JP2011052079A - 星形ポリマー - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、刺激応答性および汚染防止性を有する新規の星形ポリマーを提供することを課題とする。
【解決手段】
核部と、当該核部に連結している3本以上の枝部とを有する星形ポリマーであって、
前記核部は、ジアルケニル化合物の架橋ポリマーからなり、
前記枝部の一部または全部は、式(I
−(CH(−X−R)−CH(−R))p−R (I
[式中、
は、フッ素化されていない1価の有機基を有し、
は、水素原子またはアルキル基を表し、
は、フッ素化されている1価の有機基を表し、
Xは、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表し、
pは、1以上の整数を表す。]
で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であり、
前記枝部の残りは、式(I))
−(CH(−X−R)−CH(−R))p−R (I
[式中、Rは、フッ素化されていない1価の有機基を表し、その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表され、1,000〜1,000,000の重量平均分子量を有する1価の有機基であることを特徴とする星形ポリマー。
【選択図】なし

Description

本発明は星形ポリマーに関する。
刺激応答性ポリマーは、光照射、電場印加、温度変化、pH変化、化学物質の添加などの外的環境の微小変化(外部刺激)に対して敏感に応答し、物性等が著しく変化する物質である。刺激応答性ポリマーは高機能材料として注目され、様々な分野での応用が期待されている。例えば、外部刺激(例えば、pHや温度の変化)によって、生物活性分子(薬物分子)放出等の変化を生じる刺激応答性ポリマーは、薬物送達システム分野での応用が期待されている。
刺激応答性を示すポリマーは希であるが、従来、刺激に応じて親媒性から疎媒性へ、または疎媒性から親媒性へと変化するブロックポリマーである線状ポリマーが知られていた(特許文献1参照)。
更に、優れた刺激応答性を有する星形ポリマーもまた報告されている(特許文献2参照)。
しかしなお、多様な星形ポリマーの開発が求められている。
一方、フッ素原子を有する星形ポリマーとして、例えば、特許文献3には、ペルフルオロキャッピング剤と、星形ポリマーのコアとの反応により得られる星形ブロックポリマーが開示されている。また、特許文献4には、中心核から特定の構造の枝が分枝している星形ポリマーが開示されている。
ところで、一般に塗膜に耐汚染性を付与させる手法としては、塗膜を撥水性にする手法と親水性にする手法とが知られており、塗料設計者は、被塗物及びそれに対して付着しうる汚れ成分の種類や性質等に応じていずれかの手法を選択することができる。
塗膜を撥水性にする樹脂としては、フッ素樹脂が知られている。例えば特許文献5には含フッ素アクリル系重合体水性エマルジョンが開示されている。また、それ以外にも、例えば特許文献6にはフルオロオレフィン共重合体からなるフッ素樹脂系エマルションよりなる水性塗料組成物が開示されている。
他方、塗膜表面を親水性にする方法として、塗料中にオルガノシリケートの変性縮合物を配合する方法が知られている(特許文献7参照)。該変性オルガノシリケートは、塗膜中で降雨水等の水分により加水分解され、シラノール基となって塗膜表層を親水化すると考えられている。
また、特許文献8にはフッ素化オレフィン系重合体、フッ素化(メタ)アクリレートと親水性構造単位含有エチレン性不飽和単量体及びその他のエチレン性不飽和単量体とを重合させて得られる共重合体、加水分解性シリル基を有する化合物を必須成分として含有してなり、さらに(メタ)アクリロイル基を含有する単量体の重合体を含んでなる被覆組成物が開示されている。該文献に記載の組成物によれば、フッ素化(メタ)アクリレートと親水性構造単位含有エチレン性不飽和単量体及びその他のエチレン性不飽和単量体とを重合させて得られる共重合体が、パーフルオロアルキル基と親水性構造の作用により、加水分解性シリル基を有する化合物と共に、膜表面を親水性に改質できる。
特開2003−119342号公報 特開2005−154497号公報 特開平8−208780号公報 特開2006−45550号公報 特開平5−17538号公報 特開2005−248157号公報 WO99/05228号公報 特開平10−36754号公報
前記の状況において、本発明者らは、星形ポリマーの特定の部位にフッ素原子を導入することで、フッ素原子に由来するユニークな性質を有する星形ポリマーが得られると考えるに至った。
しかし、フッ素原子を有する星形ポリマーであっても、前記特許文献3に記載の星形ポリマーはアニオン重合法で合成されるので、分子の構造を高度に制御することができず、高機能材料としては適していないと考えられる。また、刺激応答性を有することは示されていない。
また、前記特許文献4に記載の星形ポリマーは枝(アーム)の数が、用いるコアによって限定されるので、多様な星形ポリマーを得ることが困難であり、特に枝の数が多い星形を得ることが困難である。また刺激応答性を有することは示されていない。
すなわち、本発明は、刺激応答性を有する新規の星形ポリマー、特に枝部の末端にフッ素原子を有する星形ポリマーを提供することを目的とする。
一方、水性塗料用の汚染防止に関して、前記特許文献5および前記特許文献6にそれぞれ記載のフッ素樹脂系エマルションは水の存在下でも安定に製造でき、該エマルジョンを含む組成物は撥水性を有する膜を形成できるが、撥水性膜であるがゆえに疎水性の汚れが膜表面に付着しやすい傾向にあった。
また、特許文献7に記載の方法は降雨水等により付着した汚れ成分を洗い流す自浄作用を発揮することができる利点を有するものであるが、塗膜表面を親水化するまでに時間がかかり、親水化発現までに汚れが付着する問題を有している。また、本質的にフッ素系塗料との相溶性がよくない。
また、特許文献8に記載の被覆組成物は、耐雨垂れ汚染性に優れた塗膜を形成できるものであるが、該共重合体は水及び水系塗料中の樹脂に対して相溶し難いという問題点を有している。
本発明は以下の[1]〜[9]に記載の星形ポリマー、その製造方法、およびそれを用いた塗料用組成物等を提供する。
[1]
核部と、当該核部に連結している3本以上の枝部とを有する星形ポリマーであって、
前記核部は、ジアルケニル化合物の架橋ポリマーからなり、
前記枝部の一部または全部は、式(I
−(CH(−X−R)−CH(−R))p−R (I
[式中、
は、フッ素化されていない1価の有機基を有し、
は、水素原子またはアルキル基を表し、
は、フッ素化されている1価の有機基を表し、
Xは、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表し、
pは、1以上の整数を表す。]
で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であり、
前記枝部の残りは、式(I):
−(CH(−X−R)−CH(−R))p−R (I
[式中、
は、フッ素化されていない1価の有機基を表し、
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であることを特徴とする星形ポリマー。
[2]
前記ジアルケニル化合物は、式(II)
CHR=CH−Xc1−R−Xc2−CH=CHR (II)
[式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、
は、2価の有機基を表し、Xc1およびXc2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表す。]
で表される化合物であることを特徴とする前記[1]または前記[2]に記載の星形ポリマー。
[3]
前記式(I)が、式(If’):
−(CH(−X−R)−CH(−R))p−CHR−X−(Y−X−(CH−Rf’ (If’
[式中、
は、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、または置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基を表し、
は、アルキル基を表し、
およびXは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表し、
Yは、炭素数1〜3のアルキレン鎖を表し、
f’は、(a)炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、または(b)−CO−、−CO−および−CFO−から選択される1種以上の繰り返し単位を有する、炭素数2〜50のパーフルオロエーテル基を表し、
mは、0〜10の整数を表し、
nは、1〜18の整数を表し、
その他の記号は前記と同意義を表す。]
であることを特徴とする前記[1]に記載の星形ポリマー。
[4]
前記枝部の全部が、前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であることを特徴とする前記[1]〜前記[3]のいずれか1項に記載の星形ポリマー。
[5]
前記枝部の一部が、前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であることを特徴とする前記[1]〜前記[3]のいずれか1項に記載の星形ポリマー。
[6]
前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基である枝部の比率が全枝部に対して50モル%以下であることを特徴とする前記[5]に記載の星形ポリマー。
[7]
重量平均分子量が1万〜500万であり、分子量分布が1〜2である、前記[1]〜前記[6]のいずれか1項に記載のアルケニルエーテル星型ポリマー。
[8]
工程1:
式(III)
CH(−X−R)=CH(−R) (III)
[式中、各記号は、前記[1]の記載と同意義を表す。]
で表されるビニル化合物を、
ルイス酸および式(IVf)
−CO−O−R (IV
[式中、
は、脂肪族炭化水素基、フェニル、パーフルオロアルキル基、またはパーフルオロエーテル基を表し、
その他の記号は前記[1]の記載と同意義を表す。]
で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる工程、
所望による工程1’:
式(III)
CH(−X−R)=CH(−R) (III)
[式中、各記号は、前記[1]の記載と同意義を表す。]
で表されるビニル化合物を、
ルイス酸および式(IV
−CO−O−R (IV
[式中、Rは、前記と同意義を表し、Rは、前記[1]の記載と同意義を表す。]
で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる工程、
工程2:
工程1および所望による工程1’で得られる反応混合物に、ジアルケニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる工程および
工程3:
工程2で得られる反応混合物に、重合停止剤を添加し、リビングカチオン重合を停止させる工程
を含む
ことを特徴とする前記[1]に記載の星形ポリマーの製造方法。
[9]
工程1:
式(III)
CH(−X−R)=CH(−R) (III)
[式中の記号は、前記[1]の記載と同意義を表す。]
で表されるビニル化合物を、
ルイス酸および
式(IV
−CO−O−R (IV
[式中、Rは、前記[1]の記載と同意義を表し、Rは、前記[8]の記載と同意義を表す。]
で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる工程および
工程2:工程1で得られる反応混合物に、ジアルケニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる工程、
工程3:工程2で得られる反応混合物に、
CH(−X−R)=CH(−R) (III)
[式中の記号は、前記[1]の記載と同意義を表す。]
で表されるビニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる工程および、
工程4:工程3で得られる反応混合物に、式
(a)R−OH
[式中、Rはフッ素化されている1価の有機基を表す。]
で表される化合物、または
(b)R−OH
[式中、Rはフッ素化されている1価の有機基を表す。]
で表される化合物および
−OH
[式中の記号は、前記[1]の記載と同意義を表す。]
で表される化合物の組み合わせを添加し、リビングカチオン重合を停止させる工程
を含むことを特徴とする前記[6]に記載の星形ポリマーの製造方法。
[10]
前記[1]〜前記[7]のいずれか1項に記載の星形ポリマーからなる汚染付着防止剤。
[11]
(A)前記[10]記載の汚染付着防止剤および
(B)塗料用樹脂
を含有する塗料用組成物
[12]
前記塗料用樹脂が、官能基含有フッ素樹脂、官能基非含有フッ素樹脂、非フッ素アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂および無機系素材から選択される1種以上の樹脂である前記[11]記載の塗料用組成物。
[13]
有機溶剤を含む有機溶剤型塗料に調製されてなる前記[11]〜前記[13]のいずれかに記載の塗料用組成物。
[14]
水性媒体に分散された水性分散型塗料に調製されてなる前記[11]〜前記[13]のいずれかに記載の塗料用組成物。
本発明の星形ポリマーは特徴的な刺激応答性を有する。
また、本発明の星形ポリマーは塗料用の汚染付着防止剤として有用であり、それを含有する塗料用組成物は汚染防止性に優れる。
本発明の一態様の星形ポリマーとその開始種のNMRチャートである。 本発明の一態様の星形ポリマーとその枝ポリマーのGPCチャートである。 本発明の一態様の星形ポリマーの温度応答性測定を示すグラフである。 接触角測定時の写真である。(実施例10) 接触角測定時の写真である。(比較例1)
以下に本発明を詳細に説明する。
<星形ポリマー>
本発明の星形ポリマーは、核部(中心核)と、当該核部に連結している3本以上の枝部とを有する。
1.核部
前記核部は、ジアルケニル化合物の架橋ポリマーからなる。「ジアルケニル化合物の架橋ポリマー」とは、ジアルケニル化合物から形成される架橋ポリマーを意味する。
当該ジアルケニル化合物としては、式(II)
CHR=CH−Xc1−R−Xc2−CH=CHR (II)
[式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、
は、2価の有機基を表し、Xc1およびXc2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表す。]
が好ましい。
で表される「2価の有機基」としては、例えば、
炭素数1以上(好ましくは、4〜8)のアルキレン鎖および
−(CHp1−R4’−(CHp2
(式中、
p1およびp2は、それぞれ独立して、1以上(好ましくは、1〜10)の整数を表し、
4’は、−O−、−O−フェニレン−O−、−O−フェニレン−C(CH−フェニレン−O−または炭素数3以上のシクロアルキレン(好ましくは、シクロヘキシレン(例、1,4−シクロヘキシレン))を表す。)
が挙げられる。p1およびp2は同一であることが好ましい。
c1およびXc2は、それぞれ独立して、好ましくは、単結合、または−O−である。なかでもより好ましくは、単結合、または−O−であり、特に好ましくは−O−である。Xc1とXc2とは、同一であってよく、異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
また、当該ジアルケニル化合物としては、
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ビスフェノールAビス(ビニルオキシエチレン)エーテル、ビス(ビニルオキシエチレン)エーテル、ヒドロキノンビス(ビニルオキシエチレン)エーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、
Figure 2011052079
なども挙げられる。
2.枝部
前記枝部の数は、3本以上、好ましくは10本以上、より好ましくは20本以上である。この数は、本発明の星形ポリマーに所望する性質によって、適宜選択することができるが、その上限は通常、1,000本程度である。
枝の数を少なくすると、星型ポリマーとしての特徴が低下するが、合成プロセス上、有利となる傾向があり、枝の数を多くすると、星型ポリマーとしての特徴が向上するが、合成上、困難となる傾向がある。
前記枝部の一部または全部は、式(I
−(CH(−X−R)−CH(−R))p−R (I
[式中、
は、フッ素化されていない1価の有機基を有し、
は、水素原子またはアルキル基を表し、
は、フッ素化されている1価の有機基を表し、
Xは、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表し、
pは、1以上の整数を表す。]
で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基である。
本明細書中、「フッ素化されている」とは、化合物またはその部分の水素原子の一部または全部がフッ素原子に置換されていることを意味する。
前記枝部の残りは、式(I
−(CH(−X−R)−CH(−R))−R (I
[式中、
は、フッ素化されていない1価の有機基を表し、
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基である。
式(I)および式(I)におけるR、R、およびXは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、式(I)および式(I)におけるpは、互いに同一であってもよく、異なっていてもよいが、好ましくは、近い数である。
また、各枝部における、R、R、R、RおよびXは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよいが、好ましくは、同一である。また、各枝部におけるpは、同一であってもよく、異なっていてもよいが、好ましくは、近い数である。
また、pの繰り返しにおける、R、RおよびXは、それぞれ互いに同一であってもよく、異なっていてもよいが、好ましくは、同一である。
Xは、好ましくは−O−である。
で表される「フッ素化されていない1価の有機基」としては、置換されていてもよい炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基(当該アルキル基の炭素−炭素結合には、アミド、イミド、ウレタンおよび尿素結合から選択される1種以上が挿入されていてもよい)、
炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基が、−O−を介して2〜30個連結した炭素数4〜50の基(例、−CO−、−CO−および−CHO−から選択される1種以上の繰り返し単位(好ましくは−CO−)を有する、炭素数4〜50のポリエーテル基)、
置換されていてもよい炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜10)のアルコキシアルキル基、
置換されていてもよい炭素数3〜20(好ましくは炭素数3〜10)のアルコキシアルコキシアルキル基、
炭素数1〜20のシリロキシアルキル基、
炭素数3〜10のシクロアルキル基、
炭素数6〜10のアリール基、
置換されていてもよい炭素数7〜20のアルキルアリール基、
炭素数7〜20のアリールアルキル基、
炭素数7〜20のアリールオキシアルキル基、
炭素数8〜20のアリールオキシカルボニルアルキル基、
(メタ)アクリルカルボニルオキシエチル基、
スチリルカルボニルオキシエチル基および
ソルビンカルボニルオキシエチル基が挙げられる。
これらの置換されていてもよい基の置換基としては、例えば、炭素数3〜10のシクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基およびリン酸基から選択される置換基が挙げられる。
の好ましい例としては、例えば、置換されていてもよい炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜10)のアルコキシアルキル基および置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
で表されるアルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。
の特に好ましい例としては水素原子およびメチル基が挙げられる。
で表される「フッ素化されている1価の有機基」としては、例えば、Rで表される「フッ素化されていない1価の有機基」がフッ素化されている基および式(Irf’
−CHR−X−(Y−X−(CH−Rf’ (Irf’
[式中、
は、アルキル基を表し、
およびXは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表し、
Yは、炭素数1〜3のアルキレン鎖を表し、
f’は、(a)炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、または(b)−CO−、−CO−および−CFO−から選択される1種以上の繰り返し単位を有する、炭素数2〜50のパーフルオロエーテル基を表し、
mは、0〜10の整数を表し、
nは、1〜18の整数を表し、
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される基が挙げられる。
なかでも、Rの好適な例としては、前記式(Irf’)で表される基が挙げられる。
前記式(Irf’)において、Rで表されるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基が挙げられ、なかでも、例えば、メチル基が好ましい。
また、Xとしては、例えば、−O−が好ましい。
また、Xとしては、例えば、−O−が好ましい。
また、mは、例えば、0〜6の整数が好ましい。
また、nは、例えば、1〜6の整数が好ましい。
で表される「フッ素化されていない1価の有機基」としては、例えば、Rで表される「フッ素化されていない1価の有機基」について例示したものと同様のものが挙げられる。
の特に好ましい例としては、例えば、
炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基(当該アルキル基の炭素−炭素結合には、アミド、イミド、ウレタンおよび尿素結合から選択される1種以上が1個以上(好ましくは1〜3個)挿入されていてもよい)および
炭素数2〜20(好ましくは炭素数2〜10)のアルコキシアルキル基
が挙げられる。
当業者に明らかなように、pの上限は、前記枝部の重量平均分子量に対応して決定される。
前記枝部の数平均分子量は、好ましくは1,000〜1,000,000、より好ましくは2000〜500,000)である。
星型ポリマーの優れた刺激応答性の観点から好ましくは、前記枝部の全部が、前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000(好ましくは、2000〜500,000)の数平均分子量を有する1価の有機基である。
他材との相溶性の観点から好ましくは、前記枝部の一部が、前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000(好ましくは、2000〜500,000)の数平均分子量を有する1価の有機基である。
合成、製造の容易さの観点から好ましくは、前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000(好ましくは、2000〜500,000)の数平均分子量を有する1価の有機基である枝部の比率が、全枝部に対して50モル%以下である。
本発明の星形ポリマーは、重量平均分子量が、好ましくは1万〜1000万である。これにより、星型ポリマーとしての形状が維持されるという効果が得られる。
本発明の星形ポリマーは、分子量分布が、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5であり、さらに好ましくは1〜1.3、特に好ましくは1〜1.2である。これにより、刺激応答性が顕著に発現するという効果が得られる。
なお、本明細書中、分子量分布とは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnを意味する。平均分子量および分子量分布は、以下のGPC(ゲル濾過クロマトグラフィー)測定に基づいて求められる。
(GPC測定)
以下のカラムを順に直列配管したものを使用して測定する。
TOSOH TSKguardcolumn HXL−L(6.0mmI.D.×4cm)
TOSOH TSKgel G4000HXL(7.8mmI.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G3000HXL(7.8mmI.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G2000HXL(7.8mmI.D.×30cm)
溶出液:クロロホルム
標準ポリスチレンで分子量を校正する。
本発明の星形ポリマーは、粒径が、好ましくは、5〜500nm、より好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは10〜50nmである。これにより、可視光を散乱しないで透明になるという効果が得られる。
なお、本明細書中、粒径は、動的光散乱(DLS)により解析された数値を意味する。DLSは、例えば、大塚電子(株)から入手可能な装置によって測定することができる。
<製造方法>
以下に、本発明の星形ポリマーの製造方法を説明する。
下記の製造方法における原料化合物は、市販品にて入手するか、公知の方法に準じて合成することができる。
本発明の星形ポリマーは、以下に説明する製造方法およびそれらに準じる方法によって製造することができる。
本発明の星形ポリマーは、リビングカチオン重合によって製造される。
リビングカチオン重合において、下記のルイス酸と開始種は、重合開始剤として機能する。
(1)製造方法1
本発明の星形ポリマーの製造方法1は以下の工程1、所望による工程1’、工程2および工程3を有する。
所望による工程1’は、枝部の一部がフッ素化されていない星形ポリマーを製造する場合に実施され、枝部の全部がフッ素化されている星形ポリマーを製造する場合には、実施されない。
工程1では、式(III)
CH(−X−R)=CH(−R) (III)
[式中、
各記号は、前記と同意義を表す。]
で表されるビニル化合物を、
ルイス酸および式(IV
−CO−O−R (IV
[式中、
は、脂肪族炭化水素基、フェニル、パーフルオロアルキル基、またはパーフルオロエーテル基を表し、
その他の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる。
ビニル化合物は、慣用の保護基で保護されていてもよい。例えば、ビニル化合物が水酸基を有する場合、当該水酸基は、tert−ブチルジメチルシリル基等の保護基で保護されていてもよい。このような保護基は、得られた星形ポリマーから、慣用の方法により、除去することができる。
前記ルイス酸としては、例えば、下記の式(VI)で表される化合物および下記の式(VII)で表される化合物が挙げられる。
AlX (VI)
(式中、X、XおよびXは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリロキシ基を表す。)
で表されるアルミニウム化合物。
、XおよびXで表される「ハロゲン原子」としては、例えば、塩素、臭素およびヨウ素などが挙げられる。
、XおよびXで表される「アルキル基」としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基が挙げられる。
、XおよびXで表される「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
、XおよびXで表される「アルコキシ基」としては、例えば、炭素原子数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。
、XおよびXで表される「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基が挙げられる。
式(VI)で表されるアルミニウム化合物として具体的には、例えば、
ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムフルオライド、ジエチルアルミニウムアイオダイド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムブロマイド、ジイソプロピルアルミニウムフルオライド、ジイソプロピルアルミニウムアイオダイド、ジメチルアルミニウムセスキクロライド、メチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジフルオライド、エチルアルミニウムジアイオダイド、イソブチルアルミニウムジクロライド、オクチルアルミニウムジクロライド、エトキシアルミニウムジクロライド、ビニルアルミニウムジクロライド、フェニルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、アルミニウムトリクロライド、アルミニウムトリブロマイド、エチルアルミニウムエトキシクロライド、ブチルアルミニウムブトキシクロライド、エチルアルミニウムエトキシブロマイドなどの有機ハロゲン化アルミニウム化合物および
ジエトキシエチルアルミニウムなどのジアルコキシアルキルアルミニウム、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウム、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウムなどのビス(アルキル置換アリロキシ)アルキルアルミニウムなどが挙げられる。これらのアルミニウム化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
MYaYYcY (VII)
(式中、Mは4価のTiまたはSnを表し、Y、Y、YおよびYは、それぞれハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアリロキシ基を示す。)
でそれぞれ表される。四価チタニウムまたは四価スズ化合物。
、Y、YおよびYでそれぞれ表される、「ハロゲン原子」、「アルキル基」、「アリール基」および「アルコキシ基」としては、それぞれX、XおよびXについて例示したものと同様のものが挙げられる。
式(VII)で表される四価チタニウム化合物として具体的には、例えば、
四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン等のハロゲン化チタン、
チタントリエトキシクロライド、チタントリn−ブトキシドクロライド等のハロゲン化チタンアルコキシド、
チタンテトラエトキシド、チタンn−ブトキシドなどのチタンアルコキシドなどが挙げられる。
式(VII)で表される四価スズ化合物として具体的には、例えば、
四塩化スズ、四臭化スズ、四ヨウ化スズ等のハロゲン化スズ等を挙げることができる。
これらの四価チタン化合物および四価スズ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(IV)で表される化合物は、好ましくは、
−CO−O−CHR−X−(Y−X−(CH−Rf’ (IVf’
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物である。
以下に、式(IVf’)中の記号を説明する。
で表される「脂肪族炭化水素基」としては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基および炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
で表される「パーフルオロアルキル基」としては、例えば、炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基が挙げられる。
で表される「パーフルオロエーテル基」としては、例えば、−CO−、−CO−および−CFO−から選択される1種以上の繰り返し単位を有する、炭素数2〜50のパーフルオロエーテル基が挙げられる。
当該リビングカチオン重合において、生長種を安定化させる目的で、好ましくは、含酸素または含窒素化合物が用いられる。ここで、生長種とは、活性種(カチオン)を有するポリマーであるリビングポリマーの末端に存在する、その活性種(すなわち、カチオン)を意味する。
当該含酸素または含窒素化合物としては、例えば、エステル、エーテル、酸無水物、ケトン、イミド、リン酸化合物、ピリジン誘導体およびアミンが挙げられる。具体的には、エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、クロロ酢酸メチル、ジクロロ酢酸メチル、酪酸エチル、ステアリン酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチルなどが挙げられる。
当該エーテルとしては、例えば、
ジエチルエーテル、エチレングリコールなどの鎖状エーテル、
ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテルが挙げられる。
前記酸無水物としては、無水酢酸などが挙げられる。
前記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
前記イミドとしては、エチルフタルイミドなどが挙げられる。
前記リン酸化合物としては、トリエチルホスフェートなどが挙げられる。
前記ピリジン誘導体としては、2,6−ジメチルピリジンなどが挙げられる。
前記アミンとしては、トリブチルアミンなどが挙げられる。
これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ルイス酸の使用量は、式(III)で表されるビニル化合物/ルイス酸(モル比)=2〜1000が好ましく、10〜1000がより好ましい。
前記含酸素または含窒素化合物の使用量は、含酸素または含窒素化合物/ルイス酸(モル比)=0.1〜2000が好ましく、1〜2000がより好ましい。
式(IV)で表される化合物(開始種)の濃度は、0.1〜1000mMが好ましく、1〜100mMがより好ましい。
当該反応は、バルクで行ってもよいが、好ましくは、溶媒を使用する。
溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、四塩化炭素、塩化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテルなどが挙げられる。特に無極性溶媒が好ましい。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒の使用量は、通常、溶媒:ビニル化合物(容量比)=1:1〜100:1であり、好ましくは5:1〜30:1である。
反応温度は、通常−80℃〜150℃、好ましくは−78〜80℃である。
反応時間は、通常1分〜1ヶ月間、好ましくは1分〜100時間である。
所望による工程1’では、式(III)
CH(−X−R)=CH(−R) (III)
[式中、
各記号は、前記の記載と同意義を表す。]
で表されるビニル化合物を、
ルイス酸および式(IV
−CO−O−R (IV
[式中の記号は、前記と同意義を表す。]
で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる。
工程1’は、式(IV)で表される化合物にかえて式(IV)で表される化合物を用いること以外は、工程1と同様に実施すればよい。
工程1および所望による工程1’において、製造されるリビングポリマーは、それぞれ、重量平均分子量が、好ましくは500〜1,000,000の範囲内であり、より好ましくは1,000〜500,000の範囲内である。また、分子量分布は、それぞれ、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5、さらに好ましくは1〜1.2である。
次いで、リビング重合反応を停止することなく、工程2を実施する。
工程2は、工程1および所望による工程1’で得られる反応混合物に、ジアルケニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる工程である。
工程1’を実施した場合、工程1で得られる反応混合物と工程1’で得られる反応混合物の混合物に、ジアルケニル化合物を添加する。
この工程1で得られるリビングポリマーと工程1’で得られるリビングポリマーのとモル比を調節することで、フッ素化されていない枝部の、全枝部に対するモル比を任意に調節することができる。
当該ジアルケニル化合物としては、前記で例示したものが挙げられる。
ジアルケニル化合物は、リビングポリマーの生長種1当量に対して、好ましくは1〜100当量、より好ましくは3〜20当量を添加する。ジアルケニル化合物は、好ましくは、前記アルケニルエーテル重合体の重合度が、10〜10,000であるときに添加される。
反応温度は、通常−80℃〜150℃、好ましくは−78〜80℃である。
反応時間は、通常、1分〜1ヶ月、好ましくは1分〜100時間である。
リビングポリマーにジアルケニル化合物を添加すると、まず、側鎖にアルケニル基を有するポリマーが得られ、続いて、これらの分子間架橋反応が起こり、高分子量の星型ポリマーが生成する。これは、GPC−MALLSの測定により、観察することができる。
工程3では、工程2で得られる反応混合物に、重合停止剤を添加し、活性種を消失させて、リビングカチオン重合を停止させる。
重合停止剤としては、例えば、アルコールまたはカルボン酸を用いることができるが、好ましくはアルコールが用いられる。
当該アルコールとしては、式:R−OH
[式中、
は、炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
で表される化合物が挙げられる。
当該カルボン酸としては、式:R−COOH
[式中、
は、炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
で表される化合物が挙げられる。
重合停止剤の使用量は、通常、過剰量(2当量以上)であれば良く、好ましくは10当量以上である。
当該製造方法による星形ポリマーの収率(鎖状ポリマーの星型ポリマーへの転換率)は、通常、90〜100%である。
当該製造方法によれば、重量平均分子量が、好ましくは1万〜500万の星形ポリマーが得られる。
当該製造方法によれば、分子量分布が、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5であり、さらに好ましくは1〜1.3、特に好ましくは1〜1.2の星形ポリマーが得られる。
(2)製造方法2
本発明の星形ポリマーの製造方法2は以下の工程1〜工程4を有する。
工程1では、式(III)
CH(−X−R)=CH(−R) (III)
[式中の記号は、前記の記載と同意義を表す。]
で表されるビニル化合物を、
ルイス酸および
式(IV
−CO−O−R (IV
[式中、
およびRは、前記と同意義を表す。]
で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる。
当該工程1は、前記製造方法1の工程1’と同様の方法で実施すればよい。
工程2では、工程1で得られる反応混合物に、ジアルケニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる。
当該工程2は、前記製造方法1の工程2と同様の方法で実施すればよい。
工程3では、工程2で得られる反応混合物に、
CH(−X−R)=CH(−R) (III)
[式中の記号は、前記と同意義を表す。]
で表されるビニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる。
当該式(III)で表されるビニル化合物は、前記工程1における式(III)で表されるビニル化合物と同一であってもよく、異なっていてもよい。
反応温度は、通常−80℃〜150℃、好ましくは−78〜80℃である。
反応時間は、通常、1分〜1ヶ月、好ましくは1分〜100時間である。
工程4では、工程3で得られる反応混合物に、
(a)Rsf−OH
[式中、Rsfはフッ素化されている1価の有機基を表す。]
で表される化合物、または
(b)Rsf−OH
[式中、Rsfはフッ素化されている1価の有機基を表す。]
で表される化合物および
−OH
[式中の記号は、前記と同意義を表す。]
で表される化合物の組み合わせを添加し、リビングカチオン重合を停止させる。
当該工程4は、前記製造方法1の工程3と同様の方法で実施すればよい。
ここで、(b)のRsf−OHとR−OHとのモル比を調製することで、得られる星形ポリマーの、フッ素化されていない枝部の、全枝部に対するモル比を任意に調節することができる。
ただし、製造方法2で得られる星形ポリマーにおける当該モル比は、最大50%である。
当該製造方法による星形ポリマーの収率(鎖状ポリマーの星型ポリマーへの転換率)は、通常、90〜100%である。
当該製造方法によれば、重量平均分子量が、好ましくは1万〜500万の星形ポリマーが得られる。
当該製造方法によれば、分子量分布が、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5であり、さらに好ましくは1〜1.3、特に好ましくは1〜1.2の星形ポリマーが得られる。
このようにして得られた星形ポリマーは、必要に応じて、減圧留去等の慣用の方法を用いて精製することができる。
<使用の態様>
本発明の星形ポリマーは、温度変化などの外的環境の微小変化(外部刺激)に対して敏感に応答し、物性等が著しく変化する刺激応答性を有する。特に、本発明の星形ポリマーは、温度感応特性に関し、従来知られている星形ポリマーと比較して転移温度がシフトしており、かつヒステリシスを示すという特徴を有する。このことから、本発明の星形ポリマーは、新しい高機能材料として使用することができる。
具体的用途として、例えば、本発明の星形ポリマーは、塗料用の分散助剤、レオロジー制御剤、定着剤(これは、基板密着性を向上させる)、または汚染付着防止剤(当該用途の詳細は後述する)等として用いることができる。ここで、本発明の星形ポリマーは、その枝部末端のフッ素の含有量に応じて、溶剤への適当な分散性、適当な塗料粘度、および基板への適当な密着性等を有することができる。
また、本発明の星形ポリマーは、高機能性表面処理剤(例、テキスタイル用撥水撥油剤、カーペット用撥剤、紙用撥剤および離型剤等)として用いることができる。ここで、本発明の星形ポリマーは、枝部末端に導入したフッ素の効果に起因して被覆物の表面に効率よく配向することによって、撥水性、撥油性、または防汚性を効果的に発現しうる。したがって、本発明の星形ポリマーは、環境応答性を有する優れた撥水撥油剤等として用いることができる。
また、本発明の星形ポリマーは、樹脂添加剤(例、相溶化剤、内添型撥剤、内添型防汚剤、離型剤、難燃化剤、ドリップ防止剤、耐衝撃改良剤、剛性改良剤および強化剤等)として用いることができる。ここで、本発明の星形ポリマーは、枝部末端のフッ素の含有量の調節によって、例えば、枝部末端のフッ素の疎水的作用と枝部の親水的作用に基づく樹脂との相溶性をコントロールし、添加対象となる樹脂に対して適当な相溶性を有することができる。なお、本発明の星形ポリマー、波長レベル以下の粒径を有することができ、このような星形ポリマーは、特に透明樹脂の添加剤として好適である。
また、本発明の星形ポリマーは、上述のように、優れた温度感応特性を示し、温度を調節することにより、薬物の放出を制御することが可能であるので、DDS(ドラッグデリバリーシステム)の担体等として用いることができる。
また、本発明の星形ポリマーは、枝部末端に導入したフッ素同士が疎水性相互作用によって分子間および分子内にて自己組織化することで、大きな集合体(高次構造)を形成する。この自己組織化によって得られた集合体の場を様々な用途(例、酵素などの触媒の固定化担体等)として用いることができる。
また、特に、本発明の星形ポリマーの粒径が数十nm程度である場合、透明性に非常に優れるので、各種光学部材の材料または添加剤(例、屈折率調整剤、防汚剤、発光素子材料、レンズ用材料、光デバイス用材料、表示用材料、光学記録材料、光信号伝送用材料(光伝送媒体)、封止部材用材料)として用いることができる。
また、本発明の星形ポリマーは、フッ素が枝部末端に存在することによる優れた分子配向性により、フッ素に由来するすべり性、撥水撥油性、防汚性を発現することができるので、化粧品(洗顔料、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、スキンケア製品、ファンデーション、口紅、ポイントメーク製品、ボディシャンプー、液体石けん、サンスクリーン化粧品等のサンケア製品、ハンドケア製品、防臭化粧品、浴剤等の皮膚化粧料;シャンプー、リンス、コンディショナー、トリートメント、ヘアリキッド、ヘアスプレー、ヘアマニキュア、セットフォーム、ヘアゲル等の毛髪化粧料)の性質改変剤として使用することができる。
また、本発明の星形ポリマーは、枝部末端のフッ素の疎水的相互作用を利用したゲル化剤、優れた温度感応特性を利用したセンサー(例、温度センサー、湿度センサー)、メカノケミカル材料および接着剤等における使用が可能である。
以下に、本発明の星形ポリマーを汚染防止剤として塗料用組成物に添加して使用する場合について詳細に説明する。
特に、水性塗料用の汚染防止剤として使用する場合には、本発明の星形ポリマーのなかでも、星形ポリマーの枝の部分に相当する式(I)におけるRが、炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜6)のアルキル基が、−O−を介して2〜30個連結した炭素数4〜50の基(例、−CO−、−CO−および−CHO−から選択される1種以上の繰り返し単位(好ましくは−CO−)を有する、炭素数4〜50のポリエーテル基)であるポリマーが好ましい。このような親水基を有する星形ポリマーは、水中に極めて安定に分散し、親水性の汚染付着防止剤として極めて有効である。
ここで、水性塗料としては、特にフッ素樹脂系エマルション系の水性塗料が好ましい。
以下に、本発明者らが推測する、そのメカニズムを説明するが、これは本発明を限定するものではない。
当該汚染防止作用は、本発明の星形ポリマーの、枝末端にフッ素を有するという極めて特徴的な構造に由来するものと思われる。
すなわち、枝末端のフッ素が、フッ素樹脂系エマルションからなるフッ素樹脂系塗料に対して相溶性を示すとともに、親水性の枝をもった星型ポリマーが塗膜表面に配向していくのに何らかの寄与を与えているものと思われる。枝末端のフッ素の効果で、表面に配向した星形ポリマーは枝部の親水性作用で塗膜表面を親水化し、塗膜の汚染防止機能を果たすものと考えられる。
ここで、フッ素樹脂系エマルションとしては、フルオロオレフインを重合して得られる含フッ素重合体またはフルオロオレフィンとの共重合が可能な単量体とフルオロオレフィンとを共重合して得られる含フッ素重合体、または含フッ素重合体の粒子の存在下に反応性α,β−不飽和基を有する単量体をシード重合して得られる含フッ素シード重合体のエマルションが好ましく挙げられる。
前記フルオロオレフィンとしては、例えばフッ化ビニル、ビニリデンフルオライド(VdF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレンなどの炭素数2〜4程度のフルオロオレフィンが好ましく採用されるが、重合性の点から、VdF、TFE、CTFE、HFPが好ましい。
前記フルオロオレフィンとの共重合が可能な単量体としては、例えばシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ブテルビニルエーテル、メチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル(POEAE)、エチルアリルエーテルなどのアルケニルビニルエーテル、ビニルトリメトキシシラン(VSi)、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シランなどの反応性α,β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エステル、メタアクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどのメタアクリル酸エステル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、「ベオバ」(シェル社製のビニルエステル)などのビニルエステルなどが挙げられるが、共重合性、成膜性、耐候性などの点からアルキルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ビニルエステル、反応性α,β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物が好ましく、CHVE、EVE、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニル、POEAE、VSiがさらに好ましい。
前記含フッ素シード重合体とは、前記含フッ素重合体の粒子の存在下に反応性α,β−不飽和基を有する単量体を重合して得られるものである。
反応性α,β−不飽和基を有する単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル(BA)、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸ブチル、ポリオキシエチレンメタアクリレート(POEMA)などのメタクリル酸エステル、γ−メタクリロイルオキシプロピル−トリメトキシシラン(SiMA)、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどの反応性α,β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、「ベオバ」(シェル社製のビニルエステル)などのビニルエステル、スチレン、P−tert−ブチル−スチレンなどの芳香族ビニル化合物などが挙げられるが、成膜性、耐候性などの点からアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、反応性α,β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物、ビニルエステルが好ましく、BA、MMA、POEMA、SiMAがさらに好ましい。
なお、前記重合または共重合時に、反応性α,β−不飽和基を有する有機ケイ素化合物を過剰量用いることによっても、重合または共重合後に該有機ケイ素化合物を配合するのと同等の効果が得られる。
<塗料用樹脂組成物>
本発明の塗料用樹脂組成物は、
(A)本発明の星形ポリマーおよび
(B)塗料用樹脂
を含有する。
本発明の塗料用樹脂組成物における前記「星形ポリマー」の濃度は、その固形成分全体の重量に対して、通常、0.01〜50%(重量%、以下同様)であり、好ましくは0.1〜20%である。該濃度が0.01%未満では汚染防止効果が不十分になる傾向があり、50%を超えると耐候性が低下し、製膜性も悪化する傾向がある。
本発明の塗料用樹脂組成物に用いられる前記「塗料用樹脂」は、特に限定されないが、例えば、官能基含有フッ素樹脂、官能基非含有フッ素樹脂、非フッ素アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂および無機系素材等が挙げられる。当該塗料用樹脂は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
官能基含有フッ素樹脂には、次のような形態が含まれる。
(I)フルオロオレフィンと官能基含有非フッ素系単量体との共重合体(以下、共重合体(I)と称する場合がある。)、
(II)官能基含有フルオロオレフィンと官能基非含有フルオロオレフィン(すなわち、フルオロオレフィン)との共重合体(以下、共重合体(II)と称する場合がある。)、
(III)2種以上の樹脂をブレンドして調製した官能基含有フッ素樹脂ブレンド物(以下、ブレンド物(II)と称する場合がある。)、
(IV)フッ素樹脂粒子にさらに官能基含有非フッ素系単量体をシード重合した複合化樹脂(シード重合体)(以下、複合化樹脂(シード重合体)(IV)と称する場合がある。)。
本明細書中、フルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニルなどが挙げられる。また、官能基含有フルオロオレフィンとしては例えば次のものが例示できる。
(i)CF=CF(CF
(ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);aは1〜10の整数)
具体例としては、
CF=CFCF−COOH
などが挙げられる。
(ii)CF=CF(CFCF(CF))−Z
(ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);bは1〜5の整数)
具体例としては、
CF=CFCFCF(CF)−COOH、
CF=CF(CFCF(CF))−COONH
などが挙げられる。
(iii)CF=CF−O−(CFRf3−Z
(Rf3はFまたはCF;ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);cは1〜10の整数)
具体例としては、
CF=CF−O−CFCFCFCOOH
などが挙げられる。
(iv)CF=CF−O−(CFCFRf3O)−Z
(Rf3はFまたはCF;ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);dは1〜10の整数)
具体例としては、
CF=CF−O−CFCF(CF)OCFCFCOOH、
CF=CF−O−CFCF(CF)OCFCFSO
などが挙げられる。
(v)CH=CFCF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−Z
(ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);eは0または1〜10の整数)
具体例としては、
Figure 2011052079
などが挙げられる。
(vi)CF=CFCF−O−(CF(CF)CFO)−CF(CF)−Z
(ZはSOMまたはCOOM(MはH、NHまたはアルカリ金属);fは1〜10の整数)
具体例としては、
CF=CFCFO−CF(CF)CFO−CF(CF)COOH、
CF=CFCFO−CF(CF)CFO−CF(CF)SO
などが挙げられる。
前記官能基含有非フッ素系単量体における官能基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、加水分解性アルキルシリケート残基およびカルボキシル基が挙げられる。
前記官能基含有非フッ素系単量体のうち水酸基含有非フッ素系単量体としては、式:CH=CHRb1(式中、Rb1は−ORb2または−CHORb2(ただしRb2は水酸基を有するアルキル基)である)で表わされるヒドロキシアルキルビニルエーテルまたはヒドロキシアリルエーテルが挙げられる。Rb2としては、例えば炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖状のアルキル基に1〜3個、好ましくは1個の水酸基が結合したものである。これらの例としては、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどが挙げられる。そのほか、アリルアルコールなども例示できる。
加水分解性アルキルシリケート残基含有非フッ素系単量体としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどのビニルアルコキシシラン類のほか、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリイソプロペニルオキシシリルエチルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。
カルボキシル基含有非フッ素系単量体としては、後述する式(5)または(6)に示される不飽和基含有有機酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニル、3−アリルオキシプロピオン酸)などのカルボキシル基含有単量体が挙げられる。
その他の官能基含有非フッ素系単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、エポキシビニル、エポキシビニルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有単量体;アクロレイン、ビニルエチルケトン、ジアセトンアクリルアミドなどのカルボニル基含有単量体が例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、官能基を有しない単量体を共単量体として使用してもよい。このような単量体としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのα−オレフィン類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテルなどのビニルエーテル類;ポリオキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテル、アリルエーテルなどのアルケニル類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ベオバ9やベオバ10(いずれもシェル化学社製の飽和カルボン酸ビニル)などのビニルエステル類;マレイン酸ジメチルなどの不飽和カルボン酸ジエステル類;メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物などが使用できる。
前記共重合体(I)のうち、水酸基含有共重合体としては、前記フルオロオレフィンと、前記官能基含有単量体、要すればこれらの単量体と共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。水酸基含有単量体の代表例はヒドロキシブチルビニルエーテルなどであり、カルボキシル基含有単量体の代表例はマレイン酸などである。他の共単量体としては、アルキルビニルエステル類、アルキルビニルエーテル類、さらにはエチレン、プロピレン、イソブテンなどのオレフィン類、(メタ)アクリレート類、スチレンなどが挙げられる。
具体的には、例えば特公昭60−21686号、特開平3−121107号、特開平4−279612号、特開平4−28707号、特開平2−232221号などの各公報に記載されているようなものが挙げられる。該共重合体の数平均分子量(GPCによる)は、1,000〜100,000であり、1,500〜30,000が好ましい。前記分子量が1,000未満であれば硬化性、耐候性が不充分になる傾向があり、100,000を超えると作業性、塗装性に問題が生じる傾向がある。
より具体的には、TFE/アルキルビニルエーテル/HBVE系共重合体、CTFE/アルキルビニルエーテル/HBVE系共重合体、TFE/アルキルビニルエーテル/マレイン酸系共重合体、CTFE/アルキルビニルエーテル/マレイン酸系共重合体などの共重合体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記共重合体の水酸基価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜150(mgKOH/g)であることが好ましい。前記水酸基が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
前記共重合体の酸価としては、0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることがさらに好ましい。前記酸価が少なくなると硬化不良となりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
前記共重合体の市販品としては、例えばダイキン工業(株)製ゼッフル、旭硝子(株)製ルミフロン、セントラル硝子(株)製セフラルコート、大日本インキ化学工業(株)製フルオネート、東亜合成(株)製ザフロンなどが挙げられる。
官能基含有含フッ素共重合体(I)のうち、官能基として加水分解性アルキルシリケート残基を有するフルオロオレフィン樹脂としては、例えば特開平4−4246号公報などに記載されているようなものが挙げられる。該共重合体の数平均分子量(GPCによる)は、1,000〜100,000であり、1,500〜30,000が好ましい。前記分子量が1000未満であれば硬化性、耐候性が不充分になる傾向があり、100,000を超えると作業性、塗装性に問題が生じる傾向がある。
具体的には、TFE/ビニルメトキシシランを含む共重合体、TFE/トリメトキシシリルエチルビニルエーテルを含む共重合体などの共重合体が挙げられる。
前記共重合体の加水分解性アルキルシリケート残基の含有量としては、1〜50モル%、好ましくは5〜40モル%である。前記加水分解性アルキルシリケート残基が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、多くなりすぎると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
共重合体(I)の他の例としては、例えばCTFE/エチルビニルエーテル/2−ヒドロキシブチルビニルエーテル系共重合体、TFE/シクロヘキシルビニルエーテル/ベオバ10/クロトン酸系共重合体などが挙げられる。
共重合体(II)の例としては、例えばTFE/HFP/前記式(i)〜(vi)で示される官能基含有含フッ素単量体系共重合体などが挙げられる。
ブレンド物(III)としては、共重合体(I)または(II)同士のブレンド物、共重合体(I)および/または(II)と官能基含有非フッ素系樹脂とのブレンド物、共重合体(I)および/または(II)と官能基非含有非フッ素系樹脂とのブレンド物、官能基含有非フッ素系樹脂と官能基非含有フッ素樹脂とのブレンド物などが挙げられる。
前記官能基含有非フッ素系樹脂としては上記官能基含有単量体の(共)重合体が例示でき、具体的にはアクリルポリオール、ウレタンポリオールなどが好ましく挙げられる。前記官能基非含有非フッ素系樹脂としては、例えばアクリル樹脂、ポリエステルなどが例示できる。また、前記官能基非含有フッ素樹脂としては、例えばVdF単独重合体、VdF/TFE系共重合体、VdF/HFP系共重合体、VdF/CTFE系共重合体、VdF/TFE/CTFE系共重合体、VdF/TFE/HFP系共重合体などのVdF系重合体;TFE/HFP系共重合体;フルオロオレフィンと官能基を有しない非フッ素系単量体(例えばビニルエーテル類やビニルエステル類、α−オレフィン類、ビニル芳香族化合物)との共重合体などが例示できる。
ブレンドの比率は、官能基の含有量やフッ素含有量などにより適宜選定すればよいが、通常官能基が防汚成分(B)、さらには硬化剤(C)と充分に反応し得る量となるようにブレンドすることが防汚性の持続効果に優れる点から望ましい。
複合化樹脂(シード重合体)(IV)としては、前記官能基含有または非含有のフッ素樹脂の粒子の水性分散液中で、官能基含有非フッ素系単量体をシード重合して製造されたものが好ましく例示できる。具体的には、VdF系共重合体粒子の水性分散体中でアクリル酸やメタクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、官能基含有ビニル化合物などをシード重合して得られる複合化樹脂が好ましい。
以上の官能基含有フッ素樹脂は有機溶剤型塗料または水性分散型塗料の形態において利用できるが、特に複合化樹脂は水性分散型塗料の形態において有用である。
水性分散型塗料として使用する場合、固形分濃度は塗料化するときの安定性に優れる点から約20〜70重量%、好ましくは約30〜60重量%である。平均粒子径は水性分散液の安定性に優れる点から50〜300nm程度、好ましくは約100〜250nmである。pHは通常5〜10の範囲内であることが好ましい。
官能基非含有フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体または共重合体などが挙げられる。フッ化ビニリデンの単独重合体または共重合体としては、例えば、特公昭43−10363号、特開平3−28206号、特開平4−189879号などの各公報に記載に記載されているようなものが挙げられる。
なお、本発明の塗料用組成物における塗料用樹脂として官能基を有しない樹脂のみを用いる場合は、本発明の塗料用組成物には限らずしも硬化剤、または硬化触媒を用いる必要は無い。
前記非フッ素アクリル樹脂としては、つぎに示すアクリルポリオール樹脂またはアクリルシリコン樹脂が好ましい。
前記アクリルポリオール樹脂としては、例えば下記水酸基含有重合性不飽和単量体(a)および必要に応じてその他の重合性不飽和単量体(b)を単量体成分とする重合体であればよい。
単量体(a)としては、下記式(1)〜(4)で表わされる化合物を挙げることができる。
Figure 2011052079
[式中、Ra1は水素原子またはヒドロキシアルキル基を示す。]
Figure 2011052079
[式中、Ra1は前記に同じ。]
Figure 2011052079
[式中、Zは水素原子またはメチル基を示し、r1は2〜8の整数、r2は2〜18の整数、r3は0〜7の整数を示す。]
Figure 2011052079
[式中、Zは前記に同じであり、TおよびTは、同一もしくは異なって、炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示す。r4およびr5はそれぞれ0〜10の整数を示す。ただし、r4とr5の和は、1〜10である。]
式(1)および(2)における、ヒドロキシアルキル基は、アルキル部分の炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基である。具体的には、−COH、−COH、−COHなどを挙げることができる。
式(11)における炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば
Figure 2011052079
などを挙げることができる。
式(1)の単量体成分としては、例えば
CH=CHOH、
CH=CHO(CHOH
などを挙げることができる。
式(2)の単量体成分としては、例えば
Figure 2011052079
などを挙げることができる。
式(3)の単量体成分としては、例えば
Figure 2011052079
などを挙げることができる。
式(4)の単量体成分としては、例えば
Figure 2011052079
などを挙げることができる。
さらに、前記以外にも前記式(1)〜(4)で表される水酸基含有不飽和単量体とε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類との付加物などが使用できる。
その他の重合性不飽和単量体(b)としては、下記(b−1)〜(b−9)のものを挙げることができる。
(b−1)オレフィン系化合物:例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン、クロロプレンなど。
(b−2)ビニルエーテルおよびアリルエーテル:例えばエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、イソヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、4−メチル−1−ペンチルビニルエーテルなどの鎖状アルキルビニルエーテル類、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのシクロアルキルビニルエーテル類、フェニルビニルエーテル、o−,m−,p−トリビニルエーテル類などのアリールビニルエーテル類、ベンジルビニルエーテル、フェネチルビニルエーテルなどのアラルキルビニルエーテル類など。
(b−3)ビニルエステルおよびプロペニルエステル;例えば酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、イソカプロン酸ビニル、ピバリック酸ビニル、カプリン酸ビニルなどのビニルエステル類および酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニルなどのプロペニルエステルなど。
(b−4):アクリル酸またはメタクリル酸のエステル:例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリルなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル;アクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル、メタクリル酸エトキシブチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数2〜18のアルコキシアルキルエステル類など。
(b−5)ビニル芳香族化合物:例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレンなど。
(b−6)その他:アクリロニトリル、メタクリルロニトリルなど。
(b−7)カルボキシル基含有単量体:式(5):
Figure 2011052079
(式中、Ra2、Ra3およびRa4は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、アルキル基、フェニル基、カルボキシル基またはエステル基であり、r6は0または1である)または式(13):
Figure 2011052079
(式中、Ra5およびRa6は同じかまたは異なり、いずれも飽和または不飽和の直鎖または環状アルキル基であり、r7は0または1であり、r8は0または1である)で表されるカルボキシル基含有ビニル単量体が挙げられる。具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸、3−アリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸無水物、フマル酸、フマル酸モノエステル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニルなどが挙げられる。
(b−8)エポキシ基含有単量体:
Figure 2011052079
(b−9)アミノ含有単量体:
Figure 2011052079
前記アクリルポリオール樹脂は、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基を有していてもよいが、水酸基が特に好ましい。
前記アクリルポリオール樹脂の水酸基価としては0〜200(mgKOH/g)であり、0〜100(mgKOH/g)であることが好ましい。前記水酸基価が少なくなると硬化不良になりやすい傾向があり、200(mgKOH/g)を超えると塗膜の可撓性に問題が生じる傾向がある。
前記アクリルポリオール樹脂としては、例えば三菱レーヨン(株)製ダイヤナール、大日本インキ化学工業(株)製アクリディック、日立化成工業(株)製ヒタロイド、三井東圧化学(株)製オレスター、日本触媒(株)製のアクリセット、昭和高分子(株)製のポリゾール、クラリアントポリマー社製のモビニールなどの市販品を用いることができる。
前記アクリルシリコン樹脂としては、例えばつぎにあげるようなアクリルシリコンモノマーを式(1)〜(4)の化合物および/またはその他重合性不飽和単量体(b)と共に重合したものであればよい。
該アクリルシリコンモノマーは、1分子中に、少なくとも1個のシラン基と、ラジカル重合性不飽和基とを有する化合物である。ラジカル重合性不飽和基としては、例えば
CH=C(−Ra9)−CO−O−、
Figure 2011052079
CH=C(−Ra9)−、
CH=CH−O−、
CH=CHCH−O―
[式中、Ra9は水素原子またはメチル基である]
などを挙げることができる。
ラジカル重合性不飽和基が
Figure 2011052079
のシラン基含有重合性不飽和単量体としては、例えば下記式(7)で表わされる化合物を挙げることができる:
Figure 2011052079
[式中、Ra9は前記と同意義であり、Ra10は炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示し、Wは各出現において同一または異なって、水素原子、水酸基、加水分解性基、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示す。ただし、Wの少なくとも1個は加水分解性基である]。
式(7)で表される化合物の具体例としては、例えばγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリシラノール、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルフェニルメチルヒドロキシシランなどが挙げられる。
前記アクリルシリコン樹脂はさらに水酸基、エポキシ基を有してもよい。
前記アクリルシリコン樹脂としては、例えば鐘淵化学工業(株)製ゼムラック、三洋化成工業(株)製クリヤマー、クラリアントポリマー社製のモビニールなどの市販品を用いることができる。
前記ポリエステル樹脂としては、アルキド樹脂、ならびに日立化成(株)製のエスペック、住友バイエルウレタン(株)製のデスモフェン、大日本インキ製造(株)製のベッコゾールなどの市販品が挙げられる。
前記ウレタン樹脂としては、住友バイエルウレタン(株)製のバイボンド、BFグッドリッチ社製のサンキュア、アビシア社製のネオレック、クラリアントポリマー社製のダオタンなどの市販品が挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート、エピレッツなどの市販品が挙げられる。
前記アミノ樹脂としては、メラミン樹脂などが挙げられる。
本発明の塗料用組成物における塗料用樹脂に水酸基および加水分解性アルキルシリケート残基以外の官能基(カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、カルボニル基、ニトリル基)を導入する方法としては、例えばそれらの官能基を含有する単量体を共単量体として共重合すればよい。官能基含有単量体としては、カルボキシル基導入用では(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水コハク酸など;エポキシ基導入用では(メタ)アクリル酸グリシジルなど;アミノ基導入用ではジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドなど;ニトリル基導入用では(メタ)アクリロニトリルなど;カルボニル基導入用ではアクロレイン、ビニルエチルケトンなどが挙げられる。
前記無機系素材としては、フッ素非含有の非加水分解性基含有金属(Si、Ti、Alなど)アルコキシド、フッ素非含有の非加水分解性基含有オルガノポリシロキサン、フッ素非含有の金属(Si、Ti、Alなど)アルコキシドなどが挙げられる。このような無機系素材としては、例えばグンゼ産業(株)発売エコルトン、日本合成ゴム(株)製グラスカ、トウペ(株)製ポーセリン、日本油脂(株)製ベルクリーン、ベルハード、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SH、SRおよびDCシリーズ、信越化学工業(株)製KRシリーズ、味の素(株)製プレンアクト、日本曹達(株)製有機チタネート、川研ファインケミカル(株)製アルミニウムアルコレートおよびアルミニウムキレート化合物、北興化学工業(株)製ジルコニウムアルコキサイド、日本ユニカー(株)製複合変性シリコーンオイルならびにMMCAなどの市販品を用いることができる。
また、前記無機系素材としては、フッ素シリコーン樹脂も挙げられる。当該フッ素シリコーン樹脂としては、例えば特開平4−279612号公報に記載のものなどが挙げられる。
なかでも、本発明で用いられる塗料用樹脂としては、耐候性により優れる点から官能基含有フルオロオレフィン樹脂が好ましい。
本発明の塗料用組成物は、塗料用樹脂(B)(以下、単に樹脂(B)と称する場合がある。)と本発明の星形ポリマー(A)とを本質的に含むものであるが、塗料用樹脂(B)が有する官能基によっては更に硬化剤(C)を含有してもよい。
具体的には、例えば、樹脂(B)が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基および加水分解性アルキルシリケート残基から選択される官能基を有する場合、本発明の塗料用組成物は、硬化剤(C)を含有することが好ましい。
好ましい硬化剤(C)は、前記官能基に応じて適切な硬化剤を使用すればよい。
具体例としては、例えばアミノ化合物、エポキシ化合物、有機酸、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物および/またはSi(ORc1(Rc1は炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、Rc2Si(ORc3(Rc2およびRc3は同じかまたは異なり、炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、これらの単独縮合オリゴマーおよびこれらの共縮合コオリゴマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
硬化剤(C)の配合量は、硬化剤の種類によって適宜選択すればよいが、通常、樹脂(B)と星形ポリマー(A)の合計100重量部に対して0〜200重量部である。好ましい上限は100重量部、さらには80重量部であり、好ましい下限は5重量部、さらには10重量部である。
以下、樹脂(B)の官能基に好適な硬化剤(C)との例をあげるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(1)前記樹脂(B)が有する官能基が水酸基である場合:
硬化剤(C)としてはイソシアネート化合物が好ましい。
イソシアネート化合物にはブロックイソシアネート化合物も含まれ、具体例としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、これらの三量体、これらのアダクト体やビュウレット体、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらにブロック化されたイソシアネート類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、加水分解性アルキルシリケート残基を有するイソシアネート化合物も好ましく使用できる。
加水分解性アルキルシリケート残基としては、樹脂(B)において説明したものが好ましく挙げられる。
加水分解性アルキルシリケート残基を有するイソシアネート化合物の具体例としては、例えばOCNCSi(OCH、OCNCSi(OC、OCNCSi(OCOCH、OCNCSi(CH)(OCHなどが挙げられる。
イソシアネート化合物と樹脂(B)との混合割合はNCO/OH(モル比)で0.5〜5.0が好ましく、さらに0.8〜1.5がより好ましい。また、イソシアネートが湿気硬化タイプの場合は1.1〜1.5が好ましい。
硬化剤(C)としては、イソシアネート化合物に代えて、または加えて、Si(ORc1(Rc1は炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、Rc2Si(ORc3(Rc2およびRc3は同じかまたは異なり、炭素数1〜10の非フッ素アルキル基)、これらの単独縮合オリゴマーおよびこれらの共縮合コオリゴマーよりなる群から選ばれた少なくとも1種を使用することもできる。
これらの4官能または3官能の非フッ素アルキルシリケートとしては、例えば米国特許第5,635,572号明細書などに記載されたものが使用できる。
具体的には、例えばテトラアルコキシシランまたはこの縮合物、アルキルトリアルコキシシランまたはこの縮合物、ポリシルセスキオキサン、コロイダルシリカなどが挙げられる。
テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシランまたはこれらの縮合物などが例示され、市販品としては、三菱化学(株)製のMS51、MS56、MS57など、コルコート社製のエチルシリケート28、エチルシリケート40、エチルシリケート48などが使用できる。
ポリシルセスキオキサンとしては、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリハイドロジェンシルセスキオキサンなどが挙げられる。
コロイダルシリカとしては例えば日産化学(株)製のスノーテックスなどが使用できる。
これらのうち架橋密度が高く強固な被膜が形成できる点から、テトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。
かかるシリケート系硬化剤の配合量は、硬化剤の種類によって適宜選択すればよいが、通常、樹脂(B)と星形ポリマー(A)の合計100重量部に対して0〜100重量部である。好ましい上限は50重量部であり、好ましい下限は10重量部である。
(2)前記樹脂(B)が有する官能基がカルボキシル基である場合:
硬化剤(C)としてはアミノ化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物またはカルボジイミド化合物が好ましい。
アミノ化合物系硬化剤としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アミンアダクト、ポリアミドなどが挙げられる。
市販品としては、三井サイテック(株)製のサイメル、エアプロダクツ社製のアンカミン、エピリンク、ヘンケル社製のバーサミン、バーサミド、富士化成工業(株)製のトーマイド、フジキュアー、第一ゼネラル(株)製のバーサミド、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピキュアー、三和化学(株)製のサンマイド、味の素(株)製のエポメートなどが挙げられる。
エポキシ化合物系硬化剤としては、例えばエポキシ樹脂、エポキシ変性シランカップリング剤などが挙げられ、市販品としてはジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート、エピレック、カードライト社製のカードライト、日本ユニカー(株)製のコートジル1770、A−187などが挙げられる。
アジリジン化合物系硬化剤としては、BF−グッドリッチ社製のXAMA2、XAMA7などが挙げられる。
カルボジイミド化合物系硬化剤としては、日清紡製のカルボジライト、ユニオンカーバイド社製のUCARLNK Crosslinker XL−29SEなどが挙げられる。
(3)前記樹脂(B)が有する官能基がアミノ基である場合:
硬化剤(C)としてはエポキシ化合物または有機酸が好ましい。
エポキシ化合物系硬化剤としては(2)で例示したのもが使用できる。
有機酸系硬化剤としては、例えば無水フタル酸、アジピン酸、コハク酸などの多価カルボン酸、ポリアクリル酸などが挙げられる。
(4)前記樹脂(B)が有する官能基がエポキシ基である場合:
硬化剤(C)としては有機酸またはアミノ化合物が好ましい。
有機酸系硬化剤としては(3)で例示したものが使用できる。
アミノ化合物系硬化剤としては(2)で例示したものが使用できる。
これらのうち、特に好ましい組み合せは、反応性や合成の容易さを考慮して、前記樹脂(B)が有する官能基が水酸基であり、硬化剤(C)がイソシアネート化合物が有利である。
本発明において、硬化剤(C)に代えて、または加えて硬化触媒(D)を使用してもよい。
硬化触媒(D)としては、例えば有機スズ化合物、有機酸性リン酸エステル、有機チタネート化合物、酸性リン酸エステルとアミンとの反応物、飽和または不飽和の多価カルボン酸またはその酸無水物、有機スルホン酸、アミン系化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物などが挙げられる。
前記有機スズ化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテートなどが挙げられる。
前記有機酸性リン酸エステルの具体例としては、
Figure 2011052079
などが挙げられる。
前記有機チタネート化合物としては、例えばテトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、トリエタノールアミンチタネートなどのチタン酸エステルが挙げられる。
さらに前記アミン系化合物の具体例としては、例えばブチルアミン、オクチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7(DBU)などのアミン系化合物、さらにはそれらのカルボン酸などの塩、過剰のポリアミンと多塩基酸よりえられる低分子量ポリアミド樹脂、過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物などが挙げられる。
前記キレート化合物の具体例としてはアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネートなどが挙げられる。
硬化触媒(D)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。好ましい硬化触媒としては、有機スズ化合物、アルミニウムキレート化合物が挙げられる。硬化触媒の配合量は、樹脂(B)と星形ポリマー(A)と硬化剤(C)の合計100重量部に対して0〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。
本発明においては、前記塗料用組成物に有機溶剤を配合し、有機溶剤型塗料に調製することができる。
有機溶剤としては、例えばキシレン、トルエン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコール、酢酸ジエチレングリコールなどのエステル系溶剤、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミドなどのアミド系溶剤、ジメチルスルホキシドなどのスルホン酸エステル系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度3〜100)、CFCHOH、F(CFCHOH、(CFCHOH、F(CFCHOH、F(CFOH、H(CFCHOH、H(CFCHOH、H(CFCHOHなどのアルコール系溶剤などが挙げられるが、相溶性、塗膜外観、貯蔵安定性の点から低級アルコール、低級フッ素アルコールなどのアルコール系溶剤が好ましい。
前記樹脂(B)とアルコール系溶剤との配合割合については、樹脂(B)100重量部に対してアルコールが1〜50重量部であり、硬化性、塗膜外観の点から1〜25重量部であることがさらに好ましい。
また、硬化剤が常温硬化型のイソシアネートなどのようにアルコールと反応性の高い場合には、さらにアルコールは1〜15重量部であるのが好ましく、アルコールの種類も2級または3級アルコールが好ましい。
本発明の溶剤型塗料用組成物は、溶剤溶解性に優れ、形成された塗膜は高度の耐候性を有し、防汚染付着性、特に油性汚れの除去(落書きの除去)性や耐薬品性、光学的性質、機械的性質、基材への密着性、耐熱黄変性などに優れたものである。また、該組成物は、通常の硬化用組成物と同じく建材、内装材などの屋内用あるいは建材、自動車、航空機、船舶、電車などの屋外用の塗料として金属、コンクリート、プラスチックなどに直接、あるいはウォッシュプライマー、錆止め塗料、エポキシ樹脂、アクリル樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、ウレタン塗料などの下塗り塗料の上に重ねて塗装することができる。さらにシーリング剤やフィルム形成剤としても使用できる。
また塗料組成は、クリヤー、ソリッド、充填剤(フィラー)配合など種々の形態を採用できる。
塗装方法については、スプレー、ハケ、ローラ、カーテンフロー、ロール、ディップなど種々の方法が用いられる。
本発明の塗料用組成物には、例えば顔料、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、HALS、艶消し剤、フィラー、コロイダルシリカ、防カビ剤、シランカップリング剤、皮張り防止剤、酸化防止剤、難燃剤、垂れ防止剤、帯電防止剤、防錆剤、水溶性樹脂(ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイドなど)、防腐剤、凍結防止剤などの塗料用添加剤を配合することもできる。
前記顔料としては、例えば酸化チタン、酸化鉄、アルミメタリック顔料、カーボンブラック、焼成顔料、フタロシアニン系顔料、有機顔料、体質顔料などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系およびベンゾトリアゾール系のものが好適であり、これらのうちでもベンゾフェノン系では、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンおよび2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンが、ベンゾトリアゾール系では2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロル−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−フェニルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tertブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtertブチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−(2’−ヒドロキシ−5’−tertオクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが有効である。
とくに好適な紫外線吸収剤は、式:
Figure 2011052079
(式中、Ra9およびRa10は同じかまたは異なり、いずれも水素原子、低級アルキル基、なかでも分岐鎖状の低級アルキル基、またはアリール基、とくにフェニル基を表し、Xa1は水素原子またはハロゲン原子、とくに塩素原子である)
で示されるものである。
前記HALSとしては、例えばチバ・ガイギー(株)製チヌビン−770、292、622123、440などが挙げられる。
前記艶消し剤としては、例えばヘキストインダストリー(株)製セリダスト#3620、#9615A、#9612A、#3715、#3910など、ヘキストワックスPE520、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、例えばメチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、3−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シランなどが挙げられ、アルキルケトオキシム基またはイソシアネート基を含有するものが好ましい。
本発明の塗料用組成物は、官能基含有フッ素樹脂の説明でも述べたように、有機溶剤型塗料だけでなく、水性媒体に分散して水性分散型塗料にも調製することができる。
水性分散型塗料として使用する場合、上記のように、固形分濃度は塗料化するときの安定性に優れる点から約20〜70重量%、好ましくは約30〜60重量%である。平均粒子径は水性分散液の安定性に優れる点から50〜300nm程度、好ましくは約100〜250nmである。pHは通常5〜10の範囲内であることが好ましい。
水性分散型塗料に調製する場合、硬化剤(C)および硬化触媒(D)も水溶性または水分散性のものを使用することが好ましいが、それらに限定されない。
水性分散型塗料においても、上記の各種の添加剤を配合することができる。さらに、造膜性を向上させるために造膜助剤を配合することが好ましい。造膜助剤としては、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどのほか、チッソ(株)製のCS−12、デュポン社製のDBE、DBE−IBなどの市販品が使用できる。
また、水性分散液の分散安定性を与えるため、界面活性剤を存在させることが好ましい。界面活性剤としては、例えばパーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸アンモニウムなどのフッ素系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタンアルキルエステルなどの非イオン性非フッ素系界面活性剤;アルキルスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性非フッ素系界面活性剤;ラウリルベタイン、ポリオキシエチレンノニルエーテル硫酸ナトリウムなどの両性界面活性剤などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の塗料用樹脂組成物における塗料用樹脂の濃度は、塗料用組成物全体に対して、通常30〜60%(重量%、以下同様)であり、好ましくは35〜55%である。該濃度が30%未満では塗料化時の粘度調整が困難になる傾向があり、60%を超えると分散液の保存安定性が低下する傾向がある。
本発明の星形ポリマーからなる汚染付着防止剤を用いた塗料用樹脂組成物は、必要に応じて適宜塗料の分野で公知の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては例えば顔料、可塑剤、溶剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、沈降防止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。顔料としては、例えば二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カオリンなどの白色顔料;カーボンブラック、弁柄、シアニンブルーなどの有色顔料などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
本発明の塗料用組成物は、有機溶剤型塗料および水性分散型塗料等の形態に応じて、通常の塗料と同様に、慣用の方法で使用すればよい。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1(全ての枝末端にフッ素を有する星形ポリマー)
重合用のガラス器具は、すべて送風低温乾燥機(130℃)にて3時間乾燥させたものを用いた。三方活栓をつけたガラス反応容器を窒素ガス気流下で加熱し、窒素加圧下にて室温まで放冷、乾燥窒素で常圧に戻し、容器内を十分乾燥させた。窒素雰囲気下、容器内に、トルエン2.6ml、1,4−ジオキサン0.5ml、モノマー(ビニル化合物)として2−メトキシエチルビニルエーテル(MOVE)1.2ml、開始種として、ヘキサンに200mMの濃度に希釈した、酢酸ペルフルオロヘキシルプロポキシエチル(Perfluorohexyl propoxy ethyl acetate)を0.25ml(モノマー:開始種=約200:1モル)、乾燥窒素下で添加し、全体を4.5mlとして、0℃に冷却した後、窒素加圧下で氷浴につけ、マグネティックスターラーを用い攪拌し、0℃に恒温化させた。これに、予め重合溶媒であるトルエンで希釈し0℃に恒温化させておいた1mMのエチルアルミニウムセスキクロライド(Et1.5AlCl1.5)を、乾燥窒素下で素早く0.5ml加えて重合を開始した。33分間後、0.05mL程度、分子量測定のためサンプリングし、1%アンモニアのメタノール溶液を加え、反応を停止させてGPC測定をおこなった。結果は後述する。このプロセスで枝に相当するポリマーが形成される。このポリマーを以降、枝ポリマーと呼ぶ。サンプリングしたポリマーも枝ポリマーに相当する。
残りの反応溶液に0℃に恒温化させたトルエン希釈済みの1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル溶液0.5mlを反応系に添加し、反応を15.5時間続け、星形ポリマーを得た。
生成した星形ポリマーの精製は、1%アンモニアのメタノール溶液を重合停止剤として加え、重合を停止後の反応溶液をジクロロメタンで希釈後、触媒残査を除去するため0.6N HCl水溶液で3回、イオン交換水で1回、0.6N NaOH水溶液で1回洗浄した後、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。この溶液をナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒、未反応モノマー、添加塩基を減圧留去し、その後、シリカゲル入りのデシケーター中(室温、0.1mmHg)で8時間以上減圧乾燥し、100%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。
生成した枝ポリマー(サンプリングしたもの)および星形ポリマーは、重量法によりモノマーの転換率(重合率,Conversion)を算出し、GPC測定によりポリマーの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。また、NMR測定により、開始種の残存を確認した。当該GPC測定およびNMR測定は、下記の条件で実施した。なお、以下の例において、特に言及しない限り、各操作は基本的に上記の方法に準じた。なお、得られたポリマーが星形ポリマーであることは、(1)通常のGPCによる重量平均分子量が多角度光散乱光度計付GPC(GPC−MALLS)による重量平均分子量に比べて小さいので、分岐の多いコンパクトな構造をもつことが明らかであることおよび(2)粒径の解析から、分子同士は会合せずに存在していることも明らかであること、から判断した。以下の実施例に関しても同様である。
<GPC測定>
GPC測定では、以下のカラムを順に直列配管したものを使用した。
TOSOH TSKguardcolumn HXL−L(6.0mmI.D.×4cm)
TOSOH TSKgel G4000HXL(7.8mmI.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G3000HXL(7.8mmI.D.×30cm)
TOSOH TSKgel G2000HXL(7.8mmI.D.×30cm)
また、溶出液としては、クロロホルム(ナカライテスク特級)を用い、標準ポリスチレンで分子量を校正した。
<NMR測定条件>
NMR測定装置として
JEOL JNM−EX 270 Spectrometer(FT NMR SYSTEM)共鳴周波数:270MHz、または
JEOL JNM−EX 500 Spectrometer(FT NMR SYSTEM)共鳴周波数:500MHz
を用いた。
溶媒:d−クロロホルム[CDCl](セティカンパニーリミテッド)
d−クロロホルム用標準物質:テトラメチルシラン[Chloroform D+1% TMS,CDCl+Si(CH](セティカンパニーリミテッド)
測定温度:30℃
枝ポリマーの分子量および分子量分布は、上記の方法に準じ、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン標準サンプルで分子量を校正した。
枝ポリマーの重量平均分子量は2.66×10、数平均分子量は2.40×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.11と非常に狭いポリマーが得られた。数平均分子量から計算される平均重合度は約200(以降、200量体の枝ポリマーと呼ぶ)となり、モノマーと開始種の比に一致した。
また、星形ポリマーと開始種のNMRの測定結果より、開始種は残存していない事を確認した。NMRのチャートを図1に示す(上のライン:開始種、下のライン:星形ポリマー)。
また、枝ポリマーと星形ポリマーのGPCチャートを図2に示す(上のライン:枝ポリマー、下のライン:星形ポリマー)。
これにより、枝ポリマー(長さ200量体)のピークは完全に消失した事がわかる。
また、得られた星形ポリマーの重量平均分子量を、光散乱検出器を接続したGPCであるGPC−MALLS(Wyatt Technology社製)により測定したところ、3.27×10となり、それに基づいて求めた枝の数は147であり、粒径は37nmであった。
GPC−MALLSの測定条件を下記に示す。
GPC:Agilent Technology 1200series
カラム:Shodex GPC K803,K804,K805
MALLS:DAWN HELEOS(Wyatt Technology)Ga−As laser λ=690nm
溶出液:クロロホルム(ナカライテスク、特級)
なお、枝の数fは、次式に従って求めた。
f(枝の数)=(ビニル化合物の重量画分)×[星型ポリマーの重量平均分子量]/[枝ポリマーの数平均分子量]
さらに、通常のGPCによる重量平均分子量は2.0×10であり、GPC−MALLSによる重量平均分子量に比べて小さい。このことから得られた星形ポリマーは分岐の多いコンパクトな構造をもつことが明らかである。さらに、粒径の解析から、分子同士は会合せずに存在していることも明らかである。したがって、得られたポリマーは星型ポリマーである。また、転換率は約99%であった。
(枝ポリマーの重合度の影響)
モノマーとしてイソブチルビニルエーテルを使用した以外は上記と同様にして、重合度50、100として(モノマーと開始種のモル比をそれぞれ、50:1、100:1にする)、枝ポリマー(Poly(2−メトキシエチルビニルエーテル(MOVE))を重合し、さらに1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルを添加した後、12時間反応させ、星形ポリマーを得た。
重合度50の枝ポリマーからなる星型ポリマーの分子量は、Mn=9.8×10、重合度100の枝ポリマーからなる星型ポリマーの分子量は、Mn=19.69×10となり、枝の重合度にともなって星型ポリマーの分子量は増大した。
得られた星型ポリマーのGPC−MALLSにより求めた重量平均分子量は、いずれも通常のGPCにより測定した重量平均分子量より大きい。このことから、本発明の星型ポリマーは分岐が多く、コンパクトな、末端にフッ素構造を有することが明らかである。
実施例2(全ての枝末端にフッ素を有する星形ポリマー)
重合用のガラス器具は、すべて送風低温乾燥機(130℃)にて3時間乾燥させたものを用いた。三方活栓をつけたガラス反応容器を窒素ガス気流下で加熱し、窒素加圧下にて室温まで放冷、乾燥窒素で常圧に戻し、容器内を十分乾燥させた。窒素雰囲気下、容器内に、トルエン2.6ml、1,4−ジオキサン0.5ml、トルエン希釈した20mM 2,6−ジ−tert−ブチルピリジン0.4ml、モノマーとしてシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)0.28mL、開始種として、ヘキサンに希釈した50mM 酢酸ペルフルオロヘキシルプロポキシエチル0.4mLを、乾燥窒素下で添加し、全体を1.6mlとして、0℃に冷却した後、窒素加圧下で氷浴につけ、マグネティックスターラーを用い攪拌し、0℃に恒温化させた。これに、予め重合溶媒であるトルエンに希釈し0℃に恒温化させておいた100mM エチルアルミニウムセスキクロライド(Et1.5AlCl1.5)を乾燥窒素下で素早く0.4ml加えて重合を開始した。5分間後、0℃に恒温化させたトルエン希釈済みの1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル溶液0.2mlを反応系に添加し、反応を3時間続けた。
実施例1と同様の方法で精製を行い、100%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。重合停止剤は実施例1と同様に1%アンモニアのメタノール溶液を使用した。
枝ポリマーの数平均分子量は1.28×10、重量平均分子量は1.48×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.15と非常に狭いポリマーが得られた。一方、星ポリマーの数平均分子量は、1.11×10、重量平均分子量は2.03×10、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は1.83となった。
実施例3(全ての枝末端にフッ素を有する星形ポリマー)
(1)重合用のガラス器具は、すべて送風低温乾燥機(130℃)にて3時間乾燥させたものを用いた。三方活栓をつけたガラス反応容器を窒素ガス気流下で加熱し、窒素加圧下にて室温まで放冷、乾燥窒素で常圧に戻し、容器内を十分乾燥させた。窒素雰囲気下、容器内に、トルエン2.96ml、1,4−ジオキサン0.5ml、モノマーとして2−tert−ブチルジメチルシリルオキシエトキシエチルビニルエーテル(Si−HOEOVE)0.287mL、開始種として、ヘキサンに希釈した200mM 酢酸ペルフルオロヘキシルプロポキシエチル 0.25mL、乾燥窒素下で添加し、全体を4.5mlとして、0℃に冷却した後、窒素加圧下で氷浴につけ、マグネティックスターラーを用い攪拌し、0℃に恒温化させた。これに、予め重合溶媒であるトルエンに希釈し0℃に恒温化させておいた200mM エチルアルミニウムセスキクロライド(Et1.5AlCl1.5)を乾燥窒素下で素早く0.4ml加えて重合を開始した。2.5時間後、0℃に恒温化させたトルエン希釈済みの1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル溶液を0.5ml反応系に添加し、反応を12時間続けた。実施例1と同様の方法で精製を行い、100%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。重合停止剤は実施例1と同様に1%アンモニアのメタノール溶液を使用した。
(2)脱保護
精製したポリマー(1g)をTHF(45mL)に溶解し、0℃で3.0Nの塩酸性エタノール(5mL)を滴下した。この混合物を0℃で3時間撹拌した後、エタノール(20mL)を加えさらに3時間撹拌した。これを重曹で中和したのちガラスフィルター(P160)及び濾紙を用いて不溶物を取り除き、この溶液をナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。得られた生成物のエタノール溶液を大過剰のヘキサンに添加して再沈殿し、デカンテーションしたのち、シリカゲルの入ったデシケーター中(室温、0.1mmHg)で減圧乾燥した。この生成物を水に溶解し、セルロースチューブ(Viskase Sales;ポアサイズ 30/32,分画分子量:12,000−14,000)を用いて、Mili−Q水に対して3日間透析した。透析後の水溶液を減圧でエバポレートし、さらにシリカゲルの入ったデシケーター中(室温、0.1mmHg)で一晩減圧乾燥することで、100%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。
生成したポリマーは、実施例1と同様に、モノマーの転換率(重合率,Conversion)、ポリマーの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表1にまとめる。
実施例4(一部の枝末端にフッ素を有する星形ポリマー)
重合用のガラス器具は、すべて送風低温乾燥機(130℃)にて3時間乾燥させたものを用いた。三方活栓をつけたガラス反応容器を窒素ガス気流下で加熱し、窒素加圧下にて室温まで放冷、乾燥窒素で常圧に戻し、容器内を十分乾燥させた。窒素雰囲気下、容器内に、トルエン0.32ml、1,4−ジオキサン0.2ml、トルエン希釈した20mM 2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(DTBP)0.4ml、第一モノマーとしてシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)0.28mL、開始種として、ヘキサンに希釈した50mM シクロヘキシルエチルアセテート(CHEA)を乾燥窒素下で添加し、全体を1.6mlとし、0℃に冷却した後、窒素加圧下で氷浴につけ、マグネティックスターラーを用い攪拌し、0℃に恒温化させた。これに、予め重合溶媒であるトルエンに希釈し0℃に恒温化させておいた100mM エチルアルミニウムセスキクロライド(Et1.5AlCl1.5)を、乾燥窒素下で素早く0.4mL加えて重合を開始し、3分間後、0℃に恒温化させたトルエン希釈済みの1M 1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル溶液を反応系に0.2ml添加し、反応を3時間続けた後、0℃に冷却したトルエン1.54mLと2倍トルエンで希釈した2−メトキシエチルビニルエーテル(MOVE)0.46mLを添加し、40分間反応し、テトラヒドロフラン(THF)で希釈したフッ素アルコール(CCHCHOH)を添加し、反応停止させた。
生成したポリマーの精製は、まず重合停止後の反応溶液をジクロロメタンで希釈後、触媒残査を除去するため0.6N HCl水溶液で3回、イオン交換水で1回、0.6N NaOH水溶液で1回洗浄した後、イオン交換水で中性になるまで洗浄した。この溶液をナス型フラスコに移し、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒、未反応モノマー、添加塩基を減圧留去し、その後、シリカゲル入りのデシケーター中(室温、0.1mmHg)で8時間以上減圧乾燥、50%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。
実施例1と同様の方法で精製を行い、50%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。
生成したポリマーは、実施例1と同様に、モノマーの転換率(重合率,Conversion)、ポリマーの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。結果を表1にまとめる。
実施例5(一部の枝末端にフッ素を有する星形ポリマー)
フッ素アルコールとしてCCHCHOHを用いたこと以外は実施例1と同様にして50%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。モノマーの転換率(重合率,Conversion)、ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定結果を表1にまとめる。
実施例6(一部の枝末端にフッ素を有する星形ポリマー)
フッ素アルコールとしてC13CHCHOHを用いたこと以外は実施例1と同様にして50%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。モノマーの転換率(重合率,Conversion)、ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定結果を表1にまとめる。
実施例7(一部の枝末端にフッ素を有する星形ポリマー)
フッ素アルコールとしてC17CHCHOHを用いたこと以外は実施例1と同様にして50%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。モノマーの転換率(重合率,Conversion)、ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定結果を表1にまとめる。
[表1]
Figure 2011052079
実施例8(一部の枝末端にフッ素を有する星形ポリマー)
(1)三方活栓をつけたガラス反応容器を窒素ガス気流下で加熱し、窒素加圧下にて室温まで放冷し、乾燥窒素で常圧に戻し、容器内を十分乾燥させた。窒素雰囲気下、容器内に、トルエン2.6ml、1,4−ジオキサン0.5ml、トルエン希釈した20mM 2,6−ジ−tert−ブチルピリジン0.4ml、モノマーとしてシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)0.28mL、開始種として、ヘキサンに希釈した50mM 酢酸ペルフルオロヘキシルプロポキシエチル 0.4mLを、乾燥窒素下で添加し、全体を1.6mlとして、0℃に冷却した後、窒素加圧下で氷浴につけ、マグネティックスターラーを用い攪拌し、0℃に恒温化させた。これに、予め重合溶媒であるトルエンに希釈し0℃に恒温化させておいた100mM エチルアルミニウムセスキクロライド(Et1.5AlCl1.5)を乾燥窒素下で素早く0.4ml加えて4分間重合を開始させた。
(2)別の三方活栓をつけたガラス反応容器を窒素ガス気流下で加熱し、容器内を十分乾燥させた。窒素雰囲気下、容器内に2−(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル(1.0M)、1,4−ジオキサン(1.0M)、開始種として1−イソブトキシエチルアセテート(10mM)およびトルエンを入れ、全体を4.5mLとし、0℃に冷却した後、(CHCH1.5AlCl1.5の200mM トルエン溶液0.50mL(20mM)を加えて、重合を開始した。30分間後、反応液を上記(1)の反応系に加え、更に2分間反応させて、シクロヘキシルビニルエーテルと2−(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテルの混合反応系であるリビングポリマーに、生長種1当量に対して10当量(r=10)の1,4−ビス(ビニルオキシメチル)シクロヘキサンを添加して、反応を8時間続けた。
実施例1と同様の方法で精製を行い、一部(50%)の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーを得た。モノマーの転換率(重合率,Conversion)、ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)の測定結果を表2にまとめる。
[表2]
Figure 2011052079
実施例9(温度応答性測定)
実施例1の方法に従って製造した100%の枝末端にフッ素を有する星形ポリマーの1重量% 水溶液を調整し、この溶液に対する500nmの光の透過率を、温度調節機能付UV分光光度計(日本分光(株)製)を用いて測定した。20〜50℃まで昇温・降温速度1℃/分で変化させた場合、20℃から昇温していくと、ポリマー水溶液は48℃で高感度に透明状態から白濁状態へ変化した。図3に、光透過率の変化のグラフを示す。この変化は可逆的であるが、高温から低温に戻すと、昇温過程とは異なる温度(約32℃)で高感度に透明状態に戻った。
UV検出器: JASCO V−550 UV−VIS Spectrophotometer (日本分光)
温度可変コントローラ: JASCO ETC−505T Peltier Type Thermostatic cell holder (日本分光)
測定条件: 1重量%水溶液, 昇温速度1℃/分
実施例10(水濡れ性試験)
ダイキン工業社製、水酸基含有フッ素樹脂エマルションSE−30(固形分約50%)100部に対して成膜助剤としてアジピン酸ジエチルを15部、実施例1で合成した枝末端にフッ素を有する星形ポリマーの10重量%のイソプロピルアルコール溶液100部を加えて、ガラス板に3milのアプリケーターを用いて塗布した。室温で7日間乾燥させて、均一な塗膜を得た。その後、イオン交換水に1晩浸漬後、水に対する静的接触角をθ/2法にて測定した。接触角は10°であった。測定時の写真を図4に示す。
比較例1
比較のために、星形ポリマーだけ加えないで実施例10と同様に成膜し、イオン交換水に浸漬した塗膜の接触角の測定した。接触角は83°であった。
測定時の写真を図5に示す。
本発明の星形ポリマーは特徴的な刺激応答性を有し、医薬分野等における高機能材料としての使用が可能である。
また、本発明の星形ポリマーは塗料用の汚染防止剤として有用であり、塗料分野における使用が可能である。

Claims (14)

  1. 核部と、当該核部に連結している3本以上の枝部とを有する星形ポリマーであって、
    前記核部は、ジアルケニル化合物の架橋ポリマーからなり、
    前記枝部の一部または全部は、式(I
    −(CH(−X−R)−CH(−R))p−R (I
    [式中、
    は、フッ素化されていない1価の有機基を有し、
    は、水素原子またはアルキル基を表し、
    は、フッ素化されている1価の有機基を表し、
    Xは、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表し、
    pは、1以上の整数を表す。]
    で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であり、
    前記枝部の残りは、式(I):
    −(CH(−X−R)−CH(−R))p−R (I
    [式中、
    は、フッ素化されていない1価の有機基を表し、
    その他の記号は前記と同意義を表す。]
    で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であることを特徴とする星形ポリマー。
  2. 前記ジアルケニル化合物は、式(II)
    CHR=CH−Xc1−R−Xc2−CH=CHR (II)
    [式中、
    およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し、
    は、2価の有機基を表し、Xc1およびXc2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表す。]
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の星形ポリマー。
  3. 前記式(I)が、式(If’):
    −(CH(−X−R)−CH(−R))p−CHR−X−(Y−X−(CH−Rf’ (If’
    [式中、
    は、置換されていてもよい炭素数2〜20のアルコキシアルキル基、または置換されていてもよい炭素数3〜10のシクロアルキル基を表し、
    は、アルキル基を表し、
    およびXは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−NH−、または−N(−CH)−を表し、
    Yは、炭素数1〜3のアルキレン鎖を表し、
    f’は、(a)炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、または(b)−CO−、−CO−および−CFO−から選択される1種以上の繰り返し単位を有する、炭素数2〜50のパーフルオロエーテル基を表し、
    mは、0〜10の整数を表し、
    nは、1〜18の整数を表し、
    その他の記号は前記と同意義を表す。]
    であることを特徴とする請求項1に記載の星形ポリマー。
  4. 前記枝部の全部が、前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の星形ポリマー。
  5. 前記枝部の一部が、前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の星形ポリマー。
  6. 前記式(I)で表され、1,000〜1,000,000の数平均分子量を有する1価の有機基である枝部の比率が全枝部に対して50モル%以下であることを特徴とする請求項5に記載の星形ポリマー。
  7. 重量平均分子量が1万〜500万であり、分子量分布が1〜2である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルケニルエーテル星型ポリマー。
  8. 工程1:
    式(III)
    CH(−X−R)=CH(−R) (III)
    [式中、各記号は、請求項1の記載と同意義を表す。]
    で表されるビニル化合物を、
    ルイス酸および式(IVf)
    −CO−O−R (IV
    [式中、
    は、脂肪族炭化水素基、フェニル、パーフルオロアルキル基、またはパーフルオロエーテル基を表し、
    その他の記号は請求項1の記載と同意義を表す。]
    で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる工程、
    所望による工程1’:
    式(III)
    CH(−X−R)=CH(−R) (III)
    [式中、各記号は、請求項1の記載と同意義を表す。]
    で表されるビニル化合物を、
    ルイス酸および式(IV
    −CO−O−R (IV
    [式中、Rは、前記と同意義を表し、Rは、請求項1の記載と同意義を表す。]
    で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる工程、
    工程2:
    工程1および所望による工程1’で得られる反応混合物に、ジアルケニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる工程および
    工程3:
    工程2で得られる反応混合物に、重合停止剤を添加し、リビングカチオン重合を停止させる工程
    を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の星形ポリマーの製造方法。
  9. 工程1:
    式(III)
    CH(−X−R)=CH(−R) (III)
    [式中の記号は、請求項1の記載と同意義を表す。]
    で表されるビニル化合物を、
    ルイス酸および
    式(IV
    −CO−O−R (IV
    [式中、Rは、請求項1の記載と同意義を表し、Rは、前記[8]の記載と同意義を表す。]
    で表される化合物の存在下でリビングカチオン重合させる工程および
    工程2:工程1で得られる反応混合物に、ジアルケニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる工程、
    工程3:工程2で得られる反応混合物に、
    CH(−X−R)=CH(−R) (III)
    [式中の記号は、請求項1の記載と同意義を表す。]
    で表されるビニル化合物を添加し、更にリビングカチオン重合させる工程および、
    工程4:工程3で得られる反応混合物に、式
    (a)R−OH
    [式中、Rはフッ素化されている1価の有機基を表す。]
    で表される化合物、または
    (b)R−OH
    [式中、Rはフッ素化されている1価の有機基を表す。]
    で表される化合物および
    −OH
    [式中の記号は、請求項1の記載と同意義を表す。]
    で表される化合物の組み合わせを添加し、リビングカチオン重合を停止させる工程
    を含むことを特徴とする請求項6に記載の星形ポリマーの製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の星形ポリマーからなる汚染付着防止剤。
  11. (A)請求項10記載の汚染付着防止剤および
    (B)塗料用樹脂
    を含有する塗料用組成物
  12. 前記塗料用樹脂が、官能基含有フッ素樹脂、官能基非含有フッ素樹脂、非フッ素アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂および無機系素材から選択される1種以上の樹脂である請求項11記載の塗料用組成物。
  13. 有機溶剤を含む有機溶剤型塗料に調製されてなる請求項11〜13のいずれかに記載の塗料用組成物。
  14. 水性媒体に分散された水性分散型塗料に調製されてなる請求項11〜13のいずれかに記載の塗料用組成物。
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