以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1及び図2は本発明の苗移植機の典型例である粉粒体繰出し装置として施肥装置を装着した乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。搭乗オペレータが苗移植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構28によって施肥装置5へ伝動される。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ75等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体(図示せず)、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(第1ロータ27aと第2ロータ27bの組み合わせを単にロータ27ということがある)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗載台38,38が鉛直方向に伸びた回動軸49a(図4,図5参照)を中心に機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
一方の機体側面にある第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを上下三段に配置した場合の側面図を図3に示し、第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを同一平面に配置した場合の側面図を図4に示し、第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを同一平面に配置した場合の平面図を図5に示し、第1予備苗載台38a,第2予備苗載台38b,第3予備苗載台38cを機体前方から見た正面図を図6に示す。
予備苗載台38はそれぞれ傾斜支持部材で上下三段に構成され、最上段の第1予備苗載台38a、第2予備苗載台38b及び第3予備苗載台38cからなっている。最上段の第1予備苗載台38aの中央部側面と第2予備苗載台38bの最前部側面がそれぞれ回動軸38a1,38b1の回りに回動自在に第1移動リンク部材39aの両端で支持され、また最上段の第1予備苗載台38aの最後部側面と最下段の予備苗載台38cの最前部側面が第2移動リンク部材39bの両端でそれぞれ回動軸38a2,38c1の回りに回動自在に支持され、また第2予備苗載台38bの中央部側面が回動軸38b2の回りに回動自在に前記第2移動リンク部材39bの中央部で支持され、さらに第2予備苗載台38bの最後部側面と最下段の第3予備苗載台38cの中央部側面とがそれぞれ回動軸38b3,38c2の回りに回動自在に第3移動リンク部材39cの両端で支持されている。
第2予備苗載台38bは機体に固定されており、第2予備苗載台38bを中心とし、その上下に第1予備苗載台38aと第3予備苗載台38cが配置され、全体として上下三段に配置される状態と第2予備苗載台38bを中心とし、その前後に第1予備苗載台38aと第3予備苗載台38cがそれぞれ配置され、全体として第1移動リンク部材39a,第2移動リンク部材39b,第3移動リンク部材39cをほぼ同一平面上に配置替えすることができる。すなわち、第2移動リンク部材39bは、その中央部が第2予備苗載台38bの中央部の両側に設けられた回動支点により支持されているので、第2移動リンク部材39bを回動させて、第1、第3予備苗載台38a,38cを第2予備苗載台38bの前後に移動させて、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に配置することで広い苗トレイ載置平面が得られる。
また、第1移動リンク部材39aの第2予備苗載台38bの前端部との連結部側、第2移動リンク部材39bの第1予備苗載台38aの後端部側の連結部側、第2移動リンク部材39bの第3予備苗載台38cの前端部側の連結部側及び第3移動リンク部材39cの第2予備苗載台38bの後端部側の連結部側は、それぞれ第1移動リンク部材39a,第2移動リンク部材39b,第3移動リンク部材39cの長手方向に対して直角に折れ曲がって各リンク部材39a,39b,39cに設けられた短い第1,第2,第3補助リンク45a,45b,45dを介して第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cに回動自在に連結している。また、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cの左右側面には苗トレイの落下を防ぐ第1,第2,第3仕切板48a,48b,48cを配置している。
さらに第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に並べて配置するとき(図4)には、最前部に位置する第1予備苗載台38aの前辺と最後部に位置する第3予備苗載台38cの後辺にそれぞれの平面より上方向に立ち上った第1ストッパ47a、第6ストッパ47fが立ち上がっているので、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に並べて配置するときに、第1,第2,第3予備苗載台38a,38b,38c上に載置された苗トレイが滑り落ちることがない。
また第1移動リンク部材39aの第2予備苗載台38bの前端部との連結部にある短い第1補助リンク45aと、第2移動リンク部材39bの第1予備苗載台38aの後端部との連結部にある短い第2補助リンク45bと、第2移動リンク部材39bの第3予備苗載台38cの前端部との連結部にある短い第3補助リンク45cと、第3移動リンク部材39cの第3予備苗載台38cの後端部との連結部にある短い第4補助リンク45dにはそれぞれ第3、第2、第4、第5ストッパ47c,47b,47d,47eが設けられている。
そして第3、第2、第4、第5ストッパ47c,47b,47d,47eは、それぞれ左右一対の第1、第2、第3補助リンク45a,45b,45c,45dと一体に固着されており、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cが上下三段配置されるときに第1、第2、第3、第4、第5、第6ストッパ47a,47c,47d,47e,47fは図3に示すように全て立ち上がっているので、苗トレイが各ストッパ47a,47b,47c,47d,47e,47fからずり落ちることを防ぐ。
また、図4に示すように第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に並べて配置するときには第2、第5ストッパ47b、47eが第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cの上平面より下方に移動し、第1、第6ストッパ47a、47fが立ち上がっているので、苗トレイは第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上に障害物が無い状態で載置でき、また第1、第6ストッパ47a、47fで滑り落ちることがない。
また、図6に示すように第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39cは、機体への支持部材49の内側に配置されているので、上下三段の予備苗載台38a,38b,38cを同一平面上の一段に配置替えする場合に第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39cが回動する過程で操縦者などが稼動する第1、第2、第3移動リンク39a,39b,39cなどに挟み込まれるおそれがない。
しかも、これらの第1、第2、第3移動リンク39a,39b,39cを回動させる操作をワンタッチで行うことで、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを、通常の上下三段に配置される状態と同一平面状に一段に配置替えすることができる。
この第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cの段数の変更は、作業(圃場条件含む)形態により切り替える。例えば、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを苗トレイなどの補給時には同一平面上に並べ、また苗植付作業時には上下三段とする。また圃場条件が、例えば高畦などで第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを機体の外方又は前方に拡げられないときは上下複数段とし、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを機体の外方又は前方に展開するのに支障がないときには第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを展開して一段とする。
また、上下三段からなる第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cを前後に一段の平面状にする切り換えは、苗トレイを載せたまま行うことができる。
また、3つの第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38cに代えて2つの第1、第2予備苗載台38a,38bを用いて上下二段又は同一平面上に並べた構成を採用してもよい。
予備苗載台38a,38b,38cを用いる場合と予備苗載台38a,38bを用いる場合にも、上下三段又は上下二段又は同一平面上に並べ替えるときには第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39c又は第1、第2移動リンク部材39a,39bは第1予備苗載台38aを機体前方に配置する構成、又は第1予備苗載台38aを機体後方に配置する構成のいずれでも良い。
また第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bを用いる場合に上下三段又は上下二段又は同一平面上に並べ替えるときには第1、第2、第3移動リンク部材39a,39b,39c又は第1、第2移動リンク部材39a,39bの作動を電動モータ(図示せず)で行ってもよい。このときには電動モータの作動スイッチはオペレーター側とオペレーターとは苗移植機周りの別の場所に居る補助者側の2個所に設けると作業性がよい。
上記第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bは支持部材49の回動軸49a(図4,図5)の回りに鉛直方向の仮想回転軸を中心に回転させて機体内側、外側どちらでも鉛直方向のかいてひろげられる構成とすることができる。こうして第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bを畦際に近づけることができる。
また、図7(a)の側面図、図7(b)の正面図に示すように、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bを用いる場合に、第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bの回動ロック板73aを回動させる回動ロックレバー73bを第1、第2、第3予備苗載台38a,38b,38c又は第1、第2予備苗載台38a,38bの回動方向と合わせ前後方向に回動操作することができる。
回動ロックレバー73bの操作により予備苗載台38a〜38c又は予備苗載台38a,38bの回動と同時に回動ロックレバー73bの操作が容易となる。このとき苗枠回動ロックレバー73bを予備苗載台38a〜38c又は予備苗載台38a,38bの支持部材49の回動ロックピン73cの位置に設けた。このとき苗枠回動ロックレバー73bのロック状態で前側(畦側)に伸びる構成とすることで、前記回動ロックレバー73bを畦側からも田植機側でも行える。なお、支持部材49と予備苗載台38bを補強板73eで接続している。
回動ロック板73aは、移動リンク39bの中央で該リンク39bと一体で回動する中間軸38b1と一体回動する。回動ロックレバー73bは、支持部材49に前後回動自在に取り付けられています。回動ロックピン73cは、支持部材49に進退自在に取り付けられ、ケーブル73dを介して回動ロックレバー73bに連結されている。回動ロック板73aには、回動ロックピン73cが入る孔がある。予備苗台38a,38b,38cが上下複数段に配置された状態で回動ロックピン73cが回動ロック板73aの前記孔に入って回動ロック板73aの回動を規制する。
次に、図8の側面図と図9の背面図にロータ支持構造の要部を示し、図10にロータ27(第1ロータ27a,第2ロータ27b)とフロート55,56と苗植付装置52部分の要部平面図を示す。
ロータ支持構造6には、苗載台51の前記支持枠体65の両側辺部材65bに上端を回動自在に支持された梁部材66と該梁部材66の両端に固着した支持アーム67と該支持アーム67に回動自在に取り付けられたロータ支持フレーム68が設けられている。該ロータ支持フレーム68の下端にはロータ27の駆動軸70(第1駆動軸70a,第2駆動軸70b)が取り付けられている。また該ロータ支持フレーム68の下端部近くは伝動ケース50に回動自在に取り付けられた連結部材71に連結している。
図10に示すように、フロート55,56との配置位置の関係でセンタフロート55の前方にある第2ロータ27bはサイドフロート56の前方にある第1ロータ27aより前方に配置されている。そのため後輪11のギアケース18内のギアから自在継手72を介して左側の第1ロータ27aを駆動する第1駆動軸70aへ動力が伝達され、さらに第1駆動軸70aに内側の端部に設けられた図示しないベベルギアから、該ベベルギアに噛合するベベルギア(図示せず)を端部に有し、左側の伝動ケース73内に配置される伝動軸に動力が伝達され、該伝動軸から第2ロータ27bを固着した第2駆動軸70bに動力が伝達される。また第2駆動軸70bの右側端部に設けられたベベルギアを介して、右側の伝動ケース73内に配置される伝動軸に動力が伝達され、該伝動軸から右側の第1ロータ27aを固着した第1駆動軸70aに動力が伝達される。
図10に示すように、左右の第1ロータ27aと中央の第2ロータ27bを互いに前後に偏位させて配置し、第1、第2ロータ27a,27b間の前後方向に延びる一対の伝動ケース73,73が配置されるが、該伝動ケース73,73は機体平面視で前後傾斜状に配置されている。機体平面視で一対の伝動ケース73,73の互いの前側の幅が後側の幅より小さくなるように構成されている。
一対の伝動ケース73,73の前部には、該ケース73,73より左右内側に第2ロータ27bが配置され、また一対の伝動ケース73,73の後部には、該ケース73,73の外側に第1ロータ27a,27aがそれぞれ配置されている。
従って、ロータ27が田植機1ひいては田植機1の植付位置の左右方向全幅にわたり、まんべんなく配置されることになり、圃場の整地幅が広くなり、整地性の向上が図れる。
ロータ変速装置Bを内蔵したロータ変速装置ケース19を図1に示すように後輪11の前側に配置することで、メンテナンスが容易になる。
また、さらにロータ変速装置Bを覆うカバー19を後輪11のギヤケース18の前方側まで覆う構成にすると、調整を行う際、容易にカバー19を外してギヤケース18までメンテナンスし易くなる。
図11にはロータ変速装置Bを示すが、ロータ変速装置Bには後輪11駆動用のギアケース18から伝達される動力を2段に変速してロータ27に出力する機構が内蔵されている。
本実施例の構成ではロータ27(第1ロータ27aと第2ロータ27bの組み合わせ)の回転速度を低速と高速の2段階に切り換え可能にしている。そのために後輪ギヤケース18に連接しているロータ変速装置ケース19内に第1ロータ27a,第2ロータ27bの回転速度を低速と高速の2段階に切り換え可能にしたロータ変速装置Bが開示されている。
上記ロータ27の2段切換クラッチ機構の構成図は平面展開断面図(図11(a))と図11(a)の矢印S方向から見た正面図(図11(b))に示す。
ロータ変速装置ケース19内には後輪ギヤケース18からの動力入力軸64と該入力軸64と平行位置に配置されるロータ軸69と、入力軸64とロータ軸69にそれぞれ一対固着された低速用スプロケット83,85と高速用スプロケット86,87と、前記低速用スプロケット83,85に同士、前記高速用スプロケット86,87同士にそれぞれ掛け渡されるチェーン89,90、ロータ軸69に固着された低速用スプロケット85と高速用スプロケット87の間のロータ軸69の軸上に遊嵌された移動用クラッチ体91と、該クラッチ体91に常時係止しているシフタ92が装着されている。またクラッチ体91の両側面に爪91a,91bが設けられ、ロータ軸69上の低速用スプロケット85と高速用スプロケット87のクラッチ体91に対向する側面にはそれぞれ爪85,87aが設けられ、クラッチ体91の両側の各爪91a,91bは低速用スプロケット85と高速用スプロケット87の各爪85a,87aがそれぞれ係止可能になっている。
なお、ロータ軸69には自在継手72(図8)に接続しており、該自在継手72を経由してロータ27を駆動させる。
シフタ92は、ロータ軸69の隣接位置でロータ軸69と平行位置に配置され、シフタ92上に巻き付けられた圧縮スプリング93により常時シフタ92の低速用スプロケット85と高速用スプロケット87と係止しない位置に保持されるように付勢されている。
ロータ変速装置ケース19の外側に突出するシフタ92に対向する位置にロータ変速装置ケース19に固着したカバー102に設けられる回動支点に回動自在に支持されたシフタ操作アーム95が取り付けられている。該シフタ操作アーム95の一端はロータ変速装置ケース19の外部に延出したシフタ92に係止されている。シフタ操作アーム95は前記シフタ92に取り付けられたスプリング93の付勢力に抗してシフタ92を摺動させることができる構成である。
シフタ92を操作する操作アーム95の回動支点95aに対して一側には高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96aが連結し、前記回動支点95aに対して他側には低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが連結している。高速用操作ケーブル96のアウター96b及び低速用操作ケーブル97のアウター97bを取付用回動支点99aの周りの回動で移動可能な取付用アーム99に取り付ける。取付用アーム99にはロータの駆動を入切する駆動入切用操作ケーブル100のアウター100bを取り付け、駆動入切用操作ケーブル100のインナーワイヤ100aを機体側の固定部材101に移動しないように連結する。
駆動入切用操作ケーブル100の作動はロータ高さ調節レバー106の作動で機体に一端が固定されたインナーワイヤ100aの他端がアウター100bに対して引かれて駆動入切用操作ケーブル100のアウターワイヤ100bが矢印C方向(図11(a))に動き、この動きに連動する取付用アーム99が図11(b)の矢印D方向に回動することで高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛み、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータを駆動させない中立位置に動く。
図12には苗植付部4の昇降リンク40,41と後輪ギヤケース18付近の側面図を示すが、昇降リンク連動アーム108を苗植付部4の上昇動作させる上リンク40と下リンク41のいずれか(図12に示す例では下リンク41)に設けているので、苗植付部4の昇降スイッチ(図示せず)が上昇操作されると昇降リンク40,41が上昇し、この上昇動作に連動して前記ロータ高さ調節レバー106の作動時と同様に、昇降リンク連動アーム108が作動して駆動入切用操作ケーブル100が引かれ、駆動入切用操作ケーブル100のアウターワイヤ100bが矢印C方向(図11(a))に動き、この動きに連動する取付用アーム99が図11(b)の矢印D方向に回動することで高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛み、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータを駆動させない中立位置に動く。こうして苗植付部4を上昇させたときには、ロータ27が高速又は低速ポジションに設定したままで誤作動されることが防止できる。
なお、駆動入切用操作ケーブル100はロータ高さ調節レバー106及び昇降リンク連動アーム108に連結するように途中の分岐部116で2本に分岐している。
また、図12に示すように高速用操作ケーブル96及び低速用操作ケーブル97を操作するロータ変速操作装置であるロータ変速レバー105を操縦座席31の近くに配置している。従って、ロータ変速レバー105を高速側又は低速側に切換操作すると、該レバー105に接続した高速用操作ケーブル96又は低速用操作ケーブル97のインナー96a又はインナー97aが引っ張られててシフタ操作アーム95が動き、該シフタ操作アーム95の動きに連動するシフタ92が高速側のスプロケット87又は低速側のスプロケット85を作動させてロータ軸を高速又は低速回転させ、第1ロータ27aと第2ロータ27bが高速又は低速回転することになる。
ロータ変速装置Bのシフタ92の部分に泥が付着することによる作動不良を解消するために、シフタ操作アーム95、ケーブル96,97,100のインナーワイヤ96a,97a,100aと取付用アーム99及び固定部材101を覆うカバー102を設け、該カバー102でシフタ92の操作アーム95の回動支点95aの軸及び取付用アーム99の軸の軸受けと兼用した。
また、前述のように苗植付部4が上昇すると自動的にロータ27が自動的に回転停止位置(中立位置)に戻るようにした構成において、図12に示すように苗植付部4が上昇するとロータ変速レバー105がロータ変速装置Bを自動的に高速側から低速側に移動させる位置に復帰する。なお、苗植付部4の上昇時にロータ変速レバー105が前記低速位置に移動しても、前述のように、駆動入切用操作ケーブル100の作動に連動する取付用アーム99により高速用操作ケーブル96のインナーワイヤ96a及び低速用操作ケーブル97のインナーワイヤ97bが弛んでいるので、シフタ操作アーム95のスプリング93でクラッチ体91がロータ27を駆動させない中立位置に保持される。
また、苗植付部4が上昇中に畦クラッチ130を「入」にしてくことで、次の条分の苗を植え付けるときに畦クラッチ130を「入」にすることを忘れる不具合を防止できる。
すなわち、圃場での作業機が一条分の苗を植え付けで畦際に来ると畦クラッチ130を「切」として圃場を旋回する。そして旋回を終了した時点で苗植付部4を圃場に降ろして次の条分の苗を植え付けるときに畦クラッチ130を「入」にすることを忘れやすく、そのまま苗を圃場に植え付けないに作業機を前進させるおそれがある。そのため苗植付部4が上昇すると畦クラッチ130を「入」にしておく。
そのために、図12に示すように苗植付部4が上昇すると昇降リンク連動アーム108に引かれたケーブル110が畦クラッチ(植付ユニットクラッチ)レバー14を操作して畦クラッチ130を「入」状態にする。
なお、苗植付部4の上昇時に畦クラッチ130を「入」しておいても、苗植付部4の上昇時には苗植付ギヤケース25から苗植付部に動力伝達がされていないので苗植付部4が作動することはない。
上記ロータ変速装置Bは、ロータ27の回転速度を高速状態と低速状態に切り換え可能であるが、ロータ変速装置Bのクラッチ体91を高速用スプロケットと低速用スプロケットの係合しない中立状態に維持することで可能となり、別途クラッチ機構を設ける必要が無い。
従来のロータ27は、ロータ27の回転速度が後輪11の周速に対して約1.7倍前後と一定であり、この回転比は苗の植付速度が最大となる状態で作業を行っても、隣接条への水押しや泥押しの影響が出ない様に設定しているため、枕地でロータ27の圃場の均平化処理で凹凸の多い圃場面を低速で走行する場合には十分な均平が得られないことがあった。
そこで、図11に示すロータ27回転速度の高速と低速の切り換え可能にして圃場の均平化処理が効果的に行えるようにすることができるが、図13にはロータ変速装置のロータ27の回転速度の高速と低速の切り換えを電動モータ113により行う構成を示す。
図13に示す構成は図11に示すケーブル96,97,100に代えて電動モータ113を用いてシフタ操作アーム95を作動させるための構成であり、電動モータ113により作動する回動軸に固着した回動アーム118とその回転軸を挟んで互いに反対側にそれぞれ一端を係止させたスプリング117からなり、該スプリング117の他端をシフタ操作アーム95に係止させた構成である。
この場合は畦クラッチレバーセンサ159で畦クラッチ130が「切」であると検知されると枕地処理中であると判断して、畦クラッチ130の「切」時は制御装置200はモータ113を作動させてロータ変速装置Bによりロータ27を高速回転にして圃場の荒れを素早く直し、畦クラッチ「入」時は電動モータ113により素早く低速回転に切り換える。
また、第2ロータ27bは梁部材66に上端部が支持された一対のリンク部材76,77によりスプリング78を介して吊り下げられている。
該一対のリンク部材76,77は梁部材66に一端部が固着支持された第1リンク部材76と該第1リンク76の他端部に一端が回動自在に連結した第2リンク部材77からなり、該第2リンク部材77の他端部と補強部材74に回動自在に支持された取付片74aとの間に前記スプリング78が接続している。
またロータ上下位置調節レバー81の下端部には折曲片82が固着されており、該折曲片82は支持枠体65に回動自在に支持されている。そして前記レバー81が車両の左右方向に回動操作されると、支持枠体65の両側辺部材65bに回動自在に支持された梁部材66に固着支持された突出部66aの近くを折曲片82が上下に回動する。折曲片82は前記突出部66aの下方を係止しているので、該突出部66aがレバー81の機体右方向(図9の矢印S方向)の回動で、上向きに梁部材66を中心として回動すると、突出部66aの前記回動により第1リンク部材76の梁部材66との連結部と反対側の端部も梁部材66を中心として上向きに回動する。この第1リンク部材76の上方への回動により第2リンク部材77とスプリング78を介して第2ロータ27bを上方に上げることができる。第2ロータ27bを上方に移動させると、第2駆動軸70bと第1駆動軸70aを介して第1ロータ27aも同時に上方に移動する。
なお、ロータ上下位置調節レバー81は車体2のほぼ中央部に設けているので、第1ロータ27a,27bの上下動を行う場合に左右のバランスを取りやすい。
また、梁部材66にはクラッチレバーを兼ねるロータ収納用レバー84が固着しており、該レバー84を矢印T方向(図8)に回動すると梁部材66の回動に連動して支持アーム67が同じく矢印T方向に回動する。該支持アーム67の矢印T方向への回動で該ロータ支持フレーム68が上方に移動するので、第1、第2ロータ27a,27bを収納位置、すなわち苗載台51の裏面側に収納状態となるように移動させることができる。
本実施例ではロータ上下位置調節レバー81の低速位置で圃場面より45mmの高さにあるロータ27a,27bを図9の矢印S方向への回動で低速位置より最大15mm高くでき、図9の矢印S方向の反対方向への回動で低速位置より最大15mm低くできるように設定している。
また、図1に示すようにロータ27の後ろ上方にはロータカバー37(第1ロータカバー37a,第1ロータカバー37b)を設けてフロート55,56上に泥が掛からないようにしている。
梁部材66を回動させる構成として突出部66a、折曲片82及びロータ上下位置調節レバー81の代わりに梁部材66の一方の端部に設けた電動モータで梁部材66を回動させる構成としても良い。
前述の予備苗台装置は、中央の固定予備苗台38bの前後に可動予備苗台38a,38cを接続する3枚の予備苗台からなるものであるが、前述の予備苗台装置に代えて、前後の可動予備苗台38a,38cを各々上下3段からなる複数段に構成し、前側の可動予備苗台38aのうちの最下段の予備苗台が固定予備苗台38bの前側に接続され、後側の可動予備苗台38cのうちの最上段の予備苗台が固定予備苗台38bの後側に接続される構成とすることができる。従って、移動リンク39a,39b,39cの回動により前後の可動予備苗台38a,38cが固定予備苗台38bの上下に配置されるときは、予備苗台の前後左右位置が一致し、上下計7段の予備苗台となる。尚、他の構成は、前述の予備苗台装置と同様であるので、説明を省略する。
これにより、機体前方の畦から予備苗台装置へ苗補給するとき、畦にいる作業者は、機体に搭乗する作業者による苗植付部4への苗補給作業の進捗状況に応じて、接続された予備苗台上の苗の充満状態が解消されなければ、前側の可動予備苗台38aのうちの固定予備苗台38bに接続されていない苗台へ苗を補給することができる。また、予備苗台装置から苗植付部4へ苗補給するとき、機体に搭乗する作業者は、畦にいる作業者による予備苗台への苗補給作業の進捗状況に応じて、接続された予備苗台上の苗が少なくなれば、後側の可動予備苗台38aのうちの固定予備苗台38bに接続されていない苗台へ予め苗を補給することができ、苗植付部4の苗載台51上に苗が充満すれば、後側の可動予備苗台38aのうちの固定予備苗台38bに接続されていない苗台へ苗を補給することができる。よって、畦にいる作業者と機体に搭乗する作業者の双方の苗補給作業に余裕ができ、苗補給作業性が向上する。また、畦に障害物があって可動予備苗台38aを前側へ移動できない場合は、予備苗台を上下配置状態にしたままで苗補給作業をすればよく、このとき、上下配置される苗台が多段であるので、畦にいる作業者と機体に搭乗する作業者の双方の苗補給作業に余裕ができ、苗補給作業性が向上する。
尚、可動予備苗台38a,38cは、上下3段としたが、上下2段を含む複数段とすればよい。また、前後の可動予備苗台38a,38cのうちの前後一方側の可動予備苗台38a,38cのみを上下複数段とし、前後他方側の可動予備苗台38a,38cを1段構成としてもよい。
尚、後側の可動予備苗台38cの下方に、苗を取り出した後の空の苗トレイを収容する空苗トレイ収容部38dを設けることができる。これにより、予備苗台の接続状態で、空の苗トレイを前後に長く接続される予備苗台の後端部の空苗トレイ収容部38dに収容し、予備苗台を上下配置状態に切り替えることで、空苗トレイ収容部38dを前側(畦側)へ移動させることができ、苗補給作業の邪魔にならずに、空苗トレイの回収を容易に行える。尚、空苗トレイ収容部38dを後側の可動予備苗台38cに対して着脱可能に構成すれば、空苗トレイの回収を更に容易に行える。尚、前述のように後側の可動予備苗台38cを上下複数段とする場合は、当該可動予備苗台38cの最上段以外の苗台を空苗トレイ収容部38dとしてもよい。
また、前述の予備苗台装置は、移動リンク39a,39b,39cを予備苗台に対して機体の左右方向内側となる一側方にのみ配置した構成としたが、移動リンク39a,39b,39cを予備苗台に対して機体の左右方向両側となる両側方に配置することもできる。これにより、可動予備苗台38a,38cを上下複数段としたとき、可動予備苗台38a,38cの大重量に対応してこの可動予備苗台38a,38cの支持強度を向上させることができる。特に、前後一方側の可動予備苗台38a,38cのみを上下複数段としたときは、当該可動予備苗台38a,38cを支持する部分の移動リンクのみ予備苗台の両側に配置するようにすれば、1段のみの可動予備苗台38a,38c側の予備苗台の一側方には移動リンクが配置されないので、当該予備苗台の一側方から移動リンクが邪魔にならずに苗を容易に出し入れすることができ、苗補給作業性を向上させることができる。尚、機体外側の第2移動リンク部材39bは、前後一方側(前側)の可動予備苗台38aと固定予備苗台38bの間となる部分にのみ設けられる。
また、第3、第2、第4、第5ストッパ47c,47b,47d,47e等の可動ストッパの先端部にローラ200を設けている。これにより、移動リンク39a,39b,39cの回動により可動予備苗台38a,38cを移動させて予備苗台を上下配置状態と接続状態との間で切り替えるとき、接続位置となる予備苗台の端部にある苗トレイを回動する可動ストッパのローラ200に接触しながら良好に可動ストッパで予備苗台側へ案内できる。仮に、ローラ200がないと、接続位置となる予備苗台の端部にある苗トレイが回動する可動ストッパにひっかかって、上下配置状態で苗トレイが可動ストッパ上に載ったままになったり、苗トレイを破損させたり、場合によっては予備苗台から苗トレイが脱落するおそれがある。
また、上述では可動ストッパを回動して出入する構成について説明したが、可動ストッパを予備苗台に対して垂直な方向(鉛直方向)へ直線移動軌跡で移動させて出入する構成とすることもできる。具体構造について説明すると、移動リンクと一体回動するピニオンギヤ201を各予備苗台の可動ストッパ付近に設け、可動ストッパに備えるラックギヤ202がピニオンギヤに噛み合い、予備苗台を上下配置状態に切り替えるべく移動リンク39a,39b,39cを回動すると、ピニオンギヤ201の回動でラックギヤ202を介して可動ストッパが上方へ突出し、予備苗台を接続状態に切り替えるべく移動リンク39a,39b,39cを回動すると、ピニオンギヤ201の回動でラックギヤ202を介して可動ストッパが下方へ退入する構成としている。これにより、可動ストッパが上下方向へ直線的に移動するので、可動ストッパの出入により、上下配置状態で苗トレイが可動ストッパ上に載ったままになったり、苗トレイを破損させたり、場合によっては予備苗台から苗トレイが脱落するようなことを防止できる。
また、可動ストッパを専用の可動ストッパ操作ワイヤ(可動ストッパ連繋機構)を介して回動ロックレバー73bに連繋し、回動ロックレバー73bを予備苗台の上下配置状態でロックするロック位置に切り替えると、可動ストッパが突出し、回動ロックレバー73bを前記ロックを解除する解除位置に切り替えると、可動ストッパが退入する構成とすることができる。これにより、予備苗台の上下配置状態で可動ストッパを出入することができ、可動予備苗台38a,38cを移動させるときには可動ストッパが作動しないので、可動予備苗台38a,38cの移動に相俟って可動ストッパが作動することで苗トレイが予備苗台から脱落するようなことを防止できる。
また、予備苗台の接続状態で、第1移動リンク部材39aのリンク部の上面が第2移動リンク部材39bのリンク部の下面に接触し、第2移動リンク部材39bのリンク部の上面が第3移動リンク部材39cのリンク部の下面に接触し、移動リンク39a,39b,39cが互いに接触することにより予備苗台の接続状態を保持する構成とすることができる。これにより、構造が簡単になり、また予備苗台の接続状態での支持強度を向上させることができると共に、予備苗台の接続状態で移動リンク39a,39b,39cを保持するための保持部材を移動リンクの近傍に格別に設ける必要がないので、前記保持部材が邪魔にならずに予備苗台の側方から該予備苗台へ苗を供給したり予備苗台から側方へ苗を取り出したりすることができ、苗補給作業性が向上する。
また、この予備苗台装置は上下方向の回動軸49a回りに回動可能に構成されているので、予備苗台を上下配置状態にし、回動軸49a回りに180度回動させ、予備苗台を接続状態に切り替えることにより、予備苗台の向きを前後反対にすることができる。従って、上下配置状態で固定予備苗台38bの上方に位置する可動予備苗台38aが、接続状態では固定予備苗台38bの後側に接続されることになる。よって、施肥装置5へ肥料を補給するとき、予備苗台の上下配置状態で機体前方の畦から最上段の可動予備苗台38aへ肥料袋等の肥料を収容する肥料収容物を載せ、予備苗台を接続状態に切り替えることにより最上段の可動予備苗台38aごと肥料収容物を後側へ移動させることができ、肥料補給作業を容易に行える。このとき、予備苗台を上下配置状態から接続状態へ切り替えるにあたり、最上段の可動予備苗台38aを肥料収容物の自重で下側へ移動させながら後側へ移動させることができるので、上下配置状態から接続状態への切替が容易に行える。尚、施肥装置5の左右に長い肥料ホッパ60への肥料補給は、前後に長い接続状態の予備苗台の最後部に肥料収容物を載せ、回動軸49a回りに予備苗台を左右に回動させて肥料収容物を左右に移動させながら容易に行える。
また、各予備苗台の側方には、該予備苗台の前後傾斜姿勢に対して前下がり姿勢となる苗トレイ回収レール203を設けることができる。この苗トレイ回収レール203は、予備苗台を接続状態へ切り替えることにより、互いに接続されて前後に長い一直線上で且つ前下がり姿勢に配置される。従って、接続状態の予備苗台装置の後端部となる後側の可動予備苗台38cの苗トレイから苗を取り出して苗植付部4の苗載台51へ補給するが、苗を取り出した後の空の苗トレイを一直線上に配置される苗トレイ回収レール203の後端部に短手方向が上下に向くように立てて載せ、苗トレイ回収レール203を介して前側に移動させて機体前方の畦へ回収することができ、苗補給作業性の向上が図れる。
また、予備苗台には苗トレイを載せる載せ面となる苗載ローラ204を備えているが、苗載ローラ204の苗載せ側(上側)とは反対側(下側)を空の苗トレイを搬送するための空苗トレイ搬送経路205とし、空苗トレイ搬送経路205における空苗トレイの前側への搬送を苗載ローラ204で案内することができる。尚、予備苗台及び空苗トレイ搬送経路205を機体の左右方向内側が低位となるよう傾斜させ、機体の走行で予備苗台上の苗トレイが機体外方へ飛び出さないようにしたとき、左右に傾斜していても空の苗トレイを苗載ローラ204によりスムーズに搬送することができる。
また、予備苗台を左右に傾斜させた構成とした場合は、傾斜下位側となる予備苗台の側壁部に案内ローラ206を設ければ、予備苗台上で苗トレイを円滑に搬送することができる。尚、苗補給作業後に予備苗台上で空の苗トレイを前側へ搬送するようにしてもよい。
また、第3、第2、第4、第5ストッパ47c,47b,47d,47e等の可動ストッパに、受継用ローラ207を設けることができる。この受継用ローラ207は、可動ストッパの回動支点軸208に対してストッパ作用部とは反対側に位置し、可動ストッパが作用状態(突出状態)では下方に退入し、可動ストッパが非作用状態(退入状態)で上方に突出して予備苗台の苗載ローラ204と同じ高さとなり、予備苗台間を移動する苗トレイを案内する構成となっている。これにより、苗トレイを予備苗台間でスムーズに移動させることができる。
また、上下配置状態で最上段の可動予備苗台38aとなる前側の可動予備苗台38aにウエイトを取り付け、予備苗台の上下配置状態から接続状態への切替を容易に行えると共に、接続状態ではウエイトが機体の前側寄りに位置して機体の前後重量バランスを良好にすることができる。尚、ウエイトは、可動予備苗台の前部に設けることが望ましい。
また、移動リンク39a,39b,39cの連結軸となる回動軸の上下位置を、互いに上下に異ならせて配置することができる。すなわち、上下配置状態で、固定予備苗台38bの上方に位置する可動予備苗台38aに連結される後側の回動軸38a2を、固定予備苗台38bとは上下反対側(上側)に位置させる。固定予備苗台38bと上方に位置する可動予備苗台38aを連結する移動リンク39aにおいて、固定予備苗台38bに連結される前側の回動軸38b1を、上方に位置する可動予備苗台38aとは上下反対側(下側)に位置させる。固定予備苗台38bと下方に位置する可動予備苗台38aを連結する移動リンク39cにおいて、固定予備苗台38bに連結される後側の回動軸38b3を、下方に位置する可動予備苗台38aとは上下反対側(上側)に位置させる。固定予備苗台38bの下方に位置する可動予備苗台38cに連結される前側の回動軸38c1を、固定予備苗台38bとは上下反対側(下側)に位置させる。これにより、予備苗台の上下間隔を維持しながら、移動リンク39a,39b,39cのリンク長を長くすることができ、移動リンク39a,39b,39cの死点越えによる可動予備苗台38a,38cの移動負荷を低減することができ、予備苗台の上下配置状態と接続状態の切替を容易に行える。
以上、種々の実施の形態について説明したが、同一機能の異なる実施の形態である等の併用できない場合を除き、これらの実施の形態を適宜同時に併用して実施してもよい。