JP2011032465A - ゴム組成物及びゴム部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】
耐薬品性が良好であり、板ガラスの搬送ローラ用ゴム部材として使用した際、搬送物の搬送により生じたゴム部材の摩耗粉の板ガラスへの粘着が極めて少ないゴム組成物を提供すること。
【解決手段】
ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部当たり、有機過酸化物が0.5質量部以上3質量部以下、多官能性不飽和化合物が1質量部以上5質量部以下、カーボンブラックが5〜60質量部、及びカーボンブラックを除く無機化合物が1質量部以下であるゴム組成物及び前記ゴム組成物を成形して得られたゴム部材。前記ゴム部材によると、搬送物が薬液等に濡れていない箇所の搬送装置や、耐薬品性が要求される洗浄装置やウエットエッチング装置に用いられる搬送ローラ又はシール用のゴム部材に好適であることが示された。
【選択図】図2

Description

本発明は、ゴム組成物及びそれを架橋してなるゴム部材に関する。また本発明は、フラットパネルディスプレイ製造装置又はガラス製造装置の、搬送ローラ又はシール部材に使用されるゴム組成物及びそれを架橋してなるゴム部材に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に使用されるガラス基板は、その製造工程において、工程内及び工程間を搬送ローラによって搬送されるローラ搬送方式の装置を使用する場合がある。例えば、液晶ディスプレイの製造工程では、基板の受け入れ検査、洗浄、成膜、露光、現像、エッチング、レジスト剥離、検査等の工程を繰り返して薄膜トランジスタ(TFT)やカラーフィルタを形成するが、各工程内及び工程間はローラ搬送方式の装置でガラス基板を搬送することが多い。またガラス基板の原材料となる板ガラスの製造においても、切断、面取り、研磨、洗浄、乾燥、検査等の工程及び工程間の移動において搬送ローラによって搬送される場合がある。前記搬送ローラは、例えば、円筒状の回転軸にゴムからなるOリングを取り付けた構造である。複数本列設された前記搬送ローラにガラス基板を載架し、前記搬送ローラを回動することにより、前記ガラス基板を搬送する。前記搬送ローラを備えた設備の一例として、特許文献1には、ゴムからなるOリングが取り付けられたローラを用いてガラス基板を搬送する搬送装置を備えた洗浄設備が開示されている。
搬送ローラを備えた設備において、ガラス基板に粉塵微粒子(パーティクル)が付着するという問題があった。前記パーティクルの要因としては、搬送ローラが前記ガラス基板との摩擦やガラス基板のエッジ部と接触したことにより生じた摩耗粉の付着、搬送ローラに堆積した汚れのガラス基板への転写等がある。例えば、特許文献2には、搬送ローラにガラス基板エッジ部が接触することによる前記搬送ローラの損傷により生じた摩耗粉の発塵や、基板裏面に前記摩耗粉が転写するという問題があり、ウエット処理エリアの搬送ローラを円筒ローラ(ローラ外層は、例えばウレタンゴムのような弾性体)とし、ドライエリアの搬送ローラを円板ローラ(例えば鋳造された金属や、射出成型されたプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等、磨耗しにくい材料))として、基板のエッジ部が搬送ローラに接触することを防止したことにより、搬送ローラの損傷が少なくなり、基板裏面への汚れの転写が低減できたことが開示されている。特許文献3には、Oリングのパーティングラインの位置が搬送物との接触面と異なる位置にあること、及び前記Oリングが非金属元素よりなることを特徴とする搬送ローラが開示されており、前記搬送ローラによると、Oリングのパーティングラインに溜まったパーティクルがガラス基盤や半導体ウェハー等の搬送物へ付着せず、Oリングが摩耗しても金属が表面に析出しないため、パーティングラインに溜まったパーティクルとOリングの摩耗粉等が、搬送物のパーティクル要因とならないとされている。
搬送ローラ用ゴム部材としては、特許文献4には、耐プラズマ性を考慮したOリングとして、フッ素含率が68質量%以上の過酸化物架橋可能なフッ素ゴム100質量部当り、多官能性不飽和化合物0.7〜2.4質量部及び有機過酸化物0.3〜1.0質量部を含有したフッ素ゴム組成物が開示されており、前記フッ素ゴム組成物から得られる加硫成形品は、耐プラズマ性が良好であり、シールとして必要な常態物性値及び圧縮永久ひずみ値を示しており、半導体製造装置や液晶製造装置の部品、例えばシールや搬送ローラ等の用途に好適に用いることが出来るとされている。
特開2004−262626号公報 特開2003−124285号公報 特開2004−277096号公報 特開2008−056739号公報
しかしながら、特許文献1から4の搬送ローラには次のような問題がある。すなわち、特許文献1から4の搬送ローラにおいて、ガラス基板の搬送に伴い、前記ガラス基板と接触する前記搬送ローラのゴム部材又は弾性体が多少なりとも摩耗することは避けられず、摩耗により生じた摩耗粉がガラス基板へ粘着する問題がある。また、特許文献1から4の搬送ローラは、FPD製造工程における洗浄工程やウエットエッチング工程等で使用される薬品に対する耐性が考慮されていない点も問題である。現在、FPD製造工程におけるガラス基板の洗浄工程やウエットエッチング工程等のいわゆるウエットプロセス工程やウエットプロセス工程からその次の工程へガラス基板を搬送する際に使用される搬送ローラ用ゴム部材は、洗浄液等の薬品に対する耐性等を考慮して、パーフルオロエラストマー(FFKM)や特殊な耐薬品性フッ素ゴム(耐薬品性FKM)が使用されているが、薬品と接触しない箇所も含んだFPD製造工程全体に、FFKM又は耐薬品性FKM製の搬送ローラ用ゴム部材を使用する場合が多くある。しかしながら、FFKMや耐薬品性FKMは非常に高価であるため、低価格な搬送ローラ用ゴム部材が求められている。
前記薬品に対する耐性を考慮していない場合、前記薬品により前記ゴム部材が膨潤や劣化する不具合が生じる恐れがある。また、前記薬品と接さない用途においても、前記ゴム部材の引張応力緩和を考慮していない場合、早期に前記ゴム部材の緊迫力が低下する不具合が生じる恐れがある。前記ゴム部材を用いた搬送ローラで搬送物を搬送する際に、いずれの不具合が生じても、前記ゴム部材が空転や摩耗する問題が生じる。
本発明は、上述した問題点に着目し、FPD製造工程において、耐薬品性が良好であり、架橋してガラス基板の搬送ローラ用ゴム部材として使用した際、搬送物の搬送により生じたゴム部材の摩耗粉のガラス基板への粘着が極めて少ないゴム部材を提供することを目的とする。
本発明は、長期に空転しない搬送ローラ用ゴム部材を提供することも目的とする。
ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部当たり、有機過酸化物が0.5質量部以上3質量部以下、多官能性不飽和化合物が1質量部以上5質量部以下、カーボンブラックが5質量部以上60質量部以下及びカーボンブラックを除く無機化合物が1質量部以下であることを特徴とするゴム組成物である。
前記カーボンブラックは、平均粒子径が30nm以上600nm以下であり、窒素比表面積が5〜80m/gであってもよい。
前記ゴム組成物は、フラットパネルディスプレイ製造装置又はガラス製造装置の、搬送ローラ又はシールに使用してもよい。
前記ゴム組成物を架橋してなるゴム部材でもある。
本発明により、パーフルオロエラストマー(FFKM)や特殊な耐薬品性フッ素ゴム(耐薬品性FKM等)等の高価なフッ素ゴムを使用しなくとも、汎用フッ素ゴムを使用して、耐薬品性が良好であり、搬送ローラ用ゴム部材として使用した際に、ゴム部材の摩耗粉の搬送物への粘着が極めて少ないゴム部材が提供される。したがって、フラットパネルディスプレイ製造装置及びガラス製造装置の、搬送ローラ又はシールに使用されるゴム部材に好適に使用することが出来る。
摩耗粉の粘着性の試験を行うための摩耗試験装置の斜視図である。 Oリングホルダーに試験用Oリングを嵌挿したものであり、(a)その平面図と(b)X−X’矢視の断面正面図と(c)Y-Y’ 矢視の断面側面図と(d)あり溝の拡大図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明のゴム組成物は、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部当たり、有機過酸化物が0.5質量部以上3質量部以下、多官能性不飽和化合物が1質量部以上5質量部以下、カーボンブラックが5質量部以上60質量部以下及びカーボンブラックを除く無機化合物が1質量部以下である。
本発明のゴム組成物には、耐薬品性が要求される点からフッ素ゴムを用いることが好ましく、中でもガラス基板の搬送装置で基板洗浄に用いられる薬品への耐性が極めて優れている点から有機過酸化物架橋が可能なフッ素ゴムを用いることがより好ましく、ガラス基板搬送ローラ用ゴム部材として使用した場合、前記搬送ローラ用ゴム部材から発塵した摩耗粉が、搬送されるガラス基板に粘着し難いことから、前記の有機過酸化物架橋が可能なビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴムが更に好ましい。前記の過酸化物架橋が可能なビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴムとしては、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合ゴムに、反応性ハロゲン基(例えば、臭化オレフィン、ヨウ化オレフィン等)等の有機過酸化物架橋性基を導入した、過酸化物架橋が可能なビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴムが挙げられる。
前記の有機過酸化物架橋が可能なビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム中におけるフッ素含有率は、好ましくは67質量%以上72質量%以下、更に好ましくは67質量%以上71質量%以下である。前記フッ素含有率が、67質量%以上72質量%以下であるとシール用ゴム部材として最適な圧縮永久ひずみ特性が得られるため好ましく、72質量%以下であるとゴム組成物中での多官能性不飽和化合物の分散が良好であるため好ましく、67質量%以上71質量%以下であると商業的に入手が容易であるため好ましい。
本発明に好適な、有機過酸化物架橋が可能なビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴムは、例えば、ダイエルG−912(ダイキン工業社製)、ダイエルG−901(ダイキン工業社製)、ダイエルG−902(ダイキン工業社製)、ダイエルG−952(ダイキン工業社製)、ダイエルG−9062(ダイキン工業社製)、ダイエルG−9074(ダイキン工業社製)、ダイエルG−9503(ダイキン工業社製)、バイトンGF−600S(デュポンエラストマー社製)、テクノフロンP959(ソルベイ ソレクシス社製)、テクノフロンP459(ソルベイ ソレクシス社製)、テクノフロンP757(ソルベイ ソレクシス社製)又はテクノフロンP457(ソルベイ ソレクシス社製)等として商業的に入手しても良い。これらのビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴムは、一種又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記有機過酸化物は、公知のゴム用有機過酸化物系架橋剤を使用することが出来る。前記有機過酸化物としては、例えば、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又はジ−t−ブチルパーオキサイド等から選ばれる一種又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。
前記の搬送ローラ用ゴム部材から発塵した摩耗粉の、ガラス基板への粘着を低減し、且つシール用ゴム部材に適した圧縮永久ひずみを好適に発揮するためには、前記ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部に対して、前記有機過酸化物の配合量は0.5質量部以上が好ましく、前記有機過酸化物の配合量が少なくなると摩耗粉のガラス基板への付着量が増加する傾向にあるため、0.7質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上であることが更に好ましい。一方、前記有機過酸化物の配合量が多くなると架橋速度が速くなる傾向にあり、そのために成形中にスコーチが発生する等、成形性で問題となる可能性があるため、好適な成形性を得るためには、前記ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部に対して前記有機過酸化物は3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
前記多官能性不飽和化合物としては、キノンジオキシム系(p−キノンジオキシム等)、メタアクリレート系(トリエチレングリコールジメタアクリレート、メチルメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等)、アリル系(ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート等)、マレイミド系(マレイミド、フェニルマレイミド、N,N´−m−フェニレンビスマレイミド等)、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン又は1,2-ポリブタジエン等の多官能性不飽和化合物等から選ばれ、一種又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。
前記ゴム部材から発塵した摩耗粉の搬送物への粘着を低減し、且つシール部材に好適な圧縮永久ひずみを得るために、前記ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部に対して前記多官能性不飽和化合物の配合量は好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは2質量部以上であり、前記有機過酸化物による架橋反応をより好適に促進するために、更に好ましくは2.5質量部以上である。一方、前記多官能性不飽和化合物はフッ素ゴムとの相溶性が悪いため、多量に配合すると成形時に凝集又は重合して成形品の表面に重合物が析出し成形不良が発生する等、成形面で困難となる可能性があるため、好適な成形性を得るためには、前記ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
本発明のゴム組成物に前記有機過酸化物及び前記多官能性不飽和物の配合量が少ない場合、本発明のゴム組成物を架橋してなるゴム部材は、引張応力緩和が大きくなる傾向にある。前記ゴム部材の引張応力緩和が大きくなると、搬送ローラ用ゴム部材として長期にわたり使用した際に、前記ゴム部材の緊迫力が緩和してしまい、前記搬送ローラの軸心の回転にゴム部材の回転が追従しなくなる恐れがあるため問題である。したがって、前記ゴム部材の引張応力緩和を抑制する点から、本発明のゴム組成物において、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部に対して、前記有機過酸化物の配合量が0.5質量部以上であり、且つ前記多官能性不飽和化合物の配合量が1質量部以上であることが必要である。
本発明のゴム組成物に前記有機過酸化物及び前記多官能性不飽和物の配合量が多い場合、不良率の増大などの成形性に問題が生じる。このため、前記ゴム部材の成形性が良好な点からは、本発明のゴム組成物において、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部に対して、前記有機過酸化物の配合量が3質量部以下であり、且つ前記多官能性不飽和化合物の配合量が5.0質量部以下であることが必要である。
前記カーボンブラックとしては特に限定されるものはなく、一般にゴム用配合剤として使用されるものであれば良い。前記カーボンブラックの例としては、SAFカーボンブラック、ISAFカーボンブラック、HAFカーボンブラック、MAFカーボンブラック、FEFカーボンブラック、GPFカーボンブラック、SRFカーボンブラック、等のファーネスブラック、FTカーボンブラック、MTカーボンブラック等のサーマルブラック、アセチレンブラック又はチャネルブラック等が挙げられ、一種又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。
本発明に好適なカーボンブラックは、例えば、Thermax Floform N990(MTカーボンブラック、Cancarb社製)、アサヒサーマル(FTカーボン、旭カーボン社製)、シーストG-S(SRFカーボンブラック、東海カーボン社製)等のシーストシリーズ、ダイアブラックG(GPFカーボンブラック、三菱化学社製)等のダイアブラックシリーズ等として商業的に入手することが出来る。
前記カーボンブラックは、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部当たり5〜60質量部であることが好ましく10〜50質量部であることがより好ましい。前記カーボンブラックが5質量部以上であると、前記ゴム部材から発塵した摩耗粉のガラス基板に対する粘着性が低下し、粘着せずに容易に取り除くことが出来、前記カーボンブラックが10質量部以上であると、前記ゴム部材から発塵した摩耗粉のガラス基板への粘着が極めて少ない。前記カーボンブラックが60質量部以下であると、混合加工性が良好であり、且つ前記ゴム組成物が加工及び成形に最適な粘度となるため、成形時のゴム融合不良の発生が抑えられる等、加工性及び成形性が良好である。且つ、前記ゴム部材の硬さが搬送ローラ及びシール用のゴム部材として適している。前記カーボンブラックが50質量部以下であるゴム組成物を架橋成形して搬送ローラ用ゴム部材として使用した場合、搬送ローラ用ゴム部材として極めて最適な硬さとなることから、ガラス基板を搬送するための最適なグリップ力が得られ搬送効率が向上する。
前記カーボンブラックの平均粒子径は、引張応力緩和、圧縮永久ひずみ、混合加工性および成形性の点から、好ましくは30〜600nm、より好ましくは50〜550nmである。なお、前記平均粒子径は、透過型電子顕微鏡により、無作為に選択した1000個のカーボンブラック粒子の粒子径を計測し、算術平均を求めたものである。
前記カーボンブラックのJIS K 6217−2における窒素比表面積は、引張応力緩和、圧縮永久ひずみ、混合加工性および成形性の点から、好ましくは5〜80m/g、より好ましくは5〜40m/gである。
前記カーボンブラックのJIS K 6217−1におけるよう素吸着量は、引張応力緩和、圧縮永久ひずみ、混合加工性および成形性の点から、好ましくは80mg/g以下、より好ましくは40mg/g以下である。
また、前記カーボンブラックのJIS K 6217−1におけるDBP吸収量(A法)は、混合加工性、成形性の点から、好ましくは150cm/100g以下、より好ましくは100cm/100g以下である。
カーボンブラックを除く前記無機化合物は、例えば、受酸剤である酸化亜鉛、酸化マグネシウム又は水酸化カルシウム等が挙げられ、一種又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。また、取り扱いが容易であるため、液体状配合剤である有機過酸化物や多官能性不飽和化合物を、珪藻土、炭酸カルシウム又はシリカ等の無機化合物に含浸させて粉体化したもの(担持品と呼ぶ)を用いることが出来る。なお、担持品をゴム組成物に配合した場合、前記担持品に含まれる無機化合物成分は、カーボンブラックを除く無機化合物として、前記ゴム組成物中に含まれることとなる。
本発明のゴム組成物にカーボンブラックを除く前記無機化合物を多く配合すると、本発明のゴム組成物を架橋してなるゴム部材は、ガラス基板の洗浄やエッチングに使用する薬品(例えば、りん酸、硝酸、酢酸、混合酸(りん酸、硝酸及び酢酸の混合溶液等)、塩酸、しゅう酸溶液、過酸化水素水又は次亜塩素酸ナトリウム溶液等)に対し、大きく膨潤する恐れがある。前記ゴム部材が膨潤すると、ゴム部材物性が低下し、搬送ローラ用ゴム部材として使用する場合は、搬送ローラに設けられたゴム部材を固定する溝のエッジ部とゴム部材の接触が大きくなり、搬送ローラ用ゴム部材の摩耗を増長させるため問題である。したがって、前記ゴム部材の耐薬品性の効果が充分に発揮される点から、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部に対して、カーボンブラックを除く前記無機化合物の配合量が、1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。
本発明のゴム組成物には、例えば、老化防止剤(例えば、アミン系、フェノール系、イミダゾール系)、可塑剤(例えば、フタル酸系可塑剤(フタル酸ジオクチル等)、アジピン酸系可塑剤(ジオクチルアジペート等)、セバシン酸系可塑剤(セバシン酸ジオクチル等)、トリメリット酸系可塑剤(トリメリテート等)、重合型可塑剤(例えば、ポリエーテル若しくはポリエステル等の重合型可塑剤)等)又は加工助剤(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等)等ゴム工業で一般的に使用されている配合剤を必要に応じて適宜添加することが出来る。なお、各配合剤の添加量は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて適宜設定することが出来る。
本発明のゴム組成物を、従来公知のインタミックス、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機、オープンロール又は二軸混練押出機等を用いて混練した後、射出成形機、圧縮成形機、加熱プレス機又は押出成形機等を用いて所望の形状に架橋成形してゴム部材を得ることが出来る。前記架橋成形において本発明のゴム組成物は過酸化物架橋を行うため、例えば140℃〜200℃で2分間〜30分間の一次架橋を施した後、必要に応じて150℃〜230℃で1時間〜24時間の二次架橋を施すというような条件で行うことが好ましい。二次架橋を施すことで、一次架橋のみの場合のゴム部材と比較して、搬送ローラ用ゴム部材とした場合に前記ゴム部材から発塵した摩耗粉が搬送物であるガラス基板へ粘着することを低減でき、且つ圧縮永久ひずみを小さく出来る。
本発明で得られたゴム部材は、JIS K 6262に準拠した大形試験片を用いて、25%圧縮及び200℃70時間の試験条件で試験した圧縮永久ひずみが40%以下であり、JIS K 6253に準拠したタイプAデュロメータによる瞬間値で測定した硬度が55〜90であることから、搬送ローラやシール用のゴム部材として好適に使用出来る。
また、本発明で得られたゴム部材は、JIS K 6263に準拠して伸長率20%試験温度40℃で計測した30分後の引張応力緩和が10%以下であることから、搬送ローラ用ゴム部材やシール用ゴム部材として、極めて好適に使用出来る。
本発明のゴム部材の形状は特に限定されず、Oリング、Dリング、角リング、Xリング、Tリング等のリング形状又はシート形状等や、金属材料や樹脂材料と接着等で組み合わせた複合体等その目的に応じて適宜選ばれる。ゴム成形物の大きさも特に限定はなく、目的に応じ適宜選ばれる。
本発明により得られたゴム部材は、搬送物であるガラス基板を搬送した際に搬送ローラのゴム部材から発塵した摩耗粉がガラス基板に極めて粘着し難いことに加え、ガラス基板の洗浄やエッチングに使用される薬品(例えば、りん酸、硝酸、酢酸、混合酸(りん酸、硝酸及び酢酸の混合溶液等)、塩酸、しゅう酸溶液、過酸化水素水又は次亜塩素酸ナトリウム溶液等)に対する耐性が極めて優れることから、ガラス基板搬送ローラ用ゴム部材として、好適に使用出来る。ガラス基板搬送ローラ以外であっても、ゴム部材から発塵した摩耗粉の搬送物への粘着の低減、及び/又は耐薬品性等が要求される搬送ローラ用ゴム部材等として好適に使用出来る。また、本発明のゴム部材は、圧縮永久ひずみが、シールとして好適な値であることから、ウエットエッチング装置や洗浄装置等、耐薬品性が求められる装置のシール用ゴム部材等への適応も可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例等で使用した材料は以下のとおりである。
フッ素ゴムとしては、
・ダイエルG−902(ダイキン工業社製):過酸化物架橋系ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム、フッ素含有率71質量%
・ダイエルG−952(ダイキン工業社製):過酸化物架橋系ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム、フッ素含有率69質量%
・テクノフロンP 757(ソルベイ ソレクシス社製):過酸化物架橋系ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム、フッ素含有率67質量%
・バイトンETP−S(デュポンエラストマー社製):過酸化物架橋系テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル−エチレン系共重合ゴム、フッ素含有率67質量%
・ダイエルG−801(ダイキン工業社製):過酸化物架橋系ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム、フッ素含有率66質量%、
・バイトンE−60C(デュポンエラストマー社製):ポリオール架橋系ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム、フッ素含有率66質量%
・バイトンB−61J(デュポンエラストマー社製):ポリオール架橋系ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム、フッ素含有率68質量%
カーボンブラックとしては、
・Thermax Floform N990(Cancarb社製):MTカーボンブラック、平均粒子径500nm、窒素比表面積9m/g、DBP吸収量(A法)43cm/100g
・ シーストG−S(東海カーボン社製):SRFカーボンブラック、平均粒子径66nm、窒素比表面積27m/g、DBP吸収量(A法)68cm/100g、よう素吸着量:26mg/g
有機過酸化物としては、
・パーヘキサ25B(日油社製):2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(有機過酸化物)
・ルペロックス101XL(アルケマ吉富社製):2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(有機過酸化物)を炭酸カルシウム:シリカが50質量%:50質量%混合物に45質量%含浸させた粉体
多官能性不飽和化合物としては、
・TAIC(日本化成社製):トリアリルイソシアヌレート(多官能性不飽和化合物)
・TAIC M60(日本化成社製):トリアリルイソシアヌレート(多官能性不飽和化
合物)を珪藻土に60質量%含浸させた粉体。
カーボンブラックを除く無機化合物としては、
・酸化亜鉛2種(堺化学工業社製):酸化亜鉛(受酸剤)
・キョウワマグ150 (協和化学工業社製):酸化マグネシウム(受酸剤)
・カルディック2000 (近江化学工業社製):水酸化カルシウム(受酸剤)
実施例1〜17、比較例1、比較例2及び比較例5〜9について、表1〜4に示す割合のゴム及び配合剤を、オープンロールにて混練してゴム組成物を調整した。次いで、ゴム組成物をプレス成形装置にて160℃で10分間プレス架橋した後、更に200℃で4時間二次架橋してゴム部材を得た。なお、表1〜4の配合量の単位は質量部である。
比較例10及び11は、表5に示す割合のゴム及び配合剤を、実施例1と同様にして混練、架橋してゴム部材を得た。なお、表5の配合量の単位は質量部である。
比較例3及び4は、ゴム組成物を170℃で10分間プレス架橋した後、更に230℃で24時間二次架橋した以外は、実施例1と同様に行い、ゴム部材を得た。
なお、表4に示される有機過酸化物及び多官能性不飽和化合物のうち、担体に担持されているもの(ルペロックス101XL及びTAIC M60)は、ゴム組成物中では、有機過酸化物又は多官能性不飽和化合物と、担体(珪藻土、炭酸カルシウム及びシリカ)が分離分散するものと解釈し、表4の総配合量欄に、各成分(有機過酸化物、多官能性不飽和化合物及びカーボンブラックを除く無機化合物)毎の、総配合量に相当する質量部数を算出して示した。
実施例1〜17及び比較例1〜9で得られたゴム部材をサンプルとして、以下の(1)〜(5)の評価を行い、それらの結果に基づいて(6)総合評価を実施した。その結果を表1〜4に示す。
比較例10及び11で得られたゴム部材をサンプルとして、以下の(1)〜(5)の評価を行い、それらの結果に基づいて(6)総合評価を実施した。その結果を表5に示す。
また、実施例1〜17、比較例5〜11で得られたゴム部材をサンプルとして、以下の(7)の評価を行い、(6)及び(7)の結果に基づいて(8)総合評価2を実施した。その結果を表1〜5に示す。
(1)成形性
JIS B 2401記載のG25サイズのOリングを20個成形して目視で外観を確認し、多官能性不飽和化合物の重合物と思われる析出物や、スコーチによる成形不良、ゴムの融合不良等、配合組成に起因すると思われる異常が確認されたものを外観不良とし、以下の基準にて評価した。
○ : 成形品の外観不良品が1個以下
× : 成形品の外観不良品が2個以上
(2)耐薬品性
試験試料をJIS B 2401記載のG25サイズのOリング3個を、試験溶液150mlに、70℃168時間浸漬した後の体積変化率を求めた。体積変化率はJIS K 6258に準拠して測定し、以下の基準で評価した。
○ : 体積変化率が10%以下
× : 体積変化率が10%を超える
なお、使用した試験溶液は、ガラス基板の洗浄やエッチングとして使用される薬品の中で代表的なものとして、以下に示す7種類を選定した。
・ 硝酸:60〜61質量%硝酸試薬[JIS K 8541]特級(和光純薬工業社製)
・ 酢酸:50質量%酢酸として、蒸留水100mlに99.7質量%以上酢酸試薬[JIS K 8355]特級(和光純薬工業社製)100gを加えて調整。
・ りん酸:85質量%以上りん酸試薬[JIS K 9005]特級(和光純薬工業社製)
・ 塩酸:35〜37質量%塩酸試薬[JIS K 8180]特級(和光純薬工業社製)
・ 過酸化水素水:10質量%過酸化水素水として、蒸留水200mlに約30%過酸化水素試薬[JIS K 8230]特級(和光純薬工業社製)100mlを加えて調整。
・ 次亜塩素酸ナトリウム溶液:有効塩素濃度5質量%以上次亜塩素酸ナトリウム溶液 化学用(和光純薬工業社製)
・ しゅう酸溶液:5質量%しゅう酸溶液:蒸留水190mlに98%以上しゅう酸試薬(和光純薬工業社製)10gを加えて調整。
(3)摩耗粉の粘着性
図1に示す摩耗試験装置を用いてガラス板への摩耗粉の粘着性を確認した。即ち、JIS B 2401に記載のP20サイズの試験用Oリング10を質量2.5NのOリングホルダー20で把持し、試験用Oリング10と可動式架台30に固定したガラス板40(松浪硝子工業社製 大型スライドガラス)を、Oリングホルダー20の質量により圧接し、駆動装置(図示せず)によりガラス板40を固定した可動式架台30を1分間に50回の速さで一方向(矢印で図示)に往復摺動(ストローク50mm)させ、10000往復後にガラス板40を取り出し、ガラス板40上に付着している摩耗粉を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○ : 摩耗粉は見られない、又は摩耗粉が発生してガラス表面に付着しているが、100ccポリエチレン製洗浄瓶を使用してエタノールをかけ流すと容易に除去出来る。
× : 摩耗粉がOリングの摺動方向に伸びてガラス表面に粘着している状態が観察される、あるいは100ccポリエチレン製洗浄瓶を使用してエタノールをかけ流しても容易に除去できない摩耗粉が付着している。
なお、固定台50に固定したホルダー固定架台60の上部に設けた円孔に、Oリングホルダー20を挿着することにより、試験装置稼動中に、Oリングホルダー20が、可動式架台30の稼動に追動せず、可動式架台30の稼動方向と垂直方向には自由に可動出来るようにした。この時、Oリングホルダー20とホルダー固定架台60は、Oリングホルダー挿着部Iで、Oリングホルダー20の可動性に問題がない程度に近接しており、Oリングホルダー挿着部I以外のいずれの部位においても接触しない。
また、図2に示すとおり、Oリングホルダー20のOリング固定溝は、試験用Oリング10が脱落しないように、あり溝形状とした。Oリング固定溝のサイズは、Oリング固定溝中心径φ=22.2mm、Oリング固定溝開口幅d=2.22mm、Oリング固定溝深さh=1.8mm、あり溝角度θ=66.6°、あり溝底半径r1=R0.2、あり溝開口部エッジ半径r2=R0.2とした。
ここで、あり溝底半径r1=R0.2とは、あり溝底半径r1=0.2mmのことであり、あり溝開口部エッジ半径r2=R0.2とは、あり溝開口部エッジ半径r2=0.2mmのことである。
(4)圧縮永久ひずみ
JIS K 6262に準拠し、大形試験片を用いて、25%圧縮、200℃70時間の試験条件で試験し、以下の基準で評価した。
○ : 圧縮永久ひずみが40%以下
× : 圧縮永久ひずみが40%を超える
(5)硬さ
JIS K 6253に準拠し、タイプAデュロメータによる瞬間値(加圧板を試験片に接触させた瞬間に読み取った数値)を測定し、以下の基準で評価した。表1〜5には実測値及び○×評価を記載した。
○ : 55〜90
× : 55未満、又は90を超える
(6)総合評価
前記(1)〜(5)の試験結果から、以下の基準にて評価した。
○: 評価(1)〜(5)において、すべて○であるもの
×: 評価(1)〜(5)において、×が一つ以上あるもの
(7)引張応力緩和
JIS K 6263引張応力緩和試験A法に準拠して、試験片形状短冊1号形、試験温度40℃、100mm/minで20%伸長し、30分後の引張応力緩和を測定し、以下の基準で評価した。表1〜5には実測値及び○×評価を記載した。
○ : 引張応力緩和が10%以下
× : 引張応力緩和が10%を超える
(8)総合評価2
前記(6)及び(7)の試験結果から、以下の基準にて評価した。
○: 評価(6)及び(7)において、いずれも○であるもの
×: 評価(6)及び(7)において、×が一つ以上あるもの
Figure 2011032465
Figure 2011032465
Figure 2011032465
Figure 2011032465
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表1は、化学構造、フッ素含有率又は架橋方式の異なるフッ素ゴムを用いた実施例(実施例1〜実施例3)及び比較例(比較例1〜比較例4)を評価したものである。実施例1〜実施例3は、有機過酸化物架橋系ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴムを用いているが、総合評価及び総合評価2で“○”判定であることがわかった。
一方、比較例1は現行使用されている高価で特殊な耐薬品性フッ素ゴムである過酸化物架橋系テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル−エチレン系共重合ゴムを用いており、比較例2はビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴムを用いているが、いずれもゴム部材から発塵した摩耗粉が搬送物へ粘着しやすいことがわかった。
比較例3及び比較例4は、いずれもポリオール架橋系のフッ素ゴムを用いているが、実施例1〜実施例3と比較すると、ゴム部材から発塵した摩耗粉が搬送物へ粘着しやすく、耐薬品性も劣ることがわかった。
表2は、実施例1と、実施例1の有機過酸化物配合量及び/又は多官能性不飽和化合物配合量が異なる実施例(実施例4〜実施例8)を評価したものである。実施例1及び実施例4〜実施例8は、有機過酸化物配合量を0.5質量部〜3質量部、又は多官能性不飽和化合物配合量を1質量%〜5質量%としたが、前記範囲においていずれも総合評価及び総合評価2で“○”判定であることを確認した。
表5は、実施例1の有機過酸化物配合量及び多官能性不飽和化合物の配合量が異なる比較例(比較例10及び11)を評価したものである。比較例10及び11の有機過酸化物及び多官能性不飽和化合物の配合量の範囲は、表2の実施例の範囲である「有機過酸化物配合量を0.5質量部〜3質量部又は多官能性不飽和化合物配合量を1質量%〜5質量%」を外れており、前記範囲の最小値を下回る場合は、摩耗粉の粘着性、圧縮永久ひずみ、引張応力緩和に問題があり、前記範囲の最大値を上回ると、成形性に問題が生じることがわかった。
表3は、実施例1と、実施例1のカーボンブラック配合量が異なる実施例(実施例9〜実施例13)及び比較例(比較例5及び比較例6)を評価したものである。実施例9〜実施例13はカーボンブラックの配合量が5質量部〜60質量部の範囲であるが、いずれも総合評価で“○”判定であることがわかった。且つ実施例1及び実施例11から、カーボンブラック種類がMTカーボンでもSRFカーボンでも同様に、総合評価及び総合評価2で“○”判定であることがわかった。
一方、比較例5のとおり、カーボンブラックの配合量を1質量部とすると、ゴム部材から発塵した摩耗粉の搬送物への粘着が顕著となることがわかった。また、比較例6のとおり、カーボンブラックの配合量を70質量部とすると、成形性が悪くなり、またゴム部材が硬くなる傾向にある。ゴム部材が硬くなると、ゴム部材の搬送物に対するグリップ力が低下すると予測されるため、搬送ローラ用ゴム部材としたときの搬送性が低下する恐れがある。
表4は、実施例1と、実施例1のカーボンブラックを除く無機化合物の配合量が異なる例(実施例14〜実施例17、比較例3、比較例4及び比較例7〜比較例9)を評価したものである。実施例14〜実施例17は、カーボンブラックを除く無機化合物の配合量が0質量部〜1質量部であるが、いずれも総合評価及び総合評価2で“○” 判定であることがわかった。
一方、比較例3、比較例4及び比較例13〜比較例15から、無機配合物の配合量が1.7質量部〜9質量部であると、耐薬品性が劣ることがわかった。なお、比較例3及び比較例4は、いずれもポリオール架橋系のフッ素ゴムを含むが、ポリオール架橋系樹脂組成物の場合、カーボンブラックを除く無機化合物の一種である受酸剤を添加する必要があり、一般的な配合量の受酸剤を処方した配合である。
以上の結果から、実施例の如く、有機過酸化物架橋が可能なビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム、有機過酸化物、多官能性不飽和化合物及びカーボンブラックを含み、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部当たり、カーボンブラックが5〜60質量部、及びカーボンブラックを除く無機化合物が1質量部以下であるゴム組成物を成形したゴム部材であれば、ゴム部材から発塵した摩耗粉の搬送物へ粘着が低減され、成形性、搬送性、耐薬品性が良好であり圧縮永久ひずみがシール材として適していることが確認された。したがって、前記ゴム部材は、搬送物が薬品等に濡れていない箇所の搬送装置や、耐薬品性が要求される洗浄装置やウエットエッチング装置に用いられる搬送ローラ用ゴム部材や耐薬品性が求められるシール用ゴム部材に好適であることが示された。
また、以上の結果から、実施例の如く、有機過酸化物架橋が可能なビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム、有機過酸化物、多官能性不飽和化合物及びカーボンブラックを含み、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部当たり、カーボンブラックが5〜60質量部、及びカーボンブラックを除く無機化合物が1質量部以下であるゴム組成物を成形したゴム部材であれば、ゴム部材から発塵した摩耗粉の搬送物へ粘着が低減され、成形性、搬送性、耐薬品性が良好であり圧縮永久ひずみがシール材として適していることが確認された。したがって、前記ゴム部材は、搬送物が薬品等に濡れていない箇所の搬送装置や、耐薬品性が要求される洗浄装置やウエットエッチング装置に用いられる搬送ローラ用ゴム部材や耐薬品性が求められるシール用ゴム部材に好適であることが示された。
10 試験用Oリング
20 Oリングホルダー
30 稼動式架台
40 ガラス板
50 固定台
60 ホルダー固定架台

Claims (4)

  1. ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合ゴム100質量部当たり、有機過酸化物が0.5質量部以上3質量部以下、多官能性不飽和化合物が1質量部以上5質量部以下、カーボンブラックが5質量部以上60質量部以下、及びカーボンブラックを除く無機化合物が1質量部以下であることを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記カーボンブラックの平均粒子径が30nm以上600nm以下であり、窒素比表面積が5〜80m/gであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. フラットパネルディスプレイ製造装置又はガラス製造装置の、搬送ローラ又はシールに使用されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム部材。
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