JP2011045316A - トリアセチン配合水中油型乳化組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】微小な乳化粒子の調製が容易であり、かつ、得られた乳化粒子が高い安定性を有する水中油型乳化組成物を提供すること。
【解決手段】油溶性成分、乳化剤、トリアセチンと、水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上を含有する組成物を乳化し、水中油型乳化組成物を得る。
【選択図】なし
【解決手段】油溶性成分、乳化剤、トリアセチンと、水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上を含有する組成物を乳化し、水中油型乳化組成物を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、従来の方法に比べ、微小な乳化粒子の調製が容易であり、かつ、得られた乳化粒子が高い安定性を有する水中油型乳化組成物に関し、さらにはこの技術を利用し、従来の方法では乳化が困難であるか、または、乳化後の乳化粒子が不安定である難乳化性の油溶性成分の安定な水中油型乳化組成物に関する。
従来、飲食品、香粧品、保健・衛生・医薬品に好ましい香味、混濁及び色調を付与する目的で、油性着香料、動植物油脂類、油溶性色素類などの油溶性成分を、アラビアガム、キラヤ抽出物、化工でん粉、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの乳化剤を用いて得られる水中油型乳化組成物は、極めて一般的に使用されている。
また、油溶性成分を乳化し、得られる水中油型乳化組成物の乳化安定性、すなわち、微小な乳化粒子が保存期間中、分離、合一、沈殿の生成などの物理変化を起こすことなく安定な状態を保つために、油溶性成分、界面活性剤及びその他の成分の種類、添加量の検討、および、ホモゲナイザーなどを用いる均質化などの条件の検討を行い、好ましい配合量、製造条件を決定するのが一般的である。
これまで、水中油型乳化組成物の乳化安定性の改善に関しいくつかの提案がある。例えば、アラビアガムの酸性基の対イオンの少なくとも一部を水素に置換し、アラビアガム濃度5重量%の水溶液の粘度を30mPa・s以上に調製する改質アラビアガム(特許文献1)、Acacia senegal種に属するアラビアガムを加熱することにより得られる重量平均分子量90万以上、またはアラビノガラクタン蛋白質を17重量%以上の割合で含む水溶性の改質アラビアガムなど乳化力、乳化安定化力、カプセル化力、粘着性、保護コロイド性又はフィルム形成性などの特性が改善もしくは向上されたアラビアガム(特許文献2)、油溶性成分、精製ポリグリセリン脂肪酸エステル、多価アルコールおよび水からなる組成物を乳化して得られる耐アルコール性透明乳化組成物およびその製造方法(特許文献3)、油性着香料、油性色素類、動植物油脂類、中鎖脂肪酸トリグリセリド類、脂溶性ビタミン及び植物性天然樹脂よりなる群より選ばれた少なくとも1種の油溶性成分、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレート(SAIB)、精製ポリグリセリン脂肪酸エステル、含水率50重量%以下の多価アルコールからなる酸性飲料配合用乳化組成物(特許文献4)などがある。
しかしながら、上記提案は使用する乳化剤の改良技術であり、これらの従来技術に比べ、さらに安定性の高い乳化組成物の開発、あるいは従来、安定な乳化組成物が得られなかった油溶性成分を乳化して安定性の高い乳化組成物を得る方法の開発が求められていた。
本発明は、微小な乳化粒子の調製が容易であり、かつ、得られた乳化粒子が高い安定性を有する水中油型乳化組成物に関し、さらにはこの技術を利用した難乳化性の油溶性成分の安定な水中油型乳化組成物に関する。
従来、油溶性成分である動植物油脂類のうち、例えば、大豆油、ナタネ油、コーン油、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、米油など植物性樹脂類、および、炭素数6〜12程度の中鎖飽和脂肪酸トリグリセリドは、他の油溶性成分を溶解する溶剤としても使用されているが、これらは、油溶性成分を含有する微小な乳化粒子が水中で安定な分散状態を保持するために寄与していると考えられる。
また、多価アルコール、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、澱粉分解還元物、グルコース、ショ糖、マルトースなどの糖類及びこれらの2種以上の混合物も、水に溶解し、油溶性成分を含有する微小な乳化粒子が水中で安定な分散状態を保持するために寄与していると考えられる。
乳化粒子を調製する場合、油溶性成分、乳化剤、多価アルコール、水などの組合せを決めたら、一般的には機械的撹拌等の均質化により、できるだけ乳化粒子の平均粒子径を小さくする。平均粒子径が小さい方が粒子の粒度分布が小さくなり、均一な乳化粒子が得られるからである。しかしながら、油溶性成分、乳化剤などの組合せによっては、平均粒子径が小さくなると逆に乳化粒子を調製後の粒子同士の合一が起こる現象が起こる。特に平均粒子径を1μm以下、さらには0.5μm以下とした場合に、粒子の合一が起こり、2〜5μmの粒子が生成し、安定な乳化状態を保つのは難しい。
そこで、本発明者らは、平均粒子径を1μm以下とした場合でも安定な乳化状態を保つことのできる成分の探索に鋭意努めてきた。その結果、意外にもトリアセチンを添加することにより、微小な乳化粒子の調製が容易であり、かつ、得られた乳化粒子が高い安定性を有する水中油型乳化組成物が調製できるという事実を見出した。
トリアセチンは、従来、チューインガムベースの状態改良、主として軟化を目的として補助的に添加する提案(特開平2−222651、特公平3−76901、特表2005−521413)、平均粒子径が1〜500μmのバニリン、エチルバニリン、マルトール及びエチルマルトールなどの粉末香気成分と30〜100℃の融点を有する食用油脂を含有するペースト状香味料組成物に第2の油成分の一つとしてトリアセチンを添加させ、所望の柔らかさを与える提案(特開2003−9804)、焙煎したコーヒー豆を水蒸気と接触させて冷却し、香気成分を含む凝縮液をグリセリン脂肪酸エステルであるトリアセチンで再抽出するコーヒーフレーバーの製造方法(特開2005−87122)などに用いられている。これら提案は、ガムベースなどの基剤の軟化、あるいは、香気成分を溶解させる溶剤などで使用されているに過ぎず、油溶性成分を乳化し、安定な水中油型乳化組成物を得るためにトリアセチンを添加する先行文献は見出せなかった。
本発明者らが、さらに検討した結果、トリアセチンを油溶性成分、乳化剤と、水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上を含有する組成物を乳化したところ、平均粒子径を1μm以下、さらには0.5μm以下とした場合に安定な乳化状態を保つ顕著な効果を見出した。また、その際、乳化剤としてキラヤ抽出物を使用したところ、油溶性成分のうち、製法や成分によって、従来、乳化自体が困難か、乳化後の乳化粒子が不安定で乳化組成物を調製することができなかった、炭酸ガス抽出物、ワックス分を多く含有するもの、長鎖脂肪酸トリグリセリドを多く含有するもの、および、酸、エステル、ラクトン、アルデヒドなど乳化粒子を不安定にする成分を多く含む香料の乳化も可能であることを見出し、本発明を完成させた。
かくして、本発明は、(a)油溶性成分、(b)乳化剤、(c)トリアセチン、(d)水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物を提供するものである。
また、本発明は、乳化剤がキラヤ抽出物である前記の水中油型乳化組成物を提供するものである。
また、本発明は、油溶性成分が難乳化性成分である前記の水中油型乳化組成物を提供するものである。
本発明によれば、油溶性成分、乳化剤、トリアセチンと、水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上を乳化することにより、従来の方法に比べ、微小な乳化粒子の調製が容易であり、かつ、得られた乳化粒子が高い安定性を有する水中油型乳化組成物を提供できる。さらに、乳化剤としてキラヤ抽出物を使用する場合には、これまで安定な乳化組成物を調製することができなかった、炭酸ガス抽出物、ワックス分を多く含有するもの、長鎖脂肪酸トリグリセリドを多く含有するもの、および、酸、エステル、ラクトン、アルデヒドなど乳化粒子を不安定にする成分を多く含む香料の乳化が可能となる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明において使用する油溶性成分は特に制限はなく、例えば、各種の油脂類、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質、香料類などを使用することができる。油脂類としては、例えば、大豆油、米油、米サラダ油、ゴマ油、ピーナッツ油、コーン油、菜種油、ヤシ油、パーム油などの植物油脂類およびそれらの硬化油;牛脂、豚脂、鶏油などの動物油脂類及びそれらの硬化油;中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)などを挙げることができ、油溶性色素類としては、例えば、β−カロチン、パプリカ色素、アナトー色素及びクロロフィルなどの油溶性天然色素類が挙げられ、油溶性ビタミン類としては、例えば、肝油、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンD3、ビタミンB2酪酸エステル、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンKなどが挙げられ、機能性物質としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、DHAおよび/またはEPA含有魚油、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、月見草油、ボラージ油、レシチン、オクタコサノール、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、γ−オリザノール、β−カロチン、パームカロチン、シソ油などが挙げられ、香料類としては、例えば、香料化学総覧1,2,3(奥田治著、廣川書店出版)、合成香料(印藤元一著、化学工業日報社)、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、P88−131、平成12年1月14日発行」に記載されている天然精油、天然香料、合成香料を挙げることができる。具体的には、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類精油、花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの天然精油;コーラナッツエキストラクト、コーヒーエキストラクト、ワニラエキストラクト、ココアエキストラクト、紅茶エキストラクト、スパイス類エキストラクトなどの油性のエキストラクト、レジノイドおよびこれらのオレオレジン類など天然香料;合成香料 化学と商品知識”(2005年3月22日増補改訂版発行 印藤元一著 化学工業日報社)等に記載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素及び/または含硫化合物類、酸類の群から選ばれる少なくとも1種以上の合成香料などが挙げられる。また、これらの天然精油、天然香料、合成香料を単独あるいは任意の混合物として使用することができる。また、さらに、上記の油溶性成分はそれぞれ単独、あるいは2種以上の任意の混合物として用いることもできる。
本発明において使用する油溶性成分は特に制限はなく、例えば、各種の油脂類、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質、香料類などを使用することができる。油脂類としては、例えば、大豆油、米油、米サラダ油、ゴマ油、ピーナッツ油、コーン油、菜種油、ヤシ油、パーム油などの植物油脂類およびそれらの硬化油;牛脂、豚脂、鶏油などの動物油脂類及びそれらの硬化油;中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)などを挙げることができ、油溶性色素類としては、例えば、β−カロチン、パプリカ色素、アナトー色素及びクロロフィルなどの油溶性天然色素類が挙げられ、油溶性ビタミン類としては、例えば、肝油、ビタミンA、ビタミンA油、ビタミンD3、ビタミンB2酪酸エステル、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンKなどが挙げられ、機能性物質としては、例えば、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、DHAおよび/またはEPA含有魚油、リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、月見草油、ボラージ油、レシチン、オクタコサノール、ローズマリー抽出物、セージ抽出物、γ−オリザノール、β−カロチン、パームカロチン、シソ油などが挙げられ、香料類としては、例えば、香料化学総覧1,2,3(奥田治著、廣川書店出版)、合成香料(印藤元一著、化学工業日報社)、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、P88−131、平成12年1月14日発行」に記載されている天然精油、天然香料、合成香料を挙げることができる。具体的には、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類精油、花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの天然精油;コーラナッツエキストラクト、コーヒーエキストラクト、ワニラエキストラクト、ココアエキストラクト、紅茶エキストラクト、スパイス類エキストラクトなどの油性のエキストラクト、レジノイドおよびこれらのオレオレジン類など天然香料;合成香料 化学と商品知識”(2005年3月22日増補改訂版発行 印藤元一著 化学工業日報社)等に記載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素及び/または含硫化合物類、酸類の群から選ばれる少なくとも1種以上の合成香料などが挙げられる。また、これらの天然精油、天然香料、合成香料を単独あるいは任意の混合物として使用することができる。また、さらに、上記の油溶性成分はそれぞれ単独、あるいは2種以上の任意の混合物として用いることもできる。
本発明で使用する油溶性成分の配合量は、乳化組成物中に0.5質量%〜50質量%、好ましくは5質量%〜35質量%を例示することができる。油溶性成分の配合量は、乳化製剤の輸送にかかるコストや保管場所などの事情を考慮するとなるべく多い方が好ましいが、油溶性成分が50質量%より多い場合、乳化混合の均一性が不十分となりやすいため好ましくない。また、乳化組成物中の油溶性成分の配合割合が0.5質量%未満では、最終製品に必要とされる量の油溶性成分を配合するための乳化組成物の添加量が多くなってしまい不経済である。
また、本発明で利用することのできる乳化剤としては、アラビアガム、キラヤ抽出物あるいは化工でん粉、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの界面活性剤を挙げることができる。
キラヤ抽出物についてさらに説明する。キラヤ抽出物は、南米のチリ、ボリビア、ペルー等に自生または栽培されているバラ科キラヤ(Quillaja saponaria MOLINA)の樹皮より、熱時、水、アルコールなどで抽出して得られる抽出物であり、主成分はキラヤサポニンである。キラヤサポニンは乳化力があるだけではなく起泡力も強く、現地ではキラヤはシャボンの木とも呼ばれており、その樹液はシャンプーとして使用されている。キラヤサポニンを含有するキラヤ抽出物は、親水性が高く、表面張力低下力が強く、また、水に透明に溶解する、高HLBの界面活性剤であり、乳化力が強いため油溶性成分の透明乳化(乳化粒子を微小すると肉眼では透明に見える)に用いることもでき、食品用途を含め、広く使用されている。自家抽出を行っても良いが、市場で容易に入手可能であり、例えば、キラヤニン(登録商標)S−100、キラヤニンC−100、キラヤニンP−20(以上、丸善製薬社製キラヤ抽出物)、Quillaja ULTRA(商品名:ミツバ貿易(株)社製)などを挙げることができるがこれらに限定されるわけではない。また、一般にキラヤ抽出物をキラヤサポニンと呼ぶ場合もある。
本発明で使用する乳化剤の配合量は、乳化組成物中に0.1質量%〜5.0質量%、好ましくは0.5質量%〜3.0質量%、より好ましくは1.0質量%〜2.0質量%を例示することができる。乳化剤の量が0.1質量%より少ない場合、良好な乳化物が得られない可能性があり、また5.0質量%より多く使用してもそれほど乳化効果は高くならない。
また、本発明で利用することのできるトリアセチンは、特に限定はされないが食品用の品質を有するものが好ましい。市販品としては、例えば、有機合成薬品、大八化学工業、ダイセル化学工業、シグマ・アルドリッチなどが販売するトリアセチンを挙げることができる。
本発明で使用するトリアセチンの配合量は、乳化組成物中に0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.4質量%〜12質量%を例示することができる。トリアセチンの配合量が0.1%を下回る場合には、1μm以下の乳化粒子の安定性を保つことが難しく、一方、トリアセチンの配合量が20質量%を上回るとトリアセチンそのものが乳化組成物中で分散しにくくなり、1μm以下の乳化粒子の安定性を保つことが難しくなるか、乳化粒子が不安定になる。
実際にはトリアセチンの配合量は、他の成分である油溶性成分、水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上のそれぞれの配合割合を実験データなどを基に決定する。特に、乳化粒子が1μm以下、さらに0.5μm以下の均一で微小な乳化粒子を調製しようとする場合には、トリアセチンの配合量を少し変えただけでも乳化粒子が2〜3μm程度の粒子の存在割合が増加する傾向があるため、トリアセチンの配合量の範囲は比較的、狭くする必要がある。これについては、実施例で詳しく説明する。
乳化の際、トリアセチンの添加方法は三通りある。トリアセチンはアルコール、エーテル、クロロホルムなどに良く溶解し、水にもある程度溶解するという特殊な性質があり、一般的には、第一の方法として油溶性成分とトリアセチンを混合し、乳化剤と水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上を混合して得られる水相部とを混合し、分散または溶解させる方法を採用することができる。第二の方法は乳化剤と水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上、および、トリアセチンを混合して得られる水相部を調製し、油相部である油溶性成分を水相部に混合し、ホモミキサーなどを用いて高速攪拌し、乳化粒子を調製する方法である。また、第三の方法は乳化剤と水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上を混合して得られる水相部を調製し、油相部である油溶性成分を水相部に混合し、ホモミキサーなどを用いて高速攪拌し、乳化粒子を調製する際にトリアセチンを添加する方法である。
トリアセチンがどのような機構で乳化粒子の微粒子化を助け、かつ、得られた乳化粒子の安定性を改善するかは不明であるが、トリアセチンの上記のごとき特殊な溶解性および他の溶媒との共同作用により、トリアセチンを添加しない場合に、水相、油相のいずれにも溶解しないか、完全には溶解しない成分の溶解性を改善することや、乳化粒子の界面の荷電や、乳化粒子の水和など水相との相互作用への関与により、生成した乳化粒子の安定性に寄与する可能性が考えられる。いずれにしても、添加方法を変えることにより、同じような乳化粒子が調製できる場合もあれば、一方の方法がもう一つの方法に比べ、良好な乳化粒子ができる場合があるので、試験を行った上でいずれかの方法を採用すれば良い。
本発明で使用することのできる水は、特に限定はされないが、例えば、水道水、蒸留水、イオン交換水、あるいはこれらを脱気したものなどを挙げることができる。
本発明で使用することのできる1価アルコールおよび多価アルコールとしては、例えば、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、水あめ、還元水あめ、グルコース、フラクトース、ショ糖、マルトース、液糖などの糖類及びこれらの二種以上の混合物を例示することができる。
また、水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上の使用量は、乳化組成物中に10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%とすることができる。
本発明の難乳化性成分とは、油溶性成分のうち、従来、乳化自体が困難か、乳化後の乳化粒子が不安定で乳化組成物を調製することができなかったものを指し、例えば、炭酸ガス抽出物、ワックス分を多く含有するもの、長鎖脂肪酸トリグリセリドを多く含有するもの、および、酸、エステル、ラクトン、アルデヒドなど乳化粒子を不安定にする成分を多く含む香料などをあげることができるがこれらに限定されるわけではない。上記の難乳化性成分に対し、特に乳化剤としてキラヤ抽出物を使用した場合、最も安定な乳化粒子が得られ好適である。場合によっては他の乳化剤では乳化が困難であり、キラヤ抽出物を使用した場合にのみ、乳化が可能となる場合もある。
本発明の乳化組成物の調製法の好ましい一実施態様を例示すれば、例えば、キラヤ抽出物および異性化糖を混合、溶解し、水相部を調製する。次にこの水相部に油性香料を混合し、ホモミキサーを用いて均質化処理を行い、これにトリアセチンを加え、さらに均質化処理を行なうことにより、乳化粒子の平均粒子径が1μm以下、さらには0.5μm以下の良好な乳化組成物を得ることができる。
なお、平均粒子径の測定法は、一般に使用される方法、例えば、HORIBA LA−920レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製)を用いてその平均粒子径を測定する。
本発明の乳化組成物には、乳化を妨げない範囲で、その他の水溶性原料を配合することもできる。その他の成分としては、例えば、水溶性色素;水溶性ビタミン;水溶性酸化防止剤;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリド等の香料保留剤;前記以外の乳化剤、増粘剤、安定剤などを例示することができる。
さらに、本発明の乳化組成物を飲料、例えば果汁飲料、醗酵乳飲料、発泡性清涼飲料などに使用する場合には、飲料中で安定な乳化粒子を得るために油溶性成分にあらかじめ比重調整剤であるシュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレート(SAIB)を添加して乳化後の組成物を添加しようとする飲料の比重に合致するようにすることもできる。
本発明の水中油型乳化組成物は、各種の製品、例えば、飲食品、香粧品、保健・衛生・医薬品などに添加することにより、好ましい香味、混濁及び色調を付与または増強することもできるし、有用な油溶性成分を人が摂取しやすくすることもできる。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。
[実施例1]
異性化液糖(Bx75°)840gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とした。これとは別にオレンジオイル100gにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを混合、分散し、油相部とした。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、オレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品1)。
異性化液糖(Bx75°)840gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とした。これとは別にオレンジオイル100gにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを混合、分散し、油相部とした。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、オレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品1)。
[実施例2]
異性化液糖(Bx75°)840gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gおよびトリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを混合し水相部とする。これに油相部であるオレンジオイル100gを混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、オレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品2)。
異性化液糖(Bx75°)840gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gおよびトリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを混合し水相部とする。これに油相部であるオレンジオイル100gを混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、オレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品2)。
[実施例3]
異性化液糖(Bx75°)840gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とする。これに油相部であるオレンジオイル100gを混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで攪拌しながら、トリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを2回に分けて添加混合し、さらに10分間攪拌することにより、オレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品3)。
異性化液糖(Bx75°)840gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とする。これに油相部であるオレンジオイル100gを混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで攪拌しながら、トリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを2回に分けて添加混合し、さらに10分間攪拌することにより、オレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品3)。
[実施例4]
実施例1でキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えてポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンオレエート、商品名Decaglyn−OV日光ケミカルズ社製)50gを使用する以外は、実施例1と同様な方法でオレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品4)。
実施例1でキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えてポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンオレエート、商品名Decaglyn−OV日光ケミカルズ社製)50gを使用する以外は、実施例1と同様な方法でオレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品4)。
[実施例5]
実施例2でキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えてポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンオレエート、商品名Decaglyn−OV日光ケミカルズ社製)50gを使用する以外は、実施例2と同様な方法でオレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品5)。
実施例2でキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えてポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンオレエート、商品名Decaglyn−OV日光ケミカルズ社製)50gを使用する以外は、実施例2と同様な方法でオレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品5)。
[実施例6]
実施例3でキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えてポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンオレエート、商品名Decaglyn−OV日光ケミカルズ社製)50gを使用する以外は、実施例3と同様な方法でオレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品6)。
実施例3でキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えてポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリンオレエート、商品名Decaglyn−OV日光ケミカルズ社製)50gを使用する以外は、実施例3と同様な方法でオレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品6)。
[実施例7]
実施例1で異性化液糖(Bx75°)840gおよびキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えてグリセリン390g、アラビアガム70%水溶液(南川化成社製アラビアガムを微粉砕し、水に溶解したもの)500gを使用する以外は、実施例1と同様な方法でオレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品7)。
実施例1で異性化液糖(Bx75°)840gおよびキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えてグリセリン390g、アラビアガム70%水溶液(南川化成社製アラビアガムを微粉砕し、水に溶解したもの)500gを使用する以外は、実施例1と同様な方法でオレンジオイルの乳化物1000gを得た(発明品7)。
[実施例8]
実施例1で異性化液糖(Bx75°)840g、キラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えて、異性化液糖(Bx75°)850g、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ステアリン酸エステル、商品名シュガーエステルDK−SS、第一工業製薬社製)10g、水30gを使用する以外は、実施例1と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(発明品8)。
実施例1で異性化液糖(Bx75°)840g、キラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gに代えて、異性化液糖(Bx75°)850g、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ステアリン酸エステル、商品名シュガーエステルDK−SS、第一工業製薬社製)10g、水30gを使用する以外は、実施例1と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(発明品8)。
[比較例1]
実施例1で異性化液糖(Bx75°)840gに代えて異性化液糖(Bx75°)850gを添加し、油相にトリアセチン10gを添加しない以外は、実施例1と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(比較品1)。
実施例1で異性化液糖(Bx75°)840gに代えて異性化液糖(Bx75°)850gを添加し、油相にトリアセチン10gを添加しない以外は、実施例1と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(比較品1)。
[比較例2]
実施例4で異性化液糖(Bx75°)840gに代えて異性化液糖(Bx75°)850gを添加し、油相にトリアセチン10gを添加しない以外は、実施例4と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(比較品2)。
実施例4で異性化液糖(Bx75°)840gに代えて異性化液糖(Bx75°)850gを添加し、油相にトリアセチン10gを添加しない以外は、実施例4と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(比較品2)。
[比較例3]
実施例7でグリセリン390gに代えてグリセリン400gを添加し、油相にトリアセチン10gを添加しない以外は、実施例7と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(比較品3)。
実施例7でグリセリン390gに代えてグリセリン400gを添加し、油相にトリアセチン10gを添加しない以外は、実施例7と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(比較品3)。
[比較例4]
実施例8で異性化液糖(Bx75°)850gに代えて異性化液糖(Bx75°)860gを添加し、油相にトリアセチン10gを添加しない以外は、実施例8と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(比較品4)。
乳化組成物の粒子径の測定
発明品1〜8および比較品1〜4の平均粒子径をHORIBA LA−920レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製)を用いて測定した結果を表1に示した。
実施例8で異性化液糖(Bx75°)850gに代えて異性化液糖(Bx75°)860gを添加し、油相にトリアセチン10gを添加しない以外は、実施例8と同様な方法でオレンジオイルの乳化組成物1000gを得た(比較品4)。
乳化組成物の粒子径の測定
発明品1〜8および比較品1〜4の平均粒子径をHORIBA LA−920レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製)を用いて測定した結果を表1に示した。
オレンジオイルの乳化では、表1の結果から明らかなように、キラヤ抽出物、トリアセチンを使用した発明品1〜3の乳化粒子は、平均粒子径が0.5μm以下の非常に細かく、均質な粒子であり、20℃、1週間の保存後も安定であった。発明品1はトリアセチンを油相に、発明品2は水相に、発明品3は撹拌後に添加したものであるが、添加時期に係わらず、いずれの場合も0.5μm以下の均質な粒子が生成していた。一方、トリアセチン無添加の比較品1は平均粒子径が1〜2μmであり、発明品1〜3に比べ、粒子径が大きく、光学顕微鏡による観察でも粒子のバラツキが確認された。
発明品4〜6はポリグリセリン脂肪酸エステル、トリアセチンを使用し、トリアセチンの添加時期が異なるものであるが、その乳化粒子はいずれも平均粒子径が1μm以下の均質な粒子であり、20℃、1週間の保存後も安定であった。一方、トリアセチン無添加の比較品2は平均粒子径が1〜2μmであり、発明品4〜6に比べ、粒子径が大きく、光学顕微鏡による観察でも粒子のバラツキが確認された。
アラビアガム、トリアセチンを使用した発明品7およびショ糖脂肪酸エステル、トリアセチンを使用した発明品8も、平均粒子径が1μm以下の均質な粒子であり、20℃、1週間の保存後も安定であった。
以上の結果から、油溶性成分、乳化剤、水などを含有する従来の乳化組成物にトリアセチンを添加することにより、添加しない場合に比べ、乳化粒子は小さくなった。特にキラヤ抽出物を用いた場合は、0.5μm以下の非常に細かく、均質な粒子が生成し良好であった。また、オレンジオイルの乳化に関する限り、発明品1〜3および発明品4〜6の結果からわかるように、トリアセチン添加時期に係わらず、無添加の比較品1、2に比べ、平均粒子径が小さくなり、添加時期による効果に差はなかった。
〔実施例9〕
異性化液糖(Bx75°)840gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とする。これとは別に梅香料100gにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを混合、分散し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、梅香料の乳化組成物1000gを得た(発明品9)。なお、上記の梅香料は香料成分全体に占める、酸、アルデヒドおよびエステルの含有量の合計は5.5%であった。
異性化液糖(Bx75°)840gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とする。これとは別に梅香料100gにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを混合、分散し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、梅香料の乳化組成物1000gを得た(発明品9)。なお、上記の梅香料は香料成分全体に占める、酸、アルデヒドおよびエステルの含有量の合計は5.5%であった。
〔比較例5〕
実施例9で異性化液糖(Bx75°)840gを850gに代え、トリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを使用しない以外は、実施例9と同様な方法により、梅香料の乳化組成物1000gを得た(比較品5)。
実施例9で異性化液糖(Bx75°)840gを850gに代え、トリアセチン(ダイセル化学工業社製)10gを使用しない以外は、実施例9と同様な方法により、梅香料の乳化組成物1000gを得た(比較品5)。
[比較例6〜11]
表2に示した乳化組成物の組成にしたがって、実施例9または比較例5と同様な方法により、比較例6〜11を実施し、乳化組成物各1000gを得た(比較品6〜11)。
表2に示した乳化組成物の組成にしたがって、実施例9または比較例5と同様な方法により、比較例6〜11を実施し、乳化組成物各1000gを得た(比較品6〜11)。
発明品9および比較品5〜11の乳化状態の比較
発明品9および比較品5〜11を30mlのサンプル瓶に30gずつ小分けして、乳化直後の乳化状態の比較を目視および光学顕微鏡により行なった。さらに乳化組成物を5℃、20℃、50℃で1週間保存し、乳化状態の比較を同様に行なった。表3にその結果を示した。
発明品9および比較品5〜11を30mlのサンプル瓶に30gずつ小分けして、乳化直後の乳化状態の比較を目視および光学顕微鏡により行なった。さらに乳化組成物を5℃、20℃、50℃で1週間保存し、乳化状態の比較を同様に行なった。表3にその結果を示した。
表3の結果から明らかなように、アラビアガムを乳化剤とする比較品8(トリアセチン添加)および比較品9(トリアセチン無添加)は乳化直後においても、平均粒子径が1〜5μmの比較的大きな粒子が観察され、バラツキも大きく、乳化状態はどちらも不良と判定された。
一方、キラヤ抽出物を乳化剤とする発明品9(トリアセチン添加)は、乳化直後、平均粒子径は1μm以下の細かく、均一な粒子であり、乳化状態は良であった。
これに対し、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルを乳化剤とする比較品6(トリアセチン添加)、比較品7(トリアセチン無添加)、比較品10(トリアセチン添加)および比較品11(トリアセチン無添加)の乳化状態は目視では良であったが、光学顕微鏡で確認すると1〜5μmの粒子が観察され、バラツキがあり、乳化状態は不良であった。
以上の結果から、酸、アルデヒドおよびエステル含量の高い香料である、上記の梅香料の場合に、キラヤ抽出物とトリアセチンを併用することにより、平均粒子径1μm以下の均一な粒子が得られ、乳化直後および1週間保存後の乳化状態が良好で安定な乳化組成物が得られた。
〔実施例10〕
異性化液糖(Bx75°)780gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とする。これとは別に超臨界炭酸ガスで抽出したコーヒー香料150gにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)20gを混合、分散し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、コーヒー香料の乳化組成物1000gを得た(発明品10)。
異性化液糖(Bx75°)780gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とする。これとは別に超臨界炭酸ガスで抽出したコーヒー香料150gにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)20gを混合、分散し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、コーヒー香料の乳化組成物1000gを得た(発明品10)。
〔比較例12〕
実施例10で異性化液糖(Bx75°)780gを790gに変更し、トリアセチン(ダイセル化学工業社製)20gを10gとするほかは実施例10と同様な方法により、コーヒー香料の乳化組成物1000gを得た(比較品12)。
実施例10で異性化液糖(Bx75°)780gを790gに変更し、トリアセチン(ダイセル化学工業社製)20gを10gとするほかは実施例10と同様な方法により、コーヒー香料の乳化組成物1000gを得た(比較品12)。
〔比較例13〕
実施例10で異性化液糖(Bx75°)780gを770gに変更し、トリアセチン(ダイセル化学工業社製)20gを30gとするほかは実施例10と同様な方法により、コーヒー香料の乳化組成物1000gを得た(比較品13)。
発明品10および比較品12、13の乳化状態の比較
発明品10および比較品12〜13を30mlサンプル瓶に30gずつ小分けし、5℃、20℃および50℃にて1週間保存テストを行い、乳化の状態を肉眼で観察した。また、乳化状態をさらに光学顕微鏡で観察し、乳化の状態を判定した。結果を表4に示す。
実施例10で異性化液糖(Bx75°)780gを770gに変更し、トリアセチン(ダイセル化学工業社製)20gを30gとするほかは実施例10と同様な方法により、コーヒー香料の乳化組成物1000gを得た(比較品13)。
発明品10および比較品12、13の乳化状態の比較
発明品10および比較品12〜13を30mlサンプル瓶に30gずつ小分けし、5℃、20℃および50℃にて1週間保存テストを行い、乳化の状態を肉眼で観察した。また、乳化状態をさらに光学顕微鏡で観察し、乳化の状態を判定した。結果を表4に示す。
表4の結果から明らかなように、トリアセチンを20g使用した発明品10は乳化粒子が0.5μm以下の非常に細かく、均質な粒子が生成し良好であった。また、5℃、20℃および50℃で1週間保存しても平均粒子径に大きな変化はなく、乳化状態は良好だった。一方、トリアセチンの使用量を10g、30gとした比較品12、13は、乳化直後、目視による乳化状態は良いが、光学顕微鏡で観察すると平均粒子径は1μm程度であり、2〜5μmの粒子も観察され、バラツキが大きかった。また、比較品12および13は、5℃、20℃および50℃で1週間保存するとさらに、平均粒子径が大きくなり、乳化状態は不良とされた。
結果として、上記のコーヒー香料の乳化ではトリアセチンの使用量は20g前後が好ましいことが示された。乳化を行おうとする油溶性成分、乳化剤、トリアセチン、水、1価アルコールおよび多価アルコールなどの成分の組合せおよび組成比により、トリアセチンの使用量は異なるとともに、他の成分の使用量範囲と比べ、トリアセチンの使用量範囲は比較的狭いといえる。
〔実施例11〕
異性化液糖(Bx75°)700gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とする。これとは別に市販のガーリックを剥皮後、圧搾抽出して得られたガーリック香料200gにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)50gを混合、分散し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、ガーリック香料の乳化組成物1000gを得た(発明品11)。
異性化液糖(Bx75°)700gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)50gを混合し水相部とする。これとは別に市販のガーリックを剥皮後、圧搾抽出して得られたガーリック香料200gにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)50gを混合、分散し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで10分間攪拌し、ガーリック香料の乳化組成物1000gを得た(発明品11)。
〔比較例14〕
実施例11で、異性化液糖(Bx75°)700gを750gとし、トリアセチン200gを0gとするほかは実施例11と同様な方法でガーリック香料の乳化組成物1000gを得た(比較品14)。
実施例11で、異性化液糖(Bx75°)700gを750gとし、トリアセチン200gを0gとするほかは実施例11と同様な方法でガーリック香料の乳化組成物1000gを得た(比較品14)。
表5の結果から明らかなように、キラヤ抽出物を乳化剤とし、トリアセチンを使用したガーリック香料乳化組成物である発明品11は、平均粒子径が0.5μm以下の非常に細かく、均質な粒子であり、また、5℃、20℃および50℃にて1週間保存しても平均粒子径に大きな変化はなく、乳化状態は良好だった。
〔実施例12〕
異性化液糖(Bx75°)670gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)80gを混合し水相部とする。これとは別に鰹節香料(超臨界抽出物、ワックス状態)100gにMCT50gを加えて混合溶解し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで2分間攪拌し、そこにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)100g添加して追加でTKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間攪拌して鰹節香料の乳化組成物1000gを得た(発明品12)。
異性化液糖(Bx75°)670gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)80gを混合し水相部とする。これとは別に鰹節香料(超臨界抽出物、ワックス状態)100gにMCT50gを加えて混合溶解し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで2分間攪拌し、そこにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)100g添加して追加でTKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間攪拌して鰹節香料の乳化組成物1000gを得た(発明品12)。
〔比較例15〕
実施例12で、異性化液糖(Bx75°)670gを770gとし、トリアセチン100gを0gとするほかは実施例12と同様な方法で鰹節香料の乳化組成物1000gを得た(比較品15)。
実施例12で、異性化液糖(Bx75°)670gを770gとし、トリアセチン100gを0gとするほかは実施例12と同様な方法で鰹節香料の乳化組成物1000gを得た(比較品15)。
表6の結果から明らかなように、キラヤ抽出物を乳化剤とし、トリアセチンを使用した鰹節香料乳化組成物である発明品12は、平均粒子径が0.5μm以下の非常に細かく、均質な粒子であり、また、5℃、20℃および50℃にて1週間保存しても平均粒子径に大きな変化はなく、乳化状態は良好だった。
〔実施例13〕
異性化液糖(Bx75°)600gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)80gを混合し水相部とする。これとは別に共役リノール酸300gを加えて混合溶解し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで2分間攪拌し、そこにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)20g添加して追加でTKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間攪拌して共役リノール酸の乳化組成物1000gを得た(発明品13)。
異性化液糖(Bx75°)600gにキラヤニン(登録商標)C−100(丸善製薬社製、キラヤ抽出物25%含有)80gを混合し水相部とする。これとは別に共役リノール酸300gを加えて混合溶解し、油相部とする。水相部と油相部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて6000rpmで2分間攪拌し、そこにトリアセチン(ダイセル化学工業社製)20g添加して追加でTKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間攪拌して共役リノール酸の乳化組成物1000gを得た(発明品13)。
〔比較例16〕
実施例13で、異性化液糖(Bx75°)600gを620gとし、トリアセチン20gを0gとするほかは実施例9と同様な方法で共役リノール酸の乳化組成物1000gを得た(比較品16)。
実施例13で、異性化液糖(Bx75°)600gを620gとし、トリアセチン20gを0gとするほかは実施例9と同様な方法で共役リノール酸の乳化組成物1000gを得た(比較品16)。
表7の結果から明らかなように、キラヤ抽出物を乳化剤とし、トリアセチンを使用した鰹節香料乳化組成物である発明品13は、平均粒子径が0.5μm以下の非常に細かく、均質な粒子であり、また、5℃、20℃および50℃にて1週間保存しても平均粒子径に大きな変化はなく、乳化状態は良好だった。
Claims (3)
- 下記組成
(a)油溶性成分
(b)乳化剤
(c)トリアセチン
(d)水、1価アルコールおよび多価アルコールから選ばれる1種以上
を含有することを特徴とする水中油型乳化組成物。 - 乳化剤がキラヤ抽出物である請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
- 油溶性成分が難乳化性成分である請求項1または2に記載の水中油型乳化組成物。
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