JP2011036265A - 炒め物用油脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食用油脂に、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有する炒め物用油脂組成物となし、それで炒め物を行う。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、ジグリセリンモノオレイン酸エステル、及びHLB値が4〜9であるデカグリセリンオレイン酸エステルを含有することを特徴とする、炒め物用油脂組成物を提供する。
また、本発明は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びHLB値が4〜9であるデカグリセリンオレイン酸エステルを含有することを特徴とする、炒め物用油脂組成物を提供する。
ジグリセリンモノオレイン酸エステルとは、ジグリセリンとオレイン酸とのエステルを意味するものである。
)等が使用可能である。
本発明の炒め物用油脂組成物においては、上記ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量は、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは2〜20質量%であり、更に好ましくは2〜10質量%である。また、好ましくは2.5質量%以上であり、更に好ましくは2.5〜20質量%であり、更に好ましくは2.5〜10質量%である。ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、少なくとも上記範囲にあると、炒め物を行う際の、食品素材や調味料の焦げ付きを少なくし、調理後の調理器具、調理品を乗せた食器の洗浄効果が向上する。ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、20質量%を超えると、低温で結晶が析出したり、調理中に不快な臭いが発生したり、調理品の風味が悪くなる場合がある。
また、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの質量比(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル/ジグリセリンモノオレイン酸エステル)は、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量との関係が、以下の(1)〜(5)のいずれかの関係を有することが、焦げ付きの防止及び洗浄性を向上させる観点から好ましい。
(1)ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、5.5質量%以上であり、好ましくは5.5〜20質量%であり、更に好ましくは5.5〜10質量%であり、かつジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの質量比が0.5以上であり、好ましくは0.5〜50であり、更に好ましくは0.5〜10である、(2)ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、5.5質量%以上であり、好ましくは5.5〜20質量%であり、更に好ましくは5.5〜10質量%であり、かつジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの質量比が2.5以上であり、好ましくは2.5〜50であり、更に好ましくは2.5〜10である、(3)ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、2.5〜4質量%であり、かつジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの質量比が1.5以上であり、好ましくは1.5〜50であり、更に好ましくは1.5〜10であり、更に好ましくは3〜10である、(4)ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、5.5質量%以上であり、好ましくは5.5〜20質量%であり、更に好ましくは5.5〜10質量%であり、かつジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの質量比が1以上であり、好ましくは1〜50であり、更に好ましくは1〜10である、(5)ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、2.5〜7質量%であり、かつジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの質量比が2.5以上であり、好ましくは2.5〜50であり、更に好ましくは2.5〜10である。
デカグリセリンオレイン酸エステルの水酸基価は、重合度が平均10個のポリグリセリンに結合する脂肪酸の数によって決まるものであるが、脂肪酸の数については一定でなくてもよく、結合する数が分布をもったものであってもよい。
デカグリセリンオレイン酸エステルは、HLB値、水酸基価及びケン化価が明らかな場合、当業者であれば適宜調整して製造することができるが、例えば以下の方法によって製造することができる。
常法により製造したポリグリセリン(平均重合度:10)と、市販のオレイン酸(オレイン酸濃度:60%以上)とを、適当な比率で反応容器に仕込み、触媒として水酸化ナトリウム溶液を添加する。触媒を添加する時に、触媒量を極力少なくすることにより、石けん分残存量の少ない油脂組成物を得ることが可能となる。窒素気流下で、200℃以上の温度に加熱し、1〜3時間程度反応させる。さらに、内温を250℃以上として3〜5時間反応させた後、常温まで冷却し、常法により精製を行い、デカグリセリンオレイン酸エステルを得る。得られたデカグリセリンオレイン酸エステルは、必要に応じて、分子量による分画を行ってもよい。
本発明の第2の実施の形態にかかる炒め物用油脂組成物においては、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、好ましくは2質量%以上であり、好ましくは2〜20質量%であり、更に好ましくは2〜10質量%である。また、好ましくは2.5質量%以上であり、更に好ましくは2.5〜20質量%であり、更に好ましくは2.5〜10質量%である。ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、少なくとも上記範囲にあると、炒め物を行う際の、食品素材や調味料の焦げ付きを少なくし、調理後の調理器具、調理品を乗せた食器の洗浄効果が向上する。炒め物用油脂組成物の全質量に対し、20質量%を超えると、低温で結晶が析出したり、調理中に不快な臭いが発生したり、調理品の風味が悪くなる場合がある。
本発明の第2の実施の形態にかかる炒め物用油脂組成物に含まれるデカグリセリンオレイン酸エステルとしては、石けん分残存量が少ないものの方が、洗浄性の効果の向上に優れている傾向にある。例えば、石けん分残存量が1000ppm未満であるものが好ましく、500ppm以下のものが更に好ましい。
ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、2.5質量%以上であり、好ましくは2.5〜20質量%であり、更に好ましくは2.5〜10質量%であり、かつジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するデカグリセリンオレイン酸エステルの質量比(デカグリセリンオレイン酸エステル/ジグリセリンモノオレイン酸エステル)が0.1〜2であり、好ましくは0.5〜1.5である。
本発明の第3の実施の形態にかかる炒め物用油脂組成物において用いられるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びデカグリセリンオレイン酸エステルについては、上述した第1及び第2の実施の形態にかかる炒め物用油脂組成物において用いられるものが同様に使用される。
本発明の第3の実施の形態にかかる炒め物用油脂組成物においては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、好ましくは2質量%以上であり、更に好ましくは2〜20質量%であり、更に好ましくは2〜10質量%である。また、好ましくは2.5質量%以上であり、更に好ましくは2.5〜20質量%であり、更に好ましくは2.5〜10質量%であり、更に好ましくは3〜10質量%であり、更に好ましくは5〜10質量%である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量が、少なくとも上記範囲にあると、炒め物を行う際の、食品素材や調味料の焦げ付きを少なくし、調理後の調理器具、調理品を乗せた食器の洗浄効果が向上する。炒め物用油脂組成物の全質量に対し、20質量%を超えると、低温で結晶が析出したり、調理中に不快な臭いが発生したり、調理品の風味が悪くなる場合がある。
本発明の第3の実施の形態にかかる炒め物用油脂組成物に含まれるデカグリセリンオレイン酸エステルとしては、石けん分残存量が少ないものの方が、洗浄性の効果の向上に優れている傾向にある。例えば、石けん分残存量が1000ppm未満のものが好ましく、500ppm以下のものが更に好ましい。
(1)焦げの評価
強火で30秒間予備加熱したテフロン(登録商標)製フライパン(直径:24cm)に、炒め物用油脂組成物を15ml測りとり、フライパン内に、豚バラ肉(30g)、キャベツ(50g)、人参(30g)、玉葱(50g)を入れて炒め、蒸し中華麺(150g)を入れて30秒間炒め、次いで水40gを加えた後、1分間炒めた後、粉末ソース(10g)を加え、30秒間加熱して味付けを行い、焼きそばを作製した。なお、焼きそばの中華麺及び粉末ソースは、東洋水産(株)製の「焼きそば3人前」の1人分のものを用いた。
焼きそばを作製した後のフライパンの焦げ付きの状態を肉眼で観察し、下記評価基準に従って評価を行った。
5点:焦げ付きがない。
4点:焦げ付きがほとんどない。
3点:焦げ付きが少量ある。
2点:焦げ付きがあるが許容範囲内である。
1点:焦げ付きが目立つ。
0点:焦げ付きがひどい。
(1)において焼きそばを作製したフライパンを、水道水の流水(100ml/秒)で、5秒間すすぎ洗いをした後、フライパンの調理面を、手のひらで直接こすりながら、更に5秒間すすぎ洗いを継続した。そのときの手の感触を点数化し、評価を行った。
5点:瞬時に油が落ちる。
4点:油が良く落ちる。
3点:油が少し落ちる。
2点:油がわずかに落ちる。
1点:油のべたつきが気になる。
0点:油のべたつきが多い。
正方形に成型したポリプロピレンの板(50×50cm)に、炒め物用油脂組成物5gを塗布し、20℃の温度の水道水をためたバット中にゆっくりと沈め、油の経時変化を肉眼により観察し、下記評価基準に従って点数化を行った。
6点:5分以内に油が全量浮いてくる。
5点:10分以内に油が全量浮いてくる。
4点:10分以内に、油が全量の3/4程度浮いてくる。
3点:10分以内に、油が全量の2/3程度浮いてくる。
2点:15分以内に、油が半分程度浮いてくる。
1点:30分以内に油が半分程度浮いてくる。
0点:30分経過しても油がほとんど浮いてこない。
食用油脂(キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製)に、表1に示す成分を表1に示す配合割合(数値は質量%を意味するものであり、炒め物用油脂組成物の全質量に対する配合割合を示す。なお、以下の実施例において全て同様である)で加え、必要により加温しながら混合撹拌を行い、炒め物用油脂組成物を得た。得られた炒め物用油脂組成物について上述の評価を行った。なお、市販の炒め油(炒め物用油脂組成物)についても同様に評価を行った(参考例11)。評価結果を表2に示す。
以下の実施例においては、評価(1)〜(3)のいずれかが、参考例1〜11の結果を超えた場合に、効果があると判断できる。
実施例1〜11
表3に記載した成分を、表3に記載した量(数値は質量%を意味する)配合した以外は、参考例1〜10と同様に操作を行い、炒め物用油脂組成物を得た。得られた炒め物用油脂組成物について上述の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、表3における、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びジグリセリンモノオレイン酸エステルは、参考例1〜10で用いたものと同じものを用いた。表3中には、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量、ジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの質量比(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル/ジグリセリンモノオレイン酸エステル)を併せて記載した。
実施例1〜5の炒め物用油脂組成物は、フライパン洗浄時の手の感触及び漬け洗い、すなわち洗浄性においても効果が向上することが認められ、実施例3〜5の炒め物用油脂組成物においては、特に、洗浄性の効果が向上することが認められた。
実施例6〜11の炒め物用油脂組成物においても、同様に洗浄性の効果が向上することが認められ、実施例7〜11の炒め物用油脂組成物は、特にフライパン洗浄時の手の感触が良好であり、洗浄性が向上することが認められ、実施例9〜11の炒め物用油脂組成物は、更に洗浄性が向上し、特に漬け洗いの際の洗浄性の向上が認められた。
なお、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとして、花王株式会社製のエマゾールL120V(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート20)、ロンザジャパン株式会社製のGlycosperse S-20(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート60)、及びGlycosperse TS-20(トリステアリン酸ポリオ
キシエチレンソルビタン、ポリソルベート65)を用いて同様の評価を行ったところ、全てGlycosperse O-20(モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリソルベート80)を用いた場合と同様の評価結果が得られた。
表5に記載した成分を、表5に記載した量(質量%)配合した以外は、参考例1〜10と同様に操作を行い、炒め物用油脂組成物を得た。得られた炒め物用油脂組成物について上述の評価を行った。評価結果を表6に示す。なお、表5における、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルは、参考例1〜10で用いたものと同じものを用いた。その他の成分として、高級脂肪酸モノグリセリド(蒸留モノグリセリド)を、実施例16に0.5%、実施例17に1%配合した。表5中には、ジグリセリンモノオレイン酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量、ジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するデカグリセリンオレイン酸エステルの質量比(デカグリセリンオレイン酸エステル/ジグリセリンモノオレイン酸エステル)を併せて記載した。
実施例12〜19の炒め物用油脂組成物は、焦げ付きの防止効果に優れるとともに、洗浄性(フライパン洗浄時の手の感触及び漬け洗い)の効果が向上することが認められた。特に、実施例15〜19においては、その効果が顕著なものであった。
下記表7に示す成分を、それぞれ5質量%の濃度になるように配合した以外は、参考例1〜10と同様に操作を行い、炒め物用油脂組成物を得た。得られた炒め物用油脂組成物について上述の評価を行った。評価結果を表8に示す。
ペンタグリセリンオレイン酸エステル:市販品(水酸基価:220mgKOH/g、ケン化価:125mgKOH/g、HLB値:7.0、石けん分残存量:1000ppm)
デカグリセリンエルカ酸エステル:市販品(水酸基価:140mgKOH/g、ケン化価:120mgKOH/g、HLB値:7.0、石けん分残存量:500ppm)
デカグリセリンオレイン酸エステルB:市販品(水酸基価:67mgKOH/g、ケン化価:160mgKOH/g、HLB値:3.0、石けん分残存量:1000ppm)
ジグリセリンモノ/ジオレイン酸エステル:太陽化学(株)製、商品名「サンソフトQ−17B」
なお、石けん分残存量の分析方法は以下の通りに実施することができる。
すなわち、油化学(第39巻、1056-1061、1990)を参照し、油脂試料100gに2%含水アセトン100mL及び0.4%ブロムフェノール指示薬0.5mLを加え、0.01N塩酸標準液で滴定することにより求めた。
使用した乳化剤を市販のキャノーラ油に溶解し、石けん分残存量を測定し、乳化剤あたりの量に換算した。
表9に記載した成分を、表9に記載した量(質量%)配合した以外は、参考例1〜10と同様に操作を行い、炒め物用油脂組成物を得た。得られた炒め物用油脂組成物について上述の評価を行った。評価結果を表10に示す。なお、表9における、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルは、参考例1〜10で用いたものと同じものを用いた。表9中には、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル及びデカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルに対するデカグリセリンオレイン酸エステルの質量比(デカグリセリンオレイン酸エステル/ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)を併せて記載した。
実施例20〜25の炒め物用油脂組成物は、焦げ付きの防止効果に優れるとともに、洗浄性(フライパン洗浄時の手の感触及び漬け洗い)の効果が向上することが認められた。
豚ロース肉200g(食べやすいサイズに切ったもの)、酒大さじ1杯、みりん大さじ1杯、醤油大さじ1杯、及び生姜1片をバットに入れ、下味をつけた。次いで、鉄製のフライパンを加熱し、実施例11の炒め物用油脂組成物14gをフライパンに添加した後、下味をつけた豚ロース肉をフライパンに入れ、約2分間、豚ロース肉を炒めた。炒め終わった豚ロース肉を、直径15cmのメラミン樹脂製の皿に3切れずつ盛り、そのままの状態で室温(25℃)に30分間放置した。30分経過した後、皿の上に盛った豚ロース肉を取り除いた。豚ロース肉を取り除いた皿を、20℃の温度の水を張り込んだトレイに漬け、付着した油の浮き具合を観察した。対照として市販の炒め油(炒め物用油脂組成物)についても同様に炒め物を行い、観察を行った。その結果は、実施例11の炒め物用油脂組成物は、市販の炒め油(炒め物用油脂組成物)と比べ、炒め物を食した後の食器を漬け洗いをする場合に、油の浮き上がりが多く、洗浄性に優れたものと言える。
テフロン(登録商標)製のフライパンを加熱し、実施例11の炒め物用油脂組成物14gをフライパンに添加した後、100gのカット野菜を、約3分間炒め、野菜炒めを作製した。炒め終わった野菜炒めをプラスチック製の弁当箱(15cm×10cm×4cm)に詰め、室温(25℃)に3時間放置した。3時間経過した後、弁当箱から野菜炒めを取り除いた。野菜炒めを取り除いた弁当箱を、20℃の温度の水を張り込んだトレイに漬け、付着した油の浮き具合を観察した。対照として市販の炒め油(炒め物用油脂組成物)についても同様に炒め物を行い、観察を行った。その結果は、実施例11の炒め物用油脂組成物は、市販の炒め油(炒め物用油脂組成物)と比べ、炒め物を食した後の食器(弁当箱)を漬け洗いをする場合に、油の浮き上がりが多く、洗浄性に優れたものと言える。
実施例27の方法で作製した野菜炒めを、直径15cmのメラミン樹脂製の皿に載せ、室温(25℃)に30分間放置した。30分間経過した後、皿から野菜炒めを取り除き、皿を室温(25℃)に更に24時間放置した後、食器洗い乾燥機(松下電器産業(株)製、「NP-60SS5」)で洗浄を行った。洗浄の条件は、20℃の水で25分間洗浄し、その後、すすぎを3回(34分)、乾燥を30分間行なう、洗剤不使用のコースを選択した。洗浄の度合いの確認は、オイルレッド(Sigma製)1gをエタノール1Lに溶解した指示薬
を、食器洗い洗浄機使用後の皿の表面にスプレーし、赤色の呈色を確認した。市販のサラダ油を用いて同様に野菜炒めを作製して同様に洗浄し、対照とした。結果を表11に示す。
実施例28に用いた実施例11の炒め物用油脂組成物は、市販のサラダ油と比べ、食器洗い乾燥機を用いて洗浄した場合、洗剤を使用しない場合でも、洗浄性に優れたものであることが認められた。
Claims (8)
- ジグリセリンモノオレイン酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、炒め物用油脂組成物。
- 上記ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、2質量%以上である、請求項1に記載の炒め物用油脂組成物。
- 上記ジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの質量比(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル/ジグリセリンモノオレイン酸エステル)が0.1以上である、請求項1又は2に記載の炒め物用油脂組成物。
- ジグリセリンモノオレイン酸エステル、及びHLB値が4〜9であるデカグリセリンオレイン酸エステルを含有することを特徴とする、炒め物用油脂組成物。
- デカグリセリンオレイン酸エステルの水酸基価が140〜250mgKOH/gであり、ケン化価が115〜175mgKOH/gである、請求項4に記載の炒め物用油脂組成物。
- 上記ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び上記デカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、2質量%以上である、請求項4又は5に記載の炒め物用油脂組成物。
- 上記ジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するデカグリセリンオレイン酸エステルの質量比(デカグリセリンオレイン酸エステル/ジグリセリンモノオレイン酸エステル)が0.1以上である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の炒め物用油脂組成物。
- 上記ジグリセリンモノオレイン酸エステル及び上記デカグリセリンオレイン酸エステルの合計配合量が、炒め物用油脂組成物の全質量に対し、2.5質量%以上であり、ジグリセリンモノオレイン酸エステルに対するデカグリセリンオレイン酸エステルの質量比(デカグリセリンオレイン酸エステル/ジグリセリンモノオレイン酸エステル)が0.1〜2である、請求項4又は5に記載の炒め物用油脂組成物。
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