JP2011033562A - 放射線画像検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シンチレータパネルとセンサーパネルとの貼り合わせにおける接着剤層の膜厚及び膜厚分布に起因する画像ムラの発生、接着性の劣化、鮮鋭性の低下を防止することができる放射線画像検出装置を提供する。
【解決手段】前記放射線画像検出装置は、支持体と前記支持体上に設けられた蛍光体の層であるシンチレータ層を備えたシンチレータパネルと基板上に光を受光する光電変換素子を備えたセンサーパネルとを備えた撮像パネルを有し、前記シンチレータパネルと前記センサーパネルとが接着剤層により貼り合わせて構成され、且つ前記接着剤層の厚みが前記光電変換素子の画素サイズの2倍以下で、且つ1μm以上であり、更に前記接着剤層の膜厚分布が20%以内であることを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、医療診断装置、非破壊検査機器等に用いられる放射線画像検出装置に関する。
従来、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に、増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史のなかで高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、今なお、世界中の医療現場で用いられている。しかしながらこれら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のような、自由な画像処理や瞬時の電送ができない。
そして、近年ではコンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPD)等に代表されるデジタル方式の放射線画像検出装置が登場している。これらは、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのデジタル方式の放射線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
また、更に新たなデジタル放射線画像技術として、薄膜トランジスタ(TFT)や電荷結合素子(CCD)を用いた平板放射線画像検出装置(FPD)が開発されている。
これら放射線画像検出装置に関し、薄膜トランジスタ(TFT)や電荷結合素子(CCD)等の光電変換素子が2次元に配置されているセンサーパネルと、放射線を光電変換素子で検出可能な光に変換するためのシンチレータ層を支持基板に形成したシンチレータパネルとを貼り合わせてなる放射線画像検出装置が知られている。
上記放射線画像検出装置に関し、複数の光電変換素子を備えたセンサーパネルと放射線を光に変換するシンチレータ層を有し、シンチレータ保護層としてホットメルト樹脂からなる保護層を設けることが公開されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−78471号公報
特許文献1は、シンチレータパネルとセンサーパネルをホットメルト樹脂からなるシンチレータ保護層の接着性を利用して貼り合わせるものである。また、この貼り合わせにおいて、エポキシ樹脂等の一般的な接着材を別途用いてシンチレータパネルとセンサーパネルを貼り合わせることも可能としている。
ここで、シンチレータ層によって発せられた光が光電変換素子に入射される際に、シンチレータパネルとセンサーパネルの貼り合わせに用いる接着剤層の膜厚分布によって光路長に差が生じ、その結果取得された画像の解像度が低下してしまうという問題を有する。特許文献1においては、前記接着剤層は、ホットメルト樹脂からなるシンチレータ保護層及び一般的な接着材を別途用いた場合はその接着剤層も含む層である。
しかしながら、特許文献1では、シンチレータパネルとセンサーパネルを貼り合わせて構成する放射線画像検出装置において、接着剤層の膜厚分布(膜厚を含む)のばらつきを制御しておらず、これに起因する画像ムラの発生、接着性の劣化、鮮鋭性の低下を十分改良することは困難であった。本発明は、上記状況に鑑み成されたものであり、シンチレータパネルとセンサーパネルとの貼り合わせにおける接着剤層の膜厚分布(膜厚を含む)に起因する画像ムラの発生、接着性の劣化、鮮鋭性の低下を防止することができる放射線画像検出装置を提供することを目的とする。
上記目的は、下記の構成により達成される。
1.支持体と前記支持体上に設けられた蛍光体の層であるシンチレータ層を備えたシンチレータパネルと基板上に光を受光する光電変換素子を備えたセンサーパネルとを備えた撮像パネルを有し、
前記シンチレータパネルと前記センサーパネルとが接着剤層により貼り合わせて構成され、且つ前記接着剤層の厚みが前記光電変換素子の画素サイズの2倍以下で、且つ1μm以上であり、更に前記接着剤層の膜厚分布が20%以内であることを特徴とする放射線画像検出装置。
2.前記シンチレータ層の膜厚が100〜400μmであることを特徴とする前記1に記載の放射線画像検出装置。
3.前記接着剤層がホットメルト樹脂を含む層であることを特徴とする前記1または2に記載の放射線画像検出装置。
4.前記接着剤層がホットメルトシートであることを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の放射線画像検出装置。
5.前記蛍光体層が、ヨウ化セシウムとタリウムを含む添加剤を原材料として気相法により形成されることを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の放射線画像検出装置。
6.前記蛍光体がセシウムハライド系蛍光体であることを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の放射線画像検出装置。
7.前記蛍光体が賦活剤としてタリウムを含有することを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の放射線画像検出装置。
本発明によれば、シンチレータパネルとセンサーパネルを貼り合わせにおける接着剤層の膜厚分布(膜厚を含む)に起因する画像ムラの発生、接着性の劣化、鮮鋭性の低下を防止することができる放射線画像検出装置を提供することができる。
本発明に係るシンチレータパネルの概略を示す断面図である。 シンチレータパネルの拡大断面図である。 蒸着装置の概略構成を示す図である。 2種類の支持体及びホットメルトシートの配置を示す図である。 放射線画像検出器の概略構成を示す一部破断斜視図である。 撮像パネルの拡大断面図である。 ホットメルトシートを用いた場合のシンチレータパネル、センサーパネル、ホットメルトシートの配置を示す図である。
以下、図を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図5は、本発明に係る放射線画像検出装置100の概略構成を示す一部破断斜視図である。
図5に示すように、放射線画像検出装置100には、撮像パネル51、放射線画像検出装置100の動作を制御する制御部52、書き換え可能な専用メモリ(例えばフラッシュメモリ)等を用いて撮像パネル51から出力された画像信号を記憶する記憶手段であるメモリ部53、撮像パネル51を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電力供給手段である電源部54等が、筐体55の内部に設けられている。筐体55には必要に応じて放射線画像検出装置100から外部に通信を行うための通信用のコネクタ56、放射線画像検出装置100の動作を切り換えるための操作部57、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部53に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部58、等が設けられている。
ここで、放射線画像検出装置100に電源部54を設けるとともに放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部53を設け、コネクタ56を介して放射線画像検出装置100を着脱自在にすれば、放射線画像検出装置100を持ち運びできる可搬構造とすることができる。
撮像パネル51は、支持体と前記支持体上に設けられた蛍光体の層であるシンチレータ層を備えたシンチレータパネルと基板上に光を受光する光電変換素子を備えたセンサーパネルとを備えている。
<シンチレータパネルの構成>
図1は、本実施の形態でのシンチレータパネル10の概略を示す断面図である。図2は、シンチレータパネル10の拡大断面図である。
シンチレータパネル10は、支持体である第1基板12を備えている。第1基板12の一面には蛍光体を蒸着したシンチレータ層(蛍光体層)13が設けられ、シンチレータ層面とされる。第1基板12に後述の可撓性材料を用いた場合には、補強のため第2基板11を設けることが好ましい。第2基板11は、第1基板12のシンチレータ層面の裏面(非蛍光体層面)と接合(貼り合わせ)される。図2は、第1基板12と第2基板11を用いた例である。
保護層14は、シンチレータパネル10の全面を覆うように設けられ、シンチレータ層13の保護を主目的としている。即ち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主目的としている。
第1基板12の蛍光体が蒸着される面に反射層15を設けることが好ましい。反射層15を設けることによって、蛍光体の発光を非常に効率よく取り出すことができるため、輝度を飛躍的に向上させることができる。
また、第1基板12と反射層15の密着性を向上させるために、第1基板12と反射層15の間に中間層16を設けることが好ましい。
更に、第1基板12とシンチレータ層13の密着性を向上させるために、下引き保護層17を設けることが好ましい。図1に示す例では、下引き保護層17は、シンチレータ層13と反射層15の間に設けられる。
(シンチレータ層)
シンチレータ層(蛍光体層)13は、放射線の照射により、蛍光を発するシンチレータ(蛍光体)から成る層である。
即ち、シンチレータとは、X線等の入射された放射線のエネルギーを吸収して、波長が300nmから800nmの電磁波、すなわち、可視光線を中心に紫外光から赤外光にわたる電磁波(光)を発光する蛍光体をいう。蛍光体として柱状結晶を用いる場合、柱状結晶の柱径は2.0〜20μmが好ましく、3.0〜15μmがより好ましい。またシンチレータ層の膜厚は100〜400μmであることが好ましく、より好ましくは120〜380μm、特に好ましくは140〜380μmである。
本実施の形態においては、シンチレータ層13の充填率の変動係数は20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であることが、更に好ましくは5%以下であることが輝度、鮮鋭性を向上し、更に温度変動に伴う画像欠陥の発生を防止する観点から好ましい。充填率の変動係数は小さければ小さいほど好ましいが通常は0.1%以上である。充填率の変動係数を20%以下にするためにはシンチレータ層の製造装置において用いる蒸発源の配置を制御することで行うことができる。
シンチレータ層13の充填率は70〜90%であることが好ましく、より好ましくは72〜88%、特に好ましくは75〜85%である。
ここで充填率とはシンチレータ層13の実際の質量を、理論密度と見かけの体積で割った値をさす。シンチレータ層の充填率を制御するには、蒸着時の基板温度の制御や、蒸着速度やAr等のキャリアガスの導入量を調整することにより真空度を制御することで行うことができる。塗布法による場合は蛍光体と結合剤の比率を調整したり、カレンダリング時の温度、圧力、速度を調整したりすることにより行うことができる。
蛍光体層13の形成には、低温で密着性の良い膜が得られる、多種の支持体や皮膜を選択できる、合金、化合物や複雑化合物の皮膜生成が可能等の面から気相法を用いることが好ましい。
(シンチレータ層材料)
シンチレータ層13を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変換率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。
但し、CsIのみでは発光効率が低いために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54−35060号の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば特開2001−59899号公報に開示されているようなCsIを蒸着で、インジウム(In)、タリウム(Tl)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIが好ましい。
また、タリウムを含有するCsIのシンチレータ層を形成するための、原材料としては、1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとが、好ましく用いられる。タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長を持つことから好ましい。
1種類以上のタリウム化合物を含有する添加剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。
好ましいタリウム化合物は、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、またはフッ化タリウム(TlF,TlF)等である。
また、タリウム化合物の融点は、発光効率の面から、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。なお、融点とは、常温常圧下における融点である。
また、タリウム化合物の分子量は206〜300の範囲内にあることが好ましい。
シンチレータ層13において、当該添加剤の含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.01〜20モル%であるのが好ましく、0.05〜5モル%であるのがより好ましい。
本発明においては、上記したCsI:Tl以外にも各種のものが利用可能である。
他の一例として、基本組成式(I):
X・aMX’・bMX”:zA
で示されるアルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体が好ましく例示される。
上記式において、MはLi、Na、K、Rb及びCsからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ金属を表し、M2はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Cu、Zn及びCdからなる群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属または二価金属を表し、M3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInからなる群より選択される少なくとも1種の希土類元素または三価金属を表す。また、X、X’及びX”はそれぞれ、F、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも一種のハロゲンを表し、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag、Tl及びBiからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素または金属を表す。また、a、b及びzはそれぞれ、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表す。
また、上記基本組成式(I)中のMとしては少なくともCsを含んでいることが好ましく、Xとしては少なくともIを含んでいることが好ましく、Aとしては特にTlまたはNaであることが好ましい。zは1×10−4≦z≦0.1の範囲内の数値であることが好ましい。
また、基本組成式(II):
FX:zLn
で示される希土類賦活アルカリ土類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体も好ましい。
上記式において、MはBa、Sr及びCaからなる群より選択される少なくとも一種のアルカリ土類金属を表し、LnはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Nd、Er、Tm及びYbからなる群より選択される少なくとも一種の希土類元素を表す。Xは、Cl、Br及びIからなる群より選択される少なくとも一種のハロゲンを表す。また、zは、0<z≦0.2の範囲内の数値を表す。
なお、上記式中のMとしては、Baが半分以上を占めることが好ましい。Lnとしては、特にEuまたはCeであることが好ましい。
また、他に、LnTaO:(Nb,Gd)系、LnSiO:Ce系、LnOX:Tm系(Lnは希土類元素である)、GdS:Tb、GdS:Pr,Ce、ZnWO、LuAlO:Ce、GdGa12:Cr,Ce、HfO等を挙げることができる。
(第1基板)
第1基板12は、放射線透過性で、シンチレータ層を担持可能な板状の基板であり、各種のガラス、高分子材料、金属等を用いることができる。
例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラス、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、又、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)、アルミニウムシート、鉄シート、銅シート等の金属シートあるいは該金属酸化物の被覆層を有する金属シートなどを用いることができる。
特に、ポリイミドまたはポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルム等が、ヨウ化セシウムを原材料として気相法にて柱状シンチレータを形成する場合に、好適である。
特に第1基板12は、厚さ50〜500μmの可撓性を有する高分子フィルムであることが好ましい。ここで、「可撓性を有する基板」とは、120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmである基板をいい、かかる基板としてポリイミドまたはポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
なお、「弾性率」とは、引張試験機を用い、JIS−C2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明では、かかるヤング率を弾性率と定義する。
本発明に用いられる基板は、上記のように120℃での弾性率(E120)が1000N/mm〜6000N/mmであることが好ましい。より好ましくは1200N/mm〜5000N/mmである。
具体的には、ポリエチレンナフタレート(E120=4100N/mm)、ポリエチレンテレフタレート(E120=1500N/mm)、ポリブチレンナフタレート(E120=1600N/mm)、ポリカーボネート(E120=1700N/mm)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=2200N/mm)、ポリエーテルイミド(E120=1900N/mm)、ポリアリレート(E120=1700N/mm)、ポリスルホン(E120=1800N/mm)、ポリエーテルスルホン(E120=1700N/mm)等からなる高分子フィルムが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく積層あるいは混合して用いてもよい。中でも、特に好ましい高分子フィルムとしては、上述のように、ポリイミドまたはポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
(第2基板)
第2基板11は、放射線透過性であり、各種のガラス、高分子材料、金属等を用いることができる。第2基板11は、直接あるいは必要に応じて吸湿層等の機能層を介して、粘着剤(例えば両面テープやホットメルトシート、接着剤等)によって第1基板12と接合(貼り合わせ)される。
第2基板11としては、(1)炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、(2)カーボンボード(木炭及び紙を炭化処理して固めたもの)、(3)カーボン基板(グラファイト基板)、(4)プラスチック基板、(5)ガラス基板、(6)上記(1)〜(5)の基板を薄く形成し発泡樹脂でサンドイッチしたもの、等を用いることができる。
第2基板11の厚さは、第1基板12の厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、シンチレータパネル全体の強度が向上する。第2基板11の配置領域は、光電変換素子の配置領域より広いことが必要である。これにより、第2基板11の影が映ることを防止でき、その結果、画像が不均一になるのを防止できる。
(反射層)
前述のように、第1基板12の蛍光体が蒸着される面に反射層15を設けることが好ましい。反射層15を設けることによって、蛍光体の発光を非常に効率よく取り出すことができるため、輝度が飛躍的に向上する。反射層15の表面反射率は好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。反射層を構成する材料としては、アルミニウム、銀、白金、パラジウム、金、銅、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、ステンレス等の金属材料を含有していることが好ましい。中でも反射率、耐食性の観点からアルミニウムもしくは銀を主成分としていることが特に好ましい。また、このような金属薄膜を2層以上形成するようにしても良い。金属薄膜を2層以上とする場合は、下層をNiもしくはCr、あるいはその両方を含む層とすることが第1基板12との接着性を向上させる点から好ましい。また、金属薄膜上にSiO2、TiO2等の金属酸化物からなる層をこの順に設けて更に反射率を向上させても良い。
これらの金属を第1基板12上に被覆する方法としては、蒸着、スパッタ、あるいは、金属箔の貼り合わせ等、特に制約はないが、密着性の観点からスパッタが最も好ましい。
なお、反射層の厚さは、0.005〜0.3μm、より好ましくは0.01〜0.2μmであることが、発光光取り出し効率の観点から好ましい。
反射層15とシンチレータ層13の間には更に少なくとも1層からなる酸化物層を設けても良い。酸化物層を設けることで反射率が向上し、輝度向上の効果がある。更に、特に第1基板12としてアルミニウムやカーボン等の導電性の基板を使用する場合は、腐食防止の効果も得ることができる。酸化物層としては金属酸化物を含むことが好ましく、SiO、TiOなどが挙げられる。酸化物層は、複数の酸化物層からなることがより好ましい。酸化物層の厚さは、0.005〜0.3μm、より好ましくは0.01〜0.2μmであることが、輝度向上、腐食防止の観点から好ましい。
(中間層)
前述のように、支持体12と反射層15の密着性を向上させるために、中間層16を設けることが好ましい。中間層16としては、樹脂を含有する層であることが好ましい。樹脂としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、ポリイミド、ポリアミド、ポリパラキシリレン、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、ポリイミド、ポリパラキシリレンを使用することが好ましい。
中間層16の厚みは1.0μm〜30μmであるのが好ましく、2.0μm〜25μmであるのがより好ましく、5.0μm〜20μmであるのが特に好ましい。
(下引き保護層)
前述のように、支持体12と蛍光体層13の密着性の向上及び保護のために、下引き保護層17を設けることが好ましい。図1に示す例では、下引き層保護17は、蛍光体層13と反射層15の間に設けられる。十分な保存特性が得られ、且つ光の散乱が抑えられる点から、下引き保護層17の厚みは0.2〜5.0μmであるのが好ましく、0.5〜4.0μmがより好ましく、0.7〜3.5μmであるのが特に好ましい。
下引き保護層17には有機樹脂を用いることが好ましく、有機樹脂としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、ポリイミド、ポリアミド、ポリパラキシリレン、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。
中でもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース、ポリイミド、ポリパラキシリレンを使用することが好ましい。
通常、蒸着によるシンチレータを形成するにあたっては、基板温度は150℃〜250℃で実施されるが、下引き保護層17にガラス転移温度が−20℃〜45℃である有機樹脂を含有しておくことで、下引き保護層17が接着層としても有効に機能するようになる。
下引き保護層17の製作に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
また下引き保護層17は、光吸収層であることが好ましく、極大吸収波長は560〜650nmであることが好ましい。下引き保護層17は、極大吸収波長が560〜650nmの範囲にあるようにするために顔料及び染料の少なくとも一方を含有することが好ましい。
また、下引き保護層17は上記有機樹脂の他に、分散剤等を含有することが好ましい。560〜650nmの間に極大吸収波長を有する着色剤としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。
着色剤としては、560〜650nmの波長範囲に吸収を持つものが好ましく、着色剤としては、紫〜青の有機系もしくは無機系の着色剤が好ましく用いられる。
紫〜青の有機系着色剤の例としては、紫色:ジオキサジン、青色:フタロシアニンブルー、インダンスレンブルーなどであり具体的には、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト社製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学(株)製)、スミアクリルブルーF−GSL(住友化学(株)製)、D&CブルーNo.1(ナショナル・アニリン社製)、スピリットブルー(保土谷化学(株)製)、オイルブルーNo.603(オリエント(株)製)、キトンブルーA(チバ・ガイギー社製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土谷化学(株)製)、レイクブルーA、F、H(協和産業(株)製)、ローダリンブルー6GX(協和産業(株)製)、ブリモシアニン6GX(稲畑産業(株)製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学(株)製)、シアニンブルーBNRS(東洋インキ(株)製)、ライオノルブルーSL(東洋インキ(株)製)が挙げられる。
紫〜青〜青緑の無機系着色剤の例としては、群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO−ZnO−CoO−NiO系顔料が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
着色剤として、好ましいものは金属フタロシアニン系顔料である。
金属フタロシアニン系顔料としては、具体的には、銅フタロシアニンが挙げられる。しかし、極大吸収波長が570〜650nmの範囲内にある限り、他の金属含有フタロシアニン顔料、例えば亜鉛、コバルト、鉄、ニッケル、及び他のそのような金属に基づくものも使用できる。
適当なフタロシアニン系顔料は未置換でも、(例えば1つまたはそれ以上のアルキル、アルコキシ、ハロゲン例えば塩素、または他のフタロシアニン顔料に典型的な置換基で)置換されていてもよい。粗フタロシアニンは、技術的に公知のいくつかの方法の何れかで製造できるが、好ましくは無水フタル酸、フタロニトリルまたはそれらの誘導体の、金属ドナー、窒素ドナー(例えば尿素またはフタロニトリル自体)と、好ましくは有機溶媒中随時触媒の存在下に反応させることによって製造できる。
例えばW.ハーブスト(Herbst)及びK.ハンガー(Hunger)、「工業有機顔料」[VCH出版、ニューヨーク、1993年]、418〜427ページ、H.ゾリンガー(Zollinger)、「色剤化学」(VCH出版、1973年)101〜104ページ、及びN.M.ピゲロー(Pigelow)及びM.A.パーキンス(Perkins)、H.A.ラブス(Lubs)編「合成染料及び顔料の化学」[ロバート(Robert)E.クリーガー(Krieger)出版、1955年]、584〜587ページにおける「フタロシアニン顔料」、更に米国特許第4158572号、第4257951号、及び第5175282号、並びに英国特許第1502884号を参照。
顔料は、上記有機樹脂中に分散されて用いられることが好ましい。分散剤は、用いる有機樹脂と顔料とに合わせて種々のものを用いることができる。
分散剤としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。
顔料を有機樹脂中へ分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)に記載がある。
下引き保護層17は、溶剤に溶解した樹脂を塗布、乾燥して形成したり、CVD法により形成したりされる。
(保護層)
本発明に係る保護層14は、蛍光体層13の保護を主眼とするものである。即ち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主目的とする。
保護層14は種々の材料を用いて形成することができる。例えば、CVD法によりポリパラキシリレン膜を形成する、即ちシンチレータ及び基板の表面全体にポリパラキシリレン膜を形成し、保護層14とすることができる。
また、保護層14は、耐湿保護用の塗布液をシンチレータ層13の表面に直接塗布して形成してもよく、また、予め別途形成した保護層14を前記蛍光体層に接着したり、包み込んだりして封止してもよい。
また、保護層14は蒸着法、スパッタリング法などにより、SiC、SiO、SiN、Alなどの無機物質を積層して形成してもよい。
この保護層14の厚さは、空隙部の形成性、シンチレータ(蛍光体)層13の耐湿保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、12μm以上、100μm以下が好ましく、更には20μm以上、60μm以下が好ましい。
また、ヘイズ率が、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性、作業性等を考慮し、3%以上、40%以下であることが好ましく、更には3%以上、10%以下であることが好ましい。ヘイズ率は日本電色工業株式会社NDH 5000Wにより測定した値を示す。必要とするヘイズ率は市販されている高分子フィルムから適宜選択し、容易に入手することが可能である。
保護層14の光透過率は光電変換効率、シンチレータ発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましいが、99%以上の光透過率のフィルムは工業的に入手が困難であるため、実質的に99〜70%が好ましい。
保護層14の透湿度はシンチレータ層の保護性、潮解性等を考慮し、50g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には10g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましいが、0.01g/m・day(40℃・90%RH)以下の透湿度のフィルムは工業的に入手が困難であるため、実質的に0.01g/m・day(40℃・90%RH)以上、50g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には0.1g/m・day(40℃・90%RH)以上、10g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
(保護層14として好ましい保護フィルム)
保護層14として好ましい保護フィルムは、積層された有機フィルムであり、その構成例としては、保護層(最外層)/防湿層/熱溶着層(最内層)の構成を有した多層積層材料が挙げられる。また、更に各層は必要に応じて多層とすることも可能となっている。上記の保護フィルムによって、シンチレータプレートが真空封止されていることが好ましい。
《熱溶着層(最内層)》
最内層の熱可塑性樹脂フィルムとしては、EVA、PP、LDPE、LLDPE及びメタロセン触媒を使用して製造したLDPE、LLDPE、またこれらフィルムとHDPEフィルムの混合使用したフィルムを使用することが好ましい。
《防湿層(中間層)》
特開平6−95302号公報及び真空ハンドブック増訂版p132〜134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き、無機膜を少なくとも一層有する層が挙げられる。無機膜としては、金属蒸着膜及び無機酸化物の蒸着膜が挙げられる。
金属蒸着膜としては、例えば、ZrN、SiC、TiC、Si、単結晶Si、ZrN、PSG、アモルファスSi、W、アルミニウム等が挙げられ、特に好ましい金属蒸着膜としては、例えば、アルミニウムが挙げられる。
無機物蒸着膜としては、薄膜ハンドブックp879〜901(日本学術振興会)、真空技術ハンドブックp502〜509、p612、p810(日刊工業新聞社)、真空ハンドブック増訂版p132〜134(ULVAC 日本真空技術K.K)に記載されている如き無機物蒸着膜が挙げられる。これらの無機物蒸着膜としては、例えば、Cr、Si(x=1、y=1.5〜2.0)、Ta、ZrN、SiC、TiC、PSG、Si、単結晶Si、アモルファスSi、W、AI等が用いられる。
防湿層の基材として使用する熱可塑性樹脂フィルムとしては、エチレンテトラフルオロエチル共重合体(ETFE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、2軸延伸ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、ポリエーテルスチレン(PES)など一般の包装用フィルムに使用されているフィルム材料を使用することができる。
蒸着膜を作る方法としては、真空技術ハンドブック及び包装技術Vol.29−No.8に記載されている如き一般的な方法、例えば、抵抗または高周波誘導加熱法、エレクトロビーム(EB)法、プラズマ(PCVD)等により作ることができる。蒸着膜の厚さとしては40〜200nmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜180nmの範囲である。
《保護層(最外層)》
蒸着フィルムシートを介して用いられる熱可塑性樹脂フィルムとしては、一般の包装材料として使用されている高分子フィルム(例えば、機能性包装材料の新展開株式会社東レリサーチセンター記載の高分子フィルム)である低密度ポリエチレン(LDPE)、HDPE、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン(CPP)、OPP、延伸ポリアミド(ONy)、PET、セロハン、ポリビニルアルコール(PVA)、延伸ビニロン(OV)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン(PVDC)、フッ素を含むオレフィン(フルオロオレフィン)の重合体、またはフッ素を含むオレフィンを共重合体等が使用できる。
また、これら熱可塑性樹脂フィルムは、必要に応じて異種フィルムと共押し出しで作った多層フィルム、延伸角度を変えて張り合わせて作った多層フィルム等も当然使用できる。更に必要とする包装材料の物性を得るために、使用するフィルムの密度、分子量分布を組み合わせて作ることも当然可能である。
無機物蒸着層を使用しない場合は、保護層(最外層)に防湿層としての機能を持たせる必要がある。この場合、保護層(最外層)に使用する熱可塑性樹脂フィルムの中より必要に応じて単体でもよいし、または2種以上のフィルムを積層させて用いることができる。例えば、CPP/OPP、PET/OPP/LDPE、Ny/OPP/LDPE、CPP/OPP/EVOH、サランUB/LLDPE(ここでサランUBとは、旭化成工業株式会社製の塩化ビニリデン/アクリル酸エステル系共重合樹脂を原料とした2軸延伸フィルムを示す。)K−OP/PP、K−PET/LLDPE、K−Ny/EVA(ここでKは、塩化ビニリデン樹脂をコートしたフィルムを示す。)等が使用されている。
これら保護フィルムの製造方法としては、一般的に知られている各種の方法が用いられ、例えば、ウェットラミネート法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、押し出しラミネート法、熱ラミネート法を利用して作ることが可能である。無機物を蒸着したフィルムを使用しない場合も同様な方法が当然使えるが、これらの他に使用材料によっては多層インフレーション方式、共押し出し成形方式により作ることができる。
積層する際に使用される接着剤としては、一般的に知られている接着剤が使用可能である。例えば、各種ポリエチレン樹脂、各種ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂熱溶解接着剤、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂等のエチレン共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂等の熱可塑性樹脂熱溶融接着剤、その他熱溶融型ゴム系接着剤等がある。
エマルジョン、ラテックス状の接着剤であるエマルジョン型接着剤の代表例としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、酢酸ビニルとアクリル酸エステル共重合体樹脂、酢酸ビニルとマレイン酸エステル共重合体樹脂、アクリル酸共重合物、エチレン−アクリル酸共重合物等のエマルジョンがある。
ラテックス型接着剤の代表例としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のゴムラテックスがある。また、ドライラミネート用接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤等があり、その他、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂等をブレンドしたホットメルトラミネート接着剤、感圧接着剤、感熱接着剤等公知の接着剤を用いることもできる。
エクストルージョンラミネート用ポリオレフィン系樹脂接着剤はより具体的に言えば、各種ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などのポリオレフィン樹脂からなる重合物及びエチレン共重合体(EVA、EEA、等)樹脂の他、L−LDPE樹脂の如く、エチレンと他のモノマー(α−オレフィン)を共重合させたもの、Dupot社のサーリン、三井ポリケミカル社のハイミラン等のアイオノマー樹脂(イオン共重合体樹脂)及び三井石油化学(株)のアドマー(接着性ポリマー)等がある。
その他、紫外線硬化型接着剤も最近使われはじめた。特にLDPE樹脂とL−LDPE樹脂が安価でラミネート適性に優れているので好ましい。また、前記樹脂を2種以上ブレンドして各樹脂の欠点をカバーした混合樹脂は特に好ましい。例えば、L−LDPE樹脂とLDPE樹脂とをブレンドすると延展性が向上し、ネックインが小さくなるのでラミネート速度が向上し、ピンホールが少なくなる。
<シンチレータパネルの製作方法>
本発明に係るシンチレータパネル10の製作例について説明する。図3は、蒸着装置61の概略構成を示す図である。
〈蒸着装置〉
図3に示すように、蒸着装置61は箱状の真空容器62を有しており、真空容器62の内部には真空蒸着用のボート(るつぼ)63が配されている。ボート63は蒸着源の被充填部材であり、当該ボート63には電極が接続されている。当該電極を通じてボート63に電流が流れると、ボート63がジュール熱で発熱するようになっている。放射線用シンチレータパネル10の製造時においては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物とを含む混合物がボート63に充填され、そのボート63に電流が流れることで、上記混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。
なお、被充填部材として、ヒーターを巻回したアルミナ製のボート(るつぼ)を適用してもよいし、高融点金属製のヒーターを適用してもよい。
真空容器62の内部であってボート63の直上には、第1基板12を保持する基板ホルダ64が配されている。基板ホルダ64にはヒーター(図示略)が配されており、当該ヒーターを作動させることで基板ホルダ64に装着した第1基板12を加熱することができるようになっている。第1基板12を加熱した場合には、第1基板12の表面の吸着物を離脱・除去したり、第1基板12とその表面に形成されるシンチレータ層13との間に不純物層が形成されるのを防止したり、第1基板12とその表面に形成されるシンチレータ層13との密着性を強化したり、第1基板12の表面に形成されるシンチレータ層13の膜質の調整を行ったりすることができるようになっている。
基板ホルダ64には当該基板ホルダ64を回転させる回転機構65が配されている。回転機構65は、基板ホルダ64に接続された回転軸65aとその駆動源となるモータ(図示略)から構成されたもので、当該モータを駆動させると、回転軸65aが回転して基板ホルダ64をボート63に対向させた状態で回転させることができるようになっている。
蒸着装置61では、上記構成の他に、真空容器62に真空ポンプ66が配されている。真空ポンプ66は、真空容器62の内部の排気と真空容器62の内部へのガスの導入とを行うもので、当該真空ポンプ66を作動させることにより、真空容器62の内部を一定圧力のガス雰囲気下に維持することができるようになっている。
〈シンチレータパネル〉
シンチレータパネル10の製作においては、上記で説明した蒸発装置61を好適に用いることができる。蒸発装置61を用いてのシンチレータパネル10の製作について説明する。
《反射層の形成》
第1基板12上に、アルミニウムもしくは銀等を主成分とする金属層をスパッタ法により形成し、反射層15を形成する。
前述のように、反射層15の形成に先立ち、支持体12上に中間層16を形成することが好ましい。中間層16は、前述の材料を第1基板12上に塗布及び乾燥して形成される。
《下引き保護層の形成》
下引き保護層17は、有機溶剤に高分子結合材を分散・溶解した組成物を反射層15上に塗布、乾燥して形成される。高分子結合材としては、接着性、導電性金属反射層の耐腐食性の観点でポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の疎水性樹脂が好ましい。
《シンチレータ層の形成》
上記のように反射層15、中間層16及び下引き保護層17を設けた第1基板12を基板ホルダ64に取り付けるとともに、ボート63にヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混合物を充填する(準備工程)。この場合、ボート63と第1基板12との間隔を100〜1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処理を行うことが好ましい。
準備工程の処理を終えたら、真空ポンプ66を作動させて真空容器62の内部を排気し、真空容器62の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下にする(真空雰囲気形成工程)。
ここでいう「真空雰囲気下」とは、100Pa以下の圧力雰囲気下のことを意味し、0.1Pa以下の圧力雰囲気下であるのが好適である。
その後、アルゴン等の不活性ガスを真空容器62の内部に導入し、当該真空容器62の内部を0.001〜5Pa、より好ましくは0.01〜2Paの真空雰囲気下に維持する。次に、基板ホルダ64のヒーターと回転機構65のモータとを駆動させ、基板ホルダ64に取り付け済みの支持体12をボート63に対向させた状態で加熱しながら回転させる。シンチレータ層13が形成される第1基板12の温度は、蒸着開始時は室温25〜50℃に設定することが好ましく、蒸着中は100〜300℃、より好ましくは150〜250℃に設定することが好ましい。
この状態において、電極からボート63に電流を流し、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む混合物を700〜800℃程度で所定時間加熱してその混合物を蒸発させる。その結果、第1基板12の表面に、図1に示すように下引き保護層17が形成されている場合には下引き保護層17の表面に、無数の柱状結晶体13aが順次成長して所望の厚さの蛍光体層13が形成される。
《支持体の断裁》
製品サイズよりも大きい第1基板12に蛍光体層13を形成した場合には、製品サイズに断裁される。シンチレータ層13を形成した第1基板12から、複数枚のシンチレータ層13(第1基板12)を切り出すことで、生産性の向上を図ることができる。
上記複数枚の支持体12の断裁方法としては、例えば、打ち抜き刃、押し切りカッター、カッターナイフ、ハサミ、レーザ光等を用いた方法が挙げられる。
《支持体の接合》
蛍光体層13が形成され製品サイズとされた第1基板12は、そのシンチレータ層13面の裏面(非蛍光体層面)が第2基板11と接合(貼り合わせ)される。
図4は、第1基板12、第2基板11及びホットメルトシート18の配置を示す図である。なお、反射層15、中間層16及び下引き保護層17は省略している。図4に示すように第1基板12と第2基板11の接合は、第1基板12と第2基板11の間にホットメルトシート18を挟み、第2基板11側より加熱溶融及び加圧することにより行われる。
この加熱溶融は、ヒーター、温風を吐出するホットエアガン等、既知の方法を用いることができる。また、前述のような加熱温度、加圧量を用いて行われる。
《保護層の形成》
このシンチレータ層13を形成するCsIは、吸湿性が高く、露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解する。そこで、これを防止するために、CVD法によりポリパラキシリレンをシンチレータパネル全面に5〜30μm厚さに被覆することで保護層14を形成する。CsIの柱状結晶には隙間があり、ポリパラキシリレンがこの狭い隙間に入り込むので、保護層がCsIに密着する。
これにより、本発明に係る放射線用シンチレータパネル10を製造することができる。
<撮像パネル>
次に、上記シンチレータパネル10を用いた撮像パネル51の例について説明する。図6は撮像パネル51の拡大断面図である。
図6に示すように、撮像パネル51は、シンチレータパネル10と、シンチレータパネル10からの電磁波を吸収して画像信号を出力するセンサーパネル20と、を備えている。
シンチレータパネル10は、放射線照射面側に配置されており、入射した放射線の強度に応じた電磁波を発光するように構成されている。
センサーパネル20は、シンチレータパネル10の放射線照射面と反対側の面に設けられており、シンチレータパネル10側から順に、隔膜20a、光電変換素子20b、画像信号出力層20c及び基板20dを備えている。
隔膜20aは、シンチレータパネル10と他の層を分離するためのものである。
光電変換素子20bは、透明電極21と、透明電極21を透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層22と、透明電極21に対しての対極になる対電極23とから構成されており、隔膜20a側から順に透明電極21、電荷発生層22、対電極23が配置される。
透明電極21とは、光電変換される電磁波を透過させる電極であり、例えばインジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成される。
電荷発生層22は、透明電極21の一面側に薄膜状に形成されており、光電変換可能な化合物として光によって電荷分離する有機化合物を含有するものであり、電荷を発生し得る電子供与体及び電子受容体としての導電性化合物をそれぞれ含有している。電荷発生層22では、電磁波が入射されると、電子供与体は励起されて電子を放出し、放出された電子は電子受容体に移動して、電荷発生層22内に電荷、すなわち、正孔と電子のキャリアが発生するようになっている。
ここで、電子供与体としての導電性化合物としては、p型導電性高分子化合物が挙げられ、p型導電性高分子化合物としては、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p−フェニレン)またはポリアニリンの基本骨格を持つものが好ましい。
また、電子受容体としての導電性化合物としては、n型導電性高分子化合物が挙げられ、n型導電性高分子化合物としては、ポリピリジンの基本骨格を持つものが好ましく、特にポリ(p−ピリジルビニレン)の基本骨格を持つものが好ましい。
電荷発生層22の層厚は、光吸収量を確保するといった観点から、10nm以上(特に100nm以上)が好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎないといった観点から、1μm以下(特に300nm以下)が好ましい。
対電極23は、電荷発生層22の電磁波が入光される側の面と反対側に配置されている。対電極23は、例えば、金、銀、アルミニウム、クロムなどの一般の金属電極や、透明電極21の中から選択して用いることが可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするのが好ましい。
また、電荷発生層22を挟む各電極(透明電極21及び対電極23)との間には、電荷発生層22とこれら電極が反応しないように緩衝地帯として作用させるためのバッファー層を設けてもよい。バッファー層は、例えば、フッ化リチウム及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホナート)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル[1,10]フェナントロリンなどを用いて形成される。
画像信号出力層20cは、光電変換素子20bで得られた電荷の蓄積及び蓄積された電荷に基づく信号の出力を行うものであり、光電変換素子20bで生成された電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積素子であるコンデンサ24と、蓄積された電荷を信号として出力する画像信号出力素子であるトランジスタ25とを用いて構成されている。
トランジスタ25は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いるものとする。このTFTは、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでもよく、好ましくはプラスチックフィルム上に形成されたTFTである。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られているが、その他、米国Alien Technology社が開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、即ち、単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工したプラスチックフィルム上に配列させることで、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを形成するものとしても良い。更に、Science,283,822(1999)やAppl.Phys.Lett,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載されているような有機半導体を用いたTFTであってもよい。
このように、本発明に用いられるトランジスタ25としては、上記FSA技術で作製したTFT及び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に好ましいものは有機半導体を用いたTFTである。この有機半導体を用いてTFTを構成すれば、シリコンを用いてTFTを構成する場合のように真空蒸着装置等の設備が不要となり、印刷技術やインクジェット技術を活用してTFTを形成できるので、製造コストが安価となる。更に、加工温度を低くできることから熱に弱いプラスチック基板上にも形成できる。
トランジスタ25には、光電変換素子20bで発生した電荷を蓄積するとともに、コンデンサ24の一方の電極となる収集電極(図示せず)が電気的に接続されている。コンデンサ24には光電変換素子20bで生成された電荷が蓄積されるとともに、この蓄積された電荷はトランジスタ25を駆動することで読み出される。すなわちトランジスタ25を駆動させることで放射線画像の画素毎の信号を出力させることができる。
基板20dは、撮像パネル51の支持体として機能するものであり、第2基板11と同様の素材で構成することが可能である。
ここで、図6に示すように、シンチレータパネル10の保護層14外面とセンサーパネル20の隔膜20a外面とが、接着剤層200により接合(張り合わせ)されて構成される。
(接着剤層)
本発明において、発明者らは、接着剤層200の膜厚と膜厚分布を所定の範囲とすることにより、画像ムラの発生、接着性の劣化、鮮鋭性の低下を防止することができることを見いだした。
ここで本発明において、接着剤層200の膜厚分布とは、接着剤層200の平均膜厚に対する最大膜厚と最小膜厚の差の比率(%)をいう。従って、平均膜厚をTav、最大膜厚をTmax、最小膜厚をTmin、とすると、膜厚分布=(Tmax−Tmin)/Tav×100(%)で表される。
前記所定の範囲とは、接着剤層200の膜厚の、光電変換素子の画素サイズに対する比率(接着剤層比率)において、接着剤層200の膜厚は光電変換素子の画素サイズの2倍以下で、且つ膜厚で1μm以上であり、更に接着剤層200の膜厚分布は20%以下とされる。
前記光電変換素子の画素サイズに対する比率は、(接着剤層膜厚/光電変換素子の画素サイズ)で表される。
接着剤層200の厚さが光電変換素子の画素サイズの2倍より大きいと鮮鋭性が劣化し、1μmより小さいとセンサーパネル20の電極部の凹凸を埋められず、接着性が劣化する。接着剤層200の厚さが光電変換素子の画素サイズの2倍より大きいと鮮鋭性が劣化する理由は明らかではないが、接着剤層を通過する距離が長くなることによる光の散乱の発生を十分に防止できないために鮮鋭性が劣化するものと推測される。接着剤層200の厚さは2〜100μmであることが好ましく、より好ましくは2〜10μmで、これにより本発明の効果をよりよく発揮することができる。
また、接着剤層200の膜厚分布が20%より大きいと画像ムラが発生し易くなる。接着剤層200の膜厚分布を20%以下とすることにより、画像ムラの発生を低減することができる。接着剤層200の膜厚分布を10%以下とすることがより好ましく、更に5%以内であることが好ましい。膜厚分布の値をこの範囲とすることで画像ムラの発生を防止することができる点で好ましい。接着剤層200の膜厚分布を20%以下とすることにより、画像ムラの発生を低減することができる理由は明らかではないが、接着剤層の膜厚分布によって光路差が生じ、その結果、鮮鋭性にバラツキが生じ、画像ムラが発生するものと推測される。
本発明において、シンチレータ層13の膜厚は100〜400μmであることが好ましい。上記のような接着剤層の厚さ、膜厚分布は、特にシンチレータ層13の膜厚を100〜400μmとした場合に対して、画像ムラの発生、接着性の劣化、鮮鋭性の低下の改良効果について顕著であった。
シンチレータ層13の膜厚が100〜400μmの範囲で改良効果が顕著である理由は明らかではないが、シンチレータ層の膜厚を100〜400μmとすることで、元々鮮鋭性が高いレベルとなるため、接着剤層の厚さ、膜厚分布の影響がより顕著に現れるものと推測される。
接着剤層200としては例えば、両面テープ(マトリックステープ)、ホットメルトシート、接着剤が用いられる。
ホットメルトシートとは、シート状に形成したホットメルト接着剤のことをいう。ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を主成分とした接着剤で、常温では固形または半固形であり、加熱溶融することにより液状化する。ホットメルト接着剤を液状化して接合部材を貼り合わせ、更に冷却しホットメルト接着剤を固化することにより接合が形成される。
以下、ホットメルトシートの符号を接着剤層の符号と同じ200と記す。
図7は、ホットメルトシート200を用いた場合のシンチレータパネル10、センサーパネル20、ホットメルトシート200の配置を示す図である。
ホットメルトシート200を用いた場合には、シンチレータパネル10とセンサーパネル20の接合は、シンチレータパネル10の保護層14外面とセンサーパネル20の隔膜20a外面との間に、ホットメルトシート200を挟み、加熱溶融及び加圧することにより行われる。
ホットメルト接着剤は常温では接着力を生じないため、シンチレータパネル10とセンサーパネル20の接合にホットメルトシート200を用いることにより、両面粘着テープ等の常温粘着型の接着剤と比較して、位置合わせが容易である。即ち、接着力が生じない状態で位置決めした後、加熱溶融して接着力を生じさせ接合するため、シンチレータパネル10とセンサーパネル20の位置合わせが正確に容易に行うことができる。また、ホットメルトシート200は一般的な常温粘着型の接着シートに比較して弾性率が高く、温度変動に対する支持体の寸法変化を抑制する効果が高い。
ホットメルトシート200に使用されるホットメルト樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などのホットメルト樹脂が挙げられる。ホットメルト樹脂の熱膨張係数は、材料により異なるが、例えば、160〜230×10−6/℃である。ホットメルト樹脂としては、例えば特開2006−78471号公報の「0024」〜「0034」に記載されたホットメルト樹脂を使用することができる。
接着剤を用いた場合には、シンチレータパネル10とセンサーパネル20の接合は、シンチレータパネル10の保護層14外面とセンサーパネル20の隔膜20a外面の何れか一面また両面に接着剤を塗布して接着剤層200として貼り合わせて行われる。接着剤としては、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系の群に属する接着剤を用いることができる。接着剤の熱膨張係数は、材料により異なるが、例えば、110×10−6/℃以下である。
<放射線画像検出装置>
上記撮像パネル51を用いて、図5に示す放射線画像検出装置100が製作される。
次に、放射線画像検出装置100の作用について説明する。
まず、放射線画像検出装置100に入射した放射線は、撮像パネル51の放射線用シンチレータパネル10側から基板20d側に向けて進行する。
すると、シンチレータパネル10中のシンチレータ層13が入射した放射線のエネルギーを吸収し、その強度に応じた電磁波を発光する。発光された電磁波のうち、センサーパネル20に入光される電磁波は、センサーパネル20の隔膜20a、透明電極21を貫通し、電荷発生層22に到達する。そして、電荷発生層22において電磁波は吸収され、その強度に応じて正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
その後、発生した電荷は、電源部54によるバイアス電圧の印加により生じる内部電界により正孔と電子はそれぞれ異なる電極(透明電極膜及び導電層)へ運ばれ、光電流が流れる。
その後、対電極23側に運ばれた正孔は画像信号出力層20cのコンデンサ24に蓄積される。蓄積された正孔はコンデンサ24に接続されているトランジスタ25を駆動させると、画像信号を出力するとともに、出力された画像信号はメモリ部53に記憶される。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
後述の表1に示すシンチレータ層の膜厚のシンチレータパネル10を製作し、センサーパネル20と接合して撮像パネル51を製作した。この撮像パネル51を用いて放射線画像検出装置100を製作して、シンチレータパネル10とセンサーパネル20との接着性、画像の鮮鋭性及びムラの評価を行った。
表1に示すように、前記接合を、接着剤層200の膜厚が1μm以上、接着剤層比率が2以下、接着剤層膜厚分布が20%以内として、本発明の放射線画像検出装置100(表1、装置No.101〜114)を製作した。また、前記接合を、接着剤層200の膜厚、接着剤層比率、接着剤層膜厚分布の何れかが、本発明の所定の範囲から外れる放射線画像検出装置100(表1、装置No.115〜117)を、比較例として製作した。
〈シンチレータパネル10の製作〉
(反射層15の形成)
厚さ125μmのポリイミドフィルム(宇部興産製UPILEX−125S)を第1基板12とし、それにアルミニウムをスパッタして反射層(0.02μm)を形成した後、SiO膜(0.08μm)膜、TiO膜(0.05μm)を形成した。
(下引き保護層17の形成)
バイロン200(東洋紡社製:ポリエステル樹脂、Tg:67℃)100質量部
ヘキサメチレンジイソシアナート 3質量部
フタロシアニンブルー 0.1質量部
メチルエチルケトン(MEK) 100質量部
トルエン 100質量部
上記処方を混合し、ビーズミルにて15時間分散し、保護層塗設用の塗布液を得た。
この塗布液を第1基板12の反射層15面に乾燥膜厚が2.5μmになるように押し出しコーターで塗布し、下引き保護層17を形成した。
(シンチレータ層13の形成)
蒸着装置61の基板回転機構を備えた基板ホルダ64に反射層15と下引き保護層17を設けた第1基板12を設置した。次に、蛍光体原料(CsI:0.8Tlモル%)を蒸着材料として蒸発源のボート(るつぼ)63に充填し、8個のボート63を真空容器の内部の底面付近であって、基板に垂直な中心線を中心とした円の円周上に配置した。このとき、第1基板12とボート63との間隔を400mmに調節するとともに、第1基板12に垂直な中心線とボート63との間隔を300mmに調節した。更に、8個の遮蔽板を、ボート63と第1基板12のうちボート63に対向する面の中心点とを結ぶ線分上に、遮蔽板の上端部分が接する高さ及び位置となるように配置し、蛍光体が第1基板12に蒸着する際の入射角の範囲を制限するようにした。次に、4個のボート63を真空容器の内部の底面付近であって、第1基板12に垂直な中心線を中心とした円の円周上に配置した。このとき、第1基板12と蒸発源との間隔を400mmに調節するとともに、第1基板12に垂直な中心線と蒸発源との間隔を150mmに調節した。更に真空容器の内部の底面付近であって、第1基板12に垂直な中心線を中心とした円の中心に1個のボート63を配置した。続いて真空容器の内部を一旦排気し、Arガスを導入して0.02Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で第1基板12を回転させながら基板の温度を50℃に保持した。次いで、抵抗加熱によりるつぼ内を所定の温度に上昇させて蛍光体を蒸着開始したのち第1基板12の温度を200℃まで上昇させ、シンチレータ層(蛍光体層(CsI:0.8Tlモル%))13の膜厚が表1に示すそれぞれのシンチレータ層膜厚となったところで蒸着を終了させた。
(シンチレータパネル10の製作)
蒸着が終了し、第1基板12にシンチレータ層13が形成されたシンチレータプレート10Aを430.0mm×430.0mmの四角形状に断裁した。次に、ホットメルトシート(429.5mm×429.5mm 厚さは50μm、エチレン酢酸ビニル共重合体を主成分とするホットメルト樹脂として、ヒロダイン7544(ヒロダイン工業製)を使用)により、第2基板11としてのガラス基板(429.0mm×429.0mm、厚さは0.5mm 端部の全周にわたって丸み(R)をつけてある)を密着、接合させた。
その後、シンチレータプレート10Aを含めた全体を図1に示すように保護層14としてのフィルムで包み込むように封止することによりシンチレータパネル10を製作した。
〈センサーパネル20の製作〉
厚さ0.7mmのガラス基板上の430mm×430mmの領域に、アモルファスシリコンからなるフォトダイオード(光電変換素子)、TFT、及びAlの配線からなる、画素サイズ160μm×160μmの画素を2次元的に配置して受光部を設けた。また、ガラス基板の周囲の領域には、受光部から読み出される光電変換情報を読み出すIC等の配線部材と電気的に接続するための、Alの取り出し配線、及び配線接続部を設けた。その後SiNからなるセンサー保護層及びポリイミドからなるパッシベーション膜を配線接続部が形成された領域を除いて形成し、センサーパネル20を得た。
〈撮像パネル51の製作)
上記製作したシンチレータパネル10とセンサーパネルとを接合して撮像パネル51を製作した。接合は、図6に示すように、シンチレータパネル10の保護層14外面とセンサーパネル20の隔膜20a外面とをホットメルトシート200により行った。
(接着剤層200)
シンチレータパネル10とセンサーパネル20を、ホットメルトシート200を用いて接着し撮像パネル51を製作した。
ホットメルトシート200としてはヒロダイン7544(ヒロダイン工業製)を使用、膜厚及び膜厚分布は表1に示す。なお、ホットメルトシート200の膜厚分布を調整するためには、ホットメルトシートを製作するために用いるダイコータのスリットの研磨条件の調整、及びホットメルトシートを平坦化処理する際の温度、圧力条件を調整することで行った。(平坦化処理時の温度、圧力を増加させることで膜厚分布は減少する)。
製作された撮像パネル51を放射線画像検出装置100に組み込、放射線画像検出装置100を完成させた。
〈接着剤層の膜厚分布算出〉
接着剤層の膜厚分布は、シンチレータパネル上で縦、横を10分割し生成した100区画で膜厚を測定し、各測定区画における膜厚から求めた平均膜厚Tav、膜厚の最大値Tmax、膜厚の最小値Tmin、を求めて下記式により算出した。
膜厚分布=(Tmax−Tmin)/Tav×100(%)
〈評価〉
(接着性の評価)
シンチレータパネルとセンサーパネルを接着して作成した撮像パネルに繰り返し振動を与えた後、目視によってシンチレータパネルの蛍光体層の剥離状況を評価した。全く剥離の発生のないものを5、全面にわたって剥離の発生しているものを1とし、5段階で評価した。
(画像ムラの評価)
シンチレータパネルとセンサーパネルを接着してセットした後、80kVのX線を照射し、初期画像を得た。
次に、撮像パネルをセットした放射線検出装置をサイクルサーモに入れ、0℃から60℃を1cycleとして、100cycleの温度変動を与えた。更に放射線検出装置を緩衝材で巻き、100cmの高さより5回落下させた。
その後、80kVのX線を照射して、画像を得て、初期の画像より増加した欠陥数、画像ムラを下記の5段階で目視評価した。
画像ムラ
1:ムラが多く、使用できない
2:ムラが多い
3:ムラが見える
4:ムラがあるが、わかりにくい
5:ムラがない、もしくはわからない。
(鮮鋭性の評価)
鉛製のMTFチャートを通して管電圧80kVpのX線をFPDの放射線入射面側に照射し、画像データを検出しハードディスクに記録した。その後、ハードディスク上の記録をコンピュータで分析して当該ハードディスクに記録されたX線像の変調伝達関数MTF(空間周波数1サイクル/mmにおけるMTF値)を鮮鋭性の指標とした。MTF値が高いほど鮮鋭性に優れていることを示す。MTFはModulation Transfer Functionの略号を示す。
評価は、MTF値を指標として、MTF値を5段階に区分して評価値とした。予め実験により設定した、実用可能な最低MTF値と最高レベルのMTF値の間を3段階に区分して、実用可能な最低段階を評価値3とし、MTF値が高い方向に、実用レベルを評価値3〜5とした。また、実用可能な最低MTF値未満のものは、2段階に区分して、MTF値が小さい方向に評価値2〜1とした。従って、評価値が大きいほど、鮮鋭性に優れる。従って、評価値1及び2は、実用レベルに到達しないものである。
〈結果〉
結果を、表1に示す。
Figure 2011033562
表1に示すように、本発明により、接着性、鮮鋭性に優れ、画像ムラが抑制された放射線画像検出装置を提供することができる。
10 シンチレータパネル
11 第2基板
12 第1基板
13 蛍光体層
14 保護層
15 反射層
16 中間層
17 下引き保護層
18 接着剤層
20 センサーパネル
51 撮像パネル
52 制御部
53 メモリ部
54 電源部
55 筐体
56 コネクタ
57 操作部
58 表示部
61 蒸着装置
62 真空容器
63 ボート
64 基板ホルダ
65 回転機構
66 真空ポンプ
100 放射線画像検出器
200 接着剤層(ホットメルトシート)

Claims (7)

  1. 支持体と前記支持体上に設けられた蛍光体の層であるシンチレータ層を備えたシンチレータパネルと基板上に光を受光する光電変換素子を備えたセンサーパネルとを備えた撮像パネルを有し、
    前記シンチレータパネルと前記センサーパネルとが接着剤層により貼り合わせて構成され、且つ前記接着剤層の厚みが前記光電変換素子の画素サイズの2倍以下で、且つ1μm以上であり、更に前記接着剤層の膜厚分布が20%以内であることを特徴とする放射線画像検出装置。
  2. 前記シンチレータ層の膜厚が100〜400μmであることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出装置。
  3. 前記接着剤層がホットメルト樹脂を含む層であることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像検出装置。
  4. 前記接着剤層がホットメルトシートであることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の放射線画像検出装置。
  5. 前記蛍光体層が、ヨウ化セシウムとタリウムを含む添加剤を原材料として気相法により形成されることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の放射線画像検出装置。
  6. 前記蛍光体がセシウムハライド系蛍光体であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の放射線画像検出装置。
  7. 前記蛍光体が賦活剤としてタリウムを含有することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の放射線画像検出装置。
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