジン型式の変更にも容易に対応できる。特に本発明はブロック単体の流通路の径を短尺の筒体の流通路の径より細径として構成したために、貫孔の周縁からブロック単体の外面までの肉厚が厚くなりブロック単体の内圧疲労強度が一層向上する。さらに、ボスの中心を流通路の径方向に偏心させることにより、ボスの貫孔の本管レール流通路開口端部に発生する最大応力値が下がり内圧疲労強度が向上する。したがって、本発明に係るコモンレールは、従来の鍛造タイプの一体型コモンレールに比べ、品質良好でかつ低コストという優れた効果を有し、極めて有用性に富むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るコモンレールのブロック単体の一例を示す正面図である。
【図2】 図1のAーA線上の縦断側面図である。
【図3】 同じく本発明に係るコモンレールのブラケット付きブロック単体の一例を示す正面図である。
【図4】 図3のAーA線上の縦断側面図である。
【図5】 同じく本発明に係るコモンレールの他のブロック単体の一例を示す正面図である。
【図6】 同じく本発明に係るコモンレールのブロック単体間に介在させるボス間隔調整用の短尺の筒体(スペーサ)の一例を示す正面図である。
【図7】 同じく本発明に係るコモンレールの別のブロック単体の一例を示す正面図である。
【図8】 図7のAーA線上の縦断側面図である。
【図9】 同じく本発明に係るコモンレールの一例を示す部分拡大断面図である。
【図10】 本発明の対象とする従来のコモンレールの全体構成の一例を示す正面図である。
【図11】 図10のBーB線上の拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
1 本管レール
1−1、1−2、1−3、1−4 ブロック単体
1−1′、1−2′、1−3′、1−4′ 流通路
1−1″、1−2″、1−3″、1−4″ 大径部
1−1a、1−2a、1−3a、1−4a ボス
1−1a′、1−2a′、1−3a′、1−4a′ 貫孔
1−1b、1−2b、1−3b、1−4b 螺子部
1−2c ブラケット
1−3d 凸部
2 短尺の筒体
2−1′ 凸部
3 ろう熔着
4 盲栓
Claims (3)
- 軸芯内部に流通路を有し、該流通路に連通する貫孔を有するボスを外周面に突設した短尺のレールブロック単体間に、軸芯内部に流通路を有する短尺の筒体を少なくとも1つ介在させて、該筒体と前記レールブロック単体とを凹凸嵌合方式にて接合し、該接合部をろう付けして構成し、且つ、該レールブロック単体の流通路の径が該筒体の流通路の径より細径であることを特徴とするコモンレール。
- 前記ボスを流通路の径方向に偏心させて外周面に突設したことを特徴とする請求項1記載のコモンレール。
- 前記ボスを前記レールブロック単体の軸芯に対して傾斜して外周面に突設したことを特徴とする請求項1記載のコモンレール。
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