JP2011039366A - 光アイソレータ用積層体と光アイソレータ及びそれらの製造方法 - Google Patents

光アイソレータ用積層体と光アイソレータ及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少なくとも、ファラデー素子と偏光ガラスとが接着層を介して接合された光アイソレータ用積層体において、接着層の厚さバラツキが小さく、かつその内部に気泡状の介在物を含まない高品質で、特に耐湿性に優れた光アイソレータ用積層体や、該積層体から切り出したチップ状素子を用いて作製された高性能な光アイソレータとそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子と、該ファラデー素子の光透過面の両側に接着層を介して光透過面で貼り合わされた偏光ガラスからなる積層体であって、前記接着層が、光硬化性ではなく室温で硬化する接着剤からなるものであることを特徴とする光アイソレータ用積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザ等と組み合わせて使用される高性能な光アイソレータ用積層体と光アイソレータ及びそれらの製造方法に関する。
半導体レーザ等と組み合わせて使用される光アイソレータは、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子(ファラデー回転子ともいう)の両側に偏光ガラスを接着剤で接合した構造が一般的に用いられている。
この構造を持つ光アイソレータは、2枚の10mm角以上の偏光ガラスと、ファラデー素子とを、偏光ガラスの偏波方向45度付近で消光比が最大となる方向で貼り合わせた積層体から、例えば0.5mm×0.6mmの直方体形状のチップ状素子を切り出し、これを磁石と組み合わせることで製造される。
このような貼り合わせ素子(積層体)から切り出したチップ状素子を用いる構造の光アイソレータは、偏光ガラス、ファラデー素子を別々に固定する構成と比較して、低コストにできるという利点がある。
ここで、積層体はファラデー素子の片側に接着剤で偏光ガラスを貼り合わせ、その後ファラデー素子と偏光ガラスからなる貼り合わせ品に別の偏光ガラスを消光比が最大になるように角度を調整して貼り付けることで作製される。
このとき使われる接着剤として、従来は熱硬化型や光硬化型(紫外線硬化型)の接着剤が用いられていた(例えば特許文献1等参照)。
例えば、熱硬化型の接着剤は接着剤を100℃程度に加熱して硬化させる。しかし、ファラデー素子と偏光ガラスは熱膨張係数が異なるため、接着剤が硬化する100℃では反りがなくても、室温に戻すときに反りが生じる。そして、反りが生じたファラデー素子と偏光ガラスからなる貼り合わせ品に、別の偏光ガラスを貼り付けようとすると、接着剤の厚さのバラツキが生ずることになり、貼り合わせ不良が発生した。
また、紫外線硬化型の接着剤は室温で仮硬化できるという利点があるが、反応硬化剤に塩を用いるため、硬化後の接着剤が耐湿性に劣るという欠点がある。
特開平10−20249号公報
本発明は、少なくとも、ファラデー素子と偏光ガラスとが接着層を介して接合された光アイソレータ用積層体において、接着層の厚さバラツキが小さく、かつその内部に気泡状の介在物を含まない高品質で、特に耐湿性に優れた光アイソレータ用積層体や、該積層体から切り出したチップ状素子を用いて作製された高性能な光アイソレータとそれらの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子と、該ファラデー素子の光透過面の両側に接着層を介して光透過面で貼り合わされた偏光ガラスからなる積層体であって、前記接着層が、光硬化性ではなく室温で硬化する接着剤からなるものであることを特徴とする光アイソレータ用積層体を提供する。
光アイソレータ用積層体を構成するビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子と偏光ガラスのヤング率は、各々210GPa、58.6GPaである。このため、これらが同じ厚さならば偏光ガラスのほうが変形しやすい。
従って、従来用いられていた熱硬化型の接着剤、例えば熱硬化型のエポキシ樹脂でファラデー素子と偏光ガラスを約100℃のオーブン中で貼り付けると、ファラデー素子と偏光ガラスの熱膨張係数が各々9.5×10−6、6.5×10−6と異なることに起因して、貼り合わせ品を室温に戻すと反りが発生する。そしてこの反りがある貼り合わせ品に別の偏光ガラスを貼り合わせると接着剤の厚さがばらつき、気泡等が混入することを防止できない。
また、紫外線硬化型の接着剤は室温で仮硬化できるが、反応硬化剤に塩が用いられるため、耐湿性が劣る。
そこで接着層として室温で硬化する接着剤を用いたものとする。
これによって、ファラデー素子に偏光ガラスを貼り付ける際に十分小さな反りに仕上げたファラデー素子を用いると、幾分かは変形するものの、このファラデー素子の形状に沿うように偏光ガラスに大きな反りが生じず、最初の貼り合わせを終えたものとすることができる。従って、次に逆側の光透過面に別の偏光ガラスが貼り付けられる際に、ファラデー素子側の反りが抑えられたものであるため、接着層の厚さバラツキが小さなものとなり、また気泡状の介在物が全くない積層体が得られる。
そして光硬化性の接着剤は用いられていないため、反応硬化剤として塩は使用されず、大気中の湿度に対しても高い耐性を有するものとなっている。
ここで、前記接着層が、二液混合型のエポキシ樹脂が硬化したものであることが好ましい。
このように、接着層が、耐久性に優れたエポキシ樹脂であれば、積層体の耐久性も良好なものとすることができる。また、二液混合型のエポキシ樹脂が硬化したものであれば、容易に室温で硬化させたものとして非常に都合が良く、安価なものとすることができる。
また、本発明では、本発明に記載の光アイソレータ用積層体を切断したものを用いて作製されたものであることを特徴とする光アイソレータを提供する。
上述のような、ファラデー素子と偏光ガラスとで構成された光アイソレータ用積層体は、接着層の厚さバラツキや気泡状の介在物をほとんど含まないものであるため、これを切断したものを用いて作製された光アイソレータは、耐湿特性に優れており、また光学特性が良好でバラツキが少ないものとなっている。
更に、本発明では、少なくとも、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子の光透過面の両側に接着剤を用いて偏光ガラスを貼り合わせる積層体の製造方法であって、前記接着剤として、光硬化性ではなく、室温で硬化する接着剤を用いることを特徴とする光アイソレータ用積層体の製造方法を提供する。
このように、ファラデー素子の光透過面の両側に偏光ガラスを貼り合わせる際に、接着剤として、光硬化性ではなく、室温で硬化する接着剤を用いる。
これによって、接着剤を硬化させる際に加熱する必要を無くすことができる。すなわち、従来のように熱硬化型の接着剤を用いる場合では抑制できなかったファラデー素子と偏光ガラスの熱膨張率の差に起因する反りが発生することを抑制でき、反りの小さな貼り合わせ品(ファラデー素子の光透過面の片側のみに偏光ガラスが貼り合わされたもの)に別の偏光ガラスを貼り付けることができる。よって、接着剤の厚さのバラツキや接着剤中に気泡が混入することを防止することができ、光学特性が良好で安定した光アイソレータ用積層体を製造することができる。また、光硬化型ではなく室温硬化型の接着剤を用いるため、塩を用いた接着剤を使用せずに接着することができ、湿度に対する耐性の高い積層体を得ることができる。
ここで、前記接着剤として、二液混合型のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
このときに使用する室温硬化型の接着剤としては、耐久性に優れたエポキシ樹脂が好ましく、また室温で硬化させるためには主材と硬化剤が別々となっている二液性のエポキシ樹脂が好ましい。
そして、本発明では、本発明に記載の光アイソレータ用積層体の製造方法によって製造された光アイソレータ用積層体から光アイソレータを製造することを特徴とする光アイソレータの製造方法を提供する。
上述のように、本発明の光アイソレータ用積層体の製造方法によって製造された積層体は、接着層の厚さバラツキが非常に小さく、また性能の低下の原因となる気泡などの介在物を殆ど含まないものとすることができる。そしてこのような積層体を用いることによって、耐湿性に優れ、光学特性のバラツキが少なく高品質の光アイソレータを製造することができる。
以上説明したように、本発明の光アイソレータ用積層体は、接着層の厚みムラや気泡状の介在物を殆ど含まないものであることに加えて、ファラデー素子に貼り付けられた偏光ガラスにかかる歪が小さいものとすることができる。このため、このような光アイソレータ用積層体用いて光アイソレータを作製すると、消光性能といった光学特性の劣化がほとんど発生せず、また特性が安定して高性能なものとなる。更に耐湿性が高いとの効果を奏するものである。
本発明の光アイソレータ用積層体の概略の一例を示した概略図である。
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、安定した特性を示す光アイソレータの開発が待たれていた。
そこで、本発明者は、光アイソレータの性能を劣化させる接着層の問題について、ファラデー素子と偏光ガラスの形状に影響を及ぼす接着剤に関して調査を行った。
その結果、ファラデー素子と偏光ガラスについて反りがほとんどみられないものを準備しても、従来用いられていた熱硬化型のエポキシ樹脂を用いて貼り付けると、接着剤が硬化する温度が室温より高いため、室温に戻す段階で、ファラデー素子と偏光ガラスの内部に歪みが内在してしまい、この結果、各々のサイズが15mm角の貼り合わせ品で、10μm以上となる偏光ガラス側に向かって凸の反りが発生してしまうことが分かった。
この反りについては、ファラデー素子と偏光ガラスとの熱膨張率の差に基づく本質的なものであり、接着剤が高温で反応し、ファラデー素子と偏光ガラスを接合する限り避けることは出来ないものである。
このような偏光ガラス側に向かって凸の反りがあるファラデー素子と偏光ガラスからなる貼り合わせ品にさらに別の偏光ガラスを熱硬化型の接着剤で貼り付けた後に、後から接着した偏光ガラス側の接着層を観察すると、接着層の厚さが中央部で厚くなり、その中に気泡状の介在物が生じていた。
また、貼り合わせ品の周辺部は接着層の厚さが1μmあるいはそれ以下と極端に薄くなり、わずかな衝撃で積層体が接着層から剥離することが判った。そして、このような接着層の厚さバラツキがある積層体から得られたチップ状素子を用いた光アイソレータでは、光学特性のバラツキが大きく、耐久性が乏しくなることが分かった。
この課題を解決するために本発明者は貼り合わせ工程での形状変化を鋭意検討した結果、接着剤として室温硬化型のものを使う方法を考案した。このような室温硬化型の接着剤を使うことで、接着剤の厚さムラがほとんど見られない光アイソレータ用積層体を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明について図を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図1は、本発明の光アイソレータ用積層体の概略の一例を示した概略図である。
図1に示す様に、本発明の光アイソレータ用積層体10は、少なくとも、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子12と、該ファラデー素子12の光透過面の両側に、光硬化性ではなく室温で硬化する接着剤からなる接着層13を介して光透過面で貼り合わされた偏光ガラス11とからなるものである。
このように、熱硬化型ではなく室温硬化型の接着剤を用いたものとすることで、接着層の硬化の際に加熱されたものでなくなる。すなわち、従来のように熱硬化型の接着剤を用いた場合に発生していたファラデー素子と偏光ガラスの熱膨張率の差に起因する反りは、本発明の積層体では発生しないものとなる。よって、別の光透過面に偏光ガラスを貼り合わせる際に接着層の厚さが不均一になったものではなくなる。これによって、接着層に気泡が残存することが防止されたものとすることができ、また偏光ガラスにかかる歪みを小さくすることができる。従って、気泡や歪みによる挿入損失や消光性能の劣化が発生することを抑制することができる。
また、光硬化型の接着剤は使用されていないものであるため、接着層中に塩などの水分との親和性の強い物質が含有されていないものとなり、湿分に対する耐性を高いものとすることができる。
ここで、接着層が、二液混合型のエポキシ樹脂が硬化したものとすることができる。
このように、接着層が耐久性に優れたエポキシ樹脂からなるものであれば、積層体の耐久性も良好なものとなる。また、二液混合型のエポキシ樹脂であれば、容易に室温で硬化させたものとなり、好適である。
そして、このような光アイソレータ用積層体10を切断したものを用いて、光アイソレータを作製することができる。
前述のように、本発明の光アイソレータ用積層体は接着層の厚さバラツキや気泡状の介在物をほとんど含まず、かつ耐湿性に優れたものである。すなわち、このような光アイソレータ用積層体を切断したものを用いて作製された光アイソレータも、同様に光アイソレータ特性が非常に良好かつ安定し、耐湿性が良好なものとすることができる。
このような光アイソレータ用積層体10の製造方法について以下簡単に説明する。
まず、少なくとも偏光ガラス11を2枚、ファラデー素子12を1つ準備する。
このとき、準備する偏光ガラスは、例えば、15mm×15mm×0.2mm厚もしくは15mm×15mm×0.5mm厚程度の偏光ガラス基材を、ワックスを介して石英等の定板に貼り付けた後に、研磨機でコロイダルシリカにより0.15mm厚以下の厚さまで研磨を行ったものとすればよい。
このように厚さを調整した偏光ガラスを、研磨による歪みによって発生した反りを解消するために、より望ましくは、水素を含む雰囲気で、350〜400℃で50〜100時間加熱処理を行う。
また、ファラデー素子12については、一般的に用いられているビスマス置換型鉄ガーネット結晶を準備すればよい。例えば、液相エピタキシャル法によって作製したインゴットから、波長1.3μm〜1.6μm帯の光の偏光面を45°回転させるような所望の厚さにスライス・研磨等の加工を行ったウェハー状のビスマス置換鉄ガーネット結晶を準備すればよい。
その後、ファラデー素子12の片側の光透過面に、上記処理を行った偏光ガラス11の光透過面とを、接着層13として、光硬化型ではなく室温硬化型の接着剤を介して貼り合わせる。
そして、ファラデー素子12の別の光透過面にもう一枚の偏光ガラス11を同じように光透過面で、室温硬化型のエポキシ樹脂からなる接着層13を介して貼り付けることで、光アイソレータ用積層体10を作製する。
この際に用いる室温硬化型の接着剤としては、耐久性が高いエポキシ樹脂を用いることができる。しかし、例えばエポキシ樹脂として紫外線硬化型のものを用いると、反応開始剤として、ジフェニルヨードニウムヘキサフロロホスフェートやトリフェニルスルホニウムヘキサフロロホスフェートといった紫外線で分解する塩を使う必要がある。しかし、このような塩自体の残留物や反応生成物の末端の電荷によって、水との親和性が強くなり、耐湿性が劣化してしまう。このため、上述のように光硬化型のエポキシ樹脂は除外する。
また、貼り合わせに使うエポキシ樹脂としては、接着層の厚さを10μm以下に薄くでき、またその内部をレーザ光が透過することから透明性に優れたものとする必要があるため、硬化剤としてアミン化合物を含有した低粘度の二液混合型のエポキシ樹脂を用いることができる。
二液性エポキシ樹脂としては市販のエポキシ樹脂組成物でよく、例えばテスク社製C−1037A/BやC−1001A/B等を用いることができる。
テスク社製C−1037A/Bを100:30の比で混合し、ファラデー素子の光透過面の表面上にたらすと、混合物が低粘度であるため自然に広がり、この上に偏光ガラスを載せて、わずかな力で押し付けることで余分な接着剤を取り除くことができ、また室温で一日放置することでファラデー素子と偏光ガラスからなる貼り合わせ品が得られる。
そして、この貼り合わせ品のファラデー素子面にC−1037A/Bの混合物をたらし、別の偏光ガラスを載せて消光比が最大になるように偏光ガラスを回転させた後、わずかに力を加えて偏光ガラスを押し付けた状態で一日放置することで、光アイソレータ用積層体10が得られる。
このようにして作製した光アイソレータ用積層体は、接着層の厚みムラや気泡状の介在物をほとんど含まないものである。加えて、ファラデー素子に貼り付けられた偏光ガラスにかかる歪を小さくすることができ、光アイソレータとした時に挿入損失や消光性能が劣化することを抑制することができる。更に、反応硬化剤に塩を用いる光硬化型の接着剤を使用していないため、大気中の水分による劣化の問題もなく、耐久性の高い光アイソレータの製造に好適な光アイソレータ用積層体を製造することができる。
尚、室温硬化型の接着剤を用いるため、作業時間は従来と比較して長くなる。しかし光学特性や耐久性、歩留りを従来に比較して大幅に向上させることができ、作業時間の長時間化の不利益を上回る。
その後、作製した光アイソレータ用積層体を、例えば0.5mm×0.6mm角のチップ形状に切断し、このチップ状素子を各々アルミナ製の基材の上に接着剤で貼り付け、直方体磁石2個で挟むことによって、光学特性が良好で耐湿性にも優れた光アイソレータを作製することができる。
なお、光アイソレータの製造後に、光アイソレータを加熱すると、室温硬化で得られた接着層の耐久性を光アイソレータとしての光学特性を損なうことなく向上させることができる。
これは、光アイソレータに加工した後では、偏光ガラスやファラデー素子が小さな形状に分割されるため、熱膨張係数の差による応力を格段に小さくすることができる。よって、熱膨張率の差に起因する反り等の問題を抑制できると共に、光学特性の向上を図ることができるのである。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1,2、比較例1,2,3)
まず、偏波方向が45°異なる2種類の金属分散型偏光ガラス基材(第1の偏光ガラス、第2の偏光ガラス)を複数枚用意した。偏光ガラスの大きさは15×15mmであり、その厚さと反りは表1に示すとおりに研磨により仕上げたものである。
なお、反りの測定は以下のように顕微鏡の焦点合わせ機構を使うことで行った。以下反りの値の測定は全てこの方法で行った。
基準面となるシリコンウェハー上に、予め厚みが既知の金属片を置き、顕微鏡付随のダイアルを校正した後、金属分散型偏光ガラスをシリコンウェハー上にセットして、a1:シリコンウェハー上面の位置、a2:偏光ガラス上面の位置、を測定し、a2−a1=Aを求める。
次に、偏光ガラスを裏返して、同様に、b1:シリコンウェハー上面の位置、b2:偏光ガラス上面の位置を測定し、b2−b1=Bを求める。
そして、A−Bの値を計算した。この値が反りの値となる。
次に、波長1550nmで45度回転となるように研磨で厚さを調整したファラデー素子を複数個用意した。
実施例1と2及び比較例1と比較例2,3とで厚さが異なる理由は、ファラデー素子を構成するビスマス鉄ガーネット結晶の組成が異なるためである。
準備したファラデー素子についても上記した方法で反りを測定した。
実施例1,2では、室温硬化型のエポキシ樹脂として、テスク社製C−1037A/Bを使った。A液を10g、B液を3g秤量し、混合後、遠心脱泡機で脱泡した。
この脱泡したエポキシ樹脂をファラデー素子の光透過面上にたらし、その上に1枚目の偏光ガラスを載せて軽く押さえることで余分な接着剤を取り除いた。その後、室温で一昼夜放置して硬化させ、その後この貼り合わせ品について厚さと反りの測定を行った。
比較例1,2では、熱硬化型の二液性エポキシ樹脂を用いた。A液とB液とを1:1の比で混合し、遠心脱泡して、ファラデー素子の光透過面上にたらし、その上に1枚目の偏光ガラスを載せて軽く押さえて余分な接着剤を取り除いた。その後、100℃のオーブン内で30分加熱することで接着剤を硬化させて貼り合わせ品を作製し、この貼り合わせ品について厚さと反りの測定を行った。
比較例3では、紫外線硬化型のエポキシ樹脂を用いた。紫外線硬化型のエポキシ樹脂をファラデー素子の光透過面上にたらし、その上に1枚目の偏光ガラスを載せて軽く押さえて余分な接着剤を取り除いた。その後、紫外線ランプにより接着剤を硬化させて貼り合わせ品を作製し、この貼り合わせ品について厚さと反りの測定を行った。
各々の接着剤で作製した貼り合わせ品のファラデー素子の別の光透過面の表面に、上記の各々と同じ接着剤を用いて2枚目の偏光ガラスを各々の貼り合わせ品に接着させ、光アイソレータ用積層体を作製した。
この積層体に関しても反り測定を行うとともに2枚目の偏光ガラス側から接着層を観察した。
その後、作製した光アイソレータ用積層体を、0.5mm×0.6mm角のチップ形状に切断した。各実施例及び比較例において、このチップ状素子は約300個得られた。
その後、このチップ状素子を各々の実施例及び比較例で50個を任意に抽出して、アルミナ製の基材の上に接着剤で貼り付け、直方体磁石2個で挟む構成の光アイソレータを作製した。
そして作製した光アイソレータの、光挿入損失と消光性能を評価し、特性が一番悪いものの値を表1に示した。
Figure 2011039366
表1に示す様に、室温硬化型の接着剤を用いて作製した実施例1や実施例2の光アイソレータ用積層体は、厚さバラツキが小さく、また積層体自体の反りも十分に小さいものであった。更に光アイソレータとした場合にも、挿入損失値の最大値は小さく、また消光比の最大値、最小値共に大きく、良好な光学特性であることが判った。
これに対し、熱硬化型の接着剤を用いた比較例1や比較例2の積層体は、厚さバラツキやソリが大きく、また挿入損失最大値が大きく、消光比の最小値も小さい等、光学特性が実施例に比べて劣ることが判った。比較例3の積層体は厚さバラツキや反りが小さく、光学特性も実施例と比較して遜色がなかった。
このため、実施例2と比較例3の積層体から作製した光アイソレータを各々11個抽出し、85℃、85%RHの高温高湿試験を行った。
その結果、実施例2の光アイソレータは、挿入損失と消光比の変化は見られなかったが、比較例3で作製した光アイソレータでは挿入損失が平均で0.43dBとなり、試験前に比べて大幅に増加した。また消光比の最小値も35dBに低下し、光学特性の劣化が見られた。このことから、光硬化型の接着剤を用いると、耐湿性が劣ることが判った。
なお、比較例1では光アイソレータ用積層体から切り出したチップ形状のうち25個が、また、比較例2では35個が、偏光ガラスが外れるという不具合が生じた。偏光ガラスが外れたものを観察すると、接着剤がほとんどなかった。すなわち、接着剤の硬化の際に100℃に加熱したために、室温に戻す際に貼り合わせ品に反りが生じ、第2の偏光ガラスの貼り合わせの際に接着層に厚さバラツキが発生し、これによって接着剤が殆ど無い部分が発生したものと思われる。従って、チップ状に切断した際に接着剤がない部分では偏光ガラスが外れたものと考えられる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10…光アイソレータ用積層体、 11…偏光ガラス、 12…ファラデー素子、 13…接着層。

Claims (6)

  1. 少なくとも、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子と、該ファラデー素子の光透過面の両側に接着層を介して光透過面で貼り合わされた偏光ガラスからなる積層体であって、
    前記接着層が、光硬化性ではなく室温で硬化する接着剤からなるものであることを特徴とする光アイソレータ用積層体。
  2. 前記接着層が、二液混合型のエポキシ樹脂が硬化したものであることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ用積層体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光アイソレータ用積層体を切断したものを用いて作製されたものであることを特徴とする光アイソレータ。
  4. 少なくとも、ビスマス置換鉄ガーネット結晶からなるファラデー素子の光透過面の両側に接着剤を用いて偏光ガラスを貼り合わせる積層体の製造方法であって、
    前記接着剤として、光硬化性ではなく、室温で硬化する接着剤を用いることを特徴とする光アイソレータ用積層体の製造方法。
  5. 前記接着剤として、二液混合型のエポキシ樹脂を用いることを特徴とする請求項4に記載の光アイソレータ用積層体の製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の光アイソレータ用積層体の製造方法によって製造された光アイソレータ用積層体から光アイソレータを製造することを特徴とする光アイソレータの製造方法。
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